説明

パウチパックの充填物の確認方法及び確認装置

【課題】軽薄不透明なパウチパックであっても空充填品を高精度に検出することが出来るパウチパックにおける充填物の確認方法及び確認装置を提供する。
【解決手段】パウチパック1の確認装置10は、パウチパック1の製包装置20/充填装置/切断装置40などに併設され、充填装置/製包装置の下流側に、パウチパックの外表面の温度を計測する熱放射温度計11a、11b、11cと、これによる計測温度と予め設定される設定温度との温度の比較によって充填の有無を判定する判定処理部とを備え、この判定結果に基づいて、切断装置40を制御するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチパックに対する流動性充填物の充填の有無を確認する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液状乃至ゲル状若しくはクリーム状等の流動性化粧料や流動性洗剤、流動性調味料等の流動性充填物を充填してなるパウチパックは、今日、省資源、低価格等の観点から一般消費者の間にも浸透し、広く普及するに至っている。
【0003】
従来のパウチパックは、例えば、略方形状のフィルム二枚を重ね合わせ、その上辺部を除く周囲三方が略コ字形に熱シールされて袋状に形成された状態で、この上辺部の開口から流動性充填物が充填され、その後、前記開口が熱シールされることによって密閉される。このような熱シール工程及び充填工程は、例えば、特許文献1に記載されているように、従来、熱シールによる製包と充填を行う製包/充填装置によって、包装材の作製、即ち製包とその包装材への充填が一つの装置内で完結されるように構成されている。
【0004】
特許文献1の装置は、互いに逆回転するように近接的に併設された一対の側部熱シールローラと、これらの側部熱シールローラの間を通って、それらの下方まで延設された充填ノズルと、充填ノズルの先端の下方に回転軸を持って互いに逆回転するように近接的に併設された一対の上下部熱シールローラとを備える。特許文献1の装置による製包及び充填は、ロール状の二つのフィルム材から巻き出されたフィルム同士を、これらフィルム同士の間に充填ノズルを位置させて重ね合わせ、二つの側部熱シールローラの間に通して、これらのフィルムの左右両縁部を熱シールし、その下方に位置する上下部熱シールローラによって左右両縁部がシールされたフィルム材の下部を熱シールして上部が開口した略コ字形の半製状態の包装材に、充填ノズルから流動性充填物を所定量充填し、その後、上下部熱シールローラの回転に合わせて、充填が停止され、流動性充填物が充填されたフィルム材の上部が上下部熱シールローラによって熱シールされることによって、一包が完成されるように構成されている。
【0005】
従来の製包/充填装置は、パウチパックを連続的に製造出来る上、製包と共に各パウチパックに流動性充填物を充填し、且つ密閉することが出来るため、生産効率が高く、今日のパウチパックの生産手段として欠かせない物となっている。ところが、従来この種の製包/充填装置を用いたパウチパックの製包/充填工程では、パウチパックに正常に流動性充填物が充填されず、空の状態で密閉されてしまう所謂空充填品が出来てしまうという問題がある。
【0006】
この空充填の発生は、作業者が誤って空充填品を正常品として扱ってしまったり、充填ノズルに流動性充填物を供給する供給元の流動性充填物が空になっていることに気が付かないなどといった人的要因によるものや充填ノズルに流動性充填物を供給する供給手段等の故障や動作不良といった機械的要因の他、高粘性の流動性充填物などにおいては、流動性充填物の供給手段上において流動性充填物に空気等のガスが混入し、これによって空充填が発生するといった流動性充填物的要因等によるものがある。
【0007】
このような空充填の検出を行うため、従来は、特許文献2に開示されているように、パウチパックの重量測定を行って空充填品の検出や選別を行う重量選別手段を用いたり、或いは、レーザー寸法測定器や超音波測定器等を利用してパウチパックの厚みを計測して空充填品の検出や選別を行う品厚選別手段を用いたり、透過型センサーを利用してパウチパックの内部に収容された流動性充填物の有無を直接観測して空充填品の検出や選別を行う透過選別手段を用いたものが検討されてきた。
【特許文献1】特開2006−69641号公報
【特許文献2】特開2007−8487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、重量選別手段では、小さくて軽い製品の場合には上手く検出できず、空充填品であっても検出されずに正常品として扱われてしまうことがあり、品厚選別手段では、薄手の製品の場合には上手く検出できず、空充填品であっても検出されずに正常品として扱われてしまうことがあり、透過選別手段ではアルミパウチ等のような不透明のパウチパックの場合には、用いることが出来ないという問題があった。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、軽薄不透明なパウチパックであっても空充填品を高精度に検出することが出来るパウチパックにおける充填物の確認方法及び確認装置を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明のパウチパックの充填物の確認方法において採った手段は、パウチパック内部に流動性充填物を充填しパウチパックを製包する工程において、流動性充填物をパウチパックに充填した後に、放射温度計測手段を用いてパウチパックの外表面の温度を計測し、該パウチパックの外表面の温度によって充填物の有無を判定することを特徴とする。
【0011】
熱放射温度計測手段によるパウチパックの外表面における温度計測部位が、パウチパックの外表面の中心部であることを特徴とする。
【0012】
計測された温度による充填物の有無の判定は、計測された温度が特定の設定温度以下の場合には充填物有りとし、計測された温度が前記設定温度よりも一定温度以上高い場合には充填物無しとするものであることを特徴とする。
【0013】
計測された温度が、設定温度よりも10℃以上高い場合には充填物無しと判定し、設定温度以下である場合には充填物有りと判定するようにしたことを特徴とする。
【0014】
パウチパックが複数個連なる製包工程において、その連続しているパウチパックの或一つのパウチパックが充填物無しと判定された場合には、充填物無しと判定されたパウチパックの前後一包ずつが、当該充填物無しのパウチパックから切り離されず、連包状態で繰り出されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明のパウチパックの充填物の確認装置において採った手段は、パウチパックの外表面の温度を計測する放射温度計測手段と、この放射温度計測手段によって計測された温度と予め設定された設定温度とを比較して充填物の有無を判定する判定処理部とを備え、放射温度計測手段の配設位置が、パウチパック包装装置の熱シール工程位置よりも後の工程位置で、且、パウチパックに流動性充填物を充填するための充填ノズルの工程位置よりも後の工程位置に配置されていることを特徴とする。
【0016】
また、充填物の有無の判定結果に対応して、連包状態のパウチパックを切り離すための切断手段の作動制御を行うように構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、パウチパックに対する流動性充填物の有無を確認する手段として、パウチパックの外表面の中心部の温度を、充填と製包の後に、熱放射温度計測手段によって計測し、予め設定された正常温度の上限値との比較上、計測された温度が、設定温度よりも10℃以上高い場合には充填物無しと判定し、設定温度以下である場合には充填物有りと判定するようにして空充填の判定を行うようにしたので、軽薄不透明なパウチパックであっても空充填品を高精度に検出することが出来る。
【0018】
また、充填物の有無を判定する判定処理部の判定結果に対応させて、連包状のパウチパック同士を切り離す切断手段の作動制御を行うように構成し、或一包が空充填品と判定された場合にはその前後一包ずつを切断せずに連包状態として繰り出すようにしたことによって、見た目にも明らかに空充填品であることが判断でき、効率的に空充填品を排除することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の形態を、以下に添付図面(図1〜3)を参照しながら詳細に説明する。本実施態様のパウチパック(1)の充填物の確認装置(10)は、ロール状に巻回された二つのフィルム材(2a)(2b)を、熱シールして連包状に半製包しつつ、半製包状の各パウチパック(1)に、流動性充填物(図示省略)を充填し、その後、密封して製包を完成させ、次いで、パウチパック(1)が縦横に連なっている縦横連包体(3)を切断して個々のパウチパック(1)に切り離す製包装置(20)/充填装置/切断装置(40)に併設されるものである。
【0020】
製包装置(20)は、図1、図2に示すように、互いに重ね合わせられたフィルム材(2a)(2b)の幅方向における数カ所の所定の部位を、フィルム材(2a)(2b)の長手方向に向かって帯状に熱シールする一対の縦シールローラ(21a)(21b)と、これらの縦シールローラ(21a)(21b)の下方に配設され、フィルム材(2a)(2b)の長手方向における所定間隔の部位を、フィルム材(2a)(2b)の幅方向に向かって帯状に熱シールする一対の横シールローラ(22a)(22b)とを備える。
【0021】
縦シールローラ(21a)(21b)は、水平方向に長い回転軸(23a)(23b)を有し、図2に示すように、この回転軸(23a)(23b)の同心円上に、より大径のローラ本体(24a)(24b)を有する。このローラ本体(24a)(24b)の外周面上には、適宜に離間させて設けられた複数(本実施態様においては四つ)の鍔状に形成されるシール部(25a)(25b)を有する。このシール部(25a)(25b)は、回転軸(23a)(23b)と同心円となる所定幅の外周面を有する。このように構成された両縦シールローラ(21a)(21b)は、それらの回転軸(23a)(23b)が互いに反平行な回転となるように配設される。これらの回転軸(23a)(23b)は、両縦シールローラ(21a)(21b)のシール部(25a)(25b)の先端同士が近接するように互いに離間させて配設される。勿論、作動時には、各シール部(25a)(25b)は、それぞれフィルム材(2a)(2b)を熱シールするために必要とされる適宜の温度に加温される。
【0022】
横シールローラ(22a)(22b)は、図2に示すように、縦シールローラ(21a)(21b)の回転軸(26a)(26b)と平行な回転軸(23a)(23b)を有する。この回転軸(26a)(26b)の同心円上には、より大径のローラ本体(27a)(27b)を有する。このローラ本体(27a)(27b)の外周面には、所定の厚みでローラ本体(27a)(27b)の長さ一杯に軸方向に延び、ローラ本体(27a)(27b)の外周の周方向において離間させて設けられた複数(本実施態様においては二つ)のシール部(28a)(28b)を有する。このように構成された両横シールローラ(22a)(22b)は、それらの回転軸(26a)(26b)が互いに反平行な回転となるように配設される。これらの回転軸(26a)(26b)は、両横シールローラ(22a)(22b)のシール部(28a)(28b)の先端同士が対向位置となった時点で、互いに近接するように離間させて配設される。また、両横シールローラ(22a)(22b)のローラ本体(27a)(27b)同士は、それらの外周面に設けられたシール部(28a)(28b)の回転位相が等しくなる位置に設定され、それらローラ本体(27a)(27b)の反平行な回転上においてシール部(28a)(28b)の位置が同期して一直線上に最接近し得るように設定される。作動時には、各シール部(28a)(28b)は、それぞれフィルム材(2a)(2b)を熱シールするために必要とされる適宜の温度に加温される。
【0023】
充填装置(図示省略)は、半製包されたパウチパック(1)の内部に流動性充填物を充填するための充填ノズル(30a)(30b)(30c)と、この充填ノズル(30a)(30b)(30c)に流動性充填物を供給する供給手段(図示省略)と、この供給手段に流動性充填物を送出するために流動性充填物を収容するタンク(図示省略)と、このタンクに流動性充填物を投入するホッパ(図示省略)とを備える。図1に示すように、各充填ノズル(30a)(30b)(30c)は、縦シールローラ(21a)(21b)の上方において略水平に延び、縦シールローラ(21a)(21b)の各シール部(25a)(25b)間の中央部の直上において、それぞれ鉛直下方に向かって曲がり、両縦シールローラ(21a)(21b)の間を通って横シールローラ(22a)(22b)部位近くまで垂設される。つまり、充填ノズル(30a)(30b)(30c)の数量は、縦シールローラ(21a)(21b)のシール部(25a)(25b)の数量より一つ少なく設定され、各充填ノズル(30a)(30b)(30c)は、各シール部(25a)(25b)間に一つずつ通された状態となる。勿論、充填ノズル(30a)(30b)(30c)の両縦シールローラ(21a)(21b)間部位の外径は、シール部(25a)(25b)の直径とローラ本体(24a)(24b)の直径との差より小さく設定される。充填ノズル(30a)(30b)(30c)の先端は、図2に示すように、横シールローラ(22a)(22b)のシール部(28a)(28b)が最接近したときのシール部(28a)(28b)の上端部より高位置であって、且つ、この高さ位置からの、一方のローラ本体(27a)における隣接する二つのシール部(28a)(28b)の、より近い端面基端部間の弧長分だけ高い位置までの間に位置するように設定される。
【0024】
切断装置(40)は、横シールローラ(22a)(22b)より下方に配設され、内部に流動性充填物が充填され、製包装置(20)によって密閉されて製包され、連包状態で繰り出されてくる縦横連包体(3)を縦方向の帯状の熱シール部(4) 及び、横方向の帯状の熱シール部(5)のそれぞれにおける中央部を切断して、図1に示すように、一包ずつに切り離すことが出来るように構成される。ただし、縦方向の帯状の熱シール部(4)の切断は、縦方向切断手段(図示省略)によって作動中常時行われるのに対して、横方向の帯状の熱シール部(5)の切断は、パウチパック(1)の充填物の確認装置(10)による確認結果に対応して、横方向切断手段(図示省略)によって切断を行う場合と、切断を行わない場合とが、充填物の確認装置(10)の判定処理部(図示省略)によって制御されるように構成される。
【0025】
本実施態様のパウチパック(1)の充填物の確認装置(10)は、製包装置(20)の横シールローラ(22a)(22b)の下方に配設される放射温度計(11a)(11b)(11c)と、これらの放射温度計(11a)(11b)(11c)によって計測された計測温度と、予め設定された設定温度とを比較して充填物の有無を判定する判定処理部と、放射温度計(11a)(11b)(11c)を配設するための架台(12)とを備える。放射温度計(11a)(11b)(11c)は、物体の表面温度をその物体から放射される赤外線等を捉えることによって表面温度を計測するように構成された物であればよく、従来公知の物を採用することが出来る。この放射温度計(11a)(11b)(11c)は、一列のパウチパック(1)に放射温度計(11a)(11b)(11c)一台が対応するように配設される。
【0026】
これらの放射温度計(11a)(11b)(11c)は、各放射温度計(11a)(11b)(11c)が横シールローラ(22a)(22b)の下方に位置するように架設された架台(12)に固定され、幅方向に一列に配設される。判定処理部は、各パウチパック(1)の外表面の中心部の温度を測温するように、縦横連包体(3)の繰り出し速度に対応させ、各パウチパック(1)の外表面の中心部が測温位置となるタイミングに同期させて測温するように、放射温度計(11a)(11b)(11c)の作動制御を行うように構成される。また、判定処理部は、放射温度計(11a)(11b)(11c)による計測温度と予め設定された設定温度とを比較し、計測温度が設定温度よりも10℃以上高温となった場合に、そのパウチパック(1)を充填物無しと判定し、計測温度が設定温度以下である場合には充填物有りと判定するように構成される。また、判定処理部は、充填物無しと判定が出た場合に、切断装置(40)の横方向切断手段の作動を一定量停止するように制御するように構成される。即ち、充填物無しと判定された場合には、切断装置(40)から繰り出されるパウチパック(1)は、充填物無しと判定された生産ラインだけ、縦方向にパウチパック(1)が幾つか連なった連包状のものとなる。
【0027】
本実施態様のパウチパック(1)の充填物の確認装置(10)は、以上説明したように構成され、上記製包装置(20)/充填装置/切断装置(40)上におけるその確認方法は、先ず、ロール状に巻回された二つフィルム材(2a)(2b)が、繰り出し可能に、製包装置(20)の縦シールローラ(21a)(21b)の上方から巻き出され、二つの縦シールローラ(21a)(21b)間に通される。このとき、充填装置の充填ノズル(30a)(30b)(30c)がフィルム材(2a)(2b)の間に位置するように設定される。更に、下方に繰り出されるフィルム材(2a)(2b)は、縦シールローラ(21a)(21b)を通過する際に、適宜間隔をもってフィルム材(2a)(2b)の長手方向に連なる四つの帯状の熱シール部(4)(4)(4)(4) が形成され、二枚のフィルム材(2a)(2b)同士が縦方向に熱シールされる。
【0028】
更に、下方に繰り出されたフィルム材(2a)(2b)は、横シールローラ(22a)(22b)のシール部(28a)(28b)によって、横方向の熱シール部(5)が形成され、二枚のフィルム材(2a)(2b)同士が横方向に熱シールされる。この状態で、充填ノズル(30a)(30b)(30c)先端から流動性充填物が、各半製包状態のパウチパック(1)の内部に充填される。充填されながら更に下方に繰り出されたフィルム材(2a)(2b)は、横シールローラ(22a)(22b)の他方のシール部(28a)(28b)によって、横方向の熱シール部(5)が形成され、各半製包状態であったパウチパック(1)の上方の開口が閉じられ、密閉されて製包されたパウチパック(1)が得られる。但しこの時点では、各パウチパック(1)は、縦方向においても横方向においても連包状態となっている。
【0029】
縦横連包体(3)は、更に下方に繰り出され、横シールローラ(22a)(22b)の下方に位置する熱放射温度計(11a)(11b)(11c)によって、各パウチパック(1)の外表面の中心部の温度が計測される。この計測は、判定処理部によって計測タイミングが制御されるものであり、パウチパック(1)の外表面の中心部が放射温度計(11a)(11b)(11c)の測温領域に一致するタイミングで計測されるように構成される。計測された計測温度は、直ちに、充填物の確認装置(10)の判定処理部において、予め設定された設定温度と比較される。ここで、設定温度とは、パウチパック(1)に充填される流動性充填物やパウチパック(1)を構成する素材やサイズ、フィルム材(2a)(2b)の繰り出し速度等によって決定されるものであり、概ね36℃から58℃以下に設定される。
【0030】
設定温度と計測温度との比較は、計測温度から設定温度を差し引いた際の温度差を求めるものであり、設定温度よりも10℃以上高い場合には充填物無しと判定し、設定温度以下である場合には充填物有りと判定するようにして空充填の判定を行うようにしている。勿論、この温度差は、パウチパック(1)に充填される流動性充填物やパウチパック(1)を構成する素材やサイズ、フィルム材(2a)(2b)の繰り出し速度等によって決定されるものである。
【0031】
充填物の確認装置(10)による確認結果が正常、即ち充填物有りと判定されている間は、滞りなく以上の工程を経て、縦横連包体(3)をなすパウチパック(1)は更に下方の切断装置(40)に送られる。切断装置(40)では、縦方向の切断を行う縦方向切断手段によって、縦横連包体(3)の縦方向の熱シール部(4) の中央部を切断すると共に、横方向切断手段によって、縦横連包体(3)の横方向の熱シール部(5)の中央部を切断し、縦横連包体(3)から各パウチパック(1)が切り離される。この切り離した状態を図1に示してある。
【0032】
仮に、図1に示す充填物の確認装置(10)における左端に位置する放射温度計(11a)によって一包分だけ空充填が検出されると、判定処理部が作動して切断装置(40)における左端の横方向切断手段が制御され、空充填の一包(6)部分が繰り出されて来るタイミングに同期して、その一包(6)の前後一包(7)(8)ずつを空充填の一包(6)から切断せず、切断を見送るように構成される。つまり、この場合の空充填の一包(6)は、図3に示すように、上下に一包(7)(8)ずつが連なった三連包体(9)となって切断装置(40)から繰り出される。このように、三連包体(9)で繰り出されることにより、作業者は空充填の一包(6)を容易に判定することができ、三連包体(9)の先端の一包(7)と後端の一包(8)を切り離して、中央部分の空充填の一包(6)を容易に取り除くことが出来る。なお、連包数は、任意に設定可能であることは言うまでもない。
【0033】
空充填が発生した列以外の縦横連包体(3)は、通常通り、縦と横の熱シール部(4)、(5)が切断され一つ一つの独立したパウチパック(1)となる。尚、一生産ライン上において二包連続で、空充填が検出された場合には、その二包の上下の一包ずつが連なった四連包体となって切断装置(40)から繰り出されるように設定される。更に、三包連続で空充填品と判定された際などには、警告を発すると共に、製包装置(20)/充填装置/確認装置(10)/切断装置(40)の装置全体の作動を停止するように設定することもできる。
【0034】
以上説明したように、本発明のパウチパック(1)の充填物の確認方法及び確認装置(10)は、パウチパック(1)の製包装置(20)/充填装置/切断装置(40)に併設され、充填/製包後に、パウチパック(1)の外表面の温度を熱放射温度計(11a)(11b)(11c)によって計測し、その計測温度と予め設定される設定温度との温度の比較によって充填物の有無を判定すると共に、この判定結果に基づいて、切断装置(40)を制御するように構成したものであって、その主旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施することができる。
【実施例1】
【0035】
以下に、本実施態様において説明したように構成された製包/充填/確認/切断の各装置を用いて、以下の通り実験した結果を示す。この実験の目的は、パウチパックの生産ライン上で、各パウチパックの外表面の中心部の温度を放射温度計で計測することによって充填物の有無を検出することが出来るか否かを検証するものであり、また充填の有無の判定結果が、パウチパックに充填される流動性充填物やパウチパックの素材やサイズ、或いは、フィルム材の繰り出し速度、即ちパウチパックの生産速度にどの程度影響を受けるのかを定量的に検証するものである。
【0036】
実験は、流動性充填物として、化粧水、乳液、洗顔フォーム、クリームを使用した。フィルム材は、シーラント層をポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートとした。パウチパックのサイズは、40×40mm、50×80mmとした。生産速度は、30包/分、50包/分、80包/分とした。このように各種実験を設定し、充填物有りのパウチパック(以下、充填品と呼ぶ。)と充填物無しのパウチパック(以下、空充填品と呼ぶ。)とのそれぞれの外表面の中心部の温度を放射温度計によって計測し、充填品と空充填品との温度差を算出した。これらの実験結果をまとめたものを表1に示す。
【表1】

【0037】
表1から明らかな通り、各種テスト条件の結果からは、充填品の温度が33〜58℃であるのに対して、空充填品はそれらの温度より17〜40℃高くなっていて、容易に充填品と空充填品の判定が出来ることが判る。
【0038】
このような結果、即ち充填品と空充填品とで、それらの外表面の中心部の温度として表1に示すような有意の温度差が得られるのは、充填された後にそのパウチパックの上縁の開口を熱シールして密閉した際に、流動性充填物が充填されている場合には、熱容量が大きくなってパウチパックの外表面の中心に熱が伝達されるのが弱く遅くなるのに対して、空充填品の場合には、上縁の開口を熱シールしたときの残熱が、吸収される熱容量物質が殆ど無いために、強く早くパウチパックの外表面の中心部に伝達されるという違いがあることによるものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本実施態様のパウチパックの充填物の確認装置を正面から見た簡略概念図
【図2】同装置の側面から見た簡略概念図
【図3】空充填品が検出された際の切断状況を示す模式図
【符号の説明】
【0040】
1 パウチパック
2a フィルム材
2b フィルム材
3 縦横連包体
4 熱シール部
5 熱シール部
6 一包
7 一包
8 一包
9 三連包体
10 確認装置
11a 放射温度計
11b 放射温度計
11c 放射温度計
12 架台
20 製包装置
21a 縦シールローラ
21b 縦シールローラ
22a 横シールローラ
22b 横シールローラ
23a 回転軸
23b 回転軸
24a ローラ本体
24b ローラ本体
25a シール部
25b シール部
26a 回転軸
26b 回転軸
27a ローラ本体
27b ローラ本体
28a シール部
28b シール部
30a 充填ノズル
30b 充填ノズル
30c 充填ノズル
40 切断装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パウチパック内部に流動性充填物を充填しパウチパックを製包する工程において、流動性充填物をパウチパックに充填した後に、放射温度計測手段を用いてパウチパックの外表面の温度を計測し、該パウチパックの外表面の温度によって充填物の有無を判定することを特徴とするパウチパックの充填物の確認方法。
【請求項2】
熱放射温度計測手段によるパウチパックの外表面における温度計測部位が、パウチパックの外表面の中心部であることを特徴とする請求項1に記載のパウチパックの充填物の確認方法。
【請求項3】
計測された温度による充填物の有無の判定は、計測された温度が特定の設定温度以下の場合には充填物有りとし、計測された温度が前記設定温度よりも一定温度以上高い場合には充填物無しとするものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のパウチパックの充填物の確認方法。
【請求項4】
計測された温度が、設定温度よりも10℃以上高い場合には充填物無しと判定し、設定温度以下である場合には充填物有りと判定するようにしたことを特徴とする請求項3に記載のパウチパックの充填物の確認方法。
【請求項5】
パウチパックが複数個連なる製包工程において、その連続しているパウチパックの或一つのパウチパックが充填物無しと判定された場合には、充填物無しと判定されたパウチパックの前後一包ずつが、当該充填物無しのパウチパックから切り離されず、連包状態で繰り出されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のパウチパックの充填物の確認方法。
【請求項6】
パウチパックの外表面の温度を計測する放射温度計測手段と、この放射温度計測手段によって計測された温度と予め設定された設定温度とを比較して充填物の有無を判定する判定処理部とを備え、放射温度計測手段の配設位置が、パウチパック包装装置の熱シール工程位置よりも後の工程位置で、且、パウチパックに流動性充填物を充填するための充填ノズルの工程位置よりも後の工程位置に配置されていることを特徴とするパウチパックの充填物の確認装置。
【請求項7】
前記判定処理部は、充填物の有無の判定結果に対応して、連包状態のパウチパックを切り離すための切断手段の作動制御を行うように構成されることを特徴とする請求項6に記載のパウチパックの充填物の確認装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−298430(P2009−298430A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153716(P2008−153716)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】