バルジ構造及びそれを用いたコラムブーツ
【課題】 単純な金型(あるいは非鉄金属による型)で成形できるバルジ構造とそれを用いたコラムブーツの提供。
【解決手段】
大径の中空部材(15)の内部に小径の部材(35)が挿入され、大径の部材(15)の内壁面に環状の溝部(17)が形成され、小径の部材(35)の外周面に環状の突起(37)が形成され、大径の部材(15)の内壁面に形成された環状の溝部(17)に小径の部材(35)の外周面に形成された環状の突起(37)が嵌合しており、前記環状の溝部(17)には複数の切り欠き(30)が形成されており、該切り欠き(30)は、小径の部材(35)側に向って幅(W)寸法が増加するV字形状に構成されている。
【解決手段】
大径の中空部材(15)の内部に小径の部材(35)が挿入され、大径の部材(15)の内壁面に環状の溝部(17)が形成され、小径の部材(35)の外周面に環状の突起(37)が形成され、大径の部材(15)の内壁面に形成された環状の溝部(17)に小径の部材(35)の外周面に形成された環状の突起(37)が嵌合しており、前記環状の溝部(17)には複数の切り欠き(30)が形成されており、該切り欠き(30)は、小径の部材(35)側に向って幅(W)寸法が増加するV字形状に構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルジ構造及びそれを用いたコラムブーツに関し、特に型抜きを容易に形成した合成樹脂製のバルジ構造及びそれを用いたコラムブーツに関する。
【背景技術】
【0002】
図8は管の連結継ぎ手に用いられる通常のバルジによる連結の説明図である。図において、大径の中空管15の内壁に形成された環状の溝部(バルジ)17に、小径の中空管35の外周面に形成された環状の突起(バルジ)37が嵌合されて、シール保持された連結がなされている。
【0003】
図9は、大径の中空管15を例にして、内壁の環状の溝部17を金型で形成する一般的な例を示している。外型m1と分割型の内型m2の間にモールディングが射出され中空管15の直部と溝部(バルジ)17が形成される。型m3は内型m2を保持して、かつ、モールディングのガイドルートを形成している。
このような、型の構成では、溝部(バルジ)17が形成された後の脱型に際して、最初に型m3を外し、内型m2を分割して管内に落とし込むようにして溝部(バルジ)17から脱型させている。
【0004】
上記のような従来のバルジ成形では、型が複雑でかつ型の組立、取り外しが面倒で、型のコストと作業性に難点がある。作業性からは内型m2を分割して管内に落としこむような面倒がなく、単に軸方向に引き出せるものが望まれている。
【0005】
樹脂ホースのバルジ成型については、挿管が容易でかつシール性のよい配管部材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、この提案は前記のバルジ成型の難点を解決するものではない。
また、鋼管のバルジ成型についての提案もなされている(例えば、特許文献2参照)。
しかしこの提案は、自動車の排気マニホールドの構成部品としての紡錘型パイプを成型するもので、継ぎ手の機能を有するものではない。
【0006】
図10〜図15は、自動車運転用のステアリングシャフト1を包囲するコラム2に設けられたコラムブーツ8を示している。
【0007】
コラムブーツ8は、上部に環状の溝部(バルジ)17Aが形成された変形台形筒状のカバー部11と、カバー部11の下部に嵌合する蛇腹状の蛇腹部7Aとで構成されている。
【0008】
図12〜図15は、環状の溝部(バルジ)17Aが形成されたカバー部11を示している。
図12〜図15において、カバー部11の上部に、端部にフランジ16を有する直管部18の内壁に溝部(バルジ)17Aが設けられた係合部15Aがあり、カバー部11の下端部には蛇腹部7Aに嵌合して固定されるフランジ部13が設けられている。この係合部15Aは溝部(バルジ)を有する前記図8の管の連結部と同様の機能を有している。
【0009】
図15は、この係合部15Aの成型方法を示していて、実質的には図9の金型の着、脱と同様である。即ち、環状の溝部17Aを成型する突起部Cbを有する分割型の内型C2を中型C1が支持してモールディングが射出され、係合部15Aが成型された後に、中型C1をY方向に引き出し、内型C2を半径方向の内方に落とし込むようにして脱型をする。
この場合の金型Cの着、脱の不都合さは前記図9と全く同様である。特に図9で示すオイルや水用の小管を対象にするのと異なり、直径で80〜90mmのブーツでは型の扱いが一層面倒になっている。
このようなコラムブーツにおけるバルジの成形を容易にする技術は未だ提案されてはいない。
【特許文献1】特開9−100965号公報
【特許文献1】特開2000−48767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、単純な金型(あるいは非鉄金属による型)で成形できるバルジ構造とそれを用いたコラムブーツの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明者は種々研究の結果、バルジ部に複数の軸方向の切り欠きを入れ、型を引抜く際に切り欠きが開いて型が軸方向に抜けるようにし、バルジ部及び管部が弾性限界以内で拡径させることで継ぎ手としての実用化が可能なことを見出した。
【0012】
本発明のバルジ構造は係る知見に基いて創作されたものであり、大径の中空部材(15)の内部に小径の部材(35)が挿入され、大径の部材(15)の内壁面に環状の溝部(17)が形成され、小径の部材(35)の外周面に環状の突起(37)が形成され、大径の部材(15)の内壁面に形成された環状の溝部(17)に小径の部材(35)の外周面に形成された環状の突起(37)が嵌合しており、前記環状の溝部(17)には複数の切り欠き(30A)が形成されており、該切り欠き(30A)は、小径の部材(35)側に向って幅(W)寸法が増加するV字形状に構成されていることを特徴とする(請求項1)。
【0013】
実施に際して、切り欠きは、成型された大径の中空部材が脱型時に金型が軸方向(小径の中空部材方向)に移動するときに弾性限界内で中空部材が拡径し、嵌合力を有する程度の数量と形状にすることが必要である。
【0014】
本発明のコラムブーツは、ステアリングシャフトを包囲するコラムブーツにおいて、小径のパイプ状部材(35A)が大径のパイプ状部材(25)の内側に挿入されており、大径のパイプ状部材(25)の内壁面に環状の溝部(27)が形成され、小径のパイプ状部材(35A)の外周面に環状の突起(37)が形成され、大径のパイプ部材(25)の内壁面に形成された環状の溝部(27)に小径のパイプ状部材(35A)の外周面に形成された環状の突起(37)が嵌合しており、前記環状の溝部(27)には複数の切り欠き(30)が形成されており、該切り欠き(30)は、小径のパイプ状部材(35A)側に向って幅寸法が増加するV字形状に構成されていることを特徴としている(請求項2)。
【0015】
実施に際して、切り欠きは、成型された大径のパイプ状部材が脱型時に金型が軸方向(小径のパイプ状部材方向)に移動するときに弾性限界内で大径のパイプ状部材が拡径し、嵌合力を有する程度の数量と形状にすることが必要である。
この切り欠きを形成した溝部(バルジ)は、油分やほこりのシール性が厳密には要求されない場所への適用が好ましい。
【発明の効果】
【0016】
上述した構成を具備する本発明によれば、大径の中空部材の内壁面に形成された環状の溝部に複数の切り欠きが形成されており、該切り欠きは、小径の部材側に向って幅寸法が増加するV字形状に構成されている(請求項1)ので、成形膜の、とくに脱型に際しては環状の溝部が拡径するために型を分解することなく(スライド型を使用することなく)直接に軸方向に引抜きができるので、金型の構造が簡単になり、また管の連結が容易になる利点がある。
【0017】
また、本発明のコラムブーツは、大径のパイプ状部材の内壁面に形成された環状の溝部に複数の切り欠きが形成されており、該切り欠きは、小径のパイプ状部材側に向って幅寸法が増加するV字形状に構成されている(請求項2)ので、成形膜の、とくに脱型に際しては環状の溝部が拡径するために型を分解することなく(スライド型を使用することなく)直接に軸方向に引抜きができるので、金型の構造が簡単になり、またステアリングまわりの組み付けに際してブーツの連結が容易になる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1〜図3は、第1実施形態を示している。従来図8、9も参照して説明する。
図1において、管を構成する大径の中空部材15の端部近傍に内壁面に環状の溝部17が形成されている。溝部17は、凹部が円弧状で裾の両端が滑らかに中空部材17の直管部に接続されて、型の落ち着きと射出されたモールディングの流れがスムーズになるように構成されている。
【0019】
中空部材15の端部(図8における小径の中空部材35が挿入される側)からV字形状の切り欠き30Aが軸に平行に、溝部17を横切って形成されている。切り欠き30Aの幅Wは小径の中空部材35側に向かって幅寸法が増加し、余裕のある型抜き勾配も配慮するように構成され、切り欠き30Aの端部30Rは拡径時に応力集中のない円弧状に構成されている。
図2に示すように、切り欠き30Aは円周方向に等分に3ヶが形成されていて、3ヶの切り欠き30AとV字形状によって、脱型時の中空部材15のとくに溝部17の拡径が、中空部材15の材料の弾性限界内にあって破損の生じることがないように形成されている。
【0020】
図3は、中空部材15の脱型の要領を示したもので、内型M2を軸方向X2に引抜く際に、切り欠き30Aによって中空部材15が拡径して内型M2の突起Mcを引き出し可能にしている。
切り欠き30Aからの内型M2の引き出しは、図示による明示はしていないが切り欠き30Aの引き出し側の幅Wが広く、即ち抜き勾配があるので中空部材15を破損させることなく容易に引き出しできる。
このようにして製造された中空部材15は、小径の中空部材35を挿入して連結する(図8参照)作業が容易である。
【0021】
図4〜図7は、第2実施形態を示している。本第2実施形態は、従来図10〜15で示したステアリングコラム2を包囲するコラムブーツ8のカバー部11にV字状の切り欠きを形成して、型抜きを容易にし、カバー部11とコラムバルジ部3との連結嵌合いを容易にする態様にしたものである。従来図10〜15も参照して従来のカバー部11と異なる部分を主体に説明する。
【0022】
図4〜図6において、カバー部21の係合部を構成する大径のパイプ状部材25の上端部にフランジ26を有する直管部28があり、直管部28の内壁に環状の溝部(バルジ)27が設けられている。
【0023】
溝部27は、係合部のパイプ状部材25を拡大した図6を参照して、凹部が円弧状で裾の両端が滑らかにパイプ状部材25の直管部28に接続されて、型の落ち着きと射出されたモールディングの流れがスムーズになるように構成されている。
溝部27の下端部に接続する直管部28は下端にフランジ33を有する変形台形のスカート部24に接続されている。
【0024】
パイプ状部材25に、上端部から溝部27の下方の直管部28にかけてV字状の切り欠き30が形成されている。
切り欠き30は上端部、即ち小径のパイプ状部材35(図7参照)、に向かって幅Wの寸法が増加するように形成され、端部31Rは半円状に形成されている。従って、切り欠き30の外側端部32は、型抜きが容易な抜き勾配を構成している。抜き勾配はパイプ状部材25のサイズ、材質、型の材質等によってきめられる。
【0025】
図5を参照して、切り欠き30は複数、図においては、3ヶが円周方向に等分されている。切り欠き30の個数は少ないと型が抜けないので、型が抜ける範囲でかつ溝27としての嵌合いが可能な、そして嵌合力を有する範囲の個数が好ましい。
【0026】
図7は、上記の構成による大径のパイプ状部材25に小径のパイプ状部材35Aが挿入され溝部27と突起37が嵌合された状態を示している。
そして、第1実施形態の図3で示した型抜きと同様に、型M2でパイプ状部材25を成形し脱型をする際には、パイプ状部材25の切り欠き30によって拡径され、X2方向に脱型ができる。
【0027】
このようにして製造されたパイプ状部材25は、ステアリングコラム2に形成された小径のパイプ状部材35Aのコラムバルジ部3の突起に嵌合する連結が容易で、車両製造におけるステアリングの組立及び修理保全が容易である。また、切り欠き30があるので、油やほこりのシールが厳密には要求されない場所に好適である。
【0028】
前記図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態に係るV字状の切り欠きが形成された中空部材の側面図。
【図2】図1のX矢視正面図。
【図3】図1の溝部(バルジ)が形成された中空部材から脱型する状態を示す説明図。
【図4】第2実施形態に係るV字状の切り欠きが形成されたカバー部の側面図。
【図5】図4の切り欠きを示すYc矢視図。
【図6】図4の係合部(V字状の切り欠き周辺)の拡大図。
【図7】第2実施形態に係るバルジ連結の説明図。
【図8】通常のバルジ連結の説明図。
【図9】従来のバルジの成型の説明図。
【図10】従来のコラムブーツの側面図。
【図11】図10の正面図。
【図12】従来のカバー部の側面図。
【図13】図12の側面図。
【図14】図12のZ矢視図。
【図15】従来の係合部の脱型の要領を示す説明図。
【符号の説明】
【0030】
M2・・型
Mc・・型の突起
W・・・切り欠きの幅
1・・・ステアリングシャフト
2・・・コラム
3・・・コラムバルジ部
7A・・蛇腹部
8・・・コラムブーツ
11・・カバー部
15・・大径の中空部材
15A・・大径のパイプ状部材
17、27・・溝部(バルジ)
21・・カバー部
24・・スカート部
25・・係合部、大径のパイプ状部材
26・・フランジ
30、30A・・・切り欠き
35・・小径の部材
35A・・小径のパイプ状部材
37・・突起
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルジ構造及びそれを用いたコラムブーツに関し、特に型抜きを容易に形成した合成樹脂製のバルジ構造及びそれを用いたコラムブーツに関する。
【背景技術】
【0002】
図8は管の連結継ぎ手に用いられる通常のバルジによる連結の説明図である。図において、大径の中空管15の内壁に形成された環状の溝部(バルジ)17に、小径の中空管35の外周面に形成された環状の突起(バルジ)37が嵌合されて、シール保持された連結がなされている。
【0003】
図9は、大径の中空管15を例にして、内壁の環状の溝部17を金型で形成する一般的な例を示している。外型m1と分割型の内型m2の間にモールディングが射出され中空管15の直部と溝部(バルジ)17が形成される。型m3は内型m2を保持して、かつ、モールディングのガイドルートを形成している。
このような、型の構成では、溝部(バルジ)17が形成された後の脱型に際して、最初に型m3を外し、内型m2を分割して管内に落とし込むようにして溝部(バルジ)17から脱型させている。
【0004】
上記のような従来のバルジ成形では、型が複雑でかつ型の組立、取り外しが面倒で、型のコストと作業性に難点がある。作業性からは内型m2を分割して管内に落としこむような面倒がなく、単に軸方向に引き出せるものが望まれている。
【0005】
樹脂ホースのバルジ成型については、挿管が容易でかつシール性のよい配管部材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、この提案は前記のバルジ成型の難点を解決するものではない。
また、鋼管のバルジ成型についての提案もなされている(例えば、特許文献2参照)。
しかしこの提案は、自動車の排気マニホールドの構成部品としての紡錘型パイプを成型するもので、継ぎ手の機能を有するものではない。
【0006】
図10〜図15は、自動車運転用のステアリングシャフト1を包囲するコラム2に設けられたコラムブーツ8を示している。
【0007】
コラムブーツ8は、上部に環状の溝部(バルジ)17Aが形成された変形台形筒状のカバー部11と、カバー部11の下部に嵌合する蛇腹状の蛇腹部7Aとで構成されている。
【0008】
図12〜図15は、環状の溝部(バルジ)17Aが形成されたカバー部11を示している。
図12〜図15において、カバー部11の上部に、端部にフランジ16を有する直管部18の内壁に溝部(バルジ)17Aが設けられた係合部15Aがあり、カバー部11の下端部には蛇腹部7Aに嵌合して固定されるフランジ部13が設けられている。この係合部15Aは溝部(バルジ)を有する前記図8の管の連結部と同様の機能を有している。
【0009】
図15は、この係合部15Aの成型方法を示していて、実質的には図9の金型の着、脱と同様である。即ち、環状の溝部17Aを成型する突起部Cbを有する分割型の内型C2を中型C1が支持してモールディングが射出され、係合部15Aが成型された後に、中型C1をY方向に引き出し、内型C2を半径方向の内方に落とし込むようにして脱型をする。
この場合の金型Cの着、脱の不都合さは前記図9と全く同様である。特に図9で示すオイルや水用の小管を対象にするのと異なり、直径で80〜90mmのブーツでは型の扱いが一層面倒になっている。
このようなコラムブーツにおけるバルジの成形を容易にする技術は未だ提案されてはいない。
【特許文献1】特開9−100965号公報
【特許文献1】特開2000−48767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、単純な金型(あるいは非鉄金属による型)で成形できるバルジ構造とそれを用いたコラムブーツの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明者は種々研究の結果、バルジ部に複数の軸方向の切り欠きを入れ、型を引抜く際に切り欠きが開いて型が軸方向に抜けるようにし、バルジ部及び管部が弾性限界以内で拡径させることで継ぎ手としての実用化が可能なことを見出した。
【0012】
本発明のバルジ構造は係る知見に基いて創作されたものであり、大径の中空部材(15)の内部に小径の部材(35)が挿入され、大径の部材(15)の内壁面に環状の溝部(17)が形成され、小径の部材(35)の外周面に環状の突起(37)が形成され、大径の部材(15)の内壁面に形成された環状の溝部(17)に小径の部材(35)の外周面に形成された環状の突起(37)が嵌合しており、前記環状の溝部(17)には複数の切り欠き(30A)が形成されており、該切り欠き(30A)は、小径の部材(35)側に向って幅(W)寸法が増加するV字形状に構成されていることを特徴とする(請求項1)。
【0013】
実施に際して、切り欠きは、成型された大径の中空部材が脱型時に金型が軸方向(小径の中空部材方向)に移動するときに弾性限界内で中空部材が拡径し、嵌合力を有する程度の数量と形状にすることが必要である。
【0014】
本発明のコラムブーツは、ステアリングシャフトを包囲するコラムブーツにおいて、小径のパイプ状部材(35A)が大径のパイプ状部材(25)の内側に挿入されており、大径のパイプ状部材(25)の内壁面に環状の溝部(27)が形成され、小径のパイプ状部材(35A)の外周面に環状の突起(37)が形成され、大径のパイプ部材(25)の内壁面に形成された環状の溝部(27)に小径のパイプ状部材(35A)の外周面に形成された環状の突起(37)が嵌合しており、前記環状の溝部(27)には複数の切り欠き(30)が形成されており、該切り欠き(30)は、小径のパイプ状部材(35A)側に向って幅寸法が増加するV字形状に構成されていることを特徴としている(請求項2)。
【0015】
実施に際して、切り欠きは、成型された大径のパイプ状部材が脱型時に金型が軸方向(小径のパイプ状部材方向)に移動するときに弾性限界内で大径のパイプ状部材が拡径し、嵌合力を有する程度の数量と形状にすることが必要である。
この切り欠きを形成した溝部(バルジ)は、油分やほこりのシール性が厳密には要求されない場所への適用が好ましい。
【発明の効果】
【0016】
上述した構成を具備する本発明によれば、大径の中空部材の内壁面に形成された環状の溝部に複数の切り欠きが形成されており、該切り欠きは、小径の部材側に向って幅寸法が増加するV字形状に構成されている(請求項1)ので、成形膜の、とくに脱型に際しては環状の溝部が拡径するために型を分解することなく(スライド型を使用することなく)直接に軸方向に引抜きができるので、金型の構造が簡単になり、また管の連結が容易になる利点がある。
【0017】
また、本発明のコラムブーツは、大径のパイプ状部材の内壁面に形成された環状の溝部に複数の切り欠きが形成されており、該切り欠きは、小径のパイプ状部材側に向って幅寸法が増加するV字形状に構成されている(請求項2)ので、成形膜の、とくに脱型に際しては環状の溝部が拡径するために型を分解することなく(スライド型を使用することなく)直接に軸方向に引抜きができるので、金型の構造が簡単になり、またステアリングまわりの組み付けに際してブーツの連結が容易になる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1〜図3は、第1実施形態を示している。従来図8、9も参照して説明する。
図1において、管を構成する大径の中空部材15の端部近傍に内壁面に環状の溝部17が形成されている。溝部17は、凹部が円弧状で裾の両端が滑らかに中空部材17の直管部に接続されて、型の落ち着きと射出されたモールディングの流れがスムーズになるように構成されている。
【0019】
中空部材15の端部(図8における小径の中空部材35が挿入される側)からV字形状の切り欠き30Aが軸に平行に、溝部17を横切って形成されている。切り欠き30Aの幅Wは小径の中空部材35側に向かって幅寸法が増加し、余裕のある型抜き勾配も配慮するように構成され、切り欠き30Aの端部30Rは拡径時に応力集中のない円弧状に構成されている。
図2に示すように、切り欠き30Aは円周方向に等分に3ヶが形成されていて、3ヶの切り欠き30AとV字形状によって、脱型時の中空部材15のとくに溝部17の拡径が、中空部材15の材料の弾性限界内にあって破損の生じることがないように形成されている。
【0020】
図3は、中空部材15の脱型の要領を示したもので、内型M2を軸方向X2に引抜く際に、切り欠き30Aによって中空部材15が拡径して内型M2の突起Mcを引き出し可能にしている。
切り欠き30Aからの内型M2の引き出しは、図示による明示はしていないが切り欠き30Aの引き出し側の幅Wが広く、即ち抜き勾配があるので中空部材15を破損させることなく容易に引き出しできる。
このようにして製造された中空部材15は、小径の中空部材35を挿入して連結する(図8参照)作業が容易である。
【0021】
図4〜図7は、第2実施形態を示している。本第2実施形態は、従来図10〜15で示したステアリングコラム2を包囲するコラムブーツ8のカバー部11にV字状の切り欠きを形成して、型抜きを容易にし、カバー部11とコラムバルジ部3との連結嵌合いを容易にする態様にしたものである。従来図10〜15も参照して従来のカバー部11と異なる部分を主体に説明する。
【0022】
図4〜図6において、カバー部21の係合部を構成する大径のパイプ状部材25の上端部にフランジ26を有する直管部28があり、直管部28の内壁に環状の溝部(バルジ)27が設けられている。
【0023】
溝部27は、係合部のパイプ状部材25を拡大した図6を参照して、凹部が円弧状で裾の両端が滑らかにパイプ状部材25の直管部28に接続されて、型の落ち着きと射出されたモールディングの流れがスムーズになるように構成されている。
溝部27の下端部に接続する直管部28は下端にフランジ33を有する変形台形のスカート部24に接続されている。
【0024】
パイプ状部材25に、上端部から溝部27の下方の直管部28にかけてV字状の切り欠き30が形成されている。
切り欠き30は上端部、即ち小径のパイプ状部材35(図7参照)、に向かって幅Wの寸法が増加するように形成され、端部31Rは半円状に形成されている。従って、切り欠き30の外側端部32は、型抜きが容易な抜き勾配を構成している。抜き勾配はパイプ状部材25のサイズ、材質、型の材質等によってきめられる。
【0025】
図5を参照して、切り欠き30は複数、図においては、3ヶが円周方向に等分されている。切り欠き30の個数は少ないと型が抜けないので、型が抜ける範囲でかつ溝27としての嵌合いが可能な、そして嵌合力を有する範囲の個数が好ましい。
【0026】
図7は、上記の構成による大径のパイプ状部材25に小径のパイプ状部材35Aが挿入され溝部27と突起37が嵌合された状態を示している。
そして、第1実施形態の図3で示した型抜きと同様に、型M2でパイプ状部材25を成形し脱型をする際には、パイプ状部材25の切り欠き30によって拡径され、X2方向に脱型ができる。
【0027】
このようにして製造されたパイプ状部材25は、ステアリングコラム2に形成された小径のパイプ状部材35Aのコラムバルジ部3の突起に嵌合する連結が容易で、車両製造におけるステアリングの組立及び修理保全が容易である。また、切り欠き30があるので、油やほこりのシールが厳密には要求されない場所に好適である。
【0028】
前記図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態に係るV字状の切り欠きが形成された中空部材の側面図。
【図2】図1のX矢視正面図。
【図3】図1の溝部(バルジ)が形成された中空部材から脱型する状態を示す説明図。
【図4】第2実施形態に係るV字状の切り欠きが形成されたカバー部の側面図。
【図5】図4の切り欠きを示すYc矢視図。
【図6】図4の係合部(V字状の切り欠き周辺)の拡大図。
【図7】第2実施形態に係るバルジ連結の説明図。
【図8】通常のバルジ連結の説明図。
【図9】従来のバルジの成型の説明図。
【図10】従来のコラムブーツの側面図。
【図11】図10の正面図。
【図12】従来のカバー部の側面図。
【図13】図12の側面図。
【図14】図12のZ矢視図。
【図15】従来の係合部の脱型の要領を示す説明図。
【符号の説明】
【0030】
M2・・型
Mc・・型の突起
W・・・切り欠きの幅
1・・・ステアリングシャフト
2・・・コラム
3・・・コラムバルジ部
7A・・蛇腹部
8・・・コラムブーツ
11・・カバー部
15・・大径の中空部材
15A・・大径のパイプ状部材
17、27・・溝部(バルジ)
21・・カバー部
24・・スカート部
25・・係合部、大径のパイプ状部材
26・・フランジ
30、30A・・・切り欠き
35・・小径の部材
35A・・小径のパイプ状部材
37・・突起
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大径の中空部材の内部に小径の部材が挿入され、大径の部材の内壁面に環状の溝部が形成され、小径の部材の外周面に環状の突起が形成され、大径の部材の内壁面に形成された環状の溝部に小径の部材の外周面に形成された環状の突起が嵌合しており、前記環状の溝部には複数の切り欠きが形成されており、該切り欠きは、小径の部材側に向って幅寸法が増加するV字形状に構成されていることを特徴とするバルジ構造。
【請求項2】
ステアリングシャフトを包囲するコラムブーツにおいて、小径のパイプ状部材が大径のパイプ状部材の内側に挿入されており、大径のパイプ状部材の内壁面に環状の溝部が形成され、小径のパイプ状部材の外周面に環状の突起が形成され、大径のパイプ部材の内壁面に形成された環状の溝部に小径のパイプ状部材の外周面に形成された環状の突起が嵌合しており、前記環状の溝部には複数の切り欠きが形成されており、該切り欠きは、小径のパイプ状部材側に向って幅寸法が増加するV字形状に構成されていることを特徴とするコラムブーツ。
【請求項1】
大径の中空部材の内部に小径の部材が挿入され、大径の部材の内壁面に環状の溝部が形成され、小径の部材の外周面に環状の突起が形成され、大径の部材の内壁面に形成された環状の溝部に小径の部材の外周面に形成された環状の突起が嵌合しており、前記環状の溝部には複数の切り欠きが形成されており、該切り欠きは、小径の部材側に向って幅寸法が増加するV字形状に構成されていることを特徴とするバルジ構造。
【請求項2】
ステアリングシャフトを包囲するコラムブーツにおいて、小径のパイプ状部材が大径のパイプ状部材の内側に挿入されており、大径のパイプ状部材の内壁面に環状の溝部が形成され、小径のパイプ状部材の外周面に環状の突起が形成され、大径のパイプ部材の内壁面に形成された環状の溝部に小径のパイプ状部材の外周面に形成された環状の突起が嵌合しており、前記環状の溝部には複数の切り欠きが形成されており、該切り欠きは、小径のパイプ状部材側に向って幅寸法が増加するV字形状に構成されていることを特徴とするコラムブーツ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−125592(P2006−125592A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−317744(P2004−317744)
【出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【出願人】(000003908)日産ディーゼル工業株式会社 (1,028)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【出願人】(000003908)日産ディーゼル工業株式会社 (1,028)
【Fターム(参考)】
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