説明

パルス生成回路およびパルス生成方法

【課題】電源電圧の変動しやすい容量の小さい電源である環境下でも、安定したパルス信号を生成できるようにする。
【解決手段】タイミング制御回路1−1,1−2と論理回路2−1とを設ける。タイミング制御回路1−1,1−2は、放電制御端子S11,S21と充電制御端子S12,S22,と信号出力端子T1,T2を有し、内部に時定数素子を備えている。先ず、充電制御端子S12,S22へ充電の開始を指示し、端子T1,T2から出力される電圧VT1,VT2を「H」レベルとする。次に、放電制御端子S11へ放電の開始を指示し、遅延時間τ1経過後に電圧VT1を「L」レベルとし、タイミング制御回路1−2での放電を開始させ、遅延時間τ2経過後に電圧VT2を「L」レベルとする。このタイミング制御回路1−1,1−2からの電圧VT1,VT2を論理回路2−1へ与え、論理回路2−1よりタイミング制御回路1−2での遅延時間τ2をパルス幅とするパルス信号PS1を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発振器なしでパルス信号を生成するパルス生成回路およびパルス生成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
「いつでも、どこでも、だれでも」といわれるユビキタスネットワーク社会を真に実現するためには、物に付随する情報とその物自身が密接に結びつく必要がある。この機能の実現のため、物と情報を結び付けるRFID(radio frequency identification)と呼ばれる無線タグが普及し始めている。このRFIDが世間に広く普及するには、低価格化、通信距離の遠距離化、返信の確度などといった解決すべき課題も多い。
【0003】
このRFIDは電池を持たず外部の電波から電力を回収して動作するため、不安定な電源電圧下で動作しなければならず、低消費電力でありかつ電圧の変動に強い回路構成が重要となる。また、RFIDでは電力の受信とデータの送信に同じアンテナを用いる。このことから、データ送信時に十分な電力を回収できないため、電力受信時に貯めておいた電力を用いて動作する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−044414号公報(特開1992−044414号公報)
【特許文献2】特開平4−267622号公報(特開1992−267622号公報)
【特許文献3】特開平1−303916号公報(特開1989−303916号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、RFIDでは、回路の動作タイミングを決定するクロックやパルスを生成する回路として、リングオシレータや電圧制御発振器などが用いられている。しかし、このリングオシレータや電圧制御発振器などは、常に一定の電力を消費するため、電源電圧が変動しやすい容量の小さな電源を用いて動作する場合、電源電圧の変動を生じさせ、回路動作に影響を与えるという問題がある。なお、本願に関連する技術として、特許文献1,2,3などが開示されているが、何れも本願とはその構成が異なっている。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、電源電圧の変動しやすい容量の小さい電源である環境下でも、安定したパルス信号を生成することが可能なパルス生成回路およびパルス生成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために本発明は、放電開始の指示を受けて、あらじめ充電されている電荷の放電を開始し、この放電によって定まる遅延時間の経過後に第1のタイミング信号を生成する第1のタイミング生成回路と、この第1のタイミング生成回路が生成する第1のタイミング信号を受けて、あらじめ充電されている電荷の放電を開始し、この放電によって定まる遅延時間の経過後に第2のタイミング信号を生成する第2のタイミング生成回路と、第1のタイミング生成回路が生成する第1のタイミング信号と第2のタイミング生成回路が生成する第2のタイミング信号とから第1のパルス信号を生成する第1の論理回路とを設けたものである。
【0008】
この発明によれば、放電開始の指示が第1のタイミング生成回路に与えられ、当該第1のタイミング生成回路において、充電されている電荷の放電が開始され、この放電によって定まる遅延時間の経過後に第1のタイミング信号が生成される。そして、この第1のタイミング生成回路が生成する第1のタイミング信号が第2のタイミング生成回路へ与えらえ、当該第2のタイミング生成回路において、充電されている電荷の放電が開始され、この放電によって定まる遅延時間の経過後に第2のタイミング信号が生成される。この第1のタイミング生成回路が生成する第1のタイミング信号および第2のタイミング生成回路が生成する第2のタイミング信号が第1の論理回路へ与えられ、当該第1の論理回路において、第1のパルス信号が生成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、タイミング生成回路にあらかじめ充電されている電荷、すなわちタイミング生成回路にあらかじめ貯蓄されている電力を用いてタイミング信号が生成され、この貯蓄された電力を用いて生成されたタイミング信号からパルス信号が生成されるので、パルス信号を生成する際の消費電力を大幅に削減することができ、電源電圧の変動しやすい容量の小さい電源である環境下でも、安定したパルス信号を生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るパルス生成回路の第1の実施例(実施例1)の構成の一部を示すブロック図である。
【図2】このパルス生成回路で用いられる論理回路(排他的論理和(EXOR回路))の真理値表を示す図である。
【図3】実施例1のパルス生成回路の動作を説明するためのタイムチャートである。
【図4】本発明に係るパルス生成回路の第2の実施例(実施例2)の構成の一部を示すブロック図である。
【図5】実施例2のパルス生成回路の動作を説明するためのタイムチャートである。
【図6】本発明に係るパルス生成回路の第3の実施例(実施例3)の構成の一部を示すブロック図である。
【図7】実施例3のパルス生成回路の動作を説明するためのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るパルス生成回路の実施例について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
〔実施例1〕
図1はこの発明に係るパルス生成回路の第1の実施例(実施例1)の構成の一部を示すブロック図である。この実施例1のパルス生成回路は、放電制御端子S11と充電制御端子S12を入力端子とし、信号出力端子T1を出力端子とするタイミング生成回路1−1と、放電制御端子S21と充電制御端子S22を入力端子とし、信号出力端子T2を出力端子とするタイミング生成回路1−2と、信号入力端子U11,U12を入力端子とし、パルス出力端子P1を出力端子とする論理回路2−1とを備えている。
【0013】
タイミング生成回路1−1,1−2は内部に時定数素子(図示せず)を持ち、その時定数素子への充放電により遅延時間が生じ、パルスが状態遷移するタイミングを生成する。このタイミングの生成については後述する。
【0014】
タイミング生成回路1−1は、放電制御端子S11の電圧レベルが「L」レベルとされている時、充電制御端子S12に「L」レベルの信号が入力されると、時定数素子が充電される。この時定数素子の充電により、その充電電圧が十分に充電された状態を示す閾値電圧に達すると、信号出力端子T1の電圧レベルが「H」レベル(充電状態を示す値)となる。そして、信号出力端子T1の電圧レベルが「H」レベルとなると、充電制御端子S12の電圧レベルに拘わらず、放電制御端子S11の電圧レベルが「L」レベルから「H」レベルへ変化しない限り、信号出力端子T1の電圧レベルは「H」レベルを保つ。放電制御端子S11の電圧レベルが「L」レベルから「H」レベルへ変化すると、タイミング生成回路1−1内の時定数素子は放電を開始し、この放電によって定まる遅延時間τ1の経過後に、信号出力端子T1の電圧レベルは「L」レベル(未充電状態を示す値)となる。
【0015】
タイミング生成回路1−2は、放電制御端子S21の電圧レベルが「L」レベルとされている時、充電制御端子S22に「L」レベルの信号が入力されると、時定数素子が充電される。この時定数素子の充電により、その充電電圧が十分に充電された状態を示す閾値電圧に達すると、信号出力端子T2の電圧レベルが「H」レベル(充電状態を示す値)となる。そして、信号出力端子T2の電圧レベルが「H」レベル(充電状態を示す値)となると、充電制御端子S22への信号のレベルに拘わらず、放電制御端子S21の電圧レベルが「H」レベルから「L」レベルへ変化しない限り、信号出力端子T2の電圧レベルは「H」レベルを保つ。放電制御端子S21の電圧レベルが「H」レベルから「L」レベルへ変化すると、タイミング生成回路1−2内の時定数素子は放電を開始し、この放電によって定まる遅延時間τ2の経過後に、信号出力端子T2の電圧レベルは「L」レベル(未充電状態を示す値)となる。
【0016】
タイミング生成回路1−1の信号出力端子T1は、タイミング生成回路1−2の放電制御端子S21に接続されるとともに、論理回路2−1の信号入力端子U11に接続されている。タイミング生成回路1−2の信号出力端子T2は、論理回路2−1の信号入力端子U12に接続されている。論理回路2−1は排他的論理和(EXOR回路)とされている。図2に論理回路2−1の真理値表を示す。
【0017】
〔実施例1の動作〕
次に、図3に示すタイミングチャートを参照して、図1に示した実施例1の動作について説明する。なお、この実施例1では、タイミング生成回路1−1の放電制御端子S11に与えられる電圧をVD、充電制御端子S12に与えられる電圧をVC1、信号出力端子T1から出力される電圧をVT1、タイミング生成回路1−2の充電制御端子S22に与えられる電圧をVC2、信号出力端子T2から出力される電圧をVT2、論理回路2−1のパルス信号出力端子P1から出力される電圧をVP1とする。
【0018】
今、初期状態として、放電制御端子S11への電圧VDが「L」レベル、充電制御端子S12,S22への電圧VC1,VC2が「H」レベル、信号出力端子T1,T2からの電圧VT1,VT2が「L」レベル(未充電状態を示す値)、パルス信号出力端子P1からの電圧VP1が「L」レベルであるとする。
【0019】
〔充電〕
この状態から、先ず、充電制御端子S12,S22への電圧VC1,VC2を「L」レベルとする(図3(b),(d)に示すt1点)。すなわち、充電制御端子S12,S22への充電の指示をONとする。
【0020】
これにより、タイミング生成回路1−1,1−2における時定数素子の充電が開始され、その充電電圧が十分に充電された状態を示す閾値電圧に達すると、信号出力端子T1,T2から出力される電圧VT1,VT2が「H」レベル(充電状態を示す値)となる(図3(c),(e)に示すt2点)。
【0021】
タイミング生成回路1−1,1−2において、信号出力端子T1,T2の電圧レベルが「H」レベルとなったら、充電制御端子S12,S22への電圧VC1,VC2を「H」レベルとする(図3(b),(d)に示すt2点)。すなわち、充電制御端子S12,S22への充電の指示をOFFとする。この場合、放電制御端子S11,S21への放電の指示がONとされない限り(リーク電流は無視)、信号出力端子T1,T2から出力される電圧VT1,VT2は「H」レベルを保つ。
【0022】
〔放電(1段目):タイミング生成回路1−1〕
次に、タイミング生成回路1−1の放電制御端子S11への電圧VDを「H」レベルとする(図3(a)に示すt2点)。すなわち、放電制御端子S11への放電の指示をONとする。
【0023】
この放電開始の指示を受けて、タイミング生成回路1−1における時定数素子が放電を開始し(あらかじめ充電されている電荷の放電を開始し)、この放電によって定まる遅延時間τ1の経過後に、タイミング生成回路1−1の信号出力端子T1から出力される電圧VT1が「L」レベル(未充電状態を示す値)となる(図3(c)に示すt3点)。
【0024】
〔放電(2段目):タイミング生成回路1−2〕
タイミング生成回路1−1の信号出力端子T1から出力される電圧VT1が「L」レベルとなると、この「L」レベルの電圧VT1がタイミング生成回路1−2の放電制御端子S21に放電開始の指示として与えられる。これにより、タイミング生成回路1−2における時定数素子が放電を開始し(あらかじめ充電されている電荷の放電を開始し)、この放電によって定まる遅延時間τ2の経過後に、タイミング生成回路1−2の信号出力端子T2から出力される電圧VT2が「L」レベル(未充電状態を示す値)となる(図3(e)に示すt4点)。
【0025】
〔パルス信号の生成:論理回路2−1〕
タイミング生成回路1−1から出力される電圧VT1が「L」レベルとなると(図3(c)に示すt3点)、この「L」レベルの電圧VT1が論理回路2−1の信号入力端子U11へ与えられる。この時、論理回路2−1の信号入力端子U12へはタイミング生成回路1−2からの「H」レベルの電圧VT2が与えられているので、論理回路2−1のパルス出力端子P1から出力される電圧VP1は「H」レベルとなる(図3(f)に示すt3点)。
【0026】
タイミング生成回路1−2から出力される電圧VT2が「L」レベルとなると(図3(e)に示すt4点)、この「L」レベルの電圧VT2が論理回路2−1の信号入力端子U12へ与えられる。この時、論理回路2−1の信号入力端子U11へはタイミング生成回路1−1からの「L」レベルの電圧VT1が与えられているので、論理回路2−1のパルス出力端子P1から出力される電圧VP1は「L」レベルとなる(図3(f)に示すt4点)。
【0027】
これにより、図3(f)に示されるように、タイミング生成回路1−1が出力する電圧VT1の「H」レベルから「L」レベルへの立ち下がり時刻(第1のタイミング信号の発生時刻)とタイミング生成回路1−2が出力する電圧VT2の「H」レベルから「L」レベルへの立ち下がり時刻(第2のタイミング信号の発生時刻)とによってその幅が定まるパルス信号PS1が生成され、すなわちそのパルス幅をタイミング生成回路1−2での遅延時間τ2とするパルス信号PS1が生成され、この生成されたパルス信号PS1が論理回路2−1の信号出力端子P1から出力されるものとなる。
【0028】
〔実施例1の効果〕
以上の説明から分かるように、この実施例1では、タイミング生成回路1−1,1−2における時定数素子をあらかじめ充電しておき、その後順次放電動作をさせるた、パルス信号PS1の生成時に充電動作による電源電圧の低下がなく、容量の小さい電源でも安定したタイミング生成動作が可能となる。これにより、パルス信号を生成する際の消費電力を削減するとともに、電源電圧の変動しやすい容量の小さい電源である環境下でも、安定したパルス信号を生成することが可能となる。
【0029】
〔実施例2〕
図4はこの発明に係るパルス生成回路の第2の実施例(実施例2)の構成の一部を示すブロック図である。この実施例2のパルス生成回路は、図1に示したパルス生成回路を基本構成とし、この基本構成にタイミング生成回路1−3と論理回路2−2を加えた回路構成としている。なお、タイミング生成回路1−3はタイミング生成回路1−2と同一の機能を有し、論理回路2−2は論理回路2−1と同一の機能を有する。
【0030】
この実施例2において、タイミング生成回路1−2の信号出力端子T2は、タイミング生成回路1−3の放電制御端子S31に接続されるとともに、論理回路2−2の信号入力端子U21に接続されている。タイミング生成回路1−3の信号出力端子T3は、論理回路2−2の信号入力端子U22に接続されている。
【0031】
〔実施例2の動作〕
次に、図5に示すタイミングチャートを参照して、図4に示した実施例2の動作について説明する。なお、この実施例2では、タイミング生成回路1−1の放電制御端子S11に与えられる電圧をVD、充電制御端子S12に与えられる電圧をVC1、信号出力端子T1から出力される電圧をVT1、タイミング生成回路1−2の充電制御端子S22に与えられる電圧をVC2、信号出力端子T2から出力される電圧をVT2、タイミング生成回路1−3の充電制御端子S32に与えられる電圧をVC3、信号出力端子T3から出力される電圧をVT3、論理回路2−1のパルス信号出力端子P1から出力される電圧をVP1、論理回路2−2のパルス信号出力端子P2から出力される電圧をVP2とする。
【0032】
今、初期状態として、放電制御端子S11への電圧VDが「L」レベル、充電制御端子S12,S22への電圧VC1,VC2,VC3が「H」レベル、信号出力端子T1,T2,T3からの電圧VT1,VT2,VT3が「L」レベル(未充電状態を示す値)、パルス信号出力端子P1,P2からの電圧VP1,VP2が「L」レベルであるとする。
【0033】
〔充電〕
この状態から、先ず、充電制御端子S12,S22,S32への電圧VC1,VC2,VC3を「L」レベルとする(図5(b),(d),(f)に示すt1点)。すなわち、充電制御端子S12,S22,S32への充電の指示をONとする。
【0034】
これにより、タイミング生成回路1−1,1−2,1−3における時定数素子の充電が開始され、その充電電圧が十分に充電された状態を示す閾値電圧に達すると、信号出力端子T1,T2,T3から出力される電圧VT1,VT2,VT3が「H」レベル(充電状態を示す値)となる(図3(c),(e),(g)に示すt2点)。
【0035】
タイミング生成回路1−1,1−2,1−3において、信号出力端子T1,T2,T3の電圧レベルが「H」レベルとなったら、充電制御端子S12,S22,S32への電圧VC1,VC2,VC3を「H」レベルとする(図5(b),(d),(f)に示すt2点)。すなわち、充電制御端子S12,S22,S32への充電の指示をOFFとする。この場合、放電制御端子S11,S21,S31への放電の指示がONとされない限り(リーク電流は無視)、信号出力端子T1,T2,T3から出力される電圧VT1,VT2,VT3は「H」レベルを保つ。
【0036】
〔放電(1段目):タイミング生成回路1−1〕
次に、タイミング生成回路1−1の放電制御端子S11への電圧VDを「H」レベルとする(図5(a)に示すt2点)。すなわち、放電制御端子S11への放電の指示をONとする。
【0037】
この放電開始の指示を受けて、タイミング生成回路1−1における時定数素子が放電を開始し(あらかじめ充電されている電荷の放電を開始し)、この放電によって定まる遅延時間τ1の経過後に、タイミング生成回路1−1の信号出力端子T1から出力される電圧VT1が「L」レベル(未充電状態を示す値)となる(図5(c)に示すt3点)。
【0038】
〔放電(2段目):タイミング生成回路1−2〕
タイミング生成回路1−1の信号出力端子T1から出力される電圧VT1が「L」レベルとなると、この「L」レベルの電圧VT1がタイミング生成回路1−2の放電制御端子S21に放電開始の指示として与えられる。これにより、タイミング生成回路1−2における時定数素子が放電を開始し(あらかじめ充電されている電荷の放電を開始し)、この放電によって定まる遅延時間τ2の経過後に、タイミング生成回路1−2の信号出力端子T2から出力される電圧VT2が「L」レベル(未充電状態を示す値)となる(図5(e)に示すt4点)。
【0039】
〔放電(3段目):タイミング生成回路1−3〕
タイミング生成回路1−2の信号出力端子T2から出力される電圧VT2が「L」レベルとなると、この「L」レベルの電圧VT2がタイミング生成回路1−3の放電制御端子S31に放電開始の指示として与えられる。これにより、タイミング生成回路1−3における時定数素子が放電を開始し(あらかじめ充電されている電荷の放電を開始し)、この放電によって定まる遅延時間τ3の経過後に、タイミング生成回路1−3の信号出力端子T3から出力される電圧VT3が「L」レベル(未充電状態を示す値)となる(図5(g)に示すt5点)。
【0040】
〔パルス信号の生成:論理回路2−1〕
タイミング生成回路1−1から出力される電圧VT1が「L」レベルとなると(図5(c)に示すt3点)、この「L」レベルの電圧VT1が論理回路2−1の信号入力端子U11へ与えられる。この時、論理回路2−1の信号入力端子U12へはタイミング生成回路1−2からの「H」レベルの電圧VT2が与えられているので、論理回路2−1のパルス出力端子P1から出力される電圧VP1は「H」レベルとなる(図5(h)に示すt3点)。
【0041】
タイミング生成回路1−2から出力される電圧VT2が「L」レベルとなると(図5(e)に示すt4点)、この「L」レベルの電圧VT2が論理回路2−1の信号入力端子U12へ与えられる。この時、論理回路2−1の信号入力端子U11へはタイミング生成回路1−1からの「L」レベルの電圧VT1が与えられているので、論理回路2−1のパルス出力端子P1から出力される電圧VP1は「L」レベルとなる(図5(h)に示すt4点)。
【0042】
これにより、図5(h)に示されるように、タイミング生成回路1−1が出力する電圧VT1の「H」レベルから「L」レベルへの立ち下がり時刻(第1のタイミング信号の発生時刻)とタイミング生成回路1−2が出力する電圧VT2の「H」レベルから「L」レベルへの立ち下がり時刻(第2のタイミング信号の発生時刻)とによってその幅が定まるパルス信号PS1が生成され、すなわちそのパルス幅をタイミング生成回路1−2での遅延時間τ2とするパルス信号PS1が生成され、この生成されたパルス信号PS1が論理回路2−1の信号出力端子P1から出力されるものとなる。
【0043】
〔パルス信号の生成:論理回路2−2〕
タイミング生成回路1−2から出力される電圧VT2が「L」レベルとなると(図5(e)に示すt4点)、この「L」レベルの電圧VT2が論理回路2−2の信号入力端子U21へ与えられる。この時、論理回路2−2の信号入力端子U22へはタイミング生成回路1−3からの「H」レベルの電圧VT3が与えられているので、論理回路2−2のパルス出力端子P2から出力される電圧VP2は「H」レベルとなる(図5(i)に示すt4点)。
【0044】
タイミング生成回路1−3から出力される電圧VT3が「L」レベルとなると(図5(g)に示すt5点)、この「L」レベルの電圧VT3が論理回路2−2の信号入力端子U22へ与えられる。この時、論理回路2−2の信号入力端子U21へはタイミング生成回路1−2からの「L」レベルの電圧VT2が与えられているので、論理回路2−2のパルス出力端子P2から出力される電圧VP2は「L」レベルとなる(図5(i)に示すt5点)。
【0045】
これにより、図5(i)に示されるように、タイミング生成回路1−2が出力する電圧VT2の「H」レベルから「L」レベルへの立ち下がり時刻(第2のタイミング信号の発生時刻)とタイミング生成回路1−3が出力する電圧VT3の「H」レベルから「L」レベルへの立ち下がり時刻(第3のタイミング信号の発生時刻)とによってその幅が定まるパルス信号PS2が生成され、すなわちそのパルス幅をタイミング生成回路1−3での遅延時間τ3とするパルス信号PS2が生成され、この生成されたパルス信号PS2が論理回路2−2の信号出力端子P2から出力されるものとなる。
【0046】
〔実施例2の効果〕
以上の説明から分かるように、この実施例2では、タイミング生成回路1−1,1−2,1−3における時定数素子をあらかじめ充電しておき、その後順次放電動作をさせるた、パルス信号PS1,PS2の生成時に充電動作による電源電圧の低下がなく、容量の小さい電源でも安定したタイミング生成動作が可能となる。これにより、パルス信号を生成する際の消費電力を削減するとともに、電源電圧の変動しやすい容量の小さい電源である環境下でも、安定したパルス信号を生成することが可能となる。
【0047】
上述した実施の形態2では、図1に示したパルス生成回路を基本構成とし、この基本構成にタイミング生成回路1−3と論理回路2−2を追加した回路構成としたが、タイミング生成回路1−3と論理回路2−2と同様の接続関係を保ってさらに多くのタイミング制御回路と論理回路を設けることで、必要な数のパルス信号を生成するパルス生成回路を構築することができる。
【0048】
〔実施例3〕
図6はこの発明に係るパルス生成回路の第3の実施例(実施例3)の構成の一部を示すブロック図である。この実施例3のパルス生成回路は、タイミング生成回路3−1,3−2,3−3,・・・・,3−N-1,3−Nと、論理回路4−1,4−2,4−3,・・・・,4−N-1と、信号選択回路5−1,5−2,5−3,・・・・,5−N-1と、論理回路6と、論理回路7と、情報保持手段8とを備えている。
【0049】
なお、図6では、N-1個のパルス信号を生成する回路のうち、最初の2つのパルス信号PS1,PS2と最後の1つのパルス信号PSN-1を生成する回路を記し、他は省略している。他の回路はこれらの回路と同様の関係を保って接続されるものとする。
【0050】
タイミング生成回路3−1は、充電制御端子S12に接続された充電回路3−1Aと、放電制御端子S11に接続された放電回路3−1Bと、充電回路3−1Aの動作によって充電され、放電回路3−1Bの動作によって放電される時定数素子3−1Cと、時定数素子3−1Cに加わる電圧とあらかじめ設定されている閾値電圧とを比較する電圧比較回路3−1Dとで構成される。
【0051】
電圧比較回路3−1Dは、時定数素子3−1Cの充電電圧を監視し、この充電電圧が十分に充電された状態を示す閾値電圧に達すると、信号出力端子T1の電圧レベルを「H」レベル(充電状態を示す値)とする。放電された状態を示す閾値電圧に達すると、信号出力端子T1の電圧レベルを「L」レベル(未充電状態を示す値)とする。つまり、タイミング生成回路3−1は、充電制御端子S12と放電制御端子S11へ与えられる電圧によって制御され、信号出力端子T1の電圧レベルを変化させるといえる。
【0052】
なお、タイミング生成回路3−1において、信号出力端子T1の電圧レベルが「H」レベル(充電状態を示す値)となると、充電制御端子S12の電圧レベルに拘わらず、放電制御端子S11の電圧レベルが「L」レベルから「H」レベルへ変化しない限り、信号出力端子T1の電圧レベルは「H」レベルに保たれる。放電制御端子S11の電圧レベルが「L」レベルから「H」レベルへ変化すると、タイミング生成回路3−1内の時定数素子3−1Cは放電を開始し、この放電によって定まる遅延時間τ1の経過後に、信号出力端子T1の電圧レベルは「L」レベル(未充電状態を示す値)となる。
【0053】
タイミング生成回路3−2,3−3,・・・・,3−N-1,3−Nは、タイミング生成回路3−1と同様の構成とされており、充電制御端子,放電制御端子および信号出力端子を持ち、内部の時定数素子の状態、充電状態もしくは放電状態に応じて、信号出力端子に信号を出力するが、構成の詳細は同一である必要はない。
【0054】
なお、タイミング生成回路3−2では、信号出力端子T2の電圧レベルが「H」レベル(充電状態を示す値)となると、充電制御端子S22の電圧レベルに拘わらず、放電制御端子S21の電圧レベルが「H」レベルから「L」レベルへ変化しない限り、信号出力端子T2の電圧レベルは「H」レベルに保たれる。放電制御端子S21の電圧レベルが「H」レベルから「L」レベルへ変化すると、タイミング生成回路3−2内の時定数素子(図示せず)は放電を開始し、この放電によって定まる遅延時間τ2の経過後に、信号出力端子T2の電圧レベルは「L」レベル(未充電状態を示す値)となる。タイミング生成回路3−3,・・・・,3−N-1,3−Nもタイミング生成回路3−2と同一の機能を有している。
【0055】
タイミング生成回路3−1の信号出力端子T1は、タイミング生成回路3−2の放電制御端子S21に接続されるとともに、論理回路4−1の信号入力端子U11に接続されている。タイミング生成回路3−2の信号出力端子T2は、タイミング生成回路3−3の放電制御端子S31に接続されるとともに、論理回路4−1の信号入力端子U12と論理回路4−2の信号入力端子U21に接続されている。タイミング生成回路3−3の信号出力端子T3は、次段のタイミング生成回路(図示せず)の放電制御端子に接続されるとともに、論理回路4−2の信号入力端子U22と論理回路4−3の信号入力端子U31に接続されている。
【0056】
以下、同様にして、次段以降のタイミング生成回路3と論理回路4との接続が図られている。但し、最後のタイミング生成回路3−Nの信号出力端子TNは、タイミング生成回路3−1〜3−Nの充電制御端子S12〜SN2に接続されるとともに、論理回路4−N-1の信号入力端子UN-12および論理回路7の信号入力端子7bに接続されている。論理回路7の信号入力端子7aにはタイミング生成回路3−1の信号出力端子T1が接続され、論理回路7の出力端子7cはタイミング生成回路3−1の放電制御端子S11に接続されている。論理回路4−1〜4−N-1は排他的論理和(EXOR回路)とされ、論理回路7はAND回路とされている。
【0057】
なお、論理回路4−1〜4−N-1に接続されるタイミング生成回路3の信号出力端子は、図6のように隣接する2つのタイミング生成回路3の信号出力端子でなくてもよく、必要となるパルス信号のタイミング情報に合わせて構成できる。
【0058】
信号選択回路5−1〜5−N-1は、フューズ等で実現される情報保持手段8の出力信号もしくは接地電圧などの無信号を設定される情報とし、この情報を論理回路4−1〜4−N-1のパルス出力端子P1〜PN-1から出力されるパルス信号PS1〜PSN-1によって選択し、論理回路6に出力する。論理回路6は、信号選択回路5−1〜5−N-1からの情報(出力信号/無信号)を直列の信号に変換し、パルス列信号PPSとして出力する。
【0059】
〔実施例3の動作〕
次に、図7に示すタイミングチャートを参照して、図6に示した実施例3の動作について説明する。なお、この実施例3では、タイミング生成回路3−1の放電制御端子S11に与えられる電圧をVD、タイミング生成回路3−1〜3−Nの充電制御端子S12〜SN2に与えられる電圧をVC、タイミング生成回路3−1の信号出力端子T1から出力される電圧をVT1、タイミング生成回路3−2の信号出力端子T2から出力される電圧をVT2、タイミング生成回路3−3の信号出力端子T3から出力される電圧をVT3、タイミング生成回路3−N-1の信号出力端子TN-1から出力される電圧をVTN-1、タイミング生成回路3−Nの信号出力端子TNから出力される電圧をVTN、論理回路4−1のパルス信号出力端子P1から出力される電圧をVP1、論理回路4−2のパルス信号出力端子P2から出力される電圧をVP2、論理回路4−3のパルス信号出力端子P3から出力される電圧をVP3、論理回路4−N-1のパルス信号出力端子PN-1から出力される電圧をVPN-1、論理回路6から出力される電圧をVOUTとする。
【0060】
〔充電〕
タイミング生成回路3−1〜3−Nの充電制御端子S12〜SN2に与えられる電圧VCは、最後に放電するタイミング生成回路3−Nの信号出力端子TNから出力される電圧VTNと同一であり、タイミング生成回路3−Nでの放電が完了すると「L」レベル(未充電状態を示す値)となる(図7(a)に示すt1点)。
【0061】
この場合、タイミング生成回路3−1〜3−Nの信号出力端子T1〜TNから出力される電圧VT1〜VTNは全て「L」レベルとなり(図7(c)〜(g)に示すt1点)、論理回路7の信号出力端子7cから出力される電圧VDは「L」レベルを保つ(図7(b)に示すt1点)。これにより、タイミング生成回路3−1〜3−Nの充電制御端子S11〜S1Nへの充電の指示がONとされ、タイミング生成回路3−1〜3−Nにおける充電が開始される。すなわち、タイミング生成回路3−1において、充電回路3−1Aが動作し、時定数素子3−1Cへの充電が開始される。同様にして、タイミング生成回路3−2〜3−Nにおいても、その内部の時定数素子への充電が開始される。
【0062】
そして、タイミング生成回路3−1〜3−Nにおいて、時定数素子の充電電圧が十分に充電された状態を示す閾値電圧に達すると、タイミング生成回路3−1〜3−Nの信号出力端子T1〜TNから出力される電圧VT1〜VTNが「H」レベル(充電状態を示す値)となる(図7(c)〜(g)に示すt2点)。
【0063】
〔放電(1段目):タイミング生成回路3−1〕
タイミング生成回路3−1〜3−Nの信号出力端子T1〜TNから出力される電圧VT1〜VTNが「H」レベルとなると、論理回路7の信号出力端子7cから出力される電圧VDが「L」レベルから「H」レベルへ変化し(図7(b)に示すt2点)、タイミング生成回路3−1の放電制御端子S11への放電の指示がONとされる。
【0064】
この放電開始の指示を受けて、タイミング生成回路3−1における放電回路3−1Bが動作し、時定数素子3−1Cからの放電が開始され、この放電によって定まる遅延時間τ1の経過後に、タイミング生成回路3−1の信号出力端子T1から出力される電圧VT1が「L」レベル(未充電状態を示す値)となる(図7(c)に示すt3点)。
【0065】
〔放電(2段目):タイミング生成回路3−2〕
タイミング生成回路3−1の信号出力端子T1から出力される電圧VT1が「L」レベルとなると、この「L」レベルの電圧VT1がタイミング生成回路3−2の放電制御端子S21に放電開始の指示として与えられる。これにより、タイミング生成回路3−2における時定数素子が放電を開始し、この放電によって定まる遅延時間τ2の経過後に、タイミング生成回路3−2の信号出力端子T2から出力される電圧VT2が「L」レベル(未充電状態を示す値)となる(図7(d)に示すt4点)。
【0066】
〔放電(3段目):タイミング生成回路3−3〕
タイミング生成回路3−2の信号出力端子T2から出力される電圧VT2が「L」レベルとなると、この「L」レベルの電圧VT2がタイミング生成回路3−3の放電制御端子S31に放電開始の指示として与えられる。これにより、タイミング生成回路3−3における時定数素子が放電を開始し、この放電によって定まる遅延時間τ3の経過後に、タイミング生成回路3−3の信号出力端子T3から出力される電圧VT3が「L」レベル(未充電状態を示す値)となる(図7(e)に示すt5点)。
【0067】
以下同様にして、次々に次段のタイミング生成回路3に放電開始の指示が与えられ、次々に次段のタイミング生成回路3から出力される電圧が「L」レベル(未充電状態を示す値)へ変化して行く(図7(f)に示すt8点、図7(g)に示すt9点参照)。
【0068】
〔パルス信号の生成:論理回路4−1〕
タイミング生成回路3−1から出力される電圧VT1が「L」レベルとなると(図7(c)に示すt3点)、この「L」レベルの電圧VT1が論理回路4−1の信号入力端子U11へ与えられる。この時、論理回路4−1の信号入力端子U12へはタイミング生成回路3−2からの「H」レベルの電圧VT2が与えられているので、論理回路4−1のパルス出力端子P1から出力される電圧VP1は「H」レベルとなる(図7(h)に示すt3点)。
【0069】
タイミング生成回路3−2から出力される電圧VT2が「L」レベルとなると(図7(e)に示すt4点)、この「L」レベルの電圧VT2が論理回路4−1の信号入力端子U12へ与えられる。この時、論理回路4−1の信号入力端子U11へはタイミング生成回路3−1からの「L」レベルの電圧VT1が与えられているので、論理回路4−1のパルス出力端子P1から出力される電圧VP1は「L」レベルとなる(図7(h)に示すt4点)。
【0070】
これにより、図7(h)に示されるように、タイミング生成回路3−1が出力する電圧VT1の「H」レベルから「L」レベルへの立ち下がり時刻(第1のタイミング信号の発生時刻)とタイミング生成回路3−2が出力する電圧VT2の「H」レベルから「L」レベルへの立ち下がり時刻(第2のタイミング信号の発生時刻)とによってその幅が定まるパルス信号PS1が生成され、すなわちそのパルス幅をタイミング生成回路3−2での遅延時間τ2とするパルス信号PS1が生成され、この生成されたパルス信号PS1が論理回路4−1の信号出力端子P1から出力されるものとなる。
【0071】
〔パルス信号の生成:論理回路4−2〕
タイミング生成回路3−2から出力される電圧VT2が「L」レベルとなると(図7(d)に示すt4点)、この「L」レベルの電圧VT2が論理回路4−2の信号入力端子U21へ与えられる。この時、論理回路4−2の信号入力端子U22へはタイミング生成回路3−3からの「H」レベルの電圧VT3が与えられているので、論理回路4−2のパルス出力端子P2から出力される電圧VP2は「H」レベルとなる(図7(i)に示すt4点)。
【0072】
タイミング生成回路3−3から出力される電圧VT3が「L」レベルとなると(図7(e)に示すt5点)、この「L」レベルの電圧VT3が論理回路4−2の信号入力端子U22へ与えられる。この時、論理回路4−2の信号入力端子U21へはタイミング生成回路3−2からの「L」レベルの電圧VT2が与えられているので、論理回路4−2のパルス出力端子P2から出力される電圧VP2は「L」レベルとなる(図7(i)に示すt5点)。
【0073】
これにより、図7(i)に示されるように、タイミング生成回路3−2が出力する電圧VT2の「H」レベルから「L」レベルへの立ち下がり時刻(第2のタイミング信号の発生時刻)とタイミング生成回路3−3が出力する電圧VT3の「H」レベルから「L」レベルへの立ち下がり時刻(第3のタイミング信号の発生時刻)とによってその幅が定まるパルス信号PS2が生成され、すなわちそのパルス幅をタイミング生成回路3−3での遅延時間τ3とするパルス信号PS2が生成され、この生成されたパルス信号PS2が論理回路4−2の信号出力端子P2から出力されるものとなる。
【0074】
以下同様にして、論理回路4−3〜4−N-1の出力信号端子P3〜PN-1に遅延時間τ4〜τNの幅を持ったパルス信号PS3(図7(j))〜PSN-1(図7(k))が生成されて行く。
【0075】
〔信号選択〕
このようにして生成された並列のパルス信号PS1〜PSN-1は、信号選択回路5−1〜5−N-1に入力され、信号選択回路5−1〜5−N-1での信号選択を行わせる。信号選択回路5−1〜5−N-1は、パルス信号PS1〜PSN-1が「H」レベルとされている間、情報保持手段8に設定されている情報(出力信号/無信号)を選択して出力する。
【0076】
〔パルス列信号の出力〕
信号選択回路5−1〜5−N-1によって選択された情報は論理回路6へ与えられる。論理回路6は、信号選択回路5−1〜5−N-1からの情報(出力信号/無信号)を直列の信号に変換し、パルス列信号PPSとして出力する(図7(l))。
【0077】
〔再充電〕
タイミング生成回路3−N-1の信号出力端子TN-1から出力される電圧VTN-1が「L」レベルとなると(図7(f)に示すt8点)、この「L」レベルの電圧VTN-1がタイミング生成回路3−Nの放電制御端子SN1に放電開始の指示として与えられる。これにより、タイミング生成回路3−Nにおける時定数素子が放電を開始し、この放電によって定まる遅延時間τNの経過後に、タイミング生成回路3−Nの信号出力端子TNから出力される電圧VTNが「L」レベル(未充電状態を示す値)となる(図7(g)に示すt9点)。
【0078】
タイミング生成回路3−Nの信号出力端子TNから出力される「L」レベルの電圧VTNは、論理回路4−N-1のパルス出力端子PN-1から出力される電圧VPN-1を「L」レベルへ立ち下げるだけではなく、タイミング生成回路3−1〜3−Nの充電制御端子S12〜SN2へ充電の開始を指示する信号としても与えられる。これにより、タイミング生成回路3−1〜3−Nにおける充電が開始され、タイミング生成回路3−1〜3−Nにおける時定数素子への再充電が行われる(図7に示すt9〜t10(充電期間))。これにより、上述したパルス信号PS1〜PSN-1の生成動作が繰り返される。
【0079】
〔実施例3の効果〕
以上の説明から分かるように、この実施例3では、容量の小さい電源でも安定したパルス信号PS1〜PSN-1の生成が可能であり、さらに、情報保持手段8の情報を読み取り、直列のパルス列信号PPSを生成することができる。また、すべてのタイミング生成回路3−1〜3−Nの放電が終わった後に各タイミング生成回路3−1〜3−Nを同時に充電することから、各時定数素子に充電される電力は同一となり、放電にかかる時間を一定に保つことも可能となる。つまり、一定のパルス幅を保ちながら、情報保持手段8の情報を出力することができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明のパルス生成回路およびパルス生成方法は、電源電圧の変動しやすい容量の小さい電源である環境下でも、安定したパルス信号を生成することが可能なパルス生成回路およびパルス生成方法として、RFIDなどで利用することが可能である。
【符号の説明】
【0081】
1−1〜1−3…タイミング生成回路、S11〜S31…放電制御端子、S12〜S32…充電制御端子、T1〜T3…信号出力端子、2−1,2−2…論理回路、U11,U12,U21,U22…信号入力端子、P1,P2…パルス出力端子、3−1〜3−N…タイミング生成回路、S11〜SN1…放電制御端子、S12〜SN2…充電制御端子、T1〜TN…信号出力端子、4−1〜4−N-1…論理回路、U11〜UN-11,U12〜UN-12…信号入力端子、P1〜PN-1…パルス出力端子、5−1〜5−N-1…信号選択回路、6…論理回路、7…論理回路、8…情報保持手段、3−1A…充電回路、3−1B…放電回路、3−1C…時定数素子、3−1D…電圧比較回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電開始の指示を受けて、あらかじめ充電されている電荷の放電を開始し、この放電によって定まる遅延時間の経過後に第1のタイミング信号を生成する第1のタイミング生成回路と、
この第1のタイミング生成回路が生成する第1のタイミング信号を受けて、あらかじめ充電されている電荷の放電を開始し、この放電によって定まる遅延時間の経過後に第2のタイミング信号を生成する第2のタイミング生成回路と、
前記第1のタイミング生成回路が生成する第1のタイミング信号と前記第2のタイミング生成回路が生成する第2のタイミング信号とから第1のパルス信号を生成する第1の論理回路と
を備えることを特徴とするパルス生成回路。
【請求項2】
請求項1に記載されたパルス生成回路において、
前記第2のタイミング生成回路が生成する第2のタイミング信号を受けて、あらじめ充電されている電荷の放電を開始し、この放電によって定まる遅延時間の経過後に第3のタイミング信号を生成する第3のタイミング生成回路と、
前記第2のタイミング生成回路が生成する第2のタイミング信号と前記第3のタイミング生成回路が生成する第3のタイミング信号とから第2のパルス信号を生成する第2の論理回路と
を備えることを特徴とするパルス生成回路。
【請求項3】
請求項2に記載されたパルス生成回路において、
前記第3のタイミング生成回路と同様にして、前段のタイミング生成回路が生成するタイミング信号を次々に受けて、あらじめ充電されている電荷の放電を開始し、この放電によって定まる遅延時間の経過後にタイミング信号を生成する複数のタイミング生成回路と、
前記第2の論理回路と同様にして、2つのタイミング生成回路が生成するタイミング信号からパルス信号を生成する複数の論理回路と
を備えることを特徴とするパルス生成回路。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載されたパルス生成回路において、
前記全てのタイミング生成回路は、前記第1のタイミング生成回路が前記放電開始の指示を受ける前に同時に充電される
ことを特徴とするパルス生成回路。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載されたパルス生成回路において、
前記全てのタイミング生成回路は、最終段のタイミング生成回路がタイミング信号を生成する毎に同時に充電される
ことを特徴とするパルス生成回路。
【請求項6】
請求項5に記載されたパルス生成回路において、
前記第1のタイミング生成回路は、
前記全てのタイミング生成回路の充電が完了した後、前記放電開始の指示を受けて、その充電されている電荷の放電を開始する
ことを特徴とするパルス生成回路。
【請求項7】
放電開始の指示を第1のタイミング生成回路に与え、当該第1のタイミング生成回路において、充電されている電荷の放電を開始させ、この放電によって定まる遅延時間の経過後に第1のタイミング信号を生成させるステップと、
この第1のタイミング生成回路が生成する第1のタイミング信号を第2のタイミング生成回路へ与え、当該第2のタイミング生成回路において、充電されている電荷の放電を開始させ、この放電によって定まる遅延時間の経過後に第2のタイミング信号を生成させるステップと、
前記第1のタイミング生成回路が生成する第1のタイミング信号および前記第2のタイミング生成回路が生成する第2のタイミング信号を第1の論理回路へ与え、当該第1の論理回路において、第1のパルス信号を生成させるステップと
を備えることを特徴とするパルス生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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