説明

パレタイジング装置

【課題】
貫通孔の無いワークにおいても、一度に複数のワークをパレット内に積込むことが可能であり、かつ積込時におけるパレット内のワークの荷崩れを防止することを可能とするパレタイジング装置を提供する。
【解決手段】
プレス成形後にコンベア3から搬送されたワーク2をパレット40内に積込むパレタイジング装置において、ワーク2の底面が垂直な向きになる様にクランプし、複数の該ワーク2を整列させるワーク整列装置10と、該ワーク整列装置10に近設され、該ワーク整列装置10により整列された複数の該ワーク2の外周部を把持し専用パレット40内にワーク2を積込むワーク積込装置20と該ワーク積込装置20の近傍に配置され、該ワーク積込装置20から複数の該ワーク2が積込まれた際に該複数のワーク2が整列された状態で積載可能とする専用パレット40とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス成形後にコンベアから搬送されたワークをパレット内に積込むパレタイジング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プレス成形されたワークをパレット等に箱詰めする方法として、従来では産業ロボットによりワークを1つずつ把持部で把持してパレット内に積込む方法や特許文献1に記載のように、貫通孔のあるワークを複数整列させ、ロボットにより棒状の把持部で複数のワークを串刺し状に把持し、パレット内に積込む方法が実施されている。
【0003】
【特許文献1】特公平8−18686号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
産業ロボットによるワークの積込方法においては、ワークを1つずつパレット等に積込むために生産性が低く、大量生産を行う場合、1台のロボットでは対応が困難となる場合がある。その場合は、複数のロボットを使用して積込を行う必要があり、設備コストが高くなるという問題が生じる。また、パレット等に積込む時にパレット内でワークの荷崩れを起こすことがあり、その際にワーク同士が干渉したり落下による当てキズや打痕が発生するという問題が生じる。この場合は品質不良により製造コストが高くなる。
【0005】
上記の問題点を解消する方法として、特許文献1に記載の様な複数のワークを整列させロボットによりそれらのワークを把持してパレット内に積込む方法がある。
このワーク積込方法としては、ロボットが貫通孔を持ったワークに棒状の把持部を貫通孔に串刺しすることで把持し、一度に複数のワークをパレット内に積込む方法である。これにより、前記の産業ロボットと比較して生産性が向上するというメリットがある。
また、ワークをパレット内に積込む際の荷崩れの問題についても、ワークをパレット内に積込む前に、予めロボットによりパレット内に仕切り板を取り付け、ワーク積込完了後にロボットによりパレット内の仕切り板を取り外すという方法によりワークの荷崩れの問題を解消できる。
しかし、特許文献1の様なワーク積込装置においては貫通孔を持ったワークでないと処理できないという問題がある。
また、パレット内のワーク荷崩れを防ぐために、パレットに仕切り板を装入するロボットを設置する必要があるため、そのための設備コストのアップや広い設置場所が必要といった問題が生じる。
【0006】
本発明は上記の問題点を解消するために、貫通孔の無いワークにおいても、一度に複数のワークをパレット内に積込むことが可能であり、かつ仕切り板を取り付けるためのロボットを使用しなくてもパレット内のワークの荷崩れを防止することで、サイクルタイムの短縮による生産性の向上や設備コストの低減及びワーク同士の干渉及び落下による当てキズや打痕等の品質不良の防止を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、請求項1の発明では、プレス成形後にコンベアから搬送されたワークをパレット内に積込むパレタイジング装置において、ワークの底面が垂直な向きになる様にクランプし、複数の該ワークを整列させるワーク整列装置と、該ワーク整列装置に近設され、該ワーク整列装置により整列された複数の該ワークの外周部を把持し専用パレット内にワークを積込むワーク積込装置と該ワーク積込装置の近傍に配置され、該ワーク積込装置から複数の該ワークが積込まれた際に該複数のワークが整列された状態で積載可能とする専用パレットとを有することを特徴とする。
請求項2の発明では、前記ワーク積込装置の把持部の形状はくちばし状であり、整列した複数のワークの外周部を2方向から挟む状態で把持することを特徴とする。
請求項3の発明では、前記専用パレットには、外壁部に前記ワーク積込装置の把持部が抜き差し可能となる開口部と、内部に該複数の整列されたワークをパレット内の底面よりも上方の位置で積載できる積載台が設けられていることを特徴とする。
【0008】
(作用)
本発明1の構成により、プレス成形後にコンベアから搬送されたワークを前記のワーク整列装置によりワークをクランプし、かつ整列させ、整列された複数のワークを近設するワーク積込装置の把持部によりまとめて把持し、ワーク整列装置により整列させた複数のワークを一度にパレット内に積込むことが可能となる。この作用により、産業ロボットの様な、ワークを1つずつパレット内に詰め込む方法に比べて複数のワークを一度にパレット内に積込可能な点でサイクルタイムの短縮が図れ、生産性が向上する。
本発明2により、前記ワーク積込装置の把持部の形状がくちばし状であり、整列した複数のワークの外周部を2方向から挟む状態で把持するため、貫通孔の無いワークにおいても複数のワークを一度に把持することが可能となる。
本発明3により、ワーク積込装置から専用パレット内にワークを積込む際に、ワーク積込装置のくちばし状の把持部が水平に下降した際にパレット内に進入可能となる様に、専用パレットの外壁部には開口部が設置されている。また、パレットの内部には、ワークがパレット内の底面よりも上方の位置で積載できる積載台が設置されている。パレット内部に進入した把持部は複数の整列されたワークを積載台に積み降ろし、その後ワークをアンクランプする。このとき、積載台に積載されたワークとパレット内の底面には、ワーク積込装置の下側の把持部を抜くための隙間があり、アンクランプ後の把持部はパレットの開口部から後退することで、パレットから外に抜け出ることが可能である。
パレット内に積込されたワークは、複数整列された状態で積載台に積込まれる。次にワーク積込装置により積込まれる整列された複数のワークは隣の積載台に積載され、先に積載されたワークとの間にはワーク同士が干渉しないための隙間を確保している。
このような専用パレットを設けてワークを積込む方法により、特許文献1のような仕切り板を取り付け、取り外しを行うためのロボットを設置する必要がなく、そのようなロボットの設置に伴う設備コストの低減や設置場所のスペース確保が不要になるという大きな効果を有する。
【発明の効果】
【0009】
以上の発明により、貫通孔の無いワークにおいても一度に複数のワークをパレット内に積込むことが可能であり、かつ積込時におけるパレット内のワークの荷崩れを防止することができる。それにより、サイクルタイムの短縮による生産性の向上や設備コストの低減及びワーク同士の干渉及び落下による当てキズや打痕等の品質不良の防止を図ることが可能となる。
特に品質の点において、ワークに当てキズや打痕があってはならない場合には、本発明の装置を採用することは有効である。
【実施例】
【0010】
以下、本発明の一実施例を図面により説明する。
図1から図4は本発明であるパレタイジング装置を示した図である。また実施例に用いられるワークについては歯型鍛造品でギヤ部を有するものである。
図1において、プレス機1に近接してワーク2を搬送するコンベア3が設置されている。
コンベア3の終端上部には、開閉板8が設置されている。開閉板8はワーク2がシュート4へ移動する際にワーク2に押されてシュート4側に開く。開閉板8には近接スイッチが設置されており、開閉板8が開いた際に近接スイッチが感知する。コンベア3の終端側の先にはワーク2をワーク整列装置10に送り込むための経路となるシュート4が設置されており、ワーク整列装置10のスライド板11の手前まで延びている。シュート4の両端のうち、ワーク整列装置10とは反対側の端部付近には、ワーク押し出し装置5が設置されている。ワーク押し出し装置5はワーク2を押し出すロッド6とロッド6を伸縮させるエアーシリンダー7とから構成されている。
【0011】
ワーク整列装置10には、シュート4から送られてきたワーク2を整列台12にクランプするスライド板11とスライド板11の動きに応じて伸縮するロッド14及びロッド14を動作させるエアーシリンダー13が設置されている。整列台12には、クランプされかつ整列されたワーク2が倒れない様にワーク2を支えるストッパー15が設置され、ストッパー15の下部にはストッパー15の動きに応じて伸縮するロッド16及びロッド16を動作させるエアーシリンダー17が設置されている。又、ストッパー15の下部には、ストッパー15の進行をガイドするガイドレール18が設置されている。
ストッパー15には、図2に示す様にストッパー15の位置を感知する光電センサー19が取り付けられている。
【0012】
ワーク整列装置10に近設されたワーク積込装置20は図2に示す様に、基台21の上にモータ22で駆動する回転軸23があり、回転軸23の上には回転軸23の回転により旋回する回転体24が設けられている。
回転体24の上にはくちばし状の把持部29を備えた支柱25と支柱25を前後に動かすためのモータ26と支柱25の進行をガイドするガイドレール27が設置されている。
支柱25には、ワーク2を把持するくちばし状の2本の把持部29が設けられ、2本の把持部29はエアーシリンダー30の圧力によりロッド31が伸縮することで支柱25に取り付けられたガイドレール32に沿って上下に動作を行う。
2本の把持部29の間にはエアーシリンダー33及びエアーシリンダー33の圧力により伸縮するロッド34が設置されており、把持部29がワーク2の外周を上下2方向からクランプあるいはアンクランプすることが可能となっている。
【0013】
ワーク積込装置20の近傍に配置されたパレット40は図3に示す様に、ワーク積込装置20の把持部29によりワーク2を積込む方向の外壁部には、把持部29が下降した時にパレット40内に進入可能となる開口部41が数箇所設けられている。またパレット40の内部にはワーク2がパレット40内部の底面よりも上方の位置で積載可能となる様に積載台42が数箇所設けられている。積載台42の高さについては、ワーク積込装置20によりパレット40内に設けられた積載台42にワーク2を積み下ろした後に、下部の把持部29がパレット40内から抜くことが可能となる様な隙間が設けられた設計になっている。積載台42の幅については、パレット40内にワークが積載された時に隣のワーク2同士が干渉しない様な長さに設計されている。
又パレット40は、図1に示す様にワーク積込時には搬送台車43上に搭載されている。そしてその搬送台車43は、モータ45の動力によりレール44上を移動可能となっている。
【0014】
次に本装置によるワークの積込方法について説明する。
図1に示す様に、プレス機1により成形されたワーク2はコンベア3により底面が水平な向きに搬送される。ワーク2はコンベア3の終端まで搬送された際に開閉板8を押し開き、そしてシュート4内側面の傾斜に沿ってシュート4の溝部に落下する。この時ワーク2はほぼ垂直な向きになる。
開閉板8が開いた際に、開閉板8に設置された近接スイッチが感知することでワーク押し出し装置5が作動する。ワーク押し出し装置5のシリンダー7の圧力によりロッド6が伸びることで、シュート4の溝部に落下したワーク2はワーク整列装置10の方に押し出される。押し出されたワーク2は、シュート4の溝部を転がってスライド板11の上面にあるワーク搭載部で停止する。
【0015】
スライド板11に搭載されたワーク2は、図2に示す様にワーク整列装置10にあるスライド板11によりワーク積込装置20の設置されている方へクランプされる。この時クランプされたワーク2はストッパー15によりワーク2の底面が垂直な向きになる様に支えられている。
【0016】
ワーク整列装置10では整列台12にワーク2が18個程度整列するまで上記ワーク2のクランプを繰り返し行う。ワーク2をクランプする度にストッパー15の位置がワーク積込装置20の方へ移動する。ストッパー15が移動する際は、ストッパー15の下部に設置されたエアーシリンダー17のロッド16もストッパー15の動きに合わせて伸びていく。
【0017】
ワーク2が18個程度整列した後、予め整列台12の位置で構えていたワーク積込装置20の把持部29がエアーシリンダー33の圧力によりロッド34が縮むことでそれらのワーク2の外周をクランプする。把持した後エアーシリンダー31の圧力によりロッド32が縮むことで図2の破線で示す様に把持部29が水平に上昇する。
この時ワーク整列装置10のストッパー15では、ワーク2が整列台12で18個程度整列された状態で光電センサー19が反応し、ワーク積込装置20の把持部29が上昇した後、ストッパー15はエアーシリンダー17の圧力によりロッド16が縮むことで元の位置へ後退する。
ワーク2を把持した把持部29は、モータ22の動力により回転軸23が回転し回転体24がパレット40のある方向に旋回することにより、図1の破線に示す様にパレット40の上部へ移動する。
【0018】
ワーク積込装置20からワーク2をパレット40内に積み込む際は、図4に示す様にまずエアーシリンダー30の圧力によりロッド31が伸びることで把持部29が水平に下降する。下降した把持部29はパレット40の外壁に設けられた開口部を通過してパレット40内に進入する。把持部29はさらにワーク2が積載台42に積載される位置まで下降する。ワーク2が積載台42上に積載された後、把持部29はエアーシリンダー33の圧力によりロッド34が伸びることでワーク2をアンクランプする。そして、モータ26の動力により支柱25がガイドレール27上を後退することで、把持部29はパレット40の外部へ後退する。その後、回転体24がモータ22の動力により回転軸23が回転することによりワーク整列装置10側へ旋回すると同時に、後退した把持部29はワーク整列装置10の方へ向きをかえる。そして、モータ26の動力により支柱25を最前部まで前進させることで、把持部29はワーク整列装置10の整列台12の位置に移動する。
【0019】
次の18個程度のワーク2をパレット40内に積み込む際は、パレット40を搭載している搬送台車43がモータ45の動力によりプレス機1側に移動し、先に積載したワーク2の隣の積載台42に積込可能となる位置で搬送台車43は停止する。その後、前記と同様にワーク2を把持した把持部29をパレット40内に下降させてワーク2を積載台42に積載させる。
この専用パレット40を使用して上記の様にワーク2を積載することで隣同士のワーク2が干渉することなく、かつワーク2を積載台42に積載された後にワーク2の荷崩れが起きることがなくワーク2を積み込むことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るパレタイジング装置の平面図である。
【図2】本発明に係るワーク整列装置とワーク積込装置の側面図である。
【図3】本発明に係る専用パレットの正面図である。
【図4】本発明に係るワーク積込装置と専用パレットの側面図である。
【符号の説明】
【0021】
2・・・ワーク
3・・・コンベア
10・・・ワーク整列装置
20・・・ワーク積込装置
29・・・把持部
40・・・専用パレット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレス成形後にコンベアから搬送されたワークをパレット内に積込むパレタイジング装置において、ワークの底面が垂直な向きになる様にクランプし、複数の該ワークを整列させるワーク整列装置と、該ワーク整列装置に近設され、該ワーク整列装置により整列された複数の該ワークの外周部を把持し専用パレット内にワークを積込むワーク積込装置と、該ワーク積込装置の近傍に配置され、該ワーク積込装置から複数の該ワークが積込まれた際に該複数のワークが整列された状態で積載可能とする専用パレットとを有することを特徴とするパレタイジング装置。
【請求項2】
前記ワーク積込装置の把持部の形状はくちばし状であり、整列した複数のワークの外周部を2方向から挟む状態で把持することを特徴とする請求項1に記載のパレタイジング装置。
【請求項3】
前記専用パレットには、外壁部に前記ワーク積込装置の把持部が抜き差し可能となる開口部と、内部に該複数の整列されたワークをパレット内の底面よりも上方の位置で積載できる積載台が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載のパレタイジング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−137572(P2007−137572A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−332175(P2005−332175)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(000116655)愛知製鋼株式会社 (141)
【Fターム(参考)】