説明

ヒスチジンデカルボキシラーゼ活性を測定するための蛍光偏光アッセイ

以下の工程を含む候補化合物のHDC調節活性を測定するための蛍光偏光法:a)HDC、ヒスチジン、蛍光標識したヒスタミンプローブ、候補化合物及びヒスタミンに対する選択性がヒスチジンよりも少なくとも10倍大きい抗ヒスチジン抗体を含む反応混合物を調製する工程;b)前記反応混合物をインキュベートする工程;c)試験化合物の存在下でHDCの阻害が起こるか否かを決定する工程であって、蛍光シグナルの増加は、試験化合物がHDCの活性を阻害することを示す、工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
この出願は、2004年11月16日に出願された米国仮出願第60/628,242号の利益を主張する(その内容は本明細書に組み込まれる)。
(発明の背景)
1.技術分野
本発明の分野は、疾病の診断及びHDC阻害剤の同定で使用できる、HDC活性を検出する蛍光偏光アッセイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
2.背景情報
ヒスタミンは、病理学上及び生理学上の種々の条件で複数の活性をもつ強力なバイオアミンである(Jutel M, Watanabe T, Akdis M, Blaser K, Akdis CA: Immune regulation by histamine. Curr. Opin. Immunol 2002;14:735-740)。急性炎症及びアレルギー反応へのその十分に特徴付けられた影響に加えて、ヒスタミンは、抗原特異的免疫応答のいくつかの局面を調節する(Schneider E, Rolli-Derkinderen M, Arock M, Dy M: Trends in histamine research: new functions during immune responses and hematopoiesis. Trends Immunol 2002;23:255-263)。最近の研究結果、例えば免疫担当細胞における新規ヒスタミン受容体(H4)の発見及びTヘルパー細胞極性におけるH1及びH2受容体の役割の証明のような結果は、ヒスタミンによって引き金が引かれる免疫調節機構への大きな関心をもたらした(Schneider E, Rolli-Derkinderen M, Arock M, Dy M. ; Trends Immunol. 2002 May; 23(5):255-63)。
【0003】
ヒスチジンデカルボキシラーゼ(HDC)は、ヒスタミンの生合成における律速酵素である(Watanabe T, Yamatodani A, Maeyama K, Wada H: Pharmacology of a-fluoromethylhistidine, a specific inhibitor of histidine decarboxylase. Trends Pharmaceutical Sci 1990;11:363-367)。哺乳類のHDCは、ピリドキサール5-燐酸(PLP)-依存性酵素の大きなファミリーのメンバーである(Christen P, Mehta P: From Cofactor to enzymes. The molecular evolution of pyridoxal-5'-phosphate-dependent enzymes. Chemical Record 2001;1:436-447)。DHCは、たいていの組織で発現されるが、最も高いレベルは皮膚、GIトラック及び気道で見出される。HDCは、短い54Kdフォームに変換される74Kd酵素である(Yatsunami K, Tsuchikawa M, Kamada M, Hori K, Higuchi T: Comparative studies of human recombinant 74- and 54- kDa L-histidine decarboxylase. J. Biol. Chem. 1995;270:30813-30817)。両フォームともインビトロで活性を示すが、同じ細胞内コンパートメントでは見出されず、74Kdフォームは、小胞体で主に見出されている(Tanaka S, Nemoto K, Yamamura E, Ohmura S, Ichikawa A: Degradation of the 74 kDa form of l-histidine decarboxylase via the ubiquitin-proteasome pathway in a rat basophilic/mast cell line (RBL-2H3). FEBS Letters 1997; 417:203-207)。
【0004】
HDC-欠損マウスの最近の産生は、多様な正常及び疾病過程における内因性ヒスタミンの役割を研究するためのよいシステムを提供した(Ohtsu H, Watanabe T: New functions of histamine found in histidine decarboxylase gene knockout mice. Biochem Biophys Res Commun 2003; 443-447)。HDC-/-マウスは、肥満細胞の数を減らし、肥満細胞プロテアーゼのような顆粒状含有量を減らす(Ohtsu H, Tanaka S, Terui T, Hori Y, Makabe-Kobayashi Y, Pejler G, Tchougounova E, Hellman L, Gertsenstein M, Hirasawa N, Sakurai E, Buzas E, Kovacs P, Csaba G, Kittel A, Okada M, Hara M, Mar L, Numayama-Tsuruta K, Ishigaki-Suzuki S, Ohuchi K, Ichikawa A, Falus A, Watanabe T, Nagy A: Mice lacking histidine decarboxylase exhibit abnormal mast cells. FEBS 2001; 502:53-56)。これらのマウスは、気道過敏症(Kozma GT, Losonczy G, Keszei M, Komlosi Z, Buzas E, Pallinger E, Appel J, Szabo T, Magyar P, Falus A, Szalai C: Histamine deficiency in gene-targeted mice strongly reduces antigen-induced airway hyper-responsiveness, eosinophilia and allergen-specific IgE. International Immunol. 2003;15:963-973)、血管透過性(Ohtsu et al. Plasma extravasation induced by dietary supplemented histamine in histamine-free mice.Eur J Immunol. 2002; 32:1698-708)、皮膚炎症(Ghosh AK, Hirasawa N, Ohtsu H, Watanabe T, Ohuchi K: Defective angiogenesis in the inflammatory granulation tissue in histidine decarboxylase-deficient mice but not in mast cell-deficient mice. J. Exp. Med. 2002;195:973-9)を低減し、骨密度を増大する(Fitzpatrick LA, Buzas E, Gagne TJ, Nagy A, Horvath C, Ferencz V, Mester A, Kari B, Ruan M, Falus A, Barsony J. Targeted deletion of histidine decarboxylase gene in mice increases bone formation and protects against ovariectomy-induced bone loss. Proc Natl Acad Sci U S A. 2003; 100(10):6027-32)。このように、HDC活性の強力な阻害剤は、アレルギー性、炎症性、免疫学的、骨及び心臓血管障害において有用であることがわかるであろう。また、ヒスタミンは、いくつかのタイプの癌において増殖の正の制御因子であることがわかっている(Hegyesi H, Somlai B, Varga VL, Toth G, Kovacs P, Molnar EL, Laszlo V, Karpati S, Rivera E, Falus A, Darvas Z. Suppression of melanoma cell proliferation by histidine decarboxylase specific antisense oligonucleotides. J Invest Dermatol. 2001 Jul;117(1):151-3)。
【0005】
ヒスタミンの生物学上の役割は、ヒスタミン受容体特異的アゴニスト又はアンタゴニストを用いる薬理的なアプローチによって広範囲に研究されている。アレルギー及び炎症反応におけるHDCの役割が重要であるにもかかわらず、この酵素の非常に少ない小さい分子阻害剤が知られているだけである。これらの阻害剤のほとんどは、合理的なデザインストラテジーによって発見され、ヒスチジン類似化合物である。十分に特徴付けられたHDC阻害剤は、不可逆的阻害剤であるα-フルオロメチルヒスチジンである(Watanabe T, Yamatodani A, Maeyama K, Wada H.Pharmacology of alpha-fluoromethylhistidine, a specific inhibitor of histidine decarboxylase. Trends Pharmacol Sci. 1990 11:363-7)。
【0006】
HDC阻害剤の新規クラスを同定する能力は、HTSに適しているアッセイの欠如によって制限される。HDC活性を測定するための最も一般的に使用されるアッセイは、o-フタルアルデヒド(OPT)法に基づく(Roskoski R, Roskoski LM: A rapid histidine decarboxylase assay. Analytical Biochem. 1978;87:293-297)。このアッセイは、ヒスチジンと比較してヒスタミンに対して選択性ではなく、基質からの酵素生成物のクロマトグラフィーによる分離に関する。別のより敏感なHDCアッセイは、[14C]-標識ヒスチジンの[14C]-標識ヒスタミンへの変換を利用する。薄層クロマトグラフィーは、基質と生成物とを分離するために使用される。ヒスタミンELISAキットは、HDC活性を測定するのに適合する可能性を持っている。しかしながら、これらのアッセイは、任意の有用な選択性及び感受性を達成するために、アセチル化工程(アセチル化ヒスタミン)を必要とする。さらに、これらの手順は、HTSの影響をあまり受けないようにするために、多くの洗浄工程を必要とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要約)
以下の工程を含む候補化合物のHDC調節活性を測定するための蛍光偏光アッセイ:
a)HDC、ヒスチジン、蛍光標識したヒスタミンプローブ、候補化合物及びヒスタミンに対する選択性がヒスチジンよりも少なくとも10倍大きい抗ヒスタミン抗体を含む反応混合物を調製する工程、
b)前記反応混合物をインキュベートする工程、
c)試験化合物の存在下でHDCの阻害が起こるか否かを決定する工程であって、蛍光偏光シグナルの増加は、試験化合物がHDCの活性を阻害することを示す、工程。
【0008】
本発明の別の実施態様では、抗ヒスタミン抗体のヒスタミンに対する選択性は、ヒスチジンよりも少なくとも100倍大きい。
本発明の別の実施態様では、反応混合物を15分よりも長い時間、より好ましくは60〜120分間、最も好ましくは約80〜100分間インキュベートする。
本発明の別の実施態様では、ヒトHDCを使用する。
本発明の別の実施態様では、HDCは、組み換え酵素であるか、あるいは部分的に精製される。
本発明の別の実施態様では、ヒスタミンプローブは、抗ヒスタミン抗体に対して1μmよりも大きい親和力を有する。
本発明の別の実施態様では、リンカー領域で担体に結合されたヒスタミンでマウスを免疫することによって、使用される抗ヒスタミン抗体が生成され、前記リンカーは、フルオレセインプローブと構造的に類似している。
本発明の別の実施態様では、前記リンカー領域は、1,4-ベンゾキノンであり、担体はアルブミンである。
本発明の別の実施態様では、蛍光標識したヒスタミンプローブは、FITC、ローダミン、TAMRA又はCy5から選ばれる。
本発明の別の実施態様では、ヒスチジン濃度は、10μM〜5mMであり、より好ましくは100μM〜1mMである。
【0009】
本発明の別の局面は、疾病の診断手段として患者サンプル中のHDC活性の検出方法を提供し、この方法は、
a)HDC、ヒスチジン、蛍光標識したヒスタミンプローブ及びヒスタミンに対する選択性がヒスチジンよりも少なくとも10倍大きい抗ヒスタミン抗体を含む反応混合物と前記サンプルを接触させ、
b)前記反応混合物をインキュベートし、
c)コントロールサンプルにおけるHDC活性のレベルと比較して、患者サンプルにおいてHDC活性の増加が起こるか否かを決定することを含み、コントロールサンプルに対する蛍光偏光シグナルの減少は、患者サンプルが疾病の危険があることを示す。
本発明の別の実施態様では、リンカー領域で担体に結合されたヒスタミンでマウスを免疫することによって、使用される抗ヒスタミン抗体が生成され、前記リンカーは、ヒスタミン-フルオレセインプローブと構造的に類似している。
本発明の別の実施態様では、疾病は、癌、喘息及び肥満細胞腫、免疫学的疾患、及び胃腸疾患から選ばれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(図面の簡単な説明)
図1Aはヒスタミンの構造を示す。
図1BはN-[3',6'-ジヒドロキシ-3-オキソスピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9'-[9H]キサンテン-5(又は6)-イル]-N'-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-2,4-ジメチルチオ尿素, 2ナトリウム塩(FITC-ヒスタミン)プローブ分子の構造を示す。
図2はFITC-ヒスタミンの抗ヒスタミン抗体への結合を示す。アッセイは、方法の項に記載されるように、96-ウエルプレートで、6nMでFITC-ヒスタミンにより繰り返して行われた。データはSASでフィットされ、3.9nMのKdが測定された。
図3は抗ヒスタミン抗体に結合するFITC-ヒスタミンのヒスタミン(●)又はヒスチジン(□)による置換を示す。方法の項に記載されるように、96-ウエルプレートで3通りの測定(6nMのFITC-ヒスタミン、50nMの抗ヒスタミン抗体及び表示濃度のコンペティターリガンド)を行った。
図4Aは種々の酵素濃度でのHDCの時間的経過を示す。384-ウエルプレートでの3通りの反応を表示濃度のHDCの添加により開始し、蛍光偏光をインキュベーションから0〜180分の時点で測定した。プローブ、基質及び抗体濃度は標準アッセイに記載される通りである。
図4B。90分のHDC滴定。表示濃度のHDCを用いて90分間37℃でAllegro(商標)システムで4通りに、アッセイ(384-ウエル)を行った。ブランク(酵素なし)及び反応ウエルの間のmPの差としてアッセイウインドウを定義する。
図5は、メチルエステルヒスチジン(A)、α-フルオロメチルヒスチジン(B)及びジペプチドヒスチジン-フェニルアラニン(C)によるHDCの阻害を示す。反応は、方法の項に記載される標準条件及び表示濃度の阻害剤を用いて行った。XLFit4(IDBSソフトウエア)を用いてデータをフィッティングすることによってIC50値を得た。エラーバーは3回の測定の平均±S>Dを示す。
図6は90プレート(384ウエル)の単一日スクリーニング実施のブランク(●)及び正の対照(□)の散布図を示す。
【0011】
(発明の詳細な説明)
蛍光標識されたヒスタミンプローブ。本発明は蛍光プローブを規定する。好ましいプローブは、Molecular Probes(ユージーン、OR)から得られるFITC-ヒスタミン(チオ尿素, N-[3',6'ジヒドロキシ-3-オキソスピロ[イソベンゾフラン-1 (3H),9'-[9H]キサンテン-5(又は6-イル)-N'-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-2,4-ジメチル-, 2ナトリウム塩)である。他の適したプローブとしては、ローダミン、TAMRA又はCy5で標識されたヒスタミンなどが挙げられる。
【0012】
抗ヒスタミン抗体。本発明は抗ヒスタミン抗体を使用するアッセイを提供する。使用できる1つの適したモノクローナル抗体は、Argene(Varilhes、フランス)から得られるヒスタミン抗体D22.12である。D22.12抗体は、アルブミンに結合された2-ヒスタミニル-1,4-ベンゾキノンでマウスを免疫化することによって生成され(Guesdon JL, Chevrier D, Mazie JC, David B, Avrameas S: Monoclonal anti-histamine antibody. Preparation, characterization and application to enzyme immunoassay of histamine. J. Immunol. Methods 1986; 87:69-78)、試験した他の抗体のすべては、アルブミンに結合されたヒスタミン又はアセチル化ヒスタミンでの免疫化によって生成された。ヒスタミン-フルオレセインに対するD22.12の高い結合親和性は、D22.12を得るために使用される免疫原(ヒスタミニルベンゾキノン)とヒスタミン-フルオレセインプローブとの間の構造的ホモロジーの結果として生じることができた。本発明で使用するのに適した他の抗ヒスタミン抗体は、ヒスタミンプローブとの構造的類似性を有する同様のリンカーをもつ免疫原を用いて生成できる。異なる抗-ヒスタミン抗体は、プローブとして使用されるフルオロフォアに応じて使用してもよい。
ヒスチジンはSigma Chemical Co.(セントルイス、MO)から得られる。
【0013】
HDC酵素源
a)組換え体−本発明の好ましい実施態様では、ヒトHDC酵素を使用する。全長タンパク質を使用するか、又はヒスチジンデカルボキシラーゼ活性を保持する限り53KD型のような切断型を用いることができると考えられる。好ましくは、ヒトHDCタンパク質(配列番号1)又はその断片を用いる。また、HDCタンパク質は、タンパク質タグ(例えば、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST))に縮合されて精製を容易にすることができる。
b)精製−本発明の方法は精製HDC酵素を用いて行うことができる。本明細書で使用されるように、「部分的に精製され」という用語は、HDC酵素がヒト細胞で見出されるよりも高い程度に部分的に精製されているHDC酵素を含むように意図されている。HDCの精製手順は技術的に公知であり、Watabe A, Fukui T, Ohmori E, Ichikawa A: Purification and properties of L-histidine decarboxylase from mouse stomach. Biochem. Pharmacol. 1992;43:587-593によって教示されている(その内容は本明細書に組み込まれるものとする)。
【0014】
阻害剤を検出するための標準アッセイ
標準アッセイでは、HDC(DTTのような還元剤及び酵素補助因子PLPを含むHDCバッファーで希釈された)をサンプルプレートに添加する。HDCバッファープラス適量のDMSO又はバッファー単独中の試験化合物をプレートに添加する。蛍光標識されたヒスタミン及びヒスチジンをFPバッファー中で混合し、プレートに10μLで移す。最後に、90nMの抗ヒスタミン抗体を20μLのFPバッファーに添加する。こうして、アッセイの最終濃度は、HDCが25〜50nM、FITC-ヒスチジンが3〜6nM、ヒスチジンが300〜600uM、抗ヒスタミン抗体が25〜50nM及びDMSOが1〜5%である。次いで、プレートを37℃で少なくとも15分間インキュベートする。485nmの励起、530nmの発光、505nmのフルオレセイン二色性ミラー及び1のG因子をもつLJL Analyst(Molecular Devices、サニーヴェール、CA)のような蛍光偏光を読み出すのに適した装置で、蛍光偏光シグナルを読み出す。蛍光シグナルの増加は、試験化合物がHDCの活性を阻害することを示す。
【0015】
候補阻害剤を検出するための標準手順の変更
パラメータの最適化
本発明は、候補化合物のHDC調節活性を測定するためのHDCアッセイ及び患者のサンプル中のHDCレベルを測定するための診断方法を提供する。多くのパラメータを変えて前記アッセイをそれら自身の使用に適合させることができる方法で、当業者が本発明を実施できると考えられる。変えてもよいパラメータとしては、抗ヒスタミン抗体濃度、基質ヒスチジンの濃度、プローブ濃度、HDC酵素源及び濃度、試験化合物濃度、成分の添加の順番、個々の成分の容量、反応の合計容量、HDCを反応前に予め試験化合物と共にインキュベートする工程の追加、反応時間、反応温度、アッセイプレートの種類、冷却又は加熱工程、酵素反応をとめる工程の追加(例えば、酸、塩基、塩、公知のHDC阻害剤など)、装置の種類並びに蛍光偏光シグナルを読み出すために使用される関連パラメータなどが挙げられる。
【0016】
その受容体標的分子についての蛍光プローブの選択性
本発明の1つの実施態様では、ヒスチジンと比較して、ヒスタミンに対する抗ヒスタミン抗体の選択性は100倍よりも大きい。適した候補阻害剤は10μmよりも小さいIC50をもつと予想される。
【0017】
疾病を診断するための標準アッセイ
正常又は患部サンプル由来の組織又は血清を抽出及び調製してHDC活性を測定する方法は、技術的に公知である。例えば、(1)1- Sieja K, Stanosz S, von Mach-Szczypinski J, Olewniczak S, Stanosz M. Concentration of histamine in serum and tissues of the primary ductal breast cancers in women. Breast. 2005 Jun;14(3):236-41、(2)E. Masini,V. Fabbroni, L. Giannini,A.Vannacci1, L.Messerini, F. Perna, C. Cortesini and F. Cianchi Histamine and histidine decarboxylase up-regulation in colorectal cancer: correlation with tumor stage Inflamm. res. 54, Supplement 1 (2005) S80S81、(3)3- Fogel WA, Dudkowska M, Wagner W, Grzelakowska-Sztabert B, Manteuffel-Cymborowska M.Ornithine and histidine decarboxylase: activities in hypertrophic and hyperplastic mouse kidney. Inflamm Res. 2005 Apr; 54 Suppl 1:S62-3。
これらの方法は、本明細書に記載される蛍光HDCアッセイにおける試験のためのサンプルを調製するために適用できる。我々の方法は、目的とする正常又は患部組織若しくは血漿若しくは血液サンプルにおけるHDC活性の試験を高速処理することを可能にする。
【実施例】
【0018】
(実施例)
試薬
FITC-ヒスタミン(チオ尿素, N-[3',6'ジヒドロキシ-3-オキソスピロ[イソベンゾフラン-1 (3H),9'-[9H]キサンテン-5(又は6-イル)-N'-[2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル]-2,4-ジメチル-, 二ナトリウム塩)をMolecular Probes(ユージーン、OR)から得た。ヒスタミンモノクローナル抗体22.12をArgene(Varilhes、フランス)から得た。L-ヒスチジン、ヒスタミン、リン酸カリウム(1Mのモノ及びジ塩基性溶液)、ポリエチレングリコール400分子量、エチレングリコール四酢酸(EGTA)、ジチオトレイトール、ピリドキサール-5-ホスファート及び塩化ナトリウムをSigma Chemical Co.(セントルイス、MO)から得た。3-[(3-コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホナート(CHAPS)をPierce Chemical Co.(ロックフォード、IL)から得た。ジメチルスルホキシドをBaker Chemical Corpから得た。黒色不透明(Black opaque)ポリスチレン384-ウエルプレートをCorning-Costarから得た。公知のHDC阻害剤、ヒスチジン-メチルエステル及びHis-PheをSigma Chemical Coから得、α-フルオロメチルヒスチジンをBoehringer Ingelheim Pharmaceuticals compound libraryから得た。
【0019】
バッファー
HDCバッファーは、200mMのリン酸カリウム(pH 6.8)、2%のPEG-400、0.2mMのEGTA及び0.03%のCHAPSを含む。FPバッファーは16.6mMのTris-HCl(pH 7.5)及び50mMのNaClである。
【0020】
ヒスタミン含有量のHPLC測定
ダイオードアレー検出器を備えたAgilent 1090MでHPLC分離を行った。Delta-Pak HPI C4 300Å, 2.0×150mmカラム(Waters)を用いた。移動相は、1000mlの10mMトリエチルアミンホスファート中に20mlのPIC(商標)B-8 Low UV Reagent(Waters)からなるものであった(pH 3.0)。すべての分離は室温(22℃)で0.2ml/分の流速により行い、215nmの波長でモニターした。
濃度対面積応答の標準曲線を用いてヒスタミン濃度を計算した。対照バッファー中0〜200又は600μMの濃度でヒスタミンの2重注入を用いて標準曲線を作成した。6つの等間隔の濃度を用いた。μMの濃度対面積応答について直線回帰を用いてTI-68計算機で標準曲線を計算した。相関係数は0.999よりも大きかった。
【0021】
ヒトHDCのクローニング
全RNAを用いてヒト肥満細胞株HMC-1からPCRによって全長ヒトHDC(受入番号:NM_002112)の切断型53Kdに相当するcDNAを増幅した(Maeda K, Taniguchi H, Ohno I, Ohtsu H, Yamauchi K, Sakurai E, Tanno Y, Butterfield JH, Watanabe T, Shirato K: Induction of L-histidine decarboxylase in a human mast cell line, HMC-1. Exp Hematol. 1998;26:325-31)。使用したプライマーは5'-atgatggagcctgaggagtacagag及び3'-acactactgactcaggatgagagtである。HDC cDNA(1.5Kb)をpcDNA4.1ベクターにクローン化した。HDCの最初の1431塩基(アミノ酸残基1〜477)を含み、トロンビン切断部位5'を組み込み、最初の塩基に隣接するPCR産物を得るための鋳型としてクローンpcDNA 4.1-HDCを用いた。製造業者の手順書に従ってGateway Cloning Technology(Invitrogen Life Technologies)を用いてこのPCR産物をpDEST 20にクローン化した。最終発現クローンから精製したDNAを配列決定し、確認し、次いでバクミドへの転位のためにDH10Bac E.coliに形質転換した。単一クローンから組み換えバクミドDNAを精製し、PCR分析により転位を確認した。
【0022】
GST-HDCのバキュロウイルス発現及び精製
20L容量のSF900II-SFM(Invitrogen cat# 10902-088)を30LのMBR攪拌タンクバイオリアクターに無菌ろ過した。MBRバイオリアクターには、pH、溶存酸素及び温度プローブが備え付けられており、コントロールセットポイントはpH 6.2、DO 50%、温度27℃、RPM 110であった。Sf9細胞の4つの1L振盪フラスコを2.5×106〜3×106cells/mLの細胞密度に増殖し、バイオリアクターをインキュベートするためにこれを使用し、4×105〜5×105cells/mLのおよその細胞密度をもつ24Lの培養液を得た。Cedex細胞計数器(Innovatious)を用いて細胞密度、生存率及び細胞直径のためにインキュベートしたバイオリアクターを毎日試料採取した。また、Bioprofile 100分析器(Nova Biomedical)を用いて栄養分(グルコース、グルタミン)及び廃棄物(アンモニア)分析を毎日行った。細胞インキュベーションの開始後24時間で、バイオリアクターをGST-HDCバキュロウイルスで感染させて0.1のMOIを達成した。ラン(run)がSDS-PAGE及びWESTERN分析のために回収されるまで、感染前及び24時間ごとに、1.5mLの細胞上澄みサンプル(遠心分離、デカント及び凍結)を採取した。感染後24時間で、25mgのロイペプチンをSF900II-SFM培養液に溶解し、ろ過滅菌し、バイオリアクターに注入した。感染後48時間で、ランを回収した。感染した細胞を12Lの遠心機(Sorvall BP12)でスピン当たり3000rpmで、4℃10分間ペレット化した。ペレットを1つの遠心分離ボトルに入れ、3500rpmで10分間4℃で最終スピンを与えた。ペレットの重さを量り、使用するまで-80℃で凍結した。標準ペレット収量は300グラムであった。
【0023】
タンパク質精製のために、すべてのバッファーを精製脱イオン水から調製し、すべての処理を4℃で行った。細胞ペレットを溶解バッファー(20mMのHepes、pH 7.5、150mMのKCl、10%のグリセロール、2mMのDTT、1mMのEGTA、Rocheプロテアーゼ阻害剤混合錠剤及び0.01mMのPLP)と5ml/gの細胞ペレットの比で混合した。PolyTron PT 2100(Kinematica AG, Switzerland)を用いて細胞を氷上でホモジナイズし、次いで3回5分間Branson Sonifier 450(Converter、USA)を用いて50%負荷サイクルで超音波処理した。細胞可溶化物を18,600gで30分間、続いて225,071gで60分間遠心分離した。清澄された可溶化物を直接50mLのGlutahione Sepharose 4Bカラム(Amersham、Sweden)にAKTA Primeクロマトグラフィシステム(Amersham、Sweden)を用いて充填した。充填後、カラムを4カラム容量(CV)の洗浄バッファー(20mMのHepes、pH 7.5、150mMのKCl、10%のグリセロール、2mMのDTT、0.5mMのEDTA、0.5mMのPMSF及び0.01mMのPLP)で洗浄し、次いで10CVの溶出バッファー(20mMのGTH還元型、2mMのDTT及び洗浄バッファー、pH 8.0)で溶出した。カラムから溶出するHDC生成物をSDS-PAGEゲルの目視検査に従って貯蔵した。標準収量は1.8mg/mLで33mLのHDCであった。貯蔵した生成物を5Lのバッファー1(20mMのHepes、pH 7.5、0.1mMのEGTA、0.2mMのPMSF、0.25mMのDTT、10%のグリセロール及び0.01mMのPLP)に4時間透析し、次いで5Lのバッファー2(0.1Mのリン酸カリウム、pH 7.5、2%のPEG-400、0.1mMのEGTA、2mMのPMSF、10%のグリセロール及び0.02mMのPLP)に17時間透析した。最終生成物を分注し、液体窒素でスナップ凍結(snap frozen)し、-80℃で貯蔵した。
【0024】
ヒスチジンデカルボキシラーゼアッセイ
標準アッセイでは、HDC(HDCバッファープラス0.9mMのDTT及び99μMのPLPにおいて90nMに希釈された)を20μLの黒色不透明384-ウエルプレートに添加した。HDCバッファープラス6%のDMSO又はバッファー単独中の試験化合物を10μLのプレートに添加した。36nMのFITC-ヒスチジン及び3.6mMのヒスチジンをFPバッファー中で混合し、10μLのプレートに移した。最後に、90nMの抗ヒスチジン抗体20μLのFPバッファーに加えた。こうして、アッセイにおける最終濃度は、HDC 30nM、FITC-ヒスチジン 6nM、ヒスチジン 600μM、抗ヒスタミン抗体 30nM、DMSO 1%となった。プレートを37℃で90分間インキュベートした。485nmの励起、530nmの発光、505nmのフルオレセイン二色性ミラー及び1のG因子をもつLJL Analyst(Molecular Devices、サニーヴェール、CA)で蛍光偏光シグナルを読み出した。384-ウエルプレートについて示される容量の2倍で、アッセイの96-ウエルプレートバージョン(アッセイ開発で使用された)を上述のとおりに行った。
【0025】
高速処理スクリーニング
アッセイをZymark Allegro(商標)ロボットシステム(Caliper-Zymark、Hopkinton、MA)で自動化し、Multidropを用いて酵素を添加し、Scicloneを用いて基質/プローブ及び試験化合物を添加し、Multidropを用いて抗体を添加した。プレートを37℃で加湿環境でインキュベートし、蛍光偏光を、上述の設定を用いてAllegroシステムが組み込まれたLJL Analystで読み出した。化合物を5μg/mLの濃度で選別した。完全な反応マイナスHDCを含むアッセイブランク及び化合物の代わりに1%のDMSOを有するHDCバッファーを含む100%コントロールに関連して、POC値を計算した。
【0026】
結果
HDC酵素産物(ヒスタミン)及びヒスタミンプローブ(FITC-ヒスタミン)の構造を図1に示す。最初に、いくつかの市販の抗ヒスタミン抗体のFITC-ヒスタミンプローブとの相互作用を評価した(データは示されない)。これらの抗体の1つ(D22.12)は、蛍光偏光によって測定されるように強いプローブ結合を示し、別の特性を保持していた。
最初に、抗体に対するプローブの親和力及び相互作用の特異性を調べた(ともに競合的形態でロバストアッセイを構成することにとって重要である)。図2は、異方性の測定によって決定されるプローブと抗体との結合曲線を示す。プローブ濃度は6nMで保持され、抗体濃度は約103にわたって変化する。データをフィッティングすることにより3.9nMの解離定数を決定した。ヒスチジンと比較したヒスタミンに対する前記抗体の特異性は、図3に示されるように立証された。プローブ及び抗体濃度をそれぞれ6及び50nMで一定に保持したが、ヒスタミン及びヒスチジン濃度は示されるように変化した。ヒスチジンは、試験される105にわたる抗体への結合についてFITC-ヒスタミンと競合することはできなかった。しかしながら、ヒスタミンは、抗体結合のためのプローブと自由に競合し、135μMのIC50を得た。このように、FITC-ヒスタミンのヒスタミンモノクローナル抗体への堅く特異的な結合及び酵素反応の産物との結合のために競合する能力は、HDCのための競合的ロバストFPアッセイを開発することができることを示唆する。
【0027】
図4Aは、種々の濃度のHDCでの酵素反応の時間的経過を示す。ヒスタミン(600uM)は200〜400uMの報告されているKm(Watabe et al 1992)の約2倍であった。100nMよりも高いHDC濃度では、反応は約30分間だけ線形であった。アッセイウインドウのサイズと大スケール選別及び反応の線形性のための酵素要求とのバランスを取るために、標準アッセイにおいて25〜50nMのHDC及び90分のインキュベーション時間を用いることを選んだ。これは、さらに図4Bにおいて精緻化され、Allegroロボットシステムで行われる90分のインキュベーションでHDCの滴定を示す。この実験から、30nMの酵素濃度に行き着いた。このように、最終アッセイ条件を60μLの合計容量中30nMのHDC、30nMの抗体及び6nMのFITC-ヒスタミンで90分間37℃に設定した。PLP濃度を33μMに設定して酵素の飽和を維持した。
図5は、3つの公知のHDC阻害剤:メチルエステルヒスチジン、α-フルオロメチルヒスチジン及びジペプチドヒスチジンフェニルアラニンの標準アッセイにおける振る舞いを示す。3つの化合物について、それぞれ7.7uM、1.4uM及び228.1uMのIC50を決定した。これらの値は、HPLCを用いて得られるものとよく一致している。
次いで、記載されたアッセイを用いてライブラリーから5μg/mLの最終濃度で化合物を選別した。384-ウエルプレートをプレート当たり352の化合物ウエル、16のコントロールウエル(化合物なし)及び16のブランクウエル(酵素なし)を含むように設定した。そのままのDMSOにおいて、化合物をアッセイ中1%の最終DMSO濃度を与えるためにバッファーで希釈した。この濃度のDMSOは、酵素活性又は安定性に影響を及ぼさないことが示された(データは示さない)。Allegroロボットシステムでアッセイを完全に自動化し、1日当たり約100プレートの処理が可能になった。図6は、90プレートの単一の選別実施についてブランク及びコントロールウエルの散布図を示し、Z'の平均は0.6であり、アッセイウインドウは80〜100mPであった。ヒット基準として60%のコントロールを用いて0.05%の確認されたヒット率をもつこのアッセイで600,000を超える化合物を選別した。確認されたヒットは、効力を評価するために10点容量反応で引き続いてアッセイされた。
【0028】
考察
FPアッセイの性能に寄与する重要なパラメータは、蛍光プローブのその受容体又は標的分子に対する親和力である。一般に、プローブがその受容体へ結合するKdは、結合されたフラクションに反比例する。このように、高親和力結合は、最適な蛍光-リガンド/受容体化学量論及びロバストFPシグナルを可能にする。複数の抗-ヒスタミン抗体を選別してヒスタミン-フルオレセインプローブに対して適した親和力を有するものを見つけた。これらの抗体の中でD22.12だけがFPアッセイの開発にとって十分に高い親和力を有する。マウスをアルブミンに結合した2-ヒスタミニル-1,4-ベンゾキノンで免疫することによってD22.12抗体を生成し(Guesdon et al; 1986)、アルブミンに結合したヒスタミン又はアセチル化ヒスタミンで免疫することによって試験した他の抗体のすべてを生成した。D22.12のヒスタミン-フルオレセインに対する堅い結合親和力は、D22.12(ヒスタミニルベンゾキノン)を得るために使用した免疫原とヒスタミン-フルオレセインプローブとの間の構造的類似性に起因する。
HDC(54Kd型)のその基質ヒスチジンに対するKmは275μMである(データは示さない)。このように、HDCアッセイの開発に対して重要な要件はヒスチジンと比較したヒスタミンに対する選択性である。我々のFPアッセイは、ヒスチジンと比較してヒスタミンに対して100倍を超える選択性を示す。しかしながら、図3に示すように、ヒスチジン濃度は、FPシグナルにおける非特異的増加により2mM未満のままである。この制限は、酵素のKmがアッセイによって許容されるヒスチジンの最大量よりもはるかに低いことを考えれば、HDC活性を測定するほとんどの適用で問題ではない。
デカルボキシラーゼは、重要な生理学的役割を演じる酵素の大きなファミリーを形成する(Christen et al; 2001)。例えば、DOPAデカルボキシラーゼは、L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(L-DOPA)及びL-5-ヒドロキシトリプトファンの脱カルボキシ反応を介してそれぞれ重要な神経伝達物質であるドーパミン及びセロトニンの合成を引き起こす。セロトニン及びドーパミンのような伝達物質を測定するために使用される現在の方法はヒスタミン検出方法と類似している。このように、HDCについて本明細書に記載したアッセイは、ドーパデカルボキシラーゼのような関連する酵素に適用でき、よりよい薬理学的特性を持つ新しい阻害剤の開発を可能にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む候補化合物のHDC調節活性を測定するための蛍光偏光アッセイ:
a)HDC、ヒスチジン、蛍光標識したヒスタミンプローブ、候補化合物及びヒスタミンに対する選択性がヒスチジンよりも少なくとも10倍大きい抗ヒスタミン抗体を含む反応混合物を調製する工程、
b)前記反応混合物をインキュベートする工程、
c)試験化合物の存在下でHDCの阻害が起こるか否かを決定する工程であって、蛍光偏光シグナルの増加は、試験化合物がHDCの活性を阻害することを示す、工程。
【請求項2】
抗ヒスタミン抗体のヒスタミンに対する選択性がヒスチジンよりも少なくとも100倍大きい、請求項1記載の方法。
【請求項3】
反応混合物を15分よりも長い時間インキュベートする、請求項1記載の方法。
【請求項4】
反応混合物を60〜120分間インキュベートする、請求項3記載の方法。
【請求項5】
反応混合物を約80〜100分間インキュベートする、請求項4記載の方法。
【請求項6】
HDCが配列番号1のポリペプチドである、請求項1記載の方法。
【請求項7】
HDCが組み換え酵素である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
HDCが部分的に精製される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
ヒスタミンプローブが抗ヒスタミン抗体に対して1μmよりも大きい親和力を有する、請求項1記載の方法。
【請求項10】
リンカー領域で担体に結合されたヒスタミンでマウスを免疫することによって、使用される抗ヒスタミン抗体が生成され、前記リンカーがフルオレセインプローブと構造的に類似している、請求項1記載の方法。
【請求項11】
リンカー領域が担体に結合された1,4-ベンゾキノンである、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記担体がアルブミンである、請求項10記載の方法。
【請求項13】
蛍光標識したヒスタミンプローブがFITC、ローダミン、テトラメチルローダミン及びCy5から選ばれる、請求項1記載の方法。
【請求項14】
ヒスチジン濃度が10μM〜5mMである、請求項1記載の方法。
【請求項15】
ヒスチジン濃度が100μM〜1mMである、請求項10記載の方法。
【請求項16】
疾病の診断手段として患者サンプル中のHDC活性の検出方法であって、
a)ヒスチジン、蛍光標識したヒスタミンプローブ及びヒスタミンに対する選択性がヒスチジンよりも少なくとも10倍大きい抗ヒスタミン抗体を含む反応混合物と前記サンプルを接触させ、
b)前記反応混合物をインキュベートし、
c)コントロールサンプルにおけるHDC活性のレベルと比較して、患者サンプルにおいてHDC活性の増加が起こるか否かを決定し、コントロールサンプルに対する蛍光偏光の増加は、患者サンプルが疾病の危険があることを示す、前記方法。
【請求項17】
リンカー領域で担体に結合されたヒスタミンでマウスを免疫することによって、使用される抗ヒスタミン抗体が生成され、前記リンカーがヒスタミン-フルオレセインプローブと構造的に類似している、請求項16記載の方法。
【請求項18】
疾病が癌、喘息、肥満細胞腫、免疫学的疾患、骨疾患及び胃腸疾患から選ばれる、請求項16記載の方法。
【請求項19】
疾病が癌である、請求項18記載の方法。

【公表番号】特表2008−520977(P2008−520977A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541490(P2007−541490)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/041766
【国際公開番号】WO2006/055753
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(500091335)ベーリンガー インゲルハイム ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (55)
【Fターム(参考)】