説明

ヒドロキシカルボン酸から誘導される化合物を含む潤滑組成物

本発明は、(a)ヒドロキシカルボン酸から誘導される化合物と、(b)潤滑粘度の油とを含む、潤滑組成物に関する。本発明は、さらに、リミテッドスリップディファレンシャルを潤滑するための上記潤滑組成物の使用を提供する。一実施形態においては、本発明は、リミテッドスリップディファレンシャルにおいて許容レベルの(i)潤滑剤熱安定性、(ii)潤滑剤酸化安定性、(iii)摩擦係数、(iv)燃費、(v)付着抑制、(vi)シール適合性、及び(vii)チャタリング(異音)の少なくとも1つをもたらす、(a)ヒドロキシカルボン酸の誘導体(又はヒドロキシカルボン酸から誘導される化合物)と(b)潤滑粘度の油とを含む潤滑組成物の使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(a)ヒドロキシカルボン酸から誘導される化合物と、(b)潤滑粘度の油とを含む、潤滑組成物に関する。本発明は、さらに、リミテッドスリップディファレンシャルを潤滑するための潤滑組成物の使用を提供する。
【背景技術】
【0002】
自動車のリミテッドスリップディファレンシャルは、典型的には、湿式多板クラッチ、すなわち、潤滑剤に浸漬されたクラッチ板を使用する。リミテッドスリップディファレンシャルは、典型的には、遊星傘歯車装置又は遊星平歯車装置を有し、駆動トルクを2個の駆動輪にその回転速度とは無関係に均等に分布させる。これによって、駆動輪は、コーナリング中にその異なる回転速度にもかかわらず、駆動輪と道路面の間でスリップせずに回転することができる。スリップを抑制するために、摩擦性能を改善可能な化合物と、分散剤と、硫黄及び/又はリン含有極圧剤とを含む潤滑剤を使用することができる。このタイプの潤滑剤の例は、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、及び特許文献5に開示されている。
【0003】
(i)付着抑制(特許文献6)及び(ii)摩耗性能に適切な化合物を含む潤滑剤が、特許文献7、特許文献8及び特許文献9に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,308,154号明細書
【特許文献2】米国特許第5,547,586号明細書
【特許文献3】米国特許第4,180,466号明細書
【特許文献4】米国特許第3,825,495号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第0399764号A1明細書
【特許文献6】米国特許第3,284,409号明細書
【特許文献7】国際公開第96/037585号
【特許文献8】米国特許出願公開第2002/0119895号明細書
【特許文献9】米国特許第5,487,838号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、本明細書に開示する潤滑組成物及び方法が、許容レベルの(i)潤滑剤熱安定性、(ii)潤滑剤酸化安定性、(iii)高い静摩擦係数、(iv)燃費、(v)付着抑制、(vi)シール適合性、(vii)清浄度、並びに(viii)チャタリング(すなわち、特により高速のコーナリング操作中の、典型的には低周波の「うなり(growl)」及び「きしみ(groan)」と称される異音)として現れることが多い騒音、振動及びハーシュネス(NVH)に対する低傾向のうち少なくとも1つをもたらし得ることを発見した。本発明者らは、本明細書に開示する潤滑剤組成物及び方法が、1種類以上の別個の板材を有するスリップ制限システムにも適切であり得ることも予想外に発見した。例えば、板材は、スチール、紙、セラミック、炭素繊維、及びセラミック上のスチール、紙中の炭素繊維、紙上のスチールなどの板状の混合物を使用する系であり得る。
【0006】
一実施形態においては、本発明は、(a)ヒドロキシカルボン酸の誘導体(又はヒドロキシカルボン酸から誘導される化合物)と(b)潤滑粘度の油とを含む潤滑組成物をリミテッドスリップディファレンシャルに供給することを含む、リミテッドスリップディファレンシャルの潤滑方法を提供する。
【0007】
一実施形態においては、本発明は、リミテッドスリップディファレンシャルにおいて許容レベルの(i)潤滑剤熱安定性、(ii)潤滑剤酸化安定性、(iii)摩擦係数、(iv)燃費、(v)付着抑制、(vi)シール適合性、及び(vii)チャタリング(異音)の少なくとも1つをもたらすための、(a)ヒドロキシカルボン酸の誘導体(又はヒドロキシカルボン酸から誘導される化合物)と(b)潤滑粘度の油とを含む潤滑組成物の使用を提供する。一実施形態においては、前記使用は、許容レベルの摩擦係数をもたらす。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、上で開示した潤滑組成物及び方法を提供する。
【0009】
ヒドロキシカルボン酸から誘導される化合物
本発明の潤滑組成物は、ヒドロキシカルボン酸の誘導体(又はヒドロキシカルボン酸から誘導される化合物)又はその混合物を含む。本明細書では「の誘導体」という表現は、指定の酸を出発材料として使用して実際に調製されたか否かにかかわらず、文字どおりに指定ヒドロキシカルボン酸「から誘導される」材料、及び潜在的にヒドロキシカルボン酸「から誘導可能な」材料を包含することを意味する。ヒドロキシカルボン酸の誘導体は、エステル、アミド、イミド、複数のかかる官能基の混合物など、酸基及び/又はアルコール基の反応によって調製される、又は調製することができる、材料を含む。
【0010】
ヒドロキシカルボン酸は、モノヒドロキシモノカルボン酸、ポリヒドロキシモノカルボン酸、モノヒドロキシポリカルボン酸及びポリヒドロキシポリカルボン酸を含む。さらに、ヒドロキシポリカルボン酸は、クエン酸などのモノヒドロキシポリカルボン酸、又は酒石酸などのポリヒドロキシポリカルボン酸であり得る。ヒドロキシカルボン酸の誘導体(又はヒドロキシカルボン酸から誘導される化合物)としては、ヒドロキシカルボン酸のアミド、エステル若しくはイミド誘導体又はその混合物が挙げられる。典型的には、ヒドロキシカルボン酸の誘導体は、酒石酸などのヒドロキシポリカルボン酸の誘導体であり得る。
【0011】
一実施形態においては、ヒドロキシカルボン酸のアミド、エステル又はイミド誘導体は、ヒドロキシカルボン酸ジエステル、ヒドロキシカルボン酸ジアミド、ヒドロキシカルボン酸モノイミド、ヒドロキシカルボン酸ジイミド、ヒドロキシカルボン酸エステルアミド、ヒドロキシカルボン酸エステルイミド及びヒドロキシカルボン酸イミドアミドの少なくとも1種類であり得る。一実施形態においては、ヒドロキシカルボン酸のアミド、エステル又はイミド誘導体は、ヒドロキシカルボン酸ジエステル、ヒドロキシカルボン酸ジアミド及びヒドロキシカルボン酸エステルアミドからなる群の少なくとも1種類であり得る。
【0012】
適切なヒドロキシカルボン酸の例としては、クエン酸、酒石酸、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシグルタル酸又はその混合物が挙げられる。一実施形態においては、ヒドロキシカルボン酸のアミド、エステル又はイミド誘導体は、酒石酸、クエン酸、ヒドロキシコハク酸、ジヒドロキシモノ酸、モノヒドロキシ二酸又はその混合物から誘導することができる。一実施形態においては、ヒドロキシカルボン酸のアミド、エステル又はイミド誘導体は、酒石酸又はクエン酸の誘導体又は(又は酒石酸又はクエン酸から誘導される化合物)を含む。一実施形態においては、ヒドロキシカルボン酸のアミド、エステル又はイミド誘導体は、酒石酸から誘導される化合物を含む。
【0013】
ヒドロキシカルボン酸の誘導体は、ヒドロキシカルボン酸ジエステル、ヒドロキシカルボン酸ジアミド、ヒドロキシカルボン酸イミド、ヒドロキシカルボン酸ジイミド、ヒドロキシカルボン酸エステルアミド、ヒドロキシカルボン酸エステルイミド及びヒドロキシカルボン酸イミドアミドからなる群から選択することができる。
【0014】
ヒドロキシカルボン酸の誘導体は、ヒドロキシカルボン酸イミド、ヒドロキシカルボン酸ジイミド、ヒドロキシカルボン酸エステルイミド及びヒドロキシカルボン酸イミドアミドからなる群から選択することができる。
【0015】
ヒドロキシカルボン酸の誘導体は、ヒドロキシカルボン酸イミド及びヒドロキシカルボン酸ジイミドからなる群から選択することができる。
【0016】
ヒドロキシカルボン酸の誘導体は、酒石酸の誘導体、クエン酸のイミド誘導体、又はその混合物であり得る。
【0017】
ヒドロキシカルボン酸の誘導体は、酒石酸のイミド誘導体、クエン酸のイミド誘導体、又はその混合物であり得る。
【0018】
一実施形態においては、ヒドロキシカルボン酸の誘導体はエステル又はイミドである。ヒドロキシカルボン酸のエステル誘導体は、酒石酸エステルであり得る。ヒドロキシカルボン酸のイミド誘導体は、酒石酸イミド(tartrimide)であり得る。
【0019】
一実施形態においては、ヒドロキシカルボン酸の誘導体(又はヒドロキシカルボン酸から誘導される化合物)はヒドロキシカルボン酸のイミド誘導体であり得る。
【0020】
(2007年5月24日に出願された)米国特許出願第60/939949号、現在は国際公開第2008/147704号、及び(2007年5月24日に出願された)米国特許出願第60/939952号、現在は国際公開第2008/147700号は、適切なヒドロキシカルボン酸化合物、及びその調製方法を開示している。
【0021】
カナダ特許第1183125号、米国特許出願公開第2006/0183647号、米国特許出願公開第2006−0079413号、米国特許出願第60/867402号(現在は国際公開第2008/067259号)及び英国特許第2105743号Aはすべて、適切な酒石酸誘導体の例を開示している。
【0022】
一実施形態においては、ヒドロキシカルボン酸のアミド、エステル又はイミド誘導体は、式(1)(すなわち、1a又は1b)で表すことができる。
【0023】
【化1】

【0024】
式中、
n’は、式(1b)では0から10、式(1a)では1から10であり、
pは1から5であり、
Y及びY’は独立に、−O−、>NH、>NR、又は(1b)中のYとY’基の両方若しくは(1a)中の2個のY基が一緒になって2個の>C=O基の間にR−N<基を形成することによって形成されるイミド基であり、
【0025】
Xは独立に、−CH−、>CHR、>CR、>CHOR、>C(OH)CO、>C(CO、−CH、−CH若しくはCHR、−CHOR、−CH(CO、≡C−R(式中、≡は3原子価に等しく、式(1a)にのみ適用することができる。)、又はその混合物であり、式(1a)及び/又は(1b)の原子価を満たし(典型的には、式(1a)又は(1b)の化合物は、ヒドロキシルを含有する少なくとも1個のXを有する(すなわち、>CHOR、式中、Rは水素である。)。)、
及びRは独立に、典型的には1から150、又は4から30、又は8から15個の炭素原子を含む、ヒドロカルビル基であり、
はヒドロカルビル基であり、
及びRは独立に、(アシル基などの)ケト含有基、エステル基又はヒドロカルビル基、又は−OR、又は−CO、又は−OH(典型的には、Xが>CRであるときには1個以下の−OH)であり、
は独立に、典型的には1から150、又は4から30、又は8から15個の炭素原子を含む、水素又はヒドロカルビル基である。
【0026】
一実施形態においては、式(1)の化合物はイミド基を含む。イミド基は、典型的には、Y及びY’基が一緒になって、2個の>C=O基の間にR−N<基を形成することによって、形成される。
【0027】
一実施形態においては、式(1)の化合物は、以下のように定義されたm、n、X、並びにR、R及びRを有する。すなわち、mは0又は1であり、nは1から2であり、Xは>CHORであり、R、R及びRは独立に、4から30個の炭素原子を含むヒドロカルビル基である。
【0028】
一実施形態においては、YとY’はどちらも−O−である。
【0029】
一実施形態においては、式(1)の化合物は、以下のように定義されたm、n、X、Y、Y’並びにR、R及びRを有する。すなわち、mは0又は1であり、nは1から2であり、Xは>CHORであり、YとY’はどちらも−O−であり、R、R及びRは独立に、水素、又は4から30個の炭素原子を含むヒドロカルビル基である。
【0030】
式(1)のジエステル、ジアミド、エステルアミド、エステルイミド化合物は、場合によっては公知のエステル化触媒の存在下で、(酒石酸などの)ジカルボン酸をアミン又はアルコールと反応させて、調製することができる。エステルイミド化合物の場合には、(クエン酸など)少なくとも3個のカルボン酸基を有することが必要である。アミン又はアルコールは、典型的には、式(1)で定義されたR及び/又はRの要件を満たすのに十分な炭素原子を有する。
【0031】
一実施形態においては、R及びRは独立に、直鎖又は分枝ヒドロカルビル基である。一実施形態においては、ヒドロカルビル基は分枝している。一実施形態においては、ヒドロカルビル基は直鎖である。R及びRは、アミン又はアルコールによって式(1)に組み入れることができる。アルコールは、一価アルコールと多価アルコールの両方を含む。アルコールの炭素原子は、直鎖、分枝鎖又はその混合物とすることができる。
【0032】
適切な分枝アルコールの例としては、2−エチルヘキサノール、イソトリデカノール、Guerbetアルコール又はその混合物が挙げられる。
【0033】
一価アルコールの例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール又はその混合物が挙げられる。一実施形態においては、一価アルコールは、5から20個の炭素原子を含む。
【0034】
アルコールは、一価アルコール又は多価アルコールのいずれかを含む。適切な多価アルコールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、デンプン、グルコース、スクロース、メチルグルコシド又はその混合物が挙げられる。一実施形態においては、多価アルコールは、一価アルコールと一緒に混合物で使用される。典型的には、かかる組合せにおいては、一価アルコールは、混合物の少なくとも60モルパーセント、又は少なくとも90モルパーセントを構成する。
【0035】
本発明の酒石酸エステルの調製に使用される酒石酸は、市販のものであり得、(天然)供給源又は(マレイン酸からの)合成方法にしばしば応じて、d−酒石酸、l−酒石酸、d,l−酒石酸、又はメソ酒石酸などの1種類以上の異性体として存在する可能性がある。例えば、d−酒石酸とl−酒石酸のラセミ混合物は、(タングステン酸触媒を用いた)過酸化水素を用いたマレイン酸の触媒酸化から得られる。これらの誘導体は、エステル、酸塩化物、酸無水物など、当業者に容易に理解できる二酸と官能基として等価なものから調製することもできる。
【0036】
式(1)の化合物を酒石酸から誘導するときには、得られる酒石酸エステルは、酒石酸エステルの調製に使用される特定のアルコールに応じて、固体、半固体又は液体油であり得る。潤滑組成物中の添加剤として使用する場合、酒石酸エステルは、有利には、かかる油性組成物に可溶であり、及び/又は安定に分散させることができる。例えば、油中での使用が意図される組成物は、典型的には、それが使用される油に可溶であり、及び/又は安定に分散される。本明細書及び添付の特許請求の範囲では「油に可溶」という用語は、当該組成物すべてが、すべての油にあらゆる割合で混和性又は可溶性であることを必ずしも意味しない。そうではなく、溶液が所望の諸性質の1つ以上を示すことができる程度に、組成物が、油(鉱油、合成油など)中に、又はそれが機能することが意図される調合済み潤滑剤中に、可溶性であることを意味するものとする。同様に、かかる「溶液」は、厳密な物理的又は化学的意味で真の溶液である必要はない。代わりに、かかる「溶液」は、本発明では、本発明の文脈において実際に真の溶液と互換性があるように、真の溶液の諸性質に十分近似した諸性質を示す、マイクロエマルジョン又はコロイド状分散体であり得る。
【0037】
ヒドロキシカルボン酸の誘導体(又はヒドロキシカルボン酸から誘導される化合物)は、潤滑組成物の0.1重量%から5重量%、又は0.2重量%から3重量%、又は0.2重量%超から3重量%の範囲の量で潤滑組成物中に存在することができる。
【0038】
リン酸エステルのアミン塩
一実施形態においては、潤滑組成物は、さらに、リン酸エステルのアミン塩を含む。リン酸エステルアミン塩の調製に利用されるリン酸は、リン酸又はチオリン酸のいずれかであり得る。
【0039】
リン酸エステルのアミン塩は、1から30、6から30、8から30、10から24又は12から20、又は16から20個の炭素原子を各々有するエステル基を含むことができる。ただし、エステル基の一部又はすべては、リン酸エステルのアミン塩を潤滑粘度の油に溶解させるのに十分な長さである。典型的には、4個以上の炭素原子を含むエステル基が特に有用である。
【0040】
適切なエステル基の例としては、イソプロピル、(1,3−ジメチルブチルとも称し得る)メチルアミル、2−エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ブタデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル又はその混合物が挙げられる。
【0041】
一実施形態においては、エステル基は、イソプロピル、(1,3−ジメチルブチルとも称し得る)メチルアミル、2−エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル及びその混合物からなる群から選択される。
【0042】
アミン塩として使用するのに適切であり得るアミンとしては、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン及びその混合物が挙げられる。アミンは、少なくとも1個のヒドロカルビル基又は、ある実施形態においては、2若しくは3個のヒドロカルビル基を有する、アミンを含む。ヒドロカルビル基は、2から30個の炭素原子を含むことができ、別の実施形態においては8から26、又は10から20、又は13から19個の炭素原子を含むことができる。
【0043】
第一級アミンとしては、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、オクチルアミン及びドデシルアミン、並びにn−オクチルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−オクタデシルアミン及びオレイルアミン(oleyamine)として直鎖アミンが挙げられる。別の有用な脂肪アミンとしては、Armeen C、Armeen O、Armeen OL、Armeen T、Armeen HT、Armeen S、及びArmeen SDなどの「Armeen(登録商標)」アミン(Akzo Chemicals,Chicago,Illinoisから入手可能な製品)などの市販脂肪アミンが挙げられる。ここで、文字名称は、ヤシ、オレイル、獣脂、ステアリル基などの脂肪族基に関する。
【0044】
適切な第二級アミンの例としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、メチルエチルアミン、エチルブチルアミン、エチルアミルアミン、ジココアミン及びジ−2−エチルヘキシルアミンが挙げられる。第二級アミンは、ピペリジン、ピペラジン、及びモルホリンなどの環式アミンであり得る。
【0045】
アミンは、第三級脂肪族第一級アミンでもあり得る。この場合の脂肪族基は、2から30、又は6から26、又は8から24個の炭素原子を含むアルキル基であり得る。第三級アルキルアミンとしては、tert−ブチルアミン、tert−ヘキシルアミン、1−メチル−1−アミノ−シクロヘキサン、tert−オクチルアミン、tert−デシルアミン、tert−ドデシルアミン、tert−テトラデシルアミン、tert−ヘキサデシルアミン、tert−オクタデシルアミン、tert−テトラコサニルアミン、及びtert−オクタコサニルアミンなどのモノアミンが挙げられる。
【0046】
リンの酸(phosphorus acid)のエステルのアミン塩は、C12〜20アルキルリン酸と第三級C11〜22アルキル第一級アミンの反応生成物であり得る。
【0047】
一実施形態においては、リン酸エステルのアミン塩は、C11〜C14第三級アルキル第一級アミノ基又はその混合物を有するアミンを含む。一実施形態においては、リン化合物のアミン塩は、C14〜C18第三級アルキル第一級アミン又はその混合物を有するアミンを含む。一実施形態においては、リン化合物のアミン塩は、C18〜C22第三級アルキル第一級アミン又はその混合物を有するアミンを含む。
【0048】
一実施形態においては、リン酸エステルのアミン塩としては、オクタデセニルリン酸とPrimene 81R(商標)との反応生成物が挙げられる。
【0049】
アミンの混合物を本発明に使用することもできる。一実施形態においては、有用なアミン混合物は「Primene(商標)81R」及び「Primene(商標)JMT」である。(どちらもRohm&Haasによって製造、及び販売されている)Primene(商標)81R及びPrimene(商標)JMTは、それぞれ、C11〜C14第三級アルキル第一級アミンの混合物及びC18〜C22第三級アルキル第一級アミンの混合物である。
【0050】
一実施形態においては、リン酸エステルのアミン塩は、C14〜C18アルキル化リン酸と、C11〜C14第三級アルキル第一級アミンの混合物であるPrimene 81R(商標)との反応生成物である。
【0051】
リン酸エステルのアミン塩の例としては、イソプロピルジチオリン酸、メチルアミルジチオリン酸(1,3−ジメチルブチルジチオリン酸又はその混合物)、2−エチルヘキシルジチオリン酸、ヘプチルジチオリン酸、オクチルジチオリン酸、ノニルジチオリン酸又はデシルジチオリン酸と、エチレンジアミン、モルホリン又はPrimene 81R(商標)との反応生成物(単数又は複数)、及びその混合物が挙げられる。
【0052】
リン酸エステルのアミン塩の例としては、テトラデシルジチオリン酸、ペンタデシルジチオリン酸、ヘキサデシルジチオリン酸、ヘプタデシルジチオリン酸、オクタデシルジチオリン酸、ノナデシルジチオリン酸又はエイコシルジチオリン酸と、エチレンジアミン、モルホリン又はPrimene 81R(商標)との反応生成物(単数又は複数)、及びその混合物が挙げられる。一実施形態においては、リン酸エステルのアミン塩としては、オクタデセニルジチオリン酸とPrimene 81R(商標)との反応生成物が挙げられる。
【0053】
一実施形態においては、リン化合物のアミン塩は、(i)リン酸のヒドロキシ置換ジエステル(a hydroxy−substituted di− ester of phosphoric acid)又は(ii)リン酸化されたリン酸のヒドロキシ置換ジ若しくはリン酸化されたリン酸のヒドロキシ置換トリエステル(a phosphorylated hydroxy−substituted di− or tri− ester of phosphoric acid)、のどちらかのアミン塩であり得る。このタイプの化合物のより詳細な説明は、国際公開第2008/094759号に記載されている。
【0054】
一実施形態においては、リン酸のアミン塩は、米国特許第3,197,405号に記載の化合物である。一実施形態においては、上で開示されたもの以外のリン化合物のアミン塩は、米国特許第3,197,405号の実施例1から25のいずれか1つによって調製することができる。
【0055】
一実施形態においては、上で開示されたもの以外のリン化合物のアミン塩は、ジチオリン酸と、エポキシド又はグリコールがと反応して調製される反応混合物である。この反応生成物を、さらに、リン酸、リン酸無水物又はリン酸低級エステルと反応させる(ここで、「低級」とは、エステルのアルコールに由来する部分における1から8、又は1から6、又は1から4、又は1から2個の炭素原子を示す。)。エポキシドは、脂肪族エポキシド又はスチレンオキシドを含む。有用なエポキシドの例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテンオキシド、オクテンオキシド、ドデセンオキシド、及びスチレンオキシドなどが挙げられる。一実施形態においては、エポキシドはプロピレンオキシドである。グリコールとしては、2から12、又は2から6、又は2から3個の炭素原子を有する脂肪族グリコールが挙げられる。ジチオリン酸、グリコール、エポキシド、無機リン試薬、及びそれらを反応させる方法は、米国特許第3,197,405号及び同3,544,465号に記載されている。次いで、生成した酸をアミンと塩形成させる。
【0056】
適切なジチオリン酸系生成物の一例は、(ジ(1,3−ジメチルブチル)ホスホロジチオ酸をプロピレンオキシド1.3モルと25℃で反応させて調製される)ヒドロキシプロピルO,O−ジ(1,3−ジメチルブチル)ホスホロジチオアート514グラムに五酸化リン(約64グラム)を58℃で45分間添加することによって調製される。混合物を75℃で2.5時間加熱し、けい藻土と混合し、70℃でろ過する。ろ液は、リン11.8重量%、硫黄15.2重量%、及び酸価87(ブロモフェノールブルー)を含む。
【0057】
リン酸エステルのアミン塩は、潤滑組成物の0重量%から5重量%、又は0.01重量%から5重量%、又は0.01重量%から2重量%、又は0.25重量%から1重量%で存在することができる。
【0058】
潤滑粘度の油
潤滑組成物は、潤滑粘度の油を含む。かかる油としては、天然及び合成油、水素化分解、水素化及び水素化仕上げ(hydrofinishing)から誘導される油、未精製、精製及び再精製油、並びにその混合物が挙げられる。
【0059】
未精製油は、一般に更なる精製処理なしで(又はほとんどなしで)、天然又は合成源から直接得られるものである。
【0060】
精製油は、1つ以上の精製段階で更に処理して1つ以上の性質を改善したことを除いて、未精製油に類似している。精製技術は、当分野で公知であり、溶媒抽出、二次蒸留、酸又は塩基抽出、ろ過、及びパーコレーションなどが挙げられる。
【0061】
再精製油は、再生又は再加工油としても知られ、精製油を得るのに使用されるプロセスに類似したプロセスによって得られ、使用済み添加剤及び油分解生成物の除去を対象とする技術によってさらに加工されることが多い。
【0062】
本発明の潤滑剤の作製に有用である天然油としては、動物油(例えば、ラード油)、植物油(例えば、ヒマシ油)、鉱油系潤滑油(例えば、液体石油、パラフィン系、ナフテン系若しくは混合パラフィン系−ナフテン系タイプの溶媒処理若しくは酸処理鉱油系潤滑油)、並びに石炭若しくは頁岩から誘導される油、又はその混合物が挙げられる。
【0063】
合成潤滑油は、有用であり、重合オレフィン及びインターポリマー化オレフィン(例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレンイソブチレンコポリマー);ポリ(1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテン)、ポリ(1−デセン)及びその混合物;アルキルベンゼン(例えば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ(2−エチルヘキシル)ベンゼン);ポリフェニル(例えば、ビフェニル、ターフェニル、アルキル化ポリフェニル);アルキル化ジフェニルエーテル及びアルキル化ジフェニルスルフィド、並びにその誘導体、類似体及び同族体などの炭化水素油、又はその混合物が挙げられる。
【0064】
他の合成潤滑油としては、(Priolube(登録商標)3970などの)ポリオールエステル、ジエステル、リン含有酸の液体エステル(例えば、リン酸トリクレシル、リン酸トリオクチル、及びデカンホスホン酸のジエチルエステル)、又は重合テトラヒドロフランが挙げられる。合成油は、Fischer−Tropsch反応によって生成することができ、典型的には、ヒドロ異性化(hydroisomerised)Fischer−Tropsch炭化水素又はワックスであり得る。一実施形態においては、油は、他のガストゥリキッド(GTL:gas−to−liquid)油同様、Fischer−Tropsch ガストゥリキッド合成手順によって調製することができる。
【0065】
潤滑粘度の油は、American Petroleum Institute(API)Base Oil Interchangeability Guidelinesに規定されたように定義することもできる。5つの基油グループは以下のとおりである:グループI(硫黄含有量>0.03重量%、及び/又は<90重量%飽和、粘度指数80〜120)、グループII(硫黄含有量≦0.03重量%、及び≧90重量%飽和、粘度指数80〜120)、グループIII(硫黄含有量≦0.03重量%、及び≧90重量%飽和、粘度指数≧120)、グループIV(すべてポリアルファオレフィン(PAO))、及びグループV(グループI、II、III又はIVに含まれないその他すべて)。潤滑粘度の油は、APIグループI油、APIグループII油、APIグループIII油、APIグループIV油、APIグループV油又はその混合物を含む。潤滑粘度の油は、APIグループI油、APIグループII油、APIグループIII油、APIグループIV油又はその混合物であることが多い。あるいは、潤滑粘度の油は、APIグループII油、APIグループIII油又はAPIグループIV油又はその混合物であることが多い。
【0066】
存在する潤滑粘度の油の量は、典型的には、ホウ酸化(borated)リン脂質と、リン酸エステルのアミン塩と、他の性能添加剤との合計量を100重量%から減算した残りである。
【0067】
潤滑組成物は、濃縮物及び/又は完全調合済み潤滑剤の形であり得る。本明細書に開示する潤滑組成物が、(追加の油と組み合わせて、全体的又は部分的に、完全な潤滑剤を形成することができる)濃縮物の形である場合、潤滑組成物の成分と潤滑粘度の油及び/又は希釈油との比は、重量で1:99から99:1又は重量で80:20から10:90の範囲を含む。濃縮物の形であるときには、本発明は、完全な潤滑剤組成物の一部であり得、補助添加剤パッケージ又は「トップ処理(top treat)」であり得る。
【0068】
他の性能添加剤
本発明の組成物は、場合によっては、少なくとも1種類の他の性能添加剤を更に含む。他の性能添加剤としては、分散剤、金属不活性化剤、洗浄剤、粘度調整剤、(典型的には、ホウ素含有及び/又は硫黄含有及び/又はリン含有)極圧剤、耐摩耗剤、(ヒンダードフェノール、アミン系酸化防止剤、又はモリブデン化合物などの)酸化防止剤、腐食防止剤、抑泡剤、解乳化剤、流動点降下剤、シール膨潤剤、摩擦調整剤及びその混合物が挙げられる。
【0069】
油を含まない基準で存在する(粘度調整剤以外の)他の性能添加剤の合計量は、組成物の0重量%から25重量%、又は0.01重量%から20重量%、又は0.1重量%から15重量%、又は0.5重量%から10重量%、又は1から5重量%の範囲を含むことができる。1種類以上の他の性能添加剤が存在し得るが、他の性能添加剤は、互いに異なる量で存在するのが一般的である。
【0070】
一実施形態においては、潤滑組成物は、モリブデン含有添加剤を含まない。
【0071】
粘度調整剤
一実施形態においては、潤滑組成物は、さらに、1種類以上の粘度調整剤を含む。
【0072】
粘度調整剤は、存在するときには、潤滑組成物の0.5重量%から70重量%、1重量%から60重量%、又は5重量%から50重量%、又は10重量%から50重量%の量で存在することができる。
【0073】
粘度調整剤としては、(a)ポリメタクリラート、(b)(i)ビニル芳香族モノマーと(ii)不飽和カルボン酸、酸無水物、又はその誘導体とのエステル型コポリマー、(c)(i)アルファオレフィンと(ii)不飽和カルボン酸、酸無水物、又はその誘導体のエステル型インターポリマー、又は(d)スチレン−ブタジエンの水素化コポリマー、(e)エチレン−プロピレンコポリマー、(f)ポリイソブテン、(g)水素化スチレン−イソプレンポリマー、(h)水素化イソプレンポリマー、若しくは(i)その混合物が挙げられる。
【0074】
一実施形態においては、粘度調整剤としては、(a)ポリメタクリラート、(b)(i)ビニル芳香族モノマーと(ii)不飽和カルボン酸、酸無水物又はその誘導体のエステル型コポリマー、(c)(i)アルファ−オレフィンと(ii)不飽和カルボン酸、酸、無水物又はその誘導体のエステル型インターポリマー、又は(d)その混合物が挙げられる。
【0075】
極圧剤
極圧剤としては、ホウ素及び/又は硫黄及び/又はリンを含む化合物が挙げられる。
【0076】
極圧剤は、潤滑組成物の0重量%から20重量%、又は0.05重量%から10重量%、又は0.1重量%から8重量%で潤滑組成物中に存在することができる。
【0077】
一実施形態においては、極圧剤は硫黄含有化合物である。一実施形態においては、硫黄含有化合物は、硫化オレフィン、ポリスルフィド又はその混合物であり得る。
【0078】
硫化オレフィンの例としては、プロピレン、イソブチレン、ペンテンから誘導される硫化オレフィン;ベンジルジスルフィドを含めた有機スルフィド及び/又はポリスルフィド;ビス(クロロベンジル)ジスルフィド;ジブチルテトラスルフィド;ジ第三級ブチルポリスルフィド;及びオレイン酸の硫化メチルエステル、硫化アルキルフェノール、硫化ジペンテン、硫化テルペン、硫化ディールス−アルダー付加体、アルキルスルフェニルN’N−ジアルキルジチオカルバマート;又はその混合物が挙げられる。一実施形態においては、硫化オレフィンとしては、プロピレン、イソブチレン、ペンテン又はその混合物から誘導される硫化オレフィンが挙げられる。
【0079】
一実施形態においては、極圧剤硫黄含有化合物としては、ジメルカプトチアジアゾール又はその誘導体若しくは混合物が挙げられる。ジメルカプトチアジアゾールの例としては、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール若しくはヒドロカルビル置換2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール又はそのオリゴマーが挙げられる。ヒドロカルビル置換2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールのオリゴマーは、典型的には、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール単位間の硫黄−硫黄結合を形成して、2個以上の前記チアジアゾール単位の誘導体又はオリゴマーを形成することによって、形成される。適切な2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール誘導化合物としては、2,5−ビス(tert−ノニルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール又は2−tert−ノニルジチオ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾールが挙げられる。
【0080】
ヒドロカルビル置換2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールのヒドロカルビル置換基上の炭素原子数は、典型的には、1から30、又は2から20、又は3から16を含む。
【0081】
一実施形態においては、極圧剤としてはホウ素含有化合物が挙げられる。ホウ素含有化合物としては、(一部の実施形態においては、ホウ酸化エポキシドとも称し得る)ホウ酸エステル、ホウ酸化アルコール、ホウ酸化分散剤又はその混合物が挙げられる。一実施形態においては、ホウ素含有化合物は、ホウ酸エステル又はホウ酸化アルコールであり得る。
【0082】
ホウ酸エステルは、ホウ素化合物とエポキシ化合物、ハロヒドリン化合物、エピハロヒドリン化合物、アルコール及びその混合物から選択される少なくとも1種類の化合物との反応によって調製することができる。アルコールとしては、二価アルコール、三価アルコール又は高級アルコールが挙げられる。ただし、一実施形態では、ヒドロキシル基は隣接炭素原子上、すなわちビシナルにある。
【0083】
ホウ酸エステルの調製に適切なホウ素化合物としては、(メタホウ酸、HBO、オルトホウ酸、HBO及びテトラホウ酸、Hを含めた)ホウ酸、酸化ホウ素、三酸化ホウ素及びホウ酸アルキルからなる群から選択される種々の形態が挙げられる。ホウ酸エステルは、ハロゲン化ホウ素から調製することもできる。
【0084】
一実施形態においては、適切なホウ酸エステル化合物としては、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリペンチル、ホウ酸トリヘキシル、ホウ酸トリヘプチル、ホウ酸トリオクチル、ホウ酸トリノニル及びホウ酸トリデシルが挙げられる。
【0085】
一実施形態においては、ホウ酸エステル化合物としては、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリ−2−エチルヘキシル又はその混合物が挙げられる。
【0086】
一実施形態においては、ホウ素含有化合物は、典型的にはN置換長鎖アルケニルスクシンイミドから誘導される、ホウ酸化分散剤である。一実施形態においては、ホウ酸化分散剤としてはポリイソブチレンスクシンイミドが挙げられる。ホウ酸化分散剤は、米国特許第3,087,936号及び特許第3,254,025号により詳細に記載されている。
【0087】
一実施形態においては、ホウ酸化分散剤は、硫黄含有化合物又はホウ酸エステルと併用することができる。
【0088】
一実施形態においては、極圧剤は、ホウ酸化分散剤以外である。
【0089】
長鎖アルケニル基から誘導される炭化水素の数平均分子量としては、350から5000、又は500から3000、又は550から1500の範囲が挙げられる。長鎖アルケニル基の数平均分子量は、550、又は750、又は950から1000であり得る。
【0090】
N置換長鎖アルケニルスクシンイミドは、ホウ酸(例えば、メタホウ酸、HBO、オルトホウ酸、HBO及びテトラホウ酸、H)、酸化ホウ素、三酸化ホウ素及びホウ酸アルキルを含めた種々の剤を使用してホウ酸化される。一実施形態においては、ホウ酸化剤は、ホウ酸であり、単独で、又は別のホウ酸化剤と組み合わせて使用することができる。
【0091】
ホウ酸化分散剤は、ホウ素化合物とN置換長鎖アルケニルスクシンイミドをブレンドし、それを所望の反応が起こるまで、例えば80℃から250℃、90℃から230℃、100℃から210℃などの適切な温度に加熱することによって、調製することができる。ホウ素化合物とN置換長鎖アルケニルスクシンイミドのモル比は、10:1から1:4若しくは4:1から1:3を含めた範囲であり得、又はホウ素化合物とN置換長鎖アルケニルスクシンイミドのモル比は1:2であり得る。不活性液体を反応の実施に使用することができる。不活性液体としては、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミド又はその混合物を挙げることができる。
【0092】
((a)ホウ酸化リン脂質、及び(b)リン酸エステルのアミン塩以外の)摩擦調整剤としては、脂肪アミン、ホウ酸化グリセロールエステルなどのエステル、脂肪ホスファイト、脂肪酸アミド、脂肪エポキシド、ホウ酸化脂肪エポキシド、アルコキシ化脂肪アミン、ホウ酸化アルコキシ化脂肪アミン、脂肪酸の金属塩、又は脂肪イミダゾリン、カルボン酸とポリアルキレン−ポリアミンの縮合物が挙げられる。
【0093】
一実施形態においては、潤滑組成物は、上記リン酸エステルのアミン塩の極圧剤として記載された化合物以外のリン含有耐摩耗剤又は硫黄含有耐摩耗剤を含むことができる。耐摩耗剤の例としては、非イオン性リン化合物(典型的には、酸化状態+3又は+5のリン原子を有する化合物)、金属ジアルキルジチオホスファート(典型的には、亜鉛ジアルキルジチオホスファート)、金属モノアルキルホスファート若しくは金属ジアルキルホスファート(典型的には、リン酸亜鉛)、又はその混合物を挙げることができる。
【0094】
非イオン性リン化合物としては、亜リン酸エステル、リン酸エステル又はその混合物が挙げられる。非イオン性リン化合物のより詳細な説明としては、米国特許出願第6,103,673号のカラム9、48行からカラム11、8行が挙げられる。
【0095】
一実施形態においては、本発明の潤滑組成物は、さらに、分散剤を含む。分散剤は、スクシンイミド分散剤(例えば、N置換長鎖アルケニルスクシンイミド)、Mannich分散剤、エステル含有分散剤、脂肪ヒドロカルビルモノカルボキシルアシル化剤とアミン若しくはアンモニアとの縮合物、アルキルアミノフェノール分散剤、ヒドロカルビル−アミン分散剤、ポリエーテル分散剤、又はポリエーテルアミン分散剤であり得る。
【0096】
一実施形態においては、スクシンイミド分散剤としてはポリイソブチレン置換スクシンイミドが挙げられ、分散剤から誘導されるポリイソブチレンの数平均分子量は400から5000、又は950から1600であり得る。
【0097】
スクシンイミド分散剤及びその調製方法は、米国特許第4,234,435号及び同3,172,892号により詳細に記載されている。
【0098】
適切なエステル含有分散剤は、典型的には高分子量エステルである。これらの材料は、米国特許第3,381,022号により詳細に記載されている。
【0099】
一実施形態においては、分散剤としてはホウ酸化分散剤が挙げられる。典型的には、ホウ酸化分散剤としては、ポリイソブチレンスクシンイミドを含めたスクシンイミド分散剤が挙げられ、分散剤から誘導されるポリイソブチレンの数平均分子量は400から5000であり得る。ホウ酸化分散剤は、上の極圧剤の記述でより詳細に述べられている。
【0100】
(DVMと称されることが多い)分散剤粘度調整剤としては、機能性ポリオレフィン、例えば、無水マレイン酸とアミンとの反応生成物で機能性を持たせたエチレン−プロピレンコポリマー、アミンで機能性を持たせたポリメタクリラートが挙げられ、又はアミンと反応させたエステル型スチレン−無水マレイン酸コポリマーを本発明の組成物に使用することもできる。
【0101】
腐食防止剤としては、1−アミノ−2−プロパノール、オクチルアミンオクタノアート、ドデセニルコハク酸若しくは酸無水物及び/又はオレイン酸などの脂肪酸とポリアミンとの縮合物が挙げられる。
【0102】
金属不活性化剤としては、ベンゾトリアゾール(典型的には、トリルトリアゾール)、1,2,4−トリアゾール、ベンゾイミダゾール、2−アルキルジチオベンゾイミダゾール又は2−アルキルジチオベンゾチアゾールの誘導体が挙げられる。金属不活性化剤は、腐食防止剤と記述することもできる。
【0103】
抑泡剤としては、アクリル酸エチルと2−エチルヘキシルアクリラートと、場合によっては酢酸ビニルとのコポリマーが挙げられる。
【0104】
解乳化剤としては、リン酸トリアルキル、並びにエチレングリコール、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はその混合物の種々のポリマー及びコポリマーが挙げられる。
【0105】
無水マレイン酸エステル−スチレン、ポリメタクリラート、ポリアクリラート又はポリアクリルアミドを含めた流動点降下剤。
【0106】
Exxon Necton−37(商標)(FN1380)及びExxon Mineral Seal Oil(商標)(FN3200)を含めたシール膨潤剤。
【0107】
産業上の利用
リミテッドスリップディファレンシャルは、典型的には、差動ハウジング又はキャリア中に配置された潤滑剤から分離された内蔵(self−contained)潤滑剤供給物を取り込む。リミテッドスリップディファレンシャルの内蔵潤滑剤は、一般に、手動変速装置流体又は自動変速装置流体に供給される潤滑剤とは異なる。リミテッドスリップディファレンシャルを含まない手動変速システムと自動変速システムの両方では、典型的には、1種類の潤滑剤で変速装置構成部品のすべてを潤滑するのに十分である。
【0108】
車軸ギアは、多くの異なるタイプの差動装置(differential)のいずれか1つを有することができる。差動装置は、典型的には、3つの主要な機能を有する。第1の機能は、エンジン出力を車輪に伝達することである。第2の機能は、自動車の最終ギア低下として作用し、変速装置から車輪へ回転速度を低下させる。第3の機能は、車輪を異なる速度で回転させながら、出力を車輪に伝達することである。多くの差動装置が公知であり、オープン差動装置、クラッチタイプリミテッドスリップディファレンシャル、粘性カップリング(viscous coupling)差動装置、Torsen差動装置及びロッキング差動装置が挙げられる。これらの差動装置のすべてを車軸ギアと総称することができる。
【0109】
車軸ギアは、典型的には、潤滑剤を必要とする。潤滑剤調合物は、車軸ギアのタイプ及び車軸ギアの作動条件に依存する。例えば、オープン差動装置車軸ギアは、耐摩耗添加剤及び/又は極圧添加剤を必要とすると考えられる。対照的に、リミテッドスリップディファレンシャルは、典型的には、摩擦調整剤を必要とする。というのは、(多数の車軸流体から公知である)オープン差動装置に加えて、スプリングパック及びクラッチパックが典型的には存在するからである。クラッチパックは、1個以上の(スチールでできていることが多い)反応板と1個以上の摩擦板とを含むことができる。摩擦板は公知であり、紙、カーボン、グラファイト、スチール及び複合材を含めて、多くの材料から作製することができる。
【0110】
リミテッドスリップディファレンシャルに適切な潤滑組成物の硫黄含有量は、0.3重量%から5重量%、又は0.5重量%から5重量%、又は0.5重量%から3重量%、又は0.8重量%から2.5重量%、又は1重量%から2重量%の範囲であり得る。
【0111】
一実施形態においては、リミテッドスリップディファレンシャルに適切な潤滑組成物は、完全調合済み流体であり得る。
【0112】
一実施形態においては、リミテッドスリップディファレンシャルに適切な潤滑組成物は、トップ処理濃縮物であり得る。
【0113】
潤滑組成物がトップ処理濃縮物の形であるときには、濃縮物は、リミテッドスリップディファレンシャル中の潤滑剤量に対して0.2重量%から10重量%、又は0.5重量%から7重量%で添加することができる。
【0114】
以下の実施例で本発明を説明する。これらの実施例は、すべてを網羅するものではなく、本発明の範囲を限定するものでもない。
【実施例】
【0115】
実施例1(EX1):市販スリップ制限車軸流体1271gをオレイル酒石酸イミド1.74重量%でトップ処理する。
【0116】
比較例1(CE1)は、オレイル酒石酸イミドを添加しない以外はEX1と同じ市販車軸流体である。
【0117】
調製された実施例(EX1及びCE1)をmu−PVT(異なる圧力、速度及び温度で得られた摩擦係数mu)摩擦スクリーニング試験によってLow Speed SAE#2試験機で評価する。この摩擦スクリーニング試験は、以下の板構造(S−F−S−F−S−F−S−F−S、ここでSはスチール板であり、Fは摩擦板である。)を有するMiba(商標)MC−631摩擦材料を用いたDana(商標)モデル80板構造を利用し、それによって8種類の活性な摩擦面を生成する。試験は、温度を50℃一定に保持しながら、異なる加圧及び板差動速度の図によって実施される。190、380、570、760、950及び1075kPaの6つの加圧設定がある。各加圧設定において、4つの異なる板差動速度15、50、85及び120rpmを使用する。各板差動速度において、25回の繰り返しサイクルを実施する。各試験は、合計600サイクル(6圧力×4速度×25サイクル)である。600サイクルmu−PVT又は摩擦図を耐久サイクルの前後に実施して、摩擦性能の変化を評価する。耐久サイクルは、流体温度80℃で570kPa一定加圧、及び板差動速度120から0rpmの繰り返しからなる。1回の完全なサイクルは、0rpmで5秒及び120rpmで5秒からなる。これを合計2500サイクル繰り返す。主要な測定は、個々の速度事象中のトルク信号の変化、又は事象中に得られる最小と最大摩擦係数の差を示す、NVH評点である。この測定は、以下の表に従ってトルク信号変化の大小に数値を割り当てる。
トルク信号変化 NVH評点
0から0.02の摩擦係数単位 0
0.02から0.04の摩擦係数単位 1
0.04から0.06の摩擦係数単位 2
0.06から0.08の摩擦係数単位 3
0.08から0.10の摩擦係数単位 4
0.10から0.12の摩擦係数単位 5
0.12から0.14の摩擦係数単位 6
0.14から0.16の摩擦係数単位 7
これらの評点は、1つの加圧及び速度設定で終了したすべてのサイクルに対して、次いで試験全体に対して、合計される。最大NVH評点は、9600ポイントである(6圧力×4速度×25繰り返し×8NVH評点=4800、耐久性評価前後で×2=9600)。これは、極めて低い摩擦性能と考えられる。最小NVH評点は0ポイントである。これは、優れた摩擦性能と考えられる。EX1の耐久後NVH評点は152であり、CE1は565である。EX1及びCE1の合計NVH評点はそれぞれ471及び728である。
【0118】
試験から得られるデータによれば、本発明の潤滑組成物は、チャタリングとして現れることが多い耐久後NVHに対して低い傾向を有するリミテッドスリップディファレンシャルを与えることができる。
【0119】
上記材料の一部は、最終調合物において相互作用することがあり、最終調合物の各成分は、最初に添加された成分とは異なり得ることが知られている。それによって形成される生成物は、本発明の潤滑剤組成物をその意図した用途に使用することによって形成される生成物を含めて、簡単には記述できない可能性がある。それでも、すべてのかかる改変及び反応生成物は本発明の範囲内に含まれ、本発明は、上記成分を混合することによって調製される潤滑剤組成物を包含する。
【0120】
本明細書では「ヒドロカルビル置換基」又は「ヒドロカルビル基」という用語は、当業者に周知であるその通常の意味で使用される。具体的には、それは、分子の残部に直接結合した炭素原子を有し、主に炭化水素の特性を有する、基を指す。ヒドロカルビル基の例としては、以下が挙げられる。
【0121】
(i)炭化水素置換基、すなわち、脂肪族(例えば、アルキル又はアルケニル)置換基、脂環式(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル)置換基、芳香族−、脂肪族−及び脂環式−置換芳香族置換基、並びに環が分子の別の部分を介して完結する(例えば、2個の置換基が一緒に環を形成する)環式置換基、
(ii)置換炭化水素置換基、すなわち、本発明の文脈において、置換基の主として炭化水素的な性質を変えない非炭化水素基を含む置換基(例えば、ハロ(特にクロロ及びフルオロ)、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソ及びスルホキシ)、
(iii)ヘテロ置換基、すなわち、主として炭化水素的な性質を有するが、本発明の文脈において、環又は鎖中の炭素以外を含み、この環又は鎖中はそれ以外は炭素原子で構成される、置換基、並びに
(iv)ヘテロ原子は、硫黄、酸素、窒素を含み、ピリジル、フリル、チエニル及びイミダゾリルとして置換基を包含する。一般に、2個以下、好ましくは1個以下の非炭化水素置換基が、ヒドロカルビル基中の10個の炭素原子ごとに存在し、典型的には、ヒドロカルビル基中に非炭化水素置換基は存在しない。
【0122】
上で言及した文書の各々を参照により本明細書に援用する。実施例を除いて、又は特に明示しない場合、この記述において材料、反応条件、分子量、炭素原子数などの量を特定するすべての数量は、「約」という語によって修飾されると理解すべきである。別段の記載がない限り、本明細書で言及する各化学物質又は組成物は、市販グレードの材料であると解釈すべきであり、異性体、副生成物、誘導体、及び市販グレードに存在すると通常は理解される他のかかる材料を含み得る。しかし、各化学成分の量は、別段の記載がない限り、市販材料中に慣習的に存在し得る任意の溶媒又は希釈油を除いて示される。本明細書に記載の量、範囲、並びに比率の、上限及び下限は、独立に組み合わせることができることを理解されたい。同様に、本発明の各要素の範囲及び量は、他の要素のいずれかの範囲又は量と一緒に使用することができる。
【0123】
本発明をその好ましい実施形態に関連して説明したが、本明細書を読むことによって、その種々の改変が当業者に明白になるであろうことを理解されたい。したがって、本明細書に開示する本発明は、添付の特許請求の範囲内にあるかかる改変を包含するように意図されることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ヒドロキシカルボン酸の誘導体と(b)潤滑粘度の油とを含む潤滑組成物をリミテッドスリップディファレンシャルに供給することを含む、該リミテッドスリップディファレンシャルを潤滑する方法。
【請求項2】
前記ヒドロキシカルボン酸の誘導体がヒドロキシポリカルボン酸の誘導体である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ヒドロキシポリカルボン酸の誘導体が、ヒドロキシカルボン酸ジエステル、ヒドロキシカルボン酸ジアミド、ヒドロキシカルボン酸イミド、ヒドロキシカルボン酸ジイミド、ヒドロキシカルボン酸エステルアミド、ヒドロキシカルボン酸エステルイミド及びヒドロキシカルボン酸イミドアミドからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ヒドロキシポリカルボン酸の誘導体が、ヒドロキシカルボン酸イミド、ヒドロキシカルボン酸ジイミド、ヒドロキシカルボン酸エステルイミド及びヒドロキシカルボン酸イミドアミドからなる群から選択される、先行する請求項2から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記ヒドロキシポリカルボン酸の誘導体が、ヒドロキシカルボン酸イミド及びヒドロキシカルボン酸ジイミドからなる群から選択される、先行する請求項2から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記ヒドロキシポリカルボン酸の誘導体が、酒石酸の誘導体、クエン酸のイミド誘導体、又はその混合物である、先行する請求項2から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記ヒドロキシポリカルボン酸の誘導体が、酒石酸のイミド誘導体、クエン酸のイミド誘導体、又はその混合物である、先行する請求項2から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記ヒドロキシポリカルボン酸の誘導体が、酒石酸のイミド誘導体又はその混合物である、先行する請求項2から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記ヒドロキシカルボン酸の誘導体が、前記潤滑組成物の0.1重量%から5重量%、又は0.2重量%から3重量%、又は0.2重量%超から3重量%の範囲の量で存在する、先行する請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
硫黄含有化合物を更に含む、先行する請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記硫黄含有化合物が、ジメルカプトチアジアゾール若しくは誘導体又はその混合物である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記硫黄含有化合物が、ポリスルフィド又は硫化オレフィンである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記潤滑組成物がリン含有化合物を更に含む、先行する請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記リン含有化合物がリン酸エステルのアミン塩である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記リン酸エステルのアミン塩が、(i)リン酸のヒドロキシ置換ジエステル又は(ii)リン酸化されたリン酸のヒドロキシ置換ジ若しくはリン酸化されたリン酸のヒドロキシ置換トリエステル、のどちらかのアミン塩である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記潤滑組成物がホウ素含有化合物を更に含む、先行する請求項1から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記ホウ素含有化合物が、ホウ酸化分散剤、ホウ酸エステル又はホウ酸化リン脂質である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記潤滑組成物が、0.3重量%から5重量%、又は0.8重量%から2.5重量%の範囲の硫黄含有量を有する、先行する請求項1から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記潤滑組成物がトップ処理濃縮物である、先行する請求項1から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記潤滑組成物が完全調合済み流体である、先行する請求項1から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
許容レベルの(i)潤滑剤熱安定性、(ii)潤滑剤酸化安定性、(iii)摩擦係数、(iv)燃費、(v)付着抑制、(vi)シール適合性、(vii)清浄度、及び(viii)チャタリング(異音)の少なくとも1つを提供するための、リミテッドスリップディファレンシャルにおける先行する請求項1から19のいずれかに記載のヒドロキシカルボン酸の誘導体の使用。
【請求項22】
許容レベルの摩擦を提供するための、リミテッドスリップディファレンシャルにおける任意の先行する請求項1から19に記載のヒドロキシカルボン酸の誘導体の使用。

【公表番号】特表2012−511593(P2012−511593A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539789(P2011−539789)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/067091
【国際公開番号】WO2010/077630
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(591131338)ザ ルブリゾル コーポレイション (203)
【氏名又は名称原語表記】THE LUBRIZOL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】29400 Lakeland Boulevard, Wickliffe, Ohio 44092, United States of America
【Fターム(参考)】