説明

バリア層、及びバリア層の製造方法

【課題】バリア性が向上したバリア層を提供する。
【解決手段】水分、酸素、他のガス、溶媒及び揮発性有機化合物の透過性を防ぐことができるバリア層102であって、バリア層102は、全ての方向に波状表面プロファイルを含み、非波状表面、直線及び鋭いエッジが存在しない。さらに、表面プロファイルは、熱応力、メカニカル応力、及び隣接した基板又は層の変形によって生じる負荷の少なくとも1つに応答して屈曲する。これにより、バリア層102がバリア層102の表面に沿った面プロファイルでの全ての方向で伸縮し、バリア層の割れを防止することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここで開示される本発明は、一般に、バリア層と、バリア層を製造する方法に関する。より詳しくは、本発明は、バリア性が向上したバリア層に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの電子デバイスは、環境ガス及び液体の影響を受け、環境ガス及び液体(例:酸素及び水蒸気)の侵入によって劣化する傾向がある。さらに、電子デバイスの加工及び製造で使用される化学物質は、電子デバイスに悪影響を与え得る。この劣化を防ぐために、電子デバイスは、通常、有害ガス、液体及び化学物質に対するバリアとして働く1又は複数の層によって封入される。従来、使用される1又は複数の層は、プラスチック及び無機層の平坦な交互スタックを含む。プラスチック及び無機層の交互スタックは、有害ガス、液体及び化学物質が電子デバイスに到達することを防ぐ。
【0003】
しかしながら、現在使用されているバリア層(例:交互のプラスチック及び無機層)は、いくつかの欠点を有する。例えば、無機層は、プラスチック層よりはるかに高い弾性係数を有する。従って、メカニカル負荷を加えると、交互のプラスチック及び無機層が伸び、全ての張力は、薄い無機層に局所化され、その結果薄い無機層がプラスチック層よりはるかに多くの応力を吸収することになる。また、プラスチック層及び無機層は、異なる熱膨張係数を有する。従って、温度が変化するとプラスチック層及び無機層は、挙動が異なり、その結果、応力が増大する。薄い無機層は、応力に耐えることができず、クラックが発生し、その結果バリア性が失われる。
【0004】
従って、無機層上での応力を緩和するための技術が開発されてきた。例えば、US特許6849877は、1又は複数の無機層の間及び上に柔軟層を設けている。US特許6849877で開示された発明によれば、第一無機層の破損によって応力緩和が提供される。その後、1又は複数の無機層の間の柔軟層が第二無機層へのクラック成長を防ぐ。しかしながら、柔軟層は、応力下において個々の無機層が破損しやすいというコアな問題には影響を与えない。
【0005】
さらに、バリア層に隣接した基板の変形により無機層に引張又は圧縮負荷が加わり、バリア層の破損とリークの原因となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記議論に照らすと、水、酸素、有害ガス、液体及び化学物質の透過性を防ぎ且つ基板の変形によって生じるメカニカル応力、熱応力及び負荷に耐え得る、改良されたバリア層に対する要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的実施形態は、水分、酸素、他のガス、溶媒及び揮発性有機化合物の透過性を防ぐことができるバリア層を提供する。
【0008】
いくつかの実施形態は、隣接した基板の変形によって生じる熱応力、メカニカル応力、及び負荷に耐えることができるバリア層を提供する。
【0009】
いくつかの実施形態は、応力が加わっても破損せず、それによってバリア性が向上したバリア層を提供する。
【0010】
いくつかの実施形態では、本発明は、水分、酸素、他のガス、溶媒及び揮発性有機化合物の電子デバイスへの侵入を防ぐことができるバリア層を提供する。また、バリア層は、表面プロファイルに沿った面内の全ての方向に微小波形を有する表面プロファイルを含む。これらの微小波形は、熱応力、メカニカル応力、及び隣接した基板又は層の変形によって生じる負荷の少なくとも1つに関連して全ての方向に屈曲する表面プロファイルを可能にする。表面プロファイルのこの屈曲は、バリア層が表面プロファイルに沿った面内の全ての方向で巨視的なレベルで伸縮することを可能にする。表面プロファイルの屈曲により、バリア層での応力増大が低減され、それによってバリア層の割れが防止される。
【0011】
いくつかの実施形態では、水分、酸素、他のガス、溶媒及び揮発性有機化合物の侵入を防ぐことができるバリア層が提供される。バリア層は、非波状表面、鋭いエッジ及び直線が存在しないことによって特徴付けられる表面プロファイルを有する。さらに、表面プロファイルは、熱応力、メカニカル応力、及び隣接した基板又は層の変形によって生じる負荷の少なくとも1つに応答して屈曲する。表面プロファイルのこの屈曲は、バリア層がバリア層の表面に沿った面プロファイルでの全ての方向で伸縮することを可能にし、バリア層の割れを防止する。
【0012】
いくつかの実施形態では、バリア層用の材料は、金属、半導体、金属酸化物、半導体-酸化物、金属フッ化物、金属窒化物、半導体-窒化物、金属炭化物、半導体炭化物、金属炭窒化物、半導体炭窒化物、金属酸窒化物、半導体酸窒化物、金属ホウ化物、半導体ホウ化物、金属酸ホウ化物(oxyboride)、半導体酸ホウ化物及びこれらの組み合わせから選択される。
【0013】
いくつかの実施形態では、有機発光ダイオード(OLED)又は薄膜光電デバイス又は有機光電デバイスのような電子デバイスは、電子デバイスがバリア層を含むように提供される。
【0014】
いくつかの実施形態では、バリア層は、有機発光ダイオード(OLED)での光取り出し層として使用可能である。
【0015】
いくつかの実施形態では、バリア層は、薄膜光電デバイス及び有機光電デバイスの一つでの光トラッピング層として使用可能である。
【0016】
いくつかの実施形態では、バリア層の厚さは、5nm〜500nmの範囲である。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1セットの所定の波形及び第2セットの所定の波形は、エングレービング、ミリング、自発的座屈(spontaneous buckling)、干渉リソグラフィー及び他のリソグラフィー方法から選択されたプロセスを用いて生成される。
【0018】
いくつかの実施形態では、バリア層は、スパッタリング、エバポレーション、化学気相堆積、プラズマCVD、昇華、電子サイクロトロン共鳴-プラズマCVD、物理気相堆積、原子層堆積、及びこれらの組み合わせから選択されたプロセスを用いて隣接した基板又は層上に形成される。
【0019】
いくつかの実施形態では、バリア層の表面プロファイルは、少なくとも前記表面プロファイルに沿った第1方向での第1セットの所定の波形及び前記表面プロファイルに沿った第2方向での第2セットの所定の波形によって定義される。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1方向及び第2方向は、互いに垂直である。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1セットの所定の波形は、第一正弦波プロファイルで定義され、第2セットの所定の波形は、第二正弦波プロファイルで定義される。
【0022】
いくつかの実施形態では、第一正弦波プロファイル及び第二正弦波プロファイルの波長は80nm〜80マイクロメートルの範囲であり、波高は、10nm〜80マイクロメートルの範囲である。
【0023】
いくつかの実施形態では、第一正弦波プロファイル及び第二正弦波プロファイルの少なくとも1つは、等式z = A sin x + B sin yによって表される。ここで'A'及び'B'は、同一でなく、'x'及び'y'は、それぞれ、表面プロファイルのxy面上でのx及びy座標である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
新規であると信じられている本発明の特徴は、添付の請求の範囲で詳細に言及している。本発明は、添付図面と共に次の説明を参照して最もよく理解することができる。これらの図面及び関連する説明は、本発明のいくつかの実施形態を例示するために提供され、本発明の範囲を限定しない。
【0025】
【図1】図1は、本発明の例示的実施形態による、第1セットの所定の波形及び第2セットの所定の波形の例示的バリア層及び突部の図示である。
【0026】
【図2】図2は、本発明の他の例示的実施形態による、バリア層上の例示的第1セットの所定の波形及び例示的第2セットの所定の波形の図示である。
【0027】
【図3】図3は、本発明の実施形態による、例示的OLEDの種々のコンポーネントの図示である。
【0028】
【図4】図4は、本発明の実施形態による、例示的光電デバイスの種々のコンポーネントの図示である。
【0029】
【図5】図5は、本発明の他の例示的実施形態による、バリア層に第1セットの所定の波形及び第2セットの所定の波形を形成する方法を説明するフローチャートである。
【0030】
【図6】図6は、本発明の実施形態による、OLEDを製造する例示的方法を説明するフローチャートである。
【0031】
【図7】図7は、本発明の実施形態による、光電デバイスを製造する例示的方法を説明するフローチャートである。
【0032】
当業者は、図中の要素は、簡潔さ及び明確さのための例示であり、寸法は必ずしも正確ではないことを理解するであろう。例えば、図中の要素のいくつかの寸法は、本発明の理解を向上させるために、他の要素に比べて誇張している。
【0033】
明細書中には説明があって図面には記載していない構造がある場合、そのような構造が明細書から省略されていると解釈すべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明を詳細に説明する前に、本発明がバリア層に関連した装置コンポーネントの組合せ及びバリア層の製造に関連した方法ステップの組み合わせを利用することに注目すべきである。従って、装置コンポーネント及び方法ステップは、図面中では慣用的な記号を用いて表され、本発明の理解に関連がある部分のみを詳細に表している。これは、当業者にとって明らかな内容を詳細に記載しすぎて本発明の開示をぼやかすことが無いようにするためである。
【0035】
明細書は、本発明の新規であると思われる特徴を規定する請求の範囲で締めくくっているが、本発明は、次の説明と、符号を付した図面からより良く理解されるであろう。
【0036】
本発明の詳細な実施形態をここに開示しているが、開示された実施形態は、本発明の単なる例示であり、本発明は、種々の形態で実施可能であることを理解すべきである。従って、ここで開示される具体的な構造及び機能の詳細は、権利範囲を限定するものと解釈すべきではなく、請求の範囲の基礎となり、かつ本発明を種々の形態で実施する際に当業者に与える教示の代表的な基礎であるとして解釈すべきである。さらに、ここで示される用語とフレーズは、限定的に解釈すべきではなく、本発明の理解可能な説明を提供するためものであると解釈すべきである。
【0037】
本明細書では、「一つ」は、1又は複数を意味している。「他の」は、「少なくとも第2の」を意味しており、「含む」及び/又は「有する」は、他の要素の追加を許容するオープンな用語である。「連結」又は「作動的に連結」は、結合されていることを意味するが、直接である必要はなく、機械的である必要もない。
【0038】
ここで図面を参照すると、図1は、バリア層102の図示である。実生活での適用では、例えば、バリア層102は、電子デバイスの層又は基板上に堆積可能である。電子デバイスの例は、有機発光デバイス(OLED)、薄膜太陽電池、有機太陽電池、液晶ディスプレイ(LCD)などを含むがこれに限定されない。バリア層102は、電子デバイス以外の製品(例:外部流体又はガスの侵入に対して保護が必要な製品)に使用可能であることを理解すべきである。例えば、食品包装業では、バリア層102は、プラスチックボトルの内側をコーティングするために使用してもよく、それによってガス侵入に対するプラスチックボトルの有効性が向上する。
【0039】
バリア層102は、水蒸気、酸素及び他のガスのような環境流体に対して不透過である。さらに、バリア層102は、電子デバイスのプロセスの間に放出される流体又は溶媒(例:光重合開始剤残渣、未反応樹脂、副反応生成物又は不純物のような揮発性有機化合物)に対しても不透過である。バリア層102は、バリア層102が堆積された層又は基板から生じる汚染物質に対しても不透過である。バリア層102の使用は、重要である。なぜなら、これは、周囲媒体に存在している汚染物質及び他の層から生じる汚染物質からの、電子デバイス(例:半導体層)中の他の堆積層の汚染を防ぐからである。
【0040】
バリア層102として使用可能である材料の例は、金属、半導体、金属酸化物、半導体酸化物、金属フッ化物、半導体フッ化物、金属窒化物、半導体窒化物、金属炭化物、半導体炭化物、金属炭窒化物、半導体炭窒化物、金属酸窒化物、半導体酸窒化物、金属ホウ化物、半導体ホウ化物、金属酸ホウ化物、半導体酸ホウ化物及びこれらの組み合わせを含むがこれに限定されない。
【0041】
バリア層102は、表面プロファイルを有する。ここで表面プロファイルは、表面プロファイルに沿った第1方向での第1セットの所定の波形104及び表面プロファイルに沿った第2方向での第2セットの所定の波形106を含む。第1方向での第1セットの所定の波形104及び第2方向での第2セットの所定の波形106の突部は、図1で見ることができる。実際の用途では、第1方向及び第2方向は、互いに垂直にすることができる。例えば、第1方向は、表面プロファイルのy-軸に沿っていて、第2方向は、表面プロファイルのx-軸に沿っている。しかしながら、第1方向及び第2方向は、表面プロファイルの他の軸に沿っていてもよいということを理解すべきである。例えば、実際の用途では、バリア層102が、上から見た時に長方形であれば、第1方向は、長方形表面の長さ方向であり、第2方向は、長方形表面の幅方向である。
【0042】
この例示的実施形態では、バリア層102の表面プロファイルは、表面プロファイルに沿った第1方向での第1セットの所定の波形104及び表面プロファイルに沿った第2方向での第2セットの所定の波形106を含むように示した。しかしながら、バリア層の表面プロファイルは、非波状表面、直線及び鋭いエッジが存在しないことによって特徴付けられるいずれの表面形状で定義してもよいことを理解すべきである。さらに説明目的で使用される例示的シナリオは、本発明を制限することを意図するものではなく、本発明の分かりやすい説明を提供するものである。
【0043】
第1セットの所定の波形104は、第一正弦波プロファイルで定義され、第2セットの所定の波形106は、第二正弦波プロファイルで定義される。一実施形態によれば、第一正弦波プロファイル及び第二正弦波プロファイルの少なくとも1つは、等式z = A sin x + B sin yで表される。式中、'A'及び'B'は、互いに等しくなく、'x'及び'y'は、それぞれ、表面プロファイルのxy面又はバリア層102の面上のx及びy座標である。
【0044】
一実施形態では、第一正弦波プロファイルの波長L1及び第二正弦波プロファイル波長L2は、80nm〜80マイクロメートルの範囲にすることができ、第一正弦波プロファイルの波高H1及び第二正弦波プロファイルの波高H2は、10nm〜80マイクロメートルの範囲にすることができる。また、バリア層102の厚さは、5nm〜500nmの範囲にすることができる。例えば、一実施形態では、バリア層102は、厚さが200nm、2つの垂直方向のそれぞれでの波高が500nm及び2つの垂直方向のそれぞれでの波長が1000nmである。表面プロファイルは、第一正弦波プロファイル及び第二正弦波プロファイルの合計によって定義される。ここで、第一正弦波プロファイル及び第二正弦波プロファイルの振幅は、表面プロファイルでの直線又は平坦な表面の発生を防ぐようにかなり異なっている。
【0045】
第1セットの所定の波形104及び第2セットの所定の波形106は、それぞれ、第一正弦波プロファイル及び第二正弦波プロファイルで定義される。しかしながら、第1セットの所定の波形104及び第2セットの所定の波形106は、他の波形で定義可能であることは当業者に明らかであろう。この波形は、バリア層102の表面プロファイルに波形を有しない特徴、直線又は鋭いエッジがないようにして、表面プロファイルを形成し本発明の範囲から逸脱することなく類似の目的を達成する。
【0046】
図2は、バリア層202上の例示的第1セットの所定の波形及び例示的第2セットの所定の波形の図示である。この例示的実施形態では、第1セットの所定の波形及び第2セットの所定の波形が正弦波プロファイルを有するように示した。しかしながら、第1セットの所定の波形及び第2セットの所定の波形が他の波形で定義可能であることは当業者に明らかであろう。この波形は、バリア層202の表面プロファイルに波形を有しない特徴、直線又は鋭いエッジがないようにする。さらに、この実施形態では表面プロファイルは、唯2つの異なる方向の波形を含むように示される。しかしながら、波形が2つより多い方向に存在していてもよいことは当業者に明らかであろう。これによって、バリア層202の表面プロファイルは、波形を有しない特徴が無い。図2及び関連する説明は、本発明のいくつかの実施形態を例示するために提供したが、本発明の範囲を限定しない。
【0047】
バリア層202上の第1セットの所定の波形204a、204b、204c、204d、204e、204f及び204g及び第2セットの所定の波形206a、206b、206c、206d、206e及び206fを図2に示す。バリア層202は、図1で説明したバリア層102に特性が類似していることを理解すべきである。同様に、第1セットの所定の波形204a、204b、204c、204d、204e、204f及び204g及び第2セットの所定の波形206a、206b、206c、206d、206e及び206fの突部は、それぞれ図1で説明した第1セットの所定の波形104及び第2セットの所定の波形106の突部に特性が類似している。従って、図1と同様に、第1セットの所定の波形204a、204b、204c、204d、204e、204f及び204gは、第一正弦波プロファイルで定義され、第2セットの所定の波形206a、206b、206c、206d、206e及び206fは、第二正弦波プロファイルで定義される。
【0048】
第1セットの所定の波形204a、204b、204c、204d、204e、204f及び204g及び第2セットの所定の波形206a、206b、206c、206d、206e及び206fは、それぞれ、所定の波形204a及び所定の波形206aを用いてより詳細に説明する。点P1、P2、P3、P4、P5、P6及びP7は、所定の波形206aの第二正弦波プロファイルの湾曲を表し、点P1、P8、P9、P10、P11及びP12は、所定の波形204aの第一正弦波プロファイルの湾曲を表す。この例示的実施形態では、第1セットの所定の波形及び第2セットの所定の波形は、特定数の波を有するように示した。ここで使用した例示的シナリオは、説明の目的であり、本発明を限定するものでなく、むしろ本発明の分かりやすい説明を提供するためのものである。従って、存在する波の数は、示したものよりも多くても少なくてもよいことは当業者に明らかであろう。例えば一実施形態では、第1方向及び第2方向での波の数は、数百〜数千のオーダーである。例えば、実際の用途では、15cm X 15cmのサイズを有するバリア層は、1ミクロンの波長を有する波を含むことができる。
【0049】
所定の波形206aでは、点P1、P3、P5及びP7は、第二正弦波プロファイルの山であり、点P2、P4及びP6は、第二正弦波プロファイルの谷である。第2セットの所定の波形での他の波形206b、206c、206d、206e及び206fも類似の山及び谷を有する。
【0050】
所定の波形204aでは、点P1、P9、及びP11は、第一正弦波プロファイルの山であり、点P8、P10及びP12は、第一正弦波プロファイルの谷である。第1セットの所定の波形での他の波形204b、204c、204d、204e、204f及び204gも類似の山及び谷を有する。
【0051】
第1セットの所定の波形204a、204b、204c、204d、204e、204f及び204gの第一正弦波プロファイル及び第2セットの所定の波形206a、206b、206c、206d、206e及び206fの第二正弦波プロファイルは、表面プロファイルが非波状表面を全く有しないように、表面プロファイルを特徴づける。つまり、バリア層202に表面プロファイルは、直線及び鋭いエッジが存在しないことによって特徴付けられる。非波状表面、つまり、直線又は鋭いエッジが存在しないことは、バリア層202で応力が集中しやすい点又は領域を除去又は最小化する。これは、さらに、バリア層202、又はバリア層202が形成される電子デバイスの破壊を防ぐのを助ける。例えば、バリア層202の表面プロファイルが直線及び鋭いエッジによって特徴付けられるコーン及びピラミッドのような非波状表面を含むと、応力が増大し、それによって、バリア層202の破壊及び破損に繋がる点及び領域を増大させるであろう。
【0052】
バリア層202上の第1セットの所定の波形204a、204b、204c、204d、204e、204f及び204g及び第2セットの所定の波形206a、206b、206c、206d、206e及び206fは、バリア層202に2つの方向(つまり第1方向及び第2方向)の波構造を提供する。これは、本発明のバリア層202が熱応力、メカニカル応力、及び隣接した基板又は層の変形によって生じる負荷の少なくとも1つに関連してバリア層の表面に沿った面で全ての方向に屈曲することを可能にし、それによって応力又は負荷の増大を低減し、バリア層202が破損したり割れたりするのを防ぐことができる。応力又は負荷は、外力の結果であってもよい。応力又は負荷は、無機バリア層とこれに隣接する層又は基板との間の熱膨張係数の違いと、温度変化との組み合わせによって生じるものであってもよい。さらに、応力又は負荷は、隣接した層又は基板の変形によって生じてもよい。また、応力又は負荷は、湿気吸収とそれによる隣接した層又は基板の膨張によって生じてもよい。
【0053】
実際の用途では、表面プロファイルは、表面プロファイルに沿った面内の全ての方向に微小波形を含む。これらの微小波形は、熱応力、メカニカル応力、及び隣接した基板又は層の変形によって生じる負荷の少なくとも1つに関連して全ての方向に屈曲する表面プロファイルを可能にする。表面プロファイルのこの屈曲は、バリア層が表面プロファイルに沿った面内の全ての方向で巨視的なレベルで伸縮することを可能にし、それによって応力及び負荷が加わってバリア層が割れることを防ぐ。
【0054】
ここまで説明したバリア層202は、単一の層を含む。しかしながら、実際の用途では、多層バリア層は、バリア層202とポリマー材料層の交互スタックを含み、バリア層202として類似の目的を達成するために使用可能であることを理解すべきである。このような多層バリア層は、バリア層202及びポリマー材料層を交互に堆積することによって形成可能である。ポリマー材料の例は、アクリレート、チオール、エポキシ、ポリエステル、シロキサン、ウレタン、又はこれらの組み合わせを含むがこれに限定されない。
【0055】
本発明の理解のために、バリア層202を参照して説明した。しかしながら、多層バリア層も本発明の範囲から逸脱することなく利用可能であることは当業者に明らかであろう。
【0056】
一実施形態では、バリア層202は、OLEDで使用可能である。OLEDでは、基板の発光側と、非発光の反対側の両方が水及び酸素からの保護を必要とする。従って、バリア層202は、水及び酸素侵入に対する保護のために基板の発光側及び非発光の反対側の両方に使用可能である。OLED用途では、バリア層202は、透明であり、通常、基板とOLEDスタックの間に提供される。一実施形態では、バリア層202は、OLEDの光取り出し層として使用可能である。バリア層202の表面プロファイルは、本質的に波状であるので、OLEDの発光有機材料のアクティブ表面を増大させ、表面エリア当たりの強度を高めることができる。
【0057】
ここで、図3に、OLEDでの本発明のバリア層の使用を例示する例示的OLED300での層のスタックを示す。OLED300は、バリア層202を含むように示される。いくつかの実施形態では、バリア層202は、内部光取り出し層としても機能し得る。
【0058】
OLED300のいくつかの実例は、有機発光ダイオード(OLED)、白色有機発光ダイオード(W-OLED)、アクティブマトリクス有機発光ダイオード(AMOLED)、単純マトリクス有機発光ダイオード(PMOLED)、フレキシブル有機発光ダイオード(FOLED)、スタックされた有機発光ダイオード(SOLED)、タンデム有機発光ダイオード、透明有機発光ダイオード(TOLED)、上部発光有機発光ダイオード、下部発光有機発光ダイオード、蛍光ドープされた有機発光ダイオード(F-OLED)及び燐光有機発光ダイオード(PHOLED)を含むがこれに限定されない。
【0059】
OLED300は、透明基板302、外部光取り出し層304及び内部光取り出し層305のような1又は複数の光管理層、バリア層202、第一電極306、1又は複数の半導体層308及び310、第二電極312及びカバー基板314も含む。カバー基板314は、第二電極312上に設けることができ、透明基板302との間に、バリア層202、内部光取り出し層305、第一電極306、1又は複数の半導体層308及び310及び第二電極312を封じ込める。本発明の理解を容易にするために、OLED300での層のスタックでの各層は、同じサイズを有するように示している。しかしながら、この図中の要素は、簡潔さ及び明確さのための例示であって寸法は必ずしも正確ではないことを当業者は理解するであろう。例えば、透明基板302及びカバー基板314は、OLED300を封じ込めることができるように、他の層よりも大きくすることが適切である。
【0060】
透明基板302は、OLED300へ強度を提供し、使用時にOLED300の発光面としても役立つ。透明基板302の例は、ガラス、フレキシブルガラス、ポリカーボネート、ゼオノア、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、及び他の透明又は半透明材料を含むがこれに限定されない。本発明による、波状表面プロファイルは、基板に射出成形又は複製(replicate)することができる。
【0061】
外部光取り出し層304及び内部光取り出し層305は、硬化材料層にすることができ、対応する表面プロファイルは、基板自身に成形することができる。硬化材料は、紫外線硬化材料、光硬化樹脂ラッカー、アクリレート、及びシリカ又はシリカ-チタニアベースのゾルゲル材料を含むがこれに限定されない。一実施形態では、外部光取り出し層304は、バリア層202に類似した層に置き換えることができる。
【0062】
第一電極306及び第二電極312は、1又は複数の半導体層308及び310を横切って電圧を印加するために使用される。第一電極306及び第二電極312は、例えば、透明導電酸化物(TCO)(例:インジウム酸化スズ(ITO)、インジウム酸化亜鉛(IZO))又は電荷キャリアを注入するのに適切な仕事関数を有する金属(例:カルシウム、アルミニウム、金、又は銀)で実施可能である。
【0063】
1又は複数の半導体層308及び310は、有機エレクトロルミネセンス材料(例:発光ポリマー、蒸着した低分子材料、発光デンドリマ又は分子状にドープされたポリマー)で実施可能である。
【0064】
基板上に堆積されるバリア層202は、内部光取り出し層305を置き換えることができる。バリア層202の波状表面プロファイルは、バリア層202が1又は複数の半導体層308及び310によって放射された光の全反射(TIR)を減少させることを可能にする。バリア層202は、光の伝播方向の変化を容易にし、これによって、TIRが起こる代わりに光がバリア層202を通じて送られる。
【0065】
別の実施形態では、バリア層202も第二電極312とカバー基板314の間に配置可能である。
【0066】
別の実施形態ではバリア層202は、薄膜太陽電池又は有機太陽電池で使用可能である。OLEDに類似して、薄膜又は有機太陽電池も基板の光入射側及び通常は反射が起こる背面側の両方で水及び酸素からの保護を必要とする。さらに、バリア層202は、薄膜光電デバイスにおける光トラッピング層として使用可能である。バリア層202の表面プロファイルが本質的に波状であるので、これは、光の散乱及び回折を助け、それによって薄膜光電デバイスを通る光路を増大させ、薄膜光電デバイスの半導体層による光の吸収の機会を増大させる。
【0067】
光電デバイスでの本発明のバリア層の使用を例示する例示的光電デバイス400の種々のコンポーネントを図4に示す。光電デバイス400の例は、薄膜太陽電池、有機太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、微結晶シリコン太陽電池、マイクロモーフォシリコンタンデム太陽電池、銅インジウムガリウムセレナイド(CIGS)太陽電池、テルル化カドミウム(CdTe)太陽電池などを含むがこれに限定されない。光電デバイス400は、基板402、粘性硬化材料層404、バリア層202、TCOの第一層406、複数の半導体層408、410、412、414及び416、TCOの第二層418、銀層420、及びアルミニウム層422のスタックを含むように示される。
【0068】
基板402は、光電デバイス400へ強度を提供し、光電デバイス400を構成する他の層の堆積のための出発点として使用される。基板402の材料の例は、ガラス及び透明プラスチックを含むがこれに限定されない。いくつかの例示的実施形態では、実生活での適用の間、光電デバイス400は、基板402が太陽に面し、光電デバイス400に当たる全ての太陽光が基板402に入射するように配置される。これらの実施形態では、基板402は最大の光が自身を通過し、次の層に到達することを可能にするように透明材料で形成される。基板402は、他の次の層が堆積可能である平坦な表面を含む。一実施形態では、基板402は、光トラッピングに必要な表面プロファイルも含むことができ、この場合、粘性硬化材料が不要になる。
【0069】
粘性硬化材料層404に移ると、粘性硬化材料層404は、基板402上に堆積される。粘性硬化材料の例は、紫外線硬化材料、光硬化樹脂ラッカー、アクリレート、及びシリカ又はシリカ-チタニアベースのゾルゲル材料を含むがこれに限定されない。
【0070】
いくつかの実施形態では、粘性硬化材料は、基板402の平坦な表面上に粘性硬化材料層404を堆積する前に光及び/又は熱を用いることによってプリキュアされる。粘性硬化材料のプリキュアは、光電デバイス400の製造の後工程の間又は光電デバイス400の実際の使用の間に粘性硬化材料からの流体又は溶媒のガス放出を最小化するために行われる。粘性硬化材料から出てくるこれらの流体又は溶媒は、光電デバイス400の次の層を汚染する傾向があり、従って、光電デバイス400の全体の性能に影響を与える。
【0071】
バリア層202に移ると、いくつかの場合には、バリア層202は、粘性硬化材料層404が透明基板402上に堆積された後に粘性硬化材料層404上に堆積される。バリア層202は、水、酸素、光電デバイス400の製造の間又は光電デバイス400の実際の使用の間に粘性硬化材料によって放出される流体又は溶媒(例:光重合開始剤残渣、未反応樹脂、副反応生成物又は不純物のような揮発性有機化合物)に対して不透過である。バリア層202は、水、酸素、汚染物質/元素、粘性硬化材料及び/又は基板402によって放出される流体又は溶媒による他の堆積層(例:TCOの第一層406、及び複数の半導体又は有機層408、410、412、414、及び416)又は光電デバイス400の封止材への悪影響を防ぐ。さらに、バリア層202は、粘性硬化材料層404と他の堆積層(例:TCOの第一層406及び複数の半導体層408、410、412、414、及び416)の間の密着を容易にする。
【0072】
TCOの第一層406に移ると、TCOの第一層406は、バリア層202上に堆積される。TCOは、光電デバイスで使用されるドープされた金属酸化物である。TCOの例は、アルミニウム-ドープされた酸化亜鉛(AZO)、インジウム酸化亜鉛(IZO)、ボロンドープされた酸化亜鉛(BZO)、ガリウムドープされた酸化亜鉛(GZO)、フッ素ドープされた酸化スズ(FTO)及びインジウムドープされた酸化スズ(ITO)を含むがこれに限定されない。TCOは、80%より大きい入射光透過率及び効率的なキャリア輸送のために103S/cmより高い導電率を有する。TCOの透過率は、透明材料と同様に、欠陥及び粒界での光散乱によって制限される。
【0073】
光電デバイス400のスタックにおける次のセットの層は、複数の半導体層408、410、412、414、及び416である。一般に、複数の半導体層408、410、412、414、及び416は、化学気相堆積、スパッタリング、及びホットワイヤー技術を用いてTCOの第一層406上に堆積される。この説明の目的のために、半導体層は、p型半導体の第一層408、p型半導体の第二層410、バッファー層412、i型半導体層414、及びn型半導体層416を含むように示される。しかしながら、光電デバイス400が本発明の範囲から逸脱することなく、1又は複数の半導体又は有機PV-層を含んだり除外したりすることができることは当業者に明らかであろう。
【0074】
この説明の目的のために、p型半導体の第一層408は、でμc-Si:Hで形成される。しかしながら、p型半導体の第二層410、i型半導体層414、及びn型半導体層416は、a-Si:Hで形成される。
【0075】
一般に、半導体層は、p-i-nの順序つまりp型半導体、i型半導体、及びn型半導体の順序で堆積される。これは、なぜならa-Si:Hでの電子の移動度がa-Si:Hでの正孔の移動度のほぼ二倍であり、従って、p型-n型コンタクトから移動する電子の回収率がp型-n型コンタクトから移動する正孔に比べて優れているからである。従って、p型半導体層は、光の強度がより強いトップに配置される。
【0076】
半導体層の後に、カバー基板が堆積される。一実施形態では、カバー基板は、TCOの第二層418、銀層420、及びアルミニウム層422を封じ込めることができる。これらの層は、単独で又は組み合わせで光電デバイス400のバックコンタクトを形成する。いくつかの場合には、光電デバイス400は、効率を高めるか又は信頼性を向上させるために追加の層を有する場合がある。
【0077】
図5に移ると、本発明の実施形態による、バリア層202に第1セットの所定の波形204a、204b、204c、204d、204e、204f及び204g及び第2セットの所定の波形206a、206b、206c、206d、206e及び206fを形成する例示的方法500を説明するフローチャートを図5に示した。しかしながら、バリア層202は、本発明の範囲から逸脱することなく他の方法を用いて生成可能であることは当業者に明らかであろう。
【0078】
この説明の目的のために、方法500は、バリア層202を用いて説明する。しかしながら、方法500は、本発明の範囲から逸脱することなくどのようなバリア層にも適用されることは当業者に明らかであろう。さらに、本発明は、方法500にリストされた工程の順序に限定されない。さらに、方法500は、図5に示したものより多い又はより少ないステップ数を含んでもよい。
【0079】
方法500は、ステップ502で開始される。ステップ504では、マスター表面構造が作成される。マスター表面構造は、第1方向に第1セットの所定の波形204a、204b、204c、204d、204e、204f及び204g及び第2方向に第2セットの所定の波形206a、206b、206c、206d、206e及び206fを含む。マスター表面構造は、エングレービング、ミリング、干渉リソグラフィー、他のリソグラフィー方法及び自発的座屈から選択されたプロセスを用いて生成可能である。好ましくは、マスター表面構造は、干渉リソグラフィーを用いて作成される。干渉リソグラフィーの場合、マスター表面構造に使用される材料は、フォトレジスト材料又は他の感光性材料を含むことができる。干渉リソグラフィーでは、2つのコヒーレント光波の間に干渉パターンが設定され、マスター表面構造に記録される。干渉パターンは、コヒーレント光波の強度での極小及び極大を表す周期的な一連の干渉縞を含む。その後、周期的な一連の干渉縞に対応するパターンがマスター表面構造上に現れる。コヒーレント光波は、マスター表面構造上に現れる干渉縞のパターンが第1方向に第1セットの所定の波形204a、204b、204c、204d、204e、204f及び204g及び第2方向に第2セットの所定の波形206a、206b、206c、206d、206e及び206fに類似するように選択可能である。
【0080】
その後、ステップ506では、マスター表面構造からモールドが作成される。その後、ステップ508では、予備成形された表面構造がモールドを用いて形成される。予備成形された表面構造は、複製技術(例:射出成形、ラッカー中での光重合複製、ホット及びコールドエンボス加工、フォト-ナノ-インプリントリソグラフィー、ロール・ツー・ロール又はシート・ツー・シート複製)を用いてモールドから現像される。
【0081】
この後にステップ510では、予備成形された表面構造上に層が堆積される。フォトレジストパターンを含む予備成形された表面は、第1方向に第1セットの所定の波形204a、204b、204c、204d、204e、204f及び204g及び第2方向に第2セットの所定の波形206a、206b、206c、206d、206e及び206fのパターンを予備成形された表面構造上に堆積された層上に生成する。予備成形された表面構造上に堆積される層は、バリア層202である。その後、方法500は、ステップ512で完了する。
【0082】
バリア層202は、種々の方法を用いて電子デバイスの予備成形された基板又は予備成形された層上に形成可能である。例えば、バリア層は、スパッタリング、エバポレーション、化学気相堆積、プラズマCVD、昇華、電子サイクロトロン共鳴-プラズマCVD、物理気相堆積、原子層堆積、及びこれらの組み合わせの何れか1つによって予備成形された基板上に形成可能である。
【0083】
図6に移ると、図6は、本発明の実施形態による、OLED300を製造する例示的方法600を説明するフローチャートである。方法600を説明するために、図3を参照するが、方法600は、他の適切なデバイスを製造するために実行可能であることは理解されるであろう。さらに、本発明は、方法600でリストされるステップの順序に限定されない。さらに、方法600は、図6で示すものより多い又はより少ないステップ数を含んでもよい。
【0084】
OLED300を製造する方法600は、ステップ602で開始される。ステップ604では、透明基板302が提供される。この後に、ステップ606では、外部光取り出し層304が透明基板302の発光側に堆積される。外部光取り出し層304は、ブラシ又はローラー、ディスペンシング、スロットダイコーティング、スピン-コーティング、スプレーコーティング、種々の複製技術、射出成形又は印刷を用いることによって堆積可能である。一実施形態では、バリア層202に類似した層は、外部光取り出し層304として働くことができる。
【0085】
この後に、ステップ608では、内部光取り出し層305が透明基板302の他方の側面に堆積される。内部光取り出し層305は、ブラシ又はローラー、ディスペンシング、スロットダイコーティング、スピン-コーティング、スプレーコーティング、種々の複製技術、射出成形又は印刷を用いることによって堆積可能である。一実施形態では、バリア層202は、内部光取り出し層305として働くことができる。バリア層202の表面プロファイルが本質的に波状であるので、これは透明基板302のアクティブ表面を増大させ、表面エリア当たりの強度を高めるであろう。
【0086】
その後、ステップ610では、バリア層202が内部光取り出し層305上に形成される。バリア層202は、スパッタリング、エバポレーション、化学気相堆積、プラズマCVD、昇華、電子サイクロトロン共鳴-プラズマCVD、物理気相堆積、原子層堆積、及びこれらの組み合わせの何れか1つによって形成可能である。バリア層202の波状表面プロファイルは、OLED300の他の層の堆積の後でさえ維持されることを理解すべきである。
【0087】
ステップ612では、第一電極306がバリア層202上に堆積される。第一電極306用の材料は、どんな透明導電材料(例えば、インジウム酸化スズ(ITO)又は酸化亜鉛のような透明導電酸化物(TCO))であってもよい。第一電極306は、種々の方法(例:ディップコーティング、スピンコーティング、ドクターブレード、スプレーコーティング、スクリーン印刷、スパッタリング、ガラスマスタリング、フォトレジストマスタリング、エレクトロフォーミング、及びエバポレーション)を用いることによって堆積可能である。一実施形態では、第一電極306は、アノードとして働く。
【0088】
その後、ステップ614では、1又は複数の半導体層308及び310が第一電極306上に堆積される。1又は複数の半導体層308及び310は、種々の方法(例:ディップコーティング、スピンコーティング、ドクターブレード、スプレーコーティング、スクリーン印刷、スパッタリング、ガラスマスタリング、フォトレジストマスタリング、全ての種類のCVD、エレクトロフォーミング、及びエバポレーション)を用いることによって堆積可能である。
【0089】
この後に、ステップ616では、第二電極312が堆積される。第二電極312用の材料は、いずれの導電材料(例えば、インジウム酸化スズ(ITO)又は酸化亜鉛のような透明導電酸化物(TCO)、電子注入層を有するアルミニウム又は銀)であってもよい。第二電極312は、種々の方法(例:ディップコーティング、スピンコーティング、ドクターブレード、スプレーコーティング、スクリーン印刷、スパッタリング、ガラスマスタリング、フォトレジストマスタリング、全ての種類のCVD、エレクトロフォーミング、及びエバポレーション)を用いることによって堆積可能である。一実施形態では、第二電極312は、カソードとして役立つ。一実施形態では、カバー基板がステップ616の後に、第二電極上に堆積される。カバー基板は、バリア層202との間に第一電極306、1又は複数の半導体層308及び310、第二電極312を封じ込めることができる。
【0090】
その後、方法600がステップ618で完了する。
【0091】
図7に移ると、図7は、本発明の実施形態による、光電デバイス400を製造する例示的方法700を説明するフローチャートである。方法700を説明するために、図4を参照するが、方法700は、他の適切なデバイスを製造するために実行可能であることは理解されるであろう。さらに、本発明は、方法700にリストされる工程の順序に限定されない。さらに、方法700は、図7に示すものより多い又はより少ないステップ数を含んでもよい。
【0092】
光電デバイス400を製造する方法700は、ステップ702で開始される。ステップ704では、基板402が提供される。この後に、ステップ706では、粘性硬化材料層404が基板402の平坦な表面上に堆積される。粘性硬化材料は、ブラシ又はローラー、ディスペンシング、スロットダイコーティング、スピン-コーティング、スプレーコーティング、射出成形、本発明からの必要な表面プロファイルを形成するための複製技術又は印刷を用いることによって堆積可能である。
【0093】
ステップ708では、バリア層202が粘性硬化材料層404上に形成される。バリア層202は、スパッタリング、エバポレーション、化学気相堆積、プラズマCVD、昇華、電子サイクロトロン共鳴-プラズマCVD、物理気相堆積、原子層堆積、及びこれらの組み合わせの何れか1つによって形成可能である。バリア層202の波状表面プロファイルは、光電デバイス400の他の層の堆積の後でさえ維持されることを理解すべきである。バリア層202は、水、酸素、光電デバイス400の製造の後工程の間又は光電デバイス400の実際の使用の間に粘性硬化材料及び基板402によって放出される流体又は溶媒に対して不透過である。従って、バリア層202は、外部から入ってくる水、酸素及び粘性硬化材料及び/又は基板402によって放出される流体又は溶媒の他の堆積層への悪影響を防ぐ。さらにバリア層202の波状表面プロファイルは、光電デバイス400の半導体層の光トラッピング能力を可能にし、これを高める。表面プロファイルは、光の散乱及び回折を助け、従って、光電デバイス400を通る光路を増大させ、従って、光電デバイス400の半導体層によって光の吸収の機会を増大させる。
【0094】
その後、ステップ710では、TCOの第一層406がバリア層202上に堆積される。TCOの第一層406は、種々の方法(例:ディップコーティング、スピンコーティング、ドクターブレード、スプレーコーティング、スクリーン印刷、スパッタリング、ガラスマスタリング、フォトレジストマスタリング、エレクトロフォーミング、全ての種類のCVD、及びエバポレーション)を用いることによって堆積可能である。その後、ステップ712では、複数の半導体層がTCOの第一層406上に堆積される。これらの複数の半導体層は、p型半導体の第一層408、p型半導体の第二層410、バッファー層412、i型半導体層414、及びn型半導体層416を含むことができる。図4を用いて説明したように、半導体層は、p-i-n構造を形成するように堆積される。
【0095】
この後に、ステップ714では、TCOの第二層418が複数の半導体層上に堆積される。一実施形態では、カバー基板をTCOの第二層418上に提供してもよい。カバー基板は、バリア層202との間にTCOの第一層406、複数の半導体層408、410、412、414及び416、TCOの第二層418を封じ込めることができる。別の実施形態では、カバー基板による封入の前に銀層420、及びアルミニウム層422をTCOの第二層418上に堆積してもよい。方法700は、ステップ716で完了する。
【0096】
上記の種々の実施形態は、水分、酸素、他のガス、溶媒及び揮発性有機化合物の透過性を防ぐことができ、且ついくつかの利点を有するバリア層を提供する。このバリア層のいくつかの実施形態のいくつかの利点の一つは、2つの異なる方向での2つのセットの波形が提供され、微小スケールで予備成形された波形の屈曲によってバリア層が面内で全ての方向に巨視的なスケールで伸縮し、熱応力、メカニカル応力、及び他の種類のメカニカル負荷に耐えることをを可能にすることである。さらに、バリア層が応力で破損しないので、バリア層のバリア性が向上する。OLEDでのバリア層と同様に使用されることに加えて、本発明のバリア層は、OLEDでの光取り出し要素として使用可能である。さらに、本発明のバリア層は、薄膜太陽電池バリア層で使用され、さらに薄膜又は有機太陽電池での光トラッピング層として使用可能である。
【0097】
好ましい実施形態に基づいて本発明の開示を行ってきたが、種々の修正及び改良は、当業者に明らかになるであろう。従って、本発明の精神及び範囲は、前記例によって制限されず、法律によって許容される最も広い意味で理解される。
本明細書中で参照した全ての文献は、ここに参照取り込みされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分、酸素、他のガス、溶媒及び揮発性有機化合物の侵入を防ぐことができるバリア層であって、前記バリア層は、非波状表面、直線及び鋭いエッジが存在しないことによって特徴付けられる表面プロファイルを有し、前記表面プロファイルは、熱応力、メカニカル応力、及び隣接した基板又は層の変形によって生じる負荷の少なくとも1つに応じて屈曲し、それによって前記バリア層が前記バリア層の前記表面プロファイルに沿った面において全ての方向で伸縮し、前記バリア層の割れを防ぐことを可能にする、バリア層。
【請求項2】
請求項1のバリア層であって、前記バリア層用の材料は、金属、半導体、金属酸化物、半導体-酸化物金属フッ化物、金属窒化物、半導体-窒化物、金属炭化物、半導体炭化物、金属炭窒化物、半導体炭窒化物、金属酸窒化物、半導体酸窒化物、金属ホウ化物、半導体ホウ化物、金属酸ホウ化物(oxyboride)、半導体酸ホウ化物(oxyboride)及びこれらの組み合わせから選択される、バリア層。
【請求項3】
請求項1のバリア層であって、前記バリア層は、有機発光ダイオードでの光取り出し層として使用可能である、バリア層。
【請求項4】
請求項1のバリア層であって、前記バリア層は、薄膜光電デバイス及び有機光電デバイスの一つでの光トラッピング層として使用可能である、バリア層。
【請求項5】
請求項1のバリア層であって、前記表面プロファイルエングレービング、ミリング、自発的座屈、干渉リソグラフィー及び他のリソグラフィー方法から選択されたプロセスを用いて生成される、バリア層。
【請求項6】
請求項1のバリア層であって、前記バリア層の厚さ5nm〜500nmの範囲であるバリア層。
【請求項7】
請求項1のバリア層であって、前記バリア層は、前記隣接した基板又は層スパッタリング、エバポレーション、化学気相堆積、プラズマCVD、昇華、電子サイクロトロン共鳴-プラズマCVD、物理気相堆積、原子層堆積、及びこれらの組み合わせから選択されたプロセスを用いて形成される、バリア層。
【請求項8】
請求項1のバリア層であって、前記表面プロファイルは、少なくとも前記表面プロファイルに沿った第1方向での第1セットの所定の波形及び前記表面プロファイルに沿った第2方向での第2セットの所定の波形によって定義される、バリア層。
【請求項9】
請求項8のバリア層であって、前記第1セットの所定の波形は、第一正弦波プロファイルで定義され、前記第2セットの所定の波形は、第二正弦波プロファイルで定義される、バリア層。
【請求項10】
請求項9のバリア層であって、前記第一正弦波プロファイル及び前記第二正弦波プロファイルの波長は、80nm〜80マイクロメートルの範囲であり、波高は、10nm〜80マイクロメートルの範囲である、バリア層。
【請求項11】
請求項9のバリア層であって、前記第一正弦波プロファイル及び前記第二正弦波プロファイルの少なくとも1つは、等式z = A sin x + B sin yによって表され、さらに'A'及び'B'は、同一でなく、'x'及び'y'は、それぞれ、前記表面プロファイルのxy面上でのx及びy座標である、バリア層。
【請求項12】
請求項8のバリア層であって、前記第1方向及び前記第2方向は、互いに垂直である、バリア層。
【請求項13】
水分、酸素、他のガス、溶媒及び揮発性有機化合物の侵入を防ぐことができるバリア層であって、前記バリア層は、非波状表面、直線及び鋭いエッジが存在しないことによって特徴付けられる表面プロファイルを有し、前記表面プロファイルは、少なくとも前記表面プロファイルに沿った第1方向での第1セットの所定の波形及び前記表面プロファイルに沿った第2方向での第2セットの所定の波形によって定義され、前記表面プロファイルは、熱応力、メカニカル応力、及び隣接した基板又は層の変形によって生じる負荷の少なくとも1つに応じて屈曲し、それによってを可能にする前記バリア層が前記バリア層の前記表面プロファイルに沿った面において全ての方向で伸縮し、前記バリア層の割れを防ぐ、バリア層。
【請求項14】
請求項13のバリア層であって、前記第1セットの所定の波形は、第一正弦波プロファイルで定義され、前記第2セットの所定の波形は、第二正弦波プロファイルで定義される、バリア層。
【請求項15】
請求項14のバリア層であって、前記第一正弦波プロファイル及び前記第二正弦波プロファイルの波長は、80nm〜80マイクロメートルの範囲であり、波高は、10nm〜80マイクロメートルの範囲である、バリア層。
【請求項16】
請求項14のバリア層であって、前記第一正弦波プロファイル及び前記第二正弦波プロファイルの少なくとも1つは、等式z = A sin x + B sin yによって表され、'A'及び'B'は、同一でなく、'x'及び'y'は、それぞれ、前記表面プロファイルのxy面上でのx及びy座標である、バリア層。
【請求項17】
請求項13のバリア層であって、前記第1方向及び前記第2方向は、互いに垂直である、バリア層。
【請求項18】
請求項13のバリア層であって、前記バリア層の厚さは、5nm〜500nmの範囲である、バリア層。
【請求項19】
請求項13のバリア層であって、前記バリア層は、有機発光ダイオードでの光取り出し層として使用可能であり、前記バリア層は、薄膜光電デバイス及び有機光電デバイスの一つでの光トラッピング層として使用可能である、バリア層。
【請求項20】
(a)透明基板と、
(b)前記透明基板上に提供される光管理層と、
(c)前記光管理層上に提供されるバリア層とを備え、前記バリア層は、水分、酸素、他のガス、溶媒及び揮発性有機化合物の侵入を防ぐことができ、
前記バリア層は、非波状表面、直線及び鋭いエッジが存在しないことによって特徴付けられる表面プロファイルを有し、前記表面プロファイルは、少なくとも前記表面プロファイルに沿った第1方向での第1セットの所定の波形及び前記表面プロファイルに沿った第2方向での第2セットの所定の波形によって定義され、前記表面プロファイルは、熱応力、メカニカル応力、及び隣接した基板又は層の変形によって生じる負荷の少なくとも1つに応じて屈曲し、それによって前記バリア層が前記バリア層の前記表面プロファイルに沿った面において全ての方向で伸縮し、前記バリア層の割れを防ぐことを可能にし、
(d)前記バリア層上に提供される第一電極と、
(e)前記第一電極上に提供される1又は複数の半導体層と、
(f)前記1又は複数の半導体層上に提供される第二電極と、
(g)前記基板と前記カバー基板の間に前記光管理層、前記バリア層、前記第一電極、前記1又は複数の半導体層及び前記第二電極を封入するカバー基板を備える、電子デバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−204342(P2012−204342A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−49287(P2012−49287)
【出願日】平成24年3月6日(2012.3.6)
【出願人】(508064610)モーザー ベイアー インディア リミテッド (13)
【Fターム(参考)】