説明

パック化粧料

(a)ポリビニルアルコール 5〜20質量%、(b)チタン・酸化チタン焼結物 0.01〜10質量%を含有するパック化粧料である。このパック化粧料は、塗布した箇所、はがした箇所や、皮膚清浄効果が明確に識別でき、塗布のしやすさ、はがしやすさといった使用性が良好で、且つ、経時における保存安定性に優れたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、パック化粧料を塗布した箇所、はがした箇所、及び皮膚清浄効果を明確に識別でき、塗布のしやすさ、はがしやすさといった使用感が良好で、且つ、経時における保存安定性に優れた被膜形成型のパック化粧料に関するものである。
【背景技術】
従来、パック化粧料は、皮膚を被膜で一定時間被覆し、この間に水分を皮膚に補給したり、皮下からの水分の蒸発を抑えて肌を柔軟にする効果を付与するものとして広く使用されており、種々の製品が市販されている。このパック剤の形態としては、塗布後の乾燥によりフィルムを形成し、これをはがし取るピールオフタイプ、クリーム状または泥状で塗布後拭き取りまたは洗い流すタイプ、不織布にローションを含浸させたタイプ等のものがある。この中でも、ピールオフタイプのパックは、被膜形成剤の吸着効果により皮膚に付着した汚れや古い角質層を取り除く清浄効果も兼ね備えており、その代表的な被膜形成剤として、ポリビニルアルコールが挙げられる。そして、ポリビニルアルコールを被膜形成剤としたピールオフタイプのパックでは、その乾燥速度を速めるため、あるいは被膜強度をあげるため、粉体を配合する試みがなされている(例えば、特開平10−245320号公報参照)。
また、ポリビニルアルコールを被膜形成剤として含有したパック化粧料において、これを塗布した箇所やはがした箇所を区別し、また、皮膚清浄効果を明確に識別できようにするために、酸化チタンやベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄等の着色顔料を配合することがおこなわれている。
しかし、このような着色顔料をパック化粧料に配合した場合は、着色顔料の表面活性の影響で分散安定性が悪くなり、製剤としての保存安定性を損なうことが多かった。
このような、着色顔料を使用した場合の問題を解決する手段としては、着色剤として水溶性染料を使用することが考えられるが、十分な隠蔽力を確保できる量の水溶性染料を使用すると、皮膚へ染着してしまうといった別の問題が生じてしまう。
さらに、パック化粧料に美白効果や消炎効果を付与するために、水溶性アスコルビン酸誘導体や水溶性グリチルリチン酸誘導体等の有効成分を配合した場合には、着色顔料の分散性が著しく低下したり、さらには、有効成分の保存安定性が低下するといった問題点もあった。
従って、塗布した箇所、はがした箇所や皮膚清浄効果を明確に識別でき、しかも塗布のしやすさ、はがしやすさといった使用感が良好で、且つ、経時における保存安定性に優れた被膜形成型のパック化粧料の開発が望まれていた。
【発明の開示】
本発明者は、上記実状において鋭意検討を重ねた結果、着色顔料としてチタン・酸化チタン焼結物を用い、これを組み合わせて用いることにより、上記要望を全て満足する被膜形成型のパック化粧料が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、次の成分(a)及び(b);
(a)ポリビニルアルコール 5〜20質量%
(b)チタン・酸化チタン焼結物 0.01〜10質量%
を含有するパック化粧料である。
また本発明は、成分(a)および成分(b)の他、成分(c)としてアニオン性界面活性剤、特に、リン酸エステル型アニオン性界面活性剤、スルホン酸塩型アニオン性界面活性剤、硫酸塩型アニオン性界面活性剤から選ばれるアニオン性界面活性剤の一種または二種以上を含有する上記パック化粧料である。
さらに本発明は、成分(a)、成分(b)の他、成分(d)として水溶性増粘剤、特に、膨潤性粘土鉱物及び/または不定形微粒子無水ケイ酸を含有する上記パック化粧料である。
さらにまた本発明は、成分(a)のポリビニルアルコールが、(A)4質量%濃度水溶液の20℃における粘度が1mPa・s以上30mPa・s未満の粘度範囲にあるポリビニルアルコールと(B)4質量%濃度水溶液の20℃における粘度が30mPa・s以上70mPa・s未満の粘度範囲にあるポリビニルアルコールの混合物からなる上記パック化粧料である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の構成について説明する。
本発明において成分(a)として用いられるポリビニルアルコールは、化粧品原料として公知のものであり、ピールオフタイプのパック化粧料に多く用いられているものである。このポリビニルアルコールは、重合度とけん化度の違いによっていくつかのグレードに分けられたものが市販されているが、パックの用途、性質に合わせ、適当なグレードのものを使用することができる。このポリビニルアルコールの重合度は、通常4質量%濃度水溶液の20℃における粘度を測定することによって示される。
本発明においては、いずれの粘度のものも使用することができるが、塗布のしやすさ、はがしやすさといった使用感の点から、(A)粘度が1mPa・s以上30mPa・s未満の粘度範囲にあるものと、(B)粘度が30mPa・s以上70mPa・s未満の粘度範囲にあるものを組み合わせて使用することが好ましい。
このうち、(A)の粘度が1mPa・s以上30mPa・s未満の粘度範囲にあるポリビニルアルコールとしては、具体的には、PVA−103、110、205、210、217、613、706(クラレ社製)等が挙げられる。これらの中でも、粘度が3〜10mPa・sのものが特に好ましい。
また、(B)の粘度が30mPa・s以上70mPa・s未満の粘度範囲にあるポリビニルアルコールとしては、具体的には、PVA−120、124、220、224、228(クラレ社製)等が挙げられる。これらの中でも、40〜60mPa・sのものが特に好ましい。
一方、成分(a)のけん化度は、製造時におけるポリ酢酸ビニルのアセチル基のけん化の割合により決まる値で、ほぼ完全にけん化を行った完全けん化型とアセチル基をある程度残した部分けん化型とに大きく分けられる。本発明においては、いずれのけん化型のものも使用することができるが、部分けん化型のポリビニルアルコールを用いる方が好ましい。
本発明のパック化粧料において、成分(a)の含有量は、パック化粧料中5〜20質量%(以下、単に「%」と記す)であり、特に7〜15%がより好ましい。ポリビニルアルコールの配合量が5%未満では、塗布時にたれ落ちしやすく、また、被膜形成性が不十分であり、はがしにくいものとなる。また、含有量が20%を超えると粘度が高くなるため使用の際に伸ばしにくく、経時でゲル化する等の保存安定性が悪くなる。また、成分(a)中の(A)のポリビニルアルコール/(B)のポリビニルアルコールの質量比は、特に限定されるものではないが、さらに使用性を向上させる為には0.05〜2が好ましく、0.1〜1.5がより好ましい。
なお、成分(a)は水に溶解して配合されるが、この成分(a)を溶解するための水の好ましい使用量は、パック化粧料中70〜90%である。
一方、本発明において成分(b)として用いられるチタン・酸化チタン焼結物は、パック化粧料の隠蔽力を高め、塗布した箇所、はがした箇所、皮膚清浄効果を明確に識別しやすくし、乾燥速度を速め、さらに、被膜強度を高めて、はがしやすくするために含有されるものである。
成分(b)であるチタン・酸化チタン焼結物は、従来使用されていた酸化チタンや黒酸化鉄に比べ、粉体表面の表面活性が低いため、ポリビニルアルコールを含有したパック化粧料において、製剤としての保存安定性を損なうことなく、優れた分散安定性を確保することができるものである。この成分(b)のチタン・酸化チタン焼結物は、通常化粧品に使用されているものであれば特に限定されず、例えば、チタン粉末と酸化チタンを1:5の割合で混合し、これを減圧下で3〜5時間、900〜1000℃の温度で焼結したものが挙げられる。
成分(b)の平均粒径は、隠蔽力、顔料分散安定性の点から、0.6〜2.0μmが好ましく、0.6〜1.5μmがより好ましい。さらに、これらは、通常公知の表面処理を施したものも用いることが可能である。これらは、一種又は二種以上を適宜選択して使用できる。なお、チタン・酸化チタン焼結物の市販品としては、例えばTILACK D(赤穂化成社製)等があるので、これを成分(b)として使用することもできる。
本発明のパック化粧料における成分(b)チタン・酸化チタン焼結物の含有量は、パック化粧料中0.01〜10%であり、0.1〜5%がより好ましい。0.01%未満であると、塗布時の隠蔽力が十分でなく明確に識別できず、また被膜強度の向上効果が少なく、また、含有量が10%を超えると、使用の際に伸ばしにくくなる。
本発明のパック化粧料は、上記成分(a)、成分(b)および水を必須成分として調製することができるが、パック化粧料の作用、効果をより高めるために、他の種々の成分を配合することができる。
このような成分の一例としては、アニオン性界面活性剤(成分(c))を挙げることができ、これを配合することにより、成分(b)の分散安定性を相乗的に向上させることができる。
成分(c)のアニオン性界面活性剤としては、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、脂肪酸石鹸型アニオン性界面活性剤、アルキルエーテルカルボン酸塩型アニオン性界面活性剤、アシルアミノ酸塩型アニオン性界面活性剤、リン酸エステル型アニオン性界面活性剤、スルホン酸塩型アニオン性界面活性剤、硫酸塩型アニオン性界面活性剤などが挙げられる。
これらの中でも、優れた分散安定性向上効果を得るには、モノラウリルリン酸ナトリウム、モノラウリルリン酸ジエタノールアミン、モノラウリルリン酸トリエタノールアミン、モノラウリルリン酸カリウム、モノオレイルリン酸ナトリウム、モノポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、モノポリオキシエチレンミリスチルエーテルリン酸ナトリウム、モノポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム、モノポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ジポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ジポリオキシエチレンミリスチルエーテルリン酸ナトリウム、ジポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム、ジポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム等のリン酸エステル型アニオン性界面活性剤や、アルキルベンゼンスルホン酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アシルイセチオン酸塩、アシルタウリン塩等のスルホン酸型アニオン性界面活性剤、またはアルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドを付加したアルキルまたはアルケニルエーテル硫酸塩等の硫酸塩型アニオン性界面活性剤がより好ましい。さらに、後記する水溶性アスコルビン酸誘導体や水溶性グリチルリチン酸誘導体(成分(e))を配合した際に、成分(b)の分散安定性を向上させるためには、成分(c)としてスルホコハク酸ジオクチルナトリウムを配合することが、特に好ましい。上記成分(c)は、その一種又は二種以上を適宜選択して使用できる。
本発明のパック化粧料における成分(c)の含有量は、特に限定されるものではないが、分散安定性の向上効果から、パック化粧料中0.001〜5%が好ましく、0.01〜1%がより好ましい。
本発明のパック化粧料においては、さらに成分(d)として水溶性増粘剤を配合することができる。この成分(d)は、パック化粧料のたれ落ちなどを防ぎ、肌への塗布のしやすさを向上させ、さらには、成分(b)の分散安定性を著しく向上させるものである。
成分(d)の水溶性増粘剤としては、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、水溶性高分子、水膨潤性粘土鉱物、微粒子無水ケイ酸等が挙げられる。これらの中でも、優れた分散安定性向上効果を得るには、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、合成スメクタイト、水膨潤性フッ素雲母等の水膨潤性粘土鉱物や、不定形微粒子無水ケイ酸、酸化アルミニウム処理不定形微粒子無水ケイ酸、シリル化処理不定形微粒子無水ケイ酸等の不定形微粒子無水ケイ酸がより好ましい。
具体的な成分(d)としては、クニピア G−4、スメクトン SA−2(クニミネ工業社製)、BENTONE MA、EW、LT、RV(Elementis社製)、SUBMICA E(大東化成工業社製)等の水膨潤性粘土鉱物や、AEROSIL 200、300、R972、R974、RX300(日本アエロジル社製)等不定形微粒子無水ケイ酸が挙げられる。これら成分(d)は、その一種又は二種以上を適宜選択して使用できる。
本発明のパック化粧料における成分(d)の含有量は、特に限定されるものではないが、使用性、分散安定性の向上効果から、パック化粧料中0.01〜10%が好ましく、0.1〜5%がより好ましい。
本発明のパック化粧料においては、さらにまた、成分(e)として美白効果を有する水溶性アスコルビン酸誘導体や消炎効果を有する水溶性グリチルリチン酸誘導体を、本発明の効果を損なわず、安定に配合することが可能である。すなわち、成分(a)に成分(b)を組み合わせて配合することにより、電解質である水溶性アスコルビン酸誘導体や水溶性グリチルリチン酸誘導体(成分(e))をパック化粧料の保存安定性を損なうことなく配合することが可能となる。
本発明に用いられる成分(e)のうち、水溶性アスコルビン酸誘導体としては、通常美白化粧料に汎用されているものであれば特に限定されないが、その具体例としては、L−アスコルビン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸カリウム、L−アスコルビン酸マグネシウム等のアスコルビン酸塩、L−アスコルビン酸リン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸リン酸マグネシウム、L−アスコルビン酸リン酸カルシウム等のアスコルビン酸リン酸塩、L−アスコルビン酸硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸硫酸マグネシウム、L−アスコルビン酸硫酸カルシウム等のアスコルビン酸硫酸塩等が挙げられる。また、成分(e)のうち、水溶性グリチルリチン酸誘導体としては、通常消炎化粧料に汎用されているものであれば特に限定されないが、その具体例としては、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸アンモニウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸ジカリウム等が挙げられる。これら成分(e)は、その一種又は二種以上を適宜選択して使用できる。
本発明のパック化粧料における成分(e)の含有量は、特に限定されるものではないが、パック化粧料中0.001〜5%が好ましく、特に0.01〜3%がより好ましい。
本発明のパック化粧料においては、上記各成分に加えて、さらに成分(f)としてポリグリセリン脂肪酸エステルを配合することにより、成分(b)の分散安定性を更に相乗的に向上させることができる。
成分(f)のポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル、ジオレイン酸デカグリセリル、トリステアリン酸デカグリセリル、トリイソステアリン酸デカグリセリル、トリオレイン酸デカグリセリル、ペンタステアリン酸デカグリセリル、ペンタイソステアリン酸デカグリセリル、ペンタオレイン酸デカグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノステアリン酸ヘキサグリセリル、モノイソステアリン酸ヘキサグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリルなどが挙げられる。これらは、一種又は二種以上を適宜選択して使用できる。
本発明のパック化粧料における成分(f)の含有量は、特に限定されるものではないが、分散安定性の向上効果から、パック化粧料中0.001〜5%が好ましく、0.01〜3%がより好ましい。
本発明のパック剤は、常法に従って必須成分である成分(a)、成分(b)および水の他、必要に応じて成分(c)ないし成分(f)を配合することにより調製することができる。
例えば、成分(a)を水に加熱溶解し、これに成分(b)及び必要に応じて多価アルコール、成分(c)、(f)を三本ロールミル等で均一分散した分散物を添加し、必要に応じて成分(d)、(e)を添加し、均一混合する方法、成分(a)の一部と成分(b)及び水を三本ロールミル等で均一分散し、これを成分(a)の残部と成分(c)〜(f)を水に加熱溶解した溶液に添加する方法等により、本発明のパック剤を調製することができる。
また、本発明のパック化粧料の調製に当たっては、上記各成分の他に、通常化粧料に用いられる成分として、例えば、上述以外の界面活性剤、多価アルコール等の水性成分、酸化防止剤、紫外線吸収剤、香料、防腐剤、上述以外の顔料や染料などの着色剤、美容剤等を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれによって何ら制約されるものではない。
実施例1〜14及び比較例1〜6
パック化粧料:
下記表1および表2に示す組成並びに下記の製法によりパック化粧料を調製した。このパック化粧料について、(1)塗布のしやすさ、(2)識別のしやすさ(塗布箇所、はがした箇所、皮膚清浄効果)、(3)はがしやすさ、(4)保存安定性の各評価項目について下記の評価方法により評価した。この結果を表1および表2に併せて示した。


(製造方法)
A:成分(3)〜(7)と(9)の一部を三本ロールミルで均一分散する。
B:成分(1)〜(2)と(8)、(10)〜(12)を80℃に加熱溶解する。
C:Bを室温まで冷却した後、A及び成分(13)を添加し、均一混合する。
D:Cを容器に充填してパック化粧料を得た。
(評価方法)
(1)ないし(3)の評価:
化粧歴10年以上の女性20名をパネルとし、各パック化粧料を14日間使用してもらい、(1)塗布のしやすさ、(2)識別のしやすさ(塗布箇所、はがした箇所、皮膚清浄効果)、(3)はがしやすさの各評価項目を下記(イ)5段階絶対評価基準を用いて評価してもらった。得られた各試料の評点の平均値を求め、これを(ロ)4段階判定基準を用いて判定した。
(イ)5段階絶対評価基準
(評 点) (評 価)
5点 : 非常に良好
4点 : 良好
3点 : 普通
2点 : 不良
1点 : 非常に不良
(ロ)4段階判定基準
(評点の平均値) (判 定)
平均点4.5以上 : ◎
平均点3.5以上4.5未満 : ○
平均点2.5以上3.5未満 : △
平均点2.5未満 : ×
(4)の評価:
保存安定性は、調製したパック化粧料について、調製直後と40℃及び5℃で1ヶ月間保存した時の変化(粉体の分散状態、ゲル化)を目視により観察し、以下の(ハ)4段階判定基準を用いて判定した。
(イ)4段階判定基準
(評 価) (判 定)
全く変化なし : ◎
軽微な変化がある : ○
やや変化がある : △
かなり変化がある : ×
上記表1、表2の結果から明らかなように、本発明品の実施例1〜14のパック化粧料は、比較例1〜6のパック化粧料に比較して、塗布した箇所、はがした箇所、皮膚清浄効果が明確に識別でき、塗布のしやすさ、はがしやすさといった使用性が良好で、且つ、経時における保存安定性に優れたものであった。
【実施例15】
ピールオフパック化粧料:
下記処方および製造方法により、ピールオフパック化粧料を調製した。
< 処 方 >
(成 分) (%)
1.ポリビニルアルコール(注5) 10.0
2.ポリビニルアルコール(注6) 7.0
3.ベントナイト 1.0
4.エタノール 10.0
5.1,3−ブチレングリコール 5.0
6.タルク 2.0
7.チタン・酸化チタン焼結物(注3) 1.0
8.セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
9.モノラウリン酸ポリグリセリル 0.5
10.スルホコハク酸ジオクチルナトリウム 0.5
11.L−アスコルビン酸リン酸ナトリウム 1.0
12.精製水 残量
13.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
(注3):前記と同じ
(注5):ゴーセノールEG−05;日本合成化学工業社製
(粘度(4%,20℃)4.8〜5.8mPa・s)
(注6):ゴーセノールEG−40;日本合成化学工業社製
(粘度(4%,20℃)40.0〜46.0mPa・s)
<製造方法>
A:成分(5)〜(10)を三本ロールミルで均一分散する。
B:成分(1)〜(4)、(11)〜(13)を80℃に加熱溶解する。
C:Bを室温まで冷却した後、Aを添加し、均一混合する。
D:Cを容器に充填してピールオフパック化粧料化粧料を得た。
実施例15のピールオフパック化粧料は、塗布した箇所、はがした箇所、皮膚清浄効果が明確に識別でき、塗布のしやすさ、はがしやすさといった使用性が良好で、且つ、経時における保存安定性に優れ、更に美白効果に優れたものであった。
【実施例16】
ピールオフパック化粧料:
下記処方および製造方法により、ピールオフパック化粧料を調製した。
< 処 方 >
(成 分) (%)
1.ポリビニルアルコール(注1) 2.0
2.ポリビニルアルコール(注2) 12.0
3.シリル化不定形微粒子無水ケイ酸(注7) 2.0
4.エタノール 10.0
5.1,3−ブチレングリコール 1.0
6.タルク 2.0
7.チタン・酸化チタン焼結物(注3) 1.0
8.無水ケイ酸 3.0
9.スルホコハク酸ジオクチルナトリウム 0.1
10.モノイソステアリン酸デカグリセリル 0.5
11.グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
12.精製水 残量
13.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
(注1)、(注2)、(注3):前記と同じ
(注7):AEROSIL R972(日本アエロジル社製)
<製造方法>
A:成分(5)〜(7)と(12)の一部を加熱溶解し、成分(1)を加えて三本ロールミルで均一分散する。
B:成分(2)〜(4)と(8)〜(13)を80℃に加熱溶解する。
C:Bを室温まで冷却した後、Aを添加し、均一混合する。
D:Cを容器に充填してパック化粧料を得た。
実施例16のピールオフパック化粧料は、塗布した箇所、はがした箇所、皮膚清浄効果が明確に識別でき、塗布のしやすさ、はがしやすさといった使用性が良好で、且つ、経時における保存安定性に優れ、更に消炎効果に優れたものであった。
【産業上の利用可能性】
本発明のパック化粧料は、塗布した箇所、はがした箇所や、皮膚清浄効果が明確に識別できるものであり、塗布のしやすさや、はがしやすさといった使用性が良好で、且つ、経時における保存安定性に優れた被膜形成型のパック化粧料であった。
本発明のパック化粧料は、上記のような特性を有するので、皮膚に水分を補給したり、皮膚からの水分の蒸発を抑えて肌を柔軟にするためのパック剤や、皮膚から薬効成分を吸収させるためのパック剤として広く使用できるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)及び(b);
(a)ポリビニルアルコール 5〜20質量%
(b)チタン・酸化チタン焼結物 0.01〜10質量%
を含有することを特徴とするパック化粧料。
【請求項2】
更に、成分(c)としてアニオン性界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1記載のパック化粧料。
【請求項3】
成分(c)のアニオン性界面活性剤が、リン酸エステル型アニオン性界面活性剤、スルホン酸塩型アニオン性界面活性剤、硫酸塩型アニオン性界面活性剤から選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求項2記載のパック化粧料。
【請求項4】
更に、成分(d)として水溶性増粘剤を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れかの項記載のパック化粧料。
【請求項5】
成分(d)の水溶性増粘剤が、水膨潤性粘土鉱物及び/又は不定形微粒子無水ケイ酸であることを特徴とする請求項4記載のパック化粧料。
【請求項6】
成分(a)のポリビニルアルコールが、(A)4質量%濃度水溶液の20℃における粘度が1mPa・s以上30mPa・s未満の粘度範囲にあるポリビニルアルコールと(B)4質量%濃度水溶液の20℃における粘度が30mPa・s以上70mPa・s未満の粘度範囲にあるポリビニルアルコールの混合物であることを特微とする請求項1〜5記載の何れかの項記載のパック化粧料。
【請求項7】
成分(a)のポリビニルアルコールにおいて、(A)のポリビニルアルコール/(B)のポリビニルアルコールの質量比が0.05〜2であることを特徴とする請求項6記載のパック化粧料。
【請求項8】
更に、成分(e)として水溶性アスコルビン酸誘導体及び/又は水溶性グリチルリチン酸誘導体を含有することを特徴とする請求項1〜7の何れかの項記載のパック化粧料。
【請求項9】
更に、成分(f)としてポリグリセリン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする請求項1〜8の何れかの項記載のパック化粧料。
【請求項10】
成分(c)のアニオン性界面活性剤が、スルホコハク酸ジオクチルナトリウムであることを特徴とする請求項1〜9の何れかの項記載のパック化粧料。

【国際公開番号】WO2004/045565
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【発行日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−553139(P2004−553139)
【国際出願番号】PCT/JP2003/012773
【国際出願日】平成15年10月6日(2003.10.6)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】