説明

パネル保持装置

【課題】簡易に正確なパネル支持柱の位置出しができ、柱受け部材を設置した状態で、柱の固定位置の微調整を行うことができるパネル保持装置を提供する。
【解決手段】壁10の表面に水平方向に延出する柱受け部材2を上下方向に並設し、この柱受け部材に上下方向に延出するパネル支持柱3を水平方向に並設して、前記壁にパネル4を保持させるパネル保持装置1であって、前記柱受け部材は、前記パネル支持柱の両側面に沿うように前方に突出して形成された一対の位置決め突片22を複数備え、各一対の位置決め突片の間に前記パネル支持柱を保持させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁にパネルを保持させるパネル保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、既存壁の表面にパネルを配設する方法としては、既存壁の下地材の表面に柱受け部材を水平に取り付け、この柱受け部材に上下方向に延出するパネル支持柱を所定の位置で固定し、このパネル支持柱にパネルを配設するタイプが知られている。
例えば、下記特許文献1がある。ここには、既存壁の下地材に固定された横胴縁の凹み部に、この横胴縁に直行するように縦胴縁が固定され、この縦胴縁の係合孔に、内装パネルが裏面の係合突起を係合させて配設される内装改修構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−152677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような柱受け部材に配設されたパネル支持柱に対してパネルを配設するタイプのものでは、パネルを正規の位置に配設するために、パネル支持柱の位置決めが正確に行われる必要がある。この位置決めが正確に行われないと、パネル支持柱がずれたりするため、パネルを正規の位置に固定することができない。
【0005】
しかしながら、パネル支持柱を等間隔に位置出しするのは手間であり、ずれることもある。また、例えば、複数のパネル支持柱を設け、隣り合うパネル支持柱間にパネルを設置する場合には、複数のパネルが並んで保持されるため、パネル支持柱が床から略鉛直に正確に位置出しされていないと、隣り合うパネル間の寸法がまちまちになってしまう。
【0006】
上記特許文献1に記載のものは、横胴縁に凹み部を切り取って形成しており、縦胴縁の幅よりわずかに大きく設定されているため(特許文献1、段落番号(0018)参照)、正確な位置出しが期待できない。また、ここに記載のものは、縦胴縁間にパネルを保持するものではなく、パネル支持柱を等間隔に位置出ししてパネルを設置するものではない。
【0007】
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、簡易に正確なパネル支持柱の位置出しができるパネル保持装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係るパネル保持装置は、壁の表面に水平方向に延出する柱受け部材を上下方向に並設し、この柱受け部材に上下方向に延出するパネル支持柱を水平方向に並設して、前記壁にパネルを保持させるパネル保持装置であって、前記柱受け部材は、前記パネル支持柱の両側面に沿うように前方に突出して形成された一対の位置決め突片を複数備え、各一対の位置決め突片の間に前記パネル支持柱を保持させることを特徴とする。
本発明において、前記位置決め突片は、柱受け部材の一部を切り起こして形成されていてもよい。
また本発明において、前記隣接するパネル支持柱間に1枚のパネルが支持される構成としてもよい。
さらに本発明において、前記壁の下方に下レールを配設し、該下レールは、前記パネル支持柱の下端部の両側面に沿うように上方に突出して形成された一対の位置決め突片を複数備え、各一対の位置決め突片の間に前記パネル支持柱を保持させる構成としてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るパネル保持装置によれば、簡易に正確なパネル支持柱の位置出しができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係るパネル保持装置を示す模式的斜視図である。
【図2】(a)は同パネル保持装置の柱受け部材にパネル支持柱が配設された状態を示す模式的斜視図であり、図1のA部の拡大図である。(b)は同柱受け部材を示す模式的斜視図である。
【図3】(a)は同パネル保持装置の下レールにパネル支持柱が配設された状態を示す模式的斜視図であり、図1のB部の拡大図である。(b)は同下レールを示す模式的斜視図である。
【図4】(a)は同パネル支持柱に設けられた係止部を示す模式的斜視図であり、図1のC部の拡大図である。(b)は同パネルの背面に設けられた被係止部を示す模式的斜視図であり、図1のD部を背面側から見た拡大図である。
【図5】同被係止部が、同係止部に係止された状態を示す模式的斜視図である。
【図6】パネルがパネル保持装置に取り付けられた状態を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1〜図6は、本実施形態に係るパネル保持装置1を説明するための概念図である。尚、図5は説明の都合上パネル4の図示を省略している。
パネル保持装置1は、壁10の表面に、水平方向に延出する柱受け部材2を上下方向に並設し、その前面に、上下方向に延出するパネル支持柱3を水平方向に並設させて構成される。そして、このパネル保持装置1にパネル4が保持される。柱受け部材2は、パネル支持柱3の両側面に沿うように前方に突出して形成された一対の位置決め突片22、22を複数備え、各一対の位置決め突片22、22の間にパネル支持柱3が保持される。
【0012】
以下、詳しく説明する。
図1に示すように、複数の柱受け部材2は、所定の間隔で壁10の表面に上下方向に並設された後、それらの前面に所定の間隔で複数のパネル支持柱3が水平方向に取り付けられる。パネル4は縦長の略矩形の形状を有しており、その背面42の二つの長辺の近傍には、パネル支持柱3に設けられた係止部6に係止される被係止部5が備えられている。
パネル4の構成は特に限定されるものではないが、たとえば調湿機能、脱臭機能等を有した機能パネルを用いてもよい。また、図では2本の柱受け部材2と8本のパネル支持柱3が配設されている例を示しているが、配設される本数は限定されることはなく、壁10の大きさなどに合わせて調節すればよい。さらに壁10の構成は特に限定されず、既存の壁でもよく、例えば、前面開口の凹所が形成された壁10であってもよい。
【0013】
柱受け部材2は、断面略C字形状の長尺部材からなり、図2(b)に示すように、横長の略矩形の平面部21と、その長手方向の両側面から略垂直に延出した折曲部23、23と、その端から略垂直に延出した裏面部24,24とで構成される。また、平面部21上の長手方向に、前方に突出するように平面部21の一部を切り起こしてして形成された一対の突片(以下では、第一位置決め突片と言う)22、22を複数対備える。この第一位置決め突片22は、舌片状に形成されており、後記するパネル支持柱3の両方の側面部32、32に沿うように前方に突出している。
その第一位置決め突片22の平面部21からの高さ(突出幅)は、パネル支持柱3を保持することができる程度の高さであればよい。また、第一位置決め突片22の切り起こし基部の幅は、大きすぎると柱受け部材2の強度を弱め、また、短すぎるとパネル支持柱3の保持力を弱めるため、その点を考慮して幅を決める必要がある。尚、突片は切り起こして形成されるのが望ましいが、これに限定されることはなく、例えば、新規に突片に相当する部材を平面部21に取り付けるなどの方法により形成してもよい。
柱受け部材2の材質としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウムあるいは比較的肉薄の鋼板などを用いるのが望ましい。
【0014】
パネル支持柱3は、図6に示すように、中空の縦長の直方体の形状をしており、前面部30、開口部30a、側面部32、背面部31からなり、前面部30には上下方向に開口した開口部30aが形成されている。また、図2などに示すように、両方の側面部32には幅方向の中央部付近にスライド溝32aが設けられている。また、図5に示すように、背面部31の幅方向の中央部分には、上下方向に細長い長孔状の操作孔31aが設けられている。
パネル支持柱3の材質としては、特に限定されるものではないが、例えば、樹脂材、ステンレス、アルミニウムなどを用いるのが望ましい。
【0015】
一対の第一位置決め突片22、22における、二つの突片の間隔は、パネル支持柱3の幅とほぼ同程度に設定されているため、一本のパネル支持柱3がこの一対の第一位置決め突片22、22の間にしっかりと保持されて位置決めされる。位置決めされた状態で、ネジなどの固定具(不図示)でパネルに保持される。
また、一対の第一位置決め突片22、22と、その隣の一対の第一位置決め突片22、22との間隔は、パネル4の幅とほぼ同程度に設定されている。同じ幅のパネル4のみを用いる際には、すべての間隔をその幅に合わせればよいし、一部異なる幅のパネル4を用いる場合は、そのパネルが取り付けられる場所のみ、対応する間隔に設定すればよい。
【0016】
次に、パネル支持柱3の下端部を支持する下レール7について説明する。
下レール7は壁10の下方に配設され、この下レール7は、パネル支持柱3の下端部の両側面に沿うように上方に突出して形成された一対の位置決め突片(以下では、第二位置決め突片と言う)72、72を複数備え、各一対の第二位置決め突片72、72の間にパネル支持柱3が保持される。
下レール7は、図3(b)に示すように、細長帯状の底面部71と、その長辺の一辺から略垂直に延出する縦板部73と、その端から底面部71の幅方向に出っ張った出っ張り部74からなる。出っ張り部74は、断面視において略コの字型の形状を有する。
下レール7は、縦板部73を壁10に接するようにして、ネジなどの固定具(不図示)により壁10に取り付けられる。出っ張り部74の幅方向の出っ張り幅は、柱受け部材2の折曲部23の厚みとほぼ同じ程度に設定されている。パネル支持柱3は、その背面部31が柱受け部材2の平面部21および下レール7の出っ張り部74に面した状態で、柱受け部材2および下レール7に配設されるため、壁10から等間隔の距離を保った状態となる。
【0017】
底面部71は、上方に突出するように、底面部71の一部が切り起こし形成された第二位置決め突片72、72を有しており、これを複数対、その長手方向に備える。この第二位置決め突片72は、第一位置決め突片22と同様に舌片状に形成されており、パネル支持柱3が下レール7に配設された際に、パネル支持柱3の下端部の両方の側面部32,32に沿うように、上方に突出して形成される。尚、突片の形成方法は切り起こしに限定されることはなく、例えば、新規に突片に相当する部材を底面部71に取り付けるなどの方法であってもよい。
下レール7の材質としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウムあるいは比較的肉薄の鋼板などを用いるのが望ましい。
【0018】
一対の第二位置決め突片72、72における、二つの突片の間隔は、パネル支持柱3の幅とほぼ同程度に設定されているため、一本のパネル支持柱3がこの一対の第二位置決め突片72,72の間にしっかりと保持されて位置決めされる。位置決めされた状態で、ネジなどの固定具(不図示)でパネルに保持される。
また、一対の第二位置決め突片72、72と、その隣の一対の第二位置決め突片72、72との間隔は、パネル4の幅とほぼ同程度に設定されている。同じ幅のパネル4のみを用いる際には、すべての間隔をその幅に合わせればよいし、一部異なる幅のパネル4を用いる場合は、そのパネルが取り付けられる場所のみ、対応する間隔に設置すればよい。
【0019】
次に、パネル保持装置1の組み立て手順、及びパネル4のパネル保持装置1への取り付け手順について説明する。
図1に示すように、まず床11の面に幅木ベース8が設置され、その上面に下レール7の底面部71が配設される一方、壁10の上方に上レール9が配設される。そして、壁10の表面に、水平方向に延出する柱受け部材2が、複数個所定の間隔を置いて上下方向に並設される。柱受け部材2は、この裏面部24,24を壁10に押し当てて、ネジなどの固定具(不図示)により壁10に取り付けられる。
【0020】
このとき、下レール7及び各柱受け部材2間で、対応する第二位置決め突片72及び第一位置決め突片22の位置が正確に上下方向に揃うようにして、下レール7及び各柱受け部材2を壁10に並設させる。その後、パネル支持柱3を、この一列の状態に上下方向に整列した一対の第二位置決め突片72、72及び第一位置決め突片22、22の間に保持させるようにする。パネル支持柱3の設置手順は特に限定されないが、具体的には、まず下レール7の一対の第二位置決め突片72、72の間にパネル支持柱3の下端部を配置して位置決めする。その後、パネル支持柱3の全体を壁10の方向に倒すようにして、各柱受け部材2の各一対の第一位置決め突片22、22の間にパネル支持柱3を配置させる。パネル支持柱3は、下レール7及び柱受け部材2に対してネジなどの固定具(不図示)により固定される。
パネル支持柱3の前面には、配設された各パネル4間の間隙を埋めるための、ゴム材や樹脂材などで形成された目地カバー33が設置される。図6に示すように、本体部33aと、本体部33aの端に設けられた係止片部33bとからなり、パネル支持柱3の開口部30aに係止片部30bが嵌って固定され、各パネル4の間隙から目地カバー33の本体部33aの表面が露出する。
【0021】
その後、1枚の略矩形状のパネル4が、隣接するパネル支持柱3間に配設される。
具体的には、まず、パネル4の下端部40を幅木ベース8の溝の部分に沿わせ、その状態を保ったままでパネル4全体を壁10の方向に倒すようにする。パネル4の背面部42の被係止部5が、パネル支持柱3に取り付けられた係止部6に係止することで、パネル4がパネル保持装置1に保持される。尚、図では、パネル4の下端部40を幅木ベース8に沿わせた後、その状態のままでパネル4全体を壁10の方向に倒してパネル4を配設する様式を示しているが、パネル4の配設要領はこれに限定されない。
【0022】
以上の構成によれば、下レール7及び柱受け部材2の各一対の第二位置決め突片72、72及び第一位置決め突片22、22の位置が、パネル支持柱3の位置決めを行う上での目印となる。そのため、パネル支持柱3ごとにピッチを測定して位置出しを行う必要がなく、簡易にパネル支持柱3の位置出しができ、施工時間を短縮できる。
また、一対の第二位置決め突片72、72及び第一位置決め突片22、22における、二つの突片の間隔は、パネル支持柱3の幅とほぼ同程度に設定されている。そのため、一対の第二位置決め突片72、72及び第一位置決め突片22、22の間にパネル支持柱3がしっかりと保持され、パネル支持柱3の取り付け作業がしやすい。さらに、下レール7及び各柱受け部材2間で、対応する第二位置決め突片72及び第一位置決め突片22の位置が正確に上下方向に揃うように配置することにより、正確な位置出しを行うことができる。
さらに、第二位置決め突片72及び第一位置決め突片22は、下レール7及び柱受け部材2の一部が切り起こされて形成されている。そのため、新規に突片に相当する部材を底面部71及び平面部21に取り付ける場合などと比較して、より簡易に、かつ、効率的にこれを形成することができる。また、新規に部材を取り付けるなどの方法とは異なり、自身の柱受け部材2の一部で構成されているため、経済的といえる。
【0023】
尚、下レール7及び柱受け部材2は、例えば、アルミニウムや比較的肉薄の鋼板などの比較的柔らかい材質のもので構成した場合は、第二位置決め突片72及び第一位置決め突片22の切り起こしの傾斜角度を若干修正したりすることが可能となる。つまり、下レール7あるいは各柱受け部材2間で、第二位置決め突片72あるいは第一位置決め突片22のずれが生じた時に、そのずれを微調整することができる。これは、ずれを調整するために、ずれの生じている下レール7あるいは柱受け部材2を取り外して正しい位置に設置し直す作業を行う必要がないことを意味する。すなわち、当該ずれの生じている柱受け部材2等を設置したままの状態で、パネル支持柱3が正規の位置に配設されるように、何らかの治具により第二位置決め突片72あるいは第一位置決め突片22を若干外側へ倒すことにより突出位置の微調整ができる。
さらに、隣接するパネル支持柱3の間隔はパネル4の幅とほぼ等しく設定されているため、隣接するパネル支持柱3間に1枚のパネル4が支持される構成である。このため、各パネル4を整然と配設することができ、意匠性を向上させることができる。さらに、各パネル4間に意匠性の高い目地カバー33を配置することにより、美観をより高めることができる。
【0024】
次に、パネル4のパネル支持柱3の係止部6への取り付け要領について説明する。
係止部6は、図6に示されているように、平板状の本体部60と、その両端から略垂直に延出する二つの側部61と、一方の側部61の端に略V字状に付加される折曲した折曲部62とからなる。本体部60と二つの側部61で構成された部分は断面図において略コの字の形状を有する。一つのパネル支持柱3の背面部31及び両側部32,32を抱持するように、二つの係止部6の当該略コの字の形状部分が嵌合されている。二つの係止部6は、互いの折曲部62が互い違いの位置に付加された状態で取り付けられる。
係止部6の材質としては、特に限定されないが、例えば金属材や樹脂材などの、被係止部5を係止する際に受ける押圧によって折曲部62が弾性変形するようなばね性を備えたものが望ましい。尚、折曲部62は、図に示す形状に限定されることはなく、後述する被係止部5の引掛部52と係止できる程度に、係止部6がパネル支持柱3に嵌合した際に、パネル支持柱3の外側に出っ張っている部分を有していればよい。
【0025】
被係止部5は、図1のD部を背面側から見た拡大図である図4(b)に示すように、プレート状の固定部50を備え、その端から略垂直に立設部51が延出し、その端から鍵状の引掛部52が略垂直に延出している。パネル4が壁10の方向に押圧されると、この引掛部52が対応する係止部6の折曲部62に係止し、パネル4を強固に取付状態とすることができる。固定部50は固定具5aによってパネル4の背面42に取り付けられるが、取り付け方式はこれに限定されない。
被係止部5の材質としては、特に限定されないが、例えば金属材や樹脂材などの、係止部6に係止される際に受ける押圧によって弾性変形するようなばね性を備えたものが望ましい。また、引掛部52は、係止部6の折曲部62に係止することができる程度に、パネル4の外側に向かって、出っ張っている部分を有していればよく、図の形状に限定されることはない。また、被係止部5の設置個数も図例に限定されず、パネル4の大きさ等に応じて複数設けるようにしてもよい。
【0026】
図5、図6には、被係止部5が係止部6に係止した状態が示されているが、わかりやすく説明するために、隣り合うパネル4にそれぞれ4A、4Bと符合を付している。またこれに伴いパネル4Aを係止する係止部6を6A、これに係止される被係止部5を5Aとし、同様にパネル4Bを係止する係止部6を6B、これに係止される被係止部5を5Bとしている。二つの係止部6のうちの一方の係止部6Aには、パネル支持柱3を挟んで一方の側のパネル4の被係止部5Aが係止され、他方の係止部6Bには、パネル支持柱3を挟んで別の側のパネル4の被係止部5Bが係止される。
係止部6の二つの側部61は、内側に出っ張るように形成されたスライド突条部61aを備えている。パネル支持柱3の両方の側面部32のスライド溝32aにスライド突条部61aが沿う状態で、係止部6がパネル支持柱3に嵌合する。スライド溝32aに対するスライド突条部61aの嵌まり込みによって、係止部6のパネル支持柱3からの外れが防止される。この嵌合の強さは、スライド突条部61aをスライド溝32aに沿ってスライドさせることができる程度の強さであるため、嵌合した二つの係止部6を上下方向に自在に動かすことができる。
【0027】
次に、パネル4のパネル支持柱3からの取りはずし要領について説明する。
係止部6の本体部60は、図6に示すように、係止部6の内側に突出する円筒状の突起部63を有しており、その内部には、ドライバーのような棒状体が通る程度の径の略円形状の押通孔64が形成されている。図6に示すように、係止部6がパネル支持柱3に取り付けられた際には、突起部63が前記操作孔31aを通ってパネル支持柱3の内部に出た状態となる。この操作孔31aの長手方向の両端付近に、二つの係止部6の各々の突起部63が位置するように各係止部6が所定位置に取り付けられる。
【0028】
パネル4を取り外す際には、まずは、開口部30aに取り付けた目地カバー33を取り外す。そして、ドライバーのような棒状体を、壁10とは反対側から係止部6の押通孔64に差し入れ、それを上あるいは下の方向に動かす。それにより、係止部6のみが、棒状体と同じ方向に動いて、パネル4の引掛部52と係合していた折曲部62がその引掛部52からはずれ、パネル4を取り外すことができる。尚、係止部6の本体部60の厚さは、壁10とパネル支持柱3との間の距離よりも小さく設定されているため、係止部6は外部の力を加えることにより可動となっている。
具体的な取り外し方法は、図5の例でいうと、ドライバーのような棒状体を下の係止部6Bの押通孔64に差し入れて上方に動かすことで、それに係合していたパネル4の被係止部5Bがはずれる。また、上の係止部6Aの押通孔64に差し入れて下方に動かすことで、それに係合していたパネル4の被係止部5Aがはずれる。
【0029】
スライド溝32a、スライド突条部61aの形状や配置は図例に限定されることはなく、係止部6をパネル支持柱3に対してスライドさせて、各パネル4を一枚ずつ簡易に取り外すことのできる構成であればよい。また、二つの係止部6の間隔は、両係止部6A、6Bが、被係止部5A、5Bから外れ得る程度の間隔が確保されていればよい
【0030】
以上の構成によれば、係止部6と被係止部5とが係止する構成を用いたものであるため、パネル40を押圧するだけでパネル支持柱3へ簡単に取り付けることができる。また、係止部6の押通孔64にドライバーのような棒状体を差し入れて上下に動かすことによりパネル4の被係止部5がはずれる構成であるため、簡単にパネル4を一枚ずつはずすことができる。
さらに、図6に示すように、被係止部5がパネル4の裏面に設置されており、外部から見えない位置にあるため、例えば、パネル4を木ネジなどで固定しカバーで覆う方式と比較して、意匠性が高い。
【0031】
尚、実施形態で説明したパネル4の形状や構成などは上述の図例に限定されず、柱受け部材2、パネル支持柱3、下レール7、目地カバー33の形状、構成、設置箇所なども図例に限定されるものではない。また、各第一位置決め突片22、第二位置決め突片72の形状、設置間隔、設置数量なども図例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0032】
1 パネル保持装置
2 柱受け部材
3 パネル支持柱
4 パネル
10 壁
22 第一位置決め突片
72 第二位置決め突片
7 下レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁の表面に水平方向に延出する柱受け部材を上下方向に並設し、この柱受け部材に上下方向に延出するパネル支持柱を水平方向に並設して、前記壁にパネルを保持させるパネル保持装置であって、
前記柱受け部材は、前記パネル支持柱の両側面に沿うように前方に突出して形成された一対の位置決め突片を複数備え、各一対の位置決め突片の間に前記パネル支持柱を保持させることを特徴とするパネル保持装置。
【請求項2】
請求項1に記載のパネル保持装置において、
前記位置決め突片は、柱受け部材の一部を切り起こして形成されていることを特徴とするパネル保持装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のパネル保持装置において、
隣接する前記パネル支持柱間に1枚のパネルが支持されることを特徴とするパネル保持装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のパネル保持装置において、
前記壁の下方に下レールを配設し、該下レールは、前記パネル支持柱の下端部の両側面に沿うように上方に突出して形成された一対の位置決め突片を複数備え、各一対の位置決め突片の間に前記パネル支持柱を保持させることを特徴とするパネル保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−2225(P2013−2225A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136978(P2011−136978)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】