説明

バーベキューグリル

【課題】 炭受け部をスライドさせることができ、しかも炭受け部を引き出しすぎて落下させることがないので、炭の追加を簡単かつ安全に行うことができる。炭受け部の落下を防止するためのスライド規制機構が収納時のスペースの増大を招かない。
【解決手段】 グリル本体100と、グリル本体100に着脱自在に取り付けられる平面視略矩形状の上面が開放された炭受け部200とを備え、炭受け部200の対向する縁部にはフランジ部210が設けられ、グリル本体100にはフランジ部210が係止されるガイド部130が設けられ、炭受け部200はガイド部130に沿ってスライド可能になっている。炭受け部200のスライド量を規制するスライド規制機構として、ガイド部130には切込部134が、フランジ部210には切込部134に嵌まり込む突起部240がそれぞれ設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アウトドアで使用するバーベキューグリルに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のバーベキューグリルには、『少なくとも上面部が開放された炭受け部と、この炭受け部が取り付けられるフレームとを具備しており、前記炭受け部は、炭受け部の縁部に形成された下向きの受け溝にフレームの一部が嵌まり込むことでフレームに取り付けられることを特徴とする』ものがある(特開2003−061832)。
【0003】
この種のバーベキューグリルでは、フレームに炭受け部をカバーするようにして焼き網や鉄板が重ねられる。このため、炭受け部に炭を追加する場合には、一旦、焼き網や鉄板をフレームから取り外す必要があった。
しかしながら、焼き網や鉄板は加熱されているため非常に熱くなっているため、炭の追加は火傷の危険を伴う作業であった。また、焼き網や鉄板のの上には調理中の肉や野菜等の食材が載っているので、それらを落下させないように注意しながら行わなければならないため、よけいに火傷の危険性が高くなっている。
【0004】
本願発明者は、かかる問題を解消するために、特願2008−174856において、炭の追加を簡単かつ安全に行うことができるバーベキューグリルを提案した。
【0005】
本願発明者が新たに提案した特願2008−174856におけるバーベキューグリルは、炭受け部をグリル本体に対してスライド可能にしたものである。すなわち、炭受け部をスライドさせてもグリル本体に載っている焼き網や鉄板等は動かないため、簡単かつ安全に炭の追加ができるようになっているのである。
しかも、このバーベキューグリルでは、スライドさせられた炭受け部がグリル本体から脱落することを防止するため、炭受け部のほぼ中央部に安全手段の一部としての焼き網や鉄板等には届かない長さのガード棒を立設している。炭受け部をスライドさせた場合に、ガード棒がグリル本体の一部に接触することでスライドを規制し、炭受け部がグリル本体から脱落しないようにしているのである。
【0006】
【特許文献1】特開2003−061832
【特許文献2】特願2008−174856
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本願発明者が新たに提案した特願2008−174856におけるバーベキューグリルでは、炭受け部のほぼ中央部にガード棒を立設した構成としているため、炭受け部の上端部からガード棒の先端が突出する構成となり、ガード棒のほんの少しの突出が収納に要するスペースの増大を招いている。
また、立設されたガード棒が炭受け部の使用後の洗浄の際の邪魔になるという問題もある。
さらに、ガード棒が何らかの外力によって曲がってしまい、その結果、炭受け部のスライドを規制できなくなっているにもかかわらず、その事実を知らない使用者がスライドが規制されると信じて炭受け部をスライドさせて落下させるという事態も起こり得る。特に、ガード棒が長いため、知らず知らずのうちに曲がってしまい、かかる事態が起こることも考えられる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたもので、炭受け部をスライドさせてもグリル本体から落下しないようにスライド量を規制し、かつ収納時のスペース拡大も招かず、洗浄等の邪魔にもならず、知らず知らずのうちに炭受け部のスライドを規制しないように変形するおそれも少ないバーベキューグリルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るバーベキューグリルは、グリル本体と、このグリル本体に着脱自在に取り付けられる平面視略矩形状の少なくとも上面が開放された炭受け部とを備えており、前記炭受け部の対向する縁部にはフランジ部が設けられており、前記グリル本体には前記フランジ部が係止されるガイド部が設けられており、前記炭受け部はガイド部に沿ってスライド可能になっているバーベキューグリルであって、前記ガイド部とフランジ部との間には、炭受け部のスライド量を規制するスライド規制機構が設けられている。
しかも、前記スライド規制機構は、前記ガイド部に設けられた切込部と、この切込部に嵌まり込み、かつ前記フランジ部に設けられた突起部とを有しており、突起部が切込部の端部に接触することで炭受け部のスライド量が規制されるようになっている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るバーベキューグリルは、炭受け部をスライドさせることができ、しかも炭受け部を引き出しすぎて落下させることがないので、炭の追加を簡単かつ安全に行うことができる。
しかも、炭受け部の落下を防止するためのスライド規制機構が、炭受け部のフランジ部の突起部と、グリル本体のガイド部の切込部という比較的小さな構成要素から構成されているため、スライド規制手段が設けられていないバーベキューグリルと比較して収納時のスペースの増大を招かないし、バーベキューグリルの使用後の洗浄の際の邪魔になるという問題もない。
さらに、突起部は比較的小さいので変形するおそれが少ないため、従来のガード棒のように知らず知らずのうちに変形し、そのための炭受け部の落下という事故が発生するおそれを小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は本発明の実施の形態に係るバーベキューグリルの概略的分解斜視図、図2は本発明の実施の形態に係るバーベキューグリルの概略的側面図である。
【0012】
本発明の実施の形態に係るバーベキューグリルAは、グリル本体100と、このグリル本体100に着脱自在に取り付けられる平面視略矩形状の少なくとも上面が開放された炭受け部200とを備えており、前記炭受け部200の対向する縁部にはフランジ部210が設けられており、前記グリル本体100には前記フランジ部210が係止されるガイド部130が設けられており、前記炭受け部200はガイド部130に沿ってスライド可能になっているバーベキューグリルであって、前記ガイド部130とフランジ部210との間には、炭受け部200のスライド量を規制するスライド規制機構が設けられている。
【0013】
前記グリル本体100は、パイプ材を折曲、接続して構成した略ロ字形状のベース部110と、パイプ材を折曲、接続して構成した略凹字形状の2つの脚部120と、金属板材を折曲、接続して構成した一対のガイド部130とを有している。
【0014】
前記ベース部110は、パイプ材を折曲した2つの略凹字形状のベース凹字部材111と、このベース凹字部材111を接続する2本のパイプ材からなるベース中間部材112とから構成されている(なお、図1ではベース中間部材112は1本のみ見えている)。これらを接続することでロ字形状のベース部110が構成されるのである。ベース凹字部材111はベース部110の短辺を、ベース部中間部材112はベース部110の長辺をそれぞれ形作っている。
【0015】
また、前記脚部120は、パイプ材を折曲した略凹字形状の脚部凹字部材121と、この脚部凹字部材121の終端に接続されるパイプ材からなる脚部連結部材122とを有している。前記脚部凹字部材121が、ベース部材110とボルト140等で連結されることで、ベース部材110に脚部120が取り付けれらるのである。前記脚部凹字部材121は、ベース部110の長辺より若干長く設定されている。
【0016】
前記脚部連結部材122は、バーベキューグリルAの高さを調節するものであって、図1に示すものは使用者が立った状態で使用するタイプであり、2本4組の合計8本の脚部連結部材122が使用されている。脚部連結部材122を使用しない場合、すなわち脚部凹字部材121のみで脚部120とする場合は、バーベキューグリルAをテーブルの上に載置等して使用する場合である。
【0017】
前記ガイド部130は、帯状の金属板材を長手方向に折曲して、略樋状としたものである。このガイド部130は、上辺部131と下辺部132とが中間部133によって連結されて、端面からみると略コ字形状に形成されている。なお、中間部133の幅寸法は、脚部120の脚部凹字部材121を構成するパイプ材の太さ寸法より大きく設定されている。
【0018】
かかるガイド部130は、上辺部131が、上側に位置するベース部材110のベース中間部材112と、下側に位置する脚部120の脚部凹字部材121との間に挟まれた状態でグリル本体100に取り付けられる。かかる状態でベース部材110のベース中間部材112と、ガイド部材130の上辺部131と、脚部120の脚部凹字部材121とがボルト140によって連結される。ガイド部130の中間部133の幅寸法は、脚部120の脚部凹字部材121を構成するパイプ材の太さ寸法より大きく設定されているので、ガイド部130の下辺部132と脚部120の脚部凹字部材121との間には隙間が形成されている。
【0019】
さらに、ガイド部130の下辺部132には図1に示すような切込部134が形成されている。この切込部134は、後述する炭受け部200のフランジ部210に設けられた突起部240とでスライド規制機構を構成する。
前記切込部134は、炭受け部200のスライド量の約2倍の長さに設定されている。かかる切込部134は、一対のガイド部130に同様に形成されている。
【0020】
一方、炭受け部200は、金属板材を折曲、接続して平面視略矩形状の薄皿状に形成したものであって、両側面220は逆台形状に形成されている。このため、正面側及び背面側は下り傾斜面となっている。正面の上縁部及び背面の上縁部、すなわち対向する縁部にはフランジ部210が設けられている。このフランジ部210が、前記ガイド部130に係止されることによって、炭受け部200がスライド可能にグリル本体100に取り付けられる。
【0021】
なお、この炭受け部200には、底面部230から若干浮くようになった金属製のロストル(図示省略)が設けられる。このロストルは、炭が載置されるものであって、炭が燃えた灰を炭受け部200の底面部230に落とすためのものである。
【0022】
また、この炭受け部200のフランジ部210の長手方向の中央部分には、前記切込部134とともにスライド規制機構を構成する突起部240が下向きに突設されている。この突起部240は、ガイド部130に炭受け部200をスライド可能に設置した場合、切込部134に嵌まり込むものである。
【0023】
このように構成すると、炭受け部200をスライドさせると、突起部240が切込部134の内部を移動し、突起部240が切込部134の端部に接触すると、炭受け部200のスライドは終了する。すなわち、炭受け部200のスライド量が規制されることになる。このため、炭受け部200をスライドさせて引き出しても、突起部240と切込部134の端部とが接触し、スライドを中断させる。このため、炭受け部200を引き出しすぎて落下させるという事故を未然に防止することができる。
【0024】
突起部240はフランジ部210の長手方向の中央部分に設けられているため、炭受け部200は長手方向のいずれの側にも同じだけスライドさせることができる。従って、バーベキューグリルAの使用する際の周囲の状況や炭の消費量に応じてのぞみの方向にスライドさせることができるので使い勝手がよい。
【0025】
なお、使用後の炭受け部200を洗浄等のためにガイド部130から完全に引き出すためには、炭受け部200を若干浮き上がらせて、切込部134とから突起部240を外して行う。
【0026】
なお、グリル本体100にセットされる焼き網や鉄板300は、グリル本体100のベース部110とほぼ同一サイズに設定されており、食材を加熱する加熱面310が一段と落ち込み、すなわち周縁部がベース部110を構成するパイプ材の太さ分だけ一段と盛り上がった状態に形成されている(図1参照)。しかも、グリル本体100のロ字形状のベース部110が脚部120の上側に位置しているため、鉄板300をベース部110に載置すると、周縁部から一段と落ち込んだ加熱面310がロ字形状のベース部110の内側に位置するので、鉄板300は安定的にグリル本体100にセットされる。すなわち、鉄板300は、ロ字形状に形成されたベース部110に載せるだけで、安定的にグリル本体100にセットされることになる。
【0027】
バーベキューを行っている間に炭を追加する場合には、炭受け部200をガイド部130に沿ってスライドさせ、鉄板300の下から引き出す。この状態で炭を追加する。炭が追加できたならば、炭受け部200を元の位置、すなわち鉄板300の下にスライドさせて戻す。
【0028】
かかるバーベキューグリルAであると、上述のように炭受け部200をスライドさせることができ、しかも炭受け部200を引き出しすぎて落下させることがないので、炭の追加を簡単かつ安全に行うことができる。
しかも、炭受け部200の落下を防止するためのスライド規制機構が、炭受け部200のフランジ部210の突起部240と、グリル本体100のガイド部130の切込部134という比較的小さな構成要素から構成されているため、スライド規制手段が設けられていないバーベキューグリルと比較して収納時のスペースの増大を招かないし、バーベキューグリルAの使用後の洗浄の際の邪魔になるという問題もない。
さらに、突起部240は比較的小さいので変形するおそれが少ないため、従来のガード棒のように知らず知らずのうちに変形し、そのための炭受け部200の落下という事故が発生するおそれを小さくすることができる。
【0029】
なお、上述した実施の形態では、スライド規制手段を構成する突起部240、切込部134をガイド部130、炭受け部200にそれぞれ設けたが、逆に切込部を炭受け部のフランジ部に、それに嵌まり込む突起部をグリル本体のガイド部にそれぞれ設けてもよいことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態に係るバーベキューグリルの概略的分解斜視図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態に係るバーベキューグリルの概略的側面図である。
【符号の説明】
【0031】
100 グリル本体
130 ガイド部
134 切込部
200 炭受け部
210 フランジ部
240 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリル本体と、このグリル本体に着脱自在に取り付けられる平面視略矩形状の少なくとも上面が開放された炭受け部とを具備しており、前記炭受け部の対向する縁部にはフランジ部が設けられており、前記グリル本体には前記フランジ部が係止されるガイド部が設けられており、前記炭受け部はガイド部に沿ってスライド可能になっているバーベキューグリルにおいて、前記ガイド部とフランジ部との間には、炭受け部のスライド量を規制するスライド規制機構が設けられていることを特徴とするバーベキューグリル。
【請求項2】
前記スライド規制機構は、前記ガイド部に設けられた切込部と、この切込部に嵌まり込み、かつ前記フランジ部に設けられた突起部とを有しており、突起部が切込部の端部に接触することで炭受け部のスライド量が規制されることを特徴とする請求項1記載のバーベキューグリル。
【請求項3】
前記スライド規制機構は、前記フランジ部に設けられた切込部と、この切込部に嵌まり込み、かつ前記ガイド部に設けられた突起部とを有しており、突起部が切込部の端部に接触することで炭受け部のスライド量が規制されることを特徴とする請求項1記載のバーベキューグリル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−252823(P2010−252823A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−102571(P2009−102571)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(391036404)株式会社ロゴスコーポレーション (30)
【Fターム(参考)】