説明

パターン形成方法及び配線基板

【課題】大面積のパターンの厚みの均一化を図ることが可能なパターン形成方法を提供する。
【解決手段】ベース基板20上に大面積のパターン30を形成するパターン形成方法は、ベース基板20上のパターン形成領域21内に、ベース基板20から突出する複数の第1の凸部40を形成する第1の工程S1と、第1の凸部40が形成されたパターン形成領域21内にインクを吐出し、インクを乾燥させて、パターン30を形成する第2の工程S2と、を備えており、複数の前記第1の凸部は、相互に間隔を空けて二次元的に配置されることを特徴とするパターン形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン形成方法及び配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット法によって基板に着弾させたインクを乾燥させて乾燥体を形成し、当該乾燥体においてコーヒーステイン現象により膜厚が薄くなった部分(凹部)に、再度インクを着弾させて、ラインパターンの厚さの均一化を図ったラインパターン形成方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−234354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の発明では、パターンの面積が大きくなると、コーヒーステイン現象の発生を抑制することが困難となり、パターンの厚さが不均一になってしまうおそれがあるという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、大面積のパターンの厚みの均一化を図ることが可能なパターン形成方法及び配線基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明に係るパターン形成方法は、基板上に大面積のパターンを形成するパターン形成方法であって、前記基板上のパターン形成領域内に、前記基板から突出する複数の第1の凸部を形成する第1の工程と、前記第1の凸部が形成された前記パターン形成領域内にインクを吐出し、前記インクを乾燥させて、前記パターンを形成する第2の工程と、を備えており、複数の前記第1の凸部は、相互に間隔を空けて二次元的に配置されることを特徴とする。
【0007】
[2]上記発明において、前記第1の工程は、前記パターン形成領域の外縁に、前記基板から突出する第2の凸部を形成することを含んでいてもよい。
【0008】
[3]上記発明において、前記第1の凸部は、平面視において、直線形状又は円弧形状を含んでいてもよい。
【0009】
[4]上記発明において、前記第1の工程は、前記パターン形成領域内にインクを吐出し、前記インクを乾燥させて、前記第1の凸部を形成することを含み、前記第1の工程で使用するインクは、前記第2の工程で使用するインクと同一の組成であってもよい。
【0010】
[5]本発明に係る配線基板は、絶縁性基板と、前記絶縁性基板上に形成された大面積のパターンと、前記パターンの内側において盛り上がっている複数の凸部と、を備えており、複数の前記凸部は、相互に間隔を空けて二次元的に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、基板のパターン形成領域内に、相互に間隔を空けて二次元的に、複数の第1の凸部を配置することで、大面積のパターンの厚みの均一化を図ることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態におけるパターン基板の部分平面図である。
【図2】図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態におけるパターンと第1及び第2の凸部の変形例を示す平面図である(その1)。
【図4】図4は、本発明の第1実施形態におけるパターンと第1及び第2の凸部の変形例を示す平面図である(その2)。
【図5】図5は、本発明の第1実施形態におけるパターン形成方法を示すフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の第1実施形態におけるパターン形成装置の概要を示す構成図である。
【図7】図7は、本発明の第1実施形態における作用を説明する断面図である。
【図8】図8は、本発明の第1実施形態における作用を説明する平面図である。
【図9】図9は、本発明の第2実施形態におけるパターン基板の部分平面図である。
【図10】図10は、本発明の第2実施形態におけるパターンと第1の凸部の変形例を示す平面図である。
【図11】図11は、本発明の第2実施形態の凸部形成装置の概要を示す構成図である。
【図12】図12は、本発明の第3実施形態におけるパターン基板の部分平面図である。
【図13】図13は、図12のXIII−XIII線に沿った断面図である。
【図14】図14は、本発明の第3実施形態におけるパターンと第1の凸部の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
<<第1実施形態>>
図1は本実施形態におけるパターン基板の部分平面図、図2は図1のII−II線に沿った断面図、図3及び図4は本実施形態におけるパターンと第1及び第2の凸部の変形例を示す平面図である。
【0015】
本実施形態におけるパターン基板1は、図1及び図2に示すように、ベース基板20と、パターン30と、第1の凸部40と、第2の凸部50と、を備えている。なお、本実施形態におけるベース基板20が本発明の基板及び絶縁性基板の一例に相当する。
【0016】
ベース基板20は、厚さが100μmのガラス基板で構成されている。なお、ベース基板20の厚さや材料については、主面にパターン30を形成することができれば、特に限定されない。例えば、ベース基板20を、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、フェノール樹脂、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁性の樹脂材料で構成してもよい。
【0017】
このベース基板20は、パターン30が形成されたパターン形成領域21を有している。
【0018】
パターン30は、500μmの直径を有する円形に形成されている。なお、パターンの形状については二次元的な形状となっていれば特に限定されず、例えば矩形であってもよい。パターン30の大きさについては、パターン30が円形である場合には、直径が数百μm、より具体的には100〜500μmとなるような大面積のパターンや、パターン30が矩形で形成されている場合には、一辺の長さが100〜500μmとなるような大面積のパターンとなっていれば特に限定されない。
【0019】
本実施形態におけるパターン30は、硬化したポリイミドインクで構成されている。なお、このパターン30を構成する材料については、後述するインクジェット法によってインクジェットヘッド120から吐出させるのに適した材料であれば特に限定されない。例えば、パターン30の材料を、導電性材料、半導体材料、絶縁性材料等の機能性材料を含有したインクで構成してもよい。導電性材料としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、タングステン、ニッケル、タンタル、ビスマス、鉛、インジウム、錫、亜鉛、チタン、及びアルミニウムの群からなる金属種群のうちの何れか一種若しくは二種以上の金属、又は、前記金属種群のうちの何れか二種以上の金属からなる合金等を例示することができる。また、前記金属種群のうちの何れか一種若しくは二種以上の金属の酸化物を含む無機物を用いてもよいし、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール等の導電性ポリマーのモノマーやオリゴマーを用いてもよい。また、絶縁体材料としては、ポリイミド樹脂の他に、例えば、エポキシ樹脂等を例示することができる。また、半導体材料として、例えば、Siなどの無機半導体や、C8-BTBTなどの有機半導体を用いてもよい。さらに、機能性材料として、例えば、液晶パネルの配向膜やカラーフィルタ材料をインクが含有してもよい。なお、導電性材料が金属の場合には、金属無機塩や有機金属錯体を有機溶媒中に分散させてもよい。ここで、以下において、パターン30を構成するインクをパターンインクと称する。
【0020】
このようなパターン30としては、例えば、エッチングレジストのパターンを挙げることができる。また、パターン30を導電性の材料で構成する場合には、パターン30として、外部の電子部品との電気的な接点となるパッドを挙げることができる。なお、パターン30は、ベース基板20上に形成されるパターンであれば、特にこれらに限定されない。
【0021】
第1の凸部40は、図2に示すように、ベース基板20から突出している部材であり、パターン基板1において、パターン30の内側に盛り上がった部分を形成している。この第1の凸部40は、図1の平面視に示すように、パターン30の中心Oを中心とする4つの円弧状凸部41a〜41dと、同様にパターン30の中心Oを中心とし、円弧状凸部41a〜41dの外側に配置された4つの円弧状凸部42a〜42dと、を有している。
【0022】
円弧状凸部41a〜41dは、実質的に同一の半径を有しており、図1に示すように、隣接する円弧状凸部41a〜41d同士の間に間隔L1を空けて、部分的に途切れた環状となるように配置されている。ここで、本実施形態では、円弧状凸部41a〜41dにおいて、円弧状凸部41aを基準とすると、円弧状凸部41bが図中Y方向に位置し、円弧状凸部41cが図中X方向とY方向の間の方向に位置し、円弧状凸部41dが図中X方向に位置する。つまり、本実施形態における円弧状凸部41b〜41dの配置は、円弧状凸部41aに対して、少なくとも2方向(図中X方向及びY方向)に沿った二次元的な配置となっている。なお、ここでいう「二次元的な配置」とは、第1の凸部41a〜41dを、少なくとも2方向に沿って配置することのみならず、特に図示しないが、円弧状凸部41a〜41d(第1の凸部40)を平面方向に規則的又は不規則に散在させることを含む。
【0023】
円弧状凸部42a〜42dも、図1に示すように、隣接する円弧状凸部42a〜42d同士の間に間隔L2を空けて、部分的に途切れた環状となるように二次元的に配置されている。
【0024】
ここで、円弧状凸部41a〜41d,42a〜42dの線幅は、パターン30の直径の25%以下となっていることが好ましい。例えば、円形のパターン30の直径が500μmである場合には、円弧状凸部41a〜41d,42a〜42dの線幅として、50μmを挙げることができる。また、円弧状凸部41a〜41d同士の間の間隔L1は、円弧状凸部41a〜41dの線幅に対して50倍以下が好ましい。同様に、円弧状凸部42a〜42d同士の間の間隔L2も、円弧状凸部42a〜42dの線幅に対して50倍以下が好ましい。
【0025】
また、本実施形態における円弧状凸部41a〜41d,42a〜42dの厚さとしては、例えば5μmを挙げることができるが、特に限定されない。なお、パターン30を形成する際に、コーヒーステイン現象による厚みの不均一化を効果的に抑制するために、円弧状凸部41a〜41d,42a〜42dの厚さを、パターン30の厚さの50%〜500%の範囲内とすることが好ましい。このようなコーヒーステイン現象を抑制する作用については、後で詳細に説明する。
【0026】
本実施形態における第1の凸部40(円弧状凸部41a〜41d,42a〜42d)は、硬化した紫外線硬化型のアクリル系樹脂インクで構成されているが、第1の凸部を構成する材料については特に限定されない。例えば、第1の凸部40を、上述したパターンインクと同一の組成のインクで構成してもよい。
【0027】
第2の凸部50は、図1に示す平面視のように、パターン30を包囲する環状に形成されている。
【0028】
本実施形態における第2の凸部50は、第1の凸部40と同様に、硬化した紫外線硬化型のアクリル系樹脂インクで構成されている。なお、第2の凸部50を構成する材料については特に限定されず、第2の凸部50を、上述したパターンインクと同一の組成のインクで構成してもよい。また、第2の凸部50を、第1の凸部40とは異なる材料で構成してもよい。
【0029】
ここで、本実施形態では、パターン30を円形に形成したが、パターン30の形状については特に限定されない。また、本実施形態では、第1の凸部40を、4つの円弧状凸部41a〜41dと、4つの円弧状凸部42a〜42dとで構成したが、これらの数や形状についても特に限定されない。また、第1の凸部40の配置についても、複数の第1の凸部40同士の間に間隔をあけた状態で、二次元的に配置されていれば、特に限定されない。
【0030】
また、本実施形態では、第2の凸部50を環状に形成したが、第2の凸部50の形状については特に限定されない。例えば、部分的に途切れた環状となっていてもよい。また、第2の凸部50の有無についても特に限定されず、第2の凸部50を設けない構成としてもよい。
【0031】
例えば、図3(a)に示す平面視のように、パターン30を矩形に形成し、第2の凸部を設けない構成としてもよい。また、図3(b)に示す平面視のように、パターン30を矩形に形成すると共に、第1の凸部40を円弧状凸部42a〜42dのみで構成し、第2の凸部50を、パターン30の角に沿って折れ曲がった4つの直線状凸部51a〜51dで構成してもよい。
【0032】
また、図4(a)に示す平面視のように、パターン30を略矩形(四隅を円弧に形成した矩形)に形成すると共に、第1の凸部40を円弧状凸部41a〜41dのみで構成し、第2の凸部50を、矩形のパターン30の辺に沿った4つの直線状凸部52a〜52dで構成してもよい。
【0033】
さらに、図4(b)に示す平面視のように、パターン30を矩形に形成すると共に、第1の凸部40を、直線が折れ曲がった直線状凸部43a〜43dで構成し、第2の凸部50を、矩形のパターン30の辺に沿った4つの直線状凸部52a〜52dで構成してもよい。以上のように、第1及び第2の凸部40,50については、直線形状や円弧形状を含んだ形状とすることができる。
【0034】
以上に説明したパターン基板1としては、例えば、エッチングレジストのパターン30が形成された基板を挙げることができる。一方、パターン30を導電性の材料で構成する場合には、パターン30をパッドとして利用する配線基板を挙げることができる。
【0035】
次に、本実施形態のパターン基板1におけるパターン30の形成方法について説明する。
【0036】
図5は本実施形態におけるパターン形成方法を示すフローチャート、図6は本実施形態におけるパターン形成装置の概要を示す構成図である。
【0037】
本実施形態におけるパターン形成方法は、図5に示すように、第1及び第2の凸部40,50を形成する第1の工程S1と、パターン30を形成する第2の工程S2と、を有している。
【0038】
第1の工程S1では、まず、スクリーン印刷により、ベース基板20においてパターン30を形成するパターン形成領域21内に、紫外線硬化型のアクリル系樹脂インクを、第1及び第2の凸部40,50の形状(パターン)に印刷する。つまり、本実施形態では、紫外線硬化型のアクリル系樹脂インクを、上述したような間隔L1,L2を空けて二次元的に配置させた複数の円弧形状に印刷すると共に、パターン形成領域21を取り囲む環状に印刷する。ここで、以下において、第1及び第2の凸部40,50を構成するインクを凸部インクと称する。
【0039】
次いで、このように印刷された凸部インクに対して紫外線を照射して、当該凸部インクを硬化させる。
【0040】
本実施形態では、このようなスクリーン印刷及び紫外線の照射の工程を複数回繰り返すことで、所定の厚さ(例えば、5μm程度)及び線幅(例えば、50μm程度)でベース基板20から突出した第1及び第2の凸部40,50を形成する。
【0041】
なお、本実施形態では、上記のようにスクリーン印刷によって、第1及び第2の凸部40,50を形成したが、第1及び第2の凸部40,50の形成方法については特に限定されない。
【0042】
例えば、ベース基板上に、第1及び第2の凸部の材料を塗布或いは積層し、当該材料上に、フォトリソグラフィ技術を用いてマスクパターンを形成し、このマスクパターンから露出した第1及び第2の凸部の材料をエッチングすることで、第1及び第2の凸部を形成してもよい。
【0043】
或いは、インクジェット法によって、ベース基板上に凸部インクを吐出して、当該凸部インクを硬化させることで第1及び第2の凸部を形成したり、インプリント法によって、第1及び第2の凸部を形成したりしてもよい。また、ベース基板自体を加工して、第1及び第2の凸部を形成してもよい。
【0044】
さらに、本実施形態では、上述したような方法で第1及び第2の凸部40,50が形成されたベース基板20に対して、酸素プラズマ処理を行う。これにより、ベース基板20と、第1及び第2の凸部40,50とを、表面改質し、パターンインクの液滴6に対して濡れ易くする。
【0045】
次に、パターン30を形成する第2の工程S2について説明する。
【0046】
第2の工程S2では、まず、図6に示すように、パターン形成装置100を用いて、インクジェット法により、パターン形成領域21にポリイミドインクからなるパターンインクの液滴6を塗布する。
【0047】
ここで、この第2の工程S2において用いられるパターン形成装置100について説明する。
【0048】
このパターン形成装置100は、いわゆるインクジェット方式の印刷装置であり、図6に示すように、ステージ110と、インクジェットヘッド120と、を有している。
【0049】
ステージ110は、ベース基板20を上面で保持しており、例えば、特に図示しないボールネジ機構によって、図中のXY平面上を移動することが可能となっている。なお、ステージ110を構成する材料としては、ステンレスを挙げることができるが、特に限定されない。
【0050】
インクジェットヘッド120は、パターンインクの液滴6を吐出するノズル121を有している。特に図示しないが、このノズル121は、インクが充填された微小な圧力室に連通しており、この圧力室内に大きな圧力を発生させることで、パターンインクの液滴6をノズル121の開口を介してベース基板20に向かって吐出することが可能となっている。なお、このインクジェットヘッド120の圧力発生方式としては、ピエゾ方式、バブル方式、或いは静電吸引方式のいずれであってもよい。
【0051】
本実施形態では、上述したパターン形成装置100を用いて、図6に示すように、パターン形成領域21の略中央に向ってパターンインクの液滴6を繰り返し吐出する。本実施形態では、パターン形成領域21に着弾したパターンインクの液滴6が、パターン形成領域21の全域に濡れ広がるまで、インクジェットヘッド120にパターンインクの液滴6を吐出させる。なお、本実施形態では、上記のように、パターン形成領域21の略中央にパターンインクの液滴6を着弾させているが、特に限定されず、ステージ110を移動させながら、パターン形成領域21内の複数の箇所にパターンインクの液滴6を着弾させてもよい。
【0052】
次いで、このようにベース基板20に着弾したパターンインクの液滴6を乾燥させるために、例えば、ホットプレートを用いて、ベース基板20を60℃に加熱する。次いで、ベース基板20に対して、大気雰囲気下において200℃の温度で熱処理を行うことで、パターンインクを硬化させて、パターン30を形成する。なお、パターンインクを乾燥させる際の温度や、パターンインクを硬化させる際の温度については、特に限定されない。
【0053】
次に、本実施形態におけるパターン形成方法の作用について説明する。
【0054】
図7は本実施形態における作用を説明する断面図、図8は本実施形態における作用を説明する平面図である。なお、図7及び8に示す液滴6内の矢印は、液滴6の内部の流れを示している。
【0055】
インクジェット法により大面積のパターンを形成すると、基板に着弾したインクの液滴が乾燥する際に、コーヒーステイン現象によって、インクの液滴内に中央部分から外縁部に向った流れが生じ、結果として、中央部分が薄く、外縁部分が厚くなった厚さの不均一なパターンが形成されてしまう。
【0056】
これに対し、本実施形態では、相互に間隔L1,L2を空けて二次元的に配置した複数の第1の凸部40(円弧状凸部41a〜41d,42a〜42d)をパターン形成領域21に形成し、当該パターン形成領域21にパターンインクを塗布してパターン30を形成している。
【0057】
これにより、本実施形態では、図7に示すように、パターン形成領域21に着弾したパターンインクの液滴6が乾燥する際には、第1の凸部40が、コーヒーステイン現象による中央部分から外縁部に向ったパターンインクの液滴6内の流れを阻害する。これにより、パターン30の中央部分の厚さが薄くなることが抑制されるため、パターン30の厚みの均一化を図ることが可能となっている。
【0058】
ここで、仮に、複数の第1の凸部同士の間に、間隔をあけず、第1の凸部を、連続して接続する環状に形成すると、環状の第1の凸部内のパターンインクの液滴が、第1の凸部によって堰き止められてしまう。このため、環状の第1の凸部内のパターンインクの液滴と、環状の第1の凸部外のパターンインクの液滴とで厚みが相違してしまい、結果として、不均一な厚さのパターンが形成される恐れがある。
【0059】
また、この環状の第1の凸部の内側から外側にパターンインクを塗布させるためには、第1の凸部を乗り越えるような多量のパターンインクの液滴を、環状の第1の凸部内に吐出する必要がある。このため、パターンの厚さが、所望の厚さよりも厚くなってしまう恐れがある。
【0060】
さらに、環状の第1の凸部内のパターンインクの液滴と、環状の第1の凸部外のパターンインクの液滴とが、第1の凸部によって堰き止められてしまうことで、両者の間に界面が形成される。これにより、例えば、パターンを、電気的接続のためのパッドとして利用する場合には、この界面によって電気的接続の信頼性が低下してしまう恐れがある。
【0061】
これに対し、本実施形態では、図8に示すように、円弧状凸部41a〜41d同士の間に間隔L1を空けているので、パターン形成領域21に着弾したパターンインクの液滴6が、円弧状凸部41a〜41dの内側から外側に流出することを許容している。つまり、本実施形態では、円弧状凸部41a〜41d同士の間に、パターンインクの液滴6が流通可能な流路を設けている。
【0062】
また、本実施形態では、同図に示すように、円弧状凸部42a〜42d同士の間に間隔L2を空けているので、パターン形成領域21に着弾したパターンインクの液滴6が、円弧状凸部42a〜42dの内側から外側に流出することを許容している。つまり、本実施形態では、円弧状凸部42a〜42d同士の間に、パターンインクの液滴6が流通可能な流路を設けている。
【0063】
これにより、本実施形態では、パターン形成領域21において、所定の箇所に着弾したパターンインクの液滴6が、パターン形成領域21の全域に亘って濡れ広がることを可能としている。これにより、パターン30の厚さの均一化を図ることが可能となっている。
【0064】
つまり、本実施形態では、パターンインクの液滴6の濡れ広がりを許容しつつ、コーヒーステイン現象による中央部分から外縁部に向ったパターンインクの液滴6内の流れを阻害することで、パターン30の厚みの均一化を図っている。
【0065】
また、本実施形態では、上述したように、第1の凸部40同士の間に間隔L1,L2を空けたことで、パターンインクの液滴6が第1の凸部40によって堰き止められることがなくなり、所望の厚さのパターン30を精度よく形成することが可能となる。また、上述したような界面がパターン30に形成されることが抑制されるため、パターン30をパッドとして利用する場合には、パターン30の電気抵抗を安定させることができ、外部の電子部品との電気的接続の信頼性を向上させることもできる。
【0066】
また、本実施形態では、平面視において、第1の凸部40が、円弧形状や直線形状を含む形状となっていることで、上記のパターンインクの液滴6の流れを効果的に阻害することができる。これにより、パターン30の厚みを、より均一にさせることができる。
【0067】
また、本実施形態では、パターン形成領域21の外縁に第2の凸部50を形成したことで、パターンインクの液滴6がパターン形成領域21を濡れ広がる際に、パターンインクの液滴6が第2の凸部50によって案内される。このため、パターン30を所定の形状に正確に形成することが可能となっている。
【0068】
また、本実施形態では、第1の凸部40に対して表面改質を実行することで、第1の凸部40をパターンインクの液滴6に対して濡れ易くしている。これにより、パターンインクの液滴6が、第1の凸部40を覆うように濡れ広がり易くなっている。
【0069】
ここで、仮に、第1の凸部が、パターンインクに対して濡れ難い状態となっていると、パターンインクの液滴が第1の凸部によってはじかれて、複数の第1の凸部同士の間にパターンインクの液滴が溜まり易くなる。このように、パターン形成領域内の一部に液滴が溜まると、このように溜まった液滴内でコーヒーステイン現象が生じて、パターンの厚さが不均一になる恐れがある。
【0070】
これに対し、本実施形態では、上述したように、第1の凸部40を濡れ易くしているため、第1の凸部40同士の間にパターンインクの液滴6が溜まり難くなっている。これにより、本実施形態では、パターン30の厚さが不均一になることを抑制している。
【0071】
上述したように、本実施形態では、第1の凸部40に対して表面改質を実行することで、第1の凸部40をパターンインクの液滴6に対して濡れ易くしたが、第1の凸部40に、パターンインクに対する接触角が60度以下となる材料を用いることで、第1の凸部40をパターンインクの液滴6に対して濡れ易くしてもよい。
【0072】
また、本実施形態では、特に図示しないが、第1の凸部40を被覆(内包)するように、パターン30を形成することで、第1の凸部40によるアンカー効果によって、パターン30とベース基板20との間の密着性の向上を図ることができる。
【0073】
また、本実施形態では、図2に示すように、第1の凸部40の厚さをパターン30の厚さよりも相対的に厚く形成して、第1の凸部40をパターン30から突出(露出)させたり、パターン30に第1の凸部40を被覆させて(不図示)、パターン30に盛り上がった部分を形成したりしてもよい。これにより、例えば、パターン30上に、ソルダレジスト等のコーティング層を形成する場合には、第1の凸部40によるアンカー効果によって、当該コーティング層とパターン30との密着性を向上させることができる。また、パターン基板1を多層基板の内部に配置させる場合には、このパターン30と、パターン30に積層される層との密着性を向上させることができる。
【0074】
また、パターン30を導電性の材料で構成し、パターン30をパッドして用いる場合には、上記のように、第1の凸部40をパターン30から突出(露出)させたり、パターン30に盛り上がった部分を形成したりすることで、パターン30と電気的に接続される他の電子部品との間の接触抵抗を低減させることができる。これにより、パターン30と他の電子部品との間の電気的接続の信頼性を向上させることができる。
【0075】
次に、第2実施形態について説明する。
【0076】
<<第2実施形態>>
図9は本実施形態におけるパターン基板の部分平面図、図10は本実施形態におけるパターンと第1の凸部の変形例を示す平面図である。
【0077】
本実施形態におけるパターン基板10aは、ベース基板20a、パターン30a及び第1の凸部40aの構成と、パターン形成領域21aに第2の凸部を設けない点と、において第1実施形態と相違するが、それ以外については、第1実施形態と同様である。以下に、第1実施形態と相違する部分を説明し、第1実施形態と同一の部分については、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0078】
本実施形態におけるベース基板20aは、ポリイミドで構成されており、厚さが25μmとなっている。なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、ベース基板20aの材料や厚さについては特に限定されない。
【0079】
また、本実施形態におけるパターン30aは、図9に示すように、矩形のパターンとなっている。このパターン30aは、銅インクで構成されているが、パターン30aの材料は、インクジェット法によってインクジェットヘッド120から吐出させるのに適した材料であれば特に限定されない。また、パターン30aの形状についても特に限定されない。
【0080】
また、本実施形態における第1の凸部40aは、同図に示すように、パターン形成領域21a内にマトリックス状に配置されたドット状となっている。このドット状の第1の凸部40aの直径は、パターン30aの最大サイズ(一辺の長さ)の25%以下であることが好ましい。例えば、パターン30aの一辺の長さが100〜500μmである場合には、第1の凸部40aの直径として、50μmを挙げることができる。なお、本実施形態では、第1の凸部40aを、平面視において円形に形成したが、特に限定されず、例えば矩形に形成してもよい。
【0081】
また、第1の凸部40a同士のピッチ(間隔L3)は、第1の凸部40aの直径の2〜50倍であることが好ましい。例えば、第1の凸部40aの直径が50μmである場合には、第1の凸部40a同士のピッチ(間隔L3)として、100μmを挙げることができる。また、第1の凸部40aの厚さとしては、例えば、10μmを挙げることができるが、第1実施形態と同様に特に限定されない。
【0082】
なお、本実施形態では、第1の凸部40aをマトリックス状に配置したが、第1の凸部40aの配置については、複数の第1の凸部40a同士の間に間隔を空けた状態で、二次元的になっていれば特に限定されない。例えば、図10(a)に示すように、1行目A1や3行目A3等の奇数の行の第1の凸部40aの数と、2行目A2や4行目A4等の偶数の行の第1の凸部40aの数とを、相違させてもよい。また、図10(b)に示すように、隣接する第1の凸部40a同士を仮想線で接続すると、円を描くように、第1の凸部40aを配置させてもよい。或いは、図10(c)に示すように、パターン30aを円形に形成し、複数の第1の凸部40aを実質的に等間隔で配置させてもよい。或いは、特に図示しないが、第1の凸部をパターン形成領域内に不規則に散在させてもよい。
【0083】
このような第1の凸部40aは、後で説明するが、インクジェット法によって形成されており、例えば、銀ナノ粒子を含んだ導電性インクで構成されている。なお、本実施形態における第1の凸部40aの材料については、インクジェット法によってインクジェットヘッドから吐出させるのに適した材料であれば特に限定されず、例えば、導電性材料、半導体材料、絶縁性材料等の機能性材料を含有したインクで構成してもよい。なお、導電性材料、半導体材料、絶縁性材料等の機能性材料については、第1実施形態で例示したものと同一のものを用いることができる。
【0084】
また、第1の凸部40aを、パターン30aのパターンインクと同一の組成のインクで構成してもよい。これにより、第1の凸部40aが、パターン30aに対して濡れ易くなるため、パターン30aを形成する際に、パターンインクの液滴6が第1の凸部40aに密着し易くなる。これにより、パターン30aの厚みをより均一にすることができる。また、同一のインクジェット装置を用いて、パターン30aと第1の凸部40aを形成することができるため、パターン基板10aを低コストで生産することが可能となる。
【0085】
次に、本実施形態におけるパターン形成方法について説明する。
【0086】
本実施形態における第1の工程S1では、まず、凸部形成装置200を用いて、インクジェット法により、ベース基板20aのパターン形成領域21aに、銀ナノ粒子を含む導電性インクからなる凸部インクの液滴7を吐出して塗布する。
【0087】
ここで、本実施形態における第1の工程S1で用いられる凸部形成装置200について説明する。
【0088】
この凸部形成装置200は、図11に示すように、ステージ210と、インクジェットヘッド220とを有している。なお、同図に示すインクジェットヘッド220は、第1実施形態におけるパターン形成装置100のインクジェットヘッド120と同様の構成となっているため、説明を省略する。
【0089】
本実施形態におけるステージ210は、セラミックで構成されており、ベース基板20aを加熱するヒートプレート211をその上面に有していること以外は、第1実施形態におけるパターン形成装置100のステージ110と同様の構成となっている。なお、ヒートプレート211の配置については、ベース基板20aを加熱することができれば特に限定されず、例えば、ヒートプレート211をステージ210の内部に埋設してもよい。また、ステージ210の材質についても、特に限定されない。
【0090】
本実施形態では、以上に説明した凸部形成装置200を用いて、ヒートプレート211によって、例えば100℃程度の温度でベース基板20aを加熱した状態で、インクジェットヘッド220によって、当該ベース基板20aに凸部インクの液滴7を吐出する。これにより、当該凸部インクの液滴7がベース基板20aに濡れ広がる前に、当該液滴7がベース基板20aの熱によって乾燥するため、アスペクト比の大きい第1の凸部40aを形成することが可能となる。
【0091】
ここで、ヒートプレート211によってベース基板20aを加熱する温度は、凸部インクの沸点が100℃以下の場合には、75℃〜125℃(100℃±25℃)の範囲内の温度が好ましく、凸部インクの沸点が100℃〜200℃の場合には、この沸点に対して±50℃の範囲内の温度が好ましく、凸部インクの沸点が200℃以上である場合には、この沸点に対して±75℃の範囲内の温度が好ましい。このような温度でベース基板20aを加熱することによって、インクジェットヘッド220の目詰まりや、第1の凸部40a内にボイドが生じるのを抑制しつつ、アスペクト比の大きい第1の凸部40aを形成することが可能となる。
【0092】
次いで、液滴7が乾燥した凸部上に、再度、凸部インクの液滴7を着弾させて、ベース基板20aの熱により乾燥させる。このように、凸部インクの液滴7を、ベース基板20a上の同一個所に複数回着弾させることによって、第1の凸部40aを所望の厚さ(例えば10μm)に形成する。本実施形態では、このような工程を、パターン形成領域21a内の複数の箇所に実行することで、間隔L3を空けて二次元的に配置させた第1の凸部40aを形成する。
【0093】
なお、本実施形態では、上述したように、ベース基板20aに着弾した凸部インクの液滴7を完全に乾燥させて第1の凸部40aを形成したが、これについては特に限定されない。例えば、ヒートプレート211の温度を下げて、ベース基板20aに着弾した凸部インクの液滴7を完全に乾燥せずに、内部に凸部インクの溶媒が残った状態で、第1の凸部40aを形成してもよい。なお、この場合には、第1の凸部40a自体の形状が保持される程度に、第1の凸部40a(凸部インクの液滴7)を乾燥させる。
【0094】
ここで、本実施形態では、ヒートプレート211によりベース基板20aを加熱したが、ベース基板20aを加熱する方法については、特に限定されない。例えば、凸部形成装置200にレーザ照射装置を設けて、ベース基板20aにレーザ光を照射することで、ベース基板20aを加熱してもよい。これにより、ベース基板20aにおいて凸部インクの液滴7が着弾した箇所を、局所的に加熱することができるため、ベース基板20a全体を加熱したことに伴うベース基板20aの歪みや変形を抑制することができる。
【0095】
また、本実施形態では、以上に説明したように、ベース基板20a上に着弾した凸部インクの液滴7を加熱することによって、当該凸部インクを硬化させたが、当該凸部インクを硬化させる方法については、特に限定されない。
【0096】
例えば、凸部インクを電子線硬化型樹脂や紫外線硬化型樹脂で構成した場合には、凸部インクの液滴がベース基板上に着弾した瞬間に、当該凸部インクの液滴に電子ビームや紫外線を照射することで、当該凸部インクを硬化させてもよい。
【0097】
本実施形態における第2の工程S2では、まず、第1実施形態と同様のパターン形成装置100を用いて、銅インクからなるパターンインクの液滴6をパターン形成領域21aに塗布する。次いで、塗布されたパターンインクの液滴6を、乾燥させ、窒素雰囲気下において、例えば300℃の熱処理を行い、さらに水素を5%含有した窒素雰囲気下で熱処理を行い、パターンインクの液滴6を焼結させ、パターン30aを形成する。なお、熱処理の温度については、パターンインクの液滴6を硬化させることができれば特に限定されない。
【0098】
また、パターン形成装置100に代えて、上述した凸部形成装置200を用いて、同一の装置でパターン30aと第1の凸部40aを形成してもよい。これにより、パターン基板10aを低コストで生産することが可能となる。
【0099】
以上のように、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、相互に間隔を空けて二次元的に配置した複数の第1の凸部40aを、パターン形成領域21aに形成し、当該パターン形成領域21aにパターンインクを塗布してパターン30aを形成している。
【0100】
これにより、パターン形成領域21a内におけるパターンインクの液滴6の濡れ広がりを許容しつつ、コーヒーステイン現象による中央部分から外縁部に向ったパターンインクの液滴6内の流れを阻害することができるので、パターン30aの厚みの均一化を図ることが可能となる。
【0101】
次に、第3実施形態について説明する。
【0102】
<<第3実施形態>>
図12は本実施形態におけるパターン基板の部分平面図、図13は図12のXIII−XIII線に沿った断面図、図14は本実施形態におけるパターンと第1の凸部の変形例を示す平面図である。
【0103】
本実施形態では、ベース基板20b、パターン30b及び第1の凸部40bの構成と、パターン形成領域21bに第2の凸部を設けない点と、において第1実施形態と相違するが、それ以外については、第1実施形態と同様である。以下に、第1実施形態と相違する部分を説明し、第1実施形態と同一の部分については、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0104】
本実施形態におけるベース基板20bは、図12及び図13に示すように、パターン形成領域21bに、平面視における輪郭が略矩形(四隅が円弧に形成された矩形)の凹部22bを有している。なお、本実施形態におけるベース基板20bは、厚さが25μm程度の液晶ポリマー基板で構成されているが、ベース基板20bの厚さや材料については特に限定されない。
【0105】
本実施形態におけるパターン30bは、図12及び図13に示すように、上記の凹部22b内に配置されており、凹部22bの形状に応じた略矩形のパターンとなっている。ここで、本実施形態におけるパターン30bは、錯体型の銀インクで構成されているが、第1実施形態と同様に、インクジェット法によってインクジェットヘッド120から吐出させるのに適した材料であれば特に限定されない。
【0106】
本実施形態における第1の凸部40bは、ベース基板20bの凹部22b内に配置されている。この第1の凸部40bは、図中X方向に沿った複数の直線状凸部40cと、図中Y方向に沿った複数の直線状凸部40dと、を有している。
【0107】
本実施形態では、これらの直線状凸部40c,40dが、マトリックス状に配置された複数の矩形を描くように、互いの間に間隔を空けて二次元的に配置されている。
【0108】
このような第1の凸部40bは、後で詳細に説明するが、ベース基板20bをインプリント法によって加工することで形成されている。このため、本実施形態における第1の凸部40bは、ベース基板20bと同一の材料で構成されている。
【0109】
ここで、パターン30bや第1の凸部40bについては、図14に示すような形状や配置としてもよい。
【0110】
すなわち、パターン30bの形状を、図中X方向に沿った第1及び第2の部分30c,30dと、第1及び第2の部分30c,30dを接続する図中Y方向に沿った第3の部分30eと、で構成してもよい。なお、同図に示す例では、第1〜第3の部分30c,30d,30eの中で、第2の部分30dが最も広い面積となっている。
【0111】
また、第1の凸部40bは、図14の平面視に示すように、直線状凸部40eと、円弧状凸部40f,40gを含んでいてもよい。この例においては、パターン30bにおいて比較的面積の狭い第1及び第3の部分30c,30eに直線状凸部40eを配置させ、パターン30bにおいて最も面積の広い第2の部分30dに、円弧状凸部40f,40gを配置させている。このように、パターン30bにおいて、面積の狭い部分と広い部分とにおいて、それぞれの部分に配置させる第1の凸部40bの形状を相違させることで、パターンインクを熱処理によって焼結させる際の焼結速度を調整することができる。これにより、パターン30bの均一な焼結を図ることが可能となる。
【0112】
次に、本実施形態におけるパターン形成方法について説明する。
【0113】
本実施形態における第1の工程S1では、インプリント法によって、ベース基板20bに第1の凸部40bを形成する。
【0114】
具体的には、まず、ガラス製のステージ上で、ベース基板20bを構成する材料(液晶ポリマー)の融点温度まで、ベース基板20bを加熱する。次いで、ベース基板20bの凹部22bに対応する凸部と、第1の凸部40bに対応する凹部と、が形成されたモールドを、ベース基板20bに押し付けて、この状態でベース基板20bを冷却することで、ベース基板20bに、凹部22b及び第1の凸部40bを形成する。次いで、ベース基板20bからモールドを離型する。
【0115】
次いで、本実施形態では、ベース基板20bの全面に紫外線を照射し、ベース基板20bを表面改質して、ベース基板20bを、パターンインクの液滴6に対して濡れ易くする。
【0116】
本実施形態における第2の工程S2では、第1実施形態と同様に、パターン形成装置100を用いたインクジェット法にて、錯体型の銀インクからなるパターンインクを、パターン形成領域21bの凹部22b内に吐出して塗布する。次いで、塗布されたパターンインクの液滴6を所定の温度で乾燥させ、さらに、大気雰囲気下で、250℃の温度で熱処理を行って当該パターンインクを硬化させる。これにより、本実施形態におけるパターン30bが形成される。なお、本実施系形態においても、熱処理の温度は、パターンインクを硬化させることができる温度であれば特に限定されない。
【0117】
また、特に図示しないが、パターン形成領域21bの凹部22b内を、パターン30bで充填してもよい。この場合には、上記の第2の工程S2において、インクジェット法によるパターンインクの塗布から熱処理までの工程を、繰り返し実行することで、パターン30bで凹部22b内が埋まるまで、パターン30bを厚く形成する。
【0118】
以上のように、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、相互に間隔を空けて二次元的に配置した複数の第1の凸部40bを、パターン形成領域21bに形成し、当該パターン形成領域21bにパターンインクを塗布してパターン30bを形成している。
【0119】
これにより、パターン形成領域21b内におけるパターンインクの液滴6の濡れ広がりを許容しつつ、コーヒーステイン現象による中央部分から外縁部に向ったパターンインクの液滴6内の流れを阻害することができるので、パターン30bの厚みの均一化を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0120】
1…パターン基板
20…ベース基板
30…パターン
40…第1の凸部
50…第2の凸部
100…パターン形成装置
200…凸部形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に大面積のパターンを形成するパターン形成方法であって、
前記基板上のパターン形成領域内に、前記基板から突出する複数の第1の凸部を形成する第1の工程と、
前記第1の凸部が形成された前記パターン形成領域内にインクを吐出し、前記インクを乾燥させて、前記パターンを形成する第2の工程と、を備えており、
複数の前記第1の凸部は、相互に間隔を空けて二次元的に配置されることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
請求項1記載のパターン形成方法であって、
前記第1の工程は、前記パターン形成領域の外縁に、前記基板から突出する第2の凸部を形成することを含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載のパターン形成方法であって、
前記第1の凸部は、平面視において、直線形状又は円弧形状を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のパターン形成方法であって、
前記第1の工程は、前記パターン形成領域内にインクを吐出し、前記インクを乾燥させて、前記第1の凸部を形成することを含み、
前記第1の工程で使用するインクは、前記第2の工程で使用するインクと同一の組成であることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項5】
絶縁性基板と、
前記絶縁性基板上に形成された大面積のパターンと、
前記パターンの内側において盛り上がっている複数の凸部と、を備えており、
複数の前記凸部は、相互に間隔を空けて二次元的に配置されていることを特徴とする配線基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−51280(P2013−51280A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187627(P2011−187627)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】