説明

パネル連結部材

【課題】 パネルフリー方式の既設のフリーアクセスフロアについて、パネル固定方式に変更することなく、地震等により個々のパネルが独自に揺れ動くのを防止して、フリーアクセスフロア全体としての耐震性を向上させることができるパネル連結部材を提供する。
【解決手段】 上面に開口する貫通孔10を有する複数のパネル4同士を連結するパネル連結部材20であって、パネル4の上面に載置されるパネル押さえ用平板部材22と、上端部24aがパネル押さえ用平板部材22に連結された複数のピン部材24と、ピン部材24に連結され、ピン部材24をパネル4の貫通孔10に挿通した状態でパネル4に係止可能な複数の係止用板部材28とを備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーンルームや電算室等の床部に敷設されるフリーアクセスフロアを構成する、複数のフリーアクセスフロア用パネル同士を連結するパネル連結部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図19は、電算室等の床部に敷設される従来のフリーアクセスフロア2の敷設領域の一部を示す平面図である。同図に示す従来のフリーアクセスフロア2では、例えば、フリーアクセスフロア2の一部を構成する4枚のフリーアクセスフロアパネル4(以下、パネル4と呼ぶ)の各隅部が一ヶ所に集まる位置において、パネル4のそれぞれの隅部が、図20に示すように、支持脚上部に設置した調整台8上に載置されるようになっている。
【0003】
パネル4には、図19に示すように、上面に略矩形状に開口する貫通孔10が多数形成されている。また、パネル4には、図20に示すように、上面から下側方向に高さを有し、かつ、パネル4の平面方向に縦横に伸長される複数の小リブ12及び大リブ14が形成されている。大リブ14は、パネル4の平面形状の周縁部にも形成されており、この大リブ14の高さ寸法がパネル4の厚さ寸法と同一になっている。また、小リブ12の高さ寸法は、大リブ14の高さ寸法より小さくなっている。
【0004】
また、フリーアクセスフロア2は、敷設後において、パネル4下側の床下空間の利用等のためにパネル4を取外すこともあるため、パネル4を調整台8上に載置するだけで固定しないパネルフリー方式の構造が採用されることが一般的であった。
【0005】
上記パネルフリー方式のフリーアクセスフロア2では、パネル4が調整台8上に載置されているだけであるため、例えば、地震が発生した際の揺れ等によってパネル4が浮き上がったり、ひどい場合には調整台8からパネル4が落下したりするおそれがあった。そこで、パネル4の浮き上がりや落下を防止し、耐震性を向上させるために、パネル4を調整台8上にボルト等によって固定する構造のパネル固定方式のフリーアクセスフロアが採用される場合もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、新規にフリーアクセスフロアを施工する場合には、その構造としてパネル固定方式を採用することが容易に可能であるが、すでに施工済みである既設のパネルフリー方式のフリーアクセスフロアの構造をパネル固定方式に変更する場合は、パネル上に載置された機器等を移動させて既設のパネルや調整台を撤去した上で、パネル固定方式のパネルや調整台を再度施工しなければならないという問題があった。
【0007】
また、パネル固定方式のフリーアクセスフロアは、パネルフリー方式のフリーアクセスフロアよりも高価であるという問題があった。
【0008】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、パネルフリー方式の既設のフリーアクセスフロアについて、パネル固定方式に変更することなく、地震等により個々のパネルが独自に揺れ動くのを防止して、フリーアクセスフロア全体としての耐震性を向上させることができるパネル連結部材を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明によるパネル連結部材は、
上面に開口する貫通孔を有する複数のパネル同士を連結するパネル連結部材であって、
前記パネルの上面に載置されるパネル押さえ用平板部材と、
上端部が前記パネル押さえ用平板部材に連結された複数のピン部材と、
前記ピン部材に連結され、前記ピン部材を前記パネルの貫通孔に挿通した状態でパネルに係止可能な複数の係止用板部材とを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明によるパネル連結部材は、
前記ピン部材は前記係止用板部材とネジ結合により連結し、
前記ピン部材を回転させることにより、前記係止用板部材をピン部材の長さ方向に移動可能としたことを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明によるパネル連結部材は、
前記パネル押さえ用平板部材に水平方向に伸長するガイド部が形成され、
前記ピン部材が前記ガイド部に沿って移動可能となるように、前記ピン部材の上端部が前記ガイド部に係止されていることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明によるパネル連結部材は、前記ピン部材と前記係止用板部材とが互いに固定されていることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明によるパネル連結部材は、前記パネル押さえ用平板部材、前記ピン部材及び前記係止用板部材のそれぞれが互いに固定されていることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明によるパネル連結部材は、前記係止用板部材がこの長さ方向の一方の端部で前記ピン部材に連結されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
このような本発明のパネル連結部材によれば、パネルフリー方式の既設のフリーアクセスフロアについて、パネル固定方式に変更することなく、地震等により個々のパネルが独自に揺れ動くのを防止して、フリーアクセスフロア全体としての耐震性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係るパネル連結部材の最良の実施の形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
図1ないし図6は、本発明の第1の実施の形態に係るパネル連結金物20(パネル連結部材に相当)について説明するために参照する図である。
【0017】
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係るパネル連結金物20は、一枚の円板形状のパネル押さえ用平板部材22、4本の皿ネジ24(ピン部材に相当)、4個の抜止め用ナット26、及び4つの係止用板部材28を備えている。
【0018】
パネル押さえ用平板部材22には、図2に示すように、皿ネジ24の頭部24aの外周面の形状に対応して、内周面がすり鉢状に傾斜する4つの掛止孔30が、4枚のパネル4(図3参照)のそれぞれの最も隅部寄りの貫通孔10の位置に対応して形成されている。
【0019】
皿ネジ24は、図2に示すように、その頭部24aが掛止孔30に掛止して、皿ネジ24の軸線を中心に回転自在にパネル押さえ用平板部材22と連結していると共に、抜止め用ナット26が、パネル押さえ用平板部材22との間に若干の隙間を有するように、皿ネジ24にネジ結合された状態で皿ネジ24に溶着されている。また、皿ネジ24には、その頭部24aと反対側の下端部にフランジ部24bが形成されて、皿ネジ24とネジ結合した係止用板部材28がフランジ部24bに係止されて脱落しないようになっている。
【0020】
係止用板部材28は、図1に示すように、その長さ方向の寸法(図中、寸法D1)と幅方向の寸法(図中、寸法D2)が異なるように形成されており、図2に示すように、この長さ方向の一方の端部28aの位置で皿ネジ24にネジ結合するようになっている。したがって、係止用板部材28に対し皿ネジ24が軸線の回りに回転すると、係止用板部材28は皿ネジ24の長さ方向に移動するようになっている。
【0021】
次に、図3ないし図6に基づいて、このパネル連結金物20を、パネルフリー方式の既設のフリーアクセスフロア2のパネル4に取り付けて動作させるときの手順について説明する。
【0022】
4枚のパネル4同士が互いに連結されるようにパネル連結金物20を取付けるには、図3に示すように、最初に係止用板部材28の長さ方向を、対応するパネル4の貫通孔10の長さ方向と同じ方向に向けた状態にして、図4に示すように、係止用板部材28及び皿ネジ24を貫通孔10に挿入させ、パネル押さえ用平板部材22をパネル4の上面に載置させる。
【0023】
このとき係止用板部材28は、パネル4の高さ方向において、この係止用板部材28の上面と小リブ12の下端面との間に隙間を有するように、予め皿ネジ24のフランジ部24b寄りの位置に寄せておくようにする。
【0024】
次に、皿ネジ24を工具により軸線回りに回転させると、係止用板部材28は最初は皿ネジ24と一緒に回転し、当初において図3に示すように、その長さ方向がパネル4の貫通孔10の長さ方向と同じ方向に向けられていた状態から、図5に示すように、貫通孔10の長さ方向とほぼ90°異なる方向を向くようになる。そして、係止用板部材28はその平面形状の一部の領域が、パネル4の高さ方向において小リブ12と互いに重なり合うようになる。
【0025】
さらに皿ネジ24を回転させると、係止用板部材28はその長さ方向の端部28aとは反対側の端部28bが、パネル4の周縁部の大リブ14に当接する。このため、皿ネジ24は引続き回転することができるが、係止用板部材28は皿ネジ24と一緒に回転することができなくなる。
【0026】
このため、係止用板部材28は、皿ネジ24がさらに回転することにより、この皿ネジ24の長さ方向に沿って小リブ12に接近するように上方に移動する。そして、図6に示すように、この係止用板部材28を小リブ12に圧接する位置まで移動させることにより、この係止用板部材28が小リブ12に係止されるようになる。
【0027】
このような係止用板部材28を小リブ12に係止させる作業を、4つ全ての係止用板部材28について行なうことにより、パネル連結金物20を介して4つ全てのパネル4同士が互いに連結されるようになる。
【0028】
このようなパネル連結金物20によれば、パネルフリー方式の既設のフリーアクセスフロア2について、パネル固定方式に変更することなく、パネル連結金物20によりパネル4同士を互いに連結することにより、地震等で個々のパネル4が独自に揺れ動くのを防止して、フリーアクセスフロア2全体としての耐震性を向上させることができる。
【0029】
次に、図7ないし図9に基づいて、本発明の第2の実施の形態に係るパネル連結金物40(パネル連結部材)について説明する。
【0030】
本実施の形態に係るパネル連結金物40は、例えば図7及び図8に示すように、平面形状の最も隅部寄りの貫通孔10の長さ方向の延長上において、この貫通孔10の近傍の大リブ14に、小リブ12と同じ高さ部分を形成するような切欠き部41が当初から形成されているパネル4に対して取付けるのに適しているものである。
【0031】
本実施の形態に係るパネル連結金物40は、図7及び図8に示すように、前記第1の実施の形態に係るパネル連結金物20の、パネル押さえ用平板部材22、皿ネジ24及び係止用板部材28のそれぞれの代わりに、パネル押さえ用平板部材42、ピン部材44及び係止用板部材46を備えている。
【0032】
ピン部材44には、図8に示すように、その外周面にオネジは形成されておらず、また、その長さ方向の上端部には、前記第1の実施の形態に係るパネル連結金物20の皿ネジ24の頭部24aとほぼ同じ形状の頭部44aが形成されており、後述のレール部48に水平移動可能に係止されている。
【0033】
また、このピン部材44には、頭部44aと反対側の下端部44bに係止用板部材46が溶着されている。そして、ピン部材44は、頭部44aを除く長さ方向の寸法が、パネル4におけるその上面からの切欠き部41の高さ位置迄の寸法と、ほぼ同じ長さになっている。また、係止用板部材46は、この係止用板部材46の長さ方向に対して若干傾斜すると共に、パネル押さえ用平板部材42に対向する傾斜面46aを有している。
【0034】
また、パネル押さえ用平板部材42には、その厚さ方向と直角の方向、すなわち水平方向であって、対応する4枚のパネル4の平面形状の最も隅部寄りの、各貫通孔10の長さ方向に沿う方向に伸長される4つのレール部48(ガイド部)が形成されている。
【0035】
このレール部48は、ピン部材44がその頭部44aを係止した状態のままで、レール部48の長さ方向に沿って平行移動することができるような溝形状に形成されている。
【0036】
このパネル連結金物40を、パネルフリー方式の既設のフリーアクセスフロア2のパネル4に取り付ける際には、図7に示すように、最初にこのパネル連結金物40のピン部材44を、レール部48の一方の側に寄せて、このピン部材44に固定されている係止用板部材46の外形が、パネル4の貫通孔10の平面形状の領域内に納まるような状態にしておく。
【0037】
そして、この係止用板部材46及びピン部材44を、4枚のパネル4のそれぞれの貫通孔10に挿入させ、図8に示すように、パネル押さえ用平板部材42をパネル4の上面に載置させた後、図9に示すように、ピン部材44をレール部48の長さ方向に移動させる。このことにより、係止用板部材46の傾斜面46a(図8参照)を大リブ14の切欠き部41の水平面に圧接させて、係止用板部材46を切欠き部41に係止させるようにする。
【0038】
このようなパネル連結金物40によれば、前記第1の実施の形態に係るパネル連結金物20と同様に、パネルフリー方式の既設のフリーアクセスフロア2について、パネル固定方式に変更することなく、パネル連結金物40によりパネル4同士を互いに連結することにより、地震等で個々のパネル4が独自に揺れ動くのを防止して、フリーアクセスフロア2全体としての耐震性を向上させることができる。
【0039】
なお、本実施の形態では、切欠き部41を設けた4枚のパネル4同士を連結する場合について説明したが、係止用板部材46が係止可能な高さを持つリブが形成されたパネルであれば、このようなパネル同士は、本実施の形態に係るパネル連結金物40を用いて連結することができる。
【0040】
次に、図10ないし図12に基づいて、本発明の第3の実施の形態に係るパネル連結金物50(パネル連結部材)について説明する。
本実施の形態に係るパネル連結金物50は、前記第2の実施の形態に係るパネル連結金物40と異なり、パネル4の大リブ14に切欠き部41(図7及び図8参照)が形成されていなくても取付け可能になっているものである。
【0041】
本実施の形態に係るパネル連結金物50は、図10及び図11に示すように、前記第2の実施の形態に係るパネル連結金物40のパネル押さえ用平板部材42、及びピン部材44と同様の構造を有するパネル押さえ用平板部材52、及びピン部材54を備えている。そして、それぞれのピン部材54の下端部54bには、前記第2の実施の形態に係るパネル連結金物40のものと同様の、傾斜面46aを有する係止用板部材46が溶着されている。
【0042】
前記第2の実施の形態に係るパネル連結金物40は、図7に示すように、ピン部材44及び係止用板部材46が、パネル4における最も隅部寄りの貫通孔10に挿通されるため、このピン部材44及び係止用板部材46が、図8に示すように、パネル4の厚さ方向において調整台8と重なり合っていたのに対し、本実施の形態に係るパネル連結金物50は、図10に示すように、ピン部材54及び係止用板部材46が、パネル4の厚さ方向において調整台8と重なり合わない貫通孔10に挿通されるようになっている。
【0043】
また、ピン部材54及び係止用板部材46が挿通された貫通孔10の長さ方向の長さ範囲と隣合って、この貫通孔10の長さ方向と直角方向に伸長するよう形成された大リブ14の高さ寸法に対応して、ピン部材54は、図11に示すように、その長さ方向の寸法が、大リブ14の高さ寸法と、ほぼ同じ長さになっている。
【0044】
パネル連結金物50を、パネルフリー方式の既設のフリーアクセスフロア2のパネル4に取り付ける際には、前記第2の実施の形態に係るパネル連結金物40と同様に、貫通孔10に挿入した係止用板部材46及びピン部材54を、図12に示すように、レール部48(ガイド部)の長さ方向に移動させることにより、係止用板部材46の傾斜面46a(図11参照)を、大リブ14の高さ方向の下端面に圧接させることにより、係止用板部材46を大リブ14の下端面に係止させることができる。
【0045】
このようなパネル連結金物50によれば、前記第1及び第2の実施の形態に係るパネル連結金物20,40と同様に、パネルフリー方式の既設のフリーアクセスフロア2について、パネル固定方式に変更することなく、パネル連結金物50によりパネル4同士を互いに連結することにより、地震等で個々のパネル4が独自に揺れ動くのを防止して、フリーアクセスフロア2全体としての耐震性を向上させることができる。
【0046】
次に、図13ないし図15に基づいて、本発明の第4の実施の形態に係るパネル連結金物60(パネル連結部材)について説明する。
【0047】
本実施の形態に係るパネル連結金物60は、図13及び図14に示すように、一枚の円板形状のパネル押さえ用平板部材62、4本のピン部材64、及び4つの係止用板部材66を備えている。
【0048】
パネル押さえ用平板部材62の上面には、図13に示すように、一定深さを有する回動治具用係止溝68が形成されている。この回動治具用係止溝68には、例えば、硬貨の縁部を回動治具として挿し込んで係止させることができる。
【0049】
ピン部材64は、図14に示すように、その上端部64aがパネル押さえ用平板部材62に圧入等により固定して連結されており、この上端部64aとは反対側の下端部64bに、係止用板部材66が固定されている。そして、このようなパネル押さえ用平板部材62に固定されたピン部材64及び係止用板部材66の位置や向きは、図13に示すように、パネル4の最も隅部寄りの貫通孔10の位置や向きに対応している。
【0050】
また、ピン部材64は、図14に示すように、パネル押さえ用平板部材62に嵌合する部分を除く長さ方向の寸法が、パネル4におけるその上面からの小リブ12の下端位置迄の寸法と、ほぼ同じ長さになっている。また、係止用板部材66は、この長さ方向及び幅方向の両方に若干傾斜すると共に、パネル押さえ用平板部材62に対向する傾斜面66aを有している。
【0051】
パネル連結金物60を、パネルフリー方式の既設のフリーアクセスフロア2のパネル4に取り付ける際には、図13に示すように、係止用板部材66及びピン部材64を、対応する4枚のパネル4のそれぞれの貫通孔10に挿入させ、パネル押さえ用平板部材62をパネル4の上面に載置させる。
【0052】
そして、回動治具用係止溝68に不図示の回動治具を係止させ、この不図示の回動治具によりパネル連結金物60全体を時計回り方向に回動させて、図15に示すように、係止用板部材66を小リブ12の下にくぐらせることにより、係止用板部材66の傾斜面66a(図14参照)を小リブ12の高さ方向の下端面に圧接させて、この係止用板部材66を小リブ12に係止させることができる。
【0053】
このようなパネル連結金物60によれば、前記第1ないし第3の実施の形態に係るパネル連結金物20,40,50と同様に、パネルフリー方式の既設のフリーアクセスフロア2について、パネル固定方式に変更することなく、パネル連結金物60によりパネル4同士を互いに連結することにより、地震等で個々のパネル4が独自に揺れ動くのを防止して、フリーアクセスフロア2全体としての耐震性を向上させることができる。
【0054】
次に、図16ないし図18に基づいて、本発明の第5の実施の形態に係るパネル連結金物70(パネル連結部材)について説明する。
【0055】
本実施の形態に係るパネル連結金物70は、図16及び図17に示すように、前記第4の実施の形態に係るパネル連結金物60のパネル押さえ用平板部材62、ピン部材64、及び係止用板部材66とほぼ同様の構造を有するパネル押さえ用平板部材72、ピン部材74及び係止用板部材76を備えている。
【0056】
前記第4の実施の形態に係るパネル連結金物60は、図13に示すように、ピン部材64及び係止用板部材66が、パネル4における最も隅部寄りの貫通孔10に挿通されるため、このピン部材64及び係止用板部材66が、図14に示すように、パネル4の厚さ方向において調整台8と重なり合っていたのに対し、本実施の形態に係るパネル連結金物70は、図16に示すように、ピン部材74及び係止用板部材76が、パネル4の厚さ方向において調整台8と重なり合わない貫通孔10に挿通されるようになっている。
【0057】
また、ピン部材74及び係止用板部材76が挿通された貫通孔10の長さ方向の長さ範囲と隣合って、この貫通孔10の長さ方向と直角方向に伸長するよう形成された大リブ14、及び/又はこの貫通孔10の幅方向の脇を通り、この貫通孔10の長さ方向と平行に伸長するよう形成された大リブ14の高さ寸法に対応して、ピン部材74は、図17に示すように、パネル押さえ用平板部材72に嵌合する部分を除く長さ方向の寸法が、大リブ14の高さ寸法と、ほぼ同じ寸法になっている。
【0058】
また、本実施の形態に係るパネル連結金物70は、前記第4の実施の形態に係るパネル連結金物60と異なり、後述するように、パネル4に係止する際にパネル押さえ用平板部材72を反時計回り方向に回動させるため(図16及び図18参照)、図17に示す係止用板部材76の傾斜面76aは、その幅方向の傾斜が、前記第4の実施の形態に係るパネル連結金物60の係止用板部材66とは、逆向きになっている。
【0059】
パネル連結金物70を、パネルフリー方式の既設のフリーアクセスフロア2のパネル4に取り付ける際には、前記第4の実施の形態に係るパネル連結金物60と同様に、係止用板部材76及びピン部材74を、図16及び図17に示すように、対応する4枚のパネル4のそれぞれの貫通孔10に挿入させると共に、パネル押さえ用平板部材72をパネル4の上面に載置させる。
【0060】
この後に、回動治具用係止溝68に不図示の回動治具を係止させ、この不図示の回動治具によりパネル連結金物70全体を反時計回り方向に回動させることにより、図18に示すように、係止用板部材76の傾斜面76aを大リブ14の高さ方向の下端面に圧接させて、この係止用板部材76を大リブ14に係止させることができる。
【0061】
このようなパネル連結金物70によれば、前記第1ないし第4の実施の形態に係るパネル連結金物20,40,50,60と同様に、パネルフリー方式の既設のフリーアクセスフロア2について、パネル固定方式に変更することなく、パネル連結金物70によりパネル4同士を互いに連結することにより、地震等で個々のパネル4が独自に揺れ動くのを防止して、フリーアクセスフロア2全体としての耐震性を向上させることができる。
【0062】
なお、前記第1ないし第5の実施の形態では、4枚のパネル4の各隅部が一ヶ所に集まるように配置されている場合に、この4枚のパネル4の各隅部をパネル連結金物20,40,50,60,70により連結する場合について説明したが、他の実施の形態として、隣合うように配置された2枚のパネル4における、互いに突合わされた各辺の長さ方向の中間位置に、パネル連結金物20,40,50,60,70を取付けることにより、この2枚のパネル4の各辺を互いに連結するようにしてもよい。
【0063】
このような場合には、前記第1ないし第5の実施の形態に係るパネル連結金物20,40,50,60,70は、対応する貫通孔10の位置関係等を勘案して、その皿ネジ24又はピン部材44,54,64,74、及び係止用板部材28,46,56,66,76の個数を増減させたり、配置の位置や向きを変更するようにしてもよい。
【0064】
また、前記第1ないし第5の実施の形態では、予め貫通孔10が形成されたパネル4に対して、パネル連結金物20,40,50,60,70を取り付ける場合について説明したが、貫通孔10を有していない他のフリーアクセスフロア用パネルに対しても、前記パネル4の貫通孔10と同様の貫通孔を形成した上でパネル連結金物20,40,50,60,70を取り付けるようにしてもよい。
【0065】
また、前記第1の実施の形態では、皿ネジ24をパネル押さえ用平板部材22に連結するようになっていたが、この皿ネジ24を用いる代わりに、長さ方向の上端部が、その軸線を中心にして回転自在となるようにパネル押さえ用平板部材22に連結され、パネル押さえ用平板部材22の厚さを除く長さ部分の周面にオネジが形成されたピン部材を用いるようになっていてもよい。
【0066】
また、前記第1の実施の形態に係るパネル連結金物20の係止用板部材28は、その長さ方向の端部28aで皿ネジ24と連結していたが、その長さ方向の途中の位置で皿ネジ24と連結するようになっていてもよい。また、前記第2ないし第5の実施の形態に係るパネル連結金物40,50,60,70の係止用板部材46,66,76も同様に、その長さ方向の途中の位置でピン部材44,54,64,74と連結するようになっていてもよい。
【0067】
また、前記第2及び第3の実施の形態に係るパネル連結金物40,50は、そのパネル押さえ用平板部材42,52にレール部48(ガイド部)が溝形状となるように形成されていたが、ピン部材44,54がパネル押さえ用平板部材42の厚さ方向と直角の方向に移動することができるような構造であれば、ガイド部は溝形状のものに限定されない。
【0068】
また、前記第5の実施の形態に係るパネル連結金物70は、図17に示すように、そのピン部材74が大リブ14の高さ寸法とほぼ同じ長さ寸法を有し、図16及び図18に示すように、パネル連結金物70全体を反時計回り方向に回動させることにより、係止用板部材76を大リブ14に係止させるようになっていたが、ピン部材74が小リブ12の高さ寸法とほぼ同じ長さ寸法を有するようにすると共に、係止用板部材76の代わりに係止用板部材66(図14参照)を備えるようにして、パネル連結金物70全体を時計回りに回動させることにより、係止用板部材66を小リブ12に係止させるようになっていてもよい。
【0069】
また、前記第1ないし第5の実施の形態に係るパネル連結金物20,40,50,60,70(パネル連結部材)は、その構成部品がそれぞれ金属製のものを用いたが、パネル連結部材は金属以外の材料によっても形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るパネル連結金物20の平面図である。
【図2】図1に示すパネル連結金物20の側面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るパネル連結金物20、及びこれにより連結されるパネル4を示す平面図であって、パネル連結金物20の係止用板部材28をパネル4の小リブ12に係止する前の状態を示す図である。
【図4】図3中のパネル連結金物20及びパネル4のB−B線矢視断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るパネル連結金物20、及びパネル4を示す平面図であって、パネル連結金物20の係止用板部材28をパネル4の小リブ12の下に係止した状態を示す図である。
【図6】図5中のパネル連結金物20及びパネル4のC−C線矢視断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るパネル連結金物40、及びパネル4を示す平面図であって、パネル連結金物40の係止用板部材46をパネル4の切欠き部41に係止する前の状態を示す図である。
【図8】図7中のパネル連結金物40及びパネル4のD−D線矢視断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るパネル連結金物40、及びパネル4を示す平面図であって、パネル連結金物40の係止用板部材46をパネル4の切欠き部41の下に係止した状態を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係るパネル連結金物50、及びパネル4を示す平面図であって、パネル連結金物50の係止用板部材46をパネル4の大リブ14に係止する前の状態を示す図である。
【図11】図10中のパネル連結金物50及びパネル4のE−E線矢視断面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係るパネル連結金物50、及びパネル4を示す平面図であって、パネル連結金物50の係止用板部材46をパネル4の大リブ14の下に係止した状態を示す図である。
【図13】本発明の第4の実施の形態に係るパネル連結金物60、及びパネル4を示す平面図であって、パネル連結金物60の係止用板部材66をパネル4の小リブ12に係止する前の状態を示す図である。
【図14】図13中のパネル連結金物60及びパネル4のF−F線矢視断面図である。
【図15】本発明の第4の実施の形態に係るパネル連結金物60、及びパネル4を示す平面図であって、パネル連結金物60の係止用板部材66をパネル4の小リブ12の下に係止した状態を示す図である。
【図16】本発明の第5の実施の形態に係るパネル連結金物70、及びパネル4を示す平面図であって、パネル連結金物70の係止用板部材76をパネル4の大リブ14に係止する前の状態を示す図である。
【図17】図16中のパネル連結金物70及びパネル4のG−G線矢視断面図である。
【図18】本発明の第5の実施の形態に係るパネル連結金物70、及びパネル4を示す平面図であって、パネル連結金物70の係止用板部材76をパネル4の大リブ14の下に係止した状態を示す図である。
【図19】従来のフリーアクセスフロア2のパネル4の各隅部の突合せ部を示す平面図である。
【図20】図19中のパネル4のA−A線矢視断面図である。
【符号の説明】
【0071】
2 フリーアクセスフロア
4 フリーアクセスフロア用パネル
8 調整台
10 貫通孔
12,14 リブ
20 パネル連結金物
22 パネル押さえ用平板部材
24 皿ネジ
24a 頭部
24b フランジ部
26 抜止めナット
28 係止用板部材
28a,28b 端部
30 掛止孔
40 パネル連結金物
41 切欠き部
42 パネル押さえ用平板部材
44 ピン部材
44a 頭部
44b 下端部
46 係止用板部材
46a 傾斜面
48 レール部
50 パネル連結金物
52 パネル押さえ用平板部材
54 ピン部材
54b 下端部
60 パネル連結金物
62 パネル押さえ用平板部材
64 ピン部材
64a 上端部
64b 下端部
66 係止用板部材
66a 傾斜面
68 回動治具用係止溝
70 パネル連結金物
72 パネル押さえ用平板部材
74 ピン部材
76 係止用板部材
76a 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口する貫通孔を有する複数のパネル同士を連結するパネル連結部材であって、
前記パネルの上面に載置されるパネル押さえ用平板部材と、
上端部が前記パネル押さえ用平板部材に連結された複数のピン部材と、
前記ピン部材に連結され、前記ピン部材を前記パネルの貫通孔に挿通した状態でパネルに係止可能な複数の係止用板部材と
を備えたことを特徴とするパネル連結部材。
【請求項2】
前記ピン部材は前記係止用板部材とネジ結合により連結し、
前記ピン部材を回転させることにより、前記係止用板部材をピン部材の長さ方向に移動可能としたことを特徴とする請求項1に記載のパネル連結部材。
【請求項3】
前記パネル押さえ用平板部材に水平方向に伸長するガイド部が形成され、
前記ピン部材が前記ガイド部に沿って移動可能となるように、前記ピン部材の上端部が前記ガイド部に係止されていることを特徴とする請求項1に記載のパネル連結部材。
【請求項4】
前記ピン部材と前記係止用板部材とが互いに固定されていることを特徴とする請求項1又は3に記載のパネル連結部材。
【請求項5】
前記パネル押さえ用平板部材、前記ピン部材及び前記係止用板部材のそれぞれが互いに固定されていることを特徴とする請求項1に記載のパネル連結部材。
【請求項6】
前記係止用板部材がこの長さ方向の一方の端部で前記ピン部材に連結されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のパネル連結部材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2007−56612(P2007−56612A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−245494(P2005−245494)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(000233239)日立機材株式会社 (225)
【Fターム(参考)】