説明

パック電池

【課題】パック電池において、基板ホルダ上に装着した感熱素子が浮き上がるのを防止する。さらに、ホルダにリード板付きの感熱素子を装置してからリード板を折り曲げて保護回路基板に接続する際に、正確な位置で容易に折曲げができるようにする。
【解決手段】基板ホルダ20において、底板21から上方に離間した位置に、前側壁22と後側壁23の互いに対向する内面22a,23aから、内面23a,22aに向けて突出する規制部24が設けられ、規制部24は内面22aと内面23aにまたがって架橋されている。PTC素子30は、基板ホルダ20における規制部24と底板21との間に挿入され、規制部24と底板21との間に素子本体31が挟まれる。第2リード板33は、規制部24の側面に沿って折り曲げられ、折り返された第2リード板33の端部33aは、保護回路基板40の裏面にある端子に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池に感熱素子及び保護回路基板が装着されたパック電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機などのモバイル機器の普及に伴って、電源としてパック電池が多く用いられている。
このパック電池として、特許文献1〜3に開示されているように、上面に端子が設けられた電池に、保護回路基板などが装着され、電池として角型電池が多用されている。
また、保護回路基板は、電池の上面に装着された基板ホルダによって保持され、保護回路基板を覆うように、キャップが設けられているものも多い。
【0003】
このパック電池において、二次的な保護部品として、正特性サーミスタ(以下、「PTC」と略す)をはじめとする感熱素子が用いられ、電池が発熱した際に電気抵抗が上昇して、電流を遮断する機能を果たすようになっている。
また、PTC素子のような感熱素子は一般に、素子本体に1対のリード板が取り付けられて構成され、一方のリード板は電池の端子に接続され、他方のリード板が保護回路基板に接続されている。ここで、保護回路基板の端子に接続されるリード板は、感熱素子の本体から延出され、折り曲げられて保護回路基板の端子に接続されているものも多い。
【0004】
このようなパック電池において、感熱素子は、保護回路基板上に実装されたり、特許文献1〜3に開示されているパック電池のように、電池の上面と保護回路基板との間に介挿されたりしていて、感熱素子が基板ホルダの底板上に収納された構造のものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−164601号公報
【特許文献2】特開2010−146835号公報
【特許文献3】特開2003−132860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
基板ホルダの底板上に感熱素子が収納された構造のパック電池において、感熱素子が基板ホルダの底板から浮き上がると、感熱素子としての感度が悪くなったり、保護回路基板に素子本体が接触して短絡する可能性もある。そこで、そのような短絡を防止するために、例えば感熱素子と保護回路基板との間に絶縁板を介挿させて短絡を防止することも行われている。
【0007】
また感熱素子のリード板を折り曲げて保護回路基板の端子に接続する場合に、基板ホルダにリード板付きの感熱素子を装着してからそのリード板を正確に折り曲げることが要求されることもある。その場合、専用の治具等を用いることが必要となり、作業時間もかかることになる。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであって、電池の一端面上に基板ホルダ、感熱素子及び保護回路基板を装着したパック電池において、基板ホルダ上に装着した感熱素子が浮き上がるのを防止することを目的とし、さらに、基板ホルダにリード板付きの感熱素子を装置してからリード板を折り曲げて保護回路基板に接続する際に、正確な位置で容易に折曲げができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明にかかるパック電池は、一端面に第1電極が設けられた電池と、素子本体に第1リード板及び第2リード板が取り付けられた感熱素子と、一端面を覆うように配設された基板ホルダと、基板ホルダに固定され、感熱素子における第2リード板と接続された保護回路基板と、を有し、第1リード板が第1電極に接続され、第2リード板が保護回路基板に接続されたパック電池において、基板ホルダに、一端面に沿って配設された底板と、その底板から起立し互いに並行して形成された1対の側壁とを設け、1対の側壁における互いに対向する内面における底板から離れた位置に、感熱素子が底板から離間するのを規制する規制部を当該内面から突出して形成し、感熱素子は、1対の側壁間において底板と規制部との間に装着し、保護回路基板を、規制部の上に、1対の側壁にまたがって装着することとした。
【0009】
上記本発明にかかるパック電池において、規制部を、1対の側壁同士にまたがって架橋形成することが好ましい。
上記本発明にかかるパック電池において、第2リード板を、規制部の表面に沿って折り曲げ、折り曲げられた第2リード板の端部を保護回路基板に接続してもよい。
あるいは、上記本発明にかかるパック電池において、各規制部の先端同士の間隙を、感熱素子の対応部分の幅よりも狭くし、各規制部における底板と反対側の側面を、底板に対して傾斜させることも好ましい。
【0010】
ここで、基板ホルダに、感熱素子及び保護回路基板を被覆するキャップを装着して、当該キャップの裾部分で1対の側壁を挟み込むことが好ましい。
上記本発明にかかるパック電池において、電池の一端面、基板ホルダ及び保護回路基板が長尺状である場合、1対の並行する側壁は、基板ホルダの底板の両側辺に沿って伸長していることが好ましい。
【0011】
上記本発明にかかるパック電池において、電池の一端面上に第2電極が設けられ、当該第2電極に、保護回路基板に接続された第3リード板が接合され、基板ホルダ、感熱素子及び保護回路基板を被覆するキャップが装着されている場合、第3リード板における第2電極に接合されている側の端部を、一端面から起立させて折曲し、キャップで第3リード板の端部も被覆してもよい。
【0012】
上記本発明にかかるパック電池において、第1電極が、電池の一端面から突出している場合、ホルダの底板に、当該第1電極が貫通する貫通孔を形成し、貫通孔を貫通する第1電極の頂面に第1リード板を接合することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
上記本発明に係るパック電池においては、1対の側壁における互いに対向する内面には、底板から離れた位置に当該内面から突出する規制部が設けられ、感熱素子は、1対の側壁間において底板と規制部との間に装着されているので、感熱素子が基板ホルダの底板から浮き上がるのがこの規制部によって防止される。従って、絶縁板を介挿しなくても感熱素子が保護回路基板と接触して短絡するのが防止される。
【0014】
ここで、規制部を、1対の側壁どうしにまたがるように架橋形成すれば、感熱素子が浮き上がるのをより確実に防止できる。
また、上記本発明にかかるパック電池において、第2リード板を、規制部の表面に沿って折り曲げて、折り曲げられた端部を保護回路基板に接続すれば、基板ホルダにリード板付きの感熱素子を装着して第2リード板を折り曲げ加工をする際に、当該第2リード板を正確な位置で容易に折り曲げることができる。
【0015】
上記本発明にかかるパック電池において、各規制部の先端同士の間隙を、感熱素子の対応部分の幅よりも狭くし、各規制部における底板と反対側の側面を、底板に対して傾斜させれば、感熱素子を基板ホルダに装着する際に、感熱素子を規制部の上方から規制部の先端同士の間を通過させて容易に装着できる。
ここで、基板ホルダに、感熱素子及び保護回路基板を被覆するキャップを装着して、当該キャップの裾部分で1対の側壁を挟み込むようにすれば、基板ホルダの側壁が変形して開こうとしてもキャップの裾部分で抑えられるので、パック電池に強い衝撃が加わったような場合にも、感熱素子が基板ホルダから外れにくい。
【0016】
上記本発明にかかるパック電池において、電池の一端面、基板ホルダ及び保護回路基板が長尺状である場合、1対の並行する側壁を、基板ホルダの底板の両側辺に沿って伸長させれば、電池の一端面上に、基板ホルダ、感熱素子、保護回路基板を、積み重ねてコンパクトに配置することができる。
上記本発明にかかるパック電池において、電池の一端面上に第2電極が設けられ、当該第2電極に、保護回路基板に接続された第3リード板が接合され、基板ホルダ、感熱素子及び保護回路基板を被覆するキャップが装着されている場合、第3リード板における第2電極に接合されている側の端部を、一端面から起立するように折曲し、キャップで第3リード板の端部も被覆すれば、第3リード板を介してキャップと電池とがしっかりと結合されるので、電池の厚み方向に対する力がキャップに加わっても、折れ曲がりにくい。
【0017】
上記本発明にかかるパック電池において、第1電極が、電池の一端面から突出している場合、基板ホルダの底板に、当該第1電極が貫通する貫通孔を形成し、貫通孔を貫通する第1電極の頂面に第1リード板を接合すれば、基板ホルダを電池の一端面に位置決めして固定するのも容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態1に係るパック電池1の外観を示す斜視図である。
【図2】コアパック2の構成を示す分解斜視図である。
【図3】電池10の上面10a上に、ホルダ20,PTC素子30,保護回路基板40が装着される様子を示す斜視図である。
【図4】ホルダ20にPTC素子30が装着される様子を示す図である。
【図5】組み立て途中のコアパックをX−Y面で切断した図、コアパック2をX−Y面で切断した図である。
【図6】実施の形態2に係るパック電池101の外観図である。
【図7】コアパック102の構成を示す分解斜視図である。
【図8】電池110の上面110a上に、基板ホルダ120,PTC素子130,保護回路基板140が装着される様子を示す斜視図である。
【図9】基板ホルダ120にPTC素子130が装着された状態を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施する形態について説明するが、以下の説明は一例であって、本発明はこの形態に限定を受けるものではない。
[実施の形態1]
1.パック電池1の全体構成
図1は、実施の形態1に係るパック電池1の外観図である。
【0020】
このパック電池1は、コアパック2の外周にラベル70が巻かれて構成されている。
図2は、コアパック2の構成を示す分解斜視図である。なお当図では、構成及び組み立て方法を分かりやすくするために、各構成要素が離れた状態で示しているが、実際には各構成要素同士は接している。
パック電池1の全体構成について、図2を参照しながら説明する。
【0021】
図中、矢印Yが上方、矢印Zが後方、矢印Xが左方を指している。
コアパック2は、電池10と、電池10の上面10aに配設された基板ホルダ20と、基板ホルダ20上に装着されたPTC素子30及び保護回路基板40と、電池10の上面10a上においてPTC素子30および保護回路基板40を覆うように設けられたキャップ50と、電池10の底面を覆う底蓋60などを備える。
【0022】
電池10は、扁平角型の外観形状を有し、その上面(封口板外面)10aは長尺状であって、上方に突出する負極端子11、上面10a上にクラッド板からなる正極端子12が設けられている。
基板ホルダ20は、上面10aと同様、長尺状に形成され、基板ホルダ20に形成された貫通孔28が負極端子11に填まり込んだ状態で、上面10aの上を覆うように配置されている。
【0023】
この基板ホルダ20の上に、PTC素子30が装着されている。
PTC素子30は、素子本体31と、素子本体31の下面から右方向(X方向の反対)に延出された第1リード板32と、素子本体31の上面から一旦左方に伸びて、右方に折り返されている第2リード板33とを備えている。
このように、電池10の負極端子11と保護回路基板40とは、PTC素子30を介して接続されている。
【0024】
保護回路基板40も、上面10aと同様、長尺状に形成され、その右端から基板リード41が延出している。この基板リード41は、上面10aに設けられた正極端子12に溶接されている。また、基板リード41における正極端子12に接続された近傍の端部41aは折曲されて、上面10aから起立している。
上記PTC素子30の第2リード板33は、保護回路基板40の下面側に設けられた端子に接続されている。
【0025】
保護回路基板40の上面にある外部端子は、キャップ50の上面から露出している。
電池10の側周面には、図1に示すようにラベル70が貼着されている。
キャップ50の上面にはテスティングラベル55が貼着されている。
2.基板ホルダ20、PTC素子30、保護回路基板40の構造と配置
図3(a)〜(d)は、電池10の上面10a上に、基板ホルダ20,PTC素子30,保護回路基板40が装着される様子を示す斜視図であって、(a)は電池10の上面10a上に基板ホルダ20が装着された状態、(b)はその基板ホルダ20上にPTC素子30が装着された状態、(c)は第2リード板33が折り曲げられた状態、(d)は、保護回路基板40を装着した状態を示している。
【0026】
図4は、基板ホルダ20にPTC素子30が装着される様子を示す図である。
図5(a)は、図4(d)の状態のものをX−Y面で切断した図、図5(b)はコアパック2をX−Y面で切断した図である。
基板ホルダ20は、電池10の上面10aに沿って伸長する板状部材であって、長尺状の底板21と、底板21の前縁から上方に起立する前側壁22,底板21の後縁から上方に起立する後側壁23を備えている。この前側壁22と後側壁23の対は、横方向に並行して伸び、相互の間隙幅は、PTC素子30の第1リード板32,第2リード板33の幅とほぼ同等に設定されている。
【0027】
基板ホルダ20の底板21には、負極端子11が貫通する貫通孔28が開設されている。
貫通孔28を貫通した負極端子11の頂面と、基板ホルダ20に装着されたPTC素子30の第1リード板32とが接合され、第1リード板32と負極端子11との接続がなされている。
【0028】
基板ホルダ20において、底板21から上方に離間した位置において、前側壁22と後側壁23の互いに対向する内面22a,23aから、相手側の内面23a,22aに向けて突出するように規制部24が設けられている。
本実施形態における規制部24は、図3に示すように、前側壁22から後方に突出する凸部と後側壁23の内面から前方に突出する凸部が相互につながった架橋形態であって、内面22aと内面23aとにまたがって形成されている。
【0029】
また、基板ホルダ20には、キャップ50と係合できるように、前側壁22の外面には爪26a,26bが形成され、後側壁23の外面には爪27a、27bが形成されている。
図4に示すように、PTC素子30は、基板ホルダ20における前側壁22と後側壁23の間で、規制部24と底板21との間に挿入される。PTC素子30が基板ホルダ20に装着されると、PTC素子30の素子本体31が、基板ホルダ20の規制部24の下に位置する。すなわち、規制部24と底板21との間に素子本体31が挟まれた状態となる。
【0030】
また、PTC素子30の第2リード板33は、規制部24の側面に沿って規制部24を取り囲むように折曲されている。すなわち第2リード板33は、素子本体31の上面及び規制部24の下側面に沿って左方に伸び、規制部24の左側面24aに沿って上方に折り曲げられ、さらに規制部24の上面24bに沿って右方に折り返されている。
そして、折り返された第2リード板33の端部33aは、この上に装着される保護回路基板40の裏面にある端子に接続されている。
【0031】
PTC素子30の素子本体31は、上記のように基板ホルダ20の規制部24の下に位置しているので、上方に移動しようとしても規制部24によって移動が規制される。
従って、規制部24が前側壁22と後側壁23とにまたがって架橋しているので、PTC素子30が前側壁22と後側壁23との間に挿入されるときに、前側壁22及び後側壁23が外側に撓んで開くのが抑えられ、第1リード板32は前側壁22と後側壁23によってしっかりと挟持される。
【0032】
また、第2リード板33が、規制部24の外周面に沿って折り返されているので、PTC素子30が横方向に移動しようとしても、PTC素子30の移動は規制される。
図3(d)に示すように、基板ホルダ20における前側壁22と後側壁23の上には、保護回路基板40を装着できるようになっている。このとき、保護回路基板40は、PTC素子30の上方に装着される。
【0033】
キャップ50は、その裾部51が、前側壁22と後側壁23の外側に填まり込むように形成され、キャップ50が基板ホルダ20に装着された状態では、裾部51が前側壁22と後側壁23を挟み込んでいる。この裾部51には、爪26a,26bと係合する孔52a,52b、及び爪27a、27b係合する孔が形成されている。
3.パック電池1の組み立て
パック電池1の組み立て工程について、図2〜4を参照しながら説明する。
【0034】
(1)図3(a)に示すように、基板ホルダ20を、電池10の上面10aに装着する。このとき貫通孔28を負極端子11に填め込むことによって、基板ホルダ20は、電池10の上面10a上における定位置に固定される。
(2)図3(b)及び図4(a)に示すように、第2リード板33を折り曲げる前のPTC素子30を、基板ホルダ20に装着する。
【0035】
そして、第1リード板32を負極端子11の頂面に溶接する。この溶接には、例えば抵抗溶接(シリーズスポット溶接)あるいはレーザ溶接を用いる。
(3)図3(c)に示すように、PTC素子30の第2リード板33を、規制部24の側面に沿って折り曲げる。
(4)図3(d),図5(a)に示すように、基板リード41が取り付けられた保護回路基板40を基板ホルダ20上に装着するとともに、保護回路基板40の裏面にある端子と、第2リード板33の折り返し部分とを溶接する。また、基板リード41を正極端子12に溶接する。
【0036】
保護回路基板40は、前側壁22と後側壁23の上縁をまたぐように、規制部24の上の定位置に填め込まれる。
(5)図5(b)に示すように、キャップ50を基板ホルダ20上に装着する。
このとき、キャップ50の裾部51を前側壁22と後側壁23の外に填め込んで、裾部51を前側壁22と後側壁23挟み込み、爪26a,26bと孔52a,52bを係合させ、爪27a,27bとも対応する孔を係合させる。
【0037】
また、電池10の底面に底蓋60を装着する。
以上でコアパック2が完成する。
(6)電池10の側周面にラベル70を貼着する。
完成品検査の後に、キャップ50の上面に、テスティングラベル55を貼り付けることによって、パック電池1が完成する。
【0038】
4.パック電池1による効果
パック電池1による効果について説明する。
パック電池1においては、1対の側壁22,23における互いに対向する内面22a、23aに、当該内面から突出する規制部24が設けられ、PTC素子30は、その素子本体31が規制部24と底板21との間に装着されるので、PTC素子30の装着後は、この規制部24によってPTC素子30が基板ホルダ20の底板21から浮き上がるのが防止される。
【0039】
従って、PTC素子30と保護回路基板40との間に絶縁板を介挿しなくても、PTC素子30が保護回路基板40と接触して短絡するのが防止される。また、PTC素子30で電池10の温度を感度よく感知できる。
ここで、規制部24は、前側壁22と後側壁23を架橋しているので、前側壁22と後側壁23が変形して開くのを防止し、PTC素子30が底板21から浮き上がるのをより確実に防止できる。
【0040】
パック電池1において、第2リード板33は、規制部24の側面に沿って折り曲げられ、折り曲げられた端部33aが保護回路基板40の端子に接続されているので、PTC素子30を基板ホルダ20に装着して第2リード板33を折り曲げ加工をする際に、当該第2リード板33を正確な位置で容易に折り曲げることができる。
パック電池1においては、電池10の上面10a、基板ホルダ20及び保護回路基板40が長尺状であって、1対の並行する側壁22,23を、基板ホルダ20の底板21の両側辺に沿って伸長させているので、上面10a上に、基板ホルダ20、PTC素子30、保護回路基板40を、積み重ねてコンパクトに配置することができる。
【0041】
パック電池1においては、電池10の上面10aに正極端子12が設けられ、当該正極端子12に、保護回路基板40から延出された基板リード41が接合され、図5に示すように、基板リード41における正極端子12に接合されている側の端部41aが、折曲されて電池10の上面10aから起立し、この起立した端部41aがキャップ50に食い込んでいるので、端部41aがキャップ50を電池10上に支持するアンカーとして作用する。従って。電池10にキャップ50がしっかりと結合されるので、電池10に対してキャップ50を前後方向(Z方向)に折り曲げようとする外力が加わっても、キャップ50は、折れ曲がりにくい。
【0042】
パック電池1において、負極端子11が、電池10の上面10aから突出し、基板ホルダ20の底板21に、負極端子11が貫通する貫通孔28が形成され、貫通孔28を貫通する負極端子の頂面に第1リード板32が接合されているので、基板ホルダ20を電池10の上面10aの定位置に容易に固定できる。
[実施の形態2]
1.パック電池101の全体構成
図6は、実施の形態2に係るパック電池101の外観図である。
【0043】
このパック電池101は、コアパック102の外周にラベル170が巻かれて構成されている。
図7は、コアパック102の構成を示す分解斜視図である。
パック電池1の全体構成について、図2を参照しながら説明する。
コアパック102は、電池110と、電池110の上面110aに配設された基板ホルダ120と、基板ホルダ120上に装着されたPTC素子130及び保護回路基板140と、これらを覆うように設けられたキャップ150と、電池110の底面を覆う底蓋160などを備える。
【0044】
電池110の上面10aは長尺状で、突出する負極端子111、クラッド板からなる正極端子112が設けられている。
基板ホルダ120は、上面110aと同様、長尺状に形成され、基板ホルダ120に形成された貫通孔128が負極端子111に填まり込んだ状態で、上面110a上に配置されている。
【0045】
この基板ホルダ120にPTC素子130装着されている。
PTC素子130は、素子本体131と、素子本体131の下面から右方向に延出された第1リード板132と、素子本体131の上面から一旦左方に伸びて、右方に折り返されている第2リード板133とを備えている。
このように、電池110の負極端子111と保護回路基板140とは、PTC素子130を介して接続されている。
【0046】
保護回路基板140も、長尺状に形成され、その右端にある端子から基板リード141が延出し、この基板リード141は、上面110aに設けられた正極端子112に溶接されている。
PTC素子130の第2リード板133は折り返され、その端部133aが保護回路基板140の下面側に設けられた端子に接続されている。
【0047】
2.基板ホルダ120、PTC素子130、保護回路基板140の構造と配置
図8(a)〜(c)は、電池110の上面110a上に、基板ホルダ120,PTC素子130,保護回路基板140が装着される様子を示す斜視図であって、(a)は電池110の上面110a上に基板ホルダ120が装着され、それにPTC素子130が装着される様子、(b)は基板ホルダ120上にPTC素子130が装着された状態、(c)は、保護回路基板140が装着された状態を示している。
【0048】
基板ホルダ120は、長尺状の底板121と、底板121の前縁から上方に起立する前側壁122,底板121の後縁から上方に起立する後側壁123を備え、底板121には、負極端子111が貫通する貫通孔128が開設されている。
貫通孔128を貫通した負極端子111の頂面と、PTC素子130の第1リード板132とが接合されている。
【0049】
基板ホルダ120において、底板121から上方に離間した位置において、前側壁122と後側壁123の互いに対向する内面122a,123aから、相手側の内面123a,122aに向けて突出する規制部124,125が対で設けられている。
図9は、基板ホルダ120にPTC素子130が装着された状態を示す拡大図である。
前側壁122の内面122aに設けられた規制部124の先端と、後側壁123の内面123aに設けられた規制部125の先端との間隙W1は、PTC素子130の対応部分の幅W2よりも若干狭く設定されている。また、各規制部124,125における底板21と反対側の側面124a,125aは、底板121に対して傾斜している。
【0050】
従って、図8(a)に示すようにPTC素子130を基板ホルダ120に装着するときに、PTC素子130を規制部124,125の上方から規制部124,125の先端同士の間を通過させて装着することができる。
また、基板ホルダ120には、キャップ150と係合できるように、前側壁122の外面に爪126が形成され、後側壁123の外面には爪127が形成されている。
【0051】
基板ホルダ120にはさらに、底板121の側部から下方に向けて、電池110の上部を挟持する1対の側板129が設けられている。
保護回路基板140は、基板ホルダ120における前側壁122と後側壁123の上に装着されるが、基板ホルダ120の前側壁122と後側壁123の上縁には爪122b,123bが設けられていて、保護回路基板140には、この爪122b,123bが係合する切り欠き142,143が形成されているので、保護回路基板140は、前側壁122と後側壁123にまたがって、定位置に装着される。
【0052】
また保護回路基板140は、PTC素子130の上方に装着されるが、規制部124,125が、保護回路基板140とPTC素子130との間に介在して間隙を形成するので、保護回路基板140とPTC素子130は絶縁される。
キャップ150は、その裾部151が、前側壁122と後側壁123の外側に填まり込むように形成され、キャップ150が基板ホルダ120に填め込まれて装着された状態では、裾部151が前側壁122と後側壁123を挟み込んでいる。この裾部151には、上記爪126,127と係合する孔152が形成されている。
【0053】
3.パック電池101の組み立て方法
パック電池101は、実施の形態1のパック電池1の組み立て方法と同様に組み立てることができるが、PTC素子130を基板ホルダ120に装着する際に、図8(a)に示すように、予め第2リード板133を折り曲げておいて、規制部124,125の上方から装着することができるので、装着がより容易である。
【0054】
4.パック電池101による効果
パック電池101においても、1対の側壁122,123における互いに対向する内面122a,123aに、当該内面から突出する1対の規制部124,125が設けられ、PTC素子130の素子本体131が規制部124,125と底板121との間に装着されるので、PTC素子130の装着後は、この規制部124,125によってPTC素子130が基板ホルダ120の底板121から浮き上がるのが防止される。従って、PTC素子130が保護回路基板140と接触して短絡するのが防止され、また、PTC素子130で電池110の温度を感度よく感知できる。
【0055】
またパック電池101においては、上記のように、基板ホルダ120に装着する際に、PTC素子120を規制部124,125の上方から、規制部124,125の先端同士の間を通過させて、装着することができる。
また、基板ホルダ120に、PTC素子130及び保護回路基板140を被覆するキャップ150を装着して、キャップ150の裾部151で1対の側壁122,123を挟み込むようにしているので、基板ホルダ120の側壁122,123が開く方向に変形しようとしてもキャップ150の裾部151で抑えられる。従って、パック電池101に強い衝撃が加わった場合にも、PTC素子130が基板ホルダ120から外れにくい。
【0056】
また、基板ホルダ120に付けられた1対の側板129が電池110の上部を挟持し、その基板ホルダ120にキャップ150が填め込まれているので、キャップ150が電池110に対してしっかりと固定され、キャップ150に外力がかかっても折れ曲がりにくい。
[変形例など]
上記実施の形態1,2では、電池の上面側にキャップ、下面側に底蓋を装着したが、キャップ50,150及び底蓋60,160に相当する部材をホットメルトモールディング樹脂で形成してもよい。
【0057】
この場合も、実施の形態1のように、基板リード41における正極端子12に接合されている側の端部41aを折曲して電池10の上面10aから起立させ、モールディングによるキャップでこの起立した端部41aを覆うようにすれば、端部41aがキャップを電池上に支持するアンカーとして作用するので、電池にキャップがしっかりと結合され、キャップの折れ曲がりが生じにくい。
【0058】
上記実施の形態1,2では、感熱素子としてPTC素子を用いたが、この他にNTC(Negative Temperature Coefficient)素子やバイメタルを備えるブレーカ素子などを用いることもできる。
上記パック電池1,101においては、扁平角型の電池10,110を1セル備えたが、電池の外観形状および備えるセル数は必ずしもこれらに限定されるものではない。例えば、円筒型の電池の上面にホルダ、感熱素子、保護回路基板を備えたパック電池においても適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、正確に且つ容易に組み立てができるパック電池を実現するに有用な技術であって、本発明にかかるパック電池は、携帯電話機などのモバイル機器の電源として用いることができる。
【符号の説明】
【0060】
1 パック電池
2 コアパック
10 電池
10a 上面
11 負極端子
12 正極端子
20 基板ホルダ
21 底板
22 前側壁
22a,23a 内面
23 後側壁
24 規制部
28 貫通孔
30 PTC素子
31 素子本体
32 第1リード板
33 第2リード板
40 保護回路基板
41 基板リード
50 キャップ
50,150 キャップ
51 裾部
101 パック電池
102 コアパック
110 電池
110a 上面
111 負極端子
112 正極端子
120 PTC素子
120 基板ホルダ
121 底板
122 前側壁
123 後側壁
124a,125a 側面
128 貫通孔
129 側板
130 PTC素子
131 素子本体
132 第1リード板
133 第2リード板
140 保護回路基板
141 基板リード
150 キャップ
151 裾部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端面に第1電極が設けられた電池と、素子本体に第1リード板及び第2リード板が取り付けられた感熱素子と、前記一端面を覆うように配設された基板ホルダと、前記基板ホルダに固定され、前記感熱素子における第2リード板と接続された保護回路基板と、を有し、前記第1リード板が前記第1電極に接続され、前記第2リード板が前記保護回路基板に接続されたパック電池であって、前記基板ホルダは、前記一端面に沿って配設された底板と、当該底板から起立し互いに並行して形成された1対の側壁とを備え、
前記1対の側壁の互いに対向する内面における前記底板から離れた位置には、前記感熱素子が前記底板から離間するのを規制する規制部が当該内面から突出して形成され、
前記感熱素子は、前記1対の側壁間において前記底板と前記規制部との間に装着され、
前記保護回路基板は、
前記規制部の上に、前記1対の側壁にまたがって装着されていることを特徴とするパック電池。
【請求項2】
前記規制部は、前記1対の側壁同士にまたがって架橋形成されていることを特徴とする請求項1記載のパック電池。
【請求項3】
前記第2リード板は、
前記規制部の表面に沿って折り曲げられ、折り曲げられた端部が前記保護回路基板に接続されていることを特徴とする請求項1又は2記載のパック電池。
【請求項4】
前記規制部は、前記1対の側壁の各内面から突出して形成され、その先端同士の間隙は、前記感熱素子の対応部分の幅よりも狭く、
前記各規制部における前記底板と反対側の側面は、前記底板に対して傾斜していることを特徴とする請求項1記載のパック電池。
【請求項5】
前記基板ホルダには、前記感熱素子及び前記保護回路基板を被覆するキャップが装着され、
当該キャップの裾部分が、前記1対の側壁を挟み込んでいることを特徴とする請求項4記載のパック電池。
【請求項6】
前記電池の一端面、前記基板ホルダ及び前記保護回路基板は、
長尺状であって、
前記1対の並行する側壁は、前記基板ホルダの底板の両側辺に沿って伸長していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載のパック電池。
【請求項7】
前記電池の一端面上には第2電極が設けられ、
当該第2電極には、前記保護回路基板に接続された第3リード板が接合され、
前記基板ホルダ、前記感熱素子及び前記保護回路基板を被覆するキャップが装着され、
前記第3リード板における前記第2電極に接合されている側の端部が、前記一端面から起立するように折曲され、
前記キャップは、当該第3リード板の端部も被覆していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載のパック電池。
【請求項8】
前記第1電極は、前記電池の一端面から突出し、
前記基板ホルダの底板には、当該第1電極が貫通する貫通孔が形成され、
前記貫通孔を貫通する第1電極の頂面に前記第1リード板が接合されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載のパック電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−4331(P2013−4331A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134784(P2011−134784)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】