説明

ヒト凝固因子VIIポリペプチド

本発明は、新規のヒト凝固因子VIIa変異体(血液凝固性活性を有する)、同様に係る変異体をコード化しているポリヌクレオチド構築物、前記ポリヌクレオチドを具備する及び発現するベクターおよび宿主細胞、薬学的組成物、使用および治療の方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のヒト凝固因子VIIaポリペプチド(血液凝固性活性を有する)、同様に係るポリペプチドをコード化しているポリヌクレオチド構築物、前記ポリヌクレオチドを具備する及び発現するベクターおよび宿主細胞、薬学的組成物、使用および治療の方法に関する。
【発明の背景】
【0002】
血液凝固(Blood coagulation)は、最終的にフィブリン血餅(fibrin clot)を生じさせる、様々な血液成分(または因子)の複合体形成からなるプロセスである。一般に、前記血液成分(これは凝固「カスケード」と称されてきたものに関与する)は、酵素学的に不活性なタンパク質(プロ酵素または酵素前駆体)である、これらはタンパク分解酵素へと、アクチベータ(これ自身は活性化された凝固因子である)の作用により転換される。係る転換を受けた凝固因子は、一般に「活性因子(active factors)」と称される、また文字「a」を凝固因子の名称に付加することにより表される(たとえば、VIIa因子)。
【0003】
止血プロセス(haemostatic process)の開始は、組織因子(血管壁への傷害の結果として暴露される)とVIIa因子との間の複合体の形成により媒介される。次に、この複合体は、IX因子およびX因子をそれらの活性型へと転換する。Xa因子は、限定量のプロトロンビンをトロンビンへと、組織因子支持細胞(tissue factor-bearing cell)上で転換する。トロンビンは血小板を活性化し、V因子およびVIII因子をVa因子およびVIIIa因子〔完全なトロンビンバースト(thrombin burst)へと導く更なるプロセスにおける両方の補助因子〕へと活性化する。このプロセスはXa因子の産生を含み、これはIXa因子(VIIIa因子との複合体における)によるもので、活性化された血小板の表面で発生する。トロンビンは、最終的にフィブリノーゲンをフィブリンへと転換し、フィブリン血餅(fibrin clot)の形成を生じる。近年、VII因子および組織因子が、血液凝固の主なイニシエーターであることが見出された。
【0004】
VII因子は、微量な血漿糖タンパク質であり、単一鎖の酵素前駆体(zymogen)として血液中を循環している。前記酵素前駆体は、触媒的に不活性である。単一鎖(Single-chain)のVII因子は、2鎖(two-chain)のVIIa因子へと、Xa因子、XIIa因子、IXa因子、VIIa因子またはトロンビン(インビトロ)により転換され得る。Xa因子は、VII因子の主要な生理的なアクチベータ(activator)であると信じられている。止血(haemostasis)に関与する数種類の他の血漿タンパク質と同様に、VII因子は、その活性に関してビタミンKに依存しており、これは複数のグルタミン酸残基(これらは、前記タンパク質のアミノ末端に近接してクラスター形成している)のガンマ―カルボキシル化に必要とされる。これらのガンマ―カルボキシル化されたグルタミン酸は、VII因子とリン脂質との金属イオン誘導による相互作用(the metal ion-induced interaction)に必要とされる。酵素前駆体VII因子の活性化された2鎖状分子への転換は、内部のArg152-Ile153ペプチド結合の切断により発生する。組織因子、リン脂質、およびカルシウムイオンの存在下において、2鎖状VIIa因子は、X因子またはIX因子を限定的なタンパク質分解(limited proteolysis)により急速に活性化する。
【0005】
被験者における凝固カスケードを刺激する又は改善することは、しばしば(often)望ましい。VIIa因子は出血障害(bleeding disorders)をコントロールするために使用されており、この障害は凝固因子欠損(例えば、血友病AおよびBまたは凝固因子XIまたはVIIの欠損)または凝固因子インヒビターなどの幾つかの原因を有している。また、VIIa因子は過剰な出血(excessive bleeding)をコントロールするために使用されており、この過剰な出血は正常に機能している血液凝固カスケード(前記凝固因子の何れに対する、如何なる凝固因子欠損またはインヒビターも存在しない)を有する被験者において発生する。係る出血は、例えば、欠陥のある血小板機能(a defective platelet function)、血小板減少症(thrombocytopenia)またはフォンウィルブランド病(von Willebrand’s disease)により生じる可能性がある。また、出血(Bleeding)は、外科(surgery)および他の形態の組織損傷(tissue damage)と関連した主要な問題である。
【0006】
欧州特許第200,421(ZymoGenetics)は、ヒトVII因子をコード化しているヌクレオチド配列および哺乳類細胞におけるVII因子の組換え体発現に関する。
Dickinson等(Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1996) 93, 14379-14384)は、VII因子変異体に関する(ここではLeu305がAlaで置換されている(FVII(Ala305))。
【0007】
Iwanaga等(Thromb. Haemost. (supplement August 1999), 466, abstract 1474)は、VIIa因子変異体に関する(ここでは残基316-320が削除される又は残基311-322がトリプシンからの対応する残基で置換される)。
【0008】
国際特許出願WO 01/83725およびWO 02/22776は、VIIa因子の変異体(増加した活性を有する)に関する。
【0009】
血液凝固活性(coagulant activity)を有するVIIa因子の変異体、相対的に低い用量で投与できる高い活性を有する変異体、および望ましくない副作用(例えば、通常の療法に関連する、凝固系の全身的な活性化および出血)を発生しない変異体に関する必要性が存在する。
【発明の記載】
【0010】
次のことが今回見いだされた、それはヒト凝固因子VIIaポリペプチド変異体であって、アミノ酸Phe374およびLys157、Leu305、Ser314、Lys337、Asp334、Ser336、Val158、Glu296、およびMet298(配列番号1の)からなる群から独立に選択される少なくとも1つのアミノ酸が異なるアミノ酸で置換される変異体が、増加した血液凝固活性(野生型ヒト凝固因子VIIaと比較して)を有することである。
【0011】
本明細書中に使用される「異なるアミノ酸(a different amino acid)」の用語は、そのポジションに天然に存在するアミノ酸と異なる1アミノ酸を意味する。これは、特定のポリヌクレオチドによりコード化できるアミノ酸を含むが、それらに限定されない。一態様において、前記異なるアミノ酸は天然(natural)のL型であり、特定のポリヌクレオチドによりコード化できる。具体的な一例はL-システイン(Cys)である。
【0012】
本明細書中に使用される「活性(activity)」の用語は、VII因子ポリペプチドの、その基質X因子を活性Xa因子へと転換する活性を意味する。VII因子ポリペプチドの活性は、「インビトロ・タンパク質分解アッセイ法(In Vitro Proteolysis Assay)」で測定し得る(実施例4を参照されたい)。
また、「固有の活性(inherent activity)」の用語は、組織因子の非存在下において、活性化された血小板の表面においてトロンビンを生成する能力を含む。
【0013】
残基Phe374は、残基307で開始されるα-ヘリックスの終了位置(end)に位置する。このα-ヘリックスは、VIIa因子の組織因子複合型(the tissue factor-complexed form of Factor VIIa)において認められる。遊離したVIIa因子(組織因子と結合していないVIIa因子)において、前記ヘリックスは歪み(distorted)、不安定である可能性がある。前記ヘリックスは、前記活性に重要であると信じられている。本発明による変異体は活性なコンホメーションを達成でき、これは通常は組織因子により誘導されるべきものである。
【0014】
増加した活性は、α-ヘリックス(残基307で開始される)の安定化によるものであろう(前記ヘリックスの再配向またはコンホメーションにおける別の変化)。残基Phe374(前記ヘリックスの終了位置に位置する)の置換は、前記ヘリックスの再配向(reorientation)および/または安定化(stabilisation)を誘導する。
【0015】
記載されたVIIa因子変異体の高い固有の活性(天然のVIIa因子と比較した)のために、より低い用量が作用の部位での機能的に十分な濃度を得るために十分であり、それゆえより低い用量を、出血の発症(bleeding episodes)を有している又は正常な止血系(normal haemostatic system)の増強を必要としている被験者に投与することが可能である。
【0016】
Leu305は、このα-ヘリックス(VIIa因子の組織因子複合型に認められる)の他の終了位置に位置し、これは前記活性に重要であると信じられている。Leu305の置換も、前記ヘリックスの再配向および/または安定化を誘導し得る。
【0017】
Lys157、Ser314、Lys337、Asp334、Ser336、Val158、Glu296、およびMet298を含むアミノ酸は、プロテアーゼドメインのアミノ末端の挿入に影響すると信じられている領域(area)に位置し、VIIa因子の触媒的に活性なコンホメーションを形成する(これはIle153の末端アミノ基およびAsp343の側鎖の間の塩橋に依存する)。前記置換により、静電反発力(electrostatic repulsions)が除去され、水素結合が付加されるか又はアミノ末端の挿入が促進される。
【0018】
記載されたVIIa因子ポリペプチド変異体の高い固有の活性(天然のFVIIaと比較した)のために、より低い用量が作用の部位での機能的に十分な濃度を得るために十分であり、それ故より低い用量を、出血の発症を有している又は通常の止血系の増強を必要としている被験者に投与することが可能である。
【0019】
本発明者らによって、次の事項が見いだされた;その事項は、アミノ酸Phe374と、ポジション157におけるLysおよびポジション337におけるLysおよびポジション158におけるValおよびポジション296におけるGluおよびポジション298におけるMetおよびポジション334におけるAspおよびポジション336におけるSerおよびポジション305におけるLeuおよびポジション314におけるSerの1以上とを組み合わせて置換することにより、VIIa因子は、より活性なコンホメーション(組織因子により通常誘導されるべき)を自発的に達成することである。係るVIIa因子ポリペプチド変異体は固有の活性を呈し、凝血促進性の活性(procoagulant activity)が、組織因子(血小板表面におけるXa因子産生)に依存しない状況において治療上有用であると思われる(例えば、高い用量の、例えば、NovoSeven(登録商標)が投与された場合)。
【0020】
更なる態様において、前記プロテアーゼドメインにおけるアミノ酸の付加的な置換は、前記分子の活性なコンホメーションの形成を更に促進する。しかしながら、上記で述べた突然変異がこれら後者の7アミノ酸に接近(配列上または3次元上)して実施された場合、最も顕著な効果が認められると信じられている。
【0021】
本発明は、VIIa因子のN末端Glaドメインにおける数個のアミノ酸(配列番号1の1-37に対応するポジションのアミノ酸)の置換を含み、膜リン脂質(例えば、組織因子支持細胞の又は血小板の膜リン脂質)に対して実質的に高い親和性を有するタンパク質を提供でき、それによってVII因子ポリペプチド変異体(これは改善された凝血促進性効果を有する)を産生する。
【0022】
従って、上記のVIIa因子ポリペプチド変異体は、既に実施された、ポジションF374におけるアミノ酸置換とポジションL305、S314、K157、K337、D334、S336、V158、E296、およびM298における置換との組み合わせ、および前記プロテアーゼドメインの他の場所でのオプションのアミノ酸置換に加えて、少なくとも1アミノ酸の置換をN末端Glaドメインにも有していてもよく、それによって増加した活性と同様に膜リン脂質に対して増加した親和性(天然のVII因子と比較して)を有しているタンパク質を取得する。好ましくは、VII因子のポジション10および32におけるアミノ酸(配列番号1を参照)は、異なるアミノ酸で置換し得る。上記のポジションに導入される好適なアミノ酸の例は: ポジション10におけるアミノ酸Proは、Gln、Arg、His、Gln、Asn、またはLysで置換される;および/またはポジション32におけるアミノ酸Lysは、Glu、Gln、またはAsnで置換される。
【0023】
前記Glaドメインにおける他のアミノ酸も、ビタミンK-依存的な血漿タンパク質の異なるリン脂質の親和性および配列に基づいて、置換に関して考慮され得る。
【0024】
「N末端GLA-ドメイン(N-terminal GLA-domain)」の用語は、VII因子のアミノ酸配列1〜37を意味する。
3文字表記「GLA」は、4-カルボキシグルタミン酸(γ-carboxyglutamate)を意味する。
「プロテアーゼドメイン(protease domain)」の用語は、VII因子のアミノ酸配列153〜406(VIIa因子の重鎖)を意味する。
【0025】
本明細書中に使用される「VII因子ポリペプチド(Factor VII polypeptide)」の用語は、天然のヒトVII因子(配列番号1)のアミノ酸配列1〜406を具備する任意のタンパク質を意味する。これにはヒトVII因子、ヒトVIIa因子及びその変異体が含まれるが、これらに限定されない。
【0026】
本明細書中に使用される「VII因子(Factor VII)」の用語は、不活性の1鎖酵素前駆体VII因子分子、同様に、活性化した2鎖VII因子分子(Factor VIIa)を含むことを意図している。これには、天然のヒトVII因子またはVIIa因子のアミノ酸配列1〜406を有するタンパク質が含まれる。これには、若干修正されたアミノ酸配列、例えば、それらのタンパク質がVIIa因子の活性を実質的に保持するかぎり、N末端アミノ酸の欠失(deletions)または付加(additions)を含む修飾されたN末端終端(N-terminal end)を有するタンパク質が含まれる。本明細書中に使用される「VIIa因子(factor VIIa)」または「FVIIa」の用語は、活性型からなる産物(VIIa因子)を意味する。上記の定義内の「VII因子(Factor VII)」または「VIIa因子(Factor VIIa)」には、1つの個体から別の個体へと存続し、出現するであろう、天然の対立形質の変異(allelic variation)も含まれる。また、糖鎖形成または他のポスト翻訳修飾の程度および部位は、選ばれた宿主細胞および宿主細胞の環境の性質に依存して異なってもよい。
【0027】
本明細書中に使用される、「変異体(variant)」または「変異体(variants)」の用語は、配列番号1の配列を有しているVII因子であって、親タンパク質(parent protein)の1以上のアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている、および/または親タンパク質の1以上のアミノ酸が欠失している、および/または1以上のアミノ酸がタンパク質中に挿入されている、および/または1以上のアミノ酸が親タンパク質に付加されているものを指定(designate)することを意図している。係る付加は、親タンパク質のN末端終端またはC末端終端の何れかで又は両方で生じてもよい。本定義内の「変異体(variant)」または「変異体(variants)」は、その活性型においてなおもFVII活性を有する。1つの態様において、変異体は、配列番号1の配列と70%同一である。1つの態様において、変異体は、配列番号1の配列と80%同一である。別の態様において、変異体は、配列番号1の配列と90%同一である。更なる態様において、変異体は、配列番号1の配列と95%同一である。
【0028】
第一側面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列に関して(relative to)、少なくとも2つの置換を具備するVII因子ポリペプチドに関し、ここで該置換は(i)F374の任意の他のアミノ酸での置換、および(ii)L305、S314、K157、K337、D334、S336、V158、E296、およびM298からなる群から選択される1以上のアミノ酸の任意の他のアミノ酸での置換である。
【0029】
第二側面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列に関して、2つの置換を有するVII因子ポリペプチドに関し、ここで該置換は(i)F374の任意の他のアミノ酸での置換、および(ii)L305、S314、K157、K337、D334、S336、V158、E296、およびM298からなる群から選択される1つのアミノ酸の任意の他のアミノ酸での置換である。
【0030】
第三側面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列に関して、3つの置換を有するVII因子ポリペプチドに関し、ここで該置換は(i)F374の任意の他のアミノ酸での置換、および(ii)L305、S314、K157、K337、D334、S336、V158、E296、およびM298からなる群から選択される2つのアミノ酸の任意の他のアミノ酸での置換である。
【0031】
更なる側面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列に関して、4つの置換を有するVII因子ポリペプチドに関し、ここで該置換は(i)F374の任意の他のアミノ酸での置換、および(ii)L305、S314、K157、K337、D334、S336、V158、E296、およびM298からなる群から選択される3つのアミノ酸の任意の他のアミノ酸での置換である。
【0032】
更なる側面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列に関して、5つの置換を有するVII因子ポリペプチドに関し、ここで該置換は(i)F374の任意の他のアミノ酸での置換、および(ii)L305、S314、K157、K337、D334、S336、V158、E296、およびM298からなる群から選択される4つのアミノ酸の任意の他のアミノ酸での置換である。
【0033】
更なる側面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列に関して、6つの置換を有するVII因子ポリペプチドに関し、ここで該置換は(i)F374の任意の他のアミノ酸での置換、および(ii)L305、S314、K157、K337、D334、S336、V158、E296、およびM298からなる群から選択される5つのアミノ酸の任意の他のアミノ酸での置換である。
【0034】
更なる側面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列に関して、7つの置換を有するVII因子ポリペプチドに関し、ここで該置換は(i)F374の任意の他のアミノ酸での置換、および(ii)L305、S314、K157、K337、D334、S336、V158、E296、およびM298からなる群から選択される6つのアミノ酸の任意の他のアミノ酸での置換である。
【0035】
更なる側面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列に関して、8つの置換を有するVII因子ポリペプチドに関し、ここで該置換は(i)F374の任意の他のアミノ酸での置換、および(ii)L305、S314、K157、K337、D334、S336、V158、E296、およびM298からなる群から選択される7つのアミノ酸の任意の他のアミノ酸での置換である。
【0036】
更なる側面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列に関して、9つの置換を有するVII因子ポリペプチドに関し、ここで該置換は(i)F374の任意の他のアミノ酸での置換、および(ii)L305、S314、K157、K337、D334、S336、V158、E296、およびM298からなる群から選択される8つのアミノ酸の任意の他のアミノ酸での置換である。
【0037】
更なる側面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列に関して、10の置換を有するVII因子ポリペプチドに関し、ここで該置換は(i)F374の任意の他のアミノ酸での置換、および(ii)L305、S314、K157、K337、D334、S336、V158、E296、およびM298のアミノ酸の任意の他のアミノ酸での置換である。
【0038】
更なる側面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列に関して、少なくとも2つの置換を具備するVII因子ポリペプチドをコード化しているポリヌクレオチド構築物に関し、ここで該置換は(i)F374の任意の他のアミノ酸での置換、および(ii)L305、S314、K157、K337、D334、S336、V158、E296、およびM298からなる群から選択される1以上のアミノ酸の任意の他のアミノ酸での置換である。
【0039】
「構築物(construct)」の用語は、ポリヌクレオチド セグメントを示すことを意図する用語であり、これは所望のポリペプチドをコード化している、完全に又は部分的に天然に生じているヌクレオチド配列に基づいたものであってもよい。構築物は、任意に他のポリヌクレオチド セグメントを含有していてもよい。同様に、「ポリヌクレオチド構築物によりコード化できるアミノ酸」の用語は、上記で定義したポリヌクレオチド構築物によりコード化できるアミノ酸をカバーする(即ち、アミノ酸、例えばAla、Val、Leu、Ile、Met、Phe、Trp、Pro、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、Glu、Lys、Arg、His、Asp、およびGln)。
更なる側面において、本発明は、VII因子ポリペプチドをコード化しているポリヌクレオチド構築物を含む、組換え型ベクター(recombinant vector)を提供する。
【0040】
本明細書中に使用される、「ベクター(vector)」の用語は、宿主細胞において増幅の可能な任意の核酸の実体(entity)を意味する。従って、前記ベクターは自律的に複製するベクター、即ち、染色体外の実体(extrachromosomal entity)として存在し、その複製が染色体複製に非依存性であるベクターである(例えば、プラスミド)。或いは、前記ベクターは次のようなベクター、即ち、宿主細胞に導入された際に、前記宿主細胞ゲノムに統合され、それが統合された染色体(s)と共に複製されるベクターであってもよい。ベクターの選択は、それが導入される宿主細胞にしばしば依存する。ベクターは、プラスミドベクター、ファージベクター、ウイルス(viruses)、またはコスミドベクターを含むが、これらに限定されない。ベクターは、通常、複製開始点および少なくとも1つの選択可能な遺伝子、即ち、特定の産物をコード化する遺伝子を含有する;該産物は容易に検出可能なもの又はその存在が細胞成長(cell growth)に必須であるものである。
【0041】
更なる側面において、本発明は、前記ポリヌクレオチド構築物又は前記ベクターを含む、組換え型宿主細胞(a recombinant host細胞)を提供する。一態様において、前記組換え型宿主細胞は真核細胞である。別の態様において、前記組換え型宿主細胞は哺乳類起源のものである。更なる態様において、前記組換え型宿主細胞は、CHO細胞、HEK細胞、およびBHK細胞からなる群から選択される。
【0042】
本明細書中に使用される、「宿主細胞(a host細胞)」の用語は、任意の細胞を表し、異種性(heterologous)のDNAを発現できるハイブリッド細胞を含む。典型的な宿主細胞は、昆虫細胞、酵母細胞、哺乳類細胞(ヒト細胞を含む)、例えばBHK、CHO、HEK、およびCOS細胞を含むが、これらに限定されない。本発明の実施において、培養される前記宿主細胞は、好ましくは哺乳類細胞、より好ましくは樹立された哺乳類の株化細胞であり、CHO(例えば、ATCC CCL 61)、COS-1(例えば、ATCC CRL 1650)、乳児ハムスター腎臓(BHK)、およびHEK293(例えば、ATCC CRL 1573; Graham et al., J. Gen. Virol. 36:59-72, 1977)細胞株を含むが、これらに限定されない。好適なBHK株化細胞は、tk- ts13 BHK株化細胞(Waechter and Baserga, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:1106-1110, 1982)であり、以下BHK570細胞と称する。BHK570株化細胞は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(12301 Parklawn Dr.、Rockville、MD 20852)からATCC受託番号CRL10314で利用可能である。また、tk- ts13 BHK細胞株も、ATCCから受託番号CRL1632で利用可能である。他の適切な細胞株には、Rat Hep I(ラット ヘパトーマ;ATCC CRL 1600)、Rat HepII(ラット ヘパトーマ;ATCC CRL 1548)、TCMK(ATCC CCL 139)、ヒト肺(Human lung)(ATCC HB 8065)、NCTC1469(ATCC CCL 9.1)およびDUKX細胞(Urlaub and Chasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-4220, 1980)が含まれるが、これらに限定されない。同様に有用な細胞は、3T3細胞、Namalwa細胞、ミエローマおよびミエローマと他の細胞との融合物である。
【0043】
更なる側面において、本発明は、前記ポリヌクレオチド構築物を含有している及び発現しているトランスジェニック動物を提供する。
【0044】
更なる側面において、本発明は、前記ポリヌクレオチド構築物を含有している及び発現しているトランスジェニック植物を提供する。
【0045】
更なる側面において、本発明は、本発明のVII因子ポリペプチドを産生するための方法に関し、該方法は、前記ポリヌクレオチド構築物を具備する細胞を、適切な成長培地において、前記ポリヌクレオチド構築物の発現を許容する条件下で培養することと、および生じたポリペプチドを培養培地(culture medium)から回収することとを含む。
【0046】
本明細書中に使用される「適切な成長培地(appropriate growth medium)」の用語は、細胞の成長に及び本発明のVII因子ポリペプチドをコード化している核酸配列の発現に要求される、栄養物および他の成分を含有している培地を意味する。
【0047】
更なる側面において、本発明は、VII因子ポリペプチドを産生するための方法に関し、該方法は、前記ポリペプチドを前記トランスジェニック動物により産生されたミルクから回収することを含む
【0048】
更なる側面において、本発明は、VII因子ポリペプチドを産生するための方法に関し、該方法は、前記ポリヌクレオチド構築物を具備するトランスジェニック植物の細胞を培養することと、および前記ポリペプチドを生じた植物から回収することとを含む。
更なる側面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列に関して、少なくとも2つの置換を具備するVII因子ポリペプチド〔ここで該置換は(i)F374の任意の他のアミノ酸での置換、および(ii)L305、S314、K157、K337、D334、S336、V158、E296、およびM298からなる群から選択される1以上のアミノ酸の任意の他のアミノ酸での置換である〕;および、任意に、薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物に関する。
【0049】
更なる側面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列に関して、少なくとも2つの置換を具備するVII因子ポリペプチド〔ここで該置換は(i)F374の任意の他のアミノ酸での置換、および(ii)L305、S314、K157、K337、D334、S336、V158、E296、およびM298からなる群から選択される1以上のアミノ酸の任意の他のアミノ酸での置換である〕の、出血障害もしくは出血の発症の治療に対する又は正常な止血系の増強に対する医薬(medicament)を調製(preparation)するための使用に関する。一態様において、前記使用は、血友病AまたはBの治療に対する。
【0050】
この文脈において、「治療(treatment)」の用語は、たとえば手術におけるものなどの予想される出血を防止すること、およびたとえば外傷(trauma)におけるものなどのすでに起こっている出血を、前記出血を阻害するか、または最小にする目的で、調節することの両者を含むことを意味する。本発明による、VIIa因子ポリペプチドの予防的投与(Prophylactic administration)は、それゆえ「治療」の用語に含まれる。
【0051】
「出血の発症(bleeding episodes)」の用語は、非制御の(uncontrolled)及び過剰な出血を含むことを意味する。出血の発症は、外科および他の形態の組織損傷の双方に関連した主要な問題である。非制御の及び過剰な出血は、正常な凝固系を有する被験者および凝固または出血障害を有する被験者において発生し得る。本明細書において使用される、「出血障害(bleeding disorder)」の用語は、出血の際に現れる、先天性の(congenital)、後天性の(acquired)、または誘導される(induced)、細胞または分子起源の任意の欠陥(defect)を表す。例は、凝固因子欠損(例えば、血友病AおよびBまたは凝固因子XIもしくはVIIの欠損)、凝固因子インヒビター、欠陥のある血小板機能、血小板減少症、またはフォンウィルブランド病である。
【0052】
過剰な出血は、正常に機能している血液凝固カスケード(前記凝固因子の任意に関して、凝固因子の欠損またはインヒビターがない)を有する被験者においても生じ、また、欠陥のある血小板機能、血小板減少症、またはフォンウィルブランド病により生じ得る。このような場合において、前記出血は、血友病により生じる出血にたとえられる、というのも止血系(血友病におけるような)では、大きな出血の原因となる、必須の凝固「化合物(compounds)」(たとえば、血小板またはフォンビルブラント因子タンパク質)が欠損しているか又は異常であるからである。手術または莫大な外傷に関連して、広範な組織損傷を受けている被検者では、正常な止血機構による即時性の止血の召喚(demand)によっては手に負えず、彼らは、正常な止血機構であるにもかかわらず出血を発生してしまうであろう。また、満足な止血を達成することは、出血が外科的な止血の可能性が制限されている器官(例えば、脳、内耳領域、および目)において発生する場合に問題となる。同じ問題は、種々の器官(肝臓、肺、腫瘍組織、胃腸管)からの生検を行うプロセスにおいて、並びに腹腔鏡検査手術(laparoscopic surgery)において起こるであろう。これら全ての状況において共通することは、出血がびまん性(diffuse)である場合(出血性胃炎および大量の子宮出血)にも、手術の技術(縫合、クリップ、その他)によって止血を実現することが困難なことである。急性の(Acute)及び多量の(profuse)出血は、与えられた治療によって止血の欠陥が誘導される抗凝固療法(anticoagulant therapy)の被検者においても生じるであろう。係る被験者は、抗凝血性効果が急速に中和される(counteracted)されるべき場合において、外科的な介入(interventions)を必要とするだろう。根治的な恥骨後前立腺摘除術(Radical retropubic prostatectomy)は、局在型の前立腺癌を有する被検者に対して、一般的に実施される処置(procedure)である。手術は、顕著で(significant)、時々大量の失血を生じることから、頻繁に面倒な事態を生じる。前立腺切除の間の顕著な失血(blood loss)は、主に多様な密度の脈管部位(vascularized sites)を伴った、複雑な解剖学的な状況に関連する;このような脈管部位は、外科的な止血に関して容易に到達されず、広い領域からびまん性の出血を生じるだろう。不満足な止血のケースにおいて問題を発生させるであろう別の状況は、正常な止血機構(haemostatic mechanism)を有する被験者が血栓塞栓性疾患を阻止するための抗凝固療法を施された場合である。係る療法には、ヘパリン、他の形態のプロテオグリカン、ワルファリンまたは他の形態のビタミンK−アンタゴニスト、並びにアスピリンおよび他の血小板凝集インヒビターが含まれるだろう。
【0053】
本発明の一態様において、前記出血は血友病に関連する。別の態様において、前記出血は、獲得されたインヒビター(aquired inhibitors)を伴う、血友病に関連する。別の態様において、前記出血は血小板減少症に関連する。別の態様において、前記出血はフォンウィルブランド病に関連する。別の態様において、前記出血は重度の組織損傷に関連する。別の態様において、前記出血は重度の外傷に関連する。別の態様において、前記出血は外科に関連する。別の態様において、前記出血は腹腔鏡検査手術に関連する。別の態様において、前記出血は出血性胃炎(haemorrhagic gastritis)に関連する。別の態様において、前記出血は、びまん性の子宮出血(uterine bleeding)に関連する。別の態様において、前記出血は、機械的な止血(mechanical haemostasis)の可能性が制限されている器官において生じる。別の態様において、前記出血は脳、内耳領域、または目において生じる。別の態様において、前記出血は生検を行うプロセスに関連する。別の態様において、前記出血は抗凝固療法に関連する。
【0054】
本明細書に使用される「被験者(subject)」の用語は、任意の動物、特にヒトなどの哺乳類を意味することが企図され、適切な場合は、「患者(patient)」の用語と交換可能に使用されてもよい。
【0055】
「正常な止血系の増強(enhancement of the normal haemostatic system)」の用語は、トロンビンを生成する能力の増強を意味する。
【0056】
更なる側面において、本発明は、被験者における出血障害または出血の発症の治療のための又は正常な止血系の増強のための方法に関し、該方法は、配列番号1のアミノ酸配列に関して、少なくとも2つの置換を具備するVII因子ポリペプチド〔ここで該置換は(i)F374の任意の他のアミノ酸での置換、および(ii)L305、S314、K157、K337、D334、S336、V158、E296、およびM298からなる群から選択される1以上のアミノ酸の任意の他のアミノ酸での置換である〕の治療的に又は予防的に効果的な量を;それを必要とする被験者に投与することを含む。
【0057】
更なる側面において、本発明は、本発明のVII因子ポリペプチドの医薬としての使用に関する。
【0058】
本発明の一態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、F374が任意の他のアミノ酸で置換され、L305が任意の他のアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0059】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、F374が任意の他のアミノ酸で置換され、S314が任意の他のアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0060】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、F374が任意の他のアミノ酸で置換され、K157が任意の他のアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0061】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、F374が任意の他のアミノ酸で置換され、K337が任意の他のアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0062】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、F374が任意の他のアミノ酸で置換され、D334が任意の他のアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0063】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、F374が任意の他のアミノ酸で置換され、S336が任意の他のアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0064】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、F374が任意の他のアミノ酸で置換され、V158が任意の他のアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0065】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、F374が任意の他のアミノ酸で置換され、E296が任意の他のアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0066】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、F374が任意の他のアミノ酸で置換され、M298が任意の他のアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0067】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、前記プロテアーゼドメインの残りのポジションにおいて少なくとも1つのアミノ酸が、任意の他のアミノ酸で置換されたポリペプチドである。一態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、前記プロテアーゼドメインの残りのポジションにおいて1つのアミノ酸が、任意の他のアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0068】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、前記プロテアーゼドメインの残りのポジションにおいて多くとも20の付加的なアミノ酸が、任意の他のアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0069】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、配列番号1の159〜170から選択されたポジションでのアミノ酸に対応する、少なくとも1つのアミノ酸が、任意の他のアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0070】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、配列番号1の290〜304から選択されたポジションでのアミノ酸に対応する、少なくとも1つのアミノ酸が、任意の他のアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0071】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、R304が任意の他のアミノ酸で置換されたポリペプチドである。一態様において、R304がTyr、Phe、Leu、およびMetからなる群から選択されるアミノ酸により置換される。
【0072】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、配列番号1の306〜312から選択されたポジションでのアミノ酸に対応する、少なくとも1つのアミノ酸が、任意の他のアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0073】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、M306がAspおよびAsnからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0074】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、D309がSer、およびThrからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0075】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、配列番号1の330〜339から選択されたポジションでのアミノ酸に対応する、少なくとも1つのアミノ酸が、任意の他のアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0076】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、A274が任意の他のアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0077】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、A274がMet、Leu、Lys、およびArgからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0078】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、K157がAla、Val、Leu、Ile、Met、Phe、Trp、Pro、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、Glu、Arg、His、Asp、およびGlnからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0079】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、K157がGly、Val、Ser、Thr、Asn、Gln、Asp、およびGluからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0080】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、前記K337がAla、Val、Leu、Ile、Met、Phe、Trp、Pro、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、Glu、Arg、His、Asp、およびGlnからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0081】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、前記K337がAla、Gly、Val、Ser、Thr、Asn、Gln、Asp、およびGluからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0082】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、前記D334がAla、Val、Leu、Ile、Met、Phe、Trp、Pro、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、、、、、およびからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0083】
本発明の更なる態様において、前記因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、前記が、およびからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0084】
本発明の更なる態様において、前記因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、前記が、、、、、、、、、、、、、、、、、、およびからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0085】
本発明の更なる態様において、前記因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、前記が、およびからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0086】
本発明の更なる態様において、前記因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、前記が、、、Met、Phe、Trp、Pro、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、Glu、Lys、Arg、His、Asp、およびGlnからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0087】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、前記V158がSer、Thr、Asn、Gln、Asp、およびGluからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0088】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、前記E296がAla、Val、Leu、Ile、Met、Phe、Trp、Pro、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、Lys、Arg、His、Asp、およびGlnからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0089】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、前記E296がArg、Lys、およびValからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0090】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、前記M298がAla、Val、Leu、Ile、Phe、Trp、Pro、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、Glu、Lys、Arg、His、Asp、およびGlnからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0091】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、前記M298がLys、Arg、Gln、およびAsnからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0092】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、前記L305がAla、Val、Ile、Met、Phe、Trp、Pro、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、Glu、Lys、Arg、His、Asp、およびGlnからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0093】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、前記L305がVal、Tyr、およびIleからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0094】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、前記L305がValで置換されたポリペプチドである。
【0095】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、前記S314がAla、Val、Leu、Ile、Met、Phe、Trp、Pro、Gly、Thr、Cys、Tyr、Asn、Glu、Lys、Arg、His、Asp、およびGlnからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0096】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、前記S314がGly、Lys、Gln、およびGluからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0097】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、前記F374がAla、Val、Leu、Ile、Met、Trp、Pro、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、Glu、Lys、Arg、His、Asp、およびGlnからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0098】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、前記F374がProおよびTyrからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0099】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであって、前記アミノ酸が、ポリヌクレオチド構築物によりコード化できる、異なるアミノ酸で置換されたポリペプチドである。
【0100】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドである(ここで該VII因子ポリペプチドはヒトVII因子である)。
【0101】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドである(ここで該VII因子ポリペプチドはヒトVIIa因子である)。
【0102】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドである(ここで該VII因子ポリペプチドの活性と配列番号1に示される天然のVIIa因子ポリペプチドの活性との間の比率は、少なくとも約1.25である)。一態様において、該VII因子ポリペプチドの活性と配列番号1に示される天然のVIIa因子ポリペプチドの活性との間の比率は、少なくとも約2.0である。更なる態様において、該VII因子ポリペプチドの活性と配列番号1に示される天然のVIIa因子ポリペプチドの活性との間の比率は、少なくとも約4.0である。
【0103】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドである(ここで、VIIa因子活性アッセイにおいて試験した場合、該VII因子ポリペプチドの活性と配列番号1に示される天然のVIIa因子ポリペプチドの活性との間の比率は、少なくとも約1.25である)。一態様において、VIIa因子活性アッセイ(Factor VIIa activity assay)において試験した場合、該VII因子ポリペプチドの活性と配列番号1に示される天然のVIIa因子ポリペプチドの活性との間の比率は、少なくとも約2.0である。更なる態様において、VIIa因子活性アッセイにおいて試験した場合、該VII因子ポリペプチドの活性と配列番号1に示される天然のVIIa因子ポリペプチドの活性との間の比率は、少なくとも約4.0である。VIIa因子の活性は、実施例3または4に記載のアッセイで測定し得る。
【0104】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドである(ここで、「インビトロ加水分解アッセイ法」において試験した場合、該VII因子ポリペプチドの活性と配列番号1に示される天然のVIIa因子ポリペプチドの活性との間の比率は、少なくとも約1.25である)。
一態様において、インビトロ加水分解アッセイ法において試験した場合、該VII因子ポリペプチドの活性と配列番号1に示される天然のVIIa因子ポリペプチドの活性との間の比率は、少なくとも約2.0である。更なる態様において、インビトロ加水分解アッセイ法において試験した場合、該VII因子ポリペプチドの活性と配列番号1に示される天然のVIIa因子ポリペプチドの活性との間の比率は、少なくとも約4.0である。
【0105】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、1つのポリペプチドであり、該ポリペプチドをインビトロタンパク質分解アッセイ法において試験した場合、該VII因子ポリペプチドの活性と配列番号1に示される天然のVIIa因子ポリペプチドの活性との間の比率は、少なくとも約1.25である。一態様において、インビトロタンパク質分解アッセイ法において試験した場合、該VII因子ポリペプチドの活性と配列番号1に示される天然のVIIa因子ポリペプチドの活性との間の比率は、少なくとも約2.0である。更なる態様において、インビトロタンパク質分解アッセイ法において試験した場合、該VII因子ポリペプチドの活性と配列番号1に示される天然のVIIa因子ポリペプチドの活性との間の比率は、少なくとも約4.0である。更なる態様において、インビトロタンパク質分解アッセイ法において試験した場合、該VII因子ポリペプチドの活性と配列番号1に示される天然のVIIa因子ポリペプチドの活性との間の比率は、少なくとも約8.0である。
【0106】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列に関して、少なくとも2つの置換を有するヒトFVIIであって、該置換は、(i)F374Yおよび(ii)K157X1、K337A、D334X2、S336X3、V158X4、E296V、M298Q、L305V、S314Eからなる群から選択される1以上のアミノ酸である(ここでX1は、Gly、Val、Ser、Thr、Asn、Gln、Asp、またはGlu;X2は、GlyまたはGlu;X3は、GlyまたはGlu; X4 は、ThrまたはAsp)。
【0107】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/K337A-FVIIである。
【0108】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/V158D-FVIIである。
【0109】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/E296V-FVIIである。
【0110】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/M298Q-FVIIである。
【0111】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/V158T-FVIIである。
【0112】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/S314E-FVIIである。
【0113】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V-FVIIである。
【0114】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/K337A-FVIIである。
【0115】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/V158D-FVIIである。
【0116】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/E296V-FVIIである。
【0117】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/M298Q-FVIIである。
【0118】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/V158T-FVIIである。
【0119】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/S314E-FVIIである。
【0120】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/K337A/S314E-FVIIである。
【0121】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/K337A/V158T-FVIIである。
【0122】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/K337A/M298Q-FVIIである。
【0123】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/K337A/E296V-FVIIである。
【0124】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/K337A/V158D-FVIIである。
【0125】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/V158D/S314E-FVIIである。
【0126】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/V158D/M298Q-FVIIである。
【0127】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/V158D/E296V-FVIIである。
【0128】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/V158T/S314E-FVIIである。
【0129】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/V158T/M298Q-FVIIである。
【0130】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/V158T/E296V-FVIIである。
【0131】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/E296V/S314E-FVIIである。
【0132】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/S314E/M298Q-FVIIである。
【0133】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/E296V/M298Q-FVIIである。
【0134】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/K337A/V158D-FVIIである。
【0135】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/K337A/E296V-FVIIである。
【0136】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/K337A/M298Q-FVIIである。
【0137】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/K337A/V158T-FVIIである。
【0138】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/K337A/S314E-FVIIである。
【0139】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/V158D/E296V-FVIIである。
【0140】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/V158D/M298Q-FVIIである。
【0141】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/V158D/S314E-FVIIである。
【0142】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/E296V/M298Q-FVIIである。
【0143】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/E296V/V158T-FVIIである。
【0144】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/E296V/S314E-FVIIである。
【0145】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/M298Q/V158T-FVIIである。
【0146】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/M298Q/S314E-FVIIである。
【0147】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/V158T/S314E-FVIIである。
【0148】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/K337A/S314E/V158T-FVIIである。
【0149】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/K337A/S314E/M298Q-FVIIである。
【0150】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/K337A/S314E/E296V-FVIIである。
【0151】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/K337A/S314E/V158D-FVIIである。
【0152】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/K337A/V158T/M298Q-FVIIである。
【0153】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/K337A/V158T/E296V-FVIIである。
【0154】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/K337A/M298Q/E296V-FVIIである。
【0155】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/K337A/M298Q/V158D-FVIIである。
【0156】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/K337A/E296V/V158D-FVIIである。
【0157】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/V158D/S314E/M298Q-FVIIである。
【0158】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/V158D/S314E/E296V-FVIIである。
【0159】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/V158D/M298Q/E296V-FVIIである。
【0160】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/V158T/S314E/E296V-FVIIである。
【0161】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/V158T/S314E/M298Q-FVIIである。
【0162】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/V158T/M298Q/E296V-FVIIである。
【0163】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/E296V/S314E/M298Q-FVIIである。
【0164】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/M298Q/K337A/S314E-FVIIである。
【0165】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/E296V/K337A/S314E-FVIIである。
【0166】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVIIである。
【0167】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A-FVIIである。
【0168】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/E296V/M298Q/S314E-FVIIである。
【0169】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVIIである。
【0170】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/V158D/E296V/M298Q/S314E-FVIIである。
【0171】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/V158D/K337A/S314E-FVIIである。
【0172】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/V158D/M298Q/K337A/S314E-FVIIである。
【0173】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/V158D/E296V/K337A/S314E-FVIIである。
【0174】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVIIである。
【0175】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A-FVIIである。
【0176】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A-FVIIである。
【0177】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/V158D/M298Q/S314E-FVIIである。
【0178】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/V158D/E296V/S314E-FVIIである。
【0179】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVIIである。
【0180】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/V158T/E296V/M298Q/S314E-FVIIである。
【0181】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/V158T/K337A/S314E-FVIIである。
【0182】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/V158T/M298Q/K337A/S314E-FVIIである。
【0183】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/V158T/E296V/K337A/S314E-FVIIである。
【0184】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVIIである。
【0185】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/V158T/M298Q/K337A-FVIIである。
【0186】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/V158T/E296V/K337A-FVIIである。
【0187】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/V158T/M298Q/S314E-FVIIである。
【0188】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/V158T/E296V/S314E-FVIIである。
【0189】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVIIである。
【0190】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVIIである。
【0191】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/S314E-FVIIである。
【0192】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/E296V/M298Q/V158T/S314E-FVIIである。
【0193】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T-FVIIである。
【0194】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/E296V/K337A/V158T/S314E-FVIIである。
【0195】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVIIである。
【0196】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVIIである。
【0197】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A/S314E-FVIIである。
【0198】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A/S314E-FVIIである。
【0199】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVIIである。
【0200】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVIIである。
【0201】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、(i)配列番号1のアミノ酸配列に関して、アミノ酸置換F374Yと(ii)表1による任意の組み合わせから独立に選択される2アミノ酸置換とを有する、ヒトFVIIである
【0202】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、(i)配列番号1のアミノ酸配列に関して、アミノ酸置換F374Yと(ii)表1による任意の組み合わせから独立に選択される3アミノ酸置換とを有する、ヒトFVIIである
【0203】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、(i)配列番号1のアミノ酸配列に関して、アミノ酸置換F374Yと(ii)表1による任意の組み合わせから独立に選択される4アミノ酸置換とを有する、ヒトFVIIである
【0204】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、(i)配列番号1のアミノ酸配列に関して、アミノ酸置換F374Yと(ii)表1による任意の組み合わせから独立に選択される5アミノ酸置換とを有する、ヒトFVIIである
【0205】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、(i)配列番号1のアミノ酸配列に関して、アミノ酸置換F374Yと(ii)表1による任意の組み合わせから独立に選択される6アミノ酸置換とを有する、ヒトFVIIである
【0206】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、(i)配列番号1のアミノ酸配列に関して、アミノ酸置換F374Yと(ii)表1による任意の組み合わせから独立に選択される7アミノ酸置換とを有する、ヒトFVIIである
【0207】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、(i)配列番号1のアミノ酸配列に関して、アミノ酸置換F374Yと(ii)表1による任意の組み合わせから独立に選択される8アミノ酸置換とを有する、ヒトFVIIである
【0208】
本発明の更なる態様において、前記VII因子ポリペプチドは、(i)配列番号1のアミノ酸配列に関して、アミノ酸置換F374Yと(ii)表1による任意の組み合わせから独立に選択される9アミノ酸置換とを有する、ヒトFVIIである
【0209】
【表1】

【0210】
さらなる側面において、本発明は、天然のヒト凝固VIIa因子と比較して、増大された組織因子非依存的な活性を有しているヒト凝固因子VIIaポリペプチドを提供する。もう1つの側面において、増大された活性は、基質特異性の変化を伴わない。本発明のもう1つの側面において、組織因子に対する前記ポリペプチド変異体の結合は損なわれず、前記ポリペプチド変異体は組織因子に結合したときに、少なくとも野生型のVIIa因子の活性を有する。
【0211】
本明細書中で使用される、アミノ酸置換に関する用語は、以下のとおりである。第1文字は、配列番号1のポジションに天然に存在するアミノ酸を表す。続く番号は、配列番号1におけるポジションを表す。第2文字は、天然のアミノ酸に対し置換される、異なるアミノ酸を表す。例は、L305V/K337A-FVII、配列番号1のポジション305でのロイシンがバリンで置換される、配列番号1のポジション337でのリジンがアラニンで置換される(双方の突然変異は同じVII因子ポリペプチド変異体における)。
【0212】
本発明において、アミノ酸の三文字または一文字の表示は、表2に示したとおり、これらの従来の意味で使用した。明示的に示されない限り、本明細書において言及されるアミノ酸は、Lアミノ酸である。更に、ペプチドのアミノ酸配列の左及び右は、それぞれ、他に特定されない限り、N-およびC-端である。
【0213】
【表2】

【0214】
VII因子ポリペプチド変異体の調製
また、本発明は、上記のヒトVII因子ポリペプチド変異体を調製する方法に関する。本明細書中に記載される、前記VII因子ポリペプチド変異体は、組換え核酸技術の手段で作出し得る。通常は、クローン化した野生型のVII因子核酸配列は、所望のタンパク質をコード化するために修飾される。この修飾された配列は、次に発現ベクターに挿入され、これは次に宿主細胞を形質転換又は形質移入する。高等な真核生物細胞、特に培養された哺乳類細胞は、宿主細胞として好適である。ヒトVII因子に関する完全な(complete)ヌクレオチドおよびアミノ酸配列は知られている(U.S.4,784,950を参照されたい、ここでは組換え型のヒトVII因子のクローニングおよび発現が記載される)。ウシVII因子配列は、文献(Takeya et al., J. Biol. Chem. 263:14868-14872 (1988))に記載されている。
【0215】
アミノ酸配列変更(amino acid sequence alterations)は、様々な技術により達成し得る。核酸配列の修飾は、部位特異的な突然変異誘発によるものであってもよい。部位特異的な突然変異誘発に関する技術は、当該技術において周知であり、例えば、文献(Zoller and Smith (DNA 3:479-488, 1984)又は「エクステンション オーバーラップによるスプライシング(Splicing by extension overlap)、Horton et al., Gene 77, 1989, pp. 61-68」に記載されている。以上のように、VII因子のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を用いて、選択した変更(s)を導入し得る。同様に、特異的なプライマーを用いた、ポリメラーゼ連鎖反応法を用いた、DNA構築物を調製するための処置は、当該技術分野の当業者に周知である(cf. PCR Protocols, 1990, Academic Press, San Diego, California, USA)。
【0216】
本発明の前記VII因子ポリペプチド変異体をコード化している核酸構築物は、適切なゲノム又はcDNA起源のものでよく、例えば、ゲノム又はcDNAライブラリを調製すること、および前記ポリペプチドの全部または部分をコード化しているDNA配列を、合成オリゴヌクレオチド プローブを用いたハイブリダイゼーションによりスクリーニングすることにより取得される、これらは標準の技術(cf. Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd. Ed. Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York, 1989)にしたがって実施される。
【0217】
前記VII因子ポリペプチド変異体をコード化している核酸構築物は、確立された標準方法、例えば、文献〔Beaucage and Caruthers, Tetrahedron Letters 22 (1981), 1859-1869〕に記載された亜リン酸アミダイト法(phosphoamidite method)、または文献〔Matthes et al., EMBO Journal 3 (1984), 801-805〕に記載された方法により合成的に調製してもよい。亜リン酸アミダイト法にしたがって、オリゴヌクレオチドが合成され(例えば、自動のDNA合成機において)、精製され、アニールされ(annealed)、連結させ(ligated)、そして適切なベクターにクローン化される。前記ヒトVII因子ポリペプチド変異体をコード化しているDNA配列は、特異的なプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応法により調製し得る〔例えば、US 4,683,202、Saiki et al., Science 239 (1988), 487-491、またはSambrook et al.(上記)に記載のように〕。
【0218】
さらに、核酸構築物は、合成およびゲノムの混合性のもの、合成およびcDNAの混合性のもの又はゲノムおよびcDNA起源の混合性のものであり、合成、ゲノム、またはcDNA起源のフラグメント(必要に応じて)、全体の核酸構築物(the entire nucleic acid construct)の様々な部分に対応するフラグメントを、標準技術に基づいて連結することにより調製し得る。
【0219】
前記核酸構築物は、好ましくはDNA構築物である。本発明によるVII因子ポリペプチド変異体の産生に使用するためのDNA配列は、典型的には、VII因子のアミノ末端でプレプロ ポリペプチドをコード化して、適切な翻訳後のプロセッシング(例えば、グルタミン酸残基のガンマ-カルボキシル化)を得て、宿主細胞から分泌される。前記プレプロ ポリペプチドは、VII因子または別のビタミンK依存的な血漿タンパク質(例えば、IX因子、X因子、プロトロンビン、プロテインCまたはプロテインS)のプレプロ ポリペプチドであってもよい。当業者により理解されるとおり、付加的な修飾をVII因子ポリペプチド変異体のアミノ酸配列に作出できる(ここで、これらの修飾は、血液凝固因子としての前記タンパク質の能力を有意に損傷しない)。例えば、前記VII因子ポリペプチド変異体は、活性化切断部位において修飾されて、酵素前駆体VII因子のその活性化された2鎖形態(two-chain form)への転換を阻害できる(U.S.5,288,629に一般的に記載される、これは本明細書中に参照によって援用される)。
【0220】
前記ヒトVII因子ポリペプチド変異体をコード化しているDNA配列は、通常は組換え型ベクターに挿入される(これは、組換えDNA処置に都合よく供される、任意のベクターでよい);また、ベクターの選択は、それが導入される宿主細胞にしばしば依存する。従って、前記ベクターは自律的に複製するベクター、即ち、染色体外の実体(extrachromosomal entity)として存在し、その複製が染色体複製に非依存性であるベクターである(例えば、プラスミド)。或いは、前記ベクターは次のようなベクター、即ち、宿主細胞に導入された際に、前記宿主細胞ゲノムに統合され、それが統合された染色体(s)と共に複製されるベクターであってもよい。
【0221】
前記ベクターは、好ましくは発現ベクター中のヒトVII因子ポリペプチド変異体をコード化しているDNA配列が、前記DNAの転写に必要とされる付加的なセグメントに動作可能に連結される、発現ベクターである。通常は、前記発現ベクターは、プラスミドまたはウイルスのDNAに由来するものである、或いは両方のエレメントを含有していてもよい。「動作可能に連結(operably linked)」の用語は、前記セグメントが、それらがそれらの意図する目的に関して協調して機能するように配置されることを示す(例えば、転写は、プロモーターにおいて開始され、ポリペプチドをコード化しているDNA配列を通して進行する)。
【0222】
VIIa因子ポリペプチド変異体の発現に使用するための発現ベクターは、クローン化された遺伝子またはcDNAの転写を方向付ける能力を有するプロモーターを具備する。前記プロモーターは、選択された宿主細胞において転写活性を呈する、任意のDNA配列でよく、前記宿主細胞に対して相同的な(homologous)又は異種性の(heterologous)のタンパク質をコード化している遺伝子に由来するものであってもよい。
【0223】
哺乳類細胞におけるヒトVII因子ポリペプチド変異体をコード化しているDNAの転写を方向付けるための適切なプロモーターの例は、SV40プロモーター(Subramani et al., Mol.Cell. Biol. 1 (1981), 854-864)、MT-1(メタロチオネイン遺伝子)プロモーター(Palmiter et al., Science 222 (1983), 809-814)、CMVプロモーター(Boshart et al.,Cell. 41:521-530, 1985)、またはアデノウイルス2主要後期プロモーター(Kaufman and Sharp, Mol.Cell. Biol, 2:1304-1319, 1982)である。
【0224】
昆虫細胞における使用に関して適切なプロモーターは、ポリヘドリンプロモーター(US 4,745,051; Vasuvedan et al., FEBS Lett. 311, (1992) 7-11)、P10プロモーター(J.M. Vlak et al., J. Gen. Virology 69, 1988, pp. 765-776)、Autographa californica多核体病ウイルス塩基性タンパク質プロモーター(EP 397 485)、バキュロウイルス前初期遺伝子1プロモーター(US 5,155,037; US 5,162,222)、またはバキュロウイルス39K遅延性-初期遺伝子プロモーター(US 5,155,037; US 5,162,222)である。
【0225】
酵母宿主細胞における使用に関して適切なプロモーターの例には、酵母の解糖遺伝子(glycolytic genes)からのプロモーター(Hitzeman et al., J. Biol. Chem. 255 (1980), 12073-12080; Alber and Kawasaki, J. Mol. Appl. Gen. 1 (1982), 419-434)またはアルコール脱水素酵素遺伝子(Young et al., in Genetic Engineering of Microorganisms for Chemicals (Hollaender et al, eds.), Plenum Press, New York, 1982)、またはTPI1(US 4,599,311)またはADH2-4c (Russell et al., Nature 304 (1983), 652-654)プロモーターが含まれる。
【0226】
糸状菌(filamentous fungus)宿主細胞における使用に関して適切なプロモーターの例は、例えば、ADH3プロモーター(McKnight et al., The EMBO J. 4 (1985), 2093-2099)またはtpiAプロモーターである。他の有用なプロモーターの例は、A.oryzae TAKAアミラーゼ、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテイナーゼ、A.niger中性α-アミラーゼ、A.niger酸安定性α-アミラーゼ(acid stable α-amylase)、A.niger、またはA.awamoriグルコアミラーゼ(gluA)、Rhizomucor mieheiリパーゼ、A.oryzaeアルカリ性プロテアーゼ、A.oryzae三炭糖リン酸塩イソメラーゼ、またはA.nidulansアセトアミダーゼをコード化している遺伝子に由来するものである。好適なものは、TAKA-アミラーゼおよびgluAプロモーターである。適切なプロモーターは、例えば、EP 238023およびEP 383779に記載されている。
【0227】
また、前記ヒトVII因子ポリペプチド変異体をコード化しているDNA配列は、必要な場合には、適切なターミネーター〔例えば、ヒト成長ホルモンターミネーター(Palmiter et al., Science 222, 1983, pp. 809-814)またはTPI1(Alber and Kawasaki, J. Mol. Appl. Gen. 1, 1982, pp. 419-434)またはADH3(McKnight et al., The EMBO J. 4, 1985, pp. 2093-2099)ターミネーター〕に動作可能に連結される。また、発現ベクターは、前記プロモーターから下流で且つVII因子配列自身に関する挿入部位から上流に位置するRNAスプライス部位のセットを含んでいてもよい。好適なRNAスプライス部位は、アデノウイルスおよび/または免疫グロブリン遺伝子から取得し得る。発現ベクターに含まれるものは、挿入部位の下流に位置する、ポリアデニル化シグナルである。特に好適なポリアデニル化シグナルには、SV40の早期の若しくは遅発型のポリアデニル化シグナル(Kaufman and Sharp, ibid.)、アデノウイルス5Elb領域、ヒト成長ホルモン遺伝子ターミネーターのポリアデニル化シグナル(DeNoto et al. Nucl. Acids Res. 9:3719-3730, 1981)、またはヒトVII因子遺伝子もしくはウシVII因子遺伝子のポリアデニル化シグナルが含まれる。また、発現ベクターは、非翻訳の(noncoding)ウイルス性のリーダー配列〔例えば、アデノウイルス2 トリパタイト(tripartite)リーダー(前記プロモーターおよびRNAスプライス部位の間に位置する〕;およびエンハンサー配列(例えばSV40エンハンサー)を含む。
【0228】
本発明のヒトVII因子ポリペプチド変異体を宿主細胞の分泌経路(secretory pathway)へと方向付ける(direct)ために、分泌性シグナル配列(リーダー配列、プレプロ配列、またはプレ配列としても知られる)を組換えベクターに提供してもよい。分泌性シグナル配列は、正しい読み枠中で、前記ヒトVII因子ポリペプチド変異体をコード化しているDNA配列と連結される。分泌性シグナル配列は、前記ペプチドをコード化しているDNA配列に対して、5'に通常配置される。分泌性シグナル配列は、前記タンパク質と通常関連するものであってもよい又は別の分泌タンパク質をコード化している遺伝子からのものであってもよい。
【0229】
酵母細胞からの分泌に関して、分泌性シグナル配列は、発現したヒトVII因子ポリペプチドの前記細胞の分泌経路への効率的な方向付けを保証する、任意のシグナルペプチドをコード化してもよい。前記シグナルペプチドは、天然に生じている(naturally occurring)シグナルペプチド、又はその機能的な部分であってもよい、又は合成ペプチドであってもよい。適切なシグナルペプチドは、α-因子シグナルペプチド(cf. US 4,870,008)、マウス唾液アミラーゼのシグナルペプチド(cf. O. Hagenbuchle et al., Nature 289, 1981, pp. 643-646)、修飾したカルボキシペプチダーゼシグナルペプチド(cf. L.A. Valls et al., Cell 48, 1987, pp. 887-897)、酵母BAR1シグナルペプチド(cf. WO 87/02670)、または酵母アスパラギン酸プロテアーゼ3(YAP3)シグナルペプチド(cf. M. Egel-Mitani et al., Yeast 6, 1990, pp. 127-137)であることが見出されている。
【0230】
酵母における効率的な分泌に関して、リーダーペプチドをコード化している配列が、シグナル配列の下流およびヒトVII因子ポリペプチド変異体をコード化しているDNA配列の上流に挿入されてもよい。リーダーペプチドの機能は、発現されたポリペプチドを小胞体からゴルジ体へと、更に培養培地への分泌に関連する分泌小胞(secretory vesicle)へと方向付けることを可能にすることである(即ち、ヒトVII因子ポリペプチド変異体の、細胞壁を横切った輸送又は少なくとも細胞膜を介した酵母細胞の細胞膜周辺腔への輸送)。前記リーダーペプチドは、酵母α-因子リーダーであってもよい(その使用は、例えば、US 4,546,082、US 4,870,008、EP 16 201、EP 123 294、EP 123 544およびEP 163 529に記載されている)。或いは、前記リーダーペプチドは合成プロペプチドであってもよく、つまり自然界でみつけることができないリーダーペプチドであってもよい。合成リーダーペプチドは、例えば、WO 89/02463またはWO 92/11378に記載されたように構築し得る。
【0231】
糸状菌における使用に関して、前記シグナルペプチドは、コウジカビ属の種(Aspergillus sp)のアミラーゼまたはグルコアミラーゼをコード化している遺伝子、Rhizomucor mieheiのリパーゼまたはプロテアーゼまたはHumicola lanuginosaのリパーゼをコード化している遺伝子から由来するものであってもよい。前記シグナルペプチドは、好ましくはA.oryzae TAKAアミラーゼ、A.niger中性α-アミラーゼ、A.niger酸安定性アミラーゼ、またはA.nigerグルコアミラーゼをコード化している遺伝子から由来するものである。適切なシグナルペプチドは、例えば、EP 238023およびEP 215594に開示されている。
【0232】
昆虫細胞における使用に関して、前記シグナルペプチドは、昆虫遺伝子(cf. WO 90/05783)、例えば、lepidopteran Manduca sextaの脂質動員ホルモン前駆物質シグナルペプチド(cf. US 5,023,328)から由来するものであってもよい。
【0233】
それぞれ、ヒトVII因子ポリペプチド変異体をコード化しているDNA配列、プロモーターおよび自由選択のターミネーター、および/または分泌性シグナル配列を連結するために及びそれらを適切なベクター(このベクターは複製に必要な情報を含有している)挿入するために使用される処置は、当業者に周知である(cf.,例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, New York, 1989)。
【0234】
哺乳類細胞を形質移入する及び前記細胞に導入したDNA配列を発現させる方法は、例えば、文献〔 Kaufman and Sharp, J. Mol. Biol. 159 (1982), 601-621; Southern and Berg, J. Mol. Appl. Genet. 1 (1982), 327-341; Loyter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79 (1982), 422-426; Wigler et al.,Cell 14 (1978), 725; Corsaro and Pearson, Somatic Cell Genetics 7 (1981), 603, Graham and van der Eb, Virology 52 (1973), 456; and Neumann et al., EMBO J. 1 (1982), 841-845〕に記載されている
【0235】
クローン化したDNA配列は、培養した哺乳類細胞に、例えば、リン酸カルシウムに媒介される形質移入(Wigler et al., Cell 14:725-732, 1978; Corsaro and Pearson, Somatic Cell Genetics 7:603-616, 1981; Graham and Van der Eb, Virology 52d:456-467, 1973)または電気穿孔法(Neumann et al., EMBO J. 1:841-845, 1982)により導入される。外来性(exogenous)のDNAを発現する細胞を同定する及び選択するため、一般的に選択可能な表現型(選択可能なマーカー)が、所望の遺伝子またはcDNAと共に導入される。好適な選択可能なマーカーには、薬物(例えば、ネオマイシン、ハイグロマイシン、およびメトトレキセート)に対する耐性を与える遺伝子が含まれる。前記選択可能なマーカーは、増幅可能な選択可能なマーカーであってもよい。好適な増幅可能な選択可能なマーカーは、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)配列である。選択可能なマーカーはThilly(Mammalian Cell Technology, Butterworth Publishers, Stoneham, MA、本明細書中に参照により援用される)により論評されている。当業者は、適切な選択可能なマーカーを容易に選択することができる。
【0236】
選択可能なマーカーは、細胞中に、別々のプラスミド上で、所望の遺伝子と同時に導入し得る、又はそれらを同じプラスミド上で導入し得る。同じプラスミド上の場合、選択可能なマーカーおよび所望の遺伝子が、異なるプロモーターまたは同じプロモーターの制御下で存在し得る、後者の配置はジシストロン性メッセージ(a dicistronic message)を産生する。このタイプの構築物は既知である(例えば、LevinsonおよびSimonsen、U.S.4,713,339)。「キャリアDNA(carrier DNA)」として知られる付加的なDNAを、前記細胞に導入される混合物に付加することも有利であろう。
【0237】
細胞が前記DNAを受け取った後、それらは適切な成長培地において成長し(典型的には1〜2日)、所望の遺伝子の発現が開始される。本明細書中に使用される「適切な成長培地(appropriate growth medium)」の用語は、細胞の成長に及び所望のヒトVII因子ポリペプチドの発現に要求される、栄養物および他の成分を含有している培地を意味する。培地は、一般に炭素源、窒素源、必須アミノ酸類、必須な糖類、ビタミン類、塩類、リン脂質類、タンパク質、および成長因子を含むガンマ-カルボキシル化されたタンパク質の産生に関して、培地はビタミンK(好ましくは、約0.1μg/mlから約5μg/mlの濃度で)を含有する。次に薬物選択は、安定な様式で選択可能なマーカーを発現している細胞の成長に関する選択に適用される。増幅可能な選択可能なマーカーで形質移入された細胞に関して、薬物濃度を増加して、クローン化された配列のコピー数の増加に関して選択し得る、これにより発現レベルを増加させる。安定的に形質移入された細胞のクローンは、次に所望のヒトVII因子ポリペプチド変異体の発現に関して選抜される。
【0238】
前記ヒトVII因子ポリペプチド変異体をコード化しているDNA配列が導入された宿主細胞は、翻訳後修飾されたヒトVII因子ポリペプチド変異体を産生する能力を有する任意の細胞であり得、該宿主細胞には、酵母、菌類、および高等真核細胞が含まれる。
【0239】
本発明における使用に関する哺乳類細胞株は、COS-1(ATCC CRL 1650)、乳児ハムスター腎臓(BHK)および293(ATCC CRL 1573; Graham et al., J. Gen. Virol. 36:59-72, 1977)細胞株である。好適なBHK株化細胞は、tk- ts13 BHK株化細胞(Waechter and Baserga, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:1106-1110, 1982, 本明細書中に参照により援用される)であり、以下BHK570細胞と称する。BHK570株化細胞は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection, 12301 Parklawn Dr., Rockville, Md. 20852)にATCC受託番号CRL10314で寄託されている。また、tk- ts13 BHK細胞株も、ATCCから受託番号CRL1632で利用可能である。加えて、本発明に使用し得る、いくつかの他の細胞株には、Rat Hep I(ラット ヘパトーマ;ATCC CRL 1600)、Rat HepII(ラット ヘパトーマ;ATCC CRL 1548)、TCMK(ATCC CCL 139)、ヒト肺(Human lung)(ATCC HB 8065)、NCTC1469(ATCC CCL 9.1)、CHO (ATCC CCL 61)、およびDUKX細胞(Urlaub and Chasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-4220, 1980)が含まれる。
【0240】
適切な酵母細胞の例には、Saccharomyces spp.またはSchizosaccharomyces spp.の細胞が、特にSaccharomyces cerevisiaeまたはSaccharomyces kluyveriの株が含まれる。酵母細胞を異種性のDNAで形質転換する及びそれからの異種性のポリペプチドを産生させるための方法は、例えば、US 4,599,311、US 4,931,373、US 4,870,008、5,037,743、および US 4,845,075に記載され、これら全ては参照によって援用される。形質転換された細胞は、選択可能なマーカー(一般に薬剤抵抗性または特定の栄養分(例えば、ロイシン)の非存在下で成長する能力)により決定される表現型により選択される。酵母における使用に関して好適なベクターは、US 4,931,373に開示されるPOT1ベクターである。ヒトVII因子ポリペプチド変異体をコード化しているDNA配列は、シグナル配列および随意にリーダー配列(例えば、上記のような)により先行されていてもよい。適切な酵母細胞の更なる例は、Kluyveromyces(例えば、K.lactis)、hansenula(例えば、H.polymorpha、またはPichia(例えば、P.pastoris)の株である(cf. Gleeson et al., J. Gen. Microbiol. 132, 1986, pp. 3459-3465; US 4,882,279)。
【0241】
他の真菌細胞の例は、糸状菌、例えば、コウジカビ属 spp.(Aspergillus spp.)、パンカビ属 spp.(Neurospora spp.)、フザリウム spp.(Fusarium spp.)、またはトリコデルマ属 spp.(Trichoderma spp.)の細胞、特にA.oryzae、A.nidulans、またはA.nigerの株である。コウジカビ属 spp.のタンパク質の発現に関する使用は、例えば、EP 272 277、EP 238 023、EP 184 438に記載されている。F.oxysporumの形質転換は、例えば、文献(Malardier et al., 1989, Gene 78: 147-156)に記載のとおり実施し得る。トリコデルマ属 spp.の形質転換は、例えば、EP 244 234に記載のとおり実施し得る。
【0242】
糸状菌が宿主細胞として使用される場合、それを本発明のDNA構築物で形質転換し得る、前記DNA構築物を宿主染色体に統合させて組換え宿主細胞(recombinant host cell)を得ることにより形質転換し得る。この統合は一般的には利点であると考えられる、というのも前記DNA配列が前記細胞において安定的に維持される可能性が高いからである。前記DNA配列の宿主染色体への統合は、従来の方法(例えば、相同的な又は異種性の組換えによる)にしたがって実施し得る。
昆虫細胞の形質転換及びその中での異種性のポリペプチドの産生は、US 4,745,051;US 4,879,236;US 5,155,037;5,162,222;EP 397,485に記載のとおり実施し得る(これらの文献の全ては本明細書中に参照によって援用される)。宿主として使用される昆虫株化細胞は、鱗翅目株化細胞(例えば、Spodoptera frugiperda細胞またはTrichoplusia ni細胞)であってもよい(cf. US 5,077,214)。培養条件は、例えば、WO 89/01029またはWO 89/01028に、または上述の文献の何れかに記載されたとおりであってもよい。
【0243】
上記の形質転換された又は形質移入した宿主細胞は、次に適切な栄養培地中で、ヒトVII因子ポリペプチド変異体の発現を許容する条件下で培養され、その後、生じたペプチドの全部または一部を培養物から回収し得る。前記細胞を培養するために使用される培地は、前記宿主細胞を成長させるために適切な任意の従来培地、例えば、適切なサプリメントを含有する最小の又は複合的(complex)な培地であってもよい。適切な培地は、商業上の提供者から購入される又は公開されたレシピ(例えば、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションのカタログ中の)にしたがって調製し得る。前記細胞により産生されたヒトVII因子ポリペプチド変異体は、次に培養培地から従来の処理により回収される〔この処理には宿主細胞を培地から遠心分離または濾過により分離すること、上清もしくは濾過物のタンパク性成分を塩(例えば、アンモニウム硫酸塩)で沈殿させ、様々なクロマトグラフィー処理(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー)により精製すること、等が含まれる〕、この処理は問題のポリペプチドのタイプに依存して行われる。
【0244】
トランスジェニック動物技術を使用して、本発明の前記VII因子ポリペプチド変異体を産生し得る。前記タンパク質を宿主の雌哺乳類の乳腺内で産生することが好適である。乳腺における発現および引き続く所望のタンパク質のミルクへの分泌により、タンパク質を他の供給源から分離することにおいて直面する、多くの困難が克服される。ミルクは容易に採集され、大きい量で利用可能であり、また生化学的に良く特性が調べられている。さらにまた、主要なミルクタンパク質は、高濃度(典型的に約1から15g/l)でミルクに存在する。
【0245】
商業の観点から、大量のミルク収率を有する種を前記宿主として使用することは明らかに好ましい。より小さい動物(例えば、マウスおよびラット)を使用することができるが(また、基礎段階の証明に好適である)、家畜哺乳類(ブタ、ヤギ、ヒツジ、およびウシを含むが、これらに限定されない)を使用することが好適である。ヒツジが特に好適であり、というのもこの種における遺伝子導入(transgenesis)の歴史、ミルク収率、コスト、およびヒツジミルクを採集するための装置の迅速な利用可能性のような要素があるからである(例えば、宿主種の選択に影響する要素の比較に関して、WO 88/00239を参照されたい)。一般的に、日常の使用に関して繁殖させてきた宿主動物の品種(breed)を選択すること(例えば、イースト・フライズランド・シープ(East Friesland sheep))、又は搾乳用家畜(dairy stock)を後にトランスジェニック系統の繁殖により導入することが望ましい。いずれにしても、既知の、良好な健康状態の動物を使用すべきである。
【0246】
乳腺における発現を得るため、ミルクタンパク質遺伝子からの転写プロモーターが使用される。ミルクタンパク質遺伝子は、カゼイン(U.S.5,304,489を参照されたい)、ベータ-ラクトグロブリン、a-ラクトアルブミン、および乳清酸性タンパク質をコード化している遺伝子を含む。ベータ-ラクトグロブリン(BLG)プロモーターが好適である。ヒツジのベータ-ラクトグロブリン遺伝子の場合において、前記遺伝子の5'側方配列(5' flanking sequence)の少なくとも近位の406bpの領域が一般に使用される、しかし、より大きい部分の5'側方配列(約5kbp)が好適である(例えば、ベータ-ラクトグロブリン遺伝子の5'側方のプロモーターおよび非翻訳領域部分を含む、~4.25kbpのDNAセグメント)(Whitelaw et al., Biochem. J. 286: 31-39 (1992)を参照されたい)。他の種からのプロモーターDNAの類似するフラグメントも適切である。
【0247】
ベータ-ラクトグロブリン遺伝子の他の領域も、構築物に導入し得る(発現される遺伝子のゲノム領域として)。イントロンを欠損している構築物が、例えば、係るDNA配列を含有するものと比較して、貧弱に発現することは、当該技術分野において一般的に認められている(Brinster et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 836-840 (1988); Palmiter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 478-482 (1991); Whitelaw et al., Transgenic Res. 1: 3-13 (1991); WO 89/01343;およびWO 91/02318を参照されたい、これらの各々は本明細書中に参照により援用される)。この点において、所望のタンパク質またはポリペプチドをコード化している遺伝子の天然のイントロンの全て又は幾つかを含有しているゲノム配列を使用することは、可能な場合、一般的に好適である、従って、例えば、ベータ-ラクトグロブリン遺伝子からの少なくとも幾つかのイントロンの更なる包含が好適である。係る領域の1つは、ヒツジのベータ-ラクトグロブリン遺伝子の3'非翻訳領域からイントロンスプライシングおよびRNAポリアデニル化に関して提供されるDNAセグメントである。遺伝子の天然の3'非翻訳領域配列に対して置換される場合、このヒツジのベータ-ラクトグロブリンセグメントは、所望のタンパク質またはポリペプチドの発現レベルを増強する及び安定化することができる。他の態様の範囲内で、変異体VII因子配列の開始ATGを包囲している領域は、ミルク特異的なタンパク質遺伝子からの対応する配列で置換される。係る置換により、推定上の組織特異的な開始環境が提供されて、発現が増強される。全体の変異体VII因子プレ-プロおよび5'非翻訳配列を、例えばBLG遺伝子のもので置換することは都合がよいけれども、より小さな領域が置換され得る。
【0248】
VII因子ポリペプチド変異体のトランスジェニック動物における発現に関して、変異体VII因子をコード化しているDNAセグメントは、その発現に要求される付加的なDNAセグメントに動作可能に連結されて、発現ユニットを産生する。係る付加的なセグメントは、前述のプロモーター、同様に転写の終結およびmRNAのポリアデニル化に要求される配列を含む。前記発現ユニットは、分泌性シグナル配列をコード化しているDNAセグメントを更に含み、該配列は修飾されたVII因子をコード化しているセグメントに動作可能に連結されている。分泌性シグナル配列は、天然のVII因子分泌性シグナル配列であってもよく又は別のタンパク質(例えば、ミルクタンパク質)のものであってもよい(例えば、von Heijne, Nucl. Acids Res. 14: 4683-4690 (1986);およびMeade等、U.S.4,873,316を参照されたい、これらは本明細書中に参照により援用される)。
【0249】
トランスジェニック動物における使用に関する発現ユニットの構築は、変異体VII因子配列を、付加的なDNAセグメントを含んでいるプラスミドまたはファージベクターへと挿入することにより都合よく実施されるが、発現ユニットは基本的に連結物(ligations)の何れかの配列により構築され得る。ミルクタンパク質をコード化しているDNAセグメントを含んでいるベクターを提供すること及びミルクタンパク質に関するコード配列を、VII因子変異体のもので置換することは、特に都合がよく;これによってミルクタンパク質遺伝子の発現制御配列(expression control sequences)を含む遺伝子融合体が作出される。いずれにしても、プラスミドまたは他のベクターに発現ユニットをクローニングすることにより、変異体VII因子配列の増幅が促進される。増幅は細菌性(例えば、大腸菌)の宿主細胞において都合よく実施される、それゆえ前記ベクターは、細菌性の宿主細胞において機能的な複製開始点および選択可能なマーカーを典型的に含む。発現ユニットは、次に選択された宿主種の受精卵(早期段階の胚を含む)へと導入される。異種性DNAの導入は、マイクロインジェクション(例えば、米国特許4,873,191号)、レトロウイルス感染(Jaenisch, Science 240: 1468-1474 (1988))、または胚性幹(ES)細胞を用いた部位特異的統合(site-directed integration)(Bradley et al., Bio/Technology 10: 534-539 (1992)により論評されている)を含む、いくつかの経路の1つにより達成できる。前記卵は、次に偽妊娠メスの卵管(oviducts)または子宮に移植され、期間(term)まで発生させる。生殖系列において導入されたDNAを保持している子孫は、前記DNAを彼らの後代(progeny)へと通常のメンデル様式で伝達して、トランスジェニック群(transgenic herds)の発生を可能にする。トランスジェニック動物を生産するための一般的な処置は、当該技術分野において知られている(例えば、Hogan et al., Manipulating the Mouse Embryo: A Laboratory Manual, Cold Sp
ring Harbor Laboratory, 1986; Simons et al., Bio/Technology 6: 179-183 (1988); Wall et al., Biol. Reprod. 32: 645-651 (1985); Buhler et al., Bio/Technology 8: 140-143 (1990); Ebert et al., Bio/Technology 9: 835-838 (1991); Krimpenfort et al., Bio/Technology 9: 844-847 (1991); Wall et al., J. Cell. Biochem. 49: 113-120 (1992); U.S.4,873,191; U.S.4,873,316; WO 88/00239、WO 90/05188、WO 92/11757;およびGB 87/00458を参照されたい)。外来のDNA配列を哺乳類及び彼らの胚細胞へと導入するための技術は、最初にマウスにおいて開発された(例えば、 Gordon et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77: 7380-7384 (1980); Gordon and Ruddle, Science 214: 1244-1246 (1981); Palmiter and Brinster, Cell 41: 343-345 (1985); Brinster et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 4438-4442 (1985); およびHogan et al. (ibid.)を参照されたい)。これらの技術は、引き続いて、大型の動物(家畜種を含む)での使用に関して適用された(例えば、WO 88/00239、WO 90/05188、およびWO 92/11757;およびSimons et al., Bio/Technology 6: 179-183 (1988)を参照されたい)。要約すると、トランスジェニックマウスまたは家畜の産生においてこれまで使用された最も効率的な経路において、所望のDNAの数百の直鎖状分子が、受精卵の前核(pro-nuclei)の1つに注射される(樹立された技術にしたがって)。接合体(zygote)の細胞質へのDNAの注射も使用できる。
【0250】
トランスジェニック植物における生産も使用し得る。発現を、一般化又は特定の器官(例えば、塊茎)に方向付けてもよい(Hiatt, Nature 344:469-479 (1990); Edelbaum et al., J. Interferon Res. 12:449-453 (1992); Sijmons et al., Bio/Technology 8:217-221 (1990); および EP 0 255 378を参照されたい)。
【0251】
本発明のVII因子ポリペプチド変異体は、細胞培養培地またはミルクから回収される。本発明のVII因子ポリペプチド変異体は、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティー、疎水性、等電点電気泳動、およびサイズ排除)、電気泳動的な処置(例えば、調製用の等電点電気泳動(IEF))、溶解度の差異(例えば、硫安塩析)、または抽出を含む、当該技術分野において知られる種々の処置によって精製し得るが、これらに限定されない(例えば、Protein Purification, J.-C. Janson and Lars Ryden, editors, VCH Publishers, New York, 1989を参照されたい)。好ましくは、それらはアフィニティークロマトグラフィーを抗VII因子抗体カラム上で行うことにより精製し得る。カルシウム依存性モノクローナル抗体の使用〔Wakabayashi et al., J. Biol. Chem. 261:11097-11108, (1986) および Thim et al., Biochemistry 27: 7785-7793, (1988)〕は、特に好適である。付加的な精製は、従来の化学的な精製手段(例えば、高速液体クロマトグラフィー)により達成し得る。バリウムクエン酸塩沈殿を含む他の精製方法は、当該技術分野において知られており、本明細書中に記載される新規のVII因子ポリペプチド変異体の精製に適用し得る(例えば、Scopes, R., Protein Purification, Springer-Verlag, N.Y., 1982を参照されたい)。
【0252】
治療上の目的に関して、本発明のVII因子ポリペプチド変異体は実質的に純粋である。従って、本発明の好適な態様において、本発明のVII因子ポリペプチド変異体は、少なくとも約90から95%均質(homogeneity)、好ましくは少なくとも約98%均質にまで精製される。純度は、例えば、ゲル電気泳動およびアミノ末端アミノ酸シークエンシングにより評価し得る。
【0253】
VII因子変異体は、その活性化部位で切断される(それをその2鎖形態へと転換するために)。活性化は、当該技術分野において既知の処置〔例えば、Osterud, et al., Biochemistry 11:2853-2857 (1972); Thomas、U.S.Patent No. 4,456,591; Hedner and Kisiel, J. Clin. Invest. 71:1836-1841 (1983); or Kisiel and Fujikawa, Behring Inst. Mitt. 73:29-42 (1983)に記載されたもの〕にしたがって実施し得る。あるいは、Bjoernら(Research Disclosure, 269 September 1986, pp. 564-565)によって記載されているように、VII因子をMono Q(登録商標)(Pharmacia fine Chemicals)などのイオン交換クロマトグラフィーに通すことにより、活性化してもよい。次いで、生じる活性化されたVII因子変異体を後述するように処方し、および投与してもよい。
【0254】
アッセイ法:
また、本発明は、本発明による好適なVIIa因子変異体を選択するための適切なアッセイを提供する。これらのアッセイは、単純な予備的インビトロ検査として実施できる。
【0255】
本明細書中の実施例3は、本発明のVIIa因子変異体の活性に関する、単純な検査(「インビトロ加水分解アッセイ法」)を開示する。それに基づいて、特に興味深いVIIa因子変異体は次のような変異体である、つまり前記変異体の活性と天然のVII因子の活性との間の比率(図1に示される)が、1.0を超える、例えば、少なくとも約1.25、好ましくは少なくとも約2.0、例えば少なくとも約3.0または、更により好ましくは少なくとも約4.0である(「インビトロ加水分解アッセイ法」において試験される場合)。
【0256】
また、前記変異体の活性は、X因子などの生理学的な基質を、適切には100〜1000nMの濃度で使用して測定してもよく(「インビトロタンパク質分解アッセイ法」)(実施例4を参照されたい)、この場合、Xa因子の生成は、適切な色素生産性基質(例えば、S-2765)を添加した後に測定される。加えて、活性アッセイ法は、生理学的な温度で行ってもよい。
【0257】
トロンビンを生成するVIIa因子変異体の能力は、全ての関連性のある凝固因子およびインヒビターの生理的濃度(血友病A条件を模倣する場合、マイナスVIII因子)および活性化された血小板(Monroe et al. (1997) Brit. J. Haematol. 99, 542-547のp.543に記載のとおり、これは本明細書中に参照として援用される)を含むアッセイにおいて測定できる。
【0258】
投与および薬学的組成物
本発明によるVII因子ポリペプチド変異体を、出血障害をコントロールするために使用し得る〔この出血障害は、いくつかの原因、例えば、凝固因子欠損(例えば、血友病AおよびBまたは凝固因子XIまたはVIIの欠損)または凝固因子インヒビターによるものである〕、又は、それらを、過剰な出血を被験者〔該被験者は正常に機能している血液凝固カスケード(凝固因子欠損または任意の凝固因子に対するインヒビターが存在しない)を有する〕においてコントロールするために使用し得る。前記出血は、欠陥のある血小板機能、血小板減少症、またはフォンウィルブランド病により生じる可能性がある。それらは、増加した線維素溶解性活性(fibrinolytic activity)が、多様な刺激により誘導された被験者においても認められる。
【0259】
手術または莫大な外傷に関連して、広範な組織損傷を受けている被検者では、止血機構による即時性の止血の要求によっては手に負えず、彼らは、正常な止血機構であるにもかかわらず出血を発生してしまうであろう。満足な止血を達成することは、出血が器官(例えば、脳、内耳領域および目)に生じた場合にも問題である、また、びまん性の出血(出血性胃炎および大量の子宮出血)の場合にも問題である(出血源を同定することが困難である場合)。同じ問題は、種々の器官(肝臓、肺、腫瘍組織、胃腸管)からの生検を行うプロセスにおいて、並びに腹腔鏡検査手術(laparoscopic surgery)において起こるであろう。これらの状況は、外科的な技術(縫合術、クリップ、など)による止血を提供することの困難性を共有する。急性の(Acute)及び多量の(profuse)出血は、与えられた治療によって止血の欠陥が誘導される抗凝固療法の被検者においても生じるであろう。係る被験者は、抗凝血性効果(anticoagulant effect)が急速に中和される(counteracted)べき場合において、外科的な介入を必要とするだろう。不満足な止血のケースにおいて問題を発生させるであろう別の状況は、正常な止血機構(haemostatic mechanism)を有する被験者が血栓塞栓性疾患(thromboembolic disease)を阻止するための抗凝固療法を施された場合である。係る療法には、ヘパリン、他の形態のプロテオグリカン、ワルファリンまたは他の形態のビタミンK−アンタゴニスト、並びにアスピリンおよび他の血小板凝集阻害剤が含まれるだろう。
【0260】
凝固カスケードの全身性の活性化により、播種性血管内血液凝固(DIC;disseminated intravascular coagulation)が発生し得る。しかしながら、このような合併症は、組換え型VIIa因子の高用量で治療した被験者において認められていない(というのも、この種類の局所性の止血性プロセスは、VIIa因子および血管壁傷害の部位で暴露されたTFの間の複合体形成により誘導されるからである)。従って、本発明によるVII因子ポリペプチド変異体は、正常な止血性機構と関連する過剰な出血をコントロールするために、それらの活性型において使用されてもよい。
【0261】
計画的な(deliberate)介入に関連した治療のためには、本発明のVII因子ポリペプチド変異体は、典型的には介入を行う前の約24時間以内に、およびその後に7日以上の間投与される。凝固剤としての投与は、本明細書に記載されているような種々の経路によるものであってもよい。
【0262】
VII因子ポリペプチド変異体の用量は、被検者の体重および症状の重篤さに依存して、負荷投与量および維持量として、70kgの被検者について約0.05mg〜約500mg/日、好ましくは約1mg〜約200mg/日、及び、より好ましくは約10mg〜約175mg/日の範囲で変動する。
【0263】
前記薬学的組成物は、予防的および/または治療的な治療に関して、非経口投与を主に意図している。好ましくは、前記薬学的組成物は、非経口的、すなわち静脈内に、皮下に、または筋肉内に投与される、又はそれは連続的な若しくはパルス状(pulsatile)の輸液により投与されてもよい。非経口投与に関する組成物は、本発明のVII因子変異体と、薬学的に許容される担体(好ましくは、水溶性担体)との組み合わせ(好ましくは該担体中に溶解される)を具備する。水、緩衝水、0.4%生理食塩水、0.3%グリシンなどの種々の水溶性担体を使用してもよい。また、本発明のVII因子ポリペプチド変異体は、傷害の部位に対してデリバリーまたはターゲティングするために、リポソーム標品(liposome preparations)に処方することもできる。リポソーム標品は、例えば、U.S.4,837,028、U.S.4,501,728、およびU.S.4,975,282に一般的に記載されている。前記組成物は、従来のよく知られた滅菌法技術で殺菌し得る。生じる水溶液は、使用のためにパックされ、または無菌条件下で濾過して凍結乾燥されていてもよく、凍結乾燥された標品は、投与の前に滅菌水溶液と混合される。前記組成物は、たとえば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、その他などの、pHを調整する及び緩衝化する薬剤、緊張度(tonicity)を調整する薬剤などの、生理学的条件に近づけるために必要とされるような、薬剤的に許容される補助物質を含んでいてもよい。
【0264】
これらの処方におけるVII因子変異体の濃度は、広範囲に変化していてもよく、すなわち、約0.5重量%未満、通常少なくとも約1重量%以上から、15または20重量%程度にまで変更することができ、選択される特定の投与方法にしたがって、主に液体体積、粘性、その他によって選択される。
このようにして、静脈内輸液のための典型的な薬学的組成物は、250mlの無菌のリンゲル液および10mgの前記VII因子変異体を含むように作出することができる。非経口的に投与可能な組成物を調製するための実施の方法は、当業者に既知または明白であり、例えば、文献〔Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th ed., Mack Publishing Company, Easton, PA (1990)〕に更に詳細に記載されている。
【0265】
本発明のVII因子ポリペプチド変異体を含有している組成物は、予防的および/または治療的な治療のために投与することができる。治療的な適用において、組成物は、すでに疾患に罹患している被検者に対して、疾患およびその合併症を治癒する(cure)、軽減する(alleviate)、または部分的に抑える(partially arrest)ために十分な量で、上記の通りに投与される。これを達成するのに十分な量は、「治療的に効果的な量(therapeutically effective amount)」として定義される。当業者に理解されるであろうとおり、本目的のための有効な量は、疾患または傷害の重篤さ、並びに被検者の重量および一般的な状態に依存する。しかしながら、通常は、前記効果的な量は、約0.05mgから約500mgまでのVII因子変異体/日を70kg被験者に投与する範囲で変動し、約1.0mgから約200mgのVII因子変異体/日がより一般的に使用される。
【0266】
本発明のFVIIaポリペプチドは、一般に重篤な疾病または傷害の状態において、すなわち生命に脅威となる、または潜在的に生命に脅威となる状況において使用し得る。そのような場合、外来物質の極小化およびヒトにおけるヒトVII因子ポリペプチドの免疫原性の一般的な欠如の点からみて、治療する医師によって、これらの変異体VII因子組成物を実質的に過剰に投与することが望ましいと感じられるであろう。
【0267】
予防的適用において、本発明のVII因子変異体を含む組成物は、疾病状態または傷害に感受性があるか、又はさもなければリスクのある被験者に投与されて、被検者自身の凝固能力を増強する。このような量は、「予防的に有効な用量(prophylactically effective dose)」であると定義される。予防的な適用において、正確な量は、被験者の健康および重量の状態に依存するが、用量は、一般に約0.05mgから約500mg/日を70キログラム被験者に対し、より一般には約1.0mgから約200mg/日を70キログラム被験者に対する範囲にわたる。
【0268】
前記組成物の一回または複数回の投与は、治療する医者により選択される用量レベル及びパターンで実施し得る。一日の維持レベル(daily maintenance levels)を必要とする外来患者に関して、前記VII因子ポリペプチド変異体は、連続的な点滴(例えば、携帯型のポンプシステムを用いた)により投与してもよい。
【0269】
本発明のVII因子変異体の局所的デリバリー、たとえば局所的適用は、たとえば噴霧、灌流、二重バルーンカテーテル、ステント、血管グラフトまたはステントに組み込むこと、バルーンカテーテルを被覆するために使用されるヒドロゲル、またはその他のよく確立された方法によって行ってもよい。いずれにしても、前記薬学的組成物は、被験者を有効に治療するために十分なVII因子変異体の量を提供するべきである。
【0270】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明されるが、これは、保護の範囲を限定するものとして解釈されない。これまでの記載において、および以下の実施例において、開示された特徴は、別々に、およびその任意の組み合わせの両方ともが、本発明のその多様な形態に具現化するための材料(material)である。
【実施例】
【0271】
以下の実施例において使用される、アミノ酸置換に関する用語は、以下のとおりである。第1文字は、配列番号1のポジションに天然に存在するアミノ酸を表す。続く番号は、配列番号1におけるポジションを表す。第2文字は、天然のアミノ酸に対し置換される、異なるアミノ酸を表す。例はL305V/F374Y-FVII、配列番号1のポジション305でのロイシンがバリンで置換される、配列番号1のポジション374でのフェニルアラニンがチロシンで置換される(双方の突然変異は同じVII因子ポリペプチド変異体における)。
【0272】
実施例1
L305V/S314E/F374Y-FVII、L305V/K337A/F374Y-FVII、L305V/S314E/K337A/F374Y-FVII、および V158D/E296V/M298Q/L305V/S314E/K337A/F374Y-FVIIをコード化しているDNA。
【0273】
L305V/S314E/F374Y-FVII、L305V/K337A/F374Y-FVII、L305V/S314E/K337A/F374Y-FVII、およびV158D/E296V/M298Q/L305V/S314E/K337A/F374Y-FVIIをコード化しているDNA構築物は、部位特異的突然変異誘発を、高次コイルの、二重鎖のDNAベクター(所望の挿入物を有する)、および2つの合成プライマー(所望の変異を含んでいる)を用いて実施することにより調製された。以下のプライマーを使用した(引き続くPCR反応において、所望のFVII変異体を得ることが必要な場合):
【0274】
L305V-FVIIに関して:
5’-CGT GCC CCG GGT GAT GAC CCA GGA C-3’(配列番号2)
5’-GTC CTG GGT CAT CAC CCG GGG CAC G-3’(配列番号3)
【0275】
K337A-FVIIに関して:
5’-CGG ATG GCA GCG CGG ACT CCT GCA AGG G-3’(配列番号4)
5’-CCC TTG CAG GAG TCC GCG CTG CCA TCC G-3’(配列番号5)
【0276】
V158D-FVIIに関して:
5’-GTG GGG GGC AAG GAC TGC CCC AAA GGG G-3’(配列番号6)
5’-CCC CTT TGG GGC AGT CCT TGC CCC CCA C-3’(配列番号7)
【0277】
E296V/M298Q-FVIIに関して:
5’-GCC ACG GCC CTG GTG CTC CAG GTC CTC AAC GTG CCC-3’(配列番号8)
5’-GGG CAC GTT GAG GAC CTG GAG CAC CAG GGC CGT GGC-3’(配列番号9)
【0278】
S314E-FVIIに関して:
5’-GCC TGC AGC AGG AAC GGA AGG TGG GAG ACT CC-3’ 配列番号10)
5’-GGA GTC TCC CAC CTT CCG TTC CTG CTG CAG GC-3’(配列番号11)
【0279】
F374Y-FVIIに関して:
5’-CGC AAC CGT GGG CCA CTA TGG GGT GTA CAC C-3’(配列番号12)
5’-GGT GTA CAC CCC ATA GTG GCC CAC GGT TGC G-3’(配列番号13)
【0280】
前記ベクターの反対の鎖に対してそれぞれ相補的なオリゴヌクレオチドプライマーを、Pfu DNAポリメラーゼによって温度サイクリングの間に伸長した。プライマーの取り込みにおいて、ねじれ型のニック(staggered nicks)を含む変異プラスミドが産生された。温度サイクリングの後、メチル化およびヘミメチル化されたDNAに特異的であるDpnIで産物を処理して、親のDNA鋳型を消化し、変異を含有する合成DNAを選択した。
【0281】
特異的なプライマーを用いた、ポリメラーゼ連鎖反応法を用いた、本発明による全てのFVII変異体に対するDNA構築物を調製するための処置は、当該技術分野の当業者に周知である(cf. PCR Protocols、1990、Academic Press、San Diego、California、USA)。
【0282】
実施例2
L305V/S314E/F374Y-FVII、L305V/K337A/F374Y-FVII、およびL305V/S314E/K337A/F374Y-FVIIの調製。
【0283】
BHK細胞を、基本的に文献(Thim et al. (1988) Biochemistry 27, 7785-7793; Persson and Nielsen (1996) FEBS Lett. 385, 241-243)に以前に記載されたとおり形質移入して、特異的なFVII変異体の発現を得た。前記VII因子変異体を以下の通り精製した:
【0284】
条件培地(Conditioned medium)を、25-mlカラムのQセファロース・ファースト・フロー(ファルマシア バイオテック)に、5mM EDTA、0.1%トリトンX-100、および10mM Tris、pHの調製を8.0および伝導率の調整を水を添加することにより10〜11mS/cmにしたものを添加した後に、ロードした。
【0285】
前記タンパク質の溶出は、10mM Tris、50mM塩化ナトリウム、0.1% トリトンX-100、pH8.0から10mM Tris、50mM塩化ナトリウム、25mM CaCl2、0.1%トリトンX-100、pH8.0に移行することにより達成された。特定のFVII変異体を含有している分画を、プールし、そしてモノクローナル抗体 F1A2(Novo Nordisk、Bagsvaerd、デンマーク)をCNBr-活性化セファロース4B(ファルマシア バイオテック)に連結したものを含んでいる25-mlカラムに適用した。
【0286】
前記カラムを、50mM Hepes、pH7.5(10mM CaCl2、100mM塩化ナトリウム、および0.02%トリトンX-100を含んでいる)で平衡化した。平衡化緩衝液および2M NaClを含有している平衡化緩衝液で洗浄した後、結合した物質は、CaCl2の代わりに10mM EDTAを含有している平衡化緩衝液で溶出された。使用または貯蔵の前に、過剰CaCl2(EDTAに対して)を添加した又は特定のFVII変異体をCa2+含有緩衝液に移した。各工程の収率をVII因子ELISA測定に続いて実施し、そして精製タンパク質をSDS-PAGEにより分析した。実施例1による他の変異体 FVII変異体および本発明による全ての他の変異体は、同じ方法で調製し得る。
【0287】
実施例3
インビトロ加水分解アッセイ法
【0288】
天然の(野生型)VIIa因子およびVIIa因子変異体(両者とも、これ以降「VIIa因子」と称する)を、平行して、直接これらの比活性を比較するためにアッセイする。アッセイ法は、マイクロタイタープレート(MaxiSorp, Nunc, Denmark)において行う。終濃度1mMの色素生産性基質D−Ile−Pro−Arg−p−ニトロアニリド(S-2288、Chromogenix,Sweden)を、VIIa因子(終濃度100nM)の0.1M NaCl、5mM CaCl2、および1mg/mlのウシ血清アルブミンを含む50mMのHepes、pH7.4溶液に添加する。405nmの吸光度を、SpectraMax(登録商標)340プレートリーダー(Molecular Devices, USA)において連続的に測定する。20分のインキュベーションの間に発生した吸光度を、酵素を含んでいない空のウェルの吸光度を減算した後に、変異体および野生型のVIIa因子活性の間の比を算出するために使用する:
【0289】
比率=(A405nm VIIa因子変異体)/(A405nm VIIa因子野生型)。
【0290】
実施例4
インビトロ・タンパク質分解アッセイ法
【0291】
天然の(野生型)VIIa因子およびVIIa因子変異体(両者とも、これ以降「VIIa因子」と称する)を、平行して、直接これらの比活性を比較するためにアッセイする。アッセイ法は、マイクロタイタープレート(MaxiSorp, Nunc, Denmark)において行う。VIIa因子(10nM)およびX因子(0.8microM)を100microLの50mM Hepes、pH7.4(0.1M塩化ナトリウム、5mM CaCl2および1mg/mlウシ血清アルブミンを含有している)に含む溶液を、15分間インキュベーションした。生成したXa因子の量は、色素生産性基質Z−D−Arg−Gly−Arg−p−ニトロアニリド(S-2765, Chromogenix, Sweden)(終濃度0.5mM)の添加によって測定する。405nmの吸光度を、SpectraMax(登録商標)340プレートリーダー(Molecular Devices, USA)において連続的に測定する。10分の間に発生した吸光度を、FVIIaを含んでいない空のウェルの吸光度を減算した後に、変異体および野生型のVIIa因子のタンパク分解活性間の比を算出するために使用する:
【0292】
比率=(A405nm VIIa因子変異体)/(A405nm VIIa因子野生型)。
【0293】
実施例5
FVIIa変異体の相対活性を、実施例3および4に記載したアッセイにおいて測定した。
【0294】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0295】
【図1】図1は、天然の(野生型)ヒト凝固因子VIIの完全なる(full)アミノ酸配列を示す(配列番号1)。
【図1−2】図1-2は、天然の(野生型)ヒト凝固因子VIIの完全なる(full)アミノ酸配列を示す(配列番号1)。
【図2】図2は、配列番号2〜13の配列を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1のアミノ酸配列に関して、少なくとも2つの置換を具備するVII因子ポリペプチドであって、該置換は(i)F374の任意の他のアミノ酸での置換、および(ii)L305、S314、K157、K337、D334、S336、V158、E296、およびM298からなる群から選択される1以上のアミノ酸の任意の他のアミノ酸での置換である、VII因子ポリペプチド。
【請求項2】
請求項1に記載のVII因子ポリペプチドであって、F374が任意の他のアミノ酸で置換され、K157が任意の他のアミノ酸で置換されたVII因子ポリペプチド。
【請求項3】
請求項1または2に記載のVII因子ポリペプチドであって、F374が任意の他のアミノ酸で置換され、K337が任意の他のアミノ酸で置換されたVII因子ポリペプチド。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載のVII因子ポリペプチドであって、F374が任意の他のアミノ酸で置換され、D334が任意の他のアミノ酸で置換されたVII因子ポリペプチド。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載のVII因子ポリペプチドであって、F374が任意の他のアミノ酸で置換され、S336が任意の他のアミノ酸で置換されたVII因子ポリペプチド。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載のVII因子ポリペプチドであって、F374が任意の他のアミノ酸で置換され、V158が任意の他のアミノ酸で置換されたVII因子ポリペプチド。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載のVII因子ポリペプチドであって、F374が任意の他のアミノ酸で置換され、E296が任意の他のアミノ酸で置換されたVII因子ポリペプチド。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載のVII因子ポリペプチドであって、F374が任意の他のアミノ酸で置換され、M298が任意の他のアミノ酸で置換されたVII因子ポリペプチド。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載のVII因子ポリペプチドであって、F374が任意の他のアミノ酸で置換され、L305が任意の他のアミノ酸で置換されたVII因子ポリペプチド。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか1項に記載のVII因子ポリペプチドであって、F374が任意の他のアミノ酸で置換され、S314が任意の他のアミノ酸で置換されたVII因子ポリペプチド。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか1項に記載のVII因子ポリペプチドであって、前記プロテアーゼドメインの残りのポジションにおいて少なくとも1つのアミノ酸が、任意の他のアミノ酸で置換されたVII因子ポリペプチド。
【請求項12】
請求項11に記載のVII因子ポリペプチドであって、前記プロテアーゼドメインの残りのポジションにおいて多くとも20の付加的なアミノ酸が、任意の他のアミノ酸で置換されたVII因子ポリペプチド。
【請求項13】
請求項11〜12の何れか1項に記載のVII因子ポリペプチドであって、配列番号1の159〜170から選択されたポジションでのアミノ酸に対応する、少なくとも1つのアミノ酸が、任意の他のアミノ酸で置換されたVII因子ポリペプチド。
【請求項14】
請求項11〜13の何れか1項に記載のVII因子ポリペプチドであって、配列番号1の290〜304から選択されたポジションでのアミノ酸に対応する、少なくとも1つのアミノ酸が、任意の他のアミノ酸で置換されたVII因子ポリペプチド。
【請求項15】
請求項14に記載のVII因子ポリペプチドであって、R304がTyr、Phe、Leu、およびMetからなる群から選択されるアミノ酸により置換されるVII因子ポリペプチド。
【請求項16】
請求項11〜15の何れか1項に記載のVII因子ポリペプチドであって、配列番号1の306〜312から選択されたポジションでのアミノ酸に対応する、少なくとも1つのアミノ酸が、任意の他のアミノ酸で置換されたVII因子ポリペプチド。
【請求項17】
請求項16に記載のVII因子ポリペプチドであって、M306がAsp、およびAsnからなる群から選択されるアミノ酸により置換されるVII因子ポリペプチド。
【請求項18】
請求項16に記載のVII因子ポリペプチドであって、D309がSer、およびThrからなる群から選択されるアミノ酸により置換されるVII因子ポリペプチド。
【請求項19】
請求項11〜18の何れか1項に記載のVII因子ポリペプチドであって、配列番号1の330〜339から選択されたポジションでのアミノ酸に対応する、少なくとも1つのアミノ酸が、任意の他のアミノ酸で置換されたVII因子ポリペプチド。
【請求項20】
請求項11〜19の何れか1項に記載のVII因子ポリペプチドであって、A274が任意の他のアミノ酸で置換されたVII因子ポリペプチド。
【請求項21】
請求項20に記載のVII因子ポリペプチドであって、前記A274がMet、Leu、Lys、およびArgからなる群から選択されるアミノ酸により置換されるVII因子ポリペプチド。
【請求項22】
配列番号1のアミノ酸配列に関して、2つの置換を有するVII因子ポリペプチドであって、該置換は(i)F374の任意の他のアミノ酸での置換、および(ii)L305、S314、K157、K337、D334、S336、V158、E296、およびM298からなる群から選択される1つのアミノ酸の任意の他のアミノ酸での置換である、VII因子ポリペプチド。
【請求項23】
配列番号1のアミノ酸配列に関して、3つの置換を有するVII因子ポリペプチドであって、該置換は(i)F374の任意の他のアミノ酸での置換、および(ii)L305、S314、K157、K337、D334、S336、V158、E296、およびM298からなる群から選択される2つのアミノ酸の任意の他のアミノ酸での置換である、VII因子ポリペプチド。
【請求項24】
配列番号1のアミノ酸配列に関して、4つの置換を有するVII因子ポリペプチドであって、該置換は(i)F374の任意の他のアミノ酸での置換、および(ii)L305、S314、K157、K337、D334、S336、V158、E296、およびM298からなる群から選択される3つのアミノ酸の任意の他のアミノ酸での置換である、VII因子ポリペプチド。
【請求項25】
配列番号1のアミノ酸配列に関して、5つの置換を有するVII因子ポリペプチドであって、該置換は(i)F374の任意の他のアミノ酸での置換、および(ii)L305、S314、K157、K337、D334、S336、V158、E296、およびM298からなる群から選択される4つのアミノ酸の任意の他のアミノ酸での置換である、VII因子ポリペプチド。
【請求項26】
配列番号1のアミノ酸配列に関して、6つの置換を有するVII因子ポリペプチドであって、該置換は(i)F374の任意の他のアミノ酸での置換、および(ii)L305、S314、K157、K337、D334、S336、V158、E296、およびM298からなる群から選択される5つのアミノ酸の任意の他のアミノ酸での置換である、VII因子ポリペプチド。
【請求項27】
配列番号1のアミノ酸配列に関して、7つの置換を有するVII因子ポリペプチドであって、該置換は(i)F374の任意の他のアミノ酸での置換、および(ii)L305、S314、K157、K337、D334、S336、V158、E296、およびM298からなる群から選択される6つのアミノ酸の任意の他のアミノ酸での置換である、VII因子ポリペプチド。
【請求項28】
配列番号1のアミノ酸配列に関して、8つの置換を有するVII因子ポリペプチドであって、該置換は(i)F374の任意の他のアミノ酸での置換、および(ii)L305、S314、K157、K337、D334、S336、V158、E296、およびM298からなる群から選択される7つのアミノ酸の任意の他のアミノ酸での置換である、VII因子ポリペプチド。
【請求項29】
配列番号1のアミノ酸配列に関して、9つの置換を有するVII因子ポリペプチドであって、該置換は(i)F374の任意の他のアミノ酸での置換、および(ii)L305、S314、K157、K337、D334、S336、V158、E296、およびM298からなる群から選択される8つのアミノ酸の任意の他のアミノ酸での置換である、VII因子ポリペプチド。
【請求項30】
配列番号1のアミノ酸配列に関して、10の置換を有するVII因子ポリペプチドであって、該置換は(i)F374の任意の他のアミノ酸での置換、および(ii)アミノ酸 L305、S314、K157、K337、D334、S336、V158、E296、およびM298の任意の他のアミノ酸での置換である、VII因子ポリペプチド。
【請求項31】
請求項1、2、22〜30の何れか1項に記載のVII因子ポリペプチドであって、前記K157がGly、Val、Ser、Thr、Asn、Gln、Asp、およびGluからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたVII因子ポリペプチド。
【請求項32】
請求項1、3、22〜30の何れか1項に記載のVII因子ポリペプチドであって、前記K337がAla、Gly、Val、Ser、Thr、Asn、Gln、Asp、およびGluからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたVII因子ポリペプチド。
【請求項33】
請求項1、4、22〜30の何れか1項に記載のVII因子ポリペプチドであって、前記D334がGly、およびGluからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたVII因子ポリペプチド。
【請求項34】
請求項1、5、22〜30の何れか1項に記載のVII因子ポリペプチドであって、前記S336がGly、およびGluからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたVII因子ポリペプチド。
【請求項35】
請求項1、6、22〜30の何れか1項に記載のVII因子ポリペプチドであって、前記V158がSer、Thr、Asn、Gln、Asp、およびGluからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたVII因子ポリペプチド。
【請求項36】
請求項1、7、22〜30の何れか1項に記載のVII因子ポリペプチドであって、前記E296がArg、Lys、Ile、Leu、およびValからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたVII因子ポリペプチド。
【請求項37】
請求項1、8、22〜30の何れか1項に記載のVII因子ポリペプチドであって、前記M298がLys、Arg、Gln、およびAsnからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたVII因子ポリペプチド。
【請求項38】
請求項1、9、22〜30の何れか1項に記載のVII因子ポリペプチドであって、前記L305がVal、Tyr、およびIleからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたVII因子ポリペプチド。
【請求項39】
請求項1、10、22〜30の何れか1項に記載のVII因子ポリペプチドであって、前記S314がGly、Lys、Gln、およびGluからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたVII因子ポリペプチド。
【請求項40】
請求項1〜10、22〜30の何れか1項に記載のVII因子ポリペプチドであって、前記F374がPro、およびTyrからなる群から選択されるアミノ酸で置換されたVII因子ポリペプチド。
【請求項41】
請求項40に記載のVII因子ポリペプチドであって、前記F374がTyrで置換されたVII因子ポリペプチド。
【請求項42】
請求項1〜14、16、19〜20、22〜30の何れか1項に記載のVII因子ポリペプチドであって、前記アミノ酸が、ポリヌクレオチド構築物でコード化できる、任意の他のアミノ酸で置換されたVII因子ポリペプチド。
【請求項43】
前記VII因子ポリペプチドがヒトVII因子である、請求項1〜42の何れか1項に記載のVII因子ポリペプチド。
【請求項44】
前記VII因子ポリペプチドがヒトVIIa因子である、請求項1〜42の何れか1項に記載のVII因子ポリペプチド。
【請求項45】
請求項1〜44の何れか1項に記載のVII因子ポリペプチドであって、前記VII因子ポリペプチドの活性と配列番号1に示される天然のVIIa因子ポリペプチドの活性との間の比率は、少なくとも約1.25であるVII因子ポリペプチド。
【請求項46】
請求項45に記載のVII因子ポリペプチドであって、前記比率が少なくとも約2.0、好ましくは少なくとも約4.0であるVII因子ポリペプチド。
【請求項47】
前記VII因子ポリペプチドがF374Y/L305V-FVIIである、請求項22に記載のVII因子ポリペプチド。
【請求項48】
前記VII因子ポリペプチドがF374Y/L305V/S314E/K337A-FVIIである、請求項24に記載のVII因子ポリペプチド。
【請求項49】
前記VII因子ポリペプチドがF374Y/L305V/S314E-FVIIである、請求項23に記載のVII因子ポリペプチド。
【請求項50】
前記VII因子ポリペプチドがF374Y/L305V/K337A-FVIIである、請求項23に記載のVII因子ポリペプチド。
【請求項51】
請求項1〜50の何れかに記載のVII因子ポリペプチドをコード化しているポリヌクレオチド構築物。
【請求項52】
前記ポリヌクレオチド構築物がベクターである、請求項51に記載のポリヌクレオチド構築物。
【請求項53】
請求項51〜52の何れか1項に記載のポリヌクレオチド構築物を含む宿主細胞。
【請求項54】
前記宿主細胞が真核細胞である、請求項53に記載の宿主細胞。
【請求項55】
前記宿主細胞が哺乳類由来である、請求項54に記載の宿主細胞。
【請求項56】
請求項55に記載の宿主細胞であって、前記細胞がCHO細胞、HEK細胞、およびBHK細胞からなる群から選択される宿主細胞。
【請求項57】
請求項51に規定したポリヌクレオチド構築物を含んでいる及び発現しているトランスジェニック動物。
【請求項58】
請求項51に規定したポリヌクレオチド構築物を含んでいる及び発現しているトランスジェニック植物。
【請求項59】
請求項1〜50の何れかに規定したVII因子ポリペプチドを産生するための方法であって、請求項53〜56の何れか1項に規定した細胞を、適切な成長培地中で前記ポリヌクレオチド構築物の発現を許容する条件下で培養することと、および生じたポリペプチドを前記培養培地から回収することとを含む方法。
【請求項60】
請求項1〜50の何れかに規定したVII因子ポリペプチドを産生するための方法であって、前記VII因子ポリペプチドを、請求項57に規定したトランスジェニック動物により産生されたミルクから回収することを含む方法。
【請求項61】
請求項1〜50の何れかに規定したVII因子ポリペプチドを産生するための方法であって、請求項58に規定したトランスジェニック植物の細胞を培養することと、および前記VII因子ポリペプチドを前記植物から回収することとを含む方法。
【請求項62】
配列番号1のアミノ酸配列に関して、少なくとも2つの置換を具備するVII因子ポリペプチド、該置換は(i)F374の任意の他のアミノ酸での置換、および(ii)L305、S314、K157、K337、D334、S336、V158、E296、およびM298からなる群から選択される1以上のアミノ酸の任意の他のアミノ酸での置換;並びに、任意に薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
【請求項63】
請求項1〜50の何れかに規定したVII因子ポリペプチド、および、任意に、薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
【請求項64】
配列番号1のアミノ酸配列に関して、少なくとも2つの置換を具備するVII因子ポリペプチドの使用であって、該置換は(i)F374の任意の他のアミノ酸での置換、および(ii)L305、S314、K157、K337、D334、S336、V158、E296、およびM298からなる群から選択される1以上のアミノ酸の任意の他のアミノ酸での置換であり、出血障害もしくは出血の発症の治療に対する又は正常な止血系の増強に対する医薬を調製するための使用。
【請求項65】
出血障害もしくは出血の発症の治療に対する又は正常な止血系の増強に対する医薬を調製するための、請求項1〜50の何れかに規定したVII因子ポリペプチドの使用。
【請求項66】
血友病AまたはBの治療に対する、請求項64〜65の何れか1項に記載の使用。
【請求項67】
被験者における出血障害または出血の発症の治療のための又は正常な止血系の増強のための方法であって、配列番号1のアミノ酸配列に関して、少なくとも2つの置換を具備するVII因子ポリペプチド〔ここで該置換は(i)F374の任意の他のアミノ酸での置換、および(ii)L305、S314、K157、K337、D334、S336、V158、E296、およびM298からなる群から選択される1以上のアミノ酸の任意の他のアミノ酸での置換である〕の治療的に又は予防的に効果的な量を;それを必要とする被験者に投与することを含む方法。
【請求項68】
被験者における出血障害または出血の発症の治療のための又は正常な止血系の増強のための方法であって、請求項1〜50の何れかに規定したVII因子ポリペプチドの治療的に又は予防的に効果的な量を、それを必要とする被験者に投与することを含む方法。
【請求項69】
医薬として使用するための、請求項1〜50の何れか1項に規定したVII因子ポリペプチド。

【図1】
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【図1−2】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−516384(P2006−516384A)
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−538770(P2004−538770)
【出願日】平成15年9月24日(2003.9.24)
【国際出願番号】PCT/DK2003/000625
【国際公開番号】WO2004/029090
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(501497563)ノボ ノルディスク ヘルス ケア アクチェンゲゼルシャフト (58)
【Fターム(参考)】