説明

パワートランジスタを制御する装置

【課題】トランジスタがスイッチ・オンされた時、スイッチング・ロスと、電磁干渉(電磁妨害)と、を削減するのに最適化された動作特性を有する、JFETタイプのトランジスタの制御装置を提案する。
【解決手段】本発明は、ゲート、ドレイン及びソースを備えるJFETタイプのトランジスタのゲート制御装置に関し、前記装置は、前記トランジスタの前記ゲート(G)に接続された出力(out2)を備える電圧生成回路11を備え、前記回路は、前記出力にて、所定の電圧ランプに追随する、基準ゲート・ソース電圧(VREF)を生成するように設計され、前記基準ゲート・ソース電圧(VREF)を所定の最大値(VGS_max)に、前記JFETトランジスタの端子におけるゲート・ソース電圧(VGS)が前記最大値に到達した時、制限するように設計された、電圧制限回路12を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワートランジスタ、より詳しくは接合型電界効果トランジスタJFETの制御装置に関する。JFETトランジスタは、例えば、炭化シリコン又は窒化ガリウムの様な、高いバンドギャップエネルギーの物質で製造されるであろう。このタイプのトランジスタは、特に、パルス幅変調(PWM)と共にインバータで用いられ得る。
【背景技術】
【0002】
多数の出版物が、トランジスタの、特にIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)タイプの、制御に関して書かれている。
【0003】
トランジスタの制御において、解決されるべき主な問題は、トランジスタのスイッチングスピードの制御の仕方である。このことに関して、互いに独立に、時間の関数としての電流の変化(di/dt)と、時間の関数としての電圧の変化(dV/dt)と、を制御できることが本質的である。トランジスタがスイッチ・オンされた時、目的は、例えば、di/dtを減らして、そして、dV/dtを増加させることにある。しかし、大体の場合、周知の制御機能は十分ではない。
【0004】
Petar J. Grbovicによる“An IGBT Gate Driver for Feed-Forward control Turn-on Losses and Reverse Recovery Current”と題された出版物(IEEE Transactions on Power Electronics, Vol 23, No2, March 2008, 643ページ)は、IGBTタイプのトランジスタ用の十分な制御装置を記述している。このタイプの装置は、トランジスタがスイッチ・オンされた時に、特にロス(損失)を制限することを可能にする。ゲート抵抗は、トランジスタのスイッチング・ロスと、トランジスタと関連するフリーホイールダイオードの逆伝導電流の大きさと、生成された電磁干渉と、の間のトレードオフを提供するように選択される。しかし、この装置は、JFETタイプのトランジスタを制御するには依然として不適切である。実際には、JFETでは、トランジスタにサポート(支持)され得る最小のスイッチ・オン電圧と最大の電圧との間の電圧範囲は、非常に制限されている。このことが原因で、JFETトランジスタは、スイッチング動作特性が最適化されなければならない、非常に正確な制御装置を必要とする。トランジスタがスイッチ・オンされた時の動作特性を最適化することで、従ってスイッチング・ロスと電磁干渉とを削減することができる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、トランジスタがスイッチ・オンされた時、スイッチング・ロスと、電磁干渉(電磁妨害)と、を削減するのに最適化された動作特性を有する、JFETタイプのトランジスタの制御装置を提案することである。
【0006】
この目的は、ゲート、ドレイン及びソースを備えるJFETタイプのトランジスタのゲート制御装置であって、
− 前記トランジスタの前記ゲートに接続された出力を備える電圧生成回路を備え、前記回路は、前記出力にて、所定の電圧ランプに追随する、基準ゲート・ソース電圧を生成するように設計され、
− 前記基準ゲート・ソース電圧を所定の最大値に、前記JFETトランジスタの端子におけるゲート・ソース電圧が前記最大値に到達した時、制限するように設計された、電圧制限回路を備える
ことを特徴とする装置で達成される。
【0007】
本発明の特有の特長によれば、前記制限回路は、容量の端子における電圧が供給される入力と、前記基準ゲート・ソース電圧が生成される出力と、を有する。
【0008】
本発明の他の特有の特長によれば、前記制限回路は、バイポーラトランジスタと、前記JFETトランジスタの前記ゲート・ソース電圧および前記所定の最大値間の比較手段と、を有する。
【0009】
本発明の他の特有の特長によれば、前記制限回路は、ダイオードを有し、且つ、前記最大値は、前記バイポーラトランジスタの伝導しきい値電圧と前記ダイオードの伝導しきい値電圧(VD2)との合計により決定される。
【0010】
本発明の他の特有の特長によれば、前記電圧生成回路は、直列に接続されて、入力回路の出力と前記JFETトランジスタの前記ソースとの間に接続されたRLC回路を形成している、抵抗、インダクタ及び容量と、前記制限回路の入力と前記JFETトランジスタの前記ソースとの間における、前記RLC回路の前記容量と並列に接続されたクランピングダイオードと、を有する。
【0011】
本発明の他の特有の特長によれば、前記電圧生成回路は2つのバイポーラトランジスタを直列に備え、それらの2つのベースは共通であると共に前記制限回路の前記出力に接続されている。
【0012】
本発明の他の特有の特長によれば、第1の前記バイポーラトランジスタはPNPタイプであり、且つ、第2の前記バイポーラトランジスタはNPNタイプであり、前記2つのバイポーラトランジスタのエミッタ端子は共通である。
【0013】
本発明の他の特有の特長によれば、前記制御装置は、出力にて前記JFETトランジスタ用の制御信号を生成するように設計された入力回路を備える。
【0014】
本発明の他の特有の特長によれば、前記制御装置は、前記JFETトランジスタの前記ゲートと、前記電圧生成回路の前記出力との間に接続されたゲート抵抗を備える。
【0015】
本発明の他の特有の特長によれば、前記装置は、前記制限回路の第1の入力とグランドとの間に直列に接続された、ダイオード及び容量と、前記容量(C)に並列に接続された安定ダイオードと、を備える。
【0016】
本発明は、複数のJFETタイプのトランジスタを有するインバーターステージを備える電力変換器であって、各JFETトランジスタは、以上で定義された制御装置により制御される電力変換器にも関する。
【0017】
本発明は、ノーマリーオフタイプ又はノーマリーオンタイプのJFETトランジスタの制御に適用され得る。
【0018】
本発明の制御装置は、時間の関数としてのトランジスタを流れる電流の変化、及び、従ってこの変化により生成される電磁干渉、及び、トランジスタのドレインとソース間の電圧変化、及び、従ってスイッチング・ロスを、独立して制御できるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
他の特長と利点は、一例として与えられ且つ添付の以下の図面で表された実施形態の説明から、明らかになるであろう。
【図1】図1は、JFETタイプのトランジスタの制御を対象とした、本発明の装置を表す。
【図2】図2は、図1に表された制御装置の様々な電流及び電圧パラメータの傾向を示す。
【図3】図3は、本発明の制御装置で用いられた電圧制限回路を、より詳しく表す。
【図4】図4は、本発明の装置の異なる実施形態を表す。
【図5】図5は、図4に表された装置の電源電圧及び電流の傾向曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の装置は、JFET(接合型電界効果トランジスタ)タイプのトランジスタの制御に適用できる。
【0021】
JFETトランジスタは、制御電極(G)を備える周知のパワーエレクトロニクススイッチであり、その機能はドレイン(D)とソース(S)との間の電流の通過を可能にする又は妨げることである。このようなトランジスタは、ゲートとソースとの間の電圧VGSがゼロに近い場合、ノーマリーオンタイプである。このことは、ドレイン・ソースの経路が制御電圧VGSの無い時に通っている又は伝導している、ということを意味する。反対に、JFETトランジスタは、ドレイン・ソースの経路がゲートとソースとの間の電圧VGSの無い時に伝導していない場合、ノーマリーオフタイプである。
【0022】
本発明によれば、制御されたJFETトランジスタは、好ましくは広いバンドギャップの物質、例えば、炭化シリコン(silicon carbide)又は窒化ガリウム、から形成されても良く、それによりパス状態における低抵抗(RDSON)を示し、そして、それゆえ限定されたロスを生成すると共に高電圧(600Vより高い)に耐える。
【0023】
ノーマリーオンJFETトランジスタは、負であるゲートとソースとの間の電圧VGSの供給を必要として、スイッチオフされる。この電圧は、通常、−5ボルトと−15Vの間である。
【0024】
ノーマリーオンJFETトランジスタは、正であるゲートとソースとの間の電圧VGSの供給を必要として、スイッチ・オンされる。この正電圧は、通常、+1ボルトと+3Vの間である。
【0025】
JFETトランジスタは、スピード変化、スイッチ・モード電源または無停電電源のような、電力変換タイプのアプリケーションのような、数キロヘルツから数百キロヘルツの範囲のスイッチングのアプリケーションに用いられ得る。
【0026】
以下の明細書では、本発明の装置は、ノーマリーオフタイプのJFETトランジスタの制御に関して記述される。明らかに、本発明の制御装置は、ノーマリーオンタイプのJFETトランジスタの制御に完全に適合される。
【0027】
本発明の制御装置は、入力回路10、電圧生成回路11、電圧制限回路12およびゲート抵抗Rを、特に備える。
【0028】
入力回路10は、JFETトランジスタのゲートにおける制御信号を生成するように設計されている。それは、ダイオードDと2つのスイッチS1,S2とを直列に備える。入力回路10の出力は、その2つのスイッチの間に位置された点に接続されている。入力回路10は、例えば、+5Vに等しく、JFETをスイッチ・オンする、VCCと称される正の値と、例えば、−15Vから−20Vの範囲であり、JFETトランジスタをスイッチオフする、VEEと称される負の値と、を取り得る電源入力電圧VGGを生成するように設計されている。
【0029】
電圧生成回路11は、入力回路10の出力に接続されると共に、所定の電圧ランプに応じて、以下基準電圧VREFと称される、基準ゲート・ソース電圧VREFを生成するように設計されている。参照電圧VREFランプの傾きは、ほぼ一定である。
【0030】
電圧生成回路11は、受動RLC回路と、クランピングダイオードDと、を特に備える。RLC回路の抵抗R、インダクタL及び容量Cは、入力回路10の出力と、制御されたJFETトランジスタのソースSとの間に、直列に接続されている。その部分に関して、クランピングダイオードDは、RLC回路の容量Cと並列に接続されている。インダクタLと容量Cとの間に位置された接続点は、電圧制限回路12の第1の入力(in1)に接続されている。電圧生成回路10は、2つのバイポーラトランジスタQ1,Q2も直列に備える。トランジスタQ1はNPNタイプであると共に、それのコレクタ(C)は正電圧VCCに接続されている。トランジスタQ2はPNPタイプであり、トランジスタQ1のエミッタ(E)に接続されたエミッタ(E)と、負電圧VEEに接続されたコレクタ(C)と、を有する。2つのトランジスタQ1,Q2のベース(B)は共通になっており、トランジスタQ1,Q2の2つのベースに接続された接続点は、電圧制限回路12の出力(out1)に接続されている。
【0031】
その部分として図3に表される電圧制限回路12は、抵抗R1,R2,R3と、ダイオードD1,D2と、容量C3と、NPNタイプのバイポーラトランジスタQ3と、を備える。電圧制限回路12の第1の入力(in1)は、こうして、制限回路の出力(out1)に抵抗R1を介して直接接続されている。制限回路の第2の入力(in2)は、正の電源電圧VCCに接続されていると共に、制限回路の出力(out1)に抵抗R2を介して接続されている。容量C3と抵抗R3は、直列に、第3の入力(in3)と制限回路12の共通端子(com)との間に接続されている。制限回路12の第3の入力(in3)は、JFETトランジスタのゲートGに接続されており、一方、共通端子(com)は、JFETトランジスタのソースSに接続されている。ダイオードD1は、制限回路12の出力(out1)と、トランジスタQ3のコレクタCとの間に接続されており、一方、トランジスタQ3のエミッタは、共通端子(com)に接続されている。ダイオードD2は、その部分として、トランジスタQ3のベースと、直列の抵抗R3及び容量C3の間に位置する接続点と、の間に接続されている。
【0032】
このようにして、容量Cの両端子における電圧Vは、制限回路12の第1の入力(in1)と、JFETのソースSに接続されている共通端子(com)と、の間に加えられる。さらに、JFETトランジスタのゲート・ソース電圧VGSは、第3の入力(in3)と、制限回路12の共通端子(com)と、の間に加えられる。
【0033】
電圧生成回路の出力(out2)は、ゲート抵抗Rを介して、制御されたJFETトランジスタのゲートに接続されている。電圧生成回路により供給される基準電圧VREFは、電圧生成回路11の出力out2と、JFETトランジスタのソースSと、の間に加えられる。
【0034】
本発明の原理は、JFETトランジスタのスイッチ・オンを最適化することである。JFETトランジスタのスイッチ・オンを速くするために、十分に大きいゲート電流iを有することが必須である。しかし、伝導損失及び電磁妨害は制限されていなければならない。
【0035】
スイッチ・オンの順序は4つの別々の段階に分割され得、これらの詳細は図2を参照して以下に示される。
【0036】
段階1
JFETトランジスタをスイッチ・オンする信号が制御装置に送られ、そのことがスイッチS2を閉じることと、ダイオードDを介してRLC回路を充電することと、をもたらす。スイッチS2が閉じる後、容量Cの両端子における電圧Vは、電源の負の値VEEからゼロに増加する。参照電圧VREFは傾きdVREF/dtの所定のランプに応じて増加し、このことは、わずかな遅延を有し、同じ傾きに応じて、制御されたJFETトランジスタの端子におけるゲート・ソース電圧VGSの増加ももたらす。この第1段階の間、ゲート・ソース電圧VGSは、JFETをスイッチ・オンするためのしきい値VGS_thよりも低い。結果として、ドレイン電流iはゼロである。
【0037】
段階2
ゲート・ソース電圧VGSは、JFETをスイッチ・オンするためのしきい値VGS_thに達する。ドレイン電流iは、従って、JFETをドレインDとソースSとの間で流れ始める。ゲート・ソース電圧VGSが増加し続けるにつれて、ゲート・ソース電圧VGSが増加する傾き及びJFETトランジスタの特性に応じて、ドレイン電流iも増加する。結果として、ドレイン電流iの変化は、ゲート・ソース電圧VGSの変化、ひいては基準電圧VREFによって、制御される。
【0038】
段階3
ドレイン電流iはチャージ電流iLOの値に達し、そして、ドレイン・ソース電圧VDSは低下し始める。ドレイン・ソース電圧VDSの低下は、ゲート電流iの大幅な増加に関連付けられている。このドレイン・ソース電圧VDSの低下は、JFETトランジスタのミラー効果(Miller effect)から生じる。ミラー・プラトー(Miller plateau)において、トランジスタはアクティブ領域にあるので、ゲート・ソース電圧VGSは一定であり、このことはドレイン電流iをチャージ電流iLOの値において一定に保たせる。基準電圧VREFは増加し続けて正の電圧VCCに達するので、JFETトランジスタのゲートGに注入される電流iも増加する。実際、基準電圧VREFとゲート・ソース電圧VGSとの間の差は、ゲート抵抗Rの両端子の電圧Vに相当する。従って、基準電圧VREFとゲート・ソース電圧VGSとの間の差が大きいほど、JFETトランジスタのゲートに注入される電流iは大きくなる。さらに、ゲート抵抗Rが特に小さい値を有している場合、ゲート電流iは著しく増加する。ゲート抵抗Rが、例えば数オームの、低い値を有していると仮定した場合、ゲート電流iは従って大きくなり得、そして、ゲート電流iが大きいほど、ドレイン・ソース電圧VDSは速く減少する。従って、電圧ドリフト(voltage drift)は制限され、そして、JFETトランジスタをスイッチ・オンする時点でのスイッチング・ロスは削減される。
【0039】
段階4
一旦ドレイン・ソース電圧VDSがゼロに近づくと、ゲート・ソース電圧VGSは、基準電圧VREFの連続(progression)に従って、その増加を続ける。しかし、ゲート・ソース電圧VGSが最大値VGS_maxに到達する時、ゲート・ソース電圧VGSは、コンポーネント(部品)を破損することを避ける目的で、制限されなければならない。このため、ゲート・ソース電圧を最大値VGS_maxに制限する目的で、基準電圧VREFは最大値VGS_maxに削減される。
【0040】
トランジスタをスイッチ・オンする時に消費されるエネルギーは、次の関係で表現される:
【数1】

【0041】
この式から、スイッチング・ロスは、時間に応じたゲート・ソース電圧VGSの変化と、ゲート電流iの大きさと、に依存するということが分かる。
【0042】
動作段階4の間、基準電圧VREFは、図3に示された制限回路12のために、最大値VGS_maxに制限される。制限回路の第3の入力(in3)と共通端子(com)との間に加えられたゲート・ソース電圧VGSが、制限回路12におけるトランジスタQ3の伝導しきい電圧(conduction threshold voltage)VBEとダイオードD2の伝導しきい電圧VD2との合計より小さいとき、トランジスタQ3は、その結果遮断され、そして、容量Cの両端子における電圧Vは制限回路12の出力(out1)に直接受け渡される。ゲート・ソース電圧VGSがトランジスタQ3の伝導しきい電圧とダイオードD2の伝導しきい電圧との合計より大きくなるとき、トランジスタQ3は伝導し始め、このことは制限回路12の出力(out1)に加えられた電圧を制限する効果を有する。出力(out1)に加えられる電圧は基準電圧VREFであるので、ゲート・ソース電圧VGSは自動的に制限され得る。
【数2】

であるので、トランジスタQ3の伝導しきい電圧VBEは0.7Vであり且つダイオードD2の伝導しきい電圧VD2は0.7Vであると仮定すると、最大ゲート・ソース電圧VGS_maxは1.4Vである。図3に示された制限回路12において、抵抗R3と容量C3はローパスフィルタを形成し、それは、ゲート・ソース電圧VGSの高周波ノイズをフィルタする(濾過する)のに用いられ、且つ、最大ゲート・ソース電圧VGS_maxの調整の不安定度を制限できるようにする。抵抗R2は、一旦JFETトランジスタのスイッチングが終了すると、トランジスタQ3用のバイアス抵抗として用いられる。
【0043】
図4は、図1の装置の変形実施形態を示す。前述のように、ゲート・ソース電圧VGSは、JFETトランジスタをスイッチ・オンするために若干正でなければならない。このため、以上でVCCと称された正の電源電圧を有することが必須である。図4の変形は、電源電圧の正の部分を除去することと、この正の電源電圧を制御装置で直接生成することと、を含み、このことは、制御装置の電源システムの複雑さを低減できるようにする。このため、制御装置は、ブーストダイオードと称されるダイオードDと、ブーストキャパシタと称される容量Cと、ダイオードDとを含む。ダイオードDと容量Cは、制限回路12の第1の入力in1と、グランドとの間に直列に接続される。ダイオードDは、容量Cと並列に接続される。
【0044】
図5を参照すると、t0の瞬間にて、JFETトランジスタをスイッチ・オンする信号が制御装置に送られ、このことはスイッチS2を閉じ、そして、ゲート制御電圧VGGを現れるようにする。容量Cは充電され、それにより、それの電圧Vは負の電源電圧VEEから正の電源電圧VCCに0を通過して増加する。t1の瞬間にて、容量Cの両端子における電圧は、値VCCに達し、そして、ダイオードDは電流を流し始める。最大電流Iに依存して、その結果インダクタLに蓄えられるエネルギーは、容量Cに放出され得る。容量Cに放出されたエネルギーの量は、その結果、JFETトランジスタがスイッチ・オンされた瞬間にかかわらず、同一である。このエネルギーは、従って、制御装置の電源の正の部分を補うことができるようにして、且つ、従って電圧VCCを維持できるようにする。最大電圧は、ツェナーダイオードDのために安定化される。t2の瞬間にて、ダイオードDが遮断しているので、インダクタを流れる電流はゼロになり、そしてゼロにとどまる。容量Cは、正の電圧VCCに充電されたままである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート、ドレイン及びソースを備えるJFETタイプのトランジスタのゲート制御装置であって、
− 前記トランジスタの前記ゲート(G)に接続された出力(out2)を備える電圧生成回路(11)を備え、前記回路は、前記出力にて、所定の電圧ランプに追随する、基準ゲート・ソース電圧(VREF)を生成するように設計され、
− 前記基準ゲート・ソース電圧(VREF)を所定の最大値(VGS_max)に、前記JFETトランジスタの端子におけるゲート・ソース電圧(VGS)が前記最大値に到達した時、制限するように設計された、電圧制限回路(12)を備える
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記制限回路は、容量(C)の端子における電圧が供給される入力(in1)と、前記基準ゲート・ソース電圧(VREF)を生成するように設計された出力と、を有する
ことを特徴とする請求項1の装置。
【請求項3】
前記制限回路(12)は、バイポーラトランジスタ(Q3)と、前記JFETトランジスタの前記ゲート・ソース電圧(VGS)および前記所定の最大値(VGS_max)間の比較手段と、を有する
ことを特徴とする請求項1又は2の装置。
【請求項4】
前記制限回路(12)は、ダイオード(D2)を有し、且つ、前記最大値は、前記バイポーラトランジスタ(Q3)の伝導しきい値電圧(VBE)と前記ダイオード(D2)の伝導しきい値電圧(VD2)との合計により決定される
ことを特徴とする請求項3の装置。
【請求項5】
前記電圧生成回路(11)は、直列に接続されて、入力回路(10)の出力と前記JFETトランジスタの前記ソースとの間に接続されたRLC回路を形成している、抵抗(R)、インダクタ(L)及び容量(C)と、前記制限回路(12)の入力(in1)と前記JFETトランジスタの前記ソースとの間における、前記RLC回路の前記容量(C)と並列に接続されたクランピングダイオード(D)と、を有する
ことを特徴とする請求項1から4の何れかの装置。
【請求項6】
前記電圧生成回路(11)は2つのバイポーラトランジスタ(Q1,Q2)を直列に備え、それらの2つのベースは共通であると共に前記制限回路(12)の前記出力(out1)に接続されている
ことを特徴とする請求項5の装置。
【請求項7】
第1の前記バイポーラトランジスタ(Q1)はPNPタイプであり、且つ、第2の前記バイポーラトランジスタ(Q2)はNPNタイプであり、前記2つのバイポーラトランジスタ(Q1,Q2)のエミッタ端子は共通である
ことを特徴とする請求項6の装置。
【請求項8】
出力にて前記JFETトランジスタ用の制御信号を生成するように設計された入力回路(10)を備える
ことを特徴とする請求項1の装置。
【請求項9】
前記JFETトランジスタの前記ゲート(G)と、前記電圧生成回路(11)の前記出力(out2)との間に接続されたゲート抵抗(R)を備える
ことを特徴とする請求項1から8の何れかの装置。
【請求項10】
前記制限回路(12)の第1の入力(in1)とグランドとの間に直列に接続された、ダイオード(D)及び容量(C)と、
前記容量(C)に並列に接続された安定ダイオードと、を備える
ことを特徴とする請求項1の装置。
【請求項11】
複数のJFETタイプのトランジスタを有するインバーターステージを備える電力変換器であって、
各JFETトランジスタは、請求項1から請求項10の何れかに記載の制御装置により制御される
ことを特徴とする電力変換器。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−19390(P2011−19390A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−153925(P2010−153925)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(502363191)シュネーデル、トウシバ、インベーター、ヨーロッパ、ソシエテ、パル、アクション、セプリフエ (42)
【氏名又は名称原語表記】SCHNEIDER TOSHIBA INVERTER EUROPE SAS
【Fターム(参考)】