パチンコ遊技機
【課題】演出部材が大きく且つ高速に変位する場合でも、演出部材の動きに追従することが可能なフレキシブルケーブルを備えるパチンコ遊技機を提供する。
【解決手段】パチンコ遊技機は、演出システム16と、遊技機全体を制御する主制御基板とを備える。演出システム16は、遊技盤上において所定の演出動作を行う大型演出装置100と、大型演出装置100を支持する支持部材300とを有する。大型演出装置100は、所定の方向に直線往復移動可能な大型演出部材106と、大型演出部材106に演出を行われるための回路基板とを有する。フレキシブルケーブルFC1,FC2の一端が主制御基板に接続されており、中間部分がプーリ316に掛け渡され、他端が回路基板に接続されている。プーリ316にはコイルバネ318が取り付けられており、フレキシブルケーブルFC1,FC2を引っ張っている。
【解決手段】パチンコ遊技機は、演出システム16と、遊技機全体を制御する主制御基板とを備える。演出システム16は、遊技盤上において所定の演出動作を行う大型演出装置100と、大型演出装置100を支持する支持部材300とを有する。大型演出装置100は、所定の方向に直線往復移動可能な大型演出部材106と、大型演出部材106に演出を行われるための回路基板とを有する。フレキシブルケーブルFC1,FC2の一端が主制御基板に接続されており、中間部分がプーリ316に掛け渡され、他端が回路基板に接続されている。プーリ316にはコイルバネ318が取り付けられており、フレキシブルケーブルFC1,FC2を引っ張っている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技盤面上において、演出部材を上下動させることにより、特徴的な演出を行うパチンコ遊技機が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のパチンコ遊技機は、回転駆動源と、演出のための従動プレートが取り付けられていると共に回転駆動源に対して直動可能に設けられた直動部材と、回転駆動源の回転を直動部材の直動動作に変換するための回転直動変換機構とを備えている。
【0003】
回転直動変換機構は、回転駆動源により回転駆動されるリールと、リールに巻回された直動巻回ベルトとを有する。直動巻回ベルトは、帯状をなし、一端部がリールに固定され、他端部が直動部材に固定されている。直動巻回ベルトは、回転駆動源がリールを回転駆動させるのに伴いリールに巻回されるとき、弾性変形してリールに巻き付いて保持され、同時に、直動部材をリール側に引っ張る。直動巻回ベルトは、回転駆動源がリールを回転駆動させるのに伴いリールから引き出されるとき、弾性復元して突っ張り状態となり、同時に、直動部材をリールから離れた側に押し出す。これにより、遊技盤面上において従動プレートが上下動することとなる。
【0004】
このように、従来のパチンコ遊技機では、遊技盤面上において演出部材を上下動させることによって遊技者を惹きつけ、遊技者に対する興趣の向上を図っていた。しかしながら、従来のパチンコ遊技機には、フレーム部材にガイド溝が設けられており、直動部材に設けられた直動ガイド部材がこのガイド溝に係合している。そのため、演出部材が上下動する際に、直動ガイド部材とガイド溝との間に摩擦力が生じてしまう。従って、従来のパチンコ遊技機では、演出部材の長距離移動や高速移動が困難であった。また、遊戯中、演出部材の上下動のみならず、直動ガイド部材の上下動も遊技者に目視されてしまうため、遊技者の注意が演出部材でなく直動ガイド部材に向けられてしまう虞があった。
【0005】
そこで、フレーム部材のガイド溝と係合する直動ガイド部材を用いることなく、自立して演出部材を上下動させることのできる演出装置を備えたパチンコ遊技機が知られている(例えば、特許文献2,3を参照)。特許文献2,3に記載のパチンコ遊技機は、固定部に設けられた駆動モータと、上下方向にスライド可能となるように固定部に取り付けられたベース部材と、演出部材が設けられており、ベース部材に対して上下方向にスライド可能となるようにベース部材に取り付けられた第1ラックと、ベース部材に対して上下方向にスライド可能となるようにベース部材に取り付けられた第2ラックと、第1ラックと第2ラックとの間にそれぞれ噛合した状態でベース部材に取り付けられた伝達ギアと、第1ラックに設けられた第1ラックストッパと、第2ラックに設けられた第2ラックストッパと、これらを収納するケース部材とを有する演出装置を備えている。
【0006】
ケース部材に設けられた上係止部に第2ラックストッパが当接している初期状態から、駆動モータが一方向に回転駆動されると、複数の歯車を介してベース部材を下方向に移動させる。ベース部材が下方向に移動すると同時に、第1ラックが自重によって下方向に移動する。そのため、第1ラックに設けられた演出部材も下方向に移動する。このとき、第1ラックの歯状の第1連繋部と、第2ラックの歯状の第2連繋部とが共に連結ギアと歯合しているが、初期状態において第2ラックストッパが上係止部に当接しているので、第2ラックは移動しない。
【0007】
第1ラックストッパがベース部材の中板に設けられた長孔の下端縁に当接するまで、第1ラックが下降すると、第1ラックストッパと長孔の下端縁とが当接した状態を保持したまま、第2ラックストッパが上係止部から離れ、ベース部材がさらに下方に移動する。これにより、演出部材は、ベース部材の移動距離に、ベース部材に対する第1ラックの相対移動距離を加えた距離を変位することとなる。従って、演出部材を大きく変位させることで遊技者を惹きつけることのできる演出装置が、コンパクトに提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−194313号公報
【特許文献2】特開2007−319374号公報
【特許文献3】特開2007−319375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、より効果的な演出を目的として回路基板を演出部材に取り付け、演出部材を発光させたり回転させたりすることが考えられる。この場合、演出部材に取り付けられた回路基板と、パチンコ遊技機の遊技盤の裏側に配置され、遊技機全体を制御する主制御基板とを、フレキシブルケーブル等で接続する必要がある。
【0010】
しかしながら、特許文献2,3に記載のパチンコ遊技機では、演出部材が大きく且つ高速に変位しうるため、主制御基板と演出部材の回路基板とをフレキシブルケーブルで接続すると、フレキシブルケーブルが演出部材の動きに追従することが困難であった。また、演出部材が大きく且つ高速に変位することで、フレキシブルケーブルが断線してしまう虞もあった。
【0011】
そこで、本発明は、演出部材が大きく且つ高速に変位する場合でも、演出部材の動きに追従することが可能なフレキシブルケーブルを備えるパチンコ遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るパチンコ遊技機は、遊技盤上において所定の演出動作を行う演出装置と、遊技機全体を制御する主制御基板と、フレキシブルケーブルとを備えるパチンコ遊技機であって、演出装置は、所定の方向に直線往復移動可能な演出部材と、演出部材に演出を行わせるための回路基板と、演出部材を駆動して直線往復移動させるための駆動手段とを有し、フレキシブルケーブルの一端は主制御基板に接続され、フレキシブルケーブルの他端は回路基板に接続されており、演出部材の移動によって生ずるフレキシブルケーブルを引っ張る力に抗する付勢力をフレキシブルケーブルに付与する付勢手段を更に備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るパチンコ遊技機によれば、演出部材の移動によって生ずるフレキシブルケーブルを引っ張る力に抗する付勢力を、付勢手段がフレキシブルケーブルに付与している。そのため、演出部材が移動したとしても、付勢手段によって付勢力がフレキシブルケーブルに付与されるため、フレキシブルケーブルがたるむことがない。その結果、演出部材が大きく且つ高速に変位する場合でも、フレキシブルケーブルが演出部材の動きに追従できるようになる。
【0014】
また、本発明に係るパチンコ遊技機において、遊技盤を支持し、直線状の長孔が形成された支持部材と、長孔に沿ってスライド可能に取り付けられたプーリとを更に備え、プーリには、フレキシブルケーブルの中間部分が掛け回されており、付勢手段は、プーリに取り付けられている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、演出部材が大きく且つ高速に変位する場合でも、演出部材の動きに追従することが可能なフレキシブルケーブルを備えるパチンコ遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本実施形態に係るパチンコ遊技機の正面図である。
【図2】図2は、演出システムの全体を示す正面図である。
【図3】図3は、大型演出装置の正面図である。
【図4】図4は、大型演出装置を分解して示す前方斜視図である。
【図5】図5は、大型演出装置を分解して示す後方斜視図である。
【図6】図6は、ベース部材及びその周辺の構成を示す前方斜視図である。
【図7】図7は、ベース部材及びその周辺の構成を示す後方斜視図である。
【図8】図8は、スライド部材及びその周辺の構成を示す前方斜視図である。
【図9】図9は、スライド部材及びその周辺の構成を示す後方斜視図である。
【図10】図10は、大型演出部材及びその周辺の構成を示す前方斜視図である。
【図11】図11は、大型演出部材及びその周辺の構成を示す後方斜視図である。
【図12】図12は、回転板及びその周辺の構成を示す後方斜視図である。
【図13】図13は、支持部材の一部を概略的に示す後方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係るパチンコ遊技機1の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0018】
[パチンコ遊技機の全体構造]
パチンコ遊技機1は、図1に示されるように、筐体10と、筐体10に対して開閉可能に取り付けられたフロント扉12と、筐体10内に配置された遊技盤14と、遊技盤14の背後に配置された演出システム16と、図示しない主制御基板とを備える。
【0019】
フロント扉12の略中央部には、ガラス板12aが取り付けられており、このガラス板12aを通して遊技盤14の全体が視認可能となっている。フロント扉12の下部には、遊技球を貯蔵可能な上皿12bと、上皿12bに貯蔵されている遊技球を遊技盤14の上部に向けて発射するための発射ハンドル12cが設けられている。遊技盤14には、多数の遊技釘14aと、開口部14bと、入賞口14cとが設けられている。
【0020】
演出システム16は、図2に示されるように、大型演出装置100と、一対の小型演出装置200と、大型演出装置100及び小型演出装置200が取り付けられている支持部材300とを有する。演出システム16は、図1に示されるように、大型演出装置100及び小型演出装置200が遊技盤14の開口部14bから視認可能となるように、筐体10内に配置されている。
【0021】
小型演出装置200は、一対の小型演出部材202A,202Bと、図示しないモータとを有する。一対の小型演出部材202A,202Bは、例えば互いに交互に上下動するように、モータによって駆動される。
【0022】
[大型演出装置の詳細な構造]
図2〜図12を参照して、大型演出装置100の詳細な構造を説明する。大型演出装置100は、ベース部材102と、ベース部材102にスライド可能に取り付けられたスライド部材104(第1のスライド部材)と、スライド部材104に取り付けられた大型演出部材106とを有する。大型演出部材106は、スライド部材104を介して、ベース部材102に対して往復可能に直線移動できるように構成されている(図2の二点鎖線を参照)。本実施形態において、演出部材106は、上下方向に往復移動するが、左右方向や斜め方向に演出部材106を往復運動させてもよい。
【0023】
[ベース部材について]
ベース部材102は、図6及び図7に示されるように、背板102aと、一対の側板102b,102cと、一対のフランジ102d,102eと、天板102fとを有する。ベース部材102は、プラスチックが成形されたものである。そのため、背板102a、側板102b,102c、フランジ102d,102e及び天板102fは、一体的に形成されている。
【0024】
側板102b,102cは、背板102aの両端にそれぞれ形成されており、背板102aに対して垂直方向(図6及び図7において前方)に延びている。そのため、背板102a及び側板102b,102cの断面がコ字形状を呈している。フランジ102dは、側板102bの前端に設けられており、側板102bに対して垂直方向で且つ外方(図6において左方向;図7において右方向)に延びている。フランジ102eは、側板102cの前端に設けられており、側板102cに対して垂直方向で且つ外方(図6において右方向;図7において左方向)に延びている。
【0025】
天板102fは、背板102a及び側板102b,102cの上端に設けられている。天板102fの側板102b及びフランジ102d寄りの部分には、切欠き部102gが形成されており、フレキシブルケーブルFC1,FC2(詳しくは後述する)が通過可能とされている。
【0026】
背板102aには、ラックギア108(第1のラックギア)と、三つの長円形状の長孔110,112,114と、矩形状の開口部116とが形成されている。ラックギア108及び長孔110,112,114は、いずれも、図6の上下方向に沿って直線状に延びている。なお、ラックギア108は、背板102aの内面(側板102b,102cが突出している側の面)に形成されている。
【0027】
背板102aの外面には、ギアボックス118が取り付けられている。図7に示されるように、ギアボックス118は、モータ120(駆動手段)と、筐体122と、段付きの歯車部材124と、二つの歯車部材126,128とを有する。モータ120の軸120aには、ネジ歯車120bが設けられている。
【0028】
筐体122は、取付け板122aと、支持板122bと、補助板122cとを有する。取付け板122a及び補助板122cは、支持板122bの両端にそれぞれ形成されており、支持板122bに対して垂直方向に延びている。そのため、取付け板122a、支持板122b及び補助板122cの断面がコ字形状を呈している。
【0029】
取付け板122a及び補助板122cには、それぞれ開口部が形成されている。そして、モータ120のネジ歯車120bが取付け板122aと補助板122cとの間に位置するように、取付け板122a及び補助板122cの各開口部内にモータ120の軸120aが挿通されている。支持板122bは、各歯車部材124,126,128を回転可能に支持している。歯車部材124,126,128は、その順でベース部材102の背板102aに近づくように配列されている。特に、歯車部材128の一部は、開口部116を通って背板102aの内面側に位置している。
【0030】
歯車部材124は、小径のはす歯歯車124aと、はす歯歯車124aよりもやや径の大きな平歯車124bとが同軸となって一体的に形成された段付き歯車である。はす歯歯車124aは、モータ120のネジ歯車120bと歯合しており、平歯車124bは、歯車部材126と歯合している。歯車部材126は、歯車部材128とも歯合している。
【0031】
[スライド部材について]
スライド部材104は、図8及び図9に示されるように、背板104aと、一対の側板104b(第1の側部),104c(第2の側部)と、一対の直線状のフランジ104d(第1のレール部材),104e(第2のレール部材)と、天板104fとを有する。スライド部材104は、プラスチックが成形されたものである。そのため、背板104a、側板104b,104c、フランジ104d,104e及び天板104fは、一体的に形成されている。
【0032】
側板104b,104cは、背板104aの両端にそれぞれ形成されており、背板104aに対して垂直方向(図8及び図9において前方)に延びている。そのため、背板104a及び側板104b,104cの断面がコ字形状を呈している。フランジ104dは、側板104bの前端に設けられており、側板104bに対して垂直方向で且つ外方(図8において左方向;図9において右方向)に延びている。フランジ104eは、側板104cの前端に設けられており、側板104cに対して垂直方向で且つ外方(図8において右方向;図9において左方向)に延びている。
【0033】
天板104fは、背板104a及び側板104b,104cの上端に設けられている。天板104fの側板104b及びフランジ104d寄りの部分には、切欠き部104gが形成されており、後述するフレキシブルケーブルFC1,FC2が通過可能とされている。天板104fの中央部分には、切欠き部104hが形成されている。切欠き部104hの奥側の縁には、L字形状を呈する鉤部材104iが設けられている。鉤部材104iの先端は、図8及び図9において上方に向けて延びている。鉤部材104iには、コイルバネ130(弾性部材)の一端が引っ掛けられている。なお、鉤部材104iは、スライド部材104の幅方向における中央よりもやや側板104c(フランジ104e)寄りに位置しているため、コイルバネ130も側板104c(フランジ104e)寄りに位置している(図3を参照)。
【0034】
背板104aには、矩形状の長孔132が形成されている。長孔132は、図8の上下方向に沿って延びている。背板104aの内面(側板104b,104cが突出している側の面)には、ギアボックス134が取付けられている。図8に示されるように、ギアボックス134は、筐体136と、五つの歯車部材138(第1の歯車部材),140(中間歯車部材),142(中間歯車部材),144(中間歯車部材),146(第2の歯車部材)とを有する。
【0035】
筐体136は、長孔132を覆うように、背板104aの内面に取付けられている。筐体136の一対の側面は、各歯車部材138,140,142,144,146を回転可能に支持している。歯車部材138,140,142,144,146は、その順で上から下へと、長孔132に沿って一列に配列されている。歯車部材138,140,142,144,146は、隣り合う歯車部材と互いに歯合している。具体的には、歯車部材140は歯車部材138,42と歯合しており、歯車部材144は歯車部材142,146と歯合している。
【0036】
歯車部材138は、歯車部材140,142,144よりも背板104aの外面側に位置している。具体的には、歯車部材138の半分程度が、長孔132を通って背板104aの外面側に位置している(図9を参照)。そのため、図5に示されるように、ベース部材102とスライド部材104とが組み合わされたとき、歯車部材138は、ラックギア108と歯合する。また、図8に戻って、歯車部材146は、歯車部材140,142,144よりも背板104aの内面側に位置している。具体的には、歯車部材146のほぼ全部が、長孔132を通っていない(図9を参照)。
【0037】
背板104aの外面には、図9に示されるように、ラックギア148と、三つの突出部材150,152,154とが形成されている。ラックギア148は、図9の上下方向に沿って直線状に延びている。図5に示されるように、ベース部材102とスライド部材104とが組み合わされたとき、ラックギア148は、歯車部材128と歯合する。
【0038】
図9に戻って、突出部材150,152,154は、いずれも、断面が長円形状を呈する柱状体である。突出部材150は、背板104aの外面のうち天板104f及び側板104b寄りに位置している。突出部材152は、背板104aの外面のうち天板104f及び側板104c寄りに位置している。突出部材154は、背板104aの外面のうち天板104f寄りで且つ突出部材150とラックギア148との間に位置している。そのため、図5に示されるように、ベース部材102とスライド部材104とが組み合わされたとき、突出部材150は長孔110内に配置され、突出部材152は長孔112内に配置され、突出部材154は長孔114内に配置される。
【0039】
このとき、突出部材150,152の高さは、突出部材154の高さよりも高いため、突出部材150,152の各端面は長孔110,112からやや突き出ており、突出部材154の端面は長孔114から露出していない。端面が露出している突出部材150には、ネジ156によって係止板158が取付けられている。同じく、端面が露出している突出部材152には、ネジ160によって係止板162が取付けられている。これにより、ベース部材102とスライド部材104とが組み合わされる。その結果、各突出部材150,152,154が各長孔110,112,114内をスライドすることにより、スライド部材104がベース部材102に対して各長孔110,112,114に沿って往復可能に直線移動することとなる。
【0040】
[大型演出部材について]
大型演出部材106は、図10及び図11に示されるように、スライド部材164(第2のスライド部材)と、回路基板166(図11を参照)と、図柄が描かれた回転板168(図10を参照)と、カバー部材170とを有する。スライド部材164は、図11に示されるように、背板164aと、一対の直線状のガイド部材164b(第1のガイド部材),164c(第2のガイド部材)とを有する。ガイド部材164b,164cは、背板164aの両端にそれぞれ形成されており、図11の上下方向に沿って延びている。ガイド部材164b,164cは、共に、断面L字形状を呈するアングル状の部材であり、先端が互いに向かい合うように、背板164aに配設されている。図4及び図5に示されるように、スライド部材104と大型演出部材106とが組み合わされたとき、ガイド部材164b,164cにスライド部材104のフランジ104d,104eがそれぞれ挿入され、ガイド部材164b,164cとスライド部材104のフランジ104d,104eとがそれぞれ係合する。その結果、大型演出部材106がスライド部材104に対して各ガイド部材164b,164cに沿って往復可能に直線移動することとなる。
【0041】
図11に戻って、ガイド部材164bの上端で且つ先端の端面には、当該端面から突出する突出片164d(第1の突出部材)が設けられている。突出片164dは、ガイド部材164cに向けて突出しており、先端に向かうにつれて先細りとなっている。ガイド部材164cの中央よりもやや上方で且つ先端の端面には、当該端面から突出する突出片164e(第2の突出部材)が設けられている。突出片164eは、ガイド部材164bに向けて突出しており、先端に向かうにつれて先細りとなっている。
【0042】
突出片164dと突出片164eとは、ガイド部材164b,164cの延在方向(図11の上下方向)において互い違いとなるように位置している。また、突出片164dと突出片164eとは、ガイド部材164b,164cの延在方向に垂直な方向(スライド部材164の幅方向)から見て重なり合わないように、各ガイド部材164b,164cに配設されている。すなわち、本実施形態において、突出片164dは上側に位置しており、突出片164eは下側に位置している。言い換えれば、スライド部材104がベース部材102から引き出されておらず、スライド部材164がスライド部材104から引き出されていない状態における大型演出部材106の位置(大型演出部材106の移動前の初期位置)側に、突出片164dが位置している。また、スライド部材104がベース部材102から引き出されていると共に、スライド部材164がスライド部材104から引き出されている状態における大型演出部材106の位置(大型演出部材106の移動後の変位位置)側に、突出片164eが位置している。
【0043】
ここで、突出片164dと突出片164eとの直線距離L1(図11を参照)は、スライド部材104の側板104bと側板104cとの幅L2(図9を参照)以上となるように設定されている(L1≧L2)。また、ガイド部材164b,164cの延在方向(大型演出部材106の移動方向)に垂直な方向(スライド部材164の幅方向)における突出片164dと突出片164eとの間隔L3(図11を参照)は、スライド部材104の側板104bと側板104cとの幅L2(図9を参照)と略同一となるように設定されている。
【0044】
図11に戻って、背板164aの内面(ガイド部材164b,164cが設けられていない側の面)には、回路基板166が取付けられている。回路基板166は、自身に取付けられたLED等の発光手段や、回転板168の回転を制御する。回路基板166の外面には、コネクタ172,174が設けられており、背板164aに形成された開口部176から露出している。コネクタ172は、フレキシブルケーブルFC1の一端と接続されており、コネクタ174は、フレキシブルケーブルFC2の一端と接続されている。
【0045】
背板164aの外面には、ラックギア178が形成されている。ラックギア178は、図11の上下方向に沿って直線状に延びている。図5に示されるように、スライド部材104と大型演出部材106とが組み合わされたとき、ラックギア178は、歯車部材146と歯合する。
【0046】
背板164aの外面には、支持板180が取付けられている。支持板180は、L字形状を呈しており、水平部分180aと、垂直部分180bとを有している。水平部分180aには、下向きに延びる突出片180cが設けられおり、コイルバネ130の他端が引っ掛けられている(図5を参照)。そのため、コイルバネ130により、スライド部材164(大型演出部材106)とスライド部材104とを互いに引き合う弾性力が、スライド部材164(大型演出部材106)及びスライド部材104に付与されることとなる。なお、コイルバネ130は、スライド部材104との関係では側板104c(フランジ104e)寄りに位置していることから、スライド部材164との関係ではガイド部材164c寄りに位置していることとなる。
【0047】
図11及び図12に示されるように、水平部分180aは、モータ182を支持している。水平部分180aには開口部が形成されており、その開口部内にモータ182の軸182aが挿通されている。モータ182の軸182aには、ネジ歯車182bが設けられている。ネジ歯車182bは、回路基板166に回転可能に支持された歯車部材184と歯合しており、歯車部材184は、回路基板166に回転可能に支持された歯車部材186と歯合している。図12に示されるように、歯車部材186には、回転板168が軸168aを介して取付けられている。そのため、回路基板166がモータ182を制御してモータ182を回転させることで、回転板168が回転することとなる。
【0048】
カバー部材170は、回路基板166及び回転板168を覆うように、スライド部材164に取付けられている。カバー部材170の中央には開口部170aが形成されており、その開口部170aから回転板168の図柄が視認できるようになっている。なお、カバー部材170及び回転板168は、半透明あるいは透明なプラスチックからなっており、回路基板166に取付けられたLED等の発光手段からの光が透過する。そのため、回転板168の回転と発光手段による発光とが相俟って、効果的な演出がなされることとなり、遊技者を遊技に惹きつけることができるようになっている。
【0049】
[大型演出装置の動作]
続いて、以上の構成を有する大型演出装置100の動作について、以下に説明する。初期状態では、図3において実線で示されるように、スライド部材104はベース部材102から引き出されておらず、スライド部材164はスライド部材104から引き出されていない。すなわち、ベース部材102と、スライド部材104と、大型演出部材106とは、互いに重なり合っている。
【0050】
このように、大型演出部材106が移動する前の初期位置にある状態において、主制御基板からの制御信号を受けてモータ120が駆動を開始すると、モータ120の軸120aに設けられたネジ歯車120bが回転する(図5及び図7を参照)。ネジ歯車120bが歯車部材124のはす歯歯車124aと歯合しており、歯車部材124の平歯車124bが歯車部材126と歯合しており、歯車部材126が歯車部材128と歯合していることから、ネジ歯車120bの回転に伴い、歯車部材124,126,128が順次回転する。
【0051】
ここで、歯車部材128がスライド部材104のラックギア148と歯合しているので、歯車部材128の回転により、スライド部材104が下方に押し出される(図7を参照)。従って、スライド部材104は、ベース部材102に対して、各長孔110,112,114に沿って直線移動する。
【0052】
このとき、スライド部材104に取り付けられたギアボックス134の歯車部材138が、ベース部材102のラックギア108と歯合している(図4を参照)。そのため、スライド部材104が下方に移動すると同時に、ラックギア108によって、歯車部材138が回転させられる。歯車部材138,140,142,144,146は、隣り合う歯車部材と互いに歯合していることから、歯車部材138の回転に伴い、歯車部材140,142,144,146が順次回転する。
【0053】
ここで、歯車部材146がスライド部材164のラックギア178と歯合しているので、歯車部材146の回転により、スライド部材164が下方に押し出される(図5を参照)。従って、スライド部材164及び大型演出部材106は、スライド部材104に対して、各ガイド部材164b,164cに沿って直線移動する。
【0054】
[大型演出装置の作用]
以上のような大型演出装置においては、スライド部材164に取り付けられた大型演出部材106は、ベース部材102に対するスライド部材104の移動距離に、スライド部材104に対するスライド部材164の移動距離を加えた距離を変位することとなる。従って、大型演出部材106の大きな変位が、ギアボックス118,134と、ラックギア108,148,178とが組み合わされた簡単な構成によって、実現される。その結果、大型演出部材106の大きな変位を可能としつつ、大型演出装置100の軽量化及びコストの低減を図ることが可能となる。
【0055】
ところで、大型演出部材106は、遊技者を惹きつけるために、回転板168と、LED等の発光手段と、回転板168及び発光手段を制御するための回路基板166とを有しているので、ある程度の重量がある。そこで、コイルバネ130の一端をスライド部材104の鉤部材104iに取り付け、コイルバネ130の他端をスライド部材164の突出片180cに取り付けることにより、スライド部材104とスライド部材164とを互いに引き合う弾性力をスライド部材104,164に付与している。すなわち、コイルバネ130は、スライド部材164及び大型演出部材106の重量を支えると共に、モータ120の駆動力を補う役割を果たしている。
【0056】
しかしながら、大型演出部材106の重心位置や、スライド部材104,164の移動方向に垂直な方向における各部材(コイルバネ130、各フランジ104d,104e、ラックギア108,178、ガイド部材164b,164c、各歯車部材138,140,142,144,146)の位置のバランスにより、大型演出部材106が取り付けられたスライド部材164がスライド部材104に対して、例えば背面視で反時計回りに傾いてしまう。このとき、スライド部材104の各フランジ104d,104eと、スライド部材164の各ガイド部材164b,164cとの間に隙間がなければ、このような傾きは生じないものの、フランジ104d,104eとガイド部材164b,164cとが引っ掛かりあってしまい、スライド部材104とスライド部材164との間においてスムーズな移動ができなくなってしまう。他方、各フランジ104d,104eと各ガイド部材164b,164cとの間に隙間があると、スライド部材164及び大型演出部材106が傾いたまま移動してしまうので、そのような大型演出部材106の動きを見た遊技者が興醒めしてしまう虞がある。
【0057】
そこで、本発明者等は、スライド部材104とスライド部材164との間における動きを滑らかにし、大型演出部材106の演出効果を阻害しない大型演出装置100の構成について、鋭意研究を行った。その結果、突出片164d,164eを、それぞれガイド部材164b,164cの所定の位置に設けることによって、各フランジ104d,104eと各ガイド部材164b,164cとの間に隙間があってもスライド部材164及び大型演出部材106の傾きを抑制でき、且つ、スライド部材104,164のスムーズな移動を実現することができることを見出した。具体的には、ガイド部材164bに、ガイド部材164c(スライド部材104の側板104b)に向けて突出する突出片164dを設け、ガイド部材164cに、ガイド部材164b(スライド部材104の側板104c)に向けて突出する突出片164eを設ける。そして、突出片164dと突出片164eとを、ガイド部材164b,164cの延在方向(スライド部材104,164の移動方向)において互い違いとなると共に、ガイド部材164b,164cの延在方向(スライド部材104,164の移動方向)に垂直な方向(スライド部材164の幅方向)から見て重なり合わないように配設する。さらにこのとき、突出片164dは、突出片164eと較べて大型演出部材106の移動前の初期位置側に位置している。
【0058】
このような構成とすると、スライド部材164の突出片164dがスライド部材104のフランジ104d寄りに引きつけられると共に、スライド部材164の突出片164eがスライド部材104のフランジ104e寄りに引きつけられるような回転(例えば、背面視で反時計回りの回転)が抑制される。
【0059】
しかも、本実施形態において、突出片164dと突出片164eとの直線距離L1は、スライド部材104の側板104bと側板104cとの幅L2以上となるように設定されている(L1≧L2)。また、突出片164dと突出片164eとの間隔L3は、スライド部材104の側板104bと側板104cとの幅L2と略同一となるように設定されている(L3≒L2)。その結果、各フランジ104d,104と各ガイド部材164b,164cとの間に隙間があってもスライド部材164及び大型演出部材106の傾きを殆どなくすことができるので、スライド部材104,164のスムーズな移動を実現することが可能となる。
【0060】
[支持部材の詳細な構造]
続いて、図2及び図13を参照して、支持部材300の詳細な構造を説明する。支持部材300は、図2に示されるように、大型演出装置100及び小型演出装置200の上側において水平方向に延びる水平部分300aと、小型演出装置200の側方において垂直方向に延びる垂直部分300bとを有する。
【0061】
水平部分300aの先端部分には、プーリ302が回転可能に支持されている。水平部分300aには、二つのローラー304,306が取り付けられている。ローラー306は、垂直部分300b寄りに位置しており、ローラー304は、プーリ302とローラー306との間に位置している。
【0062】
垂直部分300bには、開口部308と、長円形状の長孔310とが形成されている。長孔310は、垂直方向(図13の上下方向)に沿って直線状に延びている。長孔310には、スライド部材312が長孔310に沿ってスライド可能に取り付けられている。具体的には、スライド部材312は、中央が全周にわたって窪んだ四角柱部材であり、その窪んだ部分において長孔310と係合している。
【0063】
スライド部材312には、軸314が突設されており、軸314にプーリ316が回転可能に支持されている。一端が回路基板166のコネクタ172,174にそれぞれ接続されたフレキシブルケーブルFC1,FC2は、スライド部材104の切欠き部104g及びベース部材102の切欠き部102gを通って上方に延び、プーリ302、ローラー304,306及びプーリ316の順に掛け渡された後、開口部308を通って、図示しない主制御基板に他端が接続される。
【0064】
軸314の先端には、コイルバネ318(付勢手段)の一端が引っ掛けられている。コイルバネ318の他端は、垂直部分300bの下部に設けられた鉤部材320に引っ掛けられている。
【0065】
[支持部材におけるフレキシブルケーブルに対する作用]
ところで、大型演出部材106が初期位置から変位位置に移動すると、フレキシブルケーブルFC1,FC2は大型演出部材106につられて図13の上方向に引っ張られる。フレキシブルケーブルFC1,FC2はプーリ316に掛け渡されているので、このとき同時に、スライド部材312も図13の上方向に引っ張られる。
【0066】
一方、本実施形態においては、コイルバネ318の付勢力により、スライド部材312と、プーリ316に掛け渡されたフレキシブルケーブルFC1,FC2とが、下方に向けて(鉤部材320に近づく側に)常に引っ張られている。そのため、大型演出部材106が移動したとしても、フレキシブルケーブルFC1,FC2がたるむことがない。その結果、大型演出部材106が大きく且つ高速に変位する場合でも、フレキシブルケーブルFC1,FC2が大型演出部材106の動きに追従できるようになっている。
【0067】
[他の実施形態]
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態では、突出片164dと突出片164eとの直線距離L1を、スライド部材104の側板104bと側板104cとの幅L2以上となるように設定する(L1≧L2)と共に、突出片164dと突出片164eとの間隔L3を、スライド部材104の側板104bと側板104cとの幅L2と略同一となるように設定していた(L3≒L2)が、スライド部材164及び大型演出部材106の傾きを抑制することができ、大型演出部材106に注目する遊技者に不自然な印象を与えることがない場合には、必ずしもこれらの関係を満たしていなくてもよい。
【0068】
また、本実施形態では、コイルバネ318の付勢力によって、スライド部材312と、プーリ316に掛け渡されたフレキシブルケーブルFC1,FC2とを、下方に向けて(鉤部材320に近づく側に)常に引っ張っていたが、スライド部材312に重りを取り付けるなど、種々の付勢手段を用いてフレキシブルケーブルFC1,FC2を下方に向けて引っ張るようにしてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…パチンコ遊技機、14…遊技盤、16…演出システム、100…大型演出装置、102…ベース部材、104…スライド部材(第1のスライド部材)、104b…側板(第1の側部)、104c…側板(第2の側部)、104d…フランジ(第1のレール部材)、104e…フランジ(第2のレール部材)、106…大型演出部材、108…ラックギア(第1のラックギア)、120…モータ(駆動手段)、130…コイルバネ(弾性部材)、138…歯車部材(第1の歯車部材)、140,142,144…歯車部材(中間歯車部材)、146…歯車部材(第2の歯車部材)、164…スライド部材(第2のスライド部材)、164b…ガイド部材(第1のガイド部材)、164c…ガイド部材(第2のガイド部材)、164d…突出片(第1の突出部材)、164e…突出片(第2の突出部材)、166…回路基板、178…ラックギア(第2のラックギア)、300…支持部材、310…長孔、316…プーリ、318…コイルバネ(付勢手段)、FC1,FC2…フレキシブルケーブル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技盤面上において、演出部材を上下動させることにより、特徴的な演出を行うパチンコ遊技機が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のパチンコ遊技機は、回転駆動源と、演出のための従動プレートが取り付けられていると共に回転駆動源に対して直動可能に設けられた直動部材と、回転駆動源の回転を直動部材の直動動作に変換するための回転直動変換機構とを備えている。
【0003】
回転直動変換機構は、回転駆動源により回転駆動されるリールと、リールに巻回された直動巻回ベルトとを有する。直動巻回ベルトは、帯状をなし、一端部がリールに固定され、他端部が直動部材に固定されている。直動巻回ベルトは、回転駆動源がリールを回転駆動させるのに伴いリールに巻回されるとき、弾性変形してリールに巻き付いて保持され、同時に、直動部材をリール側に引っ張る。直動巻回ベルトは、回転駆動源がリールを回転駆動させるのに伴いリールから引き出されるとき、弾性復元して突っ張り状態となり、同時に、直動部材をリールから離れた側に押し出す。これにより、遊技盤面上において従動プレートが上下動することとなる。
【0004】
このように、従来のパチンコ遊技機では、遊技盤面上において演出部材を上下動させることによって遊技者を惹きつけ、遊技者に対する興趣の向上を図っていた。しかしながら、従来のパチンコ遊技機には、フレーム部材にガイド溝が設けられており、直動部材に設けられた直動ガイド部材がこのガイド溝に係合している。そのため、演出部材が上下動する際に、直動ガイド部材とガイド溝との間に摩擦力が生じてしまう。従って、従来のパチンコ遊技機では、演出部材の長距離移動や高速移動が困難であった。また、遊戯中、演出部材の上下動のみならず、直動ガイド部材の上下動も遊技者に目視されてしまうため、遊技者の注意が演出部材でなく直動ガイド部材に向けられてしまう虞があった。
【0005】
そこで、フレーム部材のガイド溝と係合する直動ガイド部材を用いることなく、自立して演出部材を上下動させることのできる演出装置を備えたパチンコ遊技機が知られている(例えば、特許文献2,3を参照)。特許文献2,3に記載のパチンコ遊技機は、固定部に設けられた駆動モータと、上下方向にスライド可能となるように固定部に取り付けられたベース部材と、演出部材が設けられており、ベース部材に対して上下方向にスライド可能となるようにベース部材に取り付けられた第1ラックと、ベース部材に対して上下方向にスライド可能となるようにベース部材に取り付けられた第2ラックと、第1ラックと第2ラックとの間にそれぞれ噛合した状態でベース部材に取り付けられた伝達ギアと、第1ラックに設けられた第1ラックストッパと、第2ラックに設けられた第2ラックストッパと、これらを収納するケース部材とを有する演出装置を備えている。
【0006】
ケース部材に設けられた上係止部に第2ラックストッパが当接している初期状態から、駆動モータが一方向に回転駆動されると、複数の歯車を介してベース部材を下方向に移動させる。ベース部材が下方向に移動すると同時に、第1ラックが自重によって下方向に移動する。そのため、第1ラックに設けられた演出部材も下方向に移動する。このとき、第1ラックの歯状の第1連繋部と、第2ラックの歯状の第2連繋部とが共に連結ギアと歯合しているが、初期状態において第2ラックストッパが上係止部に当接しているので、第2ラックは移動しない。
【0007】
第1ラックストッパがベース部材の中板に設けられた長孔の下端縁に当接するまで、第1ラックが下降すると、第1ラックストッパと長孔の下端縁とが当接した状態を保持したまま、第2ラックストッパが上係止部から離れ、ベース部材がさらに下方に移動する。これにより、演出部材は、ベース部材の移動距離に、ベース部材に対する第1ラックの相対移動距離を加えた距離を変位することとなる。従って、演出部材を大きく変位させることで遊技者を惹きつけることのできる演出装置が、コンパクトに提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−194313号公報
【特許文献2】特開2007−319374号公報
【特許文献3】特開2007−319375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、より効果的な演出を目的として回路基板を演出部材に取り付け、演出部材を発光させたり回転させたりすることが考えられる。この場合、演出部材に取り付けられた回路基板と、パチンコ遊技機の遊技盤の裏側に配置され、遊技機全体を制御する主制御基板とを、フレキシブルケーブル等で接続する必要がある。
【0010】
しかしながら、特許文献2,3に記載のパチンコ遊技機では、演出部材が大きく且つ高速に変位しうるため、主制御基板と演出部材の回路基板とをフレキシブルケーブルで接続すると、フレキシブルケーブルが演出部材の動きに追従することが困難であった。また、演出部材が大きく且つ高速に変位することで、フレキシブルケーブルが断線してしまう虞もあった。
【0011】
そこで、本発明は、演出部材が大きく且つ高速に変位する場合でも、演出部材の動きに追従することが可能なフレキシブルケーブルを備えるパチンコ遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るパチンコ遊技機は、遊技盤上において所定の演出動作を行う演出装置と、遊技機全体を制御する主制御基板と、フレキシブルケーブルとを備えるパチンコ遊技機であって、演出装置は、所定の方向に直線往復移動可能な演出部材と、演出部材に演出を行わせるための回路基板と、演出部材を駆動して直線往復移動させるための駆動手段とを有し、フレキシブルケーブルの一端は主制御基板に接続され、フレキシブルケーブルの他端は回路基板に接続されており、演出部材の移動によって生ずるフレキシブルケーブルを引っ張る力に抗する付勢力をフレキシブルケーブルに付与する付勢手段を更に備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るパチンコ遊技機によれば、演出部材の移動によって生ずるフレキシブルケーブルを引っ張る力に抗する付勢力を、付勢手段がフレキシブルケーブルに付与している。そのため、演出部材が移動したとしても、付勢手段によって付勢力がフレキシブルケーブルに付与されるため、フレキシブルケーブルがたるむことがない。その結果、演出部材が大きく且つ高速に変位する場合でも、フレキシブルケーブルが演出部材の動きに追従できるようになる。
【0014】
また、本発明に係るパチンコ遊技機において、遊技盤を支持し、直線状の長孔が形成された支持部材と、長孔に沿ってスライド可能に取り付けられたプーリとを更に備え、プーリには、フレキシブルケーブルの中間部分が掛け回されており、付勢手段は、プーリに取り付けられている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、演出部材が大きく且つ高速に変位する場合でも、演出部材の動きに追従することが可能なフレキシブルケーブルを備えるパチンコ遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本実施形態に係るパチンコ遊技機の正面図である。
【図2】図2は、演出システムの全体を示す正面図である。
【図3】図3は、大型演出装置の正面図である。
【図4】図4は、大型演出装置を分解して示す前方斜視図である。
【図5】図5は、大型演出装置を分解して示す後方斜視図である。
【図6】図6は、ベース部材及びその周辺の構成を示す前方斜視図である。
【図7】図7は、ベース部材及びその周辺の構成を示す後方斜視図である。
【図8】図8は、スライド部材及びその周辺の構成を示す前方斜視図である。
【図9】図9は、スライド部材及びその周辺の構成を示す後方斜視図である。
【図10】図10は、大型演出部材及びその周辺の構成を示す前方斜視図である。
【図11】図11は、大型演出部材及びその周辺の構成を示す後方斜視図である。
【図12】図12は、回転板及びその周辺の構成を示す後方斜視図である。
【図13】図13は、支持部材の一部を概略的に示す後方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係るパチンコ遊技機1の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0018】
[パチンコ遊技機の全体構造]
パチンコ遊技機1は、図1に示されるように、筐体10と、筐体10に対して開閉可能に取り付けられたフロント扉12と、筐体10内に配置された遊技盤14と、遊技盤14の背後に配置された演出システム16と、図示しない主制御基板とを備える。
【0019】
フロント扉12の略中央部には、ガラス板12aが取り付けられており、このガラス板12aを通して遊技盤14の全体が視認可能となっている。フロント扉12の下部には、遊技球を貯蔵可能な上皿12bと、上皿12bに貯蔵されている遊技球を遊技盤14の上部に向けて発射するための発射ハンドル12cが設けられている。遊技盤14には、多数の遊技釘14aと、開口部14bと、入賞口14cとが設けられている。
【0020】
演出システム16は、図2に示されるように、大型演出装置100と、一対の小型演出装置200と、大型演出装置100及び小型演出装置200が取り付けられている支持部材300とを有する。演出システム16は、図1に示されるように、大型演出装置100及び小型演出装置200が遊技盤14の開口部14bから視認可能となるように、筐体10内に配置されている。
【0021】
小型演出装置200は、一対の小型演出部材202A,202Bと、図示しないモータとを有する。一対の小型演出部材202A,202Bは、例えば互いに交互に上下動するように、モータによって駆動される。
【0022】
[大型演出装置の詳細な構造]
図2〜図12を参照して、大型演出装置100の詳細な構造を説明する。大型演出装置100は、ベース部材102と、ベース部材102にスライド可能に取り付けられたスライド部材104(第1のスライド部材)と、スライド部材104に取り付けられた大型演出部材106とを有する。大型演出部材106は、スライド部材104を介して、ベース部材102に対して往復可能に直線移動できるように構成されている(図2の二点鎖線を参照)。本実施形態において、演出部材106は、上下方向に往復移動するが、左右方向や斜め方向に演出部材106を往復運動させてもよい。
【0023】
[ベース部材について]
ベース部材102は、図6及び図7に示されるように、背板102aと、一対の側板102b,102cと、一対のフランジ102d,102eと、天板102fとを有する。ベース部材102は、プラスチックが成形されたものである。そのため、背板102a、側板102b,102c、フランジ102d,102e及び天板102fは、一体的に形成されている。
【0024】
側板102b,102cは、背板102aの両端にそれぞれ形成されており、背板102aに対して垂直方向(図6及び図7において前方)に延びている。そのため、背板102a及び側板102b,102cの断面がコ字形状を呈している。フランジ102dは、側板102bの前端に設けられており、側板102bに対して垂直方向で且つ外方(図6において左方向;図7において右方向)に延びている。フランジ102eは、側板102cの前端に設けられており、側板102cに対して垂直方向で且つ外方(図6において右方向;図7において左方向)に延びている。
【0025】
天板102fは、背板102a及び側板102b,102cの上端に設けられている。天板102fの側板102b及びフランジ102d寄りの部分には、切欠き部102gが形成されており、フレキシブルケーブルFC1,FC2(詳しくは後述する)が通過可能とされている。
【0026】
背板102aには、ラックギア108(第1のラックギア)と、三つの長円形状の長孔110,112,114と、矩形状の開口部116とが形成されている。ラックギア108及び長孔110,112,114は、いずれも、図6の上下方向に沿って直線状に延びている。なお、ラックギア108は、背板102aの内面(側板102b,102cが突出している側の面)に形成されている。
【0027】
背板102aの外面には、ギアボックス118が取り付けられている。図7に示されるように、ギアボックス118は、モータ120(駆動手段)と、筐体122と、段付きの歯車部材124と、二つの歯車部材126,128とを有する。モータ120の軸120aには、ネジ歯車120bが設けられている。
【0028】
筐体122は、取付け板122aと、支持板122bと、補助板122cとを有する。取付け板122a及び補助板122cは、支持板122bの両端にそれぞれ形成されており、支持板122bに対して垂直方向に延びている。そのため、取付け板122a、支持板122b及び補助板122cの断面がコ字形状を呈している。
【0029】
取付け板122a及び補助板122cには、それぞれ開口部が形成されている。そして、モータ120のネジ歯車120bが取付け板122aと補助板122cとの間に位置するように、取付け板122a及び補助板122cの各開口部内にモータ120の軸120aが挿通されている。支持板122bは、各歯車部材124,126,128を回転可能に支持している。歯車部材124,126,128は、その順でベース部材102の背板102aに近づくように配列されている。特に、歯車部材128の一部は、開口部116を通って背板102aの内面側に位置している。
【0030】
歯車部材124は、小径のはす歯歯車124aと、はす歯歯車124aよりもやや径の大きな平歯車124bとが同軸となって一体的に形成された段付き歯車である。はす歯歯車124aは、モータ120のネジ歯車120bと歯合しており、平歯車124bは、歯車部材126と歯合している。歯車部材126は、歯車部材128とも歯合している。
【0031】
[スライド部材について]
スライド部材104は、図8及び図9に示されるように、背板104aと、一対の側板104b(第1の側部),104c(第2の側部)と、一対の直線状のフランジ104d(第1のレール部材),104e(第2のレール部材)と、天板104fとを有する。スライド部材104は、プラスチックが成形されたものである。そのため、背板104a、側板104b,104c、フランジ104d,104e及び天板104fは、一体的に形成されている。
【0032】
側板104b,104cは、背板104aの両端にそれぞれ形成されており、背板104aに対して垂直方向(図8及び図9において前方)に延びている。そのため、背板104a及び側板104b,104cの断面がコ字形状を呈している。フランジ104dは、側板104bの前端に設けられており、側板104bに対して垂直方向で且つ外方(図8において左方向;図9において右方向)に延びている。フランジ104eは、側板104cの前端に設けられており、側板104cに対して垂直方向で且つ外方(図8において右方向;図9において左方向)に延びている。
【0033】
天板104fは、背板104a及び側板104b,104cの上端に設けられている。天板104fの側板104b及びフランジ104d寄りの部分には、切欠き部104gが形成されており、後述するフレキシブルケーブルFC1,FC2が通過可能とされている。天板104fの中央部分には、切欠き部104hが形成されている。切欠き部104hの奥側の縁には、L字形状を呈する鉤部材104iが設けられている。鉤部材104iの先端は、図8及び図9において上方に向けて延びている。鉤部材104iには、コイルバネ130(弾性部材)の一端が引っ掛けられている。なお、鉤部材104iは、スライド部材104の幅方向における中央よりもやや側板104c(フランジ104e)寄りに位置しているため、コイルバネ130も側板104c(フランジ104e)寄りに位置している(図3を参照)。
【0034】
背板104aには、矩形状の長孔132が形成されている。長孔132は、図8の上下方向に沿って延びている。背板104aの内面(側板104b,104cが突出している側の面)には、ギアボックス134が取付けられている。図8に示されるように、ギアボックス134は、筐体136と、五つの歯車部材138(第1の歯車部材),140(中間歯車部材),142(中間歯車部材),144(中間歯車部材),146(第2の歯車部材)とを有する。
【0035】
筐体136は、長孔132を覆うように、背板104aの内面に取付けられている。筐体136の一対の側面は、各歯車部材138,140,142,144,146を回転可能に支持している。歯車部材138,140,142,144,146は、その順で上から下へと、長孔132に沿って一列に配列されている。歯車部材138,140,142,144,146は、隣り合う歯車部材と互いに歯合している。具体的には、歯車部材140は歯車部材138,42と歯合しており、歯車部材144は歯車部材142,146と歯合している。
【0036】
歯車部材138は、歯車部材140,142,144よりも背板104aの外面側に位置している。具体的には、歯車部材138の半分程度が、長孔132を通って背板104aの外面側に位置している(図9を参照)。そのため、図5に示されるように、ベース部材102とスライド部材104とが組み合わされたとき、歯車部材138は、ラックギア108と歯合する。また、図8に戻って、歯車部材146は、歯車部材140,142,144よりも背板104aの内面側に位置している。具体的には、歯車部材146のほぼ全部が、長孔132を通っていない(図9を参照)。
【0037】
背板104aの外面には、図9に示されるように、ラックギア148と、三つの突出部材150,152,154とが形成されている。ラックギア148は、図9の上下方向に沿って直線状に延びている。図5に示されるように、ベース部材102とスライド部材104とが組み合わされたとき、ラックギア148は、歯車部材128と歯合する。
【0038】
図9に戻って、突出部材150,152,154は、いずれも、断面が長円形状を呈する柱状体である。突出部材150は、背板104aの外面のうち天板104f及び側板104b寄りに位置している。突出部材152は、背板104aの外面のうち天板104f及び側板104c寄りに位置している。突出部材154は、背板104aの外面のうち天板104f寄りで且つ突出部材150とラックギア148との間に位置している。そのため、図5に示されるように、ベース部材102とスライド部材104とが組み合わされたとき、突出部材150は長孔110内に配置され、突出部材152は長孔112内に配置され、突出部材154は長孔114内に配置される。
【0039】
このとき、突出部材150,152の高さは、突出部材154の高さよりも高いため、突出部材150,152の各端面は長孔110,112からやや突き出ており、突出部材154の端面は長孔114から露出していない。端面が露出している突出部材150には、ネジ156によって係止板158が取付けられている。同じく、端面が露出している突出部材152には、ネジ160によって係止板162が取付けられている。これにより、ベース部材102とスライド部材104とが組み合わされる。その結果、各突出部材150,152,154が各長孔110,112,114内をスライドすることにより、スライド部材104がベース部材102に対して各長孔110,112,114に沿って往復可能に直線移動することとなる。
【0040】
[大型演出部材について]
大型演出部材106は、図10及び図11に示されるように、スライド部材164(第2のスライド部材)と、回路基板166(図11を参照)と、図柄が描かれた回転板168(図10を参照)と、カバー部材170とを有する。スライド部材164は、図11に示されるように、背板164aと、一対の直線状のガイド部材164b(第1のガイド部材),164c(第2のガイド部材)とを有する。ガイド部材164b,164cは、背板164aの両端にそれぞれ形成されており、図11の上下方向に沿って延びている。ガイド部材164b,164cは、共に、断面L字形状を呈するアングル状の部材であり、先端が互いに向かい合うように、背板164aに配設されている。図4及び図5に示されるように、スライド部材104と大型演出部材106とが組み合わされたとき、ガイド部材164b,164cにスライド部材104のフランジ104d,104eがそれぞれ挿入され、ガイド部材164b,164cとスライド部材104のフランジ104d,104eとがそれぞれ係合する。その結果、大型演出部材106がスライド部材104に対して各ガイド部材164b,164cに沿って往復可能に直線移動することとなる。
【0041】
図11に戻って、ガイド部材164bの上端で且つ先端の端面には、当該端面から突出する突出片164d(第1の突出部材)が設けられている。突出片164dは、ガイド部材164cに向けて突出しており、先端に向かうにつれて先細りとなっている。ガイド部材164cの中央よりもやや上方で且つ先端の端面には、当該端面から突出する突出片164e(第2の突出部材)が設けられている。突出片164eは、ガイド部材164bに向けて突出しており、先端に向かうにつれて先細りとなっている。
【0042】
突出片164dと突出片164eとは、ガイド部材164b,164cの延在方向(図11の上下方向)において互い違いとなるように位置している。また、突出片164dと突出片164eとは、ガイド部材164b,164cの延在方向に垂直な方向(スライド部材164の幅方向)から見て重なり合わないように、各ガイド部材164b,164cに配設されている。すなわち、本実施形態において、突出片164dは上側に位置しており、突出片164eは下側に位置している。言い換えれば、スライド部材104がベース部材102から引き出されておらず、スライド部材164がスライド部材104から引き出されていない状態における大型演出部材106の位置(大型演出部材106の移動前の初期位置)側に、突出片164dが位置している。また、スライド部材104がベース部材102から引き出されていると共に、スライド部材164がスライド部材104から引き出されている状態における大型演出部材106の位置(大型演出部材106の移動後の変位位置)側に、突出片164eが位置している。
【0043】
ここで、突出片164dと突出片164eとの直線距離L1(図11を参照)は、スライド部材104の側板104bと側板104cとの幅L2(図9を参照)以上となるように設定されている(L1≧L2)。また、ガイド部材164b,164cの延在方向(大型演出部材106の移動方向)に垂直な方向(スライド部材164の幅方向)における突出片164dと突出片164eとの間隔L3(図11を参照)は、スライド部材104の側板104bと側板104cとの幅L2(図9を参照)と略同一となるように設定されている。
【0044】
図11に戻って、背板164aの内面(ガイド部材164b,164cが設けられていない側の面)には、回路基板166が取付けられている。回路基板166は、自身に取付けられたLED等の発光手段や、回転板168の回転を制御する。回路基板166の外面には、コネクタ172,174が設けられており、背板164aに形成された開口部176から露出している。コネクタ172は、フレキシブルケーブルFC1の一端と接続されており、コネクタ174は、フレキシブルケーブルFC2の一端と接続されている。
【0045】
背板164aの外面には、ラックギア178が形成されている。ラックギア178は、図11の上下方向に沿って直線状に延びている。図5に示されるように、スライド部材104と大型演出部材106とが組み合わされたとき、ラックギア178は、歯車部材146と歯合する。
【0046】
背板164aの外面には、支持板180が取付けられている。支持板180は、L字形状を呈しており、水平部分180aと、垂直部分180bとを有している。水平部分180aには、下向きに延びる突出片180cが設けられおり、コイルバネ130の他端が引っ掛けられている(図5を参照)。そのため、コイルバネ130により、スライド部材164(大型演出部材106)とスライド部材104とを互いに引き合う弾性力が、スライド部材164(大型演出部材106)及びスライド部材104に付与されることとなる。なお、コイルバネ130は、スライド部材104との関係では側板104c(フランジ104e)寄りに位置していることから、スライド部材164との関係ではガイド部材164c寄りに位置していることとなる。
【0047】
図11及び図12に示されるように、水平部分180aは、モータ182を支持している。水平部分180aには開口部が形成されており、その開口部内にモータ182の軸182aが挿通されている。モータ182の軸182aには、ネジ歯車182bが設けられている。ネジ歯車182bは、回路基板166に回転可能に支持された歯車部材184と歯合しており、歯車部材184は、回路基板166に回転可能に支持された歯車部材186と歯合している。図12に示されるように、歯車部材186には、回転板168が軸168aを介して取付けられている。そのため、回路基板166がモータ182を制御してモータ182を回転させることで、回転板168が回転することとなる。
【0048】
カバー部材170は、回路基板166及び回転板168を覆うように、スライド部材164に取付けられている。カバー部材170の中央には開口部170aが形成されており、その開口部170aから回転板168の図柄が視認できるようになっている。なお、カバー部材170及び回転板168は、半透明あるいは透明なプラスチックからなっており、回路基板166に取付けられたLED等の発光手段からの光が透過する。そのため、回転板168の回転と発光手段による発光とが相俟って、効果的な演出がなされることとなり、遊技者を遊技に惹きつけることができるようになっている。
【0049】
[大型演出装置の動作]
続いて、以上の構成を有する大型演出装置100の動作について、以下に説明する。初期状態では、図3において実線で示されるように、スライド部材104はベース部材102から引き出されておらず、スライド部材164はスライド部材104から引き出されていない。すなわち、ベース部材102と、スライド部材104と、大型演出部材106とは、互いに重なり合っている。
【0050】
このように、大型演出部材106が移動する前の初期位置にある状態において、主制御基板からの制御信号を受けてモータ120が駆動を開始すると、モータ120の軸120aに設けられたネジ歯車120bが回転する(図5及び図7を参照)。ネジ歯車120bが歯車部材124のはす歯歯車124aと歯合しており、歯車部材124の平歯車124bが歯車部材126と歯合しており、歯車部材126が歯車部材128と歯合していることから、ネジ歯車120bの回転に伴い、歯車部材124,126,128が順次回転する。
【0051】
ここで、歯車部材128がスライド部材104のラックギア148と歯合しているので、歯車部材128の回転により、スライド部材104が下方に押し出される(図7を参照)。従って、スライド部材104は、ベース部材102に対して、各長孔110,112,114に沿って直線移動する。
【0052】
このとき、スライド部材104に取り付けられたギアボックス134の歯車部材138が、ベース部材102のラックギア108と歯合している(図4を参照)。そのため、スライド部材104が下方に移動すると同時に、ラックギア108によって、歯車部材138が回転させられる。歯車部材138,140,142,144,146は、隣り合う歯車部材と互いに歯合していることから、歯車部材138の回転に伴い、歯車部材140,142,144,146が順次回転する。
【0053】
ここで、歯車部材146がスライド部材164のラックギア178と歯合しているので、歯車部材146の回転により、スライド部材164が下方に押し出される(図5を参照)。従って、スライド部材164及び大型演出部材106は、スライド部材104に対して、各ガイド部材164b,164cに沿って直線移動する。
【0054】
[大型演出装置の作用]
以上のような大型演出装置においては、スライド部材164に取り付けられた大型演出部材106は、ベース部材102に対するスライド部材104の移動距離に、スライド部材104に対するスライド部材164の移動距離を加えた距離を変位することとなる。従って、大型演出部材106の大きな変位が、ギアボックス118,134と、ラックギア108,148,178とが組み合わされた簡単な構成によって、実現される。その結果、大型演出部材106の大きな変位を可能としつつ、大型演出装置100の軽量化及びコストの低減を図ることが可能となる。
【0055】
ところで、大型演出部材106は、遊技者を惹きつけるために、回転板168と、LED等の発光手段と、回転板168及び発光手段を制御するための回路基板166とを有しているので、ある程度の重量がある。そこで、コイルバネ130の一端をスライド部材104の鉤部材104iに取り付け、コイルバネ130の他端をスライド部材164の突出片180cに取り付けることにより、スライド部材104とスライド部材164とを互いに引き合う弾性力をスライド部材104,164に付与している。すなわち、コイルバネ130は、スライド部材164及び大型演出部材106の重量を支えると共に、モータ120の駆動力を補う役割を果たしている。
【0056】
しかしながら、大型演出部材106の重心位置や、スライド部材104,164の移動方向に垂直な方向における各部材(コイルバネ130、各フランジ104d,104e、ラックギア108,178、ガイド部材164b,164c、各歯車部材138,140,142,144,146)の位置のバランスにより、大型演出部材106が取り付けられたスライド部材164がスライド部材104に対して、例えば背面視で反時計回りに傾いてしまう。このとき、スライド部材104の各フランジ104d,104eと、スライド部材164の各ガイド部材164b,164cとの間に隙間がなければ、このような傾きは生じないものの、フランジ104d,104eとガイド部材164b,164cとが引っ掛かりあってしまい、スライド部材104とスライド部材164との間においてスムーズな移動ができなくなってしまう。他方、各フランジ104d,104eと各ガイド部材164b,164cとの間に隙間があると、スライド部材164及び大型演出部材106が傾いたまま移動してしまうので、そのような大型演出部材106の動きを見た遊技者が興醒めしてしまう虞がある。
【0057】
そこで、本発明者等は、スライド部材104とスライド部材164との間における動きを滑らかにし、大型演出部材106の演出効果を阻害しない大型演出装置100の構成について、鋭意研究を行った。その結果、突出片164d,164eを、それぞれガイド部材164b,164cの所定の位置に設けることによって、各フランジ104d,104eと各ガイド部材164b,164cとの間に隙間があってもスライド部材164及び大型演出部材106の傾きを抑制でき、且つ、スライド部材104,164のスムーズな移動を実現することができることを見出した。具体的には、ガイド部材164bに、ガイド部材164c(スライド部材104の側板104b)に向けて突出する突出片164dを設け、ガイド部材164cに、ガイド部材164b(スライド部材104の側板104c)に向けて突出する突出片164eを設ける。そして、突出片164dと突出片164eとを、ガイド部材164b,164cの延在方向(スライド部材104,164の移動方向)において互い違いとなると共に、ガイド部材164b,164cの延在方向(スライド部材104,164の移動方向)に垂直な方向(スライド部材164の幅方向)から見て重なり合わないように配設する。さらにこのとき、突出片164dは、突出片164eと較べて大型演出部材106の移動前の初期位置側に位置している。
【0058】
このような構成とすると、スライド部材164の突出片164dがスライド部材104のフランジ104d寄りに引きつけられると共に、スライド部材164の突出片164eがスライド部材104のフランジ104e寄りに引きつけられるような回転(例えば、背面視で反時計回りの回転)が抑制される。
【0059】
しかも、本実施形態において、突出片164dと突出片164eとの直線距離L1は、スライド部材104の側板104bと側板104cとの幅L2以上となるように設定されている(L1≧L2)。また、突出片164dと突出片164eとの間隔L3は、スライド部材104の側板104bと側板104cとの幅L2と略同一となるように設定されている(L3≒L2)。その結果、各フランジ104d,104と各ガイド部材164b,164cとの間に隙間があってもスライド部材164及び大型演出部材106の傾きを殆どなくすことができるので、スライド部材104,164のスムーズな移動を実現することが可能となる。
【0060】
[支持部材の詳細な構造]
続いて、図2及び図13を参照して、支持部材300の詳細な構造を説明する。支持部材300は、図2に示されるように、大型演出装置100及び小型演出装置200の上側において水平方向に延びる水平部分300aと、小型演出装置200の側方において垂直方向に延びる垂直部分300bとを有する。
【0061】
水平部分300aの先端部分には、プーリ302が回転可能に支持されている。水平部分300aには、二つのローラー304,306が取り付けられている。ローラー306は、垂直部分300b寄りに位置しており、ローラー304は、プーリ302とローラー306との間に位置している。
【0062】
垂直部分300bには、開口部308と、長円形状の長孔310とが形成されている。長孔310は、垂直方向(図13の上下方向)に沿って直線状に延びている。長孔310には、スライド部材312が長孔310に沿ってスライド可能に取り付けられている。具体的には、スライド部材312は、中央が全周にわたって窪んだ四角柱部材であり、その窪んだ部分において長孔310と係合している。
【0063】
スライド部材312には、軸314が突設されており、軸314にプーリ316が回転可能に支持されている。一端が回路基板166のコネクタ172,174にそれぞれ接続されたフレキシブルケーブルFC1,FC2は、スライド部材104の切欠き部104g及びベース部材102の切欠き部102gを通って上方に延び、プーリ302、ローラー304,306及びプーリ316の順に掛け渡された後、開口部308を通って、図示しない主制御基板に他端が接続される。
【0064】
軸314の先端には、コイルバネ318(付勢手段)の一端が引っ掛けられている。コイルバネ318の他端は、垂直部分300bの下部に設けられた鉤部材320に引っ掛けられている。
【0065】
[支持部材におけるフレキシブルケーブルに対する作用]
ところで、大型演出部材106が初期位置から変位位置に移動すると、フレキシブルケーブルFC1,FC2は大型演出部材106につられて図13の上方向に引っ張られる。フレキシブルケーブルFC1,FC2はプーリ316に掛け渡されているので、このとき同時に、スライド部材312も図13の上方向に引っ張られる。
【0066】
一方、本実施形態においては、コイルバネ318の付勢力により、スライド部材312と、プーリ316に掛け渡されたフレキシブルケーブルFC1,FC2とが、下方に向けて(鉤部材320に近づく側に)常に引っ張られている。そのため、大型演出部材106が移動したとしても、フレキシブルケーブルFC1,FC2がたるむことがない。その結果、大型演出部材106が大きく且つ高速に変位する場合でも、フレキシブルケーブルFC1,FC2が大型演出部材106の動きに追従できるようになっている。
【0067】
[他の実施形態]
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態では、突出片164dと突出片164eとの直線距離L1を、スライド部材104の側板104bと側板104cとの幅L2以上となるように設定する(L1≧L2)と共に、突出片164dと突出片164eとの間隔L3を、スライド部材104の側板104bと側板104cとの幅L2と略同一となるように設定していた(L3≒L2)が、スライド部材164及び大型演出部材106の傾きを抑制することができ、大型演出部材106に注目する遊技者に不自然な印象を与えることがない場合には、必ずしもこれらの関係を満たしていなくてもよい。
【0068】
また、本実施形態では、コイルバネ318の付勢力によって、スライド部材312と、プーリ316に掛け渡されたフレキシブルケーブルFC1,FC2とを、下方に向けて(鉤部材320に近づく側に)常に引っ張っていたが、スライド部材312に重りを取り付けるなど、種々の付勢手段を用いてフレキシブルケーブルFC1,FC2を下方に向けて引っ張るようにしてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…パチンコ遊技機、14…遊技盤、16…演出システム、100…大型演出装置、102…ベース部材、104…スライド部材(第1のスライド部材)、104b…側板(第1の側部)、104c…側板(第2の側部)、104d…フランジ(第1のレール部材)、104e…フランジ(第2のレール部材)、106…大型演出部材、108…ラックギア(第1のラックギア)、120…モータ(駆動手段)、130…コイルバネ(弾性部材)、138…歯車部材(第1の歯車部材)、140,142,144…歯車部材(中間歯車部材)、146…歯車部材(第2の歯車部材)、164…スライド部材(第2のスライド部材)、164b…ガイド部材(第1のガイド部材)、164c…ガイド部材(第2のガイド部材)、164d…突出片(第1の突出部材)、164e…突出片(第2の突出部材)、166…回路基板、178…ラックギア(第2のラックギア)、300…支持部材、310…長孔、316…プーリ、318…コイルバネ(付勢手段)、FC1,FC2…フレキシブルケーブル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤上において所定の演出動作を行う演出装置と、遊技機全体を制御する主制御基板と、フレキシブルケーブルとを備えるパチンコ遊技機であって、
前記演出装置は、
所定の方向に直線往復移動可能な演出部材と、
前記演出部材に演出を行わせるための回路基板と、
前記演出部材を駆動して直線往復移動させるための駆動手段とを有し、
前記フレキシブルケーブルの一端は前記主制御基板に接続され、前記フレキシブルケーブルの他端は前記回路基板に接続されており、
前記演出部材の移動によって生ずる前記フレキシブルケーブルを引っ張る力に抗する付勢力を前記フレキシブルケーブルに付与する付勢手段を更に備えることを特徴とする、パチンコ遊技機。
【請求項2】
前記遊技盤を支持し、直線状の長孔が形成された支持部材と、
前記長孔に沿ってスライド可能に取り付けられたプーリとを更に備え、
前記プーリには、前記フレキシブルケーブルの中間部分が掛け回されており、
前記付勢手段は、前記プーリに取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載されたパチンコ遊技機。
【請求項1】
遊技盤上において所定の演出動作を行う演出装置と、遊技機全体を制御する主制御基板と、フレキシブルケーブルとを備えるパチンコ遊技機であって、
前記演出装置は、
所定の方向に直線往復移動可能な演出部材と、
前記演出部材に演出を行わせるための回路基板と、
前記演出部材を駆動して直線往復移動させるための駆動手段とを有し、
前記フレキシブルケーブルの一端は前記主制御基板に接続され、前記フレキシブルケーブルの他端は前記回路基板に接続されており、
前記演出部材の移動によって生ずる前記フレキシブルケーブルを引っ張る力に抗する付勢力を前記フレキシブルケーブルに付与する付勢手段を更に備えることを特徴とする、パチンコ遊技機。
【請求項2】
前記遊技盤を支持し、直線状の長孔が形成された支持部材と、
前記長孔に沿ってスライド可能に取り付けられたプーリとを更に備え、
前記プーリには、前記フレキシブルケーブルの中間部分が掛け回されており、
前記付勢手段は、前記プーリに取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載されたパチンコ遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−16402(P2012−16402A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154110(P2010−154110)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(593131231)株式会社アルテクナ (3)
【出願人】(000214272)長瀬産業株式会社 (137)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(593131231)株式会社アルテクナ (3)
【出願人】(000214272)長瀬産業株式会社 (137)
【Fターム(参考)】
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