説明

バリヤーフィルムとそれを製造および使用する方法

改良されたバリヤー性を有する単層および多層フィルムが提供される。その単層フィルムは、2つの成分:(1)線状低密度ポリエチレンおよび(2)プロピレンをベースとするポリマー、高密度ポリエチレン、およびそれらの組合せ、のブレンドである。そのプロピレンをベースとするポリマーは、プロピレンホモポリマー、プロピレン/α−オレフィンインターポリマー、プロピレン/エチレンインターポリマー、またはプロピレン/エチレンコポリマーである。該多層フィルムは、2つの外層の間に位置する内層を有する。その内層は、次の:高密度ポリエチレンおよび/または前述のプロピレンをベースとするポリマーのいずれか、の1つまたは複数からなる。その外層は、同じかまたは異なるものであり得、以下のもの:線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、および前述のプロピレンをベースとするポリマーのいずれか、の1つまたは複数からなる。本件のフィルムは、特にバレージ用途のための改善された酸素バリヤー性を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2008年10月1日に出願された欧州特許出願第08382039.9号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーフィルムは、包装において広い用途を有しており、何故ならポリマーフィルムの特性を、所望される最終用途のために調整することができるからである。オーバーラップフィルムは、例えば、商品、食料品、飼料作物およびバレージを包装するために使用される。かかる用途において該オーバーラップフィルムは、優れたバリヤー性、優れた機械的、くっつき、およびストレッチ性、良好な靭性、ならびにパンクチャー、衝撃、および引裂きに対する強い耐性を有することが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
当該技術は、改良されたバリヤー性、靭性、引裂き、パンクチャー、および衝撃耐性を有しており、同時に包装・ラッピング機で使用するための柔軟性および弾力性を提供する包装フィルムに対する持続的な関心および必要性を維持している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、改良されたバリヤー性を有する単層および多層フィルムを対象とする。本件のフィルムは、また、包装用途および特にストレッチ包装に適する機械的引裂き、衝撃、パンクチャー、および加工性の特性も有する。実施形態において、フィルムが提供される。該フィルムは、第一成分と第二成分とのブレンドを含有する。その第一成分は線状低密度ポリエチレンである。その第二成分は、プロピレンをベースとするポリマー、高密度ポリエチレン、およびそれらの組合せである。そのプロピレンをベースとするポリマーは、プロピレンホモポリマー、プロピレン/α−オレフィンインターポリマー、プロピレン/エチレンインターポリマー、プロピレン/エチレンコポリマー、およびそれらの組合せである。そのフィルムは約1ミクロンから約100ミクロンの厚さを有する。別の実施形態において、該フィルムは、ASTM D3985−05に従って測定して、10,800cc/m/24時間未満の酸素透過度を有する。
【0005】
本開示は、別のフィルムを提供する。実施形態において、多層フィルムが提供される。その多層フィルムは、第一の外層と第二の外層との間に位置する内層を有する。その内層は、高密度ポリエチレン、プロピレンホモポリマー、プロピレン/α−オレフィンインターポリマー、プロピレン/エチレンインターポリマー、プロピレン/エチレンコポリマー、およびそれらの組合せからなる。その第一の外層およびその第二の外層は、同じものか異なるものであり得る。それぞれの外層は、線状の低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、プロピレンホモポリマー、プロピレン/α−オレフィンインターポリマー、プロピレン/エチレンコポリマーおよびそれらの組合せからなる。少なくとも1つの外層の厚さは、該内層の厚さより大きい。別の実施形態において、該多層フィルムは、約10,800cc/m/24時間未満の酸素透過度を有する。
【0006】
実施形態において、ベールサイレージを製造する方法が提供される。その方法は、飼料作物のベール(bale、梱包)の周りにラッピングフィルムを巻き付けるステップと、そのラッピングフィルムによりそのベールの周りに気密性のバリヤーを形成するステップとを含む。この方法は、そのバリヤーを透過する酸素を10,800cc/m未満に抑えるステップを含む。
【0007】
該ラッピングフィルムは、ストレッチされているかストレッチされていない任意の実施形態の単層フィルムまたは任意の実施形態の多層フィルムであり得る。実施形態において、該方法は、ラッピングする間に該ラッピングフィルムをストレッチするステップを含む。
【0008】
実施形態において、該方法は、LLDPEからなるフィルムを用いる従来のベールサイレージのラッピング手順によって形成された気密性バリヤーの重量に基づいて約1重量%から約40重量%少ないフィルムにより気密性バリヤーを形成するステップを含む。
【0009】
本開示の1つの利点は、改良されたガスバリヤー性および/または遮水性を有する単層フィルムおよび/または多層フィルムを提供することである。
【0010】
本開示の1つの利点は、改良された酸素バリヤー性を有する単層フィルムおよび/または多層フィルムを提供することである。
【0011】
本開示の1つの利点は、バレージ用途に適する改良されたバリヤー性および衝撃、引裂き、およびパンクチャー耐性を有する単層フィルムおよび/または多層フィルムを提供することである。
【0012】
本開示の1つの利点は、従来のバレージラッピング装置を用いて使用することができる改良されたバリヤー性を有する単層のバレージ用ラッピングフィルムおよび/または多層のバレージ用ラッピングフィルムを提供することである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、改良されたガスバリヤー性を有する単層および多層フィルムを対象とする。本件のフィルムは、包装用途に対する望ましいストレッチ性およびくっつき性を提供し、さらに低い酸素透過度を提供する。
【0014】
実施形態において、フィルムが提供される。該フィルムは、第一成分と第二成分とのブレンドを含有する。その第一成分は、線状低密度ポリエチレンである。その第二成分は、プロピレンをベースとするポリマー、高密度ポリエチレン(HDPE)、およびそれらの組合せである。そのプロピレンをベースとするポリマーは、プロピレンホモポリマー、プロピレン/α−オレフィンインターポリマー、プロピレン/エチレンインターポリマー、およびそれらの組合せである。そのフィルムは約1ミクロンから約100ミクロンの厚さを有する。該フィルムは、ASTM D3985−05に従って測定して、10,800cc/m/24時間未満の酸素透過度(「OTR」)を有する。そのOTRは、約4,000cc/m/24時間から約10,000cc/m/24時間であり、約5,000cc/m/24時間から約9,000cc/m/24時間であり得る。
【0015】
該フィルムは、単層フィルムであるかまたは多層フィルムの層であり得る。該フィルムはストレッチされているものまたはストレッチされていなものであり得る。該フィルムは、約1μmから約100μm、または約20μmから約90μm、または約30μmから約80μmの厚さを有する。
【0016】
実施形態において、該フィルムは、約1ミクロンから約100ミクロン、または約10ミクロンから約50ミクロン、または約20から40ミクロン、または約25ミクロンの厚さを有する単層のストレッチされていないフィルムである。
【0017】
実施形態において、該フィルムは、約1ミクロンから約100ミクロン、または約5ミクロンから約50ミクロン、または約10ミクロンから30ミクロンの厚さを有する単層のストレッチされたフィルムである。該フィルムは、約1%から約200%、または約10%から約100%(ストレッチされる前のフィルムの長さに基づいて)ストレッチされる。
【0018】
該ブレンドは、第一成分(即ち、線状低密度ポリエチレン)と第二成分の1つだけの部材(即ち、HDPE、プロピレンホモポリマー、プロピレン/α−オレフィンインターポリマー、またはプロピレン/エチレンインターポリマーの1つ)とを含む2つのポリマーのブレンドであり得る。該ブレンドは、また、第一成分と、第二成分の2つまたは3つの部材との3つまたは4つのポリマーのブレンドであり得る。実施形態において、該ブレンドは、2成分のブレンド(即ち、第一成分+第二成分からの単一ポリマー)である。
【0019】
該第一成分は、線状の低密度ポリエチレンである。線状低密度ポリエチレン(「LLDPE」)は、そのLLDPEの全体重量に基づく大部分の重量パーセントのエチレンを、重合した形で含む。実施形態において、該LLDPEは、エチレンと少なくとも1つのエチレン性不飽和コモノマーとのインターポリマーである。一実施形態において、該コモノマーは、C〜C20α−オレフィンである。別の実施形態において、該コモノマーは、C〜Cα−オレフィンである。別の実施形態において、該C〜Cα−オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、または1−オクテンから選択される。実施形態において、該LLDPEは、次のコポリマー:エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/ブテンコポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、およびエチレン/オクテンコポリマーから選択される。さらなる実施形態において、該LLDPEは、エチレン/オクテンコポリマーである。
【0020】
該LLDPEは、約0.890g/ccから約0.940g/cc、または約0.91g/ccから約0.94g/ccの範囲の密度を有する。該LLDPEは、約0.1g/10分から約10g/10分、または約0.5g/10分から約5g/10分のメルトインデックス(MI)を有する。
【0021】
LLDPEは、チーグラーナッタ触媒、またはシングルサイト触媒、例えば、バナジウム触媒およびメタロセン触媒等により製造することができる。実施形態において、該LLDPEは、チーグラーナッタタイプの触媒により製造される。LLDPEは、線状であり、長鎖の枝分かれは含有しておらず、枝分かれしたまたは不均一に枝分かれしたポリエチレンである低密度ポリエチレン(「LDPE」)と異なる。LDPEは、ポリマーの主骨格から伸びる比較的多数の長鎖の枝を有する。LDPEは、フリーラジカル開始剤を用いて高圧で調製することができ、一般的に、0.915g/ccから0.940g/ccの密度を有する。
【0022】
実施形態において、該LLDPEは、チーグラーナッタ触媒によるエチレンとオクテンとのコポリマーであり、約0.91g/ccから約0.93g/cc、または約0.92g/ccの密度を有する。該LLDPEは、約40%から約50%、または約47%の結晶化度を有する。適当なチーグラーナッタ触媒によるLLDPEの非限定の例は、ミシガン州ミッドランドのThe Dow Chemical Companyから入手できる商標名DOWLEXのもとで販売されているポリマーである。さらなる実施形態において、該LLDPEは、DOWLEX 2045Sである。
【0023】
実施形態において、該LLDPEは、シングルサイト触媒作用によるLLDPE(sLLDPE)である。本明細書で使用される「sLLDPE」は、シングルサイト触媒、例えば、メタロセン触媒または幾何拘束触媒(constrained geometry catalyst)等を用いて重合したLLDPEである。「メタロセン触媒」は、1つまたは複数の置換または非置換シクロペンタジエニル部分を4、5、または6族遷移金属との組合せで含有する触媒組成物である。適当なメタロセン触媒の非限定の例は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,324,800号に開示されている。「幾何拘束触媒」は、周期表の3〜10族またはランタニド系列の金属および拘束誘発部分により置換されている非局在化されたπ結合部分を含む金属配位錯体を含み、前記錯体は、その金属原子の周囲に拘束された幾何学的構造を有しており、その結果、その金属のところで非局在化された置換π結合部分の重心と少なくとも1つの残留置換基の中心との間の角度が、上記の拘束誘発性置換基のない同様のπ結合部分を含有する同様の錯体の類似の角度より小さく、さらに、そのような錯体が、二つ以上の非局在化された置換π結合部分を含むならば、該錯体の各金属原子に対してその1つだけが、環状で非局在化された置換π結合部分である。その幾何拘束触媒は、さらに活性化触媒を含む。適当な幾何拘束触媒の非限定の例は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,132,380号に開示されている。
【0024】
一実施形態において、該sLLDPEは、0.940g/cc未満または約0.90g/ccから0.94g/ccの密度を有する。一実施形態において、該sLLDPEは、約0.5g/10分から約3g/10分、または約0.5g/10分から約2g/10分のメルトインデックスを有する。該sLLDPEは、単峰性または多峰性(即ち、二峰性)であり得る。「単峰性sLLDPE」は、1つの重合条件の設定下で1つのシングルサイト触媒から調製されたLLDPEポリマーである。適当な単峰性sLLDPEの非限定の例としては、テキサス州ヒューストンのExxonMobil Chemical Companyから入手できるEXXACTおよびEXCEED、ならびにミシガン州ミッドランドのThe Dow Chemical Companyから入手できるAFFINITYの商標名の下で販売されているものが挙げられる。
【0025】
実施形態において、該sLLDPEは、多峰性である。「多峰性sLLDPE」は、2つ以上の異なる触媒からおよび/または2つ以上の異なる重合条件下で調製されたLLDPEである。「多峰性sLLDPE」は、少なくともより低分子量の成分(LMW)とより高分子量(HMW)の成分とを含む。それぞれの成分は、異なる触媒によりおよび/または異なる重合条件下で調製される。接頭辞「多」は、そのポリマー中に存在する異なるポリマー成分の数と関連する。多峰性sLLDPEの非限定の例は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,047,468号に示されている。適当な多峰性sLLDPEのさらなる非限定の例としては、ミシガン州ミッドランドのThe Dow Chemical Companyから入手できる商標名ENHANCED POLYETHYLENEおよびELITEの下で販売されているものが挙げられる。
【0026】
どんな特定の理論でもそれによって制約されることは望まないが、シングルサイト触媒によるLLDPEは、均一に枝分かれしており、一方、チーグラーナッタ触媒によるLLDPEは、不均一に枝分かれしているものと考えられる。均一に枝分かれしたLLDPEにより、そのコモノマーは与えられたインターポリマー分子内にランダムに分布しており、実質的にすべてのインターポリマー分子がそのインターポリマー内で同じエチレン/コモノマー比を有する。他方で、不均一に枝分かれしたLLDPEは、枝分かれした部分(非常に低密度のポリエチレンと同類)と実質的に線状の部分(線状のホモポリマーのポリエチレンと同類)とを含む枝分かれの分布を有する。
【0027】
例えば、チーグラーナッタ触媒によるLLDPE、例えばDOWLEX2045(約1g/10分のメルトインデックス(I)、約0.92g/cmの密度、約7.93のメルトフロー比(I10/I)および約3.34の分子量分布(M/M)を有するエチレン/オクテンコポリマー)等は、エチレン性不飽和コモノマーの炭素の数マイナス2に等しい不均一な短鎖の枝分かれを含有する。そのコモノマーは、特徴的な形で分子間に分布しており、それによってその分子の一部分が、コモノマーの影響を受けない(free of)かまたはそれを欠いている(devoid of)。そのコモノマーに影響されない部分は、さらにそのサンプルの枝分かれ部分と比較して高い分子量を有することを特徴とする。結晶化に際して、そのコモノマーに影響されない部分は、鎖折り重ね過程を妨げる鎖欠陥が存在しないために大きな結晶を形成する。大きな結晶は、ガス分子(例えば酸素等)がその大きな結晶を貫通することができないためにバリヤー性にとっては望ましい。したがって、与えられた結晶化度において、不均一な結晶の大きさの分布は、均一に枝分かれしたポリエチレンと比較してより大きなガスバリヤー性能を提供する。
【0028】
一方、均一に枝分かれしたLLDPEは、コモノマーの影響を受けない部分を有するかまたは有さないものであり得る。コモノマーの影響を受けない部分がないときは、均一に枝分かれしたLLDPEは均一な結晶の大きさの分布を示す。コモノマーの影響を受けない部分が存在する場合、そのコモノマーの影響を受けない部分の分子量は枝分かれした部分と比較して低く、小さい結晶の大きさとなる。それ故、均一に枝分かれしたLLDPE中の結晶は、実質的に同じ大きさであり、その結晶は、同じコポリマーおよびコポリマー含量を有する不均一に枝分かれしたLLDPEで見出される結晶より小さい。そのより小さい均一に分布された結晶は、不均一に枝分かれしたLLDPEのより大きい結晶と比較したときより小さいガスバリヤー性能を提供する。その結果、不均一に枝分かれしたLLDPE(即ち、チーグラーナッタ触媒によるLLDPE)は、均一に枝分かれしたLLDPE(即ち、シングルサイト触媒によるLLDPE)と比較した場合、より大きいガスバリヤー性能を有する。
【0029】
そのフィルムのブレンドは、第二成分を含む。その第二成分は、プロピレンをベースとするポリマー、高密度ポリエチレン、およびそれらの組合せである。そのプロピレンをベースとするポリマーは、プロピレンホモポリマー、プロピレン/α−オレフィンインターポリマー、プロピレン/エチレンインターポリマー、および前述のものの任意の組合せであり得る。そのプロピレンホモポリマー(ポリプロピレンとも称される)は、アイソタクチック、アタクチック、またはシンジオタクチックであり得る。一実施形態において、そのプロピレンホモポリマーは、アイソタクチックである。そのプロピレンホモポリマーは、約0.88g/ccから約0.92g/cc、または、約0.90g/ccの密度を有する。一実施形態において、そのプロピレンホモポリマーは、約1.0g/10分から10g/10分、または約2.0g/10分から約8g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する。一実施形態において、そのプロピレンホモポリマーは、約40%から約60%、または、約50%の結晶化度を有する。
【0030】
実施形態において、そのプロピレンホモポリマーは、アイソタクチックであり、約0.88g/ccから約0.92g/cc、または、約0.90g/ccの密度、約1.0g/10分から10g/10分、または、約2.1g/10分のメルトフローレート、および約40%から約60%、または、約49%の結晶化度を有する。
【0031】
実施形態において、その第二成分のプロピレンをベースとするポリマーは、プロピレン/α−オレフィンインターポリマー単独あるいはプロピレンホモポリマー、プロピレン/エチレンインターポリマー、および/またはHDPEとの組合せである。そのプロピレン/α−オレフィンインターポリマーは、そのインターポリマーの重量基準で大部分の重量パーセントのプロピレンと、少なくとも1つのα−オレフィン、または少なくとも1つのC〜C20α−オレフィン、または少なくとも1つのC〜Cα−オレフィンとを重合した形で含む。一実施形態において、そのプロピレン/α−オレフィンインターポリマーは、ランダムインターポリマーである。別の実施形態において、そのプロピレン/α−オレフィンインターポリマーは、ブロックインターポリマーである。一実施形態において、そのプロピレン/α−オレフィンインターポリマーは、約0.85g/ccから約0.95g/cc、または、約0.90g/ccの密度を有する。一実施形態において、そのプロピレン/α−オレフィンインターポリマーは、約0.1g/10分から約10g/10分、または約0.5g/10分から約5.0g/10分のMFRを有する。一実施形態において、そのプロピレン/α−オレフィンインターポリマーは、約20%から約40%、または、約30%の結晶化度を有する。そのプロピレン/α−オレフィンインターポリマーは、シングルサイト触媒(メタロセンまたは幾何拘束)、チーグラーナッタ触媒、または非メタロセン金属中心型ヘテロドリール(heterodryl)配位子触媒を用いて形成することができる。プロピレンと共に重合するための適当なコモノマーとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセンに加えて、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、およびビニルシクロヘキサンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0032】
一実施形態において、該プロピレン/α−オレフィンインターポリマーのα−オレフィンは、1−ブテン、1−ヘキセン、または1−オクテンから選択される。一実施形態において、該プロピレン/α−オレフィンインターポリマーは、約0.85g/ccから約0.95g/cc、または、約0.90g/ccの密度、約0.1g/10分から約10g/10分のメルトフローレート、および約20%から約40%、または、約30%の結晶化度を有する。
【0033】
適当なプロピレン/α−オレフィンインターポリマーのその他の非限定の例としては、プロピレン/1−ブテン、プロピレン/1−ヘキセン、プロピレン/4−メチル−1−ペンテン、プロピレン/1−オクテン、プロピレン/エチレン/1−ブテン、プロピレン/エチレン/ENB、プロピレン/エチレン/1−ヘキセン、プロピレン/エチレン/1−オクテン、プロピレン/スチレン、およびプロピレン/エチレン/スチレンが挙げられる。
【0034】
実施形態において、該プロピレン/α−オレフィンインターポリマーは、50モルパーセントを越える(重合可能なモノマーの全モル数に基づく)重合したプロピレンを含有する。そのようなプロピレンをベースとするポリマーとしては、VERSIFYポリマー(The Dow Chemical Company)およびVISTAMAXXポリマー(ExxonMobil Chemical Co.)、LICOCENEポリマー(Clariant)、EASTOFLEXポリマー(Eastman Chemical Co.)、REXTACポリマー(Hunstman)、VESTOPLASTポリマー(Degussa)、PROFAX PF−611およびPROFAX PF−814(Montell)が挙げられる。
【0035】
実施形態において、その第二成分のプロピレンをベースとするポリマーは、プロピレン/エチレンインターポリマー単独あるいはプロピレンホモポリマー、プロピレン/α−オレフィンインターポリマー、および/またはHDPEとの組合せである。そのプロピレン/エチレンインターポリマーは、そのインターポリマーの重量基準で大部分の重量パーセントのプロピレンと、エチレンと、場合によって、少なくとも1つのα−オレフィン、または少なくとも1つのC〜C20α−オレフィン、または少なくとも1つのC〜Cα−オレフィンとを重合した形で含む。一実施形態において、そのプロピレン/エチレンインターポリマーは、ランダムインターポリマーである。別の実施形態において、そのプロピレン/エチレンインターポリマーは、ブロックインターポリマーである。一実施形態において、そのプロピレン/エチレンインターポリマーは、約0.85g/ccから約0.95g/cc、または、約0.90g/ccの密度を有する。一実施形態において、そのプロピレン/エチレンインターポリマーは、約0.1g/10分から約10g/10分、または約0.5g/10分から約5.0g/10分のMFRを有する。一実施形態において、そのプロピレン/エチレンインターポリマーは、約20%から約40%、または、約30%の結晶化度を有する。そのプロピレン/エチレンインターポリマーは、シングルサイト触媒(メタロセンまたは幾何拘束)、チーグラーナッタ触媒、または非メタロセン金属中心型ヘテロアリール配位子触媒を用いて形成することができる。プロピレンおよびエチレンと共に重合するための適当なコモノマーとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセンに加えて、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、およびビニルシクロヘキサンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0036】
一実施形態において、該プロピレン/エチレンインターポリマーのα−オレフィンは、1−ブテン、1−ヘキセン、または1−オクテンから選択される。
【0037】
実施形態において、該プロピレン/エチレンインターポリマーは、約0.85g/ccから約0.95g/cc、または、約0.90g/ccの密度、約0.1g/10分から約10g/10分のメルトフローレート、および約20%から約40%、または、約30%の結晶化度を有する。
【0038】
実施形態において、該プロピレンをベースとするポリマーは、プロピレン/エチレンコポリマーである。そのプロピレン/エチレンコポリマーは、そのコポリマーおよびエチレンの重量基準で大部分の重量パーセントのプロピレンを重合した形で含む。一実施形態において、そのプロピレン/エチレンコポリマーは、ランダムコポリマーである。別の実施形態において、そのプロピレン/エチレンコポリマーは、ブロックコポリマーである。一実施形態において、そのプロピレン/エチレンコポリマーは、約0.85g/ccから約0.95g/cc、または、約0.90g/ccの密度を有する。一実施形態において、そのプロピレン/エチレンコポリマーは、約0.1g/10分から約10g/10分、または約0.5g/10分から約5.0g/10分のMFRを有する。一実施形態において、そのプロピレン/エチレンコポリマーは、約20%から約40%、または、約30%の結晶化度を有する。そのプロピレン/エチレンコポリマーは、シングルサイト触媒(メタロセンまたは幾何拘束)、チーグラーナッタ触媒、または非メタロセン金属中心型ヘテロアリール配位子触媒を用いて形成することができる。実施形態において、そのプロピレン/エチレンコポリマーは、チーグラーナッタ触媒によるコポリマーである。一実施形態において、そのプロピレン/エチレンコポリマーは、そのコポリマーの全体重量に基づいて、20重量%未満のエチレンコモノマー、あるいは約0.1重量%から約20重量%、または約1重量%から約10重量%、または約2重量%から約5重量%のエチレンコモノマーを含有する。
【0039】
実施形態において、そのプロピレン/エチレンコポリマーは、約0.85g/ccから約0.95g/cc、または、約0.90g/ccの密度、約0.1g/10分から約10g/10分、または約2.0g/10分のメルトフローレート、および約20%から約40%、または、約30%の結晶化度を有する。
【0040】
一実施形態において、該プロピレン/α−オレフィンインターポリマーは、プロピレン、α−オレフィンまたはエチレン、および場合によって1つまたは複数の飽和コモノマーを重合した形で含み、該プロピレン/α−オレフィンインターポリマーは、以下の特性:(i)13C NMRピークが約14.6および約15.7ppmにおけるレジオエラー(regio−error)に対応し、そのピークがほぼ同じ強度である、(ii)約−1.20より大きい歪み指数(skewness index)Six、(iii)本質的に同じのままであるTme、および、該インターポリマー中のコモノマーの量(即ち、該α−オレフィンまたはエチレンおよび場合によって該不飽和コモノマー(複数可)由来の単位)が増加すると減少するTmaxを有するDSC曲線、ならびに(iv)チーグラーナッタ触媒により調製された類似のインターポリマーより多くのγ型結晶を示すX線回折パターン、の少なくとも1つまたは2つ以上を有するものとして特徴付けられる。特性(i)において、2つの13C NMRピークの間の間隔が、約1.1ppmであることが注目される。実施形態において、該プロピレン/α−オレフィンインターポリマーは、The Dow Chemical Companyから入手できるVERSIFYポリマーである。このプロピレン/α−オレフィンインターポリマーは、非メタロセン金属中心型ヘテロアリール配位子触媒を用いて製造される。一般的には、この実施形態のプロピレン/α−オレフィンインターポリマーは、この段落の前部分に記載されている4つの特性の少なくとも1つ、または少なくとも2つ、または少なくとも3つ、またはすべてによって特徴付けられる。
【0041】
該第二成分は、HDPE単独または任意の前述のプロピレンをベースとするポリマーとの組合せであり得る。そのHDPEは、エチレンホモポリマーまたはエチレンをベースとするインターポリマーである。そのエチレンをベースとするインターポリマーは、そのインターポリマーおよび1つまたは複数のコモノマーの重量に基づく大部分の重量パーセントのエチレンを重合した形で含む。そのHDPEは、0.940g/ccより大きい密度を有する。実施形態において、そのHDPEは、約0.940g/ccから約0.970g/cc、または約0.950g/ccから約0.960g/cc、または、約0.956g/ccの密度を有する。一実施形態において、そのHDPEは、約0.1g/10分から約10g/10分または約0.5g/10分から約5g/10分のメルトインデックスを有する。そのHDPEは、エチレンと1つまたは複数のC〜C20α−オレフィンコモノマーとを含むことができる。そのコモノマー(複数可)は、線状または分枝状であり得る。適当なコモノマーの非限定の例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、および1−オクテンが挙げられる。そのHDPEは、チーグラーナッタ触媒、クロムをベースとする触媒、幾何拘束触媒またはメタロセン触媒により、スラリー反応器、気相反応器または溶液反応器中で調製することができる。実施形態において、該HDPEは、約40%から約60%、または、約50%の結晶化度を有する。
【0042】
実施形態において、該HDPEは、約0.95g/ccから約0.96g/ccの密度、約1.5g/10分から約2.5g/10分のメルトインデックス、および48%から約54%、または約52%の結晶化度を有するエチレン/ブテンコポリマーである。
【0043】
該HDPEは、前述の実施形態の2つ以上を含むことができる。
【0044】
実施形態において、該HDPEは、エチレン/オクテンコポリマーであり、約0.940g/ccから約0.970g/cc、または、約0.956g/ccの密度、約0.1g/10分から約10g/10分、または、約2.0g/10分のメルトインデックス、および約40%から約60%、または、約52%の結晶化度を有する。
【0045】
実施形態において、該フィルムは、第一および第二成分の合計重量に基づいて、約60重量%から約99重量%の第一成分と約40重量%から約1重量%の第二成分とを含有する。別の実施形態において、該第一成分は、該フィルムの約80重量%から約95重量%、または約90重量%の量で存在し、該第二成分は、該フィルムの約20重量%から約5重量%、または、約10重量%の量で存在する。
【0046】
実施形態において、該フィルムは、第一および第二成分の合計重量に基づいて、約60重量%から約99重量%、または約80重量%から約95重量%の第一成分と、約40重量%から約1重量%、または約20重量%から約5重量%の第二成分とを含有する。別の実施形態において、該フィルムは、約90重量%の線状の低密度ポリエチレンと、約10重量%のプロピレンホモポリマーとを含有する。そのプロピレンをベースとするポリマーは、プロピレンホモポリマー、プロピレン/α−オレフィンインターポリマー、プロピレン/エチレンインターポリマー、およびそれらの組合せであり得る。
【0047】
実施形態において、該フィルムは、約90重量%の線状の低密度ポリエチレンと、約10重量%の高密度ポリエチレンとを含有する。その重量パーセントは、第一および第二成分の合計重量に基づく。
【0048】
実施形態において、該フィルムは、単層のフィルムであり、幅方向(CD)に約400gから約900g、または約500gから約800gのエルメンドルフ引裂き値を有する。さらなる実施形態において、該フィルムは、流れ方向(MD)において約100gから約500g、または約200gから約400gのエルメンドルフ引裂き値を有する。そのエルメンドルフ引裂き値は、ASTM D−1922−06(タイプ−A)に従って測定される。
【0049】
実施形態において、該フィルムは、単層フィルムであり、約50gから約400g、または約100gから約300gのダート衝撃強さを有する。そのダート衝撃強さは、ISO7765−1−88方法Aにより測定される。
【0050】
実施形態において、該フィルムは、単層フィルムであり、約5gから約25g、または約10gから約20gのパンクチャー力を有する。そのパンクチャー力は、ASTM D−5748−95に従って測定される。
【0051】
本件の単層フィルムは、本明細書に記載されている2つ以上の実施形態によって製造することができる。その単層フィルムのブレンドは、本明細書に開示されている2つ以上の成分を含むことができる。その第一成分は、本明細書に開示されている2つ以上の実施形態を含むことができる。その第二成分は、本明細書に開示されている2つ以上の実施形態を含むことができる。
【0052】
実施形態において、多層フィルムが提供される。その多層フィルムは、2、3、4、5、6、7またはそれ以上の層を含むことができる。その多層フィルムの個々の層は、同じものか異なるものであり得る。
【0053】
実施形態において、その多層フィルムは、内層、第一の外層および第二の外層を含む。その内層は、その第一の外層と第二の外層との間に位置する。別の実施形態において、「外側/内側/外側」の層配置において、その内層は、1つの表面の第一の外層、および反対側の表面の第二の外層と隣接している。その外層(1つまたは2つ)の1つ(またはそれぞれ)の厚さは、その内層の厚さより大きい。
【0054】
一実施形態において、その内層、その第一の外層およびその第二の外層の厚さは、同じであるかまたは異なることができる。一実施形態において、その第一の外層およびその第二の外層の厚さは、同じであるかまたは異なることができる。
【0055】
実施形態において、該外層(1つまたは2つ)の1つ(または両方)の厚さは、該内層の厚さより少なくとも2倍、または4倍の大きさであり得る。さらなる実施形態において、その第一の外層および第二の外層の厚さは、同じであるかまたは異なることができる。
【0056】
実施形態において、その第一の外層と第二の外層を組み合わせた厚さは、その多層フィルムの全体の厚さの約70%から約99.5%である。一実施形態において、その内層の厚さは、その多層フィルムの全体の厚さの約30%以下、または約0.5%から20%以下である。
【0057】
実施形態において、その第一の外層は、その第二の外層と同じ厚さを有する。
【0058】
一実施形態において、1つ(または両方)の外層(複数可)は、該内層の厚さより大きい厚さを有する。
【0059】
実施形態において、それぞれの外層の厚さは、該多層フィルムの全体の厚さの約35%から約49.75%であり、内層の厚さは、該多層フィルム全体の厚さの約30%から約0.5%である。一実施形態において、該多層フィルムは、該多層フィルム全体の厚さに基づき、40/10/45(外層/内層/外層)の層の厚さ分布(パーセント)を有する。別の実施形態において、該多層フィルムは、該多層フィルム全体の厚さに基づき、40/20/40の層の厚さ分布を有する。
【0060】
実施形態において、該内層は、該多層フィルムの全体の厚さの20%以下、または約0.5%から20%である厚さを有する。さらなる実施形態において、該第一および第二の外層は、同じ厚さを有する。
【0061】
該多層フィルムはストレッチされたものまたはストレッチされていないものであり得る。実施形態において、該多層フィルムは、約1μmから約100μm、または約20μmから約90μm、または約30μmから約80μmの厚さを有する。
【0062】
実施形態において、該多層フィルムは、ストレッチされていないフィルムであり、約1ミクロンから100ミクロン、または約10ミクロンから約50ミクロン、または約20ミクロンから約40ミクロン、または約25ミクロンの厚さを有する。
【0063】
実施形態において、該多層フィルムは、ストレッチされているフィルムであり、約1ミクロンから約100ミクロン、または約5ミクロンから約50ミクロン、または約10ミクロンから約30ミクロン、または約25ミクロンの厚さを有する。該フィルムは、ストレッチされる前のそのフィルムの長さの約1%から約200%、または約10%から約100%ストレッチされる。
【0064】
該多層フィルムは、ASTM D3985−05に従って測定して、10,800cc/μm/24時間未満の酸素透過度(OTR)を有する。実施形態において、そのOTRは、約2000cc/m/24時間から約10,000cc/m/24時間、または約5,000cc/m/24時間から約9,000cc/m/24時間、または約6,000cc/m/24時間から約8,000cc/m/24時間である。
【0065】
実施形態において、該内層は、以下の成分:高密度ポリエチレン(HDPE)、プロピレンをベースとするポリマー(即ち、プロピレンホモポリマー、プロピレン/α−オレフィンインターポリマー、プロピレン/エチレンインターポリマー、および/またはプロピレン/エチレンコポリマー)の1つまたは複数を含む。該HDPE、該プロピレンホモポリマー、該プロピレン/α−オレフィンインターポリマー、該プロピレン/エチレンインターポリマー、およびプロピレン/エチレンコポリマーとしては、それぞれの成分について上で既に開示した任意のそれぞれのHDPE、プロピレンホモポリマー、プロピレン/α−オレフィンインターポリマー、プロピレン/エチレンインターポリマー、またはプロピレン/エチレンコポリマーを挙げることができる。実施形態において、該内層は、単一成分である。例えば、該内層は、HDPE、プロピレンホモポリマー、プロピレン/α−オレフィンインターポリマー、プロピレン/エチレンインターポリマー、またはプロピレン/エチレンコポリマーの1つだけからなる。
【0066】
該多層フィルムは、また、第一の外層および第二の外層を含む。その第一の外層および第二の外層の組成および/または厚さは、同じかまたは異なることができる。一実施形態において、その第一の外層および第二の外層は、それぞれ、次の成分:LLDPE、HDPE、プロピレンホモポリマー、プロピレン/α−オレフィンインターポリマー、プロピレン/エチレンインターポリマー、および/またはプロピレン/エチレンコポリマー、の1つまたは複数からなる。該LLDPE、該HDPE、該プロピレンホモポリマー、該プロピレン/α−オレフィンインターポリマー、該プロピレン/エチレンインターポリマー、および該プロピレン/エチレンコポリマーは、上で既に開示した任意のそれぞれのポリマーであり得る。該LLDPEは、上で開示したsLLDPEであり得る。
【0067】
実施形態において、該多層フィルムの内層および/または1つ(または両方)の外層(1つまたは複数)は、単層フィルムについて本明細書で開示した任意のブレンドであり得る。
【0068】
実施形態において、該外層の少なくとも1つは、単一成分である。したがって、少なくとも1つの外層は、以下:LLDPE、HDPE、プロピレンホモポリマー、プロピレン/α−オレフィンインターポリマー、プロピレン/エチレンインターポリマー、またはプロピレン/エチレンコポリマーの1つだけからなる。さらなる実施形態において、その第一の外層は、単一成分からなり、その第二の外層は、単一成分からなる。それぞれの外層におけるその単一成分は、同じものか異なるものであり得る。
【0069】
実施形態において、それぞれの層は単一成分である。したがって、それぞれの外層は、次のもの:LLDPE、HDPE、プロピレンホモポリマー、プロピレン/α−オレフィンインターポリマー、プロピレン/エチレンインターポリマー、またはプロピレン/エチレンコポリマーの1つだけからなる。該内層は、次のもの:該高密度ポリエチレン(HDPE)、該プロピレンホモポリマー、または該プロピレン/α−オレフィンインターポリマーの1つだけからなる。
【0070】
実施形態において、該内層は、該外層の少なくとも1つと直接接触している。本明細書で使用される「接触」とは、触れる、相互作用する、および/または接する作用または状態である。したがって、1つの層が別の(または他の)層「と直接接触している」または「に直接接触する」状態にあるとき、その1つの層は、その他の層と、その1つの層とその他の層との間に介在する層(1つまたは複数)および/または介在する構造物(1つまたは複数)が存在しないように、直接隣接して、その他の層に触れ、相互作用し、および/または接する。
【0071】
さらなる実施形態において、該内層は、該第一の外層および該第二の外層と同一の広がりを持つか実質的に同一の広がりを持ち、その内層は、その第一の外層に直接接触し、その内層は、その第二の外層に直接接触する。したがって、該多層フィルムは、その第一の外層とその内層との間につなぎ層(または介在層)を、および/または、その第二の外層とその内層との間につなぎ層(または介在層)を含まない。
【0072】
実施形態において、少なくとも1つの外層は、最も外側の層である。本明細書で使用される「最も外側の層」とは、内層から最も離れた層である。最も外側の層は、しばしば、表皮層または表面層と呼ばれる。別の実施形態において、その少なくとも1つの最も外側の層は、直接その内層に接している。
【0073】
実施形態において、その第一の外層およびその第二の外層は、両方とも最も外側の層である。別の実施形態において、その第一の最も外側の層およびその第二の最も外側の層は、直接その内層に接している。
【0074】
該多層フィルムは、積層フィルムまたは共押出しフィルムであり得る。実施形態において、その多層フィルムは共押出しフィルムであり、それによって少なくとも1つのその外層はその内層に対して共押出しされている。さらなる実施形態において、その第一の外層は、その内層に対して共押出しされ、その第二の外層も、その内層に対して共押出しされる。なおもさらなる実施形態において、その第一と第二の外層は、その内層に対して共押出しされた最も外側の層である。
【0075】
実施形態において、該内層はHDPEであり、少なくとも1つ、または両方の外層(1つまたは2つ)は、LLDPEである。そのHDPE/LLDPEは、本明細書に開示されている任意のHDPE/LLDPEであり得る。そのLLDPEは、本明細書に開示されている任意のLLDPEまたはsLLDPEであり得る。さらなる実施形態において、該HDPEは、約0.956g/ccの密度、約2.0g/10分のメルトインデックス、および約52%の結晶化度を有する。該LLDPEは、約0.92g/ccの密度、約1.0g/10分のメルトインデックス、および約47%の結晶化度を有する。さらなる実施形態において、該LLDPE/HDPE/LLDPE層構造は、約5,000cc/μm/24時間から約7,000cc/μm/24時間のOTRを有する多層フィルムを提供する。
【0076】
実施形態において、該内層は、プロピレンホモポリマーであり、少なくとも1つ、または両方の外層(1つまたは2つ)は、LLDPEまたはsLLDPEである。そのプロピレンホモポリマーは、本明細書に開示されている任意のプロピレンホモポリマーであり得る。そのLLDPEは、本明細書に開示されている任意のLLDPEであり得る。実施形態において、該プロピレンホモポリマーは、約0.90g/ccの密度および約2.1g/10分のメルトフローレート、ならびに約49%の結晶化度を有する。該LLDPE/PP/LLDPE層構造は、約6,000cc/μm/24時間から約8,000cc/μm/24時間のOTRを有する多層フィルムを提供する。
【0077】
実施形態において、該内層は、約0.940g/ccから約0.970g/cc、または、約0.956g/ccの密度、約0.1g/10分から約10g/10分、または、約2.0g/10分のメルトインデックス、および約40%から約60%、または、約52%の結晶化度を有するエチレン/ブテンコポリマーである高密度ポリエチレンである。それぞれの外層は、約0.91g/ccから約0.93g/cc、または、約0.92g/ccの密度、約0.1g/10分から約10g/10分、または、約1.0g/10分のメルトインデックス、および約40%から約50%、または、約47%の結晶化度を有するエチレン/オクテンコポリマーである線状低密度ポリエチレンである。
【0078】
実施形態において、該内層は、約0.88g/ccから約0.92g/cc、または、約0.90g/ccの密度、約1.0g/10分から約10g/10分、または、約2.1g/10分のメルトフローレート、および約40%から約60%、または、約49%の結晶化度を有するプロピレンホモポリマーである。それぞれの外層は、約0.91g/ccから約0.93g/cc、または、約0.92g/ccの密度、約0.1g/10分から約10g/10分、または、約1.0g/10分のメルトインデックス、および約40%から約50%、または、約47%の結晶化度を有するエチレン/オクテンコポリマーである線状低密度ポリエチレンである。
【0079】
実施形態において、該内層は、約0.85g/ccから約0.95g/cc、または、約0.90g/ccの密度、約0.1g/10分から約10g/10分、または、約2.0g/10分のメルトフローレート、および約20%から約40%、または、約30%の結晶化度を有するプロピレン/エチレンコポリマーである。それぞれの外層は、約0.91g/ccから約0.93g/cc、または、約0.92g/ccの密度、約0.1g/10分から約10g/10分、または、約1.0g/10分のメルトインデックス、および約40%から約50%、または、約47%の結晶化度を有するエチレン/オクテンコポリマーである線状低密度ポリエチレンである。
【0080】
実施形態において、該多層フィルムは、約100gから約300g、または約140gから約210gのダート衝撃強さを有する。
【0081】
実施形態において、該多層フィルムは、約5Nから約25N、または約6Nから約20Nのパンクチャー力を有する。
【0082】
実施形態において、該多層フィルムは、約500gから約700g、または約550gから約680gのエルメンドルフ引裂き値(CD)を有する。別の実施形態において、該多層フィルムは、約200gから約400g、または約250gから約350gのエルメンドルフ引裂き値(MD)を有する。
【0083】
実施形態において、1つ(または両方)の外層(1つまたは2つ)は、ブレンドであり得る。例えば、1つ(または両方)の外層(1つまたは2つ)は、単層フィルムに関して本明細書に開示されている任意のブレンドであり得る。実施形態において、1つ(または両方)の外層(1つまたは2つ)は、約90重量%の線状低密度ポリエチレンおよび約10重量%のプロピレンホモポリマーを含有する。別の実施形態において、1つ(または両方)の外層(1つまたは2つ)は、約90重量%の線状低密度ポリエチレンおよび約10重量%の高密度ポリエチレンを含有する。
【0084】
実施形態において、両方の外層は、ブレンドであり得る。例えば、それぞれの外層は、単層フィルムに関して本明細書に開示されている任意のブレンドであり得る。実施形態において、それぞれの外層は、約90重量%の線状低密度ポリエチレンと約10重量%のプロピレンホモポリマーとを含有する。別の実施形態において、それぞれの外層は、約90重量%の線状低密度ポリエチレンと約10重量%の高密度ポリエチレンとを含有する。
【0085】
実施形態において、5層の多層フィルムが提供される。その個々の層は、同じものかまたは異なるものであり得る。その個々の層は、任意の層に対して本明細書に既に開示されている、任意の組成またはブレンドであり得る。その多層フィルムは7層を含むこともできる。
【0086】
実施形態において、その5層フィルムは、2つの最も外側の層を含み、それぞれの最も外側の層が、LLDPEである。その内層は、本明細書に開示されている任意の組成物またはブレンドであり得る。
【0087】
実施形態において、該5層の多層フィルムは、約1000cc/m/日から約4000cc/m/日、または約2000cc/m/日から約3000cc/m/日の酸素透過度を有する。
【0088】
本件の多層フィルムは、本明細書に開示されている2つ以上の実施形態によって製造することができる。該内層および/または外層がブレンドである場合、そのブレンドは、本明細書に開示されている2つ以上の成分を含むことができる。その内層は、本明細書に開示されている2つ以上の実施形態を含むことができる。その他の層は、本明細書に開示されている2つ以上の実施形態を含むことができる。
【0089】
前述の単層および/または多層フィルム(またはそれらの個々の層)のどれも、1つまたは複数の添加剤を含むことができる。適当な添加剤としては、接着促進剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、遮光添加剤(顔料)、着色剤、染料、充填剤(シリカ、タルク)、難燃剤、熱安定剤、滑剤、成核剤、加工助剤、離型剤、スリップ剤、スモークインヒビター(smoke inhibitor)、熱安定剤、紫外線安定剤、粘度調整剤、ワックス、およびこれらの任意の組合せが挙げられるがこれらに限定されない。
【0090】
実施形態において、本開示の単層フィルムおよび/または多層フィルムは、クリングフィルムである。本明細書で使用される「クリングフィルム」とは、特にそのフィルムがオーバーラップ(overwrapped)されるかそれ自身の上に一部が重なるかさもなければそれ自身に接触したとき、それ自身に接着するフィルムである。別の実施形態において、本件のフィルムのどれかはストレッチフィルムであり得る。
【0091】
本件の単層および多層フィルムは、望ましい衝撃、パンクチャー、および引裂き耐性と相まって、改良されたガスバリヤー性(酸素、窒素、二酸化炭素)および/または遮水性を提供することが意外にも見出されている。本件のフィルムは、同様の厚さの従来のフィルムと比較して改良されたバリヤー性を有利に提供する。その単層フィルムおよび/または多層フィルムは、インフレーションフィルム(共)押出し、バブル(共)押出し、キャスト(共)押出しまたはラッピングフィルム(共)押出しおよび積層等、非限定の技術により製造することができる。多層フィルムの場合、1つまたは両方のその外層は、その内層に対して共押出しすることができる。いずれの製造プロセスも、形成されたフィルムを1方向(流れ方向または幅方向)、または2方向(流れ方向または幅方向)にストレッチするステップを含むことができる。
【0092】
実施形態において、該単層フィルムおよび/または該多層フィルムは、インフレーションフィルム(blown film)である。本明細書で使用される「インフレーションフィルム」とは、ポリマー溶融物(複数可)を輪状の金型から押出して(または共押出しして)チューブとし、それを同時にその金型から引き離し、その金型と1つまたは複数のニップロール等のつぶし装置との間に捕捉された気泡を覆い、その間、空気を外側のフィルムのチューブ表面の周囲に吹きつけてそのチューブを安定化し急冷することによって製造されるフィルムである。
【0093】
該インフレーションフィルムプロセスにおいて、その外側のフィルム表面および場合によってはまたその内側のフィルムのチューブ表面の室温以下の空気との接触は、半径方向に拡大しているチューブ状のポリマー溶融物を、それが金型を離れ、閉じ込められた気泡の上を移動するときに冷却し、それによってそれが固化することを引き起こす。ポリマー溶融物から固体への転移点は、通常フロストラインとして知られる。そのフロストラインより上で、膨らんだ即ちインフレートしたチューブは、拡大された流体(一般的には空気)の泡を維持するためにチューブ内に空気を閉じ込めるニップロールにより折り畳まれて供給される。場合によって、この気泡は、連続的に冷たい空気(例えば、約45〜55°F(7〜13℃))を供給し、一方、同時に温かい空気を気泡内部から金型を通して除去することによって、拡大したフィルムのチューブを内部から冷却するために使用することができる。この空気の交換は、均一な大きさの最終的なインフレーションフィルムを製造するために、通常は一定の割合で行われる。その内側の気泡冷却は、そのフィルムの急冷に役立ち、改良された光学特性(即ち、より低い曇りおよびより高い光沢)を有するフィルムを製造することもできる。ブローアップ比は、放射状に膨張し冷却した後のフィルムの外周対金型開口部の外周の比であり、既知の輪状の金型開口部の寸法からと、押し潰した幅広の冷却したチューブ状のフィルムの横方向幅を測定することによって決定することができる。典型的なブローアップ比は、2:1から5:1の範囲である。インフレーションフィルムの寸法および特性は、ブローアップ比および/またはそのフィルムのそれが金型から流れ方向に、例えば運転されるニップロールによって取り出すときのそのフィルムの引取り(または引寄せ)速度を変えることによって調節することができる。
【0094】
該単層フィルムおよび/または該多層フィルムは、後処理技術にかけることができる。後処理技術の非限定の例としては、放射線処理、コロナ処理、シラン硬化、および/またはポリマーグラフティングが挙げられる。単/多層フィルムに受けさせることができるシーリング技術としては、ヒートシーリング、接着シーリング、ヒートバーシーリング、インパルス加熱、片面溶接、および/または超音波溶接が挙げられる。
【0095】
一実施形態において、該単層フィルムおよび/または該多層フィルムは、ストレッチすることができる。そのストレッチングは、単一方向(流れ方向または幅方向)、または2方向(流れ方向または幅方向)であり得る。該単/多層フィルムは、ストレッチされる前のフィルムの1%から約200%の長さ、またはストレッチされる前のフィルムの10%から約100%の長さをストレッチすることができる。別の実施形態において、該単/多層フィルムは、100%流れ方向にストレッチされたフィルムである。
【0096】
本開示の単層および多層フィルムの製造においては、その押出したものの緩やかな、増加する、規則的な冷却が該単層フィルムおよび/または該多層フィルムの1つまたは複数の層の結晶化度を有利に増加させることが意外なことに見出されている。該フィルムおよび/または該フィルム層のバリヤー性は、その結晶化度が増すと増加する。
【0097】
実施形態において、ベールサイレージを製造する方法が提供される。その方法は、飼料作物のベールの周りにラッピングフィルムを巻き付けるステップと、そのベールの周りにバリヤーを形成するステップとを含む。本明細書で使用される「ラッピングフィルム」とは、本明細書に開示されている任意の単層フィルムまたは任意の多層フィルムである。そのラッピングフィルムは、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の層のラッピングフィルムからなるバリヤーを生ずるためにそのベールの周りに巻きつけられる。本明細書で使用される「バリヤー」とは、酸素の透過を減少する気密性の覆いまたは気密性の包装である。したがって、そのバリヤーは、単層のラッピングフィルムまたは多層のラッピングフィルムであり得る。該方法は、そのバリヤーにより、そのベールに接触する酸素を10,800cc/m/24時間未満に防ぐことを含む。
【0098】
本明細書で使用される「ベールサイレージ」とは、形成されてベールとなる1つまたは複数の飼料作物であり、酸素を排除するために包装材料(一般的にはポリマーフィルム)により覆われている。「飼料作物」は、栽培して家畜に供給する任意の植物である。ベールサイレージに適する飼料作物の非限定の例としては、豆、クローバー、トウモロコシ、トウモロコシの茎、牧草、穀物(オオムギ、オートムギ、コメ、コムギ、ライムギ、キビ)、マグサ、マメ科植物(ムラサキウマゴヤシ、ムラサキツメクサ、シロツメクサ、タチオランダゲンゲ、バーズフットトレフォイル、ベッチ、スイートクローバ)、ソルガム、ダイズ、野菜、および前述のものの任意の組合せが挙げられる。
【0099】
そのベールは、当技術分野では公知のようにして包装することができる。実施形態において、ベールラッピング装置は、ベールの周囲にラッピングフィルムを巻きつけてバリヤーを形成する。ベールラッピング装置は、一般的にはそのベールを持ち上げてそれをラッピングテーブル上に置くローディングアームを含む。そのラッピングテーブルは、そのテーブルそれ自体が回転する間にそのベールを回転させるローラーおよびベルトを含む。ディスペンス装置が、1つまたは複数のラッピングフィルムの巻物を提供する。そのベールが回転すると、そのラッピングフィルムは、それがディスペンス装置によって引っ張られるために一般的にはストレッチされ、該ベールの周りにきつく巻きつけられて酸素をそのベールから除去する。そのテーブルが所定回数回転したとき、持ち上げ装置がそのラッピングテーブルを傾けてその包装されたベールをラッピングテーブルから倒す。そのディスペンス装置は、その包装されたベールがそのラッピングテーブルから落ちる前にそのラッピングフィルムを切断する。ベールラッピング装置の操作は、自動的に(コンピューターまたは同様のロジックにより)または手動で制御することができる。従来のベールラッピング手順は、一般的にはベールを約4つ〜約6つの層のラッピングフィルムを巻きつけてベールサイレージを製造している。
【0100】
包装されるとすぐに、その飼料作物は、サイロに入れるプロセスを受け、それによって嫌気性微生物が、その飼料作物中に存在する炭水化物を発酵させて乳酸形成サイレージにする。その発酵プロセスは、その他の有害な微生物の成長を阻止する。ベールサイレージは、一般的には、約40重量%から約60重量%の水分含量を有する。
【0101】
そのベールサイレージを覆い、取り囲み、またはさもなければ包み込んでいるそのバリヤーに対する損傷は好ましくない。例えば、そのバリヤー中の穴傷または裂け目は、酸素がベールサイレージに入ることを可能にする。ベールサイレージ中の酸素は、サイレージの好気性菌による劣化を引き起こし、その結果損傷物をもたらす。本件の単層および多層フィルムは、改良されたバリヤー性および改良された衝撃、引裂き、およびパンクチャー抵抗の提供によりベールサイレージの好気性菌による劣化を有利に防止する。本件のフィルムは、さらに、約1日から約1年またはそれ以上の長期間にわたり、気密性のバリヤーを無傷のまま維持する適当なくっつき性を示す。
【0102】
実施形態において、該ベールサイレージの製造方法は、該ラッピングフィルムを該ベールの周りに巻きつけるステップと、約2層から約6層、または約2層から約4層のラッピングフィルムにより気密性のバリヤーを形成するステップとを含む。別の実施形態において、該ベールサイレージの製造方法は、2つのラッピングフィルム層から4つ以下のラッピングフィルム層による気密性バリヤーを形成するステップを含む。本件フィルムの改良された酸素遮断能力は、従来のベールサイレージフィルムと比較した場合、ベールに対して同等以上の酸素耐性を提供しながら、より少ない層数のラッピングフィルムにより、気密性のバリヤーを形成することを可能にする。さらなる実施形態において、該ラッピングフィルムは、それがベールの周りに巻きつけられるときストレッチされる。
【0103】
本件のフィルムは、従来のサイレージフィルムと比較すると改良された酸素バリヤー性を有する。実施形態において、該ベールサイレージの製造方法は、任意の本件のフィルムをベールに巻きつけて、LLDPEからなるフィルムを用いる従来のベールサイレージ巻きつけ手順によって形成される気密性バリヤーの重量に基づいて、約1重量%から約40重量%、または約5重量%から約30重量%、または約10重量%から約20重量%少ないフィルムによる気密性バリヤー(10,800cc/m/24時間未満のOTRを有する)を形成するステップを含む。別の実施形態において、該ベールサイレージの製造方法は、任意の本件のフィルムをベールに巻きつけて、DOWLEX2045フィルムからなり、従来のベール巻きつけ手順によって形成される気密性バリヤーの重量より、約1%から約40%、または約5%から約30%、または約10重量%から約20重量%少ない重量を有する気密性バリヤー(10,800cc/m/24時間未満のOTRを有する)を形成するステップを含む。
【0104】
本件のフィルムの別の利点は、ベールサイレージの好気性菌による劣化を、(1)従来より薄いラッピングフィルムにより、および/または(2)ベールをより少ないラッピングフィルムでオーバーラップして防止することができることである。したがって、本件のフィルムは、ベールに対して同等以上の酸素バリヤーの保護を提供しながら必要とするラッピングフィルムはそれより少ない。
【0105】
実施形態において、該ベールサイレージの製造方法は、フィルムをストレッチするステップを含む。そのストレッチングは、ラッピングの前または途中で起こり得る。そのフィルムは、ストレッチされる前のフィルムの1%から約200%、またはストレッチされる前のフィルムの約10%から約100%ストレッチされ得る。
【0106】
実施形態において、該バリヤーは、約1μmから約100μm、または約2μmから約50μm、または約5μmから約30μmの厚さを有する。
【0107】
本件のフィルムは、該サイレージの好気性菌による劣化を防止するために、従来のベールサイレージフィルムと比較してより少ないフィルム材料を必要とするベールサイレージ用のバリヤー層を有利に提供する。
【0108】
実施形態において、空気に敏感な品目を包装するための方法を提供する。その方法は、空気に敏感な品目の周りにラッピングフィルムを巻きつけるステップおよび空気に敏感な品目の周りにバリヤーを形成するステップを含む。そのラッピングフィルムは、空気に敏感な品目の周りに、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のラッピングフィルムの層からなるバリヤーを生ずるように巻きつけられる。その方法は、そのバリヤーにより、該空気に敏感な品目と接触する酸素を10,800cc/m/24時間未満に防ぐステップをさらに含む。
【0109】
本明細書で使用される「空気に敏感な品目」とは、空気にさらされると価値が下がる品目である。空気に敏感な品目の非限定の例としては、食料品、家財道具、化学物質、および医薬が挙げられる。該ラッピングフィルムは、その空気に敏感な品目の上に巻きつけて、その空気に敏感な品目の周囲を直接取り巻くバリヤーを形成することができる。
【0110】
実施形態において、その空気に敏感な品目は、容器中に供給される。容器の非限定の例としては、瓶、箱、缶、ダンボール箱、木箱、ドラム缶、およびバイアルが挙げられる。その容器は、その後、ラッピングフィルムを巻きつける。その方法は、そのバリヤーにより、その容器と接触する酸素を10,800cc/m/24時間未満に防ぐステップを含む。
【0111】
定義
本明細書における元素の周期表のすべての言及は、2003年、CRC Press,Inc.により出版され版権が取得された元素の周期表(the Periodic Table of the Elements)を参照するものとする。同様に、1つの族または複数の族の言及は、どれも、族番号を付けるためにIUPACシステムを用いているこの元素の周期表に表されている1つの族または複数の族を言うものとする。そうでないことが述べられていたり、文脈から黙示的であったり、あるいは技術的に慣例となっていない限り、すべての部およびパーセントは、重量に基づいている。米国特許プラクティスの目的のために、本明細書に引用されているどの特許、特許出願、または出版物の内容も、特に、合成技術、定義(本明細書で提供されているどの定義とも矛盾しない程度までの)および当技術分野における一般知識に関しては、それら全体として参照により本明細書に組み込まれている(またはそれらの同等のUS版は、参照によりそのように組み込まれている)。
【0112】
用語の「〜を含む」とその派生語は、その同じものが本明細書に開示されていてもいなくても、任意のさらなる成分、ステップまたは手順の存在を除外することを意図するものではない。どんな疑念でも避けるために、用語の「〜を含む」の使用により本明細書で主張されているすべての組成物は、ポリマーかほかのものでも、そうでないことが述べられていない限りは、任意のさらなる添加物、補助物質、または化合物を含むことができる。対照的に、用語の「本質的に〜からなる」は、任意の連続して起こる列挙の範囲から、運用性に本質的ではないものを除く他の成分、ステップまたは手順を除外する。用語の「〜からなる」は、特に線引きまたは列挙されていない、成分、ステップまたは手順を除外する。用語の「または」は、そうでないことが述べられていない限りは、列挙されている部材の個別のものならびに任意の組合せのものを指す。
【0113】
本明細書に列挙されている数値域はどれも、どの低い値とどの高い値との間にも少なくとも2つの単位の分離があることを条件として、低い値から高い値までのすべての値を1つの単位きざみで含む。一例として、成分の量、あるいは組成特性または物理的特性の値、例えば、ブレンド成分の量、軟化温度、メルトインデックス等が、1と100の間であると言われる場合、1、2、3等の個々の値、および、1〜20、55〜70、197〜100等のすべての部分的な範囲は、本明細書においては明白に数え上げられるように意図されている。1未満である値に対して、1つの単位は、それぞれに見合った0.0001、0.001、0.01または0.1であると考えられる。これらは、具体的に意図されているものの例に過ぎず、数え上げられているその最低の値と最高の値との間のすべての可能な数値の組合せは、この出願においては明白に記載されるべきと考えなければならない。言い換えれば、本明細書に列挙されている数値域はどれも、記載されている範囲内の任意の値または部分的な範囲を含む。数値範囲は、本明細書で既に述べたように、フィルムの厚さ、メルトインデックス、メルトフローレート、結晶化度パーセント、密度、およびその他の特性に関して列挙されている。
【0114】
本明細書で用いられる用語の「多層フィルム」とは、2つ以上の層(layer)または重なり層(ply)を有するフィルム構造を指す。
【0115】
本明細書で用いられる用語の「フィルム」とは、少なくとも1つの層または重なり層を有するフィルム構造を指す。
【0116】
本明細書で用いられる用語の「内層」とは、それぞれの表面で別の層と共に接触している内側のフィルム層を指す。
【0117】
本明細書で用いられる用語の「組成物」としては、該組成物である材料の混合物、ならびに該組成物の材料から形成される反応生成物および分解生成物が挙げられる。
【0118】
用語の「ポリマー」は、同じかまたは異なるタイプのモノマーを重合することによって調製される高分子化合物である。「ポリマー」としては、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、インターポリマーなどが挙げられる。用語の「インターポリマー」とは、少なくとも2つのタイプのモノマーまたはコモノマーの重合によって調製されるポリマーを意味する。それは、コポリマー(2つの異なるタイプのモノマーから調製されるポリマーを指す)、ターポリマー(3つの異なるタイプのモノマーから調製されるポリマーを指す)、テトラポリマー(4つの異なるタイプのモノマーから調製されるポリマーを指す)などを含むが、それに限定されない。
【0119】
本明細書で使用される用語の「オレフィンをベースとするポリマー」とは、大部分の重量パーセントのオレフィン(エチレンまたはプロピレン等)および場合によって1つまたは複数のその他のコモノマーを重合した形で含むポリマーを指す。
【0120】
本明細書で使用される用語の「インターポリマー」とは、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。総称のインターポリマーは、したがって、2つの異なるタイプのモノマーから調製されたポリマーを指すために採用されるコポリマー、および2つ以上の異なるタイプのモノマーから調製されるポリマーを含む。
【0121】
本明細書で使用される用語の「ブレンド」または「ポリマーブレンド」は、2つ以上のポリマーのブレンドを意味する。そのようなブレンドは、混和性であり得るかまたは混和性ではあり得ない(分子レベルで相分離しない)。そのようなブレンドは、相分離することができるかまたは相分離することができない。そのようなブレンドは、透過電子分光、光散乱、x線散乱、およびその他の技術的に公知の方法により測定される1つまたは複数のドメイン配置を含有することができるかまたはできない。
【0122】
本明細書で使用される用語の「エチレンをベースとするポリマー」とは、該ポリマーの重量に基づく大部分の重量パーセントのエチレンを、重合した形で含むポリマーを指す。
【0123】
本明細書で使用される用語の「エチレンをベースとするインターポリマー」とは、該インターポリマーおよび少なくとも1つのコモノマーの全体重量に基づく大部分の重量パーセントのエチレンを、重合した形で含むポリマーを指す。
【0124】
本明細書で使用される用語の「エチレン/α−オレフィンインターポリマー」とは、該インターポリマー、α−オレフィンコモノマーおよび場合によって1つまたは複数のその他のコモノマーの全体重量に基づく大部分の重量パーセントのエチレンを、重合した形で含むポリマーを指す。
【0125】
本明細書で使用される用語の「プロピレンをベースとするポリマー」とは、重合可能なモノマー(複数可)の全体量に基づいて50モルパーセントを超える重合したプロピレンモノマーの全体重量に基づく大部分の重量パーセントのプロピレンを、重合した形で含むポリマーを指す。
【0126】
本明細書で使用される用語の「プロピレンをベースとするインターポリマー」とは、該インターポリマーおよび少なくとも1つのコモノマーの全体量に基づいて、大部分の重量パーセントのプロピレンを、重合した形で含むポリマーを指す。
【0127】
本明細書で使用される用語の「プロピレン/α−オレフィンインターポリマー」とは、該インターポリマー、α−オレフィンコモノマー、および場合によって1つまたは複数のその他のコモノマーの全体重量に基づいて大部分の重量パーセントのプロピレンを、重合した形で含むポリマーを指す。
【0128】
本明細書で使用される用語の「プロピレン/エチレンインターポリマー」とは、該インターポリマー、エチレンコモノマー、および場合によって1つまたは複数のその他のコモノマーの全体重量に基づいて大部分の重量パーセントのプロピレンを、重合した形で含むポリマーを指す。
【0129】
試験手順
各試験における具体的な試験パラメーターは、使用されるポリマーまたはポリマーブレンドによって決まる。いくつかの下記の試験は、オレフィンをベースとする樹脂の典型として示されている試験パラメーターについて説明している。試験の特定のパラメーターは、本開示の範囲を限定しようとするものではない。当業者であれば特定の一式の試験パラメーターの限界を理解し、その他のタイプのポリマーおよびブレンドに対する適切なパラメーターを決定することができるであろう。
【0130】
エチレンベースのポリマーに対する平均分子量および分子量分布は、Polymer Laboratories Model PL−210またはPolymer Laboratories Model PL−220のいずれかからなるクロマトグラフシステムにより測定することができる。そのカラムおよび回転式区画は、エチレンをベースとするポリマーに対して140℃で作動させる。そのカラムは、3つのPolymer Laboratoriesの「10ミクロン混合B」カラムである。その溶媒は、1,2,4−トリクロロベンゼンである。試料は、50ミリリットルの溶媒中0.1グラムのポリマー粉末の濃度で準備する。その試料を準備するために使用される溶媒は、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する。試料は、160℃で2時間軽くかき混ぜることによって調製する。注入量は、100マイクロリットルであり、流量は1.0ミリリットル/分である。GPCカラムセットの較正は、Polymer Laboratories(UK)から仕入れた狭い分子量分布のポリスチレン標準により行う。そのポリスチレン標準のピークの分子量は、次の方程式を用いてポリエチレンの分子量に変換される(WilliamsおよびWard、J.Polym.Sci.,Polym.Let,6、621頁(1968)に記載されているようにして)。
ポリエチレン=A×(Mポリスチレン
式中、Mは、分子量であり、Aは、0.4315の値を有し、Bは1.0に等しい。
【0131】
エチレンをベースとするポリマーに対する当量分子量の計算は、Viscotek TriSECソフトウェア Version 3.0を使用して行う。プロピレンをベースとするポリマーに対する分子量は、ASTM D6474.9714−1に従って、Mark−Houwink比を用いて決定することができ、この場合、ポリスチレンに対しては、a=0.702およびlogK=−3.9であり、プロピレンをベースとするポリマーに対しては、a=0.725およびlogK=−3.721である。プロピレンをベースとする試料に対してカラムおよび回転式区画は、160℃で作動させる。
【0132】
多分散性(Mw/Mn):ポリマー試料中の鎖長の均一性の度合い。それは、分子量分布の幅を明らかにする。それは重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)によって割ることによって得られる。そのMwおよびMnは、ゲル浸透−液体クロマトグラフィーによって測定する。
【0133】
エチレンベースおよびプロピレンベースのポリマーについての結晶化度パーセントは、TA Instruments Model QlOOO示差走査熱量計を用いる示差走査熱量測定(DSC)によって測定することができる。約5〜8mgの大きさの試料を試験すべき材料から切断し、分析用のDSC受け皿に直接入れる。高い分子量の材料については薄膜を通常はその試料からプレスするが、低分子量の試料によっては、それらはプレス途中で粘着性がありすぎるかまたはあまりにも容易に流れる。試験用の試料は、しかしながら、調製したプラークから切断し、密度試験のために使用することができる。その試料は、最初にエチレンベースのポリマーについては180℃(プロピレンベースのポリマーについては230℃)まで約10℃/分の速度で加熱し、その温度で3分間等温的に保持して完全な溶融を確保する(第一の加熱)。次にその試料を、エチレンベースのポリマーについては−60℃(プロピレンベースのポリマーについては−40℃)まで毎分10℃の速度で冷却し、3分間等温的にそこで保持し、その後、それを再び完全に溶融するまで毎分10℃の速度で加熱する(第二の加熱)。この第二の加熱に由来するサーモグラムは、「第二加熱曲線」と呼ばれる。サーモグラムは、ワット/グラム対温度としてプロットされる。
【0134】
エチレンベースのポリマーにおける結晶化度パーセントは、第二の加熱曲線中に発生する融解熱のデータを用いて計算することができる(その融解熱は、通常は、一般的な業務用のDSC装置により、加熱曲線下の関連面積を積分することによって自動的に計算される)。エチレンベースのポリマーに対する方程式は、
結晶化度パーセント=(H÷292J/g)×100;であり、プロピレンベースのポリマーに対する方程式は、
結晶化度パーセント=(H÷165J/g)×100;である。「結晶化度パーセント」は、結晶化度パーセントを表し、「H」は、1グラムあたりのジュール(J/g)でのポリマーの融解熱を表す。
【0135】
ポリマーの融点(複数可)(T)は、上記のDSCから得られた第二の加熱曲線から決定することができる。結晶化温度(T)は、該第二の冷却曲線から決定することができる。
【0136】
密度は、アメリカ材料試験協会(ASTM)のやり方、ASTM D792−00、方法B、によって測定される。
【0137】
プロピレンベースのポリマーについてのg/10分の単位のメルトフローレート(MFR)は、ASTM D−1238−04、条件230℃/2.16kg、を用いて測定される。
【0138】
エチレンベースのポリマーに対するg/10分の単位のメルトインデックス(I2)は、ASTM D−1238−04、条件190℃/2.16kg、を用いて測定される。
【0139】
エルメンドルフ引裂きは、特定の長さのプラスチックフィルムをエルメンドルフ型引裂き試験機により引裂きを伝播するために必要な平均力を測定し、ASTM D−1922−06(タイプ−A)に従って測定される。試験片は、一定半径の形に切断され、予め切断したスリットを有する。試験は、ナイフを先に付けた振り子を用いて行われる。平均力が、試験片を引裂く間に失われた振り子のエネルギーから計算される。引裂き方向は、流れ方向(MD)および/または幅方向(CD)である。
【0140】
ダート衝撃強さは、落下するダートによる衝撃によって試験フィルムの50%の破損を引き起こすのに必要な重量を測定し、ISO−7765−1−88:ダート試験方法−B;方法の槍頭部直径:50mm;落下高さ:1.5m、に従うダート衝撃試験機により測定される。
【0141】
酸素透過度は、ASTM D3985−05に従い、MOCON Ox−Tran Model2/21を用いて25℃、75%RH、1気圧で測定する。試験片は、それが試験チャンバーの2つの側に分離するように保持する。片側は窒素雰囲気にさらされ、一方、別の側は酸素雰囲気にさらされる。窒素側の出口ポートを監視するクーロメトリ型センサーは、存在する酸素の量を測定する。窒素側雰囲気中の酸素の濃度が一定になったとき、試験は完了である。ストレッチされる試料については、そのフィルムは、インストロン引張機を用いて最初にストレッチされる。そのストレッチされたフィルムは、次に、フィルムの緩みを避けるために金属の骨組みに保持され、その骨組み上のフィルムは、その後、酸素透過を測定するためにチャンバー内に置かれる。
【0142】
フィルムの厚さは、ミツトヨデジマチックマイクロメーター(Mitutoyo Digimatic Micrometer)により測定される。
【0143】
引張り強さ:フィルムの試験片を破断するのに一定の伸びの下で必要となる力の大きさで、ASTM D882−02により測定される。試験片は、幅対厚さの比が少なくとも8:1であるべきである。異方性材料については、二組の試験片が試験され、最初の組は、ポリマーの配向方向と平行(MD−流れ方向)であり、第二の組は、ポリマーの配向方向と垂直(CD−幅方向)である。
【0144】
【表1】

【0145】
伸び:フィルムの試験片を破断するために必要な伸張パーセントの測定で、ASTM D882−02により測定される。
【0146】
モジュラス:インストロン引張試験曲線の直線部分における力の変化対伸びの変化の比であり、ASTM D882−02−方法Aによって測定される。
【0147】
引裂き伝播:フィルムの試験片中に鋭い刃物によってつくった小さいすき間から裂け目を伝播するのに必要な力で、ASTM D−1922−06Aにより測定される。
【0148】
パンクチャー力:上で明らかにしたボールの破裂に似たフィルムの拘束試験片を破裂させるのに必要なエネルギー。また一方、該インストロン引張り試験機は、破断されるまでの引張り/伸び曲線を測定する能力を有する。その「勾配」は、力の変化対曲線の直線部分の伸びの変化の比である。「ピーク」は、試料片に与えて破裂させるための最大の力の測定値である。「パンクチャーエネルギー」は、破裂する前に試料によって吸収されたエネルギーの測定値である。パンクチャー力は、ASTM D5748−95により測定される。
【0149】
例としてであり、限定するのではなく、本開示の実施例をここで示す。
【実施例】
【0150】
【表2】

【0151】
単層の試料を、Collin(タイプ180/400)インフレーションフィルムライン上で組み立てる。その押出し機の仕様を下の表にまとめる。
【0152】
押出し機仕様と層のレイアウト
押出し機
スクリュー長さ(mm):750
スクリュー直径(mm):30
【0153】
金型は、60mmの直径と1.2mmのダイギャップを有する。形成されたチューブは、デュアルリップエアリング(Dual lip air ring)を用いて冷却する。押出し温度は、それ故、ポリエチレンについては約220℃およびコア層については約230℃の溶融温度を得るように設定する。
【0154】
すべてのフィルムを次の定数パラメーターを用いて製造する:総生産量=5kg/時間;ブローアップ比(BUR)=2.5;フリーズライン高さ(FLH)≫100〜150mm;および約25ミクロンのフィルム厚さ。
【0155】
【表3】

【0156】
B.多層フィルム
【0157】
【表4】

【0158】
試料を、Collin(タイプ180/400)インフレーションフィルムライン上で製作する。3層構造を生成するために3つの押出し機を使用する。その押出し機の仕様を下の表にまとめる。
【0159】
【表5】

【0160】
溶融液の流れを、60mmの直径および1.2mmのダイギャップを有するらせん状のマンドレルディストリビュータ(spiral mandrel distributor)(モデルRWT40)を用いて、一緒にして多層用組成物にした。形成された多層チューブを、デュアルリップエアリングを用いて冷却する。押出し温度は、それ故、外層には約220℃、内層には約230℃の溶融温度が得られるように設定する。
【0161】
すべてのフィルムを次の定数パラメーターを用いて製造する:総生産量=5kg/時間;ブローアップ比(BUR)=2.5;ダイギャップ=1.2;フローズライン高さ(froze line height)(FLH)≒100〜150mm、冷却環における空気温度20℃;および約25ミクロンまたは50ミクロンのフィルム厚さ。
【0162】
【表6】

【0163】
本件のフィルムは、特に従来のサイロおよびクランプストレージシステムと比較したとき、改良された酸素バリヤー性を有する。本件のフィルムは、少なくとも従来のサイレージフィルムと同じくらい良好(またはそれより良好)である機械的性質を示す。本件のフィルムは、ベールサイレージのラッピングに必要なフィルム材料の量を有利に減らす−コストを節減し、生産効率を改善する。
【0164】
本開示は、本明細書に含まれている実施形態および実例に限定はされずに、以下の特許請求の範囲に入る実施形態の一部および異なる実施形態の要素の組合せを含めたそれらの実施形態の修正された形を含むことが特に意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一成分と第二成分とのブレンドを含むフィルムであって、前記第一成分が、線状の低密度ポリエチレンを含み、
前記第二成分が、プロピレンをベースとするポリマー、プロピレンホモポリマー、プロピレン/α−オレフィンインターポリマー、プロピレン/エチレンインターポリマー、高密度ポリエチレン、およびそれらの組合せからなる群から選択される部材を含み、前記フィルムが、約1ミクロンから約100ミクロンの厚さを有するフィルム。
【請求項2】
ASTM D3985−05に従って測定して、10,800cc/m/24時間未満の酸素透過度を有する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記線状低密度ポリエチレンが、約0.91g/ccから約0.93g/cc、または約0.92g/ccの密度、約0.1g/10分から約10g/10分、または約1.0g/10分のメルトインデックス、および約40%から約50%、または約47%の結晶化度を有するエチレン/オクテンコポリマーである、請求項1から2のいずれかに記載のフィルム。
【請求項4】
ISO7765−1−88Aに従って測定して、約100gから約300gのダート衝撃強さを有する、請求項1から3のいずれかに記載のフィルム。
【請求項5】
約60重量%から約99重量%の前記第一成分および約40重量%から約1重量%の前記第二成分を含む、請求項1から4のいずれかに記載のフィルム。
【請求項6】
約90重量%の前記第一成分および約10重量%の前記第二成分を含む、請求項1から5のいずれかに記載のフィルム。
【請求項7】
第一の外層と第二の外層との間に位置する内層を含む多層フィルムであって、前記内層が、高密度ポリエチレン、プロピレンホモポリマー、プロピレン/α−オレフィンインターポリマー、およびそれらの組合せからなる群から選択される成分を含み、
前記第一の外層および前記第二の外層が、同じか異なるものであり、それぞれの外層が、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、プロピレン/α−オレフィンインターポリマー、およびそれらの組合せからなる群から選択される成分を含み、少なくとも1つの外層の厚さが、前記内層の厚さより大きい多層フィルム。
【請求項8】
それぞれの前記外層の厚さが、前記内層の厚さより大きい、請求項7に記載の多層フィルム。
【請求項9】
前記内層が、前記フィルムの全体の厚さの約20%以下の厚さを有する、請求項7から8のいずれかに記載の多層フィルム。
【請求項10】
ASTM D3985−05に従って測定して、約10,800cc/m/24時間未満の酸素透過度を有する、請求項7から9のいずれかに記載の多層フィルム。
【請求項11】
少なくとも1つの外層が、約90重量%の線状低密度ポリエチレンおよび約10重量%の、プロピレンホモポリマー、高密度ポリエチレンおよびプロピレン/エチレンインターポリマーからなる群から選択される部材を含む、請求項7から10のいずれかに記載の多層フィルム。
【請求項12】
ベールサイレージを製造する方法であって、
飼料作物のベールの周りにラッピングフィルムを巻き付けるステップと、
前記ラッピングフィルムにより前記ベールの周りに気密性のバリヤーを形成するステップと、
前記バリヤーにより酸素の前記ベールへの接触を10,800cc/m/24時間未満に抑えるステップと
を含む方法。
【請求項13】
前記ラッピングフィルムが、第一成分と第二成分とのブレンドを含む単層フィルムであり、前記第一成分が、線状低密度ポリエチレンを含み、前記第二成分が、プロピレンホモポリマー、プロピレン/α−オレフィンインターポリマー、プロピレン/エチレンインターポリマー、高密度ポリエチレン、およびそれらの組合せからなる群から選択される部材を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ラッピングフィルムが、第一の外層と第二の外層との間に位置する内層を含む多層フィルムであり、前記内層が、高密度ポリエチレン、プロピレンホモポリマー、プロピレン/α−オレフィンインターポリマー、プロピレン/エチレンインターポリマーおよびそれらの組合せからなる群から選択される成分を含み、前記第一の外層および前記第二の外層が、同じものか異なるものであり、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、プロピレン/α−オレフィンインターポリマー、プロピレン/エチレンインターポリマーおよびそれらの組合せからなる群から選択される成分を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記ラッピングの間に前記ラッピングフィルムをストレッチするステップを含む、請求項12から14のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2012−504685(P2012−504685A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530135(P2011−530135)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/058742
【国際公開番号】WO2010/039687
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】