ヒト化抗5T4抗体および抗5T4抗体/カリケアマイシン接合体
キメラおよびヒト化抗5T4抗体および抗体/薬物接合体、ならびにその調製法および使用法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
2004年9月10日に出願された米国特許仮出願番号60/608,494の優先権を主張し、この特許は全体として本発明の一部として参照される。
本発明は一般に、悪性疾患を治療するためのヒト化抗体および抗体/薬物接合体(すなわち、免疫接合体)に関する。さらに詳細には、本発明はヒト化抗5T4抗体、前記抗体を調製するための単離された可変領域核酸およびポリペプチド、ならびに抗5T4/細胞毒素接合体、特に抗5T4/カリケアマイシン接合体に関する。
【背景技術】
【0002】
全身性薬物療法のために開発された薬物接合体は、標的特異性治療薬である。この概念は、所定の標的細胞集団について結合特異性を有する担体分子に治療薬をカップリングさせることを含む。高親和性モノクローナル抗体の利用可能性は、免疫療法、すなわち、抗体を標的とする薬物の開発を促進してきた。モノクローナル抗体と接合した治療薬は、細胞毒素、生物反応修飾物質、酵素(たとえば、リボヌクレアーゼ)、アポトーシス誘発タンパク質およびペプチド、ならびに放射性同位元素を包含する。抗体/細胞毒素接合体はしばしば免疫細胞毒素と称し、一方、抗体および低分子量薬物、たとえば、メトトレキサートおよびアドリアマイシンからなる抗体/薬物接合体は化学抗体/薬物接合体と呼ばれる。免疫賦活剤は、リンホカインなどの調節機能を有することが知られている生物反応修飾物質、成長因子、および補体活性化コブラ毒因子(CVF)を含有する。放射性抗体/薬物接合体は、放射性同位元素からなり、これはその放射線により細胞を殺すための治療薬として使用できるか、あるいは画像化のために使用できる。抗体により薬物を腫瘍細胞に送達することは、正常組織におけるその取り込みを最小限に抑えることにより薬物の殺腫瘍効果を増大させる。たとえば、レフ(Reff)ら(2002)Cancer Control9:152−66;シーバー(Sievers)(2000)Cancer Chemother. Pharmacol.補遺46:S18−22;ゴールデンバーグ(Goldenberg)(2001)Crit. Rev. Oncol. Hematol.39:195−201参照。MYLOTARG(ゲムツズマブ・オゾガマイシン(gemtuzumab ozogamicin))は商業的に入手可能な抗体/薬物接合体であって、この原理に従って作用し、高齢の患者における急性骨髄性白血病の治療に関して承認されているものである。シーバーズ(Sievers)ら、(1999)Blood 93:3678−84参照。この場合において、標的分子は、カリケアマイシンと接合する抗CD33モノクローナル抗体である。
【0003】
ヒトにおける免疫療法は、一つには非ヒトモノクローナル抗体に対する反対反応のために制限されてきた。齧歯類抗体を用いた当初の臨床試験により、ヒト抗マウス抗体(HAMA)およびヒト抗ラット抗体(HARA)は反応し、これは抗体の迅速な除去に至ることが明らかになった。以来、キメラ抗体、ヒト化抗体、PRIMATIZED抗体、およびトランスジェニックマウスまたはファージディスプレーライブラリーを用いて調製されるヒト抗体をはじめとする、免疫原性の低い抗体が開発されている。モリソン(Morrison)ら、(1984)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851−5;クィーン(Queen)ら、(1989)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:10029−33;ニューマン(Newman)ら、(1992)Biotechnology (NY)10:1455−60;グリーン(Green)ら、(1994)Nat. Genet. 7:13−21;マーク(Marks)ら、(1991)J. Mol. Biol. 222:581−97参照。HAMA反応を回避することにより、治療反応を達成するために高用量および反復投与が可能になる。
【0004】
キメラ抗体は、組み換えクローニング技術を用いて調製され、非ヒト種抗体(すなわち、抗原で免疫化される種)からの抗原結合部位を含有する可変領域、およびヒト免疫グロブリンからの定常領域が含められる。ヒト化抗体は、キメラ抗体の1種であり、抗原結合に関与する可変領域のこれらの残基のみが非ヒト種由来であり、残りの可変領域残基ならびに定常領域はヒトである。ヒト化抗体は従来のキメラ抗体よりも免疫原性が低く、ヒトに投与された後に改善された安定性を示す。ベニンコサ(Benincosa)ら、(2000)J. Pharmacol. Exp. Ther. 292:810−6;カロフォノス(Kalofonos)ら、(1994)Eur. J. Cancer 30A:1842−50;スブラマニアン(Subramanian)ら、(1998)Pediatr. Infect. Dis. J. 17:110−5参照。
【0005】
薬物ターゲティングの候補抗体は、腫瘍胎児抗原、すなわち、胎児細胞および新生細胞上に存在する抗原を認識し、主として正常成人細胞にはない抗体を包含する。たとえば、マグデレナト(Magdelenat)(1992)J.Immunol.Methods 150:133−43参照。5T4腫瘍胎児抗原は、42kDaの非グリコシル化コアを含む、72kDaの高度にグリコシル化された膜貫通糖タンパク質である(ホール(Hole)ら、(1988)Br.J.Cacner 57:239−46、ホール(Hole)ら、(1990)Int.J.Cancer 45:179−84;PCT国際特許公開番号WO89/07947;米国特許第5,869,053号参照)。5T4は、2つのロイシンリッチな繰り返し(LRR)および介在する親水性領域により特徴づけられ、標的療法に使用可能な抗原である細胞外ドメインを含む(マイヤーズ(Myers)ら、(1994)J.Biol.Chem.269:9319−24)。
【0006】
ヒト5T4は、膀胱癌、乳ガン、子宮頸ガン、子宮内膜癌、肺ガン、食道癌、卵巣癌、膵臓癌、胃ガン、および睾丸癌をはじめとする多くの種類の癌において発現され、胎盤の栄養細胞合胞体層を除いては、正常細胞には実質的にない(たとえば、サウサール(Southall)ら、(1990)Br. J. Cancer 61: 89−95(正常および悪性組織における5T4抗原の免疫組織学的分布(immunohistologicacl distribution of 5T4 antigen in normal and malignant tissues));ミーケ(Mieke)ら、(1997)Clin. Cancer Res. 3: 1923−1930 (腫瘍細胞上の低い細胞間接着分子1および高い5T4発現は、結腸直腸癌患者における無病生存率の低下と相関する(low intercellular adhesion molecule 1およびhigh 5T4 expression on tumor cells correlate with reduced disease−free survival in colorectal carcinoma patients));スタージンスカ(Starzynska)ら、(1994)Br. J. Cancer 69: 899−902(直腸結腸癌における5T4腫瘍胎児抗原発現の予後的意義(prognostic significance of 5T4 oncofetal antigen expression in colorectal carcinoma));スタージンスカ(Starzynska)ら、(1992)Br. J. Cancer 66: 867−869 (直腸結腸癌および胃ガンにおける5T4抗原の発現(expression of 5T4 antigen in colorectalおよびgastric carcinoma));ジョーンズ(Jones)ら、(1990)Br. J. Cancer 61: 96−100 (子宮頸ガンにおける5T4抗原の発現(expression of 5T4 antigen in cervical cancer));コナー(Connor)およびスターン(Stern)(199)Int. J. Cancer 46: 1029−1034(子宮頸ガンにおけるMHCクラス−I発現の喪失(loss of MHC class−I expression in cervical carcinomas));アリ(Ali)ら、(2001)Oral Oncology 37: 57−64(正常、異形成および悪性口腔粘膜上の5T4腫瘍胎児抗原の発現のパターン(pattern of expression of the 5T4 oncofoetal antigen on normal、dysplastic and malignant oral mucosa)); PCT国際特許公開番号WO89/07947;米国特許第5,869,053号参照)。たとえば、5T4の発現がないと報告されている組織としては、肝臓、皮膚、脾臓、胸腺、中枢神経系(CNS)、副腎、および卵巣が挙げられる。限局性または低い5T4の発現を有すると報告されている組織としては、肝臓、皮膚、脾臓、リンパ節、扁桃腺、甲状腺、前立腺、および精嚢が挙げられる。5T4の弱〜中拡散発現は、腎臓、肺、膵臓、咽頭、および胃腸管において報告されている。5T4の高い発現を有すると報告されている唯一の組織は合胞体栄養細胞層であり;5T4は正常血清または妊婦の血清にもなかった(すなわち、<10 ng/mlのレベル)。腫瘍における5T4の過剰発現は、疾患の進行と相関し、5T4発現の評価は短期的予後の患者を特定するための有用な方法であることが示唆されている(マルダー(Mulder)ら、(1997)Clin. Cancer Res.3;1923−30、ナガヌマ(Naganuma)ら、(2002)Anticancer Res.22:1033−8、ストラジンスカ(Strazynska)ら、(1994)Br.J.Cancer69:899−902、ストラジンスカ(Strazynska)ら、(1998)Eur.J.Gastroenterol.Hepatol.10:479−84、リングレイ(Wringley)ら、(1995)Int.J.Gynecol.Cancer 5 269−274))。
【0007】
5T4抗体の立体構造エピトープを認識するmAb5T4(H8抗体とも呼ばれる)(ショー(Shaw)ら、(2002)Biochem.J.363:136−45、PCT国際特許公開番号WO98/55607)、ラットモノクローナル抗体(ウッズ(Woods)ら、(2002)Biochem.J.366:353−65)、および5T4マウスモノクローナル抗体(米国特許第5,869,053号)をはじめとするいくつかの非ヒト抗5T4抗体が記載されている。単鎖抗5T4抗体、ならびに治療分子と融合した抗5T4抗体配列を含む融合タンパク質も記載されている。たとえば、ヒトIgG1定常ドメインまたはネズミB7.1の細胞外ドメインと融合した抗5T4抗体配列は、5T4発現腫瘍細胞系の細胞崩壊を誘発する(マイヤーズ(Myers)ら、(2002)Cancer Gene Ther.9:884−96、ショー(Shaw)ら、(2000)Biochem.Biophys.Acta.1524:238−46;米国特許出願公開番号2003/0018004)。同様に、スーパー抗原と融合した単鎖抗5T4抗体は、インビトロで非小細胞肺癌細胞のT細胞依存性細胞崩壊を刺激し得る(フォースバーグ(Forsberg)ら、(2001)Br.J.Cancer 85:129−36)。PNU−214936、突然変異スーパー抗原ブドウ球菌エンテロトサイトトキシンA(SEA)と融合したモノクローナル抗体5T4のネズミFabフラグメントを用いた第I相臨床試験は、限定された細胞毒性および多少の抗腫瘍反応を示した(チェン(Cheng)ら、(2004)J. Clin. Oncol. 22(4):602−609)。別の治療法として、癌の治療に関して組み換え5T4ワクチンが示唆されている(マルリャン(Mulryan)ら、(2002)Mol.Cancer Ther.1:1129−37;英国特許出願公開番号2,370,571および2,378,704;欧州特許出願公開番号EP1,160,323および1,152,060)。
【特許文献1】米国特許仮出願番号60/608,494明細書
【特許文献2】PCT国際特許公開番号WO89/07947明細書
【特許文献3】米国特許第5,869,053号明細書
【特許文献4】PCT国際特許公開番号WO98/55607明細書
【特許文献5】米国特許出願公開番号2003/0018004明細書
【特許文献6】英国特許出願公開番号2,370,571明細書
【特許文献7】英国特許出願公開番号2,378,704明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開番号EP1,160,323明細書
【特許文献9】欧州特許出願公開番号EP1,152,060明細書
【非特許文献1】レフ(Reff)ら(2002)Cancer Control 9:152−66
【非特許文献2】シーバーズ(Sievers)(2000)Cancer Chemother. Pharmacol.46 補遺:S18−22
【非特許文献3】ゴールデンバーグ(Goldenberg)(2001)Crit. Rev. Oncol. Hematol.39:195−201
【非特許文献4】シーバーズ(Sievers)ら、(1999)Blood 93:3678−84
【非特許文献5】モリソン(Morrison)ら、(1984)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851−5
【非特許文献6】クィーン(Queen)ら、(1989)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:10029−33
【非特許文献7】ニューマン(Newman)ら、(1992)Biotechnology (NY)10:1455−60
【非特許文献8】グリーン(Green)ら、(1994)Nat. Genet. 7:13−21
【非特許文献9】マーク(Marks)ら、(1991)J. Mol. Biol. 222:581−97
【非特許文献10】ベニンコサ(Benincosa)ら、(2000)J. Pharmacol. Exp. Ther. 292:810−6
【非特許文献11】カロフォノス(Kalofonos)ら、(1994)Eur. J. Cancer 30A:1842−50
【非特許文献12】スブラマニアン(Subramanian)ら、(1998)Pediatr. Infect. Dis. J. 17:110−5
【非特許文献13】マグデレナト(Magdelenat)(1992)J.Immunol.Methods 150:133−43
【非特許文献14】ホール(Hole)ら、(1988)Br.J.Cancer 57:239−46
【非特許文献15】ホール(Hole)ら、(1990)Int.J.Cancer 45:179−84
【非特許文献16】マイヤーズ(Myers)ら、(1994)J.Biol.Chem.269:9319−24
【非特許文献17】サウサール(Southall)ら、(1990)Br. J. Cancer 61: 89−95
【非特許文献18】ミーケ(Mieke)ら、(1997)Clin. Cancer Res. 3: 1923−1930
【非特許文献19】スタージンスカ(Starzynska)ら、(1994)Br. J. Cancer 69: 899−902
【非特許文献20】スタージンスカ(Starzynska)ら、(1992)Br. J. Cancer 66: 867−869
【非特許文献21】ジョーンズ(Jones)ら、(1990)Br. J. Cancer 61: 96−100
【非特許文献22】コナー(Connor)およびスターン(Stern)(199)Int. J. Cancer 46: 1029−1034
【非特許文献23】アリ(Ali)ら、(2001)Oral Oncology 37: 57−64
【非特許文献24】マルダー(Mulder)ら、(1997)Clin. Cancer Res.3;1923−30
【非特許文献25】ナガヌマ(Naganuma)ら、(2002)Anticancer Res.22:1033−8
【非特許文献26】ストラジンスカ(Strazynska)ら、(1994)Br.J.Cancer69:899−902
【非特許文献27】ストラジンスカ(Strazynska)ら、(1998)Eur.J.Gastroenterol.Hepatol.10:479−84
【非特許文献28】リングレイ(Wringley)ら、(1995)Int.J.Gynecol.Cancer 5 269−274
【非特許文献29】ショー(Shaw)ら、(2002)Biochem.J.363:136−45
【非特許文献30】ウッズ(Woods)ら、(2002)Biochem. J. 366: 353−65
【非特許文献31】マイヤーズ(Myers)ら、(2002)Cancer Gene Ther.9:884−96
【非特許文献32】ショー(Shaw)ら、(2000)Biochem.Biophys.Acta.1524:238−46
【非特許文献33】フォースバーグ(Forsberg)ら、(2001)Br.J.Cancer 85:129−36
【非特許文献34】チェン(Cheng)ら、(2004)J. Clin. Oncol. 22(4):602−609
【非特許文献35】マルリャン(Mulryan)ら、(2002)Mol.Cancer Ther.1:1129−37
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
免疫療法の潜在的な標的として5T4に相当興味があるにもかかわらず、治療薬に結合した抗5T4抗体を用いる療法は記載されていない。本発明は、ヒト化抗5T4抗体および抗体/薬物接合体、ならびに開示された抗体および抗体/薬物接合体を製造する方法ならびにその治療的使用法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、キメラおよびヒト化抗5T4抗体および抗体フラグメント、ならびにその調製法および使用法を提供する。本発明の抗5T4抗体は、少なくとも1つの軽鎖または少なくとも1つの重鎖、あるいはそのフラグメントを含み、ここにおいて、キメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントは、(a)少なくとも約1x10−7 M〜約1x10−12 Mの結合親和力でヒト5T4抗原と特異的に結合するか;(b)1x10−11 Mよりも高い結合親和力でヒト5T4抗原と特異的に結合するか;(c)5x10−11 Mよりも高い結合親和力でヒト5T4抗原と特異的に結合するか;(d)ヒト5T4抗原と結合するネズミH8抗5T4抗体の結合親和力よりも高い結合親和力でヒト5T4抗原と特異的に結合するか;(e)インビボで5T4発現細胞を特異的に標的とするか;(f)(a)〜(e)のいずれか一つの抗体とヒト5T4抗原との結合に関して競合するか;(g)(a)〜(e)のいずれか一つにより結合したエピトープと特異的に結合するか;あるいは(h)(a)〜(e)のいずれか一つの抗原結合ドメインを含む。本発明のキメラおよびヒト化抗5T4抗体は、ヒト定常領域由来である定常領域、たとえば、IgG1またはIgG4定常領域を含む。たとえば、ヒトIgG1重鎖定常領域は配列番号25または85〜89のいずれか一つのアミノ酸配列を含み得る。もう一つ別の例として、ヒトIgG4重鎖定常領域は241位でプロリンを含み得る。
【0010】
本発明の代表的なキメラ抗5T4抗体は、(a)配列番号1のアミノ酸1〜107を含む軽鎖可変領域配列、(b)配列番号2のアミノ酸配列1〜120を含む重鎖可変領域配列、あるいは(c)配列番号1の残基1〜107のアミノ酸配列を含む可変領域を含む軽鎖、および配列番号2の残基1〜120のアミノ酸配列を含む可変領域を含む重鎖を含む抗体を包含する。さらなる代表的なキメラ抗5T4抗体は、(a)配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖、および配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖;あるいは(b)配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖、および配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖を含む抗体を包含する。
【0011】
本発明の代表的なヒト化抗5T4抗体は、(a)ヒト抗体フレームワーク領域の残基を含むフレームワーク領域;および(b)配列番号17の軽鎖可変領域の1つまたは複数のCDRあるいは配列番号18の重鎖可変領域の1つまたは複数のCDRを含む抗体を包含する。たとえば、ヒト抗体フレームワーク領域の残基は、(a)DPK24サブグループIV生殖細胞系クローン、VκIIIサブグループ、またはVκIサブグループ生殖細胞系クローンのヒト抗体軽鎖フレームワーク領域;(b)DP−75、DP−8(VH1−2)、DP−25、VI−2bおよびVI−3(VH1−03)、DP−15およびV1−8(VH1−08)、DP−14およびV1−18(VH1−18)、DP−5およびV1−24P(VH1−24)、DP−4(VH1−45)、DP−7(VH1−46)、DP−10、DA−6およびYAC−7(VH1−69)、DP−88(VH1−e)、DP−3およびDA−8(VH1−f)からなる群から選択されるヒト抗体重鎖フレームワーク領域;(c)(b)の重鎖フレームワーク領域のコンセンサス配列;あるいは(d)(a)〜(c)のフレームワーク領域と少なくとも95%同一であるフレームワーク領域を含み得る。
【0012】
本発明の代表的なヒト化抗5T4抗体は、配列番号17または18の2以上のCDR、たとえば、配列番号17の軽鎖可変領域の2または全3個のCDR、あるいは配列番号18の重鎖可変領域の2または全3個のCDR、あるいは配列番号17の軽鎖可変領域の1つまたは複数のCDRおよび配列番号18の重鎖可変領域の1つまたは複数のCDR、あるいは配列番号17および18のすべてのCDRも含むことができる。
【0013】
本発明の代表的なヒト化抗5T4抗体は、(a)配列番号17または23のアミノ酸配列;(b)配列番号17と少なくとも78%同一であるアミノ酸配列;あるいは(c)配列番号23と少なくとも81%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域も含み得る。同様に、本発明のヒト化抗5T4抗体は:(a)配列番号22または81のヌクレオチド配列;(b)配列番号22の核酸と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列;(c)配列番号81の核酸配列と少なくとも91%同一であるヌクレオチド配列;あるいは(d)配列番号22または配列番号81の相補体と特異的にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリッド形成する核酸を含む核酸によりコード化される軽鎖可変領域配列を含むことができる。
【0014】
本発明の代表的なヒト化抗5T4抗体は、(a)配列番号18、19、および21のいずれか一つに記載されたアミノ酸配列;(b)配列番号18と少なくとも83%同一であるアミノ酸配列;(c)配列番号19と少なくとも81%同一であるアミノ酸配列;あるいは(d)配列番号21と少なくとも86%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域も含み得る。同様に、本発明のヒト化抗体は、(a)配列番号20、82、または83のヌクレオチド配列;(b)配列番号20または配列番号83の核酸と少なくとも91%同一であるヌクレオチド配列;(c)配列番号82の核酸と少なくとも94%同一であるヌクレオチド配列;あるいは(d)配列番号20、82、および83のいずれか一つの相補体とストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリッド形成する核酸を含む核酸によりコード化される重鎖可変領域配列を含むことができる。
【0015】
本発明のさらなる代表的なヒト化抗5T4抗体は、(a)配列番号5の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号6の残基1〜120のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;(b)配列番号5の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号6の重鎖アミノ酸配列;(c)配列番号7の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号8の残基1〜120のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;(d)配列番号7の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号8の重鎖アミノ酸配列;(e)配列番号9の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域 、および配列番号10の残基1〜120のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;(f)配列番号9の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号10の重鎖アミノ酸配列;(g)配列番号11の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号12の残基1〜120のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;(h)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号12の重鎖アミノ酸配列;(i)配列番号11の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;(j)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号84の重鎖アミノ酸配列;(k)配列番号11の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号8の残基1〜120のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;ならびに(l)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号8の重鎖アミノ酸配列を含む抗体を包含する。
【0016】
(a)本発明のキメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメント;および(b)抗体に直接的または間接的に結合した薬物を含む、薬物送達のための抗体/薬物接合体も提供される。代表的な薬物としては、治療薬、たとえば、細胞毒素、放射性同位元素、免疫調節剤、血管新生阻害剤、抗増殖剤、抗増殖剤、アポトーシス誘発剤、化学療法薬、および治療用核酸が挙げられる。細胞毒素は、たとえば、抗生物質、チューブリン重合の阻害剤、アルキル化剤、タンパク質合成阻害剤、タンパク質キナーゼ阻害剤、ホスファターゼ阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、または酵素であってよい。抗生物質細胞毒素、たとえば、カリケアマイシン、カリケアマイシン、N−アセチル−γ−カリケアマイシン、またはその誘導体、たとえば、N−アセチル−γ−カリケアマイシンジメチルヒドラジドが抗ガン治療に特に有用である。
【0017】
開示された抗5T4抗体/薬物接合体は、抗体を薬物と結合させるリンカーを含む。代表的なリンカーとしては、4−(4’アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)、3−アセチルフェニル酸性酸(AcPac)、および4−メルカプト−4−メチル−ペンタン酸(アミド)が挙げられる。抗体/薬物接合体は、ポリエチレングリコールまたは薬物取り込みを向上させる他の薬剤も含むことができる。
【0018】
本発明はさらに、式:
5T4Ab(−X−W)m
(式中、5T4Abはキメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントであり;Xは、抗5T4抗体と反応し得る任意の反応性基の生成物を含むリンカーであり;Wは薬物であり;mは生成された接合生成物の平均装填量であり;(−X−W)mは薬物誘導体である)を有する抗体/薬物接合体を調製する方法を提供する。この方法に従って、薬物誘導体がキメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントに添加され、ここにおいて、薬物はキメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントの3〜10重量%である。薬物誘導体およびキメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントを次に、約7〜9の範囲のpHを有する、非求核性タンパク質適合性の緩衝溶液中でインキュベートして、抗体/薬物接合体を生成させ、ここにおいて、溶液はさらに(i)適当な有機共溶媒、および(ii)少なくとも1つの胆汁酸またはその塩を含む1つまたは複数の添加剤をさらに含み、インキュベーションは、約30℃〜約35℃の範囲の温度で、約15分〜約24時間の範囲の時間行われる。結果として得られた接合体を次いでクロマトグラフィー分離プロセスに付して、3〜10重量%の薬物の範囲のローディングで、低い接合フラクション(LCF)を有する抗体/薬物接合体を、未接合キメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメント、薬物誘導体、および凝集した接合体から分離する。この方法により生成される抗体/薬物接合体も提供される。
【0019】
薬物を5T4発現細胞に送達するために、本発明は、これにより、(i)キメラまたはヒト化抗5T4抗体、および(ii)直接または間接的にヒト化抗5T4抗体と結合した薬物を含む抗体/薬物接合体と細胞が接触させられる方法を提供する。開示された方法に従って、薬物が標的細胞内に取り込まれる。治療法も開示され、この方法は、5T4陽性癌を有する対象に、治療的に有効な量の、(i)キメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメント、および(ii)直接または間接的に抗5T4抗体または抗体フラグメントと結合した治療薬を含む抗5T4抗体/薬物接合体を投与することを含む。本発明の抗5T4療法は、改善された効果を得るために任意の他の公知治療法と組み合わせることができる。第二の治療薬を抗5T4抗体/薬物接合体との組み合わせにおいて、同時に、あるいは任意の順序で連続して投与することができる。
【0020】
キメラおよびヒト化抗5T4抗体
H8はハイブリドーマ生成モノクローナルマウスIgG1抗体であって、PCT国際特許公開番号WO98/55607およびForsbergら、(1997)J. Biol. Chem. 272(19):124430−12436において記載されているものである。本発明のキメラ抗5T4抗体は、ネズミ抗5T4抗体の可変領域配列およびヒト抗体配列由来の追加の残基を含む。本発明のヒト化抗5T4抗体は、マウス抗5T4抗体H8からの抗原結合残基およびヒト抗体配列由来の追加の残基を含む。開示されたキメラおよびヒト化抗5T4抗体は従って、キメラH8抗体およびヒト化H8抗体とも呼ばれる。代表的なキメラおよびヒト化H8抗体は図27A〜27Fに記載されている。
【0021】
抗体なる用語は、免疫グロブリンタンパク質、あるいは抗原結合部位(たとえば、Fab、修飾Fab、Fab’、F(ab’)2またはFvフラグメント、あるいは少なくとも1つの免疫グロブリン軽鎖可変領域または少なくとも1つの免疫グロブリン重鎖領域を有するタンパク質)を含む抗体フラグメントをさす。本発明のヒト化抗体は、ジアボディー、四量体抗体、単鎖抗体、四価抗体、多特異的抗体(たとえば、二特異的抗体)、ドメイン特異的抗体であって、特定のエピトープを認識するもの(たとえば、H8抗体により結合したエピトープを認識する抗体)を包含する。
【0022】
抗5T4抗体なる用語は、5T4抗原、特にヒト5T4抗原と特異的に結合する抗体をいう。5T4抗原は、トロホブラスト細胞および多くのガン細胞種の表面上に見られる72 kDa非グリコシル化リンタンパク質である。ホール(Hole)ら、(1988)、Br.J.Cancer 57:239−46;ホール(Hole)ら、(1990)Int.J.Cancer 45:179−184;PCT国際特許公開番号WO89/07947;米国特許第5,869,053号参照。
【0023】
結合なる用語は、2個の分子、たとえば、抗原と抗体間の親和力を意味する。本明細書において用いられる場合、特異的結合とは、複数の異なる抗原を含む異種サンプルにおける抗体の抗原に対する選択的結合を意味する。抗体の抗原に対する結合は、結合親和力が、少なくとも約10−7 M以上、たとえば、少なくとも約10−8 M以上、たとえば、少なくとも約10−9 M以上、少なくとも約10−11 M以上、または少なくとも約10−12 M 以上であるならば特異的である。たとえば、本発明の抗体のヒト5T4抗原に対する特異的結合は、少なくとも約1 x 10−7〜約1 x 10−12の範囲の結合を包含する。本発明の抗体のヒト5T4抗原に対する特異的結合は、少なくとも約3 x 10−10 M〜約12 x 10−10 Mの範囲、たとえば、約4 x 10−10 M〜約9 x 10−10 Mの範囲内、またはたとえば約7 x 10−10 M〜約12 x 10−10 Mの範囲内、またはたとえば約7 x 10−10 M〜約9 x 10−10 Mの範囲内、またはたとえば約9 x 10−10 M〜約12 x 10−10 Mの範囲内、またはたとえば約11 x 10−10 M〜約12 x 10−10 Mの範囲内の結合、あるいはさらに高い結合親和力、たとえば、約1.0 x 10−11 M〜約10 x 10−11 M、または約1.0 x 10−11 M〜約5 x 10−11 M、または約5.0 x 10−11 M〜約10 x 10−11 Mの結合を包含する。特異的結合なる語句は、対象に投与された場合の5T4発現細胞に対する選択的ターゲティングも意味する。
【0024】
キメラ抗体なる用語は、本明細書において、少なくとも2個の異なる種からの配列を含む抗体を説明するために使用される。ヒト化抗体は、キメラ抗体の1種である。キメラ抗5T4抗体は、(a)配列番号1の残基1〜107のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域および配列番号2の残基1〜120のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;(b)配列番号1の軽鎖アミノ酸配列および配列番号2の重鎖アミノ酸配列;あるいは(c)配列番号3の軽鎖アミノ酸配列および配列番号4の重鎖アミノ酸配列を含むことができる。
【0025】
ヒト化なる用語は、本明細書においては、抗原結合に関与する可変領域残基(すなわち、相補性決定領域の残基および抗原結合に関与する任意の他の残基)が非ヒト種由来であり、残りの可変領域残基(すなわち、フレームワーク領域の残基)および定常領域が、少なくとも一部、ヒト抗体配列由来である抗体を記載するために使用される。ヒト化抗体の可変領域および定常領域の残基は非ヒト源由来であってもよい。ヒト化抗体の可変領域は、ヒト化(すなわち、ヒト化軽鎖または重鎖可変領域)としても記載される。非ヒト種は、典型的には抗原での免疫化に使用されるもの、たとえば、マウス、ラット、ウサギ、ヒト以外の霊長類、あるいは他のヒト以外の哺乳動物種である。
【0026】
本発明の代表的なキメラおよびヒト化抗5T4抗体は、少なくとも1つの軽鎖または少なくとも1つの重鎖、あるいはそのフラグメントを含み、ここにおいて、キメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントは、(a)ヒト5T4抗原と少なくとも約1 x 10−7 M〜約1 x 10−12 Mの結合親和力で特異的に結合するか;(b)ヒト5T4抗原と1 x 10−11 Mより高い結合親和力で特異的に結合するか;(c)ヒト5T4抗原と5 x 10−11 Mより高い結合親和力で特異的に結合するか;(d)ヒト5T4抗原と、ネズミH8抗5T4抗体のヒト5T4抗原に対する結合よりも高い結合親和力で特異的に結合するか;(e)インビボで5T4発現細胞を特異的に標的とするか;(f)(a)〜(e)のいずれか一つの抗体と、ヒト5T4抗原に対する結合に関して競合するか;(g)(a)〜(e)のいずれか一つにより結合するエピトープに対して特異的に結合するか;あるいは(h)(a)〜(e)のいずれか一つの抗原結合ドメインを含む。
【0027】
ネズミH8抗5T4抗体は5T4の膜貫通ドメインに近い立体構造エピトープを認識することが証明されている。構造および免疫原性に関して重要であるグリコシル化、および分子内ジスルフィド結合が抗体の結合に必要とされる。H8抗5T4抗体はマウス5T4と結合しないが、マウスとヒト5T4間には84%の同一性があり、7のN−結合グリコシル化部位のうちの6は2者の間で保存される。N末端およびC末端システインもマウスとヒト5T4間で完全に保存される。ネズミH8抗体は、アミノ酸192でのN結合グリコシル化部位が除去される場合、ヒト5T4と結合することも証明されている(ショー(Shaw)ら、(2002)Biochem J. 365: 137−145)。H8抗5T4抗体がマウスLRR2を有するヒト/マウス5T4キメラ(残基173〜361がヒト残基173〜355と置換)と結合せず、さらに抗体は逆キメラと結合しないことを示唆するいくつかの証拠がある。キメラH8抗体およびヒト化H8抗体がどちらも、マウス残基282〜361を含有する5T4キメラと結合することを示唆する証拠もある。この証拠は、H8エピトープがアミノ酸173および252の間に位置するという結論を導く。さらなる証拠は、キメラH8が、マウス残基173〜258を含有するヒト/マウス抗5T4キメラと結合しないが、ヒト化H8抗体はさらに高い濃度で弱い結合を有することを示唆する。
【0028】
天然に存在する抗体は、約150,000ダルトンのテトラマー(H2L2)糖タンパク質であって、2つの同じ軽(L)鎖および2つの同じ重(H)鎖からなる。2つの重鎖はジスルフィド結合により互いに結合し、各重鎖はジスルフィド結合により軽鎖と結合する。軽鎖および重鎖のそれぞれは、アミノ末端可変領域および定常領域によりさらに特徴づけられる。可変なる用語は、可変ドメインのある部分が抗体のうちで配列において大きく異なり、その特定の抗原についての各抗体の結合親和力および特異性を実質的に決定する。軽鎖および重鎖のそれぞれの可変領域は、整列して抗原結合ドメインを形成する。代表的なヒト化H8可変領域は図24A〜22C(配列番号17、18、19、21、および23)に記載されている。
【0029】
テトラマー構造を有する抗体は、天然に存在する抗体と同様に、標準的技術を用いて組み換えにより調製することができる。組み換えにより生成された抗体は、単一の軽鎖および重鎖対の可変領域が抗原結合領域を含む単鎖抗体、およびヒト化抗5T4抗体の可変領域がエフェクター配列、たとえば、Fcドメイン、サイトカイン、免疫刺激物質、細胞毒素、または任意の他の治療用タンパク質と融合する融合タンパク質も含む。たとえば、ハーローおよびレーン(Harlow & Lane)(1988)Antibodies: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New Yorkおよび米国特許第4,196,265号;第4,946,778号;第5,091,513号;第5,132,405号;第5,260,203号;第5,677,427号;第5,892,019号;第5,985,279号;第6,054,561号参照。
【0030】
ホモ二量体およびヘテロ二量体を包含する2つの無傷テトラマー抗体を含む四価抗体(H4L4)は、たとえば、PCT国際特許公開番号WO02/096948に記載されているようにして調製できる。抗体二量体は、ヘテロ二機能的クロスリンカーを用いて、鎖間ジスルフィド結合形成を促進する、システイン残基の抗体定常領域中への導入(ウォルフ(Wolff)ら、(1993)Cancer Res.53:2560−4)、あるいは組み換え体を生成させて、二重定常領域を含める(スチーブンソン(Stevenson)ら、(1989)Anticancer Drug Des,3:219−30)ことによっても調製できる。
【0031】
相補性決定領域またはCDRなる用語は、抗原結合に関与する抗体可変領域の残基を意味する。CDRの多くの定義が一般的に使われている。Kabatの定義は、配列変可変性に基づき、Chothiaの定義は構造的ループ領域の位置に基づく。AbMの定義は、KabatおよびChothia法の妥協案である。軽鎖可変領域のCDRは、Kabat、Chothia、またはAbMアルゴリズムに従って、24および34(CDR1−L)、50および56(CDR2−L)、および89および97(CDR3−L)位の残基により結合している。Kabatの定義によると、重鎖可変領域のCDRは31および35B位(CDR1−H)、50および65位(CDR2−H)、ならびに95および102位(CDR3−H)(Kabatに従ってナンバリング)の残基により結合している。Chothiaの定義によると、重鎖可変領域のCDRは26および32位(CDR1−H)、52および56位(CDR2−H)、ならびに95および102位(CDR3−H)(Chothiaに従ってナンバリング)の残基により結合している。AbMの定義によると、重鎖可変領域のCDRは、26および35B位(CDR1−H)、50および58位(CDR2−H)、ならびに95および102位(CDR3−H)(Kabatに従ってナンバリング)の残基により結合している。マーチン(Martin)ら、(1989)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 92689272;マーチン(Martin)ら、(1991)Methods Enzymol. 203: 121153;ペダーセン(Pedersen)ら、(1992)Immunomethods 1: 126;およびリーズ(Rees)ら、(1996)In Sternberg M.J.E. (ed.)、タンパク質構造予測(Protein Structure Prediction)、オックスフォード大学出版部、Oxford、pp. 141172参照。
【0032】
特異性決定領域またはSDRなる用語は、超可変残基に対応する、抗原と直接的に相互作用するCDR内の残基である。(パドラン(Padlan)ら、(1995)FASEB J.9:133−9)参照。
【0033】
フレームワーク残基は、超可変残基以外の可変領域の残基である。ヒト化抗5T4抗体を調製するために使用できる重鎖可変領域の代表的なヒトフレームワークは、DP−75およびDP−8(VH1−2)、DP−25、VI−2bおよびVI−3(VH1−03)、DP−15およびV1−8(VH1−08)、DP−14およびV1−18(VH1−18)、DP−5およびV1−24P(VH1−24)、DP−4(VH1−45)、DP−7 (VH1−46)、DP−10、DA−6およびYAC−7(VH1−69)、DP−88 (VH1−e)、DP−3、ならびにDA−8(VH1−f)のフレームワーク領域を包含する。前記の個々の配列に基づくコンセンサスフレームワーク配列も使用することができる。図21〜23参照。代表的な軽鎖可変領域のヒトフレームワークは、ヒト生殖細胞系クローンDPK24および生殖細胞系クローンサブグループVκIIIおよびVκIを包含し、そのそれぞれは、H8軽鎖可変領域と比較した場合に60%より高いアミノ酸同一性を示す。図18〜20参照。
【0034】
開示されたヒト化抗5T4抗体の定常領域は、IgA、IgD、IgE、IgG、IgM、およびその任意のイソタイプ(たとえば、IgGのIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4イソタイプ)のいずれか一つからの定常領域由来である。ヒトイソタイプ(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)およびヒトイソタイプにおける特定のアミノ酸の修飾は、宿主防御機構の活性化を向上または排除し、本発明のヒト化抗体の生体内分布を変更することができる。(レフ(Reff)ら、(2002)Cancer Control 9:152−66)参照。
【0035】
以下に記載するように、ベニアリング、相補性決定領域(CDR)のグラフティング、短縮されたCDRのグラフティング、特異性決定領域(SDR)のグラフティング、およびFrankensteinアセンブリをはじめとする様々な方法のいずれか一つを用いてヒト化抗体を調製することができる。これらの一般法は標準的突然変異生成および合成技術と組み合わせて、任意の所望の配列を有する抗5T4抗体を生成させることができる。
【0036】
ベニアリングは、ヒトアミノ酸配列を有する抗体の溶媒接触可能な外側を再表面化することにより、齧歯類または他の非ヒト抗体において潜在的免疫原性アミノ酸配列を減少させる概念に基づく。かくして、ベニアされた抗体は、ヒト抗体に対してそれほど異質でないようである。パドラン(Padlan)(1991)Mol. Immunol. 28:489−98参照。非ヒト抗体は、(1)ヒト抗体のフレームワーク領域における同じ位置のものとことなる非ヒト抗体における露出した外部フレームワーク残基を同定し、そして(2)ヒト抗体におけるこれらの同じ位置を典型的に占有するアミノ酸で同定された残基を置換することによりベニアされる。
【0037】
CDRのグラフティングは、アクセプター抗体(たとえば、ヒト抗体)の1つまたは複数のCDRをドナー抗体(たとえば、非ヒト抗体)のCDRと置換することにより行われる。アクセプター抗体は、候補アクセプター抗体およびドナー抗体間のフレームワーク残基の類似性に基づいて選択することができ、さらに修飾して類似した残基を導入することができる。たとえば、ヒトアクセプターフレームワークは、ヒトサブグループIコンセンサス配列の重鎖可変領域であって、任意に1、28、48、67、69、71、および93の1つまたは複数の位置で非ヒトドナー残基を有してもよいものを含んでもよい。別の例として、ヒトアクセプターフレームワークは、ヒトサブグループIコンセンサス配列の軽鎖可変領域であって、任意に非ヒトドナー残基を2、3、4、37、38、45および60の1つまたは複数の位置で有してもよいものを含んでもよい。CDRグラフティング後に、ドナーおよび/またはアクセプター配列にさらに変更を加えて、抗体結合および機能性を最適化することができる。PCT国際特許公開番号WO91/09967参照。
【0038】
短縮されたCDRのグラフティングは関連する方法である。短縮されたCDRは、特異性決定残基および隣接するアミノ酸、たとえば、軽鎖における27d〜34、50〜55および89〜96位のもの、および重鎖における31〜35b、50〜58、および95〜101位のものを含む(Kabatら(1987)のナンバリング法))。パドラン(Padlan)ら、(1995)PASEB J.9:133−9参照。特異性決定残基(SDR)のグラフティングは、結合特異性および抗体結合部位の親和性が、相補性決定領域(CDR)のそれぞれの内の最も可変性の高い残基により決定されるという理解を前提とする。抗体−抗原複合体の三次元構造の分析は、利用可能なアミノ酸配列データの分析と併せて、CDR内のそれぞれの位置で生じるアミノ酸残基の構造的相違性に基づいて配列可変性のモデルを作るために使用した。パドラン(Padlan)ら、(1995)FASEB J. 9: 133−139参照。特異性決定残基(SDR)と呼ばれる、接触残基からなる最小免疫原性ポリペプチド配列が同定され、ヒトフレームワーク領域上にグラフトされる。
【0039】
Frankensteinの方法に従って、ヒトフレームワーク領域は関連する非ヒト抗体の各フレームワーク領域と実質的な配列同一性を有することが確認されており、非ヒト抗体のCDRは異なるヒトフレームワーク領域の複合体上にグラフトされる。本発明の抗体の調製に有用である関連する方法は、米国特許出願公開番号2003/0040606に記載されている。
【0040】
本明細書において開示されるヒト化抗5T4抗体は、典型的には少なくとも1つのヒト化軽鎖可変領域または重鎖可変領域を含む。従って、本発明のヒト化抗5T4抗体は、前記のようなベニアリング、短縮されたCDRまたはSDRのグラフティング、あるいはFrankensteinアセンブリにより調製された軽鎖可変領域、および非ヒト抗体の重鎖可変領域(たとえば、H8抗体または他の非ヒト抗5T4抗体)を含むことができる。別法として、非ヒト抗体の軽鎖可変領域をヒト化重鎖可変領域と組み合わせることができる。
【0041】
本発明の代表的なヒト化抗5T4抗体は(a)配列番号17の軽鎖可変領域または配列番号18の重鎖可変領域のCDRから選択される非ヒト抗5T4抗体の1つまたは複数のCDR、たとえば、配列番号17の軽鎖可変領域または配列番号18の重鎖可変領域のCDRから選択される2以上のCDRを有する抗体;(b)配列番号17の2または3のCDRを有する可変領域を含む軽鎖を有する抗体;および(c)配列番号18の2または3のCDRを有する可変領域を含む重鎖を有する抗体を含む。本発明の代表的なヒト化抗5T4抗体はさらに(a)配列番号17または23に記載される軽鎖可変領域アミノ酸配列;(b)配列番号17と少なくとも78%同一である軽鎖可変領域アミノ酸配列;または(c)配列番号23と少なくとも81%同一である軽鎖可変領域アミノ酸配列を有する抗体も含む。機能的ヒト化抗5T4抗体(すなわち、5T4抗原と特異的に結合する抗5T4抗体)の軽鎖可変領域は(a)配列番号22または配列番号81の核酸;(b)配列番号22の核酸と少なくとも90%同一である核酸;(c)配列番号81の核酸と少なくとも91%同一である核酸;または(d)配列番号22または配列番号81の相補体とストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下、たとえば、65℃での0.1XSSCの最終洗浄条件で特異的にハイブリッド形成する核酸によりコード化することができる。
【0042】
本発明の代表的なヒト化抗5T4抗体は(a)配列番号18、19、および21のいずれか一つに記載されている重鎖可変領域アミノ酸配列;(b)配列番号18と少なくとも83%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列;(c)配列番号19と少なくとも81%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列;または(d)配列番号21と少なくとも86%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列を有する抗体を含む。機能的ヒト化抗5T4抗体(すなわち、5T4抗原と特異的に結合する抗5T4抗体)の重鎖可変領域は(a)配列番号20、82、および83のいずれか一つの核酸;(b)配列番号20の核酸と少なくとも91%同一である核酸;(c)配列番号82の核酸と少なくとも94%同一である核酸;(d)配列番号83の核酸と少なくとも91%同一である核酸;または(e)配列番号20、82、および83のいずれか一つの相補体とストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、たとえば6℃で0.1XSSCの最終洗浄条件で特異的にハイブリッド形成する核酸によりコード化することができる。
【0043】
ヒト化抗5T4抗体は(a)配列番号5の残基1〜107のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域および配列番号6の残基1〜120のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;(b)配列番号5の軽鎖アミノ酸配列および配列番号6の重鎖アミノ酸配列;(c)配列番号7の残基1〜107のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域および配列番号8の残基1〜120のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;(d)配列番号7の軽鎖アミノ酸配列および配列番号8の重鎖アミノ酸配列;(e)配列番号9の残基1〜107のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域および配列番号10の残基1〜120のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;(f)a配列番号9の軽鎖アミノ酸配列および配列番号10の重鎖アミノ酸配列;(g)配列番号11の残基1〜107のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域および配列番号12の残基1〜120のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;あるいは(h)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列および配列番号12の重鎖アミノ酸配列を含むことができる。
【0044】
第一鎖の可変領域(すなわち、軽鎖可変領域または重鎖可変領域)がヒト化され、第二鎖の可変領域がヒト化されてない(すなわち、ヒト以外の種において生成された抗体の可変領域)、本発明のヒト化抗5T4抗体を構築することができる。これらの抗体は、本明細書において、半ヒト化抗体と称する。たとえば、抗5T4抗体は配列番号17または23のヒト化軽鎖可変領域、および非ヒト抗5T4抗体の重鎖可変領域、たとえば、配列番号14のネズミH8重鎖可変領域を含むことができる。別法として、抗5T4抗体は非ヒト抗5T4抗体のヒト化可変領域、たとえば、配列番号16のネズミH8軽鎖可変領域、および配列番号18、19、または21のいずれか一つのヒト化重鎖可変領域を含むことができる。ネズミH8以外の抗5T4非ヒト抗体を用いて、半ヒト化抗体、たとえば、ウッズ(Woods)ら、(2002)Biochem.J.366:353−65により記載されているラットモノクローナル抗体を調製することができる。
【0045】
開示されたヒト化抗5T4抗体の変異体は、様々な変化、置換、挿入、および欠失を含むように容易に調製することができ、ここにおいて、このような変化は使用において利益をもたらす。たとえば、抗体の血清半減期を増大させるために、まだ存在しないならば、サルベージレセプター結合エピトープを抗体重鎖配列中に組み入れることができる。米国特許第5,739,277号参照。抗体安定性を向上させるためのさらなる修飾は、残基241のセリンをプロリンで置換するIgG4の修飾を包含する。エンガル(Angal)ら、(1993)Mol.Immunol.30:105−108参照。他の有用な変化は、抗体を薬物と接合させる際の効率を最適化するために必要な置換を包含する。たとえば、抗体をそのカルボキシル末端で修飾して、薬物結合のためのアミノ酸を含めることができ、たとえば、1つまたは複数のシステイン残基を添加することができる。定常領域を修飾して、炭水化物または他の部分の結合のための部位を導入することができる。
【0046】
本発明のヒト化抗5T4抗体の変異体は、部位特異的突然変異誘発法、または組み換え法を包含する標準的組み換え技術を用いて生成させることができる。ヒト化抗5T4抗体の多様なレパートリーは、トランスジェニック非ヒト動物において遺伝子配列および遺伝子変換法により調製でき(米国特許公開番号2003/0017534)、これは次いで、機能分析を用いて関連する活性について試験される。本発明の特定の具体例において、抗5T4変異体は、親和性成熟プロトコル、たとえば、CDRの突然変異(ヤン(Yang)ら、(1995)J.Mol.Biol.254:392−403)、鎖シャッフリング(マークス(Marks)ら、(1992)Biotechnology(NY)10:779−783)、イー・コリの突然変異誘発株の使用(ロー(Low)ら、(1996)J.Mol.Biol.260:359−368)、DNAシャッフリング(パテン(Patten)ら、(1997)Curr.Opin.Biotechnol.8:724−733)、ファージディスプレー(トンプソン(Thompson)ら、(1996)J.Mol.Biol.256:77−88)、および性PCR(クラメリ(Crameri)ら、(1998)Nature 391:288−291)を包含する。免疫療法用途に関して、関連する機能分析は、実施例に記載されるように、ヒト5T4抗原に対する特異的結合、細胞毒素に接合した場合の抗体の内在化、および腫瘍を有する動物に投与された場合の腫瘍部位へのターゲティングを包含する。実施例1〜11参照。
【0047】
本発明はさらに、本発明のヒト化抗5T4抗体を発現する細胞および細胞系を提供する。代表的な宿主細胞は、哺乳動物およびヒト細胞、たとえば、CHO細胞、HEK−293細胞、HeLa細胞、CV−1細胞、およびCOS細胞を包含する。ヘテロローガスな構築物を宿主細胞中に形質転換した後に安定な細胞系を生成させる方法は、当該分野において公知である。代表的な非哺乳動物宿主細胞は、昆虫細胞(ポッター(Potter)ら、(1993)Int. Rev. Immunol. 10(2−3):103−112)を包含する。抗体は、トランスジェニック動物(ホーデバイン(Houdebine)(2002)Curr. Opin. Biotechnol. 13(6):625−629)およびトランスジェニック植物(シルバーグ(Schillberg)ら、(2003)Cell Mol. Life Sci. 60(3):433−45)においても生成させることができる。
【0048】
I.A.キメラおよびヒト化抗5T4核酸
本発明はさらに、抗5T4軽鎖および重鎖可変領域をコード化する単離された核酸を提供する。単離された核酸は、本明細書において開示されるように、ヒト化5T4抗体を調製するために使用できる。
【0049】
核酸分子および核酸なる用語は、それぞれ、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドおよび一本鎖、二本鎖、または三本鎖形態におけるそのポリマーを意味する。特に限定されない限り、この用語は、参考天然核酸と類似した性質を有する天然のヌクレオチドの公知類似体を含有する核酸を包含する。核酸分子または核酸なる用語は、遺伝子、cDNA、mRNA、またはcRNAの代わりにも用いられ得る。核酸は、有機体をはじめとする任意の生物源から合成することができるか、あるいは誘導することができる。ヒト化5T4抗体をコード化する核酸をクローンするための代表的な方法は実施例5に記載されている。
【0050】
本発明の代表的な核酸は、配列番号20、22、81、82、または83のいずれか一つのヌクレオチド配列を含む。本発明の核酸は、配列番号20、22、81、82、または83のいずれか一つの実質的に同一、たとえば、配列番号20、81、または83のいずれか一つと少なくとも91%同一であるか、あるいは配列番号22と少なくとも90%同一であるか、あるいは配列番号82と少なくとも94%同一であるヌクレオチド配列を含んでもよい。本明細書において以下に記載するように、クエリー配列として配列番号20、22、81、82、または83のいずれか一つの完全長配列を用いた配列比較アルゴリズムを用いて、あるいは目視検査により、最大一致に関して比較する。実施例5および表6も参照。
【0051】
開示されたヒト化H8可変領域核酸に対して特定の最小割合の同一性を有する実質的に同一の核酸に関して、実質的に同一の配列は、配列番号20、81、または83に対して少なくとも約92%同一、たとえば少なくとも93%同一、あるいは少なくとも94%同一、あるいは少なくとも95%同一、あるいは少なくとも96%同一、あるいは少なくとも97%同一、あるいは少なくとも98%同一、あるいは少なくとも99%同一であり得る。同様に、実質的に同一の配列は、配列番号22と少なくとも約91%同一、たとえば、約92%同一、あるいは少なくとも93%同一、あるいは少なくとも94%同一、あるいは少なくとも95%同一、あるいは少なくとも96%同一、あるいは少なくとも97%同一、あるいは少なくとも97%同一、あるいは少なくとも98%同一、あるいは少なくとも99%同一である配列;および配列番号82と少なくとも95%同一、たとえば少なくとも96%同一、あるいは少なくとも97%同一、あるいは少なくとも98%同一、あるいは少なくとも99%同一である配列も含む。
【0052】
実質的に同一の配列は多形配列である。多形なる用語は、集団における2以上の遺伝的に決定された選択的配列または対立遺伝子の発生をいう。対立遺伝子相違は1塩基対程度に小さい。
【0053】
実質的に同一の配列は、サイレント突然変異を含む配列をはじめとする突然変異配列を含むこともできる。突然変異は、1つまたは複数の残基変化、1つまたは複数の残基の欠失、または1つまたは複数の追加残基の挿入を含むことができる。
【0054】
実質的に同一の核酸はさらに、配列番号20、22、81、82、および83のいずれか一つの完全長とストリンジェントな条件下で特異的にハイブリッド形成するか、または実質的にハイブリッド形成する核酸と特定される。核酸ハイブリダイゼーションに関連して、比較される2つの核酸配列はプローブまたは標的と表示することができる。プローブは参考核酸分子であり、標的は試験核酸分子であって、しばしば核酸分子の異質集団内で見いだされる。標的配列は試験配列と同義である。
【0055】
ハイブリダイゼーション実験または分析に用いられる好ましいヌクレオチド配列は、本発明の核酸分子の少なくとも約14〜40ヌクレオチド配列に対して相補性であるか、またはこれを模倣するプローブ配列を含む。好ましくは、プローブは14〜20、または所望によりさらに長いヌクレオチド、たとえば、30、40、50、60、100、200、300、または500ヌクレオチドあるいは配列番号20、22、81、82、および83のいずれか一つの完全長までを含む。このようなフラグメントは、たとえば、化学合成によるか、核酸増幅技術を適用するか、または組み換え体産生のために組み換えベクター中に選択された配列を導入することにより容易に調製できる。
【0056】
特異的にハイブリッド形成するという用語は、配列が複合核酸混合物(たとえば、全細胞DNAまたはRNA)中に存在する場合、ストリンジェントな条件下で特定のヌクレオチド配列に対してのみの分子の結合、二本鎖形成、またはハイブリッド形成をいう。
【0057】
実質的にハイブリッド形成するという語句は、プローブ核酸分子と標的核酸分子間の相補ハイブリダイゼーションを意味し、所望のハイブリダイゼーションを達成するためにハイブリダイゼーションメディアの厳密性を軽減することにより対応できる軽微な不適合を包含する。
【0058】
サザンおよびノザンブロット分析などの核酸ハイブリダイゼーション実験に関連したストリンジェントなハイブリダイゼーション条件およびストリンジェントなハイブリダイゼーション洗浄条件は、配列依存性かつ環境依存性である。配列が長いほど高い温度で特異的にハイブリッド形成する。核酸のハイブリッド形成についての広範囲に及ぶ指針は、Tijssen(1993)Laboratory Techniques in BiochemistryおよびMolecular Biology−Hybridization with Nucleic Acid Probes、第I部、第2章、Elsevier、New York、New Yorkにおいて見いだされる。一般に、非常にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件および洗浄条件は、所定のイオン強度およびpHで特性の配列の融点(Tm)よりも約5℃低くなるように選択される。典型的には、ストリンジェントな条件下で、プローブはその標的配列と特異的にハイブリッド形成するが、他の配列とはハイブリッド形成しない。
【0059】
Tmは、標的配列の50%が完全に合致したプローブとハイブリッド形成する温度(所定のイオン強度およびpH)である。非常にストリンジェントな条件は、特定のプローブのTmに等しくなるように選択される。約100より多い相補残基を有する相補核酸のサザンまたはノザンブロット分析のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の一例は、50%ホルムアミド中、1mgのヘパリンとともに42℃で一夜ハイブリダイゼーションすることである。非常にストリンジェントな洗浄条件の一例は、65℃で0.1XSSC中15分である。ストリンジェントな洗浄条件の一例は、65℃で0.2XSSC中15分である。SSC緩衝液の説明については、サムブルック(Sambrook)ら編(1989)Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York参照。しばしば、高ストリンジェント洗浄の前にバックグラウンドプローブシグナルを除去するための低ストリンジェント洗浄が行われる。約100より多いヌクレオチドの二本鎖に関する中ストリンジェント洗浄条件の一例は、45℃で1XSSC中15分である。約100より多いヌクレオチドの二本鎖に関する低ストリンジェント洗浄の一例は、40℃で4X〜6XSSC中15分である。短いプローブ(たとえば、約10〜50ヌクレオチド)に関して、ストリンジェントな条件は典型的には、pH7.0〜8.3で約1M未満のNa+イオンの塩濃度、典型的には約0.01〜1MのNa+イオン濃度(または他の塩)を含み、温度は典型的には少なくとも約30℃である。ストリンジェントな条件はホルムアミドなどの不安定化剤の添加でも達成することができる。一般に、特定のハイブリダイゼーション分析における未関連プローブについて得られるものの2倍(以上)のシグナル対ノイズ比は、特異的ハイブリダイゼーションの検出を示す。
【0060】
以下は、本発明の参考ヌクレオチド配列と実質的に同一であるヌクレオチド配列を同定するために使用できるハイブリダイゼーションおよび洗浄条件の例である:プローブヌクレオチド配列は好ましくは標的ヌクレオチド配列と7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中50℃で標的ヌクレオチド配列とハイブリッド形成し、続いて2X SSC、0.1% SDS中50℃で洗浄され;さらに好ましくは、プローブおよび標的配列は、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中50℃でハイブリッド形成し、続いて1X SSC、0.1% SDS中50℃で洗浄され;さらに好ましくは、プローブおよび標的配列は、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中50℃でハイブリッド形成し、続いて0.5X SSC、0.1% SDS中50℃で洗浄され;さらに好ましくは、プローブおよび標的配列は、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中50℃でハイブリッド形成し、続いて0.1X SSC、0.1% SDS中50℃で洗浄され;さらに好ましくは、プローブおよび標的配列は7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中50℃でハイブリッド形成し、続いて0.1X SSC、0.1% SDS中65℃で洗浄される。
【0061】
2つの核酸配列が実質的に同一であるというさらなる形跡は、この核酸によりコード化されるタンパク質が実質的に同一であるか、全体的な三次元構造を共有するか、あるいは生物学的機能が等しいことである。これらの用語は、本明細書において以下でさらに定義される。ストリンジェントは条件下で互いにハイブリッド形成しない核酸分子は、対応するタンパク質が実質的に同一であるならば、実質的に同一である。これは、たとえば、2つのヌクレオチド配列が遺伝子コードにより許容される保存的に置換された変異体を含む場合に起こり得る。
【0062】
保存的に置換された変異体なる用語は、縮重コドン置換を有する核酸配列を意味し、ここにおいて、1つまたは複数の選択された(またはすべての)コドンの第三の位置は、混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換されている。バッツァー(Batzer)ら、(1991)Nucleic Acids Res. 19:5081;オオツカ(Ohtsuka)ら、(1985)J. Biol. Chem. 260:2605−2608;およびロッソリニ(Rossolini)ら、(1994)Mol. Cell Probes 8:91−98参照。
【0063】
本発明の核酸は、配列番号20、22、81、82、および83のいずれか一つに対して相補性の核酸、ならびに配列番号20、22、81、82、および83のいずれか一つの核酸および相補核酸の配列および延長された配列を含む。
【0064】
本明細書において用いられる場合、相補配列なる用語は、塩基対間の水素結合の形成により互いにペアリングできる逆平行のヌクレオチド配列を含む2つのヌクレオチド配列をさす。本明細書において用いられる場合、相補配列なる用語は、以下に記載するような同じヌクレオチド配列比較法により評価できるように、実質的に相補性であるか、または本明細書において記載されるような、比較的ストリンジェントな条件下で問題の核酸セグメントとハイブリッド形成できると定義されるヌクレオチド配列を意味する。相補核酸セグメントの具体例はアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0065】
列(subsequence)なる用語は、さらに長い核酸配列の一部を含む核酸の配列をいう。列の例は、本明細書においてすでに記載したようなプローブ、またはプライマーである。本明細書において用いられるプライマーなる用語は、約8以上の、選択された核酸分子のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、好ましくは10〜20ヌクレオチド、さらに好ましくは20〜30ヌクレオチドの連続した配列をさす。本発明のプライマーは本発明の核酸分子上で重合を開始するために十分な長さかつ適当な配列を有するオリゴヌクレオチドを包含する。
【0066】
延長された配列なる用語は、核酸中に組み入れられたヌクレオチド(または他の類似の分子)の添加をさす。たとえば、ポリメラーゼ(たとえば、DNAポリメラーゼ)は核酸分子の3’末端で配列を添加することができる。加えて、ヌクレオチド配列は、他のDNA配列、たとえば、プロモーター、プロモーター領域、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、イントロン配列、追加の制限酵素部位、複数のクローニング部位、および他のコーディングセグメントと組み合わせることができる。従って、本発明は、組み換え体発現のためのベクターをはじめとする開示された核酸を含むベクターを提供することもでき、ここにおいて、本発明の核酸は操作的に機能的プロモーターと結合される。
【0067】
操作的に結合したという用語は、本明細書において用いられる場合、ヌクレオチド配列の転写がプロモーター領域により制御され、調節されるような、プロモーター領域とヌクレオチド配列間の機能的組み合わせをさす。プロモーター領域をヌクレオチド配列に操作的に結合させる技術は当該分野において公知である。
【0068】
ベクターなる用語は、本明細書において、宿主細胞においてその複製を可能にするヌクレオチド配列を有する核酸分子をいう。ベクターは、ベクター内でのヌクレオチド配列の結紮を可能にするヌクレオチド配列を含むこともでき、ここにおいて、かかるヌクレオチド配列も宿主細胞において複製される。代表的なベクターとしては、プラスミド、コスミド、およびウイルスベクターが挙げられる。
【0069】
本発明の核酸は、クローン、合成、変更、突然変異形成、またはその組み合わせをすることができる。核酸を単離するために用いられる標準的な組み換えDNAおよび分子クローニング技術は当該分野において公知である。塩基対変化、欠失、または小挿入を生じさせるための部位特異性突然変異誘発は当該分野において公知である。たとえば、サムブルック(Sambrook)ら(編)(1989)Molecular Cloning: A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York;シルヘビー(Silhavy)ら、(1984)Experiments with Gene Fusions. Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York;グローバーおよびヘイムズ(Glover & Hames)(1995)DNA Cloning: A Practical Approach、第2版、IRL Press at Oxford University Press、Oxford/New York; オースベル(Ausubel)(編)(1995)Short Protocols in Molecular Biology、第3版、Wiley、New York参照。
【0070】
I.B. キメラおよびヒト化抗5T4ポリペプチド
本発明は単離されたヒト化抗5T4ポリペプチドも提供する。本発明の代表的な軽鎖および重鎖ポリペプチドは配列番号1〜12として記載されている。代表的な軽鎖可変領域ポリペプチドおよび重鎖可変領域ポリペプチドはそれぞれ配列番号17および23ならびに配列番号18、19、および21として記載されている。
【0071】
ポリペプチドおよびタンパク質なる用語は、それぞれ、ペプチド結合により結合したアミノ酸の一本鎖から構成される化合物をいう。本発明の抗体はポリペプチドまたはタンパク質とも呼ばれる。本発明のポリペプチドは、天然に存在するアミノ酸、合成アミノ酸、遺伝的にコード化されたアミノ酸、非遺伝的にコード化されたアミノ酸、およびその組み合わせを含む。ポリペプチドはL形およびD形アミノ酸の両方を包含する。
【0072】
代表的な非遺伝的にコード化されたアミノ酸は、これに限定されないが、2−アミノアジピン酸;3−アミノアジピン酸;β−アミノプロピオン酸;2−アミノ酪酸;4−アミノ酪酸(ピペリジン酸);6−アミノカプロン酸;2−アミノヘプタン酸;2−アミノイソ酪酸;3−アミノイソ酪酸;2−アミノピメリン酸;2,4−ジアミノ酪酸;デスモシン;2,2’−ジアミノピメリン酸;2,3−ジアミノプロピオン酸;N−エチルグリシン;N−エチルアスパラギン;ヒドロキシリシン;アロ−ヒドロキシリシン;3−ヒドロキシプロリン;4−ヒドロキシプロリン;イソデスモシン;アロ−イソロイシン;N−メチルグリシン(サルコシン);N−メチルイソロイシン;N−メチルバリン;ノルバリン;ノルロイシン;およびオルニチンを包含する。
【0073】
代表的な誘導化アミノ酸は、たとえば、遊離アミノ基が誘導化されてアミン塩酸塩を形成する分子、p−トルエンスルホニル基、カルボベンゾキシ基、t−ブチルオキシカルボニル基、クロロアセチル基またはホルミル基を包含する。遊離カルボキシル基は誘導化されて塩、メチルおよびエチルエステルあるいは他の種類のエステルまたはヒドラジドを形成し得る。遊離ヒドロキシル基は誘導化されて、O−アシルまたはO−アルキル誘導体を形成し得る。ヒスチジンのイミダゾール窒素は、誘導化されてN−im−ベンジルヒスチジンを形成し得る。
【0074】
本発明は、ヒト化抗5T4ポリペプチドの機能的フラグメント、たとえば、可変領域ポリペプチドも提供する。開示された配列よりも長い機能的ポリペプチド配列も提供される。たとえば、1つまたは複数のアミノ酸を抗体ポリペプチドのN−末端またはC−末端に添加することができる。このような追加のアミノ酸は、精製用途を包含するが、これに限定されない様々な用途において用いることができる。延長されたタンパク質を調製する方法は当該分野において公知である。
【0075】
本発明のポリペプチドは(a)配列番号17または23のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域ポリペプチド;(b)配列番号17と少なくとも78%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域ポリペプチド;および(c)配列番号23と少なくとも81%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域ポリペプチドを含む。本発明のさらなるポリペプチドは(a)配列番号18、19、および21のいずれか一つに記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域ポリペプチド;(b)配列番号18と少なくとも83%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域ポリペプチド;(c)配列番号19と少なくとも81%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域ポリペプチド;および(d)配列番号21と少なくとも86%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域ポリペプチドを含む。本明細書において以下に記載するように、クエリー配列として配列番号17、18、19、21、または23のいずれか一つの完全長配列を用いた配列比較アルゴリズムを用いて、あるいは目視検査により、配列を最大一致について比較する。実施例5も参照。
【0076】
開示されたヒト化H8可変領域ポリペプチドに対して特定の最低率の同一性を有する実質的に同一のポリペプチドに関して、実質的に同一のポリペプチドは、配列番号17、18、19、21、または23のいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも約87%同一である、たとえば少なくとも88%同一であるか、または少なくとも89%同一であるか、または少なくとも90%同一であるか、または少なくとも91%同一であるか、または少なくとも92%同一であるか、または少なくとも93%同一であるか、または少なくとも94%同一であるか、または少なくとも95%同一であるか、または少なくとも96%同一であるか、または少なくとも97%同一であるか、または少なくとも98%同一であるか、または少なくとも99%同一である。本発明は、本明細書において開示された核酸のいずれか一つによりコード化されるポリペプチドをさらに含む。
【0077】
実質的に同一のタンパク質は、開示されたヒト化可変領域ポリペプチドおよび可変領域抗体のいずれか一つの保存的に置換された変異体であるアミノ酸を含むタンパク質を包含する。保存的に置換された変異体なる用語は、1つまたは複数の残基が機能的に類似した残基で保存的に置換され、開示されたキメラおよびヒト化H8抗体のいずれかと類似した親和力でヒト抗5T4抗体と特異的に結合するアミノ酸を含むポリペプチドをいう。保存的に置換された変異体なる語句は、残基が化学的に誘導された残基で置換されているペプチドも包含する。
【0078】
保存的置換の例は、1つの非極性(疎水性)残基、たとえば、イソロイシン、バリン、ロイシンまたはメチオニンともう一つ別のものに関する置換を包含し;1つの極性(親水性)残基のもう一つ別のものに関する置換、たとえば、アルギニンとリシン間、グルタミンとアスパラギン間、グリシンとセリン間;1つの塩基性残基、たとえばリシン、アルギニンまたはヒスチジンともう一つ別のものについての置換;あるいは1つの酸性残基、たとえば、アスパラギン酸またはグルタミン酸のもう一つ別のものについての置換を包含する。
【0079】
本発明の単離されたポリペプチドは、様々な当業者に公知の標準的技術を用いて精製し、特徴づけることができる。たとえば、シュレーダーおよびリュブケ(Schroeder & Lubke(1965)The Peptides. Academic Press、New York;Bodanszky(1993)Principles of Peptide Synthesis、第2版、rev.ed. Springer−Verlag、Berlin/New York;オースベル(Ausubel)(編)(1995)Short Protocols in Molecular Biology,第3版、Wiley、New York参照。
【0080】
I.C. ヌクレオチドおよびアミノ酸配列比較
2以上のヌクレオチドまたはポリペプチド配列に関連して、同一または同一性(%)なる用語は、同じであるか、または本明細書において開示された配列比較アルゴリズムの一つを用いて、または目視検査により測定されるように、最大一致に関して比較し、整列した場合に同じである、特定の比率のアミノ酸残基またはヌクレオチドを有するアミノ酸残基またはヌクレオチドを有する2以上の配列または列を意味する。
【0081】
ヌクレオチドまたはポリペプチド配列に関して実質的に同一という用語は、特定の配列が1つまたは複数の欠失、置換、または付加により天然に存在する配列と異なり、その全体的影響はヒト化抗5T4核酸またはポリペプチドの生物学的機能を保持することを意味する。
【0082】
2以上の配列の比較に関して、典型的には1つの配列は、これに対して1つまたは複数の試験配列が比較される参照配列としての機能を果たす。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験および参照配列をコンピュータープログラムに入力し、必要ならば列座標を表示し、配列アルゴリズムプログラムパラメータを選択する。次いで配列比較アルゴリズムは、選択されたプログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する指定された試験配列についての配列同一性(%)を計算する。
【0083】
比較のための配列の最適整列を、たとえば、スミスおよびウォーターマン(Smith & Waterman)(1981)Adv. Appl. Math 2:482−489の局所同一性アルゴリズムによるか、ニードルマンおよびヴンシュ(Needleman & Wunsch)(1970)J. Mol. Biol. 48:443−453の相同性配列アルゴリズムによるか、あるいはピアソンおよびリプマン(Pearson & Lipman)(1988)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444−2448の類似性検索法によるか、これらのアルゴリズムの電子計算実施によるか(Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、Madison、WisconsinにおけるGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)、あるいは目視検査により、構築することができる。一般的には、オースベル(編)(1995)Short Protocols in Molecular Biology、第3版、Wiley、New York参照。
【0084】
配列同一性(%)および配列類似性を決定する好ましいアルゴリズムはBLASTアルゴリズムであり、これは、アルチュル(Altschul)ら、(1990)J. Mol. Biol. 215:403−410において記載されている。BLAST分析を実行するソフトウェアは、全米バイオテクノロジー情報センター(the National Center for Biotechnology)の公開情報(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)により入手可能である。BLASTアルゴリズムパラメータは、整合の感度および速度を決定する。2つのヌクレオチド配列の比較のために、BLASTnデフォルトパラメータは、W=11(ワード長)およびE=10(期待値)に設定され、組成の複雑性が低いクエリー配列の残基をマスクするための複雑性が低いフィルターの使用も含む。2つのアミノ酸配列の比較に関して、BLASTpプログラムデフォルトパラメータはW=3(ワード長)、E=10(期待値)、BLOSUM62スコアリングマトリックスの使用、存在=11および伸長=1のギャップコスト、および組成の複雑性が低いクエリー配列の残基をマスクするための低複雑性フィルターの使用に設定される。実施例5参照。
【0085】
I.D.機能分析
本発明はさらに、5T4結合活性、細胞表面上に提示される5T4抗原に対する結合後の細胞内在化、および対象における5T4発現細胞に対するターゲティングをはじめとするヒト化抗5T4抗体の活性を特徴づけるためのインビトロおよびインビボ分析を開示する。細胞毒素と接合した場合、本発明の開示された抗体は、5T4発現ガン細胞の成長の阻害および/または5T4発現細胞における細胞の死の誘発を包含する抗ガン活性を惹起することができる。本発明のヒト化抗5T4抗体は前記活性の1つまたは複数を含み得る。
【0086】
ヒト化抗5T4抗体の5T4抗原に対する結合を検出する技術、たとえば、実施例5に記載されているようなBIACORER分析は当該分野において公知である。さらなる代表的技術は、遠心分離、アフィニティークロマトグラフィーおよび他の免疫化学法を包含する。たとえば、マンソン(Manson)(1992)Immunochemical Protocols、Humana Press、Totowa、New Jersey、United States of America;イシカワ(Ishikawa)(1999)UltrasensitiveおよびRapid Enzyme Immunoassay、Elsevier、Amsterdam/New York参照。単離された5T4抗原または5T4発現細胞を用いて抗原結合分析を行うことができる。実施例1および5参照。
【0087】
抗ガン活性なる用語は、一般に、存在するガン細胞を破壊する能力、またはガン細胞の成長を遅延または防止する能力を説明するために使用される。癌なる用語は、対象における任意の組織の一次および転移腫瘍および癌腫、たとえば、癌腫および造血器悪性腫瘍、たとえば白血病およびリンパ腫をさす。抗ガン活性を測定するためのインビトロ検定は実施例2および8に記載されており、代表的動物モデルは実施例3、4、および9に記載されている。
【0088】
成長阻害なる用語は、本明細書においては、抗5T4抗体が5T4発現細胞を排除するか、あるいは5T4発現細胞の増殖を防止または軽減する能力を記載するために使用される。実施例2〜4および8〜9において記載されるように、本発明のヒト化抗5T4抗体は癌細胞成長を阻害することができる。細胞成長阻害の迅速なインビトロ評価のためのさらなる代表的な方法は、ジョーンズ(Jones)ら、(2001)J. Immunol. Methods 254:85−98に記載されている。
【0089】
細胞死を誘発する能力は、プログラムされた細胞死の誘発を含み、これは核DNA変性、核退化および凝縮、膜一体性の喪失、およびファゴサイトーシスを包含する。細胞を評価するための代表的な分析法は、ホーブズ(Hoves)ら、(2003)Methods 31:127−34;ペン(Peng)ら、(2002)Chin. Med. Sci. J. 17:17−21;ヤスハラ(Yasuhara)ら、(2003)J. Histochem. Cytochem. 51:873−85に記載されている。
【0090】
II.抗5T4抗体/薬物接合体
本発明はさらに、本発明のキメラまたはヒト化抗5T4抗体を含む抗体/薬物接合体を提供する。さらに、抗体/薬物接合体を調製して、薬物を抗体に直接的または間接的のいずれかで結合させる方法も提供される。本発明の抗体/薬物接合体は一般式5T4Ab(−X−W)m:
(式中:
5T4Abは本明細書において記載されるキメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントである;
Xは、抗体フラグメントの抗5T4抗体と反応できる任意の反応性基の生成物を含むリンカーである;
Wは薬物である;
mは精製された接合生成物の平均装填量である(たとえば、mは薬物が接合体の約3〜10重量%を構成するようなものである);
(−X−W)m は薬物誘導体である)
を有する。
【0091】
本発明の抗体/薬物接合体を調製する方法も提供される。一例として、式5T4Ab(−X−W)mの抗体/薬物接合体は(a)薬物誘導体をキメラまたはヒト化抗5T4抗体に添加し(ここにおいて、薬物はキメラまたはヒト化抗5T4抗体の3〜10重量%である);(b)薬物誘導体およびキメラまたはヒト化抗5T4抗体を、約7〜9の範囲のpHを有する非求核性タンパク質適合性緩衝溶液中でインキュベートして、抗体/薬物接合体を生成させ(ここにおいて、溶液はさらに、(i)適当な有機共溶媒、および(ii)少なくとも1つの胆汁酸またはその塩を含む1つまたは複数の添加剤を含み、インキュベーションは約30℃〜約35℃の範囲の温度で約15分から約24時間の範囲の時間で行われる);(c)工程(b)において生成した接合体をクロマトグラフィー分離プロセスに付して、3〜10重量%の薬物の範囲の装填量および低接合フラクション(LCF)を用いて抗体/薬物接合体を未接合キメラまたはヒト化抗5T4抗体、薬物誘導体、および凝集した接合体から分離することにより調製することができる。
【0092】
II.A.薬物
本明細書において用いられる薬物なる用語は、生物学的または検出可能な活性を有する任意の物質、たとえば、治療薬、検出可能な標識、結合剤など、およびインビトロで代謝されて活性剤になるプロドラッグをさす。薬物なる用語は、薬物が本発明の抗体と接合できるように官能化された薬物誘導体も包含する。一般に、これらの種類の接合体は免疫接合体と呼ばれる。
【0093】
治療薬なる用語は、これを必要とする対象における状態を治療または予防するために使用できる任意の組成物をさす。特に、本発明において有用な薬物は、抗ガン剤を包含する。5T4発現細胞は、扁平上皮/腺腫様肺ガン(非小細胞肺ガン)、浸潤性乳ガン、結腸直腸癌、胃ガン、扁平上皮子宮頸ガン、浸潤性子宮内膜腺癌、侵襲性膵臓癌、卵巣癌、扁平上皮膀胱癌、および絨毛腫からのガン細胞を包含する。
【0094】
代表的治療薬は、細胞毒素、放射性同位元素、化学療法薬、免疫調節薬、血管新生阻害剤、抗増殖剤、アポトーシス誘発剤、ならびに細胞増殖抑制および細胞溶解酵素(たとえば、RNAse)を包含する。薬物は治療用核酸、たとえば、免疫調節役をコード化する遺伝子、血管新生阻害剤、抗増殖剤、またはアポトーシス誘発剤も包含する。これらの薬物ディスクリプタは相互排他的でなく、従って治療薬は1つまたは複数の前記用語を用いて記載することができる。たとえば、選択された放射性同位元素は細胞毒素でもある。治療薬は、薬理学的に許容される塩、酸または前記のいずれかの誘導体として調製することができる。一般に、薬物として放射性同位元素を有する接合体は、放射性免疫接合体と称し、薬物として化学療法薬を有するものは化学免疫接合体と称する。
【0095】
免疫接合体において用いられる好適な薬物の例は、タキサン、メイタンシン、CC−1065およびデュオカルマイシン、カリケアマイシンおよび他のエンジイン、およびオーリスタチンを包含する。他の例は、抗葉酸剤、ビンカアルカロイド、およびアントラサイクリンを包含する。植物毒素、他の生物活性タンパク質、酵素(すなわち、ADEPT)、放射性同位元素、光線感作物質(すなわち、光線力学療法)を免疫接合体においても使用できる。加えて、接合体は細胞毒性剤、たとえば、リポソームまたはポリマーとして第二担体を用いて調製することができる。
【0096】
細胞毒素なる用語は一般に、細胞の機能を阻害または防止し、および/または結果として細胞を破壊する薬剤を意味する。代表的な細胞毒素は、抗生物質、チューブリン重合の阻害剤、DNAと結合し、崩壊させるアルキル化剤、ならびにタンパク質合成または本質的細胞タンパク質の機能を乱す薬剤、たとえば、タンパク質キナーゼ、ホスファターゼ、トポイソメラーゼ、酵素、およびサイクリンを包含する。代表的な細胞毒素は、これに限定されないが、ドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、アクラルビシン、ゾルビシン、ミトキサントロン、エピルビシン、カルビシン、ノガラマイシン、メノガリル、ピタルビシン、バルルビシン、シタラビン、ジェムサイタビン、トリフルリジン、アンシタビン、エノサイタビン、アザシチジン、ドキシフルリジン、ペントスタチン、ブロキスリジン、カペシタビン、クラドリビン、デシタビン、フロキスリジン、フルダラビン、ゴウゲロチン、ピューロマイシン、テガフール、チアゾフリン、アドリアマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ダカルバジン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、メクロレタミン、プレドニゾン、プロカルバジン、メトトレキサート、フルロウラシル、エトポシド、タクソール、タクソール類似体、プラチン類、たとえばシスプラチンおよびカルボプラチン、マイトマイシン、チオテパ、タキサン、ビンクリスチン、ダウノルビシン、エピルビシン、アクチノマイシン、アウスラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、タモキシフェン、イダルビシン、ドラスタチン/アウリスタチン、ヘミアステルリン、エスペラマイシンおよびマイタンシノイドを包含する。
【0097】
本発明の特定の具体例において、細胞毒素は抗生物質、たとえば、カリケアマイシンであり、LL−E33288複合体、たとえば、ガンマ−カリケアマイシン(γ1)ともよばれる。米国特許第4,970,198号参照。ガンマカリケアマイシンヒドラジド誘導体の抗体接合体に関する初期の研究により、インビトロの抗原ベースの細胞毒性および異種移植片実験における活性が示された。これらの接合体の治療指数は、当初は、有効性の低い誘導体、N−アセチルガンマを使用することにより改善された。ジメチル置換基を添加することにより、すべてのカリケアマイシン接合体において存在するジスルフィド結合を安定化することより、さらなる改善がなされた。本発明の抗体/薬物接合体の調製における使用に好適なカリケアマイシンのさらなる例は、米国特許第4,671,958号;第5,053,394号;第5,037,651号;第5,079,233号;および第5,108,912号に開示され;これらの特許は全体として本発明の一部として参照される。これらの化合物はメチルトリスルフィドを含有し、これを適当なチオールと反応させて、ジスルフィドを形成することができ、同時に、官能基、たとえば、ヒドラジドまたはカリケアマイシンを抗5T4抗体と接合させるために有用な他の官能基が導入される。ジメチル置換基の添加によるすべてのカリケアマイシン接合体において存在するジスルフィド結合の安定化は、さらなる改善をもたらす。これにより、N−アセチルガンマカリケアマイシンジメチルヒドラジド、またはNAc−ガンマDMH(CL−184,538)を、接合に関して最適化された誘導体の一つとして選択することができる。カリケアマイシンのジスルフィド類似体も用いることができ、これらはたとえば、米国特許第5,606,040号および第5,770,710号に記載されている類似体であり、これらの特許はその全体として本発明の一部として参照される。
【0098】
放射線療法用途のために、本発明のキメラまたはヒト化抗5T4抗体は高エネルギ放射性同位元素を含むことができる。同位体は、たとえば、抗体中に存在するシステイン残基で抗体に直接結合することができるか、あるいは抗体と放射性同位元素の結合を媒介するためにキレーターを用いることができる。放射線療法に好適な放射性同位元素としては、これらに限定されないが、α−エミッター、β−エミッター、およびオージェ電子が挙げられる。診断用途に関して、有用な放射性同位元素としては、陽電子エミッターおよびγ−エミッターが挙げられる。本発明のヒト化抗5T4抗体はさらに、たとえば、抗体のチロシン残基上でヨウ素化して、抗体の検出および治療効果を促進することができる。
【0099】
抗5T4抗体と接合することができる代表的な放射性同位元素としては、18フッ素、64銅、65銅、67ガリウム、68ガリウム、77臭素、80m臭素、95ルテニウム、97ルテニウム、103ルテニウム、105ルテニウム、99mテクネチウム、107水銀、203水銀、123ヨウ素、124ヨウ素、125ヨウ素、126ヨウ素、131ヨウ素、133ヨウ素、111インジウム、113インジウム、99mレニウム、105レニウム、101レニウム、186レニウム、188レニウム、121テルル、99テクネチウム、122mテルル、125mテルル、165ツリウム、167ツリウム、168ツリウム、90イットリウム、およびこれらから誘導される窒化物または酸化物形態が挙げられる。他の好適な放射性同位元素としては、アルファエミッター、たとえば、213ビスマス、213鉛、および225アクチニウムが挙げられる。
【0100】
血管形成および抑制された免疫応答は、悪性疾患ならびに腫瘍成長、浸潤、および転移において主要な役割を果たす。従って、本発明の方法において有用な薬物は、免疫応答および/またはインビボで抗血管形成応答を誘発できるものも包含する。
【0101】
免疫応答なる用語は、脊椎動物対象の免疫系による抗原または抗原決定基に対する応答、たとえば、体液性免疫応答(たとえば、抗原特異性抗体の産生)および細胞性免疫応答(たとえば、リンパ球増殖)を意味する。代表的な免疫調節薬は、サイトカイン、キサンチン、インターロイキン、インターフェロン、および成長因子(たとえば、TNF、CSF、GM−CSFおよびG−CSF)、およびホルモン、たとえば、エストロゲン(ジエチルスチルベストロール、エストラジオール)、アンドロゲン(テストステロン、HALOTESTINR(フルオキシメステロン)、プロゲスチン(MEGACER(メゲストロールアセテート)、PROVERAR(メドロキシプロゲステロンアセテート))、およびコルチコステロイド(プレドニゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン)を包含する。
【0102】
本発明において有用な免疫調節薬は、腫瘍に対するホルモン作用をブロックする抗ホルモンおよびサイトカイン産生を抑制するか、自己抗原発現を減少調節するか、またはMHC抗原をマスクする免疫抑制剤も包含する。代表的な抗ホルモンは、抗エストロゲン、たとえば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)−イミダゾール、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY 117018、オナプンストン、およびトレミフェン;ならびに抗アンドロゲン、たとえば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、およびゴセレリン;および抗副腎剤を包含する。代表的な免疫抑制剤は、2−アミノ−6−アリール−5−置換ピリミジン、アザチオプリン、シクロホスファミド、ブロモクリプチン、ダナゾール、ダプゾン、グルタルアルデヒド、MHC抗原およびMHCフラグメントの抗イディオタイプ抗体、シクロスポリンA、ステロイド、たとえば、グルココルチコステロイド、サイトカインまたはサイトカインレセプター拮抗物質(たとえば、抗インターフェロン抗体、抗IL10抗体、抗TNF(抗体、抗IL2抗体)、ストレプトキナーゼ、TGFβ、ラパマイシン、T細胞レセプター、T細胞レセプターフラグメント、およびT細胞レセプター抗体を包含する。
【0103】
代表的な抗血管新生阻害剤は、血管形成の阻害剤、たとえば、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、COX−2阻害剤、VEGF阻害剤、bFGF阻害剤、ステロイドスルファターゼ阻害剤(たとえば、2−メトキシエストラジオールビス−スルファメート(2−MeOE2bビスMATE))、インターロイキン−24、トロンボスポンジン、メタロスポンジンタンパク質、クラスIインターフェロン、インターロイキン12、プロタミン、アンギオスタチン、ラミニン、エンドスタチン、およびプロラクチンフラグメントを包含する。
【0104】
抗増殖剤およびアポトーシス誘発剤は、PPAR−ガンマのアクチベータ(たとえば、シクロペンタノンプロスタグランジン(cyPGs))、レチノイド、トリテルピノイド(たとえば、シクロアルタン、ルパン、ウルサン、オレアナン、フリーデラン、ダマラン、ククルビタシン、およびリモノイドトリテルペノイド)、EGFレセプターの阻害剤(たとえば、HER4)、ランパマイシン、CALCITRIOLR(1,25−ジヒドロドロキシコレカルシフェロール(ビタミンD))、アロマターゼ阻害剤(FEMARAR(レトロゾン))、テロメラーゼ阻害剤、鉄キレーター(たとえば、3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン(Triapine))、アポプチン(ニワトリ貧血症ウイルスからのウイルスタンパク質3 − VP3)、Bcl−2およびBcl−X(L)の阻害剤、TNF−アルファ、FASリガンド、TNF関連アポトーシス誘発性リガンド(TRAIL/Apo2L)、TNF−アルファ/FASリガンド/TNF関連アポトーシス誘発性リガンド(TRAIL/Apo2L)シグナル化のアクチベーター、およびPI3K−Akt生存経路シグナル化の阻害剤(たとえば、UCN−01およびゲルダナマイシン)を包含する。
【0105】
代表的な化学療法薬は、アルキル化剤、たとえば、チオテパおよびシクロスホスファミド;アルキルスルホネート、たとえば、ブスルファン、イムプロスルファンおよびピポスルファン;アジリジン、たとえば、ベンゾドパ、カルボクオン、メツレドパ、およびウレドパ;エチレンイミンおよびメチルアメラミン、たとえば、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチロールメラミン;ナイトロジェンマスタード、たとえば、クロロアムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メチオレタミン、メチオレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファルニド、ウラシルマスタード;ニトロス尿素、たとえば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、たとえば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウスラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、マイコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、プロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;抗代謝剤、たとえば、メトトレキサートおよび5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸類似体、たとえば、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトトレキサート;プリン類似体、たとえば、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、たとえば、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフル、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フルオキシウリジン、5−EU;アンドロゲン、たとえば、カルステロン、ドロモスタノロンプロピオネート、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎、たとえば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤、たとえば、フォリン酸;アセグラトン;アルドホスファリニドグリコシド;アミノレブリニン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジクオン;エルフォルニチン;エリプチニウムアセテート;エトグルシド;ガリウムニトレート;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’−トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(Ara−C);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、たとえばパクリタキセル(TAXOLR、Bristol−Myers Squibb Oncology of Princeton、New Jersey)およびドキセタキセル(TAXOTERER、Rhone−Poulenc Rorer of Antony、France);キオラムブシル;ジェムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体、たとえば、シスプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イフォスファミド;マイトマイシンC;マイトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アイニオプテリン;キセロダ;イバンドロネート;CPT−11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラミシン;およびカペシタビンを包含する。
【0106】
本明細書において開示され、本発明の治療法に従って使用されるキメラおよびヒト化抗5T4抗体と接合できるさらなる治療薬としては、これらに限定されないが、光線力学療法に関しては感光剤(米国特許公開番号2002/0197262および米国特許第5,952,329号);温熱療法に関しては磁性粒子(米国特許公開番号2003/0032995);結合剤、たとえば、ペプチド、リガンド、細胞接着リガンドなど、ならびにプロドラッグ、たとえば、ホスフェート含有プロドラッグ、チオホスフェート含有プロドラッグ、スルフェート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、β−ラクタム含有プロドラッグ、置換フェノキシアセトアミド含有プロドラッグまたは置換フェニルアセトアミド含有プロドラッグ、5−フルオロサイトシンおよび他の5−フルオリジンプロドラッグであって、さらに活性な細胞毒性のない薬物に変換できるものが挙げられる。
【0107】
キメラまたはヒト化抗5T4抗体を用いた診断法に関して、薬物は、インビトロまたはインビボでの5T4発現細胞の存在を検出するために使用できる検出可能な標識を含んでもよい。臨床診断用途に関して有用な放射性同位元素は、インビボで検出可能な標識、たとえば、シンチグラフィー、磁気共鳴映像法、または超音波を使用して検出可能な標識を包含する。有用なシンチグラフィー標識は、陽電子エミッターおよびγ−エミッターを包含する。磁気源映像法の代表的な造影剤は、常磁性または超常磁性イオン(たとえば、鉄、銅、マンガン、クロム、ユーロピウム、ジスプロシウム、ホルミウムおよびガドリニウム)、酸化鉄粒子、および水溶性造影剤を包含する。超音波検出法に関して、多孔性無機粒子中に気体または液体を捕捉することができ、これはマイクロバブル造影剤として放出される。インビトロ検出に関して、有用な検出可能な標識は、蛍光プローブ、エピトープ、または放射性標識を包含する。
【0108】
II.B リンカー分子
薬物はリンカー分子により本発明のキメラおよびヒト化抗5T4抗体と直接または間接的のいずれかで接合される。リンカー分子は安定または加水分解可能であり、これにより細胞侵入後に放出される。これにより薬物が抗体から開裂される主なメカニズムは、リソソーム(ヒドラゾン、アセタール、およびシス−アコニテート様アミド)の酸性pHにおける加水分解、リソソーム酵素(カテプシンおよび他のリソソーム酵素)によるペプチド開裂、およびジスルフィドの還元を包含する。これらの開裂の多様なメカニズムの結果として、薬物を抗体に結合させるメカニズムは大きく異なり、任意の好適なリンカーを使用できる。好ましくは、接合法は、最小の低接合フラクション(LCF、ほとんど未接合の抗体のフラクション)、すなわち、約10%未満を有するサンプルを産生する。
【0109】
好適な接合法の一例は、ヒドラジドおよび他の求核試薬の、抗体上に天然に存在する炭水化物の酸化により生じるアルデヒドに対する接合に依存する。所望の薬物放出特性をもたらす、カルボニル基が導入されたヒドラゾン含有接合体を調製できる。一端にジスルフィド、中間にアルキル鎖、他端にヒドラジン誘導体を有する接合体も調製することができる。アントラサイクリンは、この技術を用いて抗体に接合させることができる細胞毒素の一例である。
【0110】
ヒドラゾン以外の官能基を含有するリンカーは、リソソームの酸性環境において開裂される可能性を有する。たとえば、接合体は、細胞内で開裂可能なヒドラゾン以外の部位、たとえば、エステル、アミド、およびアセタール/ケタールを含有する、チオール反応性リンカーから作ることができる。カンプトテシンはこれらのリンカーを使用して接合できる細胞毒性剤の一つである。5〜7員環ケトンから調製されるケタールおよび細胞毒性剤に結合した酸素の一つを有するもの、および抗体結合のためにリンカーに結合する他のものも用いることができる。アントラサイクリンもこれらのリンカーを使用する好適な細胞毒素の一例である。
【0111】
pH感受性リンカーの種類の別の例は、シス−アコニテートであり、これはアミド結合と近接したカルボン酸を有する。カルボン酸は酸性リソソームにおけるアミド加水分解を促進する。数種の他の構造を有する、同様の加水分解速度促進を達成するリンカーも使用できる。C−9で結合したリンカーで接合できるメイタンシノイドは細胞毒素の一例である。
【0112】
薬物接合体の別の有望な放出法は、リソソーム酵素によるペプチドの酵素加水分解である。一例において、ペプチドはアミド結合によりパラ−アミノベンジルアルコールに結合し、カーバメートまたはカーボネートがベンジルアルコールと細胞毒性剤間で形成される。ペプチドの開裂は、アミノベンジルカーバメートまたはカーボネートの崩壊または自己犠牲につながる。この方法により例示される細胞毒性剤は、アントラサイクリン、タキサン、マイトマイシンC、およびアウリスタチンを包含する。一例において、カーバメートの代わりにリンカーの崩壊によりフェノールを放出することもできる。別のバリエーションにおいて、パラメルカプトベンジルカーバメートまたはカーボネートの崩壊を開始するために、ジスルフィド還元が使用される。
【0113】
抗体に接合した多くの細胞毒性剤は、もしあったとしても、水溶性が低く、このことは接合体の凝集のために、接合体に対する薬物のローディングを制限し得る。これを克服するための一方法は、可溶化基をリンカーに添加することである。PEGおよびジペプチドからなるリンカーを用いて調製された接合体、たとえば、抗体に結合したPEG二酸、チオール−酸、またはマレイミド−酸、ジペプチドスペーサー、およびアントラセリンまたはデュオカルマイシン類似体のアミンに結合したアミドを用いることができる。もう一つ別の例は、細胞毒性剤に結合したPEG含有リンカージスルフィドおよび抗体に結合したアミドを用いて調製される接合体である。PEG基を組み入れる方法は、凝集および薬物ローディングにおける制限を克服するのに有益であり得る。
【0114】
本発明の抗体/薬物接合体の調製に好ましい代表的なリンカーは、式:
(CO−Alk1−Sp1−Ar−Sp2−Alk2−C(Z1)=Q−Sp)
(式中:
AlklおよびAlk2は独立して、結合あるいは分岐または非分岐(Cl−C10)アルキレン鎖である;
Sp1は結合、−S−、−O−、−CONH−、−NHCO−、−NR’−、−N(CH2CH2)2N−、または−X−Ar’−Y−(CH2)n−Zであり、ここにおいて、X、Y、およびZは独立して、結合、−NR’−、−S−、または−O−である。ただし、n=0である場合、YおよびZの少なくとも1つは結合でなければならず、Ar’は1,2−、1,3−、または1,4−フェニレンであって、所望により、(C1−C5)アルキル、(C1−C4)アルコキシ、(C1−C4)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、−COOR’、−CONHR’、−(CH2)nCOOR’、−S(CH2)nCOOR’、−O(CH2)nCONHR’、or −S(CH2)nCONHR’の1、2、または3個の基で置換されていてもよい。ただし、Alk1が結合である場合、Sp1は結合である;
nは0〜5の整数である;
R’は分岐または非分岐(C1−C5)鎖であって、所望により、−OH、(C1−C4)アルコキシ、(C1−C4)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、(C1−C3)ジアルキルアミノ、または(C1−C3)トリアルキルアンモニウム−A−(ここにおいて、A− は塩を形成する医薬的に許容されるアニオンである)の1または2個の基により置換されていてもよい;
Arは、1,2−、1,3−、または1,4−フェニレンであって、(C1−C6)アルキル、(C1−C5)アルコキシ、(C1−C4)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、−COOR’、−CONHR’、−O(CH2)nCOOR’、−S(CH2)nCOOR’、−O(CH2)nCONHR’、または−S(CH2)nCONHR’(ここにおいて、nおよびR’は前記定義の通りである)の1、2、または3個の基で置換されていてもよいもの、あるいは1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,7−、1,8−、2,3−、2,6−、または2,7−ナフチリデンまたは
【化1】
であって、各ナフチリデンまたはフェノチアジンは所望により、(C1−C6)アルキル、(C1−C5)アルコキシ、(C1−C4)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、−COOR’、−CONHR’、−O(CH2)nCOOR’、−S(CH2)nCOOR’、または−S(CH2)nCONHR’(ここにおいて、nおよびR’は前記定義の通りである)の1、2、3、または4個の基で置換されていてもよい。ただし、Arがフェノチアジンである場合、Sp1は窒素にのみ結合される結合である;
Sp2は、結合、−S−、または−O−である。ただし、Alk2が結合である場合、Sp2は結合である;
Z1は、H、(C1−C5)アルキル、またはフェニルであって、所望により、(C1−C5)アルキル、(C1−C5)アルコキシ、(C1−C4)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、−COOR’、−ONHR’、−O(CH2)nCOOR’、−S(CH2)nCOOR’、−O(CH2)nCONHR’、または−S(CH2)nCONHR’(ここにおいて、nおよびR’は前記定義の通りである)の1、2、または3個の基で置換されていてもよい;
Spは直鎖または分岐鎖二価または三価(C1−C18)ラジカル、あるいは三価アリールまたはヘテロアリールラジカル、二価または三価(C3−C18)シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルラジカル、二価または三価アリール−またはヘテロアリール−アリール(C1−C18)ラジカル、二価または三価シクロアルキル−またはヘテロシクロアルキル−アルキル(C1−C18)ラジカルあるいは二価または三価(C2−C18)不飽和アルキルラジカルであり、ここにおいて、ヘテロアリールは、好ましくは、フリル、チエニル、N−メチルピロリル、ピリジニル、N−メチルイミダゾリル、オキサゾリル、ピリミジニル、キノリル、イソキノリル、N−メチルカルバゾイル、アミノクマリニル、またはフェナジニルであり、Spが三価ラジカルである場合、Spは低級(C1−C5)ジアルキルアミノ、低級(C1−C5)アルコキシ、ヒドロキシ、または低級(C1−C5)アルキルチオ基でさらに置換されていてもよい;
Qは=NHNCO−、=NHNCS−、=NHNCONH−、=NHNCSNH−、または=NHO−である)
のリンカーを包含する。
【0115】
好ましくは、Alk1は分岐または非分岐(C1−C10)アルキレン鎖であり;Sp’は結合、−S−、−O−、−CONH−、−NHCO−、または−NR’であり、ここにおいて、R’は前記定義の通りである。ただし、Alk1が結合である場合、Sp1は結合である;
Arは、1,2−、1,3−、または1,4−フェニレンであって、所望により、(C1−C6)アルキル、(C1−C5)アルコキシ、(C1−C4)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、−COOR’、−CONHR’、−O(CH2)nCOOR’、−S(CH2)nCOOR’、−O(CH2)nCONHR’、または−S(CH2)nCONHR’の1、2、または3個の基で置換されていてもよいものであるか(ここにおいて、nおよびR’は前記定義の通りである)、あるいはArは、1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,7−、1,8−、2,3−、2,6−、または2,7−ナフチリデンであって、それぞれは所望により、(C1−C6)アルキル、(C1−C5)アルコキシ、(C1−C4)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、−COOR’、−CONHR’、−O(CH2)nCOOR’、−S(CH2)nCOOR’、−O(CH2)nCONHR’、または−S(CH2)nCONHR’の1、2、3、または4個の基で置換されていてもよい;
Z1は(C1−C5)アルキル、またはフェニルであって、所望により、(C1−C5)アルキル、(C1−C4)アルコキシ、(C1−C4)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、−COOR’、−CONHR’、−O(CH2)nCOOR’、−S(CH2)nCOOR’、−O(CH2)nCONHR’、または−S(CH2)nCONHR’の1、2、または3個の基で置換されていてもよい;Alk2およびSp2は一緒になって結合である;SpおよびQは直前に定義した通りである。
【0116】
米国特許第5,773,001号(その全体として本発明の一部として参照される)は、カリケアマイシンから調製される求核薬、特にヒドラジドおよび関連する求核試薬とともに使用できるリンカーを開示している。これらのリンカーは、薬物およびリンカー間で形成される結合が加水分解可能である場合に、さらに良好な活性が得られる場合において特に有用である。これらのリンカーは、2つの官能基、たとえば(1)抗体との反応のための基(たとえば、カルボン酸)、および(2)薬物との反応のためのカルボニル基(たとえば、アルデヒドまたはケトン)を含有する。カルボニル基は、薬物上のヒドラジド基と反応して、ヒドラゾン結合を形成することができる。この結合は加水分解可能であり、標的細胞との結合後に接合体からの治療剤の放出を許容する。
【0117】
一例として、キメラまたはヒト化H8抗体は、(1)細胞毒性薬誘導体を抗5T4抗体に添加する(ここにおいて、細胞毒性薬は、タンパク質担体の4.5〜11重量%である);(2)細胞毒性薬誘導体および抗5T4抗体を、約7〜9の範囲のpHを有する非求核性、タンパク質適合性、緩衝溶液中でインキュベートして、モノマー細胞毒性薬/抗体接合体を産生する(ここにおいて、溶液はさらに(a)好適な有機共溶媒、および(b)少なくとも1つのC6−C18カルボン酸またはその塩を含む添加剤を含み、インキュベーションは約30℃〜約35℃の範囲の温度で、約15分から24時間行われる);および(3)工程(2)において産生された接合体をクロマトグラフィー分離プロセスに付して、モノマー接合体を3重量%〜10重量%の細胞毒性薬および10%未満の低接合フラクション(LCF)で未接合抗体、薬物誘導体、および凝集した接合体から分離することにより、細胞毒性薬に接合させることができる。
【0118】
工程(3)のクロマトグラフィー分離は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、限外濾過/膜分離精製法(diafiltration)、HPLC、FPLC、またはセファクリルS−200クロマトグラフィーなどのプロセスを包含する。クロマトグラフィー分離は、フェニルセファロース6高速流クロマトグラフィーメディア、ブチルセファロース4高速流クロマトグラフィーメディア、オクチルセファロース4高速流クロマトグラフィーメディア、Toyopearlエーテル−650Mクロマトグラフィーメディア、Macro−prepメチルHICメディアまたはMacro−Prep t−ブチルHICメディアを用いた疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)により行うことができる。
【0119】
抗H8抗体/薬物接合体の代表的な調製法は、米国同時係属出願公開番号2004−082764A1および米国特許出願番号10/699,874(全体として本発明の一部として参照される)においてCMC−544の調製法に関して記載されているものを包含する。接合は、次の条件を用いて行うことができる:10 mg/ml抗体、8.5%(w/w)カリケアマイシン誘導体、37.5 mMデカン酸ナトリウム、9% (v/v)エタノール、50 mM HEPBS(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(4−ブタンスルホン酸))、pH 8.5、32℃、1時間を包含する。疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)は、ブチルセファロースFF樹脂、0.65 Mリン酸カリウムローディング緩衝液、0.49 M リン酸カリウム洗浄緩衝液、および4 mMリン酸カリウム溶出緩衝液を用いて行うことができる。緩衝液交換は、サイズ排除クロマトグラフィー、限外濾過/膜分離精製法、または他の好適な手段により達成することができる。抗体/薬物接合体は、1.5%デキストラン−40、0.9%シュークロース、0.01% TWEENR−80、20 mMトリス/50 mM NaCl、pH 8.0中で処方することができる。5%シュークロース、0.01% TWEENR−80、20 mMトリス/10 mM NaCl、pH 8.0を含有する別の処方溶液も使用できる。凍結乾燥サイクルは処方に基づいて調節される。処方の濃度は、0.5 mg接合体/mlである。それぞれのバイアルは1 mgの接合体を含み得る。すなわち、2 mlの充填量である。他の充填体積、たとえば5ml充填量を所望により調製することができる。
【0120】
他の代表的な方法は、CMD−193に関して記載されているものを包含し、同時係属中の米国特許出願番号11/080,587にも記載されている。接合は、次の条件を用いて行うことができる:10 mg/ml抗体、7% (w/w)カリケアマイシン誘導体、10 mMデオキシコレート、50 mM HEPBS(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(4−ブタンスルホン酸))、9% (v/v)エタノール、pH 8.2、32℃、1時間。反応を0.66 Mリン酸カリウム pH 8.56で10倍に希釈し、ブチルセファロースFF樹脂、0.60 Mリン酸カリウムローディング緩衝液および洗浄緩衝液、および20 mMトリス/25 mM NaCl溶出緩衝液を用いてHICを行うことができる。緩衝液交換は、限外濾過/再生セルロース膜を用いた膜分離精製法を用いて行うことができる。接合体を20 mMトリス/10 mM NaCl pH 8.0(10 diavolumes)に対して膜分離精製することができる。抗体/薬物接合体を5%シュークロース、0.01% TWEENR−80、20 mMトリス/10 mM NaCl、pH 8.0中で処方することができる。処方後のバルク接合体の濃度は1 mg/mlであり、バイアル充填量は5 mg/バイアル、すなわち、5 ml充填量であるか、あるいは他の充填体積を所望により調製することができる。
【0121】
本発明の特定の具体例において、使用されるリンカーは、4−(4−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)である。抗体/薬物接合体は、β−カリケアマイシン、γ−カリケアマイシンまたはN−アセチルγ−カリケアマイシン、あるいはその誘導体を、3−メルカプト−3−メチルブタノイルヒドラジド、AcButリンカー、および本発明の抗5T4抗体と反応させることにより調製される。たとえば、米国特許第5,773,001号参照。このリンカーは、循環において安定である接合体を産生し、1日あたり推定2%のNAc−γDMHを放出し、これは酸性リソソームにおいて容易にNAc−ガンマDMHを放出する。本発明の他の具体例において、抗体/薬物接合体は、3−アセチルフェニル酸性酸(AcPac)または4−メルカプト−4−メチル−ペンタン酸(Amide)をリンカー分子として使用して調製される。実施例2参照。
【0122】
放射性同位元素の接合に関して有用な代表的リンカーは、ジエチレントリアミンペンタアセテート(DTPA)−イソチオシアネート、スクシニミジル6−ヒドラジニウムニコチネートヒドロクロリド(SHNH)、およびヘキサメチルプロピレンアミンオキシム(HMPAO)を包含する(バッカー(Bakker)ら、(1990)J.Nucl.Med.31:1501−9、チャットパディエイ(Chattopadhyay)ら、(2001)Nucl.Med.Biol.28:741−4、デワンジー(Dewanjee)ら、(1994)J.Nucl.Med.35:1054−63、クレニング(Krenning)ら、(1989)Lancet 1;242−4、サギウチ(Sagiuchi)ら、(2001)Ann.Nucl.Med.15:267−70);米国特許第6,024,938参照)。別法として、ターゲティング分子を誘導化させて、放射性同位元素を直接これに結合させることができる(ユー(Yoo)ら、(1997)J.Nucl.Med.38:294−300)。ヨウ素化法も当該分野において公知であり、代表的方法は、たとえば、クレニング(Krenning)ら、(1989)Lancet 1:242−4およびバッカー(Bakker)ら、(1990)J. Nucl. Med. 31:1501−9において見いだすことができる。
【0123】
抗体/薬物接合体あたりの薬物分子の数をさらに増大させるために、薬物をポリエチレングリコール(PEG)、たとえば直鎖または分岐鎖ポリエチレングリコールポリマーおよびモノマーと接合させることができる。PEGモノマーは次式:
−(CH2CH2O)−
を有するものである。薬物および/またはペプチド類似体をPEGと直接または間接的に、すなわち、適当なスペーサー基、たとえば糖を介して結合させることができる。PEG/抗体/薬物組成物は、薬物安定性およびインビボでの標的部位への送達を促進するために、さらなる親油性および/または親水性部分も含むことができる。PEG含有組成物の代表的な調製法は特に、米国特許第6,461,603号;第6,309,633号;および第5,648,095号において見いだすことができる。
【0124】
カリケアマイシンをはじめとする多くの薬物の疎水性の結果、抗体/薬物接合体が凝集する。さらに高い薬物装填量/収量および凝集が軽減されたモノマー抗体/薬物接合体を産生するために、(i)共溶媒としてプロピレングリコールおよび(ii)少なくとも1種のC6−C18カルボン酸を含む添加剤を含有する、非求核タンパク質適合性緩衝溶液中で、接合反応を行うことができる。有用な酸としては、C7〜C12酸、たとえば、オクタン酸またはカプリル酸、あるいはその塩が挙げられる。プロピレングリコール以外の他のタンパク質適合性有機共溶媒、たとえば、エチレングリコール、エタノール、DMF、DMSOなども使用できる。薬物を接合混合物中に移すために有機共溶媒の一部または全部が使用される。N−ヒドロキシスクシンイミド(OSu)エステルまたは他の同等に活性化されたエステルを用いた抗体/薬物接合体の調製に有用な緩衝液としては、リン酸塩緩衝塩溶液(PBS)およびN−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES緩衝液)が挙げられる。接合反応において用いられる緩衝溶液は遊離アミンおよび求核試薬が実質的にない。別の方法として、t−ブタノールを含有し、添加剤を追加していない非求核タンパク質適合性緩衝溶液中で接合反応を行うことができる。たとえば、米国特許第5,712,374号および第5,714,586号参照。接合のさらなる方法およびカリケアマイシン含有接合体は、米国特許第5,739,116号および第5,877,296号に開示されている。
【0125】
モノマー接合体を形成するための最適反応条件は、温度、pH、カリケアマイシン誘導体投入量、および添加剤濃度などの反応変数を変えることにより経験的に決定することができる。プロピレングリコールの代表的な量は、全溶液の10%〜60%、たとえば10%〜40%の範囲、または約30体積%である。少なくとも1つのC6−C18カルボン酸またはその塩を含む添加剤の代表的な量は、20 mM〜100 mM、たとえば、40 mM〜90 mM、または約60 mM〜90 mMの範囲である。C6−C18カルボン酸またはその塩の濃度を150〜300 mMに増加させることができ、共溶媒を1%〜10%に減少させることができる。本発明の代表例において、カルボン酸はオクタン酸、デカン酸、または対応する塩である。たとえば、200 mMのカプリル酸を5%プロピレングリコールまたはエタノールとともに使用することができる。接合反応は、若干高い温度(30〜35oC)およびpH(8.2〜8.7)で行うことができる。抗体の濃度は1〜15 mg/mlの範囲であり、カリケアマイシン誘導体、たとえば、N−アセチルガンマ−カリケアマイシンDMH AcBut OSuエステルの濃度は、抗体の約4.5重量%〜11重量%の範囲である。他の薬物の接合に好適な条件は、実験を行うことなく当業者が決定することができる。
【0126】
II.C.抗体/薬物接合体の精製
接合後、モノマー接合体を未接合反応物質および/または接合体の凝集形態から、通常の方法、たとえば、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、イオン交換クロマトグラフィー(IEC)、またはクロマト分画(CF)により分離することができる。精製された接合体は、モノマーであり、通常、3重量%〜10重量%の薬物を含有する。抗体/薬物接合体は、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を用いて精製することもでき、これは、たとえば、(1)LCF含量ならびに凝集物を有効に減少させることができること;(2)大きな反応体積の調節;および(3)生成物の最小希釈など、SECにまさるいくつかの利点をもたらす。生産規模の使用に好適な高容量HICメディアは、フェニルセファロース6高速流クロマトグラフィーメディア、ブチルセファロース4高速流クロマトグラフィーメディア、Toyopearlエーテル−650Mクロマトグラフィーメディア、Macro−PrepメチルHICメディアまたはMacro−Prep t−ブチルHICメディアを含む。限外濾過/膜分離精製法も緩衝液交換に使用できる。
【0127】
代表的な精製法において、遠心分離細胞除去工程、タンパク質A親和性捕捉工程と、それに続く1または2の直交クロマトグラフィー研磨工程、ウイルス濾過工程、および濃縮および処方のための接線流濾過工程を包含する複数の工程が行われる。精製法は、好ましくは、5%未満の凝集物、20ppm未満のタンパク質A、50ppm未満の宿主細胞タンパク質、および50%を超える全体的回収率で生成物を産生する。
【0128】
典型的なヒト化抗5T4/カリケアマイシン調製物は、主に(約95%)、抗体1モルあたり5〜7モルのカリケアマイシンを含有する接合した抗体を含有する。接合体は、実験室スケール(10−200 mg)で再現可能に調製される。薬物装填量は、μgカリケアマイシン/mg mAbとして表され、カリケアマイシン濃度(μg/mL)を抗体濃度(mg/mL)で割ることにより決定される。これらの値は、280nmおよび310nmで接合体溶液のUV吸光度を測定することにより決定される。これは平均装填量であり、実際の装填量は平均装填量値を中心とする疑似ガウス分布であることに注目することが重要である。すなわち、抗体の一部が平均よりも多量に装填され、抗体の一部は平均よりも少量で装填される。分析的HIC−HPLC(疎水性相互作用高性能液体クロマトグラフィー)を用いて測定できる未接合抗体(低接合フラクション)は、接合カリケアマイシンをほとんどまたは全く有さない抗体の集団である。この値は、抗体に関するカリケアマイシン分布の測定値であり、投与されたカリケアマイシンの量に一般的に影響を及ぼさない。ELISAを用いて測定できる未接合カリケアマイシンは、抗体に対して接合されず、全カリケアマイシンの割合で表されるカリケアマイシンの量をいう。薬物装填分析は、未接合および接合カリケアマイシンを識別しない。未接合カリケアマイシンの量は、薬物ローディングを用いた場合に検出できないか、あるいは無視でき、従って、これらの分析は接合カリケアマイシンの量を有効に測定する。
【0129】
ヒト化抗5T4カリケアマイシン接合体の放出および安定性試験に関する分析のために分析法を用いることができる。接合体は、同一性(IEF)、強度(全タンパク質および全カリケアマイシン装填量)、純度(未接合カリケアマイシン、低接合抗体、凝集物含量およびSDS−PAGE還元)、および免疫親和性(抗原結合ELISA)に関して評価することができる。当業者に公知のさらなる分析を用いることができる。これらの分析を用いて、バッチ間の一貫性を商業的製造において維持することができる。
【0130】
II.D.抗体/薬物接合体の薬物動態
The pharmacokinetics of 5T4を標的とする免疫接合体の薬物動態を評価し、様々な動物における未接合カリケアマイシンの薬物動態と比較することができる。たとえば、これは、メスヌードマウス、オスSprague−Dawleyラット、およびメスカニクイザルに1回静脈内ボーラス投与した後に行うことができる。抗5T4抗体の薬物動態は、一般に、様々な種における低クリアランス、低体積の分布、および長い見かけの終末半減期により特徴づけられる。未接合カリケアマイシン誘導体の血清濃度は定量限界より低いと予想される。単回投与毒性範囲実験におけるこれらの接合体についての毒性プロフィールは、相当する用量での他の抗体/カリケアマイシン接合体について得られるものと同様であると予想される。
【0131】
III.キメラおよびヒト化抗5T4抗体および抗体/薬物接合体の使用
本発明のヒト化抗5T4抗体および抗体/薬物接合体は、5T4発現細胞に関連する用途についてインビトロおよびインビボの両方で有用である。実施例1において記載されるように、5T4発現ガン細胞は、扁平上皮/腺腫性肺ガン(非小細胞肺ガン)、浸潤性乳ガン、結腸直腸癌、胃ガン、扁平上皮子宮頸ガン、浸潤性子宮内膜腺癌、浸潤性膵臓癌、卵巣癌、扁平上皮膀胱癌、および絨毛腫を包含する。5T4は、気管支、胸部、結腸、直腸、胃、頸部、子宮内膜、膵臓、卵巣、絨毛、および精嚢の癌腫に関して高レベルで検出された。
【0132】
インビボ用途に関して、開示されたヒト化抗体の薬物担体としての有用性は、そのターゲティング分子として挙動する能力に依存する。ターゲティングなる用語は、対照組織と比較したペプチドまたはペプチド類似体の標的組織における優先的運動および/または蓄積をさす。本明細書において用いられる標的組織なる用語は、5T4発現細胞、すなわち、対象に投与された後の本発明の抗体/薬物接合体の蓄積に関して意図される部位を含む組織をいう。本明細書において用いられる対照組織なる用語は、投与された抗体/薬物接合体の結合および/または蓄積が実質的にないと思われる部位、すなわち、5T4発現細胞が実質的にない組織をさす。本明細書において用いられる選択的ターゲティングなる用語は、標的組織における抗体/薬物接合体の量が対照組織におけるペプチド類似体の量より約2倍高くなるような、たとえば、約5倍以上、または約10倍以上になるような抗体/薬物接合体の優先的局在化をさす。
【0133】
III.A.インビトロ適用
本発明はヒト化5T4抗体を使用するインビトロの方法を提供する。たとえば、開示された抗体は単独または細胞毒性剤または5T4陽性癌細胞と特異的に結合して、かかる細胞を細胞サンプルから除去する他の薬物との組み合わせのいずれかにおいて用いることができる。
【0134】
細胞毒素と接合した抗5T4抗体を含む抗体/薬物接合体と5T4発現細胞を接触させることにより、標的細胞崩壊のための方法も提供される。実施例3および8参照。細胞毒性剤を含む抗体/薬物接合体と細胞を接触させることにより、5T4発現細胞の増殖を抑制するための方法および5T4発現細胞のアポトーシスを誘発する方法も提供される。5T4発現細胞の抗体/薬物接合体との接触は、インビトロまたはインビボで行うことができる。
【0135】
III.B.診断および検出法
本発明のヒト化抗5T4抗体は、5T4抗原を特異的に結合するその能力に基づいて、インビトロおよびインビボでの5T4+細胞の検出においても有用性を有する。5T4発現細胞を検出する方法は:(a)細胞を含む生物学的サンプルを調製し;(b)インビトロでヒト化抗5T4抗体を生物学的サンプルと接触させ(ここにおいて、抗体は検出可能な標識を含む);(c)検出可能な標識を検出し、これにより5T4発現細胞が検出可能になることを含む。
【0136】
開示された検出法は、たとえば、診断に有用であるとして、手術中の援助を提供するために、あるいは用量決定のためにインビボでも行うことができる。標識されたヒト化抗5T4抗体を対象に投与した後で結合に十分な時間の後、抗体により結合した5T4発現細胞の生体内分布を可視化することができる。開示された診断法は、処理法と組み合わせて使用することができる。加えて、本発明のヒト化抗5T4抗体は検出および治療の二重の目的で投与することができる。
【0137】
代表的な非浸潤性検出法は、シンチグラフィー(たとえば、SPECT(単光子放射型コンピューター断層撮影法)、PET(陽電子放出断層撮影法)、ガンマカメラ画像化、および直線走査)、磁気共鳴映像法(たとえば、通常の磁気共鳴画像化、磁化移動画像化(MTI)、陽子磁気共鳴分光学(MRS)、拡散強調画像化(DWI)および機能的MR画像法(fMRI))、および超音波を包含する。
【0138】
III.C.治療用途
本発明はさらに、対象において5T4発現ガン細胞の細胞崩壊を誘発するために有用な方法および組成物にも関する。従って、開示された方法は、癌成長の阻害、たとえば、遅延型腫瘍成長および転移の阻害に有用である。一つの操作様式に拘束されることを意図しないが、ヒト化H8−カリケアマイシン接合体の抗原誘導ターゲティング(たとえば、実施例3、4、および9参照)ならびに受動的ターゲティング(たとえば、実施例10参照)は抗腫瘍効果に寄与し得る。
【0139】
開示された抗5T4抗体および抗体/薬物接合体を用いて治療可能な代表的な癌としては、胸部、結腸、直腸、肺、中咽頭、下咽頭、食道、胃、膵臓、肝臓、胆嚢、胆管、小腸、腎臓、膀胱および尿路上皮を含む尿路、女性生殖系、頸部、子宮、卵巣、男性生殖系、前立腺、精嚢、睾丸、内分泌腺、甲状腺、副腎、脳下垂体、皮膚、骨、軟組織、血管、脳、神経、眼、髄膜における5T4発現原発および転移性腫瘍が挙げられる。特に、本発明の開示された抗5T4抗体/薬物接合体は、非小細胞肺ガン、転移性乳ガン、および膵臓癌の治療に、第二次単剤療法として、また一次併用療法の一部として使用できる。標的癌は、胸部、結腸、胃、食道、膵臓、十二指腸、肺、膀胱および腎臓癌および胃および島細胞神経内分泌腫瘍を包含するルイスY炭水化物抗原を発現することもできる。米国特許第6,310,185号参照。
【0140】
開示された方法は、ホジキンリンパ腫細胞および非ホジキンリンパ腫細胞をはじめとするT4発現白血病およびリンパ腫細胞にも関する。リンパ腫細胞は、無痛性、悪性、低悪性度、中悪性度、または抗悪性度リンパ腫細胞である。
【0141】
従って、本発明のヒト化抗5T4抗体/カリケアマイシン接合体で治療されるべき患者は、これに限定されないが、5T4抗原の高い発現を包含するバイオマーカー発現に基づいて選択することができ、その結果、腫瘍発生または組織ではなく強化された標的発現に関して選択された患者集団が得られる。標的発現は、細胞染色の強度と併せて細胞染色の数の関数として測定することができる。たとえば、5T4の高発現の区分は、3+(1〜4のスケールで)のレベルで5T4について陽性の免疫組織学的染色により試験された、30%を超える(すなわち、40%、50%または60%)細胞を有する患者を包含し、一方、5T4の中発現は、1+〜2+での20%を超える細胞染色を有する患者を包含する。
【0142】
5T4抗原の発現以外のバイオマーカーを、たとえば、多剤耐性(MDR)に基づく腫瘍のキャラクタライゼーションを包含する患者の選択にも用いることができる。ほぼ50パーセントのヒトの癌は、化学療法に対して完全に耐性であるか、または一時的にのみ反応し、その後、通常に使用される抗ガン剤により影響を受けないかのいずれかである。この現象は、MDRと称し、ある種の腫瘍により本質的に発現され、一方、他のものは化学療法処置を受けた後にMDRを獲得する。薬物排出ポンプP−糖タンパク質は、細胞毒性化学療法に関連するMDRの大部分を媒介する。癌患者腫瘍標本中に存在するMDRメカニズムの表現型および機能分析は、特定の腫瘍種における化学療法に対して耐性と特異的MDRメカニズムを関係づけるために行うことができる。
【0143】
本明細書において用いられる癌なる用語は、非新生物増殖性疾患も包含する。従って、本発明の方法は、過形成、化生、あるいは特に異形成(かかる異常成長状態に関する総説については、デバイタ・ジュニア(DeVita、Jr.)ら、(2001)、Cancer: PrinciplesおよびPractice、第6版、Lippincott Williams & Wilkins参照)の治療または予防も意図される。
【0144】
癌成長なる用語は、一般に、癌内のより発展した形態への変化を示唆する指数を意味する。従って、癌成長の阻害を評価する指数は、これに限定されないが、癌細胞生存率における減少、腫瘍体積または形態の減少(たとえば、コンピューター断層撮影(CT)、超音波検査、または他の画像化法を使用して決定される)、遅延型腫瘍成長、腫瘍脈管構造の破壊、遅延型過敏症皮膚試験における向上した性能、細胞傷害性Tリンパ球の活性における増加、および腫瘍特異性抗原のレベルにおける減少を包含する。遅延型腫瘍成長なる用語は、腫瘍が特定の量に成長するために必要な時間の減少を意味する。たとえば、治療は、腫瘍が測定の初日(0日)に対して3倍の体積に増大するために必要な時間または1cm3に成長するために必要な時間を遅延させることができる。
【0145】
III.D.処方
本発明のキメラおよびヒト化抗5T4抗体を安全かつ有効な臨床用途のために容易に調製し、処方することができる。対象に投与するために好適な処方は、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、抗菌剤および抗真菌剤(たとえば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、およびチメロサール)、処方を意図される受容者の体液と等張にするための溶質(たとえば、糖、塩、およびポリアルコール)、懸濁化剤、および増粘剤を含有してもよい水性および非水性無菌注射溶液を包含する。好適な溶媒としては、水、エタノール、ポリオール(たとえば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール)、およびその混合物が挙げられる。処方は、単剤または多剤容器、たとえば、密封アンプルおよびバイアル中で提示することができ、対象に投与するか、またはその後に意図される用途に適当な同位体で放射標識するために使用直前に無菌液体担体を添加するだけでよい凍結またはフリーズドライ(凍結乾燥)状態で貯蔵することができる。本発明の抗5T4抗体および抗体/薬物接合体は好ましくは以下に記載される有効用量として処方される。
【0146】
一例として、代表的な抗5T4抗体処方は、40 mg/mlの抗体または抗体/薬物接合体、25 mMのアセテート、150 mMのトレハロース、0.9%のベンジルアルコール、0.02%のポリソルベート20(pH 5.0)を含み、2〜8℃で貯蔵して2年の最低保存寿命を有する。もう一つ別の例として、抗5T4抗体処方は、9.0 mg/mlの塩化ナトリウム中10 mg/mlの抗体または抗体/薬物接合体、7.35 mg/mlのクエン酸ナトリウム二水和物、0.7 mg/mlのポリソルベート80、および無菌水を含む(pH 6.5)。実験マウスモデルに投与される抗5T4/カリケアマイシン接合体の代表的な処方は、2μgまたは4μgのカリケアマイシンを含み(実施例3、4、および7参照)、これはヒトへの投与に関して相応に増減することができる。
【0147】
抗5T4抗体または抗体/薬物接合体の安定な凍結乾燥処方は(a)抗体/薬物接合体を溶解させて、凍結防止剤を1.5重量%〜5重量%の濃度、ポリマー充填剤を0.5重量%〜1.5重量%の濃度、電解質を0.01M〜0.1Mの濃度、溶解促進剤を0.005重量%〜0.05重量%の濃度、溶液の最終pHが7.8〜8.2になるように5〜50mMの濃度で緩衝剤、および水含む溶液中0.5〜2 mg/mlの最終濃度にし;(b)前記溶液をバイアル中に+5℃〜10℃の温度で分注し;(c)溶液を−35℃〜−50℃の凝固点で凍結させ;(d)凍結した溶液を−10℃〜−40℃の棚温度、20〜80ミクロンの一次乾燥圧で、24〜78時間、初期乾燥工程に付し;(e)凍結乾燥された工程(d)の生成物を+10℃〜+35℃の棚温度で20〜80ミクロンの乾燥圧で15〜30時間、二次乾燥工程に付すことにより調製できる。
【0148】
凍結防止剤の凍結乾燥に有用な代表的な凍結防止剤としては、アルジトール、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、ポリエチレングリコール、アルドン酸、ウロン酸、糖酸、アルドース、ケトース、アミノ糖、アルジトール、イノシトール、グリセルアルデヒド、アラビノース、リキソース、ペントース、リボース、キシロース、ガラクトース、グルコース、ヘキソース、イドース、マンノース、タロース、ヘプトース、グルコース、フルクトース、グルコン酸、ソルビトール、ラクトース、マンニトール、メチルα−グルコピラノシド、マルトース、イソアスコルビン酸、アスコルビン酸、ラクトン、ソルボース、グルカル酸エリスロース、トレオース、アラビノース、アロース、アルトロース、グロース、イドース、タロース、エリスルロース、リブロース、キシルロース、プシコース、タガトース、グルクロン酸、グルコン酸、グルカル酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸、グルコサミン、ガラクトサミン、シュークロース、トレハロース、ノイラミン酸、アラビナン、フルクタン、フカン、ガラクタン、ガラクツロナン、グルカン、マンナン、キシラン、レバン、フコイダン、カラギーナン、ガラクトカロロース、ペクチン、ペクチン酸、アミロース、プルラン、グリコーゲン、アミロペクチン、セルロース、デキストラン、プスツラン、キチン、アガロース、ケラチン、コンドロイチン、デルマタン、ヒアルロン酸、アルギン酸、キサンタンガム、デンプン、シュークロース、グルコース、ラクトース、トレハロース、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロールおよびペンタエリスリトールが挙げられる。
【0149】
たとえば、凍結防止剤シュークロースは、1.5重量%の濃度で用いることができ、ポリマー充填剤デキストラン40またはヒドロキシエチルデンプン40は0.9重量%の濃度で用いることができ、凍結乾燥溶液において用いられる電解質は、塩化ナトリウムであり、これは0.05Mの濃度で存在し、緩衝剤トロメタミンは0.02Mの濃度で用いることができる。溶解度促進剤(たとえば、界面活性剤、たとえば、ポリソルベート80)は凍結乾燥プロセスの間にも用いることができる。通常、この溶解度促進剤は、界面活性剤である。凍結乾燥された処方を調製するための代表的な工程は、バイアルを−45℃の温度で凍結させることを含み;凍結した溶液を60ミクロンの一次乾燥圧および−30℃の棚温度で60時間、初期凍結乾燥工程に付し;凍結乾燥された生成物を60ミクロンの乾燥圧、+25℃の棚温度で24時間二次乾燥工程に付す。
【0150】
抗5T4抗体および抗体/薬物接合体は医薬的に許容される担体、たとえば、大きく、ゆっくりと代謝される高分子、たとえば、タンパク質、ポリペプチド、リポソーム、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマーおよび不活性ウイルス粒子中で処方される。医薬的に許容される塩、たとえば、鉱酸塩、たとえば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩および硫酸塩、あるいは有機酸の塩、たとえば、酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩および安息香酸塩も用いることができる。処方はさらに、液体、たとえば、水、塩溶液、グリセロール、およびエタノール、および/または補助剤、たとえば、湿潤剤または乳化剤を含むことができるか、あるいはpH緩衝物質がかかる組成物中に存在してもよい。かかる担体は、患者により摂取されるために、組成物が錠剤、丸薬、糖衣錠、カプセル、液剤、ジェル、シロップ、スラリーおよび懸濁剤に処方されるのを可能にする。
【0151】
III.E.用量および投与
ヒト化抗5T4抗体は、非経口的に、たとえば、静脈内、皮下、腹腔内、または筋肉内投与により投与することができる。組成物を肺経路に送達するために、組成物をエアゾルまたは粗スプレーとして、すなわち、経鼻投与で投与することができる。髄腔内または髄内投与は、中枢神経系(CNS)およびCNS関連性癌の治療に用いることができる。本発明の抗5T4抗体は、経真皮、経皮、局所、経腸、膣内、舌下または経直腸的でも投与することができる。送達法は、治療される状態および部位、抗体処方の種類、および組成物の治療効力などの検討事項に基づいて選択される。静脈内投与は病院において慣例的に使用される。
【0152】
本発明は、有効量のヒト化抗5T4抗体が対象に投与されると定めている。有効量なる用語は、本明細書においては、所望の生物学的応答を惹起するために十分なヒト化抗5T4抗体の量を記載するために用いられる。たとえば、癌を有する対象に投与される場合、有効量は、抗ガン活性、たとえば、癌細胞崩壊、ガン細胞増殖の阻害、ガン細胞アポトーシスの誘発、ガン細胞抗原の減少、遅延型腫瘍成長、および転移の阻害を惹起するために十分な量を含む。腫瘍収縮は、有効性の臨床代理マーカーとしてよく承認されている。もう一つ別のよく承認された有効性のマーカーは、無増悪生存率である。抗5T4/カリケアマイシン接合体は、一般に、重要な有効性評価基準において少なくとも25%の改善、たとえば、メジアン生存率、腫瘍進行までの時間、および全体的応答率において改善を示す。
【0153】
一般に、有効な用量は、約0.01 mg/m2から約50 mg/m2の範囲、たとえば、約0.1 mg/m2から約20 mg/m2、または約15 mg/m2であり、この用量は、抗5T4抗体の量に基づいて、あるいは抗体/カリケアマイシン調製物中のカリケアマイシンの量に基づいて計算される。実験マウスモデルに投与される抗5T4/カリケアマイシン接合体の代表的な用量は、2μgまたは4μgカリケアマイシン(実施例3〜4および9参照)を含み、この量はヒトへの投与に関して、相応して増減することができる。たとえば、本発明の抗5T4/カリケアマイシン接合体は、ヒト患者に3週間ごとに1回、6サイクルまで投与することができる。放射性標識された抗5T4抗体に関して、有効な用量は、典型的には、放射性同位元素および抗体の結合親和力に基づいて、約1 mCi〜約300 mCi、通常、約5 mCi〜100 mCiである。
【0154】
開示されたキメラおよびヒト化抗5T4抗体を用いた5T4−陽性細胞の検出に関して、検出可能な量の本発明の組成物が対象に投与される。検出可能な量は、本明細書において診断組成物に言及するために用いられる場合、抗体の存在をインビトロまたはインビボで決定できるようなキメラまたはヒト化H8抗体の量をいう。放射性同位元素を用いたシンチグラフィー画像化に関して、放射性同位元素の典型的な量は、約10μCi〜50mCi、または約100μCi〜25mCi、または約500μCi〜20mCi、または約1mCi〜10mCi、または約10mCiの活性を包含し得る。
【0155】
本発明の組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、所望の診断または治療結果を達成するために有効である量の組成物を投与するために変化し得る。投与計画も変化し得る。単回注射または頻回注射を用いることができる。選択された用量レベルおよび投与計画は、治療組成物の活性および安定性(すなわち、半減期)、処方、投与経路、他の薬物または治療との組み合わせ、検出および/または治療される疾患または障害、および治療される対象の健康状態および以前の病歴をはじめとする様々な因子に依存するであろう。
【0156】
本発明の任意の抗5T4または抗体/薬物接合体に関して、治療的に有効な用量は、まず、細胞培養分析において、あるいは動物モデル、通常、齧歯類、ウサギ、イヌ、ブタ、および/または霊長類においてのいずれかで評価することができる。動物モデルは、適当な濃度範囲および投与経路を決定するためにも使用できる。このような情報は次いでヒトにおける有用な用量および投与経路を決定するために使用できる。典型的には、最小用量が投与され、用量を制限する細胞毒性がない場合は用量を増大させる。有効量または用量の決定および調節、ならびにかかる調節をいつ、どのようにして行うかの評価は、医学分野における通常の技術を有する人には公知である。
【0157】
処方、用量、投与計画、および測定可能な治療結果に関するさらなる指針については、バーコウ(Berkow)ら、(2000)The Merck Manual of Medical Information、Merck & Co.、Inc.、Whitehouse Station、New Jersey;エバディ(Ebadi)(1998)CRC Desk Reference of Clinical Pharmacology、CRC Press、Boca Raton、Florida;ジェナロ(Gennaro)(2000)Remington: The ScienceおよびPractice of Pharmacy、Lippincott、Williams & Wilkins、Philadelphia、Pennsylvania;カッツン(Katzung)(2001)Basic & Clinical Pharmacology、Lange Medical Books/McGraw−Hill Medical Pub. Div.、New York;ハードマン(Hardman)ら、(2001)Goodman & Gilman’s the Pharmacological Basis of Therapeutics、The McGraw−Hill Companies、Columbus、Ohio;スパイトおよびホルフォード(Speight & Holford)(1997)Avery’s Drug Treatment: A Guide to the Properties、Choices、Therapeutic UseおよびEconomic Value of Drugs in Disease Management、Lippincott、Williams、& Wilkins、Philadelphia、Pennsylvania参照。
【0158】
III.F.併用療法
開示された抗5T4抗体は、初期治療として、または通常の療法に対して無反応な状態の治療のために投与することができる。加えて、開示された抗5T4抗体は、他の治療(たとえば、外科的切除、放射線療法、追加の標的化抗ガン剤または全身性抗ガン剤など)と組み合わせて用いることができ、これにより相加的または相乗治療効果の惹起および/またはある抗ガン剤の肝細胞毒性を低下させる。本発明のキメラおよびヒト化抗5T4抗体は、追加の薬剤と同時投与または同時処方、あるいはいずれかの順序での連続投与のために処方することができる。
【0159】
併用療法に有用な代表的な薬剤としては、本明細書において抗5T4/薬物接合体の調製に有用であると前記されている任意の薬物が挙げられる。本発明のキメラおよびヒト化抗5T4抗体は、他の治療抗体および抗体/薬物接合体、たとえば、開示されたヒト化抗5T4抗体以外の抗5T4抗体、ならびに抗CD19、抗CD20(たとえば、RITUXANR、ZEVALINR、BEXXARR)、抗CD22抗体、抗CD33抗体(たとえば、MYLOTARGR)、抗CD33抗体/薬物接合体、抗Lewis Y抗体(たとえば、Hu3S193、Mthu3S193、AGmthu3S193)、抗HER−2抗体(たとえば、HERCEPTINR(トラスツズマブ)、MDX−210、OMNITARGR(パーツズマブ、rhuMAb 2C4))、抗CD52抗体(たとえば、CAMPATHR)、抗EGFR抗体(たとえば、ERBITUXR(セツキシマブ)、ABX−EGF(パニツムマブ))、抗VEGF抗体(たとえば、AVASTINR(ベバシズマブ))、抗DNA/ヒストン複合抗体(たとえば、ch−TNT−1/b)、抗CEA抗体(たとえば、CEA−Cide、YMB−1003)hLM609、抗CD47抗体(たとえば、6H9)、抗VEGFR2(またはキナーゼ挿入ドメイン含有レセプター、KDR)抗体(たとえば、IMC−1C11)、抗Ep−CAM抗体(たとえば、ING−1)、抗FAP抗体(たとえば、シブロツズマブ)、抗DR4抗体(たとえば、TRAIL−R)、抗プロゲステロンレセプター抗体(たとえば、2C5)、抗CA19.9抗体(たとえば、GIVAREXR)および抗フィブリン抗体(たとえば、MH−1)との組み合わせにおいて用いることもできる。
【0160】
抗5T4抗体/薬物接合体は、治療計画の一部として細胞毒性剤の1つまたは複数の組み合わせとともに投与することができる。この目的のために有用な細胞毒性製剤は、CHOPP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾンおよびプロカルバジン);CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾン);COP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン);CAP−BOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、プロカルバジン、ブレオマイシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン);m−BACOD(メトトレキサート、ブレオマイシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、デキサメタゾン、およびロイコボリン);ProMACE−MOPP(プレドニゾン、メトトレキサート、ドキソルビシン、シクロホスファミド、エトポシド、ロイコボリン、メクロエタミン、ビンクリスチン、プレドニゾンおよびプロカルバジン);ProMACE−CytaBOM(プレドニゾン、メトトレキサート、ドキソルビシン、シクロホスファミド、エトポシド、ロイコボリン、シタラビン、ブレオマイシンおよびビンクリスチン);MACOP−B(メトトレキサート、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン、ブレオマイシンおよびロイコボリン);MOPP(メクロエタミン、ビンクリスチン、プレドニゾンおよびプロカルバジン);ABVD(アドリアマイシン/ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチンおよびダカルバジン);ABV(アドリアマイシン/ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン)と交互のMOPP(メクロエタミン、ビンクリスチン、プレドニゾンおよびプロカルバジン);ABVD(アドリアマイシン/ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチンおよびダカルバジン)と交互のMOPP(メクロエタミン、ビンクリスチン、プレドニゾンおよびプロカルバジン);ChlVPP(クロラムブシル、ビンブラスチン、プロカルバジン、プレドニゾン);IMVP−16(イホスファミド、メトトレキサート、エトポシド);MIME(メチル−gag、イホスファミド、メトトレキサート、エトポシド);DHAP(デキサメタゾン、高用量シタリビンおよびシスプラチン);ESHAP(エトポシド、メチルプレジゾロン、HDシタラビン、およびシスプラチン);CEPP(B)(シクロホスファミド、エトポシド、プロカルバジン、プレドニゾンおよびブレオマイシン);CAMP(ロムスチン、ミトキサントロン、シタラビンおよびプレドニゾン);およびCVP−1(シクロホスファミド、ビンクリスチンおよびプレドニゾン);DHAP(シスプラチン、高用量シタラビンおよびデキサメタゾン);CAP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、シスプラチン);PV(シスプラチン、ビンブラスチンまたはビンデシン);CE(カルボプラチン、エトポシド);EP(エトポシド、シスプラチン);MVP(マイトマイシン、ビンブラスチンまたはビンデシン、シスプラチン);PFL(シスプラチン、5−フルオロウラシル、ロイコボリン);IM(イホスファミド、マイトマイシン);IE(イホスファミド、エトポシド);IP(イホスファミド、シスプラチン);MIP(マイトマイシン、イホスファミド、シスプラチン);ICE(イホスファミド、カルボプラチン、エトポシド);PIE(シスプラチン、イホスファミド、エトポシド);ビオレルビンおよびシスプラチン;カルボプラチンおよびパクリタキセル;CAV(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン);CAE(シクロホスファミド、ドキソルビシン、エトポシド);CAVE(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、エトポシド);EP(エトポシド、シスプラチン);およびCMCcV(シクロホスファミド、メトトレキサート、ロムスチン、ビンクリスチン)を包含する。
【0161】
抗5T4/カリケアマイシン接合体は、全身性抗ガン剤、たとえば、エピチロン(BMS−247550、Epo−906)、タキサンの組成変更物(Abraxane、Xyotax)、マイクロチューブリン阻害剤(MST−997、TTI−237)との組み合わせ、あるいは標的化細胞毒素、たとえば、CMD−193およびSGN−15との組み合わせにおいて用いることができる。さらなる有用な抗ガン剤としては、TAXOTERER、TARCEVAR、GEMZARR(ジェムシタビン)、5−FU、AVASTINR、ERBITUXR、TROVAXR、アナツモマブマフェナトクス、レトラゾール、ドセタキセル、およびアントラサイクリンが挙げられる。
【0162】
併用療法に関して、ヒト化抗5T4抗体および追加の治療または診断薬は、意図される治療または診断の実行に好適な時間枠内で投与される。従って、単剤を実質的に同時(すなわち、単一の処方として、あるいは数分または数時間以内で)あるいは任意の順序で連続的に投与することができる。たとえば、単剤処理は互いに約1年以内、たとえば、約10、8、6、4、または2ヶ月以内、あるいは4、3、2または1週以内、あるいは約5、4、3、2または1日以内に投与することができる。抗5T4/カリケアマイシン接合体および第二の治療薬の投与は、好ましくは、それぞれ単独の投与よりも高い効果を惹起する。
【0163】
(実施例)
以下の実施例は本発明の様式を説明するために記載される。以下の実施例のある態様は、共同発明者らにより本発明の実施において功を奏することが見いだされるか、あるいは意図される技術に関して記載される。これらの実施例は、共同実験者の標準的試験実施を説明する。本開示および当業者の一般的レベルに照らして、以下の実施例は例示のみを意図し、本発明の範囲から逸脱することなく、多くの変更、修飾、および修正を用いることができることは当業者には理解されるであろう。
【実施例1】
【0164】
正常および悪性組織における5T4発現
5T4抗原をガン治療の標的として考慮するために、正常および悪性組織上の5T4の分布を決定した。5T4は様々な腫瘍組織の表面上で高レベルで観察され、疾患の進行と相関するある場合において、ほとんどの正常細胞に実質的に存在しなかった。この発現特性は、5T4が癌免疫療法の妥当な標的であることを示唆した。
【0165】
標準的技術、たとえばウェスタンブロットに従って、ネズミH8抗5T4抗体を用いて正常および癌性組織における5T4の発現を分析した。様々な抗体および接合体の5T4に対する親和力をプラズモン共鳴またはFACS分析により検証した。H8はハイブリドーマ生成モノクローナルマウスIgG1抗体であって、これはPCT国際特許公開番号WO 98/55607およびフォースバーグ(Forsberg)ら、(1997)J. Biol. Chem. 272(19):124430−12436において記載されている。インビトロよびインビボ分析において正の対照として使用するために、5T4を発現するベクターをCT26マウス結腸癌およびMDAMB435ヒト乳ガン細胞中に形質転換することにより、再現可能に高レベルの5T4を発現する腫瘍細胞を構築した。図1および表1参照。
【0166】
試験した腫瘍サンプルには、扁平上皮/腺腫性肺ガン(非小細胞肺ガン)、浸潤性乳ガン、結腸直腸癌、胃ガン、扁平上皮子宮頸ガン、浸潤性子宮内膜腺癌、浸潤性膵臓癌、卵巣癌、扁平上皮膀胱癌、および絨毛腫が含まれていた。5T4は、気管支、胸部、結腸、直腸、胃、頸部、子宮内膜、膵臓、卵巣、絨毛および精嚢の癌上で高レベルで検出された。5T4抗原(たとえば、同種または異種)の細胞表面分布は、腫瘍の種類に応じて様々であった。
【0167】
5T4抗原の細胞局在化を分析するために、5T4発現細胞を単層として培養し、次いでビオチニル化ネズミH8抗体に暴露した。細胞溶解後、アビジン結合により膜結合5T4抗原を分離し、非アビジン結合フラクションにおいて細胞内5T4を検出した。図2参照。
【0168】
細胞表面上に存在する5T4抗原の割合を定量化するために、CT26/5T4のビオチニル化および対照培養物の抽出物をアビジンでコーティングされたビーズと混合した。ウェスタンブロット分析を上清中のタンパク質に関して行い、5T4の量を濃度測定により評価した。図3A〜3B参照。サンプルの希釈およびH8反応性バンドの光学密度により決定される線形回帰直線の式に基づいて、式:100*(1−内部光学密度/全光学密度)を用いて、細胞膜上の5T4の量(5T4M)を計算した。5T4Mを3つの細胞種に関して計算した:CT26/5T4、24%;PC3−MM2、15%;N87、41%。
【0169】
DLD−1細胞(ヒト結腸癌細胞)、N87細胞(ヒト胃ガン細胞)、PC3−MM2細胞(ヒト前立腺癌細胞)、およびPC3細胞(ヒト前立腺癌細胞)上の5T4の膜局在化 を、ビオチニル化細胞培養物のアビジン除去後にウェスタンブロット分析により決定した。図4参照。MDAMB435/5T4細胞(ヒト乳ガン細胞)上の5T4の膜局在化をFACS分析により決定した。図5A〜5B参照。5T4のN87、PC14PE6、およびNCI−H157細胞上の膜局在化をFACS分析により決定した。図6参照。5T4抗原のPC3−MM2細胞上の膜局在化は組織サンプル中の組織化学検出によっても決定された。
【0170】
5T4抗原に結合した後にH8抗体が取り込まれるかどうかを評価するために、細胞表面で検出される抗体の量を数時間にわたって確認した。H8がCT26/5T4細胞の表面から消失することは、5T4/H8複合体が取り込まれたことを示す。図7参照。
【0171】
表1は、腫瘍細胞における5T4発現をまとめる。結腸直腸癌、胃ガン、および卵巣癌において、5T4の発現は、疾患の進行と直接的に関連する。乳ガンにおいて、転移性小節上で5T4染色の増大した強度が観察された。しかしながら、一次腫瘍における5T4発現と疾患の段階の間に相関関係は見いだされなかった。表2参照。
【0172】
【表1】
【0173】
【表2】
【実施例2】
【0174】
抗5T4−カリケアマイシン(CM)接合体の調製およびキャラクタライゼーション
抗体/薬物接合体の調製のためにネズミH8抗体を使用した。接合体を次いでインビトロで、ヒト5T4抗原と結合し、ガン細胞の細胞崩壊を誘発する能力について試験した。3つのリンカー:4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸 (AcBut)、3−アセチルフェニル酸性酸(AcPac)および4−メルカプト−4−メチル−ペンタン酸(アミド)を用いて、カリケアマイシンをH8に結紮した。H8−カリケアマイシン接合体中のカリケアマイシンの量を増大させるために、たとえば、PEG−SPA、PEG−SBA、およびPEG−ビス−マレイミドを用いて、カリケアマイシンと接合させる前に抗体をPEGに接合させた。表4において、H8−カリケアマイシン接合体のそれぞれの効率がED50として記載され、これは未処理対照に対して細胞培養物の50%減少を引き起こす接合体または遊離薬物として供与されるカリケアマイシンの量である。生体染色色素(MTS)を用いて細胞の数を測定した。
【0175】
AcBut(4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸)酸加水分解可能なリンカーによるカリケアマイシンのH8に対する直接結合は、困難であることが判明し、主に凝集した接合体および抗体あたり少量(約1モル/モル)のCMを有する接合体を生成した。結果として得られる複合体の低レベルの接合および凝集性はこれらの複合体を使用に不適当にした。
【0176】
安定なアミドリンカー(4−メルカプト−4−メチル−ペンタン酸)によるカリケアマイシンのH8に対する結合の結果、5T4陰性カウンターパートと比較した場合、5T4発現癌に対して200倍細胞毒性の高い接合体が得られた。図8および表4参照。この選択性にもかかわらず、接合体は遊離カリケアマイシンよりも細胞毒性が低く、培地1mlあたり500ngカリケアマイシンの濃度で細胞培養物を完全に破壊できなかった。
【0177】
ポリエチレングリコール(PEG)、H8、カリケアマイシン、およびAcButリンカーを使用して調製された接合体は、凝集物を形成せず、H8 1モルあたり約6モルカリケアマイシンの装填量を有していた。試験された数種のPEGは、H8の5T4に対する結合を50%〜90%減少させた。表3参照。
【0178】
【表3】
*5T4に対する結合のフラクションは抗体修飾後になくなった。
【0179】
結合の減少にもかかわらず、2つのH8PEG−AcBut−CalichDMH接合体、H8PEG2K−AcBut−CalichDMHおよびH8PEGmal2−AcBut−CalichDMHは、インビトロで5T4発現細胞の細胞崩壊の誘発に選択的に有効であることが証明された。選択的細胞毒性は、約30%の結合活性しか保持しないH8−カリケアマイシン接合体について観察された。H8PEG2K−AcBut−CalichDMHも、遊離カリケアマイシンよりも細胞毒性が高く、培地1mlあたり500ngカリケアマイシンの濃度で細胞培養物を完全に破壊した。図9A〜9Bおよび表4参照。
【0180】
【表4】
【実施例3】
【0181】
H8−カリケアマイシン接合体の抗腫瘍効果
皮下異種移植片を使用
インビボでH8−カリケアマイシン接合体の細胞毒性を評価するために、MDAMB435/5T4細胞(ヒト5T4抗原を過剰発現するヒト乳ガン細胞)、NCI−H157細胞(ヒト非小細胞肺ガン細胞)、PC14PE6細胞(ヒト非小細胞肺ガン細胞)、またはN87細胞(ヒト胃ガン細胞)の皮下注射によりヌードマウスにおいて腫瘍を調製した。腫瘍を有するマウスに合計3回、4日間隔で、すなわち、1、5、および9日に腹腔内注射することによりH8−カリケアマイシン接合体および対照化合物を投与した。H8−カリケアマイシン接合体は、すべての種類の腫瘍の成長を阻害した。図10、11A〜11B、12、13A〜13B、および14参照。
【実施例4】
【0182】
H8−カリケアマイシン接合体の抗腫瘍効果
ヒト肺ガンの同所移植モデルを使用
H8−カリケアマイシン接合体を有する抗体のターゲティング能力をさらに評価するために、基本的に、オン(Onn)ら、(2003)Clin. Cancer Res. 9(15):5532−5539nより記載されているようにして、非小細胞および小細胞癌の同所移植モデルを使用した。簡単に言うと、ヒト肺腺癌(PC14PE6)細胞をヌードマウスの尾静脈中に注射し、これは次いで移動して、肺において腫瘍を形成した。腫瘍は肺柔組織において充実性結節として現れ、懸濁された腫瘍細胞を含有する血性胸水の原因となった。図15A〜15G参照。対照化合物およびH8−カリケアマイシン接合体の注射を腹腔内注射により腫瘍を有するマウスに、腫瘍細胞の注射後6日に開始して、合計3回、4日間隔で、すなわち6、10、および14日に投与した。H8−カリケアマイシン接合体の投与の結果、腫瘍を有する動物の生存率が増加した。図16参照。未接合H8抗体または対照接合体CMAの投与は、胸水を減少させなかった。しかしながら、CMSは腫瘍を有するマウスの平均生存率を若干増大させた。図17参照。
【実施例5】
【0183】
ヒト化抗5T4抗体の調製およびキャラクタライゼーション
ネズミH8抗体およびヒト抗体配列から誘導される配列を使用して、キメラおよびヒト化抗5T4抗体を調製した。本発明の代表的な抗体の配列を図27A〜27Fに示す。
【0184】
ネズミH8重鎖および軽鎖可変領域配列およびヒト定常領域配列を有するキメラH8抗体を構築した(図27A〜27B)。キメラおよびヒト化H8抗体を調製するために使用された代表的なヒト定常領域は、ヒトIgG1、ヒトカッパ、およびヒトIgG4を有するものを包含する。突然変異は任意に、定常領域エフェクター機能、たとえば、細胞依存性細胞毒性(CDC)、補体溶解、および抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)を変更するために導入された。図26A〜26B参照。IgG定常領域をコード化する配列のクローニングに関して、イントロン配列は任意に欠失させることができる。実施例6参照。1つの抗体鎖がネズミH8可変領域(キメラ抗体におけるような)を含み、他の抗体鎖がヒト化H8可変領域を含む抗体、すなわち半ヒト化抗体を調製した(図27C)。
【0185】
ヒトまたは実質的ヒトフレームワーク領域上にグラフトされたネズミH8のCDRを含めるためにヒト化H8可変領域を構築した。配列多様性ならびに構造ループ領域の位置に基づいたAbM定義を用いてネズミH8抗体のCDRを同定した。ヒトアクセプターフレームワークをこれらがネズミH8抗体のフレームワーク領域と実質的に類似していること、または可変領域サブファミリーのコンセンサス配列と最も類似しているということに基づいて選択した。図18〜23参照。さらにヒトにおけるフレームワークの場所も考慮するて、広範囲に表された配列が数の少ない配列よりも好ましかった。たとえば、抗原接着に関与すると考えられるネズミ残基および/または抗原結合部位の構造的完全性に関与する残基を回復するために、ヒトフレームワークアクセプター配列のさらなる突然変異が行われた。アミノ酸配列をCHO細胞のコドン選択について最適化するために、また制限酵素部位を除去するために最適化した。ペプチド構造予想プログラムを使用して、ヒト化可変重および軽鎖配列を分析して、ヒト化デザインにより導入された翻訳後タンパク質修飾部位を同定し、回避した。この方法を使用して、3バージョンのヒト化H8可変領域を構築した。バージョン1は抗体一体性および抗原結合に重要であると考えられるフレームワーク配列内の位置にネズミH8残基を保持する。バージョン2はCDRにおいてのみネズミ残基を保持する。バージョン3は、コンセンサス可変領域配列を重鎖アクセプターフレームワークとして使用する以外はバージョン2と同様である。バージョン3の軽鎖可変領域はバージョン2抗体のものと同じである。図24A〜24C参照。
【0186】
SMARTR cDNA合成(Clontech)とそれに続いてPCR増幅を用いて、H8抗5T4抗体可変重および軽領域をクローンした。オリゴ(dT)およびSMARTR IIAオリゴとPOWERSCRIPTTM逆転写酵素(Clontech)を用いて、H8ハイブリドーマ細胞から単離された1μgの全RNAからcDNAを合成した。次いで、SMARTR IIAオリゴ配列にアニールするプライマーおよびヒト定常領域特異性プライマー(軽鎖についてはマウスカッパ、重鎖についてはマウスIgG1)とVENTRポリメラーゼを用いてPCRによりcDNAを増幅した。重鎖および軽鎖PCR生成物をpED6発現ベクター中にサブクローンし、核酸配列を決定した。この方法は、DNA配列の予備知識が必要でない点で有利である。加えて、結果として得られるDNA配列は縮重PCRプライマーの使用により変更されない。
【0187】
ネズミH8のヌクレオチド配列を公開されたヌクレオチド配列と比較した場合に、いくつかの相違点が認められる(PCT国際特許公開番号WO 98/55607およびフォースバーグ(Forsberg)ら、(1997)J. Biol. Chem. 272(19):124430−12436)。指摘された相違は、タンパク質配列を変更しない。重鎖可変領域のアミノ酸133のコドンにおいて存在するT(公開)対Cの相違は、それぞれコドンACTおよびACCと相関する。ACTおよびACCはどちらもアミノ酸トレオニン(T)をコードする。重鎖可変領域のアミノ酸138のコドンにおいて存在するT(公開)対Cの相違は、それぞれコドンTCTおよびTCCと相関する。TCTおよびTCCはどちらもアミノ酸セリン(S)をコードする。軽鎖可変領域のアミノ酸126のコドンにおいて存在するA(公開)対Cの相違は、それぞれコドンATAおよびATCと相関する。ATAおよびATCはどちらもアミノ酸イソロイシン(I)をコードする。
【0188】
ヒト化H8軽鎖可変領域の構築に関して、DPK24生殖細胞系配列VL−IV/B3座をアクセプターフレームワークとして使用した。DPK24配列はネズミH8軽鎖可変領域と68%同一であり、ネズミH8軽鎖フレームワーク配列と比較した場合に、18アミノ酸置換を含有する。ヒト化H8軽鎖可変領域バージョン1はネズミH8残基S43、S49、およびF87を保持していた。発現を増大させることが確認された突然変異は、F10S、T45K、I63S、Y67S、F73L、およびT77Sを含む。図18参照。
【0189】
生殖細胞系クローンサブグループVκIIIおよびVκIの軽鎖可変領域のフレームワーク領域を用いてヒト化抗体を構築した。図19〜20参照。特に、軽鎖VκIIIサブグループフレームワーク領域を含む抗体および開示されたヒト化H8抗体バージョン1は、どちらも高度に発現され、安定である。VκIII生殖細胞系フレームワークL16、L2、A27、L6、L10、およびL25に基づくH8軽鎖可変領域のヒト化に関して9の突然変異(T7S、D17E、V19A、S50Y、I63S、Y67S、F73L、T77S、およびF87Y)がヒト化H8抗体バージョン2中に導入され、結合親和性を損なわない。同様に、サブグループVκIからの生殖細胞系フレームワークに基づくH8軽鎖可変領域のヒト化に関して10の突然変異(T7S、F10S、V19A、T46K、S50Y、I63S、T67S、F73L、T77S、およびF87Y)は、結合親和力に影響を及ぼすことなくヒト化H8抗体中に導入される。加えて、H8軽鎖可変領域の1、9、10、12、15、22、43、45、および83位のアミノ酸の置換は抗原結合に影響を及ぼさない。
【0190】
ヒト化H8重鎖可変領域の構築に関して、DP75生殖細胞系配列VH−I/1−02座をアクセプター配列として使用した。DP75配列は、ネズミH8重鎖可変領域と65%同一であり、ネズミH8重鎖フレームワーク配列と比較した場合に28のアミノ酸置換を含有する。ヒト化H8重鎖可変領域バージョン1は、重鎖および軽鎖可変領域との抗原接着に重要であるネズミH8残基K38およびS40、ならびに可変領域およびCDR2との抗原接着に重要であるI48を保持していた。図21参照。別法として、重鎖可変領域サブグループコンセンサス配列を使用して、ヒト化H8重鎖バージョン3を調製した。コンセンサス配列は、ネズミH8重鎖フレームワーク配列と比較した場合に、25のアミノ酸置換を含有する。図22〜23参照。
【0191】
重複するオリゴヌクレオチドをアニールし、ヒト抗体定常領域を含有するpED6発現ベクター中にこれらを結紮することにより、ヒト化H8重鎖および軽鎖可変領域を構築した。PCR突然変異誘発または部位特異性突然変異誘発を用いてもヒト化重鎖および軽鎖可変領域を構築することができる。オリゴヌクレオチドのデザインは、CHO細胞発現のコドン使用の最適化および制限酵素部位の除去を含んでいた。Bgl II制限部位をH8可変重鎖領域から除去した。ヒト化H8軽鎖可変領域バージョン1を合成するために使用されるオリゴヌクレオチドは配列番号27〜32に記載される。ヒト化H8軽鎖可変領域バージョン2を合成するために使用されるオリゴヌクレオチドは配列番号33〜36に記載される。ヒト化H8重鎖可変領域バージョン1を合成するために使用されるオリゴヌクレオチドは配列番号37〜44に記載される。ヒト化H8重鎖可変領域バージョン2を合成するために使用されるオリゴヌクレオチドは配列番号37、39〜42、および44〜46に記載される。ヒト化H8重鎖可変領域バージョン3を合成するために使用されるオリゴヌクレオチドは配列番号37、40、41、および44〜48に記載される。
【0192】
ヒト化H8可変領域配列の新規性を評価するために、BLASTp検索(タンパク質クエリー配列について)は、期待値=10、ワード長=3、低複雑度フィルター、およびBLOSUM62マトリックスのデフォルトパラメータを用いて行われ、存在=11、および伸長=1のギャップコストが許容された。期待値=10、ワード長=11、および低複雑度フィルターを使用してBLASTn検索(ヌクレオチドクエリー配列について)が行われた。BLAST検索の結果をクエリー配列に関連する配列のリストとして報告し、E値の順にランク付けし、この値はデータベースにおいて特定された適合の統計的有意性の指標である。BLAST分析に用いられるヒト化可変領域配列に最も密接に関連する配列は、表5(BLASTp)および表6(BLASTn)に特定されている。BLASTの結果および最も密接に関連する対象配列と各クエリー配列の整列を図25A〜25Oに示す。
【0193】
【表5】
【0194】
【表6】
【0195】
キメラおよびヒト化抗体を発現できることを確認するために、本発明の代表的な抗5T4抗体をコード化するプラスミドでCOS−1細胞を一時的にトランスフェクトした。48時間後、細胞培地を分析して、ELISAを用いてヒトIgG抗体のレベルを決定した。表7に示すように、抗5T4抗体のすべてが発現された。
【0196】
【表7】
mVH:ネズミH8重鎖可変領域
mVL:ネズミH8軽鎖可変領域
hVH1:ヒト化H8重鎖可変領域バージョン1
hVL1:ヒト化H8軽鎖可変領域バージョン1
hVH2:ヒト化H8重鎖可変領域バージョン2
hVL2:ヒト化H8軽鎖可変領域バージョン2
【0197】
キメラおよびヒト化H8抗体の結合特異性および親和性を評価するために、CM5チップ上に固定化されたヒト化5T4抗原を用いてBIACORER分析を行った。BIACORER技術は、前記層上に固定化された5T4抗原との抗体の結合による表面層での屈折率における変化を利用する。結合は、表面から屈折するレーザー光の表面プラズモン共鳴(SPR)により検出される。シグナル動力学オンレートおよびオフレートの分析により、非特異性および特異性相互作用間の区別が可能になる。使用される抗体の濃度は、12.5 nM〜200 nMの範囲であった。表8参照。キメラ、半ヒト化、およびヒト化H8抗体は、BIACORER分析におけるネズミH8抗体と同様に挙動した。
【0198】
【表8】
mVH:ネズミH8重鎖可変領域
mVL:ネズミH8軽鎖可変領域
hVH1:ヒト化H8重鎖可変領域バージョン1
hVL1:ヒト化H8軽鎖可変領域バージョン1
hVH2:ヒト化H8重鎖可変領域バージョン2
hVL2:ヒト化H8軽鎖可変領域バージョン2
hVH3:ヒト化H8重鎖可変領域バージョン3
【0199】
結合の選択性を評価するために、FACS分析を行って、表示された濃度で、ネズミH8、H8のキメラバージョン、およびH8のヒト化バージョンを用いて、MDAMB435/neo細胞上またはMDAMB435/5T4細胞上で5T4抗原を検出した。すべての抗体は、5T4発現細胞に対して選択的結合を示す。図28A〜28B参照。
【0200】
以下のように競合性結合分析を使用して、キメラH8抗体およびヒト化H8バージョン1〜3の結合性を決定した。ELISAプレートをヒト5T4抗原でコーティングした。各ウェルに、100μlの1μg/mlPBS−CMF(pH7.2)中5T4抗原を添加した。プレートを一夜4℃でインキュベートした。抗原でコーティングした後、プレートを0.02%PBS−CMF中カゼインのブロッキング溶液(pH7.2)中で2〜4時間、室温で洗浄した。250ng/mlキメラH8抗体の分析緩衝液(PBS中0.5% BSA + 0.02% TWEENR−20)中連続希釈を調製し、コーティングされ、ブロックされたELISAプレートに移し、室温で1〜2時間インキュベートした。プレートを200μlの0.03%PBS中TWEENR−20で4回洗浄した。ウェルごとに100μlのBIOFXR TMB(Biofx Laboratories、Inc. of Randallstown、Maryland)を添加した後、シグナルを10〜15分間室温で生成させた。100μl/ウェルの0.18N H2SO4を添加することにより、反応を停止させた。穏やかに撹拌しながら、すべてのインキュベーションおよび洗浄工程を行った。ELISAプレートを450nmで読み取った。OD450(平均された重複データポイント)をビオチニル化抗体濃度の関数としてプロットすることにより、抗原に対するビオチニル化抗体結合のED50を測定した。前記のようなコーティングされ、ブロックされたELISAプレートを調製し、かかるプレートに試験抗体の連続希釈を計算されたED50濃度のビオチニル化キメラH8抗体とともに移すことにより、競合性ELISAを行った。分析緩衝液中1:10,000に希釈されたストレプトアビジン−HRPを用いてビオチン標識を増幅し、続いて前記のようなシグナル発生、定量化を行った。図29参照。
【0201】
5T4抗体との結合後にヒト化抗5T4抗体が取り込まれるかどうかを評価するために、実施例1に記載されるようなFACS分析を用いて、MDAMB435/5T4細胞の細胞表面で検出される抗体の量を測定した。キメラH8抗体およびH8抗体/カリケアマイシン接合体に関して観察されるように、ヒト化H8抗体は5T4発現細胞により取り込まれた。図30参照。
【実施例6】
【0202】
ヒト化H8抗体の一時的および安定な発現
ヒト化H8抗体の大規模産生のために、ヒト化H8バージョン1〜3を発現する安定なCHO細胞系を調製した。初期段階として、COS−1細胞においてコード化ベクターを一時的発現した後に抗体産生のレベルを評価した。ヒト化H8重鎖および軽鎖をコード化するDNAをそれぞれビシストロン発現ベクターpSMED2(メトトレキサート耐性)およびpSMEN2(ネオマイシン耐性)中にサブクローンした。3つのヒト化H8抗体を類似したレベルで発現させ、このレベルはキメラH8抗体について観察されるよりも高かった。図31参照。
【0203】
CHO細胞における発現に関して、3つのイントロンを除去することにより、ヒトIgG4突然変異定常領域をさらに最適化し、この結果、ヒト化H8抗体のさらに高い発現および安定性が得られた。pSMED2_huH8重鎖およびpSMEN2_huH8軽鎖を前適応させたCHO Dukx細胞系153.8中に同時遺伝子導入することにより、ヒト化H8抗体を発現するCHO細胞系を調製した。50nMメトトレキサート中で選択された、リードクローンの発現レベルは17 mg/リットル/24時の平均力価および10μg/106細胞/24時の平均細胞増殖率を有していた。50nMメトトレキサートおよびG418(1 mg/ml)中で選択されたリードプールは、8 mg/リットル/24時の平均力価を有し、その平均細胞増殖率は6μg/106細胞/24時であった。
【実施例7】
【0204】
ヒト化H8カリケアマイシン接合体の調製およびキャラクタライゼーション
本質的に実施例2に記載されているようにして、ヒト化H8抗体をカリケアマイシンに接合させた。添加剤デオキシコレートおよびデカン酸ナトリウムはそれぞれ低レベルの未接合タンパク質および凝集物とともに接合体を産生した。表9参照。
【0205】
【表9】
【0206】
本質的に実施例2に記載されているようにして、プラズモン共鳴により、ネズミH8、ヒト化H8、およびヒト化H8カリケアマイシン接合体の結合動力学を比較した。接合体サンプルは、タンパク質1mgあたり61μgのCalichDMH、1%の遊離抗体、および1.4 %の凝集物を含有していた。ヒト化H8バージョン2−カリケアマイシン接合体の結合特性は、ネズミH8−カリケアマイシン接合体に匹敵し(表10)、このことは、抗体のヒト化も、カリケアマイシンへの接合も、5T4に対する結合に影響を及ぼさないことを示す。これらの結果は、フローサイトメトリーを使用して、5T4発現腫瘍細胞上の抗体および接合体の結合を決定することにより、独立して確認された。
【0207】
【表10】
【実施例8】
【0208】
インビトロでのヒト化H8カリケアマイシン接合体の抗腫瘍効果
インビトロでのヒト化H8−カリケアマイシン接合体の細胞毒性を評価するために、MDAMB435/5T4細胞(ヒト5T4抗原を過剰発現するヒト乳ガン細胞)およびMDAMB435/neo細胞(対照細胞)を抗体−カリケアマイシン接合体または遊離カリケアマイシンの存在下、本質的にBoghaertら、(2004)、Clin. Cancer Res.、10:4538−4549に記載されているようにして培養した。表11において、各薬剤の細胞毒性はED50(ng/ml)として記載され、この値は、未接合対照に対して細胞培養物の50%減少を引き起こす接合体または遊離薬剤として投与されたカリケアマイシンの量である。培養物中の細胞の数は、薬物を96時間暴露後に生体染色色素(MTS)を用いて決定された。MDAMB435/5T4細胞に添加された場合に、MDAMB435/neo細胞に添加された場合よりも、ED50または接合体は一貫して低かった(3倍から6倍)。
【0209】
球状成長に好適な方法で、MDAMB435/5T4およびMDAMB435/neo細胞を用いて、ヒト化H8−カリケアマイシン接合体の細胞毒性を評価した。このモデルは、発現する腫瘍の条件に似て、細胞毒性薬に対して特有の高い耐性を有する。このモデルのもう一つ別の利点は、これがさらに長い培養期間を可能にすることである。抗体−カリケアマイシン接合体または遊離カリケアマイシンの存在下で144時間培養後、各回転楕円体の寸法を測定した。表12に示すように、huH8−AcBut−CalichDMHのED50は、MDAMB435/5T4細胞に添加された場合、MDAMB435/neo細胞に添加された場合よりも6倍低かった。
【0210】
いずれかの分析法を使用すると、ヒト化H8−カリケアマイシン接合体は、遊離カリケアマイシンまたはCMA−676、抗CD33−カリケアマイシン接合体と比較した場合に、細胞毒性の誘発および球状成長の阻害に実質的にさらに有効であった。PC14PE6細胞の選択的細胞毒性は、コロニー形成分析および球体分析において明らかにすることができるが、生体染色色素分析においては明らかにできない。結果は、接合体の細胞毒性は細胞により発現された5T4の量と直接関係することを示す。加えて、接合体は遊離薬物(CalichDMH)または対照接合体(CMA−676)よりも有効である。
【0211】
【表11】
CalichDMH:遊離カリケアマイシン
huH8−AcBut−CalichDMH:4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)を使用してカリケアマイシンに接合させたヒト化H8抗体
CMA−676:カリケアマイシンに対する抗CD33抗体接合体
実験A & B:別の日に行われた実験
【0212】
【表12】
CalichDMH:遊離カリケアマイシン
huH8−AcBut−CalichDMH:4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)を用いてカリケアマイシンに接合させたヒト化H8抗体
CMA−676:カリケアマイシンに対する抗CD33抗体接合体
【実施例9】
【0213】
ヒト化H8−カリケアマイシン接合体の抗腫瘍効果
皮下異種移植片を使用
インビボでヒト化 H8−カリケアマイシン接合体の細胞毒性を評価するために、N87細胞(ヒト胃ガン細胞)、MDAMB435/5T4細胞(ヒト5T4抗原を過剰発現するヒト乳ガン細胞)、またはPC14PE6細胞(ヒト非小細胞肺ガン細胞)の皮下注射によりヌードマウスにおいて腫瘍を調製した。ヒト化H8−カリケアマイシン接合体および対照薬剤を腹腔内注射により腫瘍を有するマウスに合計3回、4日間隔で、すなわち、約0.08 cm3(図33A〜33C、34A〜34C、35A〜35C、および35E)のサイズに達した腫瘍の選択後1、5、および9日、あるいは1.08 cm3(図35D)のサイズに達した腫瘍の選択後19、23、および27日に投与した。一つの実験において、腫瘍が再発した動物を処置した(図35E)。合計11匹の動物をヒト化 H8−カリケアマイシン接合体で処置し、13匹の動物を表示された対照物質で処置した。
【0214】
治療に対する反応率を初回投与後99日に測定した。完全反応率(CR)は、グループの平均初期腫瘍体積以下の腫瘍サイズの生存マウスの割合である。部分反応率(PR)は、グループの平均初期腫瘍体積の2倍以下の腫瘍サイズの生存マウスの割合である。合計反応(TR)はCRおよびPRの合計である。無反応(NR)は(100−TR)として計算される。図33C、34C、および35C参照。ヒト化H8−カリケアマイシン接合体はあらゆる種類の腫瘍の成長を阻害した。図33A〜33B、34A〜34B、35A〜35D、および36A〜36B参照。PC14PE6細胞を阻害するために必要なhuH8−AcBut−CalichDMH、すなわち、最小有効用量は、最大非致死量よりも少なくとも16倍低い。
【図面の簡単な説明】
【0215】
【図1】発ガン性細胞系における5T4発現を評価するためのウェスタンブロット分析の結果を示す。ウェスタンブロットは、培養された細胞の溶解物ならびにヌードマウスにおける同種移植腫瘍から生成した。CT26/neo:ネオマイシン耐性遺伝子を発現するCT26マウス結腸癌細胞;CT26/5T4:5T4抗原を発現するCT26細胞。
【図2】細胞系をビオチンにさらした後のCT26/5T4およびCT26/neoサンプルのウェスタンブロット分析の結果を示す。サンプルAは、ビオチニル化され、アビジンと結合できる5T4のフラクションである。サンプルSは、細胞抽出物をアビジンで沈殿させた後の上清中に存在する5T4の残存量である。これは、ビオチニル化されず、したがって細胞プラズマ中に位置するフラクションを表す。5T4は、膜(A)および細胞内(S)フラクションの両方において検出される。
【図3A−3B】細胞内5T4抗原対膜結合5T4抗原を定量化するための実験の結果を示す。図3Aは表示されたように希釈されたCT26/5T4細胞を用いて調製されたウェスタンブロットを示す。ビオチニル化サンプルは、アビジンを用いたビオチニル化サンプルの除去後のサンプル中に存在する5T4の残存量、すなわち、非膜結合5T4の量を表す。全サンプルは、残存量およびアビジンにより除去された量の合計、すなわち、非膜結合および膜結合5T4抗原の量を表す。図3Bは、サンプルの希釈およびH8反応性バンドの光学密度により決められる線形回帰曲線を示す。膜結合5T4抗原の量は、全サンプルの光学密度とアビジン除去後のビオチニル化サンプルの光学密度の間の差として表される。実施例1において記載するように、細胞膜上の5T4(5T4M)の量は、CT26/5T4細胞中の全細胞5T4の24%と計算された。
【図4】CT26/5T4細胞、DLD−1細胞(ヒト結腸癌細胞)、N87細胞(ヒト胃ガン細胞)、PC3−MM2細胞(ヒト前立腺癌細胞)、およびPC3細胞(ヒト前立腺癌細胞)の細胞表面上の5T4抗原を示すウェスタンブロット結果を示す。
【図5A−5B】5T4抗原の膜局在化を検出するためのFACS分析の結果を示す。MDAMB435/neo細胞において、H8シグナルは、対照IgGと一致する(図5A)。対照的に、MDAMB435/5T4細胞において、H8抗体から得られるシグナルは、対照抗体よりも100倍以上大きく、このことは、細胞膜上に5T4が存在することを示す(図5B)。黒色:5T4抗原の検出、灰色:対照IgGによる検出。
【図6】N87(ヒト胃ガン細胞)、PC14PE6(ヒト肺ガン細胞)、およびNCI−H157細胞(ヒトは肺ガン細胞)の膜上の5T4抗原を検出するためのFACS分析の結果を示す。それぞれの場合において、H8抗体から得られるシグナルは対照抗体よりも約10倍大きく、このことは、細胞膜上の5T4の存在を示す。灰色:5T4抗原の検出、黒色:対照IgGによる検出。
【図7】CT26/5T4細胞の細胞表面上および細胞培養培地中で検出される、蛍光標識されたH8抗体の測定を表す折れ線グラフである。膜結合抗体の平均蛍光は、時間の関数として減少した。抗体は培地中に放出されなかった。これらの結果は、H8抗体/5T4複合体がCT26/5T4細胞により取り込まれないことを示す。
【図8】リンカーとして4−メルカプト−4−メチル−ペンタン酸を使用してカリケアマイシンに接合したH8抗体を含む抗5T4接合体にさらされたMDAMB435/5T4細胞の選択的細胞崩壊を示す折れ線グラフである。
【図9A−9B】リンカーとして4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)を使用してカリケアマイシンに接合されたPEG化されたH8抗体を含む抗5T4接合体(H8PEG2K−AcBut−CalichDMH)にさらされた5T4発現細胞の選択的細胞崩壊を示す折れ線グラフである。実施例2参照。図9Aは、5T4抗原が欠損したMDAMB435/neo細胞は、遊離カリケアマイシンによるのとほぼ等しくH8PEG2K−AcBut−CalichDMHによる細胞崩壊を受けやすい。図9Bは、遊離カリケアマイシンと比較した、H8PEG2K−AcBut−CalichDMHにさらされた5T4発現細胞の向上された細胞崩壊を示す。
【図10】表示されたリンカーを用いて調製されたH8−カリケアマイシン接合体にさらされたMDAMB435/5T4腫瘍の成長阻害を示す折れ線グラフである。PBS:リン酸塩緩衝塩溶液;H8−AcBut−CalichDMH:4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)を用いてカリケアマイシンに接合されたH8抗体;H8−AcPac−CalichDMH:3−アセチルフェニル酸性酸を用いてカリケアマイシンに接合されたH8抗体;H8−Amide−CalichDMH:4−メルカプト−4−メチル−ペンタン酸を用いてカリケアマイシンに接合されたH8抗体;H8PEG(mal2)−AcBut−CalichDMH:4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸 (AcBut)を用いてカリケアマイシンに接合されたPEG化H8抗体。
【図11A−11B】対照物質(図11A)またはH8−カリケアマイシン接合体(図11B)の存在下でのMDAMB435/5T4腫瘍の成長阻害を示す折れ線グラフである。CMA、カリケアマイシンに接合した抗CD33抗体(負の対照、すなわち、標的とされる抗原が欠損した細胞による接合体の腫瘍取り込みによる細胞毒性を評価するために使用);PBS:リン酸塩緩衝塩溶液;H8+CalichDMH:H8抗体およびカリケアマイシンの混合物(未接合);CalichDMH:遊離カリケアマイシン;H8−AcPac−CalichDMH:3−アセチルフェニル酸性酸を用いてカリケアマイシンに接合したH8抗体;H8−アミド−CalichDMA:4−メルカプト−4−メチル−ペンタン酸を用いてカリケアマイシンに接合したH8抗体。
【図12】表示されたH8−カリケアマイシン接合体または対照物質にさらされたNCI−H157腫瘍の成長阻害を示す折れ線グラフである。H8−AcPac−CalichDMH:3−アセチルフェニル酸性酸を用いてカリケアマイシンに接合されたH8抗体;H8−アミド−CalichDMA:4−メルカプト−4−メチル−ペンタン酸を用いてカリケアマイシンに接合されたH8抗体;CMA:カリケアマイシンに接合された抗CD33抗体(負の対照);PBS:リン酸塩緩衝塩溶液;H8:未接合H8抗体。
【図13A−13B】対照物質(図13A)またはH8−カリケアマイシン接合体(図13B)の存在下でのN87腫瘍の成長阻害を示す折れ線グラフである。CMA:カリケアマイシンに接合した抗CD33抗体(正の対照);PBS:リン酸塩緩衝塩溶液;H8+CalichDMH:H8抗体およびカリケアマイシンの混合物(未接合);CalichDMH:遊離カリケアマイシン;H8−AcPac−CalichDMH:3−アセチルフェニル酸性酸を用いてカリケアマイシンに接合されたH8抗体;H8−アミド−CalichDMA:4−メルカプト−4−メチル−ペンタン酸を用いてカリケアマイシンに接合されたH8抗体。
【図14】H8/カリケアマイシン接合体または対照物質にさらされたPC14PE6腫瘍の成長阻害を示す折れ線グラフである。H8−AcPac−CalichDMH:3−アセチルフェニル酸性酸を用いてカリケアマイシンに接合させたH8抗体;H8−アミド−CalichDMA:4−メルカプト−4−メチル−ペンタン酸を用いてカリケアマイシンに接合させたH8抗体;CMA:カリケアマイシンに接合させた抗CD33抗体(負の対照);PBS:リン酸塩緩衝塩溶液;H8:未接合H8抗体。
【図15A−15G】肺ガンの同所モデルの正常な肺および腫瘍に冒された肺の画像である。図15Aは、摘出された正常マウス肺の写真であり;心臓は暗く見える。図15Bは、PC14PE6腫瘍細胞を静脈注射した後に腫瘍塊に冒された、摘出されたマウス肺の写真である(実施例4参照);H:心臓。図15Cは、肺の衰弱後の胸部を示す巨視的画像(4倍)である。肺結節(LN)は、正常肺組織(L)と区別可能である。胸腔は出血液(胸水、PE)で満たされていた。図15D〜15Gは、パラフィンが埋め込まれた肺および心臓組織のヘマトキシリンおよびエオシンで染色された部分の顕微鏡写真であり、腫瘍の浸潤および正常組織の破壊の程度を示す。図15D〜15Eは、胸腔(15D)および心膜(15E)における腫瘍細胞の浸潤を示す。図15F〜15Gは、肺胞周囲腔における腫瘍素式の増殖による機能性肺組織の減少を示す。
【図16】表示された治療を受けた、同所性肺腫瘍を有するマウスの生存率(%)を示す折れ線グラフである。すべての治療薬は、PC14PE6細胞の注射後6日に腹腔内投与された。実施例4参照。H8(太い黒色実線):未接合ネズミH8抗体;PBS(白色実線):リン酸塩緩衝塩溶液;CMA 2(細い黒色実線):2μgカリケアマイシンの用量で投与された、カリケアマイシンと接合した抗CD33抗体;CMA 4(細かい破線):4μgカリケアマイシンの用量で投与された、カリケアマイシンに接合された抗CD33抗体;H8−AcPac−CalichDMH 2(大きな破線):2μgカリケアマイシンの用量で投与された、H8−カリケアマイシン接合体;H8−AcPac−CalichDMH 4(大きな破線)、4μgのカリケアマイシンの用量で投与されたH8−カリケアマイシン接合体。2μgの用量または4μgの用量で投与されたH8−カリケアマイシン接合体についての結果は120日間にわたって識別可能であった。それぞれの処置群には10匹の動物が含まれていた。各治療計画は、それぞれの投与の間隔が4日で3回腹腔内投与することからなっていた。
【図17】表示された防止処理後の肺腫瘍で死亡したマウスの胸膜堆積を示す棒グラフである。PBS:リン酸塩緩衝塩溶液;H8:未接合H8抗体;CMA 2:2μgの用量で投与されたカリケアマイシンに接合した抗CD33抗体;CMA 4:4μg/用量で投与されたカリケアマイシンに接合した抗CD33抗体接合体;n:動物の数。胸水体積は、未接合H8抗体または対照接合CMSの投与後に減少しなかった。
【図18】ネズミH8軽鎖可変領域(配列番号16のアミノ酸21〜127)およびDPK24生殖細胞系クローン(配列番号63)の配列である。囲まれた配列:CDRs;星印:ネズミH8のアミノ酸がヒト化H8軽鎖可変領域バージョン1中に保持されている位置、およびヒト化DPK24のアミノ酸がヒト化軽鎖可変領域バージョン2中に保持されている位置;下線を施した残基:抗体発現を増大させる突然変異。
【図19】サブグループVκIIIのヒト軽鎖可変領域配列(配列番号65〜70)およびネズミH8軽鎖可変領域(配列番号16のアミノ酸21〜127)の配列である。H8フレームワーク配列と比較した場合にヒトフレームワーク配列において異なる残基に下線を施した。H8のヒト化に関して、H8における対応する位置での1つまたは複数の残基をヒトフレームワーク配列の残基で置換する。囲まれた配列:CDR。
【図20】サブグループVκIのヒト軽鎖可変領域配列(配列番号71〜80)およびネズミH8軽鎖可変領域(配列番号16のアミノ酸21〜127)の配列である。H8のヒト化に関しては、H8における対応する位置での1つまたは複数の残基がヒトフレームワーク配列の残基で置換されている。囲まれた配列:CDR。
【図21】ネズミH8重鎖可変領域(配列番号14のアミノ酸20〜139)およびDP75生殖細胞系クローン(配列番号64)の配列である。囲まれた配列:CDR;星印:ネズミH8のアミノ酸がヒト化H8重鎖可変領域バージョン1(すなわち、K38、S40、およびI48)において保持される位置、およびヒトDP75のアミノ酸がヒト化重鎖可変領域バージョン2において保持される位置。
【図22】サブグループIのヒト重鎖可変領域配列(配列番号52〜60)およびこれより誘導されるコンセンサスフレームワーク配列(配列番号49〜51)の配列である。
【図23】ネズミH8重鎖可変領域(配列番号14のアミノ酸20〜139)および重鎖可変領域サブグループIのコンセンサス配列由来のヒト化重鎖可変領域、すなわち、ヒト化重鎖可変領域バージョン3(配列番号19)の配列である。囲まれた配列:CDR。
【図24A−24C】ヒト化抗5T4抗体の代表的軽鎖可変領域配列(図24A)および重鎖可変領域配列(図24B〜24C)の配列を示す。
【図25A−25O】ヒト化可変領域をクエリー配列として使用して行われたBLAST分析の結果を示す。表6および7も参照。
【図26A−26B】ヒト化抗5T4抗体を調製するために使用される代表的なヒト定常領域の配列を示す。
【図27A−27G】代表的な抗5T4抗体の軽鎖および重鎖アミノ酸配列を示す。図27Aは、(a)ネズミH8軽鎖可変領域およびヒトカッパ定常領域を含む軽鎖(配列番号1)、ならびに(b)ネズミH8重鎖可変領域およびヒトIgG1定常領域を含む重鎖(配列番号2)を有するキメラ抗5T4抗体を示す。図27Bは、(a)ネズミH8軽鎖可変領域およびヒトカッパ定常領域を含む軽鎖(配列番号3)、ならびに(b)ネズミH8重鎖可変領域および突然変異ヒトIgG4定常領域を含む重鎖(配列番号4)を有するキメラ抗5T4抗体を示す。図27Cは、(a)ヒト化H8軽鎖可変領域バージョン1およびヒトカッパ定常領域を含む軽鎖(配列番号5)、ならびに(b)ネズミH8重鎖可変領域および突然変異ヒトIgG4定常領域を含む重鎖(配列番号6)を有する半ヒト抗5T抗体を示す。図27Dは、(a)ヒト化H8軽鎖可変領域バージョン1およびヒトカッパ定常領域を含む軽鎖(配列番号7)、ならびに(b)ヒト化H8重鎖可変領域バージョン1および突然変異ヒトIgG4定常領域を含む重鎖(配列番号8)を有するヒト化抗5T4抗体を示す。図27Eは、(a)ヒト化H8軽鎖可変領域バージョン1およびヒトカッパ定常領域を含む軽鎖(配列番号9)、ならびに(b)ヒト化H8重鎖可変領域バージョン2およびヒトIgG1定常領域を含む重鎖(配列番号10)を有するヒト化抗5T4抗体を示す。図27Fは、(a)ヒト化H8軽鎖可変領域バージョン2およびヒトカッパ定常領域を含む軽鎖(配列番号11)、ならびに(b)ヒト化H8重鎖可変領域バージョン2および突然変異ヒトIgG4定常領域を含む重鎖(配列番号12)を有するヒト化抗5T4抗体を示す。図27Gは、 (a)ヒト化H8軽鎖可変領域バージョン2およびヒトカッパ定常領域を含む軽鎖(配列番号11)、ならびに(b)ヒト化H8重鎖可変領域 バージョン3および突然変異ヒトIgG4定常領域を含む重鎖(配列番号84)を有するヒト化抗5T4抗体を示す。一重下線:可変領域;囲まれた配列:CDR;星印:プロリン突然変異。
【図28A−28B】ネズミH8、H8のキメラ体、およびH8のヒト化体を表示された濃度で使用した、MDAMB435/neo細胞(図28A)またはMDAMB435/5T4細胞(図28B)上の5T4抗原を検出するためのFACS分析の結果を示す。すべての抗体は、MDAMB435/5T4細胞に対して選択的結合を示す。
【図29】キメラH8抗体およびヒト化H8バージョン1〜3の結合特性を示す折れ線グラフであり、競合結合検定を用いて測定された。キメラH8抗体およびヒト化H8バージョン1〜3のIC50は、それぞれ、1.0 X 10−9M、1.0 X 10−9M、1.4 X 10−9M、および1.5 X 10−9Mであった。実施例5参照。
【図30】25時間にわたる、MDAMB435/5T4細胞の細胞表面上のキメラH8抗体およびヒト化H8抗体の検出を示す折れ線グラフである。観察期間にわたって検出のレベルが減少することは、両抗体の取り込みを示す。実験期間中、ならし培地において検出可能な抗体は存在しなかった。
【図31】COS−1細胞におけるキメラH8抗体およびヒト化H8バージョン1〜3の一時的発現のレベルを示す棒グラフである。3種のヒト化H8抗体が類似したレベルで発現され(バージョン1、4.4 mg/L/48時;バージョン2、2.7 mg/L/48時;バージョン3、3.9 mg/L/48時)、これはキメラH8抗体について観察された値(0.6 mg/L/48時)よりも大きかった。実施例6参照。
【図32A−32B】、表示された濃度でH8−AcBut−CalichDMH(4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)を用いてカリケアマイシンに接合したヒト化H8抗体)にさらされた144時間後のインビトロでのMDAMB435/neoおよびMDAMB435/5T4細胞の球状成長の阻害を示す折れ線グラフである。
【図33A−33C】対照物質(図33A)またはヒト化H8−カリケアマイシン接合体(図33B)の存在下でのN87腫瘍の成長阻害および応答計算(図33C)を示す折れ線グラフである。PBS:リン酸塩緩衝塩溶液;huH8+CalichDMH:H8抗体およびカリケアマイシンの混合物(未接合);CMA:カリケアマイシンに接合した抗CD33抗体;CMC:カリケアマイシンに接合した抗CD22抗体;huH8−AcBut−CalichDMH:4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)を用いてカリケアマイシンに接合させたヒト化H8抗体;(4):4μgカリケアマイシンの用量で投与された抗体−カリケアマイシン接合体;(2):2μgカリケアマイシンの用量で投与された抗体−カリケアマイシン接合体;(1):1μgカリケアマイシンの用量で投与された抗体−カリケアマイシン接合体;矢印:1、5、および9日での投与計画;CR:完全応答;PR:部分的応答;TR:応答なし;NR:応答なし。実施例9参照。
【図34A−34C】対照物質(図34A)またはヒト化H8−カリケアマイシン接合体(図34B)の存在下でのMDAMB435/5T4腫瘍の成長阻害および応答計算(図34C)を示す折れ線グラフである。PBS:リン酸塩緩衝塩溶液;huH8+CalichDMH:H8抗体およびカリケアマイシンの混合物(未接合);CMA:カリケアマイシンに接合させた抗CD33抗体;CMC:カリケアマイシンに接合させた抗CD22抗体;huH8−AcBut−CalichDMH:4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)を用いてカリケアマイシンに接合させたヒト化H8抗体;(4):4μgカリケアマイシンの用量で投与された抗体−カリケアマイシン接合体;(2):2μgカリケアマイシンの用量で投与された抗体−カリケアマイシン接合体;(1):1μgカリケアマイシンの用量で投与された抗体−カリケアマイシン接合体;矢印:1、5、および9日の投与計画;CR:完全応答;PR:部分応答;TR:応答なし;NR:応答なし。実施例9参照。
【図35A−35E】対照物質(図35A)またはヒト化H8−カリケアマイシン接合体(図35B、35D、35E)の存在下でのPC14PE6腫瘍の成長阻害および計算応答(図35C)を示す折れ線グラフである。図35A〜35Cは、新規成長腫瘍に関するデータを提示し、図35Dは、再発した腫瘍の治療に関するデータを提示する。PBS:リン酸塩緩衝塩溶液;huH8+CalichDMH:H8抗体およびカリケアマイシンの混合物(未接合);CMA:カリケアマイシンに接合させた抗CD33抗体;huH8−AcBut−CalichDMH:4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)を用いてカリケアマイシンに接合させたヒト化H8抗体;(4)4μgカリケアマイシンの用量で投与された抗体−カリケアマイシン接合体;(2):2μgカリケアマイシンの用量で投与された抗体−カリケアマイシン接合体;(1):1μgカリケアマイシンの用量で投与された抗体−カリケアマイシン接合体;(4*):接合体での治療前に腫瘍を約1.08 cm3まで成長させた後に4μgカリケアマイシンの用量で投与された抗体−カリケアマイシン接合体;矢印:1、5、および9日の投与計画(図35A、35B、および35D)、または19、23、および27日の投与計画(図35C);CR:完全応答;PR:部分応答;TR:応答なし;NR:応答なし。実施例9参照。
【図36A−36B】ビヒクル(リン酸塩緩衝塩溶液)(図367A)またはhuH8−AcBut−CalichDMH(4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)を用いてカリケアマイシンに接合させたヒト化H8抗体)(図36B)で処理した21日後のPC14PE6腫瘍を有するマウスの写真を示す。PC14PE6腫瘍は、ビヒクルまたはヒト化H8−カリケアマイシンが投与された時に約80 mm3であった。薬物は、4μgカリケアマイシン/用量を合計3回腹腔内注射により投与され、各投与は3日あけた。図36A中、矢印は目に見える腫瘍を特定する。図36B中、点線で囲まれた部分はPC14PE6腫瘍が退縮した部分を示す。実施例9参照。
【技術分野】
【0001】
2004年9月10日に出願された米国特許仮出願番号60/608,494の優先権を主張し、この特許は全体として本発明の一部として参照される。
本発明は一般に、悪性疾患を治療するためのヒト化抗体および抗体/薬物接合体(すなわち、免疫接合体)に関する。さらに詳細には、本発明はヒト化抗5T4抗体、前記抗体を調製するための単離された可変領域核酸およびポリペプチド、ならびに抗5T4/細胞毒素接合体、特に抗5T4/カリケアマイシン接合体に関する。
【背景技術】
【0002】
全身性薬物療法のために開発された薬物接合体は、標的特異性治療薬である。この概念は、所定の標的細胞集団について結合特異性を有する担体分子に治療薬をカップリングさせることを含む。高親和性モノクローナル抗体の利用可能性は、免疫療法、すなわち、抗体を標的とする薬物の開発を促進してきた。モノクローナル抗体と接合した治療薬は、細胞毒素、生物反応修飾物質、酵素(たとえば、リボヌクレアーゼ)、アポトーシス誘発タンパク質およびペプチド、ならびに放射性同位元素を包含する。抗体/細胞毒素接合体はしばしば免疫細胞毒素と称し、一方、抗体および低分子量薬物、たとえば、メトトレキサートおよびアドリアマイシンからなる抗体/薬物接合体は化学抗体/薬物接合体と呼ばれる。免疫賦活剤は、リンホカインなどの調節機能を有することが知られている生物反応修飾物質、成長因子、および補体活性化コブラ毒因子(CVF)を含有する。放射性抗体/薬物接合体は、放射性同位元素からなり、これはその放射線により細胞を殺すための治療薬として使用できるか、あるいは画像化のために使用できる。抗体により薬物を腫瘍細胞に送達することは、正常組織におけるその取り込みを最小限に抑えることにより薬物の殺腫瘍効果を増大させる。たとえば、レフ(Reff)ら(2002)Cancer Control9:152−66;シーバー(Sievers)(2000)Cancer Chemother. Pharmacol.補遺46:S18−22;ゴールデンバーグ(Goldenberg)(2001)Crit. Rev. Oncol. Hematol.39:195−201参照。MYLOTARG(ゲムツズマブ・オゾガマイシン(gemtuzumab ozogamicin))は商業的に入手可能な抗体/薬物接合体であって、この原理に従って作用し、高齢の患者における急性骨髄性白血病の治療に関して承認されているものである。シーバーズ(Sievers)ら、(1999)Blood 93:3678−84参照。この場合において、標的分子は、カリケアマイシンと接合する抗CD33モノクローナル抗体である。
【0003】
ヒトにおける免疫療法は、一つには非ヒトモノクローナル抗体に対する反対反応のために制限されてきた。齧歯類抗体を用いた当初の臨床試験により、ヒト抗マウス抗体(HAMA)およびヒト抗ラット抗体(HARA)は反応し、これは抗体の迅速な除去に至ることが明らかになった。以来、キメラ抗体、ヒト化抗体、PRIMATIZED抗体、およびトランスジェニックマウスまたはファージディスプレーライブラリーを用いて調製されるヒト抗体をはじめとする、免疫原性の低い抗体が開発されている。モリソン(Morrison)ら、(1984)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851−5;クィーン(Queen)ら、(1989)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:10029−33;ニューマン(Newman)ら、(1992)Biotechnology (NY)10:1455−60;グリーン(Green)ら、(1994)Nat. Genet. 7:13−21;マーク(Marks)ら、(1991)J. Mol. Biol. 222:581−97参照。HAMA反応を回避することにより、治療反応を達成するために高用量および反復投与が可能になる。
【0004】
キメラ抗体は、組み換えクローニング技術を用いて調製され、非ヒト種抗体(すなわち、抗原で免疫化される種)からの抗原結合部位を含有する可変領域、およびヒト免疫グロブリンからの定常領域が含められる。ヒト化抗体は、キメラ抗体の1種であり、抗原結合に関与する可変領域のこれらの残基のみが非ヒト種由来であり、残りの可変領域残基ならびに定常領域はヒトである。ヒト化抗体は従来のキメラ抗体よりも免疫原性が低く、ヒトに投与された後に改善された安定性を示す。ベニンコサ(Benincosa)ら、(2000)J. Pharmacol. Exp. Ther. 292:810−6;カロフォノス(Kalofonos)ら、(1994)Eur. J. Cancer 30A:1842−50;スブラマニアン(Subramanian)ら、(1998)Pediatr. Infect. Dis. J. 17:110−5参照。
【0005】
薬物ターゲティングの候補抗体は、腫瘍胎児抗原、すなわち、胎児細胞および新生細胞上に存在する抗原を認識し、主として正常成人細胞にはない抗体を包含する。たとえば、マグデレナト(Magdelenat)(1992)J.Immunol.Methods 150:133−43参照。5T4腫瘍胎児抗原は、42kDaの非グリコシル化コアを含む、72kDaの高度にグリコシル化された膜貫通糖タンパク質である(ホール(Hole)ら、(1988)Br.J.Cacner 57:239−46、ホール(Hole)ら、(1990)Int.J.Cancer 45:179−84;PCT国際特許公開番号WO89/07947;米国特許第5,869,053号参照)。5T4は、2つのロイシンリッチな繰り返し(LRR)および介在する親水性領域により特徴づけられ、標的療法に使用可能な抗原である細胞外ドメインを含む(マイヤーズ(Myers)ら、(1994)J.Biol.Chem.269:9319−24)。
【0006】
ヒト5T4は、膀胱癌、乳ガン、子宮頸ガン、子宮内膜癌、肺ガン、食道癌、卵巣癌、膵臓癌、胃ガン、および睾丸癌をはじめとする多くの種類の癌において発現され、胎盤の栄養細胞合胞体層を除いては、正常細胞には実質的にない(たとえば、サウサール(Southall)ら、(1990)Br. J. Cancer 61: 89−95(正常および悪性組織における5T4抗原の免疫組織学的分布(immunohistologicacl distribution of 5T4 antigen in normal and malignant tissues));ミーケ(Mieke)ら、(1997)Clin. Cancer Res. 3: 1923−1930 (腫瘍細胞上の低い細胞間接着分子1および高い5T4発現は、結腸直腸癌患者における無病生存率の低下と相関する(low intercellular adhesion molecule 1およびhigh 5T4 expression on tumor cells correlate with reduced disease−free survival in colorectal carcinoma patients));スタージンスカ(Starzynska)ら、(1994)Br. J. Cancer 69: 899−902(直腸結腸癌における5T4腫瘍胎児抗原発現の予後的意義(prognostic significance of 5T4 oncofetal antigen expression in colorectal carcinoma));スタージンスカ(Starzynska)ら、(1992)Br. J. Cancer 66: 867−869 (直腸結腸癌および胃ガンにおける5T4抗原の発現(expression of 5T4 antigen in colorectalおよびgastric carcinoma));ジョーンズ(Jones)ら、(1990)Br. J. Cancer 61: 96−100 (子宮頸ガンにおける5T4抗原の発現(expression of 5T4 antigen in cervical cancer));コナー(Connor)およびスターン(Stern)(199)Int. J. Cancer 46: 1029−1034(子宮頸ガンにおけるMHCクラス−I発現の喪失(loss of MHC class−I expression in cervical carcinomas));アリ(Ali)ら、(2001)Oral Oncology 37: 57−64(正常、異形成および悪性口腔粘膜上の5T4腫瘍胎児抗原の発現のパターン(pattern of expression of the 5T4 oncofoetal antigen on normal、dysplastic and malignant oral mucosa)); PCT国際特許公開番号WO89/07947;米国特許第5,869,053号参照)。たとえば、5T4の発現がないと報告されている組織としては、肝臓、皮膚、脾臓、胸腺、中枢神経系(CNS)、副腎、および卵巣が挙げられる。限局性または低い5T4の発現を有すると報告されている組織としては、肝臓、皮膚、脾臓、リンパ節、扁桃腺、甲状腺、前立腺、および精嚢が挙げられる。5T4の弱〜中拡散発現は、腎臓、肺、膵臓、咽頭、および胃腸管において報告されている。5T4の高い発現を有すると報告されている唯一の組織は合胞体栄養細胞層であり;5T4は正常血清または妊婦の血清にもなかった(すなわち、<10 ng/mlのレベル)。腫瘍における5T4の過剰発現は、疾患の進行と相関し、5T4発現の評価は短期的予後の患者を特定するための有用な方法であることが示唆されている(マルダー(Mulder)ら、(1997)Clin. Cancer Res.3;1923−30、ナガヌマ(Naganuma)ら、(2002)Anticancer Res.22:1033−8、ストラジンスカ(Strazynska)ら、(1994)Br.J.Cancer69:899−902、ストラジンスカ(Strazynska)ら、(1998)Eur.J.Gastroenterol.Hepatol.10:479−84、リングレイ(Wringley)ら、(1995)Int.J.Gynecol.Cancer 5 269−274))。
【0007】
5T4抗体の立体構造エピトープを認識するmAb5T4(H8抗体とも呼ばれる)(ショー(Shaw)ら、(2002)Biochem.J.363:136−45、PCT国際特許公開番号WO98/55607)、ラットモノクローナル抗体(ウッズ(Woods)ら、(2002)Biochem.J.366:353−65)、および5T4マウスモノクローナル抗体(米国特許第5,869,053号)をはじめとするいくつかの非ヒト抗5T4抗体が記載されている。単鎖抗5T4抗体、ならびに治療分子と融合した抗5T4抗体配列を含む融合タンパク質も記載されている。たとえば、ヒトIgG1定常ドメインまたはネズミB7.1の細胞外ドメインと融合した抗5T4抗体配列は、5T4発現腫瘍細胞系の細胞崩壊を誘発する(マイヤーズ(Myers)ら、(2002)Cancer Gene Ther.9:884−96、ショー(Shaw)ら、(2000)Biochem.Biophys.Acta.1524:238−46;米国特許出願公開番号2003/0018004)。同様に、スーパー抗原と融合した単鎖抗5T4抗体は、インビトロで非小細胞肺癌細胞のT細胞依存性細胞崩壊を刺激し得る(フォースバーグ(Forsberg)ら、(2001)Br.J.Cancer 85:129−36)。PNU−214936、突然変異スーパー抗原ブドウ球菌エンテロトサイトトキシンA(SEA)と融合したモノクローナル抗体5T4のネズミFabフラグメントを用いた第I相臨床試験は、限定された細胞毒性および多少の抗腫瘍反応を示した(チェン(Cheng)ら、(2004)J. Clin. Oncol. 22(4):602−609)。別の治療法として、癌の治療に関して組み換え5T4ワクチンが示唆されている(マルリャン(Mulryan)ら、(2002)Mol.Cancer Ther.1:1129−37;英国特許出願公開番号2,370,571および2,378,704;欧州特許出願公開番号EP1,160,323および1,152,060)。
【特許文献1】米国特許仮出願番号60/608,494明細書
【特許文献2】PCT国際特許公開番号WO89/07947明細書
【特許文献3】米国特許第5,869,053号明細書
【特許文献4】PCT国際特許公開番号WO98/55607明細書
【特許文献5】米国特許出願公開番号2003/0018004明細書
【特許文献6】英国特許出願公開番号2,370,571明細書
【特許文献7】英国特許出願公開番号2,378,704明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開番号EP1,160,323明細書
【特許文献9】欧州特許出願公開番号EP1,152,060明細書
【非特許文献1】レフ(Reff)ら(2002)Cancer Control 9:152−66
【非特許文献2】シーバーズ(Sievers)(2000)Cancer Chemother. Pharmacol.46 補遺:S18−22
【非特許文献3】ゴールデンバーグ(Goldenberg)(2001)Crit. Rev. Oncol. Hematol.39:195−201
【非特許文献4】シーバーズ(Sievers)ら、(1999)Blood 93:3678−84
【非特許文献5】モリソン(Morrison)ら、(1984)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851−5
【非特許文献6】クィーン(Queen)ら、(1989)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:10029−33
【非特許文献7】ニューマン(Newman)ら、(1992)Biotechnology (NY)10:1455−60
【非特許文献8】グリーン(Green)ら、(1994)Nat. Genet. 7:13−21
【非特許文献9】マーク(Marks)ら、(1991)J. Mol. Biol. 222:581−97
【非特許文献10】ベニンコサ(Benincosa)ら、(2000)J. Pharmacol. Exp. Ther. 292:810−6
【非特許文献11】カロフォノス(Kalofonos)ら、(1994)Eur. J. Cancer 30A:1842−50
【非特許文献12】スブラマニアン(Subramanian)ら、(1998)Pediatr. Infect. Dis. J. 17:110−5
【非特許文献13】マグデレナト(Magdelenat)(1992)J.Immunol.Methods 150:133−43
【非特許文献14】ホール(Hole)ら、(1988)Br.J.Cancer 57:239−46
【非特許文献15】ホール(Hole)ら、(1990)Int.J.Cancer 45:179−84
【非特許文献16】マイヤーズ(Myers)ら、(1994)J.Biol.Chem.269:9319−24
【非特許文献17】サウサール(Southall)ら、(1990)Br. J. Cancer 61: 89−95
【非特許文献18】ミーケ(Mieke)ら、(1997)Clin. Cancer Res. 3: 1923−1930
【非特許文献19】スタージンスカ(Starzynska)ら、(1994)Br. J. Cancer 69: 899−902
【非特許文献20】スタージンスカ(Starzynska)ら、(1992)Br. J. Cancer 66: 867−869
【非特許文献21】ジョーンズ(Jones)ら、(1990)Br. J. Cancer 61: 96−100
【非特許文献22】コナー(Connor)およびスターン(Stern)(199)Int. J. Cancer 46: 1029−1034
【非特許文献23】アリ(Ali)ら、(2001)Oral Oncology 37: 57−64
【非特許文献24】マルダー(Mulder)ら、(1997)Clin. Cancer Res.3;1923−30
【非特許文献25】ナガヌマ(Naganuma)ら、(2002)Anticancer Res.22:1033−8
【非特許文献26】ストラジンスカ(Strazynska)ら、(1994)Br.J.Cancer69:899−902
【非特許文献27】ストラジンスカ(Strazynska)ら、(1998)Eur.J.Gastroenterol.Hepatol.10:479−84
【非特許文献28】リングレイ(Wringley)ら、(1995)Int.J.Gynecol.Cancer 5 269−274
【非特許文献29】ショー(Shaw)ら、(2002)Biochem.J.363:136−45
【非特許文献30】ウッズ(Woods)ら、(2002)Biochem. J. 366: 353−65
【非特許文献31】マイヤーズ(Myers)ら、(2002)Cancer Gene Ther.9:884−96
【非特許文献32】ショー(Shaw)ら、(2000)Biochem.Biophys.Acta.1524:238−46
【非特許文献33】フォースバーグ(Forsberg)ら、(2001)Br.J.Cancer 85:129−36
【非特許文献34】チェン(Cheng)ら、(2004)J. Clin. Oncol. 22(4):602−609
【非特許文献35】マルリャン(Mulryan)ら、(2002)Mol.Cancer Ther.1:1129−37
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
免疫療法の潜在的な標的として5T4に相当興味があるにもかかわらず、治療薬に結合した抗5T4抗体を用いる療法は記載されていない。本発明は、ヒト化抗5T4抗体および抗体/薬物接合体、ならびに開示された抗体および抗体/薬物接合体を製造する方法ならびにその治療的使用法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、キメラおよびヒト化抗5T4抗体および抗体フラグメント、ならびにその調製法および使用法を提供する。本発明の抗5T4抗体は、少なくとも1つの軽鎖または少なくとも1つの重鎖、あるいはそのフラグメントを含み、ここにおいて、キメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントは、(a)少なくとも約1x10−7 M〜約1x10−12 Mの結合親和力でヒト5T4抗原と特異的に結合するか;(b)1x10−11 Mよりも高い結合親和力でヒト5T4抗原と特異的に結合するか;(c)5x10−11 Mよりも高い結合親和力でヒト5T4抗原と特異的に結合するか;(d)ヒト5T4抗原と結合するネズミH8抗5T4抗体の結合親和力よりも高い結合親和力でヒト5T4抗原と特異的に結合するか;(e)インビボで5T4発現細胞を特異的に標的とするか;(f)(a)〜(e)のいずれか一つの抗体とヒト5T4抗原との結合に関して競合するか;(g)(a)〜(e)のいずれか一つにより結合したエピトープと特異的に結合するか;あるいは(h)(a)〜(e)のいずれか一つの抗原結合ドメインを含む。本発明のキメラおよびヒト化抗5T4抗体は、ヒト定常領域由来である定常領域、たとえば、IgG1またはIgG4定常領域を含む。たとえば、ヒトIgG1重鎖定常領域は配列番号25または85〜89のいずれか一つのアミノ酸配列を含み得る。もう一つ別の例として、ヒトIgG4重鎖定常領域は241位でプロリンを含み得る。
【0010】
本発明の代表的なキメラ抗5T4抗体は、(a)配列番号1のアミノ酸1〜107を含む軽鎖可変領域配列、(b)配列番号2のアミノ酸配列1〜120を含む重鎖可変領域配列、あるいは(c)配列番号1の残基1〜107のアミノ酸配列を含む可変領域を含む軽鎖、および配列番号2の残基1〜120のアミノ酸配列を含む可変領域を含む重鎖を含む抗体を包含する。さらなる代表的なキメラ抗5T4抗体は、(a)配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖、および配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖;あるいは(b)配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖、および配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖を含む抗体を包含する。
【0011】
本発明の代表的なヒト化抗5T4抗体は、(a)ヒト抗体フレームワーク領域の残基を含むフレームワーク領域;および(b)配列番号17の軽鎖可変領域の1つまたは複数のCDRあるいは配列番号18の重鎖可変領域の1つまたは複数のCDRを含む抗体を包含する。たとえば、ヒト抗体フレームワーク領域の残基は、(a)DPK24サブグループIV生殖細胞系クローン、VκIIIサブグループ、またはVκIサブグループ生殖細胞系クローンのヒト抗体軽鎖フレームワーク領域;(b)DP−75、DP−8(VH1−2)、DP−25、VI−2bおよびVI−3(VH1−03)、DP−15およびV1−8(VH1−08)、DP−14およびV1−18(VH1−18)、DP−5およびV1−24P(VH1−24)、DP−4(VH1−45)、DP−7(VH1−46)、DP−10、DA−6およびYAC−7(VH1−69)、DP−88(VH1−e)、DP−3およびDA−8(VH1−f)からなる群から選択されるヒト抗体重鎖フレームワーク領域;(c)(b)の重鎖フレームワーク領域のコンセンサス配列;あるいは(d)(a)〜(c)のフレームワーク領域と少なくとも95%同一であるフレームワーク領域を含み得る。
【0012】
本発明の代表的なヒト化抗5T4抗体は、配列番号17または18の2以上のCDR、たとえば、配列番号17の軽鎖可変領域の2または全3個のCDR、あるいは配列番号18の重鎖可変領域の2または全3個のCDR、あるいは配列番号17の軽鎖可変領域の1つまたは複数のCDRおよび配列番号18の重鎖可変領域の1つまたは複数のCDR、あるいは配列番号17および18のすべてのCDRも含むことができる。
【0013】
本発明の代表的なヒト化抗5T4抗体は、(a)配列番号17または23のアミノ酸配列;(b)配列番号17と少なくとも78%同一であるアミノ酸配列;あるいは(c)配列番号23と少なくとも81%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域も含み得る。同様に、本発明のヒト化抗5T4抗体は:(a)配列番号22または81のヌクレオチド配列;(b)配列番号22の核酸と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列;(c)配列番号81の核酸配列と少なくとも91%同一であるヌクレオチド配列;あるいは(d)配列番号22または配列番号81の相補体と特異的にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリッド形成する核酸を含む核酸によりコード化される軽鎖可変領域配列を含むことができる。
【0014】
本発明の代表的なヒト化抗5T4抗体は、(a)配列番号18、19、および21のいずれか一つに記載されたアミノ酸配列;(b)配列番号18と少なくとも83%同一であるアミノ酸配列;(c)配列番号19と少なくとも81%同一であるアミノ酸配列;あるいは(d)配列番号21と少なくとも86%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域も含み得る。同様に、本発明のヒト化抗体は、(a)配列番号20、82、または83のヌクレオチド配列;(b)配列番号20または配列番号83の核酸と少なくとも91%同一であるヌクレオチド配列;(c)配列番号82の核酸と少なくとも94%同一であるヌクレオチド配列;あるいは(d)配列番号20、82、および83のいずれか一つの相補体とストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリッド形成する核酸を含む核酸によりコード化される重鎖可変領域配列を含むことができる。
【0015】
本発明のさらなる代表的なヒト化抗5T4抗体は、(a)配列番号5の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号6の残基1〜120のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;(b)配列番号5の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号6の重鎖アミノ酸配列;(c)配列番号7の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号8の残基1〜120のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;(d)配列番号7の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号8の重鎖アミノ酸配列;(e)配列番号9の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域 、および配列番号10の残基1〜120のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;(f)配列番号9の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号10の重鎖アミノ酸配列;(g)配列番号11の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号12の残基1〜120のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;(h)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号12の重鎖アミノ酸配列;(i)配列番号11の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;(j)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号84の重鎖アミノ酸配列;(k)配列番号11の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号8の残基1〜120のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;ならびに(l)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号8の重鎖アミノ酸配列を含む抗体を包含する。
【0016】
(a)本発明のキメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメント;および(b)抗体に直接的または間接的に結合した薬物を含む、薬物送達のための抗体/薬物接合体も提供される。代表的な薬物としては、治療薬、たとえば、細胞毒素、放射性同位元素、免疫調節剤、血管新生阻害剤、抗増殖剤、抗増殖剤、アポトーシス誘発剤、化学療法薬、および治療用核酸が挙げられる。細胞毒素は、たとえば、抗生物質、チューブリン重合の阻害剤、アルキル化剤、タンパク質合成阻害剤、タンパク質キナーゼ阻害剤、ホスファターゼ阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、または酵素であってよい。抗生物質細胞毒素、たとえば、カリケアマイシン、カリケアマイシン、N−アセチル−γ−カリケアマイシン、またはその誘導体、たとえば、N−アセチル−γ−カリケアマイシンジメチルヒドラジドが抗ガン治療に特に有用である。
【0017】
開示された抗5T4抗体/薬物接合体は、抗体を薬物と結合させるリンカーを含む。代表的なリンカーとしては、4−(4’アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)、3−アセチルフェニル酸性酸(AcPac)、および4−メルカプト−4−メチル−ペンタン酸(アミド)が挙げられる。抗体/薬物接合体は、ポリエチレングリコールまたは薬物取り込みを向上させる他の薬剤も含むことができる。
【0018】
本発明はさらに、式:
5T4Ab(−X−W)m
(式中、5T4Abはキメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントであり;Xは、抗5T4抗体と反応し得る任意の反応性基の生成物を含むリンカーであり;Wは薬物であり;mは生成された接合生成物の平均装填量であり;(−X−W)mは薬物誘導体である)を有する抗体/薬物接合体を調製する方法を提供する。この方法に従って、薬物誘導体がキメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントに添加され、ここにおいて、薬物はキメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントの3〜10重量%である。薬物誘導体およびキメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントを次に、約7〜9の範囲のpHを有する、非求核性タンパク質適合性の緩衝溶液中でインキュベートして、抗体/薬物接合体を生成させ、ここにおいて、溶液はさらに(i)適当な有機共溶媒、および(ii)少なくとも1つの胆汁酸またはその塩を含む1つまたは複数の添加剤をさらに含み、インキュベーションは、約30℃〜約35℃の範囲の温度で、約15分〜約24時間の範囲の時間行われる。結果として得られた接合体を次いでクロマトグラフィー分離プロセスに付して、3〜10重量%の薬物の範囲のローディングで、低い接合フラクション(LCF)を有する抗体/薬物接合体を、未接合キメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメント、薬物誘導体、および凝集した接合体から分離する。この方法により生成される抗体/薬物接合体も提供される。
【0019】
薬物を5T4発現細胞に送達するために、本発明は、これにより、(i)キメラまたはヒト化抗5T4抗体、および(ii)直接または間接的にヒト化抗5T4抗体と結合した薬物を含む抗体/薬物接合体と細胞が接触させられる方法を提供する。開示された方法に従って、薬物が標的細胞内に取り込まれる。治療法も開示され、この方法は、5T4陽性癌を有する対象に、治療的に有効な量の、(i)キメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメント、および(ii)直接または間接的に抗5T4抗体または抗体フラグメントと結合した治療薬を含む抗5T4抗体/薬物接合体を投与することを含む。本発明の抗5T4療法は、改善された効果を得るために任意の他の公知治療法と組み合わせることができる。第二の治療薬を抗5T4抗体/薬物接合体との組み合わせにおいて、同時に、あるいは任意の順序で連続して投与することができる。
【0020】
キメラおよびヒト化抗5T4抗体
H8はハイブリドーマ生成モノクローナルマウスIgG1抗体であって、PCT国際特許公開番号WO98/55607およびForsbergら、(1997)J. Biol. Chem. 272(19):124430−12436において記載されているものである。本発明のキメラ抗5T4抗体は、ネズミ抗5T4抗体の可変領域配列およびヒト抗体配列由来の追加の残基を含む。本発明のヒト化抗5T4抗体は、マウス抗5T4抗体H8からの抗原結合残基およびヒト抗体配列由来の追加の残基を含む。開示されたキメラおよびヒト化抗5T4抗体は従って、キメラH8抗体およびヒト化H8抗体とも呼ばれる。代表的なキメラおよびヒト化H8抗体は図27A〜27Fに記載されている。
【0021】
抗体なる用語は、免疫グロブリンタンパク質、あるいは抗原結合部位(たとえば、Fab、修飾Fab、Fab’、F(ab’)2またはFvフラグメント、あるいは少なくとも1つの免疫グロブリン軽鎖可変領域または少なくとも1つの免疫グロブリン重鎖領域を有するタンパク質)を含む抗体フラグメントをさす。本発明のヒト化抗体は、ジアボディー、四量体抗体、単鎖抗体、四価抗体、多特異的抗体(たとえば、二特異的抗体)、ドメイン特異的抗体であって、特定のエピトープを認識するもの(たとえば、H8抗体により結合したエピトープを認識する抗体)を包含する。
【0022】
抗5T4抗体なる用語は、5T4抗原、特にヒト5T4抗原と特異的に結合する抗体をいう。5T4抗原は、トロホブラスト細胞および多くのガン細胞種の表面上に見られる72 kDa非グリコシル化リンタンパク質である。ホール(Hole)ら、(1988)、Br.J.Cancer 57:239−46;ホール(Hole)ら、(1990)Int.J.Cancer 45:179−184;PCT国際特許公開番号WO89/07947;米国特許第5,869,053号参照。
【0023】
結合なる用語は、2個の分子、たとえば、抗原と抗体間の親和力を意味する。本明細書において用いられる場合、特異的結合とは、複数の異なる抗原を含む異種サンプルにおける抗体の抗原に対する選択的結合を意味する。抗体の抗原に対する結合は、結合親和力が、少なくとも約10−7 M以上、たとえば、少なくとも約10−8 M以上、たとえば、少なくとも約10−9 M以上、少なくとも約10−11 M以上、または少なくとも約10−12 M 以上であるならば特異的である。たとえば、本発明の抗体のヒト5T4抗原に対する特異的結合は、少なくとも約1 x 10−7〜約1 x 10−12の範囲の結合を包含する。本発明の抗体のヒト5T4抗原に対する特異的結合は、少なくとも約3 x 10−10 M〜約12 x 10−10 Mの範囲、たとえば、約4 x 10−10 M〜約9 x 10−10 Mの範囲内、またはたとえば約7 x 10−10 M〜約12 x 10−10 Mの範囲内、またはたとえば約7 x 10−10 M〜約9 x 10−10 Mの範囲内、またはたとえば約9 x 10−10 M〜約12 x 10−10 Mの範囲内、またはたとえば約11 x 10−10 M〜約12 x 10−10 Mの範囲内の結合、あるいはさらに高い結合親和力、たとえば、約1.0 x 10−11 M〜約10 x 10−11 M、または約1.0 x 10−11 M〜約5 x 10−11 M、または約5.0 x 10−11 M〜約10 x 10−11 Mの結合を包含する。特異的結合なる語句は、対象に投与された場合の5T4発現細胞に対する選択的ターゲティングも意味する。
【0024】
キメラ抗体なる用語は、本明細書において、少なくとも2個の異なる種からの配列を含む抗体を説明するために使用される。ヒト化抗体は、キメラ抗体の1種である。キメラ抗5T4抗体は、(a)配列番号1の残基1〜107のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域および配列番号2の残基1〜120のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;(b)配列番号1の軽鎖アミノ酸配列および配列番号2の重鎖アミノ酸配列;あるいは(c)配列番号3の軽鎖アミノ酸配列および配列番号4の重鎖アミノ酸配列を含むことができる。
【0025】
ヒト化なる用語は、本明細書においては、抗原結合に関与する可変領域残基(すなわち、相補性決定領域の残基および抗原結合に関与する任意の他の残基)が非ヒト種由来であり、残りの可変領域残基(すなわち、フレームワーク領域の残基)および定常領域が、少なくとも一部、ヒト抗体配列由来である抗体を記載するために使用される。ヒト化抗体の可変領域および定常領域の残基は非ヒト源由来であってもよい。ヒト化抗体の可変領域は、ヒト化(すなわち、ヒト化軽鎖または重鎖可変領域)としても記載される。非ヒト種は、典型的には抗原での免疫化に使用されるもの、たとえば、マウス、ラット、ウサギ、ヒト以外の霊長類、あるいは他のヒト以外の哺乳動物種である。
【0026】
本発明の代表的なキメラおよびヒト化抗5T4抗体は、少なくとも1つの軽鎖または少なくとも1つの重鎖、あるいはそのフラグメントを含み、ここにおいて、キメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントは、(a)ヒト5T4抗原と少なくとも約1 x 10−7 M〜約1 x 10−12 Mの結合親和力で特異的に結合するか;(b)ヒト5T4抗原と1 x 10−11 Mより高い結合親和力で特異的に結合するか;(c)ヒト5T4抗原と5 x 10−11 Mより高い結合親和力で特異的に結合するか;(d)ヒト5T4抗原と、ネズミH8抗5T4抗体のヒト5T4抗原に対する結合よりも高い結合親和力で特異的に結合するか;(e)インビボで5T4発現細胞を特異的に標的とするか;(f)(a)〜(e)のいずれか一つの抗体と、ヒト5T4抗原に対する結合に関して競合するか;(g)(a)〜(e)のいずれか一つにより結合するエピトープに対して特異的に結合するか;あるいは(h)(a)〜(e)のいずれか一つの抗原結合ドメインを含む。
【0027】
ネズミH8抗5T4抗体は5T4の膜貫通ドメインに近い立体構造エピトープを認識することが証明されている。構造および免疫原性に関して重要であるグリコシル化、および分子内ジスルフィド結合が抗体の結合に必要とされる。H8抗5T4抗体はマウス5T4と結合しないが、マウスとヒト5T4間には84%の同一性があり、7のN−結合グリコシル化部位のうちの6は2者の間で保存される。N末端およびC末端システインもマウスとヒト5T4間で完全に保存される。ネズミH8抗体は、アミノ酸192でのN結合グリコシル化部位が除去される場合、ヒト5T4と結合することも証明されている(ショー(Shaw)ら、(2002)Biochem J. 365: 137−145)。H8抗5T4抗体がマウスLRR2を有するヒト/マウス5T4キメラ(残基173〜361がヒト残基173〜355と置換)と結合せず、さらに抗体は逆キメラと結合しないことを示唆するいくつかの証拠がある。キメラH8抗体およびヒト化H8抗体がどちらも、マウス残基282〜361を含有する5T4キメラと結合することを示唆する証拠もある。この証拠は、H8エピトープがアミノ酸173および252の間に位置するという結論を導く。さらなる証拠は、キメラH8が、マウス残基173〜258を含有するヒト/マウス抗5T4キメラと結合しないが、ヒト化H8抗体はさらに高い濃度で弱い結合を有することを示唆する。
【0028】
天然に存在する抗体は、約150,000ダルトンのテトラマー(H2L2)糖タンパク質であって、2つの同じ軽(L)鎖および2つの同じ重(H)鎖からなる。2つの重鎖はジスルフィド結合により互いに結合し、各重鎖はジスルフィド結合により軽鎖と結合する。軽鎖および重鎖のそれぞれは、アミノ末端可変領域および定常領域によりさらに特徴づけられる。可変なる用語は、可変ドメインのある部分が抗体のうちで配列において大きく異なり、その特定の抗原についての各抗体の結合親和力および特異性を実質的に決定する。軽鎖および重鎖のそれぞれの可変領域は、整列して抗原結合ドメインを形成する。代表的なヒト化H8可変領域は図24A〜22C(配列番号17、18、19、21、および23)に記載されている。
【0029】
テトラマー構造を有する抗体は、天然に存在する抗体と同様に、標準的技術を用いて組み換えにより調製することができる。組み換えにより生成された抗体は、単一の軽鎖および重鎖対の可変領域が抗原結合領域を含む単鎖抗体、およびヒト化抗5T4抗体の可変領域がエフェクター配列、たとえば、Fcドメイン、サイトカイン、免疫刺激物質、細胞毒素、または任意の他の治療用タンパク質と融合する融合タンパク質も含む。たとえば、ハーローおよびレーン(Harlow & Lane)(1988)Antibodies: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New Yorkおよび米国特許第4,196,265号;第4,946,778号;第5,091,513号;第5,132,405号;第5,260,203号;第5,677,427号;第5,892,019号;第5,985,279号;第6,054,561号参照。
【0030】
ホモ二量体およびヘテロ二量体を包含する2つの無傷テトラマー抗体を含む四価抗体(H4L4)は、たとえば、PCT国際特許公開番号WO02/096948に記載されているようにして調製できる。抗体二量体は、ヘテロ二機能的クロスリンカーを用いて、鎖間ジスルフィド結合形成を促進する、システイン残基の抗体定常領域中への導入(ウォルフ(Wolff)ら、(1993)Cancer Res.53:2560−4)、あるいは組み換え体を生成させて、二重定常領域を含める(スチーブンソン(Stevenson)ら、(1989)Anticancer Drug Des,3:219−30)ことによっても調製できる。
【0031】
相補性決定領域またはCDRなる用語は、抗原結合に関与する抗体可変領域の残基を意味する。CDRの多くの定義が一般的に使われている。Kabatの定義は、配列変可変性に基づき、Chothiaの定義は構造的ループ領域の位置に基づく。AbMの定義は、KabatおよびChothia法の妥協案である。軽鎖可変領域のCDRは、Kabat、Chothia、またはAbMアルゴリズムに従って、24および34(CDR1−L)、50および56(CDR2−L)、および89および97(CDR3−L)位の残基により結合している。Kabatの定義によると、重鎖可変領域のCDRは31および35B位(CDR1−H)、50および65位(CDR2−H)、ならびに95および102位(CDR3−H)(Kabatに従ってナンバリング)の残基により結合している。Chothiaの定義によると、重鎖可変領域のCDRは26および32位(CDR1−H)、52および56位(CDR2−H)、ならびに95および102位(CDR3−H)(Chothiaに従ってナンバリング)の残基により結合している。AbMの定義によると、重鎖可変領域のCDRは、26および35B位(CDR1−H)、50および58位(CDR2−H)、ならびに95および102位(CDR3−H)(Kabatに従ってナンバリング)の残基により結合している。マーチン(Martin)ら、(1989)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 92689272;マーチン(Martin)ら、(1991)Methods Enzymol. 203: 121153;ペダーセン(Pedersen)ら、(1992)Immunomethods 1: 126;およびリーズ(Rees)ら、(1996)In Sternberg M.J.E. (ed.)、タンパク質構造予測(Protein Structure Prediction)、オックスフォード大学出版部、Oxford、pp. 141172参照。
【0032】
特異性決定領域またはSDRなる用語は、超可変残基に対応する、抗原と直接的に相互作用するCDR内の残基である。(パドラン(Padlan)ら、(1995)FASEB J.9:133−9)参照。
【0033】
フレームワーク残基は、超可変残基以外の可変領域の残基である。ヒト化抗5T4抗体を調製するために使用できる重鎖可変領域の代表的なヒトフレームワークは、DP−75およびDP−8(VH1−2)、DP−25、VI−2bおよびVI−3(VH1−03)、DP−15およびV1−8(VH1−08)、DP−14およびV1−18(VH1−18)、DP−5およびV1−24P(VH1−24)、DP−4(VH1−45)、DP−7 (VH1−46)、DP−10、DA−6およびYAC−7(VH1−69)、DP−88 (VH1−e)、DP−3、ならびにDA−8(VH1−f)のフレームワーク領域を包含する。前記の個々の配列に基づくコンセンサスフレームワーク配列も使用することができる。図21〜23参照。代表的な軽鎖可変領域のヒトフレームワークは、ヒト生殖細胞系クローンDPK24および生殖細胞系クローンサブグループVκIIIおよびVκIを包含し、そのそれぞれは、H8軽鎖可変領域と比較した場合に60%より高いアミノ酸同一性を示す。図18〜20参照。
【0034】
開示されたヒト化抗5T4抗体の定常領域は、IgA、IgD、IgE、IgG、IgM、およびその任意のイソタイプ(たとえば、IgGのIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4イソタイプ)のいずれか一つからの定常領域由来である。ヒトイソタイプ(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)およびヒトイソタイプにおける特定のアミノ酸の修飾は、宿主防御機構の活性化を向上または排除し、本発明のヒト化抗体の生体内分布を変更することができる。(レフ(Reff)ら、(2002)Cancer Control 9:152−66)参照。
【0035】
以下に記載するように、ベニアリング、相補性決定領域(CDR)のグラフティング、短縮されたCDRのグラフティング、特異性決定領域(SDR)のグラフティング、およびFrankensteinアセンブリをはじめとする様々な方法のいずれか一つを用いてヒト化抗体を調製することができる。これらの一般法は標準的突然変異生成および合成技術と組み合わせて、任意の所望の配列を有する抗5T4抗体を生成させることができる。
【0036】
ベニアリングは、ヒトアミノ酸配列を有する抗体の溶媒接触可能な外側を再表面化することにより、齧歯類または他の非ヒト抗体において潜在的免疫原性アミノ酸配列を減少させる概念に基づく。かくして、ベニアされた抗体は、ヒト抗体に対してそれほど異質でないようである。パドラン(Padlan)(1991)Mol. Immunol. 28:489−98参照。非ヒト抗体は、(1)ヒト抗体のフレームワーク領域における同じ位置のものとことなる非ヒト抗体における露出した外部フレームワーク残基を同定し、そして(2)ヒト抗体におけるこれらの同じ位置を典型的に占有するアミノ酸で同定された残基を置換することによりベニアされる。
【0037】
CDRのグラフティングは、アクセプター抗体(たとえば、ヒト抗体)の1つまたは複数のCDRをドナー抗体(たとえば、非ヒト抗体)のCDRと置換することにより行われる。アクセプター抗体は、候補アクセプター抗体およびドナー抗体間のフレームワーク残基の類似性に基づいて選択することができ、さらに修飾して類似した残基を導入することができる。たとえば、ヒトアクセプターフレームワークは、ヒトサブグループIコンセンサス配列の重鎖可変領域であって、任意に1、28、48、67、69、71、および93の1つまたは複数の位置で非ヒトドナー残基を有してもよいものを含んでもよい。別の例として、ヒトアクセプターフレームワークは、ヒトサブグループIコンセンサス配列の軽鎖可変領域であって、任意に非ヒトドナー残基を2、3、4、37、38、45および60の1つまたは複数の位置で有してもよいものを含んでもよい。CDRグラフティング後に、ドナーおよび/またはアクセプター配列にさらに変更を加えて、抗体結合および機能性を最適化することができる。PCT国際特許公開番号WO91/09967参照。
【0038】
短縮されたCDRのグラフティングは関連する方法である。短縮されたCDRは、特異性決定残基および隣接するアミノ酸、たとえば、軽鎖における27d〜34、50〜55および89〜96位のもの、および重鎖における31〜35b、50〜58、および95〜101位のものを含む(Kabatら(1987)のナンバリング法))。パドラン(Padlan)ら、(1995)PASEB J.9:133−9参照。特異性決定残基(SDR)のグラフティングは、結合特異性および抗体結合部位の親和性が、相補性決定領域(CDR)のそれぞれの内の最も可変性の高い残基により決定されるという理解を前提とする。抗体−抗原複合体の三次元構造の分析は、利用可能なアミノ酸配列データの分析と併せて、CDR内のそれぞれの位置で生じるアミノ酸残基の構造的相違性に基づいて配列可変性のモデルを作るために使用した。パドラン(Padlan)ら、(1995)FASEB J. 9: 133−139参照。特異性決定残基(SDR)と呼ばれる、接触残基からなる最小免疫原性ポリペプチド配列が同定され、ヒトフレームワーク領域上にグラフトされる。
【0039】
Frankensteinの方法に従って、ヒトフレームワーク領域は関連する非ヒト抗体の各フレームワーク領域と実質的な配列同一性を有することが確認されており、非ヒト抗体のCDRは異なるヒトフレームワーク領域の複合体上にグラフトされる。本発明の抗体の調製に有用である関連する方法は、米国特許出願公開番号2003/0040606に記載されている。
【0040】
本明細書において開示されるヒト化抗5T4抗体は、典型的には少なくとも1つのヒト化軽鎖可変領域または重鎖可変領域を含む。従って、本発明のヒト化抗5T4抗体は、前記のようなベニアリング、短縮されたCDRまたはSDRのグラフティング、あるいはFrankensteinアセンブリにより調製された軽鎖可変領域、および非ヒト抗体の重鎖可変領域(たとえば、H8抗体または他の非ヒト抗5T4抗体)を含むことができる。別法として、非ヒト抗体の軽鎖可変領域をヒト化重鎖可変領域と組み合わせることができる。
【0041】
本発明の代表的なヒト化抗5T4抗体は(a)配列番号17の軽鎖可変領域または配列番号18の重鎖可変領域のCDRから選択される非ヒト抗5T4抗体の1つまたは複数のCDR、たとえば、配列番号17の軽鎖可変領域または配列番号18の重鎖可変領域のCDRから選択される2以上のCDRを有する抗体;(b)配列番号17の2または3のCDRを有する可変領域を含む軽鎖を有する抗体;および(c)配列番号18の2または3のCDRを有する可変領域を含む重鎖を有する抗体を含む。本発明の代表的なヒト化抗5T4抗体はさらに(a)配列番号17または23に記載される軽鎖可変領域アミノ酸配列;(b)配列番号17と少なくとも78%同一である軽鎖可変領域アミノ酸配列;または(c)配列番号23と少なくとも81%同一である軽鎖可変領域アミノ酸配列を有する抗体も含む。機能的ヒト化抗5T4抗体(すなわち、5T4抗原と特異的に結合する抗5T4抗体)の軽鎖可変領域は(a)配列番号22または配列番号81の核酸;(b)配列番号22の核酸と少なくとも90%同一である核酸;(c)配列番号81の核酸と少なくとも91%同一である核酸;または(d)配列番号22または配列番号81の相補体とストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下、たとえば、65℃での0.1XSSCの最終洗浄条件で特異的にハイブリッド形成する核酸によりコード化することができる。
【0042】
本発明の代表的なヒト化抗5T4抗体は(a)配列番号18、19、および21のいずれか一つに記載されている重鎖可変領域アミノ酸配列;(b)配列番号18と少なくとも83%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列;(c)配列番号19と少なくとも81%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列;または(d)配列番号21と少なくとも86%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列を有する抗体を含む。機能的ヒト化抗5T4抗体(すなわち、5T4抗原と特異的に結合する抗5T4抗体)の重鎖可変領域は(a)配列番号20、82、および83のいずれか一つの核酸;(b)配列番号20の核酸と少なくとも91%同一である核酸;(c)配列番号82の核酸と少なくとも94%同一である核酸;(d)配列番号83の核酸と少なくとも91%同一である核酸;または(e)配列番号20、82、および83のいずれか一つの相補体とストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、たとえば6℃で0.1XSSCの最終洗浄条件で特異的にハイブリッド形成する核酸によりコード化することができる。
【0043】
ヒト化抗5T4抗体は(a)配列番号5の残基1〜107のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域および配列番号6の残基1〜120のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;(b)配列番号5の軽鎖アミノ酸配列および配列番号6の重鎖アミノ酸配列;(c)配列番号7の残基1〜107のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域および配列番号8の残基1〜120のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;(d)配列番号7の軽鎖アミノ酸配列および配列番号8の重鎖アミノ酸配列;(e)配列番号9の残基1〜107のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域および配列番号10の残基1〜120のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;(f)a配列番号9の軽鎖アミノ酸配列および配列番号10の重鎖アミノ酸配列;(g)配列番号11の残基1〜107のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域および配列番号12の残基1〜120のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;あるいは(h)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列および配列番号12の重鎖アミノ酸配列を含むことができる。
【0044】
第一鎖の可変領域(すなわち、軽鎖可変領域または重鎖可変領域)がヒト化され、第二鎖の可変領域がヒト化されてない(すなわち、ヒト以外の種において生成された抗体の可変領域)、本発明のヒト化抗5T4抗体を構築することができる。これらの抗体は、本明細書において、半ヒト化抗体と称する。たとえば、抗5T4抗体は配列番号17または23のヒト化軽鎖可変領域、および非ヒト抗5T4抗体の重鎖可変領域、たとえば、配列番号14のネズミH8重鎖可変領域を含むことができる。別法として、抗5T4抗体は非ヒト抗5T4抗体のヒト化可変領域、たとえば、配列番号16のネズミH8軽鎖可変領域、および配列番号18、19、または21のいずれか一つのヒト化重鎖可変領域を含むことができる。ネズミH8以外の抗5T4非ヒト抗体を用いて、半ヒト化抗体、たとえば、ウッズ(Woods)ら、(2002)Biochem.J.366:353−65により記載されているラットモノクローナル抗体を調製することができる。
【0045】
開示されたヒト化抗5T4抗体の変異体は、様々な変化、置換、挿入、および欠失を含むように容易に調製することができ、ここにおいて、このような変化は使用において利益をもたらす。たとえば、抗体の血清半減期を増大させるために、まだ存在しないならば、サルベージレセプター結合エピトープを抗体重鎖配列中に組み入れることができる。米国特許第5,739,277号参照。抗体安定性を向上させるためのさらなる修飾は、残基241のセリンをプロリンで置換するIgG4の修飾を包含する。エンガル(Angal)ら、(1993)Mol.Immunol.30:105−108参照。他の有用な変化は、抗体を薬物と接合させる際の効率を最適化するために必要な置換を包含する。たとえば、抗体をそのカルボキシル末端で修飾して、薬物結合のためのアミノ酸を含めることができ、たとえば、1つまたは複数のシステイン残基を添加することができる。定常領域を修飾して、炭水化物または他の部分の結合のための部位を導入することができる。
【0046】
本発明のヒト化抗5T4抗体の変異体は、部位特異的突然変異誘発法、または組み換え法を包含する標準的組み換え技術を用いて生成させることができる。ヒト化抗5T4抗体の多様なレパートリーは、トランスジェニック非ヒト動物において遺伝子配列および遺伝子変換法により調製でき(米国特許公開番号2003/0017534)、これは次いで、機能分析を用いて関連する活性について試験される。本発明の特定の具体例において、抗5T4変異体は、親和性成熟プロトコル、たとえば、CDRの突然変異(ヤン(Yang)ら、(1995)J.Mol.Biol.254:392−403)、鎖シャッフリング(マークス(Marks)ら、(1992)Biotechnology(NY)10:779−783)、イー・コリの突然変異誘発株の使用(ロー(Low)ら、(1996)J.Mol.Biol.260:359−368)、DNAシャッフリング(パテン(Patten)ら、(1997)Curr.Opin.Biotechnol.8:724−733)、ファージディスプレー(トンプソン(Thompson)ら、(1996)J.Mol.Biol.256:77−88)、および性PCR(クラメリ(Crameri)ら、(1998)Nature 391:288−291)を包含する。免疫療法用途に関して、関連する機能分析は、実施例に記載されるように、ヒト5T4抗原に対する特異的結合、細胞毒素に接合した場合の抗体の内在化、および腫瘍を有する動物に投与された場合の腫瘍部位へのターゲティングを包含する。実施例1〜11参照。
【0047】
本発明はさらに、本発明のヒト化抗5T4抗体を発現する細胞および細胞系を提供する。代表的な宿主細胞は、哺乳動物およびヒト細胞、たとえば、CHO細胞、HEK−293細胞、HeLa細胞、CV−1細胞、およびCOS細胞を包含する。ヘテロローガスな構築物を宿主細胞中に形質転換した後に安定な細胞系を生成させる方法は、当該分野において公知である。代表的な非哺乳動物宿主細胞は、昆虫細胞(ポッター(Potter)ら、(1993)Int. Rev. Immunol. 10(2−3):103−112)を包含する。抗体は、トランスジェニック動物(ホーデバイン(Houdebine)(2002)Curr. Opin. Biotechnol. 13(6):625−629)およびトランスジェニック植物(シルバーグ(Schillberg)ら、(2003)Cell Mol. Life Sci. 60(3):433−45)においても生成させることができる。
【0048】
I.A.キメラおよびヒト化抗5T4核酸
本発明はさらに、抗5T4軽鎖および重鎖可変領域をコード化する単離された核酸を提供する。単離された核酸は、本明細書において開示されるように、ヒト化5T4抗体を調製するために使用できる。
【0049】
核酸分子および核酸なる用語は、それぞれ、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドおよび一本鎖、二本鎖、または三本鎖形態におけるそのポリマーを意味する。特に限定されない限り、この用語は、参考天然核酸と類似した性質を有する天然のヌクレオチドの公知類似体を含有する核酸を包含する。核酸分子または核酸なる用語は、遺伝子、cDNA、mRNA、またはcRNAの代わりにも用いられ得る。核酸は、有機体をはじめとする任意の生物源から合成することができるか、あるいは誘導することができる。ヒト化5T4抗体をコード化する核酸をクローンするための代表的な方法は実施例5に記載されている。
【0050】
本発明の代表的な核酸は、配列番号20、22、81、82、または83のいずれか一つのヌクレオチド配列を含む。本発明の核酸は、配列番号20、22、81、82、または83のいずれか一つの実質的に同一、たとえば、配列番号20、81、または83のいずれか一つと少なくとも91%同一であるか、あるいは配列番号22と少なくとも90%同一であるか、あるいは配列番号82と少なくとも94%同一であるヌクレオチド配列を含んでもよい。本明細書において以下に記載するように、クエリー配列として配列番号20、22、81、82、または83のいずれか一つの完全長配列を用いた配列比較アルゴリズムを用いて、あるいは目視検査により、最大一致に関して比較する。実施例5および表6も参照。
【0051】
開示されたヒト化H8可変領域核酸に対して特定の最小割合の同一性を有する実質的に同一の核酸に関して、実質的に同一の配列は、配列番号20、81、または83に対して少なくとも約92%同一、たとえば少なくとも93%同一、あるいは少なくとも94%同一、あるいは少なくとも95%同一、あるいは少なくとも96%同一、あるいは少なくとも97%同一、あるいは少なくとも98%同一、あるいは少なくとも99%同一であり得る。同様に、実質的に同一の配列は、配列番号22と少なくとも約91%同一、たとえば、約92%同一、あるいは少なくとも93%同一、あるいは少なくとも94%同一、あるいは少なくとも95%同一、あるいは少なくとも96%同一、あるいは少なくとも97%同一、あるいは少なくとも97%同一、あるいは少なくとも98%同一、あるいは少なくとも99%同一である配列;および配列番号82と少なくとも95%同一、たとえば少なくとも96%同一、あるいは少なくとも97%同一、あるいは少なくとも98%同一、あるいは少なくとも99%同一である配列も含む。
【0052】
実質的に同一の配列は多形配列である。多形なる用語は、集団における2以上の遺伝的に決定された選択的配列または対立遺伝子の発生をいう。対立遺伝子相違は1塩基対程度に小さい。
【0053】
実質的に同一の配列は、サイレント突然変異を含む配列をはじめとする突然変異配列を含むこともできる。突然変異は、1つまたは複数の残基変化、1つまたは複数の残基の欠失、または1つまたは複数の追加残基の挿入を含むことができる。
【0054】
実質的に同一の核酸はさらに、配列番号20、22、81、82、および83のいずれか一つの完全長とストリンジェントな条件下で特異的にハイブリッド形成するか、または実質的にハイブリッド形成する核酸と特定される。核酸ハイブリダイゼーションに関連して、比較される2つの核酸配列はプローブまたは標的と表示することができる。プローブは参考核酸分子であり、標的は試験核酸分子であって、しばしば核酸分子の異質集団内で見いだされる。標的配列は試験配列と同義である。
【0055】
ハイブリダイゼーション実験または分析に用いられる好ましいヌクレオチド配列は、本発明の核酸分子の少なくとも約14〜40ヌクレオチド配列に対して相補性であるか、またはこれを模倣するプローブ配列を含む。好ましくは、プローブは14〜20、または所望によりさらに長いヌクレオチド、たとえば、30、40、50、60、100、200、300、または500ヌクレオチドあるいは配列番号20、22、81、82、および83のいずれか一つの完全長までを含む。このようなフラグメントは、たとえば、化学合成によるか、核酸増幅技術を適用するか、または組み換え体産生のために組み換えベクター中に選択された配列を導入することにより容易に調製できる。
【0056】
特異的にハイブリッド形成するという用語は、配列が複合核酸混合物(たとえば、全細胞DNAまたはRNA)中に存在する場合、ストリンジェントな条件下で特定のヌクレオチド配列に対してのみの分子の結合、二本鎖形成、またはハイブリッド形成をいう。
【0057】
実質的にハイブリッド形成するという語句は、プローブ核酸分子と標的核酸分子間の相補ハイブリダイゼーションを意味し、所望のハイブリダイゼーションを達成するためにハイブリダイゼーションメディアの厳密性を軽減することにより対応できる軽微な不適合を包含する。
【0058】
サザンおよびノザンブロット分析などの核酸ハイブリダイゼーション実験に関連したストリンジェントなハイブリダイゼーション条件およびストリンジェントなハイブリダイゼーション洗浄条件は、配列依存性かつ環境依存性である。配列が長いほど高い温度で特異的にハイブリッド形成する。核酸のハイブリッド形成についての広範囲に及ぶ指針は、Tijssen(1993)Laboratory Techniques in BiochemistryおよびMolecular Biology−Hybridization with Nucleic Acid Probes、第I部、第2章、Elsevier、New York、New Yorkにおいて見いだされる。一般に、非常にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件および洗浄条件は、所定のイオン強度およびpHで特性の配列の融点(Tm)よりも約5℃低くなるように選択される。典型的には、ストリンジェントな条件下で、プローブはその標的配列と特異的にハイブリッド形成するが、他の配列とはハイブリッド形成しない。
【0059】
Tmは、標的配列の50%が完全に合致したプローブとハイブリッド形成する温度(所定のイオン強度およびpH)である。非常にストリンジェントな条件は、特定のプローブのTmに等しくなるように選択される。約100より多い相補残基を有する相補核酸のサザンまたはノザンブロット分析のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の一例は、50%ホルムアミド中、1mgのヘパリンとともに42℃で一夜ハイブリダイゼーションすることである。非常にストリンジェントな洗浄条件の一例は、65℃で0.1XSSC中15分である。ストリンジェントな洗浄条件の一例は、65℃で0.2XSSC中15分である。SSC緩衝液の説明については、サムブルック(Sambrook)ら編(1989)Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York参照。しばしば、高ストリンジェント洗浄の前にバックグラウンドプローブシグナルを除去するための低ストリンジェント洗浄が行われる。約100より多いヌクレオチドの二本鎖に関する中ストリンジェント洗浄条件の一例は、45℃で1XSSC中15分である。約100より多いヌクレオチドの二本鎖に関する低ストリンジェント洗浄の一例は、40℃で4X〜6XSSC中15分である。短いプローブ(たとえば、約10〜50ヌクレオチド)に関して、ストリンジェントな条件は典型的には、pH7.0〜8.3で約1M未満のNa+イオンの塩濃度、典型的には約0.01〜1MのNa+イオン濃度(または他の塩)を含み、温度は典型的には少なくとも約30℃である。ストリンジェントな条件はホルムアミドなどの不安定化剤の添加でも達成することができる。一般に、特定のハイブリダイゼーション分析における未関連プローブについて得られるものの2倍(以上)のシグナル対ノイズ比は、特異的ハイブリダイゼーションの検出を示す。
【0060】
以下は、本発明の参考ヌクレオチド配列と実質的に同一であるヌクレオチド配列を同定するために使用できるハイブリダイゼーションおよび洗浄条件の例である:プローブヌクレオチド配列は好ましくは標的ヌクレオチド配列と7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中50℃で標的ヌクレオチド配列とハイブリッド形成し、続いて2X SSC、0.1% SDS中50℃で洗浄され;さらに好ましくは、プローブおよび標的配列は、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中50℃でハイブリッド形成し、続いて1X SSC、0.1% SDS中50℃で洗浄され;さらに好ましくは、プローブおよび標的配列は、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中50℃でハイブリッド形成し、続いて0.5X SSC、0.1% SDS中50℃で洗浄され;さらに好ましくは、プローブおよび標的配列は、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中50℃でハイブリッド形成し、続いて0.1X SSC、0.1% SDS中50℃で洗浄され;さらに好ましくは、プローブおよび標的配列は7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中50℃でハイブリッド形成し、続いて0.1X SSC、0.1% SDS中65℃で洗浄される。
【0061】
2つの核酸配列が実質的に同一であるというさらなる形跡は、この核酸によりコード化されるタンパク質が実質的に同一であるか、全体的な三次元構造を共有するか、あるいは生物学的機能が等しいことである。これらの用語は、本明細書において以下でさらに定義される。ストリンジェントは条件下で互いにハイブリッド形成しない核酸分子は、対応するタンパク質が実質的に同一であるならば、実質的に同一である。これは、たとえば、2つのヌクレオチド配列が遺伝子コードにより許容される保存的に置換された変異体を含む場合に起こり得る。
【0062】
保存的に置換された変異体なる用語は、縮重コドン置換を有する核酸配列を意味し、ここにおいて、1つまたは複数の選択された(またはすべての)コドンの第三の位置は、混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換されている。バッツァー(Batzer)ら、(1991)Nucleic Acids Res. 19:5081;オオツカ(Ohtsuka)ら、(1985)J. Biol. Chem. 260:2605−2608;およびロッソリニ(Rossolini)ら、(1994)Mol. Cell Probes 8:91−98参照。
【0063】
本発明の核酸は、配列番号20、22、81、82、および83のいずれか一つに対して相補性の核酸、ならびに配列番号20、22、81、82、および83のいずれか一つの核酸および相補核酸の配列および延長された配列を含む。
【0064】
本明細書において用いられる場合、相補配列なる用語は、塩基対間の水素結合の形成により互いにペアリングできる逆平行のヌクレオチド配列を含む2つのヌクレオチド配列をさす。本明細書において用いられる場合、相補配列なる用語は、以下に記載するような同じヌクレオチド配列比較法により評価できるように、実質的に相補性であるか、または本明細書において記載されるような、比較的ストリンジェントな条件下で問題の核酸セグメントとハイブリッド形成できると定義されるヌクレオチド配列を意味する。相補核酸セグメントの具体例はアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0065】
列(subsequence)なる用語は、さらに長い核酸配列の一部を含む核酸の配列をいう。列の例は、本明細書においてすでに記載したようなプローブ、またはプライマーである。本明細書において用いられるプライマーなる用語は、約8以上の、選択された核酸分子のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、好ましくは10〜20ヌクレオチド、さらに好ましくは20〜30ヌクレオチドの連続した配列をさす。本発明のプライマーは本発明の核酸分子上で重合を開始するために十分な長さかつ適当な配列を有するオリゴヌクレオチドを包含する。
【0066】
延長された配列なる用語は、核酸中に組み入れられたヌクレオチド(または他の類似の分子)の添加をさす。たとえば、ポリメラーゼ(たとえば、DNAポリメラーゼ)は核酸分子の3’末端で配列を添加することができる。加えて、ヌクレオチド配列は、他のDNA配列、たとえば、プロモーター、プロモーター領域、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、イントロン配列、追加の制限酵素部位、複数のクローニング部位、および他のコーディングセグメントと組み合わせることができる。従って、本発明は、組み換え体発現のためのベクターをはじめとする開示された核酸を含むベクターを提供することもでき、ここにおいて、本発明の核酸は操作的に機能的プロモーターと結合される。
【0067】
操作的に結合したという用語は、本明細書において用いられる場合、ヌクレオチド配列の転写がプロモーター領域により制御され、調節されるような、プロモーター領域とヌクレオチド配列間の機能的組み合わせをさす。プロモーター領域をヌクレオチド配列に操作的に結合させる技術は当該分野において公知である。
【0068】
ベクターなる用語は、本明細書において、宿主細胞においてその複製を可能にするヌクレオチド配列を有する核酸分子をいう。ベクターは、ベクター内でのヌクレオチド配列の結紮を可能にするヌクレオチド配列を含むこともでき、ここにおいて、かかるヌクレオチド配列も宿主細胞において複製される。代表的なベクターとしては、プラスミド、コスミド、およびウイルスベクターが挙げられる。
【0069】
本発明の核酸は、クローン、合成、変更、突然変異形成、またはその組み合わせをすることができる。核酸を単離するために用いられる標準的な組み換えDNAおよび分子クローニング技術は当該分野において公知である。塩基対変化、欠失、または小挿入を生じさせるための部位特異性突然変異誘発は当該分野において公知である。たとえば、サムブルック(Sambrook)ら(編)(1989)Molecular Cloning: A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York;シルヘビー(Silhavy)ら、(1984)Experiments with Gene Fusions. Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York;グローバーおよびヘイムズ(Glover & Hames)(1995)DNA Cloning: A Practical Approach、第2版、IRL Press at Oxford University Press、Oxford/New York; オースベル(Ausubel)(編)(1995)Short Protocols in Molecular Biology、第3版、Wiley、New York参照。
【0070】
I.B. キメラおよびヒト化抗5T4ポリペプチド
本発明は単離されたヒト化抗5T4ポリペプチドも提供する。本発明の代表的な軽鎖および重鎖ポリペプチドは配列番号1〜12として記載されている。代表的な軽鎖可変領域ポリペプチドおよび重鎖可変領域ポリペプチドはそれぞれ配列番号17および23ならびに配列番号18、19、および21として記載されている。
【0071】
ポリペプチドおよびタンパク質なる用語は、それぞれ、ペプチド結合により結合したアミノ酸の一本鎖から構成される化合物をいう。本発明の抗体はポリペプチドまたはタンパク質とも呼ばれる。本発明のポリペプチドは、天然に存在するアミノ酸、合成アミノ酸、遺伝的にコード化されたアミノ酸、非遺伝的にコード化されたアミノ酸、およびその組み合わせを含む。ポリペプチドはL形およびD形アミノ酸の両方を包含する。
【0072】
代表的な非遺伝的にコード化されたアミノ酸は、これに限定されないが、2−アミノアジピン酸;3−アミノアジピン酸;β−アミノプロピオン酸;2−アミノ酪酸;4−アミノ酪酸(ピペリジン酸);6−アミノカプロン酸;2−アミノヘプタン酸;2−アミノイソ酪酸;3−アミノイソ酪酸;2−アミノピメリン酸;2,4−ジアミノ酪酸;デスモシン;2,2’−ジアミノピメリン酸;2,3−ジアミノプロピオン酸;N−エチルグリシン;N−エチルアスパラギン;ヒドロキシリシン;アロ−ヒドロキシリシン;3−ヒドロキシプロリン;4−ヒドロキシプロリン;イソデスモシン;アロ−イソロイシン;N−メチルグリシン(サルコシン);N−メチルイソロイシン;N−メチルバリン;ノルバリン;ノルロイシン;およびオルニチンを包含する。
【0073】
代表的な誘導化アミノ酸は、たとえば、遊離アミノ基が誘導化されてアミン塩酸塩を形成する分子、p−トルエンスルホニル基、カルボベンゾキシ基、t−ブチルオキシカルボニル基、クロロアセチル基またはホルミル基を包含する。遊離カルボキシル基は誘導化されて塩、メチルおよびエチルエステルあるいは他の種類のエステルまたはヒドラジドを形成し得る。遊離ヒドロキシル基は誘導化されて、O−アシルまたはO−アルキル誘導体を形成し得る。ヒスチジンのイミダゾール窒素は、誘導化されてN−im−ベンジルヒスチジンを形成し得る。
【0074】
本発明は、ヒト化抗5T4ポリペプチドの機能的フラグメント、たとえば、可変領域ポリペプチドも提供する。開示された配列よりも長い機能的ポリペプチド配列も提供される。たとえば、1つまたは複数のアミノ酸を抗体ポリペプチドのN−末端またはC−末端に添加することができる。このような追加のアミノ酸は、精製用途を包含するが、これに限定されない様々な用途において用いることができる。延長されたタンパク質を調製する方法は当該分野において公知である。
【0075】
本発明のポリペプチドは(a)配列番号17または23のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域ポリペプチド;(b)配列番号17と少なくとも78%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域ポリペプチド;および(c)配列番号23と少なくとも81%同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域ポリペプチドを含む。本発明のさらなるポリペプチドは(a)配列番号18、19、および21のいずれか一つに記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域ポリペプチド;(b)配列番号18と少なくとも83%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域ポリペプチド;(c)配列番号19と少なくとも81%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域ポリペプチド;および(d)配列番号21と少なくとも86%同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域ポリペプチドを含む。本明細書において以下に記載するように、クエリー配列として配列番号17、18、19、21、または23のいずれか一つの完全長配列を用いた配列比較アルゴリズムを用いて、あるいは目視検査により、配列を最大一致について比較する。実施例5も参照。
【0076】
開示されたヒト化H8可変領域ポリペプチドに対して特定の最低率の同一性を有する実質的に同一のポリペプチドに関して、実質的に同一のポリペプチドは、配列番号17、18、19、21、または23のいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも約87%同一である、たとえば少なくとも88%同一であるか、または少なくとも89%同一であるか、または少なくとも90%同一であるか、または少なくとも91%同一であるか、または少なくとも92%同一であるか、または少なくとも93%同一であるか、または少なくとも94%同一であるか、または少なくとも95%同一であるか、または少なくとも96%同一であるか、または少なくとも97%同一であるか、または少なくとも98%同一であるか、または少なくとも99%同一である。本発明は、本明細書において開示された核酸のいずれか一つによりコード化されるポリペプチドをさらに含む。
【0077】
実質的に同一のタンパク質は、開示されたヒト化可変領域ポリペプチドおよび可変領域抗体のいずれか一つの保存的に置換された変異体であるアミノ酸を含むタンパク質を包含する。保存的に置換された変異体なる用語は、1つまたは複数の残基が機能的に類似した残基で保存的に置換され、開示されたキメラおよびヒト化H8抗体のいずれかと類似した親和力でヒト抗5T4抗体と特異的に結合するアミノ酸を含むポリペプチドをいう。保存的に置換された変異体なる語句は、残基が化学的に誘導された残基で置換されているペプチドも包含する。
【0078】
保存的置換の例は、1つの非極性(疎水性)残基、たとえば、イソロイシン、バリン、ロイシンまたはメチオニンともう一つ別のものに関する置換を包含し;1つの極性(親水性)残基のもう一つ別のものに関する置換、たとえば、アルギニンとリシン間、グルタミンとアスパラギン間、グリシンとセリン間;1つの塩基性残基、たとえばリシン、アルギニンまたはヒスチジンともう一つ別のものについての置換;あるいは1つの酸性残基、たとえば、アスパラギン酸またはグルタミン酸のもう一つ別のものについての置換を包含する。
【0079】
本発明の単離されたポリペプチドは、様々な当業者に公知の標準的技術を用いて精製し、特徴づけることができる。たとえば、シュレーダーおよびリュブケ(Schroeder & Lubke(1965)The Peptides. Academic Press、New York;Bodanszky(1993)Principles of Peptide Synthesis、第2版、rev.ed. Springer−Verlag、Berlin/New York;オースベル(Ausubel)(編)(1995)Short Protocols in Molecular Biology,第3版、Wiley、New York参照。
【0080】
I.C. ヌクレオチドおよびアミノ酸配列比較
2以上のヌクレオチドまたはポリペプチド配列に関連して、同一または同一性(%)なる用語は、同じであるか、または本明細書において開示された配列比較アルゴリズムの一つを用いて、または目視検査により測定されるように、最大一致に関して比較し、整列した場合に同じである、特定の比率のアミノ酸残基またはヌクレオチドを有するアミノ酸残基またはヌクレオチドを有する2以上の配列または列を意味する。
【0081】
ヌクレオチドまたはポリペプチド配列に関して実質的に同一という用語は、特定の配列が1つまたは複数の欠失、置換、または付加により天然に存在する配列と異なり、その全体的影響はヒト化抗5T4核酸またはポリペプチドの生物学的機能を保持することを意味する。
【0082】
2以上の配列の比較に関して、典型的には1つの配列は、これに対して1つまたは複数の試験配列が比較される参照配列としての機能を果たす。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験および参照配列をコンピュータープログラムに入力し、必要ならば列座標を表示し、配列アルゴリズムプログラムパラメータを選択する。次いで配列比較アルゴリズムは、選択されたプログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する指定された試験配列についての配列同一性(%)を計算する。
【0083】
比較のための配列の最適整列を、たとえば、スミスおよびウォーターマン(Smith & Waterman)(1981)Adv. Appl. Math 2:482−489の局所同一性アルゴリズムによるか、ニードルマンおよびヴンシュ(Needleman & Wunsch)(1970)J. Mol. Biol. 48:443−453の相同性配列アルゴリズムによるか、あるいはピアソンおよびリプマン(Pearson & Lipman)(1988)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444−2448の類似性検索法によるか、これらのアルゴリズムの電子計算実施によるか(Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、Madison、WisconsinにおけるGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)、あるいは目視検査により、構築することができる。一般的には、オースベル(編)(1995)Short Protocols in Molecular Biology、第3版、Wiley、New York参照。
【0084】
配列同一性(%)および配列類似性を決定する好ましいアルゴリズムはBLASTアルゴリズムであり、これは、アルチュル(Altschul)ら、(1990)J. Mol. Biol. 215:403−410において記載されている。BLAST分析を実行するソフトウェアは、全米バイオテクノロジー情報センター(the National Center for Biotechnology)の公開情報(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)により入手可能である。BLASTアルゴリズムパラメータは、整合の感度および速度を決定する。2つのヌクレオチド配列の比較のために、BLASTnデフォルトパラメータは、W=11(ワード長)およびE=10(期待値)に設定され、組成の複雑性が低いクエリー配列の残基をマスクするための複雑性が低いフィルターの使用も含む。2つのアミノ酸配列の比較に関して、BLASTpプログラムデフォルトパラメータはW=3(ワード長)、E=10(期待値)、BLOSUM62スコアリングマトリックスの使用、存在=11および伸長=1のギャップコスト、および組成の複雑性が低いクエリー配列の残基をマスクするための低複雑性フィルターの使用に設定される。実施例5参照。
【0085】
I.D.機能分析
本発明はさらに、5T4結合活性、細胞表面上に提示される5T4抗原に対する結合後の細胞内在化、および対象における5T4発現細胞に対するターゲティングをはじめとするヒト化抗5T4抗体の活性を特徴づけるためのインビトロおよびインビボ分析を開示する。細胞毒素と接合した場合、本発明の開示された抗体は、5T4発現ガン細胞の成長の阻害および/または5T4発現細胞における細胞の死の誘発を包含する抗ガン活性を惹起することができる。本発明のヒト化抗5T4抗体は前記活性の1つまたは複数を含み得る。
【0086】
ヒト化抗5T4抗体の5T4抗原に対する結合を検出する技術、たとえば、実施例5に記載されているようなBIACORER分析は当該分野において公知である。さらなる代表的技術は、遠心分離、アフィニティークロマトグラフィーおよび他の免疫化学法を包含する。たとえば、マンソン(Manson)(1992)Immunochemical Protocols、Humana Press、Totowa、New Jersey、United States of America;イシカワ(Ishikawa)(1999)UltrasensitiveおよびRapid Enzyme Immunoassay、Elsevier、Amsterdam/New York参照。単離された5T4抗原または5T4発現細胞を用いて抗原結合分析を行うことができる。実施例1および5参照。
【0087】
抗ガン活性なる用語は、一般に、存在するガン細胞を破壊する能力、またはガン細胞の成長を遅延または防止する能力を説明するために使用される。癌なる用語は、対象における任意の組織の一次および転移腫瘍および癌腫、たとえば、癌腫および造血器悪性腫瘍、たとえば白血病およびリンパ腫をさす。抗ガン活性を測定するためのインビトロ検定は実施例2および8に記載されており、代表的動物モデルは実施例3、4、および9に記載されている。
【0088】
成長阻害なる用語は、本明細書においては、抗5T4抗体が5T4発現細胞を排除するか、あるいは5T4発現細胞の増殖を防止または軽減する能力を記載するために使用される。実施例2〜4および8〜9において記載されるように、本発明のヒト化抗5T4抗体は癌細胞成長を阻害することができる。細胞成長阻害の迅速なインビトロ評価のためのさらなる代表的な方法は、ジョーンズ(Jones)ら、(2001)J. Immunol. Methods 254:85−98に記載されている。
【0089】
細胞死を誘発する能力は、プログラムされた細胞死の誘発を含み、これは核DNA変性、核退化および凝縮、膜一体性の喪失、およびファゴサイトーシスを包含する。細胞を評価するための代表的な分析法は、ホーブズ(Hoves)ら、(2003)Methods 31:127−34;ペン(Peng)ら、(2002)Chin. Med. Sci. J. 17:17−21;ヤスハラ(Yasuhara)ら、(2003)J. Histochem. Cytochem. 51:873−85に記載されている。
【0090】
II.抗5T4抗体/薬物接合体
本発明はさらに、本発明のキメラまたはヒト化抗5T4抗体を含む抗体/薬物接合体を提供する。さらに、抗体/薬物接合体を調製して、薬物を抗体に直接的または間接的のいずれかで結合させる方法も提供される。本発明の抗体/薬物接合体は一般式5T4Ab(−X−W)m:
(式中:
5T4Abは本明細書において記載されるキメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントである;
Xは、抗体フラグメントの抗5T4抗体と反応できる任意の反応性基の生成物を含むリンカーである;
Wは薬物である;
mは精製された接合生成物の平均装填量である(たとえば、mは薬物が接合体の約3〜10重量%を構成するようなものである);
(−X−W)m は薬物誘導体である)
を有する。
【0091】
本発明の抗体/薬物接合体を調製する方法も提供される。一例として、式5T4Ab(−X−W)mの抗体/薬物接合体は(a)薬物誘導体をキメラまたはヒト化抗5T4抗体に添加し(ここにおいて、薬物はキメラまたはヒト化抗5T4抗体の3〜10重量%である);(b)薬物誘導体およびキメラまたはヒト化抗5T4抗体を、約7〜9の範囲のpHを有する非求核性タンパク質適合性緩衝溶液中でインキュベートして、抗体/薬物接合体を生成させ(ここにおいて、溶液はさらに、(i)適当な有機共溶媒、および(ii)少なくとも1つの胆汁酸またはその塩を含む1つまたは複数の添加剤を含み、インキュベーションは約30℃〜約35℃の範囲の温度で約15分から約24時間の範囲の時間で行われる);(c)工程(b)において生成した接合体をクロマトグラフィー分離プロセスに付して、3〜10重量%の薬物の範囲の装填量および低接合フラクション(LCF)を用いて抗体/薬物接合体を未接合キメラまたはヒト化抗5T4抗体、薬物誘導体、および凝集した接合体から分離することにより調製することができる。
【0092】
II.A.薬物
本明細書において用いられる薬物なる用語は、生物学的または検出可能な活性を有する任意の物質、たとえば、治療薬、検出可能な標識、結合剤など、およびインビトロで代謝されて活性剤になるプロドラッグをさす。薬物なる用語は、薬物が本発明の抗体と接合できるように官能化された薬物誘導体も包含する。一般に、これらの種類の接合体は免疫接合体と呼ばれる。
【0093】
治療薬なる用語は、これを必要とする対象における状態を治療または予防するために使用できる任意の組成物をさす。特に、本発明において有用な薬物は、抗ガン剤を包含する。5T4発現細胞は、扁平上皮/腺腫様肺ガン(非小細胞肺ガン)、浸潤性乳ガン、結腸直腸癌、胃ガン、扁平上皮子宮頸ガン、浸潤性子宮内膜腺癌、侵襲性膵臓癌、卵巣癌、扁平上皮膀胱癌、および絨毛腫からのガン細胞を包含する。
【0094】
代表的治療薬は、細胞毒素、放射性同位元素、化学療法薬、免疫調節薬、血管新生阻害剤、抗増殖剤、アポトーシス誘発剤、ならびに細胞増殖抑制および細胞溶解酵素(たとえば、RNAse)を包含する。薬物は治療用核酸、たとえば、免疫調節役をコード化する遺伝子、血管新生阻害剤、抗増殖剤、またはアポトーシス誘発剤も包含する。これらの薬物ディスクリプタは相互排他的でなく、従って治療薬は1つまたは複数の前記用語を用いて記載することができる。たとえば、選択された放射性同位元素は細胞毒素でもある。治療薬は、薬理学的に許容される塩、酸または前記のいずれかの誘導体として調製することができる。一般に、薬物として放射性同位元素を有する接合体は、放射性免疫接合体と称し、薬物として化学療法薬を有するものは化学免疫接合体と称する。
【0095】
免疫接合体において用いられる好適な薬物の例は、タキサン、メイタンシン、CC−1065およびデュオカルマイシン、カリケアマイシンおよび他のエンジイン、およびオーリスタチンを包含する。他の例は、抗葉酸剤、ビンカアルカロイド、およびアントラサイクリンを包含する。植物毒素、他の生物活性タンパク質、酵素(すなわち、ADEPT)、放射性同位元素、光線感作物質(すなわち、光線力学療法)を免疫接合体においても使用できる。加えて、接合体は細胞毒性剤、たとえば、リポソームまたはポリマーとして第二担体を用いて調製することができる。
【0096】
細胞毒素なる用語は一般に、細胞の機能を阻害または防止し、および/または結果として細胞を破壊する薬剤を意味する。代表的な細胞毒素は、抗生物質、チューブリン重合の阻害剤、DNAと結合し、崩壊させるアルキル化剤、ならびにタンパク質合成または本質的細胞タンパク質の機能を乱す薬剤、たとえば、タンパク質キナーゼ、ホスファターゼ、トポイソメラーゼ、酵素、およびサイクリンを包含する。代表的な細胞毒素は、これに限定されないが、ドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、アクラルビシン、ゾルビシン、ミトキサントロン、エピルビシン、カルビシン、ノガラマイシン、メノガリル、ピタルビシン、バルルビシン、シタラビン、ジェムサイタビン、トリフルリジン、アンシタビン、エノサイタビン、アザシチジン、ドキシフルリジン、ペントスタチン、ブロキスリジン、カペシタビン、クラドリビン、デシタビン、フロキスリジン、フルダラビン、ゴウゲロチン、ピューロマイシン、テガフール、チアゾフリン、アドリアマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ダカルバジン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、メクロレタミン、プレドニゾン、プロカルバジン、メトトレキサート、フルロウラシル、エトポシド、タクソール、タクソール類似体、プラチン類、たとえばシスプラチンおよびカルボプラチン、マイトマイシン、チオテパ、タキサン、ビンクリスチン、ダウノルビシン、エピルビシン、アクチノマイシン、アウスラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、タモキシフェン、イダルビシン、ドラスタチン/アウリスタチン、ヘミアステルリン、エスペラマイシンおよびマイタンシノイドを包含する。
【0097】
本発明の特定の具体例において、細胞毒素は抗生物質、たとえば、カリケアマイシンであり、LL−E33288複合体、たとえば、ガンマ−カリケアマイシン(γ1)ともよばれる。米国特許第4,970,198号参照。ガンマカリケアマイシンヒドラジド誘導体の抗体接合体に関する初期の研究により、インビトロの抗原ベースの細胞毒性および異種移植片実験における活性が示された。これらの接合体の治療指数は、当初は、有効性の低い誘導体、N−アセチルガンマを使用することにより改善された。ジメチル置換基を添加することにより、すべてのカリケアマイシン接合体において存在するジスルフィド結合を安定化することより、さらなる改善がなされた。本発明の抗体/薬物接合体の調製における使用に好適なカリケアマイシンのさらなる例は、米国特許第4,671,958号;第5,053,394号;第5,037,651号;第5,079,233号;および第5,108,912号に開示され;これらの特許は全体として本発明の一部として参照される。これらの化合物はメチルトリスルフィドを含有し、これを適当なチオールと反応させて、ジスルフィドを形成することができ、同時に、官能基、たとえば、ヒドラジドまたはカリケアマイシンを抗5T4抗体と接合させるために有用な他の官能基が導入される。ジメチル置換基の添加によるすべてのカリケアマイシン接合体において存在するジスルフィド結合の安定化は、さらなる改善をもたらす。これにより、N−アセチルガンマカリケアマイシンジメチルヒドラジド、またはNAc−ガンマDMH(CL−184,538)を、接合に関して最適化された誘導体の一つとして選択することができる。カリケアマイシンのジスルフィド類似体も用いることができ、これらはたとえば、米国特許第5,606,040号および第5,770,710号に記載されている類似体であり、これらの特許はその全体として本発明の一部として参照される。
【0098】
放射線療法用途のために、本発明のキメラまたはヒト化抗5T4抗体は高エネルギ放射性同位元素を含むことができる。同位体は、たとえば、抗体中に存在するシステイン残基で抗体に直接結合することができるか、あるいは抗体と放射性同位元素の結合を媒介するためにキレーターを用いることができる。放射線療法に好適な放射性同位元素としては、これらに限定されないが、α−エミッター、β−エミッター、およびオージェ電子が挙げられる。診断用途に関して、有用な放射性同位元素としては、陽電子エミッターおよびγ−エミッターが挙げられる。本発明のヒト化抗5T4抗体はさらに、たとえば、抗体のチロシン残基上でヨウ素化して、抗体の検出および治療効果を促進することができる。
【0099】
抗5T4抗体と接合することができる代表的な放射性同位元素としては、18フッ素、64銅、65銅、67ガリウム、68ガリウム、77臭素、80m臭素、95ルテニウム、97ルテニウム、103ルテニウム、105ルテニウム、99mテクネチウム、107水銀、203水銀、123ヨウ素、124ヨウ素、125ヨウ素、126ヨウ素、131ヨウ素、133ヨウ素、111インジウム、113インジウム、99mレニウム、105レニウム、101レニウム、186レニウム、188レニウム、121テルル、99テクネチウム、122mテルル、125mテルル、165ツリウム、167ツリウム、168ツリウム、90イットリウム、およびこれらから誘導される窒化物または酸化物形態が挙げられる。他の好適な放射性同位元素としては、アルファエミッター、たとえば、213ビスマス、213鉛、および225アクチニウムが挙げられる。
【0100】
血管形成および抑制された免疫応答は、悪性疾患ならびに腫瘍成長、浸潤、および転移において主要な役割を果たす。従って、本発明の方法において有用な薬物は、免疫応答および/またはインビボで抗血管形成応答を誘発できるものも包含する。
【0101】
免疫応答なる用語は、脊椎動物対象の免疫系による抗原または抗原決定基に対する応答、たとえば、体液性免疫応答(たとえば、抗原特異性抗体の産生)および細胞性免疫応答(たとえば、リンパ球増殖)を意味する。代表的な免疫調節薬は、サイトカイン、キサンチン、インターロイキン、インターフェロン、および成長因子(たとえば、TNF、CSF、GM−CSFおよびG−CSF)、およびホルモン、たとえば、エストロゲン(ジエチルスチルベストロール、エストラジオール)、アンドロゲン(テストステロン、HALOTESTINR(フルオキシメステロン)、プロゲスチン(MEGACER(メゲストロールアセテート)、PROVERAR(メドロキシプロゲステロンアセテート))、およびコルチコステロイド(プレドニゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン)を包含する。
【0102】
本発明において有用な免疫調節薬は、腫瘍に対するホルモン作用をブロックする抗ホルモンおよびサイトカイン産生を抑制するか、自己抗原発現を減少調節するか、またはMHC抗原をマスクする免疫抑制剤も包含する。代表的な抗ホルモンは、抗エストロゲン、たとえば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)−イミダゾール、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY 117018、オナプンストン、およびトレミフェン;ならびに抗アンドロゲン、たとえば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、およびゴセレリン;および抗副腎剤を包含する。代表的な免疫抑制剤は、2−アミノ−6−アリール−5−置換ピリミジン、アザチオプリン、シクロホスファミド、ブロモクリプチン、ダナゾール、ダプゾン、グルタルアルデヒド、MHC抗原およびMHCフラグメントの抗イディオタイプ抗体、シクロスポリンA、ステロイド、たとえば、グルココルチコステロイド、サイトカインまたはサイトカインレセプター拮抗物質(たとえば、抗インターフェロン抗体、抗IL10抗体、抗TNF(抗体、抗IL2抗体)、ストレプトキナーゼ、TGFβ、ラパマイシン、T細胞レセプター、T細胞レセプターフラグメント、およびT細胞レセプター抗体を包含する。
【0103】
代表的な抗血管新生阻害剤は、血管形成の阻害剤、たとえば、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、COX−2阻害剤、VEGF阻害剤、bFGF阻害剤、ステロイドスルファターゼ阻害剤(たとえば、2−メトキシエストラジオールビス−スルファメート(2−MeOE2bビスMATE))、インターロイキン−24、トロンボスポンジン、メタロスポンジンタンパク質、クラスIインターフェロン、インターロイキン12、プロタミン、アンギオスタチン、ラミニン、エンドスタチン、およびプロラクチンフラグメントを包含する。
【0104】
抗増殖剤およびアポトーシス誘発剤は、PPAR−ガンマのアクチベータ(たとえば、シクロペンタノンプロスタグランジン(cyPGs))、レチノイド、トリテルピノイド(たとえば、シクロアルタン、ルパン、ウルサン、オレアナン、フリーデラン、ダマラン、ククルビタシン、およびリモノイドトリテルペノイド)、EGFレセプターの阻害剤(たとえば、HER4)、ランパマイシン、CALCITRIOLR(1,25−ジヒドロドロキシコレカルシフェロール(ビタミンD))、アロマターゼ阻害剤(FEMARAR(レトロゾン))、テロメラーゼ阻害剤、鉄キレーター(たとえば、3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン(Triapine))、アポプチン(ニワトリ貧血症ウイルスからのウイルスタンパク質3 − VP3)、Bcl−2およびBcl−X(L)の阻害剤、TNF−アルファ、FASリガンド、TNF関連アポトーシス誘発性リガンド(TRAIL/Apo2L)、TNF−アルファ/FASリガンド/TNF関連アポトーシス誘発性リガンド(TRAIL/Apo2L)シグナル化のアクチベーター、およびPI3K−Akt生存経路シグナル化の阻害剤(たとえば、UCN−01およびゲルダナマイシン)を包含する。
【0105】
代表的な化学療法薬は、アルキル化剤、たとえば、チオテパおよびシクロスホスファミド;アルキルスルホネート、たとえば、ブスルファン、イムプロスルファンおよびピポスルファン;アジリジン、たとえば、ベンゾドパ、カルボクオン、メツレドパ、およびウレドパ;エチレンイミンおよびメチルアメラミン、たとえば、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチロールメラミン;ナイトロジェンマスタード、たとえば、クロロアムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メチオレタミン、メチオレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファルニド、ウラシルマスタード;ニトロス尿素、たとえば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、たとえば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウスラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、マイコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、プロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;抗代謝剤、たとえば、メトトレキサートおよび5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸類似体、たとえば、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトトレキサート;プリン類似体、たとえば、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、たとえば、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフル、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フルオキシウリジン、5−EU;アンドロゲン、たとえば、カルステロン、ドロモスタノロンプロピオネート、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎、たとえば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤、たとえば、フォリン酸;アセグラトン;アルドホスファリニドグリコシド;アミノレブリニン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジクオン;エルフォルニチン;エリプチニウムアセテート;エトグルシド;ガリウムニトレート;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’−トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(Ara−C);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、たとえばパクリタキセル(TAXOLR、Bristol−Myers Squibb Oncology of Princeton、New Jersey)およびドキセタキセル(TAXOTERER、Rhone−Poulenc Rorer of Antony、France);キオラムブシル;ジェムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体、たとえば、シスプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イフォスファミド;マイトマイシンC;マイトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アイニオプテリン;キセロダ;イバンドロネート;CPT−11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラミシン;およびカペシタビンを包含する。
【0106】
本明細書において開示され、本発明の治療法に従って使用されるキメラおよびヒト化抗5T4抗体と接合できるさらなる治療薬としては、これらに限定されないが、光線力学療法に関しては感光剤(米国特許公開番号2002/0197262および米国特許第5,952,329号);温熱療法に関しては磁性粒子(米国特許公開番号2003/0032995);結合剤、たとえば、ペプチド、リガンド、細胞接着リガンドなど、ならびにプロドラッグ、たとえば、ホスフェート含有プロドラッグ、チオホスフェート含有プロドラッグ、スルフェート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、β−ラクタム含有プロドラッグ、置換フェノキシアセトアミド含有プロドラッグまたは置換フェニルアセトアミド含有プロドラッグ、5−フルオロサイトシンおよび他の5−フルオリジンプロドラッグであって、さらに活性な細胞毒性のない薬物に変換できるものが挙げられる。
【0107】
キメラまたはヒト化抗5T4抗体を用いた診断法に関して、薬物は、インビトロまたはインビボでの5T4発現細胞の存在を検出するために使用できる検出可能な標識を含んでもよい。臨床診断用途に関して有用な放射性同位元素は、インビボで検出可能な標識、たとえば、シンチグラフィー、磁気共鳴映像法、または超音波を使用して検出可能な標識を包含する。有用なシンチグラフィー標識は、陽電子エミッターおよびγ−エミッターを包含する。磁気源映像法の代表的な造影剤は、常磁性または超常磁性イオン(たとえば、鉄、銅、マンガン、クロム、ユーロピウム、ジスプロシウム、ホルミウムおよびガドリニウム)、酸化鉄粒子、および水溶性造影剤を包含する。超音波検出法に関して、多孔性無機粒子中に気体または液体を捕捉することができ、これはマイクロバブル造影剤として放出される。インビトロ検出に関して、有用な検出可能な標識は、蛍光プローブ、エピトープ、または放射性標識を包含する。
【0108】
II.B リンカー分子
薬物はリンカー分子により本発明のキメラおよびヒト化抗5T4抗体と直接または間接的のいずれかで接合される。リンカー分子は安定または加水分解可能であり、これにより細胞侵入後に放出される。これにより薬物が抗体から開裂される主なメカニズムは、リソソーム(ヒドラゾン、アセタール、およびシス−アコニテート様アミド)の酸性pHにおける加水分解、リソソーム酵素(カテプシンおよび他のリソソーム酵素)によるペプチド開裂、およびジスルフィドの還元を包含する。これらの開裂の多様なメカニズムの結果として、薬物を抗体に結合させるメカニズムは大きく異なり、任意の好適なリンカーを使用できる。好ましくは、接合法は、最小の低接合フラクション(LCF、ほとんど未接合の抗体のフラクション)、すなわち、約10%未満を有するサンプルを産生する。
【0109】
好適な接合法の一例は、ヒドラジドおよび他の求核試薬の、抗体上に天然に存在する炭水化物の酸化により生じるアルデヒドに対する接合に依存する。所望の薬物放出特性をもたらす、カルボニル基が導入されたヒドラゾン含有接合体を調製できる。一端にジスルフィド、中間にアルキル鎖、他端にヒドラジン誘導体を有する接合体も調製することができる。アントラサイクリンは、この技術を用いて抗体に接合させることができる細胞毒素の一例である。
【0110】
ヒドラゾン以外の官能基を含有するリンカーは、リソソームの酸性環境において開裂される可能性を有する。たとえば、接合体は、細胞内で開裂可能なヒドラゾン以外の部位、たとえば、エステル、アミド、およびアセタール/ケタールを含有する、チオール反応性リンカーから作ることができる。カンプトテシンはこれらのリンカーを使用して接合できる細胞毒性剤の一つである。5〜7員環ケトンから調製されるケタールおよび細胞毒性剤に結合した酸素の一つを有するもの、および抗体結合のためにリンカーに結合する他のものも用いることができる。アントラサイクリンもこれらのリンカーを使用する好適な細胞毒素の一例である。
【0111】
pH感受性リンカーの種類の別の例は、シス−アコニテートであり、これはアミド結合と近接したカルボン酸を有する。カルボン酸は酸性リソソームにおけるアミド加水分解を促進する。数種の他の構造を有する、同様の加水分解速度促進を達成するリンカーも使用できる。C−9で結合したリンカーで接合できるメイタンシノイドは細胞毒素の一例である。
【0112】
薬物接合体の別の有望な放出法は、リソソーム酵素によるペプチドの酵素加水分解である。一例において、ペプチドはアミド結合によりパラ−アミノベンジルアルコールに結合し、カーバメートまたはカーボネートがベンジルアルコールと細胞毒性剤間で形成される。ペプチドの開裂は、アミノベンジルカーバメートまたはカーボネートの崩壊または自己犠牲につながる。この方法により例示される細胞毒性剤は、アントラサイクリン、タキサン、マイトマイシンC、およびアウリスタチンを包含する。一例において、カーバメートの代わりにリンカーの崩壊によりフェノールを放出することもできる。別のバリエーションにおいて、パラメルカプトベンジルカーバメートまたはカーボネートの崩壊を開始するために、ジスルフィド還元が使用される。
【0113】
抗体に接合した多くの細胞毒性剤は、もしあったとしても、水溶性が低く、このことは接合体の凝集のために、接合体に対する薬物のローディングを制限し得る。これを克服するための一方法は、可溶化基をリンカーに添加することである。PEGおよびジペプチドからなるリンカーを用いて調製された接合体、たとえば、抗体に結合したPEG二酸、チオール−酸、またはマレイミド−酸、ジペプチドスペーサー、およびアントラセリンまたはデュオカルマイシン類似体のアミンに結合したアミドを用いることができる。もう一つ別の例は、細胞毒性剤に結合したPEG含有リンカージスルフィドおよび抗体に結合したアミドを用いて調製される接合体である。PEG基を組み入れる方法は、凝集および薬物ローディングにおける制限を克服するのに有益であり得る。
【0114】
本発明の抗体/薬物接合体の調製に好ましい代表的なリンカーは、式:
(CO−Alk1−Sp1−Ar−Sp2−Alk2−C(Z1)=Q−Sp)
(式中:
AlklおよびAlk2は独立して、結合あるいは分岐または非分岐(Cl−C10)アルキレン鎖である;
Sp1は結合、−S−、−O−、−CONH−、−NHCO−、−NR’−、−N(CH2CH2)2N−、または−X−Ar’−Y−(CH2)n−Zであり、ここにおいて、X、Y、およびZは独立して、結合、−NR’−、−S−、または−O−である。ただし、n=0である場合、YおよびZの少なくとも1つは結合でなければならず、Ar’は1,2−、1,3−、または1,4−フェニレンであって、所望により、(C1−C5)アルキル、(C1−C4)アルコキシ、(C1−C4)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、−COOR’、−CONHR’、−(CH2)nCOOR’、−S(CH2)nCOOR’、−O(CH2)nCONHR’、or −S(CH2)nCONHR’の1、2、または3個の基で置換されていてもよい。ただし、Alk1が結合である場合、Sp1は結合である;
nは0〜5の整数である;
R’は分岐または非分岐(C1−C5)鎖であって、所望により、−OH、(C1−C4)アルコキシ、(C1−C4)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、(C1−C3)ジアルキルアミノ、または(C1−C3)トリアルキルアンモニウム−A−(ここにおいて、A− は塩を形成する医薬的に許容されるアニオンである)の1または2個の基により置換されていてもよい;
Arは、1,2−、1,3−、または1,4−フェニレンであって、(C1−C6)アルキル、(C1−C5)アルコキシ、(C1−C4)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、−COOR’、−CONHR’、−O(CH2)nCOOR’、−S(CH2)nCOOR’、−O(CH2)nCONHR’、または−S(CH2)nCONHR’(ここにおいて、nおよびR’は前記定義の通りである)の1、2、または3個の基で置換されていてもよいもの、あるいは1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,7−、1,8−、2,3−、2,6−、または2,7−ナフチリデンまたは
【化1】
であって、各ナフチリデンまたはフェノチアジンは所望により、(C1−C6)アルキル、(C1−C5)アルコキシ、(C1−C4)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、−COOR’、−CONHR’、−O(CH2)nCOOR’、−S(CH2)nCOOR’、または−S(CH2)nCONHR’(ここにおいて、nおよびR’は前記定義の通りである)の1、2、3、または4個の基で置換されていてもよい。ただし、Arがフェノチアジンである場合、Sp1は窒素にのみ結合される結合である;
Sp2は、結合、−S−、または−O−である。ただし、Alk2が結合である場合、Sp2は結合である;
Z1は、H、(C1−C5)アルキル、またはフェニルであって、所望により、(C1−C5)アルキル、(C1−C5)アルコキシ、(C1−C4)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、−COOR’、−ONHR’、−O(CH2)nCOOR’、−S(CH2)nCOOR’、−O(CH2)nCONHR’、または−S(CH2)nCONHR’(ここにおいて、nおよびR’は前記定義の通りである)の1、2、または3個の基で置換されていてもよい;
Spは直鎖または分岐鎖二価または三価(C1−C18)ラジカル、あるいは三価アリールまたはヘテロアリールラジカル、二価または三価(C3−C18)シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルラジカル、二価または三価アリール−またはヘテロアリール−アリール(C1−C18)ラジカル、二価または三価シクロアルキル−またはヘテロシクロアルキル−アルキル(C1−C18)ラジカルあるいは二価または三価(C2−C18)不飽和アルキルラジカルであり、ここにおいて、ヘテロアリールは、好ましくは、フリル、チエニル、N−メチルピロリル、ピリジニル、N−メチルイミダゾリル、オキサゾリル、ピリミジニル、キノリル、イソキノリル、N−メチルカルバゾイル、アミノクマリニル、またはフェナジニルであり、Spが三価ラジカルである場合、Spは低級(C1−C5)ジアルキルアミノ、低級(C1−C5)アルコキシ、ヒドロキシ、または低級(C1−C5)アルキルチオ基でさらに置換されていてもよい;
Qは=NHNCO−、=NHNCS−、=NHNCONH−、=NHNCSNH−、または=NHO−である)
のリンカーを包含する。
【0115】
好ましくは、Alk1は分岐または非分岐(C1−C10)アルキレン鎖であり;Sp’は結合、−S−、−O−、−CONH−、−NHCO−、または−NR’であり、ここにおいて、R’は前記定義の通りである。ただし、Alk1が結合である場合、Sp1は結合である;
Arは、1,2−、1,3−、または1,4−フェニレンであって、所望により、(C1−C6)アルキル、(C1−C5)アルコキシ、(C1−C4)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、−COOR’、−CONHR’、−O(CH2)nCOOR’、−S(CH2)nCOOR’、−O(CH2)nCONHR’、または−S(CH2)nCONHR’の1、2、または3個の基で置換されていてもよいものであるか(ここにおいて、nおよびR’は前記定義の通りである)、あるいはArは、1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,7−、1,8−、2,3−、2,6−、または2,7−ナフチリデンであって、それぞれは所望により、(C1−C6)アルキル、(C1−C5)アルコキシ、(C1−C4)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、−COOR’、−CONHR’、−O(CH2)nCOOR’、−S(CH2)nCOOR’、−O(CH2)nCONHR’、または−S(CH2)nCONHR’の1、2、3、または4個の基で置換されていてもよい;
Z1は(C1−C5)アルキル、またはフェニルであって、所望により、(C1−C5)アルキル、(C1−C4)アルコキシ、(C1−C4)チオアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、−COOR’、−CONHR’、−O(CH2)nCOOR’、−S(CH2)nCOOR’、−O(CH2)nCONHR’、または−S(CH2)nCONHR’の1、2、または3個の基で置換されていてもよい;Alk2およびSp2は一緒になって結合である;SpおよびQは直前に定義した通りである。
【0116】
米国特許第5,773,001号(その全体として本発明の一部として参照される)は、カリケアマイシンから調製される求核薬、特にヒドラジドおよび関連する求核試薬とともに使用できるリンカーを開示している。これらのリンカーは、薬物およびリンカー間で形成される結合が加水分解可能である場合に、さらに良好な活性が得られる場合において特に有用である。これらのリンカーは、2つの官能基、たとえば(1)抗体との反応のための基(たとえば、カルボン酸)、および(2)薬物との反応のためのカルボニル基(たとえば、アルデヒドまたはケトン)を含有する。カルボニル基は、薬物上のヒドラジド基と反応して、ヒドラゾン結合を形成することができる。この結合は加水分解可能であり、標的細胞との結合後に接合体からの治療剤の放出を許容する。
【0117】
一例として、キメラまたはヒト化H8抗体は、(1)細胞毒性薬誘導体を抗5T4抗体に添加する(ここにおいて、細胞毒性薬は、タンパク質担体の4.5〜11重量%である);(2)細胞毒性薬誘導体および抗5T4抗体を、約7〜9の範囲のpHを有する非求核性、タンパク質適合性、緩衝溶液中でインキュベートして、モノマー細胞毒性薬/抗体接合体を産生する(ここにおいて、溶液はさらに(a)好適な有機共溶媒、および(b)少なくとも1つのC6−C18カルボン酸またはその塩を含む添加剤を含み、インキュベーションは約30℃〜約35℃の範囲の温度で、約15分から24時間行われる);および(3)工程(2)において産生された接合体をクロマトグラフィー分離プロセスに付して、モノマー接合体を3重量%〜10重量%の細胞毒性薬および10%未満の低接合フラクション(LCF)で未接合抗体、薬物誘導体、および凝集した接合体から分離することにより、細胞毒性薬に接合させることができる。
【0118】
工程(3)のクロマトグラフィー分離は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、限外濾過/膜分離精製法(diafiltration)、HPLC、FPLC、またはセファクリルS−200クロマトグラフィーなどのプロセスを包含する。クロマトグラフィー分離は、フェニルセファロース6高速流クロマトグラフィーメディア、ブチルセファロース4高速流クロマトグラフィーメディア、オクチルセファロース4高速流クロマトグラフィーメディア、Toyopearlエーテル−650Mクロマトグラフィーメディア、Macro−prepメチルHICメディアまたはMacro−Prep t−ブチルHICメディアを用いた疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)により行うことができる。
【0119】
抗H8抗体/薬物接合体の代表的な調製法は、米国同時係属出願公開番号2004−082764A1および米国特許出願番号10/699,874(全体として本発明の一部として参照される)においてCMC−544の調製法に関して記載されているものを包含する。接合は、次の条件を用いて行うことができる:10 mg/ml抗体、8.5%(w/w)カリケアマイシン誘導体、37.5 mMデカン酸ナトリウム、9% (v/v)エタノール、50 mM HEPBS(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(4−ブタンスルホン酸))、pH 8.5、32℃、1時間を包含する。疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)は、ブチルセファロースFF樹脂、0.65 Mリン酸カリウムローディング緩衝液、0.49 M リン酸カリウム洗浄緩衝液、および4 mMリン酸カリウム溶出緩衝液を用いて行うことができる。緩衝液交換は、サイズ排除クロマトグラフィー、限外濾過/膜分離精製法、または他の好適な手段により達成することができる。抗体/薬物接合体は、1.5%デキストラン−40、0.9%シュークロース、0.01% TWEENR−80、20 mMトリス/50 mM NaCl、pH 8.0中で処方することができる。5%シュークロース、0.01% TWEENR−80、20 mMトリス/10 mM NaCl、pH 8.0を含有する別の処方溶液も使用できる。凍結乾燥サイクルは処方に基づいて調節される。処方の濃度は、0.5 mg接合体/mlである。それぞれのバイアルは1 mgの接合体を含み得る。すなわち、2 mlの充填量である。他の充填体積、たとえば5ml充填量を所望により調製することができる。
【0120】
他の代表的な方法は、CMD−193に関して記載されているものを包含し、同時係属中の米国特許出願番号11/080,587にも記載されている。接合は、次の条件を用いて行うことができる:10 mg/ml抗体、7% (w/w)カリケアマイシン誘導体、10 mMデオキシコレート、50 mM HEPBS(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(4−ブタンスルホン酸))、9% (v/v)エタノール、pH 8.2、32℃、1時間。反応を0.66 Mリン酸カリウム pH 8.56で10倍に希釈し、ブチルセファロースFF樹脂、0.60 Mリン酸カリウムローディング緩衝液および洗浄緩衝液、および20 mMトリス/25 mM NaCl溶出緩衝液を用いてHICを行うことができる。緩衝液交換は、限外濾過/再生セルロース膜を用いた膜分離精製法を用いて行うことができる。接合体を20 mMトリス/10 mM NaCl pH 8.0(10 diavolumes)に対して膜分離精製することができる。抗体/薬物接合体を5%シュークロース、0.01% TWEENR−80、20 mMトリス/10 mM NaCl、pH 8.0中で処方することができる。処方後のバルク接合体の濃度は1 mg/mlであり、バイアル充填量は5 mg/バイアル、すなわち、5 ml充填量であるか、あるいは他の充填体積を所望により調製することができる。
【0121】
本発明の特定の具体例において、使用されるリンカーは、4−(4−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)である。抗体/薬物接合体は、β−カリケアマイシン、γ−カリケアマイシンまたはN−アセチルγ−カリケアマイシン、あるいはその誘導体を、3−メルカプト−3−メチルブタノイルヒドラジド、AcButリンカー、および本発明の抗5T4抗体と反応させることにより調製される。たとえば、米国特許第5,773,001号参照。このリンカーは、循環において安定である接合体を産生し、1日あたり推定2%のNAc−γDMHを放出し、これは酸性リソソームにおいて容易にNAc−ガンマDMHを放出する。本発明の他の具体例において、抗体/薬物接合体は、3−アセチルフェニル酸性酸(AcPac)または4−メルカプト−4−メチル−ペンタン酸(Amide)をリンカー分子として使用して調製される。実施例2参照。
【0122】
放射性同位元素の接合に関して有用な代表的リンカーは、ジエチレントリアミンペンタアセテート(DTPA)−イソチオシアネート、スクシニミジル6−ヒドラジニウムニコチネートヒドロクロリド(SHNH)、およびヘキサメチルプロピレンアミンオキシム(HMPAO)を包含する(バッカー(Bakker)ら、(1990)J.Nucl.Med.31:1501−9、チャットパディエイ(Chattopadhyay)ら、(2001)Nucl.Med.Biol.28:741−4、デワンジー(Dewanjee)ら、(1994)J.Nucl.Med.35:1054−63、クレニング(Krenning)ら、(1989)Lancet 1;242−4、サギウチ(Sagiuchi)ら、(2001)Ann.Nucl.Med.15:267−70);米国特許第6,024,938参照)。別法として、ターゲティング分子を誘導化させて、放射性同位元素を直接これに結合させることができる(ユー(Yoo)ら、(1997)J.Nucl.Med.38:294−300)。ヨウ素化法も当該分野において公知であり、代表的方法は、たとえば、クレニング(Krenning)ら、(1989)Lancet 1:242−4およびバッカー(Bakker)ら、(1990)J. Nucl. Med. 31:1501−9において見いだすことができる。
【0123】
抗体/薬物接合体あたりの薬物分子の数をさらに増大させるために、薬物をポリエチレングリコール(PEG)、たとえば直鎖または分岐鎖ポリエチレングリコールポリマーおよびモノマーと接合させることができる。PEGモノマーは次式:
−(CH2CH2O)−
を有するものである。薬物および/またはペプチド類似体をPEGと直接または間接的に、すなわち、適当なスペーサー基、たとえば糖を介して結合させることができる。PEG/抗体/薬物組成物は、薬物安定性およびインビボでの標的部位への送達を促進するために、さらなる親油性および/または親水性部分も含むことができる。PEG含有組成物の代表的な調製法は特に、米国特許第6,461,603号;第6,309,633号;および第5,648,095号において見いだすことができる。
【0124】
カリケアマイシンをはじめとする多くの薬物の疎水性の結果、抗体/薬物接合体が凝集する。さらに高い薬物装填量/収量および凝集が軽減されたモノマー抗体/薬物接合体を産生するために、(i)共溶媒としてプロピレングリコールおよび(ii)少なくとも1種のC6−C18カルボン酸を含む添加剤を含有する、非求核タンパク質適合性緩衝溶液中で、接合反応を行うことができる。有用な酸としては、C7〜C12酸、たとえば、オクタン酸またはカプリル酸、あるいはその塩が挙げられる。プロピレングリコール以外の他のタンパク質適合性有機共溶媒、たとえば、エチレングリコール、エタノール、DMF、DMSOなども使用できる。薬物を接合混合物中に移すために有機共溶媒の一部または全部が使用される。N−ヒドロキシスクシンイミド(OSu)エステルまたは他の同等に活性化されたエステルを用いた抗体/薬物接合体の調製に有用な緩衝液としては、リン酸塩緩衝塩溶液(PBS)およびN−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES緩衝液)が挙げられる。接合反応において用いられる緩衝溶液は遊離アミンおよび求核試薬が実質的にない。別の方法として、t−ブタノールを含有し、添加剤を追加していない非求核タンパク質適合性緩衝溶液中で接合反応を行うことができる。たとえば、米国特許第5,712,374号および第5,714,586号参照。接合のさらなる方法およびカリケアマイシン含有接合体は、米国特許第5,739,116号および第5,877,296号に開示されている。
【0125】
モノマー接合体を形成するための最適反応条件は、温度、pH、カリケアマイシン誘導体投入量、および添加剤濃度などの反応変数を変えることにより経験的に決定することができる。プロピレングリコールの代表的な量は、全溶液の10%〜60%、たとえば10%〜40%の範囲、または約30体積%である。少なくとも1つのC6−C18カルボン酸またはその塩を含む添加剤の代表的な量は、20 mM〜100 mM、たとえば、40 mM〜90 mM、または約60 mM〜90 mMの範囲である。C6−C18カルボン酸またはその塩の濃度を150〜300 mMに増加させることができ、共溶媒を1%〜10%に減少させることができる。本発明の代表例において、カルボン酸はオクタン酸、デカン酸、または対応する塩である。たとえば、200 mMのカプリル酸を5%プロピレングリコールまたはエタノールとともに使用することができる。接合反応は、若干高い温度(30〜35oC)およびpH(8.2〜8.7)で行うことができる。抗体の濃度は1〜15 mg/mlの範囲であり、カリケアマイシン誘導体、たとえば、N−アセチルガンマ−カリケアマイシンDMH AcBut OSuエステルの濃度は、抗体の約4.5重量%〜11重量%の範囲である。他の薬物の接合に好適な条件は、実験を行うことなく当業者が決定することができる。
【0126】
II.C.抗体/薬物接合体の精製
接合後、モノマー接合体を未接合反応物質および/または接合体の凝集形態から、通常の方法、たとえば、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、イオン交換クロマトグラフィー(IEC)、またはクロマト分画(CF)により分離することができる。精製された接合体は、モノマーであり、通常、3重量%〜10重量%の薬物を含有する。抗体/薬物接合体は、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を用いて精製することもでき、これは、たとえば、(1)LCF含量ならびに凝集物を有効に減少させることができること;(2)大きな反応体積の調節;および(3)生成物の最小希釈など、SECにまさるいくつかの利点をもたらす。生産規模の使用に好適な高容量HICメディアは、フェニルセファロース6高速流クロマトグラフィーメディア、ブチルセファロース4高速流クロマトグラフィーメディア、Toyopearlエーテル−650Mクロマトグラフィーメディア、Macro−PrepメチルHICメディアまたはMacro−Prep t−ブチルHICメディアを含む。限外濾過/膜分離精製法も緩衝液交換に使用できる。
【0127】
代表的な精製法において、遠心分離細胞除去工程、タンパク質A親和性捕捉工程と、それに続く1または2の直交クロマトグラフィー研磨工程、ウイルス濾過工程、および濃縮および処方のための接線流濾過工程を包含する複数の工程が行われる。精製法は、好ましくは、5%未満の凝集物、20ppm未満のタンパク質A、50ppm未満の宿主細胞タンパク質、および50%を超える全体的回収率で生成物を産生する。
【0128】
典型的なヒト化抗5T4/カリケアマイシン調製物は、主に(約95%)、抗体1モルあたり5〜7モルのカリケアマイシンを含有する接合した抗体を含有する。接合体は、実験室スケール(10−200 mg)で再現可能に調製される。薬物装填量は、μgカリケアマイシン/mg mAbとして表され、カリケアマイシン濃度(μg/mL)を抗体濃度(mg/mL)で割ることにより決定される。これらの値は、280nmおよび310nmで接合体溶液のUV吸光度を測定することにより決定される。これは平均装填量であり、実際の装填量は平均装填量値を中心とする疑似ガウス分布であることに注目することが重要である。すなわち、抗体の一部が平均よりも多量に装填され、抗体の一部は平均よりも少量で装填される。分析的HIC−HPLC(疎水性相互作用高性能液体クロマトグラフィー)を用いて測定できる未接合抗体(低接合フラクション)は、接合カリケアマイシンをほとんどまたは全く有さない抗体の集団である。この値は、抗体に関するカリケアマイシン分布の測定値であり、投与されたカリケアマイシンの量に一般的に影響を及ぼさない。ELISAを用いて測定できる未接合カリケアマイシンは、抗体に対して接合されず、全カリケアマイシンの割合で表されるカリケアマイシンの量をいう。薬物装填分析は、未接合および接合カリケアマイシンを識別しない。未接合カリケアマイシンの量は、薬物ローディングを用いた場合に検出できないか、あるいは無視でき、従って、これらの分析は接合カリケアマイシンの量を有効に測定する。
【0129】
ヒト化抗5T4カリケアマイシン接合体の放出および安定性試験に関する分析のために分析法を用いることができる。接合体は、同一性(IEF)、強度(全タンパク質および全カリケアマイシン装填量)、純度(未接合カリケアマイシン、低接合抗体、凝集物含量およびSDS−PAGE還元)、および免疫親和性(抗原結合ELISA)に関して評価することができる。当業者に公知のさらなる分析を用いることができる。これらの分析を用いて、バッチ間の一貫性を商業的製造において維持することができる。
【0130】
II.D.抗体/薬物接合体の薬物動態
The pharmacokinetics of 5T4を標的とする免疫接合体の薬物動態を評価し、様々な動物における未接合カリケアマイシンの薬物動態と比較することができる。たとえば、これは、メスヌードマウス、オスSprague−Dawleyラット、およびメスカニクイザルに1回静脈内ボーラス投与した後に行うことができる。抗5T4抗体の薬物動態は、一般に、様々な種における低クリアランス、低体積の分布、および長い見かけの終末半減期により特徴づけられる。未接合カリケアマイシン誘導体の血清濃度は定量限界より低いと予想される。単回投与毒性範囲実験におけるこれらの接合体についての毒性プロフィールは、相当する用量での他の抗体/カリケアマイシン接合体について得られるものと同様であると予想される。
【0131】
III.キメラおよびヒト化抗5T4抗体および抗体/薬物接合体の使用
本発明のヒト化抗5T4抗体および抗体/薬物接合体は、5T4発現細胞に関連する用途についてインビトロおよびインビボの両方で有用である。実施例1において記載されるように、5T4発現ガン細胞は、扁平上皮/腺腫性肺ガン(非小細胞肺ガン)、浸潤性乳ガン、結腸直腸癌、胃ガン、扁平上皮子宮頸ガン、浸潤性子宮内膜腺癌、浸潤性膵臓癌、卵巣癌、扁平上皮膀胱癌、および絨毛腫を包含する。5T4は、気管支、胸部、結腸、直腸、胃、頸部、子宮内膜、膵臓、卵巣、絨毛、および精嚢の癌腫に関して高レベルで検出された。
【0132】
インビボ用途に関して、開示されたヒト化抗体の薬物担体としての有用性は、そのターゲティング分子として挙動する能力に依存する。ターゲティングなる用語は、対照組織と比較したペプチドまたはペプチド類似体の標的組織における優先的運動および/または蓄積をさす。本明細書において用いられる標的組織なる用語は、5T4発現細胞、すなわち、対象に投与された後の本発明の抗体/薬物接合体の蓄積に関して意図される部位を含む組織をいう。本明細書において用いられる対照組織なる用語は、投与された抗体/薬物接合体の結合および/または蓄積が実質的にないと思われる部位、すなわち、5T4発現細胞が実質的にない組織をさす。本明細書において用いられる選択的ターゲティングなる用語は、標的組織における抗体/薬物接合体の量が対照組織におけるペプチド類似体の量より約2倍高くなるような、たとえば、約5倍以上、または約10倍以上になるような抗体/薬物接合体の優先的局在化をさす。
【0133】
III.A.インビトロ適用
本発明はヒト化5T4抗体を使用するインビトロの方法を提供する。たとえば、開示された抗体は単独または細胞毒性剤または5T4陽性癌細胞と特異的に結合して、かかる細胞を細胞サンプルから除去する他の薬物との組み合わせのいずれかにおいて用いることができる。
【0134】
細胞毒素と接合した抗5T4抗体を含む抗体/薬物接合体と5T4発現細胞を接触させることにより、標的細胞崩壊のための方法も提供される。実施例3および8参照。細胞毒性剤を含む抗体/薬物接合体と細胞を接触させることにより、5T4発現細胞の増殖を抑制するための方法および5T4発現細胞のアポトーシスを誘発する方法も提供される。5T4発現細胞の抗体/薬物接合体との接触は、インビトロまたはインビボで行うことができる。
【0135】
III.B.診断および検出法
本発明のヒト化抗5T4抗体は、5T4抗原を特異的に結合するその能力に基づいて、インビトロおよびインビボでの5T4+細胞の検出においても有用性を有する。5T4発現細胞を検出する方法は:(a)細胞を含む生物学的サンプルを調製し;(b)インビトロでヒト化抗5T4抗体を生物学的サンプルと接触させ(ここにおいて、抗体は検出可能な標識を含む);(c)検出可能な標識を検出し、これにより5T4発現細胞が検出可能になることを含む。
【0136】
開示された検出法は、たとえば、診断に有用であるとして、手術中の援助を提供するために、あるいは用量決定のためにインビボでも行うことができる。標識されたヒト化抗5T4抗体を対象に投与した後で結合に十分な時間の後、抗体により結合した5T4発現細胞の生体内分布を可視化することができる。開示された診断法は、処理法と組み合わせて使用することができる。加えて、本発明のヒト化抗5T4抗体は検出および治療の二重の目的で投与することができる。
【0137】
代表的な非浸潤性検出法は、シンチグラフィー(たとえば、SPECT(単光子放射型コンピューター断層撮影法)、PET(陽電子放出断層撮影法)、ガンマカメラ画像化、および直線走査)、磁気共鳴映像法(たとえば、通常の磁気共鳴画像化、磁化移動画像化(MTI)、陽子磁気共鳴分光学(MRS)、拡散強調画像化(DWI)および機能的MR画像法(fMRI))、および超音波を包含する。
【0138】
III.C.治療用途
本発明はさらに、対象において5T4発現ガン細胞の細胞崩壊を誘発するために有用な方法および組成物にも関する。従って、開示された方法は、癌成長の阻害、たとえば、遅延型腫瘍成長および転移の阻害に有用である。一つの操作様式に拘束されることを意図しないが、ヒト化H8−カリケアマイシン接合体の抗原誘導ターゲティング(たとえば、実施例3、4、および9参照)ならびに受動的ターゲティング(たとえば、実施例10参照)は抗腫瘍効果に寄与し得る。
【0139】
開示された抗5T4抗体および抗体/薬物接合体を用いて治療可能な代表的な癌としては、胸部、結腸、直腸、肺、中咽頭、下咽頭、食道、胃、膵臓、肝臓、胆嚢、胆管、小腸、腎臓、膀胱および尿路上皮を含む尿路、女性生殖系、頸部、子宮、卵巣、男性生殖系、前立腺、精嚢、睾丸、内分泌腺、甲状腺、副腎、脳下垂体、皮膚、骨、軟組織、血管、脳、神経、眼、髄膜における5T4発現原発および転移性腫瘍が挙げられる。特に、本発明の開示された抗5T4抗体/薬物接合体は、非小細胞肺ガン、転移性乳ガン、および膵臓癌の治療に、第二次単剤療法として、また一次併用療法の一部として使用できる。標的癌は、胸部、結腸、胃、食道、膵臓、十二指腸、肺、膀胱および腎臓癌および胃および島細胞神経内分泌腫瘍を包含するルイスY炭水化物抗原を発現することもできる。米国特許第6,310,185号参照。
【0140】
開示された方法は、ホジキンリンパ腫細胞および非ホジキンリンパ腫細胞をはじめとするT4発現白血病およびリンパ腫細胞にも関する。リンパ腫細胞は、無痛性、悪性、低悪性度、中悪性度、または抗悪性度リンパ腫細胞である。
【0141】
従って、本発明のヒト化抗5T4抗体/カリケアマイシン接合体で治療されるべき患者は、これに限定されないが、5T4抗原の高い発現を包含するバイオマーカー発現に基づいて選択することができ、その結果、腫瘍発生または組織ではなく強化された標的発現に関して選択された患者集団が得られる。標的発現は、細胞染色の強度と併せて細胞染色の数の関数として測定することができる。たとえば、5T4の高発現の区分は、3+(1〜4のスケールで)のレベルで5T4について陽性の免疫組織学的染色により試験された、30%を超える(すなわち、40%、50%または60%)細胞を有する患者を包含し、一方、5T4の中発現は、1+〜2+での20%を超える細胞染色を有する患者を包含する。
【0142】
5T4抗原の発現以外のバイオマーカーを、たとえば、多剤耐性(MDR)に基づく腫瘍のキャラクタライゼーションを包含する患者の選択にも用いることができる。ほぼ50パーセントのヒトの癌は、化学療法に対して完全に耐性であるか、または一時的にのみ反応し、その後、通常に使用される抗ガン剤により影響を受けないかのいずれかである。この現象は、MDRと称し、ある種の腫瘍により本質的に発現され、一方、他のものは化学療法処置を受けた後にMDRを獲得する。薬物排出ポンプP−糖タンパク質は、細胞毒性化学療法に関連するMDRの大部分を媒介する。癌患者腫瘍標本中に存在するMDRメカニズムの表現型および機能分析は、特定の腫瘍種における化学療法に対して耐性と特異的MDRメカニズムを関係づけるために行うことができる。
【0143】
本明細書において用いられる癌なる用語は、非新生物増殖性疾患も包含する。従って、本発明の方法は、過形成、化生、あるいは特に異形成(かかる異常成長状態に関する総説については、デバイタ・ジュニア(DeVita、Jr.)ら、(2001)、Cancer: PrinciplesおよびPractice、第6版、Lippincott Williams & Wilkins参照)の治療または予防も意図される。
【0144】
癌成長なる用語は、一般に、癌内のより発展した形態への変化を示唆する指数を意味する。従って、癌成長の阻害を評価する指数は、これに限定されないが、癌細胞生存率における減少、腫瘍体積または形態の減少(たとえば、コンピューター断層撮影(CT)、超音波検査、または他の画像化法を使用して決定される)、遅延型腫瘍成長、腫瘍脈管構造の破壊、遅延型過敏症皮膚試験における向上した性能、細胞傷害性Tリンパ球の活性における増加、および腫瘍特異性抗原のレベルにおける減少を包含する。遅延型腫瘍成長なる用語は、腫瘍が特定の量に成長するために必要な時間の減少を意味する。たとえば、治療は、腫瘍が測定の初日(0日)に対して3倍の体積に増大するために必要な時間または1cm3に成長するために必要な時間を遅延させることができる。
【0145】
III.D.処方
本発明のキメラおよびヒト化抗5T4抗体を安全かつ有効な臨床用途のために容易に調製し、処方することができる。対象に投与するために好適な処方は、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、抗菌剤および抗真菌剤(たとえば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、およびチメロサール)、処方を意図される受容者の体液と等張にするための溶質(たとえば、糖、塩、およびポリアルコール)、懸濁化剤、および増粘剤を含有してもよい水性および非水性無菌注射溶液を包含する。好適な溶媒としては、水、エタノール、ポリオール(たとえば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール)、およびその混合物が挙げられる。処方は、単剤または多剤容器、たとえば、密封アンプルおよびバイアル中で提示することができ、対象に投与するか、またはその後に意図される用途に適当な同位体で放射標識するために使用直前に無菌液体担体を添加するだけでよい凍結またはフリーズドライ(凍結乾燥)状態で貯蔵することができる。本発明の抗5T4抗体および抗体/薬物接合体は好ましくは以下に記載される有効用量として処方される。
【0146】
一例として、代表的な抗5T4抗体処方は、40 mg/mlの抗体または抗体/薬物接合体、25 mMのアセテート、150 mMのトレハロース、0.9%のベンジルアルコール、0.02%のポリソルベート20(pH 5.0)を含み、2〜8℃で貯蔵して2年の最低保存寿命を有する。もう一つ別の例として、抗5T4抗体処方は、9.0 mg/mlの塩化ナトリウム中10 mg/mlの抗体または抗体/薬物接合体、7.35 mg/mlのクエン酸ナトリウム二水和物、0.7 mg/mlのポリソルベート80、および無菌水を含む(pH 6.5)。実験マウスモデルに投与される抗5T4/カリケアマイシン接合体の代表的な処方は、2μgまたは4μgのカリケアマイシンを含み(実施例3、4、および7参照)、これはヒトへの投与に関して相応に増減することができる。
【0147】
抗5T4抗体または抗体/薬物接合体の安定な凍結乾燥処方は(a)抗体/薬物接合体を溶解させて、凍結防止剤を1.5重量%〜5重量%の濃度、ポリマー充填剤を0.5重量%〜1.5重量%の濃度、電解質を0.01M〜0.1Mの濃度、溶解促進剤を0.005重量%〜0.05重量%の濃度、溶液の最終pHが7.8〜8.2になるように5〜50mMの濃度で緩衝剤、および水含む溶液中0.5〜2 mg/mlの最終濃度にし;(b)前記溶液をバイアル中に+5℃〜10℃の温度で分注し;(c)溶液を−35℃〜−50℃の凝固点で凍結させ;(d)凍結した溶液を−10℃〜−40℃の棚温度、20〜80ミクロンの一次乾燥圧で、24〜78時間、初期乾燥工程に付し;(e)凍結乾燥された工程(d)の生成物を+10℃〜+35℃の棚温度で20〜80ミクロンの乾燥圧で15〜30時間、二次乾燥工程に付すことにより調製できる。
【0148】
凍結防止剤の凍結乾燥に有用な代表的な凍結防止剤としては、アルジトール、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、ポリエチレングリコール、アルドン酸、ウロン酸、糖酸、アルドース、ケトース、アミノ糖、アルジトール、イノシトール、グリセルアルデヒド、アラビノース、リキソース、ペントース、リボース、キシロース、ガラクトース、グルコース、ヘキソース、イドース、マンノース、タロース、ヘプトース、グルコース、フルクトース、グルコン酸、ソルビトール、ラクトース、マンニトール、メチルα−グルコピラノシド、マルトース、イソアスコルビン酸、アスコルビン酸、ラクトン、ソルボース、グルカル酸エリスロース、トレオース、アラビノース、アロース、アルトロース、グロース、イドース、タロース、エリスルロース、リブロース、キシルロース、プシコース、タガトース、グルクロン酸、グルコン酸、グルカル酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸、グルコサミン、ガラクトサミン、シュークロース、トレハロース、ノイラミン酸、アラビナン、フルクタン、フカン、ガラクタン、ガラクツロナン、グルカン、マンナン、キシラン、レバン、フコイダン、カラギーナン、ガラクトカロロース、ペクチン、ペクチン酸、アミロース、プルラン、グリコーゲン、アミロペクチン、セルロース、デキストラン、プスツラン、キチン、アガロース、ケラチン、コンドロイチン、デルマタン、ヒアルロン酸、アルギン酸、キサンタンガム、デンプン、シュークロース、グルコース、ラクトース、トレハロース、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロールおよびペンタエリスリトールが挙げられる。
【0149】
たとえば、凍結防止剤シュークロースは、1.5重量%の濃度で用いることができ、ポリマー充填剤デキストラン40またはヒドロキシエチルデンプン40は0.9重量%の濃度で用いることができ、凍結乾燥溶液において用いられる電解質は、塩化ナトリウムであり、これは0.05Mの濃度で存在し、緩衝剤トロメタミンは0.02Mの濃度で用いることができる。溶解度促進剤(たとえば、界面活性剤、たとえば、ポリソルベート80)は凍結乾燥プロセスの間にも用いることができる。通常、この溶解度促進剤は、界面活性剤である。凍結乾燥された処方を調製するための代表的な工程は、バイアルを−45℃の温度で凍結させることを含み;凍結した溶液を60ミクロンの一次乾燥圧および−30℃の棚温度で60時間、初期凍結乾燥工程に付し;凍結乾燥された生成物を60ミクロンの乾燥圧、+25℃の棚温度で24時間二次乾燥工程に付す。
【0150】
抗5T4抗体および抗体/薬物接合体は医薬的に許容される担体、たとえば、大きく、ゆっくりと代謝される高分子、たとえば、タンパク質、ポリペプチド、リポソーム、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマーおよび不活性ウイルス粒子中で処方される。医薬的に許容される塩、たとえば、鉱酸塩、たとえば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩および硫酸塩、あるいは有機酸の塩、たとえば、酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩および安息香酸塩も用いることができる。処方はさらに、液体、たとえば、水、塩溶液、グリセロール、およびエタノール、および/または補助剤、たとえば、湿潤剤または乳化剤を含むことができるか、あるいはpH緩衝物質がかかる組成物中に存在してもよい。かかる担体は、患者により摂取されるために、組成物が錠剤、丸薬、糖衣錠、カプセル、液剤、ジェル、シロップ、スラリーおよび懸濁剤に処方されるのを可能にする。
【0151】
III.E.用量および投与
ヒト化抗5T4抗体は、非経口的に、たとえば、静脈内、皮下、腹腔内、または筋肉内投与により投与することができる。組成物を肺経路に送達するために、組成物をエアゾルまたは粗スプレーとして、すなわち、経鼻投与で投与することができる。髄腔内または髄内投与は、中枢神経系(CNS)およびCNS関連性癌の治療に用いることができる。本発明の抗5T4抗体は、経真皮、経皮、局所、経腸、膣内、舌下または経直腸的でも投与することができる。送達法は、治療される状態および部位、抗体処方の種類、および組成物の治療効力などの検討事項に基づいて選択される。静脈内投与は病院において慣例的に使用される。
【0152】
本発明は、有効量のヒト化抗5T4抗体が対象に投与されると定めている。有効量なる用語は、本明細書においては、所望の生物学的応答を惹起するために十分なヒト化抗5T4抗体の量を記載するために用いられる。たとえば、癌を有する対象に投与される場合、有効量は、抗ガン活性、たとえば、癌細胞崩壊、ガン細胞増殖の阻害、ガン細胞アポトーシスの誘発、ガン細胞抗原の減少、遅延型腫瘍成長、および転移の阻害を惹起するために十分な量を含む。腫瘍収縮は、有効性の臨床代理マーカーとしてよく承認されている。もう一つ別のよく承認された有効性のマーカーは、無増悪生存率である。抗5T4/カリケアマイシン接合体は、一般に、重要な有効性評価基準において少なくとも25%の改善、たとえば、メジアン生存率、腫瘍進行までの時間、および全体的応答率において改善を示す。
【0153】
一般に、有効な用量は、約0.01 mg/m2から約50 mg/m2の範囲、たとえば、約0.1 mg/m2から約20 mg/m2、または約15 mg/m2であり、この用量は、抗5T4抗体の量に基づいて、あるいは抗体/カリケアマイシン調製物中のカリケアマイシンの量に基づいて計算される。実験マウスモデルに投与される抗5T4/カリケアマイシン接合体の代表的な用量は、2μgまたは4μgカリケアマイシン(実施例3〜4および9参照)を含み、この量はヒトへの投与に関して、相応して増減することができる。たとえば、本発明の抗5T4/カリケアマイシン接合体は、ヒト患者に3週間ごとに1回、6サイクルまで投与することができる。放射性標識された抗5T4抗体に関して、有効な用量は、典型的には、放射性同位元素および抗体の結合親和力に基づいて、約1 mCi〜約300 mCi、通常、約5 mCi〜100 mCiである。
【0154】
開示されたキメラおよびヒト化抗5T4抗体を用いた5T4−陽性細胞の検出に関して、検出可能な量の本発明の組成物が対象に投与される。検出可能な量は、本明細書において診断組成物に言及するために用いられる場合、抗体の存在をインビトロまたはインビボで決定できるようなキメラまたはヒト化H8抗体の量をいう。放射性同位元素を用いたシンチグラフィー画像化に関して、放射性同位元素の典型的な量は、約10μCi〜50mCi、または約100μCi〜25mCi、または約500μCi〜20mCi、または約1mCi〜10mCi、または約10mCiの活性を包含し得る。
【0155】
本発明の組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、所望の診断または治療結果を達成するために有効である量の組成物を投与するために変化し得る。投与計画も変化し得る。単回注射または頻回注射を用いることができる。選択された用量レベルおよび投与計画は、治療組成物の活性および安定性(すなわち、半減期)、処方、投与経路、他の薬物または治療との組み合わせ、検出および/または治療される疾患または障害、および治療される対象の健康状態および以前の病歴をはじめとする様々な因子に依存するであろう。
【0156】
本発明の任意の抗5T4または抗体/薬物接合体に関して、治療的に有効な用量は、まず、細胞培養分析において、あるいは動物モデル、通常、齧歯類、ウサギ、イヌ、ブタ、および/または霊長類においてのいずれかで評価することができる。動物モデルは、適当な濃度範囲および投与経路を決定するためにも使用できる。このような情報は次いでヒトにおける有用な用量および投与経路を決定するために使用できる。典型的には、最小用量が投与され、用量を制限する細胞毒性がない場合は用量を増大させる。有効量または用量の決定および調節、ならびにかかる調節をいつ、どのようにして行うかの評価は、医学分野における通常の技術を有する人には公知である。
【0157】
処方、用量、投与計画、および測定可能な治療結果に関するさらなる指針については、バーコウ(Berkow)ら、(2000)The Merck Manual of Medical Information、Merck & Co.、Inc.、Whitehouse Station、New Jersey;エバディ(Ebadi)(1998)CRC Desk Reference of Clinical Pharmacology、CRC Press、Boca Raton、Florida;ジェナロ(Gennaro)(2000)Remington: The ScienceおよびPractice of Pharmacy、Lippincott、Williams & Wilkins、Philadelphia、Pennsylvania;カッツン(Katzung)(2001)Basic & Clinical Pharmacology、Lange Medical Books/McGraw−Hill Medical Pub. Div.、New York;ハードマン(Hardman)ら、(2001)Goodman & Gilman’s the Pharmacological Basis of Therapeutics、The McGraw−Hill Companies、Columbus、Ohio;スパイトおよびホルフォード(Speight & Holford)(1997)Avery’s Drug Treatment: A Guide to the Properties、Choices、Therapeutic UseおよびEconomic Value of Drugs in Disease Management、Lippincott、Williams、& Wilkins、Philadelphia、Pennsylvania参照。
【0158】
III.F.併用療法
開示された抗5T4抗体は、初期治療として、または通常の療法に対して無反応な状態の治療のために投与することができる。加えて、開示された抗5T4抗体は、他の治療(たとえば、外科的切除、放射線療法、追加の標的化抗ガン剤または全身性抗ガン剤など)と組み合わせて用いることができ、これにより相加的または相乗治療効果の惹起および/またはある抗ガン剤の肝細胞毒性を低下させる。本発明のキメラおよびヒト化抗5T4抗体は、追加の薬剤と同時投与または同時処方、あるいはいずれかの順序での連続投与のために処方することができる。
【0159】
併用療法に有用な代表的な薬剤としては、本明細書において抗5T4/薬物接合体の調製に有用であると前記されている任意の薬物が挙げられる。本発明のキメラおよびヒト化抗5T4抗体は、他の治療抗体および抗体/薬物接合体、たとえば、開示されたヒト化抗5T4抗体以外の抗5T4抗体、ならびに抗CD19、抗CD20(たとえば、RITUXANR、ZEVALINR、BEXXARR)、抗CD22抗体、抗CD33抗体(たとえば、MYLOTARGR)、抗CD33抗体/薬物接合体、抗Lewis Y抗体(たとえば、Hu3S193、Mthu3S193、AGmthu3S193)、抗HER−2抗体(たとえば、HERCEPTINR(トラスツズマブ)、MDX−210、OMNITARGR(パーツズマブ、rhuMAb 2C4))、抗CD52抗体(たとえば、CAMPATHR)、抗EGFR抗体(たとえば、ERBITUXR(セツキシマブ)、ABX−EGF(パニツムマブ))、抗VEGF抗体(たとえば、AVASTINR(ベバシズマブ))、抗DNA/ヒストン複合抗体(たとえば、ch−TNT−1/b)、抗CEA抗体(たとえば、CEA−Cide、YMB−1003)hLM609、抗CD47抗体(たとえば、6H9)、抗VEGFR2(またはキナーゼ挿入ドメイン含有レセプター、KDR)抗体(たとえば、IMC−1C11)、抗Ep−CAM抗体(たとえば、ING−1)、抗FAP抗体(たとえば、シブロツズマブ)、抗DR4抗体(たとえば、TRAIL−R)、抗プロゲステロンレセプター抗体(たとえば、2C5)、抗CA19.9抗体(たとえば、GIVAREXR)および抗フィブリン抗体(たとえば、MH−1)との組み合わせにおいて用いることもできる。
【0160】
抗5T4抗体/薬物接合体は、治療計画の一部として細胞毒性剤の1つまたは複数の組み合わせとともに投与することができる。この目的のために有用な細胞毒性製剤は、CHOPP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾンおよびプロカルバジン);CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾン);COP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン);CAP−BOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、プロカルバジン、ブレオマイシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン);m−BACOD(メトトレキサート、ブレオマイシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、デキサメタゾン、およびロイコボリン);ProMACE−MOPP(プレドニゾン、メトトレキサート、ドキソルビシン、シクロホスファミド、エトポシド、ロイコボリン、メクロエタミン、ビンクリスチン、プレドニゾンおよびプロカルバジン);ProMACE−CytaBOM(プレドニゾン、メトトレキサート、ドキソルビシン、シクロホスファミド、エトポシド、ロイコボリン、シタラビン、ブレオマイシンおよびビンクリスチン);MACOP−B(メトトレキサート、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン、ブレオマイシンおよびロイコボリン);MOPP(メクロエタミン、ビンクリスチン、プレドニゾンおよびプロカルバジン);ABVD(アドリアマイシン/ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチンおよびダカルバジン);ABV(アドリアマイシン/ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン)と交互のMOPP(メクロエタミン、ビンクリスチン、プレドニゾンおよびプロカルバジン);ABVD(アドリアマイシン/ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチンおよびダカルバジン)と交互のMOPP(メクロエタミン、ビンクリスチン、プレドニゾンおよびプロカルバジン);ChlVPP(クロラムブシル、ビンブラスチン、プロカルバジン、プレドニゾン);IMVP−16(イホスファミド、メトトレキサート、エトポシド);MIME(メチル−gag、イホスファミド、メトトレキサート、エトポシド);DHAP(デキサメタゾン、高用量シタリビンおよびシスプラチン);ESHAP(エトポシド、メチルプレジゾロン、HDシタラビン、およびシスプラチン);CEPP(B)(シクロホスファミド、エトポシド、プロカルバジン、プレドニゾンおよびブレオマイシン);CAMP(ロムスチン、ミトキサントロン、シタラビンおよびプレドニゾン);およびCVP−1(シクロホスファミド、ビンクリスチンおよびプレドニゾン);DHAP(シスプラチン、高用量シタラビンおよびデキサメタゾン);CAP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、シスプラチン);PV(シスプラチン、ビンブラスチンまたはビンデシン);CE(カルボプラチン、エトポシド);EP(エトポシド、シスプラチン);MVP(マイトマイシン、ビンブラスチンまたはビンデシン、シスプラチン);PFL(シスプラチン、5−フルオロウラシル、ロイコボリン);IM(イホスファミド、マイトマイシン);IE(イホスファミド、エトポシド);IP(イホスファミド、シスプラチン);MIP(マイトマイシン、イホスファミド、シスプラチン);ICE(イホスファミド、カルボプラチン、エトポシド);PIE(シスプラチン、イホスファミド、エトポシド);ビオレルビンおよびシスプラチン;カルボプラチンおよびパクリタキセル;CAV(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン);CAE(シクロホスファミド、ドキソルビシン、エトポシド);CAVE(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、エトポシド);EP(エトポシド、シスプラチン);およびCMCcV(シクロホスファミド、メトトレキサート、ロムスチン、ビンクリスチン)を包含する。
【0161】
抗5T4/カリケアマイシン接合体は、全身性抗ガン剤、たとえば、エピチロン(BMS−247550、Epo−906)、タキサンの組成変更物(Abraxane、Xyotax)、マイクロチューブリン阻害剤(MST−997、TTI−237)との組み合わせ、あるいは標的化細胞毒素、たとえば、CMD−193およびSGN−15との組み合わせにおいて用いることができる。さらなる有用な抗ガン剤としては、TAXOTERER、TARCEVAR、GEMZARR(ジェムシタビン)、5−FU、AVASTINR、ERBITUXR、TROVAXR、アナツモマブマフェナトクス、レトラゾール、ドセタキセル、およびアントラサイクリンが挙げられる。
【0162】
併用療法に関して、ヒト化抗5T4抗体および追加の治療または診断薬は、意図される治療または診断の実行に好適な時間枠内で投与される。従って、単剤を実質的に同時(すなわち、単一の処方として、あるいは数分または数時間以内で)あるいは任意の順序で連続的に投与することができる。たとえば、単剤処理は互いに約1年以内、たとえば、約10、8、6、4、または2ヶ月以内、あるいは4、3、2または1週以内、あるいは約5、4、3、2または1日以内に投与することができる。抗5T4/カリケアマイシン接合体および第二の治療薬の投与は、好ましくは、それぞれ単独の投与よりも高い効果を惹起する。
【0163】
(実施例)
以下の実施例は本発明の様式を説明するために記載される。以下の実施例のある態様は、共同発明者らにより本発明の実施において功を奏することが見いだされるか、あるいは意図される技術に関して記載される。これらの実施例は、共同実験者の標準的試験実施を説明する。本開示および当業者の一般的レベルに照らして、以下の実施例は例示のみを意図し、本発明の範囲から逸脱することなく、多くの変更、修飾、および修正を用いることができることは当業者には理解されるであろう。
【実施例1】
【0164】
正常および悪性組織における5T4発現
5T4抗原をガン治療の標的として考慮するために、正常および悪性組織上の5T4の分布を決定した。5T4は様々な腫瘍組織の表面上で高レベルで観察され、疾患の進行と相関するある場合において、ほとんどの正常細胞に実質的に存在しなかった。この発現特性は、5T4が癌免疫療法の妥当な標的であることを示唆した。
【0165】
標準的技術、たとえばウェスタンブロットに従って、ネズミH8抗5T4抗体を用いて正常および癌性組織における5T4の発現を分析した。様々な抗体および接合体の5T4に対する親和力をプラズモン共鳴またはFACS分析により検証した。H8はハイブリドーマ生成モノクローナルマウスIgG1抗体であって、これはPCT国際特許公開番号WO 98/55607およびフォースバーグ(Forsberg)ら、(1997)J. Biol. Chem. 272(19):124430−12436において記載されている。インビトロよびインビボ分析において正の対照として使用するために、5T4を発現するベクターをCT26マウス結腸癌およびMDAMB435ヒト乳ガン細胞中に形質転換することにより、再現可能に高レベルの5T4を発現する腫瘍細胞を構築した。図1および表1参照。
【0166】
試験した腫瘍サンプルには、扁平上皮/腺腫性肺ガン(非小細胞肺ガン)、浸潤性乳ガン、結腸直腸癌、胃ガン、扁平上皮子宮頸ガン、浸潤性子宮内膜腺癌、浸潤性膵臓癌、卵巣癌、扁平上皮膀胱癌、および絨毛腫が含まれていた。5T4は、気管支、胸部、結腸、直腸、胃、頸部、子宮内膜、膵臓、卵巣、絨毛および精嚢の癌上で高レベルで検出された。5T4抗原(たとえば、同種または異種)の細胞表面分布は、腫瘍の種類に応じて様々であった。
【0167】
5T4抗原の細胞局在化を分析するために、5T4発現細胞を単層として培養し、次いでビオチニル化ネズミH8抗体に暴露した。細胞溶解後、アビジン結合により膜結合5T4抗原を分離し、非アビジン結合フラクションにおいて細胞内5T4を検出した。図2参照。
【0168】
細胞表面上に存在する5T4抗原の割合を定量化するために、CT26/5T4のビオチニル化および対照培養物の抽出物をアビジンでコーティングされたビーズと混合した。ウェスタンブロット分析を上清中のタンパク質に関して行い、5T4の量を濃度測定により評価した。図3A〜3B参照。サンプルの希釈およびH8反応性バンドの光学密度により決定される線形回帰直線の式に基づいて、式:100*(1−内部光学密度/全光学密度)を用いて、細胞膜上の5T4の量(5T4M)を計算した。5T4Mを3つの細胞種に関して計算した:CT26/5T4、24%;PC3−MM2、15%;N87、41%。
【0169】
DLD−1細胞(ヒト結腸癌細胞)、N87細胞(ヒト胃ガン細胞)、PC3−MM2細胞(ヒト前立腺癌細胞)、およびPC3細胞(ヒト前立腺癌細胞)上の5T4の膜局在化 を、ビオチニル化細胞培養物のアビジン除去後にウェスタンブロット分析により決定した。図4参照。MDAMB435/5T4細胞(ヒト乳ガン細胞)上の5T4の膜局在化をFACS分析により決定した。図5A〜5B参照。5T4のN87、PC14PE6、およびNCI−H157細胞上の膜局在化をFACS分析により決定した。図6参照。5T4抗原のPC3−MM2細胞上の膜局在化は組織サンプル中の組織化学検出によっても決定された。
【0170】
5T4抗原に結合した後にH8抗体が取り込まれるかどうかを評価するために、細胞表面で検出される抗体の量を数時間にわたって確認した。H8がCT26/5T4細胞の表面から消失することは、5T4/H8複合体が取り込まれたことを示す。図7参照。
【0171】
表1は、腫瘍細胞における5T4発現をまとめる。結腸直腸癌、胃ガン、および卵巣癌において、5T4の発現は、疾患の進行と直接的に関連する。乳ガンにおいて、転移性小節上で5T4染色の増大した強度が観察された。しかしながら、一次腫瘍における5T4発現と疾患の段階の間に相関関係は見いだされなかった。表2参照。
【0172】
【表1】
【0173】
【表2】
【実施例2】
【0174】
抗5T4−カリケアマイシン(CM)接合体の調製およびキャラクタライゼーション
抗体/薬物接合体の調製のためにネズミH8抗体を使用した。接合体を次いでインビトロで、ヒト5T4抗原と結合し、ガン細胞の細胞崩壊を誘発する能力について試験した。3つのリンカー:4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸 (AcBut)、3−アセチルフェニル酸性酸(AcPac)および4−メルカプト−4−メチル−ペンタン酸(アミド)を用いて、カリケアマイシンをH8に結紮した。H8−カリケアマイシン接合体中のカリケアマイシンの量を増大させるために、たとえば、PEG−SPA、PEG−SBA、およびPEG−ビス−マレイミドを用いて、カリケアマイシンと接合させる前に抗体をPEGに接合させた。表4において、H8−カリケアマイシン接合体のそれぞれの効率がED50として記載され、これは未処理対照に対して細胞培養物の50%減少を引き起こす接合体または遊離薬物として供与されるカリケアマイシンの量である。生体染色色素(MTS)を用いて細胞の数を測定した。
【0175】
AcBut(4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸)酸加水分解可能なリンカーによるカリケアマイシンのH8に対する直接結合は、困難であることが判明し、主に凝集した接合体および抗体あたり少量(約1モル/モル)のCMを有する接合体を生成した。結果として得られる複合体の低レベルの接合および凝集性はこれらの複合体を使用に不適当にした。
【0176】
安定なアミドリンカー(4−メルカプト−4−メチル−ペンタン酸)によるカリケアマイシンのH8に対する結合の結果、5T4陰性カウンターパートと比較した場合、5T4発現癌に対して200倍細胞毒性の高い接合体が得られた。図8および表4参照。この選択性にもかかわらず、接合体は遊離カリケアマイシンよりも細胞毒性が低く、培地1mlあたり500ngカリケアマイシンの濃度で細胞培養物を完全に破壊できなかった。
【0177】
ポリエチレングリコール(PEG)、H8、カリケアマイシン、およびAcButリンカーを使用して調製された接合体は、凝集物を形成せず、H8 1モルあたり約6モルカリケアマイシンの装填量を有していた。試験された数種のPEGは、H8の5T4に対する結合を50%〜90%減少させた。表3参照。
【0178】
【表3】
*5T4に対する結合のフラクションは抗体修飾後になくなった。
【0179】
結合の減少にもかかわらず、2つのH8PEG−AcBut−CalichDMH接合体、H8PEG2K−AcBut−CalichDMHおよびH8PEGmal2−AcBut−CalichDMHは、インビトロで5T4発現細胞の細胞崩壊の誘発に選択的に有効であることが証明された。選択的細胞毒性は、約30%の結合活性しか保持しないH8−カリケアマイシン接合体について観察された。H8PEG2K−AcBut−CalichDMHも、遊離カリケアマイシンよりも細胞毒性が高く、培地1mlあたり500ngカリケアマイシンの濃度で細胞培養物を完全に破壊した。図9A〜9Bおよび表4参照。
【0180】
【表4】
【実施例3】
【0181】
H8−カリケアマイシン接合体の抗腫瘍効果
皮下異種移植片を使用
インビボでH8−カリケアマイシン接合体の細胞毒性を評価するために、MDAMB435/5T4細胞(ヒト5T4抗原を過剰発現するヒト乳ガン細胞)、NCI−H157細胞(ヒト非小細胞肺ガン細胞)、PC14PE6細胞(ヒト非小細胞肺ガン細胞)、またはN87細胞(ヒト胃ガン細胞)の皮下注射によりヌードマウスにおいて腫瘍を調製した。腫瘍を有するマウスに合計3回、4日間隔で、すなわち、1、5、および9日に腹腔内注射することによりH8−カリケアマイシン接合体および対照化合物を投与した。H8−カリケアマイシン接合体は、すべての種類の腫瘍の成長を阻害した。図10、11A〜11B、12、13A〜13B、および14参照。
【実施例4】
【0182】
H8−カリケアマイシン接合体の抗腫瘍効果
ヒト肺ガンの同所移植モデルを使用
H8−カリケアマイシン接合体を有する抗体のターゲティング能力をさらに評価するために、基本的に、オン(Onn)ら、(2003)Clin. Cancer Res. 9(15):5532−5539nより記載されているようにして、非小細胞および小細胞癌の同所移植モデルを使用した。簡単に言うと、ヒト肺腺癌(PC14PE6)細胞をヌードマウスの尾静脈中に注射し、これは次いで移動して、肺において腫瘍を形成した。腫瘍は肺柔組織において充実性結節として現れ、懸濁された腫瘍細胞を含有する血性胸水の原因となった。図15A〜15G参照。対照化合物およびH8−カリケアマイシン接合体の注射を腹腔内注射により腫瘍を有するマウスに、腫瘍細胞の注射後6日に開始して、合計3回、4日間隔で、すなわち6、10、および14日に投与した。H8−カリケアマイシン接合体の投与の結果、腫瘍を有する動物の生存率が増加した。図16参照。未接合H8抗体または対照接合体CMAの投与は、胸水を減少させなかった。しかしながら、CMSは腫瘍を有するマウスの平均生存率を若干増大させた。図17参照。
【実施例5】
【0183】
ヒト化抗5T4抗体の調製およびキャラクタライゼーション
ネズミH8抗体およびヒト抗体配列から誘導される配列を使用して、キメラおよびヒト化抗5T4抗体を調製した。本発明の代表的な抗体の配列を図27A〜27Fに示す。
【0184】
ネズミH8重鎖および軽鎖可変領域配列およびヒト定常領域配列を有するキメラH8抗体を構築した(図27A〜27B)。キメラおよびヒト化H8抗体を調製するために使用された代表的なヒト定常領域は、ヒトIgG1、ヒトカッパ、およびヒトIgG4を有するものを包含する。突然変異は任意に、定常領域エフェクター機能、たとえば、細胞依存性細胞毒性(CDC)、補体溶解、および抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)を変更するために導入された。図26A〜26B参照。IgG定常領域をコード化する配列のクローニングに関して、イントロン配列は任意に欠失させることができる。実施例6参照。1つの抗体鎖がネズミH8可変領域(キメラ抗体におけるような)を含み、他の抗体鎖がヒト化H8可変領域を含む抗体、すなわち半ヒト化抗体を調製した(図27C)。
【0185】
ヒトまたは実質的ヒトフレームワーク領域上にグラフトされたネズミH8のCDRを含めるためにヒト化H8可変領域を構築した。配列多様性ならびに構造ループ領域の位置に基づいたAbM定義を用いてネズミH8抗体のCDRを同定した。ヒトアクセプターフレームワークをこれらがネズミH8抗体のフレームワーク領域と実質的に類似していること、または可変領域サブファミリーのコンセンサス配列と最も類似しているということに基づいて選択した。図18〜23参照。さらにヒトにおけるフレームワークの場所も考慮するて、広範囲に表された配列が数の少ない配列よりも好ましかった。たとえば、抗原接着に関与すると考えられるネズミ残基および/または抗原結合部位の構造的完全性に関与する残基を回復するために、ヒトフレームワークアクセプター配列のさらなる突然変異が行われた。アミノ酸配列をCHO細胞のコドン選択について最適化するために、また制限酵素部位を除去するために最適化した。ペプチド構造予想プログラムを使用して、ヒト化可変重および軽鎖配列を分析して、ヒト化デザインにより導入された翻訳後タンパク質修飾部位を同定し、回避した。この方法を使用して、3バージョンのヒト化H8可変領域を構築した。バージョン1は抗体一体性および抗原結合に重要であると考えられるフレームワーク配列内の位置にネズミH8残基を保持する。バージョン2はCDRにおいてのみネズミ残基を保持する。バージョン3は、コンセンサス可変領域配列を重鎖アクセプターフレームワークとして使用する以外はバージョン2と同様である。バージョン3の軽鎖可変領域はバージョン2抗体のものと同じである。図24A〜24C参照。
【0186】
SMARTR cDNA合成(Clontech)とそれに続いてPCR増幅を用いて、H8抗5T4抗体可変重および軽領域をクローンした。オリゴ(dT)およびSMARTR IIAオリゴとPOWERSCRIPTTM逆転写酵素(Clontech)を用いて、H8ハイブリドーマ細胞から単離された1μgの全RNAからcDNAを合成した。次いで、SMARTR IIAオリゴ配列にアニールするプライマーおよびヒト定常領域特異性プライマー(軽鎖についてはマウスカッパ、重鎖についてはマウスIgG1)とVENTRポリメラーゼを用いてPCRによりcDNAを増幅した。重鎖および軽鎖PCR生成物をpED6発現ベクター中にサブクローンし、核酸配列を決定した。この方法は、DNA配列の予備知識が必要でない点で有利である。加えて、結果として得られるDNA配列は縮重PCRプライマーの使用により変更されない。
【0187】
ネズミH8のヌクレオチド配列を公開されたヌクレオチド配列と比較した場合に、いくつかの相違点が認められる(PCT国際特許公開番号WO 98/55607およびフォースバーグ(Forsberg)ら、(1997)J. Biol. Chem. 272(19):124430−12436)。指摘された相違は、タンパク質配列を変更しない。重鎖可変領域のアミノ酸133のコドンにおいて存在するT(公開)対Cの相違は、それぞれコドンACTおよびACCと相関する。ACTおよびACCはどちらもアミノ酸トレオニン(T)をコードする。重鎖可変領域のアミノ酸138のコドンにおいて存在するT(公開)対Cの相違は、それぞれコドンTCTおよびTCCと相関する。TCTおよびTCCはどちらもアミノ酸セリン(S)をコードする。軽鎖可変領域のアミノ酸126のコドンにおいて存在するA(公開)対Cの相違は、それぞれコドンATAおよびATCと相関する。ATAおよびATCはどちらもアミノ酸イソロイシン(I)をコードする。
【0188】
ヒト化H8軽鎖可変領域の構築に関して、DPK24生殖細胞系配列VL−IV/B3座をアクセプターフレームワークとして使用した。DPK24配列はネズミH8軽鎖可変領域と68%同一であり、ネズミH8軽鎖フレームワーク配列と比較した場合に、18アミノ酸置換を含有する。ヒト化H8軽鎖可変領域バージョン1はネズミH8残基S43、S49、およびF87を保持していた。発現を増大させることが確認された突然変異は、F10S、T45K、I63S、Y67S、F73L、およびT77Sを含む。図18参照。
【0189】
生殖細胞系クローンサブグループVκIIIおよびVκIの軽鎖可変領域のフレームワーク領域を用いてヒト化抗体を構築した。図19〜20参照。特に、軽鎖VκIIIサブグループフレームワーク領域を含む抗体および開示されたヒト化H8抗体バージョン1は、どちらも高度に発現され、安定である。VκIII生殖細胞系フレームワークL16、L2、A27、L6、L10、およびL25に基づくH8軽鎖可変領域のヒト化に関して9の突然変異(T7S、D17E、V19A、S50Y、I63S、Y67S、F73L、T77S、およびF87Y)がヒト化H8抗体バージョン2中に導入され、結合親和性を損なわない。同様に、サブグループVκIからの生殖細胞系フレームワークに基づくH8軽鎖可変領域のヒト化に関して10の突然変異(T7S、F10S、V19A、T46K、S50Y、I63S、T67S、F73L、T77S、およびF87Y)は、結合親和力に影響を及ぼすことなくヒト化H8抗体中に導入される。加えて、H8軽鎖可変領域の1、9、10、12、15、22、43、45、および83位のアミノ酸の置換は抗原結合に影響を及ぼさない。
【0190】
ヒト化H8重鎖可変領域の構築に関して、DP75生殖細胞系配列VH−I/1−02座をアクセプター配列として使用した。DP75配列は、ネズミH8重鎖可変領域と65%同一であり、ネズミH8重鎖フレームワーク配列と比較した場合に28のアミノ酸置換を含有する。ヒト化H8重鎖可変領域バージョン1は、重鎖および軽鎖可変領域との抗原接着に重要であるネズミH8残基K38およびS40、ならびに可変領域およびCDR2との抗原接着に重要であるI48を保持していた。図21参照。別法として、重鎖可変領域サブグループコンセンサス配列を使用して、ヒト化H8重鎖バージョン3を調製した。コンセンサス配列は、ネズミH8重鎖フレームワーク配列と比較した場合に、25のアミノ酸置換を含有する。図22〜23参照。
【0191】
重複するオリゴヌクレオチドをアニールし、ヒト抗体定常領域を含有するpED6発現ベクター中にこれらを結紮することにより、ヒト化H8重鎖および軽鎖可変領域を構築した。PCR突然変異誘発または部位特異性突然変異誘発を用いてもヒト化重鎖および軽鎖可変領域を構築することができる。オリゴヌクレオチドのデザインは、CHO細胞発現のコドン使用の最適化および制限酵素部位の除去を含んでいた。Bgl II制限部位をH8可変重鎖領域から除去した。ヒト化H8軽鎖可変領域バージョン1を合成するために使用されるオリゴヌクレオチドは配列番号27〜32に記載される。ヒト化H8軽鎖可変領域バージョン2を合成するために使用されるオリゴヌクレオチドは配列番号33〜36に記載される。ヒト化H8重鎖可変領域バージョン1を合成するために使用されるオリゴヌクレオチドは配列番号37〜44に記載される。ヒト化H8重鎖可変領域バージョン2を合成するために使用されるオリゴヌクレオチドは配列番号37、39〜42、および44〜46に記載される。ヒト化H8重鎖可変領域バージョン3を合成するために使用されるオリゴヌクレオチドは配列番号37、40、41、および44〜48に記載される。
【0192】
ヒト化H8可変領域配列の新規性を評価するために、BLASTp検索(タンパク質クエリー配列について)は、期待値=10、ワード長=3、低複雑度フィルター、およびBLOSUM62マトリックスのデフォルトパラメータを用いて行われ、存在=11、および伸長=1のギャップコストが許容された。期待値=10、ワード長=11、および低複雑度フィルターを使用してBLASTn検索(ヌクレオチドクエリー配列について)が行われた。BLAST検索の結果をクエリー配列に関連する配列のリストとして報告し、E値の順にランク付けし、この値はデータベースにおいて特定された適合の統計的有意性の指標である。BLAST分析に用いられるヒト化可変領域配列に最も密接に関連する配列は、表5(BLASTp)および表6(BLASTn)に特定されている。BLASTの結果および最も密接に関連する対象配列と各クエリー配列の整列を図25A〜25Oに示す。
【0193】
【表5】
【0194】
【表6】
【0195】
キメラおよびヒト化抗体を発現できることを確認するために、本発明の代表的な抗5T4抗体をコード化するプラスミドでCOS−1細胞を一時的にトランスフェクトした。48時間後、細胞培地を分析して、ELISAを用いてヒトIgG抗体のレベルを決定した。表7に示すように、抗5T4抗体のすべてが発現された。
【0196】
【表7】
mVH:ネズミH8重鎖可変領域
mVL:ネズミH8軽鎖可変領域
hVH1:ヒト化H8重鎖可変領域バージョン1
hVL1:ヒト化H8軽鎖可変領域バージョン1
hVH2:ヒト化H8重鎖可変領域バージョン2
hVL2:ヒト化H8軽鎖可変領域バージョン2
【0197】
キメラおよびヒト化H8抗体の結合特異性および親和性を評価するために、CM5チップ上に固定化されたヒト化5T4抗原を用いてBIACORER分析を行った。BIACORER技術は、前記層上に固定化された5T4抗原との抗体の結合による表面層での屈折率における変化を利用する。結合は、表面から屈折するレーザー光の表面プラズモン共鳴(SPR)により検出される。シグナル動力学オンレートおよびオフレートの分析により、非特異性および特異性相互作用間の区別が可能になる。使用される抗体の濃度は、12.5 nM〜200 nMの範囲であった。表8参照。キメラ、半ヒト化、およびヒト化H8抗体は、BIACORER分析におけるネズミH8抗体と同様に挙動した。
【0198】
【表8】
mVH:ネズミH8重鎖可変領域
mVL:ネズミH8軽鎖可変領域
hVH1:ヒト化H8重鎖可変領域バージョン1
hVL1:ヒト化H8軽鎖可変領域バージョン1
hVH2:ヒト化H8重鎖可変領域バージョン2
hVL2:ヒト化H8軽鎖可変領域バージョン2
hVH3:ヒト化H8重鎖可変領域バージョン3
【0199】
結合の選択性を評価するために、FACS分析を行って、表示された濃度で、ネズミH8、H8のキメラバージョン、およびH8のヒト化バージョンを用いて、MDAMB435/neo細胞上またはMDAMB435/5T4細胞上で5T4抗原を検出した。すべての抗体は、5T4発現細胞に対して選択的結合を示す。図28A〜28B参照。
【0200】
以下のように競合性結合分析を使用して、キメラH8抗体およびヒト化H8バージョン1〜3の結合性を決定した。ELISAプレートをヒト5T4抗原でコーティングした。各ウェルに、100μlの1μg/mlPBS−CMF(pH7.2)中5T4抗原を添加した。プレートを一夜4℃でインキュベートした。抗原でコーティングした後、プレートを0.02%PBS−CMF中カゼインのブロッキング溶液(pH7.2)中で2〜4時間、室温で洗浄した。250ng/mlキメラH8抗体の分析緩衝液(PBS中0.5% BSA + 0.02% TWEENR−20)中連続希釈を調製し、コーティングされ、ブロックされたELISAプレートに移し、室温で1〜2時間インキュベートした。プレートを200μlの0.03%PBS中TWEENR−20で4回洗浄した。ウェルごとに100μlのBIOFXR TMB(Biofx Laboratories、Inc. of Randallstown、Maryland)を添加した後、シグナルを10〜15分間室温で生成させた。100μl/ウェルの0.18N H2SO4を添加することにより、反応を停止させた。穏やかに撹拌しながら、すべてのインキュベーションおよび洗浄工程を行った。ELISAプレートを450nmで読み取った。OD450(平均された重複データポイント)をビオチニル化抗体濃度の関数としてプロットすることにより、抗原に対するビオチニル化抗体結合のED50を測定した。前記のようなコーティングされ、ブロックされたELISAプレートを調製し、かかるプレートに試験抗体の連続希釈を計算されたED50濃度のビオチニル化キメラH8抗体とともに移すことにより、競合性ELISAを行った。分析緩衝液中1:10,000に希釈されたストレプトアビジン−HRPを用いてビオチン標識を増幅し、続いて前記のようなシグナル発生、定量化を行った。図29参照。
【0201】
5T4抗体との結合後にヒト化抗5T4抗体が取り込まれるかどうかを評価するために、実施例1に記載されるようなFACS分析を用いて、MDAMB435/5T4細胞の細胞表面で検出される抗体の量を測定した。キメラH8抗体およびH8抗体/カリケアマイシン接合体に関して観察されるように、ヒト化H8抗体は5T4発現細胞により取り込まれた。図30参照。
【実施例6】
【0202】
ヒト化H8抗体の一時的および安定な発現
ヒト化H8抗体の大規模産生のために、ヒト化H8バージョン1〜3を発現する安定なCHO細胞系を調製した。初期段階として、COS−1細胞においてコード化ベクターを一時的発現した後に抗体産生のレベルを評価した。ヒト化H8重鎖および軽鎖をコード化するDNAをそれぞれビシストロン発現ベクターpSMED2(メトトレキサート耐性)およびpSMEN2(ネオマイシン耐性)中にサブクローンした。3つのヒト化H8抗体を類似したレベルで発現させ、このレベルはキメラH8抗体について観察されるよりも高かった。図31参照。
【0203】
CHO細胞における発現に関して、3つのイントロンを除去することにより、ヒトIgG4突然変異定常領域をさらに最適化し、この結果、ヒト化H8抗体のさらに高い発現および安定性が得られた。pSMED2_huH8重鎖およびpSMEN2_huH8軽鎖を前適応させたCHO Dukx細胞系153.8中に同時遺伝子導入することにより、ヒト化H8抗体を発現するCHO細胞系を調製した。50nMメトトレキサート中で選択された、リードクローンの発現レベルは17 mg/リットル/24時の平均力価および10μg/106細胞/24時の平均細胞増殖率を有していた。50nMメトトレキサートおよびG418(1 mg/ml)中で選択されたリードプールは、8 mg/リットル/24時の平均力価を有し、その平均細胞増殖率は6μg/106細胞/24時であった。
【実施例7】
【0204】
ヒト化H8カリケアマイシン接合体の調製およびキャラクタライゼーション
本質的に実施例2に記載されているようにして、ヒト化H8抗体をカリケアマイシンに接合させた。添加剤デオキシコレートおよびデカン酸ナトリウムはそれぞれ低レベルの未接合タンパク質および凝集物とともに接合体を産生した。表9参照。
【0205】
【表9】
【0206】
本質的に実施例2に記載されているようにして、プラズモン共鳴により、ネズミH8、ヒト化H8、およびヒト化H8カリケアマイシン接合体の結合動力学を比較した。接合体サンプルは、タンパク質1mgあたり61μgのCalichDMH、1%の遊離抗体、および1.4 %の凝集物を含有していた。ヒト化H8バージョン2−カリケアマイシン接合体の結合特性は、ネズミH8−カリケアマイシン接合体に匹敵し(表10)、このことは、抗体のヒト化も、カリケアマイシンへの接合も、5T4に対する結合に影響を及ぼさないことを示す。これらの結果は、フローサイトメトリーを使用して、5T4発現腫瘍細胞上の抗体および接合体の結合を決定することにより、独立して確認された。
【0207】
【表10】
【実施例8】
【0208】
インビトロでのヒト化H8カリケアマイシン接合体の抗腫瘍効果
インビトロでのヒト化H8−カリケアマイシン接合体の細胞毒性を評価するために、MDAMB435/5T4細胞(ヒト5T4抗原を過剰発現するヒト乳ガン細胞)およびMDAMB435/neo細胞(対照細胞)を抗体−カリケアマイシン接合体または遊離カリケアマイシンの存在下、本質的にBoghaertら、(2004)、Clin. Cancer Res.、10:4538−4549に記載されているようにして培養した。表11において、各薬剤の細胞毒性はED50(ng/ml)として記載され、この値は、未接合対照に対して細胞培養物の50%減少を引き起こす接合体または遊離薬剤として投与されたカリケアマイシンの量である。培養物中の細胞の数は、薬物を96時間暴露後に生体染色色素(MTS)を用いて決定された。MDAMB435/5T4細胞に添加された場合に、MDAMB435/neo細胞に添加された場合よりも、ED50または接合体は一貫して低かった(3倍から6倍)。
【0209】
球状成長に好適な方法で、MDAMB435/5T4およびMDAMB435/neo細胞を用いて、ヒト化H8−カリケアマイシン接合体の細胞毒性を評価した。このモデルは、発現する腫瘍の条件に似て、細胞毒性薬に対して特有の高い耐性を有する。このモデルのもう一つ別の利点は、これがさらに長い培養期間を可能にすることである。抗体−カリケアマイシン接合体または遊離カリケアマイシンの存在下で144時間培養後、各回転楕円体の寸法を測定した。表12に示すように、huH8−AcBut−CalichDMHのED50は、MDAMB435/5T4細胞に添加された場合、MDAMB435/neo細胞に添加された場合よりも6倍低かった。
【0210】
いずれかの分析法を使用すると、ヒト化H8−カリケアマイシン接合体は、遊離カリケアマイシンまたはCMA−676、抗CD33−カリケアマイシン接合体と比較した場合に、細胞毒性の誘発および球状成長の阻害に実質的にさらに有効であった。PC14PE6細胞の選択的細胞毒性は、コロニー形成分析および球体分析において明らかにすることができるが、生体染色色素分析においては明らかにできない。結果は、接合体の細胞毒性は細胞により発現された5T4の量と直接関係することを示す。加えて、接合体は遊離薬物(CalichDMH)または対照接合体(CMA−676)よりも有効である。
【0211】
【表11】
CalichDMH:遊離カリケアマイシン
huH8−AcBut−CalichDMH:4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)を使用してカリケアマイシンに接合させたヒト化H8抗体
CMA−676:カリケアマイシンに対する抗CD33抗体接合体
実験A & B:別の日に行われた実験
【0212】
【表12】
CalichDMH:遊離カリケアマイシン
huH8−AcBut−CalichDMH:4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)を用いてカリケアマイシンに接合させたヒト化H8抗体
CMA−676:カリケアマイシンに対する抗CD33抗体接合体
【実施例9】
【0213】
ヒト化H8−カリケアマイシン接合体の抗腫瘍効果
皮下異種移植片を使用
インビボでヒト化 H8−カリケアマイシン接合体の細胞毒性を評価するために、N87細胞(ヒト胃ガン細胞)、MDAMB435/5T4細胞(ヒト5T4抗原を過剰発現するヒト乳ガン細胞)、またはPC14PE6細胞(ヒト非小細胞肺ガン細胞)の皮下注射によりヌードマウスにおいて腫瘍を調製した。ヒト化H8−カリケアマイシン接合体および対照薬剤を腹腔内注射により腫瘍を有するマウスに合計3回、4日間隔で、すなわち、約0.08 cm3(図33A〜33C、34A〜34C、35A〜35C、および35E)のサイズに達した腫瘍の選択後1、5、および9日、あるいは1.08 cm3(図35D)のサイズに達した腫瘍の選択後19、23、および27日に投与した。一つの実験において、腫瘍が再発した動物を処置した(図35E)。合計11匹の動物をヒト化 H8−カリケアマイシン接合体で処置し、13匹の動物を表示された対照物質で処置した。
【0214】
治療に対する反応率を初回投与後99日に測定した。完全反応率(CR)は、グループの平均初期腫瘍体積以下の腫瘍サイズの生存マウスの割合である。部分反応率(PR)は、グループの平均初期腫瘍体積の2倍以下の腫瘍サイズの生存マウスの割合である。合計反応(TR)はCRおよびPRの合計である。無反応(NR)は(100−TR)として計算される。図33C、34C、および35C参照。ヒト化H8−カリケアマイシン接合体はあらゆる種類の腫瘍の成長を阻害した。図33A〜33B、34A〜34B、35A〜35D、および36A〜36B参照。PC14PE6細胞を阻害するために必要なhuH8−AcBut−CalichDMH、すなわち、最小有効用量は、最大非致死量よりも少なくとも16倍低い。
【図面の簡単な説明】
【0215】
【図1】発ガン性細胞系における5T4発現を評価するためのウェスタンブロット分析の結果を示す。ウェスタンブロットは、培養された細胞の溶解物ならびにヌードマウスにおける同種移植腫瘍から生成した。CT26/neo:ネオマイシン耐性遺伝子を発現するCT26マウス結腸癌細胞;CT26/5T4:5T4抗原を発現するCT26細胞。
【図2】細胞系をビオチンにさらした後のCT26/5T4およびCT26/neoサンプルのウェスタンブロット分析の結果を示す。サンプルAは、ビオチニル化され、アビジンと結合できる5T4のフラクションである。サンプルSは、細胞抽出物をアビジンで沈殿させた後の上清中に存在する5T4の残存量である。これは、ビオチニル化されず、したがって細胞プラズマ中に位置するフラクションを表す。5T4は、膜(A)および細胞内(S)フラクションの両方において検出される。
【図3A−3B】細胞内5T4抗原対膜結合5T4抗原を定量化するための実験の結果を示す。図3Aは表示されたように希釈されたCT26/5T4細胞を用いて調製されたウェスタンブロットを示す。ビオチニル化サンプルは、アビジンを用いたビオチニル化サンプルの除去後のサンプル中に存在する5T4の残存量、すなわち、非膜結合5T4の量を表す。全サンプルは、残存量およびアビジンにより除去された量の合計、すなわち、非膜結合および膜結合5T4抗原の量を表す。図3Bは、サンプルの希釈およびH8反応性バンドの光学密度により決められる線形回帰曲線を示す。膜結合5T4抗原の量は、全サンプルの光学密度とアビジン除去後のビオチニル化サンプルの光学密度の間の差として表される。実施例1において記載するように、細胞膜上の5T4(5T4M)の量は、CT26/5T4細胞中の全細胞5T4の24%と計算された。
【図4】CT26/5T4細胞、DLD−1細胞(ヒト結腸癌細胞)、N87細胞(ヒト胃ガン細胞)、PC3−MM2細胞(ヒト前立腺癌細胞)、およびPC3細胞(ヒト前立腺癌細胞)の細胞表面上の5T4抗原を示すウェスタンブロット結果を示す。
【図5A−5B】5T4抗原の膜局在化を検出するためのFACS分析の結果を示す。MDAMB435/neo細胞において、H8シグナルは、対照IgGと一致する(図5A)。対照的に、MDAMB435/5T4細胞において、H8抗体から得られるシグナルは、対照抗体よりも100倍以上大きく、このことは、細胞膜上に5T4が存在することを示す(図5B)。黒色:5T4抗原の検出、灰色:対照IgGによる検出。
【図6】N87(ヒト胃ガン細胞)、PC14PE6(ヒト肺ガン細胞)、およびNCI−H157細胞(ヒトは肺ガン細胞)の膜上の5T4抗原を検出するためのFACS分析の結果を示す。それぞれの場合において、H8抗体から得られるシグナルは対照抗体よりも約10倍大きく、このことは、細胞膜上の5T4の存在を示す。灰色:5T4抗原の検出、黒色:対照IgGによる検出。
【図7】CT26/5T4細胞の細胞表面上および細胞培養培地中で検出される、蛍光標識されたH8抗体の測定を表す折れ線グラフである。膜結合抗体の平均蛍光は、時間の関数として減少した。抗体は培地中に放出されなかった。これらの結果は、H8抗体/5T4複合体がCT26/5T4細胞により取り込まれないことを示す。
【図8】リンカーとして4−メルカプト−4−メチル−ペンタン酸を使用してカリケアマイシンに接合したH8抗体を含む抗5T4接合体にさらされたMDAMB435/5T4細胞の選択的細胞崩壊を示す折れ線グラフである。
【図9A−9B】リンカーとして4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)を使用してカリケアマイシンに接合されたPEG化されたH8抗体を含む抗5T4接合体(H8PEG2K−AcBut−CalichDMH)にさらされた5T4発現細胞の選択的細胞崩壊を示す折れ線グラフである。実施例2参照。図9Aは、5T4抗原が欠損したMDAMB435/neo細胞は、遊離カリケアマイシンによるのとほぼ等しくH8PEG2K−AcBut−CalichDMHによる細胞崩壊を受けやすい。図9Bは、遊離カリケアマイシンと比較した、H8PEG2K−AcBut−CalichDMHにさらされた5T4発現細胞の向上された細胞崩壊を示す。
【図10】表示されたリンカーを用いて調製されたH8−カリケアマイシン接合体にさらされたMDAMB435/5T4腫瘍の成長阻害を示す折れ線グラフである。PBS:リン酸塩緩衝塩溶液;H8−AcBut−CalichDMH:4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)を用いてカリケアマイシンに接合されたH8抗体;H8−AcPac−CalichDMH:3−アセチルフェニル酸性酸を用いてカリケアマイシンに接合されたH8抗体;H8−Amide−CalichDMH:4−メルカプト−4−メチル−ペンタン酸を用いてカリケアマイシンに接合されたH8抗体;H8PEG(mal2)−AcBut−CalichDMH:4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸 (AcBut)を用いてカリケアマイシンに接合されたPEG化H8抗体。
【図11A−11B】対照物質(図11A)またはH8−カリケアマイシン接合体(図11B)の存在下でのMDAMB435/5T4腫瘍の成長阻害を示す折れ線グラフである。CMA、カリケアマイシンに接合した抗CD33抗体(負の対照、すなわち、標的とされる抗原が欠損した細胞による接合体の腫瘍取り込みによる細胞毒性を評価するために使用);PBS:リン酸塩緩衝塩溶液;H8+CalichDMH:H8抗体およびカリケアマイシンの混合物(未接合);CalichDMH:遊離カリケアマイシン;H8−AcPac−CalichDMH:3−アセチルフェニル酸性酸を用いてカリケアマイシンに接合したH8抗体;H8−アミド−CalichDMA:4−メルカプト−4−メチル−ペンタン酸を用いてカリケアマイシンに接合したH8抗体。
【図12】表示されたH8−カリケアマイシン接合体または対照物質にさらされたNCI−H157腫瘍の成長阻害を示す折れ線グラフである。H8−AcPac−CalichDMH:3−アセチルフェニル酸性酸を用いてカリケアマイシンに接合されたH8抗体;H8−アミド−CalichDMA:4−メルカプト−4−メチル−ペンタン酸を用いてカリケアマイシンに接合されたH8抗体;CMA:カリケアマイシンに接合された抗CD33抗体(負の対照);PBS:リン酸塩緩衝塩溶液;H8:未接合H8抗体。
【図13A−13B】対照物質(図13A)またはH8−カリケアマイシン接合体(図13B)の存在下でのN87腫瘍の成長阻害を示す折れ線グラフである。CMA:カリケアマイシンに接合した抗CD33抗体(正の対照);PBS:リン酸塩緩衝塩溶液;H8+CalichDMH:H8抗体およびカリケアマイシンの混合物(未接合);CalichDMH:遊離カリケアマイシン;H8−AcPac−CalichDMH:3−アセチルフェニル酸性酸を用いてカリケアマイシンに接合されたH8抗体;H8−アミド−CalichDMA:4−メルカプト−4−メチル−ペンタン酸を用いてカリケアマイシンに接合されたH8抗体。
【図14】H8/カリケアマイシン接合体または対照物質にさらされたPC14PE6腫瘍の成長阻害を示す折れ線グラフである。H8−AcPac−CalichDMH:3−アセチルフェニル酸性酸を用いてカリケアマイシンに接合させたH8抗体;H8−アミド−CalichDMA:4−メルカプト−4−メチル−ペンタン酸を用いてカリケアマイシンに接合させたH8抗体;CMA:カリケアマイシンに接合させた抗CD33抗体(負の対照);PBS:リン酸塩緩衝塩溶液;H8:未接合H8抗体。
【図15A−15G】肺ガンの同所モデルの正常な肺および腫瘍に冒された肺の画像である。図15Aは、摘出された正常マウス肺の写真であり;心臓は暗く見える。図15Bは、PC14PE6腫瘍細胞を静脈注射した後に腫瘍塊に冒された、摘出されたマウス肺の写真である(実施例4参照);H:心臓。図15Cは、肺の衰弱後の胸部を示す巨視的画像(4倍)である。肺結節(LN)は、正常肺組織(L)と区別可能である。胸腔は出血液(胸水、PE)で満たされていた。図15D〜15Gは、パラフィンが埋め込まれた肺および心臓組織のヘマトキシリンおよびエオシンで染色された部分の顕微鏡写真であり、腫瘍の浸潤および正常組織の破壊の程度を示す。図15D〜15Eは、胸腔(15D)および心膜(15E)における腫瘍細胞の浸潤を示す。図15F〜15Gは、肺胞周囲腔における腫瘍素式の増殖による機能性肺組織の減少を示す。
【図16】表示された治療を受けた、同所性肺腫瘍を有するマウスの生存率(%)を示す折れ線グラフである。すべての治療薬は、PC14PE6細胞の注射後6日に腹腔内投与された。実施例4参照。H8(太い黒色実線):未接合ネズミH8抗体;PBS(白色実線):リン酸塩緩衝塩溶液;CMA 2(細い黒色実線):2μgカリケアマイシンの用量で投与された、カリケアマイシンと接合した抗CD33抗体;CMA 4(細かい破線):4μgカリケアマイシンの用量で投与された、カリケアマイシンに接合された抗CD33抗体;H8−AcPac−CalichDMH 2(大きな破線):2μgカリケアマイシンの用量で投与された、H8−カリケアマイシン接合体;H8−AcPac−CalichDMH 4(大きな破線)、4μgのカリケアマイシンの用量で投与されたH8−カリケアマイシン接合体。2μgの用量または4μgの用量で投与されたH8−カリケアマイシン接合体についての結果は120日間にわたって識別可能であった。それぞれの処置群には10匹の動物が含まれていた。各治療計画は、それぞれの投与の間隔が4日で3回腹腔内投与することからなっていた。
【図17】表示された防止処理後の肺腫瘍で死亡したマウスの胸膜堆積を示す棒グラフである。PBS:リン酸塩緩衝塩溶液;H8:未接合H8抗体;CMA 2:2μgの用量で投与されたカリケアマイシンに接合した抗CD33抗体;CMA 4:4μg/用量で投与されたカリケアマイシンに接合した抗CD33抗体接合体;n:動物の数。胸水体積は、未接合H8抗体または対照接合CMSの投与後に減少しなかった。
【図18】ネズミH8軽鎖可変領域(配列番号16のアミノ酸21〜127)およびDPK24生殖細胞系クローン(配列番号63)の配列である。囲まれた配列:CDRs;星印:ネズミH8のアミノ酸がヒト化H8軽鎖可変領域バージョン1中に保持されている位置、およびヒト化DPK24のアミノ酸がヒト化軽鎖可変領域バージョン2中に保持されている位置;下線を施した残基:抗体発現を増大させる突然変異。
【図19】サブグループVκIIIのヒト軽鎖可変領域配列(配列番号65〜70)およびネズミH8軽鎖可変領域(配列番号16のアミノ酸21〜127)の配列である。H8フレームワーク配列と比較した場合にヒトフレームワーク配列において異なる残基に下線を施した。H8のヒト化に関して、H8における対応する位置での1つまたは複数の残基をヒトフレームワーク配列の残基で置換する。囲まれた配列:CDR。
【図20】サブグループVκIのヒト軽鎖可変領域配列(配列番号71〜80)およびネズミH8軽鎖可変領域(配列番号16のアミノ酸21〜127)の配列である。H8のヒト化に関しては、H8における対応する位置での1つまたは複数の残基がヒトフレームワーク配列の残基で置換されている。囲まれた配列:CDR。
【図21】ネズミH8重鎖可変領域(配列番号14のアミノ酸20〜139)およびDP75生殖細胞系クローン(配列番号64)の配列である。囲まれた配列:CDR;星印:ネズミH8のアミノ酸がヒト化H8重鎖可変領域バージョン1(すなわち、K38、S40、およびI48)において保持される位置、およびヒトDP75のアミノ酸がヒト化重鎖可変領域バージョン2において保持される位置。
【図22】サブグループIのヒト重鎖可変領域配列(配列番号52〜60)およびこれより誘導されるコンセンサスフレームワーク配列(配列番号49〜51)の配列である。
【図23】ネズミH8重鎖可変領域(配列番号14のアミノ酸20〜139)および重鎖可変領域サブグループIのコンセンサス配列由来のヒト化重鎖可変領域、すなわち、ヒト化重鎖可変領域バージョン3(配列番号19)の配列である。囲まれた配列:CDR。
【図24A−24C】ヒト化抗5T4抗体の代表的軽鎖可変領域配列(図24A)および重鎖可変領域配列(図24B〜24C)の配列を示す。
【図25A−25O】ヒト化可変領域をクエリー配列として使用して行われたBLAST分析の結果を示す。表6および7も参照。
【図26A−26B】ヒト化抗5T4抗体を調製するために使用される代表的なヒト定常領域の配列を示す。
【図27A−27G】代表的な抗5T4抗体の軽鎖および重鎖アミノ酸配列を示す。図27Aは、(a)ネズミH8軽鎖可変領域およびヒトカッパ定常領域を含む軽鎖(配列番号1)、ならびに(b)ネズミH8重鎖可変領域およびヒトIgG1定常領域を含む重鎖(配列番号2)を有するキメラ抗5T4抗体を示す。図27Bは、(a)ネズミH8軽鎖可変領域およびヒトカッパ定常領域を含む軽鎖(配列番号3)、ならびに(b)ネズミH8重鎖可変領域および突然変異ヒトIgG4定常領域を含む重鎖(配列番号4)を有するキメラ抗5T4抗体を示す。図27Cは、(a)ヒト化H8軽鎖可変領域バージョン1およびヒトカッパ定常領域を含む軽鎖(配列番号5)、ならびに(b)ネズミH8重鎖可変領域および突然変異ヒトIgG4定常領域を含む重鎖(配列番号6)を有する半ヒト抗5T抗体を示す。図27Dは、(a)ヒト化H8軽鎖可変領域バージョン1およびヒトカッパ定常領域を含む軽鎖(配列番号7)、ならびに(b)ヒト化H8重鎖可変領域バージョン1および突然変異ヒトIgG4定常領域を含む重鎖(配列番号8)を有するヒト化抗5T4抗体を示す。図27Eは、(a)ヒト化H8軽鎖可変領域バージョン1およびヒトカッパ定常領域を含む軽鎖(配列番号9)、ならびに(b)ヒト化H8重鎖可変領域バージョン2およびヒトIgG1定常領域を含む重鎖(配列番号10)を有するヒト化抗5T4抗体を示す。図27Fは、(a)ヒト化H8軽鎖可変領域バージョン2およびヒトカッパ定常領域を含む軽鎖(配列番号11)、ならびに(b)ヒト化H8重鎖可変領域バージョン2および突然変異ヒトIgG4定常領域を含む重鎖(配列番号12)を有するヒト化抗5T4抗体を示す。図27Gは、 (a)ヒト化H8軽鎖可変領域バージョン2およびヒトカッパ定常領域を含む軽鎖(配列番号11)、ならびに(b)ヒト化H8重鎖可変領域 バージョン3および突然変異ヒトIgG4定常領域を含む重鎖(配列番号84)を有するヒト化抗5T4抗体を示す。一重下線:可変領域;囲まれた配列:CDR;星印:プロリン突然変異。
【図28A−28B】ネズミH8、H8のキメラ体、およびH8のヒト化体を表示された濃度で使用した、MDAMB435/neo細胞(図28A)またはMDAMB435/5T4細胞(図28B)上の5T4抗原を検出するためのFACS分析の結果を示す。すべての抗体は、MDAMB435/5T4細胞に対して選択的結合を示す。
【図29】キメラH8抗体およびヒト化H8バージョン1〜3の結合特性を示す折れ線グラフであり、競合結合検定を用いて測定された。キメラH8抗体およびヒト化H8バージョン1〜3のIC50は、それぞれ、1.0 X 10−9M、1.0 X 10−9M、1.4 X 10−9M、および1.5 X 10−9Mであった。実施例5参照。
【図30】25時間にわたる、MDAMB435/5T4細胞の細胞表面上のキメラH8抗体およびヒト化H8抗体の検出を示す折れ線グラフである。観察期間にわたって検出のレベルが減少することは、両抗体の取り込みを示す。実験期間中、ならし培地において検出可能な抗体は存在しなかった。
【図31】COS−1細胞におけるキメラH8抗体およびヒト化H8バージョン1〜3の一時的発現のレベルを示す棒グラフである。3種のヒト化H8抗体が類似したレベルで発現され(バージョン1、4.4 mg/L/48時;バージョン2、2.7 mg/L/48時;バージョン3、3.9 mg/L/48時)、これはキメラH8抗体について観察された値(0.6 mg/L/48時)よりも大きかった。実施例6参照。
【図32A−32B】、表示された濃度でH8−AcBut−CalichDMH(4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)を用いてカリケアマイシンに接合したヒト化H8抗体)にさらされた144時間後のインビトロでのMDAMB435/neoおよびMDAMB435/5T4細胞の球状成長の阻害を示す折れ線グラフである。
【図33A−33C】対照物質(図33A)またはヒト化H8−カリケアマイシン接合体(図33B)の存在下でのN87腫瘍の成長阻害および応答計算(図33C)を示す折れ線グラフである。PBS:リン酸塩緩衝塩溶液;huH8+CalichDMH:H8抗体およびカリケアマイシンの混合物(未接合);CMA:カリケアマイシンに接合した抗CD33抗体;CMC:カリケアマイシンに接合した抗CD22抗体;huH8−AcBut−CalichDMH:4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)を用いてカリケアマイシンに接合させたヒト化H8抗体;(4):4μgカリケアマイシンの用量で投与された抗体−カリケアマイシン接合体;(2):2μgカリケアマイシンの用量で投与された抗体−カリケアマイシン接合体;(1):1μgカリケアマイシンの用量で投与された抗体−カリケアマイシン接合体;矢印:1、5、および9日での投与計画;CR:完全応答;PR:部分的応答;TR:応答なし;NR:応答なし。実施例9参照。
【図34A−34C】対照物質(図34A)またはヒト化H8−カリケアマイシン接合体(図34B)の存在下でのMDAMB435/5T4腫瘍の成長阻害および応答計算(図34C)を示す折れ線グラフである。PBS:リン酸塩緩衝塩溶液;huH8+CalichDMH:H8抗体およびカリケアマイシンの混合物(未接合);CMA:カリケアマイシンに接合させた抗CD33抗体;CMC:カリケアマイシンに接合させた抗CD22抗体;huH8−AcBut−CalichDMH:4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)を用いてカリケアマイシンに接合させたヒト化H8抗体;(4):4μgカリケアマイシンの用量で投与された抗体−カリケアマイシン接合体;(2):2μgカリケアマイシンの用量で投与された抗体−カリケアマイシン接合体;(1):1μgカリケアマイシンの用量で投与された抗体−カリケアマイシン接合体;矢印:1、5、および9日の投与計画;CR:完全応答;PR:部分応答;TR:応答なし;NR:応答なし。実施例9参照。
【図35A−35E】対照物質(図35A)またはヒト化H8−カリケアマイシン接合体(図35B、35D、35E)の存在下でのPC14PE6腫瘍の成長阻害および計算応答(図35C)を示す折れ線グラフである。図35A〜35Cは、新規成長腫瘍に関するデータを提示し、図35Dは、再発した腫瘍の治療に関するデータを提示する。PBS:リン酸塩緩衝塩溶液;huH8+CalichDMH:H8抗体およびカリケアマイシンの混合物(未接合);CMA:カリケアマイシンに接合させた抗CD33抗体;huH8−AcBut−CalichDMH:4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)を用いてカリケアマイシンに接合させたヒト化H8抗体;(4)4μgカリケアマイシンの用量で投与された抗体−カリケアマイシン接合体;(2):2μgカリケアマイシンの用量で投与された抗体−カリケアマイシン接合体;(1):1μgカリケアマイシンの用量で投与された抗体−カリケアマイシン接合体;(4*):接合体での治療前に腫瘍を約1.08 cm3まで成長させた後に4μgカリケアマイシンの用量で投与された抗体−カリケアマイシン接合体;矢印:1、5、および9日の投与計画(図35A、35B、および35D)、または19、23、および27日の投与計画(図35C);CR:完全応答;PR:部分応答;TR:応答なし;NR:応答なし。実施例9参照。
【図36A−36B】ビヒクル(リン酸塩緩衝塩溶液)(図367A)またはhuH8−AcBut−CalichDMH(4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)を用いてカリケアマイシンに接合させたヒト化H8抗体)(図36B)で処理した21日後のPC14PE6腫瘍を有するマウスの写真を示す。PC14PE6腫瘍は、ビヒクルまたはヒト化H8−カリケアマイシンが投与された時に約80 mm3であった。薬物は、4μgカリケアマイシン/用量を合計3回腹腔内注射により投与され、各投与は3日あけた。図36A中、矢印は目に見える腫瘍を特定する。図36B中、点線で囲まれた部分はPC14PE6腫瘍が退縮した部分を示す。実施例9参照。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの軽鎖または少なくとも1つの重鎖を含むキメラまたはヒト化抗5T4抗体、あるいはそのキメラまたはヒト化フラグメントであって、抗体または抗体フラグメントが、
(a)少なくとも約1×10−7M〜約1×10−12Mの結合親和力でヒト5T4抗原に特異的に結合するか;
(b)1×10−11Mより高い結合親和力でヒト5T4抗原に特異的に結合するか;
(c)5×10−11Mより高い結合親和力でヒト5T4抗原に特異的に結合するか;
(d)ヒト5T4抗原と結合するネズミH8抗5T4抗体の結合親和力よりも高い結合親和力でヒト5T4抗原と特異的に結合するか;
(e)インビボで5T4発現細胞を特異的に標的とするか;
(f)(a)〜(e)のいずれか一つの抗体とヒト5T4抗原に対する結合に関して競合するか;
(g)(a)〜(e)のいずれか一つにより結合したエピトープと特異的に結合するか;あるいは
(h)(a)〜(e)のいずれか一つの抗原結合ドメインを含む、キメラまたはヒト化抗5T4抗体。
【請求項2】
ヒト定常領域由来の定常領域を含む請求項1記載のキメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメント。
【請求項3】
ヒト軽鎖定常領域がヒトカッパ軽鎖定常領域由来である請求項2記載のキメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメント。
【請求項4】
ヒト重鎖定常領域がヒトIgG1またはヒトIgG4重鎖定常領域由来である請求項2記載のキメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメント。
【請求項5】
ヒトIgG1重鎖定常領域が、配列番号25または85〜89のいずれか一つのアミノ酸配列を含む請求項4記載のキメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメント。
【請求項6】
ヒトIgG4重鎖定常領域が241位でプロリンを含む請求項4記載のキメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメント。
【請求項7】
軽鎖可変領域配列が配列番号1のアミノ酸1〜107を含む請求項1記載のキメラ抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項8】
重鎖可変領域配列が配列番号2のアミノ酸1〜120を含む請求項1記載のキメラ抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項9】
軽鎖が配列番号1の残基1〜107のアミノ酸配列を含む可変領域を含み、重鎖が配列番号2の残基1〜120のアミノ酸配列を含む可変領域を含む請求項1記載のキメラ抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項10】
(a)軽鎖が配列番号1のアミノ酸配列を含み、重鎖が配列番号2のアミノ鎖配列を含みむか;あるいは
(b)軽鎖が配列番号3のアミノ酸配列を含み、重鎖が配列番号4のアミノ酸配列を含む、請求項1記載のキメラ抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項11】
少なくとも1つの軽鎖または少なくとも1つの重鎖の可変領域が:
(a)ヒト抗体フレームワーク領域の残基を含むフレームワーク領域;および
(b)配列番号17の軽鎖可変領域の1つまたは複数のCDRまたは配列番号18の重鎖可変領域の1つまたは複数のCDRを含む、請求項1記載のヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項12】
フレームワーク領域が:
(a)DPK24サブグループIV生殖細胞系クローン、VκIIIサブグループ、またはVκIサブグループ生殖細胞系クローンのヒト抗体軽鎖フレームワーク領域;
(b)DP−75、DP−8(VH1−2)、DP−25、VI−2bおよびVI−3(VH1−03)、DP−15およびV1−8(VH1−08)、DP−14およびV1−18(VH1−18)、DP−5およびV1−24P(VH1−24)、DP−4(VH1−45)、DP−7(VH1−46)、DP−10、DA−6およびYAC−7(VH1−69)、DP−88(VH1−e)、DP−3およびDA−8(VH1−f)からなる群から選択されるヒト抗体重鎖フレームワーク領域;
(c)(b)の重鎖フレームワーク領域のコンセンサス配列;または
(d)(a)〜(c)のフレームワーク領域と少なくとも95%同一であるフレームワーク領域を含む、請求項11記載のヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項13】
配列番号17または18の少なくとも2つのCDRを含む請求項11記載のヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項14】
軽鎖が配列番号17の3つのCDRのうち少なくとも2つを含む可変領域を含む、請求項13記載のヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項15】
軽鎖が配列番号17の3つのCDRを含む可変領域を含む請求項14記載のヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項16】
重鎖が配列番号18の3つのCDRのうちの少なくとも2つを含む可変領域を含む請求項11記載のヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項17】
重鎖が配列番号18の3つのCDRを含む可変領域を含む請求項16記載のヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項18】
軽鎖が配列番号17〜18のCDRを含む請求項11記載のヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項19】
軽鎖可変領域配列が:
(a)配列番号17または23のアミノ酸配列;
(b)配列番号17と少なくとも78%同一であるアミノ酸配列;
(c)配列番号23と少なくとも81%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1記載のヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項20】
軽鎖可変領域配列が:
(a)配列番号22または81のヌクレオチド配列;
(b)配列番号22の核酸と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列;
(c)配列番号81の核酸と少なくとも91%同一であるヌクレオチド配列;または
(d)配列番号22または配列番号81の相補体とストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリッド形成する核酸を含む核酸によりコード化される、請求項1記載のヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項21】
重鎖可変領域配列が:
(a)配列番号18、19および21のいずれか一つに記載のアミノ酸配列;
(b)配列番号18と少なくとも83%同一であるアミノ酸配列;
(c)配列番号19と少なくとも81%同一であるアミノ酸配列;または
(d)配列番号21と少なくとも86%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1記載のヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項22】
重鎖可変領域配列が:
(a)配列番号20、82または83のヌクレオチド配列;
(b)配列番号20または配列番号83の核酸と少なくとも91%同一であるヌクレオチド配列;
(c)配列番号82の核酸と少なくとも94%同一であるヌクレオチド配列;あるいは
(d)配列番号20、82および83のいずれか一つの相補体とストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリッド形成する核酸を含む核酸によりコード化される、請求項1記載のヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項23】
(a)配列番号5の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域および配列番号6の残基1〜120のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
(b)配列番号5の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号6の重鎖アミノ酸配列を含むヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項24】
(a)配列番号7の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号8の残基1〜120のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
(b)配列番号7の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号8の重鎖アミノ酸配列を含むヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項25】
(a)配列番号9の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号10の残基1〜120のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
(b)配列番号9の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号10の重鎖アミノ酸配列を含むヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項26】
(a)配列番号11の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号12の残基1〜120のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
(b)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号12の重鎖アミノ酸配列を含むヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項27】
(a)配列番号11の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
(b)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列、および配列番84の重鎖アミノ酸配列を含む、ヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項28】
(a)配列番号11の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号8の残基1〜120のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
(b)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号8の重鎖アミノ酸配列を含むヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項29】
(a)キメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメント;および
(b)該抗体または抗体フラグメントと直接的または間接的に結合する薬物を含む、薬物を送達するための抗体/薬物接合体。
【請求項30】
キメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントが:
(a)少なくとも約1×10−7M〜約1×10−12Mの結合親和力でヒト5T4抗原に特異的に結合するか;
(b)1×10−11Mより高い結合親和力でヒト5T4抗原に特異的に結合するか;
(c)5×10−11Mより高い結合親和力でヒト5T4抗原に特異的に結合するか;
(d)ヒト5T4抗原と結合するネズミH8抗5T4抗体の結合親和力よりも高い結合親和力でヒト5T4抗原と特異的に結合するか;
(e)インビボで5T4発現細胞を特異的に標的とするか;
(f)(a)〜(e)のいずれか一つの抗体とヒト5T4抗原に対する結合に関して競合するか;
(g)(a)〜(e)のいずれか一つにより結合したエピトープと特異的に結合するか;あるいは
(h)(a)〜(e)のいずれか一つの抗原結合ドメインを含む、請求項29記載の抗体/薬物接合体。
【請求項31】
キメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントが:
(a)配列番号5の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号6の残基1〜120のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
(b)配列番号5の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号6の重鎖アミノ酸配列を含む、請求項29記載の抗体/薬物接合体。
【請求項32】
キメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントが:
(a)配列番号7の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号8の残基1〜120のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
(b)配列番号7の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号8の重鎖アミノ酸配列を含む、請求項29記載の抗体/薬物接合体。
【請求項33】
キメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントが:
(a)配列番号9の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号10の残基1〜120のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
(b)配列番号9の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号10の重鎖アミノ酸配列を含む、請求項29記載の抗体/薬物接合体。
【請求項34】
キメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントが:
(a)配列番号11の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号12の残基1〜120のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
(b)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号12の重鎖アミノ酸配列を含む、請求項29記載の抗体/薬物接合体。
【請求項35】
キメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントが:
(a)配列番号11の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
(b)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号84の重鎖アミノ酸配列を含む、請求項29記載の抗体/薬物接合体。
【請求項36】
キメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントが:
(a)配列番号11の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号8の残基1〜120のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
(b)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号8の重鎖アミノ酸配列を含む、請求項29記載の抗体/薬物接合体。
【請求項37】
薬物が、細胞毒素、放射性同位元素、免疫調節薬、血管新生阻害薬、抗増殖剤、アポトーシス誘発剤、化学療法薬、および治療用核酸からなる群から選択される治療薬である請求項29記載の抗体/薬物接合体。
【請求項38】
治療薬が細胞毒素である請求項37記載の抗体/薬物接合体。
【請求項39】
細胞毒素が、抗生物質、チューブリン重合の阻害剤、アルキル化剤、タンパク質合成阻害剤、タンパク質キナーゼ阻害剤、ホスファターゼ阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、または酵素である、請求項38記載の抗体/薬物接合体。
【請求項40】
細胞毒素が抗生物質である請求項39記載の抗体/薬物接合体。
【請求項41】
抗生物質がカリケアマイシンである請求項40記載の抗体/薬物接合体。
【請求項42】
カリケアマイシンがカリケアマイシンのN−アセチル誘導体またはジスルフィド類似体である請求項41記載の抗体/薬物接合体。
【請求項43】
カリケアマイシンがN−アセチル−γ−カリケアマイシンである請求項42記載の抗体/薬物接合体。
【請求項44】
薬物がリンカーにより抗体と結合する請求項29記載の抗体/薬物接合体。
【請求項45】
リンカーが、4−(4’アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)、3−アセチルフェニル酸性酸(AcPac)、4−メルカプト−4−メチル−ペンタン酸(アミド)、およびその誘導体からなる群から選択される、請求項44記載の抗体/薬物接合体。
【請求項46】
(i)キメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントと、(ii)直接的または間接的にヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメントと結合する薬物とを含む抗体/薬物接合体と細胞を接触させることを含む、5T4発現細胞に薬物を送達する方法。
【請求項47】
薬物が標的細胞中に取り込まれる請求項46記載の方法。
【請求項48】
5T4陽性癌を有する対象を治療する方法であって、
(i)キメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントと、(ii)該キメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントと直接的または間接的に結合する治療剤とを含む、治療的に有効な量の抗5T4抗体/薬物接合体を対象に投与することを含む方法。
【請求項49】
抗5T4抗体/薬物接合体が抗5T4抗体/カリケアマイシン接合体であり、第二の治療薬を投与することをさらに含み、抗5T4/カリケアマイシン接合体および第二の治療薬が同時に、またはいずれかの順序で連続して投与される、請求項48記載の方法。
【請求項1】
少なくとも1つの軽鎖または少なくとも1つの重鎖を含むキメラまたはヒト化抗5T4抗体、あるいはそのキメラまたはヒト化フラグメントであって、抗体または抗体フラグメントが、
(a)少なくとも約1×10−7M〜約1×10−12Mの結合親和力でヒト5T4抗原に特異的に結合するか;
(b)1×10−11Mより高い結合親和力でヒト5T4抗原に特異的に結合するか;
(c)5×10−11Mより高い結合親和力でヒト5T4抗原に特異的に結合するか;
(d)ヒト5T4抗原と結合するネズミH8抗5T4抗体の結合親和力よりも高い結合親和力でヒト5T4抗原と特異的に結合するか;
(e)インビボで5T4発現細胞を特異的に標的とするか;
(f)(a)〜(e)のいずれか一つの抗体とヒト5T4抗原に対する結合に関して競合するか;
(g)(a)〜(e)のいずれか一つにより結合したエピトープと特異的に結合するか;あるいは
(h)(a)〜(e)のいずれか一つの抗原結合ドメインを含む、キメラまたはヒト化抗5T4抗体。
【請求項2】
ヒト定常領域由来の定常領域を含む請求項1記載のキメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメント。
【請求項3】
ヒト軽鎖定常領域がヒトカッパ軽鎖定常領域由来である請求項2記載のキメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメント。
【請求項4】
ヒト重鎖定常領域がヒトIgG1またはヒトIgG4重鎖定常領域由来である請求項2記載のキメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメント。
【請求項5】
ヒトIgG1重鎖定常領域が、配列番号25または85〜89のいずれか一つのアミノ酸配列を含む請求項4記載のキメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメント。
【請求項6】
ヒトIgG4重鎖定常領域が241位でプロリンを含む請求項4記載のキメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメント。
【請求項7】
軽鎖可変領域配列が配列番号1のアミノ酸1〜107を含む請求項1記載のキメラ抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項8】
重鎖可変領域配列が配列番号2のアミノ酸1〜120を含む請求項1記載のキメラ抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項9】
軽鎖が配列番号1の残基1〜107のアミノ酸配列を含む可変領域を含み、重鎖が配列番号2の残基1〜120のアミノ酸配列を含む可変領域を含む請求項1記載のキメラ抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項10】
(a)軽鎖が配列番号1のアミノ酸配列を含み、重鎖が配列番号2のアミノ鎖配列を含みむか;あるいは
(b)軽鎖が配列番号3のアミノ酸配列を含み、重鎖が配列番号4のアミノ酸配列を含む、請求項1記載のキメラ抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項11】
少なくとも1つの軽鎖または少なくとも1つの重鎖の可変領域が:
(a)ヒト抗体フレームワーク領域の残基を含むフレームワーク領域;および
(b)配列番号17の軽鎖可変領域の1つまたは複数のCDRまたは配列番号18の重鎖可変領域の1つまたは複数のCDRを含む、請求項1記載のヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項12】
フレームワーク領域が:
(a)DPK24サブグループIV生殖細胞系クローン、VκIIIサブグループ、またはVκIサブグループ生殖細胞系クローンのヒト抗体軽鎖フレームワーク領域;
(b)DP−75、DP−8(VH1−2)、DP−25、VI−2bおよびVI−3(VH1−03)、DP−15およびV1−8(VH1−08)、DP−14およびV1−18(VH1−18)、DP−5およびV1−24P(VH1−24)、DP−4(VH1−45)、DP−7(VH1−46)、DP−10、DA−6およびYAC−7(VH1−69)、DP−88(VH1−e)、DP−3およびDA−8(VH1−f)からなる群から選択されるヒト抗体重鎖フレームワーク領域;
(c)(b)の重鎖フレームワーク領域のコンセンサス配列;または
(d)(a)〜(c)のフレームワーク領域と少なくとも95%同一であるフレームワーク領域を含む、請求項11記載のヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項13】
配列番号17または18の少なくとも2つのCDRを含む請求項11記載のヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項14】
軽鎖が配列番号17の3つのCDRのうち少なくとも2つを含む可変領域を含む、請求項13記載のヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項15】
軽鎖が配列番号17の3つのCDRを含む可変領域を含む請求項14記載のヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項16】
重鎖が配列番号18の3つのCDRのうちの少なくとも2つを含む可変領域を含む請求項11記載のヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項17】
重鎖が配列番号18の3つのCDRを含む可変領域を含む請求項16記載のヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項18】
軽鎖が配列番号17〜18のCDRを含む請求項11記載のヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項19】
軽鎖可変領域配列が:
(a)配列番号17または23のアミノ酸配列;
(b)配列番号17と少なくとも78%同一であるアミノ酸配列;
(c)配列番号23と少なくとも81%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1記載のヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項20】
軽鎖可変領域配列が:
(a)配列番号22または81のヌクレオチド配列;
(b)配列番号22の核酸と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列;
(c)配列番号81の核酸と少なくとも91%同一であるヌクレオチド配列;または
(d)配列番号22または配列番号81の相補体とストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリッド形成する核酸を含む核酸によりコード化される、請求項1記載のヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項21】
重鎖可変領域配列が:
(a)配列番号18、19および21のいずれか一つに記載のアミノ酸配列;
(b)配列番号18と少なくとも83%同一であるアミノ酸配列;
(c)配列番号19と少なくとも81%同一であるアミノ酸配列;または
(d)配列番号21と少なくとも86%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1記載のヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項22】
重鎖可変領域配列が:
(a)配列番号20、82または83のヌクレオチド配列;
(b)配列番号20または配列番号83の核酸と少なくとも91%同一であるヌクレオチド配列;
(c)配列番号82の核酸と少なくとも94%同一であるヌクレオチド配列;あるいは
(d)配列番号20、82および83のいずれか一つの相補体とストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリッド形成する核酸を含む核酸によりコード化される、請求項1記載のヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項23】
(a)配列番号5の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域および配列番号6の残基1〜120のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
(b)配列番号5の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号6の重鎖アミノ酸配列を含むヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項24】
(a)配列番号7の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号8の残基1〜120のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
(b)配列番号7の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号8の重鎖アミノ酸配列を含むヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項25】
(a)配列番号9の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号10の残基1〜120のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
(b)配列番号9の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号10の重鎖アミノ酸配列を含むヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項26】
(a)配列番号11の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号12の残基1〜120のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
(b)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号12の重鎖アミノ酸配列を含むヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項27】
(a)配列番号11の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
(b)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列、および配列番84の重鎖アミノ酸配列を含む、ヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項28】
(a)配列番号11の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号8の残基1〜120のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
(b)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号8の重鎖アミノ酸配列を含むヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメント。
【請求項29】
(a)キメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメント;および
(b)該抗体または抗体フラグメントと直接的または間接的に結合する薬物を含む、薬物を送達するための抗体/薬物接合体。
【請求項30】
キメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントが:
(a)少なくとも約1×10−7M〜約1×10−12Mの結合親和力でヒト5T4抗原に特異的に結合するか;
(b)1×10−11Mより高い結合親和力でヒト5T4抗原に特異的に結合するか;
(c)5×10−11Mより高い結合親和力でヒト5T4抗原に特異的に結合するか;
(d)ヒト5T4抗原と結合するネズミH8抗5T4抗体の結合親和力よりも高い結合親和力でヒト5T4抗原と特異的に結合するか;
(e)インビボで5T4発現細胞を特異的に標的とするか;
(f)(a)〜(e)のいずれか一つの抗体とヒト5T4抗原に対する結合に関して競合するか;
(g)(a)〜(e)のいずれか一つにより結合したエピトープと特異的に結合するか;あるいは
(h)(a)〜(e)のいずれか一つの抗原結合ドメインを含む、請求項29記載の抗体/薬物接合体。
【請求項31】
キメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントが:
(a)配列番号5の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号6の残基1〜120のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
(b)配列番号5の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号6の重鎖アミノ酸配列を含む、請求項29記載の抗体/薬物接合体。
【請求項32】
キメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントが:
(a)配列番号7の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号8の残基1〜120のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
(b)配列番号7の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号8の重鎖アミノ酸配列を含む、請求項29記載の抗体/薬物接合体。
【請求項33】
キメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントが:
(a)配列番号9の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号10の残基1〜120のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
(b)配列番号9の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号10の重鎖アミノ酸配列を含む、請求項29記載の抗体/薬物接合体。
【請求項34】
キメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントが:
(a)配列番号11の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号12の残基1〜120のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
(b)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号12の重鎖アミノ酸配列を含む、請求項29記載の抗体/薬物接合体。
【請求項35】
キメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントが:
(a)配列番号11の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
(b)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号84の重鎖アミノ酸配列を含む、請求項29記載の抗体/薬物接合体。
【請求項36】
キメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントが:
(a)配列番号11の残基1〜107のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号8の残基1〜120のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
(b)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列、および配列番号8の重鎖アミノ酸配列を含む、請求項29記載の抗体/薬物接合体。
【請求項37】
薬物が、細胞毒素、放射性同位元素、免疫調節薬、血管新生阻害薬、抗増殖剤、アポトーシス誘発剤、化学療法薬、および治療用核酸からなる群から選択される治療薬である請求項29記載の抗体/薬物接合体。
【請求項38】
治療薬が細胞毒素である請求項37記載の抗体/薬物接合体。
【請求項39】
細胞毒素が、抗生物質、チューブリン重合の阻害剤、アルキル化剤、タンパク質合成阻害剤、タンパク質キナーゼ阻害剤、ホスファターゼ阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、または酵素である、請求項38記載の抗体/薬物接合体。
【請求項40】
細胞毒素が抗生物質である請求項39記載の抗体/薬物接合体。
【請求項41】
抗生物質がカリケアマイシンである請求項40記載の抗体/薬物接合体。
【請求項42】
カリケアマイシンがカリケアマイシンのN−アセチル誘導体またはジスルフィド類似体である請求項41記載の抗体/薬物接合体。
【請求項43】
カリケアマイシンがN−アセチル−γ−カリケアマイシンである請求項42記載の抗体/薬物接合体。
【請求項44】
薬物がリンカーにより抗体と結合する請求項29記載の抗体/薬物接合体。
【請求項45】
リンカーが、4−(4’アセチルフェノキシ)ブタン酸(AcBut)、3−アセチルフェニル酸性酸(AcPac)、4−メルカプト−4−メチル−ペンタン酸(アミド)、およびその誘導体からなる群から選択される、請求項44記載の抗体/薬物接合体。
【請求項46】
(i)キメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントと、(ii)直接的または間接的にヒト化抗5T4抗体または抗体フラグメントと結合する薬物とを含む抗体/薬物接合体と細胞を接触させることを含む、5T4発現細胞に薬物を送達する方法。
【請求項47】
薬物が標的細胞中に取り込まれる請求項46記載の方法。
【請求項48】
5T4陽性癌を有する対象を治療する方法であって、
(i)キメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントと、(ii)該キメラまたはヒト化抗5T4抗体あるいは抗体フラグメントと直接的または間接的に結合する治療剤とを含む、治療的に有効な量の抗5T4抗体/薬物接合体を対象に投与することを含む方法。
【請求項49】
抗5T4抗体/薬物接合体が抗5T4抗体/カリケアマイシン接合体であり、第二の治療薬を投与することをさらに含み、抗5T4/カリケアマイシン接合体および第二の治療薬が同時に、またはいずれかの順序で連続して投与される、請求項48記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図15E】
【図15F】
【図15G】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図25A】
【図25B】
【図25C】
【図25D】
【図25E】
【図25F】
【図25G】
【図25H】
【図25I】
【図25J】
【図25K】
【図25L】
【図25M】
【図25N】
【図25O】
【図26A】
【図26B】
【図27A】
【図27B】
【図27C】
【図27D】
【図27E】
【図27F】
【図27G】
【図28A】
【図28B】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32A】
【図32B】
【図33A】
【図33B】
【図33C】
【図34A】
【図34B】
【図34C】
【図35A】
【図35B】
【図35C】
【図35D】
【図35E】
【図36A】
【図36B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図15E】
【図15F】
【図15G】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図25A】
【図25B】
【図25C】
【図25D】
【図25E】
【図25F】
【図25G】
【図25H】
【図25I】
【図25J】
【図25K】
【図25L】
【図25M】
【図25N】
【図25O】
【図26A】
【図26B】
【図27A】
【図27B】
【図27C】
【図27D】
【図27E】
【図27F】
【図27G】
【図28A】
【図28B】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32A】
【図32B】
【図33A】
【図33B】
【図33C】
【図34A】
【図34B】
【図34C】
【図35A】
【図35B】
【図35C】
【図35D】
【図35E】
【図36A】
【図36B】
【公表番号】特表2008−512485(P2008−512485A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531375(P2007−531375)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/032196
【国際公開番号】WO2006/031653
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/032196
【国際公開番号】WO2006/031653
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】
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