説明

パッキン

【課題】分割ケースの対向面に夫々装着された一対のパッキンの凸状部と凹状部とを間違えることなく嵌合でき、凸状パッキンを装着された分割ケース同士を間違って重着したり、あるいは凹状パッキンが装着された分割ケース同士を間違って重着したりするといった問題を解消できる一対のパッキンを提供すること。
【解決手段】分割ケース1a、1bの対向面に装着された夫々のパッキンは、対向面より突出した凸状部15と、凸状部15と反対方向に窪んだ凹状部16とが形成された同一の形状を有しており、第1分割ケース1aに装着された側のパッキンの凸状部全部15と、第2分割ケース1bに装着された側のパッキンの凹状部全部16とが嵌合するとともに、第1分割ケース1aに装着された側のパッキンの凹状部全部16と、第2分割ケース1bに装着された側のパッキンの凸状部全部15とが嵌合して、分割ケース1a、1b内部を密封している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体管の周囲を被覆する分割ケースの対向面に沿って夫々装着されており、前記分割ケース内部を密封する一対のパッキンに関する。
【背景技術】
【0002】
水道管等の流体管が破損して漏水しているのを補修する場合に使用される補修カバーや、埋設されている流体管に分岐管を接続する場合に使用される割T字管は、流体管の周囲を被覆する複数に分割されたケースと、該ケースを流体管に水密に設置する複数の円弧状パッキンとから構成されるのが一般的である。
【0003】
流体管の補修をおこなう部材として、図13に示すような補修カバー100が知られている。この従来の補修カバー100は、流体管108の外周部から互いに連結、分解可能なボルト孔を形成したフランジ102が設けてある三つのケース101と、その内面に形成されたパッキン収納凹部106に装着される三つのパッキン103とからなる。
【0004】
パッキン103は、流体管108の外周面に圧接する円弧状のシール部104と、シール部104の両端に設けたフランジシール部105からなり、各パッキン103のフランジシール部105同士を接続してリング状に構成されている。
【0005】
前記ケース101を流体管108の外周に被覆し、対向するフランジ102、102をボルト・ナット107によって締め付けると、フランジシール部105、105が互いに圧接され、円弧状のシール部104が流体管108の外周面に圧接することで、補修カバー100は水密性を保持して流体管108に装着される。
【0006】
従来の補修カバー等における分割ケースのフランジ部を止水するパッキンは、板状に形成されているので、所定の水密性を得るためにパッキンを突き合わせて圧縮するには大きな力を必要とするため、フランジをボルト・ナットで高トルクを与えて締め付ける必要があった。また、土圧等によって流体管やケースが変形したときや、締結してあるフランジが少しでも開いたときにはフランジ部より漏水するという問題があった。
【0007】
そこで上記問題を解決すべく、例えば特許文献1に示すように本出願人は、流体管を支持するフランジを水密に接続するため、フランジに取付けられるパッキンの一方を対向する他方のパッキンの方向に突き出た凸状部が板状の基部に形成され、また該凸状部で形成されたパッキンを嵌合するために他方のパッキンに凹状部を形成したものを開発した。
【0008】
【特許文献1】特開2001−221387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、一方を凸状部で形成され、他方を凹状部で形成された構造の2種類のパッキンでは、パッキン取替えにおいて間違って凸状部で形成されたパッキンが設置された分割ケース同士を重着したり、あるいは凹状部で形成されたパッキンが設置された分割ケース同士を重着してしまい、フランジが流体管に水密に設置されないといった問題が生じることがあった。
【0010】
特に、流体管が破損して漏水している等の緊急時においては、上記構造をしたパッキンを装着した分割ケースの重着の際に、上記の間違いが発生し易くなる。また、凹状部、凸状部と2種類のパッキンを要するため、製造コストがかかるといった問題もある。
【0011】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、分割ケースの対向面に夫々装着された一対のパッキンの凸状部と凹状部とを間違えることなく嵌合でき、凸状パッキンを装着された分割ケース同士を間違って重着したり、あるいは凹状パッキンが装着された分割ケース同士を間違って重着したりするといった問題を解消できる一対のパッキンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の一対のパッキンは、流体管の周囲を被覆する分割ケースの対向面に沿って夫々装着されており、前記分割ケース内部を密封する一対のパッキンであって、
前記分割ケースの対向面に装着された夫々のパッキンは、該対向面より突出した凸状部と、該凸状部と反対方向に窪んだ凹状部とを備えた同一の形状を有しており、
前記分割ケースは第1分割ケースと第2分割ケースとからなり、前記第1分割ケースに装着された側のパッキンの凸状部全部と、前記第2分割ケースに装着された側のパッキンの凹状部全部とが嵌合するとともに、前記第1分割ケースに装着された側のパッキンの凹状部全部と、前記第2分割ケースに装着された側のパッキンの凸状部全部とが嵌合して、前記分割ケース内部を密封していることを特徴としている。
この特徴によれば、同一の形状に形成された一対のパッキンを、第1分割ケースに装着された側のパッキンの凸状部全部と、第2分割ケースに装着された側のパッキンの凹状部全部とを嵌合するとともに、第1分割ケースに装着された側のパッキンの凹状部全部と、第2分割ケースに装着された側のパッキンの凸状部全部とを嵌合することにより、分割ケース内部を密封できるため、一対のパッキンの凸状部と凹状部とを間違えることなく嵌合でき、凸状パッキンを装着された分割ケース同士を間違って重着したり、あるいは凹状パッキンが装着された分割ケース同士を間違って重着したりするといった問題を解消できる。また、複数の同一形状のパッキンを安価に製作でき、且つ製作しやすい。
【0013】
本発明の請求項2に記載の一対のパッキンは、請求項1に記載の一対のパッキンであって、前記分割ケースは、前記流体管の管軸を対称として両方側に、長手方向に沿って対向面を有しており、該対向面に装着される夫々の前記パッキンは、
前記管軸を対称とする一方側に、長手方向に所定長さを有する一つの凸状部と、該一つの凸状部と略同じ長さを有する一つの凹状部とが、連続して形成されているとともに、
前記管軸を対称とする他方側に、前記一つの凸状部に管軸対称の凹状部と、前記一つの凹状部に管軸対称の凸状部とが、長手方向に連続して形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、パッキンの凸状部と凹状部を、管軸対称となるように管軸の各方側に一つずつ形成することで、凸状部と凹状部の形成箇所を最小限に抑えるとともに、シンプルに配置できる。特に、一方の分割ケースを間違えて長手方向に前後しても、この一方の分割ケースに装着されたパッキンと、他方の分割ケースに装着されたパッキンとが所定に凹凸嵌合できる。
【0014】
本発明の請求項3に記載の一対のパッキンは、請求項1または2に記載の一対のパッキンであって、夫々の前記パッキンは、
前記凸状部に、該凸状部と連続する前記凹状部との至端に向かって、その突出度合いが漸減するテーパ凸部が形成され、
前記凹状部に、該凹状部と連続する前記凸状部との至端に向かって、その窪み度合いが漸減するテーパ凹部が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、一方のパッキンに形成されたテーパ凸部及びテーパ凹部と、他方のパッキンのテーパ凹部及びテーパ凸部とを、互いに嵌合することにより、凸状部と凹状部との至端近辺においても、一対のパッキンがずれることなく位置決めされ、容易に密封することができる。
【0015】
本発明の請求項4に記載の一対のパッキンは、請求項1ないし3のいずれかに記載の一対のパッキンであって、夫々の前記パッキンは弾性を有しているとともに、前記凸状部の断面積が、該凸状部と嵌合する前記凹状部の略同一断面で斬った断面積よりも大きく形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、凹状部より大きな断面積で形成された凸状部が、弾性により変形して凹状部に嵌合されるため、密封性を十分に確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係るパッキンを実施するための最良の形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0017】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、実施例1における流体管に設置された分割ケースの全体像を示す斜視図である。図2は、流体管に設置された分割ケースの一部破断正面図である。図3は、流体管に設置された分割ケースの側面図である。図4(a)は、第1分割ケースの対向面を示す平面図であり、(b)は、第2分割ケースの対向面を示す平面図である。図5は、パッキンの平面図である。図6(a)は、図5のC−C方向視の断面図であり、(b)は、図5のD−D方向視の断面図である。図7(a)は、図5のE−E間を示す斜視図であり、(b)は、図5のE−E方向視の側面図である。図8は、図5のF−F方向視の正面図である。図9(a)は、密封前のフランジ間を示す分割ケースの一部拡大側断面図であり、(b)は、(a)と同じく密封後の一部拡大側断面図である。図10は、実施例2におけるパッキンの平面図である。図11は、変形例1におけるパッキンの平面図である。図12は、変形例2におけるフランジ間を示す分割ケースの一部拡大側断面図である。
【0018】
図1ないし図3に示されるように、分割ケース1は、径方向に2分割可能な第1分割ケース1aと第2分割ケース1bとから構成されており、流体管2の外面と分割ケース1の内面との間に所定の空間を形成するとともに、この空間内の水密性を保持して、流体管2の外周面に装着されている。また流体管2は、ダクタイル鋳鉄管や鋼管若しくは軟質合成樹脂管などからなる。
【0019】
第1分割ケース1aは、長手方向の両端部に備えられた流体管2と当接する第1端部3aと、同じく第2分割ケース1bとの当接する第1分割ケース1aの側方に形成された第1フランジ5aと、第1分割ケース1a外面に周設されたリブ4aとを備えている。同様に、第2分割ケース1bは、長手方向の両端部に備えられた第2端部3bと、第1分割ケース1aと当接する第2フランジ5bと、リブ4bとを備えている。
【0020】
第1フランジ5a、第2フランジ5bそれぞれには、対向する箇所に複数のボルト溝及びボルト孔が設けられ、流体管2が固定されるよう、このボルト溝及びボルト孔にT頭ボルト・ナット6が取付けられる。
【0021】
また、分割ケース1における上下流両側の夫々において、流体管2の外周に固定された支持具12は、第1支持具12aと第2支持具12bの一対からなり、第1分割ケース1a、第2分割ケース1bに夫々突設された第1係合部4c、第2係合部4dに、第1支持具12aの鉤部12cと第2支持具12bの鉤部12dがそれぞれ係合されるとともに、第1支持具12aと第2支持具12bがボルト・ナット7で締結されることにより、支持具12が流体管2に周方向に固定されており、流体管2に所定に取付けられた分割ケース1が、流体管2内の水流から発生した圧力等により、流体管2からずれる問題を防止している。
【0022】
図2に示されるように、流体管2は、挿口である第1流体管2aと、この第1流体管2aの端部を挿入した受口である第2流体管2bとから構成されており、この第1流体管2aと第2流体管2bとの挿入箇所を、分割ケース1により後述のように水密に被覆している。尚、分割ケースは、必ずしも本実施例のように挿口と受口との挿入箇所を被覆しているものに限られず、例えば、流体管の端部を除いた中間部を被覆しているものであってもよい。
【0023】
前記した挿入箇所において第1流体管2aの外周面に取付けられた押輪8は、押輪本体8aと押しねじ8bと係止部材8cとからなる。係止部材8cは、押輪本体8aの内周面に形成された溝部8eに嵌合されるよう取り付けられるとともに、係止部材8cの先端爪8gが第1流体管2aの外周面に向かって圧接するよう押しねじ8bによって押圧されることで、押輪8は、第1流体管2aに対し固定に取付けられている。また、図示しない締結ボルトが、押輪本体8aと第2流体管2bの端部とを管軸方向に締結していることで、押輪8は、第2流体管2bに対し固定に取付けられている。このようにすることで、押輪本体8aの周方向に延びた挿入部8fが、第2流体管2bの端部内周面に嵌挿された可撓性材質のシール部材9を長手方向に支持している。
【0024】
図4(a)に示されるように、第1分割ケース1aのパッキン溝13は、第1分割ケース1aにおける第2分割ケース1bとの対向面に、平面視周方向に亘って設けられ、このパッキン溝13に沿って、後述するパッキン11(図5参照)が嵌入されるように成っている。同様に、図4(b)に示されるように、第2分割ケース1bのパッキン溝13’は、第2分割ケース1bにおける第1分割ケース1aとの対向面に、平面視周方向に亘って設けられ、このパッキン溝13’に沿って第1分割ケース1aに装着されるパッキン11と同じ構造のパッキン11が嵌入されるように成っている。流体管2が第1分割ケース1aと第2分割ケース1bとにより被覆されると、第1分割ケース1aに装着されたパッキン11と、該パッキン11と同一形状の第2分割ケース1bに装着されたパッキン11とが、一対で当接されることにより分割ケース1に囲まれた空間に水密性が確保される。
【0025】
図5に示されるように、パッキン11は、弾性を有する可撓性材料であるゴムで構成されており、その形状は次のように無端状に形成されている。即ち、分割ケース1の組付けの際に流体管2の管軸に整合させるパッキン中心線A−A線を対称とする一方側(図示左側)に、長手方向に所定長さを有する一つの凸状部15を構成する凸状体11aと、前記一つの凸状部15と略同じ長さを有する一つの凹状部16’を構成する凹状体11b’とが、長手方向に連続して形成されているとともに、A−A線を対称とする他方側(図示右側)に、凹状部16を構成する凹状体11bと、凸状部15’を構成する凸状体11a’ とが、長手方向に連続して形成されている。そして、流体管2の外径と略同径の内径を有し流体管2の外周面と当接する弧状体11cが、その両端側に凸状体11a及び凹状体11bを配して連続しているとともに、弧状体11cの対向側に位置する弧状体11c’が、その両端側に凸状体11a’及び凹状体11b’を配して連続しており、パッキン11全体として無端状に形成されている。
【0026】
ここで凸状体11aと11a’、凹状体11bと11b’、弧状体11cと11c’は、それぞれ同一形状、即ち同一断面を成し、A−A線を対称として、凸状体11aに対して凹状体11bが形成され、凹状体11b’に対して凸状体11a’が形成されるとともに、長手方向の略中央位置でA−A線と直交する直交線B−B線を対称として、凸状体11aに対して凹状体11b’が形成され、凹状体11bに対して凸状体11a’が形成されている。尚、上述した形状のパッキン11は、単一のモールドで成型された一体構造となっている。
【0027】
図6(a)に示されるように、凸状体11aの断面形状について説明すると、凸状体11aの上部には、上方に突出した、即ちパッキン11が装着される分割ケースの対向面より突出した凸状部15が長手方向に形成されている。また図6(b)に示されるように、凹状体11bの断面形状について説明すると、凹状体11bの上部には、下方に窪んだ、即ち凸状部15と反対方向に窪んだ凹状部16が長手方向に形成されている。
【0028】
また凸状部15の断面積が、凸状部15と嵌合する凹状部16の略同一断面で斬った断面積よりも大きく形成されている。このようにすることで、凹状部16より大きな断面積で形成された凸状部15が、凹状部16に弾性により変形して嵌合するので、分割ケース1内部の密封性を十分に確保することができる(図9(a)、(b)参照)。尚、特に図示しないが、凸状体11a’の端面を視た図5のC’−C’方向視図は、図6(a)に示された図と同じであり、同様に、凹状体11b’の断面を視た図5のD’−D’方向視図は、図6(b)に示された図と同じである。
【0029】
図7(a)、(b)に示されるように、凸状体11aと凹状体11b’とが長手方向に遷移する箇所を至端Rとして、以下に説明すると、凸状部15における至端Rの近辺には、凸状部15と連続する凹状部16との至端Rに向かって、その突出度合いが漸減するテーパ凸部Sが形成され、凹状部16における至端Rの近辺には、凹状部16と連続する凸状部15との至端Rに向かって、その窪み度合いが漸減するテーパ凹部Tが形成されており、至端Rを介して、長手方向に連続的に凸状部15と凹状部16とが形成されている。この特徴により、第1分割ケース1a側に装着されたパッキン11におけるテーパ凸部S及びテーパ凹部Tと、第2分割ケース1b側に装着されたパッキン11におけるテーパ凹部T及びテーパ凸部Sとを、互いに嵌合することにより、至端Rの近辺においても、一対のパッキン11、11がずれることなく位置決めされ、容易に密封することができる。尚、特に図示しないが、図5のE’−E’間を示す斜視図は、図7(a)に示された図と同じであり、同様に、図5のE’−E’方向視図は、図7(b)に示された図と同じである。
【0030】
図8に示されるように、弧状体11cについて説明すると、弧状体11cの内周部は、分割ケース1と流体管2の水密性が確保されるように、流体管2の外周面と周方向に当接する流体管2の外径と略同径の円弧部17で形成されている。尚、特に図示しないが、弧状体11c’を視た図5のF’−F’方向視図は、図8に示された図と同じである。
【0031】
パッキン11は上記に示した構造であるため、図9(a)、(b)に示されるように、第1フランジ5aと第2フランジ5bとをT頭ボルト・ナット6で締結することにより、第1分割ケース1aに装着された側のパッキン11の凸状部全部(15、15’)と、第2分割ケース1bに装着された側のパッキン11の凹状部全部(16、16’)とが対向し嵌合するとともに、第1分割ケース1aに装着された側のパッキン11の凹状部全部(16、16’)と、第2分割ケース1bに装着された側のパッキン11の凸状部全部(15、15’)とが対向し嵌合する。同時に、第1分割ケース1aに装着された側のパッキン11の弧状体11c、11c’と、第2分割ケース1bに装着された側のパッキン11の弧状体11c’、11cとが、流体管2の外周面と当接することにより、分割ケース1内部を密封する。
【0032】
このようにすることで、同一の形状に形成された一対のパッキン11、11を、第1分割ケース1aに装着された側のパッキン11の凸状部全部(15、15’)と、第2分割ケース1bに装着された側のパッキン11の凹状部全部(16、16’)とを嵌合するとともに、第1分割ケース1aに装着された側のパッキン11の凹状部全部(16、16’)と、第2分割ケース1bに装着された側のパッキン11の凸状部全部(15、15’)とを嵌合することにより、分割ケース1内部を密封できるため、一対のパッキン11、11の凸状部15、15’と凹状部16、16’とを間違えることなく嵌合でき、凸状パッキンを装着された分割ケース同士を間違って重着したり、あるいは凹状パッキンが装着された分割ケース同士を間違って重着したりするといった問題を解消できる。また、複数の同一形状のパッキン11を単一のモールドで安価に製作でき、且つ製作しやすい。
【0033】
また、本実施例においては、パッキン11の凸状部15、15’と凹状部16、16’を、管軸対称となるように管軸の各方側に一つずつ形成することで、凸状部15、15’と凹状部16、16’の形成箇所を最小限に抑えるとともに、シンプルに配置できる。特に、いずれか一方の分割ケースを間違えて長手方向に前後しても、この一方の分割ケースに装着されたパッキン11の凸状部15、15’及び凹状部16、16’と、他方の分割ケースに装着されたパッキン11の凹状部16’、16及び凸状部15’、15とが、所定に対向して凹凸嵌合できる。
【実施例2】
【0034】
次に実施例2に係るパッキンについて説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0035】
図10に示されるように、実施例2のパッキン21は、前記実施例1で示したパッキン11の形態と構造上ほぼ同様であるが、管軸と整合させるパッキン中心線A−A線を境に、一方側(図示左側)を凸状部25を有する凸状体21aのみが形成され、他方側(図示右側)に凹状部26を有する凹状体21bのみが形成される。このようにすることで、上記した実施例1と同様に、一対のパッキン21、21の凸状部25と凹状部26とを間違えることなく嵌合でき、凸状パッキンを装着された分割ケース同士を間違って重着したり、あるいは凹状パッキンが装着された分割ケース同士を間違って重着したりするといった問題を解消できる。また、複数の同一形状のパッキン21を単一のモールドで安価に製作でき、且つ製作しやすい。
【0036】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0037】
例えば変形例1として、図11に示されるように、パッキン31は、パッキン中心線A−A線を境に、一方側(図示左側)において順に凸状部35、凹状部36’、凸状部35”が連続するように、凸状体31a、凹状体31b’、凸状体31a”が長手方向に連続して形成されているとともに、他方側において順に凹状部36、凸状部35’、凹状部36”が連続するように、凹状体31b、凸状体31a’、凹状体31b”が長手方向に連続して形成されている。
【0038】
上記した形状の一対のパッキン31、31を装着した分割ケース同士を対向しても、一方のパッキン31の凸状部全部(35、35’、35”)と他方のパッキン31の凹状部全部(36、36’、36”)とが嵌合するとともに、一方のパッキン31の凹状部全部(36、36’、36”)と他方のパッキン31の凸状部全部(35、35’、35”)とが嵌合して、前記分割ケース内部を密封する。このように、分割ケース内の空間を密閉するものであれば、A−A線を境に、一方側及び他方側に凸状部、凹状部がともに複数あってもよい。
【0039】
また変形例2として、図12に示されるように、パッキン41は、凸状部45と凹状部46とが隣接して配置され長手方向に平行に形成されている。このような形状の一対のパッキン41、41を装着した分割ケース同士を対向しても、一方のパッキン41の凸状部45全部と他方のパッキン41の凹状部46全部とが嵌合するとともに、一方のパッキン41の凹状部46全部と他方のパッキン41の凸状部45全部とが嵌合して、前記分割ケース内部を密封する。このように、分割ケース内の空間を密閉するものであれば、凸状部と凸状部とが隣接して配置され長手方向に平行に形成されているものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施例1における流体管に設置された分割ケースの全体像を示す斜視図である。
【図2】流体管に設置された分割ケースの一部破断正面図である。
【図3】流体管に設置された分割ケースの側面図である。
【図4】(a)は、第1分割ケースの対向面を示す平面図であり、(b)は、第2分割ケースの対向面を示す平面図である。
【図5】パッキンの平面図である。
【図6】(a)は、図5のC−C方向視の断面図であり、(b)は、図5のD−D方向視の断面図である。
【図7】(a)は、図5のE−E間を示す斜視図であり、(b)は、図5のE−E方向視の側面図である。
【図8】図5のF−F方向視の正面図である。
【図9】(a)は、密封前のフランジ間を示す分割ケースの一部拡大側断面図であり、(b)は、(a)と同じく密封後の一部拡大側断面図である。
【図10】実施例2におけるパッキンの平面図である。
【図11】変形例1におけるパッキンの平面図である。
【図12】変形例2におけるフランジ間を示す分割ケースの一部拡大側断面図である。
【図13】従来例における、(a)は分割ケースの正面図であり、(b)は分割ケースの中央断面図であり、(c)はパッキンの斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
1 分割ケース
1a 第1分割ケース
1b 第2分割ケース
2 流体管
2a 第1流体管
2b 第2流体管
3a 第1端部
3b 第2端部
4a 第1リブ
4b 第2リブ
4c 第1係合部
4d 第2係合部
5a 第1フランジ
5b 第2フランジ
6 T頭ボルト・ナット
7 ボルト・ナット
8 押輪
8a 押輪本体
8b 押しねじ
8c 係止部材
8e 溝部
8f 挿入部
8g 先端爪
9 シール部材
11 パッキン
11a、11a’ 凸状体
11b、11b’ 凹状体
11c、11c’ 弧状体
12 支持具
12a 第1支持具
12b 第2支持具
12c 鉤部
12d 鉤部
13、13’ パッキン溝
15、15’ 凸状部
16、16’ 凹状部
17 円弧部
21 パッキン
21a 凸状体
21b 凹状体
25 凸状部
26 凹状部
31 パッキン
31a、31a’ 凸状体
31a” 凸状体
31b、31b’ 凹状体
31b” 凹状体
35、35’、35”凸状部
36、36’、36”凸状部
41 パッキン
45 凸状部
46 凹状部
R 至端
S テーパ凸部
T テーパ凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管の周囲を被覆する分割ケースの対向面に沿って夫々装着されており、前記分割ケース内部を密封する一対のパッキンであって、
前記分割ケースの対向面に装着された夫々のパッキンは、該対向面より突出した凸状部と、該凸状部と反対方向に窪んだ凹状部とを備えた同一の形状を有しており、
前記分割ケースは第1分割ケースと第2分割ケースとからなり、前記第1分割ケースに装着された側のパッキンの凸状部全部と、前記第2分割ケースに装着された側のパッキンの凹状部全部とが嵌合するとともに、前記第1分割ケースに装着された側のパッキンの凹状部全部と、前記第2分割ケースに装着された側のパッキンの凸状部全部とが嵌合して、前記分割ケース内部を密封していることを特徴とする一対のパッキン。
【請求項2】
前記分割ケースは、前記流体管の管軸を対称として両方側に、長手方向に沿って対向面を有しており、該対向面に装着される夫々の前記パッキンは、
前記管軸を対称とする一方側に、長手方向に所定長さを有する一つの凸状部と、該一つの凸状部と略同じ長さを有する一つの凹状部とが、連続して形成されているとともに、
前記管軸を対称とする他方側に、前記一つの凸状部に管軸対称の凹状部と、前記一つの凹状部に管軸対称の凸状部とが、長手方向に連続して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の一対のパッキン。
【請求項3】
夫々の前記パッキンは、
前記凸状部に、該凸状部と連続する前記凹状部との至端に向かって、その突出度合いが漸減するテーパ凸部が形成され、
前記凹状部に、該凹状部と連続する前記凸状部との至端に向かって、その窪み度合いが漸減するテーパ凹部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の一対のパッキン。
【請求項4】
夫々の前記パッキンは弾性を有しているとともに、前記凸状部の断面積が、該凸状部と嵌合する前記凹状部の略同一断面で斬った断面積よりも大きく形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の一対のパッキン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−82418(P2008−82418A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−262099(P2006−262099)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(000105556)コスモ工機株式会社 (270)
【Fターム(参考)】