説明

ヒト化抗D因子抗体とその用途

本発明は、抗D因子抗体、その核酸及びアミノ酸配列、これらの抗体を持つ細胞及びベクター、及び過剰な又は制御されない補体活性化を伴う病気及び疾患の治療のための組成物及び医薬の調製におけるその使用に関するものである。これらの抗体は、疾患の診断、予防及び治療に有用である。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準抗体の軽鎖HVRsを含む抗D因子抗体であって、該基準抗体の一又は複数の位置に置換を更に含み、該基準抗体がITSTDIDDDMN(配列番号30)を含む軽鎖HVR−1と、GGNTLRP(配列番号35)を含む軽鎖HVR−2と、LQSDSLPYT(配列番号38)を含む軽鎖HVR−3を含み、上記置換が、
(a)軽鎖の33位のアミノ酸がL又はIであり;
(b)軽鎖の34位のアミノ酸がA又はQであり;
(c)軽鎖の52位のアミノ酸がS又はAであり;
(d)軽鎖の104位のアミノ酸がVであり;
(e)重鎖の1位のアミノ酸がEであり;
(f)重鎖の99位のアミノ酸がA又はQであり;又は
(g)重鎖の100位のアミノ酸がA又はQである
の一又は複数である抗D因子抗体。
【請求項2】
基準抗体の重鎖HVRsを含む抗D因子抗体であって、該基準抗体の一又は複数の位置に置換を更に含み、該基準抗体がGYTFTNYGMN(配列番号39)を含む重鎖HVR−1と、WINTYTGETTYADDFKG(配列番号40)を含む重鎖HVR−2と、EGGVNN(配列番号41)を含む重鎖HVR−3を含み、上記置換が、
(a)軽鎖の33位のアミノ酸がL又はIであり;
(b)軽鎖の34位のアミノ酸がA又はQであり;
(c)軽鎖の52位のアミノ酸がS又はAであり;
(d)軽鎖の104位のアミノ酸がVであり;
(e)重鎖の1位のアミノ酸がEであり;
(f)重鎖の99位のアミノ酸がA又はQであり;又は
(g)重鎖の100位のアミノ酸がA又はQである
の一又は複数である抗D因子抗体。
【請求項3】
基準抗体の軽鎖HVRs及び重鎖HVRsを含む抗D因子抗体であって、該基準抗体の一又は複数の位置に置換を更に含み、該基準抗体がITSTDIDDDMN(配列番号30)を含む軽鎖HVR−1と、GGNTLRP(配列番号35)を含む軽鎖HVR−2と、LQSDSLPYT(配列番号38)を含む軽鎖HVR−3と、GYTFTNYGMN(配列番号39)を含む重鎖HVR−1と、WINTYTGETTYADDFKG(配列番号40)を含む重鎖HVR−2と、EGGVNN(配列番号41)を含む重鎖HVR−3を含み、上記置換が、
(a)軽鎖の33位のアミノ酸がL又はIであり;
(b)軽鎖の34位のアミノ酸がA又はQであり;
(c)軽鎖の52位のアミノ酸がS又はAであり;
(d)軽鎖の104位のアミノ酸がVであり;
(e)重鎖の1位のアミノ酸がEであり;
(f)重鎖の99位のアミノ酸がA又はQであり;又は
(g)重鎖の100位のアミノ酸がA又はQである
の一又は複数である抗D因子抗体。
【請求項4】
(a)(i)配列番号39から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H1;
(ii)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H2;
(iii)配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44及び配列番号45から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3;
(iv)配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33及び配列番号34から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L1;
(v)配列番号35、配列番号36及び配列番号37から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L2;及び
(vi)配列番号38から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−L3
を含む群から選択される少なくとも一、二、三、四、五又は六のHVRs;又は
(b)変異体HVRが配列番号39、40、41、42、43、44、45、30、31、32、33、34、35、36、37又は38に示された配列の少なくとも一つの残基の修飾を含む少なくとも一の変異体HVR
を含む抗D因子抗体。
【請求項5】
配列番号39のアミノ酸配列を含むHVR−H1を含む請求項4に記載の抗体。
【請求項6】
配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H2を含む請求項4に記載の抗体。
【請求項7】
配列番号41のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む請求項4に記載の抗体。
【請求項8】
配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR−L1を含む請求項4に記載の抗体。
【請求項9】
配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−L2を含む請求項4に記載の抗体。
【請求項10】
配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む請求項4に記載の抗体。
【請求項11】
配列番号39のアミノ酸配列を含むHVR−H1と、配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H2と、配列番号41のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む請求項4に記載の抗体。
【請求項12】
配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR−L1と、配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−L2と、配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む請求項4に記載の抗体。
【請求項13】
配列番号39のアミノ酸配列を含むHVR−H1と、配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR−H2と、配列番号41のアミノ酸配列を含むHVR−H3と、配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR−L1と、配列番号35のアミノ酸配列を含むHVR−L2と、配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む請求項4に記載の抗体。
【請求項14】
抗体が、配列番号18から選択されるアミノ酸と少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変ドメインを含む請求項4に記載の抗体。
【請求項15】
抗体が、配列番号19から選択されるアミノ酸と少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変ドメインを含む請求項4に記載の抗体。
【請求項16】
抗体が、配列番号6から選択されるアミノ酸と少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む請求項4に記載の抗体。
【請求項17】
抗体が、配列番号7から選択されるアミノ酸と少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む請求項4に記載の抗体。
【請求項18】
抗体が、配列番号18から選択されるアミノ酸と少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変ドメインと、配列番号6から選択されるアミノ酸と少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む請求項4に記載の抗体。
【請求項19】
抗体が、配列番号19から選択されるアミノ酸と少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変ドメインと、配列番号7から選択されるアミノ酸と少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む請求項4に記載の抗体。
【請求項20】
抗体が、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28及び配列番号29から選択される重鎖可変ドメインを含む請求項4に記載の抗体。
【請求項21】
抗体が、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16及び配列番号17から選択される軽鎖可変ドメインを含む請求項4に記載の抗体。
【請求項22】
次のアミノ酸配列:
VQLVQSGPELKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGMNWVRQAPGQGLEWMGWINTYTGETTYADDFKGRFVFSLDTSVSTAYLQISSLKAEDTAVYYCEREGGVXWGQGTLVTVSS(配列番号74)(ここで、XはQ又はEであり;XはN、A又はQであり;XはN、A又はQである)を含んでなるポリペプチド。
【請求項23】
次のアミノ酸配列:
DIQVTQSPSSLSASVGDRVTITCITSTDIDDDXWYQQKPGKVPKLLISGGXTLRPGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCLQSDSLPYTFGQGTKXEIK(配列番号73)(ここで、XはM、L又はIであり;XはN、A又はQであり;XはN、S又はAであり;XはL又はVである)を含んでなるポリペプチド。
【請求項24】
配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28及び配列番号29を含む群から選択されるアミノ酸配列を含んでなるポリペプチド。
【請求項25】
配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16及び配列番号17を含む群から選択されるアミノ酸配列を含んでなるポリペプチド。
【請求項26】
請求項22に記載のポリペプチドを含んでなる抗D因子抗体。
【請求項27】
請求項23に記載のポリペプチドを含んでなる抗D因子抗体。
【請求項28】
請求項22に記載のポリペプチドと請求項23に記載のポリペプチドを含んでなる抗D因子抗体。
【請求項29】
抗体が配列番号18の重鎖可変ドメイン配列を含む請求項4に記載の抗体。
【請求項30】
抗体が配列番号19の重鎖可変ドメイン配列を含む請求項4に記載の抗体。
【請求項31】
抗体が配列番号6の軽鎖可変ドメイン配列を含む請求項4に記載の抗体。
【請求項32】
抗体が配列番号7の軽鎖可変ドメイン配列を含む請求項4に記載の抗体。
【請求項33】
抗体が配列番号18の重鎖可変ドメインと配列番号6の軽鎖可変ドメインを含む請求項4に記載の抗体。
【請求項34】
抗体が配列番号19の重鎖可変ドメインと配列番号7の軽鎖可変ドメインを含む請求項4に記載の抗体。
【請求項35】
抗体が配列番号54から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変ドメインを含む請求項4に記載の抗体。
【請求項36】
抗体が配列番号63から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変ドメインを含む請求項4に記載の抗体。
【請求項37】
抗体が配列番号47から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む請求項4に記載の抗体。
【請求項38】
抗体が配列番号61から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む請求項4に記載の抗体。
【請求項39】
抗体が配列番号54から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変ドメインと配列番号47から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む請求項4に記載の抗体。
【請求項40】
抗体が配列番号63から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変ドメインと配列番号61から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む請求項4に記載の抗体。
【請求項41】
抗体が配列番号54の重鎖可変ドメインを含む請求項4に記載の抗体。
【請求項42】
抗体が配列番号63の重鎖可変ドメインを含む請求項4に記載の抗体。
【請求項43】
抗体が配列番号47の軽鎖可変ドメインを含む請求項4に記載の抗体。
【請求項44】
抗体が配列番号61の軽鎖可変ドメインを含む請求項4に記載の抗体。
【請求項45】
抗体が配列番号54の重鎖可変ドメインと配列番号47の軽鎖可変ドメインを含む請求項4に記載の抗体。
【請求項46】
抗体が配列番号63の重鎖可変ドメインと配列番号61の軽鎖可変ドメインを含む請求項4に記載の抗体。
【請求項47】
配列番号47及び61を含む群から選択されるアミノ酸を含むポリペプチド。
【請求項48】
配列番号54及び63を含む群から選択されるアミノ酸を含むポリペプチド。
【請求項49】
抗体がヒト化されている請求項4又は14から19又は26から28に記載の抗体。
【請求項50】
D因子が哺乳動物D因子である請求項4又は14から19又は26から28に記載の抗体。
【請求項51】
D因子がヒトD因子である請求項50に記載の抗体。
【請求項52】
請求項4又は14から19又は26から28に記載の抗体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項53】
請求項22あら25又は47から48に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項54】
請求項52又は53に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項55】
請求項54に記載のベクターを含んでなる宿主細胞。
【請求項56】
宿主細胞が真核細胞である請求項55に記載の宿主細胞。
【請求項57】
宿主細胞がCHO細胞である請求項55に記載の宿主細胞。
【請求項58】
抗D因子抗体を作製する方法であって、(a)請求項56又は57に記載の宿主細胞を、該抗体をコードするポリヌクレオチドの発現に適した条件下で培養し、(b)抗体を単離することを含む方法。
【請求項59】
抗体がモノクローナル抗体である請求項4又は14から19又は26から28に記載の抗体。
【請求項60】
抗体が、Fab、Fab’−SH、Fv、scFv、又は(Fab’)断片から選択される抗体断片である、請求項59に記載の抗体。
【請求項61】
抗体がヒト化されている請求項59に記載の抗体。
【請求項62】
細菌中で生産される請求項59に記載の抗体。
【請求項63】
CHO細胞中で生産される請求項59に記載の抗体。
【請求項64】
請求項59に記載の抗D因子抗体と、薬学的に許容可能な希釈剤、担体又は賦形剤を含有する薬学的製剤。
【請求項65】
(a)請求項64に記載の薬学的製剤;
(b)容器;及び
(c)化合物を補体関連疾患の治療のために使用できることを示すパッケージ挿入物又はラベル
を含んでなる製造品。
【請求項66】
請求項4又は14から19又は26から28に記載の抗体と補体関連疾患を治療するために上記抗体を投与するための指示書を含むキット。
【請求項67】
補体関連疾患が眼疾患を含む群から選択される請求項66に記載のキット。
【請求項68】
眼疾患が加齢黄斑変性、糖尿病性網膜症、脈絡膜血管新生(CNV)、ブドウ膜炎、糖尿病性黄斑浮腫、病的近視、フォン・ヒッペル・リンドウ病、眼のヒストプラスマ症、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)、角膜血管新生、及び網膜新生血管を含む群から選択される請求項67に記載のキット。
【請求項69】
加齢黄斑変性が中期乾燥AMD、地図状萎縮及び地図状萎縮を含む群から選択される請求項68に記載のキット。
【請求項70】
炎症性疾患を含む群から選択される補体関連疾患を治療する方法。
【請求項71】
炎症性疾患が自己免疫疾患である請求項70に記載の方法。
【請求項72】
自己免疫疾患が、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、関節リウマチ、アルツハイマー病及び多発性硬化症を含む群から選択される請求項71に記載の方法。
【請求項73】
眼疾患を含む群から選択される補体関連疾患を治療する方法。
【請求項74】
眼疾患が、加齢黄斑変性、糖尿病性網膜症、脈絡膜血管新生(CNV)、ブドウ膜炎、糖尿病性黄斑浮腫、病的近視、フォン・ヒッペル・リンドウ病、眼のヒストプラスマ症、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)、角膜血管新生、及び網膜新生血管を含む群から選択される請求項73に記載の方法。
【請求項75】
加齢黄斑変性が、中期乾燥AMD、地図状萎縮及び地図状萎縮を含む群から選択される請求項74に記載の方法。
【請求項76】
(a)請求項14から15、29から30、35から36、又は41から42の何れかに記載の重鎖可変ドメインと、請求項16から17、31から32、37から38又は43から44の何れかに記載の軽鎖可変ドメインを含む抗体を発現する細胞を培養し;
(b)上記培養された細胞から抗体を単離する
方法によって作製される抗体。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2011−521623(P2011−521623A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507553(P2011−507553)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【国際出願番号】PCT/US2009/041785
【国際公開番号】WO2009/134711
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(509012625)ジェネンテック, インコーポレイテッド (357)
【Fターム(参考)】