説明

バーナ

【課題】従来のバーナは、所定の運転範囲において燃焼が安定していない。この不安定燃焼のため、バーナの運転範囲が制限されている。
【解決手段】バーナ1では、燃料7の濃度を従来行われていた如くバーナ内で一定とするのではなくて、濃度分布を生じさせる。燃料7の濃度を半径方向において内側から外側に向けて減少させるとよく、このために燃料ノズルからの流出角を場所的に変えたり、旋回翼を用いて燃料流を旋回させたりできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1および請求項2の前文に記載のバーナに関する。
【0002】
特にガスタービンの予混合バーナの運転範囲は、火炎自励振動のために制限される。かかる不安定燃焼は、例えばパイロット火炎の出力の増大により積極的に抑えるか、例えば共振装置によって受動的に抑えている。
【0003】
本発明の課題は、簡単な改良で安定燃焼範囲を拡大したバーナを提供することにある。
【0004】
この課題は、請求項1および請求項2に記載のバーナによって解決される。本発明に基づくバーナの有利な実施態様は従属請求項に記載してある。
【0005】
図1は、特にガスタービンのバーナ1、特に予混合バーナ1を示す。このバーナ1はバーナ長手軸線46を有する。その中央に、バーナ長手軸線46に沿って、例えば拡散バーナ或いはパイロットバーナ43が配置されている。該バーナ43は、予混合運転中、バーナ1を支援すべく運転される。
【0006】
拡散バーナ43の半径方向先端49で、例えば長手軸線46を中心とする環状通路13(図6参照)を経て、燃料7および/又は空気4が、予混合領域10および/又は燃焼空間19に供給される。なお、空気の代えて、燃料7と燃料・ガス可燃性混合気を生ずる酸素や他のガスも供給できる。例えば、まず空気4を、続いて燃料7を、通路13に供給する。空気4は通路13内で、例えば少なくとも旋回翼16に沿って流れる。該旋回翼16は、例えば燃料7を通路13に供給する。旋回翼16は、例えばバーナ長手軸線46の周りに環状に、特に等間隔で配置されている(図6参照)。空気4と燃料7は、破線で示す予混合領域10で混合する。
【0007】
また、先ず燃料7を、続いて空気4を通路13に供給するようにしてもよい。
【0008】
図2は、環状通路13を持つ拡散/パイロットバーナ43の半径方向先端49を示す。燃料7は少なくとも2つの燃料ノズル31を経て通路13に供給され、そこで、流れ方向88に流れる。燃料は、旋回翼16内に配置された燃料ノズル31を介して供給できる。燃料7を他の分配装置を経て通路13に供給するようにしてもよい。
【0009】
従来、燃料濃度分布58のために不安定燃焼が生ずる。該燃料濃度は、半径方向55、即ち長手軸線46に対し垂直な方向において、ほぼ同じ大きさを有している。
【0010】
バーナ運転中の少なくとも或る時点で、半径方向55において一定していない本発明に基づく燃料濃度分布52により、燃焼振動の強さが減少する。この結果、バーナ1の運転範囲を拡大できる。燃料濃度分布は、例えば半径方向55に見て中心、即ち長手軸線46から外側に向けて変化し、特に燃料濃度が、例えば線形に増大ないし減少している。しかし、非線形の減少ないし増大でもよい。図3は、これ実現する旋回翼16を示す。
【0011】
媒体の流出角α、即ち、例えば空気4と燃料7の混合気の合成速度と周速との角度(図5参照)が、燃料7の濃度と類似した分布を有し、即ちバーナ長手軸線46から見て流出角αが、例えば半径方向55において最大値から最小値迄減少し、又はその逆になっていることでも、運転範囲を拡大できる。これは、例えば図4に示す旋回翼16のねじりにより可能となる。流出角αは、通路内を流れる媒体(空気、酸素、燃料、その混合気)の流れ方向と長手軸線46に対し直角な平面との角度でもある。
【0012】
バーナ1の運転範囲を拡大し改善すべく、燃料濃度分布52と流出角αの分布を、同時に組み合わせてもよい。
【0013】
図3は、本発明に基づくバーナ1の旋回翼16を示す。該翼16は前縁(流入縁)67と後縁(流出縁)70を持つ。通路13内で、媒体が流れ方向88に沿って流れ、まず前縁67に当たり、後縁70から流れ出る。前縁67の範囲に中実軸部73があり、その中に燃料7の供給路64が存在している。供給路64は例えば盲孔である。供給路64に、半径方向55に見て後縁70に対し平行な列を成して複数の孔があり、これら孔は燃料ノズル31となっている。燃料7はこれらノズル31を経て通路13に達する。バーナに組み込まれた旋回翼1の燃料ノズル31の孔径は、燃料濃度分布52に応じて半径方向55に変化し、例えば半径方向55において内側から外側に減少している。旋回翼16に沿って流れる媒体は流出角αをもって流出する。
【0014】
図4は、本発明に基づくバーナ1の旋回翼16の異なる実施例を示す。旋回翼16は、例えば燃料ノズル31の大きさと分布に関し、図3の旋回翼と同様に形成されている。更に、旋回翼16はねじれ軸線76を中心としてねじられている。この軸線76は、流れ方向88と、零とは違う交差角を成し、特にほぼ90°である。旋回翼16に沿って前縁67から後縁70迄流れるガス又は燃料・空気混合気は、半径方向55に見て、種々の流出角αを成す。即ち供給路64の長手軸線の方向に見て、後縁70の範囲における旋回翼16の一端での流出角α1は、他端での流出角α2と異なっている(α1≠α2)。特に、流出角αは線形に減少している。非線形の増大又は減少も可能である。
【0015】
この半径方向55での流出角αの分布は、同様に燃焼不安定を抑制し、この結果バーナ1の運転範囲を拡大できる。
【0016】
通路13内で、旋回翼16に沿って流れる媒体は、通路13内の流れ方向88と流出角αを成している。旋回翼16は、ねじったり、種々のノズル直径にしたりできる。
【0017】
図5は、通路13内を流れるガスの種々の流れベクトルを示す。このベクトル79は子午線速度成分を表す。ベクトル82は周速を表し、従って、合成速度ベクトル85が生ずる。合成速度ベクトル85と周速ベクトル82の成す角度が流出角αである。角度90°−αは補角である。流出角αは、流れ媒体の流れ方向と、バーナ長手軸線46に対し垂直な平面との角度でもある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】バーナの縦断面図。
【図2】図1におけるバーナの部分拡大図。
【図3】本発明に基づいて形成されたバーナにおける旋回翼。
【図4】本発明に基づいて形成されたバーナにおける旋回翼。
【図5】流れる燃料・空気・混合気の速度ベクトル。
【図6】図2のVI−VI線に沿った断面図。
【符号の説明】
【0019】
1 バーナ、4 空気、7 燃料、13 通路、16 旋回翼、31 燃料ノズル、43 パイロットバーナ、46 バーナ長手軸線、52 燃料濃度分布、55 半径方向、61 羽根、88 流れ方向、α 流出角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気および/又は酸素(4)が供給されて流れ方向(88)に流れ、該空気および/又は酸素(4)が流れ方向(88)に対し垂直な平面内において流出角分布を有するバーナ(1)において、バーナ(1)運転中の不安定燃焼を防止すべく、流出角分布が一定にされていないことを特徴とするバーナ。
【請求項2】
流れ方向(88)に流れる少なくとも1つの燃料が供給され、燃料(7)が流れ方向(88)に対し垂直な平面内に燃料濃度分布(58)を有するバーナ(1)において、バーナ(1)運転中の不安定燃焼を防止すべく、燃料濃度分布(52)が一定でないことを特徴とする請求項1記載のバーナ。
【請求項3】
バーナ(1)がバーナ長手軸線(46)と、該軸線(46)に対し垂直に向いた半径方向(55)を有し、燃料(7)の濃度分布(52)が半径方向(55)において変化していることを特徴とする請求項1又は2記載のバーナ。
【請求項4】
バーナ(1)がその内部範囲を表すバーナ長手軸線(46)を有し、燃料(7)の濃度分布(52)が内側から外側に向けて減少することを特徴とする請求項3記載のバーナ。
【請求項5】
空気(4)および/又は酸素(4)が通路(13)内に供給され、燃料(7)が通路(13)内に供給されることを特徴とする請求項1記載のバーナ。
【請求項6】
バーナ(1)がバーナ長手軸線(46)を有し、燃料(7)、空気或いは酸素(4)が通路(13)内に供給され、通路(13)がバーナ長手軸線(46)の周りに環状に形成されたことを特徴とする請求項1ないし5の1つに記載のバーナ。
【請求項7】
バーナ(1)がバーナ長手軸線(46)と、該長手軸線(46)に対し垂直に向いた半径方向(55)を有し、かつバーナ(1)が媒体の流れる通路(13)を有し、流れ媒体が、その流れ方向と、バーナ長手軸線(46)に対し垂直な平面との間に流出角(α)をなし、この流出角(α)が半径方向(55)において変化していることを特徴とする請求項1から6の1つに記載のバーナ。
【請求項8】
バーナ(1)が、バーナ(1)の内部範囲を表すバーナ長手軸線(46)を有し、流出角(α)が半径方向(55)において内側から外側に向けて減少していることを特徴とする請求項7記載のバーナ。
【請求項9】
通路(13)内を燃料・ガス混合気が流れることを特徴とする請求項5記載のバーナ。
【請求項10】
ガスタービン用のバーナであることを特徴とする請求項1から9の1つに記載のバーナ。
【請求項11】
拡散又はパイロットバーナであることを特徴とする請求項1から10の1つに記載のバーナ。
【請求項12】
予混合バーナであることを特徴とする請求項1から11の1つに記載のバーナ。
【請求項13】
バーナ(1)が通路(13)を有し、該通路(13)内に少なくとも1つの旋回翼(16)が配置されたことを特徴とする請求項1から12の1つに記載のバーナ。
【請求項14】
燃料(7)が、旋回翼(16)に存在する少なくとも1つの燃料ノズル(31)を介して通路(13)に供給されることを特徴とする請求項13記載のバーナ。
【請求項15】
旋回翼(16)が多数の燃料ノズル(31)を有し、該ノズル(31)の直径が、燃料(7)の濃度分布(52)が一定していないように、相互に異なっていることを特徴とする請求項14記載のバーナ。
【請求項16】
バーナ(1)がバーナ(1)の内部範囲を表すバーナ長手軸線(46)と、該軸線(46)に対し垂直に向いた半径方向(55)とを有し、組み込まれた旋回翼(16)に存在する燃料ノズル(31)の直径が、半径方向(55)において内側から外側に向けて減少していることを特徴とする請求項15記載のバーナ。
【請求項17】
バーナ(1)が少なくとも1つの旋回翼(16)を有し、該旋回翼(16)が羽根(61)を持ち、流れ方向(88)に旋回翼(16)に沿って流れるガスが、流れ方向(88)と零と違う交差角を有する羽根(61)の後縁に沿って異なった流出角(α)を有するように、該羽根(61)がねじれ軸線(76)を中心にねじられていることを特徴とする請求項1から16の1つに記載のバーナ。
【請求項18】
バーナ(1)がバーナ(1)の内部範囲を表すバーナ長手軸線(46)を有し、
バーナ(1)がバーナ長手軸線(46)に対し垂直に向いた半径方向(55)を有し、
旋回翼(16)に沿って流れるガスの流出角(α)が旋回翼(16)において種々の流出角(α)を示し、この際
流出角(α)が半径方向(55)において内側から外側に向けて減少していることを特徴とする請求項17記載のバーナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−256357(P2008−256357A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−148371(P2008−148371)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【分割の表示】特願2004−535115(P2004−535115)の分割
【原出願日】平成15年8月20日(2003.8.20)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】