説明

パネル構造及びトイレブース

【課題】 ドアパネルの回動時に生じる吊元パネルとの隙間が極めて小さくなり、指を詰めることがなく、外観もスッキリし、見栄えのあるパネル構造とする。
【解決手段】 ドアパネル10と吊元パネル20からなるフロントパネル50を備えるパネル構造において、前記ドアパネルの開口側の平面視の形状が半円であるとともに、前記半円の曲率中心rが前記ドアパネルの回動支点sと略々同一とする。更に前記吊元パネルの開口側の平面視の形状を略J字状の曲面とし、前記曲面の内側の先端には弾性材を突設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパネル構造及びトイレブースに係わり、特に指詰め防止機能を備えたパネル構造及びトイレブースに関する。
【背景技術】
【0002】
これまでより種々のパネル構造を有するトイレブースがあり、近年では外観がスッキリし、見栄えよくするために取っ手をフロントパネルの内側に設けたものが好まれている。そしてその多くは、開口部の隙間から内側が見えないよう様に工夫され、ドアパネルと吊元パネルの向かい合う端面を斜めにしたり円弧状にしたものが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2010−031464号公報
【特許文献2】特開2008−207420号公報
【特許文献3】特開平10−054184号公報
【特許文献4】特開平8−210035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、内側が見えないよう様に工夫されているものの、ドアパネルの開閉時には図7、図8に示すように吊元パネルの向かい合う端面にできた空間(w1、w2)は、静止状態時の隙間より大きくなり、この空間に指を詰めることがあり、とりわけ指の小さい乳幼児童にはわずかな隙間でも問題になることがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はかかる状況に鑑み検討されたもので、ドアパネルと吊元パネルからなるフロントパネルを備えるパネル構造において、前記ドアパネルの開口側の平面視の形状が半円であるとともに、前記半円の曲率中心が前記ドアパネルの回動支点と略々同一とすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ドアパネルの開口側の平面視の形状が半円であるとともに、前記半円の曲率中心が前記ドアパネルの回動支点と略々同一とすることにより、ドアパネルの回動時に生じる吊元パネルとの隙間が極めて小さくなり、指を詰めることがなく、外観もスッキリし、見栄えのあるものとなる。また、請求項3に記載のように弾性材を装着することにより、破損することなく変形し、内側での指詰めをも防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明について図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0008】
図1は本発明のパネル構造を有するトイレブースの要部拡大図であり、フロントパネルはドアパネル(10)と吊元パネル(20)とからなる。図2はドアパネル(10)の回動状態示す断面図であり、内開きタイプである。
【0009】
ドアパネル(10)は厚みが38mmで、芯材(11)とこの芯材(11)の表面を被覆した化粧板(15)とからなり、ドアパネル(10)の開口側は曲率半径rが19mmの半円形状(17)に加工されている。rは曲率中心である。
【0010】
芯材(11)としてはドアパネル(10)が軽量で組み立て作業が容易となるように紙製のハニカムコアやロールコア、アルミの如き金属製のハニカムコア、フェノール樹脂やウレタン樹脂の発泡体などの中空芯材と、合板、パ−ティクルボ−ド、MDF(中密度繊維板)、集成板、LVLあるいはこれらの複合材などの木質系素材、更に表裏に板状基材が接着したいわゆるフラッシュドアの構成からなるものを用いている。
【0011】
板状基材としては合板、MDF(中密度繊維板)、あるいはこれらの複合材などの木質系素材の中から適宜選択して用いればよい。
【0012】
表層はメラミン樹脂化粧板、ジアリルフタレート樹脂化粧板、ポリエステル化粧板、オレフィン樹脂フィルム、塩化ビニールシート、天然木化粧板などの化粧板(15)で被覆される。本発明では耐衝撃性、耐殺傷性などの諸物性に優れるメラミン化粧板を用いている。
【0013】
ドアパネル(10)の回動支点sと曲率中心rの距離は、フロントパネルの厚みにもよるが、概ねドアパネル(10)の回動時に吊元パネル(20)との間にできる空間に指を詰めないように回動支点sと曲率中心rの距離を5mm以下としてそれぞれの位置を略々同一にする。距離が0でない場合、回動支点sと曲率中心rを結ぶ直線は芯材(11)の幅方向に対して±5°の傾斜であればほほ発明の目的を達成できる。
【0014】
実施例1ではドアパネル(10)の回動支点sと曲率中心rを結ぶ直線は芯材(11)の幅方向と平行になっている。図3は回動支点sと曲率中心rの位置を示す拡大図であり、ドアパネル(10)の回動支点sと曲率中心rの距離は1mmで、曲率中心rの方が回動支点sより吊元パネル(20)側にある。回動支点sの方が吊元パネル(20)側にあると半円形の曲面(17)が略∫(積分記号)形の曲面(21)や、略J字状の曲面(31)に引っ掛かりやすくなり、ドアパネル(10)の開閉に支障をきたす。
【0015】
吊元パネル(20)の開口側は平面視の形状が略∫(積分記号)形の曲面(21)になっており、内開きのドアパネル(10)の内側の曲面と対峙する面にはなだらかな曲面(21a)、また、内開きのドアパネル(10)の外側の曲面と対峙する面にはなだらかな曲面(21a)より小さな曲面(21b)とからなり、開口部の隙間から内側が見えないよう様に曲面(21)は幾分傾斜している。
【0016】
内開きのドアパネル(10)の内側の曲面となだらかな曲面(21a)との間は、指を挟んでも影響が少なくなるようにスペース(W)が幾分広めにとってある。
【0017】
また、ドアパネル(10)の回動に支障がない様、しかも回動時に指を詰めないように隙間wは実施例1では2mmに設定されている。この場合、フロントパネルの厚みにもよるが、隙間は概ね1〜5mm程度であれば支障はない。
【実施例2】
【0018】
図4は、実施例2のパネル構造を有するトイレブースの要部拡大図であり、図5は回動支点sと曲率中心rの位置を示す拡大図である。実施例1と異なるのは回動支点sの位置が曲率中心rの位置と同一であることを特徴とする。実施例1と同様に指詰め防止し、ドアパネル(10)の回動時に吊元パネル(20)に引っ掛からないようにスムーズに動く。
【実施例3】
【0019】
図6は、実施例3のパネル構造を有するトイレブースの要部拡大断面図であり、前述と同様のドアパネル(10)と、開口側は平面視の形状が略J字状の曲面(31)であり、曲面(31)の内側の先端には弾性材(32)が突設された吊元パネル(30)から構成されている。実施例1、2では指を挟んでも影響が少なくなるようにスペース(W)が幾分広めにとってあったが、この弾性材(32)の緩衝効果により、指を挟んでも殆ど影響がないようになっている。
【0020】
弾性材(32)は、例えば、軟質塩ビ、シリコンゴムなどの中空部を有する成形品で、JIS K6301に規定する硬度が40〜60で、ASTM D―813に規定する屈曲強度が10万回以上のものが好適である。
【0021】
中空部がない場合や硬度が60を超える場合は弾性材(32)が変形しづらく内側での指詰めの緩衝効果が少なくなる。硬度が40に満たないと軟らかくなりすぎて内側での指詰めを起こしやすくなる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本実施例ではトイレブースを具体的に例示して説明したが、トイレブースに限らず、建物用の扉、収納家具の扉などに広く適用することができ、指を挟むことがなく産業上極めて有益なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例1のパネル構造を有するトイレブースの要部拡大断面図。
【図2】ドアパネルの回動の様子を示す要部拡大断面図。
【図3】図1の要部拡大断面図。
【図4】実施例2のパネル構造を有するトイレブースの要部拡大断面図。
【図5】図4の要部拡大断面図。
【図6】実施例3のパネル構造を有するトイレブースの回動の様子を示す要部拡大断面図。
【図7】従来の実施例を示すトイレブースの回動の様子を示す要部拡大断面図。
【図8】回動支点s2と曲率中心r2の距離が5mmを超える場合の回動の様子を示す要部拡大断面図。
【符号の説明】
【0024】
10 ドアパネル
10a ドアパネル
10b ドアパネル
15 化粧板
17 半円形の曲面
20 吊元パネル
20a 吊元パネル
20b 吊元パネル
21 略∫(積分記号)形の曲面
21a なだらかな曲面
21b 小さな曲面
30 吊元パネル
31 略J字状の曲面
32 弾性材
50 フロントパネル
r 曲率中心
s 回動支点
s1 回動支点
s2 回動支点
W スペース
w 隙間
w1 空間
w2 空間


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアパネルと吊元パネルからなるフロントパネルを備えるパネル構造において、前記ドアパネルの開口側の平面視の形状が半円であるとともに、前記半円の曲率中心が前記ドアパネルの回動支点と略々同一の位置であることを特徴とするパネル構造。
【請求項2】
前記吊元パネルの開口側の平面視の形状が略∫(積分記号)形の曲面であることを特徴とする請求項1記載のパネル構造。
【請求項3】
前記吊元パネルの開口側の平面視の形状が略J字状の曲面であり、前記曲面の内側の先端には弾性材が突設されていることを特徴とする請求項1記載のパネル構造。
【請求項4】
前記半円の曲率中心と前記ドアパネルの回動支点との距離が5mm以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載のパネル構造。
【請求項5】
前記半円の曲率中心と前記ドアパネルの回動支点との距離が0mmを超えるとともに、前記半円の曲率中心が、前記ドアパネルの回動支点より吊元パネル側にあり、前記ドアパネルの回動支点と前記半円の曲率中心を結ぶ直線がドアパネルの幅方向と平行であることを特徴とする請求項4記載のパネル構造。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか記載のパネル構造を有するトイレブース。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−67435(P2012−67435A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210318(P2010−210318)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000100698)アイカ工業株式会社 (566)
【Fターム(参考)】