説明

バルブ一体型トランスポンダ

【課題】内蔵したアンテナ素子からタイヤのサイドウォールへ向けて効率よく電波を放射させることができるバルブ一体型トランスポンダを提供すること。
【解決手段】バルブ一体型トランスポンダ1は、空気バルブ20にケース10が一体化されてタイヤ30内に配置されている。ケース10内には検出素子が実装された基板4や逆F型のアンテナ素子7や支持部材6等が格納されており、アンテナ素子7は一対の放射導体7cを逆向きに延出させた略線対称な形状となっている。基板4の長手方向は空気バルブ20の軸線方向に対して略直交しているが、短手方向はホイールリム40のウェル42に対して傾斜している。基板4上のアンテナ素子7は放射導体7cが該基板4に対して所定角度傾斜させてあるため、タイヤ30内において、トランスポンダ1のタイヤ径方向内側に延在するウェル42に対して両放射導体7cは略平行に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイールリムに取り付けられる空気バルブに一体化されてタイヤ内に配置され、タイヤ空気圧等を監視するシステムに用いられるバルブ一体型トランスポンダに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の走行中に運転者がタイヤ空気圧やその異常を速やかに把握できるようにするため、近年、検出素子やアンテナ素子等を備えたトランスポンダをタイヤ内の適宜箇所に装着することによって、タイヤ空気圧等を運転席で監視できるようにしたシステムが普及しつつある。このようなトランスポンダは、例えば空気バルブのタイヤ内に位置する側の端部に一体的に設けられ、空気バルブがホイールリムに取り付けられると、かかるバルブ一体型トランスポンダはホイールリムのウェルと対向するように配置される(例えば、特許文献1参照)。なお、タイヤ内に装備されるトランスポンダの内蔵アンテナは特に種類が限定されるわけではないが、金属板をフォーミングしてなる逆F型のアンテナ素子を採用すると、安価に作製できて小型化にも有利となる。
【0003】
また、従来の一般的なバルブ一体型トランスポンダには電源電池が組み込まれているが、電池を用いた構造にすると、電池の長寿命化を図るためにタイヤ空気圧等の検出頻度を抑制しなければならず、かつ電池交換時に煩雑な作業を余儀なくされてしまう。そこで最近、車体側の外部アンテナから送信される電波によってタイヤ内のアンテナ素子を励振させ、このアンテナ素子に検出素子の検出した情報に基づく信号電流が供給されるように構成することで、電源電池が不要なバルブ一体型トランスポンダが提案されている。このようにバルブ一体型トランスポンダが電池不要な構成になっていると、タイヤ空気圧等の検出頻度を高めることができるため検出精度が向上させやすくなり、かつ電池交換の必要がないためメンテナンス費用も低減できる。
【特許文献1】特開2006−69389号公報(第3−5頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、バルブ一体型トランスポンダのアンテナ素子から放射された電波はタイヤのサイドウォールを通過して車体側の外部アンテナへ送信されるが、例えば電池不要なトランスポンダで用いられる2.4GHzの電波のように、使用する電波の波長が短くて指向特性における直進性が強い場合には、タイヤ内のアンテナ素子からサイドウォールへ向かう直接波の放射成分を高めておく必要がある。しかしながら、一般的な逆F型のアンテナ素子では、放射導体の上方へも側方へも電波が放射されるため、タイヤのサイドウォールへ向かて効率よく電波を放射させることが困難であるという問題があった。また、バルブ一体型トランスポンダに一般的な逆F型のアンテナ素子を組み込み、その放射導体の側方にサイドウォールが位置するように該アンテナ素子の向きを設定した場合、放射導体はホイールリムのバルブ孔が存する壁面に近接してしまうため、放射導体とホイールリムとの間に電界が集中しやすく、その影響でサイドウォールへ向かう直接波の放射成分が低下しやすいという問題もあった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、内蔵したアンテナ素子からタイヤのサイドウォールへ向けて効率よく電波を放射させることができるバルブ一体型トランスポンダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、タイヤ内の状態を検出する検出素子と、この検出素子が実装された基板と、前記検出素子の検出した情報を外部へ送信する逆F型のアンテナ素子と、これら検出素子と基板およびアンテナ素子を格納する合成樹脂製のケースとを備え、このケースをホイールリムに取り付けられる空気バルブのタイヤ内に位置する側の端部に装着して前記ホイールリムのウェルのタイヤ径方向外側に配置されたバルブ一体型トランスポンダであって、前記基板をその長手方向が前記空気バルブの軸線方向に対して略直交し短手方向が該軸線方向に沿うように前記ケース内に配置し、この基板の前記ウェル側と逆側に前記アンテナ素子を搭載すると共に、前記アンテナ素子をその長手方向中央部に配設した給電端子および接地端子から該長手方向の両端側へそれぞれ放射導体が延出する略線対称な形状となし、これら一対の放射導体を前記基板に対して傾斜させることにより、タイヤ径方向内側に延在する前記ウェルに対して前記放射導体が略平行に配置されるようにした。
【0007】
このようにバルブ一体型トランスポンダに内蔵されている逆F型のアンテナ素子が、給電端子および接地端子から長手方向両端側へそれぞれ放射導体を延出させている略線対称な形状になっていると、両放射導体の上方で放射電界がキャンセルされるため、両放射導体の側方へ放射される電波の電界強度が高まる。また、このトランスポンダのタイヤ径方向内側に延在するウェルに対してアンテナ素子の両放射導体が略平行に配置されているため、両放射導体はホイールリムのバルブ孔が存する壁面に近接せず、それゆえ両放射導体とホイールリムとの間の電界が弱まり、アンテナ素子からサイドウォールへ向かう直接波の放射成分が相対的に増加する。
【0008】
上記の構成において、基板のウェル側と逆側の面にアンテナ素子を支持する合成樹脂製の支持部材が搭載されており、この支持部材の傾斜面に沿って一対の放射導体が配設されていると、走行中に懸念されるアンテナ素子の変形を防止できるため好ましい。この場合において、アンテナ素子が金属板をフォーミングして形成されていると、アンテナ素子の製造コストを低減できる。
【0009】
また、上記の構成において、アンテナ素子が合成樹脂製の支持部材に一体モールドされていると、アンテナ部を基板に半田付けして一体化する際に組立性が向上すると共に、アンテナ素子と支持部材との関係が一定となるため、アンテナの共振周波数バラツキが小さくなる。また、タイヤやリムの振動および衝撃がアンテナ部に伝わった場合でも、アンテナ素子が支持部材から剥がれることなく、安定した性能を長期に亘って維持することができ、しかも、タイヤ内部に存在する水分等がアンテナ素子の表面に付着することを防止できるため腐食しにくくなる。
【0010】
また、上記の構成において、アンテナ素子の長手方向両端部にそれぞれ放射導体の先端延長部分を折り曲げた形状の延長放射導体が設けられていると共に、ケースのうち該一対の延長放射導体と対向する部分にそれぞれ面取り部が設けられていると、アンテナ素子の長手寸法を短縮できるため小型化が促進しやすくなり、かつ、タイヤをホイールリムに着脱させる際にケースの面取り部が逃げ部となって、タイヤや工具等がバルブ一体型トランスポンダに不用意に接触する危険性が少なくなる。
【0011】
また、上記の構成において、バルブ一体型トランスポンダのアンテナ素子が車体に取り付けられた外部アンテナからの電波によって励振されるようにしてあると、タイヤ空気圧等の検出頻度を高めて検出精度が向上させやすくなり、かつ電池交換の必要がなくメンテナンス費用も低減できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のバルブ一体型トランスポンダは、内蔵されている逆F型のアンテナ素子が給電端子および接地端子から長手方向両端側へそれぞれ放射導体を延出させている略線対称な形状であって、両放射導体の上方で放射電界がキャンセルされるため、両放射導体の側方へ放射される電波の電界強度が高まる。また、このトランスポンダのタイヤ径方向内側に延在するウェルに対してアンテナ素子の両放射導体が略平行に配置されているため、両放射導体はホイールリムのバルブ孔が存する壁面に近接せず、それゆえ両放射導体とホイールリムとの間の電界が弱まって、アンテナ素子からサイドウォールへ向かう直接波の放射成分が相対的に増加する。したがって、このトランスポンダは、使用する電波の波長が短くてもアンテナ素子からタイヤのサイドウォールへ向けて効率よく電波を放射させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
発明の実施の形態を図面を参照して説明すると、図1は本発明の第1実施形態例に係るバルブ一体型トランスポンダのタイヤ内での取付位置を示す説明図、図2は図1のA部拡大図、図3は該トランスポンダを装着した空気バルブの外観図、図4は該トランスポンダを外部アンテナ側から見た内部構造図、図5は該トランスポンダを空気バルブ側から見た内部構造図である。
【0014】
これらの図に示すバルブ一体型トランスポンダ1は、空気バルブ20の一端部に装着されてタイヤ30内に配置され、タイヤ30内の空気の圧力や温度を運転席で監視できるようにするためのものである。このトランスポンダ1は、合成樹脂製のケース10の内部に、圧力センサや温度センサ等の検出素子を配設した検出回路ユニット2と、送受信回路ユニット3と、これら両回路ユニット2,3を片面に実装している基板4と、両回路ユニット2,3を覆う板金製のシールドケース5と、基板4の他面に搭載された合成樹脂製の支持部材6と、支持部材6に支持されて送受信回路ユニット3と電気的に接続された逆F型のアンテナ素子7とを格納して概略構成されている。このトランスポンダ1に電源電池は内蔵されておらず、車体側の外部アンテナ50(図1参照)からの電波によってアンテナ素子7が励振されるようになっている。また、図1と図2に示すように、空気バルブ20はホイールリム40のバルブ孔41に圧入固定されており、この空気バルブ20のタイヤ30内に位置する側の端部にケース10が装着されている。したがって、このトランスポンダ1はタイヤ30内においてホイールリム40のウェル42のタイヤ径方向外側に配置されている。
【0015】
ケース10は本体ケース11と蓋体12とを組み合わせて構成される筐体である。本体ケース11の一側面の長手方向中央部には空気バルブ20に嵌着される連結部10aが突設されており、本体ケース11の他側面の長手方向中央部にはタイヤ30内の空気を取り込むための空気孔10bが穿設されている。また、本体ケース11のうちアンテナ素子7の放射導体7cと対向する部分は斜面部10cとなっている。
【0016】
検出回路ユニット2は、空気孔10bを介してケース10内へ入り込むタイヤ30内の空気の圧力や温度を圧力センサや温度センサ等の検出素子によって検出するためのものである。送受信回路ユニット3には、車体側の外部アンテナ50からアンテナ素子7へ送信された質問信号が入力されると共に、検出回路ユニット2から検出情報に基づく信号(検出信号)が入力される。送受信回路ユニット3は、この検出信号を処理してアンテナ素子7へ出力する。これら検出回路ユニット2と送受信回路ユニット3は、シールドケース5に覆われた状態で基板4の片面(ウェル42側の主面)に実装されているため、電磁的にシールドされて外来ノイズの影響を受けにくくなっている。なお、外部アンテナ50はタイヤ30のサイドウォール31と対向する車体のタイヤハウス(図示せず)に設置されている。
【0017】
基板4は、その長手方向が空気バルブ20の軸線方向に対して略直交し、短手方向が該軸線方向に沿うようにケース10内に配置されている(図2参照)。つまり、基板4の短手方向は、タイヤ30内においてトランスポンダ1のタイヤ径方向内側に延在するウェル42に対し所定角度傾斜している。また、図4と図5に示すように、基板4のウェル42側と逆側の主面には、接地電極8や給電電極9が設けられていると共に、支持部材6が搭載されており、この支持部材6がアンテナ素子7を支持している。
【0018】
支持部材6は、基板4上に接着固定された平板状の台座部6aと、台座部6aの長手方向中央部に立設されて凹溝6bの輪郭を形成している中央起立部6cとを有する。また、支持部材6の天板部分には基板4に対し所定角度傾斜して長手方向に延びる一対の傾斜面6dが形成されており、これら一対の傾斜面6dの間に凹溝6bの開口端が臨出している。
【0019】
アンテナ素子7は金属板をフォーミングして形成されたものであるが、一般的な逆F型のアンテナ素子とは形状が大きく異なる。このアンテナ素子7は、長手方向中央部に配設した接地端子7aおよび給電端子7bから該長手方向の両端側へそれぞれ放射導体7cを延出させた略線対称な形状にフォーミングされており、放射導体7cは支持部材6の傾斜面6d上に接着固定されている。つまり、アンテナ素子7の一対の放射導体7cが基板4に対し所定角度傾斜して長手方向に延びている。その結果、図2に示すように、両放射導体7cはタイヤ30内においてトランスポンダ1のタイヤ径方向内側(図示下側)に延在するウェル42に対して略平行に配置されている。また、アンテナ素子7が長手方向中央部から一対の放射導体7cを逆向きに延出させた略線対称な形状となっているため、両放射導体7cの上方で放射電界がキャンセルされて、両放射導体7cの側方へ放射される電波の電界強度が高まることとなる。図4に示すように、このアンテナ素子7の接地端子7aは支持部材6の中央起立部6cの一側面に沿って配置されて接地電極8に半田接合されている。一方、図5に示すように、給電端子7bは凹溝6bの内底面に沿って中央起立部6cの他側面へ延出されて給電電極9に半田接合されている。なお、このアンテナ素子7と車体側の外部アンテナ50との間の送受信には2.4GHzの電波が使用される。そのため、アンテナ素子7から応答信号として外部アンテナ50へ送信される電波は、主にアンテナ素子7からタイヤ30のサイドウォール31へ向かう直接波である。
【0020】
このように空気バルブ20に装着されてタイヤ30内に配置されているバルブ一体型トランスポンダ1は、車体側の外部アンテナ50から質問信号となる電波が発信されると、アンテナ素子7が励振されて高周波電流を生じる。そして、この高周波電流に圧力センサや温度センサによって検出されたタイヤ空気圧やタイヤ内温度の情報を重畳し、その信号電流(検出信号)が検出回路ユニット2から送受信回路ユニット3へ供給される。送受信回路ユニット3はこの検出信号を処理してアンテナ素子7に供給するため、アンテナ素子7から応答信号となる電波が外部アンテナ50へ送信される。
【0021】
以上説明したように、本実施形態例にあっては、バルブ一体型トランスポンダ1に内蔵されている逆F型のアンテナ素子7が、長手方向中央部に配設した接地端子7aおよび給電端子7bから該長手方向の両端側へそれぞれ放射導体7cを延出させた略線対称な形状になっており、両放射導体7cの上方で放射電界がキャンセルされるため、両放射導体7cの側方へ放射される電波の電界強度が高まって、アンテナ素子7からタイヤ30のサイドウォール31へ向けて効率よく電波を放射させることができる。
【0022】
しかも、このバルブ一体型トランスポンダ1では、アンテナ素子7の両放射導体7cがトランスポンダ1のタイヤ径方向内側に延在するウェル42に対して略平行に配置されているため、両放射導体7cがホイールリム40のバルブ孔41が存する壁面43(図2参照)に近接していない。こうすると、両放射導体7cとホイールリム40との間の電界が弱まり、アンテナ素子7からサイドウォール31へ向けて放射される電波の電界強度が一層高まる。つまり、このバルブ一体型トランスポンダ1は、アンテナ素子7からサイドウォール31へ向かう直接波の放射成分が増大するように工夫されているため、応答信号となる電波を車体側の外部アンテナ50へ確実に送信できるようになっている。
【0023】
また、このバルブ一体型トランスポンダ1は電源電池を有さず、車体に取り付けられた外部アンテナ50からの電波によってアンテナ素子7が励振されるように構成されているため、検出頻度を高めることができてメンテナンス費用も低減できる。なお、アンテナ素子7は金属板をフォーミングして安価に作製することができる。また、このアンテナ素子7は支持部材6に支持されているため変形の虞が少ない。
【0024】
図6は本発明の第2実施形態例に係るバルブ一体型トランスポンダの内部構造図、図7は該トランスポンダおよび空気バルブの外観図であり、図3と図4に対応する部分には同一符号が付してあるため重複する説明は省略する。
【0025】
この第2実施形態例は、アンテナ素子7と支持部材6およびケース10の長手方向両端部の形状が前述した第1実施形態例と異なっている。すなわち、図6と図7に示すバルブ一体型トランスポンダ15では、アンテナ素子7の長手方向両端部にそれぞれ放射導体7cの先端延長部分を折り曲げた形状の延長放射導体7dが設けられ、これら一対の延長放射導体7dが支持部材6の一対の傾斜側面6e上に接着固定されている。また、このトランスポンダ15では、ケース10の本体ケース11のうちアンテナ素子7の一対の延長放射導体7dと対向する部分に一対の面取り部10dが設けられている。このようにアンテナ素子7の長手方向両端部に延長放射導体7dを設けると、アンテナ素子7の長手寸法を短縮できるため小型化が促進しやすくなる。また、延長放射導体7dに対応させてケース10の長手方向両端部に面取り部10dが設けてあると、タイヤ30をホイールリム40に着脱させる際に面取り部10dが逃げ部となるため、タイヤ30や工具等がバルブ一体型トランスポンダ15に不用意に接触する危険性が少なくなる。
【0026】
図8は本発明の第3実施形態例に係るバルブ一体型トランスポンダの内部構造図であり、図6に対応する部分には同一符号が付してあるため重複する説明は省略する。
【0027】
この第3実施形態例は、アンテナ素子7が合成樹脂製の支持部材6に一体モールドされている点が前述した第1実施形態例や第2実施形態例と異なっている。すなわち、図8に示すバルブ一体型トランスポンダでは、アンテナ素子7の放射導体7cと延長放射導体7dがインサートモールドによって支持部材6の傾斜面6dと傾斜側面6eの内部に埋設されており、それ以外の接地端子7aと給電端子7bは支持部材6の外表面に沿って露出している。なお、図8中の符号16は位置決め用孔を示しており、この位置決め用孔16はモールド成形時にアンテナ素子7を位置決めピンで押さえ付けることによって形成される。このようにアンテナ素子7が支持部材6に一体モールドされていると、アンテナ部を基板4に半田付けして一体化する際に、組立性が向上すると共に、アンテナ素子7と支持部材6との関係が一定となるため、アンテナの共振周波数バラツキが小さくなる。また、タイヤやリムの振動および衝撃がアンテナ部に伝わった場合でも、アンテナ素子7が支持部材6から剥がれることなく、安定した性能を長期に亘って維持することができ、しかも、タイヤ内部に存在する水分等がアンテナ素子7の表面に付着することを防止できるため腐食しにくくなり、結果的に、安定した性能を長期に亘って維持することができる。
【0028】
なお、上記した各実施形態例では、支持部材6の一側面に沿ってアンテナ素子7の接地端子7aを配置させ、給電端子7bは支持部材6の一側面から凹溝6bを経由して他側面へと引き出しているが、凹溝6bを経由させずに支持部材6の他側面に沿って給電端子7bを配置させてもよい。
【0029】
また、上記各実施形態例では、ホイールリムのバルブ孔に圧入固定されるスナップイン方式の空気バルブについて説明したが、本発明はホイールリムにねじ止め固定されるクランプイン方式の空気バルブにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態例に係るバルブ一体型トランスポンダのタイヤ内での取付位置を示す説明図である。
【図2】図1のA部拡大図である。
【図3】図2に示すトランスポンダを装着した空気バルブの外観図である。
【図4】第1実施形態例に係るトランスポンダを外部アンテナ側から見た内部構造図である。
【図5】第1実施形態例に係るトランスポンダを空気バルブ側から見た内部構造図である。
【図6】本発明の第2実施形態例に係るバルブ一体型トランスポンダの内部構造図である。
【図7】第2実施形態例に係るトランスポンダおよび空気バルブの外観図である。
【図8】本発明の第3実施形態例に係るバルブ一体型トランスポンダの内部構造図である。
【符号の説明】
【0031】
1,15 バルブ一体型トランスポンダ
2 検出回路ユニット
3 送受信回路ユニット
4 基板
6 支持部材
6d 傾斜面
6e 傾斜側面
7 アンテナ素子
7a 接地端子
7b 給電端子
7c 放射導体
7d 延長放射導体
8 接地電極
9 給電電極
10 ケース
10c 斜面部
10d 面取り部
20 空気バルブ
30 タイヤ
31 サイドウォール
40 ホイールリム
41 バルブ孔
42 ウェル
50 外部アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ内の状態を検出する検出素子と、この検出素子が実装された基板と、前記検出素子の検出した情報を外部へ送信する逆F型のアンテナ素子と、これら検出素子と基板およびアンテナ素子を格納する合成樹脂製のケースとを備え、このケースをホイールリムに取り付けられる空気バルブのタイヤ内に位置する側の端部に装着して前記ホイールリムのウェルのタイヤ径方向外側に配置されたバルブ一体型トランスポンダであって、
前記基板をその長手方向が前記空気バルブの軸線方向に対して略直交し短手方向が該軸線方向に沿うように前記ケース内に配置し、この基板の前記ウェル側と逆側に前記アンテナ素子を搭載すると共に、前記アンテナ素子をその長手方向中央部に配設した給電端子および接地端子から該長手方向の両端側へそれぞれ放射導体が延出する略線対称な形状となし、これら一対の放射導体を前記基板に対して傾斜させることにより、タイヤ径方向内側に延在する前記ウェルに対して前記放射導体が略平行に配置されるようにしたことを特徴とするバルブ一体型トランスポンダ。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記基板の前記ウェル側と逆側の面に前記アンテナ素子を支持する合成樹脂製の支持部材が搭載されており、この支持部材の傾斜面に沿って前記一対の放射導体が配設されていることを特徴とするバルブ一体型トランスポンダ。
【請求項3】
請求項2の記載において、前記アンテナ素子が金属板をフォーミングして形成されていることを特徴とするバルブ一体型トランスポンダ。
【請求項4】
請求項2または3の記載において、前記アンテナ素子が前記支持部材に一体モールドされていることを特徴とするバルブ一体型トランスポンダ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項の記載において、前記アンテナ素子の長手方向両端部にそれぞれ前記放射導体の先端延長部分を折り曲げた形状の延長放射導体が設けられていると共に、前記ケースのうち前記一対の延長放射導体と対向する部分にそれぞれ面取り部が設けられていることを特徴とするバルブ一体型トランスポンダ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項の記載において、前記アンテナ素子が車体に取り付けられた外部アンテナからの電波によって励振されるようにしたことを特徴とするバルブ一体型トランスポンダ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−302806(P2008−302806A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−151640(P2007−151640)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【出願人】(000204033)太平洋工業株式会社 (143)
【Fターム(参考)】