説明

パーソナルケア製品における臭気を低減させる方法

【課題】比較的少量の2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを含むパーソナルケア製品からの臭気を低減させる方法を提供する。
【解決手段】25〜200ppmの2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび少なくとも1種のヒドロキノンラジカルスカベンジャーを含むパーソナルケア組成物;および、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを含むパーソナルケア組成物で生じる臭気を低減させる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は少量の2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを含むパーソナルケア製品から生じる臭気を低減させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
比較的少量の特定の2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン殺生物剤を用いて保存されているパーソナルケア製品は、ある環境条件下では望ましくない臭気を発する。この事実は従来には認識されていなかった。様々な殺生物剤とヒドロキノンとの組み合わせが先行技術に開示されてきたが、少量でパーソナルケア製品においてではない。例えば、CN1,939,254号はイソチアゾロン殺生物剤でありうる防腐剤と、ヒドロキノンとを含む抗老化製品を開示する。しかし、その文献に開示される防腐剤の量は極端に高く0.1〜0.2%である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許1,939,254号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明により取り組まれる課題は、比較的少量の2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを含むパーソナルケア製品からの臭気を低減させる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、(a)25〜200ppmの2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン;および(b)50〜2000ppmの少なくとも1種のヒドロキノンラジカルスカベンジャー;を含むパーソナルケア組成物に関する。
本発明のある実施形態は、パーソナルケア組成物から生じる臭気を低減させる方法である。この方法は、パーソナルケア組成物に、(a)25〜200ppmの2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン;および(b)50〜2000ppmの少なくとも1種のヒドロキノンラジカルスカベンジャーを添加することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0006】
「MIT」は2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンであり、2−メチル−3−イソチアゾロンの名称でも称される。他に示されない限りは、全てのパーセンテージは重量基準(重量%)であり、全ての温度は℃である。次の略語が本明細書を通じて使用される:ppm=重量基準で100万あたりの部(重量/重量)。
【0007】
示されるラジカルスカベンジャーの組み合わせが、追加の安定剤と共に、または追加の安定剤を含まずに使用されることができる。本発明における使用に適するヒンダードフェノールラジカルスカベンジャーには、例えば、2,5−ジ−ターシャリー−ブチル−1,4−ヒドロキノン;2−ターシャリー−ブチル−1,4−ヒドロキノン;2,6−ジ−ターシャリー−ブチル−4−ヒドロキシトルエン;2,6−ジ−ターシャリー−ブチル−4−メトキシフェノール;ターシャリー−ブチル−4−ヒドロキシアニソール;2,5−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)ヒドロキノン;3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸プロピル;2−(1,1−ジメチルエチル)−1,4−ベンゼンジオール;4−ターシャリー−ブチルカテコール;4−ブチルレゾルシノール;4−ヒドロキシアニソール;4−(1−フェニルエチル)レゾルシノール;2,5−ジ−ターシャリー−ペンチル−1,4−ヒドロキノン;ピロカテコール;および、1,2,4−トリヒドロキシベンゼンが挙げられる。好ましい安定剤には、2,5−ジ−ターシャリー−ブチル−1,4−ヒドロキノンおよび2−ターシャリー−ブチル−1,4−ヒドロキノンが挙げられる。
【0008】
パーソナルケア(personal care)組成物は少なくとも1種の活性成分を含み、かつ人の皮膚に適用することが意図される配合物である。好適な活性成分には、日焼け止め剤(UV吸収剤)、保湿油のような保湿剤、パーソナルケアのためのクレンジング剤、パーソナルケアのための洗剤、ビタミン、葉酸誘導体、角質除去(exfoliating)剤、脱臭剤、芳香剤、パーソナルケアのための局所用薬剤、パーソナルケアのための化粧品、ヘアコンディショナー、顔ケア製品、ボディーウォッシャー、パーソナルケアのための赤外線(IR)吸収物質、ニキビ用薬剤およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。本発明のある実施形態においては、パーソナルケア組成物および配合物は4つの基本組成:油分散物、水中油エマルション、油中水エマルションおよび1種以上の有機溶媒からの溶液:のものである。パーソナルケア配合物は、典型的には、活性成分、油ベース(当該油ベースは場合によっては水性相を含む)、並びに任意選択的な添加剤を一緒にすることにより製造される。パーソナルケア配合物に関するさらなる情報は、「化粧品の化学および製造(The Chemistry and Manufacture of Cosmetics)」、第II巻、−Formulating、第三版、編集者Mitchell L.Schlossman、1988、Allured Publishing Corporationに認められうる。
【0009】
好ましくは、ヒドロキノンラジカルスカベンジャーはパーソナルケア配合物中に、少なくとも75ppm、あるいは少なくとも100ppm;あるいは少なくとも200ppm、あるいは少なくとも400ppmの合計量で存在する。本発明のある実施形態においては、ヒドロキノンラジカルスカベンジャーの量は1500ppm以下、あるいは1000ppm以下、あるいは800ppm以下、あるいは600ppm以下である。好ましくは、ヒドロキノンラジカルスカベンジャーの量はMITの量の2〜10倍、あるいは3〜8倍である。
【0010】
好ましくは、パーソナルケア配合物中のMITの合計量は少なくとも50ppm、あるいは少なくとも50ppm、あるいは少なくとも75ppmである。本発明のある実施形態においては、MIT量は150ppm以下、あるいは125ppm以下、あるいは110ppm以下、あるいは100ppm以下である。本発明のある実施形態においては、パーソナルケア配合物中に使用されるMITは1%未満、あるいは0.5%未満、あるいは0.4%未満、あるいは0.3%未満、あるいは0.2%未満、あるいは0.1%未満の5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(CMIT)を含む。
【0011】
ヒドロキノンラジカルスカベンジャーはパーソナルケア配合物の製造中のあらゆる時点で、あらゆる形態(例えば、エマルション、分散物、乾燥粉体、ペーストまたは液体として)で添加されうる。
【0012】
パーソナルケア配合物中のMITから生じる臭気の問題は、多くの場合、不飽和アルデヒド、不飽和エステル、不飽和ケトンおよび不飽和アルコールの少なくとも1種の存在下で生じる。このような化合物のソースには、例えば、香料、植物抽出物(例えば、イエルバ・マテ、オリーブ油および茶抽出物、例えば白茶抽出物)、並びにパーソナルケア配合物の成分中の不純物が挙げられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)25〜200ppmの2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン;および
(b)50〜2000ppmの少なくとも1種のヒドロキノンラジカルスカベンジャー;
を含むパーソナルケア組成物。
【請求項2】
不飽和アルデヒド、不飽和エステル、不飽和ケトンおよび不飽和アルコールの少なくとも1種をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
クリーム、ローションまたは軟膏である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
50〜150ppmの2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、および50〜1000ppmの少なくとも1種のヒドロキノンラジカルスカベンジャーを有する請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも1種のヒドロキノンラジカルスカベンジャーが、2,5−ジ−ターシャリー−ブチル−1,4−ヒドロキノン;2−ターシャリー−ブチル−1,4−ヒドロキノン;2,6−ジ−ターシャリー−ブチル−4−ヒドロキシトルエン;2,6−ジ−ターシャリー−ブチル−4−メトキシフェノール;ターシャリー−ブチル−4−ヒドロキシアニソール;2,5−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)ヒドロキノン;3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸プロピル;2−(1,1−ジメチルエチル)−1,4−ベンゼンジオール;4−ターシャリー−ブチルカテコール;4−ブチルレゾルシノール;4−ヒドロキシアニソール;4−(1−フェニルエチル)レゾルシノール;2,5−ジ−ターシャリー−ペンチル−1,4−ヒドロキノン;ピロカテコール;および、1,2,4−トリヒドロキシベンゼンからなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
(a)25〜200ppmの2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン;および(b)50〜2000ppmの少なくとも1種のヒドロキノンラジカルスカベンジャー;をパーソナルケア組成物に添加することを含む、パーソナルケア組成物から生じる臭気を低減させる方法。
【請求項7】
組成物が、不飽和アルデヒド、不飽和エステル、不飽和ケトンおよび不飽和アルコールの少なくとも1種をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
組成物がクリーム、ローションまたは軟膏である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
組成物が、50〜150ppmの2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、および50〜1000ppmの少なくとも1種のヒドロキノンラジカルスカベンジャーを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1種のヒドロキノンラジカルスカベンジャーが、2,5−ジ−ターシャリー−ブチル−1,4−ヒドロキノン;2−ターシャリー−ブチル−1,4−ヒドロキノン;2,6−ジ−ターシャリー−ブチル−4−ヒドロキシトルエン;2,6−ジ−ターシャリー−ブチル−4−メトキシフェノール;ターシャリー−ブチル−4−ヒドロキシアニソール;2,5−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)ヒドロキノン;3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸プロピル;2−(1,1−ジメチルエチル)−1,4−ベンゼンジオール;4−ターシャリー−ブチルカテコール;4−ブチルレゾルシノール;4−ヒドロキシアニソール;4−(1−フェニルエチル)レゾルシノール;2,5−ジ−ターシャリー−ペンチル−1,4−ヒドロキノン;ピロカテコール;および、1,2,4−トリヒドロキシベンゼンからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。

【公開番号】特開2010−30987(P2010−30987A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−130453(P2009−130453)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】