説明

パネル体

【課題】面全体の外観が一様な質感の不透光面でありながら、部分的に光を透過できるパネル体を提供する。
【解決手段】本発明のパネル体7は、不透光パネル17と、透光部材19を備え、不透光パネル17は、いずれか一方側面に凹み25が形成してあり、凹み25を形成した部分27の厚みHが光を透過する厚みであり、凹み25内に透光部材19を配置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁、室内の間仕切り、天井、ドア、廊下の壁等の建材に用いるパネル体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、貫通孔を部分的に設けた不透光パネルにガラス板を重ねたパネル体が開示されている。
特許文献2には、不透光パネルに設けた貫通孔に透光部材を埋め込んだパネル体が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−350841号公報
【特許文献2】実用新案登録3128872号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、不透光パネルに貫通孔を形成して透光部分としているので、面全体の外観において一様な質感のパネル面を得ることができない。
特許文献2の技術では、不透光パネル面に部分的に透光部材が露出する為、面全体の外観において、部分的に異なる質感を与えている。
このような従来技術に対して、面全体の外観は一様な質感の不透光面でありながら、部分的に光を透過できるパネル体が望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、面全体の外観が一様な質感の不透光面でありながら、部分的に光を透過できるパネル体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、不透光パネルと、透光部材を備え、不透光パネルは、何れか一方側面に凹みが形成してあり、凹みを形成した部分の厚みが光を透過する厚みであり、凹み内に透光部材を配置してあることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、不透光パネルと、透光部材を備え、不透光パネル内に透光部材が埋めてあり、不透光パネルの一方側面から透光部材までの寸法と他方側面から透光部材までの寸法の合計が光を透過する寸法であることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、透光パネルを備え、透光パネルは四周をパネル保持枠に固定してあり、透光パネルに不透光パネルの一方側面を重ねて固定してあり且つ不透光パネルで透光パネルのパネル保持枠を隠蔽していることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、複数の不透光パネルと、透光パネルを備え、透光パネルは四周をパネル保持枠に固定してあり、透光パネルに各不透光パネルの一方側面を重ねて固定してあり且つ複数枚の不透光パネルで透光パネルのパネル保持枠を隠蔽していることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の発明において、不透光パネルは発泡ガラス製であり、透光パネルはガラス製であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、不透光パネルは一方側面に凹みを形成することにより光が透過する厚み部分を形成しているので、凹みを形成していない他方側面を見た場合に、面全体の外観が一様な質感の不透光面でありながら、部分的に光を透過できる。凹みには透光部材を配置してあるので、凹み部分の強度を補うことができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、不透光パネルには透光部材を埋めて不透光パネルの厚み部分を光が透過する寸法にしているので、不透光パネルの各パネル面全体の外観が一様な質感の不透光面でありながら、部分的に光を透過できる。不透光パネルの厚みを薄くした部分を形成してもその部分には透光部材を埋めているので、光透過部を設けても不透光パネルの強度に影響を与え難い。
【0013】
請求項3及び4に記載の発明によれば、各々請求項1又は2に記載の効果を奏すると共に、不透光パネルに透光パネルを重ねることによりパネル体の強度を高めることができる。従って、不透光パネルに強度の低い材質のパネルを用いることも可能になる。不透光パネルでパネル保持枠を隠蔽しているので外観が良い。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜4の何れか一項に記載の効果を奏すると共に、不透光パネルを発泡ガラスとすることにより、請求項1に記載のように不透光パネルに凹みを形成する場合には、発泡ガラスは加工しやすいので、凹み形成が容易にできる。また、請求項2に記載のように不透光パネルに透光部材を埋める場合は、発泡ガラスの製造工程においてガラス材を発泡するときに透光部材を入れることにより透光部材の埋め込みが容易にできる。
更に、透光パネルをガラス板とすることにより透光パネルと不透光パネルの材質を同質にでき接着や溶着がし易い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、添付図面を参照して本発明の第1実施の形態を説明する。図1は本発明の第1実施の形態に係るパネル体であって、図3に示すB部を拡大して示す縦断面図であり、図2は本発明の第1実施の形態に係るパネル体であって、図3に示すB部の横断面図であり、図3は図4に示す外壁のA―A断面図であり、図4は第1実施の形態に係るパネル体を備える外壁の正面図である。
図3及び図4に示すように、二階建ての建物1において、一階部分3の外壁5に第1実施の形態に係るパネル体7が用いられている。図4に示すように、建物1の一階部分3には、外壁5とドア9とが設けてあり、図3に示すように、二階部分11の外壁13は一階の外壁5よりも室外側に突設して設けているが、一階部分のパネル体7の上端と、二階部分のパネル体15の下端とが上下方向の同じ位置にあるので、図4に示すように、室外側から正面を見ると一階部分のパネル体7と二階部分のパネル体15とが上下に連続して見えている。
図1及び図2に示すように、第1実施の形態に係るパネル体7は、不透光パネル17と、透過部材19と、透光パネル21とを備えている。尚、本実施の形態ではパネル体7はカーテンウォールであり、図4に示すように、ドア9から離れた位置にある上部14aと下部14bとが各々たてすべり出し窓になっており、その他の部分は固定窓になっている。
不透光パネル17は複数並べてあり、各不透光パネル17は発泡ガラス製であり、光を透過しない厚みを有するものである。この不透光パネル17には室内側面(一方側面)に複数の円柱状の凹み25が形成してあり、凹み25を形成することにより、不透光パネルに光が透過する厚みHの部分27を形成している。凹み25には、透光部材19を嵌合してあり、本実施の形態では透光部材19はガラス製である。尚、複数の凹み25は、凹み25の幅及び凹み25の位置は任意に形成されている。
透光パネル21は、不透光パネル17の室内側面に重ねて、透光パネル21と不透光パネル17の対向面を接着固定している。
透光パネル21は、編み入りガラスである。
透光パネル21の周縁21aはパネル保持枠(框)23のパネル保持部23aに固定されており、不透光パネル17の縁17aは、透光パネル21の縁21aよりも外周側に突設して、室外側から見たときに不透光パネル17の縁17aでパネル保持枠23を隠している。本実施の形態では、図1に示すように、下側の不透光パネル17の上縁17aで無目29も隠しており、図2に示すように、不透光パネル17の縁17aで方立31も隠している。
【0016】
二階の外壁13のパネル体15は、一階のパネル体7と同じ不透光パネル17と、透光パネル21とで構成されているが、不透光パネル17には凹み25が形成されておらず、光の透過部分27がない。
【0017】
次に、第1実施の形態に係るパネル体7の作用及び効果について説明する。
一階部分3で夜に室内電灯をつけると、各不透光パネル17の室外側面は、面全体の外観が一様な質感の面になっていながら、不透光パネル17の光が透過する厚み部分27から室内の光が透過して、図4に示すように室外側から見たときに、多数の大小の光による模様を形成する。
一方、一階の室内電灯を消せば、二階のパネル面と同様に、不透光パネル17の面全体の外観が一様な質感の面となる。
本実施の形態によれば、不透光パネル17は室内側に凹み25を形成して光を透過する厚み部分である透光部分27を形成しているので、室外側から見た場合に、面全体の外観が一様な質感の不透光面でありながら、部分的に光を透過できる。
凹み25には、透光部材19を配置しているので、不透光パネル17における凹み25部分の強度を補うことができる。
不透光パネル17として、ガラスパネルよりも強度が劣る発泡ガラスを用いているが、不透光パネル17に透光パネル21を重ねて配置しているのでパネル体7の強度を高めることができる。
不透光パネル17の縁17aを透光パネル21の縁よりも外周側に突設して、不透光パネル17の縁17aでパネル保持枠23を室外側から隠しているので、外観が良い。更に、本実施の形態では、無目29及び方立31も不透光パネル17で隠しており、カーテンウォール全体の面を不透光パネル17で覆っている点でも、外観が良い。
不透光パネル17を発泡ガラスとすることにより、発泡ガラスはガラスに比較して加工しやすいので、凹み25の形成が容易にできる。更に、透光パネル21をガラス板とすることにより透光パネル21と不透光パネル17の材質を同質にできるので接着や溶着による固定が容易である。
一階部分3の外壁5と二階部分11の外壁13とが同じ材質の不透光パネル17で構成しているから、室外側から正面を見た建物全体の外観が同じ見えるが、例えば一階室内の照明をつけると、図4に示すように、室内の光が透過する厚み部分27から漏れて、光による模様を形成するので、意外性があると共に外観が良い。
【0018】
以下に、本発明の他の実施の形態について説明するが、以下に説明する実施の形態において、上述した第1実施の形態と同一の作用効果を奏する部分には、同一の符号を付することによりその部分の詳細な説明を省略し、以下の説明では上述した第1実施の形態と主に異なる点を説明する。
図5(a)を参照して第2実施の形態を説明する。図5(a)はパネル体の一部を示す縦断面図である。第2実施の形態では、不透光パネル17には透光部材19を埋めてあり、不透光パネル17の各パネル面から透光部材までの寸法h1及びh2の合計の寸法を光が透過する寸法にしてある。不透光パネル17への透光部材19の埋め込みは、発泡ガラスの製造工程においてガラス材を発泡するときに透光部材19を入れて製造している。その他の点は第1実施の形態と同じ構成である。
この第2実施の形態によれば、不透光パネル17の各パネル面において全体の外観が一様な質感の不透光面でありながら、部分的に光を透過できる。即ち、この第2実施の形態では、不透光パネル17の何れのパネル面も室外側面にして用いることができる。
不透光パネル17の厚みを薄くした部分を形成してもその部分には透光部材19を埋めているので、不透光パネル17の強度に影響を与え難い。
また、不透光パネル17への透光部材19の埋め込みは、発泡ガラスの製造工程においてガラス材を発泡するときに透光部材19を入れることにより透光部材19の埋め込みが容易にできる。
第2実施の形態において、透光部材19の埋め込み以外の点については、上述した第1実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0019】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、不透光パネル17は、発泡ガラスに限らず、樹脂材、木材、石材等であっても良い。
本発明に係るパネル体7は、建物の外壁13に限らず、室内間仕切り、ドアパネル、明り取り窓の障子、天井、廊下の壁として用いても良い。
パネル体7は、複数の不透光パネル17で構成したが、透光パネル21よりも大きな1枚の不透光パネル17としても良い。
透光パネル21は、網入りガラスに限らず、網の入っていない通常のガラス板や透明樹脂パネルであっても良い。
第1実施の形態において、凹み25は、溝であってもよく、溝で線図を描くものであっても良い。また、凹み25の形状は、底面を円形にすることに限らず、四角、星形やハート型等任意の形状にしても良い。
第1実施の形態において、不透光パネル17において、凹み25を形成していない面は、フラット面にすることに限らず凹凸が形成されていても良い。第2実施の形態においては、不透光パネル17の各パネル面について、フラット面にすることに限らず凹凸が形成されていても良い。
第1実施の形態において、凹み25に配置する透光部材19は凹み25に嵌合することに限らず、透光部材19に凹み25の底面に透光部材19を接着するものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係るパネル体であって、図3に示すB部を拡大して示す縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るパネル体であって、図3に示すB部の横断面図である。
【図3】図4に示す外壁のA−A断面図である。
【図4】本実施の形態に係るパネル体を備える外壁を室外側から見た正面図である。
【図5】第2実施の形態に係るパネル体の不透光パネルの一部を切断して示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0021】
7 パネル体
17 不透光パネル
17a 不透光パネルの縁
19 透光部材
21 透光パネル
23 パネル保持枠
25 凹み
27 光が透過する厚み部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不透光パネルと、透光部材を備え、不透光パネルは、何れか一方側面に凹みが形成してあり、凹みを形成した部分の厚みが光を透過する厚みであり、凹み内に透光部材を配置してあることを特徴とするパネル体。
【請求項2】
不透光パネルと、透光部材を備え、不透光パネル内に透光部材が埋めてあり、不透光パネルの一方側面から透光部材までの寸法と他方側面から透光部材までの寸法の合計が光を透過する寸法であることを特徴とするパネル体。
【請求項3】
透光パネルを備え、透光パネルは四周をパネル保持枠に固定してあり、透光パネルに不透光パネルの一方側面を重ねて固定してあり且つ不透光パネルで透光パネルのパネル保持枠を隠蔽していることを特徴とする請求項1又は2に記載のパネル体。
【請求項4】
複数の不透光パネルと、透光パネルを備え、透光パネルは四周をパネル保持枠に固定してあり、透光パネルに各不透光パネルの一方側面を重ねて固定してあり且つ複数枚の不透光パネルで透光パネルのパネル保持枠を隠蔽していることを特徴とする請求項1又は2に記載のパネル体。
【請求項5】
不透光パネルは発泡ガラス製であり、透光パネルはガラス製であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のパネル体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−31519(P2010−31519A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−193802(P2008−193802)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(000175560)三協立山アルミ株式会社 (529)
【出願人】(391015786)三芝硝材株式会社 (7)
【Fターム(参考)】