パターン形成装置
【課題】パターンが固化されたインプリント材とモールドとを剥離する際にパターンの破壊や下地基板における膜の剥がれを防止し、歩留まりを向上させる。
【解決手段】パターンが形成されたモールド103を、被加工基板101の被加工面上のインプリント材102に接触させてパターンを転写するパターン形成装置であって、モールドを角度を調整し得る状態で把持する把持部3と、モールドが被加工基板上のインプリント材に接触するように、あるいは離型するように、把持部を移動させる移動部2と、モールドの離型時における移動部の離型速度、モールドと被加工基板との間の離型角度を含む離型条件の少なくとも一つが可変となるように制御する制御部とを備える。
【解決手段】パターンが形成されたモールド103を、被加工基板101の被加工面上のインプリント材102に接触させてパターンを転写するパターン形成装置であって、モールドを角度を調整し得る状態で把持する把持部3と、モールドが被加工基板上のインプリント材に接触するように、あるいは離型するように、把持部を移動させる移動部2と、モールドの離型時における移動部の離型速度、モールドと被加工基板との間の離型角度を含む離型条件の少なくとも一つが可変となるように制御する制御部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に微細加工を行うためのパターン形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程において、例えば100nm以下の微細パターンの加工性と量産性とを実現するため、パターニングされたモールドとウェーハ等の被加工基板とを接触させてパターン転写を行う、ナノインプリントリソグラフィ技術が注目されている。
【0003】
ナノインプリント法は、転写すべき所定のパターンが一表面に形成された原版の型、即ちモールドを、基板上に塗布されているレジスト層等のインプリント材に接触させ、インプリント材を硬化させることによりパターンを転写する技術である。
【0004】
ナノインプリント法としては、例えば後述する特許文献2、特許文献3に開示された熱可塑性レジストを用いる熱インプリント法や、例えば後述する特許文献4、特許文献5に開示された光硬化性レジストを用いた光インプリント法が知られている。
【0005】
ナノインプリント法の一例として、光インプリント法によるパターン転写のフローの概略について述べる。
【0006】
光インプリント法は、(1)被加工基板への光硬化性樹脂の塗布、(2)基板とモールドとの位置会わせ及び接触、(3)光照射による樹脂硬化、(4)離型、(5)残膜除去という工程を備えている。ここで、残膜除去では主に酸素プラズマによる異方性エッチングが用いられていた。
【0007】
ところで、半導体リソグラフィにおいては、パターン形成後において下地膜の加工に対する要求から、必要なパターンの高さが規定される。光リソグラフィにおいては、現像後のパターン高さは、主に塗布したレジスト膜の厚さによって決定することができる。他に、現像・乾燥時の表面張力等によるレジスト倒れ等を考慮する必要があるものの、概ね下地膜の加工の要求に沿うことは可能である。
【0008】
ところが、ナノインプリント法では、被加工基板上のインプリント材に接触させたモールドを離型する工程において、パターンが固化されたインプリント材とモールドとを剥離する必要がある。
【0009】
ここで、パターンとモールドとの間には、両者の密着面積に応じた摩擦力が作用する。樹脂等から成るインプリント材の引っ張り強度は、パターン幅が細くなるに従って弱くなる。
【0010】
よってパターン幅が狭くパターン高さが高い、即ちアスペクト比の高いパターンでは、離型時にパターンが途中から破断する等の欠陥を生じる虞がある。
【0011】
また、インプリント材と下地基板、あるいは下地基板における積層構造中の各層間の密着力が弱いと、密着力の最も弱い界面で剥がれを生じることがあった。
【0012】
以下に、従来のナノインプリント法を開示した文献名を記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2000−194142号公報
【特許文献2】米国特許第5772905号公報
【特許文献3】特開2003−77807号公報
【特許文献4】特開2001−68411号公報
【特許文献5】特開2000−194142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上記事情に鑑み、被加工基板上のインプリント材に接触させたモールドを離型する工程において、パターンが固化されたインプリント材とモールドとを剥離する際にパターンの破壊や下地基板における膜の剥がれを防止し、歩留まり向上に寄与し得るパターン形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様によるパターン形成装置は、パターンが形成されたモールドを、被加工基板の被加工面上のインプリント材に接触させて前記パターンを転写するパターン形成装置であって、前記モールドを把持する把持部と、前記モールドを角度を調整し得る状態で把持する把持部と、前記モールドが前記被加工基板上の前記インプリント材に接触するように、あるいは離型するように、前記把持部を移動させる移動部と、前記モールドの離型時における前記移動部の離型速度、前記モールドと前記被加工基板との間の離型角度を含む離型条件の少なくとも一つが可変となるように制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】光インプリント法における一工程を示す被加工基板及びモールドの縦断面図。
【図2】光インプリント法における一工程を示す被加工基板及びモールドの縦断面図。
【図3】光インプリント法における一工程を示す被加工基板及びモールドの縦断面図。
【図4】光インプリント法における一工程を示す被加工基板及びモールドの縦断面図。
【図5】光インプリント法における一工程を示す被加工基板及びモールドの縦断面図。
【図6】光インプリント法における一工程を示す被加工基板及びモールドの縦断面図。
【図7】光インプリント法により生じる欠陥の一例を示す縦断面図。
【図8】光インプリント法により生じる欠陥の一例を示す縦断面図。
【図9】光インプリント法により生じる欠陥の一例を示す縦断面図。
【図10】本発明の一実施の形態によるパターン形成方法における一工程を示す縦断面図。
【図11】同実施の形態によるパターン形成方法における一工程を示す縦断面図。
【図12】同実施の形態によるパターン形成方法における一工程を示す縦断面図。
【図13】同実施の形態によるパターン形成方法における処理の手順を示すフローチャート。
【図14】同実施の形態によるパターン形成方法におけるショットの配列及び順序を示した平面図。
【図15】離型速度と欠陥数との関係を調べた結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
先ず、一般的な光インプリント法における工程について説明する。
【0018】
図1に示されたように、被加工基板101の加工面上に、インプリント材として例えば光硬化性樹脂から成るレジスト層102が塗布される。転写すべきパターンが一表面に形成された原版となるモールド103と、レジスト層102との間で位置合わせが行われ、接触し押し付けられる。
【0019】
図2に示されたようにレジスト層102に照射が行われて硬化し、図3に示されたようにレジスト層102aにパターンが転写される。
【0020】
図4、図5に示されたように、モールド103がレジスト層102aから離型される。
【0021】
図6に示されたように、例えば酸素プラズマ等による異方性エッチングにより、図5に示された被加工基板101上に残存したレジスト層102bを除去する残膜除去が行われる。
【0022】
ここで、図4に示された離型工程において、レジスト膜102aに転写されたパターンとモールド103とを剥離する必要がある。このとき、パターンとモールド103との間には、両者の密着面積に応じた摩擦力が働く。
【0023】
ところで、レジスト膜102aを構成する樹脂の引っ張り強度は、パターン幅が細くなるに連れて弱くなる。従って、パターンの幅が狭く高さが高い、すなわちアスペクト比の高いパターンでは、図7に示されたように、離型時にレジスト膜102のパターンが201として示されたように途中から破断する等の欠陥を生じる虞がある。
【0024】
あるいは、図8に示されたように、レジスト膜102と被加工基板101上の加工対象となる膜111との間の密着力が上記摩擦力よりも小さいと、202として示されたようにその界面において剥がれを生じる。あるいはまた、図9に示されたように、被加工基板101と膜111との間の密着力が小さいと、202及び204として示されたようにその界面において剥がれが生じる。
【0025】
このような現象に対し、本願の発明者は、密着力が低いことによるインプリント材等の剥がれや強度不足による破断が生じる限界強度は、離型時の離型速度、離型角度によって異なる点に着目した。
【0026】
以下、本発明の実施の形態による光インプリント法を用いたパターン形成方法及びその装置について、図面を参照して説明する。
【0027】
図10に、本実施の形態によるパターン形成装置の構成を示す。このパターン形成装置は、筐体1、筐体1に対して相対的に上下に移動する移動部2、移動部2に対して角度が可変となるように取り付けられ、モールド103の角度を調整し得る状態で把持する把持部3と、移動部2が移動する速度や把持部3がモールド103を把持する角度等、動作全体を制御する制御部4とを備える。
【0028】
先ず、図10に示されたように被加工基板101の被加工面上にインプリント材102が塗布され、その上方においてモールド103の平面方向に関する位置決めが行われる。
【0029】
図11に示されたように、移動部2が下方へ移動し、モールド103がインプリント材102に接触し加圧される。
【0030】
図12に示されるように、移動部2が上方へ移動し、モールド103がインプリント材102から引き上げられることにより離型処理が行われる。ここで、離型の過程において、モールド103の離型速度、並びにモールド103とインプリント材102との間の相対的な離型角度が制御部4により制御される。
【0031】
必要に応じて、同一被加工基板101内における複数のショット毎に、離型速度及び離型角度が最適化されるように制御してもよい。
【0032】
本実施の形態によるパターン形成方法について、図13のフローチャートを参照して説明する。
【0033】
ステップS1として、最適な離型条件を検出するために、離型速度、離型角度を各ショット毎に変化させる条件調整モードにおいて、試作用の被加工基板101Aを用いてインプリントを行い、様々な離型条件に基づいて離型処理を行う。
【0034】
ステップS2において、離型によりもたらされたインプリント材のパターン欠陥の有無、欠陥の形態、原因等を検査する。これにより、最適な離型条件を検出する。
【0035】
ステップS3として、製品用の被加工基板101Bに対してインプリント処理を行い、最適な離型条件に基づいて離型処理を行う。以降の工程において、パターンが転写されたインプリント材を用いた加工処理が行われる。
【0036】
図14に、1枚の被加工基板101Aに対して、例えば16回のショットで離型条件を換えながらインプリントを順次行っていくときの各ショットの配列及び順序を示す。
【0037】
さらに図15に、各ショット毎の離型速度と、各ショットにおいて検出された欠陥の個数とをプロットした結果を示す。図15に示されたグラフでは、4番目のショットにおける離型速度が最も欠陥数が少ないことがわかる。
【0038】
同様に、各ショット毎の離型角度と欠陥の個数との関係を求めて、最も欠陥数の少ない離型角度を求める。そして、最適な離型速度、離型角度を設定し、この離型条件をステップS3のインプリント処理において用いる。
【0039】
以上説明した本実施の形態によれば、離型時におけるモールドの離型速度、離型角度を含む離型条件のうちの少なくとも1つが可変であり、可変である条件をショット毎あるいは被加工基板毎に変更することにより、予め最適な条件を探索する。その後のインプリント処理において、最適化された条件に従い離型処理を行うことにより、離型処理がもたらすパターンの破壊や下地基板の膜の剥がれ等の欠陥の発生を防止し、歩留まりを向上させることができる。
【0040】
上述した実施の形態はいずれも一例であって、本発明を限定するものではなく、本発明の技術的範囲内において様々に変形することが可能である。例えば、上記実施の形態では、離型条件として離型速度、離型角度の最適化を行うが、これに限らず他の条件として、
例えば離型する際の被加工基板の温度を含めてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 筐体1
2 移動部
3 把持部
4 制御部
101 被加工基板
102 インプリント材
103 モールド
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に微細加工を行うためのパターン形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程において、例えば100nm以下の微細パターンの加工性と量産性とを実現するため、パターニングされたモールドとウェーハ等の被加工基板とを接触させてパターン転写を行う、ナノインプリントリソグラフィ技術が注目されている。
【0003】
ナノインプリント法は、転写すべき所定のパターンが一表面に形成された原版の型、即ちモールドを、基板上に塗布されているレジスト層等のインプリント材に接触させ、インプリント材を硬化させることによりパターンを転写する技術である。
【0004】
ナノインプリント法としては、例えば後述する特許文献2、特許文献3に開示された熱可塑性レジストを用いる熱インプリント法や、例えば後述する特許文献4、特許文献5に開示された光硬化性レジストを用いた光インプリント法が知られている。
【0005】
ナノインプリント法の一例として、光インプリント法によるパターン転写のフローの概略について述べる。
【0006】
光インプリント法は、(1)被加工基板への光硬化性樹脂の塗布、(2)基板とモールドとの位置会わせ及び接触、(3)光照射による樹脂硬化、(4)離型、(5)残膜除去という工程を備えている。ここで、残膜除去では主に酸素プラズマによる異方性エッチングが用いられていた。
【0007】
ところで、半導体リソグラフィにおいては、パターン形成後において下地膜の加工に対する要求から、必要なパターンの高さが規定される。光リソグラフィにおいては、現像後のパターン高さは、主に塗布したレジスト膜の厚さによって決定することができる。他に、現像・乾燥時の表面張力等によるレジスト倒れ等を考慮する必要があるものの、概ね下地膜の加工の要求に沿うことは可能である。
【0008】
ところが、ナノインプリント法では、被加工基板上のインプリント材に接触させたモールドを離型する工程において、パターンが固化されたインプリント材とモールドとを剥離する必要がある。
【0009】
ここで、パターンとモールドとの間には、両者の密着面積に応じた摩擦力が作用する。樹脂等から成るインプリント材の引っ張り強度は、パターン幅が細くなるに従って弱くなる。
【0010】
よってパターン幅が狭くパターン高さが高い、即ちアスペクト比の高いパターンでは、離型時にパターンが途中から破断する等の欠陥を生じる虞がある。
【0011】
また、インプリント材と下地基板、あるいは下地基板における積層構造中の各層間の密着力が弱いと、密着力の最も弱い界面で剥がれを生じることがあった。
【0012】
以下に、従来のナノインプリント法を開示した文献名を記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2000−194142号公報
【特許文献2】米国特許第5772905号公報
【特許文献3】特開2003−77807号公報
【特許文献4】特開2001−68411号公報
【特許文献5】特開2000−194142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上記事情に鑑み、被加工基板上のインプリント材に接触させたモールドを離型する工程において、パターンが固化されたインプリント材とモールドとを剥離する際にパターンの破壊や下地基板における膜の剥がれを防止し、歩留まり向上に寄与し得るパターン形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様によるパターン形成装置は、パターンが形成されたモールドを、被加工基板の被加工面上のインプリント材に接触させて前記パターンを転写するパターン形成装置であって、前記モールドを把持する把持部と、前記モールドを角度を調整し得る状態で把持する把持部と、前記モールドが前記被加工基板上の前記インプリント材に接触するように、あるいは離型するように、前記把持部を移動させる移動部と、前記モールドの離型時における前記移動部の離型速度、前記モールドと前記被加工基板との間の離型角度を含む離型条件の少なくとも一つが可変となるように制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】光インプリント法における一工程を示す被加工基板及びモールドの縦断面図。
【図2】光インプリント法における一工程を示す被加工基板及びモールドの縦断面図。
【図3】光インプリント法における一工程を示す被加工基板及びモールドの縦断面図。
【図4】光インプリント法における一工程を示す被加工基板及びモールドの縦断面図。
【図5】光インプリント法における一工程を示す被加工基板及びモールドの縦断面図。
【図6】光インプリント法における一工程を示す被加工基板及びモールドの縦断面図。
【図7】光インプリント法により生じる欠陥の一例を示す縦断面図。
【図8】光インプリント法により生じる欠陥の一例を示す縦断面図。
【図9】光インプリント法により生じる欠陥の一例を示す縦断面図。
【図10】本発明の一実施の形態によるパターン形成方法における一工程を示す縦断面図。
【図11】同実施の形態によるパターン形成方法における一工程を示す縦断面図。
【図12】同実施の形態によるパターン形成方法における一工程を示す縦断面図。
【図13】同実施の形態によるパターン形成方法における処理の手順を示すフローチャート。
【図14】同実施の形態によるパターン形成方法におけるショットの配列及び順序を示した平面図。
【図15】離型速度と欠陥数との関係を調べた結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
先ず、一般的な光インプリント法における工程について説明する。
【0018】
図1に示されたように、被加工基板101の加工面上に、インプリント材として例えば光硬化性樹脂から成るレジスト層102が塗布される。転写すべきパターンが一表面に形成された原版となるモールド103と、レジスト層102との間で位置合わせが行われ、接触し押し付けられる。
【0019】
図2に示されたようにレジスト層102に照射が行われて硬化し、図3に示されたようにレジスト層102aにパターンが転写される。
【0020】
図4、図5に示されたように、モールド103がレジスト層102aから離型される。
【0021】
図6に示されたように、例えば酸素プラズマ等による異方性エッチングにより、図5に示された被加工基板101上に残存したレジスト層102bを除去する残膜除去が行われる。
【0022】
ここで、図4に示された離型工程において、レジスト膜102aに転写されたパターンとモールド103とを剥離する必要がある。このとき、パターンとモールド103との間には、両者の密着面積に応じた摩擦力が働く。
【0023】
ところで、レジスト膜102aを構成する樹脂の引っ張り強度は、パターン幅が細くなるに連れて弱くなる。従って、パターンの幅が狭く高さが高い、すなわちアスペクト比の高いパターンでは、図7に示されたように、離型時にレジスト膜102のパターンが201として示されたように途中から破断する等の欠陥を生じる虞がある。
【0024】
あるいは、図8に示されたように、レジスト膜102と被加工基板101上の加工対象となる膜111との間の密着力が上記摩擦力よりも小さいと、202として示されたようにその界面において剥がれを生じる。あるいはまた、図9に示されたように、被加工基板101と膜111との間の密着力が小さいと、202及び204として示されたようにその界面において剥がれが生じる。
【0025】
このような現象に対し、本願の発明者は、密着力が低いことによるインプリント材等の剥がれや強度不足による破断が生じる限界強度は、離型時の離型速度、離型角度によって異なる点に着目した。
【0026】
以下、本発明の実施の形態による光インプリント法を用いたパターン形成方法及びその装置について、図面を参照して説明する。
【0027】
図10に、本実施の形態によるパターン形成装置の構成を示す。このパターン形成装置は、筐体1、筐体1に対して相対的に上下に移動する移動部2、移動部2に対して角度が可変となるように取り付けられ、モールド103の角度を調整し得る状態で把持する把持部3と、移動部2が移動する速度や把持部3がモールド103を把持する角度等、動作全体を制御する制御部4とを備える。
【0028】
先ず、図10に示されたように被加工基板101の被加工面上にインプリント材102が塗布され、その上方においてモールド103の平面方向に関する位置決めが行われる。
【0029】
図11に示されたように、移動部2が下方へ移動し、モールド103がインプリント材102に接触し加圧される。
【0030】
図12に示されるように、移動部2が上方へ移動し、モールド103がインプリント材102から引き上げられることにより離型処理が行われる。ここで、離型の過程において、モールド103の離型速度、並びにモールド103とインプリント材102との間の相対的な離型角度が制御部4により制御される。
【0031】
必要に応じて、同一被加工基板101内における複数のショット毎に、離型速度及び離型角度が最適化されるように制御してもよい。
【0032】
本実施の形態によるパターン形成方法について、図13のフローチャートを参照して説明する。
【0033】
ステップS1として、最適な離型条件を検出するために、離型速度、離型角度を各ショット毎に変化させる条件調整モードにおいて、試作用の被加工基板101Aを用いてインプリントを行い、様々な離型条件に基づいて離型処理を行う。
【0034】
ステップS2において、離型によりもたらされたインプリント材のパターン欠陥の有無、欠陥の形態、原因等を検査する。これにより、最適な離型条件を検出する。
【0035】
ステップS3として、製品用の被加工基板101Bに対してインプリント処理を行い、最適な離型条件に基づいて離型処理を行う。以降の工程において、パターンが転写されたインプリント材を用いた加工処理が行われる。
【0036】
図14に、1枚の被加工基板101Aに対して、例えば16回のショットで離型条件を換えながらインプリントを順次行っていくときの各ショットの配列及び順序を示す。
【0037】
さらに図15に、各ショット毎の離型速度と、各ショットにおいて検出された欠陥の個数とをプロットした結果を示す。図15に示されたグラフでは、4番目のショットにおける離型速度が最も欠陥数が少ないことがわかる。
【0038】
同様に、各ショット毎の離型角度と欠陥の個数との関係を求めて、最も欠陥数の少ない離型角度を求める。そして、最適な離型速度、離型角度を設定し、この離型条件をステップS3のインプリント処理において用いる。
【0039】
以上説明した本実施の形態によれば、離型時におけるモールドの離型速度、離型角度を含む離型条件のうちの少なくとも1つが可変であり、可変である条件をショット毎あるいは被加工基板毎に変更することにより、予め最適な条件を探索する。その後のインプリント処理において、最適化された条件に従い離型処理を行うことにより、離型処理がもたらすパターンの破壊や下地基板の膜の剥がれ等の欠陥の発生を防止し、歩留まりを向上させることができる。
【0040】
上述した実施の形態はいずれも一例であって、本発明を限定するものではなく、本発明の技術的範囲内において様々に変形することが可能である。例えば、上記実施の形態では、離型条件として離型速度、離型角度の最適化を行うが、これに限らず他の条件として、
例えば離型する際の被加工基板の温度を含めてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 筐体1
2 移動部
3 把持部
4 制御部
101 被加工基板
102 インプリント材
103 モールド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターンが形成されたモールドを、被加工基板の被加工面上のインプリント材に接触させて前記パターンを転写するパターン形成装置であって、
前記モールドを角度を調整し得る状態で把持する把持部と、
前記モールドが前記被加工基板上の前記インプリント材に接触するように、あるいは離型するように、前記把持部を移動させる移動部と、
前記モールドの離型時における前記移動部の離型速度、前記モールドと前記被加工基板との間の離型角度を含む離型条件の少なくとも一つが可変となるように制御する制御部と、
を備えることを特徴とするパターン形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記離型条件の少なくとも1つを、ショット毎あるいは前記被加工基板毎に変化させることを特徴とする請求項1記載のパターン形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記離型条件としてさらに、前記被加工基板の温度を変化させることを特徴とする請求項1又は2記載のパターン形成装置。
【請求項1】
パターンが形成されたモールドを、被加工基板の被加工面上のインプリント材に接触させて前記パターンを転写するパターン形成装置であって、
前記モールドを角度を調整し得る状態で把持する把持部と、
前記モールドが前記被加工基板上の前記インプリント材に接触するように、あるいは離型するように、前記把持部を移動させる移動部と、
前記モールドの離型時における前記移動部の離型速度、前記モールドと前記被加工基板との間の離型角度を含む離型条件の少なくとも一つが可変となるように制御する制御部と、
を備えることを特徴とするパターン形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記離型条件の少なくとも1つを、ショット毎あるいは前記被加工基板毎に変化させることを特徴とする請求項1記載のパターン形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記離型条件としてさらに、前記被加工基板の温度を変化させることを特徴とする請求項1又は2記載のパターン形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−91328(P2013−91328A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−19260(P2013−19260)
【出願日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【分割の表示】特願2007−16803(P2007−16803)の分割
【原出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【分割の表示】特願2007−16803(P2007−16803)の分割
【原出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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