説明

バルコニー等の手摺壁構造

【課題】 イベント等に合わせた装飾パネルを、簡単で且つ安全にバルコニーやベランダの手摺壁に着脱できるようにする。
【解決手段】 バルコニー又はベランダの手摺壁本体(1)に、採光又は通風の少なくとも一方が可能なシースルー部(3)を設け、このシースルー部(3)に装着する面材(30)の外側に、この面材(30)で支持するようにして装飾パネル(40)を取付け可能とするとともに、シースルー部(3)から面材(30)を取り外すことで、装飾パネル(40)を取り外し可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、クリスマスその他のイベント等の際に用いる装飾パネルを、バルコニーやベランダの手摺壁に取り付けるためのバルコニー等の手摺壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クリスマス等のイベントに合わせて、住宅の外装に電飾その他の装飾を施すことが一般的に行われている。その際、バルコニーやベランダの手摺壁にも装飾を施すことで、住宅の外装をより効果的に装飾することができる。
【0003】
一方、特許文献1及び特許文献2には、表面に植物や造花が取り付けられた装飾パネルや、絵画等が描かれた装飾パネルを、連結部材を介してベランダの手摺壁に引っ掛けることで、それら装飾パネルを手摺壁の屋外側に取り付けて、ベランダの手摺壁を装飾するようにした構成が記載されている。
【0004】
また、特許文献3には、バルコニーの手摺壁の一部が、屋内外方向に間隔を空けて設けられた内外一対の格子によって構成され、それら一対の格子間に上方から木製の装飾パネルを挿入することで、バルコニーの手摺壁を装飾するようにした構成が記載されている。
【0005】
これらの特許文献1乃至3に記載されているように、バルコニーやベランダの手摺壁に装飾パネルを取り付ける技術は従来より知られており、これらの技術を利用すれば、住宅の外装をより効果的に装飾することが可能である。
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3002105号公報
【特許文献2】特開平9−184195号公報
【特許文献3】特開2000−186363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記の特許文献1及び2の構成では、連結部材により装飾パネルを手摺壁に連結する構造が大掛かりであるため、取付けに手間が掛かってしまうとともに、装飾パネルの着脱作業を手摺壁の屋外側で行う必要があるため、作業中にパネルが落下する危険を有していた。
【0008】
また、特許文献3の構成では、装飾パネルの着脱の際に、そのパネルを手摺壁の上端よりも上側に持ち上げなければならないため、やはり作業性が悪くパネルを落としてしまう恐れがあった。しかも、取付け状態の装飾パネルが、その装飾パネルの屋外側に配置された格子によって部分的に隠されてしまうため、それによって外観が損なわれてしまう欠点もあった。
【0009】
そこで、この発明は、上記の不具合を解消して、イベント等に合わせた装飾パネルを、簡単で且つ安全にバルコニーやベランダの手摺壁に着脱することができるバルコニー等の手摺壁構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、この発明におけるバルコニー等の手摺壁構造は、バルコニー又はベランダの手摺壁本体が、採光又は通風の少なくとも一方が可能なシースルー部を備え、このシースルー部に装着される面材の外側に、この面材に支持されるようにして装飾パネルが取付け可能とされるとともに、シースルー部から面材を取り外すことで、装飾パネルが取り外し可能とされていることを特徴とする。
【0011】
なお、ここで、シースルー部から面材を取り外した状態とは、面材の一部がシースルー部に固定されている場合などのように、面材の一部がシースルー部に取り残された状態を含むものとする。
【0012】
また、前記面材の下端部が、その面材の横方向に沿って設けられた連結軸を介して、手摺壁本体に対して回転自在に連結され、その面材は、前記連結軸周りに回転することによって前記シースルー部に着脱可能とされている。
【0013】
さらに、前記面材は、採光又は通風の少なくとも一方が可能なシースルー面材である。具体的に、前記面材は、複数の縦桟又は横桟を備えた格子状に形成されている。
【0014】
加えて、前記装飾パネルは、絵柄、写真、模様、図形、文字若しくは記号、又はそれらの組み合わせからなる意匠が施されたアクリル板又はパンチングメタルからなっている。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、手摺壁本体のシースルー部に装着される面材の外側に、この面材に支持されるようにして装飾パネルが取付け可能とされ、シースルー部から面材を取り外すことで、装飾パネルが取り外し可能とされているため、シースルー部から面材を取り外した状態で、装飾パネルの着脱作業を行うことができる。
【0016】
従って、装飾パネルを着脱する際に、装飾パネルを、手摺壁よりも高く持ち上げたり、手摺壁より屋外側へ持ち出したりする必要がないため、装飾パネルの着脱作業を簡単且つ安全に行うことができる。そのため、クリスマス等のイベントや、季節、居住者の好みなどに合わせて、装飾パネルを適宜選択して取り付けることで、それらイベント等に応じて手摺壁の装飾を手軽に行うことができる。
【0017】
また、面材の下端部を手摺壁本体に対して回転自在に連結することにより、シースルー部に対して、面材を手摺壁の屋内側で回転させるだけで極めて容易に着脱できるため、装飾パネルの着脱時の作業性を向上させることができる。
【0018】
さらに、シースルー部に嵌着される面材として、採光や通風が可能なシースルー面材を用いることで、装飾パネルを取り外した状態において、シースルー部からの採光や通風を確保することができ、居住性の向上を図ることができる。特に、装飾パネルとして、アクリル板等の透明又は半透明のものを用いた場合は、装飾パネルを取り付けた状態でもシースルー部から採光を確保することが可能となり、パンチングメタル等の通風性のあるものを用いた場合は、装飾パネルを取り付けた状態でもシースルー部から通風を確保することが可能となる。
【0019】
さらにまた、格子状に形成された面材を用いることで、装飾パネルを取り外した状態のシースルー部において、十分な採光及び通風を確保しつつ、ある程度の意匠性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。バルコニーの手摺壁本体(1)は、バルコニーの周方向に沿ってバルコニー床(4)上に立設され、図1に示すように、バルコニーの周方向に間隔を空けて設けられた複数の遮蔽壁部(2)(2)と、それら隣接する遮蔽壁部(2)(2)間に挟まれたシースルー部(3)とからなっている。
【0021】
遮蔽壁部(2)は、コンクリート壁によって構成されるか、又は枠材等からなる下地にサイディング材等の板材が張り付けられて構成されており、屋外からの光や風が遮られるようになっている。他方、シースルー部(3)は、手摺壁本体(1)を屋内外方向に貫通して設けられており、このシースルー部(3)において、屋外からの採光及び通風が可能となっている。
【0022】
手摺壁本体(1)の上縁には、バルコニーの全周に亘って笠木(10)が設けられている。この笠木(10)は、シースルー部(3)を跨ぎながら、各遮蔽壁部(2)(2)の上端に取り付けられている。また、笠木(10)は、断面略矩形状に形成されており、シースルー部(3)上方の跨ぎ部分においては、図2に示すように、下端の屋内側コーナー部に例えば段状の切欠き部(11)が形成されている。
【0023】
なお、笠木(10)の上面には手摺(14)が立設されている。また、バルコニー床(4)の屋外側周縁部には、手摺壁本体(1)に沿うようにして排水用溝(5)が設けられている。
【0024】
シースルー部(3)には、例えば金属プレートからなるパネル受け片(20)が、そのシースルー部(3)を囲む周壁よりシースルー部(3)の内側に向かって張り出して設けられている。
【0025】
パネル受け片(20)は、シースルー部(3)を挟む両側の遮蔽壁部(2)(2)の側壁面より、それぞれ相互に近接するようにして張り出す左右一対の垂直受け部(21)(21)と、バルコニー床(4)の床面より上方へ向かって張り出す下側受け部(22)とからなっている。下側受け部(22)は、左右一対の垂直受け部(21)(21)の下端部間に跨って設けられ、パネル受け片(20)は、それら垂直受け部(21)(21)と下側受け部(22)とにより略U字状に形成されている。
【0026】
なお、パネル受け片(20)の形状は、特に上記形状に限定されるものではなく、後述の装飾パネル(40)の周縁部を屋外側から支持することができ、且つ、その装着状態の装飾パネル(40)の大部分が屋外側から視認できるような形状であれば良い。従って、例えば、パネル受け片として、アクリル板等の透明又は半透明の板材を用いた場合は、そのパネル受け片の形状を、シースルー部(3)全面を塞ぐような形状としても良い。
【0027】
図2に示すように、シースルー部(3)には、シースルー面材(30)が着脱自在に装着されるようになっており、シースルー部(3)の下端部には、シースルー面材(30)が連結される連結軸(25)が、パネル受け片(20)の屋内側に設けられている。図1乃至図3に示すように、連結軸(25)は、丸棒状に形成され、シースルー面材(30)の横方向に沿って設けられている。
【0028】
この連結軸(25)は、左右一対の軸受け材(26)(26)間に跨って設けられている。軸受け材(26)(26)は、シースルー部(3)の下端部における左右両端部に設けられている。具体的に、軸受け材(26)(26)は、パネル受け片(20)の左右両側の垂直受け部(21)(21)下端より、それぞれ屋内側に向かって突設されている。
【0029】
シースルー面材(30)は、複数の縦桟(31)(31)…を備えた格子状に形成されており、シースルー部(3)に装着された状態において、そのシースルー部(3)からの採光及び通風が可能となっている。縦桟(31)(31)…は、横方向に所定間隔を空けて設けられている。シースルー面材(30)の上端部には、縦桟(31)(31)…の前面側に上横材(32)が設けられ、シースルー面材(30)の上下方向の中間部には、縦桟(31)(31)…を貫通するようにして中桟(33)が設けられている。
【0030】
縦桟(31)(31)…の下端部には、上記の連結軸(25)が回転自在に貫通されており、これにより、シースルー面材(30)は、連結軸(25)に回転自在に連結されている。すなわち、シースルー面材(30)の下端部が、連結軸(25)を介して、手摺壁本体(1)に対して回転自在に連結されており、シースルー面材(30)は、連結軸(25)周りに回転することによって、シースルー部(3)に着脱されるようになっている。
【0031】
なお、シースルー部(3)上方の笠木(10)には、上記のように切欠き部(11)が形成されているため、図2に示すように、シースルー面材(30)の上端は、シースルー部(3)に装着された状態において笠木(10)と干渉しないようになっている。また、この装着状態のシースルー面材(30)は、図示しない係止手段によって手摺壁本体(1)側に係止されるようになっており、振動や衝撃等によってシースルー部(3)から容易に外れないようになっている。
【0032】
さらに、シースルー面材(30)は、必ずしも縦桟(31)(31)…によって格子状に形成する必要はなく、複数の横桟によって格子状に形成するようにしても良い。さらにまた、シースルー面材(30)としては、採光又は通風の少なくとも一方が可能な面材であれば、必ずしも格子状に形成する必要はなく、例えばパンチングメタルを用いるようにしても良い。
【0033】
上記のようにシースルー部(3)に装着されるシースルー面材(30)の外側には、このシースルー面材(30)に支持されるようにして装飾パネル(40)が取付け可能とされるとともに、シースルー部(3)からシースルー面材(30)を取り外すことで、装飾パネル(40)が取り外し可能とされている。
【0034】
装飾パネル(40)としては、絵柄、写真、模様、図形、文字若しくは記号、又はそれらの組み合わせからなる意匠が施されたものが用いられ、具体的には、例えば透明又は半透明のアクリル板が用いられる。装飾パネル(40)の意匠は、例えば、アクリル板の内部に発光ダイオードを埋め込むことによって施すことが考えられるが、その構成は特に限定されるものではない。すなわち、発光ダイオードの埋め込み以外にも、例えば、アクリル板の表面に塗装又は印刷することによって、意匠を施すようにしても良い。
【0035】
なお、装飾パネル(40)としては、必ずしもアクリル板を用いる必要はなく、例えば、打ち抜き加工によって意匠が施されたパンチングメタルを用いるようにしても良い。
【0036】
以上の構成からなる手摺壁本体(1)に装飾パネル(40)を装着する際は、シースルー部(3)から取り外した状態のシースルー面材(30)とパネル受け片(20)との間に装飾パネル(40)を配置して、シースルー面材(30)を回転させながら立て起こすことによってシースルー部(3)に装着する。
【0037】
これによって、装飾パネル(40)が、シースルー面材(30)とパネル受け片(20)とによって挟み込まれて支持され、シースルー面材(30)の外側に装飾パネル(40)が取り付けられた状態となり、図4に示すように、装飾パネル(40)によってバルコニーの手摺壁が装飾される。
【0038】
一方、そのような装飾パネル(40)の装着状態において、シースルー面材(30)を引き倒してシースルー部(3)から取り外すと、装飾パネル(40)が、シースルー部(3)から取り出し可能となる。
【0039】
このように、装飾パネル(40)は、シースルー面材(30)とパネル受け片(20)とで挟み込むだけで装着できるため、手摺壁本体(1)に対して極めて容易に着脱することができるようになっている。したがって、クリスマス等のイベントや、季節、居住者の好みなどに合わせて、装飾パネル(40)を適宜選択して取り付けることで、それらイベント等に応じて手摺壁の装飾を手軽に行うことができるようになっている。
【0040】
なお、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正及び変更を加え得ることは勿論である。例えば、この発明は、上記のようなバルコニーの手摺壁に限られず、ベランダの手摺壁に適用することもできる。
【0041】
また、装飾パネル(40)の取付けに関しては、上記のような挟み込みによる構成以外にも様々なものが考えられる。
【0042】
例えば、複数の紐の一端が固定された装飾パネル(40)を、シースルー部(3)に収まるように配置して、装飾パネル(40)の紐の他端側を手摺(14)や笠木(10)等に結びつけた状態で、シースルー部(3)に装着するシースルー面材(30)で屋内側から支持するようにして、装飾パネル(40)を取り付けるようにするか、又は、その紐の他端側をシースルー面材(30)に結びつけてから、そのシースルー面材(30)をシースルー部(3)に装着することによって、装飾パネル(40)をシースルー面材(30)で支持するようにして取り付けるようにすることが考えられる。
【0043】
さらには、例えば、装飾パネル(40)の裏面に磁石を設けるとともに、鉄製のシースルー面材(30)を用いることが考えられ、その場合は、装飾パネル(40)をシースルー面材(30)に磁着させてから、そのシースルー面材(30)をシースルー部(3)に装着することによって、装飾パネル(40)を取り付けるようにすれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の一実施形態に係るバルコニー等の手摺壁構造を示す斜視図である。
【図2】同じくその縦断面図である。
【図3】同じくその横断面図である。
【図4】同じくその屋外から見た正面図である。
【符号の説明】
【0045】
(1) 手摺壁本体
(3) シースルー部
(25) 連結軸
(30) シースルー面材
(31) 縦桟
(40) 装飾パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルコニー又はベランダの手摺壁本体が、採光又は通風の少なくとも一方が可能なシースルー部を備え、このシースルー部に装着される面材の外側に、この面材に支持されるようにして装飾パネルが取付け可能とされるとともに、シースルー部から面材を取り外すことで、装飾パネルが取り外し可能とされていることを特徴とするバルコニー等の手摺壁構造。
【請求項2】
前記面材の下端部が、その面材の横方向に沿って設けられた連結軸を介して、手摺壁本体に対して回転自在に連結され、その面材は、前記連結軸周りに回転することによって前記シースルー部に着脱可能とされている請求項1記載のバルコニー等の手摺壁構造。
【請求項3】
前記面材は、採光又は通風の少なくとも一方が可能なシースルー面材である請求項1又は2記載のバルコニー等の手摺壁構造。
【請求項4】
前記面材は、複数の縦桟又は横桟を備えた格子状に形成されている請求項1乃至3のいずれかに記載のバルコニー等の手摺壁構造。
【請求項5】
前記装飾パネルは、絵柄、写真、模様、図形、文字若しくは記号、又はそれらの組み合わせからなる意匠が施されたアクリル板又はパンチングメタルからなっている請求項1乃至4のいずれかに記載のバルコニー等の手摺壁構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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