説明

パーソナルケア溶解性フィルム

水溶性フィルム形成剤、化粧用に許容可能な可塑剤、および脱粘着剤を含むパーソナルケア溶解性フィルムを、その使用方法とともに記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明は、パーソナルケア製品ならびにその製造方法および使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
パーソナルケアフィルムは、組成物を送達するため(例えば、スキンケア用、ヘアケア用、または化粧品用途用)の便利な基盤を与える。このようなフィルムは、末端使用者によって与えられる水または水性組成物との接触時に迅速に溶解するように設計される。産業における重要なゴールは、これらのフィルムの性能が、これらの従来の湿潤対照物に対抗する一方、フィルムのより大きい携帯性および利便性を与えることである。
【0003】
化粧品(パーソナルケアフィルム等)の成功は、大部分が使用者に対するその感じ方に左右される。よって、溶解の速度および感覚の特質、例えば塗り広げ容易性、吸収の速度、質感、皮膚の湿り具合、重さ、グリースの量、粘着の量、乾燥の迅速性、全体的な皮膚の感触、および全体的な外観は重大な因子である。例えば、製品の溶解が遅すぎると、これはゴム状および塊が多いものとなり、そして均一なフィルムを与えない。従来開発されてきたパーソナルケアフィルムは迅速に溶解するが、成功した製品をもたらす触感特性を達成していない。
【0004】
よって、必要とされるのは、更により望ましい消費者特性を有するパーソナルケアフィルムである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
要約
一態様において、本発明は、水溶性フィルム形成剤、化粧用に許容可能な可塑剤、および脱粘着剤を含むパーソナルケア溶解性フィルムを提供する。
【0006】
別の態様において、本発明は、水溶性フィルム形成剤、化粧用に許容可能な可塑剤、および脱粘着剤を含むアイケア組成物溶解性フィルムを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
詳細な説明
一態様において、本発明は、水溶性フィルム形成剤、化粧用に許容可能な可塑剤、および脱粘着剤を含むパーソナルケア溶解性フィルムを提供する。
【0008】
「パーソナルケア」は、典型的には人体に適用される組成物を意味する。パーソナルケア組成物の例としては、スキンケアおよび化粧用の製品(例えば、フェイシャルクリーム、モイスチャライザー、ローション、サンスクリーン、ファンデーション、マスカラ、アイライナー、リップスティック等)、ネイルケア製品(例えばマニキュアおよびコンディショナー)、ならびにヘアケア製品(例えばスタイリングジェルおよびヘアスプレー)が挙げられる。「パーソナルケア溶解性フィルム」は、パーソナルケア組成物を含有する、容易に溶解可能なフィルムである。一態様において、このようなフィルムは、水または水性組成物で湿潤させて例えば指の間でこすり合わせた場合に1分未満で溶解する。
【0009】
「化粧用に許容可能な」は、パーソナルケア組成物において典型的に使用される含有成分を意味し、そして、パーソナルケア組成物中に典型的に見出される量で存在する場合に有毒、刺激性または不快臭を有する物質は、本発明の要素として検討しないことの強調を意図する。
【0010】
用語「水溶性フィルム形成剤」は、25℃で測定したときに水中での溶解性少なくとも0.1グラム/リットル(g/L)を有するポリマーを包含する。この溶解性は、好ましくは少なくとも1g/Lである。ポリマーは、合成、天然または変性されたものであることができ、そして小麦(wheat)または大豆のタンパク、ケラチン(例えばケラチン加水分解物およびスルホンケラチン)、カゼイン、アルブミン、コラーゲン、グルテリン、グルカゴン、グルテン、ゼイン、ゼラチンおよびこれらの誘導体、キチン由来またはキトサン由来のポリマー(例えばアニオン性、カチオン性、両性またはノニオン性のキチンまたはキトサンのポリマー)、多糖ポリマー(例えばセルロース系ポリマー,例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよび4級化セルロース誘導体、スターチおよびその誘導体、アクリルポリマーまたはコポリマー(例えば、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、およびそのコポリマー)、ビニルポリマー(例えばポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテルおよび無水マレイン酸のコポリマー、ビニルアセテートおよびクロトン酸のコポリマー、ビニルピロリドンおよびビニルアセテートのコポリマー、ビニルピロリドンおよびカプロラクタムのコポリマー、ポリビニルアルコール)、天然由来のポリマー(これらは任意に変性されており、例えば、アラビアガム、グアーガム、キサンタン誘導体またはカラヤゴム、アルギネート、カラギーナン、ウルヴァン(ulvane)、および他の藻類コロイド、グリコアミノグルカン、ヒアルロン酸およびその誘導体、シェラック、サンダラックゴム、ダマールレジン、エレミゴム、およびコパルレジン、デオキシリボ核酸、ムコ多糖,例えばヒアルロン酸、コンドロイチンスルフェート、カプロラクタム、プルラン、ペクチン、マンナンおよびガラクトマンナン、およびグルコマンナン)ならびにこれらの混合物および/または誘導体が挙げられる。
【0011】
一態様において、水溶性フィルム形成剤は、セルロースエーテル系ポリマー、ポリエチレンオキサイド、またはこれらの混合物である。一態様において、水溶性フィルム形成剤は、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン性ヒドロキシエチルセルロース、疎水変性ヒドロキシエチルセルロース、またはカチオン性疎水変性ヒドロキシエチルセルロースのうちの少なくとも1種である。一態様において、水溶性フィルム形成剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0012】
水溶性フィルム形成剤は、フィルム形成組成物の約1質量%〜約50質量%の量で存在する。「フィルム形成組成物」は、キャスト、押出し、または他の加工がされてパーソナルケア溶解性フィルムとなる組成物を意味する。典型的には、水または他の好適な液体は、フィルム形成組成物の主要部として含む。好ましくは、水溶性フィルム形成剤は、フィルム形成組成物の約5質量%〜約20質量%の量で存在する。一態様において、水溶性フィルム形成剤は、約7質量%超、好ましくは約9質量%超、より好ましくは約11質量%超、および好ましくは約14質量%の量で存在する。
【0013】
一態様において、可塑剤は、ポリアルコール,例えばグリセリン、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、およびポリエチレングリコール(PEG400等)、モノ−および/またはジサッカライド、またはポリエチレンオキサイド等のうちの少なくとも1種である。
【0014】
一態様において、可塑剤は、フィルム形成組成物の約0.01質量%〜約40.0質量%の量で存在する。好ましくは、可塑剤は、フィルム形成組成物の約2質量%〜約15.0質量%の量で存在する。一態様において、可塑剤は、約2質量%超、好ましくは約4質量%超、より好ましくは約5質量%超、および好ましくは約6質量%の量で存在する。
【0015】
一態様において、可塑剤は、ポリアルコールであり、そしてフィルムは、キトサン/ピロリドンカルボン酸混合物およびポリクオタニウム−24ヒアルロネートからなる群から選択される皮膚活性物質も含有する。この態様において、可塑剤は、フィルム形成組成物の約5.0質量%〜約20.0質量%、および好ましくは約7.0質量%〜約17.0質量%の量で存在してもよい。
【0016】
本発明で意図される脱粘着剤としては、例えば、シリコーンエラストマー、カルシウムアルミニウムボロシリケート、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、タルク(コートでも非コートでもよい)、コンポジットフィラー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の粉末または水性分散体、ワックス微分散体、ポリビニルピロリドン/1−トリコンテンコポリマー、シリコーンワックスおよびレジン、オルガノポリシロキサン粒子、塩化ビニリデン、アクリロニトリルおよびメタクリレートの膨張(expanded)ターポリマーの微小球、セルロースマイクロビーズ、繊維、中空半球シリコーン粒子(例えば、NLK−500およびNLK−503(Takemoto Oil and Fatより))が挙げられる。他の好適な脱粘着剤としては、ポリアミド粒子、好ましくはNYLON 12粉末,例えばORGASOL(Atochemより)、ポリエチレン粉末およびビーズ,例えばACUMIST B−6またはB−12(Alliedより)およびMICROTHENE(Equistarより)、アクリルまたはメタクリルコポリマー系の微小球,例えばエチレングリコールジメタクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマーで形成されるもの,例えばPOLYTRAP (Dow Corningより)、メチルメタクリレート/エチレングリコールジメタクリレートコポリマー,例えばMICROSPHERES M−305またはM−100(Matsumotoより)、ポリメチルメタクリレート微小球,例えばCOVABEAD(Wackherrより)、エチレン−アクリレートコポリマー粉末,例えばFLOBEADS(Sumitomo Seika Chemicalsより)、膨張粉末,例えば中空微小球,例えばEXPANCEL(Kemanord Plastより)またはMICROPEARL F 80 ED(Matsumotoより)、天然有機物質の粉末,例えばコーン、小麦、または米スターチ、架橋または他の,例えばDRY−FLOスターチ(オクテニルサクシネート無水物で架橋したもの)(National Starchより)、シリコーンレジンのマイクロビーズ,例えばTOSPEARL (GE Bayer Siliconesより)、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0017】
一態様において、脱粘着剤は、ジメチコンクロスポリマー、カルシウムアルミニウムボロシリケート球、またはシリコーンレジン粒子(シロキサン結合とメチル基に結合したシリコーン基とを含むもの)の少なくとも1種である。
【0018】
幾つかの態様において、脱粘着剤は、フィルム形成組成物への添加前に固体である。幾つかの態様において、脱粘着剤は、フィルム形成組成物への添加前に液体中に懸濁した固体である。このような態様は、所望の稠度を実現するために任意に増粘剤を包含できる。
【0019】
一態様において、脱粘着剤は、フィルム形成組成物の約0.05質量%〜約25質量%の量で存在する。一態様において、脱粘着剤は、フィルム形成組成物の約0.1質量%〜約5質量%の量で存在する。
【0020】
一態様において、本発明は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを水溶性フィルム形成剤として、そしてジメチコンクロスポリマーを脱粘着剤として含むパーソナルケア溶解性フィルムを提供する。一態様において、このフィルムは可塑剤を更に含む。
【0021】
一態様において、本発明のパーソナルケア組成物は、スキンケア活性物質、ネイルケア活性物質、またはヘアケア活性物質から選択される活性含有成分を更に含む。活性物質としては、エモリエント剤、モイスチャライザー、コンディショナー、アンチエイジング剤、サンスクリーン、皮膚着色剤、薬物物質(例えば抗炎症剤、抗生剤、局所麻酔剤、抗真菌剤、角質溶解剤等)、皮膚保護剤、保湿剤、および紫外線吸収剤が挙げられる。
【0022】
サンスクリーンの例としては、パラアミノ安息香酸、アヴォベンゾン、シノキセート(cinoxate)、ジオキシベンゾン、ホモサレート、メンチルアントラニレート、オクトクリレン、オクチルメトキシシンナメート、オクチルサリチレート、オキシベンゾン、パジメートO、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、スリソベンゾン、トロラミンサリチレート、二酸化チタンおよび酸化亜鉛、ジエタノールアミンメトキシシンナメート、ジガロイ(digalloy)トリオレエート、エチルジヒドロキシプロピルPABA、グリセリルアミノベンゾエート、ジヒドロキシアセトンを伴うラウソン(lawsone)、および赤色ワセリン(red petrolatum)が挙げられる。
【0023】
一態様において、活性物質はモイスチャライザーまたはアンチエイジング活性物質である。好ましくは、活性物質は、キトサン/ピロリドンカルボン酸混合物および/またはポリクオタニウム−24ヒアルロネートから選択される。これらの皮膚活性物質の例としては、KYTAMER PCキトサン/ピロリドンカルボン酸混合物および/またはBIOCARE HA−24 ポリクオタニウム−24ヒアルロネート(各々The Dow Chemical Companyから入手可能)が挙げられる。
【0024】
モイスチャライザーとしては、2−ピロリドン−5−カルボン酸ならびにその塩およびエステル、アルキルグルコースアルコキシレートまたはそのエステル、脂肪族アルコール、脂肪族エステル、グリコール、ならびに特に、メチルグルコースエトキシレートまたはプロポキシレートおよびそのステアリン酸エステル、イソプロピルミリステート、ラノリンまたはセチルアルコール、アロエ、シリコーン、プロピレングリコール、グリセロールならびにソルビトールが挙げられる。
【0025】
コンディショナーとしては、ステアルアルコニウムクロリド、ジセチルジモニウムクロリド、ラウリルメチルグルセス−10−ヒドロキシプロピルジモニウムクロリド、およびコンディショニングポリマー,例えばポリクオタニウム−10、ポリクオタニウム−24ならびにキトサンおよびその誘導体が挙げられる。
【0026】
エモリエント剤としては、油または他の脂肪性物質が挙げられる。用語「油」は、室温で液体の脂肪性物質を意味する。油の例としては、動物由来の炭化水素系油,例えばスクアレン、植物由来の炭化水素系油,例えば4〜10個の炭素原子を含む脂肪酸の液体トリグリセリド,例えばヘプタン酸もしくはオクタン酸のトリグリセリド、または代替として、植物由来の油,例えばひまわり油、コーン油、大豆油、マロー油、グレープシード油、ごま油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、アララ油(arara oil)、コリアンダー油、ヒマシ油、アボカド油、ホホバ油、シアバター油、またはカプリル/カプリン酸トリグリセリド、MIGLYOL 810,812および818(Dynamit Nobelより)、合成のエステルおよびエーテル,特に脂肪酸のもの,例えば式R1COOR2およびR1OR2(式中、R1は、8〜29個の炭素原子を含む脂肪酸残基を表し、そしてR2は、3〜30個の炭素原子を含む分岐または非分岐の炭化水素系鎖を表す)の油,例えばピュアセリン油(purcellin oil)、イソノニルイソノナノエート、イソプロピルミリステート、2−エチルヘキシルパルミテート、2−オクチルドデシルステアレート、2−オクチルドデシルエルケートまたはイソステアリルイソステアレート、ヒドロキシル化エステル,例えばイソステアリルラクテート、オクチルヒドロキシステアレート、オクチルドデシルヒドロキシステアレート、ジイソステアリルマレート、トリイソセチルシトレートおよび脂肪族アルコールヘプタノエート、オクタノエートおよびデカノエート、ポリオールエステル,例えばプロピレングリコールジオクタノエート、ネオペンチルグリコールジヘプタノエートおよびジエチレングリコールジイソノナノエート、ペンタエリスリトールエステル,例えばペンタエリスリチルテトライソステアレート、アミノ酸の親油性誘導体,例えばイソプロピルラウロイルサルコシネート,例えば名称ELDEW SL 205(Ajinomotoより)で販売されるもの、鉱物または合成物由来の直鎖または分岐鎖の炭化水素,例えば鉱物油(石油由来の炭化水素系油の混合物)、揮発性または非揮発性の液体パラフィン、およびこれらの誘導体、ワセリン(petroleum jelly)、ポリデセン、イソへキサデカン、イソドデカン、水素化イソパラフィン(またはポリイソブテン)、シリコーン油,例えば直鎖または環状のシリコーン鎖を含む揮発性または不揮発性のポリメチルシロキサン(PDMS)(室温で液体またはペースト状であるもの)、特にシクロポリジメチルシロキサン(シクロメチコン),例えばシクロペンタシロキサンおよびシクロヘキサジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサン(アルキル基、アルコキシ基またはフェニル基を含むもの)(これらはシリコーン鎖の側鎖または末端である)(これらの基は2〜24個の炭素原子を含む)、フェニルシリコーン,例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン 2−フェニルエチルトリメチルシロキシシリケートおよびポリメチルフェニルシロキサン、フルオロ油,例えば一部炭化水素系および/または一部シリコーン系のフルオロ油、エーテル,例えばジカプリリルエーテル(CTFA名:.ジカプリリルエーテル)、ならびにC12−C15脂肪族アルコールベンゾエート(FINSOLV TN,Finetexより)、これらの混合物が挙げられる。
【0027】
油としては、鉱物油、ラノリン油、ココナッツ油およびこれらの誘導体、ココアバター、オリーブ油、アーモンド油、マカダミアナッツ油、アロエ抽出物,例えばアロエベラリポキノン、ホホバ油、サフラワー油、コーン油、液体ラノリン、綿実油、ピーナツ油、水素化植物油、スクアラン、ヒマシ油、ポリブテン、スイートアーモンド油、アボカド油、カロフィラム油(calophyllum oil)、リシン油、ビタミンEアセテート、オリーブ油、シリコーン油,例えばジメチロポリシロキサンおよびシクロメチコン、リノレンアルコール、オレイルアルコール、および穀類胚芽の油が挙げられる。
【0028】
他の好適なエモリエント剤としては、例えば、ジカプリリルエーテル、C12−C15アルキルベンゾエート、DC 200 FLUID 350シリコーンフルイド(Dow Corning Corp.より)、イソプロピルパルミテート、オクチルパルミテート、イソプロピルミリステート、ヘキサデシルステアレート、ブチルステアレート、デシルオレエート、アセチルグリセリド、C12−C15アルコールのオクタノエートおよびベンゾエート、アルコールおよびポリアルコールのオクタノエートおよびデカノエート,例えばグリコールおよびグリセリルのもの、リシノレエートエステル,例えばイソプロピルアジペート、ヘキシルラウレートおよびオクチルドデカノエート、ジカプリリルマレエート、フェニルトリメチコン、およびアロエベラ抽出物が挙げられる。固体または半固体の化粧用エモリエントとしては、グリセリルジラウレート、水素化ラノリン、ヒドロキシル化ラノリン、アセチル化ラノリン、ペトロラタム、イソプロピルラノレート、ブチルミリステート、セチルミリステート、ミリスチルミリステート、ミリスチルラクテート、セチルアルコール、イソステアリルアルコールおよびイソセチルラノレートが挙げられる。
【0029】
一態様において、エモリエント剤はPPG−14ブチルエーテルである。
【0030】
一態様において、エモリエント剤は、フィルム形成組成物の約0.5質量%〜約20質量%の量で存在する。
【0031】
追加の任意の含有成分としては、パーソナルケア組成物のための任意の好適な物質,例えば、増粘剤、着色剤、保存料、pH調整剤、還元剤、香料、発泡剤、なめし剤、脱毛剤、香味剤、収斂剤、防腐剤、防臭剤、制汗剤、虫除け剤、漂白剤およびライトナー、フケ防止剤、接着剤、艶出し剤、補強剤、フィラー、バリア物質ならびに殺生物剤が挙げられる。
【0032】
増粘剤の例としては、カルボキシビニルポリマー,例えば、名称CARBOPOLおよびPEMULEN(INCI名:Acrylates/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー;Noveonから入手可能)で販売される製品、ポリアクリレートおよびポリメタクリレート,例えば名称LUBRAJELおよびNORGEL(Guardianより)またはHISPAGEL(Hispano Chimicaより)で販売される製品、ポリアクリルアミド、およびナトリウムポリアクリレート/ジメチコン/シクロペンタシロキサン/トリデセス−6/PEG−PPG−18/18ジメチコン、ポリアクリルアミド,例えばポリアクリルアミド/C13−C14イソパラフィン/ラウレス−72−アクリルアミド−2−メチルプロパン−スルホン酸ポリマーおよびコポリマー、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパン−スルホン酸)(Clariantより販売)(INCI名:アンモニウムポリアクリルジメチルタウロアミド(tauramide))、アクリルアミドおよびAMPSの乳化架橋アニオン性コポリマー,例えば名称SEPIGEL 305(INCI名:ポリアクリルアミド/C1314イソパラフィン/ラウレス−7;Seppicより)および名称SIMULGEL 600(INCI名:アクリルアミド/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマー/イソへキサデカン/ポリソルベート80;Seppicより)で販売されるもの、ポリサッカライドバイオポリマー,例えばキサンタンガム、グアーガム、カロブガム、アカシアガム、スクレログルカン、キチンおよびキトサン誘導体、カラギーナン、ジェラン、アルギネート、スターチ、会合性ポリマー、会合性ポリウレタン、6〜30個の炭素原子を含む少なくとも2つの炭化水素系親油性鎖を含むコポリマーであって親水性配列で分離されているもの,例えばポリウレタン,名称SERAD FX1010,SERAD FX1100およびSERAD FX1035(Huls Americaより),RHEOLATE 255,RHEOLATE 278およびRHEOLATE 244(INCI名:ポリエーテル−ウレア−ポリウレタン;Rheoxより),DW 1206F,DW 1206J,DW 1206B,DW 1206G,および ACRYSOL RM 2020(Rohm&Haasより)で販売されるもの、水溶性ビニルポリマー、ならびにセルロース,例えば微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロース(増粘剤として用いるセルロースが、上記水溶性フィルム形成剤に対して追加的であることを条件に(後者もまたセルロースエーテル系ポリマーである場合))、のうち少なくとも1種が挙げられる。一般的に、比較的より高分子量グレード、すなわち約80,000超(Mn)のセルロースを、増粘剤としての主な使用法として見出す。
【0033】
好ましい態様において、増粘剤は、ポリアクリルアミド、C13−C14イソパラフィン、およびラウレス−7の混合物である。別の好ましい態様において、増粘剤は、ナトリウムポリアクリレート/ジメチコン/シクロペンタシロキサン/トリ−デセス−6/PEG−PPG−18/18ジメチコンの混合物である。更に別の好ましい態様において、増粘剤は、アクリレート/C10−C30アルキルアクリレートクロスポリマーである。一態様において、増粘剤は、ポリアクリルアミド、C13−C14イソパラフィン、およびラウレス−7の混合物、ナトリウムポリアクリレート/ジメチコン/シクロペンタシロキサン/トリ−デセス−6/PEG−PPG−18/18ジメチコンの混合物、ならびにアクリレート/C10−C30アルキルアクリレートクロスポリマーのうち少なくとも2種の混合物である。一態様において、増粘剤は、組成物の約0.01質量%〜約10質量%の量で存在する。一態様において、増粘剤は、組成物の約0.1質量%〜約4質量%の量で存在する。一態様において、増粘剤は、組成物の約0.4質量%超、好ましくは約0.6質量%超、およびより好ましくは約0.9質量%超の量で存在する。増粘剤がカルボキシビニルポリマーである場合、増粘剤は、組成物の約0.1質量%〜約0.2質量%の量で存在することができる。増粘剤がポリアクリレートである場合、増粘剤は、組成物の約1質量%〜約2質量%の量で存在することができる。
【0034】
着色剤としては、顔料,特にメイクアップで使用されるもの,例えば金属酸化物顔料、二酸化チタン、任意に表面処理されているもの、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄(黒、黄または赤)、酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物および第二鉄ブルー、カーボンブラック、バリウム、ストロンチウム、カルシウムまたはアルミニウムの顔料(例えばD&CまたはFD&C)、コチニールカーミン、チタンまたはビスマスのオキシクロリドでコートされたマイカ、チタンマイカ(酸化鉄を伴うもの)、チタンマイカ(特に第二鉄ブルーまたは酸化クロムを伴うもの)、チタンマイカ(有機顔料を伴うもの)、真珠顔料であってビスマスオキシクロリドを基にするもの、ゴニオクロマチック(goniochromatic)顔料,例えば、多層干渉構造を有する顔料、反射顔料,例えば銀コートされたガラス物質、ニッケル/クロム/モリブデン合金でコートされたガラス物質、茶酸化鉄でコートされたガラス物質を有する粒子、少なくとも2つのポリマー層の積層物を含む粒子,例えばMIRROR GLITTER(3Mより)が挙げられる。
【0035】
色素としては、水溶性色素,例えば硫酸銅、硫酸鉄、水溶性スルホポリエステル、ローダミン、天然色素,例えばカロテンおよびビートの根の汁、メチレンブルー、カラメル、タートラジンの二ナトリウム塩およびフスチン(fuschin)の二ナトリウム塩、ならびにその混合物が挙げられる。脂溶性色素もまた任意に使用できる。
【0036】
保存料としては、アルコール、アルデヒド、メチルクロロイソチアゾリノンおよびメチルイソチアゾリノン、p−ヒドロキシベンゾエート、および特にメチルパラベン、プロピルパラベン、グルタルアルデヒドおよびエチルアルコールが挙げられる。
【0037】
pH調整剤としては、無機および有機の酸および塩基、ならびに特に水性のアンモニア、クエン酸、リン酸、酢酸および水酸化ナトリウムが挙げられる。
【0038】
還元剤としては、アンモニウムチオグリコレート、ハイドロキノンおよびナトリウムチオグリコレートが挙げられる。
【0039】
香料としては、心地よい香りを与える任意の成分が挙げられる。香料は、一般的に、天然物質の抽出によって得られるかまたは人工的に製造される、アルデヒドまたはケトン、およびしばしば油である。しばしば、香料は補助的な物質,例えば定着剤、増量剤、安定剤および溶媒を伴う。
【0040】
殺生物剤としては、抗菌剤、殺微生物剤、防カビ剤、殺藻剤、殺菌剤(mildicide)、消毒剤、防腐剤、および殺虫剤が挙げられる。
【0041】
このような含有成分によって与えられる所望の特性を実現するために効果的な任意の含有成分の量は当業者が容易に決定できる。
【0042】
本発明は、上記のパーソナルケア溶解性フィルムの使用方法を更に包含し、該方法は、フィルムを水または水性組成物で湿潤させ、そしてこれを人体に適用することを含む。一態様においてフィルムを湿潤させ、そして指の間でこすり合わせてパーソナルケア組成物を生成する。
【0043】
更に別の態様において、本発明は、アイケア組成物溶解性フィルムを提供し、該フィルムは、水溶性フィルム形成剤、化粧用に許容可能な可塑剤、および脱粘着剤を含む。
【0044】

以下の例は、例示のみのためであって、本発明の範囲の限定を意図しない。全てのパーセントは特記がない限り質量基準である。
【0045】
例1
例のパーソナルケア溶解性フィルムは表1に挙げる成分を含有する。「%」は、フィルム形成組成物の質量基準のパーセントを示す。
【0046】
【表1】

【0047】
パートAの含有成分を組合せ、そして混合する(温度約90℃で、ポリマーが完全に水和して溶解するまで)。次いで、パートAを室温まで冷却する。パートBの含有成分をパートAに1つずつ加え、そして分散体が均一になるまで混合する。残りの含有成分をバッチに順に添加し、均一になるまで混合する。
【0048】
得られる組成物を従来法でキャストする。
【0049】
例2
例のパーソナルケア溶解性フィルムは表2に挙げる成分を含有する。値はフィルム形成組成物の質量基準でのパーセント単位である。
【0050】
【表2】

【0051】
パートAの含有成分を組合せ、そして混合する(温度約90℃で、ポリマーが完全に水和して溶解するまで)。次いで、パートAを室温まで冷却する。パートBおよびパートCの含有成分をパートAに1つずつ加え、そして分散体が均一になるまで混合する。パートEを、これが均一になるまで予混合し、次いでバッチに添加して均一になるまで混合する。
【0052】
得られる組成物を従来法でキャストする。
【0053】
例3
フィルム形成組成物を、例1、バッチ2で記載する手順に実質的に従って形成した。「湿潤」フィルム形成組成物を次いで、35%溶液(3.5gの配合物および6.5gの脱イオン水)に希釈して、標準的な従来の液体調合物,SUDDEN CHANGE Under Eye Serum(湿潤フィルム形成調合物がより高い固形分量を含有するものとして)と同じ粘度を得た。感覚特性について、液体対液体の比較が簡便であると認められた。アンチエイジングジェル/セラムまたはアンチエイジングフェイシャルローションとして使用される公知の市販の溶解性フィルムは存在しないためである。
【0054】
10人のパネリストが、0.05gの各サンプルを、その右または左の前腕のマークした領域に塗布した。初期塗布時に、各サンプルを、塗り広げ容易性、吸着の速度、滑り、粘着性、堅さ特性、細い線の皴の平滑化(乾燥時点で)、および全体的な外観について評価した。評価スケールは、0〜10であり、10は傑出している。希釈したバッチ2は、SUDDEN CHANGE Under Eye Serumよりも、報告される全ての特質(塗り広げ、吸収、滑り、粘着性、平滑化、および全体)について、(少なかった点のため堅さを除いて)性能が優れていた。
【0055】
希釈したバッチ2の並外れた性能は驚くべきである。一般的に、このような生成物は、高量のフィルム形成ポリマーにより不快な触覚特性を有すると予測される。従来公知のフィルム製品の主要な欠点の1つは、感覚特性が悪いことであった。加えて、洗い流さない(leave-on)製品用の迅速に溶解するフィルムを実現することは、調合物中の界面活性剤が低濃度であることにより困難である。しかし、本発明のフィルム組成物はこれらの問題を解決する。理論に拘束されることを意図しないが、脱粘着剤成分がフィルムの粘着性を低減させ、フィルムの溶解速度を増大させ(フィラーとして作用して連続フィルムを崩壊させることを通じ)、ソフトフォーカス効果をマスクスキンリンクルに与え、そして油相を濃くして配合物の質感を改善すると思われる。
【0056】
例4
例のパーソナルケア溶解性フィルムは表3に挙げる成分を含有する。「%」は、フィルム形成組成物の質量基準のパーセントを示す。
【0057】
【表3】

【0058】
パートAの含有成分を組合せ、そして混合する(温度約90℃で、ポリマーが完全に水和して溶解するまで)。次いで、パートAを室温まで冷却する。パートBの含有成分をパートAに1つずつ加え、そして分散体が均一になるまで混合する。
【0059】
6人のパネリストが、例3で上記した手順に従ってフィルム形成調合物のサンプルを評価し、0.05gの各サンプルを、その右または左の腕の指定した領域に塗布し、そして配合物を粘着性につき評価した。バッチ5〜7は、特に、調合物が乾燥間近になった時点で比較バッチ(「比較」)よりも好ましかった。一方、バッチ5〜7は、比較調合物と比べてより絹様の(滑らかな)感触でより自然な外見を有することが特記された。
【0060】
本発明は、本明細書で具体的に開示および例示した態様に限定されないと理解される。発明の種々の改変が当業者に明らかとなろう。このような変更および改変は、特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく行なうことができる。
【0061】
更に、各々の列挙した範囲は、範囲の全ての組合せおよび下位組合せ、更にそれに含まれる具体的な数を包含する。加えて、本明細書で引用または記載する各特許、特許出願および公報の開示はその全部を参照により本明細書に組入れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性フィルム形成剤;
化粧用に許容可能な可塑剤;および
脱粘着剤
を含む、パーソナルケア溶解性フィルム。
【請求項2】
水溶性フィルム形成剤が、セルロースエーテル系ポリマー、ポリエチレンオキサイド、またはこれらの混合物である、請求項1に記載のパーソナルケア溶解性フィルム。
【請求項3】
水溶性フィルム形成剤が、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン性ヒドロキシエチルセルロース、疎水変性ヒドロキシエチルセルロース、またはカチオン性疎水変性ヒドロキシエチルセルロースのうち少なくとも1種である、請求項1に記載のパーソナルケア溶解性フィルム。
【請求項4】
水溶性フィルム形成剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項1に記載のパーソナルケア溶解性フィルム。
【請求項5】
水溶性フィルム形成剤が、フィルム形成組成物の約5質量パーセント〜約20質量パーセントの量で存在する、請求項1に記載のパーソナルケア溶解性フィルム。
【請求項6】
可塑剤が、ポリアルコールである、請求項1に記載のパーソナルケア溶解性フィルム。
【請求項7】
可塑剤が、フィルム形成組成物の約0.01質量%〜約40質量%の量で存在する、請求項1に記載のパーソナルケア溶解性フィルム。
【請求項8】
脱粘着剤が、ジメチコンクロスポリマー、カルシウムアルミニウムボロシリケート球、またはシロキサン結合とメチル基に結合したシリコーン基とを含むシリコーンレジン粒子のうち少なくとも1種である、請求項1に記載のパーソナルケア溶解性フィルム。
【請求項9】
脱粘着剤が、フィルム形成組成物への添加前に液体中に懸濁している固体である、請求項1に記載のパーソナルケア溶解性フィルム。
【請求項10】
脱粘着剤が、フィルム形成組成物への添加前に固体である、請求項1に記載のパーソナルケア溶解性フィルム。
【請求項11】
脱粘着剤が、フィルム形成組成物の約0.1質量%〜約5質量%の量で存在する、請求項1に記載のパーソナルケア溶解性フィルム。
【請求項12】
モイスチャライザー、コンディショナー、油、または他の脂肪性物質のうち少なくとも1種を含むエモリエント剤を更に含む、請求項1に記載のパーソナルケア溶解性フィルム。
【請求項13】
エモリエント剤が、PPG−14ブチルエーテルである、請求項12に記載のパーソナルケア溶解性フィルム。
【請求項14】
エモリエント剤が、フィルム形成組成物の約0.5質量%〜約20質量%の量で存在する、請求項12に記載のパーソナルケア溶解性フィルム。
【請求項15】
増粘剤を更に含む、請求項1に記載のパーソナルケア溶解性フィルム。
【請求項16】
増粘剤が、ポリアクリルアミド、C13−C14イソパラフィンおよびラウレス−7の混合物である、請求項15に記載のパーソナルケア溶解性フィルム。
【請求項17】
水溶性フィルム形成剤がヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、かつ脱粘着剤がジメチコンクロスポリマーである、請求項1に記載のパーソナルケア溶解性フィルム。
【請求項18】
キトサン/ピロリドンカルボン酸混合物を更に含む、請求項16に記載のパーソナルケア溶解性フィルム。
【請求項19】
少なくとも1種の追加のフィルム形成剤、エモリエント剤、増粘剤、界面活性剤、乳化剤、着色剤、保存料、pH調整剤、推進剤、還元剤、香料、発泡剤、なめし剤、脱毛剤、香味剤、収斂剤、防腐剤、防臭剤、制汗剤、防虫剤、漂白剤、ライトナー、フケ防止剤、接着剤、艶出し剤、補強剤、フィラー、バリア物質、殺生物剤、またはスキンケア活性物質、ネイルケア活性物質もしくはヘアケア活性物質から選択される活性含有成分を更に含む、請求項1に記載のパーソナルケア溶解性フィルム。
【請求項20】
請求項1に記載のパーソナルケア溶解性フィルムを使用する方法であって:
フィルムを湿潤させ、そしてこれを人体に適用することを含む、使用方法。

【公表番号】特表2010−532377(P2010−532377A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515125(P2010−515125)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/068379
【国際公開番号】WO2009/006218
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(591123001)ユニオン カーバイド ケミカルズ アンド プラスティックス テクノロジー エルエルシー (85)
【Fターム(参考)】