説明

バルブアクチュエータ

座弁または蝶形弁用のアクチュエータであって、常閉(NC)または常開(NO)型であり、また、シリンダ(3)と、ばねによって通常位置に保持されるピストンとを含むアクチュエータである。このばねは実質的に、加圧された流体含む密閉空間から成り、アクチュエータはさらに、加圧流体用の2つ以上の連結部(12、13)を有する、少なくとも頂部ユニット(7)から成る。このアクチュエータでは、頂部ユニット内の連結部の1つがさらに、シリンダの一方の端部の所で1つ以上の開口部を通してシリンダの内部に連結され、他の連結部が、シリンダの他方の端部の所で1つ以上の開口部を通してシリンダの内部に連結されている。頂部ユニットは、頂部ユニットの位置を変更し、たとえば、頂部ユニットをピストンおよびシリンダの軸に一致するかあるいは平行な軸の周りに180度回転させることによって、連結部を入れ替えられるようにする構成を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、座弁または蝶形弁を作動させるアクチュエータに関する。このアクチュエータは、安全で開閉が容易であり、かつこのアクチュエータは、常閉(NC)または常開(NO)型であり、また、シリンダと、ばねによってシリンダ内の通常位置に保持されるピストンとを含む。
【背景技術】
【0002】
いくつかの産業では、弁を使用して様々な原料の混合を調節するか、あるいはある弁を作動させ、それにより様々な媒体の流れを開放または閉鎖することによって、配管系内の流れを調節することが非常によく行われている。たとえば、酪農工場では、いくつかのそのような弁およびアクチュエータが備えられているのが一般的である。たとえば、工場内の配管の洗浄時、混合時、および大型容器への加工品の充填時に弁が使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
工場を計画する際、様々なプロセスに従いかつ関連する規制に従って、常閉型の弁を使用するか、それとも常開型の弁を使用するかが検討される。この2種類の通常位置の違いは、すべてアクチュエータによる違いである。工場を計画した後、指定の構成を有するアクチュエータおよび/または弁が供給業者に注文される。しかし、アクチュエータを常閉型から常開型に切り替えること、あるいはその逆も可能である。このような作業は容易ではなく、アクチュエータ内のいくつかの部品を交換するか、あるいは他の位置に配置し直す必要がある。したがって、これは手間がかかる作業であり、さらに、このようなアクチュエータは、大抵、予め組み込まれた、分解および再組み立てが容易でない機械ばねを有しているので、この作業には熟練した作業員が必要である。アクチュエータの種類によっては、再組み立てが必要であるだけでなく、単に所望の通常位置を有する他のアクチュエータに作り変えなければならないアクチュエータもある。
【0004】
本発明の目的は、弁用のアクチュエータであって、アクチュエータからの空気ホースおよび/または電線のような任意の接続部を抜く必要無しに、ある通常位置から他の通常位置に変更することのできるアクチュエータを提供することである。また、本発明の目的は、モジュール式であり、したがって、いくつかの異なる弁および用途に使用することができるアクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述のように、本発明は、弁を作動させて開閉するアクチュエータであって、常閉(NC)型または常開(NO)型であり、また、シリンダと、ばねによってシリンダ内の通常位置に保持されるピストンとを含むアクチュエータに関する。シリンダ内のピストンに作用するばねは実質的に、加圧された流体、好ましくは圧縮された大気を有する密閉空間から成り、アクチュエータはさらに、加圧流体用の2つ以上の連結部を有する頂部ユニットから少なくとも成る。圧縮空気のばねを使用すると、非常に簡素で健全な解決手段が得られる。このようなばねは、圧力が作用するピストン側を変更するだけで常閉型から常開型に容易に変更することができる。
【0006】
加圧流体から成るばねを使用することは、機械ばねを有する従来技術を上回るいくつかの利点を有する。1つの利点は、ハウジングをシリンダ内の特定の圧力に合わせて設計できることである。他の利点は、いくつかのアクチュエータまたはシリンダを直列に結合することによってシリンダの体積を最小限に最適化できることである。その結果、シリンダの追加される体積は、ばねの機能を有し、事前に選択された圧力に維持することができる。また、本発明によるアクチュエータは必要とする圧力が低く、したがって、加圧流体に関する要件がより低く、たとえば、空気圧およびより小さい圧縮器を使用することができる。より小さい圧縮器を使用することによって、エネルギーを節約することができる。
【0007】
頂部ユニット内の加圧流体用の連結部の1つがさらに、シリンダの一方の端部の所で1つ以上の開口部を通してシリンダの内部に連結され、加圧流体用の他の連結部がシリンダの他方の端部の所で1つ以上の開口部を通してシリンダの内部に連結され、頂部ユニットは、該頂部ユニットの位置を変更し、たとえば、頂部ユニットをピストンおよびシリンダの軸に一致するかあるいは平行な軸の周りに180度回転させることによって、連結部を交換できるようにする構成を有するように、本発明によるアクチュエータを構成することによって、ある通常位置から他の通常位置に非常に簡単にかつ容易に変更することができる。
【0008】
頂部ユニットをその軸の周りですべての空気圧連結部および電気連結部と一緒に回転させることによって、任意の配管を頂部ユニットから切り離したり頂部ユニットに連結し直したりすることが不要になる。これは、必要な全長が短い配管を設置するからである。したがって、ある位置から他の位置への変更が迅速、容易、かつ確実な方法で行われる。
【0009】
本発明によるアクチュエータの好ましい実施態様では、シリンダは、シリンダ壁に沿って少なくとも1つであるが、好ましくはいくつかの内部流体流路を構成する中空のシリンダ壁を備えており、内部流路は、シリンダの一方の端部の近くで、シリンダの内部の方へ開放し、他方の端部の所で、加圧流体用の連結部に連結されている。加圧流体用の連結部は頂部ユニットを通して供給されることが好ましい。流体流路をシリンダ壁に一体化させることによって、非常に優れた解決手段が得られ、また、洗浄時および通常の使用時に外部連結部が損傷する可能性が無くなる。
【0010】
中空の側壁を含むこのようなシリンダ部は、場合によっては任意の種類の繊維で補強することのできる、選択された好ましい種類のポリマーで成形することができる。この成形プロセスは、任意の公知のプロセスから選択することができるが、射出成型を使用できることが好ましい。
【0011】
シリンダの側壁は、シリンダ壁の周囲に沿って、あるいはより局所的に均等に分散させることのできる、1つまたはいくつかの内部流路を備えることができる。
【0012】
本発明によるアクチュエータは、少なくとも一方の端部の所で閉鎖されたシリンダを備えることが好ましく、シリンダの外端面は、少なくとも2つの穴で構成された少なくとも2つの連結部を有し、頂部ユニットは対応する穴を有し、シリンダ外端面と頂部ユニットとの間の密封が固定シール、たとえば穴の周りに配置されたOリングによって行われる。Oリングを使用することによって、標準的なOリングによって容易に提供できる、非常に健全な解決手段が得られる。シリンダ端面は、前述のように2つ以上の連結部を備えることができ、少なくとも1つの連結部がシリンダの端面を貫通して延び、少なくとも1つの他の連結部が、シリンダ壁の内部流路に至る。
【0013】
本発明によるアクチュエータの他の好ましい実施態様は、少なくとも一方の端部の所で閉鎖されたシリンダも備えるが、シリンダの外端面は、2つの細長いくぼみで構成された2つの連結部を備え、くぼみに対応する穴が頂部ユニットに配置され、シリンダの外端面と頂部ユニットとの密封が固定シール、たとえば細長いくぼみの周りに配置されたOリングによって行われる。シリンダの端面に細長いくぼみを有することによって、頂部ユニットをわずかに捻るだけで常開型から常閉型に、あるいはその逆も同様に、切り替えが可能である。この実施態様はいくつかの用途にはより魅力的なものである。というのは、頂部ユニットを緩めて捻ることによって頂部ユニットを2つの位置同士の間で移動できるからである。したがって、部品を分解する必要が無く、それによってアクチュエータの切り替えがさらに簡単になる。
【0014】
本発明によるアクチュエータの頂部ユニットを固定するために、シリンダの外端面は、対称的に配置され、頂部ユニットを特定の位置に固定する、1つ以上のねじ穴を備えることができ、頂部ユニットが、1つ以上のねじ穴に対応する貫通穴を備えている。このように、シリンダ上の少なくとも2つの異なる位置に頂部ユニットを固定することが可能である。あるいは、頂部ユニットは1つ以上の細長い穴を備えることができ、それによって、頂部ユニットを上述の細長いくぼみに従ってある角度回転させることができる。
【0015】
本発明によるアクチュエータのさらに他の好ましい実施態様では、頂部ユニットは、モジュール式ユニットであり、また、以下の構成部材、すなわち、ピストン位置の磁気インジケータ、ピストン位置の光表示、ピストンを作動させるソレノイドのうちの1つ以上を含む。モジュール式頂部ユニットは、シリンダ部との連結部を有する頂部ユニットにおける特定の要件に従って上述の構成部材と嵌め合わされるように構成できることが好ましい。
【0016】
シリンダ部は、好ましくは、たとえば様々な種類のピストンおよび頂部ユニットを備えることのできるモジュール式部品として作ることもできる。本発明による弁を作動させるアクチュエータは、少なくともモジュール式シリンダユニット、モジュール式頂部ユニット、およびモジュール式ヨークユニットから構成可能である。ヨークユニットは、シリンダの底部を形成し、また、アクチュエータを弁に連結する部品である。
【0017】
アクチュエータのすべての主要部品は、射出成形または他の適切な製造プロセスによってある種のポリマーから作ることができることが好ましい。
【0018】
モジュール式ユニットのアクチュエータを組み立てることによって、部品の多くをいくつかの異なるサイズおよび種類の弁に使用できるため、様々な部品の数が最適化される。これによって、小数の異なる部品を使用するだけなので、必要な予備部品も少なくなる。
【0019】
上記のようなアクチュエータを使用することによる他の考えられる利点は、非常にわずかな運動用シールのみ必要であり、したがって、アクチュエータの寿命が延び、アクチュエータのメンテナンスが容易になることである。
【0020】
以下に本発明について、図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】アクチュエータを示す分解図である。
【図2】頂部ユニットを示す図である。
【図3】シリンダを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、アクチュエータ1を拡大図で示している。アクチュエータ1を弁に固定するヨーク2が底端部から見えている。ヨーク2はまた、シリンダ3の底部を閉鎖し、弁軸(不図示)用の中央穴4と嵌め合わされる。ヨーク2の上部外周に沿っている点線がシール5を示している。頂部ユニット7をシリンダ3に固定する、対称的に配置された4つのねじ穴6のうちの2つが、シリンダ3の頂部に示されている。また、シリンダ3の内部との連結部8が、くぼみ内により小さい穴を有する2つの円形のくぼみとして示されている。くぼみ内に、Oリング型のシール(不図示)を配置することができる。
【0023】
シリンダ3の頂部の中央に突起9が配置されている。この突起9はいくつかの機能を有する。1つの機能は、頂部ユニット7を案内し、一方、頂部ユニット7を回転させてアクチュエータ1をある通常位置から他の通常位置に切り替えることである。図を見ると分かるように、頂部ユニット7は突起9に対応する中央穴10を有する。他の機能は、内部ピストン(不図示)上の突起のガイドとして働くことである。ピストン上の突起は、磁石、または頂部ユニット7に配置された検出ユニットによって検出することのできる何らかの他の種類の部材を備えてよい。
【0024】
一方の連結部8はピストンの上方の体積に圧力を伝え、他方の連結部8はピストンの下方の体積に圧力を伝える。ピストンの下方への圧力は、外部配管、または好ましくはシリンダ壁に組み込まれた流路に伝えることができる。
【0025】
頂部ユニット7を回転させることによって、アクチュエータ1は容易に、たとえば常開型から常閉型に切り替わる。必要な作業は、ふた11および頂部ユニット7を緩め、単に頂部ユニット7を180度捻り、頂部ユニット7およびふた11を再び固定することだけである。配管や配線を切り離す必要はない。
【0026】
図1に示されているような頂部ユニット7は、互いに約180度離れた加圧流体用の連結部12および13を側壁上に有する。一方の連結部12は通常、一定の圧力で連結され、したがって、ピストンを通常位置に維持する空気ばねとして働く。他方の連結部13は通常、たとえばソレノイドによって調節される作動圧力で連結される。アクチュエータ1を作動させることによって、ピストンは、空気ばね圧力に打ち勝つことができ、したがって弁を開閉させる作動圧力によってその「非」通常位置に駆動される。
【0027】
いくつかの部材、たとえば、アクチュエータ1を作動させるソレノイド、ピストンの位置を判定する検出ユニット、弁の状況を視覚的に示す発光ダイオードなどを頂部ユニット7の内部に配置することができる。頂部ユニット7をシリンダ3に固定する4つの穴14のうちの2つも頂部ユニット7の内部に見える。頂部ユニット7の上部外周の所の点線15は、頂部ユニット7とふた11との間のシールを示している。
【0028】
図2には頂部ユニット7のみが示されており、ここではより大きく詳しく示されているが、すでに説明した特徴のみを有している。
【0029】
図3にはシリンダ3が示されている。シリンダ3の頂部の所に、加圧流体用の2つの連結部8が、シリンダ3の内部に至る小さい穴を有するくぼみとして示されている。また、頂部ユニット7をシリンダに固定する4つのねじ穴6が示されている。
【0030】
ヨーク2、シリンダ3、頂部ユニット7、およびふた11は、1つ以上の適切な材料、たとえば繊維補強ポリマーを射出成形することによって作ることができる。このような材料を使用することによって、非常に有利で競争力のある価格で、高品質の製品を製造することができる。
【0031】
本発明は、上記に説明し図面に例示した実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の範囲内の任意の方法で補足し修正することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁の開閉を作動させるアクチュエータであって、常閉型または常開型であり、かつ、シリンダと、ばねによって前記シリンダ内の通常位置に保持されるピストンとを含むアクチュエータにおいて、
前記シリンダ内の前記ピストンに作用する前記ばねは実質的に、加圧された流体、好ましくは圧縮された大気を含む密閉空間から成り、前記アクチュエータはさらに、加圧流体用の2つ以上の連結部を有する、少なくとも1つの頂部ユニットから成ることを特徴とする、アクチュエータ。
【請求項2】
前記頂部ユニット内の加圧流体用の前記連結部の1つはさらに、前記シリンダの一方の端部の所で1つ以上の開口部を通して前記シリンダの内部に連結され、加圧流体用の他の連結部は、前記シリンダの他方の端部の所で1つ以上の開口部を通して前記シリンダの前記内部に連結され、前記頂部ユニットは、前記頂部ユニットの位置を変更し、たとえば、前記頂部ユニットを前記ピストンおよびシリンダの軸に一致するかあるいは平行な軸の周りに180度回転させることによって、前記連結部を入れ替えられるように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の弁を作動させるアクチュエータ。
【請求項3】
前記シリンダは、シリンダ壁に沿って少なくとも1つであるが好ましくはいくつかの内部流体流路を構成する中空の前記シリンダ壁を備え、前記内部流路は、前記シリンダの一方の端部の近くで、前記シリンダの前記内部の方へ開放し、他方の端部の所で、加圧流体用の連結部に連結されることを特徴とする、請求項1または2に記載の弁を作動させるアクチュエータ。
【請求項4】
前記シリンダは、少なくとも一方の端部の所で閉鎖され、前記シリンダの外端面は、少なくとも2つの穴で構成された少なくとも2つの連結部を有し、前記頂部ユニットは対応する穴を備え、前記シリンダ外端面と前記頂部ユニットとの間の密封が固定シール、たとえば前記穴の周りに配置されたOリングによって行われることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の弁を作動させるアクチュエータ。
【請求項5】
前記シリンダは、少なくとも一方の端部の所で閉鎖され、前記シリンダの前記外端面は、2つの細長いくぼみで構成された2つの連結部を備え、前記頂部ユニットは、前記くぼみに対応するように配置された穴を備え、前記シリンダ外端面と前記頂部ユニットとの間の密封が固定シール、たとえば前記細長いくぼみの周りに配置されたOリングによって行われることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の弁を作動させるアクチュエータ。
【請求項6】
前記シリンダの前記外端面は、対称的に配置され、前記頂部ユニットを特定の位置に固定する、1つ以上のねじ穴を備え、前記頂部ユニットが、前記1つ以上のねじ穴に対応する貫通穴を備えることを特徴とする、請求項4または5に記載の弁を作動させるアクチュエータ。
【請求項7】
前記シリンダの前記外端面は、前記頂部ユニットを特定の位置に固定する1つ以上のねじ穴を備え、前記頂部ユニットは、前記頂部ユニットがある角度回転するのを可能にする1つ以上の細長い穴を備えることを特徴とする、請求項4または5に記載の弁を作動させるアクチュエータ。
【請求項8】
前記頂部ユニットは、モジュール式ユニットであり、かつ、以下の構成部材、すなわち、ピストン位置の磁気インジケータ、ピストン位置の光表示、前記ピストンを作動させるソレノイドのうちの1つ以上を有することを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の弁を作動させるアクチュエータ。
【請求項9】
前記アクチュエータは、少なくともモジュール式シリンダユニット、モジュール式頂部ユニット、およびモジュール式ヨークユニットから成ることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の弁を作動させるアクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−511674(P2012−511674A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539898(P2011−539898)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【国際出願番号】PCT/DK2009/050326
【国際公開番号】WO2010/066257
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(500515565)アルファ ラヴァル コーポレイト アクチボラゲット (90)
【Fターム(参考)】