説明

パッケージ装置及びゴミ箱

女性用の衛生用品や紙おむつなどを自動的に連続密封し、不特定多数の利用するホテルのトイレや公衆トイレなどに設置する。ゴミが投入されるとモータ(70)によりフィルム引き出しローラ(50),(60)が回転し、フィルムローラ供給ローラ(30),(40)からフィルム(31),(41)が引き出される、ゴミは、フィルム引き出しローラ(50),(60)間を通過することにより、2枚のフィルム(31),(41)間に密封される。従って、ゴミを自動的に密封でき、また、清潔感が維持されるため、不特定多数の利用するホテルのトイレや公衆トイレなどに設置するのに適する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、パッケージ装置及び該パッケージ装置を用いたゴミ箱の技術に関する。
【背景技術】
例えば、非特許文献1に掲載されているゴミ箱は、筒状の袋がゴミ箱内のカセットに保持されており、ヒータの配設位置よりも下方まで手でゴミを押し込み、ゴミ箱の外側に設置されたレバーを手動操作して、ヒータの熱により溶断し、紙おむつや衛生用品などのゴミを1つずつ分断して密封する機構である。かかるゴミ箱によれば、各ゴミが1つずつ密封されるため、臭いの漏れが少なく、ゴミ箱内のゴミを最終的に処分する際にも衛生的であるという利点を有する。
【非特許文献1】http://www.greenlife−web.co.jp 株式会社グリーンライフ、ホームページ、「電気式臭い密封ゴミ箱」
【特許文献1】特開2000−247401号公報
【特許文献2】実用新案登録第2586224号公報
【特許文献3】実用新案登録第2586215号公報
【特許文献4】特許第2543562号公報
【特許文献5】特許第3287929号公報
【特許文献6】実開平3−9302号公報
しかし、非特許文献1に記載のゴミ箱においては、次のような問題点がある。まず、ゴミを袋に密封する際、ヒータの配設位置よりも下方まで手でゴミを押し込む必要があり面倒である。しかも、手で押し込んだ後、ゴミ箱の外側に設置されたレバーを操作し、1つずつ手作業によりパッケージを行う必要があり、多くの手間を要する。当然、ゴミの量が増大すれば、その分作業量も増えていくことになり、決して効率的とはいえない。
また、自宅で使用する場合には、上記のようなゴミの押し込み作業や手動によるレバー操作も衛生上気にならないが、ホテルのトイレや駅などの公衆トイレ等に設置した場合には、利用者が不潔感を感じ、このような作業を行わない可能性が高い。従って、上記したゴミ箱は不特定多数の人が利用する公衆トイレなどには不向きである。
また、特許文献1〜5では、予め筒状に成形されたフィルムを用い、隣接するゴミ間に位置するフィルム部分を捻って各ゴミを密封していく技術が開示されている。しかしながら、これらも、非特許文献1のものと同様に、ゴミを1つずつ押し込んでいく必要があり、手間がかかる。
これに対し、特許文献6には、対向配置したフィルム供給ローラから供給されるフィルム間にゴミを収容し、操作棒を用いて、ゴミの前後位置を密着させる汚物入れが開示されている。しかしながら、特許文献6に開示されたものは、フィルムの側縁を密着させる手段については何ら開示されていない。特許文献6に開示された2本の操作棒では、対向配置された2枚のフィルムの側縁を、ゴミを挟んだ状態で密着させることは不可能である。この種のゴミ箱は臭気の漏れを防止するために、フィルムによって密封しているのであるが、特許文献6のものでは、臭気の漏れ防止を図ることはできない。
さらに、非特許文献1、特許文献1〜5のいずれも、ゴミの周囲に位置するフィルム部分を密着させてゴミを封入するだけであり、ゴミとフィルムとの間に空気が入り込んだまま、ゴミ収容部に収容されていく構成である。空気が入り込んだ状態では、ゴミ収容部に収容されるゴミの分量がその分減り、ゴミ収容量の効率性の点で問題があり、メンテナンス頻度も多くなる。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、女性用の衛生用品や紙おむつなどを密封して処分することができると共に、これらを自動的に連続密封でき、しかも、フィルムを処理対象物の表面に密着させる脱気機能を備え、フィルムで密封しているにも拘わらず、フィルムで密封処理しない場合と比較して、処理対象物の収容量を減少させることがなく、特に、不特定多数の利用するホテルのトイレや公園や駅等の公衆トイレなどに設置するのに適するパッケージ装置及び該パッケージ装置を用いたゴミ箱を提供することを課題とする。
【発明の開示】
上記課題を解決するため、請求項1記載の本発明では、所定間隔離間して回転可能に並列配置された2本のフィルム供給ローラを具備したパッケージ装置であって、
回転することにより前記各フィルム供給ローラからフィルムを引き出し、常態において、引き出された各フィルムを介して周面が接するように並列配置される2本のフィルム引き出しローラと、
前記各フィルム引き出しローラを回転させる駆動部と
を具備し、
前記各フィルム供給ローラ間で処理対象物を受け入れ、前記駆動部により各フィルム引き出しローラを回転させ、各フィルム引き出しローラ間を処理対象物が通過することにより、該処理対象物を各フィルム間に封入可能であると共に、
前記各フィルム引き出しローラの少なくとも一方が、各フィルム引き出しローラ間を処理対象物が通過する際に該処理対象物により弾性変形する周面を備え、前記各フィルムを処理対象物の表面に沿って密着させながら封入可能であることを特徴とするパッケージ装置を提供する。
請求項2記載の本発明では、前記各フィルム引き出しローラ間を処理対象物が通過すると、該処理対象物の両側に位置する各側縁と、該処理対象物を挟んだフィルムの進行方向前後位置とが密着される構成であることを特徴とする請求項1記載のパッケージ装置を提供する。
請求項3記載の本発明では、前記駆動部が各フィルム引き出しローラのそれぞれに対応して設けられ、各駆動部により、共に回転駆動する構成であることを特徴とする請求項1又は2記載のパッケージ装置を提供する。
請求項4記載の本発明では、前記処理対象物の通過に伴って弾性変形する周面を備えた少なくとも一方の前記フィルム引き出しローラが、回転軸に支持されたスポンジ又はゴ厶を備えてなることを特徴とする請求項1記載のパッケージ装置を提供する。
請求項5記載の本発明では、前記各フィルム引き出しローラが、弾性部材により常態において互いに接近方向に付勢されており、フィルム引き出しローラを離間させる方向に所定以上の負荷が働いた場合には、少なくとも一方のフィルム引き出しローラが離間する構成であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載のパッケージ装置を提供する。
請求項6記載の本発明では、少なくとも一方の前記フィルム供給ローラに巻回されたフィルムは、少なくとも側縁に粘着層が形成された粘着フィルムであることを特徴とする請求項1記載のパッケージ装置を提供する。
請求項7記載の本発明では、前記各フィルム供給ローラに巻回されたフィルムが、前記各フィルム引き出しローラ間を通過することにより静電気作用により密着するプラスチックフィルムであることを特徴とする請求項1又は6記載のパッケージ装置を提供する。
請求項8記載の本発明では、前記一方のフィルム引き出しローラの長手方向両端部の周面に、フィルム引き出しローラ間を通過するフィルム同士を溶着させるヒータ部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のパッケージ装置を提供する。
請求項9記載の本発明では、さらに、前記フィルム引き出しローラの長手方向に沿って、長手方向両端部の周面に形成されたヒータ部間を連通する直線状のヒータ部が形成されていることを特徴とする請求項8記載のパッケージ装置を提供する。
請求項10記載の本発明では、処理対象物が、前記各フィルム供給ローラと前記各フィルム引き出しローラとの間でそれぞれ引き出されたフィルム間に位置するか否かを検知する検知手段を備え、該検知手段により処理対象物を検知した場合に、前記フィルム引き出しローラを回転させる駆動部に駆動信号を出力する構成であることを特徴とする請求項1記載のパッケージ装置を提供する。
請求項11記載の本発明では、ゴミ収容部の上部に配置され、前記処理対象物となるゴミを前記各フィルム引き出しローラ間を通過させることにより、各フィルム間に封入してゴミ収容部に収容可能であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1に記載のパッケージ装置を提供する。
請求項12記載の本発明では、ゴミを収容するゴミ収容部とを備えたゴミ箱において、
前記ゴミ収容部の上部に、請求項1〜10のいずれか1に記載のパッケージ装置を配設し、パッケージ装置に設けた投入口から投入される処理対象物となるゴミを、前記各フィルム間に封入してゴミ収容部に収容可能であることを特徴とするゴミ箱を提供する。
請求項13記載の本発明では、前記ゴミ収容部におけるフィルム供給ローラの長手方向に沿った幅が、該フィルム供給ローラから供給されるフィルムの幅と略同じであることを特徴とする請求項12記載のゴミ箱を提供する。
請求項14記載の本発明では、前記パッケージ装置とゴミ収容部とが複数設けられていることを特徴とする請求項12又は13記載のゴミ箱を提供する。
請求項15記載の本発明では、前記パッケージ装置に複数の投入口が設けられ、各投入口ごとに、前記各フィルム供給ローラ及び前記各フィルム引き出しローラが設けられていることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1に記載のゴミ箱を提供する。
【発明の効果】
本発明によれば、フィルム引き出しローラの回転により、2つのフィルム供給ローラから2枚のフィルムを引き出し、該2枚のフィルム間に処理対象物を密封する構成である。従って、処理対象物の密封を所定長のフィルムを利用して連続的に密封することができ、多数の処理対象物を密封するのに適している。しかも、少なくとも一方のフィルム引き出しローラの周面形状が処理対象物の通過時に弾性変形する。このため、2本のフィルム引き出しローラが、常態において、引き出された各フィルムを介して周面が接するように並列配置されているにも拘わらず、該2本のフィルム引き出しローラ間に処理対象物を通過させることでき、これにより、処理対象物の周囲を確実に密着させ、臭気の外部への漏れを防止できるため、本発明のパッケージ装置をゴミ箱に用いると好適である。特に、フィルム引き出しローラを回転駆動させるだけで、投入されたゴミを自動的に連続密封できるため、清潔感を維持でき、不特定多数の利用するホテルのトイレや公衆トイレなどに設置するのに適する。
また、処理対象物の通過時に少なくとも一方のフィルム引き出しローラが弾性変形することから、その弾性力によってフィルムを処理対象物の表面に押し付け、処理対象物を圧縮することもできるため、フィルム間の空気を脱気しながら密封でき、空気の混入を少なくし、嵩張りを小さくできる。このため、ゴミ収容部に収容された際に空気により収容量が減少することを防止できる。
また、各フィルム引き出しローラのいずれにも駆動部を連結し、いずれのローラも回転駆動させることによって処理対象物の引き込み力を増すことができ、より円滑な回転動作を確保できる。また、引き込み力が増すため、フィルムにより密封された新たな処理対象物が、ゴミ収容部内に既に収容されている処理対象物に押し付けられるようにして収容されていく。この結果、フィルムによって被覆されているにも拘わらず、ゴミ収容部の収容量が減少することはほとんどなく、むしろ、収容効率を増すことができる。
さらに、ゴミ収容部として、フィルム供給ローラの長手方向に沿った幅が、該フィルム供給ローラから供給されるフィルムの幅と略同じ、すなわち、同じかやや大きい程度で構成すると、ゴミ収容部内に、フィルムによって密封された処理対象物が折り畳まれるように収容されるため、ゴミ収容効率がより向上する。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の一の実施形態に係るパッケージ装置の構造を示す斜視図である。
図2は、本発明の一の実施形態に係るパッケージ装置の構造を示す側面図である。
図3は、本発明の一の実施形態に係るパッケージ装置を用いたゴミ箱を示す概略図である。
図4は、ヒータ付きのフィルム引き出しローラの構成を説明するための図である。
図5は、投入口を複数備えたゴミ箱を示す図である。
図6は、投入口を奥行き方向に設けた薄型のゴミ箱を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、図面に示した本発明の実施形態に基づき、本発明をさらに詳細に説明する。
図1は、本発明の一の実施形態に係るパッケージ装置10の構造を示す斜視図であり、図2はパッケージ装置10の側面図である。これらの図に示したように、本実施形態のパッケージ装置10は、枠部材20、フィルム供給ローラ30,40、フィルム引き出しローラ50,60及びモータ(駆動部)70を有して構成される。
枠部材20は、フィルム供給ローラ30,40及びフィルム引き出しローラ50,60を回転可能に軸支できるものであればよく、その構造及び形状は限定されるものではない。本実施形態では、図1に示したように、正面板部21、背面板部22及び対向する2つの側板部23,23を備えたものを用いており、対向する側板部23,23間に各ローラ30〜60を回転可能に掛け渡し配設している。また、図3に示すように、本実施形態のパッケージ装置10を、例えばゴミ箱に適用する場合には、下端開口部25をゴミ収容部100の上部に取り外し可能に装着し、該下端開口部25とゴミ収容部100の上端開口部101とが連通するように用いる。枠部材20の任意の位置、例えば、上面には、投入口24が形成されており、該投入口24から処理対象物としてのゴミが投入されると、上記下端開口部25を経て、ゴミ収容部100に収容される。なお、投入口24は、処理対象物を上記フィルム供給ローラ30,40間に送り込むことができるように設けられていればよく、その形成位置や構造は限定されるものではない。
フィルム供給ローラ30,40は、上記したように枠部材20の側板部23,23間に掛け渡されると共に、互いに所定間隔離間して並列に対向配置され、処理対象物であるゴミが、対向するフィルム供給ローラ30,40間を通過可能に設けられている。フィルム供給ローラ30,40は、両者間に投入される処理対象物を密封するためのフィルムを供給するものであり、所定長で所定幅のフィルム31,41が巻回されている。フィルム31,41の種類、材質は限定されるものではないが、処理対象物を挟み込むようにして密封するものであるため、対向するフィルム面同士が接合した際に密着する性質を有する必要がある。
例えば、プラスチックフィルムを用い、静電気作用により互いに密着させるようにしてもよいし、フィルム31,41のうちの少なくとも一方のフィルムとして、好ましくは両方のフィルムとして、少なくとも側縁に粘着層を形成したフィルム(粘着フィルム)を用いることもできる。このような粘着フィルムを用いることにより、フィルム31,41同士の密着性を高めることができる。本実施形態では、一方のフィルム31及び他方のフィルム41共に粘着フィルムを用いている。なお、粘着層は、上記のように、例えば、いずれかのフィルム31,41の少なくとも側縁に設けることにより、両者間に処理対象物を密封することができるが、フィルム31,41の引き出し方向(進行方向)に所定間隔ごとに、幅方向に沿ってライン状に設けることも可能である。これにより、処理対象物を挟んだフィルム31,41の引き出し方向(進行方向)前後位置も密着させることができ、処理対象物ごとにより確実に密封することができる。但し、処理対象物の大きさに拘わらず、処理対象物の表面にさらに確実に密着できる点で、フィルム31,41の少なくとも一方の対向面、好ましくは両方の対向面の全面に粘着層を形成することがより好ましい。
フィルム引き出しローラ50,60は、上記枠部材20の側板部23間であって、フィルム供給ローラ30,40に対し、フィルム31,41を引き出したい方向に離間して略平行に、すなわち、本実施形態では、フィルム供給ローラ30,40の下方に離間して略平行に掛け渡される。フィルム引き出しローラ50,60同士は、両者間を通過するフィルム31,41を介して互いの周面が接するように並列に対向配置されている。フィルム引き出しローラ50,60は、両者間にフィルム31,41を挟み込み、互いに内向きに、すなわち、図2の側面図において一方のフィルム引き出しローラ50が反時計方向に、他方のフィルム引き出しローラ60が時計方向に回転することにより、フィルム31,41をフィルム供給ローラ30,40から引き出し、フィルム31,41同士を密着させるものである。
フィルム引き出しローラ50,60はかかる機能を果たすものであればよい。但し、フィルム引き出しローラ50,60は、上記のように常態において周面を近接させて配置されるものであるため、両者間を通過する処理対象物の厚みを吸収する必要がある。従って、フィルム引き出しローラ50,60のうちの少なくとも一方は、周面形状が処理対象物の通過に伴って弾性変形するものを用いる必要がある。本実施形態では、フィルム引き出しローラ50,60のいずれも、回転軸51,61の周囲にスポンジから形成された円筒部材52,62を装着して形成している。なお、円筒部材52,62としては、スポンジに限らず、ゴムを用いることもできる。このように円筒部材52,62は、ゴミ等の処理対象物の通過に伴って弾性変形するため、ゴミ等の表面形状にフィットする。従って、ゴミ等を圧縮して嵩張りを小さくできると共に、フィルム31,41間に残る空気量を少なくする脱気作用を伴うため、ゴミ収容部100内での収容効率を向上させることができる。
フィルム引き出しローラ50,60の少なくとも一方の端部間には、弾性部材としてのバネ(図示せず)が掛け渡されており、両者を常態において接近方向に付勢している。これにより、フィルム引き出しローラ50,60を離間させる方向に所定以上の負荷が働いた場合、例えば、基準以上の体積のゴミが投入された場合や人為的に大きな力が加わった場合などには、両者が離間するため、モータ70への過負荷を防止し、故障を低減することができる。
モータ70は、枠部材20内の正面板部21と他方のフィルム引き出しローラ60との隙間に配設されている。モータ70の出力軸、ギヤ等の回転出力部と他方のフィルム引き出しローラ60の回転軸61との間に駆動ベルト71を掛け回し、モータ70の動力が他方のフィルム引き出しローラ60に伝達される構成となっている。なお、モータ70の配設位置は限定されるものではなく、枠部材20内で空いているスペースに配置すればよい。また、モータ70の配設位置によっては、駆動ベルト71を介することなく、いずれかのフィルム引き出しローラ50,60にモータ70の回転出力部が直接連結する構成とすることもできる。モータ70の電源は任意であるが、本実施形態では、電池80を用いている。なお、モータ70を駆動させる電源として、コンセントから供給することも可能である。但し、電池80をモータ70の電源とすれば、パッケージ装置10の設置場所周辺にコンセントが無い場合にコードレスとして利用でき、また、持ち運びにも便利である。
また、図1においては、駆動部としてのモータ70を他方のフィル厶引き出しローラ60の回転軸61に連結しているのみであるが、図示しない他のモータを設け、一方のフィルム引き出しローラ50の回転軸51に連結することで、2本のフィルム引き出しローラ50,60を、2つのモータ(駆動部)によってそれぞれ内向き方向に回転駆動させる構成とすることが好ましい。これにより、フィルム31,41の引き込み力が強くなり、処理対象物をより確実にフィルム引き出しローラ50,60間に移送することができる。また、引き込み力が強くなるため、新たにフィルム31,41間に密封された処理対象物は、フィルム引き出しローラ50,60間から抜け出すと、既にゴミ収容部100内に収容されている処理対象物に押し付けられるようにして、ゴミ収容部100内に収容されていく。従って、ゴミ収容部100の収容効率をさらに向上させることができる。
モータ70の駆動スイッチは任意であるが、本実施形態では、側板部24に光センサなどの検知手段81を設けている。この検知手段81により、処理対象物であるゴミが、フィルム供給ローラ30,40間を通過し、フィルム31,41間に位置するか否かを検知する。検知手段81がゴミを検知するとモータ70に駆動信号を出力し、フィルム引き出しローラ50,60を回転させる。また、検知手段としては、フィルム引き出しローラ50,60上にゴミが載ったか否かを検知する重量センサを用いることも可能である。このように、光センサ等の検知手段81を用いると、ゴミを投入するだけで自動的に処理することができるが、押しボタン等のスイッチを付設して、該スイッチを操作してモータ70を駆動させる構成とすることもできる。
次に、本実施形態に係るパッケージ装置10の作用を説明する。パッケージ装置10は、例えば、枠部材20の下端開口部25を、図3に示したように、ゴミ収容部100の上端開口部101に連通するように装着し、ゴミ箱110として使用される。初期設定として、フィルム供給ローラ30,40の各フィルム31,41の各先端部をフィルム引き出しローラ50,60間に挟みこんでおく。
パッケージ装置10の投入口24からゴミが投入されると、光センサ等の検知手段81がゴミを検知し、モータ70へ駆動信号を出力する。モータ70は駆動信号を受信すると、回転を開始する。そして、モータ70の回転は駆動ベルト71から他方のフィルム引き出しローラ60へ伝達され、これに接している一方のフィルム引き出しローラ50と共に回転を開始する。
まず、各フィルム31,41の先端部同士は、2つのフィルム引き出しローラ50,60によって密着することにより、接合する。フィルム31,41は、フィルム引き出しローラ50,60間を通過することにより、側縁同士が接合していく。この間に、投入されたゴミがフィルム引き出しローラ50,60間を通過するが、通過時においては、フィルム引き出しローラ50,60の円筒部材52,62が、ゴミの形状に沿って弾性変形し、その厚みを吸収しながら押圧するため、脱気しつつゴミの周囲(表面)にフィルム31,41を密着させていく。フィルム引き出しローラ50,60が1回転もしくは所定回数回転し、ゴミがフィルム引き出しローラ50,60の下方に送り込まれると、再び、フィルム引き出しローラ50,60によってフィルム31,41同士が、例えば静電気作用により、あるいは粘着層により直接接合される。
この結果、ゴミは、フィルム31,41により密封された状態で収容部100内に収容されていく。再度、ゴミが投入された場合にも、上記した作用を繰り返し、次々に、ゴミを密封していく。従って、臭気の外部への漏れが防止される。この場合、フィルム31,41の先端部以外に、側縁のみを密着させるようにした場合であっても、フィルム引き出しローラ50,60同士が常態において接しているため、臭気の外部への漏れは少ない。但し、ゴミを挟んだ前後位置も密着させる構成とすることが好ましいことは上記したとおりである。なお、モータ70は、例えば、検知手段81によりゴミが検知されなくなってから所定時間経過した時点で停止するように設定される。このように、本実施形態によれば、任意の長さを備えたフィルム31,41を用いてこれらを引き出しながらゴミを密封していく構成であるため、ゴミを自動的に連続密封でき、不特定多数の利用するホテルのトイレや公衆トイレなどに設置するのに適する。
ゴミは各フィルム31,41が全て消費されるまで処理することができるが、ゴミ収容部100の収容量に応じて途中でフィルム31,41を切断し、廃棄することもできる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。上記した説明では、フィルム31,41同士を静電気作用又は粘着により密着させる場合を例示しているが、図4に示したように、いずれか一方のフィルム引き出しローラとして、ヒータ付きのフィルム引き出しローラ200を用い、フィルム31,41同士を溶着する構成とすることもできる。ヒータ付きのフィルム引き出しローラ200としては、例えば、長手方向両端に円盤状の端壁部211,212を備えた回転軸210と、該端壁部211,212間に装着される円筒部材220とを有し、端壁部211,212の周面にニクロム線などからなるヒータ部230,231を設けたものを用いることができる。これにより、例えば、一方のフィルム31の側縁がヒータ部230,231に接することにより、他方のフィルム41の側縁に溶着させることができる。
また、図4に示したように、長手方向の両端に形成したヒータ部230,231同士を連通し、円筒部材220に形成した切り欠き部221から外面に臨むように直線状のヒータ部232を設けることが好ましい。これにより、フィルム31,41を、該直線状のヒータ部232により幅方向に線状に溶着することができる。従って、かかる構造とした場合には、フィルム引き出しローラ200が1回転することにより、投入されたゴミを挟んだ進行方向の前後を溶着し、密封することができる。なお、図において、240,241はリング電極であり、該リング電極240,241を介して上記ヒータ部230,231,232に通電される。
また、円筒部材220として、スポンジやゴム等からなるものを用い、周面が弾性変形可能な構成とすることが好ましいことは上記と同様である。但し、ヒータ用の電源が不要であること、及びより安価に製作できることから、上記実施形態で説明したように、フィルム31,41同士を静電気作用又は粘着により密着させる構造とすることが好ましい。
また、図3に示した態様では、ゴミの投入口24を備えたパッケージ装置10とゴミ収容部100とを一つずつ用いているが、これらを複数ずつ用いることもできる。
また、ゴミ収容部100におけるフィルム供給ローラ30,40の長手方向に沿った幅を、該フィルム供給ローラ30,40から供給されるフィルム31,41の幅と略同じ、すなわち、同じかやや大きい程度で構成すると、ゴミ収容部100内に、フィルム31,41によって密封された処理対象物の側縁がゴミ収容部100の内壁に規制されながら収容されるため、収容方向がゴミ収容部100内で左右にずれることを抑制でき、連続的に折り畳まれるように収容できる。この結果、ゴミ収容効率がより向上する。
例えば、図5に示したように、ゴミ収容部100の横方向の幅を、処理対象物の幅の2倍以上とし、パッケージ装置10に並列的に2つの投入口24を設け、ゴミ収容部100内を2室に仕切る仕切壁(図示せず)を設け、各室の横方向の幅がフィルム31,41の幅と略同じに設定すると、フィルム31,41によって密封された処理対象物が左右にずれることを抑制し、収容方向が安定するため、連続的に折り畳まれるように収容され、収容効率が向上する。この場合、フィルム供給ローラ30,40、フィルム引き引き出しローラ50,60は、いずれも、パッケージ装置10の幅方向に沿って1本ずつ設ける一方で、フィルム供給ローラ30,40には、それらの長手方向に、各室に対応して2つずつのフィルム(ロール状のもの)を支持させた構成とすることもできる。但し、かかる構成とすると、一方の投入口24のみから処理対象物としてのゴミが投入された場合でも、他方の投入口24に対応するフィルムも引き出されてしまうため無駄が生じる。従って、図5のように投入口24を複数箇所設ける場合には、それぞれに対応して、フィルム供給ローラ30,40及びフィルム引き出しローラ50,60の機構を設け、ゴミが投入された投入口24に対応したローラ30,40,50,60のみが動作する構成とすることが好ましい。
また、図6に示したように、ゴミ収容部100を横方向の長さが長く、奥行き方向の長さがそれよりも短い薄型に形成すると共に、ゴミ投入口24を奥行き方向に長くなるように形成し、フィルム供給ローラ30,40及びフィルム引き出しローラ50,60の長手方向を奥行き方向に沿わせて配置する。また、ゴミ収容部100内の奥行き方向の長さは、フィルム供給ローラ30,40から供給されるフィルムの幅と略同じに設定する。これにより、ゴミ収容部100内に収容されるゴミは、ゴミ収容部100の奥行き方向に対峙する内壁に規制され、図6において想像線で示したように、ゴミ収容部100の横方向に沿った形態で連続的に折り畳まれ、効率よく収容できる。特に、ゴミとしてほぼ同種類のものが投入される場合、例えば、女性の生理用ナプキンなどが投入されるトイレの各ブース内に設置されるゴミ箱(汚物入れ)の場合には、投入されるゴミの大きさがほぼ決まっているため、このようにゴミ収容部100のサイズを限定することにより、薄型でありながら、ゴミの収容量を所定以上に維持でき、トイレブースなどのように、狭い設置空間に配置するのに適するゴミ箱を提供できる。
なお、上記した説明では、パッケージ装置10をゴミ箱に付設した例を示しており、本発明はゴミ箱に用いるのに適しているが、例えば、食品などを自動密封するために使用することも可能である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔離間して回転可能に並列配置された2本のフィルム供給ローラを具備したパッケージ装置であって、
回転することにより前記各フィルム供給ローラからフィルムを引き出し、常態において、引き出された各フィルムを介して周面が接するように並列配置される2本のフィルム引き出しローラと、
前記各フィルム引き出しローラを回転させる駆動部と
を具備し、
前記各フィルム供給ローラ間で処理対象物を受け入れ、前記駆動部により各フィルム引き出しローラを回転させ、各フィルム引き出しローラ間を処理対象物が通過することにより、該処理対象物を各フィルム間に封入可能であると共に、
前記各フィルム引き出しローラの少なくとも一方が、各フィルム引き出しローラ間を処理対象物が通過する際に該処理対象物により弾性変形する周面を備え、前記各フィルムを処理対象物の表面に沿って密着させながら封入可能であることを特徴とするパッケージ装置。
【請求項2】
前記各フィルム引き出しローラ間を処理対象物が通過すると、該処理対象物の両側に位置する各側縁と、該処理対象物を挟んだフィルムの進行方向前後位置とが密着される構成であることを特徴とする請求項1記載のパッケージ装置。
【請求項3】
前記駆動部が各フィルム引き出しローラのそれぞれに対応して設けられ、各駆動部により、共に回転駆動する構成であることを特徴とする請求項1又は2記載のパッケージ装置。
【請求項4】
前記処理対象物の通過に伴って弾性変形する周面を備えた少なくとも一方の前記フィルム引き出しローラが、回転軸に支持されたスポンジ又はゴムを備えてなることを特徴とする請求項1記載のパッケージ装置。
【請求項5】
前記各フィルム引き出しローラが、弾性部材により常態において互いに接近方向に付勢されており、フィルム引き出しローラを離間させる方向に所定以上の負荷が働いた場合には、少なくとも一方のフィルム引き出しローラが離間する構成であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載のパッケージ装置。
【請求項6】
少なくとも一方の前記フィルム供給ローラに巻回されたフィルムは、少なくとも側縁に粘着層が形成された粘着フィルムであることを特徴とする請求項1記載のパッケージ装置。
【請求項7】
前記各フィルム供給ローラに巻回されたフィルムが、前記各フィルム引き出しローラ間を通過することにより静電気作用により密着するプラスチックフィルムであることを特徴とする請求項1又は6記載のパッケージ装置。
【請求項8】
前記一方のフィルム引き出しローラの長手方向両端部の周面に、フィルム引き出しローラ間を通過するフィルム同士を溶着させるヒータ部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のパッケージ装置。
【請求項9】
さらに、前記フィルム引き出しローラの長手方向に沿って、長手方向両端部の周面に形成されたヒータ部間を連通する直線状のヒータ部が形成されていることを特徴とする請求項8記載のパッケージ装置。
【請求項10】
処理対象物が、前記各フィルム供給ローラと前記各フィルム引き出しローラとの間でそれぞれ引き出されたフィルム間に位置するか否かを検知する検知手段を備え、該検知手段により処理対象物を検知した場合に、前記フィルム引き出しローラを回転させる駆動部に駆動信号を出力する構成であることを特徴とする請求項1記載のパッケージ装置。
【請求項11】
ゴミ収容部の上部に配置され、前記処理対象物となるゴミを前記各フィルム引き出しローラ間を通過させることにより、各フィルム間に封入してゴミ収容部に収容可能であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1に記載のパッケージ装置。
【請求項12】
ゴミを収容するゴミ収容部とを備えたゴミ箱において、
前記ゴミ収容部の上部に、請求項1〜10のいずれか1に記載のパッケージ装置を配設し、パッケージ装置に設けた投入口から投入される処理対象物となるゴミを、前記各フィルム間に封入してゴミ収容部に収容可能であることを特徴とするゴミ箱。
【請求項13】
前記ゴミ収容部におけるフィルム供給ローラの長手方向に沿った幅が、該フィルム供給ローラから供給されるフィルムの幅と略同じであることを特徴とする請求項12記載のゴミ箱。
【請求項14】
前記パッケージ装置とゴミ収容部とが複数設けられていることを特徴とする請求項12又は13記載のゴミ箱。
【請求項15】
前記パッケージ装置に複数の投入口が設けられ、各投入口ごとに、前記各フィルム供給ローラ及び前記各フィルム引き出しローラが設けられていることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1に記載のゴミ箱。

【国際公開番号】WO2005/037684
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【発行日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514851(P2005−514851)
【国際出願番号】PCT/JP2004/015560
【国際出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(591047970)共立製薬株式会社 (20)
【Fターム(参考)】