説明

パーマネント施術方法、パーマ液噴霧装置、及びパーマ液

【課題】軽量であって、ロッド基材を均一に加熱することができるパーマネント用加熱ロッドを提供する。
【解決手段】本発明のパーマネント施術方法は、還元剤とアルカリ剤とを含む第1のパーマ液を霧状にした第1パーマ液微粒子を噴霧して毛髪に付着させる第1噴霧工程と、酸及び/又は酸化剤を含む第2のパーマ液を霧状にした第2パーマ液微粒子を噴霧して毛髪に付着させる第2噴霧工程と、該第1パーマ液微粒子及び該第2パーマ液微粒子が付着した毛髪を付形する付形工程とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、パーマネント施術方法、それに用いるパーマ液噴霧装置、及びそれらに用いるパーマ液に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、毛髪にウェーブをかけるには、第1液を毛髪にスポイト等を用いて塗布し、毛髪を付形した後、第2液を塗布してウエーブのかかった毛髪を恒常的なものにしている。第1液は毛髪にウエーブをかけやすくするための薬剤であり、還元剤とアルカリ剤とを含む水溶液からなる。また、第2液は第1液によってウエーブがかけられた毛髪の形状を恒常的なものにするための薬剤であり、酸化剤や酸を含む水溶液からなる。これら第1液及び第2液からなるパーマ剤の原理は以下のように説明される。
【0003】
すなわち、まず第1液を毛髪に塗布することにより、第1液に含まれているアルカリ剤が毛髪を構成するポリペプチド中の酸性アミノ酸に結合し、ポリアミドどうしを架橋している酸性アミノ酸と塩基性アミノ酸との結合(以後「塩結合」という)を切断する。また、第1液に含まれている還元剤は、毛髪を構成するポリアミドどうしを架橋している「ジスルフィド結合」を還元して切断する。こうして、第1液によって「塩結合」と「ジスルフィド結合」の2つ結合が切断された毛髪は、ロッド等で所定時間賦形することにより容易にウエーブをかけることができる状態となる。こうして毛髪にウエーブをかけた後、第2液が毛髪に塗布される。第2液中に含まれる酸化剤は、第1液によって切断されたジスルフィド結合を再生する。その後、毛髪を洗浄して第2液を洗い流し、さらに酸リンス剤によって塩結合が再生される。このため、第1液で賦形された毛髪は第2液によって恒常的に形状が保たれる。
【0004】
上記説明のとおり、パーマネント施術には、毛髪に還元剤を含んだ第1液を塗布し、毛髪にウエーブをかけた後、さらに第2液を塗布してウエーブを恒常的なものにする。第1液や第2液の塗布には、従来スポイトが用いられているが、さらにこれらの液を毛髪に付着させるためのパーマ液供給装置も提案されている(特許文献1)。このパーマ液供給装置によれば、従来スポイト等によって吐出されるパーマ液を、美容師の人手により20〜30分間も液供給し続けなければならなかった作業を、機械化によって短時間で行うことができる。また、パーマ液を毛髪全体に均等に付着させることができる。
【特許文献1】特開平10−108720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来のパーマネント施術方法では、スポイトや機械を用いてパーマ液を毛髪に塗布するため、大量のパーマ液が頭皮を伝い流れ、被施術者に不快感を与えるものであった。また、こうして第1液を毛髪に塗布した後、洗髪を行って第1液を洗い流し、乾燥させてから、再びスポイトや機械によって第2液を毛髪に塗布し、毛髪に恒常的な付形を与えた後、再び洗髪、乾燥を行わなければならなかった。このため、こうした不快感を伴う状態を長時間継続強いられることとなり、被施術者の苦痛は大変大きいものであった。
【0006】
本発明は上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、被施術者の不快感が少なく、施術者への負担も軽く、施術が短時間で終了するパーマネント施術方法、パーマ液噴霧装置及びパーマ液を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のパーマネント施術方法は、
還元剤とアルカリ剤とを含む第1のパーマ液を霧状にした第1パーマ液微粒子を噴霧して毛髪に付着させる第1噴霧工程と、
酸及び/又は酸化剤を含む第2のパーマ液を霧状にした第2パーマ液微粒子を噴霧して毛髪に付着させる第2噴霧工程と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明のパーマネント施術方法では、第1噴霧工程において、還元剤とアルカリ剤とを含む第1のパーマ液が霧状にされた第1パーマ液微粒子が噴霧されて毛髪に付着する。毛髪に付着した第1パーマ液微粒子は、毛髪のキューティクル間の隙間から内部に浸透する。そして、第1のパーマ液に含まれている還元剤が毛髪を構成するポリアミドどうしを架橋している「ジスルフィド結合」を還元して切断する。さらに、第1のパーマ液に含まれているアルカリ剤が、ポリアミドどうしを架橋している酸性アミノ酸と塩基性アミノ酸との結合(以後「塩結合」という)を切断する。
【0009】
発明者らの試験結果によれば、第1のパーマ液が霧状にされた第1パーマ液微粒子は、毛髪のキューティクル間の隙間から内部に浸透するため、必要最小限の付着量で十分な上記効果を奏することができる。このため、従来のように、第1のパーマ液をスポイト等によって毛髪がべとべとになるまで塗布する必要がなく、被施術者はべとつき感を感じることなく快適に第1のパーマ液による第1噴霧工程を終えることができる。また、施術者は、スポイトによって20〜30分間も第1のパーマ液を供給し続ける必要はなく、超音波等を利用した噴霧装置から供給される第1パーマ液微粒子を被施術者の頭部に当てるだけで、自動的に終えることができる。さらに、第1のパーマ液は実質的に加熱されることなく噴霧されるため、第1のパーマ液の成分の変質を最小限に抑えることができる。
【0010】
こうして第1のパーマ液によって「ジスルフィド結合」及び「塩結合」が切断された毛髪はべたつきもなく、加熱ロッドやアイロンによって速やかに昇温し、自由な形に仕上げることができる。このため、毛髪を洗浄する必要もなく、コールドパーマ、アイロンカール、ストレートパーマ、加熱ロッドを用いたいわゆるデジタルパーマ等、従来のパーマネント施術法を行うことができる。
【0011】
そして、さらに第2噴霧工程では、酸及び/又は酸化剤を含む第2のパーマ液が実質的に加熱されることなく霧状にされた第2パーマ液微粒子が噴霧されて毛髪に付着する。そして、第2パーマ液微粒子は毛髪のキューティクル間の隙間から内部に浸透し、酸の作用によって塩結合が再生される。また、酸化剤の作用によって、第1のパーマ液によって切断されたジスルフィド結合が再生される。
発明者らの試験結果によれば、第2のパーマ液による第2噴霧工程においても、霧状にされた第2パーマ液微粒子は、必要最小限の付着量で十分な上記効果を奏することができる。このため、従来のように、被施術者はべとつき感を感じることなく快適に第2噴霧工程を終えることができる。また、施術者は、スポイトによって第2のパーマ液を供給し続ける必要はなく、噴霧装置から供給される第2パーマ液微粒子を被施術者の頭部に当てるだけで、自動的に終えることができる。
【0012】
したがって、本発明のパーマネント施術方法によれば、被施術者の不快感が少なく、施術者への負担も軽く、施術を短時間で終了させることができる。
【0013】
第1のパーマ液に含まれる還元剤としてはL−システイン及び/又はN?アセチル−L−システインを好適に用いることができ、第1のパーマ液に含まれるアルカリ剤としては、無機アルカリ及び/又は塩基性アミノ酸を好適に用いることができる。これらの還元剤やアルカリ剤は、粘度が小さいため、噴霧が容易となるからである。また、L−システインはもともと人体を構成する成分たるアミノ酸であり、皮膚に対する影響も小さい。さらには、髪を構成するポリペプチドがアルカリによって加水分解されてダメージを受けたとしても、これらのアミノ酸がペプチド結合を再生することにより、修復機能を発揮すると考えられる。また、
無機アルカリとしては、炭酸水素塩類、炭酸塩類等の他、水道水や自然水等を電気分解し、陰極側で生成したアルカリ性を示すいわゆる電解還元水等も用いることができる。また、リシン、アルギニン、ヒスチジン等の塩基性アミノ酸も用いることができる。これらの塩基性アミノ酸はもともと人体を構成する成分たるアミノ酸であり、皮膚に対する影響も小さい。さらには、髪を構成するポリペプチドがアルカリによって加水分解されてダメージを受けたとしても、これらのアミノ酸がペプチド結合を再生することにより、修復機能を発揮すると考えられる。
なお、アルカリ剤として、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンを併用することもできる。これらのアルカノールアミンを併用する場合においては、その添加量が多いと粘度が高くなり、噴霧が困難となる傾向があるため、その添加量を、噴霧が実用的に可能となる範囲内で適宜調製することが好ましい。
【0014】
本発明のパーマネント施術方法は、本発明のパーマ液噴霧装置を用いて実施することができる。すなわち、発明のパーマ液噴霧装置は、パーマ液を貯留する貯留部と、該貯留部に貯留されたパーマ液を霧状にしてパーマ液微粒子とするパーマ液噴霧手段と、該パーマ液噴霧手段で発生したパーマ液微粒子を毛髪へ案内し、付着させるための案内手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
パーマ液噴霧手段としては、超音波発生素子から発生する超音波振動によって無数の前記パーマ液微粒子を発生させることができる。発明者らの試験結果によれば、超音波発生素子から発生する超音波振動を利用した超音波噴霧器を用いれば、4ミクロン程度という極めて細かい第1パーマ液微粒子及び第2パーマ液微粒子を多量に発生させることができる。
【0016】
また、案内手段は、屈曲自由な管状部と、該管状部の一端側に連通して接続され、着脱可能に毛髪全体を覆うヘヤキャップ部とを備えた構造とすることができる。こうであれば、パーマ液噴霧手段によって発生させたパーマ液微粒子を均等かつ確実に毛髪全体に付着させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のパーマネント施術方法では、還元剤とアルカリ剤とを含む第1のパーマ液と、酸及び/又は酸化剤を含む第2のパーマ液を用いる。第1のパーマ液は、噴霧を容易にするために、粘度を小さくする必要がある(6cP以下、好ましくは3cP以下)。このため、トリエタノールアミン等の粘度の高いアルカリを添加する場合には、噴霧が困難とならない程度に適宜添加量を調整することが好ましい。炭酸水素塩類、炭酸塩類等の他、水道水や自然水等を電気分解し、陰極側で生成したアルカリ性を示すいわゆる電解還元水等の無機アルカリが好適である。
【0018】
また、リシン、アルギニン、ヒスチジン等の塩基性アミノ酸も、アルカリ剤として用いることができる。アルギニンはリジンと比べて等電点が大きく(アルギニンの等電点=10.76、リジンの等電点=9.75)、アルカリ性をより高めることができるため、塩結合の切断能力に優れ、髪に対するウエーブ効果を大きくすることができる。また、アルギニンはリジンよりも化学的安定性に優れているため、毛髪用パーマ剤第1液の長期間の保存が可能となる。水に対するアルギニンの配合割合は0.1〜15質量%が好ましく、さらに好ましいのは0.5〜7質量%であり、最も好ましいのは1〜3質量%である。アルギニンの配合割合が0.5質量%未満ではpHが低くなり、ウエーブ効果が弱くなる。また、アルギニンの配合割合が15質量%を超えると、製造コストが高くなるのみでなく、冬場において溶解しきれなくなったアルギニンが析出する。ただし、アルカリ剤として炭酸ナトリウム等の無機アルカリ剤や、イソプロパノールアミン等のアルギニン以外の有機アルカリ剤を併用する場合には、アルギニンの添加量を少なくすることもできる。
【0019】
また、アルギニンの配合割合を毛髪用パーマ剤第1液のpH値で管理することも好ましい。pH値は毛髪の塩結合の切断能力に深く関わるからである。好ましいpH値は8〜10.5であり、更に好ましくは8.2〜10であり、最も好ましくは8.5〜9.5である。
【0020】
還元剤としては、従来から毛髪用パーマ剤第1液に用いられている還元剤を用いることができるが、チオグリコール酸アンモニウムやチオグリコール酸モノエタノールアミン塩等のチオグリコール酸のアルカリ塩は好ましくない。チオグリコール酸のアルカリ塩は、粘度が高いために噴霧困難となりやすいからである。好ましい還元剤としては、システイン、システイン塩酸塩、N−アセチルシステイン等が挙げられる。還元剤の濃度は毛髪用パーマ剤第1液全体に対して0.5〜15質量%が好ましい。更に好ましくは2〜10質量%であり、最も好ましいのは3〜8重量%である。還元剤の濃度が0.5質量%未満では、毛髪のジスルフィド結合の還元による切断が不十分となり、パーマがかかりにくくなる。また、還元剤が15質量%を超えると、還元力が強すぎてパーマがかかりすぎ、毛髪や頭皮に影響の出るおそれが生ずる。
【0021】
従来のパーマ液には、ソルビン酸、エデト酸塩等の酸化防止剤、安息香酸塩やパラペン類等の防腐剤、セタノール、プロピレングリコール等の粘度調整剤、オレンジオイル等の芳香剤、乳化剤、その他の助剤を適宜任意に配合してもよい。ただし、これらの助剤の添加は、パーマ液の噴霧が困難とならない程度に、添加量を適宜調整することが好ましい。
【0022】
パーマ液を霧状にするためには、水晶発信子等のピエゾ素子を用いた超音波発生素子をパーマ液に直接又は間接的に接触させ、超音波振動によって霧状にすることができる。こうして発生する第1パーマ液微粒子や第2パーマ液微粒子は、極めて細かく(4μm程度)なっており、毛髪の太さである50〜150μmよりもはるかに小さい。このため、毛髪の表面に残ることなく、毛髪のキューティクル間の隙間から毛髪内部に容易に浸透していき、必要最小限のパーマ液を効率よく毛髪と反応させることができる。このため、余分なパーマ液が過剰に毛髪に付着することを防止することができる。また、パーマ液の粘度も低いため、被施術者は、べたつき感を感じることなく、さらさら感のある髪のまま、パーマネント施術を終えることができる。
なお、パーマ液の霧化に祭し、パーマ液は実質的に加熱しないことが好ましい。パーマ液の変質(酸化等)を防止するためである。
【0023】
以下、本発明をさらに具体化した実施例について図面を参照しつつ説明する。
(実施例1)
<第1のパーマ液の調製>
第1のパーマ液として、以下の組成の液を調製した。
・L−システイン塩酸塩・・・・・・・・・・・・・・・・ 4.85重量%
・N?アセチル−L−システイン・・・・・・・・・・・・ 2.35重量%
・イソプロパノールアミン・・・・・・・・・・・・・・・ 2.50重量%
・炭酸ナトリウム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2.50重量%
・L−アルギニン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 0.10重量%
・エデト酸三ナトリウム・・・・・・・・・・・・・・・・ 0.10重量%
・モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)・1.20重量%
・香料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 0.80重量%
・ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン・・・・・・・・・ 2.02重量%
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 残
【0024】
<第2のパーマ液の調製>
第2のパーマ液として、以下の組成の液を調製した。
・臭素酸ナトリウム・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4.00重量%
・リン酸一水素ナトリウム・・・・・・・・・・・・・・・ 0.10重量%
・リン酸二水素ナトリウム・・・・・・・・・・・・・・・ 0.10重量%
・ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン・・・・・・・・・ 0.50重量%
・安息香酸ナトリウム・・・・・・・・・・・・・・・・・ 0.30重量%
・モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)・0.30重量%
・香料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 0.20重量%
・アミノエチルプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン ・ 0.10重量%
・.ポリオキシエチレンラウリルエーテル・・・・・・・・・ 0.01重量%
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 残

【0025】
<パーマ液噴霧装置>
上記実施例1及び実施例2で調製した第1のパーマ液及び第2のパーマ液を用いて、パーマネント施術を行った。施術に用いたパーマ液噴霧装置を図1に示す。このパーマ液噴霧装置は、ベース1の上にパーマ液を貯留する水槽2が載せられている。水槽2の底面には水晶発信素子を用いた超音波振動素子3が埋め込まれている。水槽2は蓋部4で覆われており、蓋部4にはパーマ液を貯留する貯留タンク5を挿入可能とする孔4aが開けられており、孔4aの下方には、貯留タンク5の下端のタンク口5aと整合し、貯留タンク5を所定の位置へ案内する案内凹部6が設けられている。蓋部4の中央やや超音波振動素子3寄りの位置には、下方に延在して垂れ壁7が設けられており、水槽2にパーマ液を入れた場合に、垂れ壁7によって水槽2が貯留室8と噴霧室9とに分離されるようになっている。そして、噴霧室9の上方の蓋部4には、上方に延在し、途中で斜め上方にくの字に折れ曲がったミスト案内部10が接続されており、ミスト案内部10には、屈曲自在のゴムホース11が接続されている。
【0026】
<パーマネント施術>
以上のように構成されたパーマ液噴霧装置を用いて、パーマネント施術を行った。すなわち、まず第1のパーマ液を貯留タンク5に満たし、逆さまにしつつ孔4aに挿入し、タンク口5aを案内凹部6内に嵌める。これにより、貯留タンク5内の第1のパーマ液はタンク口5aから空気と置換されて漏れ出し、水槽2内に溜まる。そして、水位がタンク口5aの下端を越えたところで、タンク口5aに空気が入らなくなり、貯留タンク5内が減圧状態となり、それ以上は第1のパーマ液は漏れなくなる。
【0027】
そして、超音波振動素子3を駆動させる。これにより、超音波振動素子3の上方に、極めて細かい第1パーマ液微粒子が霧状に立ち上る。そして、第1パーマ液微粒子は、ミスト案内部10及びゴムホース11を経由し、ゴムホース11の先端から外へ漂い出す。施術者はゴムホース11の先端を持ち、漂い出した第1パーマ液微粒子を被施術者の頭部毛髪に満遍なく当てる。水槽2内に溜まった第1のパーマ液の水位がタンク口5aの下端より下がると、タンク口5aから空気が入り、貯留タンク5内の減圧状態が解除され、一定の第1のパーマ液が漏れ出る。そして、水位が案内凹部6の上端より上がると、再びタンク口5aから空気が入らなくなり、貯留タンク5内が再び減圧状態となり、第1のパーマ液の流出が停止する。こうして、水槽2内のパーマ液の水位が一定に保たれる。
【0028】
所定の量の噴霧が終了したら、こうして、頭髪に第1パーマ液微粒子を付着させた後、洗髪することなくそのままドライヤーによるブローや、アイロンや加熱ロッド等によって髪型を整えて、毛髪を付形する。
【0029】
そして、毛髪の付形が終了したら、別のパーマ液噴霧装置を用意し、貯留タンク5内に第2のパーマ液を貯留タンク5に満たし、上記と同様の操作を行い、頭髪に第2パーマ液微粒子を付着させる。こうして、切断されたジスルフィド結合や、塩結合を再生し、毛髪に恒常的な形状を与える。こうして、パーマネント施術が終了する。
【0030】
実施例1のパーマ液を用いて、上記工程にしたがってパーマネント施術を行った結果、次の結果が得られた。
すなわち、実施例1のパーマネント施術法によれば、施術の開始から終了に至るまで、毛髪がパーマ液でべとつくことはなく、さらさらの状態のままである。このため、被施術者は不快感を持つことがなかった。また、施術者はゴムホース11の口を頭髪に近づけるだけであるため、施術者の労力も大幅に軽減された。さらに、パーマ液は必要な分量のみ頭髪に付与されるため、パーマネント後に洗い流す必要がなく、洗髪工程や頭髪乾燥工程を省略することができた。また、第1噴霧工程において第1のパーマ液を頭髪を付着させた後、放置時間を設けることなく、直ちに第2のパーマ液による第2噴霧工程を行っても、優れたパーマネントの効果が得られ、パーマネント施術に要する時間を大幅に短縮することができた。
【0031】
上記実施例では、ゴムホース11の先端を施術者の頭髪に近づけて施術を行ったが、図2に示すように、ゴムホース11の先端をヘアキャップ12へ連通するように接続し、パーマ液微粒子をヘアキャップ12内に導入するようにしてもよい。こうすることにより、パーマ液微粒子を確実に頭髪に付着させることができ、パーマ液の無駄を少なくすることができる。
【0032】
(実施例2)
実施例2では、下記組成の第1のパーマ液を調製した。
第1のパーマ液として、以下の組成の液を調製した。
・L−システイン塩酸塩・・・・・・・・・・・・・・・・ 4.80重量%
・N?アセチル−L−システイン・・・・・・・・・・・・ 2.30重量%
・トリエタノールアミン・・・・・・・・・・・・・・・・ 5.00重量%
・炭酸ナトリウム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2.50重量%
・L−アルギニン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 0.10重量%
・エデト酸三ナトリウム・・・・・・・・・・・・・・・・ 0.10重量%
・モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)・0.20重量%
・香料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 0.10重量%
・黄色203号・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 微量
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 残
【0033】
また、第2のパーマ液は、実施例1で用いたものと同じである。
【0034】
上記実施例2のパーマ液について、実施例1で用いたパーマ液噴霧装置を用いて、噴霧試験を行った。その結果、実施例1の場合と同様、施術の開始から終了に至るまで、毛髪がパーマ液でべとつくことはなく、さらさらの状態のままである。このため、被施術者は不快感を持つことがなかった。また、施術者の労力も大幅に軽減された。さらに、パーマ液は必要な分量のみ頭髪に付与されるため、パーマネント後に洗い流す必要がなく、洗髪工程や頭髪乾燥工程を省略することができた。また、第1噴霧工程の後、直ちに第2のパーマ液による第2噴霧工程を行っても、優れたパーマネントの効果が得られ、パーマネント施術に要する時間を大幅に短縮することができた。ただし、第1のパーマ液の噴霧に際して、実施例1よりも単位時間当たりの噴霧量が少なかった。これは、アルカリ剤として添加したトリエタノールアミンの粘度が高いためであると考えられる。
【0035】
実施例のパーマ液は何れも超音波振動子により霧化できる程度に小さな粘度である。また、トリエタノールアミンの例からもわかるとおり、この発明で使用できるパーマ液は、全体的に小さな粘度(超音波振動子で霧化できる程度)を備えることはもとより、パーマ液に含まれる成分自体も超音波振動子で霧化できる程度に小さな粘度を有するものとすることが好ましい。
【0036】
この発明は、上記発明の実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明のパーマネント施術方法、パーマ液噴霧装置及びパーマ液は、美容業や美容機器製造業において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施例1及び実施例2で用いたパーマ液噴霧装置の模式正面図である。
【図2】ゴムホース11の先端ヘアキャップ12を接続させてパーマネント施術を行う場合の斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
5…貯留部(貯留タンク)
3…パーマ液噴霧手段(超音波振動素子)
10,11,12…案内手段(10…ミスト案内部,11…ゴムホース,12…ヘヤキャップ)
3…超音波発生素子
11…管状部(ゴムホース)
12…ヘヤキャップ部(ヘヤキャップ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元剤とアルカリ剤とを含む第1のパーマ液を霧状にした第1パーマ液微粒子を噴霧して毛髪に付着させる第1噴霧工程と、
酸及び/又は酸化剤を含む第2のパーマ液を霧状にした第2パーマ液微粒子を噴霧して毛髪に付着させる第2噴霧工程と、
を備えることを特徴とするパーマネント施術方法。
【請求項2】
前記第1のパーマ液には、還元剤としてL−システイン及び/又はN?アセチル−L−システインと、アルカリ剤として無機アルカリ及び/又は塩基性アミノ酸とが含まれていることを特徴とする請求項1記載のパーマネント施術方法。
【請求項3】
パーマ液を貯留する貯留部と、該貯留部に貯留されたパーマ液を霧状にしてパーマ液微粒子とするパーマ液噴霧手段と、該パーマ液噴霧手段によって発生したパーマ液微粒子を毛髪へ案内する案内手段と、を備えることを特徴とするパーマ液噴霧装置。
【請求項4】
前記パーマ液噴霧手段は、超音波発生素子から発生する超音波振動によって前記パーマ液微粒子を発生させることを特徴とする請求項4記載のパーマ液噴霧装置。
【請求項5】
前記案内手段は、屈曲自由な管状部と、該管状部の一端側に連通して接続され、着脱可能に毛髪全体を覆うヘヤキャップ部とを備えていることを特徴とする請求項4又は5に記載のパーマ液噴霧装置。
【請求項6】
請求項1乃至3のパーマネント施術方法において用いられる該第1のパーマ液であって、
還元剤としてのL−システイン及び/又はN?アセチル−L−システインと、アルカリ剤としての無機アルカリ及び/又は塩基性アミノ酸とが含まれていることを特徴とするパーマ液。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−119158(P2009−119158A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298664(P2007−298664)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(507342456)株式会社NAJAPAN (2)
【Fターム(参考)】