説明

パルス送達用錠剤

活性成分を包含する即時放出部位と、遅延放出部位とを含み、ここで前記遅延放出部位が腸溶コーティング層を含み、前記腸溶コーティング層内には、活性成分を包含する腸溶コーティング微粒子剤形と活性成分を包含する腸溶コーティング小錠剤剤形から成るグループから選択された最低一つが存在する薬物錠剤が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性薬剤因子の即効型放出(即時放出)及び腸溶性放出の両方をもたらす錠剤形状の薬学的組成物に関し、また該薬学的組成物の使用及び形成に関する。特に本発明は、即時放出部位と遅延放出部位とから成る錠剤形状の薬物送達システムに関する。
【発明の開示】
【0002】
本発明にしたがって、薬学的組成物の即時放出部位は活性成分を含み、前記部位からの前記活性成分の放出の開始は、薬学的組成物の摂取後実質的に遅延しない。
【0003】
本発明にしたがって、薬学的組成物の遅延放出部位は活性成分を含み、前記部位からの前記活性成分の放出の開始は、薬学的組成物の摂取後実質的に遅延する。
【0004】
本発明の一形態において、遅延放出部位は腸溶コーティング層を含み、腸溶コーティング層内に、活性成分を含む腸溶コーティング微小粒子剤形と活性成分を含む腸溶コーティング小錠剤剤形を含むグループから選択された最低一つを含む核錠(core tablet)がある。
【0005】
本発明の一形態にしたがって、腸溶コーティングを含む核錠を包含する遅延放出部位が備えられ、したがって核錠は胃内では分解されず、核錠は腸内で分解される。本発明のさらなる一形態にしたがって、即時放出部位が備えられ、それにより腸溶コーティング核錠は腸溶コーティングの全体あるいは一部に腸溶コーティングされていない部分を有し、この腸溶コーティングされていない部分が、包含されている活性成分の即時放出をもたらす。すなわち即時放出部位は胃内で活性成分を放出する。
【0006】
核錠は、活性成分を含み腸溶コーティングを有する粒子及び又は小錠剤を包含し、それにより腸内での核錠の分解後の時間まで、粒子及び又は小錠剤からの活性成分の放出が遅延する。さらに錠剤は、核錠が腸内で分解されたときに放出が開始される任意の投与量のコーティングされていない活性成分を含み得るか、あるいは含まない。
【0007】
本発明の好ましい実施例において、核錠は、腸溶コーティング微小粒子、腸溶コーティング小錠剤、コーティングされていない活性成分、あるいはそれらの組み合わせであろうとなかろうと、それ自体が腸溶コーティングされ、それにより胃の後の消化管(GItract)での分解を確実にする。
【0008】
本発明の他の実施例において、核錠のマトリクス(matrix)は胃の後の消化管での分解を確実にするための、核錠の構造を維持する腸溶性物質を含み、それにより核錠を腸溶コーティングでコーティングする必要がなくなる。しかしながら、腸溶コーティングによるコーティングはなお好ましい。
【0009】
剤形が他の剤形の後に放出を開始する、とここで記載される場合、このような用語は、前記剤形がそのような遅く開始される放出をもたらすように設計され、またもたらすことを目的とすることを意味すると理解されるべきである。しかしながら、このような設計及び目的にもかかわらず、現在の薬物製造プロセスから起こる既知の欠陥によって活性成分のある程度の「漏出」が起こり得ることがこの分野において知られている。剥離、削れ、あるいは他の原因によるものであろうとなかろうと、前記「漏出」はここで用いられる「放出」ではない。
【0010】
核錠は、胃の後の消化管の部位において薬剤を放出するように設計された一つあるいはそれ以上のペレットタイプを包含し、前記ペレットタイプが全核錠重量の約1から95%をもたらすマルチ微粒子核か、あるいは同様に胃の後の消化管において薬剤を放出するように設計された一つあるいはそれ以上の小錠剤を包含し、前記小錠剤が全核錠重量の約1から95%をもたらす小錠剤核であり得る。腸溶性ポリマー層は、前述の核錠の表面に多数の異なるタイプの腸溶性ポリマーを噴霧することにより形成することができる。したがって、腸溶性ポリマーコーティングは、核錠が腸に到達するまで核錠の分解を遅延させる。さらに、核錠を包含するマルチ微粒子あるいは小錠剤は、それらから放出される活性薬剤成分の放出をさらに遅延及び又は変性させるためのさらなる遅延及び又は変性放出物質を用いて形成され得る。
【0011】
一実施例において、即時放出部位は、薬剤送達システムの即時放出部位として働くように腸溶コーティング核錠の表面に噴霧することができる即時放出薬剤層であり得る。
【0012】
本発明の一実施例において、即時放出薬剤層は腸溶性ポリマーコーティング核錠を完全に覆う。
【0013】
本発明の一実施例において、即時放出薬剤層は核錠の腸溶性ポリマーコーティングを完全には覆わない。この実施例において、腸溶性ポリマーコーティングの一部は露出する。
【0014】
本発明の他の実施例において、即時放出部位は、腸溶コーティング核錠とともに二重層錠剤の一層を構成し得る。あるいは即時放出部位は、腸溶コーティング核錠とともに多層錠の複数の層を構成し得る。
【0015】
本発明はまた、活性薬剤での処置が必要な患者の治療プロセスに向けられ、患者に、前記活性薬剤を包含する前述の及び後述の薬学的組成物を投与することを含む。
【0016】
本発明はまた、前述の及び後述の薬学的組成物を作成する方法に向けられる。
【0017】
ほとんどの腸溶コーティングがpH感受性コーティングであることがこの分野において通常知られているが、ここで用いられる用語「腸溶コーティング」は、pH感受性コーティングと非pH感受性コーティングの両方を含む。特にここで用いられる「腸溶コーティング」という用語は、コーティングが、活性成分を胃の後の消化管に送達する能力で選択されたものであることを示す。
【0018】
ここで用いられる「腸溶コーティング錠剤」という用語は、一つあるいはそれ以上のパルスの活性薬剤成分を消化管の小腸領域に送達することが可能な錠剤を意味する。前記腸溶コーティング錠剤は、腸溶コーティングにより覆われるか、あるいは被された錠剤に限定されず、前記錠剤が最低でも腸に送達されるまで核錠のユニット完全性を維持する腸溶性物質を含むマトリクスを持つ錠剤を含む。本発明の核錠は、マルチ微粒子を含む錠剤(小錠剤、ビーズ、微小粒子等)を損なわれていないユニットとして消化管に送達することが可能であるという点で腸溶コーティング錠剤である。本発明の利点として、核錠は実質的に損なわれずに胃から腸に通過し、また核錠は胃内で分解されない。
【0019】
通常、これらの実施例において、核錠は所望の薬剤成分の小錠剤を含み、これらの小錠剤は標準サイズの錠剤核中に十分に収まるように小さく形成される。小錠剤は、遅延放出及び又は変性放出コーティングである腸溶コーティングでコーティングすることができる。好ましい実施例において、小錠剤は遅延放出コーティングでコーティングされる。他の好ましい実施例において、それぞれが遅延放出コーティングでコーティングされた複数の異なる小錠剤があり、その結果それぞれの異なる小錠剤が異なる時間にそれらから活性成分の放出を開始し、それぞれの異なる時間は、核錠が小腸に到達する時間の後の時間である。小錠剤のサイズに依存して、核錠は、既知の薬学的充填剤とともに、それぞれ同一の薬剤成分あるいは異なる薬剤成分から成る一つあるいはそれ以上の小錠剤を含み得る。核錠はその後、遅延放出あるいは変性放出コーティングである腸溶コーティングでコーティングされる。活性薬剤成分を包含する即時放出部位はその後、所望の活性薬剤成分の即時放出をもたらすために、最低でも腸溶コーティング核錠の一部が層状にされ得る。
【0020】
一実施例において、さらなる腸溶性物質が、さらに活性成分の放出を変性するための前述の錠剤核のマトリクスを形成するために用いられる。この実施例において、腸溶性ポリマーは核錠の表面に噴霧され、ここで腸溶性物質は錠剤核のマトリクスを形成するために用いられる。
【0021】
一実施例において、さらなる腸溶性物質が、さらに活性成分の放出を変性するための前述の錠剤核のビーズあるいは小錠剤を形成するために用いられる。この実施例において、腸溶性ポリマーは核錠の表面に噴霧され、ここで腸溶性物質は錠剤核のビーズあるいは小錠剤を形成するために用いられる。
【0022】
一実施例において、核錠は最低一つの小錠剤と所定投与量のコーティングされていない活性成分とを含み、それにより小腸での核錠の分解後、所定投与量のコーティングされていない活性成分が最初に即座に放出され、その後、それに続いて最低一つの小錠剤が包含する活性成分の放出を開始する。この実施例は、即時放出部位が胃に第一のパルスを送達し、所定投与量のコーティングされていない活性成分と最低一つの小錠剤とが腸に遅れて開始されるパルスを送達し、最低一つの小錠剤からの活性成分の放出の開始が所定投与量のコーティングされていない活性成分からの活性成分の放出の開始の後に続くという点で、最低三つの別個のパルスの活性成分を送達する。
【0023】
好ましい一実施例において、核錠は最低二つの異なる小錠剤を含み、そのため小腸での核錠の分解の後に、最初に最低二つの異なる小錠剤の第一の小錠剤が包含する活性成分の放出を開始し、それに続いて最低二つの異なる小錠剤の第二の小錠剤が包含する活性成分の放出を開始する。この実施例は、即時放出部位が胃に第一のパルスを送達し、最低二つの異なる小錠剤が腸に遅れて開始されるパルスを送達し、第二の小錠剤からの活性成分の放出の開始が第一の小錠剤からの活性成分の放出の開始の後に続くという点で、最低三つの別個のパルスの活性成分を送達する。
【0024】
一実施例において、核錠は最低二つの小錠剤と所定投与量のコーティングされていない活性成分とを含み、そのため、小腸での核錠の分解後、所定投与量のコーティングされていない活性成分が最初に即座に放出され、その後最低二つの小錠剤が包含する活性成分の放出を第二、第三段階として開始する。この実施例は、即時放出部位が第一のパルスを胃に送達し、所定投与量のコーティングされていない活性成分と最低二つの小錠剤が腸に遅れて開始されるパルスを送達し、最低二つの小錠剤からの活性成分の放出の開始が所定投与量のコーティングされていない活性成分からの活性成分の放出の開始の後に続き、また第二の小錠剤からの活性成分の放出の開始が第一の小錠剤からの活性成分の放出の開始の後に続くという点で、最低四つの別個のパルスの活性成分を送達する。
【0025】
他の好ましい実施例において、核錠は最低三つの異なる小錠剤を含み、そのため小腸での核錠の分解の後に、第一に最低三つの異なる小錠剤の第一の小錠剤が包含する活性成分の放出を開始し、それに続いて第二に最低三つの異なる小錠剤の第二の小錠剤が包含する活性成分の放出を開始し、それに続いて第三に最低三つの異なる小錠剤の第三の小錠剤が包含する活性成分の放出を開始する。この実施例は、即時放出部位が胃に第一のパルスを送達し、最低三つの異なる小錠剤が腸に遅れて開始されるパルスを送達し、第二の小錠剤からの活性成分の放出の開始が第一の小錠剤からの活性成分の放出の開始の後に続き、第三の小錠剤からの活性成分の放出の開始が第二の小錠剤からの活性成分の放出の開始の後に続くという点で、最低四つの別個のパルスの活性成分を送達する。
【0026】
一実施例において、核錠は最低三つの小錠剤と所定投与量のコーティングされていない活性成分とを含み、そのため、小腸での核錠の分解後、所定投与量のコーティングされていない活性成分が最初に即座に放出され、その後最低三つの小錠剤が包含する活性成分の放出を第二、第三及び第四段階として開始する。この実施例は、即時放出部位が胃に第一のパルスを送達し、所定投与量のコーティングされていない活性成分と最低三つの小錠剤が腸に遅れて開始されるパルスを送達し、最低三つの小錠剤の第一の小錠剤からの活性成分の放出の開始が所定投与量のコーティングされていない活性成分からの活性成分の放出の開始の後に続き、第二の小錠剤からの活性成分の放出の開始が第一の小錠剤からの活性成分の放出の開始の後に続き、第三の小錠剤からの活性成分の放出の開始が第二の小錠剤からの活性成分の放出の開始の後に続くという点で、最低五つの別個のパルスの活性成分を送達する。
【0027】
本発明は任意の活性薬剤成分の吸収の変動を抑えるために用いられ得る。特に抗生物質の吸収変動の抑制に有用である。本発明は特に、ベータラクタム抗生物質、セファロスポリン抗生物質、及びマクロライド抗生物質の吸収変動の抑制に有用である。さらに特には、アモキシシリン、クラリスロマイシン、別個の製剤におけるアモキシシリン及びクラリスロマイシン、アモキシシリンとクラリスロマイシンの組み合わせである製剤におけるアモキシシリン及びクラリスロマイシンの吸収変動の抑制に有用である。
【0028】
抗感染症薬に適用される現在のマルチ微粒子及び小錠剤錠剤送達システムは、胃で放出される微小粒子あるいは小錠剤の腸前分離を防止することができない。これらの成分は通常、幽門弁を通って、あるいは胃の胃内容排出メカニズムにより胃から流出する。さらに、現在の錠剤送達システムは段階的ではなく、言い換えれば、前記システムは通常、腸溶コーティングが放出されるとすぐに核錠の全内容物を胃から小腸に放出するか、あるいは腸溶コーティングが放出されるとすぐにパルス血中濃度とは対照的な安定血中濃度を与えるように設計された剤形を含む。現状のマルチ微粒子錠剤剤形に内在するこの胃へのペレットの放出は、ペレットの拡散とパルスの強さの低下をもたらすことができ、その結果in vivo薬物動態における著しい変化をもたらす。これらの変化は、Cmax、Tmax、遅延時間(Lag Time)、及びAUCのいずれかあるいは全てにおいて発現させることができる。この放出はまた、局所濃度希釈をもたらすことができる。本発明は、パルス投与プロファイルによりこれらの問題を回避し、そのため、薬剤は段階的に消化管に放出され、長期間の血漿中濃度における増加及び減少を引き起こす。核錠システムにおけるマルチ微粒子及び小錠剤成分の包含により、これらの成分は米国特許6544555号及び6723341号に開示されるようなパルス血漿中濃度を得るための段階的、あるいは逐次流出で薬剤を放出するように設計することができる。これらの開示はその全体がここに組み込まれる。
【0029】
本発明の腸溶コーティング核錠は、胃の内容物を小腸に放出するように幽門括約筋が開く後まで、幽門括約筋を通過しない程度に大きい。核錠に組み込まれる微粒子あるいは小錠剤の大きさは、それらが核錠/腸溶コーティングシステムに覆われているために生成物の動作に影響を与えず、ユニットとして小腸中に放出される。したがって、核錠を構成する微粒子及び小錠剤の大きさは、核錠と比べて相対的に小さくすることができる。核錠中に下流(ダウンストリーム)パルスを全て一緒に配合し、核錠に腸溶コーティングを塗付してそれらが胃においてもまとまった状態を維持できるようにすることで、本発明は先に論じた放出の問題を解決する。これはペレットあるいは小錠剤が単一容量ユニットとして小腸に入ることを可能にし、それにより現在の技術で悩ませられている逐次胃内容排出作用を回避することができる。外側薬剤層を付与することにより、即時放出パルスももたらされる。
【0030】
本発明の利点は、in vivo薬物動態変動の縮小に限定されない。この二相送達パラダイムは所望の薬剤の高投与量装填を可能にし、またそれらの多重パルスを送達し得る。さらに本発明は、同一の投与ユニット内で多数の薬剤を送達することができる。このマルチ投与態様により、本発明は同一の錠剤核から相性の悪い薬剤物質を送達することができる。また、一つの薬剤物質あるいは薬剤物質のパルスの送達が、求められる先の物質あるいは薬剤物質のパルスが送達されるまで、送達されないことを確実にする。本発明の錠剤はまた、同一の剤形中では相性が悪いであろうが、核錠により組み合わせて小腸にもたらされた場合には吸収の改善あるいは特定の感染問題への対抗に関して協力して働くであろう薬剤を送達するために用いることができる。本発明はまた、消化管のさまざまな領域を送達の特異的目標とすることができる。また本発明は、患者の薬剤服用遵守(コンプライアンス)をより確実にするための一日一回の投与を可能にする。これは、薬剤の一部のみが日中の任意の時間に送達されるため、患者に過剰な負担をかける可能性を回避する。さらに本発明は、より従来のマルチ微粒子錠剤により得ることができるものよりも、より小さい錠剤サイズを可能とする。従来のマルチ微粒子において、消化管におけるパルス放出を引き起こすためにペレットに塗付された種々の機能コーティング及びその量により、ペレットはより大きい表面領域をもたらす。従来の微粒子錠剤サイズはさらに、コーティングペレットを一緒に保持する種々の充填剤の追加により増大する。従来のマルチ微粒子錠剤モデルにおいて、大部分が個々のペレットの高ポリマー内容物で占められる。本発明において、第一のパルスは腸溶コーティング核錠の表面のコーティング層(被膜)であり、第二のパルスは、緩衝剤あるいは第三のパルスペレットを保持するための結合剤として働き得る、腸溶コーティング核錠内部の顆粒によりもたらされ得る。したがって、本発明は、初期のパルスが高濃度であってそのために表面領域をほとんどなく、したがって錠剤中であまり容積を取らない錠剤を提供する。さらに、本薬剤送達システムによって、作成者は所望の時間に放出されるパルスを設計することができる。
【0031】
本発明の核錠は、調製された圧縮可能な(compactable)マトリクス及び又は圧縮ペレット、ビーズもしくは小錠剤の形態で活性薬剤成分を包含する。薬学的活性成分は変性送達のための腸溶コーティング核錠内に包含され、腸溶コーティング錠剤の表面の薬剤層は即時放出送達をもたらす。二つあるいはそれ以上の活性薬剤成分の放出をパルス様式で消化管に送達するために、本改善はPulsys技術に適合するように作成され得る。(時間的な隔たりのある、活性成分の明確なパルス放出をもたらす)Pulsys技術は、Rudnic等に発行された米国特許6544555号B2に詳細に開示されており、その開示は全体で引用例としてここに組み込まれる。Pulsys技術のように、本発明の二相送達システムは、活性成分の送達されたパルスのそれぞれに合う特定の時点で、はっきりと識別できる薬物動態曲線をもたらす。
【0032】
核錠は、マルチ微粒子活性(ペレットあるいはビーズ)、及び又は圧縮可能活性の、顆粒及び又はマトリクス及び又は小錠剤のいずれかあるいは両方を含み得る。マトリクスは、特定の活性成分吸収特性に内在する制限に依存して活性成分の生物学的利用能あるいは溶解度を改善するエンハンサーを有する活性成分で構成することができる。活性成分吸収制限は、含水率、pH、あるいは能動輸送メカニズムのいずれかもしくは全ての影響を受け得る。典型的なペレットあるいはマルチ微粒子活性は、後続の処理に耐えることができなければならないため、“強固(robust)”でなければならない。これらの処理操作は、湿式造粒、押し出し成型、球形化、流動床乾燥、流動床コーティング、ローラー圧縮、錠剤圧縮力、及びパンコーティングを含み得るが、これらに限定されない。
【0033】
本発明の実施例及び好ましい実施例は、抗生物質に関してその特別な有用性を開示するが、ここでの開示は無数の他の活性薬剤成分への適用についても考慮している。前記無数の他の活性薬剤成分の限定されない例は、抗真菌薬、抗ウイルス薬、抗腫瘍薬等の他の抗感染症薬を含む。
【0034】
各種の抗生物質が、細菌感染を治療するために用いられる。通常、このような抗生物質は、コンプライアンスの低下をもたらすか、あるいは高投薬量での放出制御製剤(持続放出)としての即時放出剤形の繰り返し投与により投与することができる。一実施例において、本発明は改良された抗生物質製剤を提供することを対象とする。
【0035】
本発明の二相送達システムの一形態にしたがって、最低二つ、好ましくは最低三つの抗生物質剤形を包含する、前述の及び後述の抗生物質医薬品が提供される。前記剤形は、各剤形が異なる放出プロファイルを有するように設計される。
【0036】
特に好ましい実施例において、最低二つ、好ましくは最低三つの剤形があり、そのそれぞれは異なる放出プロファイルを有し、各剤形の放出プロファイルは、前記剤形がそれぞれ包含する抗生物質の放出を抗生物質製剤の投与後の異なる時間に開始するというものである。
【0037】
したがって、本発明の一態様にしたがって、最低二つ、好ましくは最低三つの抗生物質剤形を包含し、そのそれぞれが異なる放出プロファイルを有し、そのため前記剤形のそれぞれに包含される抗生物質が異なる時間に放出される単一抗生物質製剤が提供される。
【0038】
本発明のさらなる形態にしたがって、抗生物質製剤は最低四つの異なる剤形を含み、そのそれぞれは包含する抗生物質の放出を、抗生物質製剤の投与後の異なる時間に開始する。
【0039】
抗生物質製剤は通常、異なる放出時間を有する五つ以上の剤形を含まない。
【0040】
好ましい実施例にしたがって、抗生物質製剤は、投与されると12時間以内に、好ましくは11時間以内に、製剤から放出された全抗生物質の最大血清濃度に到達するという全体的な放出プロファイルを有する。一実施例において、抗生物質製剤から放出された全抗生物質の最大血清濃度は、投与後4時間より早くには得られない。
【0041】
本発明の好ましい一実施例にしたがって、最低二つの剤形がある。最低二つの剤形の第一は即時放出剤形であり、そのため抗生物質の放出の開始は抗生物質製剤の投与後から実質的に遅延しない。最低二つの剤形の第二は腸溶性剤形であり、そのため放出される抗生物質は、即時放出剤形からの抗生物質の放出の開始後まで遅延し、またさらに(核錠に包含される)第二の剤形が胃の幽門括約筋を通って消化管の腸部位に到達するまで遅延する。特に、最低二つの剤形の第二の剤形から放出された抗生物質は、最低二つの剤形の第一の剤形から放出された抗生物質が血清中でCmax(血清中の最大血清濃度)に達した後に、Cmaxに達する。
【0042】
本発明の他の好ましい実施例にしたがって、最低三つの剤形がある。最低三つの剤形の第一は即時放出剤形であり、そのため抗生物質の放出の開始は抗生物質製剤の投与後から実質的に遅延しない。最低三つの剤形の第二及び第三は腸溶性剤形であり、そのため放出される抗生物質は即時放出剤形からの抗生物質の放出の開始後まで遅延し、またさらに(核錠に包含される)第二及び第三の剤形が胃の幽門括約筋を通って消化管の腸部位に到達するまで遅延する。特に、最低三つの剤形の第二の剤形から放出される抗生物質は、最低三つの剤形の第一の剤形から放出された抗生物質が血清中でCmaxに達した後にCmax(血清中の最大血清濃度)に達し、また第三の剤形から放出された抗生物質は、第二の剤形から放出された抗生物質のCmaxの後に血清中でCmaxに達する。
【0043】
本発明の他の好ましい実施例にしたがって、抗生物質は、ベータラクタム抗生物質、セファロスポリン抗生物質、あるいはマクロライド抗生物質である。
【0044】
本発明の他の好ましい実施例にしたがって、抗生物質はアモキシシリンである。
【0045】
本発明の他の好ましい実施例にしたがって、抗生物質はクラリスロマイシンである。
【0046】
本発明の他の好ましい実施例にしたがって、錠剤はアモキシシリン及びクラリスロマイシンの両方を含む。
【0047】
本発明のより好ましい実施例において、抗生物質はアモキシシリンであり、後に放出する剤形のそれぞれから放出されるアモキシシリンの補足物(complement)は、後に放出する剤形の直前の剤形により放出されるアモキシシリンの補足物により示される血清中の最大濃度に相当するか、あるいは上回る血清中の最大濃度を示す。
【0048】
一実施例において、最低三つの剤形の第二の剤形は、包含する抗生物質の放出を第一の剤形の後最低一時間で開始し、その放出の開始は通常、最低三つの剤形の第一の剤形からの抗生物質の放出の開始後6時間以内に起こる。
【0049】
通常、三つの剤形が用いられる場合、即時放出剤形は約0.5から約2時間のうちに放出された抗生物質についてCmaxをもたらし、最低三つの剤形の第二の剤形は約6時間以内に放出された抗生物質についてCmaxをもたらす。通常、前記第二の剤形についてのCmaxは、抗生物質製剤の投与後2時間より前には得られない。しかしながら、より早い時間にCmaxを得ることは、本発明の範囲内である。
【0050】
前述のとおり、抗生物質製剤は、最低三つのあるいは最低四つのあるいはそれ以上の剤形を含み得る。例えば、抗生物質製剤が第三の剤形を含む場合、そこから放出される抗生物質は、第一及び第二の剤形のそれぞれから放出された抗生物質についてCmaxが得られるよりも遅くにCmaxに達する。好ましい実施例において、第三の剤形からの抗生物質の放出は、第一の剤形及び第二の剤形の両方からの抗生物質の放出の開始後に開始される。一実施例において、第三の剤形からの抗生物質放出についてのCmaxは、8時間以内に得られる。
【0051】
他の実施例において、抗生物質製剤は最低四つの剤形を含み、最低四つの剤形のそれぞれは異なる放出プロファイルを有し、そのため最低四つの異なる剤形のそれぞれから放出された抗生物質は異なる時間にCmaxが得られる。
【0052】
前述のとおり、好ましい実施例において、抗生物質がそれぞれ異なる放出プロファイルを有する最低二つの異なる剤形を含むか、最低三つの異なる剤形を含むか、最低四つの異なる剤形を含むかに関係なく、抗生物質製剤から放出された抗生物質の全てについてのCmaxは、12時間未満に得られ、より一般的には11時間未満に得られる。
【0053】
好ましい実施例において、抗生物質製剤は一日に一回の製剤であり、そのため前記抗生物質製剤の投与後は、その日の内にさらなる製剤が投与されることはない。すなわち、好ましい処方計画は、前記製剤が24時間の間に一度のみ投与されるというものである。したがって、本発明にしたがって、抗生物質製剤の全体的なCmaxが12時間未満に得られるという様式での異なる放出プロファイルとともに、全体的な抗生物質放出がもたらされるという様式で放出される抗生物質を有する抗生物質製剤の単一投与がある。単一投与という用語は、24時間の間に投与される全抗生物質が同時に投与されることを意味し、基本的に同時に投与されるならば、それらは単一の錠剤あるいは二つ又はそれ以上とすることができる。
【0054】
出願人は、それぞれ異なる放出プロファイルを持つ最低三つの抗生物質剤形より成る単一投与抗生物質製剤が、単一放出プロファイルを有する抗生物質剤形より成る単一投与抗生物質製剤についての改善であることを発見した。薬学的許容担体中の抗生物質の剤形のそれぞれは、一つあるいはそれ以上の抗生物質を持ち、それぞれの剤形は、同じ抗生物質あるいは異なる抗生物質を有し得る。
【0055】
好ましい実施例が一日一回の製剤であるにもかかわらず、ここに開示された二相送達システムはそれらに限定されず、また吸収時間帯がより限定された薬剤の一日二回の投与にも用いられ得る。
【0056】
最低四つの剤形が用いられる場合、最低四つの剤形の第四の剤形は、持続放出剤形あるいは遅延放出剤形であり得る。第四の剤形が持続放出剤形である場合、たとえ最低四つの剤形の第四の剤形が、他の剤形のそれぞれがCmaxに達した後にCmaxに達するとしても、前記第四の剤形からの抗生物質放出は、第二あるいは第三の剤形からの放出の前に、あるいは後に開始され得る。
【0057】
本発明の抗生物質製剤は、経口投与に適した様式で作成される。
【0058】
または、経口送達カプセルシステムの作成において、単一抗生物質製剤を提供するために、複数の錠剤がカプセル中に投入され得る。
【0059】
本発明にしたがった抗生物質製剤の作成において、一実施例として、腸溶コーティング核錠に噴霧された製剤の即時放出薬剤層は通常、前記製剤によって送達される抗生物質の総投与量の約5%から約85%をもたらす。前記即時放出薬剤層は通常、前記製剤によって送達される抗生物質の総投与量の最低30から40%をもたらす。多くの場合、即時放出薬剤層は前記製剤によって送達される抗生物質の総投与量の約30%から約40%をもたらすが、場合によっては、前記製剤によって送達される抗生物質の総投与量の約5%から約20%、あるいは75%から約85%をもたらす即時放出薬剤層を有することが好ましい。
【0060】
残りの剤形は、抗生物質の残余分を送達する。一つ以上の遅延放出剤形が用いられる場合、一実施例において、各遅延放出剤形はほぼ等量の抗生物質をもたらし得るが、異なる量をもたらすように作成することもできる。
【0061】
本発明の一実施例にしたがって、各剤形は同一の抗生物質を包含し得る。本発明の一実施例にしたがって、各剤形は異なる抗生物質を包含し得る。本発明の一実施例にしたがって、各剤形は一つ以上の抗生物質を包含し得る。
【0062】
一実施例において、組成が一つの即時放出成分と二つの遅延放出成分を包含する場合、即時放出成分は全抗生物質の5重量%から85重量%(好ましくは30重量%から40重量%)をもたらし、三つの遅延放出成分の場合、即時放出成分は全抗生物質の5重量%から75重量%をもたらし、四つの遅延放出成分の場合には、即時放出成分は全抗生物質の5重量%から70重量%をもたらす。
【0063】
遅延放出成分に関して、二つの遅延放出成分がある場合、第一の遅延放出成分(先に放出されるもの)は、二つの遅延放出成分によって提供された全抗生物質の5重量%から75重量%をもたらし、第二の遅延放出成分は抗生物質の残余分をもたらす。
【0064】
三つの遅延放出成分がある場合、最初に放出される成分は、三つの遅延放出成分によって提供された全抗生物質の5重量%から75重量%をもたらし、次に放出される遅延放出成分は三つの遅延放出成分によって提供された抗生物質の5重量%から75重量%をもたらし、最後に放出されるものは三つの遅延放出成分によって提供された抗生物質の残余分をもたらす。
【0065】
四つの遅延放出成分がある場合、最初の遅延放出成分は四つの遅延放出成分によって提供された全抗生物質の5重量%から75重量%をもたらし、次の遅延放出成分は5重量%から75重量%をもたらし、次の遅延放出成分は5重量%から75重量%をもたらし、最後の遅延放出成分は5重量%から75重量%をもたらす。
【0066】
即時放出成分
即時放出成分用の活性成分に添加される物質は、微結晶セルロース(microcrystalline cellulose)、コーンスターチ、アルファ化デンプン、ジャガイモデンプン、米デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、キトサン、ヒドロキシキトサン、ヒドロキシメチル化キトサン、交差結合(cross−linked)キトサン、交差結合ヒドロキシメチルキトサン、マルトデキストリン、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、マルトース、フルクトース、グルコース、果糖、スクロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、アクリン酸誘導体(カルボポール(Carbopol)、オイドラギット(Eudragit)、その他)、低分子量PEGs(PEG2000−10000)及び20000ダルトン以上の分子量を持つ高分子量PEGs(ポリオックス(Polyox))等のポリエチレングリコールであり得るがこれらに限定されない。
【0067】
また、このシステムにおいて摂取あるいは投与後の薬剤の溶解あるいは成分の分解に役立つ他の成分を有することは有用であろう。これらの成分は、ラウリル硫酸ナトリウム、モノグリセリン酸ナトリウム、モノオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリン、モノ酪酸グリセリン、界面活性剤のプルロニック系(Pluronic line)等の非イオン界面活性剤の一つ、あるいは界面活性特性を持つ他の物質、もしくは上記のものの任意の組合せ等の界面活性剤であり得る。
【0068】
非pH感受性遅延放出成分
この組成物の成分は、即時放出ユニットと同じであるが、前記組成物に組み込まれるかあるいは、ペレット又は顆粒全体のコーティングとしてのさらなるポリマーを伴う。
【0069】
本発明のこの成分に適した放出の遅延を得るために用いることができる物質は、4000ダルトン以上の分子量を持つポリエチレングリコール(PEG)(カルボワックス(Carbowax)、ポリオックス)、白ろうあるいは蜜ろう等のワックス、パラフィン、アクリン酸誘導体(オイドラギット)、プロピレングリコール及び、エチルセルロースであり得るが、これらに限定されない。
【0070】
pH感受性(腸溶性)放出成分
この組成物の成分は、即時放出成分と同じであるが、前記組成物に組み込まれるかあるいは、ペレット又は顆粒全体のコーティングとしてのさらなるポリマーを伴う。
【0071】
この目的に有用な物質の種類は、酢酸フタル酸セルロース、オイドラギットL、及び、セルロース誘導体の他のフタル酸塩であり得るが、これらに限定されない。
【0072】
持続放出成分
この組成物の成分は、即時放出成分と同じであるが、前記組成物に組み込まれるかあるいは、ペレット又は顆粒全体のコーティングとしてのさらなるポリマーを伴う。
【0073】
この目的に有用な物質の種類は、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、オイドラギットR及び、オイドラギットRL、カルボポール、あるいは8000ダルトン以上の分子量を持つポリエチレングリコールであり得るが、これらに限定されない。
【0074】
以下のものは本発明の製剤に用いられ得る抗生物質の代表的な例である:セファドロキシル、セファゾリン、セファレキシン、セファロチン、セファピリン、セファセラー(cephacelor)、セファプロジル、セファドリン、セファマンドール、セフォニシド、セフォラニド、セフロキシム、セフィキシム、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタキシジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフェピム、セフメタゾール、セフォテタン、セフォキシチン、ロラカルベフ、イミペネム、エリスロマイシン(及びエストレート、エチルコハク酸、グルセプト酸、ラクトビオン酸、ステアリン酸等のエリスロマイシン塩)、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、トロレアノマイシン、ペニシリンV、ペニシリン塩及びその複合体、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、アモキシシリン、アモキシシリン及びクラブラン酸カリウム、アンピシリン、バカンピシリン、カルベニシリン インダニル ナトリウム(及びカルベニシリンの他の塩)、メズロシリン、ピペラシリン、ピペラシリン及びタキソバクタム、チカルシリン、チカルシリン及びクラブラン酸カリウム、クリンダマイシン、バンコマイシン、ノボビオシン、アミノサリチル酸、カプレオマイシン、サイクロセリン、エタンブトールHCl及び他の塩、エチオナミド、及びイソニアジド、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、オフロキサシン、スパルフロキサシン、スルファシチン、スルファメラジン、スルファメタジン、スルファメチキソール、スルファサラジン、スルフィソキサゾール、スルファピリジン、スルファジアジン、スルファメトキサゾール、スルファピリジン、メトロニダゾール、メテナミン、ホスホマイシン、ニトロフラントイン、トリメトプリム、クロファジミン、コトリアモキサゾール、ペンタミジン、及びトリメトレキサート。
【0075】
以下のものは本発明の製剤に用いられ得る抗ウイルス剤の代表的な例である:アシクロビル、アマンタジン、アンプレナビル、シドフォビル、デラビルジン、ディダノシン、ファムシクロビル、フォスカネット、ガンシクロビル、インディナビル、インターフェロン、ラミブジン、ネルフィナビル、ネビラピン、パリビズマブ、ペンシクロビル、リバビリン、リマンタジン、リトナビル、サクイナビル、スタブジン、トリフルリジン、バラシクロビル、ビダラビン、ザルシタビン、ジドブジン。
【0076】
以下のものは本発明の製剤に用いられ得る抗真菌剤の代表的な例である:アンフォテリシンB、フルシトシン、フルコナゾール、グリセオフルビン、硝酸ミコナゾール、塩酸テルビナフィン(terbinafine hydrochloride)、ケトコナゾール、イトラコナゾール、ウンデシレン酸及びクロロキシレノール、シクロピロクス、クロトリマゾール、塩酸ブテナフィン、ナイスタチン、塩酸ナフチフィン、硝酸オキシコナゾール、硫化セレン、硝酸エコナゾール、テルコナゾール、硝酸ブトコナゾール、石炭酸フクシン、クリオキノール、塩化メチルロザニリン、チオ硫酸ナトリウム、硝酸スルコナゾール、塩酸テルビナフィン、チオコナゾール、トルナフテート、ウンデシレン酸及びウンデシレン酸塩(ウンデシレン酸カルシウム、ウンデシレン酸銅、ウンデシレン酸亜鉛)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0077】
(実施例)
即時放出ペレット調製のための基本手順
水に結合剤と液体成分を溶解する。固体成分を高剪断ミキサー(例えばGlatt)中に入れ、低翼回転速度(300rpm)で1分間混合する。300rpmの翼回転速度、及び2500rpmのチョッパー速度で、乾燥混合物に調製された結合剤溶液をゆっくりと添加する(3から5分)。必要に応じてさらに水を添加する。30秒間混合を継続する。材料を搬出し、押出機に移す。ドーム押出機を用いて、50から100rpmで0.6から1mmあるいは他の適当なスクリーンを通して顆粒を押し出す。押出物を球形化機(spheronizer)に移す。610rpmで20から30秒間球形化する。ペレットを搬出し、流動床乾燥機(FluidAir)に移す。60℃の吸込温度、200エアフロー(air flow)で、乾燥減量(LOD)がそれ以上変化しなくなるまで(おおよそ60分)乾燥させる。搬出前に、25℃の気温でおおよそ15分間ペレットを冷却する。
【0078】
腸溶性放出パルス3及びパルス4を作成するための即時放出ペレットのコーティングのための基本手順
コーティング溶液の調製。オーバーヘッド(overhead)ミキサーを用いて、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)とクエン酸トリエチル(TEC)を水に溶解する。ポリマーを添加し、30から45分間混合する。タルクを添加し、30から45分間混合する。使用前に60メッシュスクリーンを通して分散剤をふるいにかける。流動床での腸溶コーティングプロセスの間混合を続ける。ペレットを、予熱した流動床乾燥機(FluidAir)に移す。40%の重量増加となるまで、60から65℃の吸込温度、170から180scfmのエアフロー、30psiの噴霧空気圧で噴霧して、ペレットにコーティング溶液を塗付する。ペレットを50℃、10psiで10分間乾燥し、搬出前に30℃で冷却する。最終産物を20から40メッシュでふるいにかける。収率は通常>95%である。
【0079】
顆粒(パルス2)調製のための基本手順
結合剤を水に溶解する。活性薬剤成分を高剪断ミキサー(例えばGlatt)中に入れる。300rpmの翼回転速度、及び2500rpmのチョッパー速度で、結合剤溶液をゆっくりと添加する(3から5分)。必要であればさらに水を添加する。30秒間混合を継続する。材料を搬出し、流動床乾燥機に移す。顆粒を50℃で60分間乾燥させる。スクリーン7A040603122329B(1016)90を用いて、速度50でComil U10を通して挽く。流動床中で、50℃で30分間乾燥させる。20メッシュスクリーンを通してふるいにかける。
【0080】
基本錠剤化手順
パルス3及び又は4ペレット、パルス2顆粒、及び残りの錠剤化賦形剤の適量の重さを量る。ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤)以外の全ての成分をPKミキサー中で混ぜ合わせ、5分間混合する。潤滑剤を添加し、さらに2分間混合する。適当な硬さとなるように錠剤圧縮機で混合物を圧縮する。
【0081】
錠剤のコーティングのための基本手順
腸溶コーティング溶液を調製するために、オーバーヘッドミキサーを用いて低速で30分間、L30DとTECを混合する。別の容器中で、水とタルクをしっかりと撹拌しながら混合する。タルクスラリー(slurry)をポリマー分散剤に添加する。コーティングプロセス前に、60メッシュスクリーンを通してふるいにかける。コーティングプロセスの間、低速での分散剤の撹拌を維持する。55℃の吸込温度、25cfmのエアフロー、7から10のポンプ設定、19rpmのパン速度、25から26psiの噴霧圧で、パン コーター(LCDS)中で錠剤をコーティングする。このコーティング手順では、8%までの重量増加が必要とされる。収率は通常>95%である。
【0082】
即時放出活性コーティングの塗付のための基本手順
HPMCを冷水中に溶解する。オーバーヘッド撹拌器を用いて中速で撹拌しながら、アモキシシリンを添加する。所望の重量増加となるまで、55℃の吸込温度、24cfmのエアフロー、10から12のポンプ設定、19rpmのパン速度、25から28psiの噴霧空気圧でコーティングを塗付するために、LCDS20/30を用いる。
【0083】
任意の即時放出化粧/風味マスキングコーティングのための基本手順
水に7%のオパドライ(opadry)溶液の溶液が撹拌によって調製される。コーティングは、3から3.5%の全重量増加となるまで、65℃の吸込温度、25cfmのエアフロー、8から9のポンプ設定、19rpmのパン速度、25psiの噴霧空気圧で塗付される。
【0084】
即時放出強固(Robust)ペレット処方の例

【0085】
即時放出強固(Robust)ペレット処方の例

【0086】
これらの即時放出ペレットはまた、消化管の所望の位置に活性成分を送達するように、腸溶性あるいは変性放出コーティングをコーティングすることもできる。
【0087】
核錠処方の例

【0088】

【0089】

【0090】

【0091】

【0092】

【0093】
腸溶性錠剤コーティング
胃内保護をもたらし、錠剤内容物の腸前排出を防ぐべく、任意の入手可能な腸溶性あるいは変性放出コーティングを、核錠を層状にするために用いることができる。腸溶性ポリマーは、アクリル酸ポリエチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、及びトリメチルアンモニオエチル メタクリレート クロリド(trimethylammonioethyl methacrylate chloride)共重合体、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、エチルビニルアセテート フタレート(ethylvinylacetate phthalate)、ポリビニルアセテート フタレート(polyvinylacetate phthalate)、及びカルボキシメチルエチルセルロースを含むがこれらに限定されない。錠剤内容物(すなわち活性マトリクス/ペレット)はカプセル化され、標的放出ポイント前の放出を防がれる。コーティングは、さらなる錠剤圧縮力及び又は錠剤コーティング操作からの後続処理に耐えなければならない。in−vivoでは、活性成分が小腸あるいは大腸間の所望の始動ポイントに到達するまでに上部消化管と胃を通過するため、腸溶コーティングは活性成分を保護しなければならない。これは、全ての錠剤内容物が標的部位で単一のパケット(packet)として排出されて、通過の間の薬剤の分離や希釈を防ぐことを確実にする。
【0094】
腸溶コーティング処方の例

【0095】

【0096】
薬剤層
活性薬剤層あるいは薬剤層は、保護された腸溶コーティング核錠の表面に塗付される。活性層は、第一パルスあるいは即時放出を送達する。
【0097】

【0098】

【0099】
4パルスアモキシシリン腸溶コーティング錠剤
アモキシシリンペレット処方及び調製手順
後に続くコーティングのためのペレット処方
アモキシシリン三水和物マトリクスペレットの組成は、表1に示される。
【0100】
表1 アモキシシリンマトリクスペレットの組成

* ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、Wet Massingの間、2.9%w/w水溶液として添加された。
【0101】
アモキシシリンマトリクスペレットの調製手順
低剪断ミキサーを用いてアモキシシリンとAvicel(登録商標)PH101を混合する。
【0102】
混ぜ合わせながら、粉末混合物中にヒドロキシプロピルメチルセルロース結合剤溶液をゆっくりと添加する。
【0103】
LCI Bench Top造粒機を用いて湿塊(wet mass)を押し出す。Bench Top造粒機のスクリーンの直径は、0.8mmである。
【0104】
小断面プレートを用いたQJ−230球形化機を用いて、押出物を球形化する。
【0105】
流動床乾燥機を用いて60℃で、排気温度が40℃になるまで、球形化ペレットを乾燥する。
【0106】
さらなる処理のために、20から40メッシュのペレットが回収された。
【0107】
オイドラギット(登録商標)L30D−55水溶性コーティング分散剤の調製
分散剤処方
アモキシシリンマトリクスペレットに塗付される水溶性オイドラギットL30D−55分散剤の組成は、以下の表2に示される。
【0108】
表2 オイドラギット(登録商標)L30D−55水溶性コーティング分散剤

【0109】
オイドラギット(登録商標)L30D−55水溶性分散剤の調製手順
クエン酸トリエチルとタルクを純水中で懸濁する。
【0110】
TEC/タルク懸濁液を、実験室用ミキサーを用いて混合する。
【0111】
TEC/タルク懸濁液を、攪拌しながらゆっくりとオイドラギット(登録商標)L30D−55水性(ラテックス)分散剤に添加する。
【0112】
アモキシシリンマトリクスペレットへの塗付の前に、一時間コーティング分散剤を撹拌する。
【0113】
オイドラギット(登録商標)S100水溶性コーティング分散剤の調製
分散剤処方
アモキシシリンマトリクスペレットに塗付される水溶性オイドラギット(登録商標)S100分散剤の組成は、以下の表3に示される。
【0114】
表3 オイドラギット(登録商標)S100水溶性コーティング分散剤

【0115】
オイドラギット(登録商標)S100水溶性分散剤の調製手順
【0116】
A部分
オイドラギット(登録商標)S100粉末を純水中に撹拌しながら投与する。
【0117】
水酸化アンモニウム溶液を分散剤中に一滴ずつ撹拌しながら添加する。
【0118】
部分的に中和された分散剤を60分間撹拌する。
【0119】
クエン酸トリエチルを分散剤中に一滴ずつ撹拌しながら添加し、B部分の添加前に一晩撹拌する。
【0120】
B部分
タルクを所望量の水に分散させる。
【0121】
オーバーヘッド実験室用ミキサーを用いて分散剤を撹拌する。
【0122】
その後、B部分をA部分のポリマー分散剤にゆっくりと軽く撹拌しながら添加する。
【0123】
水溶性コーティング分散剤の塗付のためのコーティング条件
以下のコーティングパラメータが、オイドラギット(登録商標)L30D−55とオイドラギット(登録商標)S100の水溶性フィルムコーティング処理に用いられた。
【0124】
コーティング装置 STREA1テーブルトップ実験室流動床コーター
スプレーノズル直径 1.0mm
材料分量 300グラム
吸気温度 40から45℃
排気温度 30から33℃
噴霧空気圧 1.8バール
ポンプ速度 2から6グラム/分
【0125】
ペレットに対して20%のコーティング重量増加となるように、マトリックスペレットをL30D−55分散剤でコーティングする。
【0126】
ペレットに対して37%のコーティング重量増加となるように、マトリックスペレットをS100分散剤でコーティングする。
【0127】
錠剤化のためのアモキシシリン顆粒(即時放出成分)の調製
表4 アモキシシリン顆粒の組成

* ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、Wet Massingの間、2.9%w/w水溶液として添加された。
【0128】
低剪断ミキサーを用いてアモキシシリンとAvicel(登録商標)PH101を混合する。
【0129】
混ぜ合わせながら、粉末混合物中にヒドロキシプロピルメチルセルロース結合剤溶液をゆっくりと添加する。
【0130】
流動床乾燥機を用いて60℃で、排気温度が40℃になるまで、顆粒を乾燥する。
【0131】
さらなる処理のために、20から40メッシュの顆粒が回収された。
【0132】
アモキシシリンペレットの錠剤化
表5 アモキシシリン錠剤の組成

【0133】
アモキシシリン顆粒、Avicel PH−200、アモキシシリンペレット、及びコロイド状二酸化ケイ素を、タンブルブレンダー(tumble blender)中で15分間混合する。
【0134】
ブレンダーにステアリン酸マグネシウムを添加し、5分間混合する。
【0135】
ロータリー式錠剤機で混合物を圧縮する。
【0136】
500mgの投与量の錠剤となるように、全重量が調整される。
【0137】
錠剤の腸溶コーティングのための基本手順
腸溶コーティング溶液を調製するために、表2にしたがって、L30DとTECを、オーバーヘッドミキサーを用いて低速で30分間混合する。別の容器中で、水とタルクをしっかりと撹拌しながら混合する。タルクスラリーをポリマー分散剤に添加する。コーティングプロセス前に、60メッシュスクリーンを通してふるいにかける。コーティングプロセスの間、低速での分散剤の撹拌を維持する。
【0138】
55℃の吸込温度、25cfmのエアフロー、7から10のポンプ設定、19rpmのパン速度、25から26psiの噴霧圧で、パン コーター(LCDS)中で錠剤をコーティングする。このコーティング手順では、8%までの重量増加が望ましい。
【0139】
コーティング装置 LCDS実験室用パン コーター
パン速度 19rpm
噴霧圧 25から26psi
吸気温度 50から60℃
排気温度 30から33℃
ポンプ速度 7から10グラム/分
【0140】
即時放出活性コーティング塗付のための基本手順
冷水にHPMCを溶解する。オーバーヘッド撹拌器を用いて中速で撹拌しながら、アモキシシリンを添加する。所望の重量増加となるまで、55℃の吸込温度、24cfmのエアフロー、10から12のポンプ設定、19rpmのパン速度、25から28psiの噴霧空気圧でコーティングを塗付するために、LCDS20/30を用いる。
【0141】
任意の即時放出化粧/風味マスキングコーティングのための基本手順
水に7%のオパドライ溶液の溶液が撹拌によって調製される。コーティングは、3から3.5%の全重量増加となるまで、65℃の吸込温度、25cfmのエアフロー、8から9のポンプ設定、19rpmのパン速度、25psiの噴霧空気圧で塗付される。
【0142】
この例は、500から800mgのアモキシシリンを包含する4パルスを有する完全アモキシシリン腸溶コーティング錠剤を作成する。
【0143】
4パルスクラリスロマイシン腸溶コーティング錠剤
クラリスロマイシンペレット処方及び調製手順
ペレット処方
クラリスロマイシンマトリクスペレットの組成は表6に示される。
【0144】
表6 クラリスロマイシンペレットの組成

* ヒドロキシプロピルメチルセルロースとポリオキシル35は、Wet Massingの間、8.7%w/w水溶液として添加された。
【0145】
クラリスロマイシンマトリクスペレットの調製手順
クラリスロマイシン、ケイ化微結晶セルロース、及びラクトース一水和物を、ロボクープ(Robot Coupe)高剪断造粒機を用いて混合する。
【0146】
撹拌しながら純水にポリオキシルを添加して、結合剤溶液を調製する。混合された後に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースをゆっくりと添加し、溶液が得られるまで撹拌を継続する。
【0147】
混合を続けながら、結合剤溶液をゆっくりと粉末混合物中に添加する。
【0148】
高剪断造粒機中で、結合剤溶液を用いて粉末を粒状にする。
【0149】
LCI Bench Top造粒機を用いて湿塊を押し出す。Bench Top造粒機のスクリーンの直径は、1.2mmであった。
【0150】
モデルSPH20 Caleva球形化機を用いて押出物を球形化する。
【0151】
球形化されたペレットを50℃で一晩乾燥する。
【0152】
さらなる処理のために、18から30メッシュのペレットが回収された。
【0153】
オイドラギット(登録商標)L30D−55水溶性コーティング分散剤の調製
分散剤処方
クラリスロマイシンマトリクスペレットに塗付される水溶性オイドラギットL30D−55分散剤の組成は、以下の表7に示される。
【0154】
表7 オイドラギット(登録商標)L30D−55水溶性コーティング分散剤

【0155】
オイドラギット(登録商標)L30D−55水溶性分散剤の調製手順
クエン酸トリエチルとタルクを純水中で懸濁する。
【0156】
TEC/タルク懸濁液を、パワージェン(PowerGen)700高剪断ミキサーを用いてホモジナイズする。
【0157】
4.2.2の懸濁液を、攪拌しながらゆっくりとオイドラギット(登録商標)L30D−55水性分散剤に添加する。
【0158】
クラリスロマイシンマトリクスペレットへの塗付の前に、一時間コーティング分散剤を撹拌する。
【0159】
オイドラギット(登録商標)S100水溶性コーティング分散剤の調製
分散剤処方
クラリスロマイシンマトリクスペレットに塗付される水溶性オイドラギット(登録商標)S100分散剤の組成は、以下の表8に示される。
【0160】
表8 オイドラギット(登録商標)S100水溶性コーティング分散剤

【0161】
オイドラギット(登録商標)S100水溶性分散剤の調製手順
【0162】
A部分
オイドラギット(登録商標)S100粉末を純水中に撹拌しながら投与する。
【0163】
水酸化アンモニウム溶液を分散剤中に一滴ずつ撹拌しながら添加する。
【0164】
部分的に中和された分散剤を60分間撹拌する。
【0165】
クエン酸トリエチルを分散剤中に一滴ずつ添加し、B部分の添加前に60分間撹拌する。
【0166】
B部分
タルクを所望量の水に分散させる。
【0167】
パワージェン700D高剪断ミキサーを用いて分散剤をホモジナイズする。
【0168】
その後、B部分をA部分のポリマー分散剤にゆっくりと軽く撹拌しながら添加する。
【0169】
水溶性コーティング分散剤の塗付のためのコーティング条件
以下のコーティングパラメータが、オイドラギット(登録商標)L30D−55とオイドラギット(登録商標)S100の水溶性フィルムコーティングのマトリクスペレットへのコーティングに用いられた。
【0170】
コーティング装置 STREA1テーブルトップ実験室流動床コーター
スプレーノズル直径 1.0mm
材料分量 300グラム
吸気温度 40から45℃
排気温度 30から33℃
噴霧空気圧 1.6バール
ポンプ速度 2グラム/分
【0171】
ペレットに対して20%のコーティング重量増加となるように、マトリックスペレットをL30D−55分散剤でコーティングする。
【0172】
ペレットに対して37%のコーティング重量増加となるように、マトリックスペレットをS100分散剤でコーティングする。
【0173】
錠剤化のためのクラリスロマイシン顆粒(即時放出成分)の調製
表9 クラリスロマイシン顆粒の組成

* ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、Wet Massingの間、2.9%w/w水溶液として添加された。
【0174】
低剪断ミキサーを用いてクラリスロマイシンとAvicel(登録商標)PH101を混合する。
【0175】
混ぜ合わせながら、粉末混合物中にヒドロキシプロピルメチルセルロース結合剤溶液をゆっくりと添加する。
【0176】
流動床乾燥機を用いて60℃で、排気温度が40℃になるまで、顆粒を乾燥する。
【0177】
さらなる処理のために、20から40メッシュの顆粒が回収された。
【0178】
クラリスロマイシンペレットの錠剤化
表10 クラリスロマイシン錠剤の組成

【0179】
クラリスロマイシン顆粒、Avicel PH−200、クラリスロマイシンペレット、及びコロイド状二酸化ケイ素を、タンブルブレンダー中で15分間混合する。
【0180】
ブレンダーにステアリン酸マグネシウムを添加し、5分間混合する。
【0181】
ロータリー式錠剤機で混合物を圧縮する。
【0182】
500mgの投与量の錠剤となるように、全重量が調整される。
【0183】
錠剤の腸溶コーティングのための基本手順
腸溶コーティング溶液を調製するために、表2にしたがって、L30DとTECを、オーバーヘッドミキサーを用いて低速で30分間混合する。別の容器中で、水とタルクをしっかりと撹拌しながら混合する。タルクスラリーをポリマー分散剤に添加する。コーティングプロセス前に、60メッシュスクリーンを通してふるいにかける。コーティングプロセスの間、低速での分散剤の撹拌を維持する。
【0184】
55℃の吸込温度、25cfmのエアフロー、7から10のポンプ設定、19rpmのパン速度、25から26psiの噴霧圧で、パン コーター(LCDS)中で錠剤をコーティングする。このコーティング手順では、8%までの重量増加が望ましい。
【0185】
コーティング装置 LCDS実験室用パン コーター
パン速度 19rpm
噴霧圧 25から26psi
吸気温度 50から60℃
排気温度 30から33℃
ポンプ速度 7から10グラム/分
【0186】
即時放出活性コーティング塗付のための基本手順
冷水にHPMCを溶解する。オーバーヘッド撹拌器を用いて中速で撹拌しながら、クラリスロマイシンを添加する。所望の重量増加となるまで、55℃の吸込温度、24cfmのエアフロー、10から12のポンプ設定、19rpmのパン速度、25から28psiの噴霧空気圧でコーティングを塗付するために、LCDS20/30を用いる。
【0187】
任意の即時放出化粧/風味マスキングコーティングのための基本手順
水に7%のオパドライ溶液の溶液が撹拌によって調製される。コーティングは、3から3.5%の全重量増加となるまで、65℃の吸込温度、25cfmのエアフロー、8から9のポンプ設定、19rpmのパン速度、25psiの噴霧空気圧で塗付される。
【0188】
これは、4パルスを有する完全クラリスロマイシン腸溶コーティング錠剤を作成する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分を包含する即時放出部位と、遅延放出部位とを含み、
前記遅延放出部位は腸溶コーティング層を含み、
前記腸溶コーティング層内には、活性成分を包含する腸溶コーティング微粒子剤形と活性成分を包含する腸溶コーティング小錠剤剤形から成るグループから選択された最低一つが存在することを特徴とする薬物錠剤。
【請求項2】
請求項1に記載の薬物錠剤において、
前記活性成分は、同一の活性成分から成ることを特徴とする薬物錠剤。
【請求項3】
請求項1に記載の薬物錠剤において、
前記活性成分は、最低二つの異なる活性成分を含むことを特徴とする薬物錠剤。
【請求項4】
請求項1に記載の薬物錠剤において、
前記活性成分は、抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬、及び抗腫瘍薬から成るグループから選択されることを特徴とする薬物錠剤。
【請求項5】
請求項4に記載の薬物錠剤において、
前記抗生物質は、ベータラクタム、セファロスポリン、及びマクロライドから成るグループから選択されることを特徴とする薬物錠剤。
【請求項6】
請求項3に記載の薬物錠剤において、
前記最低二つの異なる活性成分は、アモキシシリン及びクラリスロマイシンを含むことを特徴とする薬物錠剤。
【請求項7】
請求項5に記載の薬物錠剤において、
前記ベータラクタム抗生物質は、アモキシシリンであることを特徴とする薬物錠剤。
【請求項8】
請求項7に記載の薬物錠剤において、
後に放出する剤形のそれぞれから放出されるアモキシシリンの補足物は、前記後に放出する剤形の直前の剤形により放出されるアモキシシリンの補足物により示される血清中の最大濃度に相当するか、あるいは上回る血清中の最大濃度を示すことを特徴とする薬物錠剤。
【請求項9】
最低一つの活性成分の即時及び遅延放出送達のための即時放出部位及び遅延放出部位を有する薬物錠剤の調製法であって、
(a)核錠が活性成分を包含する腸溶コーティング微粒子剤形と活性成分を包含する腸溶コーティング小錠剤剤形から成るグループから選択された最低一つを含み、腸溶コーティングが前記核錠を覆うように、前記核錠と前記腸溶コーティングを含む遅延放出部位を作成し、
(b)即時放出層が前記遅延放出部位を最低でも部分的に覆うように、前記即時放出層としての活性成分を包含する即時放出部位を前記遅延放出部位の全体に塗付する、ステップを含むことを特徴とする薬物錠剤の調製法。
【請求項10】
宿主の細菌感染の治療法であって、
宿主に、請求項1に記載の薬物錠剤を一日に一回、あるいは二回投与することを含むことを特徴とする治療法。
【請求項11】
宿主の細菌感染の治療法であって、
宿主に、請求項2に記載の薬物錠剤を一日に一回、あるいは二回投与することを含むことを特徴とする治療法。
【請求項12】
宿主の細菌感染の治療法であって、
宿主に、請求項3に記載の薬物錠剤を一日に一回、あるいは二回投与することを含むことを特徴とする治療法。
【請求項13】
宿主の細菌感染の治療法であって、
宿主に、請求項4に記載の薬物錠剤を一日に一回、あるいは二回投与することを含むことを特徴とする治療法。
【請求項14】
宿主の細菌感染の治療法であって、
宿主に、請求項5に記載の薬物錠剤を一日に一回、あるいは二回投与することを含むことを特徴とする治療法。
【請求項15】
宿主の細菌感染の治療法であって、
宿主に、請求項6に記載の薬物錠剤を一日に一回、あるいは二回投与することを含むことを特徴とする治療法。
【請求項16】
宿主の細菌感染の治療法であって、
宿主に、請求項7に記載の薬物錠剤を一日に一回、あるいは二回投与することを含むことを特徴とする治療法。
【請求項17】
宿主の細菌感染の治療法であって、
宿主に、請求項8に記載の薬物錠剤を一日に一回、あるいは二回投与することを含むことを特徴とする治療法。
【請求項18】
宿主の細菌感染の治療法であって、
宿主に、請求項9に記載の薬物錠剤の調製法により作成された薬物錠剤を一日に一回、あるいは二回投与することを含むことを特徴とする治療法。
【請求項19】
請求項1に記載の薬物錠剤において、
活性成分を包含する腸溶コーティング微粒子剤形と活性成分を包含する腸溶コーティング小錠剤剤形から成るグループから選択された前記最低一つは、pH感受性剤形であることを特徴とする薬物錠剤。
【請求項20】
請求項1に記載の薬物錠剤において、
活性成分を包含する腸溶コーティング微粒子剤形と活性成分を包含する腸溶コーティング小錠剤剤形から成るグループから選択された前記最低一つは、pH非依存性剤形であることを特徴とする薬物錠剤。
【請求項21】
宿主の細菌感染の治療法であって、
宿主に、請求項19に記載の薬物錠剤を一日に一回、あるいは二回投与することを含むことを特徴とする治療法。
【請求項22】
宿主の細菌感染の治療法であって、
宿主に、請求項20に記載の薬物錠剤を一日に一回、あるいは二回投与することを含むことを特徴とする治療法。

【公表番号】特表2008−505124(P2008−505124A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519542(P2007−519542)
【出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/023831
【国際公開番号】WO2006/014427
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(503139061)アドバンシス ファーマスーティカル コーポレイション (13)
【Fターム(参考)】