説明

バランサー及びそのバランサーを備えた上げ下げ窓

【課題】上げ下げ窓に取付けしない単体の状態で釣合力を調整できるバランサーとする。
【解決手段】筒10と捻りばね11と回転体12とスパイラルロッド13を備え、そのスパイラルロッド13を筒10の長手方向に移動することで回転体12が回転し、その回転体12の回転によって捻りばね11が巻き締め、巻き戻しすると共に、スパイラルロッド10とともに回転体12が一体的に回転するバランサー本体と、このスパイラルロッド13に連結した可動部材14を備え、前記筒10の外周面10bの下端部10cと可動部材14の凹部14aが相互に回転しないように嵌合するようにしたバランサーで、前記可動部材14とともにスパイラルロッド13を一方向に回転して捻りばね11を巻き締めた状態で、前述のように筒10と可動部材14を嵌合することで可動部材14と筒10が相互に回転しないように保持することで、釣合力を調整することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上げ下げ窓などに用いるスパイラルバランサーと呼ばれるバランサー及び、そのバランサーを備えた上げ下げ窓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上げ下げ窓においては、障子を任意の位置で停止できるようにする等のために、バランサーを用いている。
例えば、特許文献1にバランサーを用いた上げ下げ窓が開示されている。
前述のバランサーは、筒の内部に捻りばねを設け、この捻りばねの下端部に回転体を固着し、この回転体を筒の下端口部に回転自在に取付け、この回転体のスリット孔に螺旋杆(スパイラルロッド)を挿通し、この螺旋杆の上部を筒の内部に挿入すると共に、下端部にスライド装置(可動部材)を設け、このスライド装置を上下に移動することで螺旋杆が上下に移動し、それによって回転体が回転して捩りばねを巻き締め、巻き戻して捻り力の大きさを変えて、スライド装置を上方に移動する力(釣合力)を増減する、スパイラルバランサーと呼ばれるものである。
【0003】
そして、前述のバランサーは次のようにして上げ下げ窓に取付ける。
上げ下げ窓の窓枠の縦枠に前記バランサーの筒を取付け、スライド装置を障子に取付け、その障子を下方に移動することで螺旋杆が下方に移動して回転体が一方向に回転し、捻りばねを巻き締めて捻り力(釣合力)が大きくなり、前記障子を上方に移動することで螺旋杆が上方に移動して回転体が他方向に回転し、捻りばねを巻き戻して捻り力(釣合力)が小さくなるようにする。
このようにすることで、障子の上下位置に応じた捻り力(釣合力)とすることが可能で、その障子を任意の位置で停止できる。
【0004】
【特許文献1】特開平11−62373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のバランサーを上げ下げ窓に取付けしない状態、いわゆる単体の状態では、そのスライド装置は自由に回転する状態であるから、捻りばねは最も巻き戻った状態で、捻りばねの捻り力はゼロである。
そして、バランサーは、前述の捻り力がゼロの状態で上げ下げ窓に取付けられる。
このために、障子の重量が重い場合等には釣合力が不足することがあるので、前述した従来のバランサーにおいては、スライド装置に調整軸を回転自在に設け、この調整軸に螺旋杆の下端を連結し、バランサーを前述のように上げ下げ窓に取付けた状態で、その調整軸を工具を用いて回転して螺旋杆を回転することで捻りばねを巻き締めて捻り力を大きくし、釣合力を調整できるようにしている。
【0006】
しかしながら、前述のようにバランサーを上げ下げ窓に取付けた状態で、調整軸を前述のようにして回転するのは、狭い空間で実施することになるから、その作業が面倒で、やりづらい。
したがって、バランサーの釣合力の調整作業が面倒で、やりづらい。
【0007】
本発明の目的は、バランサーを上げ下げ窓等に取付けしない単体の状態で釣合力を調整でき、その釣合力の調整作業が簡単で、やり易いようにしたバランサー及びそのバランサーを備えた上げ下げ窓を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のバランサーは、筒と捻りばねと回転体とスパイラルロッドを有し、そのスパイラルロッドが筒の長手方向に移動することで回転体が回転し、その回転体の回転により前記捻りばねを巻き締め、巻き戻しすると共に、前記スパイラルロッドを回転することで回転体が一体的に回転するバランサー本体と、
前記スパイラルロッドが連結された可動部材を備え、
前記可動部材とともにスパイラルロッドを一方向に回転して捻りばねを巻き締めた状態で、その可動部材と前記筒を相互に回転しないように保持できると共に、その保持を解除できるようにしたことを特徴とするバランサーである。
【0009】
前述のバランサーにおいては、筒と可動部材を、その筒の長手方向に相対的に接近する方向に移動することで、前記筒と前記可動部材が相互に回転しないように嵌合することで、可動部材と筒が相互に回転しないように保持し、前記筒と可動部材が嵌合した状態から筒と可動部材を離隔する方向に移動することで可動部材と筒の嵌合が外れて可動部材と筒の保持が解除されるようにすることが好ましい。
このようにすれば、筒を回転しないように支持して、可動部材をスパイラルロッドとともに回転することで捻りばねを巻き締めし、可動部材を筒に向けて移動することで筒と可動部材が嵌合して相互に回転しないように保持されるから、その操作が簡単である。
また、捻りばねの捻り力で筒と可動部材が嵌合した状態を維持でき、上げ下げ窓等に取付ける時に嵌合が外れたりすることがない。
また、バランサーを上げ下げ窓に取付けた状態で障子を移動することで可動部材を筒から離れる方向に移動して保持を解除することができ、その保持を解除する操作が簡単である。
【0010】
前述したバランサーにおいては、可動部材に調整用回転体を一方向に回転自在で、他方向には回転しないように設け、この調整用回転体にスパイラルロッドを連結することが好ましい。
このようにすれば、筒と可動部材又は筒とスパイラルロッドが相互に回転しないように保持した状態で、調整用回転体を一方向に回転して捻りばねを巻き締め方向に回転できる。
したがって、釣合力の調整作業がより一層簡単である。
【0011】
本発明のバランサーは、筒と捻りばねと回転体とスパイラルロッドを有し、そのスパイラルロッドが筒の長手方向に移動することで回転体が回転し、その回転体の回転により前記捻りばねを巻き締め、巻き戻しすると共に、前記スパイラルロッドを回転することで回転体が一体的に回転するバランサー本体と、
前記スパイラルロッドが連結された可動部材を備え、
前記スパイラルロッドを一方向に回転して捻りばねを巻き締めた状態で、そのスパイラルロッドと前記筒を相互に回転しないように保持できると共に、その保持を解除できるようにしたことを特徴とするバランサーであっても良い。
【0012】
このバランサーにおいては、連結用治具を筒とスパイラルロッドに亘って連結することで筒とスパイラルロッドが相互に回転しないように保持し、その連結用治具を外すことで保持を解除できるようにすることが好ましい。
このようにすれば、連結用治具を連結することで筒とスパイラルロッドが相対的に回転しないように保持し、その状態で上げ下げ窓等に取付けできる。
また、バランサーを上げ下げ窓に取付けた状態で連結用治具を取り外すことで保持を解除できる。
【0013】
本発明の上げ下げ窓は、窓枠と、窓枠内に上下動自在に装着された少なくとも1枚の障子を有し、
この窓枠の縦枠に、前記した2つのバランサーのいずれか一方のバランサーの筒を取付け、このバランサーの可動体を障子に取付けたことを特徴とする上げ下げ窓である。
【発明の効果】
【0014】
本発明のバランサーによれば、捻りばねを巻き締めした状態で筒と可動部材、又は筒とスパイラルロッドを相互に回転しないように保持できるので、そのバランサーの釣合力を上げ下げ窓等に取付けない単体の状態で調整でき、その釣合力の調整作業が簡単で、やり易い。
また、前述のように保持した状態で、バランサーを上げ下げ窓等に取付けた後に、その保持を解除すれば、バランサーとしての機能を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1に示すように、窓枠1に障子2を上下移動自在に装着して上げ下げ窓としてある。図1においては、窓枠1の室内寄りと室外寄りに障子2がそれぞれ上下動自在に装着してある。これに限ることはなく、室内寄りの障子又は室外寄りの障子の一方のみを上下動自在に装着しても良い。
前記窓枠1の縦枠3と障子2とに亘ってバランサー4が取付けてある。
前記バランサー4は図2に示すように、筒(パイプ)10内に捻りばね11を設け、この捻りばね11の上端部(長手方向一端部)を筒10に固定し、下端部(長手方向他端部)に回転体12が取付けてある。
この回転体12は筒10の下端口部(長手方向他端口部)10aに回転自在に取付けてある。この回転体12内にスパイラルロッド(螺旋杆)13が、そのスパイラルロッド13が上下方向(長手方向)に移動すると回転体12が回転すると共に、スパイラルロッド13を回転すると回転体12が一体となって回転するように挿通してある。例えば、回転体12にはスパイラルロッド13が挿通可能な形状のスリット孔12aが形成してある。前述の筒10、捻りばね11、回転体12、スパイラルロッド13でバランサー本体としてある。
【0016】
前記スパイラルロッド13の上端部(長手方向一端部)は筒4内に入り込んで捻りばね11内に挿通し、下端部(長手方向他端部)は筒10から突出している。そしてスパイラルロッド13の下端部に可動部材14が連結してあり、スパイラルロッド13と可動部材14は一体となって回転する。
この可動部材14が障子2に取付けられる。
【0017】
前記可動部材14と前記筒10は、前記捻りばね11を巻き締めした状態で相互に回転しないように保持できると共に、その保持を解除できるようにしてある。
例えば、筒10と可動部材14を、その筒10の長手方向に相対的に接近する方向に移動することで、筒10と可動部材14が相互に回転しないように嵌合して保持し、前述のように嵌合している状態から筒10と可動部材14を離隔する方向に移動することで嵌合が外れ、保持を解除する。
【0018】
具体的には、図3に示すように筒10の外周面10bにおける下端部10cを多角形状としてあり、可動部材14は多角形状の凹部14aを有し、この凹部14aに前記下端部10cが図4に示すように相互に回転しないように嵌合することで筒10と可動部材14を相互に回転しないように保持する。図3では下端部10cを矩形状、凹部14aを矩形状の凹部として4つの面が接して嵌合するようにしてある。
【0019】
前述の実施の形態では、筒10を断面円形のパイプ15と、そのパイプ15の下端部に嵌合して取付けた外周面が多角形の筒状体16より構成し、そのパイプ15で前述の円形の外周面10bとし、筒状体16で前述の多角形状の下端部10cとしてある。
前記可動部材14に多角形の凹陥部17を上面に開口して形成し、その凹陥部17を前述の凹部14aとしてある。
このようにすることで、従来の筒10と捻りばね11と回転体12とスパイラルロッド13を備えたバランサー本体を利用して本発明のバランサー本体を簡単に製作できる。
【0020】
図2に示すように、可動部材14の凹陥部17の底部にフック18を固着し、スパイラルロッド13の下端部にピン19を設け、このピン19とフック18を係止してスパイラルロッド13と可動部材14を相互に回転しないように連結してある。
【0021】
次に、釣合力の調整について説明する。
筒10と可動部材14を上げ下げ窓に取付けしないバランサー単体の状態では、前述した従来と同様に可動部材14が筒10に対して自由に回転するので、捻りばね11が最も巻き戻った状態となって、捻りばね11の捻り力はゼロで、釣合力は最も小さい。
前述の状態で筒10を回転しないように支持して可動部材14を筒10に対して一方向に回転すると、その可動部材14とともに回転体12が一方向に回転し、捻りばね10が巻き締められ、捻り力が生じる。
この状態で筒10の下端部10c(筒状体16)と可動部材14の凹部14a(凹陥部17)を嵌合することで筒10と可動部材14を相互に回転しないように保持する。前述のように嵌合した状態においては、捻りばね11の捻り力によって可動部材14を筒10側に移動する力が生じるので、筒10と可動部材14が外れることはない。
【0022】
これによって、捻りばね11は最も巻き戻った状態ではなく、ある程度巻き締められた状態となるから、捻りばね11はある程度の大きさの捻り力を有し、釣合力は、その捻り力に見合うだけ大きくなる。
要するに、上げ下げ窓に取付ける以前のバランサー単体の状態で、可動部材14を回転することで釣合力を調整できると共に、その調整した釣合力を維持できる。
なお、可動部材14を筒10の下端部10cに嵌合するには、その可動部材14を長手方向に移動することになるので、回転体12が回転して捻りばね11の捻り力が前述の調整時の値から変化するが、その変化する値は僅かであるから無視できるし、可動部材14の移動距離を常に一定とすれば、その変化する値を一定にできるので、それをあらかじめ調整値に含ませることが可能である。
【0023】
前述の実施の形態では、図3、図4に示す筒10の外周面10bの下端部10cは矩形状で、可動部材14の凹部14aは矩形状であるので、その筒体10に対して可動部材14を1/4回転毎に回転して嵌合することができるから、捻りばね11を1/4回転毎に回転して捻り力を調整できる。
この場合には、下端部10c、可動部材14に合いマーク18aをそれぞれ設け、その合いマーク18aを基準として回転した角度を知ることができる。
【0024】
前述のようにして釣合力を調整したバランサー4は次のようにして上げ下げ窓に取付ける。
前記筒10を縦枠3に回転しないように固定して取付ける。
前記可動部材14を障子2に取付け、可動部材14が筒10に対して回転しないようにする。
この後に障子2を下方に移動して可動部材14を下方に移動して筒10と離隔して保持を解除し、筒10に対して可動部材14、スパイラルロッド13が回転できるようにすることで、バランサーとしての機能を発揮するようにする。
なお、筒10を縦枠3に回転しないように固定して取付けることで、可動部材14が縦枠3で回転しないように支持できるようにすれば、前述のように筒10を取付けた後に可動部材14を下方に移動して下端部10cと凹部14aを離脱して前述の保持を解除し、その後に可動部材14を障子2に取付けできる。
【0025】
図2において、障子2の上部に係合金具20が取付けてある。この係合金具20はケース21内にロッド22を突出位置と収納位置に摺動自在に設け、ケース21内の図示しない弾性部材によってロッド22が突出方向へ付勢されている。そして、ロッド22が突出位置の場合は、縦枠3の図示しないヒレに係合することで障子2が上下方向のみに移動可能となり、そのロッド22を摘み23を持って収納位置とすることで縦枠3のヒレとの係合が解除されるため、障子2が係合軸14c(障子2の下端部と可動部材14との連結部分)を中心に室内側方向に揺動自在に支持される。
【0026】
次に、他の実施の形態を説明する。
前記パイプ15に嵌合した筒状体16を、パイプ15と一体としても良い。
また、図5に示すように筒10の外周面10bを長手方向全長に亘って矩形状とし、その下端部10cを矩形状としても良い。この場合には筒10の内周面10dを円形とすることが好ましい。
また、前述の筒10の外周面10bの下端部10cと可動部材17の凹部17aは、同一形状には限ることはなく、異なる形状でも良い。
例えば、前述の下端部10cを6角形、前述の凹部14aを矩形状として回転しないように嵌合するようにする。
【0027】
また、図6に示すように可動部材14の凹部14aを6角形とし、前記筒10の下端部10cを長方形状として6角形の凹部14aの対向した2面に接して嵌合するようにする。この図6に示すようにすれば、1/6回転毎に調整できる。
【0028】
また、図7に示すように筒10の下端部に筒体24を取付け、この筒体24が可動部材14の外周面14bに回転しないように嵌合するようにする。この筒体24は一体でも良い。
【0029】
また、筒10の下端部と可動部材14の上端部に相互に嵌合する嵌合凸部と嵌合凹部を設け、その嵌合凸部と嵌合凹部を嵌合することで筒10の下端部と可動部材14を相互に回転しないように保持しても良い。
例えば、図8に示すように筒10の下端部にピン25を設け、可動部材14に孔26を上面に開口して形成し、そのピン25を嵌合凸部とすると共に、孔26を嵌合凹部とし、前記ピン25を孔26に嵌合して筒10の下端部と可動部材14を相互に回転しないように保持する。
以上の各実施の形態においては嵌合した時に操作者がクリック感を得られるようにすることが好ましい。
【0030】
以上の各実施の形態では、筒10と可動部材14を相互に回転しないように保持したが、筒10とスパイラルロッド13を相互に回転しないように保持し、その保持を解除できるようにしても良い。
例えば、図9に示すように連結用治具30を筒10とスパイラルロッド13に回転しないようにそれぞれ連結して筒10とスパイラルロッド13が相互に回転しないように保持する。
前記連結用治具30は、本体31に筒連結部32とスパイラルロッド連結部33を設けたもので、前記筒連結部32は筒10に形成した穴34に嵌合するピン35としてあり、前記スパイラルロッド連結部33は一対の突片36を有し、その一対の突片36でスパイラルロッド13を回転しないように挟持するものである。好ましくは、スパイラルロッド13の直線状部13aを挟持するものである。
【0031】
このようであるから、前述のように筒10を回転しないように支持し、可動部材14を持ってスパイラルロッド13を回転して捻り力を調整した状態で、連結用治具30のピン35を筒10の穴34に嵌合して連結し、かつ一対の突片36でスパイラルロッド13の直線状部13aを挟持して連結することで、筒10とスパイラルロッド13を相互に回転しないように保持する。
なお、前述の筒10に形成した穴34は周方向に間隔を置いて4つ形成してあるので、前述のように1/4回転毎に調整できる。
【0032】
また、連結用治具30を、そのスパイラルロッド連結部33をスパイラルロッド13に連結して仮取付けし、この状態でスパイラルロッド13とともに連結用治具30を筒10の回りに回転して捻り力を調整し、その後に連結用治具30の筒連結部32を筒10に連結するようにしても良い。
このようにする場合には、図9に示すように本体31に把手37を設け、この把手37を持ってスパイラルロッド13とともに連結用治具30を回転する。
【0033】
前述の連結用治具30の筒連結部32は筒10の外周面10bを挟持するものでも良い。
例えば、図10に示すように本体31に一対の円弧片38,38をほぼ円形となるように設け、この一対の円弧片38,38の対向間隙間39を筒10に強く押しつけることで一対の円弧片38,38が弾性拡開変形し、その一対の円弧片38,38が筒10の最大径部分を越えると弾性復元して筒10の外周面10bを挟持して回転しないように連結する。
このようにすれば、スパイラルロッド13を筒10に対して360度の任意の範囲で回転しないように連結できるから、前述の捻り力を精度良く調整できる。
【0034】
前述した各連結用治具30は、バランサーを上げ下げ窓に取付けた後に取り外し、前述の保持を解除する。
【0035】
前述の各実施の形態では、可動部材14を回転してスパイラルロッド13を回転したり、スパイラルロッド13を直接回転して捻り力を調整したが、可動部材14に調整用回転体を設け、その調整用回転体を回転操作して捻り力を調整するようにしても良い。
例えば、図11に示すように可動部材14に調整用回転体40を一方向に回転し、かつ他方向には回転しないように取付ける。例えば、可動部材14の孔41に調整用回転体40を一方向クラッチ42を介して取付ける。なお、一方向クラッチ42の代わりに可動部材14と調整用回転体40とに亘ってラチェット機構を設けても良い。
前述の一方向とは捻りばね11を巻き締めする方向である。
【0036】
前記調整用回転体40にスパイラルロッド13を相互に回転しないように連結する。
例えば、調整用回転体40にフック18を取付け、このフック18とスパイラルロッド13をピン19で連結する。
【0037】
このようにすれば、図11に示すように筒10と可動部材14を相互に回転しないように嵌合した状態で、調整用回転体40をドライバーなどの工具を用いて一方向に回転することで、スパイラルロッド13とともに回転体12が一方向に回転し、捻りばね11を巻き締め方向に回転して捻り力を調整できる。
したがって、捻り力の調整がより一層簡単である。
図11に示す実施の形態では、筒10の下端部10cと可動部材14の凹部14aを嵌合して筒10と可動部材14を相互に回転しないように保持したが、これに限ることはなく、前述した各実施の形態に示すようにして筒10と可動部材14を相互に回転しないように保持しても良い。
【0038】
前述の各実施の形態のバランサーにおいては、図12に示すように筒10における外周面10bと内周面10dとの間の部分に、防音材、吸振材、補強材などの部材50を設けることができる。
例えば、筒10の外周面10bを矩形とし、内周面10dを円形とし、その4隅に空洞部51を長手方向全長に亘って有するものとし、その各空洞部51に前述の部材50を挿入して設ける。
このようにすることで、バランサーのスパイラルロッド13が上下動した時に発生する振動、騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】バランサーを備えた上げ下げ窓の概略正面図である。
【図2】バランサーの取付け状態の断面図である。
【図3】バランサーの筒と可動部材の嵌合する部分を示す斜視図である。
【図4】バランサーの筒と可動部材の嵌合した状態の斜視図である。
【図5】バランサーの第2の実施の形態を示す斜視図である。
【図6】可動部材と筒の嵌合部分を示す平面図である。
【図7】バランサーの第3の実施の形態を示す嵌合する部分の断面図である。
【図8】バランサーの第4の実施の形態を示す嵌合する部分の断面図である。
【図9】バランサーの筒とスパイラルロッドを連結用治具で連結する第1の実施の形態を示す斜視図である。
【図10】バランサーの筒とスパイラルロッドを連結用治具で連結する第2の実施の形態を示す斜視図である。
【図11】可動部材に調整用回転体を設けた実施の形態を示す断面図である。
【図12】筒に防音材、吸振材、補強材を設けた実施の形態を示す筒の横断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1…窓枠、2…障子、3…縦枠、4…バランサー、10…筒、11…捻りばね、12…回転体、13…スパイラルロッド、14…可動部材、30…連結用治具、40…調整用回転体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒と捻りばねと回転体とスパイラルロッドを有し、そのスパイラルロッドが筒の長手方向に移動することで回転体が回転し、その回転体の回転により前記捻りばねを巻き締め、巻き戻しすると共に、前記スパイラルロッドを回転することで回転体が一体的に回転するバランサー本体と、
前記スパイラルロッドが連結された可動部材を備え、
前記可動部材とともにスパイラルロッドを一方向に回転して捻りばねを巻き締めた状態で、その可動部材と前記筒を相互に回転しないように保持できると共に、その保持を解除できるようにしたことを特徴とするバランサー。
【請求項2】
筒と可動部材を、その筒の長手方向に相対的に接近する方向に移動することで、前記筒と前記可動部材が相互に回転しないように嵌合することで、可動部材と筒が相互に回転しないように保持し、前記筒と可動部材が嵌合した状態から筒と可動部材を離隔する方向に移動することで可動部材と筒の嵌合が外れて可動部材と筒の保持が解除されるようにした請求項1記載のバランサー。
【請求項3】
可動部材に調整用回転体を一方向に回転自在で、他方向には回転しないように設け、この調整用回転体にスパイラルロッドを連結した請求項1又は2に記載のバランサー。
【請求項4】
筒と捻りばねと回転体とスパイラルロッドを有し、そのスパイラルロッドが筒の長手方向に移動することで回転体が回転し、その回転体の回転により前記捻りばねを巻き締め、巻き戻しすると共に、前記スパイラルロッドを回転することで回転体が一体的に回転するバランサー本体と、
前記スパイラルロッドが連結された可動部材を備え、
前記スパイラルロッドを一方向に回転して捻りばねを巻き締めた状態で、そのスパイラルロッドと前記筒を相互に回転しないように保持できると共に、その保持を解除できるようにしたことを特徴とするバランサー。
【請求項5】
連結用治具を筒とスパイラルロッドに亘って連結することで筒とスパイラルロッドが相互に回転しないように保持し、その連結用治具を外すことで保持を解除できるようにした請求項4記載のバランサー。
【請求項6】
窓枠と、窓枠内に上下動自在に装着された少なくとも1枚の障子を有し、
この窓枠の縦枠に、前記請求項1〜5いずれか1項に記載のバランサーの筒を取付け、このバランサーの可動体を障子に取付けたことを特徴とする上げ下げ窓。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−57653(P2008−57653A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−235105(P2006−235105)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】