説明

パッケージの個別切り出し装置

【課題】パッケージを確実に切り出し一個ずつカップ内に投入する個別切り出し装置を提供する。
【解決手段】ドラム回転駆動部13を介して回転駆動される吸着回転ドラム14と、回転ドラムの円筒内周面に沿って仕切られパッケージを個別に収納するパッケージ収納部14bと、回転ドラムの外周曲面14eを貫通して設けられパッケージ収納部に収納されたパッケージを吸着保持する貫通孔14cと、回転ドラムを所定角度範囲で覆うように回転ドラムの外周曲面に沿って対向して配置されパッケージ収納部内を吸引する吸着チャンバー15と、パッケージ収納部に配設され回転ドラムから落下するパッケージを排出する排出機構23と、を備え、回転ドラムの外周曲面に対向して配置される吸着チャンバーとの間隙18aを囲むように擦動部18を設けるとともに、吸着チャンバー内の圧力を測定する圧力センサ19を吸着チャンバーに設け、吸着チャンバーの吸引力を調整する吸引力調整部を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥野菜などの具材や調味料が入れられた小袋状のパッケージを、カップ麺などの製造過程で装入する際に、そのパッケージロットからパッケージを連続して個別に切り出して整列させるパッケージの個別切り出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、流通しているカップ麺などには主材となる麺の他に小袋などのパッケージに詰められた具材が入れられており、これらの一部はパッケージがランダムに詰められた箱の中から一個ずつ取り出して、カップ内に投入されている。このようなカップ麺などのカップ内にパッケージを投入する工程の自動化処理に関連して例えば、(a)搬送用コンベアの摩擦力と傾斜によりパッケージを分離させるようにした傾斜コンベア方式や、(b)遠心力によりワークを連続排出させる横型ドラム方式、(c)ボウルの振動によりワークの連続切り出しを行なうパーツフィーダ方式、(d)ワーク画像処理とロボットハンドリングによりパッケージを選り分けるビジョンシステムロボット方式などが知られている。
【0003】
さらに、パッケージやワーク部品の個別切り出し搬送技術などに関して例えば、特許文献1(特開平7−86376号公報)には、モータで駆動されるステンレスベルトによりワークとなるICを搬送し、センサが搬送中のICの通過を検出すると、制御回路が吸着ユニットの互いに所定のピッチで配列された複数の吸着ノズルを制御して、ステンレスベルト上のICを吸着保持する部品整列装置が提案されている。
特許文献2(特開平6−247535号公報)には、搬送コンベア上を1個ずつ搬送されてくるワーク部品を、第1,第2の振り分け手段を用いて搬送コンベアの幅方向に強制的に押し滑らせることによって、振り分け、最終的にワーク部品をコンベア幅方向に一列に並んだ状態で整列させる装置が提案されている。
また、特許文献3(実用新案登録第2603966号公報)には、パッケージとなる袋群を搬送コンベアと送りローラで挟み、両者の送り速度の差によって上層の袋を繰り出し、該袋の先端をストッパで止めて該袋を吸盤により持ち上げ、該袋の先端を移載チャックに受け渡す食品パッケージの個別切り出し装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−86376号公報
【特許文献2】特開平6−247535号公報
【特許文献3】実用新案登録第2603966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の個別切り出し方法をカップ麺などのカップへの投入に適用した場合には、特に、小袋が軽量でその形状が不安定であることや、小袋が透明樹脂を素材としているために画像処理などによる分別が困難となることなどの理由から、一個ずつ個別に、正確にかつ効率的にパッケージを切り出すことが難しく、自動化のための技術的課題となっている。
また、ロボットを適用する場合には、画像処理では、小袋が重なっている場合や透明な素材でできている場合は、個別に認識することが難しく、切り出し処理の信頼性が低くなるという問題点があった。
さらに、切り出し処理を高速化するためにはロボットが複数台が必要であることなどの設備上の制限が多いことから、コスト、メンテナンスの点で課題があった。
【0006】
特許文献1〜3の技術では、その作業工程が複雑で作業内容が多岐にわたることから、手間と時間が掛かることが避けられない上に、配分間違いの発生も多く、配分仕分け作業の効率化と共に仕分け精度を高めることが望まれていた。
特に、特許文献1の技術では、ステンレスベルト上のパッケージを検出するためのセンサを要し、吸着ノズルも個々に動作する必要があるため、制御系などを含む装置構成が複雑となる。
また、特許文献2や特許文献3の技術では、パッケージとなる部品に機械的な強制力を作用させて整列させるものであるためにパッケージが損傷しやすいことに加えて、ソフトで不定形の樹脂シートなどが適用されるパッケージ素材に対しては好ましいものではない。
【0007】
本発明は前記従来の課題を解決するためになされたもので、カップ麺などの製造工程において、ランダムに投入されるパッケージを一個ずつ個別に切り出して供給する処理に際して、高度なロボット制御技術等を用いることなく、高速対応できるパッケージの個別切り出し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明のパッケージの個別切り出し装置は、
供給機構から投入されるパッケージ群を個別に切り出して排出機構によって排出されるパッケージの個別切り出し装置であって、
ドラム回転駆動部を介して回転駆動される回転軸を有した吸着回転ドラムと、
前記吸着回転ドラムの円筒内周面に沿って仕切られたパッケージを個別に収納するパッケージ収納部と、
前記吸着回転ドラムの外周曲面を貫通して設けられ前記パッケージ収納部に収納されたパッケージを吸着保持するための貫通孔と、
前記吸着回転ドラムの外周曲面の一部を所定角度範囲で覆うように前記吸着回転ドラムの外周曲面に沿って対向して配置され前記パッケージ収納部内を吸引する吸着チャンバーと、
前記パッケージ収納部に配設され吸着されながら持ち上げられて前記吸着回転ドラムから落下する個別のパッケージを排出する排出機構と、
を備え、
前記吸着回転ドラムの外周曲面に対向して配置される吸着チャンバーとの間隙を囲むように擦動部を設けるとともに、
前記吸着チャンバー内の圧力を測定する圧力センサを吸着チャンバーに設け、
前記吸着チャンバーの吸引力を調整する吸引力調整部を設けていることを特徴とする。
(2)本発明は前記(1)のパッケージの個別切り出し装置において、
前記吸引力調整部は、吸着チャンバーに取り付けられ機械的弾性力によって前記吸着チャンバーの吸引力を調整する圧力制御弁であることを特徴とする。
(3)本発明は前記(1)のパッケージの個別切り出し装置において、
前記吸引力調整部は、前記圧力センサからの信号を受けて前記吸着チャンバーの吸引力を調整する圧力制御弁を開閉する制御部であることを特徴とする。
(4)本発明は前記(1)のパッケージの個別切り出し装置において、
前記吸引力調整部は、前記圧力センサからの信号を受けて前記チャンバー吸引吸着駆動部の吸引力を調整する制御部であることを特徴とする。
(5)本発明は前記(1)〜(4)のいずれかのパッケージの個別切り出し装置において、前記吸着回転ドラムから落下して前記排出機構によって排出されるパッケージの切り出し状態に応じて、前記ドラム回転駆動部を制御して、前記吸着回転ドラムの回転速度を回転制御部によって調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の、供給機構から投入されるパッケージ群を個別に切り出して排出機構によって排出されるパッケージの個別切り出し装置は、
ドラム回転駆動部を介して所定速度で回転駆動される回転軸を有した吸着回転ドラムと、
吸着回転ドラムの円筒内周面に沿って仕切られたパッケージを個別に収納するパッケージ収納部と、
吸着回転ドラムの外周曲面を貫通して設けられパッケージ収納部に収納されたパッケージを吸着保持するための貫通孔と、
吸着回転ドラムの外周曲面の一部を所定角度範囲で覆うように吸着回転ドラムの曲面に沿って対向して配置されパッケージ収納部内を吸引する吸着チャンバーと、
パッケージ収納部に配設され吸着されながら持ち上げられて吸着回転ドラムから落下する個別のパッケージを排出する排出機構と、を備え、
吸着回転ドラムの外周曲面に対向して配置される吸着チャンバーとの間隙を囲むように擦動部を設けるとともに、
吸着チャンバー内の圧力を測定する圧力センサを吸着チャンバーに設け、
吸着チャンバーの吸引力を調整する吸引力調整部を設けているので、
乾燥野菜などの具材や調味料が入れられた小袋状のパッケージを、カップ麺などの製造過程で装入する際に、そのパッケージロットからパッケージを連続して個別に切り出して整列させる処理に際して、高度なロボット技術等を用いることなく確実に処理できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1に係るパッケージの個別切り出し装置の斜視図である。
【図2】実施例1に係るパッケージの個別切り出し装置の正面図である。
【図3】実施例1に係るパッケージの個別切り出し装置の側面図である。
【図4】実施例1に係るパッケージの個別切り出し装置の平面図である。
【図5】実施例1に係るパッケージの個別切り出し装置の動作形態を示す説明図である。
【図6】実施例2に係るパッケージの個別切り出し装置の、吸着回転ドラムの外周曲面に対向して配置される吸着チャンバーとの間隙を囲むように設けられ擦動部を示す説明図である。
【図7】実施例2のパッケージの個別切り出し装置における制御部を介して制御される動作フローチャートである。
【図8】実施例3のパッケージの個別切り出し装置における制御部を介して制御される動作フローチャートである。
【図9】実施例4のパッケージの個別切り出し装置の制御を示す模式的説明図である。
【図10】実施例4のパッケージの個別切り出し装置における基本動作フローチャートである。
【図11】実施例4のパッケージの個別切り出し装置における排出制御処理のフローチャートである。
【図12】実施例4のパッケージの個別切り出し装置における補充処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態に係るパッケージの個別切り出し装置は、その全体が略直方体状に構成された本体フレームと、本体フレーム内に立設されたドラム支持体と、ドラム支持体によりその回転軸の両端側が支持されて電動モータなどのドラム回転駆動部を介して駆動される吸着回転ドラムと、吸着回転ドラムの外周曲面に沿って配置され吸引ブロアによってドラム内を排気するための吸着チャンバーと、吸着回転ドラムの外周曲面に対向して配置される吸着チャンバーとの間隙を囲むように設けられた擦動部と、吸着チャンバーに設けられ吸着チャンバー内の圧力を測定する圧力センサと、吸着チャンバーの吸引力を調整する吸引力調整部と、を備えて構成されている。
このような構成のパッケージの個別切り出し装置によって、不定形でばらつきのあるパッケージをハンドリングする際に、高度なロボット制御技術等を用いることなく、カップ麺などのカップに小袋状のパッケージを損傷させることなく個別に切り出すことができる。
【0012】
本実施形態のパッケージの個別切り出し装置は、具材や調味料等を収納した小袋状のパッケージを1個ずつ個別に分離(切り出し)する装置である。このような小袋状のパッケージは、例えば、カップ麺やその他調理品などの容器内に別途装入されているものである。
【0013】
このようなパッケージは、例えば、ポリエチレンやポリエステル、紙などのシートを素材として略偏平袋状などに形成され、この袋の中に所定量の乾燥野菜や肉類、調味料など、固体、液体、気体を充填保持する軟質で不定形状の包装体である。
【0014】
吸着回転ドラムは、その側面が開口された水車のような薄幅の円筒状を呈しており、例えば、そのドラム外径が約1m、ドラム外幅が11〜20cm程度に、金属や樹脂などで形成された回転体である。
この吸着回転ドラムは、その回転軸を中心に、電動モータなどの回転駆動部を介して、例えば、1〜40rpm程度の回転速度で駆動されるようになっている。
なお、回転軸は、パッケージの種類によっては、水平に対して30度程度まで傾けて回転させることもできる。
【0015】
パッケージ収納部は、吸着回転ドラムの円筒内周面に沿って仕切られた部分、例えば、仕切り片によって約150mm程度のピッチで仕切られたスペースをいう。
吸着回転ドラム内にランダムに投入されたパッケージは、供給当初において、隣接するパッケージ収納部を乗り越えた状態で多数個が蓄積されているが、吸着回転ドラムの回転に伴い、次第にパッケージ収納部に個別に吸着されて収納されるようになる。
なお、この際に吸着回転ドラム内のパッケージ量は、投光センサなどの残量検知センサによって蓄積されたパッケージの高さを測定して、最適な量の範囲内に制御するとともに、パッケージの量が減ったと判断した場合には、供給機構から、パッケージを自動供給する。
【0016】
貫通孔は、吸着回転ドラムのパッケージ収納部の外周曲面を貫通して設けられた多数の吸気孔(例えば、その直径は5mm程度)である。
貫通孔を通して吸着チャンバーによって吸引されたパッケージはパッケージ収納部内に吸着保持される。
【0017】
吸着チャンバーは、貫通孔に対向して吸着回転ドラムの外周曲面に沿って密着して配置される減圧用の箱体であって、吸引ブロアなどのチャンバー吸引駆動部に接続されてその内部が所定圧力の減圧状態に保持されるようになっており、吸着回転ドラムの回転中において、貫通孔を通してパッケージ収納部を吸引して、パッケージ収納部に収納されたパッケージが自重で落下する力に抗して吸着保持するようにしている。
また、吸着チャンバーは、吸着回転ドラムの外周曲面の一部を覆うように密着する位置を変更できるように吸着チャンバーの外部に設けられた回転軸を中心として、吸着回転ドラムの外周曲面回りに回転できるようになっている。
【0018】
排出機構は、吸着回転ドラムに投入されその周壁面に吸着されて持ち上げられ、吸着チャンバーによる吸着の有効範囲を外れたときに自重で筒状のシュート内に落下する個別のパッケージを、吸着回転ドラムの外部に排出させる機能を有したベルトコンベア等である。
なお、自重で落下させる代わりに、パッケージに圧縮空気を吹き付ける、パッケージを物理的な手段によって引っ掛ける、等の処理を行うことによっても、強制的にパッケージをシュート内に落下させることができる。
【0019】
擦動部は、吸着回転ドラムの外周曲面に対向して配置される吸着チャンバーとの間隙を囲むように設けられ、吸着チャンバーの吸引時に、吸着回転ドラムと吸着チャンバーとが密着することを防止し、吸着回転ドラムの回転抵抗を減らすようにした。
擦動部の材料としては、例えば、テフロン(登録商標)などの樹脂を素材とした摩擦抵抗の小さい材料を用いる。
圧力センサは、吸着チャンバーに設けられ吸着チャンバー内の圧力を測定する測定機器である。
吸引力調整部は、吸着チャンバーに取り付けられ吸着チャンバーの吸引力を調整する。
吸着チャンバーの吸着力を調整することにより、持ち上げられたパッケージが吸着力に抗して自重でシュート内に落下するように調整することができる。
また、吸引力調整部は、吸着チャンバーの圧力センサに接続して、コンピュータやシーケンサなどを含む制御機器であって、例えば、圧力センサからの信号を受信して吸引ブロアの吸引力などの調整を行い、
吸着チャンバー内の圧力を適正に維持するための制御プログラムなどを記憶保持させることも可能である。
【0020】
また、本実施形態に係るパッケージの個別切り出し装置は、吸引力調整部を圧力制御弁とすることによって、吸着チャンバーに取り付けられ圧力制御弁の開閉を、機械的弾性力によって吸着チャンバーの吸引力を調整することができる。
機械的弾性力とは、例えば、吸着チャンバーの圧力に抗して開閉するように圧力制御弁のバネの付勢力を調整することで吸着チャンバーの吸引力を調整することができる。
【0021】
また、本実施形態に係るパッケージの個別切り出し装置は、吸引力調整部を制御部とすることによって、制御部が圧力センサからの信号を受けて吸着チャンバーの吸引力を調整する圧力制御弁を開閉することで吸着チャンバーの吸引力を調整することができる。
【0022】
また、本実施形態に係るパッケージの個別切り出し装置は、吸引力調整部を制御部とすることによって、制御部が圧力センサからの信号を受けてチャンバー吸引吸着駆動部の吸引力を制御部により調整することで、吸着チャンバーの吸引力を調整することもできる。
【0023】
さらに、本実施形態に係るパッケージの個別切り出し装置は、回転制御部をドラム回転駆動部に接続して切り出し状態を制御することもできる。回転制御部には、吸着回転ドラムの回転速度などの仕分けパラメータを調整して、シュート内に落下して排出機構によって排出されるパッケージの切り出し状態を適正に維持するための制御プログラムなどを記憶保持させることができる。
これによって、吸着回転ドラムからシュート内に落下して排出機構によって排出されるパッケージの種類に応じて、吸着回転ドラムの回転速度を調整し、確実にパッケージを一個ずつ切り出すことができる。
【0024】
以上のような制御により、具材などの充填形態が不定形となる食品パッケージや、画像処理が困難となる透明な合成樹脂袋からなる食品パッケージなどにおける切り出し処理の自動化を容易にすることができる。
【実施例1】
【0025】
以下、本発明の実施例を添付図面を参照して説明する。
図1〜図4は、本発明の実施例1に係るパッケージの個別切り出し装置のそれぞれ斜視図、正面図、側面図、平面図であり、図5は、同パッケージの個別切り出し装置の動作形態を示す説明図である。図6は、同パッケージの個別切り出し装置の、吸着回転ドラムの外周曲面に対向して配置される吸着チャンバーとの間隙を囲むように設けられ擦動部を示す説明図である。
【0026】
本実施例に係るパッケージの個別切り出し装置10は、図示するように、その全体が略直方体状に構成された本体フレーム11と、本体フレーム11内に立設されたドラム支持体12と、ドラム支持体12によりその回転軸14aの両端側が支持されて電動モータなどのドラム回転駆動部13を介して駆動される吸着回転ドラム14と、吸着回転ドラム14の外周曲面の一部を所定角度範囲で覆うように吸着回転ドラムの曲面に沿って対向して配置され吸引ブロア17によってドラム内を排気するための吸着チャンバー15とを備え、吸着回転ドラム14の外周曲面14eに対向して配置される吸着チャンバー15との間隙18aを、吸着回転ドラム14の両側面から囲むように設けられた擦動部18と、吸着チャンバー15に設けられ吸着チャンバー内の圧力を測定する圧力センサ19と、吸着チャンバー15の吸引力を調整する制御部20と、を備えて構成されている。
【0027】
吸着回転ドラム14は、その円筒状内周面に、仕切り片14dによって仕切られたパッケージ収納部14bが16箇所設けられた直径約1mの円筒状のドラムであり、ドラム回転駆動部13を介して回転数約25rpmで駆動される。
【0028】
パッケージ収納部14bは、吸着回転ドラムの円筒内周面に沿ってピッチ間隔約約150mmで仕切り片14dによって仕切られた部分であり、その外周面には吸着回転ドラム14の外周曲面14eを貫通して吸着チャンバー15に連通させるための多数の貫通孔14cが設けられている。
貫通孔14cから吸引される負圧によって、吸着回転ドラム14内に投入されたパッケージPを、個別にパッケージ収納部14bに吸着保持するようにしている。
パッケージ収納部14b内に蓄積されたパッケージは、吸着回転ドラム14の回転によって余剰分が振り落とされるとともに、選択された1個のパッケージPが吸着され回転で持ち上げられ、回転の天井部付近で自重と吸着力とのバランスが崩れて、吸着回転ドラム14内に設けられた筒状のシュート16内に落下し、さらにシュート16の下方に設けられた排出用コンベアなどの排出機構23に載置されて搬送されて、吸着回転ドラム14から外部に排出される。
【0029】
吸着チャンバー15は、吸着回転ドラム14の外周曲面に沿ってその一部を外方から覆うように、吸着回転ドラム14に対向して配置された箱体であり、吸引ブロア17によって吸着回転ドラム14内を吸引するようになっている。なお、吸着回転ドラム14と吸着チャンバー15との間は、吸着回転ドラム14の摩擦を無くすために間隙18aを設けるとともに、この間隙18aを囲むように、擦動部18を吸着回転ドラム14の両側に設けている(図6参照)。
擦動部を構成する材料としては、回転駆動される吸着回転ドラム14と吸着チャンバー15との間での空気の漏れを極力少なくして十分な差圧を確保するために、両者の摺動部分にテフロン(登録商標)等の摩擦係数の低い材料を適用する。
また、吸着チャンバー15は、吸着回転ドラム14の外周曲面の対向する位置を変更できるように吸着チャンバー15の外部に設けられた回転軸(図示しない)を中心として、吸着回転ドラム14の外周曲面回りに角度θで回転できるようにすることもできる。
また、吸引力調整部を圧力制御弁19aとし、圧力制御弁19aの開閉を、機械的弾性力(バネの付勢力)の加減で吸着チャンバー15の吸引力を調整し、吸着回転ドラム14内で持ち上げられたパッケージPが吸着力に抗して自重でシュート内に落下するようにしている。
これによって、サイズ、質量、形状が種々異なるパッケージPに対して、吸着力とのバランスの調整をとることができ、吸着回転ドラム14のパッケージ収納部14bに収納されて持ち上げられたパッケージPを、シュート16に確実に落下させることができる。
【0030】
シュート16内に落下したパッケージPは、シュート16の下方に設けられている排出用コンベアなどの排出機構23によって整列されながら吸着回転ドラム14の外部に排出され、後工程(図示しない)で一個ずつカップ内に投入されるようになっている。
【0031】
本実施例のパッケージの個別切り出し装置を用いて、質量6gのパッケージPを回転数25rpmで回転する吸着回転ドラム14内に投入して、吸着チャンバー15の内外の差圧を13kPaとし、吸着チャンバー15の取り付け角度(θ)を水平線から0度としたところ(図2の実線の位置)、パッケージ収納部14bに配設された個々のパッケージPは、吸着回転ドラム14の外周曲面に吸着されながら天井部付近まで持ち上げられ、ほぼ全数がシュート16内に落下した。
【実施例2】
【0032】
実施例2のパッケージの個別切り出し装置は、その構成は実施例1の装置と同じであるが、吸着チャンバーの吸着力の調整方法において異なる。すなわち、吸引力調整部である制御部20は、吸着チャンバー15に設けられた圧力センサ19からの信号を受けて、吸着チャンバー15の吸引力を調整する吸引ブロア(チャンバー吸引駆動部)17を駆動させることにより、吸着チャンバー15の吸引力を調整している。
図7は、実施例2のパッケージの個別切り出し装置における制御部を介して制御される動作フローチャートである。
以下フローチャートを参照して、実施例2のパッケージの個別切り出し装置に適用される吸着チャンバーの吸着力を調整方法について説明する。
【0033】
パッケージの個別切り出し装置における吸着チャンバー15の吸着力の調整は、まず、吸引ブロア17の出力を増大しさらに吸着チャンバー15内を吸引して吸着チャンバー15の圧力を低下させる(S1)。
これに伴って、吸着チャンバー15内の圧力が低下し設定値以下になったかどうか判断し(S2)、設定値以下になった場合は、吸引ブロア17の出力を低下させる(吸引力が過剰なので弱める。S3)。
さらに、吸着チャンバー15の圧力センサ19の値が設定値以上になったかどうかの判断をし(S4)、設定値以上となった場合はS1に戻り吸引ブロア17の出力を増大させる(吸引力が不足なので強める。S4)。
【実施例3】
【0034】
実施例3のパッケージの個別切り出し装置は、その構成は実施例1の装置と同じであるが、吸着チャンバーの吸着力の調整方法において異なる。すなわち、吸引力調整部である制御部20は、吸着チャンバー15に設けられた圧力センサ19からの信号を受けて、吸着チャンバー15の吸引力を調整する圧力制御弁19aを開閉することにより、吸着チャンバー15の吸引力を調整している。
図8は、実施例3のパッケージの個別切り出し装置における制御部を介して制御される動作フローチャートである。
【0035】
吸着チャンバー15の吸着力の調整は、まず、吸引駆動部に連結した圧力制御弁19aを「開」の状態にして吸着チャンバー15内を吸引して吸着チャンバー15の圧力を低下させる(S1)。
これに伴って、吸着チャンバー15内の圧力が低下し設定値以下になったかどうか判断し(S2)、設定値以下になった場合は、圧力制御弁19aを「閉」の状態にする(S3)。
さらに、吸着チャンバー15の圧力センサ の値が設定値以上になったかどうかの判断をし(S4)、設定値以上となった場合はS1に戻り、圧力制御弁19aを「開」の状態にして吸着チャンバー15内を吸引して吸着チャンバー15の圧力を低下させる(S4)。
【実施例4】
【0036】
実施例4のパッケージの個別切り出し装置は、その構成は実施例1の装置と同じであるが、回転制御部を介して行うパッケージPの切り出し処理を行なうため制御動作において異なる。
すなわち、回転制御部21は、パッケージPの供給機構となる供給用コンベア22のモータ駆動部22aと、排出機構となる排出用コンベア23のモータ駆動部23aと、ドラム回転駆動部13と、吸着チャンバー15を排気するための吸引ブロア17などに連結されて、排出機構によるパッケージPの排出状況や供給機構への供給状況を監視する残量最適センサ22bや排出過剰センサ23bセンサなどから取得されるデータや仕分け制御プログラムなどに基づいて、それぞれの動作パラメータを制御するように調整している。
【0037】
図9は、実施例4のパッケージの個別切り出し装置の制御を示す模式的説明図である。図10は、実施例4のパッケージの個別切り出し装置における基本動作フローチャートである。図11は、実施例4のパッケージの個別切り出し装置における排出制御処理のフローチャートである。図12は、実施例4のパッケージの個別切り出し装置における補充処理のフローチャートである。
【0038】
図9に示すように、供給用コンベア22の上部に設けられた残量最適センサ22bや排出用コンベア23のパッケージ排出部側に設けられた排出過剰センサ23bは、例えば、CCDカメラや超音波モニタなどであって、回転制御部21はこれらセンサから送信された信号データに基づいて、その時点におけるパッケージ搬送状態の適否を判定する機能を有している。
なお、回転制御部21は、図示しない制御パネルに接続され、この制御パネルに設けられた停止ボタンの操作により駆動系を停止させるための外部停止信号が入力されるようになっている。
【0039】
図10は、実施例4のパッケージの個別切り出し装置における基本動作フローチャートである。
以下フローチャートを参照して、実施例4のパッケージの個別切り出し装置の個別切り出し方法について説明する。
パッケージの個別切り出し装置におけるパッケージの排出制御処理は、最初のステップS1においてドラム回転駆動部12を作動させる。
これに伴って、吸着チャンバー15によって吸着回転ドラム14へのパッケージの吸着状態が開始され、供給用コンベア22、排出用コンベア23が駆動される。
【0040】
次のステップS2では、パッケージPが排出用コンベア23の排出端から排出される。また、ステップS3では回転制御部21に接続する図示しない制御パネルなどから取得される外部停止信号がオン(ON)か否かを判定する。
ここで外部停止信号がオンである場合(YES)は停止処理を行なうためのステップS8に、オンでない場合(N0)はステップS4に移行する。
【0041】
ステップS3に続くステップS4では、排出過剰センサ23bから送信されるセンサ信号がオンか否かを判定して、オンの場合(YES)には次の排出制御処理のステップS5に移行し、オンでない場合(NO)にはこの排出制御処理をスキップして、ステップS6に進む。
【0042】
図11に示すように、このようなパッケージPの排出制御処理を行なうステップS5では、最初のステップS10において、排出用コンベア23を駆動させるモータ駆動部23aを停止して、その排出端からのパッケージPの排出を休止させる。
【0043】
次のステップS11では、排出過剰センサ23bから送信されるセンサ信号がオフ(OFF)か否かを判定して、オフの場合(YES)にはステップS22に移行し、オフでない場合(NO)にはステップS20に戻る。
ステップS11に続くステップS12では、排出用コンベア23aの作動を再開させるための制御信号が回転制御部21からモータ駆動部23に送信され、このサブルーチンが終了され、メインルーチンである図7の基本動作フローチャートのステップS5に復帰する。
【0044】
ステップS5及びステップS4に続くステップS6では、残量最適センサ22bから送信されるセンサ信号がオフか否かを判定して、オフの場合(YES)には次の補充処理のステップS7に移行し、オフでない場合(NO)にはこの補充処理をスキップして、外部止信号を有無を判定するステップS3に戻る。
【0045】
図12は、図10の基本動作フローチャートにおけるパッケージPの補充処理(ステップS7)のサブルーチンを示すフローチャートである。
図示するように、補充処理における最初のステップS20において、回転制御部21を介して供給用コンベア22のモータ駆動部22aを所定速度で駆動させる。
次のステップS21では、残量最適センサ22bから送信されるセンサ信号がオン(ON)か否かを判定して、オンの場合(YES)にはステップS22に移行し、オンでない場合(NO)にはステップS20に戻る。
ステップS21に続くステップS22では、供給用コンベア22の作動を停止させるための制御信号が回転制御部21からモータ駆動部22aに送信される。
こうして、補充処理のサブルーチンが終了され、メインルーチンである図10の基本動作フローチャートのステップS7に復帰する。
【0046】
前記基本動作フローチャートにおける外部停止信号を判定するステップS3に続くステップS8では、吸着回転ドラム14の回転が停止されるとともに、吸着チャンバー15を介したパッケージPの吸着が停止して、排出用コンベア23も停止される。こうして、パッケージの個別切り出し装置における基本動作を終了する。
【0047】
なお、回転制御部21は、制御部20と連携して圧力センサ19からの信号を得て、ドラム回転駆動部12を作動させ吸着回転ドラム14の回転数を制御させることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明のパッケージの個別切り出し装置は、パッケージ収納部に投入されたパッケージを吸着回転ドラム周壁面に吸着させて回転させて持ち上げシュート内へ落下させて排出機構によって排出させることで、パッケージ群の個別切り出しを行なうことができ、パッケージの個別切り出し作業を自動化できる。
また、本発明のパッケージの個別切り出し装置は、機械的要素が少ないのでパッケージの噛み込みなどのトラブルが発生することが無く、メンテナンスが容易であり、簡易な装置構成とすることができる。
このため、装置全体が小規模となり比較的狭いスペースに収めることができるので、食品分野をはじめとして種々の産業分野において利用可能性が極めて大きい。
【符号の説明】
【0049】
10 パッケージの個別切り出し装置
11 本体フレーム
12 ドラム支持体
13 ドラム回転駆動部
14 吸着回転ドラム
14a 回転軸
14b パッケージ収納部
14c 貫通孔
14d 仕切り片
14e 吸着回転ドラムの外周曲面
15 吸着チャンバー
16 シュート
17 吸引ブロア(チャンバー吸引駆動部)
18 擦動部
18a 間隙
19 圧力センサ
19a 圧力制御弁(吸引力調整部)
20 制御部(吸引力調整部)
21 回転制御部
22 供給用コンベア(供給機構)
22a モータ駆動部
22b 残量最適センサ
23 排出用コンベア(排出機構)
23a モータ駆動部
23b 排出過剰センサ
P パッケージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給機構から投入されるパッケージ群を個別に切り出して排出機構によって排出されるパッケージの個別切り出し装置であって、
ドラム回転駆動部を介して回転駆動される回転軸を有した吸着回転ドラムと、
前記吸着回転ドラムの円筒内周面に沿って仕切られたパッケージを個別に収納するパッケージ収納部と、
前記吸着回転ドラムの外周曲面を貫通して設けられ前記パッケージ収納部に収納されたパッケージを吸着保持するための貫通孔と、
前記吸着回転ドラムの外周曲面の一部を所定角度範囲で覆うように前記吸着回転ドラムの外周曲面に沿って対向して配置され前記パッケージ収納部内を吸引する吸着チャンバーと、
前記パッケージ収納部に配設され吸着されながら持ち上げられて前記吸着回転ドラムから落下する個別のパッケージを排出する排出機構と、
を備え、
前記吸着回転ドラムの外周曲面に対向して配置される吸着チャンバーとの間隙を囲むように擦動部を設けるとともに、
前記吸着チャンバー内の圧力を測定する圧力センサを吸着チャンバーに設け、
前記吸着チャンバーの吸引力を調整する吸引力調整部を設けていることを特徴とするパッケージの個別切り出し装置。
【請求項2】
前記吸引力調整部は、吸着チャンバーに取り付けられ機械的弾性力によって前記吸着チャンバーの吸引力を調整する圧力制御弁であることを特徴とする請求項1に記載のパッケージの個別切り出し装置。
【請求項3】
前記吸引力調整部は、前記圧力センサからの信号を受けて前記吸着チャンバーの吸引力を調整する圧力制御弁を開閉する制御部であることを特徴とする請求項1に記載のパッケージの個別切り出し装置。
【請求項4】
前記吸引力調整部は、前記圧力センサからの信号を受けて前記チャンバー吸引吸着駆動部の吸引力を調整する制御部であることを特徴とする請求項1に記載のパッケージの個別切り出し装置。
【請求項5】
前記吸着回転ドラムから落下して前記排出機構によって排出されるパッケージの切り出し状態に応じて、前記ドラム回転駆動部を制御して、前記吸着回転ドラムの回転速度を前記制御部によって調整することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のパッケージの個別切り出し装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図1】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−235973(P2011−235973A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106101(P2010−106101)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(502126998)株式会社メカワールド (6)
【Fターム(参考)】