説明

バーコード及び撮像装置

【課題】無駄なデコード時間の発生を抑制することのできるバーコード及び撮像装置を得る。
【解決手段】2次元コード60に対し、予め定められた第1記録密度で実データがコード化されて記録された実データ領域60Bと、前記第1記録密度より低い第2記録密度で前記実データが何を示す情報なのかを特定することのできるインデックス情報がコード化されて記録されたインデックス領域60Aと、を設ける。そして、デジタルカメラでは、インデックス領域60Aに対応する情報をデコードして、これによって得られたインデックス情報に基づいて2次元コード60が読み取り対象とするバーコードであるか否かを判定し、読み取り対象とするバーコードであると判定した場合のみに実データ領域60Bに対応する情報をデコードする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコード及び撮像装置に係り、特に、1次元バーコード、2次元コード等のバーコード及び当該バーコードを撮像する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CCD(Charge Coupled Device)エリアセンサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージ・センサ等の固体撮像素子の高解像度化に伴い、デジタル電子スチルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant,携帯情報端末)等の撮影機能を有する情報機器の需要が急増している。なお、以上のような撮影機能を有する情報機器を撮像装置と総称する。
【0003】
ところで、以上のような撮像装置では、近年、その利便性を向上させるための種々の技術が提案されており、特許文献1には、複雑な操作を行うことなく所望モードを用いた撮影を可能にすることを目的として、バーコードデータカードにビデオカメラの一連の操作プログラムデータを記録しておく一方、ビデオカメラに上記データカードのデータを読み取るバーコード読み取り部を設け、読み取った操作プログラムデータに基づきマイコンが制御を実行する技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、簡易に各種機能を設定可能とすることを目的として、機能設定項目とこれと対応するバーコードとを記憶する記憶手段と、画像を撮影する撮影手段と、前記撮影手段により撮影された画像が前記記憶手段に記憶されたバーコードと一致するか否かを判定し、その判定結果に基づき機能設定を行う制御手段と、を有する技術が開示されている。
【0005】
その一方で、近年、1次元のバーコードより多くの情報を記録できるコードとしてQR(Quick Response)コード(登録商標)等の2次元コードが普及してきており、上述した特許文献に開示されている技術に対して2次元コードを適用することにより、より複雑な動作の設定を1つのコードによって行うことができるようになる。なお、ここでは、バーコードに、1次元バーコードの他、2次元コードや当該2次元コードを拡張した3次元コードも含まれるものとし、各コードを区別することなく表記する場合には‘バーコード’と称する。
【0006】
そして、この技術における2次元コードの秘匿性を向上させるために適用できる技術として、特許文献3には、情報単位であるデータセルを配置したデータセル領域と、このデータセル領域の位置情報を記録したファインダーパターン領域と、前記データセル領域及び前記ファインダーパターン領域の周囲に位置するように設けられ前記2つの領域を他の領域と区画する周辺領域とから構成された2次元コードにおいて、前記データセル領域のうちの少なくとも一部の領域に含まれる画像データを、視覚復号型暗号技術を用いて複数の画像データに分解し、これら複数の画像データの中の少なくとも1つの画像データを記録するように構成した技術が開示されている。
【特許文献1】特開平5−260355号公報
【特許文献2】特開2003−289350号公報
【特許文献3】特開2003−331235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述したようなバーコードを撮像して当該バーコードにより示される情報を取得する場合、バーコード全体をデコード(decode)する必要があるため、当該デコードに時間がかかる、という問題点があった。特に、2次元コードや3次元コードをデコードする場合には、1次元バーコードに比較してデコードする情報量が著しく多いため、この問題点は深刻である。
【0008】
なお、上記特許文献3に開示されている技術では、2次元コードの秘匿性を向上させることはできるものの、デコードに要する時間については考慮されていないため、この問題点を解決することはできない。
【0009】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、無駄なデコード時間の発生を抑制することのできるバーコード及び撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のバーコードは、予め定められた第1記録密度で所定情報がコード化されて記録された第1コード領域と、前記第1記録密度より低い第2記録密度で前記所定情報が何を示す情報なのかを特定することのできる特定情報がコード化されて記録された第2コード領域と、を有する。
【0011】
従って、本発明のバーコードによれば、記録密度が第1コード領域より低い第2コード領域に対応する情報をデコードして、これによって得られた特定情報に基づいて当該バーコードが読み取り対象とするバーコードであるか否かを判定し、読み取り対象とするバーコードであると判定した場合のみに第1コード領域に対応する情報をデコードするものとして利用することにより、無駄なデコード時間の発生を抑制することができる。
【0012】
なお、本発明は、前記第1コード領域と前記第2コード領域の境界位置に設けられた所定形状のマークを更に有するものとしてもよい。
【0013】
更に、本発明は、前記第1コード領域及び前記第2コード領域の各領域により構成されるコードが2次元コード又は3次元コードであるものとしてもよい。なお、上記2次元コードには、QRコード(登録商標)が含まれる。
【0014】
一方、上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、被写体を撮像することによって被写体像を示す画像情報を取得する撮像手段と、請求項1乃至請求項3の何れか1項記載のバーコードが前記撮像手段によって撮像されたとき、当該撮像によって取得された画像情報の前記第2コード領域に対応する情報をデコードする第1デコード手段と、前記第1デコード手段により得られた特定情報に基づいて前記バーコードが読み取り対象とするバーコードであるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により読み取り対象とするバーコードであると判定された場合に前記撮像によって取得された画像情報の前記第1コード領域に対応する情報をデコードする第2デコード手段と、を備えている。
【0015】
本発明の撮像装置によれば、本発明のバーコードが被写体を撮像することによって被写体像を示す画像情報を取得する撮像手段により撮像されたとき、第1デコード手段により、当該撮像によって取得された画像情報の前記第2コード領域に対応する情報がデコードされる。なお、上記撮像手段には、CCDエリアセンサ及びCMOSイメージ・センサが含まれる。
【0016】
そして、本発明では、前記第1デコード手段により得られた特定情報に基づいて前記バーコードが読み取り対象とするバーコードであるか否かが判定手段により判定され、読み取り対象とするバーコードであると判定された場合に、第2デコード手段により、前記撮像によって取得された画像情報の前記第1コード領域に対応する情報がデコードされる。
【0017】
このように、本発明の撮像装置によれば、本発明のバーコードに対して、記録密度が第1コード領域より低い第2コード領域に対応する情報をデコードして、これによって得られた特定情報に基づいて当該バーコードが読み取り対象とするバーコードであるか否かを判定し、読み取り対象とするバーコードであると判定した場合のみに第1コード領域に対応する情報をデコードしているので、無駄なデコード時間の発生を抑制することができる。
【0018】
なお、本発明は、前記特定情報が、自身の有効期限を示す期限情報を含むものとされ、前記バーコードが前記撮像手段によって撮像されたとき、当該撮像によって取得された画像情報により示される前記期限情報によって示される有効期限を過ぎていた場合に前記第2デコード手段によるデコードを禁止するデコード禁止手段を更に備えたものとしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明のバーコードによれば、予め定められた第1記録密度で所定情報がコード化されて記録された第1コード領域と、前記第1記録密度より低い第2記録密度で前記所定情報が何を示す情報なのかを特定することのできる特定情報がコード化されて記録された第2コード領域と、を有しているので、記録密度が第1コード領域より低い第2コード領域に対応する情報をデコードして、これによって得られた特定情報に基づいて当該バーコードが読み取り対象とするバーコードであるか否かを判定し、読み取り対象とするバーコードであると判定した場合のみに第1コード領域に対応する情報をデコードするものとして利用することにより、無駄なデコード時間の発生を抑制することができる、という効果が得られる。
【0020】
また、本発明の撮像装置によれば、本発明のバーコードに対して、記録密度が第1コード領域より低い第2コード領域に対応する情報をデコードして、これによって得られた特定情報に基づいて当該バーコードが読み取り対象とするバーコードであるか否かを判定し、読み取り対象とするバーコードであると判定した場合のみに第1コード領域に対応する情報をデコードしているので、無駄なデコード時間の発生を抑制することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、ここでは、本発明の撮像装置を、静止画像の撮影を行うデジタル電子スチルカメラ(以下、「デジタルカメラ」という。)に適用した場合について説明する。
【0022】
まず、図1を参照して、本実施の形態に係るデジタルカメラ10の外観上の構成を説明する。
【0023】
デジタルカメラ10の正面には、被写体像を結像させるためのレンズ21と、撮影時に必要に応じて被写体に照射する光を発するストロボ44と、撮影する被写体の構図を決定するために用いられるファインダ20と、が備えられている。また、デジタルカメラ10の上面には、撮影を実行する際に押圧操作されるレリーズスイッチ(所謂シャッター)56Aと、電源スイッチ56Bと、モード切替スイッチ56Cと、が備えられている。
【0024】
なお、本実施の形態に係るデジタルカメラ10のレリーズスイッチ56Aは、中間位置まで押下される状態(以下、「半押し状態」という。)と、当該中間位置を超えた最終押下位置まで押下される状態(以下、「全押し状態」という。)と、の2段階の押圧操作が検出可能に構成されている。
【0025】
そして、デジタルカメラ10では、レリーズスイッチ56Aを半押し状態にすることによりAE(Automatic Exposure、自動露出)機能が働いて露出状態(シャッタースピード、絞りの状態)が設定された後、AF(Auto Focus、自動合焦)機能が働いて合焦制御され、その後、引き続き全押し状態にすると露光(撮影)が行われる。
【0026】
また、モード切替スイッチ56Cは、撮影を行うモードである撮影モード及び被写体像を後述するLCD38に再生するモードである再生モードの何れかのモードに設定する際に回転操作される。
【0027】
一方、デジタルカメラ10の背面には、前述のファインダ20の接眼部と、撮影された被写体像やメニュー画面等を表示する液晶ディスプレイ(以下、「LCD」という。)38と、十字カーソルスイッチ56Dと、が備えられている。なお、十字カーソルスイッチ56Dは、LCD38の表示領域における上・下・左・右の4方向の移動方向を示す4つの矢印キーを含んで構成されている。
【0028】
更に、デジタルカメラ10の背面には、LCD38にメニュー画面を表示させるときに押圧操作されるメニュースイッチと、それまでの操作内容を確定するときに押圧操作される決定スイッチと、直前の操作内容をキャンセルするときに押圧操作されるキャンセルスイッチと、後述するバーコード撮影モードに設定するときに押圧操作されるバーコード撮影モード設定スイッチとが備えられている。
【0029】
次に、図2を参照して、本実施の形態に係るデジタルカメラ10の電気系の要部構成を説明する。
【0030】
デジタルカメラ10は、前述のレンズ21を含んで構成された光学ユニット22と、レンズ21の光軸後方に配設された電荷結合素子(以下、「CCD」という。)24と、入力されたアナログ信号に対して各種のアナログ信号処理を行うアナログ信号処理部26と、を含んで構成されている。
【0031】
また、デジタルカメラ10は、入力されたアナログ信号をデジタルデータに変換するアナログ/デジタル変換器(以下、「ADC」という。)28と、入力されたデジタルデータに対して各種のデジタル信号処理を行うデジタル信号処理部30と、を含んで構成されている。
【0032】
なお、デジタル信号処理部30は、所定容量のラインバッファを内蔵し、入力されたデジタルデータを後述するメモリ48の所定領域に直接記憶させる制御も行う。
【0033】
CCD24の出力端はアナログ信号処理部26の入力端に、アナログ信号処理部26の出力端はADC28の入力端に、ADC28の出力端はデジタル信号処理部30の入力端に、各々接続されている。従って、CCD24から出力された被写体像を示すアナログ信号はアナログ信号処理部26によって所定のアナログ信号処理が施され、ADC28によってデジタル画像データに変換された後にデジタル信号処理部30に入力される。
【0034】
一方、デジタルカメラ10は、被写体像やメニュー画面等をLCD38に表示させるための信号を生成してLCD38に供給するLCDインタフェース36と、デジタルカメラ10全体の動作を司るCPU(中央処理装置)40と、撮影により得られたデジタル画像データ等を一時的に記憶するメモリ48と、メモリ48に対するアクセスの制御を行うメモリインタフェース46と、を含んで構成されている。
【0035】
更に、デジタルカメラ10は、可搬型のメモリカード52をデジタルカメラ10でアクセス可能とするための外部メモリインタフェース50と、デジタル画像データに対する圧縮処理及び伸張処理を行う圧縮・伸張処理回路54と、を含んで構成されている。
【0036】
なお、本実施の形態のデジタルカメラ10では、メモリ48としてフラッシュ・メモリ(Flash Memory)が用いられ、メモリカード52としてスマートメディア(Smart Media(登録商標))が用いられている。
【0037】
デジタル信号処理部30、LCDインタフェース36、CPU40、メモリインタフェース46、外部メモリインタフェース50及び圧縮・伸張処理回路54はシステムバスBUSを介して相互に接続されている。従って、CPU40は、デジタル信号処理部30及び圧縮・伸張処理回路54の作動の制御、LCD38に対するLCDインタフェース36を介した各種情報の表示、メモリ48及びメモリカード52へのメモリインタフェース46ないし外部メモリインタフェース50を介したアクセスを各々行うことができる。
【0038】
一方、デジタルカメラ10には、主としてCCD24を駆動させるためのタイミング信号を生成してCCD24に供給するタイミングジェネレータ32が備えられており、CCD24の駆動はCPU40によりタイミングジェネレータ32を介して制御される。
【0039】
更に、デジタルカメラ10にはモータ駆動部34が備えられており、光学ユニット22に備えられた図示しない焦点調整モータ、ズームモータ及び絞り駆動モータの駆動もCPU40によりモータ駆動部34を介して制御される。
【0040】
すなわち、本実施の形態に係るレンズ21は複数枚のレンズを有し、焦点距離の変更(変倍)が可能なズームレンズとして構成されており、図示しないレンズ駆動機構を備えている。このレンズ駆動機構に上記焦点調整モータ、ズームモータ及び絞り駆動モータは含まれるものであり、これらのモータは各々CPU40の制御によりモータ駆動部34から供給された駆動信号によって駆動される。
【0041】
更に、前述のレリーズスイッチ56A、電源スイッチ56B、モード切替スイッチ56C、十字カーソルスイッチ56D、メニュースイッチ、バーコード撮影モード設定スイッチ等の各種スイッチ(同図では、「操作部56」と総称。)はCPU40に接続されており、CPU40は、これらの操作部56に対する操作状態を常時把握できる。
【0042】
また、デジタルカメラ10には、ストロボ44とCPU40との間に介在されると共に、CPU40の制御によりストロボ44を発光させるための電力を充電する充電部42が備えられている。更に、ストロボ44はCPU40にも接続されており、ストロボ44の発光はCPU40によって制御される。
【0043】
ところで、本実施の形態に係るデジタルカメラ10は、各種機能を実現するために実行されるプログラム(ここでは、ファームウエア)がメモリ48の所定領域に予め記憶されている。そして、デジタルカメラ10には、上記プログラムによる処理内容を変更するための情報を示す所定画像(ここでは、2次元コード)がCCD24により撮像されたとき、当該撮像によって取得された画像データにより示される情報を用いて上記プログラムによる処理内容を変更する動作モードであるバーコード撮影モードが予め用意されている。
【0044】
図3には、本実施の形態に係る2次元コード60の構成が示されている。
【0045】
同図に示すように、本実施の形態に係る2次元コード60は略正方形とされており、その内部を水平方向及び垂直方向の各方向に対して各々2つずつの同一面積の領域で合計4つの領域に区分し、平面視左上の領域がインデックス領域60A(本発明の「第2コード領域」に相当。)とされ、残りの領域が実データ領域60B(本発明の「第1コード領域」に相当。)とされている。なお、このように、本実施の形態に係る2次元コード60は、全体の面積の25%の領域をインデックス領域60Aとし、残りの75%の領域を実データ領域60Bとしているが、インデックス領域60Aと実データ領域60Bの面積比はこれに限らず、任意の面積比を適用することができる。
【0046】
ここで、実データ領域60Bは、少なくともデジタルカメラ10のCCD24の最大解像度で読み取り可能な記録密度以下であるものとして予め定められた第1記録密度で所定情報がコード化されて記録されている。
【0047】
一方、インデックス領域60Aは、上記第1記録密度より低い第2記録密度(本実施の形態では、第1記録密度の半分の記録密度)で前記所定情報が何を示す情報なのかを特定することのできる情報(本発明の「特定情報」に相当。)がコード化されて記録されている。
【0048】
一方、図4には、本実施の形態に係る2次元コード60によって示される情報が模式的に示されている。
【0049】
同図に示すように、本実施の形態に係る2次元コード60には、インデックス領域60Aに記録される情報であるインデックス情報と、実データ領域60Bに記録される情報である実データが含まれている。なお、上記インデックス情報には、種別情報、有効期間情報、バージョン情報等が含まれている。
【0050】
ここで、上記種別情報は、上記実データとして記録されている情報の種別を示す情報であり、本実施の形態では、ファームウエア、画像データ、テキストデータ、及び言語データの何れか1つを示す情報が記録される。また、上記有効期限情報は、当該2次元コード60の有効期限を示す情報であり、本実施の形態では、年月日を示す情報が記録される。更に、上記バージョン情報は、上記実データとして記録されている情報のバージョンを示す情報であり、本実施の形態では、当該バージョンを示す数値情報が記録される。
【0051】
なお、本実施の形態に係る2次元コード60の実データとして記録されるファームウエアは、その一部領域に自身のバージョンを示す情報(以下、「ファームバージョン情報」という。)と、自身がどのファームウエアであるかを示す情報(以下、「ファーム種別情報」という。)が予め含まれるものとされている。また、本実施の形態では、2次元コード60が印刷された所定用紙がデジタルカメラ10のメーカによって提供されるものとされている。
【0052】
次に、本実施の形態に係るデジタルカメラ10の撮影時における全体的な動作について簡単に説明する。
【0053】
まず、CCD24は、光学ユニット22を介した撮像を行い、被写体像を示すR(赤)、G(緑)、B(青)毎のアナログ信号をアナログ信号処理部26に順次出力する。アナログ信号処理部26は、CCD24から入力されたアナログ信号に対して相関二重サンプリング処理等のアナログ信号処理を施した後にADC28に順次出力する。
【0054】
ADC28は、アナログ信号処理部26から入力されたR、G、B毎のアナログ信号を各々12ビットのR、G、Bの信号(デジタル画像データ)に変換してデジタル信号処理部30に順次出力する。デジタル信号処理部30は、内蔵しているラインバッファにADC28から順次入力されるデジタル画像データを蓄積して一旦メモリ48の所定領域に直接格納する。
【0055】
メモリ48の所定領域に格納されたデジタル画像データは、CPU40による制御に応じてデジタル信号処理部30により読み出され、所定の物理量に応じたR,G,B毎のデジタルゲインをかけることでホワイトバランス調整を行うと共に、ガンマ処理及びシャープネス処理を行って8ビットのデジタル画像データを生成する。
【0056】
そして、デジタル信号処理部30は、生成した8ビットのデジタル画像データに対しYC信号処理を施して輝度信号Yとクロマ信号Cr、Cb(以下、「YC信号」という。)を生成し、YC信号をメモリ48の上記所定領域とは異なる領域に格納する。
【0057】
なお、LCD38は、CCD24による連続的な撮像によって得られた動画像(スルー画像)を表示してファインダとして使用することができるものとして構成されており、LCD38をファインダとして使用する場合には、生成したYC信号を、LCDインタフェース36を介して順次LCD38に出力する。これによってLCD38にスルー画像が表示されることになる。
【0058】
ここで、レリーズスイッチ56Aがユーザによって半押し状態とされたタイミングで前述のようにAE機能が働いて露出状態が設定された後、AF機能が働いて合焦制御され、その後、引き続き全押し状態とされたタイミングで、その時点でメモリ48に格納されているYC信号を、圧縮・伸張処理回路54によって所定の圧縮形式(本実施の形態では、JPEG形式)で圧縮した後に外部メモリインタフェース50を介してメモリカード52に電子化ファイル(画像ファイル)として記録する。
【0059】
次に、図5を参照して、バーコード撮影モードが設定された際のデジタルカメラ10の作用を説明する。なお、図5は、バーコード撮影モード設定スイッチが押圧操作された際にデジタルカメラ10のCPU40によって実行されるバーコード撮影モード処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはメモリ48の所定領域に予め記憶されている。また、ここでは、錯綜を回避するために、バーコード撮影モード処理プログラムが予め定められたファームウエア(以下、「更新対象ファームウエア」という。)のバージョン・アップ(更新)のみに対応するものとして説明する。
【0060】
まず、ステップ100では、上記第2記録密度で記録されているインデックス領域60Aのコードを読み取ることのできる解像度で、かつ最小の解像度にて撮像を行うようにCCD24、アナログ信号処理部26、デジタル信号処理部30等の撮像解像度に関係する各部を設定する。ここで、ユーザは、バーコード撮影モード設定スイッチを押圧操作した後、デジタルカメラ10によって処理対象とする2次元コード60を撮影する。
【0061】
そこで、次のステップ102では、ユーザによる撮影の完了待ちを行い、次のステップ104では、当該撮影によって記憶されたデジタル画像データをメモリ48から読み出すことによって当該画像データを取得し、次のステップ106にて、取得したデジタル画像データによって示される画像に有効な2次元コード(ここでは、一例として図3及び図4に示される構成とされた2次元コードであり、以下、「処理対象画像」という。)が含まれているか否かを判定して、肯定判定となった場合はステップ108に移行する。
【0062】
ステップ108では、処理対象画像におけるインデックス領域60Aのコードをデコードし、次のステップ110では、当該デコードにより得られた種別情報がファームウエアを示すものであるか否かを判定することにより、処理対象画像がファームウエアのバージョン・アップ(更新)を行うためのものであるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ112に移行する。
【0063】
ステップ112では、メモリ48に既に記憶(インストール)されている更新対象ファームウエアのファームバージョン情報を読み出し、次のステップ114にて、当該バージョン情報により示されるバージョンが、上記デコードにより得られたバージョン情報により示されるバージョン以下であるか否かを判定することにより、処理対象画像に含まれるファームウエアが新バージョンのファームウエアであるか否かを判定して、肯定判定となった場合はステップ116に移行する。
【0064】
ステップ116では、現時点が上記デコードにより得られた有効期限情報により示される有効期限以内となっているか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ120に移行する。
【0065】
一方、上記ステップ106、ステップ110、ステップ114、及びステップ116の何れかにおいて否定判定となった場合はステップ118に移行して、予め定められた警告画面を表示するようにLCDインタフェース36を制御し、その後に本バーコード撮影モード処理プログラムを終了する。
【0066】
図6(A)には、上記ステップ118の処理によってLCD38に表示される警告画面の表示状態が示されている。同図に示されるように、本実施の形態に係る警告画面では、ファームウエアの更新を行うことができなかったことを示すメッセージが、その理由と共に表示される。従って、当該画面を参照することにより、ユーザは、これらの事実を把握することができる。
【0067】
一方、ステップ120では、予め定められた確認画面を表示するようにLCDインタフェース36を制御し、次のステップ122にて、所定情報の入力待ちを行う。
【0068】
図6(B)には、上記ステップ120の処理によってLCD38に表示される確認画面の表示状態が示されている。同図に示されるように、本実施の形態に係る確認画面では、ファームウエアを更新してよいか否かの指示入力を促すメッセージが、実行ボタン及び中止ボタンと共に表示される。同図に示される確認画面が表示されると、ユーザは、ファームウエアを更新する場合は実行ボタンを、ファームウエアの更新を中止する場合には中止ボタンを、各々十字カーソルスイッチ56Dの操作によって指定する。これに応じて、上記ステップ122が肯定判定となってステップ124に移行する。
【0069】
ステップ124では、確認画面上でユーザによって実行ボタンが指定されたか否かを判定することにより、ファームウエアを更新するか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ126に移行してバーコード撮影モードを終了した後、本バーコード撮影モード処理プログラムを終了する。
【0070】
一方、上記ステップ124において肯定判定となった場合にはステップ128に移行し、上記第1記録密度で記録されている実データ領域60Bのコードを読み取ることのできる解像度で、かつ最小の解像度にて撮像を行うようにCCD24、アナログ信号処理部26、デジタル信号処理部30等の撮像解像度に関係する各部を設定する。ここで、ユーザは、デジタルカメラ10によって処理対象とする2次元コード60を再度撮影する。
【0071】
そこで、次のステップ130では、ユーザによる撮影の完了待ちを行い、次のステップ132では、当該撮影によって記憶されたデジタル画像データをメモリ48から読み出すことによって当該画像データを取得し、次のステップ134にて、取得したデジタル画像データによって示される画像における実データ領域60Bのコードをデコードする。
【0072】
次のステップ136では、上記ステップ134の処理によって得られたファームウエアをメモリ48の更新対象ファームウエアに上書きすることにより当該更新対象ファームウエアをバージョン・アップし、次のステップ138にて、予め定められた更新完了画面を表示するようにLCDインタフェース36を制御する。
【0073】
図6(C)には、本ステップ138の処理によってLCD38に表示される更新完了画面の表示状態が示されている。同図に示されるように、本実施の形態に係る更新完了画面では、ファームウエアの更新が完了した旨を示すメッセージが表示される。
【0074】
そして、次のステップ140にて、デジタルカメラ10本体のリブート(Reboot)を実行して、本バーコード撮影モード処理プログラムを終了する。
【0075】
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係る2次元コードでは、予め定められた第1記録密度で所定情報(ここでは、実データ)がコード化されて記録された第1コード領域(ここでは、実データ領域60B)と、前記第1記録密度より低い第2記録密度で前記所定情報が何を示す情報なのかを特定することのできる特定情報(ここでは、インデックス情報)がコード化されて記録された第2コード領域(ここでは、インデックス領域60A)と、を有しているので、記録密度が第1コード領域より低い第2コード領域に対応する情報をデコードして、これによって得られた特定情報に基づいて当該バーコードが読み取り対象とするバーコードであるか否かを判定し、読み取り対象とするバーコードであると判定した場合のみに第1コード領域に対応する情報をデコードするものとして利用することにより、無駄なデコード時間の発生を抑制することができる。
【0076】
また、本実施の形態では、本発明のバーコードとして2次元コードを適用しているので、1次元バーコードとした場合に比較して多くの情報を記録することができ、より複雑な処理に対応することができる。
【0077】
そして、本実施の形態に係る撮像装置(ここでは、デジタルカメラ10)では、上記2次元コードに対して、記録密度が第1コード領域より低い第2コード領域に対応する情報をデコードして、これによって得られた特定情報に基づいて当該バーコードが読み取り対象とするバーコードであるか否かを判定し、読み取り対象とするバーコードであると判定した場合のみに第1コード領域に対応する情報をデコードしているので、無駄なデコード時間の発生を抑制することができる。
【0078】
更に、本実施の形態に係る撮像装置では、前記特定情報が、自身の有効期限を示す期限情報を含むものとされ、前記バーコードが前記撮像手段によって撮像されたとき、当該撮像によって取得された画像情報により示される前記期限情報によって示される有効期限を過ぎていた場合に前記第1コード領域に対応する情報のデコードを禁止しているので、有効期限を過ぎたバーコードの第1コード領域に対応する情報のデコードを未然に回避することができる。
【0079】
また、本実施の形態では、前記特定情報が自身のバージョンを示すバージョン情報を含むものとされ、前記バーコードが前記撮像手段によって撮像されたとき、当該撮像によって取得された画像情報により示される前記バージョン情報により示されるバージョンが前記記憶手段に記憶されているファームウエアのバージョン以下である場合にファームウエアの更新を禁止しているので、既にバージョン・アップが完了しているファームウエアの無駄なインストールを未然に防止することができる。
【0080】
なお、上記実施の形態では、本発明のバーコードの一例としてインデックス領域60Aと実データ領域60Bの境界位置が既知とされた2次元コード60(図3参照。)を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図7に示すように、インデックス領域62Aと実データ領域62Bの境界位置を示すマーク62Cが設けられた2次元コード62を適用する形態とすることもできる。この場合、デジタルカメラ10のCPU40は、バーコード撮影モード処理プログラム(図5参照。)の実行時に処理対象画像からマーク62Cの位置を検出して、インデックス領域62A及び実データ領域62Bの各領域を区分することになる。この場合、インデックス領域と実データ領域の境界位置が既知である必要がなくなるので、2次元コードの利用範囲を広くすることができ、利便性を向上させることができる。なお、同図では、上記マークとして矩形状及びL字状のものを適用しているが、これに限らず、直線状、円形状、楕円形状等の他の形状のものを適用してもよいことは言うまでもない。
【0081】
また、上記実施の形態では、本発明のバーコードとして2次元コード60を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、1次元バーコードや3次元コードを適用する形態とすることもできる。
【0082】
図8には、この場合の3次元コード64の構成例が示されている。なお、同図に示される3次元コード64は、上記実施の形態に係る2次元コード60に比較して、インデックス領域64A及び実データ領域64Bに記録されるコードが複数階調(同図では、3階調)の濃度を有する点のみが異なっている。この場合、2次元コード60に比較して、より多くの情報を表現することができ、より幅広い用途に適用することができる。なお、3次元コードの他の形態例としては、2次元コード60に対し、インデックス領域60A及び実データ領域60Bに記録されるコードを複数の色で記録する形態等を例示することができる。
【0083】
また、上記実施の形態では、バーコード撮影モード処理プログラムにおいて、インデックス領域60Aの情報を取得するためと実データ領域60Bの情報を取得するために各々1回ずつ、合計2回撮影をユーザに実行させる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、撮影を、第1記録密度で記録されている実データ領域60Bのコードを読み取ることのできる解像度で、かつ最小の解像度にて撮像を行うように1回のみ実行させ、インデックス領域60Aのみのデコード結果に応じて処理対象画像が読み取り対象とするバーコードであるか否かを判定し、読み取り対象とするバーコードであると判定された場合のみに実データ領域60Bをデコードする形態とすることもできる。この場合、撮影回数を1回のみとすることができるので、より利便性を向上させることができる。
【0084】
また、上記実施の形態では、バーコード撮影モード設定スイッチが押圧操作された際にバーコード撮影モード処理プログラムを実行する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、2次元コード等の特定画像を撮影した際に実行する形態等、他のタイミングでバーコード撮影モード処理プログラムを実行する形態とすることもできる。この場合も、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0085】
また、上記実施の形態において、2次元コード60のインデックス情報に処理対象とする機種を特定するための機種情報を含めておき、バーコード撮影モード処理プログラムにより、上記機種情報によって示される機種が自機でない場合に処理を中止する形態とすることもできる。この場合、自身と無関係の2次元コードについては処理を行わないようにすることができ、かつ機種別に本発明を実現することができる。
【0086】
その他、上記実施の形態に係るデジタルカメラ10のハードウェアの構成及び2次元コード60の構成(図1〜図4参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0087】
また、上記実施の形態において説明したバーコード撮影モード処理プログラムの処理の流れ(図5参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、各ステップの処理順序の変更、処理内容の変更、不要なステップの削除、新たなステップの追加等を行うことができることは言うまでもない。
【0088】
また、上記実施の形態において説明した各種画面の表示状態(図6参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において変更することができることは言うまでもない。
【0089】
更に、上記実施の形態では、本発明の撮像装置をデジタルカメラに適用した場合について説明したが、本発明は、PDA、携帯電話機等、撮影機能を有する電子機器であれば如何なるものにでも適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】実施の形態に係るデジタルカメラの外観を示す外観図である。
【図2】実施の形態に係るデジタルカメラの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態に係る2次元コードの構成を示す外観図(平面図)である。
【図4】実施の形態に係る2次元コードのデータ構成を示す模式図である。
【図5】実施の形態に係るバーコード撮影モード処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】実施の形態に係る各種画面の表示状態を示す図であり、(A)は警告画面を示す図で、(B)は確認画面を示す図で、(C)は更新完了画面を示す図である。
【図7】実施の形態に係る2次元コードの構成の変形例を示す外観図(平面図)である。
【図8】実施の形態に係る2次元コードの構成の他の変形例(3次元コード)を示す外観図(平面図)である。
【符号の説明】
【0091】
10 デジタルカメラ
24 CCD(撮像手段)
38 LCD
40 CPU(第1デコード手段、判定手段、第2デコード手段、デコード禁止手段)
48 メモリ
60 2次元コード(バーコード)
60A インデックス領域(第2コード領域)
60B 実データ領域(第1コード領域)
62 2次元コード(バーコード)
62A インデックス領域(第2コード領域)
62B 実データ領域(第1コード領域)
62C マーク
64 3次元コード(バーコード)
64A インデックス領域(第2コード領域)
64B 実データ領域(第1コード領域)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた第1記録密度で所定情報がコード化されて記録された第1コード領域と、
前記第1記録密度より低い第2記録密度で前記所定情報が何を示す情報なのかを特定することのできる特定情報がコード化されて記録された第2コード領域と、
を有するバーコード。
【請求項2】
前記第1コード領域と前記第2コード領域の境界位置に設けられた所定形状のマークを更に有する請求項1記載のバーコード。
【請求項3】
前記第1コード領域及び前記第2コード領域の各領域により構成されるコードは2次元コード又は3次元コードである
請求項1又は請求項2記載のバーコード。
【請求項4】
被写体を撮像することによって被写体像を示す画像情報を取得する撮像手段と、
請求項1乃至請求項3の何れか1項記載のバーコードが前記撮像手段によって撮像されたとき、当該撮像によって取得された画像情報の前記第2コード領域に対応する情報をデコードする第1デコード手段と、
前記第1デコード手段により得られた特定情報に基づいて前記バーコードが読み取り対象とするバーコードであるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により読み取り対象とするバーコードであると判定された場合に前記撮像によって取得された画像情報の前記第1コード領域に対応する情報をデコードする第2デコード手段と、
を備えた撮像装置。
【請求項5】
前記特定情報は、自身の有効期限を示す期限情報を含むものとされ、
前記バーコードが前記撮像手段によって撮像されたとき、当該撮像によって取得された画像情報により示される前記期限情報によって示される有効期限を過ぎていた場合に前記第2デコード手段によるデコードを禁止するデコード禁止手段を更に備えた
請求項4記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−188157(P2007−188157A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−3682(P2006−3682)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】