説明

バージ船配置及びバージ船配置の運航方法

本発明は、第1の端部11及び第2の端部12を有するバージ船ユニット、及び推進ユニットを設けられたタグ船ユニットを備え、そのバージ船ユニットは、一方の端部にタグ船ユニットを受けるようになされているバージ船配置に関する。貨物の荷積み、輸送、及び荷降ろしのための効率的な船の組合せを実現するために、バージ船ユニット1の第1の端部11が動作の前方向Fになって第1のタグ船ユニット2によって押航されるために、バージ船ユニット102が、その第2の端部12に第1のタグ船ユニット2を受けるようになされる。さらに、貨物の荷積み、輸送、及び荷降ろしのための効率的な船の組合せを実現するために、バージ船ユニット1の第2の端部12が動作の前方向Fになって第2のタグ船ユニット3によって曳航されるために、バージ船ユニット101が、その第2の端部12に第2のタグ船ユニット3を受けるようになされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提記載による、第1の端部及び第2の端部を有するバージ船(はしけ乃至荷船)ユニット、及び推進ユニットを設けられたタグ船ユニットを備えるバージ船配置に関し、そのバージ船ユニットは、一方の端部にタグ船ユニットを受けるようになされている。本発明は、請求項10の前提記載によるタグ船ユニット、請求項15の前提記載によるバージ船ユニット、及び請求項20の前提記載によるバージ船配置の運航方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
推進力なしに貨物を載せるようになされたバージ船、及び推進力を備えるタグ船を備えるバージ船配置が一般に知られている。そのようなバージ船配置には、しばしばいくつかのバージ船に配備された推進用タグ船が含まれる。この配置は、一方のバージ船が港で荷積み/荷降ろしする間、もう一方のバージ船が海上で推進されることによって運航される。これは、機器及び船員を載せたタグ船が海上で効率的に活用され、それによって港で非生産的な時間が費やされることがより少なくなることを意味する。一般に、そのようなバージ船配置は、タグ船がバージ船の船首を前に押すためにバージ船の船尾に係合する、プッシャ・バージの組合せである。周知のバージ船配置の実施例が、英国特許第2132566号、及び米国特許第4,356,784号に示されている。
【0003】
記載されたバージ船配置は、タグ船とバージ船が特に1つのユニットを形成する堅固な連結で互いに固定され、それによってタグ船とバージ船の間の移動が全くない、一体型タグ船−バージ船(ITB)タイプのものである。バージ船配置は、タグ船とバージ船が関節式、又は蝶番式の連結を有し、それによって前(船首)及び後(船尾)のピッチのための1つの軸又は平面上の相対的な動きが可能になる、関節連結式タグ船−バージ船(ATB)タイプであることもできる。
【0004】
一般に、既知のプッシャ・バージの組合せが、外海での運航用に設計され、それによって氷状態での運航を補助するために従来の砕氷船が使用される。
【0005】
多目的船を実現する目的で、ダブル・アクティング・シップ(DAS)と呼ばれるものが開発された。この既知の船では、船首が外海での運航用の従来の船首であり、船尾が砕氷の目的で設計され、たとえばアジマスポッド推進などの回転可能なスクリュー装置を設けられる。外海を運航する場合に船は船首が前向きになり、氷状態で運航する場合に船は砕氷する船尾が前方向になって移動する。推進システムが回転可能であるので、氷の摩擦を減らすために1つ又は複数のプロペラが船の船殻と同一平面上になって使用できる。この解決策が米国特許第5,218,917号に開示されている。この解決策は、構築及び運航に非常に費用がかかる。船は、実際には砕氷船として構築される必要があり、それによって同時に、砕氷船尾は、その砕氷形状により外海での運航用の船尾として適していない。さらに、上記の既知のバージ船配置と異なり、船員及び機器が港で遊休状態になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記の欠点を克服し、港での稼動の点から、並びに異なる環境を有する2つの別々の状態での稼動の点から効率的な船の組合せを実現するバージ船配置を提供することである。そのような状態の1つの例が、外海及び氷状態である。この目的は、請求項1によるバージ船配置によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基本的な発想は、適切な載荷ユニットの使用を最適化し、同時に様々な状態で運航するための適切な推進ユニットの使用を最適化することである。これは、バージ船ユニットの第1の端部が動作の前方向になって第1のタグ船ユニットによって押航されるために、バージ船ユニットがその第2の端部に第1のタグ船を受けるようになされ、バージ船ユニットの第2の端部が動作の前方向になって第2のタグ船ユニットによって曳航されるために、バージ船ユニットがその第2の端部に第2のタグ船ユニットを受けるようになされることで、1つ又は複数のバージ船ユニット、及び最適な数のタグ船ユニットを利用することによって実現できる。
【0008】
様々な状態が、外海での運航用の第1のタグ船ユニットによって押航されるように構成されたバージ船ユニット、及び氷状態での運航用の第2のタグ船ユニットによって曳航されるように構成されたバージ船ユニットを有することによって例証できる。
【0009】
好ましくは、この場合、バージ船ユニットの第1の端部が外海での運航用に設計され、第1のタグ船ユニットの第2の端部(船尾端)が外海での運航用に設計され、第2のタグ船ユニットの第1の端部(船首端)が氷状態での運航用に設計される。
【0010】
有利なことに、バージ船ユニットは、第2の端部にタグ船取付け手段を有し、それによって第1のタグ船ユニットが、第1のバージ船取付け手段を設けられた第1の端部(船首端)及び第1の推進ユニットを設けられた第2の端部(船尾端)を有し、第2のタグ船ユニットが、第2の推進ユニットを設けられた第1の端部(船首端)、及び第2のバージ船取付け手段を設けられた第2の端部(船尾端)を有する。
【0011】
特に、喫水線に対して異なる垂直方向のレベルで配置されたタグ船取付け手段を有することによって、バージ船ユニットの積載レベル、すなわちバージ船ユニットが最大限に積載され水中深くに入って浮き、中程度に積載され、又は空で水上に高く浮いているのと独立に、バージ船ユニットは、第1のタグ船ユニット及び第2のタグ船ユニットを容易に受けることができる。
【0012】
したがって、第1のタグ船ユニット及び第2のタグ船ユニットは、バージ船ユニットに取り付けることができ、最適に機能するためにそれぞれの設計された浮揚レベルに保たれる。
【0013】
さらに、バージ船ユニットの第1の端部は、有利に、たとえば球状船首を設けられた、外海での運航用に設計されたものであることができる。
【0014】
第1のタグ船ユニットは、たとえば第1の運航ユニットのプロペラへの優れた流入、低コスト推進ユニット、したがって全体的に低い運航コストをもたらされる、外海での押運航用に設計された第2端部(船尾端)を有することができる。これは、プロペラ、好ましくは制御可能なピッチのプロペラを設けられたシャフト・ラインを有する従来の機械的な推進ユニットを意味する。
【0015】
第2のタグ船ユニットは、砕氷用に設計された第1の端部(船首端)を有することができ、操舵可能な推進ユニット、電気式ポッド推進デバイスをさらに有利に設けられる。これは、氷状態での曳運航に有利であり、前記氷状態での動きの前方向で氷のフラッシングも可能にする。氷状態では、プロペラからのプロペラ流は、船殻をフラッシングし、氷の片と船殻の間の抵抗を低減する。さらに、1つ又は複数のポッドが、多くの方向にトラストを向けるために方向転換できる。プロペラ流は、付着するいかなる氷も除去できる。前方のプロペラは、障害になるどのような氷壁にも「食い」込むように配置することもできる。
【0016】
取付け手段は、たとえば第1のタグ船ユニットの第1の端部(船首端)、及び第2のタグ船ユニットの第2の端部(船尾)にある対応する連結用くさびを受けるためにバージ船ユニットの第2の端部に連結ノッチを備えることが有利である。
【0017】
特に、氷状態では、取付け手段が関節式タイプのものである場合に有利である。これによって、氷並びに過酷な海の状態での力を低下させるピッチングが可能になる。また、これは曳航する第2のタグ船ユニットとバージ船ユニットの間にある程度の間隙をつくることも可能にし、それは前記の状態でさらに有利である。
【0018】
さらに、バージ船配置の有利な特徴が請求項2〜9に示される。
【0019】
請求項1〜9によるバージ船配置で使用するタグ船ユニットは、第1の端部及び第2の端部を有し、それによって、請求項10〜14に示されるように、第1の端部は第1のバージ船取付け手段又は第2の推進ユニットを設けられ、第2の端部は第1の推進ユニット又は第2のバージ船取付け手段を設けられる。
【0020】
バージ船ユニットの特徴が請求項15〜19に示され、バージ船配置の運航の方法が請求項20〜22に示される。
【0021】
以下に本発明を添付の概略図を参照して例としてのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】上記のバージ船ユニット及び第1のタグ船ユニットを含むバージ船配置を示す図である。
【図2】図1のバージ船配置の側面図である。
【図3】図1の第1のタグ船ユニットの側面図である。
【図4】バージ船ユニット及び第2のタグ船ユニットを含むバージ船配置を示す図である。
【図5】図4のバージ船配置の側面図である。
【図6】図4の第2のタグ船ユニットの側面図である。
【図7】本発明によるバージ船配置の運航の実施例を示す図である。
【図8】本発明によるバージ船配置の運航の実施例を示す図である。
【図9】本発明によるバージ船配置の運航の実施例を示す図である。
【図10】本発明によるバージ船配置の運航の実施例を示す図である。
【実施例】
【0023】
第1に、バージ船ユニット、第1のタグ船ユニット、第2のタグ船ユニットを含む本発明によるバージ船配置を図1から6と関連して詳細に説明する。
【0024】
第2に、上記と同様に詳細に説明されたバージ船ユニット、第1のタグ船ユニット、及び第2のタグ船ユニットを含むバージ船配置の運航の実施例を図7から10と関連して説明する。
【0025】
最後に、本発明のいくつかの利点と代替を論じる。
【0026】
図1及び2は、バージ船ユニット1及び第1のタグ船ユニット2を含むバージ船配置を示す。
【0027】
バージ船ユニット1は、この実施例では船首として機能する第1の端部11、及びこの実施例では船尾として機能する第2の端部12を有する。バージ船ユニット1の第2の端部12は、第1のタグ船ユニット2を受けるようになされ、第2の端部12の方向に向かって開き、第1のタグ船ユニット2を受ける窪み13を提供する、全体的にU字形状を有する。2つのアーム16、及びアーム間のベース17を有するU字形の第2の端部12は、窪み13を画成する。バージ船ユニット1の第1の端部11は球状船首14を設けられる。さらに、バージ船ユニット1は、ノッチの形であることができる、タグ船取付け手段15を設けられる。好ましくは、タグ船取付け手段15は、水位に対して異なるレベルにある(図2)。タグ船取付け手段15は、バージ船ユニット1のU字形の第2の端部12のアーム16の内側に配置される。
【0028】
第1のタグ船ユニット2が、図3により詳細に示される。第1のタグ船ユニット2は、この実施例では船首である第1の端部21、及びこの実施例では船尾である第2の端部22を有する。第1のタグ船ユニット2の第1の端部21は、ノッチを備える相互連結用のくさびの形(図1)、すなわち上記に論じたタグ船取付け手段15であることができる第1のバージ船取付け手段23を前記第1の端部21の側に設けることができる。好ましくは、第1のバージ船取付け手段23は、水位に対して異なるレベルにある。
【0029】
タグ船取付け手段及び第1のバージ船取付け手段、又はより具体的には水位に対して異なる垂直レベルにあるタグ船取付け手段を有することによって、バージ船ユニットと第1のタグ船ユニットとの間の相互連結は、バージ船ユニットの異なる積載状態でより容易に行うことができる。したがって、第1のタグ船ユニットは、最適な押航性能を得るために設計された浮揚レベルに保たれる。
【0030】
第1のタグ船ユニット2は、その第2の端部22に第1の推進ユニット24を設けられる。第1の推進ユニットは、好ましくは単一のシャフト・ラインを有する従来の機械的な推進装置である。第1の推進ユニット24は、図示されるようにプロペラ25及び舵26を備える。
【0031】
バージ船ユニット1は、そのU字形の第2の端部12のベース17の内側に対応するタグ船取付け手段(図示されない)を有することもできる。この場合、第1のタグ船ユニット2の第1の端部21の正面は、前記タグ船取付け手段との相互連結用の、対応する第1のバージ船取付け手段(図示されない)も設けられる。これによって、さらにバージ船ユニット及び第1のタグ船ユニットの相互連結はさらに確実かつ安定したものになる。
【0032】
バージ船ユニット1は、バージ船ユニット1の第1の端部11が動作の前方向Fになって、第1のタグ船ユニット2によって押航できる。
【0033】
図4及び5は、バージ船ユニット1及び第2のタグ船ユニット3を含むバージ船配置を示す。バージ船ユニット1は、図1から3に関連して上記に論じたバージ船ユニット1と同様であるが、それでもこの関連で同様に述べられることはない。
【0034】
バージ船ユニット1は、この実施例では船尾として機能する第1の端部11、及びこの実施例では船首として機能する第2の端部12を有する。バージ船ユニット1の第2の端部12は、第2のタグ船ユニット3を受けるようになされ、第2の端部12の方向に向かって開き、第2のタグ船ユニット3を受ける窪み13を提供する、全体的にU字形状を有する。2つのアーム16、及びアーム間のベース17を有するU字形の第2の端部12は、窪み13を画成する。バージ船ユニット1の第1の端部11は球状船首14を設けられる。さらに、バージ船ユニット1は、ノッチの形であることができる、タグ船取付け手段15を設けられる。好ましくは、タグ船取付け手段15は、水位に対して異なるレベルにある(図5)。タグ船取付け手段15は、バージ船ユニット1のU字形の第2の端部12のアーム16の内側に配置される。
【0035】
第2のタグ船ユニット3が、図6により詳細に示される。第2のタグ船ユニット3は、この実施例では船首である第1の端部31、及びこの実施例では船尾である第2の端部32を有する。第2のタグ船ユニット3の第2の端部32は、ノッチを備える相互連結用のくさびの形(図4)、すなわち上記に論じたタグ船取付け手段15であることができる第2のバージ船取付け手段33を前記第2の端部32の側に設けることができる。好ましくは、第2のバージ船取付け手段33は、水位に対して異なるレベルにある。
【0036】
タグ船取付け手段及び第2のバージ船取付け手段、又は具体的には水位に対して異なる垂直方向のレベルにあるタグ船取付け手段を有することによって、バージ船ユニットと第2のタグ船ユニットとの間の相互連結は、バージ船ユニットの異なる積載状態でより容易に行うことができる。したがって、第1のタグ船ユニットは、最適な曳航性能を得るために設計された浮揚レベルに保たれる。
【0037】
これは、氷状態で、すなわち第2のタグ船3が曳航モードになった運航と関連して、特に利点がある。砕氷性能は、砕氷の第2のタグ船ユニット3の喫水線を正しいレベルにすることにより多く依存する。第2のタグ船ユニット3の第1の端部31が氷での運航用に設計されているので、船殻は、砕氷特性を最適化するために特殊な構成になっている。バージ船ユニット1が喫水線に対して異なる垂直方向のレベルでタグ船取付け手段15を設けられた場合、第2のバージ船取付け手段33が、その砕氷特性が上記に論じたように最適化されるように、関連するタグ船取付け手段15に取り付けられるように常に配置できる。
【0038】
特に、氷状態では、取付け手段が関節式タイプのものである場合に有利である。これによって、氷並びに過酷な海の状態での力を低下させるピッチングが可能になる。同様に、これは曳航する第2のタグ船ユニットとバージ船ユニットの間にある程度の間隙をつくることも可能にし、それは前記の状態でさらに有利である。
【0039】
第2のタグ船ユニット3は、その第1の端部31に第2の推進ユニット34を設けられる。第2の推進ユニット34は、好ましくは図示されるようにプロペラ36を含むアジマス電気式ポッド推進デバイス35である。第2の推進ユニットは、操舵可能な機械的又は電気的なスラスタ装置であることもできる。
【0040】
バージ船ユニット1は、そのU字形の第2の端部12のベース17の内側に対応するタグ船取付け手段(図示されない)を有することもできる。この場合、第2のタグ船ユニット3の第2の端部32の正面は、前記タグ船取付け手段との相互連結用の、対応する第2のバージ船取付け手段(図示されない)も設けられる。これによって、さらにバージ船ユニット及び第2のタグ船ユニットの相互連結はさらに確実かつ安定したものになる。
【0041】
バージ船ユニット1は、バージ船ユニット1の第2の端部12が動作の前方向Fになって、第2のタグ船ユニット3によって曳航できる。
【0042】
図7から10は、本発明によるバージ船配置の運航の実施例を示す。
【0043】
この実施例は、第1のタグ船ユニット2、第2のタグ船ユニット3、及び3つのバージ船ユニット、第1のバージ船ユニット101、第2のバージ船ユニット102、及び第3のバージ船ユニット103の使用を示し、そのバージ船ユニットは全て図1から6と関連して上記に論じたバージ船ユニット1と同一である。第1のタグ船ユニット2及び第2のタグ船ユニット3は全て同様に、図1から6に関連して容器に論じた第1のタグ船ユニット2及び第2のタグ船ユニット3と同一である。これは、上記に論じた構成要素は、この関連で必ずしも別々に認識される必要はないことを意味する。
【0044】
この実施例では、参照符号Pで港が示され、氷状態が参照符号Iで識別され、外海が参照符号Oで識別される。動作の前方向Fも、図1〜6に関連して論じた動作の前方向Fに一致する。
【0045】
下記に、バージ船配置の運航が、外海Oで行われる第1の運航モード、及び氷状態Iで行われる第2の運航モードの2つのモードで説明される。
【0046】
図7では、第1のバージ船ユニット101が、氷状態Iを通って第2のタグ船ユニット3によって曳航されて港Pを離れつつある。第1のバージ船ユニット101及び第2のタグ船ユニット3は、上記に論じたようにタグ船取付け手段15及び第2のバージ船取付け手段33によって相互連結される(図4から6)。第2の推進ユニット34は、バージ船配置がバージ船ユニット1の第2の端部12と共に、動作の前方向Fに移動すると、第2のタグ船ユニット3の第1の端部31に接触する氷をフラッシングする。第2のタグ船ユニット3の第1の端部31は、氷状態での運航用に設計される。第1のバージ船ユニット1の第1の端部11は、たとえば上記に論じたような球状船首14を備えて、外海での運航用に設計される。しかし、それが後続するときには、この設計による欠点が全くない。
【0047】
同時に、第2のバージ船ユニット102が外海Oで港Pに向かって航行する。第2のバージ船ユニット102は、その第1の端部11が動作の前方向Fになって、第1のタグ船ユニット2によって押航される。外海Oで、球状船首14を設けられた第2のバージ船ユニット102の第1の端部11は、航行での利点をもたらす。この点で、第1のタグ船ユニット2の第2の端部22も同様に、すなわちプロペラ25へのより好ましい流入をもたらす設計を有することによって外海での運航用に設計されることがさらなる利点である。第1の推進ユニット24は、たとえば単一のシャフト・ラインを有する低速エンジンを備える従来の機械的な推進デバイスを有利に備えることができる。これは、構築、エンジン、燃料消費、及び運航の点で経済性をもたらす。
【0048】
第3のバージ船ユニット102は、荷積み/荷降ろしのために港Pにある。
【0049】
図8及び9では、第1のバージ船ユニット101及び第2のバージ船ユニット102がタグ船ユニットを入れ替える。
【0050】
第1のバージ船ユニット101が第2のタグ船ユニット3によって氷状態Iを通って押されると、第2のタグ船ユニット3は第1のバージ船ユニット101を離れ、その第2の端部32によって第2のバージ船ユニット102の第2の端部12に向かって移動し、それと係合できる(図8の破線の矢印で示される)。係合するとき、第2のタグ船ユニット3の第2のバージ船取付け手段33が、第2のバージ船ユニット102のタグ船取付け手段15と相互連結する。今度は、第2のタグ船ユニット3が図7と関連して論じられたのと同様な様式で、氷状態Iを通って港Pに曳航する準備ができている(図9及び10)。
【0051】
一方で、バージ船ユニットの第1の端部11を動作の前方向Fにして第1のバージ船ユニット101を押航することによって、外海Oを通って所望の目的地へ航海を続ける(図9及び10)ために、第1のタグ船ユニット2は第2のバージ船ユニット102を離れ、第1のバージ船ユニット101の第2の端部12と係合する(図8の湾曲した矢印で示される)。
【0052】
図9では、バージ船ユニットとタグ船ユニットの組合せがそれぞれの動作の前方向Fに向くためにどのように回転したかが示される。図8の位置が点線で示される。
【0053】
第3のバージ船ユニット103は貨物を荷積み/荷降ろしするためにまだ港にあり、港Pに運航して入る第2のタグ船ユニット3によって、外海Oに向かって氷状態Iを通って出されるのを待機する。
【0054】
図10は、図7と相対的な逆の状態を示す。第1のバージ船ユニット101は、外海O上の第1のタグ船ユニット2によって押航され、第2のバージ船ユニット102は氷状態Iを通って港Pに向かって第2のタグ船ユニット3によって曳航される。第2のタグ船ユニット3を伴う第2のバージ船ユニット102が港に到着すると、第2のバージ船ユニット102を荷積み/荷降ろしのために切り離すことができ、それによって、図7に関連して説明される対応する様式で第3のバージ船ユニット103の第2の端部12を動作の前方向にして氷状態Iを通って外海Oに曳航するために第2のタグ船ユニット3が第3のバージ船ユニット103と係合できる。このバージ船ユニット及びタグ船ユニットの組合せが外海Oに到着すると、第2のタグ船ユニット3は第3のバージ船ユニット103から離れることができ、上記に論じた様式で港P内に曳航されるのを待機する次のバージ船ユニットを移動できる。
【0055】
氷状態、たとえば北極の環境では、氷での運航はほんの短い距離であることが多く、ほとんどの時間は外海で費やされる。したがって、同一のバージ船と組み合わせて1つが氷状態に専用化され、もう1つが外海に専用化される、2つの相補的なタグ船ユニットを使用することにより高い効率及び経済性が得られる。
【0056】
氷状態での運航に専用化された、すなわち曳航するタグ船ユニットは、氷での運航にのみある程度用いることができる。これは、第1の端部(船首端)が、特別に氷状態、すなわち砕氷の目的に設計できることを意味する。さらに、第1の端部にある第2の推進ユニットは、この特定の目的に選択することもでき、すなわちそれは、回転可能な電気式ポッド推進装置であることができ、それはさらに積載物を曳航するために、第2のタグ船ユニットの船首端から氷をフラッシングするために効率的に使用できる。したがって、目的とする用途のために、高価な推進機器が可能な限り利用できる。さらに、最適な船員、すなわち完全な砕氷の知識を有する船員を選択できる。
【0057】
外海での運航用に専用化された、すなわち第1のタグ船ユニットを押航するタグ船ユニットが外海での運航用にのみ使用できる。これは、その第2の端部が外海での運航用に設計でき、それはすなわち適切な従来のキール線に沿って水のプロペラへの最適な流入をもたらす設計であることを意味する。さらに、第1の推進ユニットは、低い投資及び運航コストによる(上記に論じたような)従来の機械的な推進デバイスであることができる。船員は、通常の必要条件を超えた特別な能力を必ずしも有する必要はない。
【0058】
上記の実施例でのようなバージ船ユニット、すなわちそれぞれの第1のバージ船ユニット、第2のバージ船ユニット、及び第3のバージ船ユニットは、主に外海用に設計され、すなわち第1の端部に球状船首を有することができる。一方で、前面の球状船首は、第1のタグ船ユニットにより押航された場合に外海で優れた航行をもたらし、それに対し他方で球状船首はバージ船ユニットが第2のタグ船ユニットによって氷状態を通って曳航されるような後続する場合に、いかなる不利な効果も生じない。
【0059】
優れた操作特性を与える目的で、前方向への効率化された動きをもたらすための一体化された船殻形状を形成するために、バージ船ユニットの第2の端部が第1のタグ船ユニットの第1の端部、及び第2のタグ船ユニットの第2の端部との相互連結用に設計できる。
【0060】
特に、タグ船ユニットを受ける窪み13を形成するアーム16を有する、バージ船ユニットのU字形の第2の端部12、及び第1のタグ船ユニット2の第1の端部21は、外海Oでの運航用に効率化された動きをもたらすように設計される。
【0061】
相当する様式で、タグ船ユニットを受ける窪み13を形成するアーム16を有する、バージ船ユニットのU字形の第2の端部12が、氷状態Iでの運航のための効率化された動きをもたらすために、第2のタグ船ユニット3の第2の端部32を受けるように設計される。有利なことに、アーム16も第2のタグ船ユニット3と共に優れた砕氷の船殻を形成するように形を決められる。
【0062】
これに関する一般的な用途には、北極LNG運搬船、北極タンカー、北極コンテナ船、北極一般貨物船などがある。
【0063】
上記に、外海での第1の運航モード、及び氷状態での第2の運航モードに関連するものとして様々な状態が論じられてきた。
【0064】
その他の様々な状態も企図できる。1つの実施例として、バージ船配置は、たとえば河川での運送用に第1の運航モードで使用でき、その場合に第1のタグ船ユニットは川に特有の浅い静かな水での運航用に設計できる。第2の運航モードは、過酷で、波が高く荒れた海での外海でのものになる可能性があり、第2のタグ船ユニットは外洋航海用タグ船ユニットとして設計できる。これらの状態は、好ましい推進ユニット、バージ船ユニットの設計、及び船員の能力にも影響する。
【0065】
タグ船取付け手段及びバージ船取付け手段は、関節式タイプの連結を有することもできる。これによってピッチングが可能になり、それは氷状態及び過酷な海の状態で有利である。有利なことに、そのような状態で、曳航する第2のタグ船ユニットとバージ船ユニットとの間に間隙も生じる。
【0066】
いくつかのバージ船ユニット及びタグ船ユニットが環境に従って変更できることが明らかであり、その場合に運航距離、荷積み/荷降ろし速度などを変えることができるバージ船配置が使用される。
【0067】
本説明及びそれに関連する図面は、本発明の基本的な概念を明らかにすることを意図するにすぎない。本発明は、以下に続く特許請求の範囲の範囲内で詳細に変更できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部(11)及び第2の端部(12)を有するバージ船ユニット(1)及び推進ユニットを設けられたタグ船ユニットを備え、バージ船ユニットが一方の端部に前記タグ船ユニットを受けるようになされるバージ船配置であって、前記バージ船ユニット(1)の前記第1の端部(11)が動作の前方向(F)になって前記第1のタグ船ユニット(2)によって押航されるために、前記バージ船ユニット(1)が、その第2の端部(12)に第1のタグ船ユニット(2)を受けるようになされ、前記バージ船ユニット(1)の前記第2の端部(12)が動作の前記前方向(F)になって前記第2のタグ船ユニット(3)によって曳航されるために、前記バージ船ユニット(1)が、その第2の端部(12)に第2のタグ船ユニット(3)を受けるようになされることを特徴とするバージ船配置。
【請求項2】
前記バージ船ユニット(1)が、外海(O)での運航用の前記第1のタグ船ユニット(2)によって押航されるように構成され、前記バージ船ユニット(1)が、氷状態(I)での運航用の前記第2のタグ船ユニット(3)によって曳航されるように構成されることを特徴とする、請求項1に記載のバージ船配置。
【請求項3】
前記バージ船ユニット(1)の前記第1の端部(11)が外海(O)での運航用に設計され、前記第1のタグ船ユニット(2)の第2の端部(22)が外海(O)での運航用に設計され、前記第2のタグ船ユニット(3)の第1の端部(31)が氷状態(I)での運航用に設計されることを特徴とする、請求項1に記載のバージ船配置。
【請求項4】
前記バージ船ユニット(1)の前記第1の端部(11)が球状船首(14)を設けられることを特徴とする、請求項3に記載のバージ船配置。
【請求項5】
前記第2のタグ船ユニット(3)の前記第1の端部(31)が砕氷船首を設けられることを特徴とする、請求項3に記載のバージ船配置。
【請求項6】
前記バージ船ユニット(1)が、第2の端部(12)にタグ船取付け手段(15)を有し、前記第1のタグ船ユニット(2)が、第1のバージ船取付け手段(23)を設けられた第1の端部(21)を有し、前記第1のタグ船ユニット(2)の前記第2の端部(22)が、第1の推進ユニット(24)を設けられ、前記第2のタグ船ユニット(3)の前記第1の端部(31)が、第2の推進ユニット(34)を設けられ、前記第2のタグ船ユニット(3)の第2の端部(32)が第2のバージ船取付け手段(33)を設けられることを特徴とする、請求項3に記載のバージ船配置。
【請求項7】
前記タグ船取付け手段(15)が、喫水線に対して異なる垂直方向のレベルで配置されることを特徴とする、請求項6に記載のバージ船配置。
【請求項8】
前記第1の推進ユニット(24)が従来の機械的な推進装置であり、前記第2の推進ユニット(34)が電気式ポッド推進装置であることを特徴とする、請求項6に記載のバージ船配置。
【請求項9】
前記バージ船ユニット(1)の前記第1の端部(11)が外海Oでの運航用の船首端及び氷状態(I)での運航用の船尾端であり、前記バージ船ユニット(1)の前記第2の端部(12)が外海(O)での運航用の船尾端及び氷状態(I)での運航用の船首端であり、前記第1のタグ船ユニット(2)の前記第1の端部(21)が船首端であり、前記第1のタグ船ユニット(2)の前記第2の端部(22)が船尾端であり、前記第2のタグ船ユニット(3)の前記第1の端部(31)が船首端であり、前記第2のタグ船ユニット(3)の前記第2の端部(32)が船尾端であることを特徴とする、請求項2に記載のバージ船配置。
【請求項10】
前記バージ船配置がタグ船取付け手段(15)を有するバージ船ユニットを備え、タグ船ユニットが第1の端部及び第2の端部を設けられ、前記第1の端部が第1のバージ船取付け手段(23)又は第2の推進ユニット(34)を設けられ、前記第2の端部が第1の推進ユニット(24)又は第2のバージ船取付け手段(33)を設けられることを特徴とする、請求項1から9までに記載のバージ船配置に使用するタグ船ユニット。
【請求項11】
前記タグ船ユニットが外海(O)での運航用に設計され、前記タグ船ユニットの前記第2の端部にある前記第1の推進ユニット(24)がプロペラ(25)及び舵(26)を備える従来の機械的な推進装置であることを特徴とする、請求項10に記載のタグ船ユニット。
【請求項12】
前記タグ船ユニットの前記第2の端部が外海(O)での運航用に設計され、水の前記プロペラ(25)への優れた流入をもたらすことを特徴とする、請求項11に記載のタグ船ユニット。
【請求項13】
前記タグ船ユニットが氷状態(I)での運航用に設計され、前記タグ船ユニットの前記第1の端部にある前記第2の推進ユニット(35)が電気式ポッド推進装置であることを特徴とする、請求項10に記載のタグ船ユニット。
【請求項14】
氷状態(I)での運航用に設計された前記タグ船ユニットの前記第1の端部が、氷状態(I)での運航用の砕氷船首を設けられることを特徴とする、請求項13に記載のタグ船ユニット。
【請求項15】
第1の端部及び第2の端部を有するバージ船ユニットであって、前記バージ船ユニット(1)が推進ユニットを有するタグ船ユニットも備えるバージ船配置で使用することを意図され、一方の端部に前記タグ船ユニットを受けるようになされ、前記バージ船ユニット(1)の前記第1の端部(11)が動作の前方向(F)になって前記第1のタグ船ユニット(2)によって押航するために、前記バージ船ユニット(1)がその第2の端部(12)に第1のタグ船ユニット(2)を受けるようになされ、前記バージ船ユニット(1)の前記第2の端部(12)が動作の前記前方向(F)になって前記第2のタグ船ユニット(3)によって曳航されるために、前記バージ船ユニット(1)がその第2の端部(12)に第2のタグ船ユニット(2)を受けるようになされ、前記バージ船ユニット(1)の前記第2の端部(12)が、前記前方向(F)への効率化された動きをもたらすための一体化された船殻形状を形成するために、前記第1のタグ船ユニット(2)及び第2のタグ船ユニット(3)との相互連結用に設計されることを特徴とするバージ船ユニット。
【請求項16】
前記バージ船ユニット(1)の前記第2の端部(12)が、前記第1のタグ船ユニット(2)の第1の端部(21)にある第1のバージ船取付け手段(23)との相互連結用に設計され、前記第1のタグ船ユニット(2)に外海(O)での運航用の効率化された動きをもたらし、前記第2のタグ船ユニット(3)に氷状態(I)での運航用の効率化された動きをもたらすための前記第2のタグ船ユニット(3)の第2の端部(32)にある第2のバージ船取付け手段(33)との相互連結用に設計されたタグ船取付け手段(15)を設けられることを特徴とする、請求項15に記載のバージ船ユニット。
【請求項17】
前記タグ船取付け手段(15)が、喫水線に対して異なる垂直方向のレベルで配置されることを特徴とする、請求項16に記載のバージ船ユニット。
【請求項18】
前記バージ船ユニット(1)の前記第2の端部(12)が、2つのアーム(16)及びベース(17)を備えるU字形のものであり、それらが前記第1のタグ船ユニット(2)又は前記第2のタグ船ユニット(3)を受ける窪み(13)を画成することを特徴とする、請求項17に記載のバージ船ユニット。
【請求項19】
前記バージ船ユニット(14)の前記第1の端部(11)が球状船首(14)を設けられることを特徴とする、請求項15に記載のバージ船ユニット。
【請求項20】
第1の端部(11)及び第2の端部(12)を有するバージ船ユニット、並びに推進ユニットを設けられたタグ船ユニットを備えるバージ船配置の運航の方法であって、前記バージ船ユニットが一方の端部に前記タグ船ユニットを受けるようになされ、その方法では、前記タグ船ユニットが前記バージ船ユニットを推進し、第1の推進ユニット(24)を設けられた第1のタグ船ユニット(2)、及び第2の推進ユニット(34)を設けられた第2のタグ船ユニット(3)が設けられ、第1の運航モードでは、前記バージ船ユニット(1)の前記第1の端部(11)が動作の前方向(F)になって、前記バージ船ユニットを押航するために、前記第1のタグ船ユニット(2)が前記バージ船ユニットの前記第2の端部(12)と係合し、第2の運航モードでは、前記バージ船ユニット(1)の前記第2の端部(12)が動作の前方向(F)になって、前記バージ船ユニットを曳航するために、前記第2のタグ船ユニット(3)が前記バージ船ユニットの前記第2の端部(12)と係合することを特徴とする方法。
【請求項21】
前記第1のタグ船ユニット(2)が外海(O)で前記第1の運航モードで前記バージ船ユニットを押航し、前記第2のタグ船(3)が氷状態(I)で前記第2の運航モードで前記バージ船ユニットを曳航することを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1のタグ船ユニット(2)の第1の端部(21)に設けられた第1のバージ船取付け(23)手段を前記バージ船ユニットの前記第2の端部(12)に設けられたタグ船取付け手段(15)と相互連結することによって、前記第1のタグ船ユニット(2)が前記バージ船ユニットの前記第2の端部(12)と係合し、前記第2のタグ船ユニット(3)の第2の端部(32)に設けられた第2のバージ船取付け(33)手段を前記バージ船ユニットの前記第2の端部(12)にあるタグ船取付け手段(15)と相互連結することによって、前記第2のタグ船ユニット(3)が前記バージ船ユニットと係合することを特徴とする、請求項21に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−500229(P2010−500229A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524214(P2009−524214)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【国際出願番号】PCT/FI2007/050338
【国際公開番号】WO2008/020114
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(503129903)ワルトシラ フィンランド オサケユキチュア (73)