説明

バラシクロビル塩酸塩の結晶型

【課題】バラシクロビル塩酸塩の新規の多形及び擬多形体並びこれらを含む医薬組成物の提供。
【解決手段】II型のバラシクロビル塩酸塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連分野のクロスリファレンス
本願は、以下の米国仮特許出願:2001年9月7日に出願された第60/317,850号;2001年12月21日に出願された第60/403,838号;2002年6月5日に出願された第60/386,505号;及び2002年8月14日に出願された第60/403,838号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明の分野
本発明は、抗ウイルス化合物であるバラシクロビル塩酸塩の新規結晶型(多形及び擬多形)、及びそれらを得るための方法、に関する。
【背景技術】
【0003】
バラシクロビルは、アシクロビルのL−バリルエステルプロドラッグである。アシクロビルは、高い抗ウイルス活性を有することが明らかとなっている天然のヌクレオシドの非環状類似体である。アシクロビルは、人におけるウイルス感染、特にヘルペスグループのウイルスによって生じる感染の処置及び予防において広範に使用されている。Goodman and Gilman's, The Pharmacological Basis of Therapeutics 1193-1198 (9th ed. 1996) を参照のこと。
【0004】
アシクロビルは、側鎖上で3’−ヒドロキシルを欠いている非環状グアニンヌクレオシド類似体である。アシクロビルは、6H−プリン−6−オン,2−アミノ−1,9−ジヒドロ−9−[(2−ヒドロキシエトキシ)メチル]の化学名を有する。(CAS登録番号59277−89−3)。ナトリウム塩としてのアシクロビルは、現在ZOVIRAX(商標)として市販されている。アシクロビルの化学構造を式Iとして示す。
【化1】

【0005】
バラシクロビルは、1−バリン,2−[(2−アミノ−1,6−ジヒドロ−6−オキソ−9H−プリン−9−イル)メトキシ]エチルエステルの化学名を有する。(CAS登録番号124832−26−4)。バラシクロビルは、現在VALTREX(商標)として市販されている。バラシクロビルの化学構造を式IIとして示す。
【化2】

【0006】
経口投与の場合、アシクロビルよりもむしろバラシクロビルを投与するのが有益であり、これは、アシクロビルが動物及びヒトにおける経口投与後に胃腸管からほとんど吸収されないためである。対照的に、バラシクロビルは、経口投与後に胃腸管から迅速に吸収される。更に、バラシクロビルは、健康な成体における経口投与後に、迅速的に且つ事実上悪しくとビルに変換される。バラシクロビルの変換は、酵素的な加水分解を経て、初回通過の腸及び肝臓での代謝から生じると考えられる。
【0007】
アシクロビルは、ウイルスのDNA合成を阻害することによってウイルスを死滅させる。アシクロビルは側鎖上に3’−ヒドロキシルを欠いているグアノシン類似体であるため、ウイルスのDNA複製の間にDNA鎖の終結を生じさせる。ウイルス感染細胞において、アシクロビルは、ウイルスの酵素であるチミジニンキナーゼによって一リン酸誘導体(アシクロビル−MP)に変換される。アシクロビル−MPは、続いて細胞の酵素によって二リン酸及び三リン酸類似体にリン酸化される。ウイルスのDNA複製の間のプライマー鎖内への活性化アシクロビルの包含は鎖の終結をもたらし、これは、3’ヒドロキシルがなく、DNA鎖が伸長できないためである。感染していない細胞はウイルスの酵素であるチミジンキナーゼを欠いているので、アシクロビルは適切なキナーゼをコードするウイルスに感染した細胞おいてのみ選択的に活性化される。
【0008】
米国特許第4,199,574号は、アシクロビルによるウイルス感染の処置を開示している。
【0009】
米国特許第4,957,924号(「924特許」)は、プリンヌクレオシドアシクロビル、医薬として許容されるその塩及びヘルペスウイルス感染の処置におけるそれらの使用を開示している。更に、医薬製剤及びそのような化合物の調製方法も開示している。バラシクロビル及びその塩例えば塩酸塩は、開示された化合物の範囲内である。
【0010】
’924特許は、更に、カップリング試薬として触媒量の4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)及びジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を用いた、ジメチルホルムアミド(DMF)中でのCBZ−バリンとアシクロビルの縮合によるバラシクロビルの調製方法を開示している。
【化3】

【0011】
引用によって本明細書に組み入れられる、米国特許第6,107,302号は、バラシクロビル塩酸塩の無水結晶型及び調製方法を開示している。
【0012】
医薬として有用な化合物の新規結晶型の発見は、医薬製品の性能特性を向上させる機会を提供する。このことは、製剤化学者が、例えば標的とする放出プロファイル又は他の所望の特性を有する薬物の医薬剤形を設計するのに利用できる材料のレパートリーを拡大させる。このことは、このレパートリーが有用な化合物の新規結晶型の発見によって拡大する場合には明確な利点である。多形及び多形の医薬としての利用の一般的な概論については、G. M. Wall,Pharm Mayauf. 3,33 (1986) ; J. K. Haleblian and W. McCrone, J.Phariii.Sci., 58,911 (1969) ; and J. K. Haleblian, J. Phare.Sci., 64,1269 (1975)を参照のこと。これらは全て引用によって本明細書に組み入れられる。
【0013】
医薬として有用な塩酸塩の結晶型の固形状の物理的特性は、塩酸塩が固形状で得られる条件下を制御することによって影響を受け得る。固形状の物理的特性には、例えば、粉砕された固体の流動性が含まれる。流動性は、材料が医薬製品へと処理される間の取り扱いやすさに影響を及ぼす。粉末化された化合物の粒子が、互いに容易に流れ去らない場合、製剤の専門家は、流動促進剤(glidant)、例えばコロイド状ニ酸化ケイ素、タルク、デンプン又は三塩基性リン酸カルシウムの使用を必要としうる錠剤又はカプセル製剤の開発において、その事実を考慮しなければならない。
【0014】
医薬化合物の別の重要な固形状の特性は、水溶液中でのその溶解速度である。患者の胃液中での活性成分の溶解速度が治療という結論をもたらすことがあるのは、そのことが、経口投与される活性成分が患者の血流に到達し得る速度に上限を課すためである。溶解速度はまた、シロップ、エリクシル及び他の液体医薬を調剤するのに考慮される。化合物の固形状の形態はまた、圧縮時のその挙動及びその保存安定性に影響を及ぼすことがある。
【0015】
これらの実用的な物理的特性は、物質の特定の結晶型を限定する単位格子内の構造及び配向によって影響を受ける。結晶型は、非晶質材料又は別の結晶型のものと異なる熱的挙動もたらしうる。熱的挙動は、毛細管融点、熱重量分析(TGA)及び示差走査熱量分析(DSC)のような技術によって研究室内で測定され、そしていくつかの結晶型を他のものから区別するために使用され得る。特定の結晶型はまた、粉末X線結晶学、固形状13CのNMR分析及び赤外分光法によって検出可能であろう、異なる分光学的特性をもたらしうる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】I型バラシクロビル塩酸塩の代表的なX線回折パターンを示す。
【図2】I型バラシクロビル塩酸塩の代表的なDTGサーモグラフを示す。
【図3】II型バラシクロビル塩酸塩の代表的なX線回折パターンを示す。
【図4】II型バラシクロビル塩酸塩の代表的なDTGサーモグラフを示す。
【図5】IV型バラシクロビル塩酸塩の代表的なDTGサーモグラフを示す。
【図6】バラシクロビル塩酸塩を相対湿度100%のコントロール湿度セルの中で1週間インキュベーションしてIV型バラシクロビル塩酸塩にしたときに得られた代表的なX線回折パターンを示す。
【図7】V型バラシクロビル塩酸塩の代表的なX線回折ダイアグラムを示す。
【図8】V型バラシクロビル塩酸塩の代表的な示差熱分析及び熱重量分析サーモグラフィーを示す。
【図9】VI型バラシクロビル塩酸塩の代表的なX線回折パターンを示す。
【図10】VII型バラシクロビル塩酸塩の代表的なX線回折パターンを示す。
【発明の概要】
【0017】
本発明の要約
1つの側面において、本発明は、結晶型I,II,IV,V,VI,及びVII並びに2又はそれ以上のこれらの型の混合物のバラシクロビル塩酸塩に関する。
【0018】
別の側面において、本発明は、I,II,IV,V,VI及びVII型並びにそれらの混合物の生成方法に関する。本発明はまた、結晶型I,II,IV,V,VI,及びVIIのバラシクロビル塩酸塩並びに2又はそれ以上のこれらの混合物を含む医薬組成物に関する。
【0019】
1つの側面において、本発明は、約3.7,8.6,10.6,10.9,16.5,24.0,及び27.2±0.2度(2θ)のX線回折ピーク(反射)を特徴とする、I型のバラシクロビル塩酸塩に関する。
【0020】
1つの側面において、本発明は、約3.7,8.6,10.6,10.9,16.5,24.0,及び27.2±0.2度(2θ)のX線回折ピーク(反射)を特徴とし、そして更に9.5,13.3,20.1,21.4.及び26.7度(2θ)のX線回折ピーク(反射)を特徴とする、I型のバラシクロビル塩酸塩に関する。
【0021】
別の側面において、本発明はまた、実質的に図1に示すようなX線粉末回折パターンを有するI型のバラシクロビル塩酸塩に関する。
【0022】
別の側面において、約25℃〜約140℃の温度範囲に及ぶ熱重量分析によって測定した場合に約6%〜約9%の損失重量を有することを更に特徴とする、I型のバラシクロビル塩酸塩に関する。この含水量は、1・1/2水和物(sesquihydrate)中の化学量論的水分量に相当し、そしてカール−フィッシャーによって決定される含水量と一致している。
【0023】
本発明はまた、I型のバラシクロビル塩酸塩を含む医薬組成物に関する。
【0024】
別の側面において、本発明はまた、II型のバラシクロビル塩酸塩に関する。
【0025】
本発明はまた、約6.6,11.5,17.2,19.0,21.5,27.4及び28.0±0.2度(2θ)のX線回折ピーク(反射)を特徴とする、II型のバラシクロビル塩酸塩に関する。
【0026】
別の側面において、本発明はまた、約6.6,11.5,17.2,19.0,21.5,27.4及び28.0±0.2度(2θ)のX線回折ピーク(反射)を特徴とし、そして更に示差熱分析の間約211℃の吸熱ピークを有することを特徴とする、II型のバラシクロビル塩酸塩に関する。
【0027】
本発明はまた、実質的に図3に示すようなX線粉末回折パターンを有する、II型のバラシクロビル塩酸塩に関する。
【0028】
本発明はまた、II型のバラシクロビル塩酸塩を含む医薬組成物に関する。
【0029】
別の側面において、本発明はIV型のバラシクロビル塩酸塩に関する。
【0030】
更に別の側面において、本発明は、約3.6,10.7,15.1,26.9,及び28.1±0.2度(2θ)のX線回折ピークを特徴とする、IV型のバラシクロビル塩酸塩に関する。
【0031】
更に別の側面において、本発明は、約3.6,10.7,15.1,26.9,及び28.1±0.2度(2θ)のX線回折ピークを特徴とし、そして更に7.2,8.7,9.5,13.3,16.5,23.5,及び24.0度(2θ)のX線回折ピーク(反射)を特徴とする、IV型のバラシクロビル塩酸塩に関する。
【0032】
別の側面において、本発明は、約7.2°,8.6°,9.5°,13.3°,15.2°,27.3°,及び28.1°±0.2°(2θ)の追加のX線回折の反射を更に特徴とする、IV型のバラシクロビル塩酸塩に関する。
【0033】
本発明はまた、実質的に図6に示すようなX線回折粉末回折パターンを有するIV型のバラシクロビル塩酸塩に関する。
【0034】
別の側面において、本発明は、約25℃〜約170℃の温度範囲に及ぶ熱重量分析によって測定した場合に約9%〜約11%の損失重量を有することを更に特徴とする、IV型のバラシクロビル塩酸塩に関する。LOD値は、は、カール−フィッシャー法によって決定される化学量論的水分量に相当する。
【0035】
本発明はまた、IV型のバラシクロビル塩酸塩を含む医薬組成物に関する。
【0036】
1つの側面において、本発明は、V型のバラシクロビル塩酸塩に関する。
【0037】
別の側面において、本発明はまた、実質的に図12に示すようなX線回折パターンを有する、V型のバラシクロビル塩酸塩に関する。
【0038】
別の側面において、本発明は、約6.7°,15.7°,16.2°,及び22.6°±0.2°(2θ)のX線回折(ピーク)を有するV型のバラシクロビル塩酸塩に関する。
【0039】
別の側面において、本発明は、約3.4°,9.5°,13.5°,21.9°,27.2°,及び28.6°±0.2°(2θ)の追加のX線回折(ピーク)を有するV型のバラシクロビル塩酸塩に関する。
【0040】
別の側面において、本発明は、約25℃〜約130℃の温度範囲に及ぶ熱重量分析によって測定した場合に約5%〜約7%の損失重量を有することを更に特徴とする、V型のバラシクロビル塩酸塩に関する。
【0041】
別の側面において、本発明は、示差熱重量分析解析によって示されるような、約95℃のブロードな吸熱ピーク及び約180℃のシャープな吸熱ピークを特徴とする、V型のバラシクロビル塩酸塩に関する。
【0042】
本発明はまた、V型のバラシクロビル塩酸塩を含む医薬組成物に関する。
【0043】
更に別の側面において、本発明は、VI型の結晶のバラシクロビル塩酸塩に関する。
【0044】
別の側面において、本発明は、約6.2°,9.2°,12.1°,20.2°及び25.7°±0.2°(2θ)のX線回折(反射)を特徴とする、VI型のバラシクロビル塩酸塩に関する。
【0045】
別の側面において、本発明は、実質的に図14に示すようなX線粉末回折パターンを特徴とする、VI型のバラシクロビル塩酸塩に関する。
【0046】
本発明はまた、VI型のバラシクロビル塩酸塩を含む医薬組成物に関する。
【0047】
別の側面において、本発明は、結晶型VIIのバラシクロビル塩酸塩に関する。
【0048】
更に別の側面において、本発明は、約3.5°,10.3°,13.6°,26.2°及び28.1°(2θ)のピークを有するX線回折パターン(反射)を特徴とする、VII型のバラシクロビル塩酸塩に関する。
【0049】
更に別の側面において、本発明は、実質的に図15に示すようなX線粉末回折パターンを特徴とする、VII型のバラシクロビル塩酸塩に関する。
【0050】
本発明はまた、VII型のバラシクロビル塩酸塩を含む医薬組成物に関する。
【0051】
別の側面において、本発明はまた、バラシクロビル塩酸塩を調製するための方法であって、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、塩化メチル、t−ブチルメチルエーテル、及びテトラヒドロフランである群から選択されるスラリー溶媒中でスラリーとしてバラシクロビル塩酸塩を懸濁する段階を含む方法に関する。
【0052】
別の側面において、本発明はまた、バラシクロビル塩酸塩を調製するための方法であって、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、塩化メチル、t−ブチルメチルエーテル、及びテトラヒドロフランである群から選択されるスラリー溶媒中でスラリーとしてバラシクロビル塩酸塩を懸濁し;前記スラリーからI型のバラシクロビル塩酸塩を単離し;そして約20℃〜約70℃の温度でI型のバラシクロビルを乾燥する段階を含む方法に関する。
【0053】
別の側面において、本発明は、II型のバラシクロビル塩酸塩を生成する方法であって、周囲温度で、イソプロピルアルコール、1−ブタノール又はエタノールから選択されるスラリー溶媒中でバラシクロビル塩酸塩をスラリーにする段階を含む方法、に関する。
【0054】
別の側面において、本発明は、II型のバラシクロビル塩酸塩を生成する方法であって、周囲温度で、イソプロピルアルコール、1−ブタノール又はエタノールから選択されるスラリー溶媒中でバラシクロビル塩酸塩をスラリーにし、そして任意に、前記スラリーからII型のバラシクロビル塩酸塩を単離し、そしてII型のバラシクロビル塩酸塩を好ましくは約60℃の温度で乾燥する段階を含む方法、に関する。任意に、乾燥は約500mmHg未満の圧力及び約50℃で行われる。
【0055】
更に別の側面において、本発明は、II型のバラシクロビル塩酸塩を生成する還流スラリー(reflux slurry)法であって、アセトニトリル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、アセトン、及びトルエンから選択されるスラリー溶媒中でバラシクロビルをスラリーにし、当該スラリーを加熱して還流させ、生じた混合物を還流し、そして当該混合物からII型のバラシクロビル塩酸塩を単離する段階を含む方法、に関する。
【0056】
別の側面において、本発明は、III型のバラシクロビル塩酸塩を生成する方法であって、以下のインキュベート溶媒:イソプロパノール、エタノール、ブタノール、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、メタノール、及び水のうちの少なくとも1つの蒸気で飽和した雰囲気中でバラシクロビル塩酸塩をインキュベートする段階を含む方法、に関する。バラシクロビル塩酸塩は、固形状又は前記インキュベート溶媒の溶液であってもよい。
【0057】
別の側面において、本発明は、IV型のバラシクロビルを生成する方法であって、約100%の相対湿度を有する雰囲気中でバラシクロビル塩酸塩をインキュベートする段階を含む方法、に関する。
【0058】
別の側面において、本発明は、V型のバラシクロビル塩酸塩を生成する方法であって、バラシクロビル塩酸塩の水溶液と低級脂肪族アルコールを混合する段階を含む方法、に関する。
【0059】
別の側面において、本発明は、V型のバラシクロビル塩酸塩を生成する方法であって、バラシクロビル塩酸塩の水溶液とイソプロパノールを混合する段階を含む方法、に関する。
【0060】
別の側面において、本発明は、VI型のバラシクロビル塩酸塩を生成する方法であって、水及び脂肪族モノカルボン酸を含む第一溶媒中のバラシクロビル塩酸塩溶液と、水混和性ケトン、特にアセトンを含む第二溶媒を混合して懸濁液を形成する段階を含む方法、に関する。
【0061】
別の側面において、本発明は、VI型のバラシクロビル塩酸塩を生成する方法であって、容量当たり約30%〜約60%の水を含み、残りは脂肪族モノカルボン酸である第一溶媒中のバラシクロビル塩酸塩溶液と、第一溶媒の容量の約2〜約5倍の量の水混和性ケトンを含む第二溶媒を混合する段階を含む方法、に関する。
【0062】
別の側面において、本発明は、VI型のバラシクロビル塩酸塩を生成する方法であって、水及び脂肪族モノカルボン酸を含む第一溶媒中のバラシクロビル塩酸塩溶液をろ過し;続いて当該溶液と、水混和性ケトン、好ましくはアセトンを含む第二溶媒を混合して懸濁液を形成し;そして任意に約−10℃未満の温度で当該懸濁液を振とうし、そして当該懸濁液からVI型のバラシクロビル塩酸塩を単離する段階を含む方法、に関する。
【0063】
別の側面において、本発明は、VII型のバラシクロビル塩酸塩を生成する方法であって、本質的に水である第一溶媒中のバラシクロビル塩酸塩溶液と、水混和性ケトン、好ましくはアセトンを含む第二溶媒を混合して懸濁液を形成する段階を含み;そして任意に、約10℃未満の温度で当該懸濁液を振とうし、そして当該懸濁液からVII型のバラシクロビル塩酸塩を単離する段階を含む方法、に関する。I型のバラシクロビル塩酸塩を生成する方法であって、約110℃〜約130℃の温度で約2時間バラシクロビル塩酸塩を加熱する段階を含む方法。
【0064】
別の側面において、本発明は、I型のバラシクロビル塩酸塩を生成する方法であって、溶媒中でバラシクロビル塩酸塩を溶解し、そして減圧で当該溶液を蒸発させる段階を含む方法、に関する。好ましくは、前記溶媒は4以下の炭素原子を有する極性有機溶媒である。最も好ましくは、前記溶媒はアルコール、好ましくはメタノールである。
【0065】
別の側面において、本発明は、I,II,IV,V,VI又はVII型のバラシクロビル塩酸塩のいずれか1つを含む医薬組成物に関する。
【0066】
別の側面において、本発明は、I,II,IV,V,VI又はVII型のバラシクロビル塩酸塩のうちの2又はそれ以上の任意な混合物を含む医薬組成物に関する。
【0067】
本発明の詳細な説明
本発明は、新規結晶型I,II,IV,V,VI,及びVII並びに2又はそれ以上のこれらの型の混合物のバラシクロビル塩酸塩を提供する。本発明はまた、結晶型I,II,III,IV,V,VI,及びVII並びに2又はそれ以上のこれらの型の混合物のバラシクロビル塩酸塩を調製するための方法を提供する。
【0068】
本発明は更に、本発明の方法のうちのいずれかによって、並びに当業者に知られている他の方法によって調製されるようなバラシクロビル塩酸塩のこれらの結晶型の固形状の物理的特性に関する。
【0069】
本明細書で使用する場合、特に断らない限り、用語「バラシクロビル塩酸塩」は、無水型、水和物、溶媒和物、及び全ての結晶型(多形及び擬多形の両方)のバラシクロビル塩酸塩を含む。本明細書で使用する場合、多形の用語は広範に使用され、多形及び擬多形の両方、すなわち全ての結晶型を含む。
【0070】
測定量に関連して本明細書で使用する場合、用語「約」は、測定を実施し、そして当該測定の目的に見合う一定レベルの注意を発揮する当業者によって予想されうる測定量の変動及び使用される測定装置の精度を言及する。
【0071】
本明細書の周囲温度又は室温は約20℃〜約25℃であり、上昇した温度は約38℃超を意味し、そして低温は約−10℃未満を意味する。
【0072】
全ての粉末X線回折パターンは、当業者に知られている方法によって、熱電気的に冷却した固体のSi(Li)検出器を備えたScintag X'TRA X線粉末回折装置を、3°/分の走査速度、2〜40度(2θ)の走査範囲で用いて得られた。λ=1.5418Åの銅放射を使用した。X線回折の「ピーク」の用語は、本明細書で使用する場合、X線粉末回折装置を用いて測定されるX線回折の「反射」を意味する。「湿潤した」試料(すなわち乾燥していない試料)はそのまま解析された。乾燥した試料は、解析前に穏やかに粉砕された。
【0073】
本明細書で示すDTA及びTGA曲線は、当業者に知られている方法によって、DTG Shimadzu model DTG-50(TGA及びDTAを一緒にしたもの)を用いて得られた。試料の重量は、約9〜約13mgであった。当該試料は、10℃/分の速度で、最大約300℃以上で走査された。試料は、20ml/分の流速で窒素ガスを用いてパージされた。覆いのない標準的なアルミのるつぼを使用した。
【0074】
熱重量分析(TGA)は、熱で誘導される材料の損失重量の測定である。熱重量分析(TGA)は、温度に応じて、質量の減少、例えば水和の水の減少と関連付けられた事象を検出し、そして測定する、当業界で周知の熱解析技術である。
【0075】
DTAは、当業界で周知の技術である示差熱分析を表し、これは、試料中の熱的事象、例えば、熱が吸収され(吸熱)、又は放出される(発熱)相転移を検出し、そして測定するものである。
【0076】
当業界で周知のカールフィッシャー解析も、試料中の水の量を決定するために使用される。
【0077】
用語「含水量」は、Pharmacopeial Forum, Vol. 24, No.1, p.5438(Jan-Feb 1998)に記載の乾燥減量法(the loss on Drying method)(LOD法)、含水量を決定するためのカールフィッシャーアッセイ又は熱重量分析(TGA)に基づいた水の含量を言及する。用語「当量の水」は、モル当量の水を意味する。本明細書で言及される全てのパーセンテージが、特に断らない限り重量当たりのものである。
【0078】
当業者は、用語「無水物」が、バラシクロビル塩酸塩について使用される場合、実質的に水を含まないゾルピデムヘミタートレイトを説明することも理解するだろう。当業者は、用語「水和物」が、バラシクロビル塩酸塩に関して使用された場合、約6〜10%w/wの含水量を有する結晶材料を説明していることを理解するだろう。
【0079】
純度を説明するのに使用する場合、パーセントは、当業者に周知の方法である高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって決定される面積のパーセントを言及し、そして式:
不純度(impuruty)i(%)=100x(ピークiの面積)/(Σ全ピーク面積)
に従い算出される。
【0080】
1つの態様において、本発明は、I型のバラシクロビル塩酸塩(「Form I」)を提供する。
【0081】
I型のバラシクロビル塩酸塩は、約3.7,8.6,10.6,10.9,13.3,16.5,24.0,及び27.2±0.2度(2θ)のX線回折ピーク(反射)を特徴とする。図1は、I型のバラシクロビル塩酸塩の代表的なX線粉末回折パターンを示す。
【0082】
I型のバラシクロビル塩酸塩はまた、図2に示すようなTGA及びDTAの両方のサーモグラムを提供する、上述のDTG−50を用いて測定された熱的プロファイルを特徴とする。DTAのサーモグラムは、125℃未満のブロードな吸熱を示す。損失重量曲線も、この温度範囲において、約6重量%〜約9重量%の実測乾燥減量値による減量段階を示す。このLOD値は、バラシクロビル塩酸塩1・1/2水和物の化学量論的水分量に相当し、そしてカール−フィッシャー法によって決定される水分量と一致する。
【0083】
別の態様において、本発明は、II型のバラシクロビル塩酸塩(「Form II」)を提供する。
【0084】
II型のバラシクロビル塩酸塩は、約6.6,11.5,17.3,19.0,21.5,26.3,27.4及び28.0±0.2度(2θ)のピークを有するX線回折パターン(反射)を特徴とする。図3は、II型のバラシクロビル塩酸塩の代表的なX線粉末回折パターンを示す。
【0085】
II型のバラシクロビル塩酸塩はまた、211℃の吸熱ピーク、続く発熱ピークを示す、図4に示すような示差熱分析(DTA)によって特徴付けられる。
【0086】
III型のバラシクロビル塩酸塩(「Form III」)は、米国特許第6,107,302号に開示されているバラシクロビル塩酸塩の従来技術の無水物型である。
【0087】
1つの態様において、本発明は、III型のバラシクロビル塩酸塩を調製するための方法を提供する。
【0088】
別の態様において、本発明はIV型のバラシクロビル塩酸塩(「Form IV」)を提供する。
【0089】
IV型のバラシクロビル塩酸塩は、約3.6,10.7,15.1,26.9,及び28.1±0.2度(2θ)のピークを有するX線回折パターンを特徴とする。図6は、IV型のバラシクロビル塩酸塩の代表的なX線回折パターンを示す。
【0090】
IV型のバラシクロビル塩酸塩は、図5に示すようなTGA及びDTAの両方のサーモグラムを提供する、上述のDTG−50を用いる熱的解析によって更に特徴付けられる。DTAのサーモグラムは、約45℃〜約100℃の2つのブロードな吸熱ピークを示す。損失重量曲線も、最大130℃の温度範囲において、2回の減量段階を示す。この温度範囲内の乾燥減量(LOD)値は約9.7%である。バラシクロビル塩酸塩1・1/2水和物の化学量論的水分量に相当し、そしてカール−フィッシャー法によって決定される水分量と一致する。
【0091】
IV型は、最大約15%の、より大量の溶媒を含むことがある。
【0092】
更に別の態様において、本発明は、V型のバラシクロビル塩酸塩を提供する。
【0093】
V型のバラシクロビル塩酸塩は、約6.7°,15.7°,16.2°,及び22.6°±0.2°(2θ)のX線回折(ピーク)を特徴とする。
【0094】
本発明のV型のバラシクロビル塩酸塩は、更に約3.4°,9.5°,13.5°,21.9°,27.2°,及び28.6°±0.2°(2θ)の追加のX線回折(ピーク)によって特徴付けられる。図12は、V型のバラシクロビル塩酸塩の代表的なX線粉末回折パターンを示す。
【0095】
V型のバラシクロビル塩酸塩は、更に図13に示すようなDTA及びTGA測定によって特徴付けられる。本発明のV型のバラシクロビル塩酸塩のDTAサーモグラムは、約95℃のブロードな吸熱ピーク及び約180℃のシャープな吸熱ピークを示す。損失重量曲線(TGA)は、約25℃〜約130℃の温度範囲で約5%〜約7%の損失重量を示す。
【0096】
別の態様において、本発明は、VI型のバラシクロビル塩酸塩(「Form VI」)を提供する。
【0097】
VI型のバラシクロビル塩酸塩は、約6.2°,9.2°,12.1°,20.2°及び25.7°±0.2°(2θ)のX線回折の反射(ピーク)を特徴とする。図14は、VI型のバラシクロビル塩酸塩の代表的なX線粉末回折パターンを示す。
【0098】
更に別の態様において、本発明は、VII型のバラシクロビル塩酸塩(「Form VII」)を提供する。
【0099】
VII型のバラシクロビル塩酸塩は、約3.5°,10.3°,13.6°,26.2°及び28.1°(2θ)のピークを有するX線回折(ピーク)を特徴とする。図15は、VII型のバラシクロビル塩酸塩の代表的なX線粉末回折パターンを示す。
【0100】
本発明のバラシクロビル塩酸塩の新規結晶型(多形及び擬多形)は、以下に記載する、本発明の態様を表すいずれか1つ又は複数の方法によって調製されうる。特定の態様において使用される3つの方法は、(1)粉砕法としても知られる、スラリー法;(2)蒸気によるインキュベーション法;及び(3)沈殿法、である。I型のバラシクロビル塩酸塩を生成するために、熱及び蒸発による方法も提供される。
【0101】
特定の態様において、本発明のバラシクロビル塩酸塩の結晶型は、スラリー溶媒中で一定量のバラシクロビル塩酸塩を懸濁し、又は「スラリーにする」段階を含み、これは、好ましくは機械による攪拌を用いる。
【0102】
スラリー法による多形を形成するための手順の例を実施例1〜21に提示する。スラリー溶媒の量は、1グラムのバラシクロビル塩酸塩当たり約5ml〜約15mlの間、好ましくは約8ml〜約12mlの間で変化することがあり、最も好ましくは約10mlである。スラリーは、所望の変換を達成するのに十分な時間攪拌される。攪拌は、当業者に知られている任意の手段によって、例えば溶液中に挿入されるマグネティックスターラー又はプロペラ型スターラーを用いることによって提供され得る。驚いたことに、スラリー法による多形の形成は、プロペラよりも、マグネティックスターラーが攪拌を促進するために使用された場合により有効でありうることが明らかとなった。
【0103】
攪拌の間の変換の程度は、例えば、スラリーのアリコートを抽出し、固体を分離し、そして当該固体の結晶型を、例えばX線回折によって解析することによってモニタリングされうる。
【0104】
生じた結晶型のバラシクロビル塩酸塩は、当業界で知られている任意の手段によってスラリーから単離されうる。ほんの2つあげると、例えば、ろ過(重力又はサクション)又は遠心分離といった手段で単離される。
【0105】
望む場合、又は特定の多形を作るために必要な場合、スラリー法によって単離された生成物は、大気圧で乾燥、又は減圧下で乾燥させることができる。
【0106】
別の様態では、本発明の結晶型は蒸気インキュベーション法によって作ることができる。蒸気インキュベーション法では、バラシクロビル塩酸塩はインキュベートする溶媒の蒸気で飽和した又はほぼ飽和した雰囲気に曝露される。バラシクロビル塩酸塩は、固体粒子として、好ましくはインキュベートする溶媒に曝露される表面を最大にするために薄い層の形で曝露されても、インキュベートする溶媒中にその溶液として曝露されてもよい。蒸気インキュベーションは、ある量の固体状のバラシクロビル塩酸塩を小さな開いた容器に入れて行うことも、閉じた容器中で溶媒雰囲気の中でバラシクロビル塩酸塩をインキュベートすることによって行うこともできる。
【0107】
好ましくは、サンプルは約7日から約32日までの時間インキュベートされる。インキュベートする溶媒が水である場合、チャンバの湿度は硫酸カリウム、硝酸亜鉛、酢酸カリウム、硫酸アンモニウムなど、当業者には公知の塩又は塩溶液を用いて調節される。
【0108】
望む場合、又は特定の多形を作るために必要な場合、スラリー法によって単離された生成物は大気圧で乾燥、又は減圧下で乾燥させることができる。
【0109】
蒸気インキュベーション法によってバラシクロビル塩酸塩の結晶型を調製する手順の例を実施例22−27に提示する。
【0110】
さらに別の様態では、本発明の結晶型は沈殿法によって作ることができる。この方法は、機械的な振とうによって第一の溶媒におけるバラシクロビル塩酸塩の溶液を第二の溶媒と混合して懸濁液を形成するステップを含む。バラシクロビル塩酸塩は第二の溶媒に実質的に不溶であることが好ましい。
【0111】
沈殿法によってバラシクロビル塩酸塩の結晶型を調製する手順の例を実施例28から32までに提示する。
【0112】
第一の溶媒でのバラシクロビル塩酸塩の濃度は約30乃至約65%までの間で変えられる。溶液に対する第二の溶媒の体積の比は、約3:1から約15:1まで、第一の溶媒による溶液の体積に対して変えることができる。
【0113】
機械的な振とうは当業者に公知のどんな手段によって行ってもよい、例えば、ほんのいくつかあげると、マグネティック・スターラー、又はパドル−、プロペラ−、又はタービン型スターラーによって行うことができる。当業者であれば、特に使用する容器のサイズや形、溶液と懸濁液の粘度、などによって振とう手段をどのように選ぶかを知っているであろう。
【0114】
沈殿法を組み込んだ好ましい態様では、方法は、懸濁液を約2乃至約24時間、約−10℃よりも低い温度で振とうするステップを含む。
【0115】
生じた結晶型のバラシクロビル塩酸塩は、当業者に公知の手段によって懸濁液から単離できる。例えば、ほんの2つをあげると、ろ過(重力又はサクション)又は遠心分離によって単離できる。単離した後、生じた結晶型のバラシクロビル塩酸塩は大気圧で乾燥又は減圧下で乾燥させることができるが、どちらの方法も当業者には公知である。
【0116】
本明細書に開示される結晶型を生成するために他の方法を用いることもできることは当業者には理解されるであろう。
【0117】
ある態様では、I型のバラシクロビル塩酸塩を作る熱的方法が提供される。その熱的方法は、バラシクロビル塩酸塩を約1乃至約3時間、好ましくは約2時間、約30℃から約60℃までの間の温度で、好ましくは40℃で、加熱するステップを含む。好ましくは、物質は真空下で乾燥させる。こうして得られた生成物は、X線回折による分析によるとI型のバラシクロビル塩酸塩である。
【0118】
別の態様では、本発明はI型のバラシクロビル塩酸塩を作るための蒸発法を提供する。蒸発法では、バラシクロビル塩酸塩がある量の溶媒(バラシクロビル塩酸塩1グラムあたり約200mL乃至約300mL、好ましくは約250mL、の溶媒)に、40℃で溶解される。溶媒を蒸発させて、好ましくは減圧下で蒸発させて、I型のバラシクロビル塩酸塩を生成する。極性有機溶媒、特にアルコール、で炭素数が4以下のものが蒸発法で使用するのに好ましい。メタノールが、この方法で使用するのに特に好ましい溶媒である。
【0119】
さらに別の様態では、本発明はI型のバラシクロビル塩酸塩を生成するためのスラリー法であって、バラシクロビル塩酸塩をスラリー溶媒にスラリーとして懸濁させるステップ、及びオプションとしてさらに、I型のバラシクロビル塩酸塩をスラリーから単離するステップ及び約50℃から約70℃までの間の温度で乾燥させるステップを含む方法を提供する。I型のバラシクロビル塩酸塩を調製するためのスラリー溶媒は非極性有機溶媒であり、好ましくは酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、塩化メチレン、t−ブチルメチルエーテル、及びテトラヒドロフランから選択される。
【0120】
別の様態では、本発明は、II型のバラシクロビル塩酸塩を生成するためのスラリー法であって、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、アセトニトリル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エタノール、アセトン、及びトルエンから選択されたスラリー溶媒にバラシクロビル塩酸塩をスラリーとして懸濁するステップを含む方法を提供する。
【0121】
スラリーは、当業者に公知のどんなスターラーによって振とうしてもよく、好ましくはプロペラ型スターラー、最も好ましくはマグネティック・スターラー、によって振とうすることができる。
【0122】
別の態様では、本発明は、II型のバラシクロビル塩酸塩を生成するためのスラリー法であって、バラシクロビル塩酸塩を還流しながらスラリー溶媒にスラリーとして懸濁させるステップ;そのスラリーにメタノールを加えるステップ;得られた混合物を還流させるステップ;及び混合物からII型のバラシクロビル塩酸塩を単離するステップ、を含む方法を提供する。
【0123】
別の態様では、本発明は、II型のバラシクロビル塩酸塩を生成するためのスラリー法であって、バラシクロビル塩酸塩を還流しながらトルエンにスラリーとして懸濁させるステップ;そのスラリーにメタノールを加えるステップ;得られた混合物を混合された溶媒中でさらに還流させるステップ;及び混合溶媒に生じたスラリーからII型のバラシクロビル塩酸塩を単離するステップ、を含む方法を提供する。
【0124】
II型のバラシクロビル塩酸塩は、スラリーを室温に冷却し、当業者に公知の任意の手段で結晶を集めることによってスラリーから単離できる。
【0125】
ある特別の様態では、単離された結晶は真空下で、すなわち、約500mmHgよりも低い圧力で、50℃で乾燥される。あるいは、結晶を乾燥させるステップは大気圧で60℃で行うこともできる。
【0126】
別の様態では、本発明は、IV型のバラシクロビル塩酸塩を生成する方法であって、以下のインキュベート溶剤;すなわち、イソプロパノール、エタノール、ブタノール、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、メタノール、及び水、の少なくとも1つの蒸気で飽和した雰囲気中でバラシクロビル塩酸塩をインキュベートするステップを含む方法を提供する。バラシクロビル塩酸塩は固体として又は溶液としてインキュベートすることができる。固体の形のバラシクロビル塩酸塩が用いられる場合、アセトニトリルが好ましいインキュベート溶媒である。
【0127】
蒸気インキュベーション法のある特別の様態では、バラシクロビル塩酸塩は熱いメタノールに溶解され、閉じた容器内でインキュベート溶媒の蒸気で飽和した雰囲気で、約25乃至約40日間、好ましくは32日間、インキュベートされる。インキュベート溶媒は、好ましくは、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、エタノール、又はブタノールから選択される。
【0128】
別の特に好ましい態様では、本発明は、IV型のバラシクロビル塩酸塩を調製するプロセスであって、II型のバラシクロビル塩酸塩を湿度100%で水蒸気で飽和した雰囲気でインキュベートするステップを含むプロセスを提供する。
【0129】
別の態様では、本発明は沈殿法によってI型及びIV型のバラシクロビル塩酸塩を作る方法を提供する。バラシクロビル塩酸塩は、第一の溶媒に、好ましくはバラシクロビル塩酸塩1グラムあたり約6mLという量の第一の溶媒に、約20℃乃至約30℃で、好ましくは約25℃で、溶解される。第一の溶媒による溶液に、体積で第一の溶媒の体積の約10乃至約30倍、好ましくは約17倍、という量の第二の溶媒が混合される。生じた懸濁液を約1時間振とうし、ろ過して沈殿物のウエット・ケーキを回収する。オプションとして、沈殿物のウエット・ケーキは真空中で40℃で乾燥される。
【0130】
水が好ましい第一の溶媒である。プロトン性又は非プロトン性の極性有機溶媒が第二の溶媒として使用できる。好ましい第二の溶媒はアセトニトリル、ブタノール、及びアセトンである。オプションとして、第二の溶媒を用いて最初の溶液を形成し、第一の溶媒を加えて多形物質を沈殿させることもできる。
【0131】
別の態様では、本発明は、沈殿法によって、例えば、第一の溶媒でのバラシクロビル塩酸塩の溶液にアルコール、好ましくはイソプロパノール、である第二の溶媒を混合することによって、V型のバラシクロビル塩酸塩を作る方法を提供する。
【0132】
溶液は、水、及びオプションとして水混和性の有機溶媒、例えば、アセトン、水混和性ケトン、又は好ましくは、アルコール、を含む第一の溶媒における溶液である。ケトンを用いる場合、アセトンが好ましいケトンである。アルコールを用いる場合、イソプロパノールが好ましいアルコールである。好ましくは、水が溶媒の主要な成分である。最も好ましくは、第一の溶媒は水である。
【0133】
好ましくは、第一の溶媒による溶液は、1重量部のバラシクロビル塩酸塩と約2乃至約6重量部の溶媒を含む。溶液は、例えば、所望量のバラシクロビル塩酸塩を約2乃至約6重量部の溶媒に溶解して作ることができる。バラシクロビル塩酸塩は、当業者に公知の任意の手段によって作ることも、アシクロビル部分に結合したバリン残基の窒素がブトキシカルボニル基を有するt−ブトキシカルボニルバラシクロビル(t-BOC Val)からその場で生成することもできる。
【0134】
好ましい態様で、バラシクロビル塩酸塩がその場で生成される場合、約3乃至約7当量,好ましくは約5当量、の塩酸が、適当なビヒクルに溶解された形で、上記の適当な溶媒における保護されたバラシクロビル(例えば、t-BOC バラシクロビル)の懸濁液に、好ましくは温度コントロールを維持するようにゆっくりと加えられる。ビヒクルは上記の溶媒のいずれであってもよい。好ましくは、ビヒクルと溶媒は両方とも水である。
【0135】
塩酸を加えた後、混合物は約40℃よりも低い温度で、好ましくは約20乃至25℃で、混合物が濁っていても本質的に溶液になるまで振とうされる。次に、混合物は約10℃より低い温度、好ましくは約0℃、に冷却され、アルコール、好ましくはイソプロパノール、が混合されて(用いる溶媒の体積に対して20乃至30体積)、懸濁液が形成される。好ましくは、懸濁液はこの温度で少なくとも約半時間振とうされる。懸濁液は、約4℃よりも低い温度である時間、例えば、約8乃至約18時間、振とうしてもよい。
【0136】
V型のバラシクロビル塩酸塩は、当業者に公知の任意の手段によって懸濁液から単離できる。ほんの2つあげると、例えば、ろ過(重力又はサクション)又は遠心分離といった手段で単離される。
【0137】
普通、上述のように調製されたV型のバラシクロビル塩酸塩は、化学的純度が少なくとも約97%である。
【0138】
別の態様では、本発明はまた、沈殿法によってVI型のバラシクロビル塩酸塩を作る方法を提供する。バラシクロビル塩酸塩は、脂肪族モノカルボン酸と水を含む第一の溶媒に溶解される。オプションとして溶液をろ過し、ろ液を水混和性のケトンである第二の溶媒と合体させて懸濁液を形成し、それを冷却する。脂肪族モノカルボン酸は化学式がRCO2Hで、Rは1乃至6炭素原子の直鎖又は枝分かれアルキル基である。好ましい脂肪族モノカルボン酸は酢酸であり、好ましい水混和性ケトンはアセトンである。
【0139】
ろ過された第一の溶媒による溶液(ろ液)と第二の溶媒をゆっくりと合体させることが好ましい。ゆっくりと合体させるとは、少量のろ液を、好ましくは1滴ずつ、時間をかけて、好ましくは半時間乃至3時間にわたって、加えることを意味する。ろ液を1滴ずつ約1時間にわたって加えることが特に好ましい。
【0140】
VI型のバラシクロビル塩酸塩は、当業者に公知の任意の手段によって懸濁液から単離できる。ほんの2つあげると、例えば、ろ過(重力又はサクション)又は遠心分離といった手段で単離される。
【0141】
別の態様では、本発明は、沈殿法によってVI型のバラシクロビル塩酸塩を作る方法を提供する。例えば、BOC-バラシクロビルを酢酸に溶解し、塩酸と水を混合する。次に、溶液をろ過し、ろ液を1滴ずつアセトンに加えて懸濁液を作り、それを冷却する。
【0142】
1重量部のBOC-バラシクロビルを約2−5重量部,好ましくは約3重量部、の酢酸に加えることが好ましい。混合物を高い温度(38℃を超える)、好ましくは約50℃、で攪拌して固形物を溶かし、その後周囲温度又は室温に、約25℃に冷却する。混合物は、不活性気体、好ましくはアルゴン、の雰囲気の下に保たれる。次に、約1−4重量部,好ましくは2重量部、の水に対して約1重量部の塩酸が、約1時間にわたって1滴ずつ、バラシクロビルと酢酸の混合物に加えられる。
【0143】
周囲温度で約1乃至4時間、好ましくは約3時間、振とうした後、溶液をろ過し、得られたろ液をある時間、好ましくは約1時間にわたって、ろ液の体積の約2乃至5倍の量のアセトンに加える。次に、懸濁液を最初は周囲温度で約1乃至4時間、好ましくは2時間、振とうし、次にもっと長い時間、12乃至18時間、好ましくは14時間、−10℃よりも低い低温で、好ましくは−15℃で、振とうする。
【0144】
普通、上述のように調製されたVI型のバラシクロビル塩酸塩は、化学的純度が少なくとも約98%である。
【0145】
別の態様では、本発明はまた、沈殿法によってVII型のバラシクロビル塩酸塩を作る方法であって、バラシクロビルHClを水である第一の溶媒に溶解するステップ;溶液をろ過するステップ、ろ過された溶液を水混和性のケトンである第二の溶媒と合体させて懸濁液を得るステップ、及び冷却してVII型のバラシクロビル塩酸塩を単離するステップ、を含む方法を提供する。
【0146】
VII型のバラシクロビル塩酸塩は、当業者に公知の任意の手段によって懸濁液から単離できる。ほんの2つあげると、例えば、ろ過(重力又はサクション)又は遠心分離といった手段で単離される。
【0147】
普通、1重量部のバラシクロビル塩酸塩が、約3−5重量部、好ましくは約4重量部、の水に溶解される。溶液を、約38℃を超える高い温度で、好ましくは約40℃で、振とうして固形物を溶解する。固形物は次にろ過される。得られたろ液を,ろ液の体積の約2乃至6倍の量の水混和性ケトン、好ましくはアセトン、に加えて懸濁液を形成する。次に、懸濁液を最初は約20から25℃までの間の温度、好ましくは20℃で約1乃至約4時間、好ましくは2時間、振とうし、次に約−10℃よりも低い低温で、好ましくは−15℃で、もっと長い時間、約10乃至18時間、好ましくは約12時間、振とうする。
【0148】
普通、上述のように調製されたVII型のバラシクロビル塩酸塩は、化学的純度が少なくとも約99%である。
【0149】
さらに別の様態では、バラシクロビル塩酸塩一水和物を作る方法であって、水でのバラシクロビル塩酸塩溶液をその体積の約2倍乃至約4倍のイソプロパノールと接触させて懸濁液を生成するステップ、懸濁液を約−10℃よりも低い温度である時間振とうするステップ、固形物を単離するステップ、及び減圧下で固形物を一定重量まで乾燥させるステップ、を含む方法を提供する。接触させるステップは、好ましくは機械的な振とうによる混合によって行われる。
【0150】
好ましくは、溶液とIPAは約30℃から約50℃までの間の温度で、好ましくは約40℃で接触させる。好ましくは、振とうの間の温度は約−15℃である。固形物は懸濁液から当業者に公知の任意の手段によって、例えば、ろ過によって、単離できる。
【0151】
使用の方法、製剤、投与量
バラシクロビル塩酸塩ハ、ウイルス感染、特にヘルペスグループのウイルスの感染、に苦しんでいる患者を治療するために使用できるいろいろな医薬組成物及び用量形態に調剤できる。
【0152】
ある様態では、本発明は、I、II、IV、V、VI、又はVII型の少なくとも1つの型のバラシクロビル塩酸塩を含む医薬組成物に関する。活性成分の他に、本発明のバラシクロビル塩酸塩医薬組成物は1つ以上の賦形剤を含むことができる。賦形剤はいろいろな目的でこの医薬組成物に加えられる。
【0153】
希釈剤は固体医薬組成物のかさを増やし、その組成物を含む投薬形態を患者と介護者にとって扱いやすいものにする。固体組成物の希釈剤としては、例えば、微結晶セルロース(例えば、AVICEL(登録商標))、ミクロファインセルロース、ラクトース、澱粉、α化澱粉、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、砂糖、デキストレート、デキストリン、デキストロース、リン酸水素カルシウム二水和物、リン酸三カルシウム、カオリン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マンニトール、ポリメタクリレート(例えば、Eudragit(登録商標))、塩化カリウム、粉末セルロース、塩化ナトリウム、ソルビトール、及びタルク、などがあげられる。
【0154】
錠剤などの投薬形態にまとめられた固体医薬組成物は賦形剤を含むことができ、その機能は活性成分とその他の賦形剤を圧縮後に結束させることである。固体医薬組成物のバインダーとしては、アカシア、アルギン酸、カルボマー(例えば、カルボポール)、カルボキシセルロース・ナトリウム、デキストリン、エチル・セルロース、ゼラチン、グアールガム、水素添加植物油、ヒドロキシエチル・セルロース、ヒドロキシプロピル・セルロース(例えば、KLUCEL(登録商標))、ヒドロキシプロピル・メチル・セルロース(例えば、METHOCEL(登録商標))、液体グルコース、ケイ酸マグネシウム・アルミニウム、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリメタクリレート、ポビドン(例えば、KOLLIDON(登録商標), PLASDONE(登録商標))、ゼラチン化澱粉、アルギン酸ナトリウム、及び澱粉、などがある。
【0155】
患者の胃における固められた固体医薬組成物の溶解速度は組成物に崩壊剤を添加することによって高めることができる。崩壊剤としては、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース・カルシウム、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム(例えば、Ac-DI-SOL(登録商標), PRIMELLOSE(登録商標))、コロイド状二酸化シリコン、クロスカルメロール・ナトリウム、クロスポビドン(例えば、KOLLIDON(登録商標), POLYPLASDONE(登録商標))、グアーガム、ケイ酸マグネシウム・アルミニウム、メチルセルロース、微結晶セルロース、ポラクリンカリウム、粉末セルロース、α化澱粉、アルギン酸ナトリウム、澱粉グリコレートナトリウム(例えば、EXPLOTAB(登録商標))、及び澱粉、があげられる。
【0156】
流動促進剤(glidant)を添加して、固められていない固体組成物の流動性を高め、投与量決定の精度を高めることができる。流動促進剤として機能する賦形剤としては、コロイド状二酸化シリコン、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、澱粉、タルク、及びリン酸三カルシウムなど、があげられる。
【0157】
錠剤などの投薬形態が粉末組成物を固めて作られる場合、組成物はパンチと型空の圧力を受ける。一部の賦形剤と活性成分は、パンチと型の表面に付着し易いものがあり、その結果、製品にピット(穴)やその他の表面の乱れが生ずることがある。潤滑剤を組成物に添加して付着を減らし、型空の製品の離脱を容易にすることができる。潤滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、グリセリル・モノステアレート、グリセリル・パルミトステアレート、水添ヒマシ油、水添植物油、鉱物油、ポリエチレン・グリコール、安息香酸ナトリウム、ローリル硫酸ナトリウム、ステアリル・ファマレート・ナトリウム、ステアリン酸、タルク、及びステアリン酸亜鉛、などがある。
【0158】
風味剤及び風味増強剤は、投薬形態を患者にとってのみやすいものにする。医薬品の風味剤及び風味増強剤であって本発明の組成物に含めることができるものとしては、マルトール、バニリン、エチルバニリン、メントール、クエン酸、フマル酸エチルマルトール、及び酒石酸などがある。
【0159】
組成物はまた、その外観を良くするために及び/又は患者が製品とユニット用量を識別しやすくするために、医薬として許容される着色剤を用いて着色することができる。
【0160】
賦形剤の選択及び使用する量は、その分野における経験と標準的な手順と参照文献についての考察に基づいて製剤科学者が容易に決定できる。
【0161】
本発明の固体組成物は、粉末,顆粒、集合体、及び固めた組成物、を含む。投薬量は、経口、口腔、直腸、非経口(皮下、筋肉、及び静脈投与を含む)、吸入、及び点眼投与、などに適した投与量である。与えられたケースで最も適当なルートは、治療しようとする病状の性質と重篤さによるが、本発明の最も好ましい投与ルートは経口投与である。投薬量は、ユニット投薬形態で好適に示され、製薬業界で周知の方法のいずれかによって調製される。
【0162】
投薬形態は、錠剤、粉末、カプセル、坐薬、サシェ(sachet)、トローチ、ロゼンジなどの固体投薬形態,並びに液体シロップ、懸濁液、及びエリクシール、などを含む。本発明の特に好ましい投薬形態は錠剤である。
【0163】
錠剤、カプセル、ロゼンジ、その他のユニット投薬形態は、好ましくは、約50乃至約300mgの投薬量、さらに好ましくは約100乃至約200mgの投薬量、のモダフィニル(modafinil)を含む。
【0164】
現在市販されているバラシクロビル塩酸塩の形態(VALTREX(登録商標))は、500mgのバラシクロビルに相当するバラシクロビル塩酸塩と、不活性成分であるカルナウバ・ワックス、コロイド状二酸化シリコン、クロスポビドン、FD&C Blue No. 2 Lake、ヒドロキシプロピル・メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、微結晶セルロース、ポリエチレン・グリコール、ポリソルベート80,ポビドン、及び二酸化チタンを含む。
【0165】
本発明のこれらの様態及びその他の様態の機能と利点は以下の実施例によってさらに十分に理解されるであろう。以下の実施例は、スラリー法(実施例1から21まで)、蒸気インキュベーション法(実施例22から27まで)、及び沈殿法(実施例28から32まで)によるバラシクロビル塩酸塩のいろいろな結晶型の調製を例示している。加熱及び蒸発法によるI型の調製も、それぞれ、実施例33及び34に例示される。これらの実施例は、本発明の利益を明示することを意図したものであって、本発明の範囲を限定することは意図していない。
【0166】
実施例
スラリー法によるバラシクロビル塩酸塩の結晶型の調製
【0167】
実施例1
バラシクロビル塩酸塩(1g)が酢酸エチル(10mL)に周囲温度でスラリーとして24時間懸濁された。混合物をろ過し、単離された固体を60℃で24時間乾燥させてI型のバラシクロビル塩酸塩を得た。
【0168】
実施例2
バラシクロビル塩酸塩(1g)がアセトン(10mL)に周囲温度でスラリーとして24時間懸濁された。混合物をろ過し、単離された固体を60℃で24時間乾燥させてI型のバラシクロビル塩酸塩を得た。
【0169】
実施例3
バラシクロビル塩酸塩(1g)がメチルエチルケトン(MEK)(15mL)に周囲温度でスラリーとして24時間懸濁された。混合物をろ過し、単離された固体を60℃で24時間乾燥させてI型のバラシクロビル塩酸塩を得た。
【0170】
実施例4
バラシクロビル塩酸塩(1g)がジオキサン(15mL)に周囲温度でスラリーとして24時間懸濁された。混合物をろ過し、単離された固体を60℃で24時間乾燥させてI型のバラシクロビル塩酸塩を得た。
【0171】
実施例5
バラシクロビル塩酸塩(1g)が塩化メチレン(15mL)に周囲温度でスラリーとして24時間懸濁された。混合物をろ過し、単離された固体を60℃で24時間乾燥させてI型のバラシクロビル塩酸塩を得た。
【0172】
実施例6
バラシクロビル塩酸塩(1g)がt-ブチルメチルエーテル(15mL)に周囲温度でスラリーとして24時間懸濁された。混合物をろ過し、単離された固体を60℃で24時間乾燥させてI型のバラシクロビル塩酸塩を得た。
【0173】
実施例7
バラシクロビル塩酸塩(1g)がt-ブチルメチルエーテル(20mL)に還流温度でスラリーとして24時間懸濁された。混合物をろ過し、単離された固体を60℃で24時間乾燥させてI型のバラシクロビル塩酸塩を得た。
【0174】
実施例8
バラシクロビル塩酸塩(1g)がテトラヒドロフラン(THF)(20mL)に周囲温度でスラリーとして24時間懸濁された。混合物をろ過し、単離された固体を60℃で24時間乾燥させてI型のバラシクロビル塩酸塩を得た。
【0175】
実施例9
バラシクロビル塩酸塩(1g)がイソプロピルアルコール(10mL)に周囲温度でマグネティックスターラーによってスラリーとして24時間懸濁された。混合物をろ過し、単離された固体を60℃で24時間乾燥させてII型のバラシクロビル塩酸塩を得た。
【0176】
実施例10
バラシクロビル塩酸塩(1g)がイソプロピルアルコール(15mL)に周囲温度で機械的スターラーによってスラリーとして24時間懸濁された。混合物をろ過し、単離された固体を60℃で24時間乾燥させてII型のバラシクロビル塩酸塩を得た。
【0177】
実施例11
バラシクロビル塩酸塩(1g)が1-ブタノール(10mL)に周囲温度でスラリーとして24時間懸濁された。混合物をろ過し、単離された固体を60℃で24時間乾燥させてII型のバラシクロビル塩酸塩を得た。
【0178】
実施例12
バラシクロビル塩酸塩(1g)が1-ブタノール(20mL)に周囲温度でスラリーとして24時間懸濁された。混合物をろ過し、単離された固体を60℃で24時間乾燥させてII型のバラシクロビル塩酸塩を得た。
【0179】
実施例13
バラシクロビル塩酸塩(1g)が1-ブタノール(20mL)に還流温度でスラリーとして24時間懸濁された。混合物をろ過し、単離された固体を60℃で24時間乾燥させてII型のバラシクロビル塩酸塩を得た。
【0180】
実施例14
バラシクロビル塩酸塩(1g)がメチルエチルケトン(20mL)に還流温度でスラリーとして22時間懸濁された。混合物をろ過し、単離された固体を60℃で24時間乾燥させてII型のバラシクロビル塩酸塩を得た。
【0181】
実施例15
バラシクロビル塩酸塩(1g)が酢酸エチル(20mL)に還流温度でスラリーとして22時間懸濁された。混合物をろ過し、単離された固体を60℃で24時間乾燥させてII型のバラシクロビル塩酸塩を得た。
【0182】
実施例16
バラシクロビル塩酸塩(1g)が無水エタノール(15mL)に周囲温度でスラリーとして18時間懸濁された。混合物をろ過し、単離された固体を60℃で24時間乾燥させてII型のバラシクロビル塩酸塩を得た。
【0183】
実施例17
バラシクロビル塩酸塩(1g)がイソプロピルアルコール(15mL)に還流温度でスラリーとして24時間懸濁された。混合物をろ過し、単離された固体を60℃で24時間乾燥させてII型のバラシクロビル塩酸塩を得た。
【0184】
実施例18
バラシクロビル塩酸塩(1g)がアセトニトリル(20mL)に周囲温度でスラリーとして24時間懸濁された。混合物をろ過し、単離された固体を60℃で24時間乾燥させてII型のバラシクロビル塩酸塩を得た。
【0185】
実施例19
バラシクロビル塩酸塩(1g)がアセトン(11mL)に還流温度でスラリーとして24時間懸濁された。混合物をろ過し、単離された固体を60℃で24時間乾燥させてII型のバラシクロビル塩酸塩を得た。
【0186】
実施例20
バラシクロビル塩酸塩(5g)がDean-Starkトラップを備えた三ツ口フラスコに入れられた。次に、トルエン(40mL)が加えられ、スラリーは還流温度まで加熱された。還流温度でトルエン(160mL)とメタノール(20mL)が加えられた。30mLの溶媒が蒸留され、さらにメタノールが加えられた(30mL)。反応混合物は45分間還流され、スラリーは周囲温度まで冷却され、減圧下でろ過され、次の2つの異なる手順で乾燥された:(1)50℃の真空オーブンで24時間;及び(2)60℃の大気オーブンで24時間。どちらのサンプルもII型のバラシクロビル塩酸塩であった。
【0187】
実施例21
一般的手順:2グラムのバラシクロビル塩酸塩が好ましい還流溶媒(200mL)中で1時間振とうされた。スラリーは約1時間にわたって室温(約25℃)まで冷却された。こうして得られた懸濁液をろ過してウエットケーキを得た。ウエット・ケーキの一部をX線回折で分析して多形の型を決定した。ウエットケーキは40℃で真空中で乾燥された。乾燥ステップの後の水分量と多形(結晶)型が決定された。
【0188】
この一般的手順がいろいろな溶媒で繰り返された。下の表は、いろいろな溶媒で得られた多形と水分量を、乾燥あり(d)と乾燥なし(w)で,リストしている。
【表1】

【0189】
蒸気インキュベーション法によるバラシクロビル塩酸塩の結晶型の調製
実施例22
ドライ・バラシクロビル塩酸塩がアセトニトリルの溶媒雰囲気中で1週間インキュベートされた。次に、ウエット・サンプルは粉末X線結晶回折によって分析され、II型のバラシクロビル塩酸塩であることが示された。
【0190】
実施例23
I型のバラシクロビル塩酸塩が相対湿度100%の湿度制御セルで1週間インキュベートされ、IV型のバラシクロビル塩酸塩二水和物が得られた。
【0191】
実施例24
バラシクロビル塩酸塩が最小量の熱いメタノールに溶解された。メタノール溶液は閉じたびんの中で溶剤で飽和した雰囲気中で32日間インキュベートされた。32日後、化合物は結晶化された。この手順が3つの異なるインキュベート溶剤、すなわち、アセトン、酢酸エチル、及びテトラヒドロフランで繰り返された。それぞれの場合に、得られた生成物はIII型のバラシクロビル塩酸塩であった。
実施例25
バラシクロビル塩酸塩が最小量の熱いメタノールに溶解された。メタノール溶液は閉じたびんの中でブタノール雰囲気中で32日間インキュベートされた。32日後、化合物は結晶化され、III型のバラシクロビル塩酸塩が得られた。この手順が2つの異なるインキュベート溶剤、すなわち、無水エタノール、ブタノールで繰り返された。得られた生成物はIII型のバラシクロビル塩酸塩であった。
実施例26
ドライバラシクロビル塩酸塩がエタノールの溶媒雰囲気中で1週間インキュベートされた。次に、ウエットサンプルが分析され、III型のバラシクロビル塩酸塩であることが示された。
実施例27
ドライバラシクロビル塩酸塩がメタノールの溶媒雰囲気中で1週間インキュベートされた。次に、ウエットサンプルが分析され、III型のバラシクロビル塩酸塩であることが示された。
沈殿法によるバラシクロビル塩酸塩の結晶型の調製
実施例28
一般的手順:3グラムのバラシクロビル塩酸塩が18mLの第一の溶媒に約25℃で溶解された。溶液は振とうされ、300mLの第二の溶媒が溶液に加えられた。バラシクロビル塩酸塩の白色沈殿の懸濁液が形成された。
【0192】
懸濁液は1時間振とうされ、ろ過されてウエット・ケーキ沈殿が回収された。ウエットケーキ沈殿の一部はX線回折によって分析され、多形の型が決定された。ウエットケーキは真空中で40℃で乾燥された。水分量と乾燥された物質の多形の型が決定された。
【0193】
表Aは、水が第一の溶媒である場合にいくつかの第二の溶媒で得られた結果を示す。表Bは、水が第二の溶媒である場合に得られた結果を示す。
【0194】
【表2】

【0195】
【表3】

【0196】
実施例29
【表4】

【0197】
37パーセントの塩酸(4mL)が、1滴ずつ10分間、20−25℃で水(19mL)中のt-BOC-バラシクロビル(4.5g)の懸濁液に加えられた。反応混合物は約5時間、20−25℃で振とうされ、氷水で冷却された後、IPAが混合物に加えられて白色の沈殿が得られた。懸濁液は約1時間、T<10℃(氷水バス)で振とうされ、一晩4℃に保たれた。沈殿はろ過され、冷たいIPA(20mL)で洗浄され、乾燥されてV型のバラシクロビル塩酸塩(2.6g、68%)が得られ、その純度はHPLCで97.7%、D-異性体は4.07%であった。
【0198】
実施例30
【表5】

【0199】
t-BOC-バラシクロビル(9.0g、21mmol)と水(22mL)の混合物が約20分間振とうされて微細な懸濁液が得られた。37%の塩酸(8mL)が、1滴ずつ、この懸濁液に20−25℃で加えられ、反応混合物は約3.5時間、20−25℃で振とうされ、氷水で冷却された後、IPA(500mL)が加えられて白色の沈殿が得られた。懸濁液は約1時間、T<10℃(氷水バス)で振とうされ、一晩4℃に保たれた。白色の沈殿はろ過され、減圧下で乾燥されてV型のバラシクロビル塩酸塩(7.0g、92%)が得られ、その純度はHPLCで97.9%、D-異性体は4.0%であった。
【0200】
実施例31
250mL二重ジャケット反応容器にBOCバラシクロビル(15.0g)と酢酸(45.0g)が入れられ、アルゴンが充填された。得られた混合物は50℃で振とうされて全ての固体の溶解を完了し、25℃に冷却された。37%塩酸(13.9g)と水(30.0g)の混合物が1滴ずつ1時間にわたって加えられ、溶液は3時間20−25℃で振とうされた。反応混合物はろ過され、ろ液が25℃で1滴ずつ1時間にわたってアセトン(188g)に加えられた。次に、懸濁液は、25℃で2時間、次いで−15℃で14時間振とうされた。沈殿がろ過され、冷たいアセトン(28g)によってフィルター上で洗浄されて19.1gのウエット生成物が得られた。それが減圧下で25℃で一定の重量にまで乾燥されて10.8g(84.9%)のVI型のバラシクロビル塩酸塩がHPLCによる純度98.67%で得られた。粉末X線回折によって調べると、ウエット及びドライ生成物はどちらもVI型のバラシクロビル塩酸塩を含む。
【0201】
実施例32
50mL反応容器に粗バラシクロビル塩酸塩(8.8g)と水(35.2g)が入れられた。得られた混合物は40℃で振とうされて全ての固体の溶解を完了し、溶液がろ過された。ろ液が40℃でアセトン(132g)に加えられ、懸濁液は20℃で2時間、次いで−15℃で12時間振とうされた。沈殿した固体がろ過され、冷たいアセトン(20g)によってフィルター上で洗浄されて、粉末X線回折で調べてVII型のバラシクロビル塩酸塩が得られた。この方法は、HPLCで純度99%のVII型のバラシクロビル塩酸塩を生成した。
【0202】
熱的方法によるI型のバラシクロビル塩酸塩の調製
実施例33
IV型のバラシクロビル塩酸塩が減圧下で40−50℃で一定にまで乾燥された。サンプルの分析からそれがI型であることが示された。
【0203】
蒸発法によるI型のバラシクロビル塩酸塩の調製
実施例34
2グラムのバラシクロビル塩酸塩が250mLのメタノールに40℃で溶解された。メタノールを40℃で減圧下で蒸発させてI型を得た。
【0204】
沈殿法によるバラシクロビル一水和物の調製
実施例35
1Lの反応容器に粗バラシクロビル塩酸塩(180g)と水(720g)が入れられた。混合物は約40℃に熱せられ、その温度で振とうされて固体が溶解された。溶液はろ過されて、ろ過された溶液が6L二重ジャケット反応容器で2-プロパノール(2700g)に40℃で加えられ、懸濁液が形成された。形成された懸濁液は25℃で2時間、次いで−15℃で4時間振とうされた。沈殿した固体はろ過によって集められ、冷たい2-プロパノール(1440g)で洗浄され、減圧下で一定重量にまで乾燥されて148.5g(82.5%)のバラシクロビル一水和物が得られ、HPLCによる面積%純度が99.52%、HClO4滴定による分析96.7%、AgNO3滴定による分析95.0%であった。生成物の水分量(カール・フィッシャー)は3.45%であった。乾燥での減量(TGA)は4.5%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
I型のバラシクロビル塩酸塩。
【請求項2】
約3.7°,8.6°,10.6°,10.9°,16.5°,24.0°,及び27.2°±0.2°2θのX線回折反射を特徴とする請求項1に記載のI型のバラシクロビル塩酸塩。
【請求項3】
さらに、約9.5°,10.9°,20.1°,21.4°.及び26.7°±0.2°2θのX線回折反射を特徴とする請求項2に記載のI型のバラシクロビル塩酸塩。
【請求項4】
さらに、約25℃から約125℃までの温度範囲にわたる熱重量分析によって測定した場合に約6%乃至約9%の損失重量を有することを特徴とする請求項2に記載のI型のバラシクロビル塩酸塩。
【請求項5】
実質的に図1に示すようなX線回折パターンを有することを特徴とする請求項1に記載のI型のバラシクロビル塩酸塩。
【請求項6】
バラシクロビル塩酸塩1・1/2水和物(sesquihydrate)。
【請求項7】
II型のバラシクロビル塩酸塩。
【請求項8】
約6.6°,19.0°,21.5°,27.4°及び28.5°±0.2°2θのX線回折反射を特徴とする請求項7に記載のII型のバラシクロビル塩酸塩。
【請求項9】
さらに、約9.2°、15.6°、及び26.3°±0.2°2θのX線回折反射を特徴とする請求項8に記載のII型のバラシクロビル塩酸塩。
【請求項10】
さらに、示差熱分析によって約214℃に吸熱ピークを有することを特徴とする請求項8に記載のII型のバラシクロビル塩酸塩。
【請求項11】
実質的に図3に示すようなX線回折パターンを有することを特徴とする請求項7に記載のII型のバラシクロビル塩酸塩。
【請求項12】
IV型のバラシクロビル塩酸塩。
【請求項13】
実質的に図6に示すようなX線回折パターンを有することを特徴とする請求項12に記載のIV型のバラシクロビル塩酸塩。
【請求項14】
約3.6°,10.7°,15.1°,26.9°,及び28.1°±0.2°2θのX線回折反射を特徴とする請求項12に記載のIV型のバラシクロビル塩酸塩。
【請求項15】
さらに、約7.2°,8.6°,9.5°,13.3°,15.2°,27.3°,及び28.1°±0.2°2θのX線回折反射を特徴とする請求項14に記載のIV型のバラシクロビル塩酸塩。
【請求項16】
さらに、約25℃から約130℃までの温度範囲にわたる熱重量分析によって測定した場合に約8%乃至約11%の水分量を有することを特徴とする請求項14に記載のIV型のバラシクロビル塩酸塩。
【請求項17】
V型のバラシクロビル塩酸塩。
【請求項18】
実質的に図7に示すようなX線回折パターンを有することを特徴とする請求項17に記載のV型のバラシクロビル塩酸塩。
【請求項19】
約6.7°,15.7°,16.2°,及び22.6°±0.2°2θのX線回折反射を特徴とする請求項17に記載のV型のバラシクロビル塩酸塩。
【請求項20】
さらに、約3.4°,9.5°,13.5°,21.9°,27.2°,及び28.6°±0.2°2θの追加のX線回折反射を特徴とする請求項19に記載のV型のバラシクロビル塩酸塩。
【請求項21】
さらに、約25℃から約130℃までの温度範囲にわたる熱重量分析によって測定した場合に約5%乃至約7%の損失重量を有することを特徴とする請求項19に記載のV型のバラシクロビル塩酸塩。
【請求項22】
さらに、示差熱分析において約95℃のブロードな吸熱ピーク及び約180℃のシャープな吸熱ピークを特徴とする請求項21に記載のV型のバラシクロビル塩酸塩。
【請求項23】
VI型のバラシクロビル塩酸塩。
【請求項24】
実質的に図9に示すようなX線回折パターンを有することを特徴とする請求項23に記載のVI型のバラシクロビル塩酸塩。
【請求項25】
約6.2°,9.2°,12.1°,20.2°及び25.7°±0.2°2θのX線回折反射を特徴とする請求項23に記載のVI型のバラシクロビル塩酸塩。
【請求項26】
VII型のバラシクロビル塩酸塩。
【請求項27】
約3.5°,10.3°,13.6°,26.2°及び28.1°±0.2°2θのX線回折反射を特徴とする請求項26に記載のVII型のバラシクロビル塩酸塩。
【請求項28】
実質的に図10に示すようなX線回折パターンを有することを特徴とする請求項26に記載のVII型のバラシクロビル塩酸塩。
【請求項29】
I型のバラシクロビル塩酸塩を製造する方法であって、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、塩化メチレン、t−ブチルメチルエーテル、及びテトラヒドロフランから成る群から選択されるスラリー溶媒中でバラシクロビル塩酸塩をスラリーにするステップを含む方法。
【請求項30】
さらに:
該スラリーからI 型のバラシクロビル塩酸塩を単離するステップ;及び
I 型のバラシクロビル塩酸塩を約50℃と約70℃の間の温度で乾燥させるステップ;
を含む請求項29に記載の方法。
【請求項31】
II型のバラシクロビル塩酸塩を製造する方法であって、イソプロピルアルコール、1-ブタノール、及びエタノールから成る群から選択されるスラリー溶媒中でバラシクロビル塩酸塩をスラリーにするステップを含む方法。
【請求項32】
該スラリー溶媒がイソプロピルアルコールであることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項33】
II型のバラシクロビル塩酸塩を製造する方法であって:
a. アセトニトリル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、アセトン、及びトルエンから選択されるスラリー溶媒中でバラシクロビルをスラリーにするステップ;
b. 該スラリーを還流まで加熱するステップ;
c. 生じた混合物を還流させるステップ;及び
d. 該混合物からII型のバラシクロビル塩酸塩を単離するステップ;
を含む方法。
【請求項34】
該スラリー溶媒がトルエンであり、さらに、バラシクロビル塩酸塩とトルエンの還流混合物にメタノールを加えるステップを含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
さらに、単離されたII型のバラシクロビル塩酸塩を約60℃の温度で乾燥させるステップを含む請求項34に記載の方法。
【請求項36】
さらに、単離されたII型のバラシクロビル塩酸塩を約500mmHgより低い圧力で乾燥させるステップを含み、温度が約50℃であることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項37】
III型のバラシクロビル塩酸塩を製造する方法であって、イソプロパノール、エタノール、ブタノール、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、及びメタノールから成る群から選択される少なくとも1つのインキュベート溶媒の蒸気で飽和した雰囲気中でバラシクロビル塩酸塩をインキュベートするステップを含む方法。
【請求項38】
該バラシクロビル塩酸塩が該インキュベート溶媒における溶液の形であることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
該バラシクロビル塩酸塩が固体の形であり、該インキュベート溶媒がアセトニトリルであることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項40】
IV型のバラシクロビル塩酸塩を製造する方法であって、水であるインキュベート溶媒の蒸気で飽和した雰囲気中でバラシクロビル塩酸塩をインキュベートするステップを含む方法。
【請求項41】
該インキュベート溶媒が水であり、該雰囲気は約100%の相対湿度を有することを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項42】
V型のバラシクロビル塩酸塩を製造する方法であって、バラシクロビル塩酸塩の水溶液に低級脂肪族アルコールを混合させるステップを含む方法。
【請求項43】
該低級脂肪族アルコールがイソプロパノールであることを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項44】
VI型のバラシクロビル塩酸塩を製造する方法であって、水と脂肪族モノカルボン酸を含む第一の溶媒におけるバラシクロビル塩酸塩の溶液に、水混和性ケトンを含む第二の溶媒を混合させて懸濁液を形成するステップを含む方法。
【請求項45】
該第一の溶媒が体積で約30%乃至約60%の水を含み、第二の溶媒の量が前記第一の溶媒の体積の約2倍乃至約5倍であることを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項46】
該水混和性ケトンがアセトンであることを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項47】
さらに該混合するステップの前に、第一の溶媒におけるバラシクロビル塩酸塩の溶液をろ過するステップを含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項48】
さらに:
約−10℃よりも低い温度で該懸濁液を振とうするステップ;及び
該懸濁液からVI型のバラシクロビル塩酸塩を単離するステップ;
を含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項49】
VII型のバラシクロビル塩酸塩を製造する方法であって、本質的に 水から成る第一の溶媒におけるバラシクロビル塩酸塩の溶液に、水混和性ケトンを含む第二の溶媒を混合させて懸濁液を形成するステップを含む方法。
【請求項50】
該水混和性ケトンがアセトンであることを特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項51】
さらに:
約−10℃よりも低い温度で該懸濁液を振とうするステップ;及び
該懸濁液からVII型のバラシクロビル塩酸塩を単離するステップ;
を含むことを特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項52】
I型のバラシクロビル塩酸塩を製造する方法であって、溶媒にバラシクロビル塩酸塩を溶解するステップ、及び減圧下で溶液を蒸発させるステップを含む方法。
【請求項53】
該溶媒が炭素原子が4以下の極性有機溶媒であることを特徴とする請求項52に記載の方法。
【請求項54】
該極性有機溶媒がアルコールであることを特徴とする請求項53に記載の方法。
【請求項55】
該溶媒がメタノールであることを特徴とする請求項54に記載の方法。
【請求項56】
バラシクロビル塩酸塩一水和物。
【請求項57】
バラシクロビル塩酸塩一水和物を製造する方法であって、バラシクロビル塩酸塩の水溶液をイソプロパノールと接触させて懸濁液を形成するステップを含む方法。
【請求項58】
接触させるステップが約30℃から約50℃までの間の温度で行われることを特徴とする請求項57に記載の方法。
【請求項59】
接触させるステップが約40℃の温度で行われることを特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項60】
さらに、該懸濁液から固体を単離するステップ及び単離された固体を約25℃の温度で一定の重量まで乾燥させるステップを含む請求項57に記載の方法。
【請求項61】
乾燥させるステップが減圧下で行われることを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項62】
I, II, IV, V, VI 又はVII型のバラシクロビル塩酸塩の少なくとも1つを含む医薬組成物。
【請求項63】
さらに、少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤を含む請求項53に記載の医薬組成物。
【請求項64】
バラシクロビル塩酸塩二水和物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−162565(P2012−162565A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−113743(P2012−113743)
【出願日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【分割の表示】特願2003−526339(P2003−526339)の分割
【原出願日】平成14年9月6日(2002.9.6)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】