説明

バリア機構、およびレンズ鏡筒

【課題】レンズ鏡筒に搭載した際に、レンズ鏡筒の径方向の寸法を大きくすることなく、レンズ鏡筒の光軸方向の小型化(薄型化)を図ることができるバリア機構を提供する。
【解決手段】レンズ鏡筒の沈胴動作にしたがって、回動部材107が時計回りの方向へ回動される。回動部材107の回動力は、ベース部材104のボール支持孔にそれぞれ支持され、回動部材107に当接している第1の駆動用ボール105の当接部に摩擦力(第1の摩擦力)を生じさせ、第1の駆動用ボール105を回転させる。この回転が、回動部材107とは反対側で第1の駆動用ボール105と当接する上半バリア羽根103aおよび下半バリア羽根103bとの当接部にさらなる摩擦力(第2の摩擦力)を生じさせ、上半バリア羽根103aおよび下半バリア羽根103bをそれぞれラジカル方向へ移動させ、バリア羽根を閉じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カメラなどの光学装置に搭載されたレンズを保護するためのバリア機構、およびこのバリア機構を備えたレンズ鏡筒に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、カメラなどの光学装置に搭載されたレンズを保護するためのバリア機構が数多く提案されている(たとえば、特許文献1,2を参照。)。
【0003】
特許文献1に記載のバリア機構は、レンズバリアが、レンズ鏡筒本体の軸心上の点を中心とする部分球殻状で、上下に二分割の上半バリア部と下半バリア部とを有し、中心を通り軸心と直交する軸の回りに回動させて開閉するようになっている。すなわち、副リングに設けた突起状ア−ム部によって各バリア部の軸支部を相反する上下方向に回動させることによってレンズバリアの開閉を行う。
【0004】
また、特許文献2に記載のバリア機構は、カメラの沈胴時にはバリア機構のバリア羽根を閉位置に移動させ、カメラの使用時にはバリア機構のバリア羽根を開位置に移動させてバリア機構を撮像側に移動させることによって、焦点距離のワイド化とレンズ鏡筒の径方向の小型化を実現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−258133号公報
【特許文献2】特開平7−225409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のバリア機構では、カメラの沈胴時におけるレンズ鏡筒の小型化(薄型化)は図れる。しかしながら、バリア機構のバリア羽根を開位置に退避した際に、バリア羽根を格納するためのスペースを確保しなければならず、他の部材の配置スペースが制約されレンズ鏡筒の設計自由度が落ちるという問題があった。加えて、当該バリア機構を備えたレンズ鏡筒の径方向における小型化が妨げられるという問題もあった。
【0007】
また、特許文献2に記載のバリア機構では、カメラの使用時における焦点距離のワイド化を実現することができるとともに光学系の有効口径を狭くすることなくレンズ鏡筒の径方向の小型化が図れる。しかしながら、カメラの沈胴時に、バリア機構を繰出してバリア羽根を閉位置に移動させるため、当該バリア機構を備えたレンズ鏡筒の光軸方向における小型化(薄型化)が妨げられるという問題があった。
【0008】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、レンズ鏡筒に搭載した際に、レンズ鏡筒の径方向の寸法を大きくすることなく、レンズ鏡筒の光軸方向の小型化(薄型化)を図ることができるバリア機構を提供することを目的とする。また、当該バリア機構を備えたレンズ鏡筒を提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、この発明にかかるバリア機構は、バリア羽根と、光軸を中心として回動可能な回動部材と、前記回動部材の回動による回動力を前記バリア羽根に伝達する回転体と、前記バリア羽根を回動可能に支え、かつ前記回転体を支持するベース部材と、を備え、前記回転体は、前記回動部材の回動による回動力を前記バリア羽根に伝達することにより、前記バリア羽根を開位置および閉位置に移動させることを特徴とする。
【0010】
さらに、この発明にかかるバリア機構は、前記回転体が、前記回動部材と前記バリア羽根との間に配置されて、前記回動部材および前記バリア羽根とにそれぞれ当接され、前記回動部材の回動により、前記回動部材と前記回転体との当接部に前記回転体を回転させる第1の摩擦力を発生させ、前記回転体と前記バリア羽根との当接部に前記バリア羽根を駆動させる第2の摩擦力を発生させることを特徴とする。
【0011】
さらに、この発明にかかるバリア機構は、前記バリア羽根の被写体側に配置されるカバー板と、前記カバー板に支持されるとともに、前記バリア羽根と当接する第2の回転体と、を備え、前記第2の回転体は、前記バリア羽根の駆動に伴って回転することを特徴とする。
【0012】
さらに、この発明にかかるバリア機構は、前記第1の回転体と前記第2の回転体とは、前記バリア羽根を中間に挟持しつつ光軸と平行な一直線上に配置されていることを特徴とする。
【0013】
さらに、この発明にかかるバリア機構は、前記第2の回転体の被写体側面と当接させて、前記第2の回転体の回転動作を安定させる規制部材を備えていることを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかるレンズ鏡筒は、前記バリア機構と、レンズと、前記回動部材より像側に配置され、前記バリア羽根の駆動を干渉しない位置に前記レンズを保持するレンズ保持部材と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
この発明にかかるバリア機構によれば、レンズ鏡筒に搭載した際に、レンズ鏡筒の径方向の寸法を大きくすることなく、レンズ鏡筒の光軸方向の小型化(薄型化)を図ることができるという効果を奏する。また、この発明にかかるレンズ鏡筒によれば、前述のようなバリア機構を備えることで、径方向に大型化することなく、光軸方向の小型化(薄型化)を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態1にかかるバリア機構の構成を説明するための被写体側から見た分解斜視図である。
【図2】実施の形態1にかかるバリア機構の構成を説明するための光学装置本体側から見た分解斜視図である。
【図3】実施の形態1にかかるバリア機構を備えたレンズ鏡筒の構成を説明するための被写体側から見た分解斜視図である。
【図4】実施の形態1にかかるバリア機構を備えたレンズ鏡筒の組み立て手順を説明するための図である。
【図5】実施の形態1にかかるバリア機構を備えたレンズ鏡筒の組み立て手順を説明するための図である。
【図6】実施の形態1にかかるバリア機構を備えたレンズ鏡筒の組み立て手順を説明するための図である。
【図7】実施の形態1にかかるバリア機構の構成を示す被写体側から見た正面図である。
【図8】実施の形態1にかかるバリア機構を搭載したレンズ鏡筒の構成を示す光軸に沿う断面図(バリア羽根の開状態:光学装置使用時)である。
【図9】実施の形態1にかかるバリア機構を搭載したレンズ鏡筒の構成を示す光軸に沿う断面図(バリア羽根の閉状態:沈胴時)である。
【図10】実施の形態2にかかるバリア機構が搭載されたレンズ鏡筒の構成を示す部分断面図である。
【図11】実施の形態3にかかるバリア機構が搭載されたレンズ鏡筒の構成を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、この発明にかかるバリア機構、およびレンズ鏡筒の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかるバリア機構の構成を説明するための被写体側から見た分解斜視図である。また、図2は、実施の形態1にかかるバリア機構の構成を説明するための光学装置本体側から見た分解斜視図である。両図において、左が被写体側、右が光学装置本体側である。図1および図2では、被写体側から順に、バリア機構100の構成部材である、化粧板101(カバー板)、第2の駆動用ボール102(第2の回転体)、バリア羽根103、ベース部材104、第1の駆動用ボール105(回転体)、付勢バネ106、および回動部材107を示している。このバリア機構100は、カメラなどの光学装置本体に搭載されるレンズ鏡筒の先端部に取り付けられ、レンズを保護するためのものである。
【0019】
バリア羽根103は、上半バリア羽根103aと下半バリア羽根103bとからなる。上半バリア羽根103a、下半バリア羽根103bには、それぞれを後述するベース部材のボスに取り付けるための嵌通孔103c,103dが形成されている。
【0020】
ベース部材104には、ボス104a,104bが設けられている。上半バリア羽根103aの嵌通孔103cと、下半バリア羽根103bの嵌通孔103dそれぞれに、ボス104a,104bで嵌通させることで、ボス104a,104bを中心にそれぞれ上半バリア羽根103a、下半バリア羽根103bが回動可能になる。また、ベース部材104には、第1の駆動用ボール105を支持するためのボール支持孔104c,104dが形成されている。これらボール支持孔104c,104dは、ボス104a,104bの近傍に形成されている。第1の駆動用ボール105は、ボール支持孔104c,104dに支持された状態で、上半バリア羽根103a、下半バリア羽根103bの光学装置本体側の面に当接する。また、ベース部材104には、付勢バネ106の一端部106aを取り付けるためのフック部104eが設けられている。さらに、ベース部材104には、後述するレンズ鏡筒本体にねじ206で固定するための嵌通孔104f,104gが形成されている。
【0021】
化粧板101には、それぞれ上半バリア羽根103aの嵌通孔103c、下半バリア羽根103bの嵌通孔103dから抜け出たボス104a,104bの上部を嵌通させるための嵌通孔101a,101bが形成されている。この嵌通孔101a,101bでボス104a,104bの上部を支えることで、ボス104a,104bで軸支される上半バリア羽根103a、下半バリア羽根103bがボス104a,104bから外れることなく回動可能になる。また、化粧板101には、第2の駆動用ボール102を支持するためのボール支持孔101c,101dが形成されている。ボール支持孔101c,101dは、それぞれ嵌通孔101a,101bの近傍で、上半バリア羽根103a、下半バリア羽根103bに対してボール支持孔104c,104dと線対称な位置に形成されることが好ましい。このようにすることで、上半バリア羽根103a、下半バリア羽根103bの回動が安定する(詳細は後述)。第2の駆動用ボール102は、それぞれボール支持孔101c,101dに支持された状態で、上半バリア羽根103a、下半バリア羽根103bの被写体側の面に当接する。さらに、化粧板101には、ねじ206で、ベース部材104とともに後述するレンズ鏡筒本体に固定するための嵌通孔101e,101fが形成されている。
【0022】
回動部材107には、付勢バネ106の他端部106bを取り付けるためのフック部107aが設けられている。このフック部107aとベース部材104のフック部104eに付勢バネ106を取り付けることにより、回動部材107はベース部材104に対して光軸を中心に常時半時計回りの方向に付勢されることになる。また、この回動部材107には、後述する縦溝筒の溝部に嵌合させるためのレバー部107bが設けられている。
【0023】
次に、実施の形態1にかかるバリア機構を備えたレンズ鏡筒の組み立て手順を説明する。図3は、実施の形態1にかかるバリア機構を備えたレンズ鏡筒の構成を説明するための被写体側から見た分解斜視図である。また、図4〜図6は、実施の形態1にかかるバリア機構を備えたレンズ鏡筒の組み立て手順を説明するための図である。なお、図3〜図6において、左が被写体側である。
【0024】
図3では、被写体側から順に、レンズ鏡筒200の構成部材である、化粧リング201(規制部材)、バリア機構100、レンズ202、レンズ保持部材203、レンズ鏡筒本体204、および縦溝筒205が示されている。レンズ鏡筒本体204には、バリア機構100を固定するための固定穴204a,204bが形成されている。また、縦溝筒205には、回動部材107のレバー部107bと嵌合させるための溝部205aが形成されている。
【0025】
まず、付勢バネ106の一端部106aをベース部材104のフック部104eに取り付けるとともに、付勢バネ106の他端部106bを回動部材107のフック部107aに取り付け、回動部材107をベース部材104の光学装置側に配置する。このようにすることで、回動部材107はベース部材104に対して光軸を中心に常時半時計回りの方向に付勢されることになる。続けて、第1の駆動用ボール105を、ベース部材104のボール支持孔104c,104dに嵌め込む。第1の駆動用ボール105は、それぞれボール支持孔104c,104dに支持された状態で、回動部材107の被写体側の面に当接するようになる。次に、ベース部材104のボス104a,104bに、それぞれ上半バリア羽根103aの嵌通孔103cと、下半バリア羽根103bの嵌通孔103dを取り付ける。このとき、第1の駆動用ボール105は、それぞれボール支持孔104c,104dに支持された状態で、上半バリア羽根103a、下半バリア羽根103bの光学装置本体側の面に当接するようになる。次に、上半バリア羽根103aの嵌通孔103c、下半バリア羽根103bの嵌通孔103dから抜け出たボス104a,104bの上部を、それぞれ化粧板101の嵌通孔101a,101bに嵌め込む。次に、第2の駆動用ボール102を、化粧板101のボール支持孔101c,101dに嵌め込む。このとき、第2の駆動用ボール102は、それぞれボール支持孔101c,101dに支持された状態で、上半バリア羽根103a、下半バリア羽根103bの被写体側の面に当接する。
【0026】
次に、レンズ202をレンズ保持部材203で保持してレンズ鏡筒本体204に収容する。続いて、ねじ206を、化粧板101の嵌通孔101eとベース部材104の嵌通孔104fに嵌通させて固定穴204aに螺合する。また、ねじ206を、化粧板101の嵌通孔101fとベース部材104の嵌通孔104gに嵌通させて固定穴204bに螺合する。そして、縦溝筒205をレンズ鏡筒本体204の光学装置側から嵌め込む。このときの状態を示すのが図4である。また、このとき、図5に示すように、縦溝筒205の溝部205aと回動部材107のレバー部107bとが嵌合するように、縦溝筒205をレンズ鏡筒本体204に嵌め込む。最後に、図6に示すように、化粧リング201をレンズ鏡筒本体204の先端部(被写体側)に取り付ける。これにより、化粧板101のボール支持孔101c,101dで支持されている第2の駆動用ボール102の被写体側面と化粧リング201とを当接させて、第2の駆動用ボール102の回転動作を安定させることができる。
【0027】
次に、このバリア機構100の動作について説明する。図7は、実施の形態1にかかるバリア機構の構成を示す被写体側から見た正面図である。図8は、実施の形態1にかかるバリア機構を搭載したレンズ鏡筒の構成を示す光軸に沿う断面図(バリア羽根の開状態:光学装置使用時)である。また、図9は、実施の形態1にかかるバリア機構を搭載したレンズ鏡筒の構成を示す光軸に沿う断面図(バリア羽根の閉状態:沈胴時)である。
【0028】
図7において、実線で示された上半バリア羽根103a、下半バリア羽根103bはバリア羽根103の開状態、破線で示された上半バリア羽根103a、下半バリア羽根103bはバリア羽根103の閉状態を示している。図7に示すように、回動部材107は光軸を中心としてベース部材104に対して回動可能になっており、光学装置使用時には、付勢バネ106により、ベース部材104に対して反時計回りの方向に付勢され、バリア羽根103が開いた状態に保持される。
【0029】
これに対して、沈胴時(光学装置不使用時)には、レンズ鏡筒200の沈胴動作にしたがって、縦溝筒205が図7の時計回りの方向に回転し、これにより縦溝筒205の溝部205aに嵌合している回動部材107のレバー部107bに対して縦溝筒205と同方向へ力を及ぼし、回動部材107を縦溝筒205と同方向へ光軸を中心に回動させる。この回動力は、ベース部材104のボール支持孔104c,104dにそれぞれ支持され、回動部材107の被写体側に当接している第1の駆動用ボール105の当接部に摩擦力(第1の摩擦力)を生じさせ、第1の駆動用ボール105を回転させる。この回転が、回動部材107とは反対側で第1の駆動用ボール105と当接する上半バリア羽根103aおよび下半バリア羽根103bとの当接部にさらなる摩擦力(第2の摩擦力)を生じさせ、上半バリア羽根103aおよび下半バリア羽根103bをそれぞれラジカル方向へ移動させ、バリア羽根を閉じる。一方、上半バリア羽根103aおよび下半バリア羽根103bの被写体側面も、化粧板101のボール支持孔101c,101dに支持されている第2の駆動用ボール102に当接している。このため、上半バリア羽根103aおよび下半バリア羽根103bの駆動時には、第2の駆動用ボール102におけるそれぞれ上半バリア羽根103aおよび下半バリア羽根103bとの当接部に摩擦力が生じる。第2の駆動用ボール102は上半バリア羽根103aおよび下半バリア羽根103bの移動にしたがって回転することで、上半バリア羽根103aおよび下半バリア羽根103bに対して余計な摩擦力を発生させることなく、上半バリア羽根103aおよび下半バリア羽根103bのスムーズで安定した駆動を保障する。なお、バリア羽根103を開く動作は、縦溝筒205を図7において反時計回りの方向へ回転させることで行われる。このときの動作は、上記とは逆方向となること以外は同様であるため、説明は省略する。
【0030】
以上説明したように、実施の形態1にかかるバリア機構では、第1の駆動用ボール105の摩擦力でバリア羽根103を駆動させるため、バリア羽根103を閉位置に移動させる途中で、使用者の指がバリア羽根103に挟まれてしまった場合、第1の駆動用ボール105は空回りして、第2の駆動用ボール102に回動力が伝達されず、バリア羽根103の動作が止まる。したがって、万一使用者の指がバリア羽根103に挟まれたとしても、怪我をするようなことはなく、安全である。
【0031】
これにより、従来一般的であった、指挟みを防止するためにベース部材104と回動部材107との間に配置される連動環および回動部材と連動環とを連動する連動付勢バネを廃止することが可能になるので、部品点数の削減が可能になり、製造コストを低減することができる(図8、図9を参照)。したがって、実施の形態1によれば、連動環が不要になった分だけ、レンズ鏡筒の光軸方向の小型化(薄型化)が可能になる。しかも、第1の駆動用ボール105は、従来と同じ大きさのベース部材104に形成されたボール支持孔104c,104dに支持されているので、径方向の大型化を招くこともない。
【0032】
また、従来必須であった連動環を廃止することができるようになったことで、レンズ鏡筒200の先端部からレンズ202までの距離を従来より短くして、レンズ202の被写体側面をレンズ鏡筒200の先端部に近づけることができるようになった。この結果、従来に比べ、より広角化を図ることができる。また、図8、図9に示したように、レンズ保持部材203は、回動部材107より像側(光学装置本体側)に配置され、上半バリア羽根103aおよび下半バリア羽根103bの駆動を干渉しない位置にレンズ202を保持している。したがって、バリア羽根103のスムーズな駆動が可能になる。
【0033】
なお、実施の形態1では、回動部材107の回動力を効率よくバリア羽根103に伝達し、バリア羽根103の駆動を安定して実現するために、回動部材107の回動力の伝達部材としての第1の駆動用ボール105を上半バリア羽根103aおよび下半バリア羽根103bの回転軸であるボス104a,104bの近傍に配置した。しかしながら、回動部材107の回動力を効率よくバリア羽根103に伝達できるのであれば、第1の駆動用ボール105の配置位置は特に限定されない。また、第1の駆動用ボール105の形状も球体に限らず、回動部材107の回動力を効率よくバリア羽根103に伝達できる形状であればどのようなものであってもよい。たとえば円柱形状のものであっても差し支えない。さらに、第2の駆動用ボール102の配置位置も、実施の形態1に示したように、バリア羽根103に対して第1の駆動用ボール105と線対称となる位置に配置することが、バリア羽根103のスムーズで安定した駆動を保障するためには最も理想的である。しかしながら、バリア羽根103のスムーズな駆動に支障がなければ、第2の駆動用ボール102の配置位置も特に限定されることはない。
【0034】
(実施の形態2)
実施の形態1に示したように、第2の駆動用ボール102を化粧板101で支持し、第2の駆動用ボール102とバリア羽根103の被写体側面とが当接するような構成を採用すれば、バリア羽根103の駆動がスムーズで安定する。しかしながら、化粧板101の材質がバリア羽根103との間で余計な摩擦力を生じ、バリア羽根103の駆動に支障をきたすようなことがなければ、あえて第2の駆動用ボール102を設ける必要はない。そこで、実施の形態2では、第2の駆動用ボール102を設けない例を示す。
【0035】
図10は、実施の形態2にかかるバリア機構が搭載されたレンズ鏡筒の構成を示す部分断面図である。図10に示すように、このバリア機構300では、第2の駆動用ボール102を設けていない。したがって、化粧板101に、第2の駆動用ボール102を支持するためのボール支持孔101c,101dも形成していない。この他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0036】
(実施の形態3)
実施の形態1に示したように、第2の駆動用ボール102を化粧板101で支持し、化粧リング201をレンズ鏡筒本体204の先端部(被写体側)に取り付け、第2の駆動用ボール102とバリア羽根103の被写体側とが当接するような構成を説明した。しかしながら、実施の形態3では、化粧板だけで第2の駆動用ボール102を支持しつつ、第2の駆動用ボール102の光軸方向への移動を規制することが可能な例を示す。
【0037】
図11は、実施の形態3にかかるバリア機構が搭載されたレンズ鏡筒の構成を示す部分断面図である。図11に示すように、このバリア機構400では、化粧板401の像面側(光学装置本体側)に形成された凹部401aに第2の駆動用ボール102を嵌め込むことで、第2の駆動用ボール102を支持しつつ、第2の駆動用ボール102の光軸方向への移動を規制することが可能になる。この他の構成は、実施の形態1および実施の形態2と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上のように、この発明にかかるバリア機構、およびレンズ鏡筒は、カメラなどの光学装置に有用であり、特に、光軸方向の小型化が要求される光学装置に適している。
【符号の説明】
【0039】
100,300,400 バリア機構
101,401 化粧板(カバー板)
101a,101b,101e,101f,103c,103d,104f,104g 嵌通孔
101c,101d,104c,104d ボール支持孔
102 第2の駆動用ボール(第2の回転体)
103 バリア羽根
103a 上半バリア羽根
103b 下半バリア羽根
104 ベース部材
104a,104b ボス
104e,107a フック部
105 第1の駆動用ボール(回転体)
106 付勢バネ
106a 一端部
106b 他端部
107 回動部材
107b レバー部
200 レンズ鏡筒
201 化粧リング(規制部材)
202 レンズ
203 レンズ保持部材
204 レンズ鏡筒本体
204a,204b 固定穴
205 縦溝筒
205a 溝部
206 ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バリア羽根と、
光軸を中心として回動可能な回動部材と、
前記回動部材の回動による回動力を前記バリア羽根に伝達する回転体と、
前記バリア羽根を回動可能に支え、かつ前記回転体を支持するベース部材と、
を備え、
前記回転体は、前記回動部材の回動による回動力を前記バリア羽根に伝達することにより、前記バリア羽根を開位置および閉位置に移動させることを特徴とするバリア機構。
【請求項2】
前記回転体は、前記回動部材と前記バリア羽根との間に配置されて、前記回動部材および前記バリア羽根とにそれぞれ当接され、
前記回動部材の回動により、前記回動部材と前記回転体との当接部に前記回転体を回転させる第1の摩擦力を発生させ、前記回転体と前記バリア羽根との当接部に前記バリア羽根を駆動させる第2の摩擦力を発生させることを特徴とする請求項1に記載のバリア機構。
【請求項3】
前記バリア羽根の被写体側に配置されるカバー板と、
前記カバー板に支持されるとともに、前記バリア羽根と当接する第2の回転体と、
を備え、
前記第2の回転体は、前記バリア羽根の駆動に伴って回転することを特徴とする請求項1また2に記載のバリア機構。
【請求項4】
前記第1の回転体と前記第2の回転体とは、前記バリア羽根を中間に挟持しつつ光軸と平行な一直線上に配置されていることを特徴とする請求項3に記載のバリア機構。
【請求項5】
前記第2の回転体の被写体側面と当接させて、前記第2の回転体の回転動作を安定させる規制部材を備えていることを特徴とする請求項3または4に記載のバリア機構。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つに記載のバリア機構と、
レンズと、
前記回動部材より像側に配置され、前記バリア羽根の駆動を干渉しない位置に前記レンズを保持するレンズ保持部材と、
を備えていることを特徴とするレンズ鏡筒。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−257566(P2011−257566A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131525(P2010−131525)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000133227)株式会社タムロン (355)
【Fターム(参考)】