説明

パソコン付き携帯電話

【課題】パソコン付き携帯電話において、非使用時、すなわち、折り畳み時には、使用時に露出していた全ての搭載要素が露出しないようなパソコン付き携帯電話を提供する。
【解決手段】電話機能を有し、電話用兼パソコン用ディスプレイ2と電話用ファンクションキー3と数字キー4を含む電話用搭載露出要素の全てを一つの面に集積して露出させた第1の筐体10と、パソコン端末機能を有し、パソコン用キーボード5と電話用ファンクションキー3を含むパソコン用搭載露出要素の全てを一つの面に集積して露出させた第2の筐体20とを、互いの前記搭載露出要素の露出面を内側にして、その露出面の一辺の回りにヒンジ1を介して360度回動可能、かつ、回動の途中、可逆的にロック可能なように連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パソコンの機能が併設されたパソコン付き携帯電話に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコンの機能が併設された折り畳み式の携帯電話の一従来例が下記の公知文献(特許文献1)に開示されている。この文献に開示されているパソコン付き携帯電話は、携帯電話の操作キーとして、併設しているパソコン用のキーボードのキーを兼用させ、従来の携帯電話のものより大き目で、それが搭載されている筐体の表面より少し突出した形態のものであることを利用して、その操作性を高めている。
【0003】
併せて、その電話機能とパソコン機能の併設によるところの携帯性の低下を避けるために、パソコン用のキーボードを折り畳み式にしたり、電話機能を有した筐体側に収納可能な構造にしたりしている。
【特許文献1】特開2001−339499号公報(第1図、第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記例示したパソコン付き携帯電話について、少し詳しく述べると、キーボード(図1、符号8)が露出している面を有した筐体(図1、符号2)と、一面がパソコン用ディスプレイ面(図1、符合7)となっている筐体(図1、符号10)とを、そのキーボードの面とディスプレイ面とを内側にして折り畳む際、すなわち、パソコンの使用を終えて折り畳んだ際、そのキーボードを搭載した面の裏側が携帯電話用のディスプレイ(図3、符号5)とファンクションキー(図3、符号4)の露出した面となっていて、この露出要素のディスプレイとファンクションキーが表面に出てくるという形態になっている。
【0005】
今日、一般に普及している携帯電話は大半が折りたたみ式で、電話機能を果たすための搭載要素の内、電話の使用時には外側に露出しているもの、例えば、ファンクションキーやディスプレイは、使用を終えて折り畳むと、外側には全く露出しないような形態を採っている。
【0006】
折り畳み仕様というのは、携帯電話をコンパクトに携帯できるようにするともに、使用時に露出していた搭載要素(前記のファンクションキーやディスプレイ等)を隠して、使用者に、使用時と非使用時とのけじめをつけさせるような心理作用をもたらすものでもある。
【0007】
この点、先ほどの公知文献に開示されたパソコン付き携帯電話はその仕様になっておらず、併設のパソコンを使用した後、折り畳んだ際も、依然として、電話用のディスプレイやファンクションキーが露出しているというのは、外見上、だらしのないような雰囲気を与えるものである。
【0008】
それは、携帯電話にパソコン機能を併設したことによる、構造上の対策が採られていなかったことに起因するものと本発明者は思慮したのである。
【0009】
そこで、この発明は、パソコン付き携帯電話において、非使用時、すなわち、折り畳み時には、使用時に露出していた全ての搭載要素が露出しないようなパソコン付き携帯電話を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、電話機能を有し、電話用兼パソコン用ディスプレイと電話用ファンクションキーと数字キーを含む電話用搭載露出要素の全てが一つの面に集積されて露出した第1の筐体と、パソコン端末機能を有し、パソコン用キーボードと電話用ファンクションキーを含むパソコン用搭載露出要素の全てが一つの面に集積されて露出した第2の筐体が、互いの前記搭載要素の露出面を内側にして、その露出面の一辺の回りにヒンジを介して360度回動可能、かつ、その回動の途中、可逆的にロック可能に連結されている構成としたのである。
【0011】
このようにしたので、前記両筐体を互いの前記搭載要素の露出面を内側にして折り畳めば、それぞれの筐体の前記搭載露出要素の露出面の裏面には露出要素が一切露出していないので、この折り畳んだ状態の本発明のパソコン付き携帯電話は、全表面が搭載要素の露出していない面となる。
【0012】
その際、上記ディスプレイの画面サイズの縦横比を16:9とすれば、臨場感のある画面を楽しむことができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明は、上記のように構成したので、パソコン使用時には、パソコン用キーボードが露出している面を上にした状態で、第2の筐体を基準面上に載置して、ディスプレイが露出している第1の筐体を起こして、搭載面同士のなす角を鈍角にしてロックすると、ノート型パソコンのようにして使用できる。
【0014】
また、電話を使用する際は、上記と反対側の向きに折り畳めば、その一方の面は携帯電話の面になるので、携帯電話としての使用もできる。
【0015】
そして、パソコン並びに電話を使用した後は、両筐体の露出搭載要素の面を内側にして折り畳めば、使用時に露出していたディスプレイやキー類を完全に隠すことができ、前記公知文献に開示されたパソコン付き携帯電話のように、折り畳んだ状態でも、電話用のディスプレイとファンクションキーとが露出している形態のものとは違って、けじめがついて、外見上、引き締まったものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の折り畳み携帯電話の第1の筐体10と第2の筐体20とを、折り畳み状態から180度開いて、携帯電話の機能を有した第1の筐体10とパソコン用のキーボード5が搭載され、パソコンの機能を有した第2の筐体20のそれぞれの搭載露出要素の露出面を同一面に配置して示した図である。
【0017】
図の上側が電話機能を有した第1の筐体10であり、搭載露出要素が配設された露出面の図の右側にディスプレイ2と、左側にファンクションキー3と数字キー4とが露出している。図中、符号6を付したのはイヤホン部であり、符号7を付したのはスピーカ部である。これらが、この第1の筐体10の露出面に露出してくる要素の全てであって、六面体(薄手直方体)を成す筐体の他の五つの面には露出要素は一切露出していない。
【0018】
なお、この第1の筐体10に搭載されたディスプレイ2は電話機能の内のメールの交信画面と、次に説明する第2の筐体20が有するパソコン機能を使用する際のデータ画面の両方の役割を果たすものであるが、その長方形画面が、メールの交信画面としてはその長辺が縦方向を向くような姿勢を採り、パソコンのデータ画面としては、その短辺が縦方向を向くような姿勢を採っていて、通常の携帯電話のみ、あるいはパソコン機能のみの機器の場合と同じ形態であるので、違和感なく使用することができる。
【0019】
さらに本実施形態では、その長方形画面の縦横の比を16:9としているので、パソコン画面として、インターネットで娯楽番組(ドラマ、スポーツ中継等)を観賞する際には、臨場感のある映像を楽しむことができる。
【0020】
他方、図の下側に示したのが今触れたパソコン機能を有した第2の筐体20であり、搭載露出要素の露出面の大半に渡って、パソコン用キーボード5が配置されている。ここで、パソコン用キーボード5とはJIS基準ローマ字キーボードのことをいう。この第2の筐体20の図の左下隅に、前記第1の筐体10のものと同じ仕様の電話用ファンクションキー3が配置されている。これらが、この第1の筐体10の露出面に露出してくる要素の全てであって、この第2の筐体20においても、六面体(薄手直方体)を成す筐体の他の五つの面には露出要素は一切露出していない。
【0021】
以上のような第1の筐体10と第2の筐体20とがヒンジ1を介して、その軸の周りに360度回動可能に、かつ、その回動の途中、任意の位置で可逆的にロック可能に連結されている。
【0022】
図2は、図1に示した第1の筐体10と第2の筐体20の内、第1の筐体10を図1の状態から紙面の手前側に折り畳んだ状態を示したものである。図に示したのは、第1の筐体10の前記露出搭載要素の面の真裏の面に当たり、露出要素は全くない。この形態は、図示しない第2の筐体20の前記露出搭載要素の面の真裏の面の場合も同様である。
【0023】
このように、本実施形態のパソコン付き折り畳み式携帯電話は、両筐体10、20の露出搭載面を内側にして折り畳むと露出要素が全て隠されて、表面に出て来ることがない。従って、けじめのついた、引き締まった外観を呈するものとなる。
【0024】
図3は、図2に示した折り畳みの状態から両筐体10、20を360度開いて、電話の使用状態にする過程を示した図であり、図に示すように、先ほどのパソコンの使用を終えた時の折り畳みの向きとは全く反対に折り畳んで、電話用のディスプレイ2とファンクションキー3と数字キー4並びに、スピーカ7とイヤホン6が露出した面を表面に出すことができ、電話をかけることができる。
【0025】
図4は、図2に示した折り畳みの状態から両筐体を任意の角度に開いて、パソコンの使用状態にする過程を示した図である。図に示すように、第2の筐体20を、キーボード5の露出した面を真上にして基準の水平面上に載置して、第1の筐体10を起こしてゆき、使用者がディスプレイ2の画面を見易いと感じた角度でヒンジ1をロックしてパソコンの操作ができる状態にしている様子である。
【0026】
なお、この図4には直接表れて来ないが、先ほどの図1の説明の際に述べたように、第2の筐体20のキーボード5の搭載面には、その傍らに、第1の筐体10のものと同じ仕様の電話用のファンクションキー3が配設されており、パソコンを操作している状態で電話の操作をすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
この発明は、パソコンの機能が付設された折り畳み式の携帯電話一般に広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】は、本発明の実施形態のパソコン付き携帯電話の第1の筐体と第2の筐体をそれらが連結されている回動軸の周りに回転させて、互いの搭載要素の露出面が180度の角度を成すようにした状態を示したものである。
【図2】は、図1に示した第1の筐体と第2の筐体を図1の場合から紙面の手前側に折り畳んだ状態を示したものである。
【図3】は、図2に示した折り畳みの状態から360度開いて、電話の使用状態にする過程を示した図である。
【図4】は、図2に示した折り畳みの状態から任意の角度に開いて、パソコンの使用状態にする過程を示した図である。
【符号の説明】
【0029】
1 ヒンジ
2 ディスプレイ
3 ファンクションキー
4 数字キー
5 キーボード
6 イヤホン
7 スピーカ
10 第1の筐体
20 第2の筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話機能を有し、電話用兼パソコン用ディスプレイと電話用ファンクションキーと数字キーを含む電話用搭載露出要素の全てが一つの面に集積されて露出した第1の筐体と、パソコン端末機能を有し、パソコン用キーボードと電話用ファンクションキーを含むパソコン用搭載露出要素の全てが一つの面に集積されて露出した第2の筐体が、互いの前記搭載要素の露出面を内側にして、その露出面の一辺の回りにヒンジを介して360度回動可能、かつ、その回動の途中、可逆的にロック可能に連結されているパソコン付き携帯電話。
【請求項2】
請求項1に記載のパソコン付き携帯電話において、上記ディスプレイの画面サイズの縦横比が16:9となっていることを特徴とするパソコン付き携帯電話。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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