説明

パターン化磁気記録ディスクをナノインプリントするための放射状非データマークを有するマスタディスクを作製するためのブロック共重合体を使用する方法

【課題】パターン化磁気記録ディスクをナノインプリントするための放射状非データマークを有するマスタディスクを作製するためのブロック共重合体を使用する方法を提供する。
【解決手段】 パターン化メディア磁気記録ディスクをナノインプリントするためのマスタディスクを作製する方法は、データアイランドと非データ領域の両方のパターンを有する。本方法は、ブロック共重合体(BCP)成分の1つの隙間領域のパターンだけでなくほぼ放射状の線のパターンおよび/またはほぼ同心のリングを形成するためにブロック共重合体(BCP)の誘導自己組織化を利用する。線および/またはリングのパターンは基板に垂直なラメラとして位置合わせされたBCP成分を有し、一方、隙間領域のパターンは基板に平行なラメラとして位置合わせされたBCP成分を有する。BCP成分の1つは除去され、他のBCP成分をエッチマスクとして残す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には、各データビットがディスク上の磁気的に絶縁されたデータアイランド内に格納されるパターン化メディア磁気記録ディスク(patterned−media magnetic recording disk)に関し、特に、パターン化メディア磁気記録ディスクをナノプリントするために使用されるマスタディスクを作製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パターン化磁気記憶メディアを有する磁気記録ハードディスク駆動装置は、データ密度を増加するために提案されてきた。パターン化メディアでは、ディスク上の磁気記録層が、同心データトラック内に配置された小さな孤立データアイランド群にパターン化される。パターン化データアイランド同士の必要な磁気絶縁を得るためには、アイランド間のスペースの磁気モーメントはこれらのスペースを実質的に非磁性にするために消失されるかあるいは大幅に低減されなければならない。1つのタイプのパターン化メディアでは、データアイランドは「トレンチ」の上に延在する隆起領域または柱であり、磁性材料が柱とトレンチの両方を覆い、トレンチ内の磁性材は通常はシリコン(Si)のような材料で「無力化する(poisoning)」ことにより非磁性にされる。別のタイプのパターン化メディアでは、最初に磁性材料が平らなディスク基板上に堆積される。次に、磁気データアイランドは、データアイランドを囲む領域を切削、エッチング、またはイオン衝撃(ion−bombarding)することにより形成される。パターン化メディアディスクは、磁化方向が記録層の面に平行または面内である水平磁気記録ディスク、あるいは磁化方向が記録層に垂直または記録層の面外である垂直磁気記録ディスクであってもよい。
【0003】
パターン化メディアディスクを作製するための1つの提案された方法は、地形的表面パターンを有する、「スタンパ(stamper)」と呼ばれることもあるテンプレートまたはディスクによりナノインプリントすることによる。この方法では、表面上に重合体膜を有する磁気記録ディスク基板がテンプレートに押し付けられる。重合体膜は、テンプレートパターンの反転像を受け取り、ディスク上に柱を形成するための後続のディスク基板のエッチング用のマスクになる。1つのタイプのパターン化メディアでは、磁気記録ディスクに必要な磁性体層と他の層が、エッチング済みディスク基板上と柱の上部に堆積されて、パターン化メディアディスクを形成する。別のタイプのパターン化メディアでは、磁気記録ディスクに必要な磁性体層と他の層は最初に、平らなディスク基板上に堆積される。次に、ナノインプリンティングに関連して使用される重合体膜が、これらの層の上に押し付けられる。重合体膜は、テンプレートパターンの反転像を受け取り、下地層を後続の切削、エッチング、またはイオン衝撃するためのマスクになる。テンプレートは、ディスクを直接インプリントするためのマスタディスクであってもよい。しかしながら、より可能性の高い手法は、ディスクに望まれる柱のパターンに対応する柱のパターンを有するマスタディスクを作製し、このマスタディスクを使用してレプリカテンプレートを作製することである。したがって、レプリカテンプレートは、マスタディスク上の柱のパターンに対応する凹部または穴のパターンを有することになる。レプリカテンプレートは次に、ディスクを直接インプリントするために使用される。パターン化メディアのナノインプリンティングについては、(非特許文献1)、(非特許文献2)に記載されている。
【0004】
パターン化メディアでは、同心トラック内に配置された離散データアイランドのパターンまたはアレイのビット・アスペクト比(BAR:bit−aspect−ratio)は、半径またはトラック横断方向のトラック間隔またはピッチと、円周方向またはトラックに沿う方向のアイランド間隔またはピッチと、の比である。これは、トラックに沿う方向のインチ当たりビット(BPI:bits per inch)の線形アイランド密度と、トラック横断方向のインチ当たりトラック(TPI:tracks per inch)のトラック密度との比と同じである。BARはまた、ビットセルの半径方向寸法とビットセルの円周方向寸法との比に等しい。データアイランドは、ビットセル内に配置される。ビットセルは、磁気データアイランドだけでなく、データアイランドとそのすぐ隣のデータアイランドとの間の非磁性スペースの半分も含む。データアイランドは、BARに近いかあるいはそれより大きい可能性がある、半径方向長と円周方向幅の比(アイランド・アスペクト比(IAR:island aspect ratio)とも呼ばれる)を有する。
【0005】
マスタテンプレートまたはディスクの形成は困難だが魅力的な処理である。ガウスビーム回転ステージ電子ビームライタを利用する電子ビーム(eビーム)リソグラフィの使用は、約35nmのトラックピッチ(半径またはトラック横断方向のアイランド間間隔)を有する約1のBARと、約35nmのアイランドピッチ(円周方向またはトラックに沿う方向のアイランド間間隔)と、を有するパターン化メディアディスクをナノインプリントすることができるマスタディスクを作製することが可能な方法と考えられている。データアイランドが、1のIARに対してそれぞれ約20nmの半径方向長と円周方向幅とを有すれば、これらの寸法は通常、パターン化メディアディスクの面積ビット密度を約500ギガビット/inに制限する。超高面積ビット密度(1テラビット/inを越える)を有するパターン化メディアディスクを実現するためには、約20nmのトラックピッチとアイランドピッチが必要とされる。しかしながら、ディスクのデータ領域に等しい領域の上にこれらの小さな寸法を有するパターン化メディアディスクをナノインプリントすることができるマスタディスクは、電子ビームリソグラフィの分解能では実際的ではないこともある。
【0006】
マスタディスクを作製するためのブロック共重合体(BCP:block copolymer)の有向自己組織化(directed self−assembly)もまた提案されており、1テラビット/inを越えるビット面密度を実現することができるものと考えられている。本出願と同じ譲受人に委譲された特許(特許文献1)には、ブロック共重合体の有向自己組織化または誘導自己組織化(guided self−assembly)を利用して、マスタディスク基板上にほぼ放射状の線のパターンを形成し、続いて、従来のリソグラフィを利用して、放射状線の上に同心リングのパターンを形成することが記載されている。レジストとブロック共重合体成分の1つとを除去した後、基板は、他方のブロック共重合体成分の柱のパターンを有する。このパターンは次にエッチマスクとして使用され、基板を、同心データトラック内に配置された離散データアイランドを有するディスクをナノインプリントするためのパターンにエッチングする。
【0007】
パターン化メディアディスクはまた、所望のデータトラック上に読み取り/書き込みヘッドを位置決めおよび維持するために使用されるサーボセクタ内のデータとマークの読み取りおよび/または書き込みのタイミングをとるために使用される同期マーク等の様々な種類の非データ領域を有するために必要とされる。これらの非データ領域は通常、データトラックの周囲の円周方向にちりばめられ、複数データトラックにわたって延在する。しかしながら、BCPの有向自己組織化は、同心トラックの繰り返しパターン内に配置された離散データアイランドを形成することができるだけであり、パターン化データアイランドと同時にパターン化非データ領域を形成することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7,976,715B2号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Bandic et al.,“Patterned magnetic media:impact of nanoscale patterning on hard disk drives”,Solid State Technology S7+Suppl.S,SEP 2006
【非特許文献2】Terris et al.,“TOPICAL REVIEW:Nanofabricated and self−assembled magnetic structures as data storage media”,J.Phys.D:Appl.Phys.38(2005)R199−R222
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、必要な高面積ビット密度とパターン化非データ領域とを有するパターン化メディア磁気記録ディスクを生成することができるマスタディスクと、それを作製する方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、データアイランドと非データ領域の両方に必要なパターンを有するマスタディスクを作製するためのBCPの有向自己組織化を利用する方法に関する。マスタディスクは、パターン化データアイランドとして同時に形成される必要な非データ領域も有するパターン化メディアディスクを作製するナノインプリント処理において使用される。
【0012】
本方法は、BCP成分の1つの隙間領域のパターンだけでなくほぼ放射状の線および/またはほぼ同心のリングのパターンを形成するためにBCPの誘導自己組織化を利用する。線および/またはリングのパターンは基板に垂直なラメラとして位置合わせされたBCP成分を有し、一方、隙間領域のパターンは基板に平行なラメラとして位置合わせされたBCP成分を有する。BCP成分の1つは、最終マスタディスク、または最終マスタディスクを作製するために使用される2つの別個の成形型、のいずれかを作製するエッチマスクとして他方のBCP成分を残し、除去される。
【0013】
本方法は、成形型基板またはマスタディスク基板上に、BCPブロックの1つが他方に対し強い濡れ親和性を示さない材料の重合体のほぼ中立な層を堆積する工程を含む。中立層は次にレジスト層で覆われる。電子ビーム工具は、放射状または同心状縞がL(その後堆積される選択BCPの既知のバルク周期)のほぼ整数倍(nL)である間隔または縞のピッチを有するように、レジスト層をパターン化する。電子ビーム工具はまた、隙間領域が、2Lより大きい所望の隙間幅を有するようにレジスト層をパターン化する。レジスト現像後、露出された中立層は次にエッチングされるあるいは化学的に変えられる。レジストは除去され、基板上に露出基板(または化学的に変えられた中立層材料)の放射状または同心状の縞と隙間領域のパターンを残す。縞と隙間領域の寸法のパターン化の結果として、BCPは、縞のパターン上の基板に垂直なラメラとしておよび隙間領域上の基板に平行なラメラとして、基板(または化学的に変えられた中立層材料)上に自己組織化する。
【0014】
本発明の性質と利点をより十分に理解するためには、添付図面と併せて以下の詳細な説明を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来技術において説明したようなほぼ放射状の非データマークを有するパターン化メディアタイプの磁気記録ディスクを有するディスクドライブの上面図である。
【図2】ディスク基板の表面上の帯の1つの帯内のデータアイランドの詳細な配置を示すパターン化メディアタイプの磁気記録ディスクの拡大部分の上面図である。
【図3】柱間にトレンチを有するディスク基板表面の上に延在する隆起および離間された柱としてデータアイランドを示す1つのタイプのパターン化メディアディスクの側面断面図である。
【図4】3つの環状帯内にパターン化非データ領域を有するパターン化メディアディスクの概略図である。
【図5】従来技術において提案されたような、いくつかのデータトラックに跨るパターン化非データ同期フィールドとパターン化非データサーボセクタとを有するパターン化メディアディスクの一部分を示す図である。
【図6A】本発明によるマスタディスクを作製するのに使用される成形型を作製する連続的段階における成形型の1つの環状帯の小部分の図である。
【図6B】本発明によるマスタディスクを作製するのに使用される成形型を作製する連続的段階における成形型の1つの環状帯の小部分の図である。
【図6C】本発明によるマスタディスクを作製するのに使用される成形型を作製する連続的段階における成形型の1つの環状帯の小部分の図である。
【図6D】本発明によるマスタディスクを作製するのに使用される成形型を作製する連続的段階における成形型の1つの環状帯の小部分の図である。
【図6E】本発明によるマスタディスクを作製するのに使用される成形型を作製する連続的段階における成形型の1つの環状帯の小部分の図である。
【図6F】本発明によるマスタディスクを作製するのに使用される成形型を作製する連続的段階における成形型の1つの環状帯の小部分の図である。
【図6G】本発明によるマスタディスクを作製するのに使用される成形型を作製する連続的段階における成形型の1つの環状帯の小部分の図である。
【図6H】本発明によるマスタディスクを作製するのに使用される成形型を作製する連続的段階における成形型の1つの環状帯の小部分の図である。
【図6I】本発明によるマスタディスクを作製するのに使用される成形型を作製する連続的段階における成形型の1つの環状帯の小部分の図である。
【図6J】本発明によるマスタディスクを作製するのに使用される成形型を作製する連続的段階における成形型の1つの環状帯の小部分の図である。
【図7】本発明による、電子ビームにより同心棒と隙間領域内にパターン化された中立層を有する第2の成形型を示す上面図である。
【図8】本発明の処理により作製された2つの成形型がどのようにデータアイランドと非データ放射状マークの両方の所望パターンを有するマスタディスクを作製するために使用され得るかの第1の例を示す。
【図9】本発明の処理により作製された2つの成形型がどのようにデータアイランドと非データ放射状マークの両方の所望パターンを有するマスタディスクを作製するために使用され得るかの第2の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、従来技術において説明したようなパターン化磁気記録ディスク10を有するディスク駆動装置100の上面図である。駆動装置100は、アクチュエータ130を支持する筐体または基部112と、磁気記録ディスク10をその中心13の周りで回転させるための駆動モータと、を有する。アクチュエータ130は、硬質アーム134を有し且つ矢印124により示すようにピボット132を中心として回転するボイスコイルモータ(VCM)回転アクチュエータであってよい。ヘッドサスペンションアセンブリは、アクチュエータアーム134の端に取り付けられた一端を有するサスペンション121と、サスペンション121の他端に取り付けられた空気軸受スライダなどのヘッドキャリヤ122と、を含む。サスペンション121は、ヘッドキャリヤ122をディスク10の表面の極近傍に維持できるようにする。当該技術領域でよく知られているように、磁気抵抗読み取りヘッド(magnetoresistive read head)と誘導性書き込みヘッドとを含む読み取り/書き込みヘッド109は、通常、ヘッドキャリヤ122の後続表面(trailing surface)上にパターン化された読み取り/書き込み一体化ヘッドとして形成される。
【0017】
パターン化メディア磁気記録ディスク10は、ディスク基板11と、ディスク基板11上の磁化可能材料の離散データアイランド30と、を含む。データアイランド30は、データ格納用離散磁気ビットとして機能し、半径方向に離間された円形トラック118内に配置され、トラック118は、環状帯119a、119b、119cにグループ化される。図1では、いくつかのアイランド30と代表的トラック118だけが内側帯119aと外側帯119c内に示されている。データトラックの環状ゾーンまたは帯へのグループ分けにより、帯状記録が可能になる。データアイランドの角度間隔(angular spacing)とデータ速度は、各帯で異なる。各帯内では、トラックもまた、典型的データセクタ164等の多くのデータフィールドまたはセクタに円周方向に分割される。各データセクタ164に先行して典型的な同期フィールド173などの同期フィールドがある。同期フィールド173は、非データ領域であり、データセクタ164内のデータビットの読み取りと書き込みの同期を可能にする読み取りヘッドにより検知可能である。
【0018】
ディスク10が矢印20の方向にその中心13の周りを回転するので、アクチュエータ130の移動により、ヘッドキャリヤ122の後端部(trailing end)上の読み取り/書き込みヘッドがディスク10上の異なるデータトラック118にアクセスできるようになる。ヘッドキャリヤ122の後端部上の読み取り/書き込みヘッド109をディスク内径(ID:inside diameter)の近傍からディスク外径(OD:outside diameter)の近傍へ移動させるピボット132を中心とするアクチュエータ130の回転により、読み取り/書き込みヘッドがディスク10全体にわたる弧状経路を為すことになる。各データトラックはまた、複数の円周方向すなわち角度方向に離間されたサーボセクタ150を含む。サーボセクタ150は、ヘッド109を所望のデータトラックに移動させてデータトラック上にヘッド109を維持するための、読み取りヘッドにより検知可能な位置決め情報を含む。各トラック内のサーボセクタは、半径方向に向いたサーボセクタ150により表されるように、ほぼ半径方向のトラック全体にわたるように他のトラック内のサーボセクタと円周方向に位置合わせされる。サーボセクタ150は、通常はディスクの製造またはフォーマット中に一回磁化されるディスク上の非データ領域である。サーボセクタ150はディスク駆動装置の通常動作中に消去されるように意図されてはいない。
【0019】
図2は、従来技術によるディスク基板11の表面上の帯の1つ内のデータアイランド30の詳細な配置を示すディスク10の拡大部分の上面図である。アイランド30は円状に成形されて示されているが、それらはほぼ長方形またはほぼ楕円などの他の形状を有してもよい。アイランド30は磁化可能記録材料を含み、トラック118a〜118eにより示されるように、半径方向またはトラック横断方向に離間されたトラック内に配置される。トラックは通常、ほぼ固定のトラックピッチまたは間隔TSにより離間される。各トラック118a〜118e内では、アイランド30は、典型的なアイランド30a、30bにより示されるように、ほぼ固定のトラックに沿ったアイランドピッチまたは間隔ISによりほぼ均等に離間される。ここで、ISは、トラック内の2つの隣接アイランドの中心間の間隔である。図2では、TSとISは等しいものとして示されるのでビット・アスペクト比(BAR)は1である。アイランド30もまた、ディスク中心13から延在する放射状線129a、129b、129cにより示されるように、ほぼ放射状の線内に配置される。図2はデータアイランドのいくつかだけを有するディスク基板11の非常に小さい部分だけを示すので、アイランド30のパターンは2組の垂直線であるように見える。しかしながら、トラック118a〜118eはディスク10の中心13を中心とした同心リングであり、そして線129a、129b、129cは平行線ではなくディスク10の中心13から延在する放射状線である。したがって半径方向の内側トラック(トラック118eのような)内の線129a、129b内の隣接アイランドのディスクの中心13から測定される隣接アイランド間の角度間隔は、半径方向の外側トラック(トラック118aのような)内の線129a、129b内の隣接アイランドの角度間隔と同じである。
【0020】
ほぼ放射状の線(線129a、129b、129cのような)は、完全に直線の放射状線であってもよいが、回転アクチュエータ上の読み取り/書き込みヘッドの弧状経路を複製する弓形または弧状の放射状線であることが好ましい。このような弧状の放射状線は、ヘッドがデータトラックを横切って掃引するのでデータアイランドの一定な位相位置を提供する。読み取りヘッドと書き込みヘッドとの間に非常に小さな半径方向オフセットがあり、したがってトラック上の書き込みに使用される同期フィールドは、実際には異なるトラックから読み取られる。2つのトラック間のアイランドが一致すれば(これは放射状線が弧状である場合)、書き込みは著しく単純化される。
【0021】
図2に示すようなパターン化メディアディスクは、磁化可能記録材料内の磁化方向がアイランド内の記録層に対して平行またはその面内である水平磁気記録ディスク、または磁化方向がアイランド内の記録層に対して垂直またはその面外である垂直磁気記録ディスクであってよい。パターン化データアイランド同士の必要な磁気絶縁を得るために、アイランド間の領域の磁気モーメントは、これらのスペースを実質的に非磁性にするために消失または大幅に低減されなければならない。パターン化メディアは、いくつかの既知の技術の任意のもので作製されてよい。1つのタイプのパターン化メディアでは、データアイランドは、柱間の基板表面上に谷(trough)またはトレンチを画定するようにディスク基板表面の上に延在する隆起および離間された柱である。このタイプのパターン化メディアを図3の断面図に示す。このタイプのパターン化メディアでは、プリエッチされた柱31のパターンと柱間のトレンチまたは領域とを有する基板11は、マスタテンプレートまたはディスクを使用して比較的低コストかつハイボリュームのナノインプリント処理で生成され得る。次に、磁気記録層材料が、プリエッチされた基板の全表面上に堆積されて、柱31の端部と柱31間のトレンチの両方を覆い、これにより、磁気記録層材料のデータアイランド30と磁気記録層材料のトレンチ32とが生じる。記録層材料のトレンチ32は、アイランド30内の記録層に対する読み取りまたは書き込みに悪影響を及ぼさないように読み取り/書き込みヘッドから十分に遠くに離間されてもよいし、あるいは、トレンチはSiのような材料で「無力化する」ことにより非磁性にされてもよい。
【0022】
図4は、3つの環状帯119a〜119c内にパターン化非データ領域を有するパターン化メディアディスク10の概略図である。各帯は、パターン化データアイランド(図示せず)を有する多数の個別データトラックを含む。各帯内の放射状線は、データフィールドまたはセクタ164を分離する非データ同期フィールド173を表す。したがって、帯内の各同期フィールド173は、その帯内のすべてのデータトラックを横切って半径方向に延在する。同期フィールド173の円周方向密度は3つの帯すべてにおいて同様であり、同期フィールド173の角度間隔は、ディスク内径(ID)から外径(OD)への方向のより小さな角度間隔を有するように帯内で調整される。同期フィールド173の円周方向密度と、データアイランドの「線形」またはトラックに沿った密度とは、ディスク上のすべての帯上で比較的一定のままである。すべての帯を横切ってほぼ半径方向に延在する典型的な非データサーボセクタ150も図4に示される。サーボセクタは、ディスクの周囲にほぼ均等な角度で離間される。実際は、典型的なディスクは、約20個の環状帯に分割され、これにより線形ビット密度をすべての帯にわたって数パーセント以内まで一定のままであるようにすることができる。帯119cのような各環状帯は、帯IDと帯ODを有する。また、実際は、ほぼ放射状の同期フィールド173とサーボセクタ150は、通常、回転アクチュエータの端上に搭載される読み取り/書き込みヘッドの経路を複製するほぼ弓状の線である。
【0023】
図5は、従来技術で提案されたように、いくつかのデータトラックにまたがるパターン化非データ同期フィールド173とパターン化非データサーボセクタ150とを有するパターン化メディアディスクの一部分を示す図である。図5では、3つの全データトラック118b〜118dと半トラック118aとが描写されており、3つの全データトラック118b〜118dと半トラック118aのそれぞれが、それぞれのトラック中心線を有する。読み取りヘッドは、データトラック118d内に位置するように示されている。読み取りヘッドは、ディスクが矢印20の方向に回転するにつれて同期フィールド173、トラック118d内のデータセクタ164内のデータアイランド、およびサーボセクタ150を検出することになる。
【0024】
同期フィールド173は、非磁性スペースにより分離された磁化非データアイランド173a〜173dとして4つの個々の同期マークで描写されている。同期マークは半径方向のデータトラック全体にわたって延在しており、データセクタ164内のデータビットを読み取るまたは書き込む前にフェーズロックループデータクロック(phase−locked−loop data clock)をロックするのに好適な単一の周波数パターンを生成する。同期フィールド173は、実線として表されたデータセクタ164(いくつかのデータアイランドを示す)に先行する。
【0025】
サーボセクタ150は、セクタサーボシステムにおいて一般的に使用されるタイプの従来のサーボパターンであり、明確のために著しく単純化されたパターンを示す。サーボパターンは、非データアイランドを含むいくつかのフィールドを含み、そのうちの3つは、サーボタイミングマーク(STM:servo−timing−mark)フィールド、トラックID(TID)フィールド、および位置誤差信号(PES:position−error−signal)フィールドとして示される。図5に示すPESフィールドはPESアイランドA〜Dの周知の直交パターンであるが、様々な他のタイプのPESフィールドが知られている。直交PESアイランドA〜Dは、読み取りヘッドの半径方向位置の小数部分(fractional part)を判断するために使用される。読み取りヘッドがトラック中心にある場合、AアイランドとBアイランドからのリードバック信号振幅は等しい。ヘッドが半トラック位置にある場合、CアイランドとDアイランドからのリードバック信号振幅は等しい。ヘッドがトラックから外れるにつれて、すべてのアイランドからの振幅は増加または減少することになる。PESアイランドの振幅は、ディスク駆動装置のサーボ電子回路において復号化され、読み取り/書き込みヘッドを再位置決めするために使用される。図5に示すように、STMとTIDは、複数のデータトラック全体にわたって半径方向に延在し、PESの部分は通常、2つのデータトラックにまたがる。
【0026】
図5では、同期フィールド173とサーボセクタ150内のすべてのアイランドは磁性材料の離散アイランドであり、垂直記録メディアの記録層に対して垂直(図5の紙面内または紙面外のいずれか)あるいは水平記録メディアの記録層の面内(図5のトラックに沿った方向の右または左のいずれか)のいずれかと同じ方向に磁化される。アイランドは通常、製造中に大きな磁石によりDC磁化される。各離散アイランドは、磁化されたアイランドであり、参照符号190で表された非磁性スペースにより他のアイランドから分離される。用語「非磁性」は、アイランド間のスペース190が誘電体等の非強磁性の材料で、あるいは印加磁界が存在しない場合に実質的に残留モーメントを有しない材料で、あるいは読み取りまたは書き込みに悪影響を及ぼさないようにアイランドより下方に十分に深くまで凹まされた溝(groove)またはトレンチ内の磁性材料で、形成されていることを意味する。非磁性スペース190はまた、磁性材料が存在しないように形成されてもよく、例えば、磁気記録層またはディスク基板内の溝または谷であってよい。
【0027】
図5に概略的に示すように、非データアイランド(同期フィールド173とサーボセクタ150)は、データアイランド(データセクタ164)より実質的に低い周波数を有する。これは、読み取りヘッドの所与の分解能に関し、ディスク駆動装置の読み取り/書き込み電子回路113内の最新のパーシャルレスポンス(PR)読み取りチャネルが、読み取りヘッドの分解能より小さな周期を有する線形ビット密度を処理することができるからである。しかしながら、個々のパルスを明確に弁別するためには(これはデータ同期とPES復号化に有利である)、非データアイランドの周期は読み取りヘッドの分解能に近くなくてならない。
【0028】
超高密度パターン化メディアディスクを実現するマスタテンプレートまたはディスクの作製は、困難で挑戦的な処理である。ガウスビーム回転ステージ電子ビームライタを利用する電子ビーム(eビーム)リソグラフィの使用は、約35nmのトラックピッチ(半径またはトラック横断方向のアイランド間間隔)を有する約1のBARと、約35nmのアイランドピッチ(円周方向またはトラックに沿う方向のアイランド間間隔)と、を有するパターン化メディアディスクをナノインプリントすることができるマスタディスクを作製することが可能な方法と考えられている。データアイランドが、1のアイランド・アスペクト比(IAR)に対してそれぞれが約20nm半径方向長と円周方向幅とを有すれば、これらの寸法は通常、パターン化メディアディスクの面積ビット密度を約500ギガビット/inに制限する。超高面積ビット密度(1テラビット/inを越える)を有するパターン化メディアディスクを実現するためには、約25nmのトラックピッチとアイランドピッチが必要とされる。しかしながら、ディスクのデータ領域に等しい領域の上にこれらの小さな寸法を有するパターン化メディアディスクをナノインプリントすることができるマスタディスクは、電子ビームリソグラフィの分解能では実現できない。
【0029】
マスタディスクを作製するためのBCPの有向自己組織化もまた提案されており、1テラビット/inを越えるビット面密度を実現することができるものと考えられている。本出願と同じ譲受人に委譲された特許(特許文献1)には、マスタディスク基板上にほぼ放射状の線のパターンを形成するためにBCPの有向自己組織化を利用し、続いて放射状線の上の同心リングのパターンを利用することが記載されている。レジストとBCP成分の1つとを除去した後、基板は他方のBCP成分の柱のパターンを有する。このパターンは次に、基板をエッチングするためのエッチマスクとして使用される。この結果、パターン化メディアディスクのデータアイランドの所望のパターンに対応する基板材料の柱を有するマスタディスクを得る。しかしながら、BCPの有向自己組織化の従来技術の方法は、複数のトラック全体に延在するパターン化データアイランドと非データ領域を同時に形成することができない。
【0030】
本発明は、データアイランドと非データ領域の両方に必要なパターンを有するマスタディスクを作製するためのBCPの有向自己組織化を利用する方法に関する。マスタディスクは、パターン化データアイランドとして同時に形成される必要な非データ領域も有するパターン化メディアディスクを作製するナノインプリント処理において使用される。
【0031】
本方法は、BCP成分の1つの隙間領域のパターンだけでなくほぼ放射状の線および/またはほぼ同心のリングのパターンを形成するために、BCPの誘導自己組織化を利用する。線および/またはリングのパターンは、基板に垂直なラメラ(lamellae)として位置合わせされたBCP成分を有し、一方、隙間領域のパターンは、基板に平行なラメラとして位置合わせされたBCP成分を有する。BCP成分の1つは除去され、他方のBCP成分は、最終マスタディスク、または最終マスタディスクを作製するために使用される2つの別個の成形型、のいずれかを作製するエッチマスクとして残される。
【0032】
周期的ナノメートル(nm)スケール特徴を生じるための自己組織化BCPが提案されている。自己組織化BCPは、通常、互いに混ざらない2つ以上の異なる重合体ブロック成分(例えば成分AとB)を含む。好適な条件下で、2つ以上の混ざらない重合体ブロック成分は、ナノメートルスケールの2つ以上の異なる相またはミクロドメインに分離し、これにより孤立されたナノサイズの構造ユニットの規則正しいパターンを形成する。自己組織化周期パターンを形成するために使用することができる多くのタイプのBCPがある。成分AまたはBの1つが他方を除去する必要無く選択的に除去可能であれば、規則的に配置された除去されない成分の構造ユニットを形成することができる。
【0033】
自己組織化周期パターンを形成するために使用することができる好適なBCPの特定の例としては、限定するものではないが、ポリ(スチレン・ブロック・メタクリル酸メチル)(PS−b−PMMA)、ポリ(エチレンオキシド・ブロック・イソプレン)(PEO−b−PI)、ポリ(エチレンオキシド・ブロック・ブタジエン)(PEO−b−PBD)、ポリ(エチレンオキシド・ブロック・スチレン)(PEO−b−PS)、ポリ(エチレンオキシド・ブロック・メタクリル酸メチル)(PEO−b−PMMA)、ポリ(エチレンオキシド・ブロック・エチルエチレン)(PEO−b−PEE)、ポリ(スチレン・ブロック・ビニルピリジン)(PS−b−PVP)、ポリ(スチレン・ブロック・イソプレン)(PS−b−PI)、ポリ(スチレン・ブロック・ブタジエン)(PS−b−PBD)、ポリ(スチレン・ブロック・フェロセニルジメチルシラン)(PS−b−PFS)、ポリ(ブタジエン・ブロック・ビニルピリジン)(PBD−b−PVP)、ポリ(イソプレン・ブロック・メタクリル酸メチル)(PI−b−PMMA)、ポリ(スチレン・ブロック・ジメチルシロキサン)(PS−b−PDMS)が挙げられる。
【0034】
BCPにより形成された特定の自己組織化周期パターンは、第1の重合体ブロック成分Aと第2の重合体ブロック成分Bとの分子体積比により決定される。第2の重合体ブロック成分Bの分子体積の第1の重合体ブロック成分Aの分子体積に対する比が、約80:20未満であるが約60:40より大きい場合、BCPは、第2の重合体ブロック成分Bからなる行列内の第1の重合体ブロック成分Aからなる円柱の規則正しいアレイを形成する。第1の重合体ブロック成分Aの分子体積の第2の重合体ブロック成分Bの分子体積に対する比が約60:40未満であるが約40:60より大きい場合、BCPは、第1の重合体ブロック成分Aと第2の重合体ブロック成分Bからなる交互のラメラを形成する。本発明では、除去されない成分はエッチマスクとして使用されるので、交互に配置されたラメラと交互に配置された円柱の規則正しいアレイが対象となる。
【0035】
周期パターン内の繰り返し構造ユニットの周期性またはバルク周期(L)は、重合度NとFlory−Huggins相互作用パラメータχ等の固有重合体特性により決定される。Lは重合度Nによりスケーリングされ、重合度Nは分子量Mと相関がある。したがって、本発明のBCPの全分子量を調整することにより、繰り返し構造ユニットのバルク周期(L)を選択することができる。
【0036】
自己組織化周期パターンを形成するために、BCPは最初に好適な溶媒系の中に溶解されてBCP溶液を形成し、次にBCP溶液は表面上に塗布されて薄いBCP層を形成し、続いて薄いBCP層をアニールし、これによりBCP内に含まれる異なる重合体ブロック成分間の相分離を引き起こす。BCPを溶解してBCP溶液を形成するのに使用される溶媒系は、限定するものではないが、トルエン、プロピレン・グリコール・モノメチル・エーテル・アセテート(PGMEA)、プロピレン・グリコール・モノメチル・エーテル(PGME)、アセトンを含む任意の好適な無極性溶媒を含んでもよい。BCP溶液は、限定するものではないが、回転成形、被覆、噴霧、インク被覆、浸漬被覆等を含む任意の好適な技術により基板表面に塗布され得る。BCP溶液を基板表面上に回転成形して薄いBCP層を形成することが好ましい。基板表面上に薄いBCP層を塗布した後、基板全体は、BCPにより含まれる異なるブロック成分のマイクロフェーズ分離をもたらすためにアニールされ、これにより繰り返し構造ユニットを有する周期パターンを形成する。
【0037】
上記技術におけるBCP膜は、いかなる方向付けまたは誘導も無しに自己組織化する。この無向自己組織化(undirected self−assembly)は欠陥を有するパターンを生じるので、パターン化メディアディスクをナノインプリントするためのマスタディスク上に放射状線の環状帯を作製することなど、長範囲規則化(long−range ordering)を必要とするアプリケーションには実際的ではない。しかしながら、BCP成分の1つのほぼ放射状の線および/またはほぼ同心のリングのパターンを形成するためのBCPの有向または誘導自己組織化は、本出願と同じ譲受人に委譲された特許(特許文献1)に記載されている。
【0038】
本発明の第1の実施形態では、ほぼ放射状の線と可能性としてまた隙間領域を有するものと、ほぼ同心のリングと隙間領域を有するものと、の2つの別個の成形型が作製される。2つの成形型は次にマスタディスクを作製するために使用される。各成形型を作製するための方法を、図6A〜6Jに関して説明する。図6A〜6C、図6E〜6G、図6Jは、本製作方法の様々な段階における側面断面図であり、図6D、図6H、図6Iは本方法の様々な段階における上面図である。ほぼ放射状の線と隙間領域を有する成形型を作製するための方法について図6A〜図6Jにおいて説明するが、本方法は、ほぼ同心のリングと、リングをリングの部分群に分割する円周方向隙間領域とを有する成形型を作製するものと同一である。
【0039】
最初に図6Aを参照すると、基板200は基部200を含んでよく、基部200は限定するものではないが単結晶Si、アモルファスSi、シリカ、石英、窒化シリコン、炭素、タンタル、モリブデン、クロム、アルミナ、サファイア等の任意の好適な材料から形成されてよい。重合体ブロックの1つが他方に対し強い濡れ親和性を示さない材料のほぼ中立な層205(「中立層」と呼ぶ)が、基板200上に堆積される。中立層は、これに限定されないが、官能化重合体ブラシ、架橋可能重合体、官能化重合体「A」または「B」、あるいは官能化ランダム共重合体「A−r−B」であってよい。官能基は例えば水酸基であってもよい。本例では、中立層205は、使用されるBCPより低い分子量の水酸基末端ポリスチレンブラシである。ブラシ材は、約1〜10nm(6nm未満が好ましい)の厚さで基板200上に回転塗布される。中立層の目的は、所望の領域配向(垂直ラメラ)を促進するとともに密度増倍のための濡れ条件を提供するために適切な界面エネルギーを調節することである。
【0040】
図6Bでは、レジスト層が中立層205上に堆積され、レジストのほぼ放射状の棒210にパターン化されている。レジストは、Zeon Chemicals,L.Pのポリメタクリル酸メチル(PMMA)またはZEP520のようなポジ電子ビームレジストであってもよい。レジスト層は、電子ビームによりパターン化され、現像され、放射状の縞211と中立層205の部分を露出する放射状の隙間領域211aとにより分離された放射状棒210のパターンを形成する。電子ビーム工具は、放射状縞211が、Lのほぼ整数倍(nL)すなわちその後堆積される選択BCPの既知のバルク周期である円周方向間隔または縞ピッチを有するように、レジスト層をパターン化する。図6Bでは、nは2である。電子ビーム工具はまた、隙間領域211aが所望の円周方向幅を有するようにレジスト層をパターン化する。1つの隙間領域211aだけが描写されているが、ナノインプリントディスク(nanoimprinted disk)内に非データ領域を形成するのを助けるために基板の周囲に円周方向に離間された複数の隙間領域が通常は存在するであろう。各放射状縞211の円周方向幅はほぼ0.5Lとなるように選択される。
【0041】
図6Cでは、この構造は、放射状縞211および隙間領域211a内の中立層205の部分を除去する(基板200を露出する)ために、酸素プラズマ反応性イオンエッチング(O RIE)の処理によりエッチングされる、あるいは、放射状縞211と隙間領域211a内の中立層205の露出部分の化学構造は、中立層205の露出部分が共重合体の1つに対して好ましい親和性(または反発作用)を有するように、化学的に損傷されるまたは化学的に変えられることもあり得る(酸素プラズマエッチング、あるいは反応性イオンエッチング、中性原子(Ar等)または分子切削、イオン衝撃、および光崩壊等の他の処理により)。図6D(上面図)では、レジスト210は、基板200上に重合体ブラシ材のほぼ放射状の棒205および露出基板(または化学的に変えられた中立層材料)のほぼ放射状の縞200と隙間領域200aのパターンを残して、除去される。このパターンでは、ほぼ放射状の縞200は、0.5Lの円周方向幅と2Lの円周方向ピッチを有し、隙間領域は、2Lより大きな円周方向幅を有する。図6Dはマスタディスクの非常に小さい部分だけであるので、縞200と隙間領域200aは平行縞のように見える。しかしながら縞200と隙間領域200aは図4に示すようにほぼ放射状に配置される。縞200と隙間領域200aは完全に半径方向に直線であってもよいが、回転アクチュエータ上の読み取り/書き込みヘッドの弧状経路を複製するように弓形または弧状であることが好ましい。
【0042】
次に、図6Eでは、BCP材料の層220はブラシ材の放射状棒205の上と露出基板200上に堆積される。好ましいBCP材料は約8nm〜30nmのLを有するラメラ形成性ジブロック共重合体ポリスチレン・ブロック・ポリメチルメタクリラート(PS−b−PMMA)であり、回転塗布により約0.5L〜3Lの厚さに堆積される。
【0043】
図6Fでは、BCP層は、例えば窒素雰囲気下で約60分間約250℃の加熱によりアニールされ、BCP内に含まれるAとB成分間の相分離を生じる。あるいは、BCPは、溶液内にBCPを溶解するために使用された無極性溶媒と同一または同様な蒸気への暴露により「アニール」され得る。「溶媒アニール」とも呼ばれる蒸気への暴露は、蒸気にさらされるときにBCP層のガラス転移温度Tgを室温未満まで下げる。蒸気が除去された(または浄化された)後、BCPのAとB成分はそれらの最終分相状態になる。この例では、B成分(PMMA)は、基板表面200(または化学的に変えられた中立層材料の極性基)に対する親和性を有し、したがって放射状の縞200の上にほぼ放射状の線215として形成される。縞200の円周方向幅は約0.5Lであるので、A成分(PS)は重合体ブラシ材の放射状棒205上に隣接放射状線212を形成する。AとB成分の自己組織化の結果、これは、B成分を重合体ブラシ材のそれぞれの放射状棒205の中心上にほぼ放射状の線215のように形成させる。したがって、ほぼ放射状の縞215はPSとPMMA成分の自己組織化を誘導し、図6Fに示すように、本構造内において、交互に配置された放射状の線212、215を形成する。放射状線212、215内のAとBのBCP成分は基板に垂直なラメラのように配置されるようになる。
【0044】
AとB成分はLの周期を有する並列線212、215に自己組織化することが好ましいが、放射状縞200の基板パターンは、放射状線として形成されるような交互の線212、215を誘導する。このことはLを放射状長さ全体にわたって一定にできないことを意味する。しかしながら、Lからの偏差が約10パーセントを越えなければ、いかなる重大欠陥も無しに、交互に配置された放射状線212、215のパターンを完成することができる。したがって、これを実現するために、帯IDにおける放射状縞200の円周方向間隔は約0.9nL未満であってはならず、帯ODにおける放射状縞200の円周方向間隔は約1.1nL(nは整数)より大きくてはならない。
【0045】
しかしながら、基板の露出隙間領域200aは2Lより大きな円周方向幅を有するので、AとBのBCP成分は基板に垂直なラメラとして形成できないが、その代りに基板に平行なラメラとして配置され得る。これは、隙間領域200a内の基板200上のA成分222、下部A成分222の上のB成分225、そしてB成分225の上のA成分222のすべてが基板に平行なラメラとして配向された図6Fに示される。
【0046】
次に、図6Gでは、B成分(PMMA)は、基板に垂直なラメラとして配置されるA成分(PS)のほぼ放射状の線212と基板に平行なラメラとして配置される隙間領域200a内のA成分222(および下地B成分225)とを残して湿式エッチ(酢酸、IPAまたは他の選択性溶媒)またはドライエッチング処理(O RIE)により選択的に除去される。
【0047】
図6Hは図6Gの上面図であり、円周方向間隔Lを有するほぼ放射状のA成分線212(基板に対し平行に配向される)と隙間領域200a内のA成分222(基板に対し垂直に配向される)とを示す。図6Hでは、放射状線212の円周方向密度は、図6Dの放射状縞200の円周方向密度から2倍になった。次に、A成分放射状線212と隙間領域200a内のA成分222は、基板200の非保護部分をエッチング除去するためのエッチマスクとして使用される。
【0048】
基板200がエッチングされた後、A成分放射状線212(および下地中立層205)とA成分222(および下地B成分225)は、O RIE処理により、あるいは成膜ガスRIEまたはアッシングにより、あるいは湿式処理により除去される。得られた構造を、図6Iの上面図と図6Jの断面図に示す。エッチングされた基板では、円周方向間隔Lを有するほぼ放射状の線として配置される凹部214がエッチングされている。隙間領域224(およびその2つの隣接放射状線)がA成分エッチマスクにより保護されたので、いかなる凹部もこの領域内に形成されなかった。ここで隙間領域224は、基板に平行なA成分ラメラの隙間幅に等しい円周方向隙間幅(2Lより大きい)にA成分(L)の2つの隣接放射状線の円周方向幅を加えた幅を有する基板200(図6Jに示すように)の表面である。A成分エッチマスクにより保護された基板の部分は、図6Jに示すように凹部により分離された基板柱と考えられる。ここでエッチングされた基板200は、マスタディスクの作製中にほぼ放射状の線と隙間領域をパターン化するために使用される第1の成形型として機能することができる。
【0049】
図6A〜図6Jに関して上に説明したのと同じ処理は、マスタディスクの作製中に同心リングと円周方向隙間領域をパターン化するために使用される第2の成形型を作製するために使用され得る。唯一の違いは、図6Bでは、中立層205上に堆積されるレジスト層が同心状縞211と円周方向隙間領域200aを有するレジストの同心棒210にパターン化されるということである。成形型が同心リングを作製するレジスト層のパターニングの例を、図7の上面図に示す。電子ビーム工具は、同心棒205間の同心状縞211が、0.5Lの半径方向幅と、Lのほぼ整数倍(すなわちnL、図7ではn=2)である半径方向間隔または縞ピッチとを有するようにレジスト層をパターン化する。ここで、Lはその後堆積される選択BCPの既知のバルク周期であり、放射状線を形成する際に使用されるものとは異なるLの値を有してもよい。隙間領域200aは同心棒205を同心棒の円周方向に離間された部分に分離する。
【0050】
ほぼ放射状の線のパターンを有するものと、ほぼ同心のリングのパターンを有するものと、の2つの成形型を使用してマスタディスクを作製するために、マスタディスク基板は保護層とレジスト層で覆われる。マスタディスク基板は、限定するものではないが単結晶Si、アモルファスのSi、シリカ、石英、窒化シリコン、炭素、タンタル、モリブデン、クロム、アルミナとサファイアの任意の好適な材料で形成されてもよい。保護層は、Cr、SiOまたはそれらの多層で形成されてもよい。第1の成形型、例えば放射状線を有するもの(隙間領域の有無に関らず)はレジスト層上に押し付けられ、得られたレジストパターンは、第1の成形型のパターンに対応するレジストと下地保護層の線とを残してレジストにより覆われていない保護層をエッチング除去するためのエッチマスクとして使用される。残りのレジストは乾式または湿式処理により除去される。基板はインプリントレジストにより再び被覆される。第2の成形型、すなわち同心リングと円周方向隙間領域を有するものは、次に、第1のパターン内に形成された保護層線と交差する第2の成形型のリングを有するレジスト上に押し付けられる。得られたレジストパターンは、柱トーン(pillar−tone)または孔トーン(hole−tone)のテンプレートをそれぞれ形成するためのエッチマスクまたはリフトオフマスクのいずれかとして使用される。柱トーンに使用される場合、レジストパターンは、レジストと下地保護層の柱を残してレジストにより覆われない保護層の残りの部分をエッチング除去するためのマスクとして使用される。柱は次に、マスタディスク基板の非保護部分をエッチングするエッチング処理のエッチマスクとして役立つ。
【0051】
図8A〜図8Cには、本発明の処理により作製された2つの成形型が、図5に示すデータセクタ164、同期フィールド173およびサーボセクタ150のようなデータアイランドと非データ放射状マークの両方の所望のパターンを有するマスタディスクを作製するためにどのように使用され得るかの例を示す。図8Aには、本出願と同じ譲受人に委譲された特許(特許文献1)に記載された処理に従って作製された放射状線を有する(隙間領域は無い)成形型の上面図を示す。図8Aでは、放射状線は、BCPのAとB成分がnL(ここで、Lは放射状線を作製するために選択されたBCPのバルク周期である)の円周方向間隔を有する放射状線を形成するように基板に垂直なラメラとして形成されるようにパターン化された中立層で形成されている。図8Bは、本発明の処理に従って作製された同心リングと4つの円周方向隙間領域301〜304を有する成形型を示す。隙間領域301〜304は同心リングをリング部分321〜324に分離する。図8Bでは、同心リング部分321〜324は、BCPのAとB成分がnL(ここで、Lは同心リングを作製するために選択されたBCPのバルク周期であり、放射状の線を作製するために選択されたBCPのLと異なってもよい)の放射状間隔を有する同心リングを形成するように基板に垂直なラメラとして形成されるように、パターン化された中立層により形成されている。しかしながら、中立層は、円周方向隙間領域301〜304のそれぞれが2Lより大きな円周方向幅を有するように、基板に平行なBCPのAとB成分を形成するように円周方向隙間領域301〜304内でパターン化される。図8Cは、図8Aと図8Bの成形型を使用して作製されたマスタディスクの上面図を示す。離散データアイランドを有する複数の同心データトラックで構成された4つのデータフィールド331〜334と、データトラック全体にわたって半径方向に延在しデータフィールド331〜334間の円周方向に離間される4つの非データ領域311〜314と、を有するマスタディスクが描かれている。非データ領域311〜314は、複数のデータトラック全体にわたって半径方向に延在し同期フィールドとサーボセクタマークの部分として機能することができる非データ領域としてナノインプリントディスクに複写される。
【0052】
図9A〜図9Cには、本発明の処理により作製された2つの成形型がデータアイランドと非データ放射状マークの両方の所望のパターンを有するマスタディスクを作製するためにどのように使用され得るかの別の例を示す。図9Aは、本発明の処理に従って作製された放射状の線と放射状の隙間領域351、352、353を有する成形型の上面図を示す。図9Bは図8Bのような成形型を示すが、リング部323は隣接リング部分322、324に対してxLだけ半径方向にずらされる。ここで−0.5≦x≦0.5である。したがって、リング部322は、2つの円周方向に隣接する半径方向に向いた隙間301、302間の同心状縞の第1のパターンであり、リング部323は、2つの円周方向に隣接する半径方向に向いた隙間302、303間のリング部322に対し半径方向にずれた同心状縞の第2のパターンである。これはレジストの電子ビームパターン化処理中に完成されるので、レジスト現像後、部分323内の露出中立層は半径方向にずらされる。例えば、BCPの周期的性質が、図5に示すA、B、C、Dフィールドの正確な構成の実現を困難にすると仮定すると、可能な代替案は、それぞれx=0、x=0.25、x=0.5、x=−0.25となるようなオフセットxLを有するオフセットフィールドを設計することである。ここでオフセットフィールドはA、B、C、D、D、C、B、Aの順序で配置され得る。このような構成はPES信号を抽出するために使用されてもよい。図9Cは、図9Aと図9Bの成形型を使用して作製されたマスタディスクの上面図を示す。マスタディスクは、隙間領域351、352、353が半径方向に延在することと、リング部323が半径方向にずらされること以外は図8Cのマスタディスクと同様である。図9Cのマスタディスクによりナノインプリントディスクでは、隙間領域351〜353は放射状同期フィールドまたは他の非データ放射状マークとして機能することができ、ずらされたリング部323はPESフィールドの一部として機能することができる。図8A〜8Cと図9A〜図9Cは、本発明の方法を使用して、マスタディスク上に形成することができる非データ領域の可能なタイプの単に2つの例である。基板に平行に配向されたBCPラメラを使用する隙間領域は、放射状線および/または基板に垂直に配向されたBCPラメラを使用する同心リングと同時に形成され得る。異なるサイズと位置の隙間領域を有する2つの成形型を組み合わせることによりナノインプリントディスク中に様々な特徴を形成することが可能であることは明らかである。
【0053】
本方法の第2の実施形態では、マスタディスクは直接作製される。この方法は、本出願と同じ譲受人に委譲された特許(特許文献1)に記載され参照により本明細書に援用する方法を使用するが、放射状線および/または同心リングと同時に隙間領域を作製する方法を取り入れている。本方法のこの実施形態は、バルク周期L=Lradを有する第1のBCP材料を使用して、ほぼ放射状の縞を交互の第1のBCP成分のほぼ放射状の線に増倍するためにその成分中に第1のBCPの誘導自己組織化を生じさせることと、任意選択的な隙間領域を形成するために基板に平行なラメラとして第1のBCP成分を任意選択的に形成することを含む。第1のBCP成分の1つは、隙間領域内に残りの第1のBCP成分と残りの第1のBCP成分の放射状の線を残して除去される。得られた構造は図6G〜6Hに示した通りである。次に、任意選択的な保護層が第1のBCPの残りの成分の上に堆積される。保護層は、約1〜2nmの厚さにスパッタ蒸着されたSi、SiO、アルミナ(Al)または同様の材料であってよい。保護層の目的は、後続の処理中の残りの第1のBCP成分の移動および/または溶解を防ぐことである。次に、第2の中立層が保護層上に堆積される。レジスト層が第2の中立層の上に塗布され、そして図7に示すように電子ビームにより同心棒と隙間領域にパターン化される。次に、ほぼ同心のリングと隙間領域を画定するために、バルク周期L=Lcircを有する第2のBCPがこれらの同心棒と隙間領域の上に堆積される。第2のBCPの成分の1つは、隙間領域内に残りの第2のBCP成分と残りの第2のBCP成分の同心リングを残して除去される。第2のBCPの成分の1つの同心リングは、第2のBCPの残りの成分の同心リングを残して除去される。残りの第2のBCP成分の同心リングと隙間領域と、残りの第1のBCP成分の下地放射状線と隙間領域は、エッチマスクとして機能するグリッドを形成する。マスクを介した基板のエッチングとそれに続く残りのBCP材料の除去により、凹部または孔のパターンを有するマスタ成形型が得られる。Lcirc/Lradの比は、マスタディスクから作製されるディスクのBARを規定する。Lcirc=LradであればBARは1となるが、BARは異なるバルク比率Lを有する2つのBCPの適切な選択により1を越え得る。
【0054】
本発明は好ましい実施形態を参照し具体的に示され説明されたが、形式と詳細の様々な変更が本発明の精神および範囲を逸脱することなくなされ得ることは当業者には明らかであろう。したがって、開示された発明は、単に例示的であり、そして添付の特許請求範囲に規定される範囲内においてのみ限定されるものと考えるべきである。
【符号の説明】
【0055】
10 磁気記録ディスク
11 ディスク基板
13 中心
20 矢印
30、30a、30b アイランド
31 柱
32 トレンチ
100 ディスク駆動装置
109 読み取り/書き込みヘッド
112 基部
118、118a〜118e トラック
119a、119b、119c 環状帯
121 サスペンション
122 ヘッドキャリヤ
124 矢印
129a、129b、129c 放射状線
130 アクチュエータ
132 ピボット
134 アクチュエータアーム
150 サーボセクタ
164 データセクタ
173、173a、173b、173c、173d 同期フィールド
190 非磁性スペース
200 基板
200a、211a、224、301〜304、351〜353 隙間領域
205 中立層
210 放射状棒
211 放射状縞
212 隣接放射状線
214 凹部
215 放射状線
220 BCP材料の層
222 A成分
225 B成分
311〜314 非データ領域
321〜324 リング部
331〜334 データフィールド
ID 内径
IS 間隔
バルク周期
OD 外径
PES 位置誤差信号
STM サーボタイミングマーク
TS 間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気記録ディスクをインプリントする際に使用するマスタディスクを作製するためのブロック共重合体(BCP)を使用する方法であって、
基板を設ける工程と、
前記基板上に重合体中立層を堆積する工程と、
前記中立層を縞と隙間領域のパターンにパターン化する工程であって、前記縞はほぼ均等に離間されてほぼnLの縞ピッチを有し、nは2以上の整数であり、LはBCPのバルク周期であり、前記隙間領域は2Lより大きな隙間幅を有する、工程と、
前記パターン化された中立層上にバルク周期Lを有するBCPを形成する工程であって、前記BCPは、前記縞により誘導され、第1の成分と第2の成分が前記基板に垂直なラメラとして配置され且つ交互になっている前記BCPに自己組織化し、前記BCPは、第1の成分と第2の成分が前記基板に平行なラメラとして配置され且つ交互になっている前記BCPとして前記隙間領域内に自己組織化する、工程と、
前記基板上に前記第1の成分を残して前記第2の成分を除去する工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記基板はマスタディスクの作製のための成形型基板であり、
マスクとして前記BCPの前記第1の成分を使用して前記成形型基板をエッチングする工程と、
前記BCPの前記第1の成分の前記パターンに対応するパターンを有する成形型として前記成形型基板を残して前記BCPの前記第1の成分を除去する工程と、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記縞のパターンは中心の周りのほぼ放射状の縞のパターンであり、
前記BCPは、前記縞により誘導され、第1の成分と第2の成分が交互になっている前記BCPのほぼ放射状の線に自己組織化し、
前記隙間領域は、ほぼ半径方向に向いた隙間であり、
前記隙間幅は、前記半径方向に向いた隙間の円周方向幅である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記放射状の縞は、ほぼ弧状の形を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記縞のパターンは中心の周りのほぼ同心の縞のパターンであり、
前記BCPは、前記縞により誘導されて、第1の成分と第2の成分が交互になっている前記BCPのほぼ同心のリングに自己組織化し、
前記隙間領域は、ほぼ半径方向に向いた隙間であり、
前記隙間幅は前記半径方向に向いた隙間の円周方向幅である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記同心の縞のパターンは、第1のパターンの同心状縞と、前記第1のパターンの同心状縞に対して半径方向にずらされた第2のパターンの同心状縞と、を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記BCPはバルク周期Lを有し、前記半径方向のずれはxLであり、−0.5≦x≦0.5である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記中立層をパターン化する工程は、前記基板を露出するために前記中立層の一部を除去することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記中立層をパターン化する工程は、前記中立層の一部を化学的に変えることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記パターン化された中立層上にBCPを形成する工程は、
BCPの層を堆積することと、
前記第1の成分と第2の成分に相分離を引き起こすために前記堆積したBCPをアニールすることと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記BCPはポリスチレン(PS)とポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)の共重合体である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
磁気記録ディスクをインプリントする際に使用するマスタディスクを作製する方法であって、
請求項3に記載の方法を使用して第1の成形型を作製する工程と、
請求項5に記載の方法を使用して第2の成形型を作製する工程と、
マスタディスク基板を設ける工程と、
前記マスタディスク基板上にレジスト材料の層を形成する工程と、
前記第1の成形型と前記第2の成形型のうちの1つによって前記レジスト材料にインプリントして、前記マスタディスク基板上に第1のパターンのレジスト材料を形成する工程と、
エッチマスクとして前記第1のパターンを使用して前記マスタディスク基板をエッチングする工程と、
前記第1の成形型と前記第2の成形型の他方によって前記レジスト材料にインプリントして、前記マスタディスク基板上に第2のパターンのレジスト材料を形成する工程と、
前記マスタディスク基板をエッチングする工程と、
前記レジスト材料を除去する工程と、
を含む方法。
【請求項13】
磁気記録ディスクをインプリントする際に使用するマスタディスクを作製するためのブロック共重合体(BCP)を使用する方法であって、
基板を設ける工程と、
前記基板上に第1の重合体の中立層を堆積する工程と、
前記第1の中立層を、ほぼ均等に離間され、約nLradの縞ピッチを有する第1のパターンの縞にパターン化する工程であって、nは2以上の整数であり、Lradは第1のBCPのバルク周期Lである、工程と、
前記パターン化された第1の中立層上にバルク周期Lradを有する第1のBCPを形成する工程であって、前記第1のBCPは、前記第1のパターンの縞により誘導され、第1の成分と第2の成分が前記基板に垂直なラメラとして配置され且つ交互になっている前記第1のBCPに自己組織化する、工程と、
前記基板上に第2の重合体の中立層を堆積する工程と、
前記第2の中立層を、ほぼ均等に離間され、約nLcircの縞ピッチを有する第2のパターンの縞にパターン化する工程であって、nは2以上の整数であり、Lcircは第2のBCPのバルク周期Lである、工程と、
前記パターン化された第2の中立層上にバルク周期Lcircを有する第2のBCPを形成する工程であって、前記第2のBCPは、前記第2のパターンの縞により誘導され、第1の成分と第2の成分が前記基板に垂直なラメラとして配置され且つ交互になっている前記第2のBCPに自己組織化する、工程と、を含み、
前記第1のパターン化された中立層と前記第2のパターン化された中立層の1つは、2Lより大きな隙間幅を有する隙間領域を含み、
前記パターン化された中立層上の前記BCPは、第1の成分と第2の成分が前記基板に平行なラメラとして配置され且つ交互になっている前記BCPとして前記隙間領域内に自己組織化する、方法。
【請求項14】
前記パターン化された第2の中立層上における前記第2の中立層の前記堆積とパターニングと前記第2のBCPの形成は、前記パターン化された第1の中立層上の前記第1のBCPの前記堆積とパターニングと前記第1の中立層の形成の前に行なわれる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の縞のパターンは中心の周りのほぼ放射状の縞のパターンであり、
前記第1のBCPは、前記縞により誘導され、第1の成分と第2の成分が交互になっている前記第1のBCPのほぼ放射状の線に自己組織化し、
前記第2の縞のパターンは中心の周りのほぼ同心の縞のパターンであり、
前記第2のBCPは、前記縞により誘導され、第1の成分と第2の成分が交互になっている前記第2のBCPのほぼ同心のリングに自己組織化する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のパターン化された中立層は隙間領域を含み、
前記隙間領域は、前記放射状の線間の半径方向に向いた隙間であり、
前記隙間幅は、前記半径方向に向いた隙間の円周方向幅である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2のパターン化された中立層は隙間領域を含み、
前記隙間領域は、前記同心のリングをリング部分に分離するほぼ円周方向の隙間領域であり、
前記隙間幅は、前記円周方向の隙間領域の円周方向幅である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
第2の重合体中立層を堆積する前に前記第1のBCP成分の1つを除去し、前記第1のBCP成分の他方の上に保護層を堆積する工程をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の中立層をパターン化する工程は、前記基板を露出するために前記第1の中立層の一部を除去することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の中立層をパターン化する工程は、前記第1の中立層の一部を化学的に変えることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記パターン化された第1の中立層上に第1のBCPを形成する工程は、
第1のBCPの層を堆積することと、
前記第1の成分と前記第2の成分に相分離を引き起こすために前記堆積された第1のBCPをアニールすることと、
を含み、
前記パターン化された第2の中立層上に第2のBCPを形成する工程は、
第2のBCPの層を堆積することと、
前記第1の成分と前記第2の成分に相分離を引き起こすために前記堆積された第2のBCPをアニールすることと、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記第1のBCPと前記第2のBCPの少なくとも1つはポリスチレン(PS)とポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)の共重合体である、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
circはLradより大きい、請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図6H】
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【図6I】
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【図6J】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−97863(P2013−97863A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−241571(P2012−241571)
【出願日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【出願人】(503116280)エイチジーエスティーネザーランドビーブイ (1,121)
【Fターム(参考)】