説明

パターン、パターン形成方法

【課題】 表現可能な情報量を増加することのできるパターン、パターン形成方法を提供する。
【解決手段】 ガラス基板2の裏面2bにはパターン10が形成されている。パターン形成領域Z1は、16行×16列の各セルに仮想的に分割され、その分割された各セルに対して選択的にドットDが形成される。ドットDは、それぞれ異なるドット径R1,R2,R3を持つ第1ドットD1、第2ドットD2、第3ドットD3のいずれかである。そして、一つのセルについて、ドットDを形成するか否か、第1〜第3ドットD1〜D3のいずれを形成するかによって4値の情報を表現する。各ドット径R1〜R3は、吐出ノズルから液滴を吐出させる回数によって制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン、パターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイ装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置(有機EL表示装置)等の電気光学装置は、基板上に複数の電気光学素子を形成している。一般に、この種の基板には、品質管理・製品管理等の目的で、製造番号、又は製造番号をコード化した2次元コード等の固有の識別コードが描画されている。この識別コードは、認識手段としての専用のコードリーダによって読み取られ、解読される。
【0003】
この基板に識別コードを描画する方法として、基板(ガラス基板)に金属箔付きフィルムを対面させレーザ光を照射して、金属膜を基板に転写させて基板にマークを形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。また、研磨材を含んだ水を基板等に噴射し、基板に番号等を刻印する方法が提案されている(例えば、特許文献2)。
【0004】
ところで、上記各描画方法は、描画工程が多く、装置も高価で大型化する問題があった。そこで、装置も安価で小型であって、描画も短時間で容易なインクジェット法がある。インクジェット法は、液滴吐出装置を用いて、吐出ノズルから機能液(インク液滴)を基板に対して吐出させて2次元バーコード等の識別コードのパターンを形成する。
【特許文献1】特開平11−77340号公報
【特許文献2】特開2003−127537号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この識別コードは電気光学装置の製造工程のみならずメンテナンスにおける品質管理・製品管理・メンテナンス履歴の管理等の自動化に伴い、扱う情報量が増加しており、液滴の有無で表現されたパターン(識別コード)では表現可能な情報量が不足する虞がある。これに対し、パターンを表現するドット量を増加することも考えられるが、ドット量の増加に伴ってパターンの面積が拡大し、電気光学装置の小型化に対応できない。
【0006】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、表現可能な情報量を増加することのできるパターン、パターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、本発明のパターンは、基板の所定のパターン形成領域に、選択的に液滴吐出装置から液状体を吐出させて形成するパターン形成要素を配列形成するパターンにおいて、複数種類の大きさの前記パターン形成要素を配列形成した。
【0008】
この発明によれば、複数種類の大きさのパターン形成要素を配列形成したので、パターン形成要素の有無のみならず、パターン形成要素の大きさの種類に応じて情報を表現することができる。従って、パターン形成領域の面積を拡大することなく、表現可能な情報量を増加することができる。
【0009】
本発明のパターンにおいて、前記パターン形成要素の大きさは、前記パターン形成要素の直径により判断される。
この発明によれば、パターン形成要素の大きさは、パターン形成要素の直径により判断されるので、簡単にパターン形成要素の大きさを読み取ることができる。
【0010】
本発明のパターンにおいて、前記パターン形成要素の大きさは、前記パターン形成領域の単位面積当たりのパターン形成要素の占有率により判断される。
この発明によれば、パターン形成要素の大きさは、パターン形成領域の単位面積当たりのパターン形成要素の占有率により判断されるので、例えば、液状体が歪な形に吐出され、固化されたとき等のパターン形成要素の直径が一定でない場合にも、パターン形成要素の大きさを正確に読み取ることができる。
【0011】
本発明のパターンにおいて、前記パターンは、識別コードである。
この発明によれば、パターンは識別コードであるため、識別コードを形成するためのパターン形成領域を小さくすることができる。
【0012】
本発明のパターンにおいて、前記基板は、表示装置の表示用基板である。
この発明によれば、基板は、表示装置の表示用基板であるため、表示用基板のパターン形成領域の面積を拡大することなく、表現可能な情報量を増加することができる。
【0013】
本発明のパターン形成方法は、基板の所定のパターン形成領域に、選択的に液滴吐出装置から液状体を吐出させて形成するパターン形成要素を配列形成するパターン形成方法において、前記液状体の吐出回数を制御することによって前記パターン形成要素の大きさを異ならせる。
【0014】
この発明によれば、液状体の吐出回数を制御することによってパターン形成要素の大きさを異ならせる。従って、液滴吐出装置の構成を変更することなく、吐出回数を異ならせることによってパターン形成要素の大きさを異ならせることができるので、簡単に表現可能な情報量を増加することができる。
【0015】
本発明のパターン形成方法は、基板の所定のパターン形成領域に、選択的に液滴吐出装置から液状体を吐出させて形成するパターン形成要素を配列形成するパターン形成方法において、前記液状体の重量を制御することによって前記パターン形成要素の大きさを異ならせる。
【0016】
この発明によれば、液状体の重量を制御することによってパターン形成要素の大きさを異ならせる。この結果、例えば、液状体を吐出させるタイミングを制御することによって吐出される液状体の重量を変えることにより、パターン形成要素の大きさを異ならせることができる。従って、液状体の吐出回数を変更せずに液状体の大きさを異ならせることができるので、短時間で表現可能な情報量を増加することができる。
【0017】
本発明のパターン形成方法は、基板の所定のパターン形成領域に、選択的に液滴吐出装置から液状体を吐出させて形成するパターン形成要素を配列形成するパターン形成方法において、前記基板上に吐出された前記液状体を乾燥させる条件を制御することによって前記パターン形成要素の大きさを異ならせる。
【0018】
この発明によれば、基板上に吐出された液状体を乾燥させる条件を制御することによってパターン形成要素の大きさを異ならせるので、液状体の吐出回数や吐出させるタイミングを制御することなく、パターン形成要素の大きさを変更できる。従って、液状体の吐出回数や吐出させるタイミングを制御するためのビットマップデータを複数種類用意しなくてもよいので、簡単に表現可能な情報量を増加することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明のパターンを具体化した実施形態を図1〜図10に従って説明する。
まず、本発明のパターンが形成された、液晶表示装置の表示モジュールについて説明する。図1は液晶表示装置の表示モジュールの正面図、図2は表示モジュールの裏面に形成されたパターンの正面図である。
【0020】
図1において、表示モジュール1は、光透過性の表示用基板としてのガラス基板2を備えている。そのガラス基板2の表面2aの略中央位置には、液晶を封入した四角形状の表示部3が形成され、その表示部3の外側には走査線駆動回路4及びデータ線駆動回路5が形成されている。
【0021】
ガラス基板2の裏面2bの右隅には、該表示モジュール1の識別コードとしての複数のドットで構成されたパターン10が形成されている。パターン10は、図2に示すように、パターン形成領域Z1内に形成される複数のパターン形成要素としてのドットDにて構成されている。なお、本実施形態では、複数のドットDはそれぞれ異なる直径の第1ドットD1、第2ドットD2、第3ドットD3から構成されているが、その詳細は後述する。パターン形成領域Z1に形成されたパターン10は、本実施形態では2次元コードであって、2次元コードリーダで読み取られる。
【0022】
パターン形成領域Z1は、1〜2mm角の正方形の領域であって、図6に示すように、16行×16列の各セルSに仮想的に分割され、その分割された各セルSに対して選択的にドットDが形成される。なお、その分割されたセルS内にドットDが形成されるセルSを黒セルS1と、セルS内にドットDが形成されないセルSを白セルS0という。すなわち、1つのセルSについてドットDが形成されるか否かによって2値の情報を表現することができる。そして、16行×16列の各セルSに対して選択的にドットDが形成され、その各ドットDで構成する該表示モジュール1を識別するためのパターン10(2次元コード)が形成される。なお、図6では説明の便宜上、パターン10はすべて同じ直径のドットDで構成されているものとする。
【0023】
黒セルS1に形成されるドットDは、半球状にガラス基板2に密着して形成されている。このドットDの形成方法は、本実施形態ではインクジェット法で行う。詳述すると、ドットDは、後記する液滴吐出装置20の吐出ノズル28からマンガン微粒子を含む機能液の液滴31(図9参照)を液状体としてセルS(黒セルS1)に吐出させる。次に、その黒セルS1に着弾した液滴31を、乾燥し焼結させてマンガン微粒子を互いに結合させて硬化させることによって、ガラス基板2に密着したマンガンよりなる半球状のドットDが形成される。
【0024】
本実施形態では、図2に示すように、複数のドットDは、それぞれドットの直径(以下、ドット径Rという)Rが異なる値である第1ドットD1、第2ドットD2、第3ドットD3のいずれかのドットである。詳述すると、第1ドットD1は最もドット径R1が大きく、120μmである。第2ドットD2は次にドット径R2が大きく、70μmである。第3ドットD3は最もドット径R3が小さく、50μmである。なお、2次元コードリーダは、予め、ドット径R1が第1ドットD1、ドット径R2が第2ドットD2、ドット径R3が第3ドットD3であると読み取るのことのできる仕様で設計されている。これら第1〜第3ドットD1〜D3は、そのドット径R1〜R3に応じて異なる情報を表現する。すなわち、本実施形態では、一つのセルSについて、ドットDが形成されるか否かによって2値の情報を表現するのみならず、ドットDが形成されたとき、そのドットDが第1〜第3ドットD1〜D3のいずれであるかによって4値の情報を表現することができる。
【0025】
ここで、図3〜図5は、それぞれ白セルS0と黒セルS1を同じ配置で配列形成したパターンであるが、図3は第1ドットD1のみで形成されたパターン11である。図4は第2ドットD2のみで形成されたパターン12であって、図5は第3ドットD3のみで形成
されたパターン13である。そして、パターン11〜13は、それぞれ白セルS0と黒セルS1を同じ配置で配列形成しながらも、異なるドット径R1〜R3の第1〜第3ドットD1〜D3から形成されているため、異なる情報を表現している。すなわち、本実施形態では、白セルS0と黒セルS1の配置のみならず、黒セルS1として形成されるドットDが第1〜第3ドットD1〜D3のいずれであるかによっても情報を表現できる。なお、パターン11〜13のうち最も左側及び下側の辺に形成されるドットDはパターン11〜13の向きを判別するためのドットDであるため、本実施形態では、2次元コードリーダによる読み取りの便宜上、第1ドットD1のみで形成している。また、パターン11〜13のうち最も上側及び右側の辺に形成されるドットDはパターン11〜13として形成されるドットDのうち有効な範囲を示すためのドットであるため、2次元コードリーダによる読み取りの便宜上、点線状に第1ドットD1が形成されている。
【0026】
次に、ガラス基板2の裏面2bのパターン10を形成するために使用される液滴吐出装置20について説明する。
図7及び図8に示すように、液滴吐出装置20は、支持台21を有し、その支持台21には、搬送台22が設けられている。搬送台22は、支持台21に対して図示しないY軸駆動機構により、Y矢印方向及び反Y矢印方向に沿って往復移動するようになっている。
【0027】
この搬送台22には、ガラス基板2がその裏面2bを上側にして戴置され、ガラス基板2を、Y矢印方向及び反Y矢印方向に搬送するようになっている。そして、搬送台22によって搬送されるガラス基板2は、その裏面2bのパターン形成領域Z1(図2参照)にパターン10を形成するための液滴31(図9参照)が吐出されるようになっている。
【0028】
支持台21には門形の支持フレーム23が、Y矢印方向(反Y矢印方向)に移動する搬送台22を跨ぐように立設されている。支持フレーム23は、X矢印方向に沿って、支持台21に架設されている。この支持フレーム23には、X矢印方向に延びるガイドレール24が配設されている。
【0029】
ガイドレール24には、キャリッジ25が摺動可能に設けられている。このキャリッジ25は、X軸駆動機構により、ガイドレール24に沿って往復移動可能になっている。またキャリッジ25には、液滴吐出ヘッド26が一体に設けられている。液滴吐出ヘッド26はその下面にノズルプレート27を備え、ノズルプレート27には、パターン10を形成するための16個の吐出ノズル28がX矢印方向に一列となって等間隔に貫通形成されている。なお、図9には説明の便宜上、一つの吐出ノズル28のみを示している。
【0030】
さらに、液滴吐出ヘッド26は、吐出ノズル28に対応して圧電素子42(図10参照)がそれぞれ備えられ、その圧電素子42に対して印加電圧を制御することにより、液滴吐出ヘッド26内に一時貯留されている各機能液をそれぞれ液滴31として吐出するようになっている。つまり、液滴吐出ヘッド26は、マンガン微粒子を含む機能液を貯留している。そして、図9に示すように、ノズル列の各吐出ノズル28からはマンガン微粒子を含む機能液の液滴31が吐出される。
【0031】
次に、上記のように構成した液滴吐出装置20の電気的構成を図10に従って説明する。
図10において、制御部40は、CPU、RAM、ROM等を備え、ROM等に格納された制御プログラム、識別コード(二次元コード)作成プログラムに従って、搬送台22を移動させてガラス基板2の搬送処理動作及び液滴吐出ヘッド26(圧電素子42)を駆動させて液滴吐出処理動作を行う。また、ROMには、ガラス基板2に二次元コードを作成するためのビットマップデータBMDが予め格納されている。このビットマップデータBMDは、製造番号、ロット番号等の文字列、数字列等からなる各識別データを、各識別
データ毎に公知の方法で2次元コード(パターン10)化し、さらにビットマップ化したデータである。ここで、ビットマップ化とは、ドットDを形成するための液滴31を16行×16列のセルSからなるパターン形成領域Z1中のどのセルS(黒セルS1)にどのノズルを使ってどのタイミングで吐出させるかを決定することである。
【0032】
また、このビットマップデータBMDには、第1〜第3ドットD1〜D3にそれぞれ対応したドット径R1〜R3のドットを形成するためのデータも一緒に記憶されている。すなわち、例えば、ドット径R1の第1ドットD1に対応して液滴31を三度連続して吐出するようなデータが、ドット径R2の第2ドットD2に対応して液滴31を二度連続して吐出するようなデータが記憶されている。そして、ドット径R3の第3ドットD3に対応して液滴31を一度吐出するようなデータが記憶されている。これら各ドット径R1〜R3に対応する液滴31の吐出回数は、本実施形態では予め試験等を行って得られたものである。
【0033】
制御部40は、ノズル駆動回路41が接続され、ノズル駆動回路41にノズル駆動信号を出力する。ノズル駆動回路41は、制御部40からのノズル駆動信号に基づいて、液滴吐出ヘッド26に設けた各圧電素子42のうち、ノズル駆動信号に応じた圧電素子42を通電して駆動させる。そして、その圧電素子42に対応する吐出ノズル28から液滴31をガラス基板2に向かって吐出させる。
【0034】
また、制御部40は、X軸モータ駆動回路43が接続され、X軸モータ駆動回路43にX軸モータ駆動制御信号を出力するようになっている。X軸モータ駆動回路43は、制御部40からのX軸モータ駆動制御信号に応答して、前記キャリッジ25を往復移動させるX軸駆動機構中のX軸モータMXを正転又は逆転させるようになっている。そして、例えば、X軸モータMXを正転させると、キャリッジ25はX矢印方向に移動し、逆転させるとキャリッジ25は反X矢印方向に移動するようになっている。
【0035】
また、制御部40は、Y軸モータ駆動回路44が接続され、Y軸モータ駆動回路44にY軸モータ駆動制御信号を出力するようになっている。Y軸モータ駆動回路44は、制御部40からのY軸モータ駆動制御信号に応答して、前記搬送台22を往復移動させるY軸駆動機構中のY軸モータMYを正転又は逆転させるようになっている。例えば、Y軸モータMYを正転させると、搬送台22はY矢印方向に移動し、逆転させると搬送台22は反Y矢印方向に移動する。
【0036】
さらに、制御部40には、基板検出装置45が接続されている。基板検出装置45は、ガラス基板2の端縁を検出し、液滴吐出ヘッド26の直下を通過するガラス基板2の位置を制御部40によって算出する際に利用される。
【0037】
また、制御部40は、X軸モータ回転検出器46が接続され、X軸モータ回転検出器46からの検出信号が入力される。制御部40は、この検出信号に基づいて、X軸モータMXの回転方向及び回転量を検出し、液滴吐出ヘッド26(キャリッジ25)のX矢印方向の移動量と、移動方向とを演算するようになっている。また、制御部40は、Y軸モータ回転検出器47が接続され、Y軸モータ回転検出器47からの検出信号が入力される。制御部40は、Y軸モータ回転検出器47からの検出信号に基づいて、Y軸モータMYの回転方向及び回転量を検出し、液滴吐出ヘッド26に対するガラス基板2のY矢印方向の移動方向及び移動量を演算する。
【0038】
また、制御部40には、入力装置48が接続されている。入力装置48は、起動スイッチ、停止スイッチ等の操作スイッチを有し、各スイッチの操作による操作信号を制御部40に出力する。
【0039】
次に、液滴吐出装置20を使ってパターン10をガラス基板2の裏面2bに形成する方法について説明する。
まず、図7及び図8に示すように、ガラス基板2を、裏面2bが上側になるように搬送台22に配置固定する。このとき、ガラス基板2の反Y矢印側の辺は、支持フレーム23よりY矢印側に配置されている。また、キャリッジ25(液滴吐出ヘッド26)は、ガラス基板2が反Y矢印方向に移動したとき、そのキャリッジ25の直下を、パターン10を形成する位置(パターン形成領域Z1)が通過する位置にセットされている。
【0040】
この状態から、制御部40は、Y軸モータMYを駆動制御して搬送台22を介してガラス基板2を反Y矢印方向に搬送させる。やがて、基板検出装置45がガラス基板2の反Y矢印側の端縁を検出すると、制御部40は、コード作成プログラムに従って、ROMに格納した当該ガラス基板2に対するビットマップデータBMDを読み出す。そして、このビットマップデータBMDを、液滴吐出ヘッド26の吐出ノズル28を駆動させるための液滴吐出データに変換して吐出タイミングを待つ。
【0041】
制御部40は、Y軸モータ回転検出器47からの検出信号に基づいてガラス基板2がパターン10を形成する位置まで搬送されたかどうか演算する。そして、ガラス基板2がパターン10を形成する位置まで搬送されると、制御部40は、ガラス基板2を反Y矢印方向に移動させながら、作成した液滴吐出データとその吐出タイミングに基づいてノズル駆動回路41にノズル駆動信号を出力する。
【0042】
詳述すると、液滴吐出ヘッド26の吐出ノズル28に対応する圧電素子42を液滴吐出データと吐出タイミングに基づいて順次駆動する。すなわち、圧電素子42は、第1〜第3ドットD1〜D3に対応したそれぞれ予め定められた回数で、それぞれ同じ吐出タイミングで液滴31を吐出するように駆動制御される。このとき、ガラス基板2には、パターン10を構成するドット径R1〜R3の第1〜第3ドットD1〜D3を形成するための液滴31が吐出される。
【0043】
そして、パターン形成領域Z1にドットD(第1〜第3ドットD1〜D3)を形成するための液滴31が吐出されると、液滴吐出装置20によるパターン10形成のための液滴吐出動作を終了する。そして、制御部40は、Y軸モータMYを制御して、ガラス基板2を液滴吐出ヘッド26の下方位置から退出させる。
【0044】
パターン10を形成作成するための液滴吐出工程が終了したガラス基板2は、固化処理される。すなわち、ガラス基板2は、加熱工程に移る。これにより、ガラス基板2に吐出された第1〜第3ドットD1〜D3を形成するための液滴31の分散媒が蒸発し、液滴31に含まれていた微粒子がガラス基板2に固着される。ガラス基板2に固着された各微粒子は、焼結されて互いに接合し硬化状態となる。そして、半球状の第1〜第3ドットD1〜D3がガラス基板2上に形成される。
【0045】
次に本実施形態の効果を以下に記載する。
(1)本実施形態では、パターン10を形成するパターン形成領域Z1に、それぞれ異なるドット径R1,R2,R3を持つ第1ドットD1、第2ドットD2、第3ドットD3を形成した。この結果、白セルS0と黒セルS1を同じ配置で配列形成したパターンであっても、その黒セルS1のドット径Rを異ならせることによって異なる情報を表現することができる。従って、例えば、パターン10のパターン形成領域Z1を拡大してドットDを増加させることによってパターン10が表現可能な情報量を増加させるときと比較して、小さい面積で多くの情報を表現することができる。
【0046】
(2)本実施形態では、第1ドットD1、第2ドットD2及び第3ドットD3を液滴吐出装置20により形成したため、簡単かつ短時間で多くの情報を表現可能なパターン10を形成することができる。
【0047】
(3)本実施形態では、第1ドットD1、第2ドットD2及び第3ドットD3を液滴吐出装置20から液滴31をそれぞれ所定の回数ずつ吐出させることによって形成した。この結果、圧電素子42の駆動タイミングを変更することなく、吐出回数の制御のみで異なるドット径R1〜R3の第1〜第3ドットD1〜D3を形成できることから、簡単に多くの情報を表現可能なパターン10を形成することができる。
【0048】
(4)上記実施形態では、液滴吐出装置20を使用して、パターン10を形成するようにした。このため、レーザ照射、研磨等による刻印のように、ガラス基板2を変形させることなく、多くの情報を表現可能なパターン10を作成することができる。従って、表示モジュール1の設計の自由度を妨げることなく、パターン10が表現可能な情報量を増加させることができる。
【0049】
(5)本実施形態によれば、液滴吐出装置20によってパターン10を形成したので、例えば、レーザ照射や、ウォータージェット法によってパターン10を形成するときと比較して、特殊又は大型の設備を設ける必要がなく、比較的簡易な装置で、ガラス基板2にパターン10を形成できる。
【0050】
(6)本実施形態では、第1〜第3ドットD1〜D3を導電性の低いマンガンで形成した。従って、万が一、第1〜第3ドットD1〜D3が擦れて剥がれて他の装置等に付着しても、装置の故障等を招く原因となることを防止できる。また、製造工程においてガラス基板2に形成された絶縁膜中にマンガンが微量混入するようなことがあっても、絶縁膜の絶縁性を保持することができる。また、液滴31に含まれる微粒子が導電率の低いマンガンの微粒子であるため、液滴31を吐出する際に液滴31のミストが電子装置等に付着しても、装置の故障等を招く原因となることを防止できる。
【0051】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○上記実施形態では、液滴31の吐出回数によってドット径Rを制御した。これを、制御部40からノズル駆動回路41に出力されるノズル駆動信号の波形を調節することによって、圧電素子42を駆動するタイミングを調節し、吐出ノズル28から吐出される液滴31の重量を制御することによってドット径R1〜R3を制御してもよい。また、液滴31の重量及び吐出回数を制御することによってドット径R1〜R3を制御してもよい。
【0052】
○上記実施形態では、液滴31の吐出回数によってドット径R1〜R3を制御した。これを、液滴31を吐出し、ガラス基板2に付着した半球状の液滴31を乾燥させる条件を調節することによってドット径R1〜R3を制御してもよい。すなわち、液滴31がガラス基板2上に濡れ広がる前に液滴31を乾燥させるによって分散媒がより多く蒸発し、ドット径Rが小さくなる。一方、液滴31がガラス基板2上に濡れ広がった後に乾燥させることによって分散媒の蒸発量が少なくなり、ドット径Rが大きくなる。
【0053】
○上記実施形態では、パターン10の最も左側及び下側の辺に形成されるドットは第1ドットD1としたが、他のドット径Rのドットでもよい。また、パターン10の最も上側及び右側の辺に点線状に吐出されるドットは第1ドットD1としたが、他のドット径Rのドットでもよい。
【0054】
○上記実施形態では、パターン10の最も左側及び下側の辺に形成されるドット、パターン10の最も上側及び右側の辺に点線状に形成されるドットは第1ドットD1のみであ
った。これを、複数種類のドット径Rのドットを混在して吐出してもよく、2次元コードリーダにて読み取りが可能であればよい。
【0055】
○上記実施形態では、パターン10の最も左側及び下側の辺に形成されるドットを、パターン10の向きを判別するためのドットとし、パターン10の最も上側及び右側の辺に点線状に形成されるドットをパターン10として形成されるドットDのうち有効な範囲を示すためのドットとしたが、これに限定されない。2次元コードリーダによって読み取り可能であれば、向きの判別、ドットDの有効範囲を示すドットの形成される位置は任意である。さらに、2次元コードリーダによって読み取り可能であれば、向きの判別、ドットDの有効範囲を示すドットを形成しなくてもよい。
【0056】
○上記実施形態では、ドット径Rの大きさに応じて異なる情報を持たせたが、これを、セルSの面積当たりのドットDの占有率に応じて異なる情報を持たせてもよい。これにより、ドットDが歪な形に吐出され、固化されたときにも、2次元コードリーダによって読み取ることができる。
【0057】
○上記実施形態では、ドット径Rは、第1ドットD1、第2ドットD2、第3ドットD3に対応した3種類であったが、これに限定されず、2種類または4種類以上であってもよい。
【0058】
○上記実施形態では、ドット径R1は120μm、ドット径R2は70μm、ドット径R3は50μmであったが、これに限定されず、2次元コードリーダによって読み取り可能であればよい。
【0059】
○上記実施形態では、ドットDをマンガンで形成したが、2次元コードリーダで読み取ることができるものであるならば、その他金属、顔料で形成して実施してもよい。
○上記実施形態では、パターン10をガラス基板2に形成したが、シリコンウェハ、樹脂フィルム、金属板等に形成してもよい。
【0060】
○上記実施形態では、液晶表示装置の表示モジュール1に具体化した。これに限らず、例えば有機エレクトロルミネッセンス表示装置の表示モジュールであってもよく、あるいは平面状の電子放出素子を備え、同素子から放出された電子による蛍光物質の発光を利用した電界効果型装置(FEDやSED等)を備えた表示モジュールであってもよい。また、パターン10が形成されたガラス基板2等は、これらの表示装置のみでなく、他の電子機器に使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本実施形態の液晶表示装置の表示モジュールの正面図。
【図2】同じく、表示モジュールの裏面に形成されたパターンの正面図。
【図3】同じく、第1ドットのみで形成されたパターンの正面図。
【図4】同じく、第2ドットのみで形成されたパターンの正面図。
【図5】同じく、第3ドットのみで形成されたパターンの正面図。
【図6】同じく、パターンの構成を説明するための説明図。
【図7】同じく、液滴吐出装置の要部正面図。
【図8】同じく、液滴吐出装置の平面図。
【図9】同じく、液滴吐出ヘッドの拡大図。
【図10】同じく、液滴吐出装置の電気的構成を説明するためのブロック回路図。
【符号の説明】
【0062】
1…表示モジュール、2…ガラス基板、10,11,12,13…パターン、20…液
滴吐出装置、26…液滴吐出ヘッド、28…吐出ノズル、31…液滴、40…制御部、42…圧電素子、Z1…パターン形成領域、S…セル、S0…白セル、S1…黒セル、D…ドット、D1…第1ドット、D2…第2ドット、D3…第3ドット、R,R1,R2,R3…ドット径。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の所定のパターン形成領域に、選択的に液滴吐出装置から液状体を吐出させて形成するパターン形成要素を配列形成するパターンにおいて、
複数種類の大きさの前記パターン形成要素を配列形成したことを特徴とするパターン。
【請求項2】
請求項1に記載のパターンにおいて、
前記パターン形成要素の大きさは、前記パターン形成要素の直径により判断されることを特徴とするパターン。
【請求項3】
請求項1に記載のパターンにおいて、
前記パターン形成要素の大きさは、前記パターン形成領域の単位面積当たりのパターン形成要素の占有率により判断されることを特徴とするパターン。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のパターンにおいて、
前記パターンは、識別コードであることを特徴とするパターン。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のパターンにおいて、
前記基板は、表示装置の表示用基板であることを特徴とするパターン。
【請求項6】
基板の所定のパターン形成領域に、選択的に液滴吐出装置から液状体を吐出させて形成するパターン形成要素を配列形成するパターン形成方法において、
前記液状体の吐出回数を制御することによって前記パターン形成要素の大きさを異ならせることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項7】
基板の所定のパターン形成領域に、選択的に液滴吐出装置から液状体を吐出させて形成するパターン形成要素を配列形成するパターン形成方法において、
前記液状体の重量を制御することによって前記パターン形成要素の大きさを異ならせることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項8】
基板の所定のパターン形成領域に、選択的に液滴吐出装置から液状体を吐出させて形成するパターン形成要素を配列形成するパターン形成方法において、
前記基板上に吐出された前記液状体を乾燥させる条件を制御することによって前記パターン形成要素の大きさを異ならせることを特徴とするパターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−215899(P2006−215899A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−29469(P2005−29469)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】