説明

バンパ構造

【課題】 部品点数を低減でき、組み付けの手間を低減できるとともに、配索時の見栄えを向上することができて、その上でバンパ本体の外観品質低下を防止することができるバンパ構造の提供。
【解決手段】 バンパ本体20と、バンパ本体20に形成された開口部に設けられるバンパガーニッシュ31とを有し、バンパガーニッシュ31に管状部材41を保持する保持手段42,43を一体的に形成することで、バンパ本体20の品質を確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウオッシャ液等の配管が設けられるバンパ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドライトに向けてウオッシャ液を噴射するウオッシャノズルはバンパに設けられており、このためこのウオッシャノズルにウオッシャ液を供給する管状部材もバンパ内に配索されることになる。このような管状部材をバンパ内に配索する場合に通常は別体のクリップを用いて保持することになるが、バンパの上面側に上記のような管状部材にかえてウォッシャ液供給通路を一体的に形成する技術がある(例えば特許文献1参照)。この技術では、クリップが不要になるため、部品点数を低減でき、組み付けの手間を低減できるとともに、配索時の見栄えを向上することができる。
【特許文献1】特開平7−179157号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の技術は、バンパを構成する構成部材のうち意匠面を主体的に構成するバンパ本体の上面側にウォッシャ液供給通路を一体的に形成するものであるが、バンパ本体の形状が複雑であることから、成形時に引けを生じてしまう。このような引けがバンパ本体に生じると特に目立つことになり、外観品質の点で上記したクリップとは違う新たな問題が生じてしまう。
【0004】
したがって、本発明は、部品点数を低減でき、組み付けの手間を低減できるとともに、配索時の見栄えを向上することができて、その上でバンパ本体の外観品質低下を防止することができるバンパ構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、バンパ本体(例えば実施形態におけるバンパ本体20)と、該バンパ本体に形成された開口部(例えば実施形態におけるエア導入用開口部22)に設けられるバンパガーニッシュ(例えば実施形態におけるバンパガーニッシュ31)とを有し、前記バンパガーニッシュには、管状部材(例えば実施形態におけるウオッシャホース41)を保持する保持手段(例えば実施形態におけるクランプ部42およびスリット部43)が一体的に形成されていることを特徴としている。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記バンパガーニッシュは前記バンパ本体の長手方向に沿って設けられており、前記保持手段は前記管状部材を前記バンパガーニッシュの長手方向に延びる縁部に沿う姿勢で保持し、しかも前記管状部材が前記バンパガーニッシュの長手方向に沿って配索されることを特徴としている。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記バンパガーニッシュの長手方向の端部側に形成される保持手段は、前記管状部材の形状に沿ったクランプ部(例えば実施形態におけるクランプ部42)と、該クランプ部よりさらに端部側のスリット部(例えば実施形態におけるスリット部43)とを有し、前記管状部材は前記クランプ部に保持されるとともに前記スリット部を挿通して配索されることを特徴としている。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に係る発明において、前記バンパガーニッシュはバンパビーム(例えば実施形態におけるバンパビーム13)の下側に設けられ、前記管状部材は前記バンパガーニッシュの下縁部に沿って設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、バンパ本体に形成された開口部に設けられるバンパガーニッシュに、管状部材を保持する保持手段を一体的に形成しているため、この保持手段に管状部材を保持させれば良く、別体のクリップを用いる必要がなくなる。したがって、部品点数を低減でき、組み付けの手間を低減できるとともに、配索時の見栄えを向上することができる。また、管状部材を保持する保持手段をバンパガーニッシュに一体的に形成しているため、仮にバンパガーニッシュに引けを生じても意匠面を主体的に構成するバンパ本体には無関係となる。したがって、バンパ本体の外観品質低下を防止することができる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、バンパガーニッシュの長手方向に延びる縁部に沿う姿勢で管状部材を保持する保持手段に対して、管状部材をバンパガーニッシュの長手方向に沿って配索するため、保持姿勢と配索方向とが一致し、よって管状部材を無理なく配索することができる。したがって、管状部材に大きな曲げ等を生じることがなく、内部の液体の流通が阻害されることがない。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、バンパガーニッシュの長手方向端部において、管状部材をその形状に沿ったクランプ部に保持させた後、さらに端部側のスリット部に挿通させて外側に導くため、管状部材をレイアウト困難な長手方向の中央部を避けて外側に導くことになり、無理なく配索できる。したがって、管状部材に大きな曲げ等を生じることがなく、内部の液体の流通が阻害されることがない。また、管状部材をクランプ部でバンパガーニッシュに保持した後に、スリット部に挿通させるため、管状部材をバンパガーニッシュから離すことなくスリット部から外側に案内できる。
【0012】
請求項4に係る発明によれば、バンパビームの下側に設けられるバンパガーニッシュの下縁部に沿って管状部材が設けられているため、バンパビームを避けて管状部材を配索することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の一実施形態のバンパ構造を図面を参照して以下に説明する。なお、以下の説明における前後は車体における前後である。
【0014】
図1は、バンパ11およびその周辺を裏側(後側)から見たものであり、車体前部において枠状のラジエータコアサポート12の前側にバンパビーム13が車幅方向に沿って設けられ、このバンパビーム13のさらに前側に車幅方向に沿ってバンパ11が設けられている。
【0015】
バンパ11は、図2に示すように、車両の意匠面を主体的に構成する車幅方向に長いバンパ本体20を有しており、このバンパ本体20には車幅方向両端側の上部にそれぞれノズル用開口部21が形成されている。また、バンパ本体20には、車幅方向の中央の下部に車幅方向に長いエア導入用開口部(開口部)22が形成されている。なお、バンパ本体20は合成樹脂で一体成形されるもので、通常表面が塗装されて用いられる。
【0016】
ここで、ノズル用開口部21は、ヘッドライト24を洗浄するための図3に示すウオッシャノズル25を出入りさせるもので、ウオッシャノズル25はバンパ本体20の裏面に取り付けられるベース部26と、ベース部26からノズル用開口部21を介してバンパ本体20の外側に突出しまた内側に引込むノズル本体部27とを有している。ノズル本体部27には、上端部にカバー28が設けられており、バンパ本体20内に引込む際にこのカバー28でノズル用開口部21を閉塞させる。
【0017】
バンパ11は、図2および図4に示すように、バンパ本体20の長手方向に沿って長いエア導入用開口部22の全面に設けられるバンパガーニッシュ31を有しており、このバンパガーニッシュ31は、エア導入用開口部22に合わせて車幅方向に長い形状をなしている。つまり、バンパガーニッシュ31はバンパ本体20の長手方向に沿って設けられている。
【0018】
バンパガーニッシュ31は、図5に示すように、その外周縁部を構成する枠部32と枠部32の上下方向の中央において車幅方向に沿う横板部33と、枠部32の車幅方向の複数の位置において上下方向に沿う縦板部34とを有しており、横板部33と縦板部34とで囲まれた複数の部分のうち上部の車幅方向中央が閉塞された閉塞部35となり、残りが開放された開放部36となっている。
【0019】
このバンパガーニッシュ31は、バンパ本体20のエア導入用開口部22の周縁部の裏面側に当接させられた状態で、枠部32の上縁部に設けられた複数の取付部38および枠部の下縁部に設けられた図示略の取付部においてバンパ本体20に取り付けられることになる。なお、図1に示すようにバンパガーニッシュ31はバンパビーム13の下側に設けられる。
【0020】
バンパガーニッシュ31には、枠部32の下縁部に、上記したウオッシャノズル25に連結されてウオッシャ液を供給するウオッシャホース(管状部材)41を保持するための、ウオッシャホース41の形状に沿ったクランプ部(保持手段)42が車幅方向に所定の間隔をあけて複数形成されており、また車幅方向の両端のクランプ部42のそれぞれの車幅方向外側にウオッシャホース41を保持するためのスリット部(保持手段)43が形成されている。つまり、バンパガーニッシュ31の長手方向端部側においては、ウオッシャホース41の形状に沿ったクランプ部42と、クランプ部42よりさらに端部側のスリット部43とが形成されている。
【0021】
各クランプ部42は、図6に示すように、ウオッシャホース41の形状に沿うように車幅方向に直交する断面が上側に開口するとともに上端部がその下側よりも枠部32に近接する湾曲形状をなしこの断面が車幅方向に連続する形状をなしている。そして、各クランプ部42には、円管状のウオッシャホース41が車幅方向に延在する姿勢で上側から下方に押し込まれ、これにより各クランプ部42はウオッシャホース41の外周面を枠部32とで把持する。この状態で、クランプ部42は、ウオッシャホース41をバンパガーニッシュ31の枠部32の長手方向に延びる下縁部に沿いかつこの下縁部に近接する姿勢で保持することになる。
【0022】
スリット部43は、車幅方向の両端のクランプ部42のそれぞれの枠部32における車幅方向外側に、隣り合うクランプ部42同士の間隔よりも狭い間隔をあけて形成されており、枠部32を略前後方向に貫通するとともに下方に抜ける形状をなしている。ここで、枠部32はスリット部43の車幅方向における内縁側よりもスリット部43の車幅方向における外縁側の方が車体前後方向後側にずれており、その結果、スリット部43に下方から押し込まれるウオッシャホース41がバンパガーニッシュ31の長手方向に略沿う姿勢で保持される。なお、スリット部43はウオッシャホース41を上部で保持可能となるように下部の幅が上部の幅よりも狭くなっている。
【0023】
バンパガーニッシュ31は、合成樹脂で一体成形されるもので、無塗装で用いられる。ここで、バンパガーニッシュ31には、一体成形時に、ウオッシャホース41を保持するクランプ部42およびスリット部43も一体的に形成される。
【0024】
上記したバンパガーニッシュ31およびバンパ本体20を有するバンパ11にウオッシャホース41を配索する際には、ウオッシャホース41を全体として車幅方向に沿わせるとともに、その両端側をスリット部43に挿通させることでバンパガーニッシュ31の外側(前側)に導き、これによりバンパガーニッシュ31の内側(後側)に設けられるウオッシャホース41の中間部を複数のクランプ部42に嵌め込んで保持させる。その結果、クランプ部42によってバンパガーニッシュ31の長手方向に延びる下縁部に沿う姿勢で保持されるウオッシャホース41がバンパガーニッシュ31の長手方向に延びる下縁部に沿いかつ近接して配索される。そして、スリット部43からバンパガーニッシュ31の前側に出たウオッシャホース41の車幅方向外側に延びる部分が、バンパ本体20とラジエータコアサポート12との間を通る。
【0025】
そして、上記したウオッシャホース41が車幅方向の両端部においてそれぞれさらに別のウオッシャホース45を介してウオッシャノズル25に連結されるとともに、ウオッシャホース41と一方のウオッシャホース45との連結位置から分岐してウオッシャポンプ46に連結され、さらに図示略のウオッシャ液供給側に連結される。
【0026】
以上に述べた本実施形態によれば、バンパ本体20に形成されたエア導入用開口部22に設けられるバンパガーニッシュ31に、ウオッシャホース41を保持するクランプ部42およびスリット部43を一体的に形成しているため、一体的に形成されたクランプ部42およびスリット部43にウオッシャホース41を保持させれば良く、別体のクリップを用いる必要がなくなる。したがって、部品点数を低減でき、組み付けの手間を低減できるとともに、配索時の見栄えを向上することができる。また、ウオッシャホース41を保持するクランプ部42およびスリット部43をバンパガーニッシュ31に一体的に形成しているため、仮にこれらを形成することに起因してバンパガーニッシュ31に引けを生じても意匠面を主体的に構成するバンパ本体20には無関係となる。したがって、バンパ本体20の外観品質低下を防止することができる。
【0027】
加えて、バンパガーニッシュ31の長手方向に延びる下縁部に沿う姿勢でウオッシャホース41を保持するクランプ部42およびスリット部43に対して、ウオッシャホース41をバンパガーニッシュ31の長手方向に沿って配索するため、保持姿勢と配索方向とが一致し、よってウオッシャホース41を無理なく配索することができる。したがって、ウオッシャホース41に大きな曲げ等を生じることがなく、内部の液体の流通が阻害されることがない。
【0028】
さらに、バンパガーニッシュ31の長手方向の端部において、ウオッシャホース41をその形状に沿ったクランプ部42に保持させた後、さらに端部側のスリット部43に挿通させて外側に導くため、ウオッシャホース41をレイアウト困難な長手方向の中央部を避けて外側に導くことになり、無理なく配索できる。したがって、ウオッシャホース41に大きな曲げ等を生じることがなく、内部の液体の流通が阻害されることがない。また、ウオッシャホース41をクランプ部42でバンパガーニッシュ31に保持した後に、スリット部43に挿通させるため、ウオッシャホース41をバンパガーニッシュ31から離すことなくスリット部43から外側に案内できる。
【0029】
加えて、バンパビーム13の下側に設けられるバンパガーニッシュ31の下縁部に沿ってウオッシャホース41が設けられているため、バンパビーム13を避けてウオッシャホース41を配索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態のバンパ構造をバンパビームおよびラジエータコアサポートとともに示す背面図である。
【図2】本発明の一実施形態のバンパ構造を含む車両を示す正面図である。
【図3】本発明の一実施形態のバンパ構造において設けられるウオッシャノズルを示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態のバンパ構造を示す背面図である。
【図5】本発明の一実施形態のバンパ構造を車体前後方向後側かつ右側から見た斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態のバンパ構造の要部を車体前後方向後側かつ右側から見た拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
11 バンパ
13 バンパビーム
20 バンパ本体
22 エア導入用開口部(開口部)
31 バンパガーニッシュ
41 ウオッシャホース(管状部材)
42 クランプ部(保持手段)
43 スリット部(保持手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンパ本体と、該バンパ本体に形成された開口部に設けられるバンパガーニッシュとを有し、
前記バンパガーニッシュには、管状部材を保持する保持手段が一体的に形成されていることを特徴とするバンパ構造。
【請求項2】
前記バンパガーニッシュは前記バンパ本体の長手方向に沿って設けられており、
前記保持手段は前記管状部材を前記バンパガーニッシュの長手方向に延びる縁部に沿う姿勢で保持し、しかも前記管状部材が前記バンパガーニッシュの長手方向に沿って配索されることを特徴とする請求項1記載のバンパ構造。
【請求項3】
前記バンパガーニッシュの長手方向の端部側に形成される保持手段は、前記管状部材の形状に沿ったクランプ部と、該クランプ部よりさらに端部側のスリット部とを有し、
前記管状部材は前記クランプ部に保持されるとともに前記スリット部を挿通して配索されることを特徴とする請求項2記載のバンパ構造。
【請求項4】
前記バンパガーニッシュはバンパビームの下側に設けられ、前記管状部材は前記バンパガーニッシュの下縁部に沿って設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載のバンパ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−15906(P2006−15906A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−196658(P2004−196658)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】