説明

パターン検査装置、近似曲線の作成方法、パターン検査方法およびプログラム

【課題】 高い精度および効率でパターンを検査する。
【解決手段】 パターンPI2の画像データからその輪郭EP2を表わす点列を抽出し、上記点列の重心Pgの位置(xg,yg)を算出し、重心位置(xg,yg)を基準として上記点列を極座標(ri,θi)(i=0,1,…,N)で表現し、上記極座標で表現された点列を、方位角θiを引数とする三角関数の多項式を分母に有する関数で動径riを表わした曲線に近似する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン検査装置、近似曲線の作成方法、パターン検査方法およびプログラムに関し、例えば顕微鏡で取得された微細パターンのデジタル画像から抽出された輪郭点列の座標情報を用いた微細パターンの近似曲線の作成および検査を対象とする。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの微細化の進展に従い、設計に忠実にパターンを形成することが困難になってきている。特に、近年、本来スムースであるべきパターンエッジにいわゆるエッジラフネスが発生し、これがデバイスの特性に深刻な影響を及ぼす場合があることが判明してきている。
【0003】
設計上直線的なパターンに関しては、電子顕微鏡や光学顕微鏡で取得したデジタル画像を用いてエッジラフネスを評価する方法が提案されている(例えば特許文献1)。また、楕円状の微細パターンに対してエッジラフネス、長軸および短軸の長さ、並びに長軸の方向などで評価する方法も提案されている(例えば特許文献2)。
【0004】
しかしながら、ラインパターンと楕円パターンとの中間的な形状を有するパターン(例えば図2参照参照)に特許文献1の方法を用いると、両端の曲線部分の影響がエッジラフネスの評価に影響してしまうという問題があった。また、特許文献2に開示された方法のうち、フーリエ記述子を用いる方法では、小さい次数の記述子を用いてパターン輪郭を再構成した場合にパターンの概略形状を正しく表現することができないという問題があり、この一方、大きな次数の記述子まで用いた場合には、ラフネスまでも再構成されてしまうために却ってラフネスの評価ができなくなる、という問題があった。
【0005】
さらに可能な従来方法としては、リソグラフィシミュレーションによってウェーハ転写後のパターン形状を算出し、算出した形状と実際の形状との差分を算出する方法が考えられる。しかし、リソグラフィシミュレーションは多大な時間を要するために検査コストがかかる上、パターンの端部におけるショートニングの影響を正しく予想することが困難であるという問題があった。
【特許文献1】特開2002−162216
【特許文献2】特開2003−31469
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、高い精度および優れた効率でパターンを検査することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の手段により上記課題の解決を図る。
【0008】
即ち、本発明によれば、
パターンの輪郭に近似する曲線の作成方法であって、
パターンの画像データから前記パターンの輪郭を表わす点列を抽出する手順と、
前記点列の重心位置を算出する手順と、
前記重心位置を基準として前記点列を極座標で表現する手順と、
前記極座標で表現された点列を、方位角を引数とする三角関数の多項式を分母に有する関数で動径を表わした曲線に近似する手順と、
を備える、近似曲線の作成方法が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、
パターンの輪郭に近似する曲線の作成方法であって、
パターンの画像データから前記パターンの輪郭を表わす点列を抽出する手順と、
前記点列の重心位置を算出する手順と、
前記重心を原点とするXY座標系の4つの象限に前記点列をグループ分けする手順と、
いずれかの前記象限内で前記点列に含まれる点であって、x座標の絶対値とy座標の絶対値とがほぼ同じである点を第1の分割点として算出する手順と、
Y軸に関して前記第1の分割点と線対称な点を第2の分割点とし、前記重心に関して前記第1の分割点と点対称な点を第3の分割点とし、X軸に関して前記第1の分割点と線対称な点を第4の分割点として特定する手順と、
第1乃至第4の分割点により各グループの点列をそれぞれ2分割し、一方の点列を直線で、他方の点列を円、楕円もしくは放物線またはより高次の多項式の一部で近似する手順と、
第1乃至第4の分割点を前記点列上で各象限の範囲内で同時に移動させながら残差平方和を算出し、最小の残差平方和となる第1乃至第4の分割点を用いて前記点列を両端が放物線で残余の部分が直線である曲線に近似する手順と、
を備える近似曲線の作成方法が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、
上述した近似曲線の作成方法により得られた近似曲線と、前記点列を構成する各点との距離を算出する手順と、
算出された前記距離を用いて前記パターンのエッジラフネスを定量化することにより前記パターンを評価する手順と、
を備えるパターン検査方法が提供される。
【0011】
また、本発明によれば、
上述した近似曲線の作成方法をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【0012】
また、本発明によれば、
上記パターン検査方法をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【0013】
また、本発明によれば、
パターンの画像データを与えられて前記パターンの輪郭を表わす点列を抽出する点列抽出手段と、
前記点列の重心位置を算出し、前記重心位置を基準として前記点列を極座標で表現し、得られた点列を、方位角を引数とする三角関数の多項式を分母に有する関数で動径を表わした曲線に近似する近似化手段と、
得られた近似曲線と前記点列を構成する各点との距離を算出し、算出された前記距離を用いて前記パターンのエッジラフネスを定量化するエッジラフネス定量化手段と、
を備えるパターン検査装置が提供される。
【0014】
さらに、本発明によれば、
パターンの画像データから前記パターンの輪郭を表わす点列を抽出する点列抽出手段と、
前記点列の重心位置を算出し、前記重心を原点とするXY座標系の4つの象限に前記点列をグループ分けし、いずれかの前記象限内で前記点列に含まれる点であって、x座標の絶対値とy座標の絶対値とがほぼ同じである点を第1の分割点として算出し、Y軸に関して前記第1の分割点と線対称な点を第2の分割点とし、前記重心に関して前記第1の分割点と点対称な点を第3の分割点とし、X軸に関して前記第1の分割点と線対称な点を第4の分割点として特定する第1の演算手段と、
前記第1乃至第4の分割点により各グループの点列をそれぞれ2分割し、一方の点列を直線で、他方の点列を円、楕円もしくは放物線またはより高次の多項式の一部で近似する第1の近似化手段と、
第1乃至第4の分割点を前記点列上で各象限の範囲内で同時に移動させながら残差平方和を算出し、最小の残差平方和となる第1乃至第4の分割点を用いて前記点列を、両端が放物線で残余の部分が直線である曲線に近似する第2の近似化手段と、
得られた近似曲線と、前記点列を構成する各点との距離を算出する第2の演算手段と、
算出された前記距離を用いて前記パターンのエッジラフネスを定量化するエッジラフネス定量化手段と、
を備えるパターン検査装置が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ラインパターンと楕円パターンとの中間的な形状を有するパターンについても、パターン輪郭の近似曲線を高い精度で作成することができる。
【0016】
また、本発明によれば、高精度の近似曲線を用いることによりパターンのラフネスを定量的に検査できるので、高い精度および効率でパターンを検査することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。以下の図面においては、同一の部分には同一の参照番号を付し、その重複説明は適宜省略する。
【0018】
(1)第1の実施の形態
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかるパターン検査装置の概略構成を示すブロック図である。同図に示すパターン検査装置1は、画像処理部10と、近似曲線作成部12と、パターン評価部16と、表示部18とを備える。近似曲線作成部12は、画像処理部10およびパターン評価部16に接続され、また、表示部12は、画像処理部10、近似曲線作成部12、およびパターン評価部16に共通に接続される。
【0019】
画像処理部10は、本実施形態において例えば点列抽出手段に対応し、検査対象であるパターンの画像データを受け取ってパターンの輪郭を抽出し、点列データとして出力する。パターン画像としてはSEM(Scanning Electron Microscope)像の他、TEM(Transmission Electron Microscope)像を用いることもできる。さらに、要求される精度があまり厳しくない場合には、光顕画像を用いても良い。
【0020】
近似曲線作成部12は、本実施形態において例えば近似化手段に対応し、画像処理部10から点列データを与えられ、後述する手順によりパターン輪郭に近似する曲線(以下、近似曲線という)を点列データから作成する。
【0021】
パターン評価部16は、本実施形態において例えばエッジラフネス定量化手段に対応し、近似曲線作成部12から近似曲線のデータと点列データとを与えられ、後述する手順によりこれらのデータを処理してパターンのエッジラフネスを定量化する。
【0022】
表示部18は、操作者の便宜のため、パターン画像、近似曲線および定量化されたエッジラフネスを液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)等の表示手段に視認可能に表示する。
【0023】
図1に示すパターン検査装置1の動作について、図2乃至図6を参照しながらより具体的に説明する。
【0024】
図2は、本実施形態における検査対象パターンの一例を示す図である。同図に示すパターンPI2は、ラインパターンと楕円パターンとの中間的な形状を有し、前述したとおり、従来の技術ではエッジラフネスを正確に評価できなかったパターンの典型例である。
【0025】
図3は、パターン検査装置1の動作をより具体的に説明するフローチャートである。なお、同図のステップS1乃至S5までの動作は、本発明にかかる近似曲線の作成方法の第1の実施の形態に対応する。
【0026】
まず、パターンPI2の画像データを画像処理部10が取り込み、図4(a)に示すように、パターンの輪郭EP2を抽出する(ステップS1)。画像データがアナログデータである場合には、画像処理部10は、これをデジタル画像データに変換した上で輪郭抽出処理を実行する。本実施形態では、パターン輪郭の抽出にあたり、特開2003−16463号公報に記載の方法を用いた。ただし、パターンがあまり長細くない場合には特開2001−91231号公報に開示の方法を用いることもできる。上記参照により、これらの内容全体を本願明細書に引用したものとする。
【0027】
次に、近似曲線作成部12は、画像処理部10からパターン輪郭EP2の点列データの供給を受け、図4(b)に示すように、この点列データから重心座標Pg(xg,yg)を算出する(ステップS2)。点列データの数量は、説明の便宜のためN個とする。
【0028】
続いて、図4(c)に示すように、近似曲線作成部12は、パターン輪郭EP2の点列データを、水平方向からの方位角θiと、重心Pgからの距離、即ち、動径riとの組み合わせで構成される極座標の点列として(ri,θi)(i=0,1,…,N)で表現し直し、θiの順に並べる(図3、ステップS3)。ただし、例えば上述した特開2003−16463号公報に記載の方法に従えば、点列データは元々θiの順に並んでいるため、ステップS3の処理は簡便に実行することができる。
【0029】
次いで、極座標で表現された点列(ri,θi)を下記の式にフィッティングする。

ri=A+B/(1−Ccos2θi)+εi …(1)
【0030】
近似曲線作成部12は、最小二乗法により、最小の残差平方和を与えるA,B,Cの組み合わせを求め、フィッティング結果として採用し、パターン輪郭EPの近似曲線を最終的に作成する(ステップS5)。この点をより詳細に説明する。
【0031】
式(1)は、係数Cの項を除けば線形であり、また、係数Cは区間[0,1]の範囲内になければならない。そこで、0から1までの値を0.01ずつ増加させながら、その都度線形最小二乗法により、係数AおよびB、並びに残差平方和
【数1】

を求める。このアルゴリズムは線形時間アルゴリズムであるので、計算には特に長い時間が掛からず、最適値を求める計算は必ず収束する。さらに、残差平方和が最小となるときのA,B,Cの組み合わせを最終的なフィッティング結果として採用する。この方法によるフィッティングには点列を構成する点の数Nが約400個の場合で、500MHzのCPUを使用しても処理時間は1秒未満であった。ここでは0の値を0から刻み0.01で逐次的に1まで増加させていったが、このような刻み幅は、計算の要求精度に応じて任意の幅を与えることができる。また、区間〔0,1〕を二分法によって探索しても良いし、未知数A,B,Cを同時に逐次与えて最適解を求めるような方法によって係数を求めても良い。さらに、ルベンバーク・マルカート法やガウス・ニュートン法のように非線形回帰計算の一般的な方法によって最適解を得ることも可能ではあるが、上述したような線形時間アルゴリズムによる方法がより好ましい。
【0032】
式(1)で与えられる関数は、図5の説明図に示すように、Cの値が0のときは半径A+Bの真円となり、Cの値が1の時には平行な2直線となる。従って、Cの値がこれらの中間的な値である場合には、図2の検査対象パターンPI2の輪郭形状に対する良いモデルを与える。
【0033】
最後に、図6に示すように、パターン評価部16が近似曲線作成部12から近似曲線CP2のデータと、もとの点列EP2データとを与えられ、これらの間の距離をδiとして算出し、Σδi/Nから平均偏差を求め、かつ、(Σδi/N)1/2から標準偏差を求め、これらをパターンのエッジラフネスの尺度として出力する(ステップS6)。
【0034】
本実施形態によれば、従来ラフネスの評価が困難であったパターンについても、小さな演算負荷でパターンラフネスを正確に定量化することができる。これにより、高い精度でかつ高速でパターンを検査することが可能になる。
【0035】
(2)第2の実施の形態
図7は、本発明の第2の実施の形態にかかるパターン検査装置の概略構成を示すブロック図である。図1との対比により明らかなように、図7に示すパターン検査装置2の特徴は、近似曲線作成部12に代えて近似曲線作成部14を備える点にある。近似曲線作成部14は、本実施形態において、例えば第1および第2の演算手段、第1および第2の近似化手段に対応する。パターン検査装置2のその他の構成は、図1に示すパターン検査装置1と実質的に同一である。
【0036】
本実施形態のパターン検査装置2の動作について図8乃至図10を参照しながらより具体的に説明する。前述したとおり、画像処理部10、パターン評価部16、および表示部18の動作は、第1の実施形態においてパターン検査装置1について説明した動作と同一であるので、以下では近似曲線作成部14の機能を中心に説明する。
【0037】
図8は、図7に示すパターン検査装置を用いたパターン検査方法の概略手順を示すフローチャートであり、図9は、検査対象パターンPI4を例に取り上げて図8に示す手順をより具体的に説明する図であり、さらに、図10は、図8に示す手順により得られる近似曲線の説明図である。なお、図8のステップS11乃至S16までの動作は、本発明にかかる近似曲線の作成方法の第2の実施の形態に対応する。
【0038】
図8に示す手順のうち、画像処理部10によるステップS11(図9(a)参照)は、図3のフローチャートにおけるステップS1と同一の手順である。また、図8に示す手順のうち、ステップS12は近似曲線作成部14による手順であるが、図3のステップS2と同一であるので(図9(b)参照)、これらのステップS11および12の説明は省略し、ステップS13乃至S17について説明する。
【0039】
パターン検査装置2の近似曲線作成部14は、図9(c)に示すように、ステップS12により算出した重心を基準点(原点)としてX軸とY軸を設定することにより、パターン輪郭EP4の点列データを4つの象限に分け、その第一象限における点列上の点でx座標とy座標とがほぼ同一の値を有する点をP1として特定し(ステップS13)、次に、第二象限における点列上の点でY軸に対してP1と線対称な点をP2として特定し、続いて第三象限における点列上の点で原点(本実施形態において重心)に対してP1と点対称な点をP3として特定し、さらに、第四象限における点列上の点でX軸に対してP1と線対称な点をP4として特定する(ステップS14)。
【0040】
次に、点P1〜P4を境界として各象限の点列をそれぞれ2つのグループに分割し、一方のグループを水平線、他方のグループを放物線に近似する(ステップS15)。このときの曲線モデルCP4を、それに対する数式とともに図10に示す。
【0041】
このように互いに対称性を有するように各象限内の境界点P1〜P4を設定し、その対象性を利用することによって、一旦設定された境界点P1〜P4を各象限内で同時に移動させることができる。さらに、残差平方和
【数2】

が最小になる境界点を最適解として採用することにより、図9(d)に示すように、もとの点列を、その両端が放物線で他の部分が直線であるようなカプセル型の曲線に近似する計算が線形時間で実現できた(ステップS16)。
【0042】
その後は、前述した第1の実施の形態と同様に、上記手順で得られたカプセル型の曲線ともとの点列との間の距離をδiとして算出し、Σδi/Nから平均偏差を求め、かつ、(Σδi/N)1/2から標準偏差を求め、これらをパターンのエッジラフネスの尺度として出力する(ステップS17)。
【0043】
本実施形態においては、パターン輪郭EP4を直線と放物線からなる曲線に近似したが、上記放物線はたとえば半円または半楕円に置き換えても良いし、より次数の高い多項式に近似させることも可能である。ただし、高い次数を用いた場合には端部が複雑な形状となるので、ラフネスの評価には好適でない場合もある。従って、本実施形態ではパターン輪郭を放物線または半(楕)円で近似することが好ましい。
【0044】
(3)プログラム
上述した第1および第2の実施の形態で説明した近似曲線の作成方法およびパターン検査方法のそれぞれにおける一連の手順は、プログラムに組み込んで画像データ処理可能なコンピュータに読込ませて実行させても良い。これにより、本発明にかかる近似曲線の作成方法およびパターン検査方法における各一連の手順を画像処理可能な汎用コンピュータを用いて実現することができる。また、上述した近似曲線の作成方法およびパターン検査方法の各一連の手順をコンピュータに実行させるプログラムとしてフレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読込ませて実行させても良い。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の携帯可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でも良い。また、上述した近似曲線の作成方法およびパターン検査方法のそれぞれの一連の手順を組込んだプログラムをインターネット等の通信回線(無線通信を含む)を介して頒布しても良い。さらに、上述した近似曲線の作成方法およびパターン検査方法の各一連の手順を組込んだプログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、または記録媒体に収納して頒布しても良い。
【0045】
(4)半導体装置の製造方法
上記第1および第2の実施形態で説明した近似曲線の作成方法およびパターン検査方法を半導体装置の製造における検査工程に組み込むことにより、高いスループットおよび歩留まりで半導体装置を製造することが可能になる。
【0046】
以上、本発明の実施の形態のいくつかについて説明したが、本発明は上記形態に限られるものでは決してなく、その技術的範囲を逸脱することなく適宜変形または修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかるパターン検査装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における検査対象パターンの一例を示す図である。
【図3】図1に示すパターン検査装置を用いたパターン検査方法の概略手順を示すフローチャートである。
【図4】図3に示す手順のより具体的な説明図である。
【図5】図3に示す近似曲線の係数に対するフィッティングを説明する図である。
【図6】残差の具体的な算出方法を説明する図である。
【図7】本発明にかかるパターン検査装置の第2の実施の形態を示すブロック図である。
【図8】図7に示すパターン検査装置を用いたパターン検査方法の概略手順を示すフローチャートである。
【図9】図8に示す手順のより具体的な説明図である。
【図10】図8のステップS15に示す手順により得られる近似曲線の説明図である。
【符号の説明】
【0048】
1,2 パターン検査装置
10 画像処理部
12,14 近似曲線作成部
16 パターン評価部
18 表示部
CP2,CP4 近似曲線
EP2,EP4 測定対象パターンの輪郭
PI2,PI4 測定対象パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターンの輪郭に近似する曲線の作成方法であって、
パターンの画像データから前記パターンの輪郭を表わす点列を抽出する手順と、
前記点列の重心位置を算出する手順と、
前記重心位置を基準として前記点列を極座標で表現する手順と、
前記極座標で表現された点列を、方位角を引数とする三角関数の多項式を分母に有する関数で動径を表わした曲線に近似する手順と、
を備える、近似曲線の作成方法。
【請求項2】
前記動径をr、前記方位角をθ、係数をA,B,Cとすると、前記関数は、次式
r=A+B/(1−Ccos2θ)
または
r=A+B/(1−Csin2θ)
であることを特徴とする請求項1に記載の近似曲線の作成方法。
【請求項3】
パターンの輪郭に近似する曲線の作成方法であって、
パターンの画像データから前記パターンの輪郭を表わす点列を抽出する手順と、
前記点列の重心位置を算出する手順と、
前記重心を原点とするXY座標系の4つの象限に前記点列をグループ分けする手順と、
いずれかの前記象限内で前記点列に含まれる点であって、x座標の絶対値とy座標の絶対値とがほぼ同じである点を第1の分割点として算出する手順と、
Y軸に関して前記第1の分割点と線対称な点を第2の分割点とし、前記重心に関して前記第1の分割点と点対称な点を第3の分割点とし、X軸に関して前記第1の分割点と線対称な点を第4の分割点として特定する手順と、
第1乃至第4の分割点により各グループの点列をそれぞれ2分割し、一方の点列を直線で、他方の点列を円、楕円もしくは放物線またはより高次の多項式の一部で近似する手順と、
第1乃至第4の分割点を前記点列上で各象限の範囲内で同時に移動させながら残差平方和を算出し、最小の残差平方和となる第1乃至第4の分割点を用いて前記点列を両端が放物線で残余の部分が直線である曲線に近似する手順と、
を備える近似曲線の作成方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の近似曲線の作成方法により得られた近似曲線と、前記点列を構成する各点との距離を算出する手順と、
算出された前記距離を用いて前記パターンのエッジラフネスを定量化することにより前記パターンを評価する手順と、
を備えるパターン検査方法。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載の近似曲線の作成方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項6】
請求項4に記載のパターン検査方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項7】
パターンの画像データを与えられて前記パターンの輪郭を表わす点列を抽出する点列抽出手段と、
前記点列の重心位置を算出し、前記重心位置を基準として前記点列を極座標で表現し、得られた点列を、方位角を引数とする三角関数の多項式を分母に有する関数で動径を表わした曲線に近似する近似化手段と、
得られた近似曲線と前記点列を構成する各点との距離を算出し、算出された前記距離を用いて前記パターンのエッジラフネスを定量化するエッジラフネス定量化手段と、
を備えるパターン検査装置。
【請求項8】
前記動径をr、前記方位角をθ、係数をA,B,Cとすると、前記関数は、次式
r=A+B/(1−Ccos2θ)
または
r=A+B/(1−Csin2θ)
であることを特徴とする請求項7に記載のパターン検査装置。
【請求項9】
パターンの画像データから前記パターンの輪郭を表わす点列を抽出する点列抽出手段と、
前記点列の重心位置を算出し、前記重心を原点とするXY座標系の4つの象限に前記点列をグループ分けし、いずれかの前記象限内で前記点列に含まれる点であって、x座標の絶対値とy座標の絶対値とがほぼ同じである点を第1の分割点として算出し、Y軸に関して前記第1の分割点と線対称な点を第2の分割点とし、前記重心に関して前記第1の分割点と点対称な点を第3の分割点とし、X軸に関して前記第1の分割点と線対称な点を第4の分割点として特定する第1の演算手段と、
前記第1乃至第4の分割点により各グループの点列をそれぞれ2分割し、一方の点列を直線で、他方の点列を円、楕円もしくは放物線またはより高次の多項式の一部で近似する第1の近似化手段と、
第1乃至第4の分割点を前記点列上で各象限の範囲内で同時に移動させながら残差平方和を算出し、最小の残差平方和となる第1乃至第4の分割点を用いて前記点列を、両端が放物線で残余の部分が直線である曲線に近似する第2の近似化手段と、
得られた近似曲線と、前記点列を構成する各点との距離を算出する第2の演算手段と、
算出された前記距離を用いて前記パターンのエッジラフネスを定量化するエッジラフネス定量化手段と、
を備えるパターン検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−107209(P2006−107209A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−294171(P2004−294171)
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】