説明

パーキングロック機構

【課題】パーキングポールの係合部とパーキングギヤの歯とが当接する非噛み合い状態におけるシフトトルクの低下を抑制しつつ、パーキングポールの係合部とパーキングギヤの凹部とが係合する噛み合い状態におけるシフトトルクを低下可能にする。
【解決手段】パーキングロック機構10は、パーキングロッド40に一端が支持されると共にパーキングポール25をパーキングギヤ20に接近させるようにカム部材50を付勢するカムスプリング60と、パーキングポール25の係合部27がパーキングギヤ20の歯21と当接した状態でカムスプリング60の自然長からの変位が閾値Xcrefを超えると取付状態から変位するようにカムスプリング60とカム部材50との間に配置される減衰スプリング65とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速機の回転軸をロックするためのパーキングロック機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のパーキングロック機構として、自動変速機のカウンタシャフトに取り付けられたパーキングギヤと、パーキングギヤ(歯間の凹部)と係合可能な係止部を有するパーキングポールと、それぞれ板ばね(ディテントスプリング)の当接子と係合可能な複数のシフトレンジに対応した複数の溝(凹部)を有するシフトプレート(ディテントレバー)に連結される進退移動可能なパーキングロッドと、パーキングロッドの軸方向に移動してパーキングポールをパーキングギヤに対して接近離間させる円筒状のカラー(カム部材)と、パーキングロッドに形成されたリブとカラーとの間に配置されて当該カラーをリブとは反対側に形成されたストッパ側すなわちパーキングポールをパーキングギヤに接近させるように付勢するスプリングとを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このパーキングロック機構では、パーキングポールの支持軸と係止部との中間からインプットシャフトおよびカウンタシャフトならびにドライブシャフトのそれぞれの回転中心A1,B1,C1により形成される三角形D1の外方に向けて突出する突出部が形成されている。そして、突出部の自由端に外力入力部が形成されると共に、支持軸から外力入力部までの長さの方が支持軸から係止部までの長さよりも長く設定されている。これにより、外力入力部を力点とし、支持軸を支点とし、係止部を作用点とした場合、作用点から支点までの長さよりも力点から支点までの長さの方が長くなるので、パーキングポールを回転させて係止部をパーキングギヤに係合させる際に必要な外力が低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−108183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のようなパーキングロック機構において、パーキングポールの係止部とパーキングギヤ(歯間の凹部)とが係合すると共にディテントスプリングとディテントレバー(パーキングレンジ用の溝)とが係合する状態(噛み合い状態)でパーキングレンジ(Pレンジ)から他のシフトレンジ(Rレンジ等)へのシフトに要する力、すなわちパーキングレンジ(Pレンジ)から他のシフトレンジ(Rレンジ等)へのシフトに伴ってディテントレバーを回転させるためのトルク(シフトトルク)は、シフト操作性を考慮するとできるだけ小さい方がよい。そして、シフトトルクを小さくしてシフト操作を容易にするためには、ディテントスプリングと係合するディテントレバーの複数の溝(凹部)を浅く(出入口角度を緩く)すればよい。しかしながら、このようにディテントレバーの溝を浅くすると、パーキングポールの係止部とパーキングギヤの歯とが当接すると共にディテントスプリングとディテントレバー(パーキングレンジ用の溝)とが係合する状態(非噛み合い状態)において、何らかの衝撃等によりディテントスプリングとディテントレバーとの係合が解除されてパーキングポールとパーキングギヤとの係合を維持し得なくなるおそれがある。すなわち、非噛み合い状態では、カム部材がパーキングポールをパーキングギヤに向けて押し上げることができなくなっていることから、噛み合い状態に比べてカム部材を付勢するスプリングの変位(収縮量)が大きくなる。このため、非噛み合い状態では、スプリングからディテントレバーに加えられるディテントスプリングとの係合を解除する方向の力が噛み合い状態に比べて大きくなり、その分だけパーキングレンジから他のシフトレンジへのシフトに要するシフトトルクが低下する。このため、ディテントレバーの溝を浅くすると、非噛み合い状態におけるシフトトルクが低下し過ぎてしまい、ディテントスプリングとディテントレバーとの係合およびパーキングポールとパーキングギヤとの係合が解除されやすくなってしまう。従って、従来のパーキングロック機構において、噛み合い状態におけるシフトトルクの低減化を図りつつ、非噛み合い状態におけるシフトトルクの低下を抑制することは困難である。
【0006】
そこで、本発明のパーキングロック機構は、パーキングポールの係合部とパーキングギヤの歯とが当接した状態でパーキングレンジから他のシフトレンジへとシフトするのに要するシフトトルクの低下を抑制しつつ、パーキングポールの係合部とパーキングギヤの凹部とが係合した状態におけるシフトトルクを低下可能にすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のパーキングロック機構は、上記主目的を達成するために以下の手段を採っている。
【0008】
本発明のパーキングロック機構は、
変速機の回転軸に固定されるパーキングギヤと、該パーキングギヤの歯間の凹部と係合可能な係合部を有するパーキングポールと、ディテントスプリングと係合可能な複数の凹部を有するディテントレバーに連結される進退移動可能なパーキングロッドと、該パーキングロッドの軸方向に移動して前記パーキングポールを前記パーキングギヤに対して接近離間させるカム部材とを含むパーキングロック機構において、
前記パーキングロッドに一端が支持されると共に前記パーキングポールを前記パーキングギヤに接近させるように前記カム部材を付勢するカムスプリングと、
前記パーキングポールの前記係合部が前記パーキングギヤの歯と当接した状態で前記カムスプリングの自然長からの変位が所定値を超えると取付状態から変位するように該カムスプリングと前記カム部材との間に配置される減衰スプリングと、
を備えることを特徴とする。
【0009】
このパーキングロック機構では、パーキングポールをパーキングギヤに接近させて両者を係合させるためのカム部材と当該カム部材を付勢するカムスプリングとの間に、パーキングポールの係合部がパーキングギヤの歯と当接した状態でカムスプリングの自然長からの変位が所定値を超えると取付状態から変位するように減衰スプリングが配置される。これにより、パーキングポールの係合部がパーキングギヤの歯と当接した状態でカムスプリングの自然長からの変位が所定値を超えてからディテントスプリングとディテントレバーのパーキングレンジ用の凹部とが係合するようにすれば、パーキングポールの係合部とパーキングギヤの歯とが当接してカム部材がパーキングポールをパーキングギヤに対して接近させ得なくなったことにより、パーキングポールの係合部がパーキングギヤの歯間の凹部と係合する状態に比べてカムスプリングの変位が大きくなっても、カムスプリングからの力の一部を減衰スプリングにより吸収することができる。従って、このパーキングロック機構では、パーキングポールの係合部とパーキングギヤの歯とが当接した状態でディテントレバーに加えられるディテントスプリングとの係合を解除する方向の力を低下させることができるので、ディテントレバーの凹部を浅くしても、パーキングポールの係合部とパーキングギヤの歯とが当接した状態におけるシフトトルクが低下し過ぎてしまうのを抑制することができる。この結果、このパーキングロック機構では、パーキングポールの係合部とパーキングギヤの歯とが当接した状態でパーキングレンジから他のシフトレンジへとシフトするのに要するシフトトルクの低下を抑制しつつ、パーキングポールの係合部とパーキングギヤの凹部とが係合した状態におけるシフトトルクを低下させることが可能となる。
【0010】
また、前記減衰スプリングは、前記パーキングポールの前記係合部と前記パーキングギヤの前記凹部とが係合したときに前記取付状態に維持されるものであってもよい。これにより、パーキングポールとパーキングギヤとが係合しているときにカムスプリングからの力が減衰スプリングにより吸収されないようにすることができる。そして、このパーキングロック機構では、パーキングポールの係合部とパーキングギヤの歯とが当接した状態でディテントレバーに加えられるディテントスプリングとの係合を解除する方向の力を減衰スプリングにより低下させることができるので、係合部とパーキングギヤの歯とが当接した状態でのシフトトルクの低下を抑制するためにカム部材を付勢するカムスプリングの剛性を低下させる必要がない。従って、このパーキングロック機構では、カムスプリングによるホールディング性能、すなわちカムスプリングによるパーキングポールとパーキングギヤとの係合を保持する力を良好に維持することが可能となる。
【0011】
更に、前記パーキングロック機構は、前記カム部材により前記パーキングロッドの軸方向に摺動自在に支持されると共に前記カムスプリングの他端と当接する中間部材と、前記中間部材と当接して該中間部材の前記カムスプリング側への移動を規制するストッパとを備えてもよく、前記減衰スプリングは、前記中間部材と前記カム部材との間に圧縮された状態で配置されてもよい。これにより、カムスプリングからの力が減衰スプリングにより吸収されないようにしながら減衰スプリングをカムスプリングの自然長からの変位が上記所定値を超えるまで取付状態に維持すると共に、パーキングポールの係合部とパーキングギヤの歯とが当接した状態でカムスプリングの自然長からの変位が所定値を超えてから減衰スプリングを取付状態から変位させることが可能となる。
【0012】
この場合、前記減衰スプリングのバネ定数は、前記カムスプリングのバネ定数よりも小さくてもよい。これにより、パーキングポールの係合部とパーキングギヤの歯とが当接した状態でカムスプリングの自然長からの変位が所定値を超えた後にカムスプリングからの力の一部を減衰スプリングにより吸収することが可能となる。
【0013】
また、前記所定値は、前記ストッパと前記中間部材とが当接した状態で前記カムスプリングから前記中間部材に加えられる力と前記減衰スプリングから該中間部材に加えられる力とが等しくなったときの前記カムスプリングの自然長からの変位であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例に係るパーキングロック機構10を示す概略構成図である。
【図2】実施例のパーキングロック機構10のパーキングポール25の係合部27とパーキングギヤ20の互いに隣り合う歯21同士間の凹部22とが係合する状態を示す説明図である。
【図3】実施例のパーキングロック機構10の要部を示す部分断面図である。
【図4】実施例のパーキングロック機構10の要部を示す部分断面図である。
【図5】実施例のパーキングロック機構10のパーキングポール25の係合部27とパーキングギヤ20の何れかの歯21の頂部とが当接する状態を示す説明図である。
【図6】非噛み合い状態における実施例のパーキングロック機構10を示す概略構成図である。
【図7】(a)は、カムスプリング60の特性を示す説明図であり、(b)は、減衰スプリング65の特性を示す説明図であり、(c)は、パーキングロック機構10のバネ特性を示す説明図である。
【図8】パーキングロック機構10におけるシフトトルク特性を示す説明図である
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明の実施例に係るパーキングロック機構10を示す概略構成図である。同図に示すパーキングロック機構10は、車両に搭載される図示しないトランスミッション(変速機)の何れかの回転軸RSをロックするためのものであり、複数の歯21を有すると共に回転軸RSに固定されるパーキングギヤ20と、パーキングギヤ20と係合可能なパーキングポール25と、ディテント機構30に連結される進退移動可能なパーキングロッド40と、パーキングロッド40の軸方向に移動してパーキングポール25をパーキングギヤ20に対して接近離間させるカム部材50と、パーキングロッド40に一端が支持されると共にパーキングポール25をパーキングギヤ20に接近させるようにカム部材50を付勢するカムスプリング60とを含む。
【0017】
パーキングポール25の基端部には、図2に示すように、回転軸RSの軸方向と平行に延びると共に図示しない軸受等を介してトランスミッションケースにより回転自在に支持されるポールシャフト26が固定されている。これにより、パーキングポール25は、ポールシャフト26の軸周りに回転自在となる。また、パーキングポール25は、長手方向中央部から遊端部28側に若干寄った位置にパーキングギヤ20に向けて突出するように形成された係合部27を有する。係合部27は、パーキングギヤ20の互いに隣り合う歯21間の凹部22と係合可能に形成されている。更に、パーキングポール25の遊端部28には、ディテント機構30と対向するように逆円錐面状のテーパ面28aが形成されている。
【0018】
ディテント機構30は、ディテントスプリング31と、当該ディテントスプリング31と係合可能なディテントレバー32とを含む。ディテントスプリング31は、回転軸RSの軸方向と概ね平行に延在するように配置され、図示しないトランスミッションケースに固定される基端部と、ディテントレバー32と係合可能な係合端31aを含む遊端部とを有する。ディテントレバー32の長手方向中央部には、トランスミッションケースにより回転自在に支持されるレバーシャフト35が固定されており、これによりディテントレバー32は、トランスミッションケースに対して回転自在となる。ディテントレバー32の一端部(図1中の上端部)の外周には、パーキングギヤ20に遠い側から順番に、パーキングレンジ用凹部32p、リバースレンジ用凹部32r、ニュートラルレンジ用凹部32n、ドライブレンジ用凹部32dおよびスポーツレンジ用凹部32sが形成されている。そして、実施例では、パーキングレンジ(Pレンジ)から他のシフトレンジ(Rレンジ等)へのシフトに伴ってディテントレバーを回転させるためのシフトトルクを低減させてシフト操作を容易にするために、これらの凹部32p−32sが一般的なディテントレバーに比べて浅く(出入口角度が緩くなるように)形成されている。
【0019】
ディテントレバー32の他端部(図1中の下端部)に設けられた連結部32eは、ワイヤ等を介して図示しないシフトレバーと連結される。そして、シフトレバーがパーキングレンジ側からスポーツレンジ側へと操作されると、ディテントレバー32は、レバーシャフト35の中心軸周りに図1中反時計回りに回転し、ディテントレバー32の回転に伴ってディテントスプリング31の係合端31aがパーキングレンジ用凹部32p、リバースレンジ用凹部32r、ニュートラルレンジ用凹部32n、ドライブレンジ用凹部32dおよびスポーツレンジ用凹部32sと順番に係合する。また、シフトレバーがスポーツレンジ側からパーキングレンジ側へと操作されると、ディテントレバー32は、レバーシャフト35の中心軸周りに図1中時計回りに回転する。なお、ディテントレバー32は、シフトバイワイヤ装置の電動アクチュエータ等により回転駆動されるものとして構成されてもよい。
【0020】
パーキングロッド40の基端部は、ディテントレバー32の一端部に回動自在に連結され、その遊端部は、回転軸RSの軸方向と概ね平行に延在すると共にトランスミッションケースに固定されたブラケット45により摺動自在に支持される。これにより、パーキングロッド40は、ディテントレバー32の回転に応じて進退移動することになる。パーキングロッド40は、カムスプリング60に挿通され、当該カムスプリング60の一端(図中左端)と当接するスプリングストッパ41を有している。更に、パーキングロッド40には、カム部材50の先端部(図1等における右端部)と当接するカムストッパ42がスプリングストッパ41よりも遊端側に位置するように固定または形成されている。
【0021】
カム部材50は、筒状に形成されており、図1および図3に示すように、上底の直径が下底の直径よりも若干小さい円錐台状に形成された大径部51と、大径部51の上底側から軸方向に延出されると共にパーキングポール25の遊端部28のテーパ面と係合可能な円錐面状のテーパ面を有する小径部52とを有する。カム部材50の中心孔部には、パーキングロッド40が挿通され、カム部材50の大径部51は、ブラケット45に形成された台座部46によりパーキングロッド40の軸方向に摺動自在に支持される。
【0022】
図3に示すように、カム部材50の大径部51には、円形断面を有すると共にパーキングロッド40の軸方向に延びる凹部53がパーキングロッド40のスプリングストッパ41側(ディテント機構30側)に開口するように形成されており、この凹部53内には、中間プレート(中間部材)55が配置される。中間プレート55は、カム部材50ー(凹部53の内周面)によりパーキングロッド40の軸方向に摺動自在に支持されると共に、カムスプリング60の他端(図中右端)と当接する。また、カム部材50の凹部53の開放端(図中左端)には、中間プレート55と当接して当該中間プレート55のカムスプリング60側への移動を規制するストッパ57がカシメ等により固定されている。そして、中間プレート55と、凹部53の底面を形成する壁部53aとの間には、カムスプリング60よりも小さいバネ定数を有する減衰スプリング65が配置される。なお、パーキングロッド40は、図3に示すように、中間プレート55と減衰スプリング65との双方を貫通する。また、中間プレート55は、カムスプリング60と減衰スプリング65とに当接するように配置され、実施例において、中間プレート55は、カムスプリング60と減衰スプリング65の双方に固定される。
【0023】
実施例において、カムスプリング60は、パーキングロッド40のスプリングストッパ41と中間プレート55との間に圧縮された状態で配置される。すなわち、カムスプリング60は、自然長から値Xc1だけ収縮(変位)した状態でカムストッパ41と中間プレート55との間に配置され、カムスプリング60のバネ定数を“kc”とすると、取付状態では、F=kc×Xc1の力で中間プレート55を減衰スプリング65側に押し付ける。なお、値Xc1は、カムスプリング60によるホールディング性能、すなわちカムスプリング60によるパーキングポール25とパーキングギヤ20との係合を保持する力を規定する値となる。同様に、減衰スプリング65も、カム部材50の壁部53aと中間プレート55との間に圧縮された状態で配置される。すなわち、減衰スプリング65は、自然長から値Xd1だけ収縮(変位)した状態で壁部53aと中間プレート55との間に配置され、減衰スプリング65のバネ定数を“kd”とすると、取付状態では、F=kd×Xd1の力で中間プレート55をストッパ57に押し付ける。
【0024】
そして、実施例では、取付状態でカムスプリング60から中間プレート55に加えられる力(kc×Xc1)よりも取付状態で減衰スプリング65から中間プレート55に加えられる力(kd×Xd1)が若干大きくなるように定められている。すなわち、実施例では、カムスプリング60の自然長からの収縮量が取付状態における自然長からの収縮量である値Xc1よりも若干大きい閾値Xcrefになると、中間プレート55とストッパ57とが当接した状態でカムスプリング60から中間プレート55に加えられる力kc×Xcrefと減衰スプリング65から中間プレート55に加えられる力kd×Xd1とが等しくなるようにカムスプリング60や減衰スプリング65のバネ定数や各種寸法といった諸元が定められている。従って、カムスプリング60および減衰スプリング65の取付状態において、中間プレート55は、減衰スプリング65からの力によりストッパ57に対して押し付けられるのでカム部材50に対して移動することはなく、カム部材50は、カムスプリング60からの力のみによりパーキングギヤ20側に付勢される。これに対して、カムスプリング60の自然長からの収縮量が上述の閾値Xcrefを超えると、図4に示すように、中間プレート55がパーキングロッド40(の軸方向)に沿ってカム部材50の壁部53a側に移動し、それに伴って減衰スプリング65が圧縮されて取付状態から更に収縮(変位)することになる。
【0025】
更に、実施例では、パーキングポール25の係合部27とパーキングギヤ20の凹部22とが図2に示すように係合した状態ではカムスプリング60が取付状態に維持されて当該カムスプリング60の自然長からの収縮量が上述の閾値Xcrefを超えないようにカムスプリング60や減衰スプリング65のバネ定数や各種寸法といった諸元が定められている。従って、パーキングポール25の係合部27とパーキングギヤ20の凹部22とが係合すると共にディテントスプリング31の係合端31aとディテントレバー32のパーキングレンジ用凹部32pとが係合する噛み合い状態において、減衰スプリング65も取付状態に維持される。
【0026】
また、実施例において、パーキングポール25の係合部27とパーキングギヤ20の凹部22とが図2に示すように係合せずに係合部27とパーキングギヤ20の何れかの歯21の頂部とが当接した状態でパーキングロッド40がパーキングギヤ20側に移動したときに、カムスプリング60の自然長からの収縮量が上述の閾値Xcrefを超えるようにカムスプリング60や減衰スプリング65のバネ定数や各種寸法といった諸元が定められている。従って、パーキングポール25の係合部27とパーキングギヤ20の何れかの歯21の頂部とが当接すると共にディテントスプリング31の係合端31aとディテントレバー32のパーキングレンジ用凹部32pとが係合する非噛み合い状態では、図4に示すように減衰スプリング65が圧縮されて取付状態から更に収縮(変位)し、このような減衰スプリング65の更なる収縮による減衰スプリング65からの力がカムスプリング60に反力として付与されることになる。
【0027】
次に、上述のように構成されたパーキングロック機構10の動作について説明する。
【0028】
車両が停止され、運転者によりシフトレバーが例えばドライブレンジ等からパーキングレンジへと操作されると、シフトレバーの操作に伴ってディテント機構30のディテントレバー32がレバーシャフト35の軸周りに図1中時計回りに回転し、最終的にディテントスプリング31の係合端31aとディテントレバー32のパーキングレンジ用凹部32pとが係合する。また、ディテントレバー32の回転に伴ってパーキングロッド40がパーキングギヤ20側(図1中右側)へと移動し、小径部52のテーパ面がパーキングポール25の遊端部28のテーパ面28aと当接した後に大径部51がパーキングポール25の遊端部28の底面と当接することで、カム部材50がパーキングポール25をパーキングギヤ20に接近させ(押し上げ)、パーキングポール25の係合部27がパーキングギヤ20の互いに隣り合う歯21間の凹部22と係合する。
【0029】
こうしてパーキングポール25の係合部27とパーキングギヤ20の凹部22とが係合すると共にディテントスプリング31の係合端31aとパーキングレンジ用凹部32pとが係合すると、ディテントスプリング31の弾性力と、取付状態で圧縮されているカムスプリング60からの力とにより係合部27と凹部22との係合が保持される。また、このようにパーキングポール25の係合部27とパーキングギヤ20の凹部22とが係合する噛み合い状態では、上述のように減衰スプリング65が取付状態に維持される。従って、噛み合い状態では、カムスプリング60からの力が減衰スプリング65により吸収されることはなく、カムスプリング60によるホールディング性能、すなわちカムスプリング60によるパーキングポール25とパーキングギヤ20との係合を保持する力を良好に維持することができる。
【0030】
一方、車両停止時すなわち回転軸RSの回転停止時のパーキングギヤ20の位置によっては、図5に示すように、シフトレバーがドライブレンジ等からパーキングレンジへと操作された際に、パーキングポール25の係合部27がパーキングギヤ20の互いに隣り合う歯21間の凹部22と係合せず、パーキングギヤ20の何れかの歯21の頂部と当接した状態でディテントスプリング31の係合端31aとディテントレバー32のパーキングレンジ用凹部32pとが係合し、上述の非噛み合い状態が形成されることもある。このような場合、車両の若干の移動により回転軸RSが回転することで、パーキングポール25の係合部27がパーキングギヤ20の凹部22と係合することになる。
【0031】
ここで、ドライブレンジ等からパーキングレンジへのシフト操作に伴い、図5に示すように係合部27と何れかの歯21の頂部とが当接した場合、図6からわかるように、パーキングロッド40が図中右側へと移動するのに対して、係合部27と何れかの歯21の頂部とが当接することによりカム部材50の図6中右側への移動が規制され(カム部材50の大径部51とパーキングポール25の遊端部28の底面とが当接せず)、その結果、スプリングストッパ41と中間プレート55との間のカムスプリング60が圧縮されて取付状態から更に収縮(変位)することになる。このため、非噛み合い状態では、何らかの対策を施さない限り、カムスプリング60からディテントレバー32に加えられるディテントスプリング31との係合を解除する方向(図6における点線矢印参照)の力(トルク、図6における白抜矢印参照)が噛み合い状態に比べて大きくなり、その分だけパーキングレンジから他のシフトレンジへのシフトに要するシフトトルクが低下する。従って、何ら対策を施すことなく本実施例のようにディテントレバー32の凹部32p−32sを浅くすると、非噛み合い状態におけるシフトトルクが低下し過ぎてしまい、ディテントスプリング31とディテントレバー32との係合およびパーキングポール25とパーキングギヤ20との係合が解除されやすくなってしまう。
【0032】
このような非噛み合い状態におけるシフトトルクの低下を抑制するために、実施例のパーキングロック機構10では、上述のように、カム部材50とカムスプリング60との間に減衰スプリング65や中間プレート55、ストッパ57が配置されている。すなわち、ドライブレンジ等からパーキングレンジへのシフト操作に伴ってパーキングポール25の係合部27とパーキングギヤ20の歯21の頂部とが当接し、カム部材50の移動が規制されたことによりカムスプリング60の自然長からの収縮量が閾値Xcrefを超えると、カムスプリング60から中間プレート55に加えられる力が図7(a)に示すように増加して減衰スプリング65から中間プレート55に加えられる力に打ち勝つことで、図4に示すように中間プレート55がパーキングロッド40(の軸方向)に沿ってカム部材50の壁部53a側に移動する。こうして中間プレート55がカム部材50の壁部53a側に移動すると、減衰スプリング65は、中間プレート55と壁部53aとの間で圧縮されて図7(b)に示すように取付状態から更に収縮(変位)し、収縮量に応じた力をカムスプリング60に反力として付与する。この結果、非噛み合い状態が形成された際には、図7(c)に示すように、カムスプリング60からの力の一部を減衰スプリング65により吸収して、カムスプリング60側からディテントレバー32に加えられるディテントスプリング31との係合を解除する方向の力(トルク)を低下させることができる。
【0033】
図7に示すように、非噛み合い状態におけるカムスプリング60の自然長からの収縮量(変位)を“Xc2”とし、非噛み合い状態における減衰スプリング65の自然長からの収縮量を“Xd2”とすると、両者の間には、次式(1)の関係が成立する。また、カムスプリング60の自然長からの収縮量が閾値Xcrefになると、中間プレート55とストッパ57とが当接した状態でカムスプリング60から中間プレート55に加えられる力kc×Xcrefと減衰スプリング65から中間プレート55に加えられる力kd×Xd1とが等しくなるので、次式(2)の関係が成立し、式(2)は、次式(3)のように変形することができる。従って、減衰スプリング65等を用いたことによりカムスプリング60からディテントレバー32に加えられるディテントスプリング31との係合を解除する方向の力の低下分ΔFは、次式(4)のように表すことができる。かかる式(4)から、上記構成では、減衰スプリング65のバネ定数kdをカムスプリング60のバネ定数kcよりも小さくすることで、パーキングポールの係合部27とパーキングギヤ20の歯21とが当接した状態でカムスプリング60の自然長からの収縮量が閾値Xcrefを超えた後にカムスプリング60からの力の一部を減衰スプリング65により吸収可能となることが理解されよう。
【0034】
Xd2 = Xd1 + (Xc2-Xcref) …(1)
kc×Xcref = kd×Xd1 …(2)
Xd1 = (kc / kd)×Xcref…(3)
ΔF = kc×Xc2-kd×Xd2 = (kc-kd)×(Xc2-Xcref) …(4)
【0035】
そして、実施例のパーキングロック機構10では、上述のように、非噛み合い状態においてカムスプリング60からの力の一部を減衰スプリング65により吸収して、カムスプリング60側からディテントレバー32に加えられるディテントスプリング31との係合を解除する方向の力を低下させることができるので、図8に点線で示すように非噛み合い状態でパーキングレンジから他のシフトレンジへとシフトするのに要するシフトトルクの低下を抑制しつつ、ディテントレバーの凹部32p−32sを一般的なディテントレバーに比べて浅く(出入り口角度が緩くなるように)形成することで図8において実線で示すように噛み合い状態におけるシフトトルクを低下させることが可能となる。すなわち、減衰スプリング65によって非噛み合い状態でカムスプリング60側からディテントレバー32に加えられるディテントスプリング31との係合を解除する方向の力(トルク)を低下させれば、ディテントレバーの凹部32p−32sを浅くして図8における太い実線で示すように噛み合い状態におけるシフトトルクを比較例1(凹部が浅くないディテントレバーを有するもの、図8における細い実線参照)に比べて低下させても、図8において太い点線で示すように、ディテントレバーの凹部32p−32sを浅くしただけの比較例2(図8における細い点線参照)に比べて非噛み合い状態でのシフトトルクの低下を抑制することができる。
【0036】
以上説明したように、実施例のパーキングロック機構10では、パーキングポール25をパーキングギヤ20に接近させて両者を係合させるためのカム部材50と当該カム部材50を付勢するカムスプリング60との間に、パーキングポール25の係合部27がパーキングギヤ20の歯21と当接した状態でカムスプリング60の自然長からの収縮量(変位)が閾値Xcrefを超えると取付状態から変位するように減衰スプリング65が配置される。そして、実施例のパーキングロック機構10では、パーキングポール25の係合部27がパーキングギヤ20の歯21と当接した状態でカムスプリング60の自然長からの収縮量が当該閾値Xcrefを超えてからディテントスプリング31の係合端31aとディテントレバー32のパーキングレンジ用凹部32pとが係合する。
【0037】
これにより、パーキングポール25の係合部27とパーキングギヤ20の歯21とが当接してカム部材50がパーキングポール25をパーキングギヤ20に対して接近させ得なくなった(押し上げられなくなった)ことにより、パーキングポール25の係合部27がパーキングギヤ20の歯21間の凹部22と係合する噛み合い状態に比べてカムスプリング60の変位が大きくなっても、カムスプリング60からの力の一部を減衰スプリング65により吸収することができる。従って、実施例のパーキングロック機構10では、パーキングポール25の係合部27とパーキングギヤ20の歯21とが当接する噛み合い状態でディテントレバー32に加えられるディテントスプリング31との係合を解除する方向の力を低下させることができるので、ディテントレバー32の凹部32p−32sを浅くしても、パーキングポール25の係合部27とパーキングギヤ20の歯21とが当接した状態におけるシフトトルクが低下し過ぎてしまうのを抑制することができる。この結果、実施例のパーキングロック機構10では、パーキングポール25の係合部27とパーキングギヤ20の歯21とが当接する非噛み合い状態でパーキングレンジから他のシフトレンジへとシフトするのに要するシフトトルクの低下を抑制しつつ、パーキングポール25の係合部27とパーキングギヤ20の凹部22とが係合する噛み合い状態におけるシフトトルクを低下させることが可能となる。
【0038】
また、上記実施例において、減衰スプリング65は、パーキングポール25の係合部27とパーキングギヤ20の凹部22とが係合したとき取付状態に維持される。これにより、パーキングポール25とパーキングギヤ20とが係合する噛み合い状態でカムスプリング60からの力が減衰スプリング65により吸収されないようにすることができる。そして、実施例のパーキングロック機構10では、パーキングポール25の係合部27とパーキングギヤ20の歯21とが当接する非噛み合い状態でディテントレバー32に加えられるディテントスプリング31との係合を解除する方向の力(トルク)を減衰スプリング65により低下させることができるので、非噛み合い状態におけるシフトトルクを低下させるためにカム部材50を付勢するカムスプリング60の剛性(バネ定数)を低下させる必要がない。従って、実施例のパーキングロック機構10では、カムスプリング60によるホールディング性能、すなわちカムスプリング60によるパーキングポール25とパーキングギヤ20との係合を保持する力を良好に維持することが可能となる。
【0039】
更に、実施例のパーキングロック機構10は、カム部材50によりパーキングロッド40の軸方向に摺動自在に支持されると共にカムスプリング60の他端と当接する中間プレート55と、中間プレート55と当接して当該中間プレート55のカムスプリング60側への移動を規制するストッパ57とを含み、減衰スプリング65は、中間プレート55とカム部材50との間に圧縮された状態で配置される。これにより、カムスプリング60からの力が減衰スプリング65により吸収されないようにしながら減衰スプリング65をカムスプリング60の自然長からの変位が閾値Xcrefを超えるまで取付状態に維持すると共に、パーキングポール25の係合部27とパーキングギヤ20の歯21とが当接した状態でカムスプリング60の自然長からの変位が閾値Xcrefを超えてから減衰スプリング65を取付状態から変位させることが可能となる。そして、減衰スプリング65のバネ定数kdをカムスプリング60のバネ定数kcよりも小さくすることで、パーキングポール25の係合部27とパーキングギヤ20の歯21とが当接した状態でカムスプリング60の自然長からの変位が閾値Xcrefを超えた後にカムスプリング60からの力の一部を減衰スプリング65により吸収することが可能となる。
【0040】
なお、閾値Xcrefは、ストッパ57と中間プレート55とが当接した状態でカムスプリング60から中間プレート55に加えられる力(荷重)と減衰スプリング65から中間プレート55に加えられる力(荷重)とが等しくなったときのカムスプリング60の自然長からの変位であり、かかる閾値Xcrefを取付状態におけるカムスプリング60の自然長からの収縮量である値Xc1よりも若干大きくすれば、カムスプリング60による、いわゆるラチェッティング性能を良好に確保することができる。ただし、閾値Xcrefは、値Xc1と同一とされてもよい。すなわち、閾値Xcrefは、カムスプリング60の取付状態における自然長からの収縮量であってカムスプリングによるホールディング性能を担保するのに要求される値Xc1以上の値とされればよい。
【0041】
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。すなわち、上記実施例では、変速機の回転軸RSに固定されるパーキングギヤ20が「パーキングギヤ」に相当し、パーキングギヤ20の互いに隣り合う歯21間の凹部22と係合可能な係合部27を有するパーキングポール25が「パーキングポール」に相当し、ディテントスプリング31の係合端31aと係合可能な複数の凹部32p−32sを有するディテントレバー32に連結される進退移動可能なパーキングロッド40が「パーキングロッド」に相当し、パーキングロッド40の軸方向に移動してパーキングポール25をパーキングギヤ20に対して接近離間させるカム部材50が「カム部材」に相当し、パーキングロッド40に一端が支持されると共にパーキングポール25をパーキングギヤ20に接近させるようにカム部材50を付勢するカムスプリング60と、パーキングポール25の係合部27がパーキングギヤ20の歯21の頂部と当接した状態でカムスプリング60の自然長からの変位が閾値Xcrefを超えると取付状態から変位するようにカムスプリング60とカム部材50との間に配置される減衰スプリング65が「減衰スプリング65」に相当し、カム部材50によりパーキングロッド40の軸方向に摺動自在に支持されると共にカムスプリング60の他端と当接する中間プレート55が「中間部材」に相当し、中間プレート55と当接して当該中間プレート55のカムスプリング60側への移動を規制するストッパ57が「ストッパ」に相当する。
【0042】
ただし、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載された発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載された発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。すなわち、実施例はあくまで課題を解決するための手段の欄に記載された発明の具体的な一例に過ぎず、課題を解決するための手段の欄に記載された発明の解釈は、その欄の記載に基づいて行なわれるべきものである。
【0043】
以上、実施例を用いて本発明による実施の形態について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明による要旨を逸脱しない範囲内において、様々な変更をなし得ることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、パーキングロック機構の製造産業等において利用可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 パーキングロック機構、20 パーキングギヤ、21 歯、22 凹部、25 パーキングポール、26 ポールシャフト、27 係合部、28 遊端部、28a テーパ面、30 ディテント機構、31 ディテントスプリング、31a 係合端、32 ディテントレバー、32d ドライブレンジ用凹部、32e 連結部、32n ニュートラルレンジ用凹部、32p パーキングレンジ用凹部、32r リバースレンジ用凹部、32s スポーツレンジ用凹部、35 レバーシャフト、40 パーキングロッド、41 スプリングストッパ、42 カムストッパ、45 ブラケット、46 台座部、50 カム部材、51 大径部、52 小径部、53 凹部、53a 壁部、55 中間プレート、57 ストッパ、60 カムスプリング、65 減衰スプリング、RS 回転軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速機の回転軸に固定されるパーキングギヤと、該パーキングギヤの歯間の凹部と係合可能な係合部を有するパーキングポールと、ディテントスプリングと係合可能な複数の凹部を有するディテントレバーに連結される進退移動可能なパーキングロッドと、該パーキングロッドの軸方向に移動して前記パーキングポールを前記パーキングギヤに対して接近離間させるカム部材とを含むパーキングロック機構において、
前記パーキングロッドに一端が支持されると共に前記パーキングポールを前記パーキングギヤに接近させるように前記カム部材を付勢するカムスプリングと、
前記パーキングポールの前記係合部が前記パーキングギヤの歯と当接した状態で前記カムスプリングの自然長からの変位が所定値を超えると取付状態から変位するように該カムスプリングと前記カム部材との間に配置される減衰スプリングと、
を備えることを特徴とするパーキングロック機構。
【請求項2】
請求項1に記載のパーキングロック機構において、
前記減衰スプリングは、前記パーキングポールの前記係合部と前記パーキングギヤの前記凹部とが係合したときに前記取付状態に維持されることを特徴とするパーキングロック機構。
【請求項3】
請求項1または2に記載のパーキングロック機構において、
前記カム部材により前記パーキングロッドの軸方向に摺動自在に支持されると共に前記カムスプリングの他端と当接する中間部材と、
前記中間部材と当接して該中間部材の前記カムスプリング側への移動を規制するストッパとを更に備え、
前記減衰スプリングは、前記中間部材と前記カム部材との間に圧縮された状態で配置されることを特徴とするパーキングロック機構。
【請求項4】
請求項3に記載のパーキングロック機構において、
前記減衰スプリングのバネ定数は、前記カムスプリングのバネ定数よりも小さいことを特徴とするパーキングロック機構。
【請求項5】
請求項3または4に記載のパーキングロック機構において、
前記所定値は、前記ストッパと前記中間部材とが当接した状態で前記カムスプリングから前記中間部材に加えられる力と前記減衰スプリングから該中間部材に加えられる力とが等しくなったときの前記カムスプリングの自然長からの変位であることを特徴とするパーキングロック機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−171452(P2012−171452A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34371(P2011−34371)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】