パネルラジエータ
【課題】軽量であり、かつインテリアとしての使用が可能であり、また暖房器具又は照明器具としても使用しうる性能及び安全性に優れた、従来にないパネルラジエータを提供する。
【解決手段】パネルラジエータ3は、上下方向に設置される枠状のフレーム4と、該フレーム4の上部に設置された上部ヘッダー5と、該フレーム4の下部を構成している下部ヘッダー6と、該上部ヘッダー5と下部ヘッダー6との間に架設された透明又は半透明の合成樹脂製の複数の放熱管7と、該放熱管7が挿通された透明又は半透明のスルーパネル20と、スルーパネル20の側端面に沿って延在する照明器具9とを備えている。照明器具9からの光がスルーパネル20を透過して放散される。
【解決手段】パネルラジエータ3は、上下方向に設置される枠状のフレーム4と、該フレーム4の上部に設置された上部ヘッダー5と、該フレーム4の下部を構成している下部ヘッダー6と、該上部ヘッダー5と下部ヘッダー6との間に架設された透明又は半透明の合成樹脂製の複数の放熱管7と、該放熱管7が挿通された透明又は半透明のスルーパネル20と、スルーパネル20の側端面に沿って延在する照明器具9とを備えている。照明器具9からの光がスルーパネル20を透過して放散される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁暖房用のパネルラジエータに係り、特に照明機能を有したパネルラジエータに関する。
【背景技術】
【0002】
室内に据え置くパネルラジエーターは、従来、金属製であり、暖房運転時には、表面温度が80℃近くになるため、危険であった。また、外観上の制約により、カバー等により内部のパイプ等を隠蔽する必要があった、それでも美観上、十分なものがデザインできる構造とはなっていなかった。また、タオルウオーマー等の浴室に設置する暖房器具の場合も同様に金属製であり、しかもパイプがむき出しとなるため、パイプを着色したとしても、やはり外観上、十分なものがデザインできる構造とはなっていなかった。また、かかる構成は、パイプによるタオルへの加熱を目的とするのみであり、主暖房として使用できる構成としては不十分であった。また、樹脂製のパネルが実用化されているが、軽量化ができるとの利点があるものの、デザイン性については、金属製と同様、十分なものが提案されるに至っていない。
【0003】
壁暖房用のパネルラジエータとして、上部横パイプと下部横パイプとの間に多数の放熱用の合成樹脂製縦パイプを架設したものが、特開2009−222297号公報に記載されている。同号公報のパネルラジエータでは、横パイプの両端がパネルラジエータ(同号公報では放熱器)の側枠に固定されている。同号公報には、放熱用縦パイプを2色押出成形し、その表層を顔料入りの着色層とすることが記載されている(0020,0030段落)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−222297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、軽量であり、かつインテリアとしての使用が可能であり、また暖房器具又は照明器具としても使用しうる性能及び安全性に優れた、従来にないパネルラジエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1のパネルラジエータは、上下方向に設置される枠状のフレームと、該フレームの上部に設置されるか又は該フレームの上部を構成している上部ヘッダーと、該フレームの下部に設置されるか又は該フレームの下部を構成している下部ヘッダーと、該上部ヘッダーと下部ヘッダーとの間に架設された透明又は半透明の合成樹脂製の複数の放熱管とを有するパネルラジエータにおいて、該放熱管が挿通された挿通孔を有し、該上部ヘッダーと下部ヘッダーとの間に配置され、該フレームに支持された透明又は半透明のスルーパネルが設けられており、該スルーパネルの側端面の少なくとも一部に照明手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2のパネルラジエータは、請求項1において、前記スルーパネルの上端部から上部ヘッダーまでを覆う上部カバーと、前記スルーパネルの下端部から下部ヘッダーまでを覆う下部カバーとを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項3のパネルラジエータは、請求項1又は2において、前記フレームの縦材は、長手方向に延在した溝部を有しており、前記スルーパネルの側辺部が該溝部に係合しており、前記照明手段は該溝部内に配置されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4のパネルラジエータは、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記照明手段は、前記スルーパネルの側端面に沿って延在していることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5のパネルラジエータは、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記照明手段の光源はLEDであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のパネルラジエータは、透明又は半透明のスルーパネルを有し、このスルーパネルの挿通孔内に透明又は半透明の放熱管が挿通され、かつスルーパネルの側端面の少なくとも一部に照明手段が設けられている。この照明手段からの光が放熱管やスルーパネルで散乱されて該スルーパネルを透過することにより、照明が行われる。放熱管やスルーパネルが半透明など光拡散性を有している場合には、照明は昼灯調となり、独得の美観が得られる。
【0012】
本発明では、各放熱管がスルーパネル内に配置されているので、放熱管に直に汚れが付着せず、清掃が容易である。また、このスルーパネルが透明又は半透明であるので、放熱管から輻射される赤外線及び遠赤外線の透過率が高くなり、暖房効率が向上する。
【0013】
このパネルラジエータは、壁に沿った位置だけでなく、壁から離隔した位置に間仕切り状に設置することもできる。パネルラジエータを間仕切り状に設置した場合には、パネルラジエータユニットの両側の部屋を暖房することができる。
【0014】
照明手段をフレームの溝部内に配置した場合には、照明手段に外部から物体が当って損傷することが防止される。照明手段をスルーパネルの側端面に沿って延在させることにより、パネルラジエータの発光エリアが広くなる。照明手段の光源としてLEDを用いることにより、高輝度の照明が可能になると共に、消費電力を節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】カバーを装着した状態のパネルラジエータ及びその設置構造を示す斜視図である。
【図2】カバーを取り外した状態におけるパネルラジエータ及びその設置構造を示す斜視図である。
【図3】温水通水停止時における、カバーを取り外した状態のパネルラジエータの構成を示す、下方から見上げた状態の斜視図である。
【図4】温水通水時における、カバーを取り外した状態のパネルラジエータの構成を示す、下方から見上げた状態の斜視図である。
【図5】(a)図は縦材の水平断面図、(b)図は縦材の斜視図である。
【図6】(a)図は図1のVI−VI線に沿う断面図、(b)図はスルーパネルの断面図、(c)図は(b)図の一部拡大図、(d)図は別の実施の形態を示す(c)図と同一部分の断面図である。
【図7】図3のVII−VII線断面図である。
【図8】下部ヘッダーと縦材との取り付け方法を示す分解斜視図である。
【図9】(a)図は、縦材とアジャスターボルトとの係合関係を示す斜視図、(b)図は同縦断面図である。
【図10】(a)図はカバーの斜視図、(b)図はカバーの平面図である。
【図11】図10のXI−XI線断面図である。
【図12】図10のXII−XII線断面図である。
【図13】カバーの分解斜視図である。
【図14】サイドカバーの斜視図である。
【図15】パネルカバーの斜視図である。
【図16】(a)図はカバーの組み付け状況を示す水平断面図、(b)図は図1のXVI−XVI線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0017】
第1図の通り、床1と天井2との間にパネルラジエータ3が立設されている。このパネルラジエータ3は、第2図〜第4図に示される通り、長方形枠状のフレーム4と、該フレーム4の上部に設置された上部ヘッダー5と、フレーム4の下部に設置された下部ヘッダー6と、該上部ヘッダー5と下部ヘッダー6との間に架設された放熱管7と、フレーム4の上部及び下部から突設されたアジャスターボルト8と、上部ヘッダー5をフレーム4の上部アングル4Bに吊支しているバネ(この実施の形態ではコイルバネ)10と、放熱管7が挿通された透明又は半透明のスルーパネル20と、スルーパネル20の両側端面に沿って配置された照明器具9等を備えている。
【0018】
放熱管7は、透明又は半透明な合成樹脂管よりなり、スルーパネル20に挿通され、上部ヘッダー5及び下部ヘッダー6に接続されている。この合成樹脂管としては架橋ポリエチレン管が好適であり、架橋ポリエチレンとしては、シラン架橋ポリエチレン等を用いるのが好ましい。
【0019】
本発明においては、放熱管7を細径とすることにより、スルーパネル7の厚みを薄くすることができ、パネルラジエータ3の設置の自由度を高めることができる。放熱管7の内径は好ましくは4〜7mm特に5〜6mmであり、外径は好ましくは5.5〜10mm特に7〜8.4mmである。
【0020】
また、放熱管7の配置ピッチは、美観との兼ね合いで自由に設定できるが、好ましくは16〜26mm特に20〜23mmである。
【0021】
放熱管7が挿通されたスルーパネル20は、ポリカーボネート等の透明又は半透明な合成樹脂よりなる。このスルーパネル20は、第6図(b)及び第12図(a)の通り、平行な1対の主板面21,21と、該主板面21,21同士を接続するリブ部22とを有したハーモニカ形断面形状となっており、隣接するリブ部22同士の間が放熱管7の挿通孔23となっている。リブ部22は主板面21と垂直である。挿通孔23は、縦材4Aと平行方向に延在する。挿通孔23は、方形断面形状である。
【0022】
なお、第6図(c)では最も左端又は右端のリブ22はスルーパネル20の側端から若干離隔しているが、第6図(d)のようにリブ22がスルーパネル20の側端に位置してもよい。
【0023】
スルーパネル20を半透明とする場合、スルーパネル20を構成する樹脂それ自体を半透明としてもよく、スルーパネル20の表面に曇りガラス状の紋様を形成して光拡散性を付与することにより、半透明としたものであってもよい。スルーパネル20の主板面21の肉厚は、前記の透明度を考慮して、0.5〜1mm特に0.5〜0.7mmとすることが好ましい。
【0024】
フレーム4は、好ましくはアルミ等の軽金属よりなるものであり、1対の縦材4A,4Aと、該縦材4A,4Aの上端同士の間に架設された上部アングル4Bと、縦材4A,4Aの下端同士の間に架設された下部ヘッダー6とにより、長方形の縦長枠状とされている。
【0025】
この縦材4Aの水平断面形状について、第5図を参照して説明する。この縦材4Aはアルミ等の押出材よりなる略々円筒状であるが、外周面の4等分位置(第5図(a)の上、右、下、左)に溝部4a,4b,4c,4dが設けられている。溝部4a〜4d間の筒状体外周部は、円弧状部4eとなっている。溝部4b,4dは、第6図(a)のようにパネルラジエータ3のパネル面方向に対峙しており、該溝部4b,4dにスルーパネル20の側縁が差し込まれて嵌合する。溝部4a,4cは、パネル厚み方向に対峙している。該溝部4a,4cの入口側、すなわち、縦材4Aの外周面側の両縁部には、この外周面を延長した形状の張出片4f,4fが設けられている。この張出片4f,4fを利用してタオルハンガーなどの付属品を取付けることができる。
【0026】
スルーパネル20の側縁が嵌合する溝部4b,4d内に照明器具9が上下方向に延設されている。この実施の形態では、照明器具9は、溝部4b,4dの奥壁面に沿って上下方向に延在するベースプレート9aと、該ベースプレート9a上に間隔をおいて配列設置されたLED9bとを有する。この照明器具9は、各縦材4A,4Aの上端から下端にまで延在している。なお、照明器具は蛍光灯などであってもよい。
【0027】
第5図において、各溝部4a〜4dの内周面側から、縦材4Aの求心方向に(すなわち、軸心位置に向かって)リブ4g,4h,4i,4jが突設されている。各リブ4g〜4jの突出方向の先端は、縦材4Aの軸心かつ等半径に位置している。リブ4g〜4jの先端で囲まれるスペースが第9図(b)のアジャスターボルト8の挿入スペース4sである。第9図の通り、アジャスターボルト8の先端を該スペース4sに挿入し、アジャスターボルト8の途中のナット8Nと縦材4Aの端面との間に圧縮コイルバネ8Sが介在される。
【0028】
溝4a,4bと円弧状部4eとの間、溝4b,4cと円弧状部4eとの間、溝4c,4dと円弧状部4eとの間、溝4d,4aと円弧状部4eとの間が、それぞれビスの挿入スペース4tとなっている。このスペース4tにビスをねじ込むことにより、上部アングル4Bと下部ヘッダー6がそれぞれ縦材4A,4Aの上端及び下端に連結固定される。
【0029】
下部ヘッダー6の取付構造を第8図に示す。なお第8図は、この取付状況を示す下方から見上げた斜視図である。下部ヘッダー6の長手方向の両端から突片6tが突設され、この突片6tのビス挿通孔6hにテクスビス6gが挿通され、スペース4tにねじ込まれる。これにより、下部ヘッダー6が縦材4A,4Aの下端に固定されている。図示は省略するが、縦材4A,4Aの上端に対して上部アングル4Bの両端が同様にビス留めされる。
【0030】
第2図〜第4図の通り、下部ヘッダー6には、床1の開口11を通過した温水循環配管12,13の一端が接続されている。この配管12,13はポリブテン、架橋ポリエチレン等の合成樹脂よりなり、その他端はボイラや分岐ヘッダー(図示略)に接続されている。配管12からの温水は、下部ヘッダー6の図の右半側に流入し、それに連なる放熱管7を上昇し、上部ヘッダー5で反転し、図の左半側の放熱管7を流れ、下部ヘッダー6の図の左半側を経て配管13からボイラ等に戻る。
【0031】
第3図及び第4図に明示される通り、上部ヘッダー5は、上部アングル4Bよりも所定距離下方に位置しており、上部ヘッダー5と上部アングル4Bとの間には、所定の間隙があいている。この上部アングル4Bに対し上部ヘッダー5がコイルバネ10によって吊り支えられており、温水を放熱管7に通水して放熱管7が熱膨張により伸長したときの伸びを吸収するように構成されている。第7図の通り、フレーム4の縦材4Aの上端部の溝部4b又は4dに対し、バネ10の約半分が配置され、溝部4b又は4dに沿って上下方向に伸縮可能とされている。
【0032】
図示は省略するが、前記上部ヘッダー5には、下面側にタケノコ形(すなわち、先細状のテーパ部が多段に連設された形状)のノズル状の接続部が突設されている。放熱管7の上端をこの接続部に差し込み、バンドを外嵌させて締め付け、抜け止めする。また、各放熱管7の下端にジョイントが装着され、このジョイントが下部ヘッダー6のユニオン継手部に差し込まれ、クリップによって連結される。
【0033】
パネルラジエータ3を床1と天井2との間に間仕切り状に立設するには、ヘッダー5,6、スルーパネル20、放熱管7、アジャスターボルト8及びコイルバネ10を備えたフレーム4を部屋のパネルラジエータ設置予定位置にて起立させる。なお、下側のアジャスターボルト8と床1との間、及び上側のアジャスターボルト8と天井2との間には、ゴム、合成樹脂等よりなる固定座9又はパッキンを介在させるのが好ましい。次いで、パネルラジエータ3が鉛直となるように支えた状態で、アジャスターボルト8のナット8Nを回して縦材4Aからの突出長さを増大させ、パネルラジエータ3を床1と天井2との間で突っ張らせて固定する。
【0034】
次いで、温水循環配管12,13を下部ヘッダー6に接続する。その後、フレーム4の上部にカバー16を取り付け、フレーム4の下部にカバー17を取り付け、各ヘッダー5,6を隠蔽する。
【0035】
次に、上部カバー16及び下部カバー17の構成について説明する。これらのカバー16,17は同一構造のものであり、使用状態が上向きであるか下向きであるかにおいてのみ相違するので、下部カバー17について説明する。
【0036】
第10〜16図の通り、カバー17は1対のサイドカバー30,30と1対のパネルカバー40,40とからなる4パーツの組み合せ方式のものである。
【0037】
サイドカバー30は、半円筒形状部31と、この半円筒形状部31の内周面のうち円弧方向の中間部において上下方向に延設された2条のリブ32,32と、半円筒形状部31の長手方向に延在する一方の端面に設けられた凸条部33と、他方の端面に設けられた凹条部34とを有する。
【0038】
パネルカバー40は、縦材4A,4A間に跨がる幅を有した長方形のパネル部41と、該パネル部41の上辺から張り出す張出部42と、パネル部41の左右の側辺部に沿ってそれぞれ上下方向に延設されたリブ部43とを有する。張出部42の長手方向の両端側は四分円弧状の湾曲部42aとなっている。この湾曲部42aは、縦材4Aの円弧状部4eに係合する形状及び大きさとなっている。パネル部41の一方の端面には凹条部44が設けられ、他方の端面には凸条部45が設けられている。なお、パネル部41に、その剛性を高めるために適宜のリブを設けてもよい。
【0039】
このカバー17の適宜の位置、例えば第10図(a)のWにて示す位置に開口を設けると共に、該開口に赤外線透過樹脂プレートを装着する。そして、この赤外線透過樹脂プレートの背面に赤外線センサを配置し、この赤外線センサの受信信号によってカバー17内の照明器具駆動回路(図示略)を制御する。なお、照明器具駆動回路は床下に設置されてもよい。照明器具用の電源配線は、開口11を介して床下に引き回されるのが好ましいが、これに限定されない。
【0040】
カバー17をパネルラジエータ3に装着するには、パネルカバー40をパネルラジエータ3の正面側において縦材4A,4Aに跨がるように配置し、湾曲部42aを縦材4Aの円弧状部4eに係合させると共に、リブ部43を縦材4Aの溝部4cに係合させる。パネルラジエータの反対側においても、パネルカバー40を縦材4A,4A間に跨がるように同様に配置し、リブ部43を縦材4Aの溝部4aに係合させる。次いで、サイドカバー30を各縦材4Aの外面に重ね合わせ、凸条部33をパネルカバー40の凹条部44に係合させ、凹条部34をパネルカバー40の凸条部43に係合させ、さらに、リブ部32を縦材4Aの溝部4b又は4dに係合させる。サイドカバー30は、縦材4Aの外面のうちパネル面方向の外向きの半周面を覆う。
【0041】
カバー16は、カバー17を上下逆にすること以外は同様にしてパネルラジエータ3に装着される。
【0042】
第1図の通り、上部カバー16は天井2からスルーパネル20の上端部付近までを覆い、下部カバー17は床1からスルーパネル20の下端部付近までを覆う。パネルカバー40に張出部42が設けられており、この張出部42がスルーパネル20に当接するか又は近接することにより、カバー16,17内が隠蔽される。下部カバー17を装着する前に、照明器具9を制御するための前述の照明器具駆動回路(図示略)を設置しておく。
【0043】
このように構成されたパネルラジエータ3にあっては、ヘッダー5,6がカバー16,17で隠蔽され、また、透明又は半透明の放熱管7が透明又は半透明のスルーパネル20で覆われるので、美観に優れる。照明器具9を点灯すると、該照明器具9からの光がスルーパネル20を透過して外部に放散され、独得の美観が醸し出される。特に、スルーパネル20を半透明とすることにより、昼灯調の柔らかい間接照明光を得ることができる。また、放熱管7を透明とすることにより、スルーパネル20からの光出射領域が広くなる。
【0044】
このパネルラジエータ3の放熱管7に温水を循環通水することにより、熱がパネルラジエータ3の両面から輻射される。スルーパネル20が透明又は半透明であるので、放熱管7からの遠赤外線が効率よく部屋内に放射される。
【0045】
温水を通水することにより、第4図のように放熱管7が熱膨張して伸長し、また温水通水を停止すると、第3図のように放熱管7が縮んで短くなるが、この放熱管7の伸縮はバネ10によって吸収される。この実施の形態では、上部ヘッダー5の両端を吊支するバネ10がそれぞれ溝4b,dに収容されているので、上部ヘッダー5の揺れ動きが防止される。
【0046】
この実施の形態では、下部ヘッダー6が固定状態となっているので、下部ヘッダー6と温水循環配管12,13との接続部に放熱管7の熱膨張による応力が負荷されず、この接続部の耐久性が良好である。
【0047】
既設のパネルラジエータ3のヘッダー5,6のメンテナンス等を行う場合には、サイドカバー30をパネルカバー40から離反させることにより、カバー16,17を容易に取り外すことができる。
【0048】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の態様とされてもよい。例えば、放熱管7の本数は図示以外でもよい。上部ヘッダー5を縦材4A,4A間に架設し、下部ヘッダー6を上下動可能にバネによって支えてもよい。
【0049】
なお、特に本発明を限定するものではないが、前記バネ10としては、線径1mmのピアノ線を直径(外径)8.6mmに巻回したものであって、40mm変形(伸長)時の引張荷重が5kgfであるものを用いることができる。
【0050】
本発明のパネルラジエータは壁に沿って立設されてもよい。この場合、パネルラジエータを壁に支持させてもよい。
【0051】
上記実施の形態では2本の縦材4Aの間に1枚のスルーパネル20を配置しているが、3本以上の縦材4Aを設置し、各縦材4A同士の間にスルーパネル20を設置してもよい。このようにすれば大面積のパネルラジエータを構成することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 床
2 天井
3 パネルラジエータ
4 フレーム
4A 縦材
4a〜4d 溝部
4e 円弧状部
4f 張出片
4g〜4j リブ
4s アジャスターボルトの挿入用スペース
4t ビスの挿入用スペース
4B 上部アングル
5 上部ヘッダー
5a ノズル状接続部
6 下部ヘッダー
6a ユニオン継手部
6f フランジ部
6h ビス挿通孔
6t 突片
7 放熱管
8 アジャスターボルト
9 照明器具
9a 基板
9b LED
10 バネ
12,13 温水循環配管
16 上部カバー
17 下部カバー
20 スルーパネル
23 放熱管の挿通孔
30 サイドカバー
40 パネルカバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁暖房用のパネルラジエータに係り、特に照明機能を有したパネルラジエータに関する。
【背景技術】
【0002】
室内に据え置くパネルラジエーターは、従来、金属製であり、暖房運転時には、表面温度が80℃近くになるため、危険であった。また、外観上の制約により、カバー等により内部のパイプ等を隠蔽する必要があった、それでも美観上、十分なものがデザインできる構造とはなっていなかった。また、タオルウオーマー等の浴室に設置する暖房器具の場合も同様に金属製であり、しかもパイプがむき出しとなるため、パイプを着色したとしても、やはり外観上、十分なものがデザインできる構造とはなっていなかった。また、かかる構成は、パイプによるタオルへの加熱を目的とするのみであり、主暖房として使用できる構成としては不十分であった。また、樹脂製のパネルが実用化されているが、軽量化ができるとの利点があるものの、デザイン性については、金属製と同様、十分なものが提案されるに至っていない。
【0003】
壁暖房用のパネルラジエータとして、上部横パイプと下部横パイプとの間に多数の放熱用の合成樹脂製縦パイプを架設したものが、特開2009−222297号公報に記載されている。同号公報のパネルラジエータでは、横パイプの両端がパネルラジエータ(同号公報では放熱器)の側枠に固定されている。同号公報には、放熱用縦パイプを2色押出成形し、その表層を顔料入りの着色層とすることが記載されている(0020,0030段落)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−222297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、軽量であり、かつインテリアとしての使用が可能であり、また暖房器具又は照明器具としても使用しうる性能及び安全性に優れた、従来にないパネルラジエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1のパネルラジエータは、上下方向に設置される枠状のフレームと、該フレームの上部に設置されるか又は該フレームの上部を構成している上部ヘッダーと、該フレームの下部に設置されるか又は該フレームの下部を構成している下部ヘッダーと、該上部ヘッダーと下部ヘッダーとの間に架設された透明又は半透明の合成樹脂製の複数の放熱管とを有するパネルラジエータにおいて、該放熱管が挿通された挿通孔を有し、該上部ヘッダーと下部ヘッダーとの間に配置され、該フレームに支持された透明又は半透明のスルーパネルが設けられており、該スルーパネルの側端面の少なくとも一部に照明手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2のパネルラジエータは、請求項1において、前記スルーパネルの上端部から上部ヘッダーまでを覆う上部カバーと、前記スルーパネルの下端部から下部ヘッダーまでを覆う下部カバーとを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項3のパネルラジエータは、請求項1又は2において、前記フレームの縦材は、長手方向に延在した溝部を有しており、前記スルーパネルの側辺部が該溝部に係合しており、前記照明手段は該溝部内に配置されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4のパネルラジエータは、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記照明手段は、前記スルーパネルの側端面に沿って延在していることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5のパネルラジエータは、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記照明手段の光源はLEDであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のパネルラジエータは、透明又は半透明のスルーパネルを有し、このスルーパネルの挿通孔内に透明又は半透明の放熱管が挿通され、かつスルーパネルの側端面の少なくとも一部に照明手段が設けられている。この照明手段からの光が放熱管やスルーパネルで散乱されて該スルーパネルを透過することにより、照明が行われる。放熱管やスルーパネルが半透明など光拡散性を有している場合には、照明は昼灯調となり、独得の美観が得られる。
【0012】
本発明では、各放熱管がスルーパネル内に配置されているので、放熱管に直に汚れが付着せず、清掃が容易である。また、このスルーパネルが透明又は半透明であるので、放熱管から輻射される赤外線及び遠赤外線の透過率が高くなり、暖房効率が向上する。
【0013】
このパネルラジエータは、壁に沿った位置だけでなく、壁から離隔した位置に間仕切り状に設置することもできる。パネルラジエータを間仕切り状に設置した場合には、パネルラジエータユニットの両側の部屋を暖房することができる。
【0014】
照明手段をフレームの溝部内に配置した場合には、照明手段に外部から物体が当って損傷することが防止される。照明手段をスルーパネルの側端面に沿って延在させることにより、パネルラジエータの発光エリアが広くなる。照明手段の光源としてLEDを用いることにより、高輝度の照明が可能になると共に、消費電力を節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】カバーを装着した状態のパネルラジエータ及びその設置構造を示す斜視図である。
【図2】カバーを取り外した状態におけるパネルラジエータ及びその設置構造を示す斜視図である。
【図3】温水通水停止時における、カバーを取り外した状態のパネルラジエータの構成を示す、下方から見上げた状態の斜視図である。
【図4】温水通水時における、カバーを取り外した状態のパネルラジエータの構成を示す、下方から見上げた状態の斜視図である。
【図5】(a)図は縦材の水平断面図、(b)図は縦材の斜視図である。
【図6】(a)図は図1のVI−VI線に沿う断面図、(b)図はスルーパネルの断面図、(c)図は(b)図の一部拡大図、(d)図は別の実施の形態を示す(c)図と同一部分の断面図である。
【図7】図3のVII−VII線断面図である。
【図8】下部ヘッダーと縦材との取り付け方法を示す分解斜視図である。
【図9】(a)図は、縦材とアジャスターボルトとの係合関係を示す斜視図、(b)図は同縦断面図である。
【図10】(a)図はカバーの斜視図、(b)図はカバーの平面図である。
【図11】図10のXI−XI線断面図である。
【図12】図10のXII−XII線断面図である。
【図13】カバーの分解斜視図である。
【図14】サイドカバーの斜視図である。
【図15】パネルカバーの斜視図である。
【図16】(a)図はカバーの組み付け状況を示す水平断面図、(b)図は図1のXVI−XVI線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0017】
第1図の通り、床1と天井2との間にパネルラジエータ3が立設されている。このパネルラジエータ3は、第2図〜第4図に示される通り、長方形枠状のフレーム4と、該フレーム4の上部に設置された上部ヘッダー5と、フレーム4の下部に設置された下部ヘッダー6と、該上部ヘッダー5と下部ヘッダー6との間に架設された放熱管7と、フレーム4の上部及び下部から突設されたアジャスターボルト8と、上部ヘッダー5をフレーム4の上部アングル4Bに吊支しているバネ(この実施の形態ではコイルバネ)10と、放熱管7が挿通された透明又は半透明のスルーパネル20と、スルーパネル20の両側端面に沿って配置された照明器具9等を備えている。
【0018】
放熱管7は、透明又は半透明な合成樹脂管よりなり、スルーパネル20に挿通され、上部ヘッダー5及び下部ヘッダー6に接続されている。この合成樹脂管としては架橋ポリエチレン管が好適であり、架橋ポリエチレンとしては、シラン架橋ポリエチレン等を用いるのが好ましい。
【0019】
本発明においては、放熱管7を細径とすることにより、スルーパネル7の厚みを薄くすることができ、パネルラジエータ3の設置の自由度を高めることができる。放熱管7の内径は好ましくは4〜7mm特に5〜6mmであり、外径は好ましくは5.5〜10mm特に7〜8.4mmである。
【0020】
また、放熱管7の配置ピッチは、美観との兼ね合いで自由に設定できるが、好ましくは16〜26mm特に20〜23mmである。
【0021】
放熱管7が挿通されたスルーパネル20は、ポリカーボネート等の透明又は半透明な合成樹脂よりなる。このスルーパネル20は、第6図(b)及び第12図(a)の通り、平行な1対の主板面21,21と、該主板面21,21同士を接続するリブ部22とを有したハーモニカ形断面形状となっており、隣接するリブ部22同士の間が放熱管7の挿通孔23となっている。リブ部22は主板面21と垂直である。挿通孔23は、縦材4Aと平行方向に延在する。挿通孔23は、方形断面形状である。
【0022】
なお、第6図(c)では最も左端又は右端のリブ22はスルーパネル20の側端から若干離隔しているが、第6図(d)のようにリブ22がスルーパネル20の側端に位置してもよい。
【0023】
スルーパネル20を半透明とする場合、スルーパネル20を構成する樹脂それ自体を半透明としてもよく、スルーパネル20の表面に曇りガラス状の紋様を形成して光拡散性を付与することにより、半透明としたものであってもよい。スルーパネル20の主板面21の肉厚は、前記の透明度を考慮して、0.5〜1mm特に0.5〜0.7mmとすることが好ましい。
【0024】
フレーム4は、好ましくはアルミ等の軽金属よりなるものであり、1対の縦材4A,4Aと、該縦材4A,4Aの上端同士の間に架設された上部アングル4Bと、縦材4A,4Aの下端同士の間に架設された下部ヘッダー6とにより、長方形の縦長枠状とされている。
【0025】
この縦材4Aの水平断面形状について、第5図を参照して説明する。この縦材4Aはアルミ等の押出材よりなる略々円筒状であるが、外周面の4等分位置(第5図(a)の上、右、下、左)に溝部4a,4b,4c,4dが設けられている。溝部4a〜4d間の筒状体外周部は、円弧状部4eとなっている。溝部4b,4dは、第6図(a)のようにパネルラジエータ3のパネル面方向に対峙しており、該溝部4b,4dにスルーパネル20の側縁が差し込まれて嵌合する。溝部4a,4cは、パネル厚み方向に対峙している。該溝部4a,4cの入口側、すなわち、縦材4Aの外周面側の両縁部には、この外周面を延長した形状の張出片4f,4fが設けられている。この張出片4f,4fを利用してタオルハンガーなどの付属品を取付けることができる。
【0026】
スルーパネル20の側縁が嵌合する溝部4b,4d内に照明器具9が上下方向に延設されている。この実施の形態では、照明器具9は、溝部4b,4dの奥壁面に沿って上下方向に延在するベースプレート9aと、該ベースプレート9a上に間隔をおいて配列設置されたLED9bとを有する。この照明器具9は、各縦材4A,4Aの上端から下端にまで延在している。なお、照明器具は蛍光灯などであってもよい。
【0027】
第5図において、各溝部4a〜4dの内周面側から、縦材4Aの求心方向に(すなわち、軸心位置に向かって)リブ4g,4h,4i,4jが突設されている。各リブ4g〜4jの突出方向の先端は、縦材4Aの軸心かつ等半径に位置している。リブ4g〜4jの先端で囲まれるスペースが第9図(b)のアジャスターボルト8の挿入スペース4sである。第9図の通り、アジャスターボルト8の先端を該スペース4sに挿入し、アジャスターボルト8の途中のナット8Nと縦材4Aの端面との間に圧縮コイルバネ8Sが介在される。
【0028】
溝4a,4bと円弧状部4eとの間、溝4b,4cと円弧状部4eとの間、溝4c,4dと円弧状部4eとの間、溝4d,4aと円弧状部4eとの間が、それぞれビスの挿入スペース4tとなっている。このスペース4tにビスをねじ込むことにより、上部アングル4Bと下部ヘッダー6がそれぞれ縦材4A,4Aの上端及び下端に連結固定される。
【0029】
下部ヘッダー6の取付構造を第8図に示す。なお第8図は、この取付状況を示す下方から見上げた斜視図である。下部ヘッダー6の長手方向の両端から突片6tが突設され、この突片6tのビス挿通孔6hにテクスビス6gが挿通され、スペース4tにねじ込まれる。これにより、下部ヘッダー6が縦材4A,4Aの下端に固定されている。図示は省略するが、縦材4A,4Aの上端に対して上部アングル4Bの両端が同様にビス留めされる。
【0030】
第2図〜第4図の通り、下部ヘッダー6には、床1の開口11を通過した温水循環配管12,13の一端が接続されている。この配管12,13はポリブテン、架橋ポリエチレン等の合成樹脂よりなり、その他端はボイラや分岐ヘッダー(図示略)に接続されている。配管12からの温水は、下部ヘッダー6の図の右半側に流入し、それに連なる放熱管7を上昇し、上部ヘッダー5で反転し、図の左半側の放熱管7を流れ、下部ヘッダー6の図の左半側を経て配管13からボイラ等に戻る。
【0031】
第3図及び第4図に明示される通り、上部ヘッダー5は、上部アングル4Bよりも所定距離下方に位置しており、上部ヘッダー5と上部アングル4Bとの間には、所定の間隙があいている。この上部アングル4Bに対し上部ヘッダー5がコイルバネ10によって吊り支えられており、温水を放熱管7に通水して放熱管7が熱膨張により伸長したときの伸びを吸収するように構成されている。第7図の通り、フレーム4の縦材4Aの上端部の溝部4b又は4dに対し、バネ10の約半分が配置され、溝部4b又は4dに沿って上下方向に伸縮可能とされている。
【0032】
図示は省略するが、前記上部ヘッダー5には、下面側にタケノコ形(すなわち、先細状のテーパ部が多段に連設された形状)のノズル状の接続部が突設されている。放熱管7の上端をこの接続部に差し込み、バンドを外嵌させて締め付け、抜け止めする。また、各放熱管7の下端にジョイントが装着され、このジョイントが下部ヘッダー6のユニオン継手部に差し込まれ、クリップによって連結される。
【0033】
パネルラジエータ3を床1と天井2との間に間仕切り状に立設するには、ヘッダー5,6、スルーパネル20、放熱管7、アジャスターボルト8及びコイルバネ10を備えたフレーム4を部屋のパネルラジエータ設置予定位置にて起立させる。なお、下側のアジャスターボルト8と床1との間、及び上側のアジャスターボルト8と天井2との間には、ゴム、合成樹脂等よりなる固定座9又はパッキンを介在させるのが好ましい。次いで、パネルラジエータ3が鉛直となるように支えた状態で、アジャスターボルト8のナット8Nを回して縦材4Aからの突出長さを増大させ、パネルラジエータ3を床1と天井2との間で突っ張らせて固定する。
【0034】
次いで、温水循環配管12,13を下部ヘッダー6に接続する。その後、フレーム4の上部にカバー16を取り付け、フレーム4の下部にカバー17を取り付け、各ヘッダー5,6を隠蔽する。
【0035】
次に、上部カバー16及び下部カバー17の構成について説明する。これらのカバー16,17は同一構造のものであり、使用状態が上向きであるか下向きであるかにおいてのみ相違するので、下部カバー17について説明する。
【0036】
第10〜16図の通り、カバー17は1対のサイドカバー30,30と1対のパネルカバー40,40とからなる4パーツの組み合せ方式のものである。
【0037】
サイドカバー30は、半円筒形状部31と、この半円筒形状部31の内周面のうち円弧方向の中間部において上下方向に延設された2条のリブ32,32と、半円筒形状部31の長手方向に延在する一方の端面に設けられた凸条部33と、他方の端面に設けられた凹条部34とを有する。
【0038】
パネルカバー40は、縦材4A,4A間に跨がる幅を有した長方形のパネル部41と、該パネル部41の上辺から張り出す張出部42と、パネル部41の左右の側辺部に沿ってそれぞれ上下方向に延設されたリブ部43とを有する。張出部42の長手方向の両端側は四分円弧状の湾曲部42aとなっている。この湾曲部42aは、縦材4Aの円弧状部4eに係合する形状及び大きさとなっている。パネル部41の一方の端面には凹条部44が設けられ、他方の端面には凸条部45が設けられている。なお、パネル部41に、その剛性を高めるために適宜のリブを設けてもよい。
【0039】
このカバー17の適宜の位置、例えば第10図(a)のWにて示す位置に開口を設けると共に、該開口に赤外線透過樹脂プレートを装着する。そして、この赤外線透過樹脂プレートの背面に赤外線センサを配置し、この赤外線センサの受信信号によってカバー17内の照明器具駆動回路(図示略)を制御する。なお、照明器具駆動回路は床下に設置されてもよい。照明器具用の電源配線は、開口11を介して床下に引き回されるのが好ましいが、これに限定されない。
【0040】
カバー17をパネルラジエータ3に装着するには、パネルカバー40をパネルラジエータ3の正面側において縦材4A,4Aに跨がるように配置し、湾曲部42aを縦材4Aの円弧状部4eに係合させると共に、リブ部43を縦材4Aの溝部4cに係合させる。パネルラジエータの反対側においても、パネルカバー40を縦材4A,4A間に跨がるように同様に配置し、リブ部43を縦材4Aの溝部4aに係合させる。次いで、サイドカバー30を各縦材4Aの外面に重ね合わせ、凸条部33をパネルカバー40の凹条部44に係合させ、凹条部34をパネルカバー40の凸条部43に係合させ、さらに、リブ部32を縦材4Aの溝部4b又は4dに係合させる。サイドカバー30は、縦材4Aの外面のうちパネル面方向の外向きの半周面を覆う。
【0041】
カバー16は、カバー17を上下逆にすること以外は同様にしてパネルラジエータ3に装着される。
【0042】
第1図の通り、上部カバー16は天井2からスルーパネル20の上端部付近までを覆い、下部カバー17は床1からスルーパネル20の下端部付近までを覆う。パネルカバー40に張出部42が設けられており、この張出部42がスルーパネル20に当接するか又は近接することにより、カバー16,17内が隠蔽される。下部カバー17を装着する前に、照明器具9を制御するための前述の照明器具駆動回路(図示略)を設置しておく。
【0043】
このように構成されたパネルラジエータ3にあっては、ヘッダー5,6がカバー16,17で隠蔽され、また、透明又は半透明の放熱管7が透明又は半透明のスルーパネル20で覆われるので、美観に優れる。照明器具9を点灯すると、該照明器具9からの光がスルーパネル20を透過して外部に放散され、独得の美観が醸し出される。特に、スルーパネル20を半透明とすることにより、昼灯調の柔らかい間接照明光を得ることができる。また、放熱管7を透明とすることにより、スルーパネル20からの光出射領域が広くなる。
【0044】
このパネルラジエータ3の放熱管7に温水を循環通水することにより、熱がパネルラジエータ3の両面から輻射される。スルーパネル20が透明又は半透明であるので、放熱管7からの遠赤外線が効率よく部屋内に放射される。
【0045】
温水を通水することにより、第4図のように放熱管7が熱膨張して伸長し、また温水通水を停止すると、第3図のように放熱管7が縮んで短くなるが、この放熱管7の伸縮はバネ10によって吸収される。この実施の形態では、上部ヘッダー5の両端を吊支するバネ10がそれぞれ溝4b,dに収容されているので、上部ヘッダー5の揺れ動きが防止される。
【0046】
この実施の形態では、下部ヘッダー6が固定状態となっているので、下部ヘッダー6と温水循環配管12,13との接続部に放熱管7の熱膨張による応力が負荷されず、この接続部の耐久性が良好である。
【0047】
既設のパネルラジエータ3のヘッダー5,6のメンテナンス等を行う場合には、サイドカバー30をパネルカバー40から離反させることにより、カバー16,17を容易に取り外すことができる。
【0048】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の態様とされてもよい。例えば、放熱管7の本数は図示以外でもよい。上部ヘッダー5を縦材4A,4A間に架設し、下部ヘッダー6を上下動可能にバネによって支えてもよい。
【0049】
なお、特に本発明を限定するものではないが、前記バネ10としては、線径1mmのピアノ線を直径(外径)8.6mmに巻回したものであって、40mm変形(伸長)時の引張荷重が5kgfであるものを用いることができる。
【0050】
本発明のパネルラジエータは壁に沿って立設されてもよい。この場合、パネルラジエータを壁に支持させてもよい。
【0051】
上記実施の形態では2本の縦材4Aの間に1枚のスルーパネル20を配置しているが、3本以上の縦材4Aを設置し、各縦材4A同士の間にスルーパネル20を設置してもよい。このようにすれば大面積のパネルラジエータを構成することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 床
2 天井
3 パネルラジエータ
4 フレーム
4A 縦材
4a〜4d 溝部
4e 円弧状部
4f 張出片
4g〜4j リブ
4s アジャスターボルトの挿入用スペース
4t ビスの挿入用スペース
4B 上部アングル
5 上部ヘッダー
5a ノズル状接続部
6 下部ヘッダー
6a ユニオン継手部
6f フランジ部
6h ビス挿通孔
6t 突片
7 放熱管
8 アジャスターボルト
9 照明器具
9a 基板
9b LED
10 バネ
12,13 温水循環配管
16 上部カバー
17 下部カバー
20 スルーパネル
23 放熱管の挿通孔
30 サイドカバー
40 パネルカバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に設置される枠状のフレームと、
該フレームの上部に設置されるか又は該フレームの上部を構成している上部ヘッダーと、
該フレームの下部に設置されるか又は該フレームの下部を構成している下部ヘッダーと、
該上部ヘッダーと下部ヘッダーとの間に架設された透明又は半透明の合成樹脂製の複数の放熱管とを有するパネルラジエータにおいて、
該放熱管が挿通された挿通孔を有し、該上部ヘッダーと下部ヘッダーとの間に配置され、該フレームに支持された透明又は半透明のスルーパネルが設けられており、
該スルーパネルの側端面の少なくとも一部に照明手段が設けられていることを特徴とするパネルラジエータ。
【請求項2】
請求項1において、
前記スルーパネルの上端部から上部ヘッダーまでを覆う上部カバーと、
前記スルーパネルの下端部から下部ヘッダーまでを覆う下部カバーとを備えたことを特徴とするパネルラジエータ。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記フレームの縦材は、長手方向に延在した溝部を有しており、前記スルーパネルの側辺部が該溝部に係合しており、前記照明手段は該溝部内に配置されていることを特徴とするパネルラジエータ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記照明手段は、前記スルーパネルの側端面に沿って延在していることを特徴とするパネルラジエータ。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記照明手段の光源はLEDであることを特徴とするパネルラジエータ。
【請求項1】
上下方向に設置される枠状のフレームと、
該フレームの上部に設置されるか又は該フレームの上部を構成している上部ヘッダーと、
該フレームの下部に設置されるか又は該フレームの下部を構成している下部ヘッダーと、
該上部ヘッダーと下部ヘッダーとの間に架設された透明又は半透明の合成樹脂製の複数の放熱管とを有するパネルラジエータにおいて、
該放熱管が挿通された挿通孔を有し、該上部ヘッダーと下部ヘッダーとの間に配置され、該フレームに支持された透明又は半透明のスルーパネルが設けられており、
該スルーパネルの側端面の少なくとも一部に照明手段が設けられていることを特徴とするパネルラジエータ。
【請求項2】
請求項1において、
前記スルーパネルの上端部から上部ヘッダーまでを覆う上部カバーと、
前記スルーパネルの下端部から下部ヘッダーまでを覆う下部カバーとを備えたことを特徴とするパネルラジエータ。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記フレームの縦材は、長手方向に延在した溝部を有しており、前記スルーパネルの側辺部が該溝部に係合しており、前記照明手段は該溝部内に配置されていることを特徴とするパネルラジエータ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記照明手段は、前記スルーパネルの側端面に沿って延在していることを特徴とするパネルラジエータ。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記照明手段の光源はLEDであることを特徴とするパネルラジエータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−83073(P2012−83073A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231628(P2010−231628)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】
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