説明

パケット転送装置およびパケット転送方法

【課題】 冗長構成のパケット転送ネットワークにおいて、無瞬断切替希望のユーザと低遅延希望のユーザを1つの装置に混在して収容する。
【解決手段】 無瞬断希望パケットの処理手順と低遅延希望パケットの処理手順両方を具備し、それぞれのユーザパケットを希望する処理手順により処理する。無瞬断希望パケットは遅延部506、526により位相を揃えられ無瞬断用メモリ508に書き込まれる。低遅延希望パケットは、さらに、遅延部506、526を通らず低遅延用メモリ510、530にも書き込まれるため遅延が加わらない。読み出し制御部512、532では無瞬断用メモリ508、528からパケット読み出し、読み出したパケットが無瞬断希望パケットであればそのまま出力し、低遅延希望パケットであればパケットを破棄し低遅延用メモリ510、530から低遅延希望パケットを読み出し出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パケット転送装置およびパケット転送方法に係り、特に、IP網やイーサネット(登録商標)網等のパケット転送ネットワークにおいて、入力されたパケットを複数系統の冗長構成を用いて伝送し、受信側において1つの伝送路のパケットを選択し出力するパケット転送装置およびパケット転送方法に関する。

【背景技術】
【0002】
パケット転送ネットワークにおいて、特に、データ欠落の無い通信を必要とするネットワークでは、無瞬断切替技術を用いた冗長構成のネットワーク構築が知られている。従来のこの種の技術として、イーサネット(登録商標)を利用したパケット転送方法および転送装置であって、パケット転送装置のパケット送信機能部は、受信したパケットから2つのコピーを作成し、コピーされたパケットのそれぞれに同一の送信順序を識別するシーケンス番号を付与し、さらに、該コピーされたパケットのそれぞれに送信経路を識別するための識別子とを付与して、それぞれ別伝送路に送信し、受信側のパケット転送装置のパケット受信機能部が前記パケットを2つの受信手段でそれぞれ受信し、シーケンス番号と識別子から同一情報を有するパケットとその順序を同定し、同じ順序のパケットのうち、一つを選択して下流に送出し、他方のパケットは廃棄するか、もしくは片方しか到着しなかった場合は到着したパケットを下流に転送することにより、無瞬断切替機能を実現したものが知られている。(例えば、特許文献1参照)
また、別の無瞬断切替技術として、パケット転送装置のパケット送信機能部は、受信したパケットから2つのコピーを作成し、コピーされたパケットのそれぞれに所定の識別信号を付与して、それぞれ別の伝送路に送信し、受信側のパケット転送装置のパケット受信機能部が前記パケットを2つの受信手段でそれぞれ受信し、パケットの識別子に基づいて両側パケット間の到着時間差を検出し、この時間差に基づいて早着系のパケットに遅延を加えることで両パケットの時間差をなくすことにより、無瞬断切替機能を実現したものが知られている。(例えば、特許文献2参照)

【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−102157号公報
【特許文献2】特開平4−243335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図18は、従来技術1の動作を示すタイムチャートである。
上記特許文献1に記載の技術では、パケット受信機能部の動作は図18に示すようになる。通常、0系、1系の2つの系統でパケットを伝送する場合、伝送時間の差により、一方が早着系、他方が遅着系となることが想定される。早着系でパケット欠落が発生した場合、遅着系の同一番号のパケットを待つことになり、これによりパケット受信装置からの出力パケットが一時的にバースト的に送信される可能性がある。図18のパケット番号4から8の出力のように、パケット受信装置からユーザ網へパケットがバースト的に送信された場合、ユーザ網に接続された端末では、バッファオーバーフローによりデータ欠落が発生する場合があり、端末が画像再生装置の場合は、再生した画像に乱れが発生することになり得るという課題がある。更に、画像再生装置の場合、一定な帯域での受信を必要とするため、図18のパケット番号3と4のように、出力されるパケット間隔が大きく空いた場合はバッファアンダーフローが発生する場合があり、バッファオーバーフローと同様に再生した画像に乱れが発生することになり得るという課題がある。
図19は、従来技術2の動作を示すタイムチャートである。
次に、特許文献2に記載の技術では、パケット受信機能部は、受信した2つのパケットの到着時間差をなくすために、図19に示すように、早着系のパケットに固定遅延を加えることで遅着系のパケットと位相を揃えている。これにより、早着系でパケット欠落が発生した場合でも、遅着系から同じ時間位置でパケットを送信することが可能となり、特許文献1で示した、出力パケットのバースト的送信を回避することができる。しかし、パケット転送装置に入力されるパケットは、転送経路によらず、パケット転送装置間の最長経路の経路遅延を受けることになる。
無瞬断切替と低遅延とは、いわゆるトレードオフの関係にある場合が想定され、ユーザーはいずれを優先するか希望することができる。
【0005】
ここで、無瞬断切替機能を必要とせず、パケットの転送遅延量を少なくすること(低遅延)を希望するユーザのパケットを転送する場合、特許文献2に記載の無瞬断切替機能を具備するパケット転送装置は、無瞬断切替機能を具備せず無瞬断切替機能による経路遅延が発生しない装置と比べて転送遅延量が大きくなるという課題がある。
この課題を解決するため、管理者は、無瞬断を希望するユーザのパケットは無瞬断切替装置を使用し、低遅延を希望するユーザのパケットは無瞬断切替機能による固定遅延が発生しないパケット転送装置を使用してパケット転送を行うことで解決している。しかし、この解決方法では、管理者が、無瞬断切替希望と低遅延希望という2種類のユーザの要求に応えるために、無瞬断切替用のパケット転送網と低遅延用のパケット転送網の2種類のパケット転送網を並列で運用するため、運用コストが増加するという課題がある。
本発明の目的は、前述した従来技術の課題を解決し、同一装置で無瞬断切替希望のユーザと低遅延希望のユーザを混在して収容し、無瞬断希望ユーザパケットについて出力パケットのバースト的送信を回避し、低遅延希望ユーザパケットについて無瞬断切替機能による経路遅延を発生させずにパケットを転送するパケット転送装置およびパケット転送方法を提供することにある。

【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述した目的を達成するために、無瞬断希望パケットの処理手順と低遅延希望パケットの処理手順両方を同一装置内に具備し、それぞれのユーザパケットを希望する処理手順により処理するパケット転送方法により実現することができる。
具体的には、本発明は、パケット転送装置のパケット送信機能部において送信元ユーザ網から受信したパケットが、無瞬断希望パケットか低遅延希望パケットかを判定し、前判定結果からユーザパケットにタグを付加し、また、経路遅延差測定に使用するマーカーパケットを管理者が任意のタイミングで挿入し、ユーザパケットとマーカーパケットのコピーを生成し、コピーしたパケットをそれぞれ複数の通信経路で送信するとともに、パケット転送装置のパケット受信機能部において複数の通信経路からそれぞれパケットを受信し、受信した各パケットのタグ情報を元にパケットが無瞬断希望パケットか低遅延希望パケットかマーカーパケットかを判定し、無瞬断希望パケットであれば、無瞬断希望パケットの処理手順に送出し、低遅延希望パケットであれば無瞬断希望パケットの処理手順と低遅延希望パケットの処理手順の両方へ送出し、マーカーパケットであれば無瞬断希望パケットの処理手順に送出し、無瞬断希望パケットの処理手順では、マーカーパケットの到着時間差から早着系のパケットを最遅着系のパケットが到着するまでの時間差分遅延させ、全経路のパケットの位相を揃え後段に送り、低遅延希望パケットの処理手順では、遅延を加えることなくパケットを後段に送り、無瞬断希望パケットの処理手順と低遅延希望パケットの処理手順からの読み出しを制御してパケットを送信し、複数の系から1つの系を選択しパケットを送信先ユーザ網に送信するパケット転送方法により達成される。
また、本発明は、パケット転送装置のパケット送信機能部において送信元ユーザ網から受信したパケットが、無瞬断希望パケットか低遅延希望パケットかを判定する手順と、前判定結果からユーザパケットにタグを付加する手順と、経路遅延差測定に使用するマーカーパケットを管理者が任意のタイミングで挿入する手順と、ユーザパケットとマーカーパケットを多重する手順と、ユーザパケットとマーカーパケットを複数コピーする手順と、コピーしたパケットをそれぞれ複数の通信経路に送信する手順とを備え、パケット転送装置のパケット受信機能部において複数の通信経路からそれぞれパケットを受信する手順と、受信した各パケットのタグ情報を元にパケットが無瞬断希望パケットか低遅延希望パケットかマーカーパケットかを判定し、無瞬断希望パケットであれば、無瞬断希望パケットの処理手順に送出し、低遅延希望パケットであれば無瞬断希望パケットの処理手順と低遅延希望パケットの処理手順の両方へ送出し、マーカーパケットであれば無瞬断希望パケットの処理手順に送出する手段と、マーカーパケットの到着時刻を測定する手段と、マーカーパケットの到着時間差を測定する手段と、無瞬断希望パケットの処理手順ではマーカーパケットの到着時間差から早着系のパケットを最遅着系のパケットが到着するまでの時間差分遅延させ、全経路のパケットの位相を揃える手段と、低遅延希望パケットの処理手順では遅延を加えることなくパケットを後段に送る手段と、無瞬断希望パケットの処理手順と低遅延希望パケットの処理手順からの読み出しを制御する手順と、複数の系から1つの系を選択しパケットを送信先ユーザ網に送信する手段とを有するパケット転送装置として構成してもよい。
【0007】
本発明の第1の解決手段によると、
パケット転送ネットワークにおいて、入力されたパケットを複数系統の冗長構成を用いて伝送し、受信側において1つの伝送路のパケットを選択し出力するパケット転送装置であって、
パケットを記憶する無瞬断用メモリ及び低遅延用メモリと、
入力されたパケットを指示された時間分遅延させて前記無瞬断用メモリへ出力する遅延部と、
受信したパケットに付加されたタグを参照することで、そのパケットが無瞬断希望パケット、低遅延希望パケット、マーカーパケットのうちのどれであるかを判定し、前記遅延部へは受信した無瞬断希望パケット及び低遅延希望パケット及びマーカーパケットを送出し、前記低遅延用メモリへは低遅延希望パケットのみを送出し、且つ、受信したパケットがマーカーパケットの場合、マーカーパケットの受信時刻と識別情報を抽出して出力するパケット種別判定部と、
前記パケット種別判定部から伝えられた、マーカーパケットの受信時刻及び識別情報から、0系及び1系のパケット到着時間差を測定し、該到着時間差を前記遅延部に指示して0系と1系の無瞬断希望パケットの位相を一致させて前記遅延部から前記無瞬断用メモリに送出する制御部と、
前記無瞬断用メモリ及び/又は前記低遅延用メモリからパケットを読み出し、送出するパケットを制御する読み出し制御部と、
を備え、
前記読み出し制御部は、
前記無瞬断用メモリからパケットを読み出し、
前記無瞬断用メモリから読み出した前記パケットのタグを参照することで、該パケットが無瞬断希望パケットか低遅延希望パケットかマーカーパケットかを判別し、
前記パケットが無瞬断希望パケットまたはマーカーパケットの場合、読み出した前記パケットを送出し、
前記パケットが低遅延希望パケットの場合、前記無瞬断用メモリから読み出した前記パケットを廃棄し、このとき前記低遅延用メモリにパケットが格納されていればそのパケットを読み出して送出する
パケット転送装置が提供される。
【0008】
本発明の第2の解決手段によると、
パケット転送ネットワークにおいて、入力されたパケットを複数系統の冗長構成を用いて伝送し、受信側において1つの伝送路のパケットを選択し出力するパケット転送装置であって、
パケットを記憶する無瞬断用メモリ及び低遅延用メモリと、
入力されたパケットを指示された時間分遅延させて前記無瞬断用メモリへ出力する遅延部と、
受信したパケットに付加されたタグを参照することで、そのパケットが無瞬断希望パケット、低遅延希望パケット、マーカーパケットのうちのどれであるかを判定し、前記遅延部へは受信した無瞬断希望パケット及び低遅延希望パケット及びマーカーパケットを送出し、前記低遅延用メモリへは低遅延希望パケットのみを送出し、且つ、受信したパケットがマーカーパケットの場合、マーカーパケットの受信時刻と識別情報を抽出して出力するパケット種別判定部と、
前記パケット種別判定部から伝えられた、マーカーパケットの受信時刻及び識別情報から、0系及び1系のパケット到着時間差を測定し、該到着時間差を前記遅延部に指示して0系と1系の無瞬断希望パケットの位相を一致させて前記遅延部から前記無瞬断用メモリに送出する制御部と、
前記無瞬断用メモリ及び/又は前記低遅延用メモリからパケットを読み出し、送出するパケットを制御する読み出し制御部と、
を備え、
前記読み出し制御部は、
前記無瞬断用メモリからパケットを読み出し、
前記無瞬断用メモリから読み出した前記パケットのタグを参照することで、該パケットが無瞬断希望パケットか低遅延希望パケットかマーカーパケットかを判別し、
前記パケットが無瞬断希望パケットまたはマーカーパケットの場合、読み出した前記パケットを送出し、
前記パケットが低遅延希望パケットの場合、前記無瞬断用メモリから読み出した前記パケットを廃棄し、前記低遅延用メモリにパケットが格納されていればそのパケットを読み出して送出し、且つ、
前記無瞬断用メモリにおいて次の無瞬断希望パケットまたはマーカーパケットがくるまでの、空き時間長を取得し、
取得した前記空き時間長と、前記低遅延用メモリから読み出したがまだ送出されずに保持されているパケットのパケット長、又は、該保持されているパケットがない場合には前記低遅延用メモリから読み出した前記パケットのパケット長、とを比較し、前記空き時間長より該パケット長の方が短いまたは等しい場合は該パケットを送出し、逆に、前記空き時間長より該パケット長の方が長い場合は該パケットを保持する
パケット転送装置が提供される。
【0009】
本発明の第3の解決手段によると、
パケット転送ネットワークにおいて、入力されたパケットを複数系統の冗長構成を用いて伝送し、受信側において1つの伝送路のパケットを選択し出力するパケット転送装置におけるパケット転送方法であって、
遅延部により、入力されたパケットを指示された時間分遅延させて無瞬断用メモリへ出力し、
受信したパケットに付加されたタグを参照することで、そのパケットが無瞬断希望パケット、低遅延希望パケット、マーカーパケットのうちのどれであるかを判定し、前記遅延部へは受信した無瞬断希望パケット及び低遅延希望パケット及びマーカーパケットを送出し、低遅延用メモリへは低遅延希望パケットのみを送出し、且つ、受信したパケットがマーカーパケットの場合、マーカーパケットの受信時刻と識別情報を抽出して出力し、
マーカーパケットの受信時刻及び識別情報から、0系及び1系のパケット到着時間差を測定し、該到着時間差を前記遅延部に指示して0系と1系の無瞬断希望パケットの位相を一致させて前記遅延部から前記無瞬断用メモリに送出し、
前記無瞬断用メモリからパケットを読み出し、
前記無瞬断用メモリから読み出した前記パケットのタグを参照することで、該パケットが無瞬断希望パケットか低遅延希望パケットかマーカーパケットかを判別し、
前記パケットが無瞬断希望パケットまたはマーカーパケットの場合、読み出した前記パケットを送出し、
前記パケットが低遅延希望パケットの場合、前記無瞬断用メモリから読み出した前記パケットを廃棄し、このとき前記低遅延用メモリにパケットが格納されていればそのパケットを読み出して送出する
パケット転送方法が提供される。
【0010】
本発明の第4の解決手段によると、
パケット転送ネットワークにおいて、入力されたパケットを複数系統の冗長構成を用いて伝送し、受信側において1つの伝送路のパケットを選択し出力するパケット転送装置におけるパケット転送方法であって、
遅延部により、入力されたパケットを指示された時間分遅延させて無瞬断用メモリへ出力し、
受信したパケットに付加されたタグを参照することで、そのパケットが無瞬断希望パケット、低遅延希望パケット、マーカーパケットのうちのどれであるかを判定し、前記遅延部へは受信した無瞬断希望パケット及び低遅延希望パケット及びマーカーパケットを送出し、低遅延用メモリへは低遅延希望パケットのみを送出し、且つ、受信したパケットがマーカーパケットの場合、マーカーパケットの受信時刻と識別情報を抽出して出力し、
マーカーパケットの受信時刻及び識別情報から、0系及び1系のパケット到着時間差を測定し、該到着時間差を前記遅延部に指示して0系と1系の無瞬断希望パケットの位相を一致させて前記遅延部から前記無瞬断用メモリに送出し、
前記無瞬断用メモリからパケットを読み出し、
前記無瞬断用メモリから読み出した前記パケットのタグを参照することで、該パケットが無瞬断希望パケットか低遅延希望パケットかマーカーパケットかを判別し、
前記パケットが無瞬断希望パケットまたはマーカーパケットの場合、読み出した前記パケットを送出し、
前記パケットが低遅延希望パケットの場合、前記無瞬断用メモリから読み出した前記パケットを廃棄し、前記低遅延用メモリにパケットが格納されていればそのパケットを読み出して送出し、且つ、
前記無瞬断用メモリにおいて次の無瞬断希望パケットまたはマーカーパケットがくるまでの、空き時間長を取得し、
取得した前記空き時間長と、前記低遅延用メモリから読み出したがまだ送出されずに保持されているパケットのパケット長、又は、該保持されているパケットがない場合には前記低遅延用メモリから読み出した前記パケットのパケット長、とを比較し、前記空き時間長より該パケット長の方が短いまたは等しい場合は該パケットを送出し、逆に、前記空き時間長より該パケット長の方が長い場合は該パケットを保持する
パケット転送方法が提供される。

【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、同一装置で無瞬断切替希望のユーザと低遅延希望のユーザを混在して収容することが可能であり、無瞬断希望パケットは無瞬断希望パケットの処理手順により処理されるため無瞬断切替が可能であり、また、無瞬断希望パケットは装置内で全経路のパケットの位相差を揃えられるため、出力パケットのバースト的送信を回避することができる。さらに、低遅延希望パケットは、無瞬断切替機能による遅延処理を迂回して送信されるため、無瞬断切替機能による遅延を発生させずにパケットを転送することが可能である。
さらに、網管理者は、無瞬断切替用のパケット転送網と低遅延用のパケット転送網の2種類のパケット転送網を、1つのパケット転送網で運用することが可能となるため、サービス毎に導入された設備の統合による運用コスト低減とシステム保守性の向上効果が得られる。

【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態におけるパケット転送システムの概要構成図である。
【図2】パケット転送装置のパケット送信機能部の構成例を示すブロック図である。
【図3】パケット転送装置間で送受信されるパケットの構成例を示す図である。
【図4】タグに付加する値の例を示す図である。
【図5】パケット転送装置のパケット受信機能部の構成例を示すブロック図である。
【図6】パケット種別判定部の動作を説明する図である。
【図7】2つの系のパケット到着時間差を測定する手段を説明する図である。
【図8】遅延部の動作を説明する図である。
【図9】パケットを無瞬断用メモリおよび低遅延用メモリに格納する動作を説明する図である。
【図10】パケットが固定長の場合における、読み出し制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】パケットが固定長の場合における、読み出し制御部からの出力を説明する図である。
【図12】管理者の指示により系を切り替える動作を説明する図である。
【図13】パケットが可変長の場合における、読み出し制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】パケットが可変長の場合における、読み出し制御部からの出力を説明するタイムチャートである。
【図15】パケットが可変長の場合における、読み出し制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【図16】パケットが可変長の場合における、読み出し制御部からの出力を説明するタイムチャートである。
【図17】パケットが可変長の場合における、読み出し制御部からの出力を説明するタイムチャートである。
【図18】従来技術1の動作を示すタイムチャートである。
【図19】従来技術2の動作を示すタイムチャートである。
【図20】ユーザ種別記憶部235の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面により詳細に説明する。

1.システム

図1は、本発明の実施の形態におけるパケット転送システムの概要構成図である。図1に示すように、本実施の形態におけるパケット転送システムは、パケット転送装置110、120と、ユーザ網130、140と、パケット転送網150、160とを備える。パケット転送装置110とパケット転送装置120はパケット転送網150およびパケット転送網160を介して接続される。パケット転送網150、160は、例えばIP網、イーサネット(登録商標)網などのパケットを転送するネットワークである。
パケット転送装置110、120はそれぞれパケットを送信するための機能部とパケットを受信するための機能部を有するが、以下の説明ではパケット転送装置110を送信側とし、パケット転送装置120を受信側として説明する。パケット転送装置110のパケット入力側(上流と呼ぶ)およびパケット転送装置120のパケット出力側(下流と呼ぶ)のそれぞれには例えばユーザ網が接続される。
パケット転送装置110は、ユーザ網130から送信されてくるパケットを複製し、同一の2つのパケットをそれぞれ異なるパケット転送網150、160に送出する。図1では、パケット転送網150と160の2つのパケット転送網を示しているが、パケット転送装置110とパケット転送装置120間の接続は同じパケット転送網を使用してもよい。また、パケット転送装置110とパケット転送装置120間の接続は、物理的に異なる伝送路であることが望ましいが、物理的には同じであるが論理的に異なる伝送路でもよい。以下、パケット転送網150と接続する系を0系、パケット転送網160と接続する系を1系と呼ぶ。なお、本発明の実施の形態では0系と1系の2系統の場合について説明するが、2系統より多い系統でも本発明を適用することが可能である。
パケット転送装置120は、パケット転送網150を介して伝送されたパケットと、パケット転送網160を介して伝送されたパケットとを受信する。そして、パケット転送装置120は、0系または1系のどちらかのパケットを選択し、下流のユーザ網140に送出する。
【0014】
図2は、パケット転送装置110のパケット送信機能部111の構成例を示すブロック図である。パケット送信機能部111は、パケット受信部220、ユーザ種別判定部222、タグ付加部224、多重部226、パケットコピー部228、パケット送信部230、232、マーカー挿入部234、ユーザ種別記憶部235を備える。
パケット受信部220は、ユーザ網130から送られてくるパケットを受信するインタフェースである。ユーザ種別記憶部235は、各ユーザ識別情報に対して、ユーザが無瞬断切替又は低遅延のいずれかを優先するかを表すユーザ種別情報を記憶する記憶部である。ユーザ種別判定部222は、ユーザ種別記憶部235を参照して、受信したユーザパケットが無瞬断切替希望のユーザパケットか低遅延希望のユーザパケットかを判定するブロックである。タグ付加部224は、ユーザ種別判定部222の判定結果をもとに、ユーザパケットに無瞬断希望パケットか低遅延希望パケットを識別するタグを付与する。マーカー挿入部234は、遅延量測定と無瞬断切替等に使用するマーカーパケットを、マーカーパケットを識別するタグを付加して生成し多重部226へ送出する。マーカーパケットを生成するタイミングは、周期的でも任意のタイミングでもどちらでもよい。多重部226は、タグ付加部224から送られてくるユーザパケットと、マーカー挿入部234から送られてくるマーカーパケットを多重し、パケットコピー部228に送出する。パケットコピー部228は、パケットのコピーを行うことで同じパケットを2つ生成し、パケット送信部230、232に送出する。パケット送信部230は、パケットをパケット転送網150に送出する。パケット送信部232は、パケットをパケット転送網160に送出する。
図3に、送出するパケットがイーサネット(登録商標)パケットである場合のパケット構成例を示す。パケットは、イーサネット(登録商標)ヘッダ300、タグ302、ペイロード304を備える。通常のイーサネット(登録商標)の構成であるイーサネット(登録商標)ヘッダ300とペイロード304の他に、タグ302を付加したパケットとして伝送される。タグ302は、パケットが無瞬断希望パケット、低遅延希望パケット、マーカーパケットのうちのどれであるかを区別するために使用する。マーカーパケットの場合、ペイロード304にはシーケンスナンバーを書き込む。
タグの追加は例えば次のようにして行う。
ユーザ網130からは無瞬断希望パケットと低遅延希望のパケットが混在して送信されてくる。パケット転送装置110は、パケットを受信したポートや、送られてくるイーサネット(登録商標)パケットのユーザVLANタグの値(ユーザ識別情報)から、ユーザ種別記憶部235を参照して、受信したパケットが無瞬断希望パケットか低遅延希望パケットかを判定し、それぞれの固有値を付けたタグ302を付加する。マーカーパケットについては、無瞬断希望パケット、低遅延希望パケットとは異なる固有値を付けたタグ302を付加する。
【0015】
図20に、ユーザ種別記憶部235の説明図を示す。
ユーザ種別記憶部235は、各ユーザ識別情報に対して、ユーザが無瞬断切替又は低遅延のいずれかを優先するかを表すユーザ種別情報を記憶する記憶部である。この情報は予め定めることができる。
また、図4に、タグ302の付加タグ値の例を示す。図4の例では、無瞬断希望パケットには値が「1」のタグを付加し、低遅延希望パケットには値が「2」のタグを付加し、マーカーパケットには値が「3」のタグを付加する。これにより3種類のパケットを区別する。
図5は、パケット転送装置120のパケット受信機能部122の構成例を示すブロック図である。パケット受信機能部122は、回線処理回路(0系)124、回線処理回路(1系)126、系選択部550、パケット送信部552、制御部560を備える。図5では回線処理回路のみ二重化構成としたが、系選択部550、パケット送信部552、制御部560についても二重化構成としても良い。
回線処理回路(0系)124は、パケット受信部502、パケット種別判定部504、遅延部506、無瞬断用メモリ508、低遅延用メモリ510、読み出し制御部512を備える。
回線処理回路(1系)126は、パケット受信部522、パケット種別判定部524、遅延部526、無瞬断用メモリ528、低遅延用メモリ530、読み出し制御部532を備える。
パケット受信部502はパケット転送網150から送られてくるパケットを受信し、パケット受信部522はパケット転送網160から送られてくるパケットを受信するインタフェースである。0系について、パケット受信部502で受信したパケットは、パケット種別判定部504に送出される。パケット種別判定部504は、パケットに付加されたタグ302を参照することで、そのパケットが無瞬断希望パケット、低遅延希望パケット、マーカーパケットのうちのどれであるかを判定し、遅延部506、低遅延用メモリ510にパケットを送出する。パケット送出の詳細については、後述の図6で説明する。また、パケット種別判定部504は受信したパケットがマーカーパケットの場合、マーカーパケット受信時刻とマーカーパケットのペイロード304に書き込まれたシーケンスナンバーの情報を制御部560に伝える。1系も0系と同じ処理を行い、パケット種別選択部524は、パケットに付加されたタグ302を参照することで、そのパケットが無瞬断希望パケット、低遅延希望パケット、マーカーパケットのうちのどれであるかを判定し、遅延部526、低遅延用メモリ530にパケットを送出する。また、パケット種別判定部524は受信したパケットがマーカーパケットの場合、マーカーパケット受信時刻とマーカーパケットのペイロード304に書き込まれたシーケンスナンバーの情報を制御部560に伝える。
【0016】
制御部560はパケット種別判定部504、524から伝えられたそれぞれの系のマーカーパケット受信時刻並びにシーケンスナンバーから、2つの系のパケット到着時間差を測定し、遅延部506および526を用いてパケットを遅延させることにより、0系と1系のパケットの位相を一致させ、それぞれ無瞬断用メモリ508、528に送出する。また、制御部560は早着系、遅着系の情報を読み出し制御部512、532に伝える。
無瞬断用メモリ508、528および低遅延用メモリ510、530はそれぞれFIFO(First In First Out)として使用する。0系について、読み出し制御部512は無瞬断用メモリ508または低遅延用メモリ510からパケットを読み出し、系選択部550へ送出する。1系について、読み出し制御部532は無瞬断用メモリ528または低遅延用メモリ530からパケットを読み出し、系選択部550へ送出する。系選択部550は、制御部560の指示により、0系を選択する場合、読み出し制御部512から送られてくるパケットをパケット送信部552へ送出し、読み出し制御部532から送られてくるパケットは破棄する。系選択部550は、制御部560の指示により、1系を選択する場合、読み出し制御部532から送られてくるパケットをパケット送信部552へ送出し、読み出し制御部512から送られてくるパケットは破棄する。パケット送信部552はユーザ網140へパケットを送信するインタフェースである。
【0017】
図6は、パケット種別判定部504、524の動作を説明するための図である。0系と1系の動作は同じため、ここでは0系を例に説明する。パケット種別判定部504に入力されるパケットは、無瞬断希望パケット、低遅延希望パケット、マーカーパケットの3種類ある。受信したパケットが無瞬断希望パケットの場合、遅延部506にのみパケットを送出し、低遅延用メモリ510にはパケットを送出しない。次に、受信したパケットが低遅延希望パケットの場合、遅延部506にも低遅延用メモリ510にもパケットを送出する。受信したパケットがマーカーパケットの場合、遅延部506にのみパケットを送出し、低遅延用メモリ510にはパケットを送出しない。つまり、遅延部506へは受信したパケットが全て送出されるが、低遅延用メモリ510へは低遅延希望パケットのみが送出される。遅延部506つまり無瞬断用メモリ508へ送出するパケットに低遅延希望パケットを含める理由は、無瞬断用メモリ508で到着パケット列の時間的配列を保存し、無瞬断希望パケットおよびマーカーパケットのゆらぎを小さくするためである。そのため、遅延部506への出力に低遅延希望パケットを含める手段以外でも、例えば、無瞬断希望パケットとマーカーパケットの到着時間を保持しておき、無瞬断用メモリ508から無瞬断希望パケットとマーカーパケットを読み出す時にパケットの時間的配列がパケット到着時と変わらないよう読み出す手段としてもよい。
図7は、2つの系のパケット到着時間差を測定する手段を説明するための図である。パケット700はパケット種別判定部504に到着したマーカーパケットであり、パケット701はパケット種別判定部524に到着したマーカーパケットであり、同じシーケンスナンバーが書き込まれているものとする。制御部560はパケット種別判定部504および524から送られてきたマーカーパケットのシーケンスナンバーと到着時刻から、0系と1系のパケットの到着時間差710を測定する。図7では0系の方が1系よりパケット到着時刻が早いことを示している。
【0018】
図8は、遅延部506、526の動作を説明するための図である。パケット800は遅延部506に入力するパケット、パケット801は遅延部526に入力するパケット、パケット810は遅延部506から出力するパケット、パケット811は遅延部526から出力するパケットを示す。遅延部506、526への入力は0系パケットの方が早いが、制御部560で測定した2つの系のパケット到着時間差710と同じ遅延時間を0系パケットに加えることで、遅延部506、526からの出力パケット810、811の位相を揃える。
図9は、パケットを無瞬断用メモリ508、528および低遅延用メモリ510、530に格納する動作を説明するための図である。パケット列900は0系に入力されるパケット列を示し、パケット列901は1系に入力されるパケット列を示す。パケットは固定長とする。パケットの色は凡例に示す通り、無瞬断希望パケット、低遅延希望パケットまたはマーカーパケットをそれぞれ示す。また、パケットに記された数字(0〜9)は、本動作の説明用に記している。図9では、0系のパケット列900の方が1系のパケット列901より到着時間差t910だけ早く到着する場合を例にして説明する。図6〜8で説明した手段をもって0系パケット列900は無瞬断用メモリ508と低遅延用メモリ510へ格納され、1系パケット列901は無瞬断用メモリ528と低遅延用530へ格納される。開始時間を911、終了時間を912で示した時間とすると、0系の無瞬断用メモリ508へ格納されるパケット列は、遅延部506で遅延量tの遅延を加えられた後無瞬断用メモリ508へ格納されるため、パケット番号0から7のパケット列となる。一方、低遅延用メモリ510へ格納されるパケット列は、遅延を加えられないため、開始時間911からのパケット番号3、6、8、9となる(パケット番号0、1は送出済み)。次に、1系の無瞬断用メモリ528へ格納されるパケット列は、遅延部526では遅延を加えられず、そのまま無瞬断用メモリ528へ格納されるため、パケット番号0から7のパケット列となる。一方、低遅延用メモリ530へ格納されるパケット列は、パケット番号0、1、3、6となる(パケット番号8、9は未到着)。無瞬断用メモリ508と528に格納されているパケット列は位相が揃っているが、低遅延用メモリ510と530に格納されているパケットは位相を揃える必要がないため、位相は揃っていない。
【0019】
2.読み出し制御部の処理:固定値

図10は、読み出し制御部512、532の処理手順を示すフローチャートである。0系と1系の動作は同じため、ここでは0系の読み出し制御部512の動作のみを説明する。読み出し制御部512は無瞬断用メモリ508の格納パケット数を確認し(シーケンス1000)、パケットが格納されていればパケットを読み出す(シーケンス1010)。次に、パケットのタグ302を参照することで、無瞬断用メモリ508から読み出したパケットが無瞬断希望パケットか低遅延希望パケットかマーカーパケットかを判別する(シーケンス1020)。無瞬断希望パケットまたはマーカーパケットの場合、そのまま読み出したパケットを送出する(シーケンス1030)。シーケンス1020において、低遅延希望パケットの場合、無瞬断用メモリ508から読み出したパケットを廃棄する(シーケンス1040)。シーケンス1000で無瞬断用メモリ508に格納されているパケットが無い場合、または、シーケンス1020で無瞬断用メモリ508から読み出したパケットが低遅延希望パケットの場合はシーケンス1050の処理となる。シーケンス1050では、低遅延用メモリ510の格納パケット数を確認し、パケットが格納されていればパケットを読み出し送出する(シーケンス1060)。パケットが格納されていなければ、処理を終了する。
図11は、図10で説明した読み出し制御部512、532の処理手順に従ってパケットを出力する動作を説明するための図である。無瞬断用メモリ508、528、低遅延用メモリ510、530には図に示すパケットが格納されているものとする。0系では、読み出し制御部512は無瞬断用メモリ508の格納パケット数を確認し、パケットが格納されているため、パケット番号0を読み出す。パケット番号0は低遅延希望パケットのため廃棄し、低遅延用メモリ510からパケット番号3を読み出し送出する。次に無瞬断用メモリ508から読み出すパケット番号1も低遅延希望パケットのため廃棄し、低遅延希望メモリ510からパケット番号6を読み出し送出する。次に無瞬断用メモリ508から読み出すパケット番号2は無瞬断希望パケットのため、そのままパケット番号2を送出する。以下同じ手順を繰り返すと、0系の出力パケット列1100は図で示す順番で出力される。1系についても同じ手順を繰り返すことで、1系の出力パケット列1101は図で示す順番で出力される。この手順を用いれば、早着系である0系については、低遅延希望パケットを固定遅延を受ける無瞬断希望パケットより早く送出することが可能となる。また、パケット列1100と1101において、無瞬断希望パケットを同じ時間位置で出力するため、後段の系選択部550において無瞬断希望パケットについては無瞬断切替が可能となる。
図12は、管理者の指示により系を切り替える動作を説明するための図である。図12では、0系ACT/1系SBYの状態から1系ACT/0系SBYへ系を切り替える動作を説明する。系選択部550へは、0系からはパケット列1100が、1系からはパケット列1101が入力される。系選択部550は、制御部560から系切替の指示を受けた場合、マーカーフレームのタイミングで系の切り替えを行う。0系パケット列1200のパケット番号3、6、2、8、4はACTのため出力されるが、マーカーフレームを境にSBYとなるためパケット番号9、7は廃棄される。一方、1系パケット列1201のパケット番号0、1、2、3、4はSBYのため廃棄されるが、マーカーフレームを境にACTとなるため、パケット番号6、7は出力される。これにより、系選択部550からの出力パケット列は、パケット列1202となる。無瞬断希望パケットはパケットの時間的配列が変わっておらず、パケットの重複・欠落が無い一方で、低遅延希望パケットは時間的配列が変わることもあり、パケットの重複・欠落も発生する場合がある。
系選択部550の後段はパケット送信部552を介してユーザ網140となるため、系選択部550ではパケットに付加したタグ302を削除して送出する。また、系選択部550は、制御部560からの系切替の指示の有無に関わらず、マーカーパケットを廃棄する。
【0020】
3.読み出し制御部の処理:可変長(1)

これまでの説明はパケットが固定長の場合について説明してきたが、次に、入力されるパケットが可変長の場合について説明する。
図13は、パケットが可変長の場合の読み出し制御部512、532の処理手順を示すフローチャートである。0系と1系の動作は同じため、ここでは0系の読み出し制御部512の動作のみを説明する。読み出し制御部512は無瞬断用メモリ508の格納パケット数を確認し(シーケンス1300)、パケットが格納されていればパケットを読み出す(シーケンス1302)。なお、読み出し制御部512、532は、予め定められた一定周期のタイミングで無瞬断用メモリ508、528又は低遅延用メモリ510、530からパケットを読み出すことができる。次に、パケットのタグ302を参照することで、無瞬断用メモリ508から読み出したパケットが無瞬断希望パケットか低遅延希望パケットかマーカーパケットかを判別する(シーケンス1304)。無瞬断希望パケットまたはマーカーパケットの場合、そのまま読み出したパケットを送出する(シーケンス1306)。シーケンス1304において、低遅延希望パケットの場合、無瞬断用メモリ508から読み出したパケットを廃棄する(シーケンス1308)。シーケンス1300で無瞬断用メモリ508に格納されているパケットが無い場合、または、シーケンス1304で無瞬断用メモリ508から読み出したパケットが低遅延希望パケットの場合はシーケンス1310の処理となる。シーケンス1310では、例えばパケットを送信した後の時刻又は送信した時刻から無瞬断用メモリにおいて次の無瞬断希望パケットまたはマーカーパケットがくるまでの、空き時間長を取得する。無瞬断用メモリに無瞬断希望パケットまたはマーカーパケットが格納されていなければ、パケット転送装置120が処理することが可能な最大パケット長を設定する。次に、既に低遅延用メモリから読み出してまだ送出していないパケットを適宜の内部メモリに保持しているかを判定し(シーケンス1312)、保持していればシーケンス1318へ移行し、保持していなければシーケンス1314へ移行する(内部メモリへのパケットの保持は、シーケンス1322等で実行される)。シーケンス1314では低遅延用メモリ510の格納パケット数を確認し、パケットが格納されていればパケットを読み出し(シーケンス1316)、パケットが格納されていなければ、処理を終了する。シーケンス1318では、シーケンス1310で取得した空き時間長と、シーケンス1316で低遅延用メモリ510から読み出したパケットのパケット長又は内部メモリに保持されているパケットのパケット長とを比較し、低遅延用メモリ510から読み出したパケット長の方が短いまたは等しい場合、低遅延用メモリ510から読み出したパケット又は内部メモリに保持されているパケットを送出する(シーケンス1320)。逆に、低遅延用メモリ510から読み出したパケット長の方が長い場合、低遅延用メモリ510から読み出したパケット又は内部メモリに保持されているパケットを保持し(シーケンス1322)処理を終了する。
【0021】
図14は、図13のフローチャートに従い処理を行った場合の読み出し制御部512の入出力を示す図である。上段1401が無瞬断用メモリ508から入力されるパケット列、中段1402が低遅延用メモリ510から入力されるパケット列、下段1403が読み出し制御部512から出力されるパケット列を示す。図13で示した動作は、図14で示すと、パケット列1401の無瞬断希望パケットまたはマーカーパケットはパケット列1402より優先的に出力され、パケット列1401の無瞬断希望パケットまたはマーカーパケットと次の無瞬断希望パケットまたはマーカーパケット間の空き時間に低遅延用メモリ510から入力されるパケット列1402を出力する動作となっている。図14において、パケット列1401のパケット番号0は低遅延希望パケットのため廃棄される(シーケンス1308)。この時、低遅延用メモリ510から入力されるパケット列1402のパケット番号3のパケット長は、無瞬断用メモリ508において次の無瞬断希望パケットであるパケット番号2がくるまでの空き時間長より短いため(シーケンス1318)、パケット列1402のパケット番号3が出力される(シーケンス1320)。パケット列1401のパケット番号1については、廃棄され(シーケンス1308)、このタイミングでは低遅延用メモリ510にパケットが格納されていないので(シーケンス1314)、処理を終了する。次に、パケット列1401のパケット番号2については無瞬断希望パケットのため、そのまま出力される(シーケンス1306)。次に、パケット列1401のパケット番号3については、廃棄され、低遅延用メモリ510から読み出されたパケット列1402のパケット番号6(シーケンス1316)は、無瞬断用メモリ508において次の無瞬断希望パケットであるパケット番号4がくるまでの空き時間長よりそのパケット長が長いため、ここでは出力されず保持された状態となる(シーケンス1322)。パケット列1401のパケット番号4、5については、そのまま出力される。パケット列1401のパケット番号6が低遅延用メモリ510から読み出されると、シーケンス1322で保持されたパケット番号6が、その後のパケット列1401のパケット番号5と7の間の空き時間に出力される(シーケンス1320)。以下、同様に処理を繰り返すことにより、パケット列1403が出力される。本実施の形態によれば、無瞬断希望パケットとマーカーパケットは時間的配列が保持されたまま出力され、低遅延希望パケットは固定遅延を受けることなく空き時間を利用して出力される。
【0022】
4.読み出し制御部の動作:可変長(2)

パケットが可変長の場合の他の実施の形態を図15、16に示す。
図15は、パケットが可変長の場合の、図13とは異なる手順の、読み出し制御部512、532の処理手順を示すフローチャートである。0系と1系の動作は同じため、ここでは0系の読み出し制御部512の動作のみを説明する。読み出し制御部512は無瞬断用メモリ508の格納パケット数を確認し(シーケンス1500)、パケットが格納されていればパケットを読み出す(シーケンス1502)。なお、読み出し制御部512、532は、予め定められた一定周期のタイミングで無瞬断用メモリ508、528又は低遅延用メモリ510、530からパケットを読み出すことができる。次に、パケットのタグ302を参照することで、無瞬断用メモリ508から読み出したパケットが無瞬断希望パケットか低遅延希望パケットかマーカーパケットかを判別する(シーケンス1504)。無瞬断希望パケットまたはマーカーパケットの場合、そのまま読み出したパケットを送出する(シーケンス1506)。シーケンス1504において、低遅延希望パケットの場合、無瞬断用メモリ508から読み出したパケットを廃棄する(シーケンス1508)。シーケンス1500で無瞬断用メモリ508に格納されているパケットが無い場合、または、シーケンス1504で無瞬断用メモリ508から読み出したパケットが低遅延希望パケットの場合はシーケンス1510の処理となる。シーケンス1510では低遅延用メモリ510の格納パケット数を確認し、パケットが格納されていればパケットを読み出し送出し(シーケンス1512)、同時に、無瞬断用メモリ508において、パケット送出時間内にあり、かつ、次の無瞬断希望パケットまでにある低遅延希望パケットを読み飛ばす(シーケンス1514)。シーケンス1510においてパケットが格納されていなければ、処理を終了する。
図16は、図15のフローチャートに従い処理を行った場合の制御部512の入出力を示す図である。上段1601が無瞬断用メモリ508から入力されるパケット列、中段1602が低遅延用メモリ510から入力されるパケット列、下段1603が読み出し制御部512から出力されるパケット列を示す。図16において、パケット列1601のパケット番号0は低遅延希望パケットのため廃棄され、低遅延用メモリ510から入力されるパケット列1602のパケット番号3が出力される(シーケンス1512)。パケット列1601のパケット番号1については、廃棄され(シーケンス1508)、このタイミングでは低遅延用メモリ510にパケットが格納されていないので(シーケンス1510)、処理を終了する。次に、パケット列1601のパケット番号2については無瞬断希望パケットのため、そのまま出力される(シーケンス1506)。次に、パケット列1601のパケット番号2と3の間のタイミングでは、パケット列1602のパケット番号6は、図15のフローに従うと、シーケンス1512となるため、そのまま出力される。この時、パケットの出力中にパケット列1601のパケット番号3の低遅延希望パケットが到着するが、このパケットは読み飛ばされる(シーケンス1514)。その後、パケット列1601のパケット番号4の無瞬断希望パケットが到着するが、パケット番号6の出力中のため、出力が終わるまで処理を待たされることになる。これにより、パケット列1601のパケット番号4の出力は、パケット列1602のパケット番号6の直後に出力される(シーケンス1506)。以下、同様に処理を繰り返すことにより、パケット列1603が出力される。
【0023】
本実施の形態によれば、低遅延希望パケットは図13、14の実施の形態より遅延量を少なくして送出することが可能である。しかし、無瞬断希望パケットとマーカーパケットは最大でパケット転送装置120が処理することが可能な最大パケット長時間分、出力が遅くなる可能性がある。これにより、0系と1系で無瞬断希望パケットとマーカーパケットの時間位置が不一致となり、故障による系切替時に無瞬断希望パケットの欠落が起こりうる場合が考えられる。これに対処するため、読み出し制御部512、532からのパケット出力時に、SBY系からの出力をACT系からの出力より、最大パケット長時間分だけ遅く出力することで、無瞬断希望パケットの欠落を防止することが可能である。
図17に0系早着系、1系遅着系で0系ACT/1系SBYの状態での、読み出し制御部512、532からのパケット出力を示す。パケット列1701は0系読み出し制御部512からの出力、パケット列1702は1系読み出し制御部532からの出力、パケット列1703は最大パケット長時間分だけ出力を遅らせた1系読み出し制御部532からの出力である。パケット列1702ではパケット列1701より先に無瞬断希望パケット番号4と7が送出されているため、故障による系切替が起こった場合、無瞬断希望パケット番号4と7の欠落が起こりうる。一方パケット列1703では、パケット列1701の方が先に無瞬断希望パケット番号4と7が送出されているため、無瞬断希望パケット番号4と7の欠落を防止することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
前述した本発明の実施形態によれば、無瞬断希望パケットは無瞬断希望パケットの処理手順により処理されるため無瞬断切替が可能であり、低遅延希望パケットは無瞬断切替機能による固定遅延を発生させずにパケットを転送することが可能であり、1つの装置に無瞬断希望のユーザと低遅延希望のユーザを混在して収容することが可能となる。しかも、無瞬断希望パケットについては系切替時に出力ゆらぎを小さくすることができるという効果を得ることができる。
さらに、網管理者は、無瞬断切替用のパケット転送網と低遅延用のパケット転送網の2種類のパケット転送網、1つのパケット転送網で運用することが可能となるため、運用コストを低減することが可能となる。

【符号の説明】
【0025】
110、120 パケット転送装置
111 パケット送信機能部
122 パケット受信機能部
124、126 回線処理回路
130、140 ユーザ網
150、160 パケット転送網
220、502、522 パケット受信部
222 ユーザ種別判定部
224 タグ付加部
226 多重部
228 パケットコピー部
230、232、552 パケット送信部
234 マーカー挿入部
300 イーサネット(登録商標)ヘッダ
302 タグ
304 ペイロード
504、524 パケット種別判定部
506、526 遅延部
508、528 無瞬断用メモリ
510、530 低遅延用メモリ
512、532 読み出し制御部
550 系選択部
560 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パケット転送ネットワークにおいて、入力されたパケットを複数系統の冗長構成を用いて伝送し、受信側において1つの伝送路のパケットを選択し出力するパケット転送装置であって、
パケットを記憶する無瞬断用メモリ及び低遅延用メモリと、
入力されたパケットを指示された時間分遅延させて前記無瞬断用メモリへ出力する遅延部と、
受信したパケットに付加されたタグを参照することで、そのパケットが無瞬断希望パケット、低遅延希望パケット、マーカーパケットのうちのどれであるかを判定し、前記遅延部へは受信した無瞬断希望パケット及び低遅延希望パケット及びマーカーパケットを送出し、前記低遅延用メモリへは低遅延希望パケットのみを送出し、且つ、受信したパケットがマーカーパケットの場合、マーカーパケットの受信時刻と識別情報を抽出して出力するパケット種別判定部と、
前記パケット種別判定部から伝えられた、マーカーパケットの受信時刻及び識別情報から、0系及び1系のパケット到着時間差を測定し、該到着時間差を前記遅延部に指示して0系と1系の無瞬断希望パケットの位相を一致させて前記遅延部から前記無瞬断用メモリに送出する制御部と、
前記無瞬断用メモリ及び/又は前記低遅延用メモリからパケットを読み出し、送出するパケットを制御する読み出し制御部と、
を備え、
前記読み出し制御部は、
前記無瞬断用メモリからパケットを読み出し、
前記無瞬断用メモリから読み出した前記パケットのタグを参照することで、該パケットが無瞬断希望パケットか低遅延希望パケットかマーカーパケットかを判別し、
前記パケットが無瞬断希望パケットまたはマーカーパケットの場合、読み出した前記パケットを送出し、
前記パケットが低遅延希望パケットの場合、前記無瞬断用メモリから読み出した前記パケットを廃棄し、このとき前記低遅延用メモリにパケットが格納されていればそのパケットを読み出して送出する
パケット転送装置。

【請求項2】
請求項1に記載のパケット転送装置において、
前記読み出し制御部は、
低遅延希望パケットと判別した場合、前記無瞬断用メモリから読み出した前記パケットを廃棄し、
このとき前記低遅延用メモリにパケットが格納されていればそのパケットを読み出して送出し、且つ、次の無瞬断希望パケットまでにある低遅延希望パケットを読み飛ばす
ことを特徴とするパケット転送装置。

【請求項3】
パケット転送ネットワークにおいて、入力されたパケットを複数系統の冗長構成を用いて伝送し、受信側において1つの伝送路のパケットを選択し出力するパケット転送装置であって、
パケットを記憶する無瞬断用メモリ及び低遅延用メモリと、
入力されたパケットを指示された時間分遅延させて前記無瞬断用メモリへ出力する遅延部と、
受信したパケットに付加されたタグを参照することで、そのパケットが無瞬断希望パケット、低遅延希望パケット、マーカーパケットのうちのどれであるかを判定し、前記遅延部へは受信した無瞬断希望パケット及び低遅延希望パケット及びマーカーパケットを送出し、前記低遅延用メモリへは低遅延希望パケットのみを送出し、且つ、受信したパケットがマーカーパケットの場合、マーカーパケットの受信時刻と識別情報を抽出して出力するパケット種別判定部と、
前記パケット種別判定部から伝えられた、マーカーパケットの受信時刻及び識別情報から、0系及び1系のパケット到着時間差を測定し、該到着時間差を前記遅延部に指示して0系と1系の無瞬断希望パケットの位相を一致させて前記遅延部から前記無瞬断用メモリに送出する制御部と、
前記無瞬断用メモリ及び/又は前記低遅延用メモリからパケットを読み出し、送出するパケットを制御する読み出し制御部と、
を備え、
前記読み出し制御部は、
前記無瞬断用メモリからパケットを読み出し、
前記無瞬断用メモリから読み出した前記パケットのタグを参照することで、該パケットが無瞬断希望パケットか低遅延希望パケットかマーカーパケットかを判別し、
前記パケットが無瞬断希望パケットまたはマーカーパケットの場合、読み出した前記パケットを送出し、
前記パケットが低遅延希望パケットの場合、前記無瞬断用メモリから読み出した前記パケットを廃棄し、前記低遅延用メモリにパケットが格納されていればそのパケットを読み出して送出し、且つ、
前記無瞬断用メモリにおいて次の無瞬断希望パケットまたはマーカーパケットがくるまでの、空き時間長を取得し、
取得した前記空き時間長と、前記低遅延用メモリから読み出したがまだ送出されずに保持されているパケットのパケット長、又は、該保持されているパケットがない場合には前記低遅延用メモリから読み出した前記パケットのパケット長、とを比較し、前記空き時間長より該パケット長の方が短いまたは等しい場合は該パケットを送出し、逆に、前記空き時間長より該パケット長の方が長い場合は該パケットを保持する
パケット転送装置。

【請求項4】
請求項3に記載のパケット転送装置において、
前記空き時間長を取得する際に、前記無瞬断メモリに無瞬断希望パケットまたはマーカーパケットが格納されていない場合は、前記読み出し制御部は、パケット転送装置が処理することが可能な最大パケット長を空き時間長として設定することを特徴とするパケット転送装置。

【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のパケット転送装置において、
0系及び1系のそれぞれに、前記無瞬断メモリ、前記低遅延用メモリ、前記遅延部、前記パケット種別判定部、前記読み出し制御部、を備え、
前記制御部の指示により、0系又は1系の前記読み出し制御部から送られてくるパケットを選択して送出し、マーカーパケットを削除する系選択部
をさらに備えたパケット転送装置。

【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載のパケット転送装置において、
さらに、送信機能として、
ユーザ識別情報に対して、受信したパケットが無瞬断希望パケットか低遅延希望パケットかを識別するユーザ種別を記憶するユーザ種別記憶部と、
前記ユーザ種別記憶部を参照して、受信したユーザパケットが無瞬断切替希望のユーザパケットか低遅延希望のユーザパケットかを判定するユーザ種別判定部と、
前記ユーザ種別判定部の判定結果をもとに、ユーザパケットに無瞬断希望パケットか低遅延希望パケットを識別するタグを付与するタグ付加部と、
パケット転送装置間のみ送受信されて遅延量測定と無瞬断切替に使用するマーカーパケットを、マーカーパケットを識別するタグを付加して生成するマーカー挿入部と
前記タグ付加部から送られてくるユーザパケットと、前記マーカー挿入部から送られてくるマーカーパケットを多重する多重部と、
前記多重部により多重されたパケットを第1及び第2のパケットにコピーするパケットコピー部と、
第1及び第2のパケットを、それぞれ第1及び第2のパケット転送網に送出する第1及び第2のパケット送信部
を備えたパケット転送装置。

【請求項7】
パケット転送ネットワークにおいて、入力されたパケットを複数系統の冗長構成を用いて伝送し、受信側において1つの伝送路のパケットを選択し出力するパケット転送装置におけるパケット転送方法であって、
遅延部により、入力されたパケットを指示された時間分遅延させて無瞬断用メモリへ出力し、
受信したパケットに付加されたタグを参照することで、そのパケットが無瞬断希望パケット、低遅延希望パケット、マーカーパケットのうちのどれであるかを判定し、前記遅延部へは受信した無瞬断希望パケット及び低遅延希望パケット及びマーカーパケットを送出し、低遅延用メモリへは低遅延希望パケットのみを送出し、且つ、受信したパケットがマーカーパケットの場合、マーカーパケットの受信時刻と識別情報を抽出して出力し、
マーカーパケットの受信時刻及び識別情報から、0系及び1系のパケット到着時間差を測定し、該到着時間差を前記遅延部に指示して0系と1系の無瞬断希望パケットの位相を一致させて前記遅延部から前記無瞬断用メモリに送出し、
前記無瞬断用メモリからパケットを読み出し、
前記無瞬断用メモリから読み出した前記パケットのタグを参照することで、該パケットが無瞬断希望パケットか低遅延希望パケットかマーカーパケットかを判別し、
前記パケットが無瞬断希望パケットまたはマーカーパケットの場合、読み出した前記パケットを送出し、
前記パケットが低遅延希望パケットの場合、前記無瞬断用メモリから読み出した前記パケットを廃棄し、このとき前記低遅延用メモリにパケットが格納されていればそのパケットを読み出して送出する
パケット転送方法。

【請求項8】
請求項7に記載のパケット転送方法において、
低遅延希望パケットと判別した場合、前記無瞬断用メモリから読み出した前記パケットを廃棄し、
このとき前記低遅延用メモリにパケットが格納されていればそのパケットを読み出して送出し、且つ、次の無瞬断希望パケットまでにある低遅延希望パケットを読み飛ばす
ことを特徴とするパケット転送方法。

【請求項9】
パケット転送ネットワークにおいて、入力されたパケットを複数系統の冗長構成を用いて伝送し、受信側において1つの伝送路のパケットを選択し出力するパケット転送装置におけるパケット転送方法であって、
遅延部により、入力されたパケットを指示された時間分遅延させて無瞬断用メモリへ出力し、
受信したパケットに付加されたタグを参照することで、そのパケットが無瞬断希望パケット、低遅延希望パケット、マーカーパケットのうちのどれであるかを判定し、前記遅延部へは受信した無瞬断希望パケット及び低遅延希望パケット及びマーカーパケットを送出し、低遅延用メモリへは低遅延希望パケットのみを送出し、且つ、受信したパケットがマーカーパケットの場合、マーカーパケットの受信時刻と識別情報を抽出して出力し、
マーカーパケットの受信時刻及び識別情報から、0系及び1系のパケット到着時間差を測定し、該到着時間差を前記遅延部に指示して0系と1系の無瞬断希望パケットの位相を一致させて前記遅延部から前記無瞬断用メモリに送出し、
前記無瞬断用メモリからパケットを読み出し、
前記無瞬断用メモリから読み出した前記パケットのタグを参照することで、該パケットが無瞬断希望パケットか低遅延希望パケットかマーカーパケットかを判別し、
前記パケットが無瞬断希望パケットまたはマーカーパケットの場合、読み出した前記パケットを送出し、
前記パケットが低遅延希望パケットの場合、前記無瞬断用メモリから読み出した前記パケットを廃棄し、前記低遅延用メモリにパケットが格納されていればそのパケットを読み出して送出し、且つ、
前記無瞬断用メモリにおいて次の無瞬断希望パケットまたはマーカーパケットがくるまでの、空き時間長を取得し、
取得した前記空き時間長と、前記低遅延用メモリから読み出したがまだ送出されずに保持されているパケットのパケット長、又は、該保持されているパケットがない場合には前記低遅延用メモリから読み出した前記パケットのパケット長、とを比較し、前記空き時間長より該パケット長の方が短いまたは等しい場合は該パケットを送出し、逆に、前記空き時間長より該パケット長の方が長い場合は該パケットを保持する
パケット転送方法。

【請求項10】
請求項7乃至9のいずれかに記載のパケット転送方法において、
送信側のパケット転送装置では、系切替を行うためのマーカーパケットを複数の通信経路に送信し、
受信側の前記パケット転送装置では、前記マーカーパケットを複数の通信経路から受信し、マーカーパケットのタイミングで選択系を切り替える
ことを特徴とするパケット転送方法。

【請求項11】
請求項7乃至10のいずれかに記載のパケット転送方法において、
送信側パケット転送装置では、パケット転送に用いる通信経路の経路遅延時間差を測定するためのマーカーパケットを複数の通信経路に送信し、
受信側パケット転送装置では、前記マーカーパケットを複数の通信経路から受信し、各マーカーパケットの到着時間から経路遅延時間差を測定し、早着系の無瞬断希望パケットの処理手順に対し、最遅着系との経路遅延時間差分の遅延を加えることで無瞬断希望パケットの位相を一致させる
ことを特徴とするパケット転送方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate