説明

バルブ装置

【課題】 設置性を良くしながら伸縮位置に依存する所定の減衰機能の発揮を可能にする。
【解決手段】 入力手段9が油圧緩衝器におけるピストン体2の摺動方向に沿いながらバルブマウント4を出没可能に貫通するガイドパイプ91と、このガイドパイプ91の一方端部に出没可能に収装されながらピストン体2の摺動に同期して移動するスライドロッド92と、このスライドロッド92とガイドパイプ91の一方端との間に配設されてバイパス路における一方の制御バルブ5に対向する一方入力部94と、ガイドパイプ91の他方端部に移動可能に介装されてバイパス路における他方の制御バルブ6に対向する他方入力部95とを有してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バルブ装置に関し、特に、たとえば、建築物の各階の床と天井との間に配設されて制振ダンパとされる油圧緩衝器への具現化に向くバルブ装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、建築物の各階の床と天井との間に配設されて制振ダンパとされる油圧緩衝器としては、従来から種々の提案があるが、その中で、たとえば、特許文献1には、油圧緩衝器を形成するシリンダ体内でのピストン体の摺動位置に依存して発生される減衰力が高低調整可能とされるものが開示されている。
【0003】
すなわち、特許文献1に開示の油圧緩衝器にあっては、油圧緩衝器を形成するシリンダ体内を同じく油圧緩衝器を形成するピストン体が摺動するときにシリンダ体内にピストン体で画成されてピストン体を挟む一対となる両方の油室がピストン体に配設の減衰バルブを介して連通し、減衰バルブによって所定の言わば高い減衰力が発生される。
【0004】
その一方で、この特許文献1に開示の油圧緩衝器にあっては、油圧緩衝器におけるシリンダ体内の両方の油室がシリンダ体外に配設のバルブ装置を介して連通可能とされ、このバルブ装置の作動が油圧緩衝器の作動で具現化される。
【0005】
すなわち、まず、バルブ装置は、油圧緩衝器におけるシリンダ体内の両方の油室をシリンダ体外で連通するバイパス路中に配設されてその作動時にバイパス路を開閉する。
【0006】
そして、このバルブ装置にあって、バイパス路は、シリンダ体に連設されるバルブマウントとこのバルブマウント内に摺動可能に収装される制御バルブたるスプールとで形成されている。
【0007】
そしてまた、バルブマウントは、油圧緩衝器におけるシリンダ体に一体的に連設され、スプールは、シリンダ体内のピストン体に連結されてシリンダ体に対して出没可能とされるロッド体側に連結されている。
【0008】
そしてさらに、バイパス路は、油圧緩衝器において、ピストン体がシリンダ体内の中央部付近にあるときには、バルブマウント内でいわゆる中央部付近にあるスプールで閉鎖状態となり、ピストン体がシリンダ体内の中央部付近から外れるときには、バルブマウント内で中央部付近から外れるスプールで開放状態になる。
【0009】
それゆえ、この特許文献1に開示のバルブ装置にあっては、油圧緩衝器においてピストン体がシリンダ体内における中央部付近で摺動する場合には、スプールがバイパス路を閉鎖状態に維持し、シリンダ体内の両方の油室がピストン体に配設の減衰バルブを介して連通され、言わば高い減衰力の発生状態を具現化する。
【0010】
そして、このバルブ装置にあっては、油圧緩衝器においてピストン体がシリンダ体内における中央部付近を外れて摺動する状況になると、バイパス路を開放状態に維持し、シリンダ体内の両方の油室がこの開放されたバイパス路を介して連通され、言わば低い減衰力の発生状態を具現化する。
【特許文献1】特開2006‐161842号公報(図1、図2および図4参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記した特許文献1に開示のバルブ装置にあっては、油圧緩衝器の伸縮位置に依存して発生減衰力の高低調整を可能にする点で格別の不具合がある訳ではないが、その具現化にあって些かの不具合があると指摘される可能性がある。
【0012】
すなわち、上記した特許文献1に開示の油圧緩衝器も含めてだが、凡そこの種の位置依存型となる油圧緩衝器が建築物における制振ダンパとされる場合には、その油圧緩衝器自体にあって伸縮ストロークにいわゆる余裕を持つことが肝要とされる。
【0013】
このことからすると、上記した特許文献1に開示の油圧緩衝器にあっては、バルブ装置の作動についても、すなわち、制御バルブたるスプールの摺動ストロークについても、油圧緩衝器と同じストローク量が保障されることを要す。
【0014】
その結果、上記した特許文献1に開示のバルブ装置にあっては、たとえば、バルブ装置を構成するスプールが長尺化されることで、スプールの加工性が悪化したり精度の維持が困難となり易くなったりする不具合があると共に、バルブ装置自体が長尺化され易くなってコンパクト化され難くなり、油圧緩衝器が、たとえば、建築物における制震ダンパとされる場合に、その設置性が低下され易くなる不具合もある。
【0015】
この発明は、上記した現状を鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、設置性を良くしながら所定の機能の発揮を可能にして、これを利用する油圧緩衝器における汎用性の向上を期待するのに最適となるバルブ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記した目的を達成するために、この発明によるバルブ装置の構成を、基本的には、油圧緩衝器におけるシリンダ体内にピストン体で画成される両方の油室をシリンダ体外で連通させるバイパス路と、このバイパス路を形成するバルブマウントにそれぞれ配設されてバイパス路における一方向の開閉を可能にする一方の制御バルブおよびバイパス路における他方向の開閉を可能にする他方の制御バルブと、この二つの制御バルブに個別に推力を入力して開放作動させる入力手段とを有し、入力手段が油圧緩衝器におけるシリンダ体内でのピストン体の摺動時に制御バルブを開放作動させてバイパス路を開放させると共にバイパス路を開放した制御バルブに対するさらなる開放作動の停止を可能にしてなるバルブ装置において、入力手段が油圧緩衝器におけるピストン体の摺動方向に沿いながらバルブマウントを出没可能に貫通するガイドパイプと、このガイドパイプの一方端部に出没可能に収装されながらピストン体の摺動に同期して移動するスライドロッドと、このスライドロッドとガイドパイプの一方端との間に配設されてバイパス路における一方の制御バルブに対向する一方入力部と、ガイドパイプの他方端部に移動可能に介装されてバイパス路における他方の制御バルブに対向する他方入力部とを有してなるとする。
【発明の効果】
【0017】
それゆえ、この発明にあっては、油圧緩衝器における両方の油室のシリンダ体外での連通を可能にするバイパス路中に配設の制御バルブを作動させる推力を入力する入力手段がシリンダ体内でのピストン体の摺動時に制御バルブを作動させてバイパス路を開放させる一方で、その作動でバイパス路を開放した制御バルブに対するさらなる作動の停止を可能にするから、入力手段が連結される油圧緩衝器におけるいわゆる伸縮ストロークが制御バルブにおける作動ストロークを、すなわち、有効ストロークを上回ることになっても、入力手段が制御バルブにこれをさらに作動させる推力を入力しない。
【0018】
その結果、制御バルブにおける作動ストロークたる有効ストロークを油圧緩衝器における伸縮ストロークとは独立に設定でき、しかも、制御バルブにおける作動ストロークをいわゆる安全率を考慮して僅かに大きくするだけで足り、この制御バルブをシリンダ体に連設されるバルブマウントに設けるとするとき、バルブマウントをコンパクト化できる。
【0019】
ちなみに、油圧緩衝器において、シリンダ体内に摺動可能に収装されてシリンダ体内に一対となる両方の油室を画成するピストン体が両方の油室の連通を許容する減衰バルブを有する場合には、シリンダ体外のバイパス路が閉鎖されているときに、シリンダ体に対してロッド体が出没する伸縮作動時には各減衰バルブによって高い減衰力が発生される。
【0020】
そして、油圧緩衝器において、シリンダ体に対するロッド体の出没するストロークが大きく、したがって、制御バルブに入力手段からの入力があるときには、バイパス路が開放され、シリンダ体内の両方の油室がこのバイパス路を介して連通される。
【0021】
その結果、制御バルブの作動でバイパス路が開放される迄はピストン体が有する減衰バルブで高い減衰力の発生状態に維持されていたものが、制御バルブの作動によるバイパス路の開放でそれまでの発生減衰力が低くなる。
【0022】
そして、シリンダ体内でピストン体が反転して逆の行程に移行し、したがって、制御バルブがその作動を解除すると、バイパス路が閉鎖されてピストン体が有する減衰バルブによる高い減衰力の発生状態が保障される。
【0023】
そして、この発明にあっては、入力手段を構成する入力部を配設させるガイドパイプがバルブマウントたる本体部を貫通するようにして配設されるから、このガイドパイプがバルブマウント外に配設される場合に比較して、バルブ装置のいたずらな大型化を回避でき、バルブ装置のコンパクト化を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、図示した実施形態に基づいて、この発明を説明するが、この発明によるバルブ装置は、図示するところでは、筒型でしかも両ロッド型に形成された油圧緩衝器に具現化され、この油圧緩衝器は、たとえば、建築物の各階の床と天井との間に配設される制振ダンパとされる。
【0025】
そして、この油圧緩衝器は、図1に示すところでは、シリンダ体1と、このシリンダ体1内に摺動可能に収装されながらシリンダ体1内に断面積を同一にする一対となる両方の油室、すなわち、図中で上方となる一方の油室R1と図中で下方となる他方の油室R2とを画成するピストン体2と、このピストン体2に一方端が連結されながら各油室R1,R2の軸芯部を挿通してそれぞれシリンダ体1の閉塞端から先端を外部に突出させるロッド体3、すなわち、断面積を同一にして図中で上方となる一方のロッド体31と図中で下方となる他方のロッド体32とを有してなる。
【0026】
そして、この油圧緩衝器にあって、ピストン体2は、上記の両方の油室R1,R2の連通を許容する減衰バルブ21,22を有し、シリンダ体1は、後述する制御バルブ5,6を配設させるバルブマウント4を一体的に連設させ、このバルブマウント4は、図示するところでは、ポート(符示せず)だけを有しながらシリンダ体1に連結されるプレート部41と、このプレート部41に連結されて制御バルブ5,6およびチェックバルブ7,8を有するハウジング部42とからなる。
【0027】
ところで、シリンダ体1は、この油圧緩衝器が両ロッド型とされるからいわゆる筒体からなり、図示するところでは、図中の下端側部にシリンダ体1と同径となるサブシリンダ体11を同軸に連設させ、このサブシリンダ体11内に他方のロッド体32の図中で下端側となる先端側を導通させ、このサブシリンダ体11がこの油圧緩衝器のいわゆる取り付けを可能にするブラケット12を有している。
【0028】
ピストン体2は、自身がシリンダ体1内に画成する両方の油室R1,R2の連通を許容する減衰バルブ、すなわち、言わば伸側用とされる減衰バルブ21と言わば圧側用とされる減衰バルブ22とを並列配置させている。
【0029】
このとき、減衰バルブ21,22は、図示するところでは、上流側の圧力がクラッキング圧を超えると開放作動するように設定され、このクラッキング圧については任意に設定される。
【0030】
ロッド体3は、図中で上方となる一方のロッド体31の先端にブラケット33を有し、それゆえ、この油圧緩衝器にあっては、このブラケット33および上記したブラケット12を利用しての所望の場所への設置が可能とされ、その設置場所でのいわゆる伸縮作動が可能とされる。
【0031】
そして、この油圧緩衝器にあっては、後述するバイパス路を無視すると、ピストン体2がシリンダ体1内を図中で上昇する場合を、たとえば、伸側作動時と仮定すると、一方の油室R1が減衰バルブ21を介して他方の油室R2に連通し、減衰バルブ21で所定の大きさの減衰力が発生される。
【0032】
また、同じくこの油圧緩衝器にあって、ピストン体2がシリンダ体1内を図中で下降する場合を、たとえば、圧側作動時と仮定すると、他方の油室R2が減衰バルブ22を介して一方の油室R1に連通し、減衰バルブ22で所定の大きさの減衰力が発生される。
【0033】
つぎに、この油圧緩衝器にあっては、ピストン体2に配設の減衰バルブ21,22を迂回して両方の油室R1,R2をシリンダ体1外で連通させ、この発明によるバルブ装置を構成するバイパス路(符示せず)を有している。
【0034】
バイパス路は、いわゆる両端がシリンダ体1内の各油室R1,R2に対して、各油室R1,R2におけるいわゆるストロークエンド領域となる部位で連通している。
【0035】
すなわち、ピストン体2がシリンダ体1内をいわゆる中立領域を超える大きいストロークで摺動するとしてシリンダ体1の端部に接近するようになるストロークエンド近傍に至るときにも、シリンダ体1に開穿された開口が閉塞されずして各油室R1,R2のバイパス路への連通が妨げられない設定とされている。
【0036】
一方、この発明において、バルブ装置は、上記したように両方の油室R1,R2のシリンダ体1外で連通を可能にするバイパス路と、このバイパス路中に配設されて外部からの推力の入力で移動してバイパス路を開放する制御バルブ5,6と、この制御バルブ5,6に対するバイパス路における作動油の流れを整流するチェックバルブ7,8と、制御バルブ5,6に推力を入力する入力手段9とを有してなる。
【0037】
まず、バイパス路は、シリンダ体1に一体的に連設されるバルブマウント4に、すなわち、図示するところでは、プレート部41およびハウジング部42に形成され、ハウジング部42が一対とされながらそれぞれ両方の油室R1,R2間の相反する方向の連通を許容するように並列配置とされる制御バルブ5,6と、このバイパス路における作動油の流れ方向を制御する、すなわち、整流するチェックバルブ7,8とを配設させている。
【0038】
このとき、バイパス路の本来的な機能を鑑みると、これがバルブマウント4に形成されるのはともかくとして、このバルブマウント4がシリンダ体1に保持されるのは、この発明のバルブ装置にあって、言わば好ましい。
【0039】
すなわち、後述することであるが、この発明のバルブ装置にあって、バイパス路に配設される制御バルブ5,6は、入力手段9を介してであるが、油圧緩衝器の伸縮位置に依存して開閉作動することを要件としているから、少なくとも、この制御バルブ5,6を有するバルブマウント4にあっては、これがシリンダ体1の一部に擬制されていて良く、したがって、この観点からして、バルブマウント4は、シリンダ体1に一体的に連設されてシリンダ体1に保持されるのが好ましい。
【0040】
つぎに、制御バルブ5,6は、図示するところでは、ロッド体3のシリンダ体1に対する出没となる移動に追従する入力手段9からの入力によって開放作動して言わば一方の油室を他方の油室に連通させることを許容している。
【0041】
すなわち、たとえば、一方の制御バルブ5にあっては、シリンダ体1内に一方のロッド体31が没入するようになる油圧緩衝器の圧側作動時に入力手段9からの入力によって開放状態に切り換えられ、他方の油室R2がこの開放された一方の制御バルブ5を介して一方の油室R1に連通し、このとき、他方の制御バルブ6は、チェックバルブ7の作動するところもあって、自らの状態において遮断状態に維持され、その限りにおいてバイパス路を閉鎖する。
【0042】
そして、他方の制御バルブ6にあっても、シリンダ体1内から一方のロッド体31が突出するようになる言わば伸側作動時に入力手段9からの入力によって開放状態に切り換えられ、一方の油室R1がこの開放された他方の制御バルブ6を介して他方の油室R2に連通し、このとき、一方の制御バルブ5は、上記したところと同様に、チェックバルブ8の作動するところもあって、自らの状態において遮断状態に維持され、その限りにおいてバイパス路を閉鎖する。
【0043】
なお、チェックバルブ7,8についてだが、上記したように、たとえば、一方のロッド体31がシリンダ体1内に没入する油圧緩衝器の圧側作動によって一方の制御バルブ5が開放作動するときに油室R2の作動油が他方の制御バルブ6に流入することをチェックバルブ7が阻止し、一方の制御バルブ5がいわゆる戻るようになるとき、すなわち、油圧緩衝器が伸側作動に反転することで油室R1から流出される作動油が未だ遮断状態になっていない一方の制御バルブ5に流入する状況になるときにチェックバルブ8がこれを阻止して、一方の制御バルブ5を所定の閉鎖状態に維持するように機能すると共に、油圧緩衝器において減衰バルブ21のみが作動し、所定の大きさの減衰力が発生される。
【0044】
そして、一方のロッド体31がシリンダ体1内から突出する油圧緩衝器の伸側作動によって他方の制御バルブ6が開放作動するときに油室R1の作動油が一方の制御バルブ5に流入することをチェックバルブ8が阻止し、他方の制御バルブ6がいわゆる戻るようになるとき、すなわち、シリンダ体1内に一方のロッド体31が没入する圧側作動に反転することで油室R2から流出される作動油が未だ遮断状態になっていない他方の制御バルブ6に流入する状況になるときにチェックバルブ7がこれを阻止して、他方の制御バルブ6を所定の閉鎖状態に維持するように機能すると共に、油圧緩衝器において減衰バルブ22のみが作動し、所定の大きさの減衰力が発生される。
【0045】
以上からすると、この発明にあっては、制御バルブ5,6によってバイパス路を開閉することで、油圧緩衝器で発生される減衰力の高低調整が可能とされるのはもちろんだが、チェックバルブ7,8の協働もあって、図2に示すような減衰力の変位特性が得られる。
【0046】
ここで、制御バルブ5,6について説明すると、基本的には、図1に示すように、制御バルブ5,6は、入力軸51,61と、弁体52,62と、基軸53,63と、附勢バネ54,64とを有してなる。
【0047】
すなわち、まず、入力軸51,61は、対向する入力手段9からの推力を先端に入力させるもので、図示するところでは、前記したロッド体3と軸線方向を同じにしている。
【0048】
そして、この入力軸51,61は、入力手段9に対向することになる先端部をバルブマウント4におけるハウジング部42から外部に突出させて大気中におき、図示するところでは、詳しくは図示しないが、先端部における軸長の長短調整を可能にし、入力手段9に対する間隔の調整を、すなわち、後述する不感帯ストロークL1,L2の長短調整を可能にしている。
【0049】
なお、図示するところにあって、入力軸51,61には、後述する弁体52,62の前方部たるスプール部において変位に応じた流量制御を実現する油路としての切り溝51a,61aが一本または複数本形成されている。
【0050】
つぎに、弁体52,62は、入力軸51,61の一方端に直列されながら、すなわち、図示するところでは、一体に連設されながら入力軸51,61の後退によるその後退時にバイパス路を開放するもので、図示するところでは、ポペットからなり、したがって、この弁体52,62がスプールのみからなる場合に比較して、バイパス路における作動油の漏れを効果的に阻止し得る。
【0051】
そして、弁体52,62たるポペットの上流側に上記の切り溝51a,61aが形成されるとするから、この切り溝51a,61aを介しての作動油の流れが利用されることで、ストロークに応じた流量制御が可能になり、たとえば、図2の特性図における符号Xで示す領域における波形をコントロールすることが可能になり、また、この波形のコントロールを要しない場合でも、弁体52,62が急激に開閉することがなくいわゆるショックを緩和できる。
【0052】
なお、上記の弁体52,62については、これがスプールからなるとしても良く、また、スプールからなるとするとき、これにポペットを直列させるとしても良い。
【0053】
そして、基軸53,63は、弁体52,62に直列されながら、すなわち、図示するところでは、弁体52,62の後端に一体に連設されながら軸径を入力軸51,61と同一にして後端が大気中におかれるとするもので、この基軸53,63の後端が大気中におかれる一方で入力軸51,61の先端が同じく大気中におかれることから、弁体52,62が後述する附勢バネ54,64のバネ力によってのみ前進状態に維持され、すなわち、バイパス路を閉鎖する状態に維持される。
【0054】
附勢バネ54,64は、図示するところではコイルスプリングからなるが、このとき、各附勢バネ54,64における附勢力は、極端に大小されない限りにおいて、いわゆる同一性が要求されない。
【0055】
そして、この附勢バネ54,64にあっては、入力手段9からの推力が入力されるときに、収縮して基軸53,63の後退、すなわち、弁体52,62の後退を許容し、この弁体52,62を介してのバイパス路における作動油の流れを許容する。
【0056】
ところで、この附勢バネ54,64におけるバネ力についてであるが、上記したように、この発明の制御バルブ5,6にあっては、弁体52,62たるポペットを挟むことになる入力軸51,61と基軸53,63との間におけるいわゆる軸力が同じになる。
【0057】
それゆえ、この弁体52,62をいわゆるバルブシート部に着座させてバイパス路を閉鎖状態に維持するについては、制御バルブ5,6が作動するときのフリクションに勝るバネ力を具有する附勢バネ54,64とされて良く、したがって、附勢バネ54,64についてはこれがコイルスプリングからなるとき、いわゆる軽微なコイルスプリングで足りる。
【0058】
一方、入力手段9は、基本的には、油圧緩衝器におけるピストン体2、すなわち、ロッド体3の動きに追従するように形成され、図示するところでは、ピストン体2の摺動方向たるロッド体3の移動方向に沿いながらバルブマウント4におけるハウジング部42を図中で上下方向に移動可能に貫通するガイドパイプ91と、このガイドパイプ91の図中で上方端部となる一方端部に出没可能に収装されながらピストン体2の摺動たるロッド体3の摺動に同期して移動するスライドロッド92と、このスライドロッド92とガイドパイプ91の一方端との間に配設されてバイパス路における一方の制御バルブ5に対向する一方入力部94と、ガイドパイプ91の他方端部に移動可能に介装されてバイパス路における他方の制御バルブ6に対向する他方入力部95とを有してなる。
【0059】
このとき、ガイドパイプ91は、これがバルブマウント4たるハウジング部42を貫通するように配設されるから、図示しないが、このガイドパイプ91がバルブマウント4外に配設される場合に比較して、バルブ装置のいたずらな大型化を回避でき、バルブ装置のコンパクト化を可能にする。
【0060】
そして、この入力手段9にあって、スライドロッド92は、図中での上端部が油圧緩衝器におけるロッド体3、すなわち、図示するところでは、一方のロッド体31にアーム部材96で連結されて、ロッド体3の移動に同期するとしている。
【0061】
ちなみに、アーム部材96のスライドロッド92に対する連結については、いわゆるボルト96aナット96b構造が採用され、入力手段9の制御バルブ5,6に対する後述の不感帯ストロークL1,L2の間隔調整を可能にしている。
【0062】
また、この入力手段9にあって、スライドロッド92は、ガイドパイプ91の図中で上端部となる一方端部に出没可能に収装される大径部92aを有すると共に、この一方端部から外部に突出する細径部92bを有している。
【0063】
そして、このスライドロッド92は、大径部92aと細径部92bの境部となる段差部がガイドパイプ91の一方端部の内側に形成の段差部に係止されて、ガイドパイプ91からの抜け出しが阻止されている。
【0064】
それゆえ、この入力手段9にあって、図示する状態からスライドロッド92を上昇させると、ガイドパイプ91を介して後述する他方入力部95が同期して引き上げられる。
【0065】
一方、他方の入力部95は、ガイドパイプ91の図中で下方端部となる他方端部に移動可能に介装されてバイパス路における他方の制御バルブ6に対向する他方入力部95を有している。
【0066】
ところで、各入力部94,95は、対応する制御バルブ5,6の入力軸51,61の先端に照準されるプッシュ部材94a,95aと、このプッシュ部材94a,95aを背後側から附勢する附勢バネ94b,95bと、この附勢バネ94b,95bの基端を係止させるバネ受94c,95cと、このバネ受94c,95cをスライドロッド92、あるいは、ガイドパイプ91に移動可能に定着させるナット94d,95dとを有してなる。
【0067】
このとき、各入力部94,95において、プッシュ部材94a,95aが制御バルブ5,6における入力軸51,61の先端に対して間隔を有しながら対向しており、この間隔を不感帯ストロークL1,L2にしている。
【0068】
また、この入力手段9にあって、附勢バネ94b,95bのバネ力は、制御バルブ5,6における附勢バネ54,64のバネ力に勝り、したがって、プッシュ部材94a,95aが前進して制御バルブ5,6における入力軸51,61の先端に当接されるとき、制御バルブ5,6において入力軸51,61が後退して、弁体52,62たるポペットがバルブシート部から離座するように後退し、バイパス路が開放される。
【0069】
ちなみに、各入力部94,95にあって、各ナット94d,95dの螺合位置が調整されることで、各附勢バネ94b,95bにおけるバネ力が高低調整される。
【0070】
さらに、この入力手段9にあって、入力部94において、プッシュ部材94aは、ガイドパイプ91に溶接で固着されているが、入力部95において、プッシュ部材95aは、スナップリング95eの利用下にガイドパイプ91に移動可能に定着されている。
【0071】
ここで、この発明におけるバルブ装置の作動を説明すると、まず、図1に示す状態では、油圧緩衝器においてシリンダ体1内のピストン体2が中立位置にあり、一方の制御バルブ5と一方入力部94との間に出現する不感帯ストロークL1と、他方の制御バルブ6と他方入力部95との間に出現する不感帯ストロークL2とが同じになる。
【0072】
そこで、たとえば、油圧緩衝器においてピストン体2がシリンダ体1内を下降し、したがって、ロッド体3がシリンダ体1内に没入する状況になると、スライドロッド92を収装するガイドパイプ91がバルブマウント4におけるハウジング部42内に没入するように下降する。
【0073】
このとき、スライドロッド92とガイドパイプ91との間に一方入力部94を有するから、一方入力部94がスライドロッド92の移動に追従しながらガイドパイプ91と共に移動するが、この一方入力部94の移動ストロークが不感帯ストロークL1以上になるまでは、一方の制御バルブ5が開放作動しないから、バイパス路が閉鎖された状態にあり、したがって、油圧緩衝器にあっては、他方の油室R2が減衰バルブ22を介して一方の油室R1に連通する。
【0074】
スライドロッド92の、すなわち、一方入力部94の移動ストロークが不感帯ストロークL1以上になると、一方入力部94におけるプッシュ部材94aが制御バルブ5における入力軸51の先端に接触すると共に、このプッシュ部材94aを附勢する附勢バネ94bのバネ力が制御バルブ5における附勢バネ54のバネ力に打ち勝るから、プッシュ部材94aの前進に伴って入力軸51が後退し、一方の制御バルブ5が開放作動する。
【0075】
このとき、バイパス路が開放されるから、油圧緩衝器にあっては、他方の油室R2がこの開放されたバイパス路を介して一方の油室R1に連通する傾向になり、この限りにおいて、それまで発生されていた高い減衰力が低くなる。
【0076】
そして、油圧緩衝器において作動が続行されて、スライドロッド92の下降が続行されると、一方入力部94の移動ストロークが一方の制御バルブ5の作動ストロークを超えるまでは上記と同様であるが、一方の制御バルブ5の作動ストローク以上になると、プッシュ部材94aの前進が阻止される。
【0077】
このとき、制御バルブ5において機械的に後退が阻止されることで、プッシュ部材94aの前進が阻止されるとしても良く、また、プッシュ部材94aが、たとえば、ハウジング部42に干渉することで、自身の前進が阻止されるとしても良い。
【0078】
そしてまた、制御バルブ5の後退が阻止された後も油圧緩衝器において作動が続行される場合には、制御バルブ5において作動ストロークがなく、したがって、プッシュ部材94aが附勢バネ94bを収縮させて後退する。
【0079】
一方、油圧緩衝器においてピストン体2がシリンダ体1内を上昇し、したがって、ロッド体3がシリンダ体1内から突出する状況になると、ガイドパイプ91がスライドロッド92によって図中で引き上げられように上昇するから、ガイドパイプ91がバルブマウント4におけるハウジング部42内に没入するように上昇する。
【0080】
このとき、ガイドパイプ91が他方入力部95を有するから、他方入力部95がガイドパイプ91と共に移動するが、この他方入力部95の移動ストロークが不感帯ストロークL2以上になるまでは、他方の制御バルブ6が開放作動しないから、バイパス路が閉鎖された状態にあり、したがって、油圧緩衝器にあっては、一方の油室R1が減衰バルブ21を介して他方の油室R2に連通する。
【0081】
ガイドパイプ91の上昇による他方入力部95の移動ストロークが不感帯ストロークL2以上になると、他方入力部95におけるプッシュ部材95aが制御バルブ6における入力軸61の先端に接触すると共に、このプッシュ部材95aを附勢する附勢バネ95bのバネ力が制御バルブ6における附勢バネ64のバネ力に打ち勝るから、プッシュ部材95aの前進に伴って入力軸61が後退し、他方の制御バルブ6が開放作動する。
【0082】
このとき、バイパス路が開放されるから、油圧緩衝器にあっては、一方の油室R1がこの開放されたバイパス路を介して他方の油室R2に連通する傾向になり、この限りにおいて、それまで発生されていた高い減衰力が低くなる。
【0083】
そして、油圧緩衝器において作動が続行されて、ガイドパイプ91の上昇が続行されると、他方入力部95の移動ストロークが他方の制御バルブ6の作動ストロークを超えるまでは上記と同様であるが、他方の制御バルブ6の作動ストローク以上になると、プッシュ部材95aの前進が阻止される。
【0084】
このとき、制御バルブ6において機械的に後退が阻止されることで、プッシュ部材95aの前進が阻止されるとしても良く、また、プッシュ部材95aが、たとえば、ハウジング部42に干渉することで、自身の前進が阻止されるとしても良い。
【0085】
そしてまた、制御バルブ6の後退が阻止された後も油圧緩衝器において作動が続行される場合には、制御バルブ6において作動ストロークがなく、したがって、プッシュ部材95aが附勢バネ95bを収縮させて後退する。
【0086】
このとき、プッシュ部材95aは、ガイドパイプ91に介装のスナップリング95eから離座し、したがって、ガイドパイプ91は、プッシュ部材95aを残して図中で上昇する状態になる。
【0087】
以上のように、この発明のバルブ装置にあっては、シリンダ体1に対してロッド体3が出没するいわゆる伸縮作動時にその伸縮量が上記した不感帯ストロークL1,L2を超えるとき、対応する制御バルブ5,6が開放作動して、バイパス路を連通状態に切り換える。
【0088】
それゆえ、このことからすれば、この発明のバルブ装置にあって、上記の不感帯ストロークL1,L2を同一にするときには、油圧緩衝器がいわゆる中立状態にあると推定できる。
【0089】
すなわち、油圧緩衝器を任意の場所に設置するとき、その設置場所におけるいわゆる設置間隔が区々となり、したがって、油圧緩衝器にあって、シリンダ体1内でピストン体2を完全な中央部に位置決めることが、すなわち、中立状態にすることが事実上困難であるとしても、上記の不感帯ストロークL1,L2を同一にすることで、シリンダ体1に対するピストン体2のいわゆる中立状態を現出できる。
【0090】
そして、このとき、シリンダ体1内でピストン体2が完全な中立状態にないとしても、多くの場合に、そのズレは、いわゆる許容差よりは大きくなるであろうがいたずらに大きくなることはないから、不感帯ストロークL1,L2を同一にすることで、油圧緩衝器が中立状態にあると擬制しても問題はない。
【0091】
以上からすれば、この発明にあっては、油圧緩衝器を設置する際に、バルブ装置における中立状態を視認しながら確実に現出し得ることになり、従来凡そこの種の油圧緩衝器を設置するについて、いわゆる中立状態の現出が容易でなく、したがって、油圧緩衝器の設置に手間を要していたことに比較して、迅速な設置作業を実現できる。
【0092】
そして、この発明のバルブ装置にあって、入力手段9の作動で制御バルブ5,6が開放作動されるのはもちろんであるが、入力手段9の作動が重要視されるのがそれによって制御バルブ5,6の作動が要請される場面であって、その要請が無くなった後は、入力手段9の関与が停止されるとしている。
【0093】
すなわち、図示する制御バルブ5,6にあって、たとえば、弁体52,62たるポペットが30m/m後退することでバイパス路を全開放する設定の場合には、以降のポペットの後退は言わば無意味になる。
【0094】
そこで、ポペットが設定量を後退するまでは、入力手段9が関与するが、以降は入力手段9が関与せず、すなわち、入力手段9からの推力が制御バルブ5,6に入力されないように配慮している。
【0095】
具体的には、図示するところでは、制御バルブ5,6において、ポペットが一定量を後退したら、さらなる後退は、制御バルブ5,6において機械的にこれが阻止されるとしている。
【0096】
すなわち、たとえば、制御バルブ5の後退が阻止されることから、制御バルブ5の動きに関係なく、一方入力部94が附勢バネ94bのバネ力の抗して後退することになって油圧緩衝器の動きに追従する。
【0097】
そして、入力手段9にあっては、同様の場面で、制御バルブ6の後退が阻止される場合には、相対的に看ると、他方入力部95が附勢バネ95bのバネ力の抗して後退することになって油圧緩衝器の動きに追従する。
【0098】
それゆえ、この発明のバルブ装置における入力手段9にあっては、機械的に作動が停止された制御バルブ5,6に対して必要以上の推力を入力しないから、制御バルブ5,6にいわゆる無理をかけず、バルブ装置における作動性を恒久的に保障し易くなる。
【0099】
また、この発明のバルブ装置にあって、制御バルブ5,6における開放作動ストローク、すなわち、言わば有効ストロークが保障されることで足りるから、制御バルブ5,6のコンパクト化、すなわち、バルブ装置のコンパクト化を可能にし得る。
【0100】
なお、上記したところでは、入力手段9のいわゆる関与回避が、制御バルブ5,6におけるストロークエンドに基づくとするが、制御バルブ5,6における有効ストロークを保障する限りには、前記したように、各入力部94,95がバルブマウント4たるハウジング部42に当接することによるとしても良い。
【0101】
前記したところは、この発明によるバルブ装置を装備する油圧緩衝器が建築物における制振ダンパとされる場合を例にしているが、この発明が意図するところからすれば、この油圧緩衝器が建築物以外の、たとえば、鉄道車両や機器類の制振用として利用されるとしても良い。
【0102】
そして、前記したところでは、この発明が両ロッド型の油圧緩衝器に具現化されるとしたが、この発明が意図するところからすれば、この発明が片ロッド型の油圧緩衝器に具現化されるとしても良く、さらには、凡そ気体以外のいわゆる収縮しないとされる流体を利用する緩衝器であれば、その具現化が可能になる。
【0103】
また、前記したところでは、図1に示すように、制御バルブ5,6が図中での左右方向に油圧緩衝器に並列する態勢に配設されて奥行き寸法を短くしているが、この発明が意図するところからすれば、図示しないが、並列する制御バルブ5,6が油圧緩衝器に重ねられるように配設されて幅寸法を狭くするとしても良い。
【0104】
さらに、前記したところでは、この発明によるバルブ装置を装備する油圧緩衝器にあって、バルブマウント4がシリンダ体1に一体に保持されてなる場合を例にして説明したが、この発明にあっては、バルブマウント4がシリンダ体1と分離されていても、油圧緩衝器における中立状態の実現が可能になる。
【0105】
すなわち、油圧緩衝器を所定の位置に設置するについて、先に、シリンダ体1を大まかに看て中立状態にあると言える状況で設置場所に設置し、爾後に、シリンダ体1から分離されているバルブマウント4を移動して、不感帯ストロークL1,L2を言わば左右で同一にすれば、この油圧緩衝器における中立状態を実現することが可能になると言い得る。
【0106】
さらに、この発明によるバルブ装置では、制御バルブ5,6の具体化にあって、これが一軸に形成されるのではなく、二軸に形成されるから、これがバルブマウント4に装備される場合や、あるいは、シリンダ体1内に装備される場合を考慮すると、バルブマウント4の小型化を妨げ易くなったり、あるいは、シリンダ体1内への装備性を不利にし易くなったりする不具合の招来を回避できる点で有利となる。
【0107】
もっとも、この発明が意図するところからすれば、図示しないが、制御バルブ5,6の具現化にあって、これがいわゆる一軸に直列配置されるとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】この発明の一実施形態によるバルブ装置を備える油圧緩衝器を示す原理図である。
【図2】ピストン体が有する減衰バルブによる減衰力の変位特性を示す図である。
【符号の説明】
【0109】
1 シリンダ体
2 ピストン体
3 ロッド体
4 バルブマウント
5 一方の制御バルブ
6 他方の制御バルブ
9 入力手段
21,22 減衰バルブ
31 ロッド体を構成する一方のロッド体
32 ロッド体を構成する他方のロッド体
42 バルブマウントを構成する本体部
51,61 入力軸
52,62 弁体
53,63 基軸
54,64 附勢バネ
91 ガイドパイプ
92 スライドロッド
94 一方入力部
94a,95a プッシュ部材
94b、95b 附勢バネ
95 他方入力部
96 アーム部材
L1,L2 不感帯ストローク
R1,R2 油室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧緩衝器におけるシリンダ体内にピストン体で画成される両方の油室をシリンダ体外で連通させるバイパス路と、このバイパス路を形成するバルブマウントにそれぞれ配設されてバイパス路における一方向の開閉を可能にする一方の制御バルブおよびバイパス路における他方向の開閉を可能にする他方の制御バルブと、この二つの制御バルブに個別に推力を入力して開放作動させる入力手段とを有し、入力手段が油圧緩衝器におけるシリンダ体内でのピストン体の摺動時に制御バルブを開放作動させてバイパス路を開放させると共にバイパス路を開放した制御バルブに対するさらなる開放作動の停止を可能にしてなるバルブ装置において、入力手段が油圧緩衝器におけるピストン体の摺動方向に沿いながらバルブマウントを出没可能に貫通するガイドパイプと、このガイドパイプの一方端部に出没可能に収装されながらピストン体の摺動に同期して移動するスライドロッドと、このスライドロッドとガイドパイプの一方端との間に配設されてバイパス路における一方の制御バルブに対向する一方入力部と、ガイドパイプの他方端部に移動可能に介装されてバイパス路における他方の制御バルブに対向する他方入力部とを有してなることを特徴とするバルブ装置。
【請求項2】
油圧緩衝器がシリンダ体内に摺動可能に収装のピストン体に両方の油室の連通を許容する減衰バルブを有すると共に、ピストン体に基端を連結させて断面積を同一にしながら両方の油室の軸芯部を挿通して先端をシリンダ体外に突出させる一方および他方となる両方のロッド体を有してなる請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項3】
制御バルブが対向する入力手段からの推力を先端に入力させて後退する入力軸と、この入力軸の一方端に連設されながらその後退時にバイパス路を開放する弁体と、この弁体に連設されながら大気中に連通する容室を画成する基軸と、容室に収装されながら基軸を介して弁体を前進方向に附勢する附勢バネとを有してなる請求項1または請求項2に記載のバルブ装置。
【請求項4】
油圧緩衝器にあってピストン体に基端が連設されて先端がシリンダ体外に突出するロッド体とスライドロッドとがアーム部材で連結されてなる請求項1、請求項2または請求項3に記載のバルブ装置。
【請求項5】
入力手段における入力部が対応する制御バルブにおける入力軸の先端に照準されるプッシュ部材と、このプッシュ部材を背後側から附勢する附勢バネとを有し、プッシュ部材と制御バルブとの間に不感帯ストロークを有してなる請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載のバルブ装置。
【請求項6】
入力手段に対向する制御バルブにおける入力軸の先端部が軸長の長短調整を可能にしてなる請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載のバルブ装置。
【請求項7】
制御バルブがバイパス路を開閉する弁体たるポペットあるいはスプールを有してなる請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5または請求項6に記載のバルブ装置。
【請求項8】
油圧緩衝器におけるシリンダ体内の中央部付近にピストン体があるときにバイパス路が制御バルブで閉鎖されてなる請求項1、請求項2、請求項3、請求項、請求項5、請求項6または請求項7に記載のバルブ装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−97594(P2009−97594A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268466(P2007−268466)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】