説明

ヒドロキシルポリマー含有繊維を形成するための回転紡績加工

回転紡糸加工、より詳しくは回転紡糸ダイ、この加工により製造されたヒドロキシルポリマー含有繊維及びヒドロキシルポリマー含有繊維で製造されたウェブを使用してヒドロキシルポリマー含有繊維を製造するための加工が提供される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒドロキシルポリマー含有繊維を形成するための回転紡糸加工、より詳しくは、回転紡糸ダイ、そのような回転紡糸加工で製造されたヒドロキシルポリマー含有繊維及びそのようなヒドロキシルポリマー含有繊維で製造されたウェブを使用してヒドロキシルポリマー含有繊維を製造するための加工に関する。
【背景技術】
【0002】
ナイフエッジダイ及び/又はスパンボンドダイ及び/又はメルトブローンダイを使用するもののような、繊維を製造するための非回転紡糸加工が、当該技術分野において既知である。
【0003】
ヒドロキシルポリマーを含まない、繊維を製造するための回転紡糸加工も、当該技術分野において既知である。例えば、ファイバーグラス原料の繊維が回転紡糸加工により形成され得ることが知られている。しかしながら、先行技術は、ヒドロキシルポリマー含有繊維、特に消費者製品に好適な湿潤強度特性及び/又は溶解度特性を示すヒドロキシルポリマー含有繊維を製造するための回転紡糸加工を教示又は提案していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それ故に、ヒドロキシルポリマー含有繊維を製造するための回転紡糸加工の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ヒドロキシルポリマー含有繊維を製造するための回転紡糸加工を提供することによって上述の必要性を満たす。
【0006】
本発明の1つの例では、ヒドロキシルポリマー含有繊維を製造するための加工は、ヒドロキシルポリマー含有繊維が形成されるように、ヒドロキシルポリマー含有組成物を回転紡糸加工に付す工程を含む。
【0007】
別の実施形態では、ヒドロキシルポリマー含有繊維を製造するための加工であって、
a.ヒドロキシルポリマー含有組成物を準備する工程と、
b.ヒドロキシルポリマー含有組成物を回転紡糸ダイに供給する工程と、
c.ヒドロキシルポリマー含有組成物が1以上のヒドロキシルポリマー含有繊維として回転紡糸ダイを出るように、回転紡糸ダイを操作する工程と、を含む加工が準備される。
【0008】
本発明の更に別の例では、本発明の加工により生産されたヒドロキシルポリマー含有繊維が提供される。
【0009】
本発明の更に別の例では、本発明に従うヒドロキシルポリマー含有繊維を含むウェブが提供される。
【0010】
本発明の更に別の例では、1以上のヒドロキシルポリマー含有繊維を製造するための加工、1以上のヒドロキシルポリマー含有繊維が生産されるように、ヒドロキシルポリマー含有組成物を回転紡糸加工に付す工程を含む加工が提供される。
【0011】
本発明の更に別の例では、1以上のヒドロキシルポリマー含有繊維を製造するための加工であって、
a.第1の原料を含む第1の組成物を準備する工程と、
b.第2の原料を含む第2の組成物を準備する工程と、
c.第1及び第2の組成物を回転紡糸ダイに供給する工程と、
d.第1及び第2の組成物が1以上の多成分繊維として回転紡糸ダイを出るように、回転紡糸ダイを操作する工程であって、第1の原料及び第2の原料の少なくとも1つが、ヒドロキシルポリマーを含む工程と、
を含む加工が提供される。
【0012】
それ故に、本発明は、ヒドロキシルポリマー含有繊維を製造するための加工、そのような加工により生産されたヒドロキシルポリマー含有繊維、及びそのようなヒドロキシルポリマー含有繊維を含むウェブを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(定義)
「非回転紡糸加工」とは、本明細書で使用する時、ヒドロキシルポリマー含有組成物が非回転紡糸ダイを出る時にヒドロキシルポリマー含有繊維がヒドロキシルポリマー含有組成物から形成される加工を意味する。ヒドロキシルポリマー含有組成物は、ヒドロキシルポリマー含有組成物が非回転紡糸ダイを出る時に、細長化(attenuation)流体流及び/又は重力及び/又は機械力及び/又は電気力によるヒドロキシルポリマー含有組成物の細長化の結果として、ヒドロキシルポリマー含有繊維に形成される。図1は、ヒドロキシルポリマー含有繊維を製造するための非回転紡糸加工の略図である。図1に示されるように、非回転紡糸ダイ10は、ここを通して細長化流体流14がダイ10を出る細長化流体流開口部12、ここを通してヒドロキシルポリマー含有組成物18がダイ10から出てヒドロキシルポリマー含有繊維20の形態に細長化するヒドロキシルポリマー含有組成物開口部16を含み、細長化流体流14のみの結果としてヒドロキシルポリマー含有繊維20の形態に細長化される。
【0014】
「回転紡糸加工」とは、本明細書で使用する時、ヒドロキシルポリマー含有組成物が回転紡糸ダイを出る時に、非ヒドロキシルポリマー含有繊維がヒドロキシルポリマー含有組成物から形成される加工を意味する。ヒドロキシルポリマー含有組成物が回転紡糸ダイを出る時に、細長化流体流のみ及び/又は重力及び/又は機械力及び/又は電気力以外の細長化力によるヒドロキシルポリマー含有組成物の細長化の結果として、ヒドロキシルポリマー含有組成物がヒドロキシルポリマー含有繊維に形成される。図2A及び2Bは、ヒドロキシルポリマー含有繊維を製造するための回転紡糸加工の一例の略図である。
【0015】
「細長化流体流」とは、本明細書で使用する時、 好ましくはヒドロキシルポリマー含有組成物がヒドロキシルポリマー含有繊維に取り込まれるようにヒドロキシルポリマー含有組成物を加速させる別個の流体流を意味する。
【0016】
「別個の流体流」とは、本明細書で使用する時、ヒドロキシルポリマー含有組成物が1以上の気体により加速されるように、十分な速度及びヒドロキシルポリマー含有組成物への近接性を示す空気などの、1以上の気体を意味する。
【0017】
「繊維」又は「フィラメント」とは本明細書で使用する時、長軸と直角であるその繊維の2つの互いに直行する軸と比較して非常に長い長軸を有する、細長い(slender)、肉細の(thin)、及び高度に可撓性の物体を意味する。好ましくは、長軸と直角な繊維の断面の等価直径に対するその長軸の長さの縦横比は、100/1よりも大きく、より具体的には500/1よりも大きく、なおより具体的には1000/1よりも大きく、さらにより具体的には5000/1よりも大きい。この繊維は、連続した、或いは実質的に連続した繊維であってよく、又はそれらは不連続の繊維であってもよい。
【0018】
本発明の繊維は、本明細書に記載される繊維直径試験方法によって測定した場合に、約50ミクロン未満、及び/若しくは約20ミクロン未満、及び/若しくは約10ミクロン未満、及び/若しくは約8ミクロン未満、及び/若しくは約6ミクロン未満、及び/若しくは約4ミクロン未満の繊維直径を有していてよい。
【0019】
「紡糸加工温度」とは本明細書で使用する時、ヒドロキシルポリマー含有繊維が形成される時に、そのヒドロキシルポリマー含有繊維がロータリー紡糸ダイの外側面で細長化される(attenuated)温度を意味している。
【0020】
「ヒドロキシルポリマー含有組成物」とは本明細書で使用する時、少なくとも1つのヒドロキシルポリマーを含む組成物を意味する。1つの例では、ヒドロキシルポリマー含有組成物は分解する前に溶融しない物質を少なくとも1つ含む。例えば、ヒドロキシルポリマーは溶融するというよりもむしろ、水に溶解することができ、その後繊維形成プロセスの間に乾燥される(水の除去)ことができる。
【0021】
(ヒドロキシルポリマー含有組成物)
ヒドロキシルポリマー含有組成物はヒドロキシルポリマーを含む。「ヒドロキシルポリマー」とは本明細書で使用する時、10重量%よりも多くの、及び/若しくは20重量%よりも多くの、及び/若しくは25重量%よりも多くのヒドロキシル基を含有するあらゆるポリマーを意味する。
【0022】
ヒドロキシルポリマー含有組成物は、少なくとも1つがヒドロキシルポリマーであるポリマー類、並びに/又は無機及び有機の両方の充填剤類、並びに/又は繊維類及び/若しくは発泡剤類のブレンドを含有する複合物であってもよい。
【0023】
ヒドロキシルポリマー含有組成物は既に形成されていてもよい。1つの例では、ヒドロキシルポリマーは、ヒドロキシルポリマー含有組成物を形成するために、水のような液体との接触によって可溶化されてもよい。こうした液体は、本発明の目的のためには外的な可塑剤の機能を果たすものとみなしてよい。あるいは、ヒドロキシルポリマー含有組成物が組成物を繊維に紡糸するための好適な特性を示すようなヒドロキシルポリマー含有組成物を生産する、当業者に既知のその他のいかなる好適な加工も、使用することができる。
【0024】
ヒドロキシルポリマー含有組成物は、そのヒドロキシルポリマー含有組成物から繊維を製造する時に、約23℃〜約100℃、及び/若しくは約65℃〜約95℃、及び/若しくは約70℃〜約90℃の温度を有し、並びに/又はその温度に曝されてよい。
【0025】
ヒドロキシルポリマー含有組成物のpHは、約2.5〜約9、及び/若しくは約3〜約8.5、及び/若しくは約3.2〜約8、及び/若しくは約3.2〜約7.5であってよい。
【0026】
ヒドロキシルポリマー含有組成物は、本明細書に記載されるヒドロキシルポリマー含有組成物の剪断粘度試験方法に従って測定した場合、3,000sec-1の剪断速度及び紡糸加工温度において測定した時に、約300Pa.s未満、及び/若しくは約0.1Pa.s〜約300Pa.s、及び/若しくは約1Pa.s〜約250Pa.s、及び/若しくは約3Pa.s〜約200Pa.sの剪断粘度を有してよい。
【0027】
1つの実施例では、本発明のヒドロキシルポリマー含有組成物は、そのヒドロキシルポリマー含有組成物の少なくとも約5重量%、及び/又は15重量%、及び/又は少なくとも約20重量%及び/若しくは30重量%及び/若しくは40重量%及び/若しくは45重量%及び/若しくは50重量%から約75重量%及び/若しくは80重量%及び/若しくは85重量%及び/若しくは90重量%及び/若しくは95重量%及び/若しくは99.5重量%までのヒドロキシルポリマーを含んでいてよい。ヒドロキシルポリマーは架橋の前に、約100,000g/モルより大きな重量平均分子量を有していてよい。
【0028】
架橋系はヒドロキシルポリマー含有組成物中に存在していてもよく、及び/又はそのヒドロキシルポリマー含有組成物のポリマー加工の前にそのヒドロキシルポリマー含有組成物に添加されてもよい。
【0029】
ヒドロキシルポリマー含有組成物は、a)そのヒドロキシルポリマー含有組成物の少なくとも約5重量%、及び/又は15重量%、及び/又は少なくとも約20重量%及び/若しくは30重量%及び/若しくは40重量%及び/若しくは45重量%及び/若しくは50重量%から約75重量%及び/若しくは80重量%及び/若しくは85重量%までのヒドロキシルポリマーと、b)そのヒドロキシルポリマー含有組成物の約0.1重量%〜約10重量%の架橋剤を含む架橋系と、c)そのヒドロキシルポリマー含有組成物の約10重量%及び/若しくは15重量%及び/若しくは20重量%から約50重量%及び/若しくは55重量%及び/若しくは60重量%及び/若しくは70重量%までの外的な可塑剤、例えば水、を含んでいてよい。
【0030】
(ヒドロキシルポリマー含有組成物の合成)
本発明のヒドロキシルポリマー含有組成物は、ベント式二軸スクリュー押出機のようなスクリュー押出成形機を用いて調製されてよい。
【0031】
APVベイカー(APV Baker)(英国ピーターボロー(Peterborough))二軸スクリュー押出機のバレル60が、図3Aに概略的に示されている。バレル60は8つの領域に分離されており、領域1〜8として識別される。バレル60は図3Bに概略的に示されている押出スクリュー及び混合要素を取り囲んでおり、押出成形プロセスの間、収容容器としての役割を果たす。固体供給ポート62が領域1内に配置され、液体供給ポート64が領域1内に配置されている。押出成形機から出る前に混合物の水分のような液体含有量を冷却して減少させるために、ベント66が領域7内に含まれている。ヒドロキシルポリマー含有組成物がベント66を通って流出するのを防ぐために、APVベイカー(APV Baker)から市販されている任意のベント用詰め物を利用することができる。バレル60を通るヒドロキシルポリマー含有組成物の流れは領域1から始まり、領域8においてバレル60を出る。
【0032】
二軸スクリュー押出機のためのスクリュー及び混合要素の構成は図3Bに概略的に示されている。二軸スクリュー押出機は、直列に設置された複数のツインリードスクリュー(TLS)(A及びBで示されている)及びシングルリードスクリュー(SLS)(C及びDで示されている)を含む。スクリュー要素(A〜D)は連続リードの数及びこれらのリードのピッチにより特徴付けられる。
【0033】
リードはスクリュー要素の芯に巻きつく(所与のねじれ角における)フライトである。リードの数はそのスクリューの長さに沿ったいずれかの所与の位置において芯に巻きついているフライトの数を示す。リードの数が増すと、スクリューの容積が減少し、スクリューの能力を生じさせる圧力が増大する。
【0034】
スクリューのピッチは、フライトが芯の1回の回転を完了するために必要な距離である。それは、フライトの1回の完全な回転当たりのスクリュー要素の直径の数として表される。スクリューのピッチが減少すると、スクリューによって生ずる圧力が増大し、スクリューの容積が減少する。
【0035】
スクリュー要素の長さは、その要素の長さをその要素の直径で割った比として報告される。
【0036】
この実施例はTLS及びSLSを使用している。スクリュー要素Aはピッチ1.0及び長さ比1.5のTLSである。スクリュー要素Bはピッチ1.0及びL/D比1.0のTLSである。スクリュー要素Cはピッチ1/4及び長さ比1.0のSLSである。スクリュー要素Dはピッチ1/4及び長さ比1/2のSLSである。
【0037】
混合要素として機能する双葉パドル(Bilobal paddles)Eもまた、混合を強化するためにSLS及びTLSスクリュー要素と直列に含まれる。流量及び対応する混合時間を制御するために、種々の形状の双葉パドル(bilobal paddles)及び反転要素F(反対方向へとねじ込まれるシングル及びツインリードスクリュー)が用いられる。
【0038】
領域1において、ヒドロキシルポリマーが、K−トロン(K-Tron)(ニュージャージー州ピットマン(Pitman))重量計量フィーダー(loss-in-weight feeder)を用いて、230g/分の速度で固体供給ポートに供給される。このヒドロキシルポリマーは、押出成形機(領域1)の内部で、液体供給部においてミルトンロイ(Milton Roy)(ペンシルベニア州アイビーランド(Ivyland))ダイヤフラムポンプ(7.2L(1.9ガロン)/時間ポンプヘッド)を用いて146g/分の速度で添加される水、外的な可塑剤と組み合わされ、ヒドロキシルポリマー/水スラリーを形成する。このスラリーは次いで押出成形機のバレルへと運び込まれて蒸解される(cooked)。表1に、押出成形機の各領域の温度、圧力、及び対応する働きが記載されている。
【0039】
【表1】

スラリーが押出成形機を出た後、ヒドロキシルポリマー/水スラリーの一部が捨てられ、その他の部分(100g)はゼニス(Zenith)(登録商標)、PEP II型(ノースカロライナ州サンフォード(Sanford))内に供給され、SMX形式スタティックミキサー(コッホ−グリッチ(Koch-Glitsch)、イリノイ州ウッドリッジ(Woodridge))へと送られる。スタティックミキサーを使用して架橋剤、架橋促進剤、更なる水のような外的な可塑剤、などの更なる外的な可塑剤のような追加の添加剤をヒドロキシルポリマー/水スラリーと組み合わせ、ヒドロキシルポリマー含有組成物を形成する。これらの添加剤は、プレップ100HPLCポンプ(PREP 100 HPLC pumps)(クロム・テック(Chrom Tech)、ミネソタ州アップルバレー(Apple Valley))によってスタティックミキサーへと送られる。これらのポンプは高圧低容積添加能力を提供する。本発明のヒドロキシルポリマー含有組成物は、ヒドロキシルポリマー含有繊維に紡糸される状態にある。
【0040】
(回転紡糸加工を使用した繊維紡糸)
本発明によるヒドロキシポリマーを含む繊維を調製するための回転紡糸加工の非限定的な例を以下に挙げる。
【0041】
ヒドロキシルポリマー含有組成物は、上述のヒドロキシルポリマー含有組成物の合成に従って調製される。図4に示されるように、ヒドロキシルポリマー含有組成物は、回転紡糸加工(又は回転ポリマー加工作業)によってヒドロキシルポリマー含有繊維に紡糸されることができる。「ポリマー加工」とは、本明細書で使用する時、ヒドロキシルポリマー含有組成物からヒドロキシルポリマーを含む繊維を形成するあらゆる操作及び/又はプロセスを意味する。
【0042】
図2A及び2Bに示されるように、本発明に従った回転紡糸システム22の1つの例では、回転紡糸システム22は、底壁26及び外側環状壁28を備える回転紡糸ダイ24を含んでもよい。底壁26及び外側環状壁28は、受入区画30が画定されるように互いに結合している。回転紡糸システム22は、受入区画30と流体連通しているヒドロキシルポリマー含有組成物供給源32を更に含む。ヒドロキシルポリマー含有組成物供給源32は、ヒドロキシルポリマー含有組成物34を受入区画30に送達することができる。
【0043】
外側環状壁28は、ヒドロキシルポリマー含有組成物34が作業中にそこを通って回転紡糸ダイ24を出ることができる少なくとも1つの穴36を含む。回転紡糸ダイ24は、受入区画30を更に画定するために、外側環状壁28と結合している上壁38を更に含んでもよい。回転紡糸システム22は、矢印Aで表されるように、回転紡糸ダイ24内へ及び/又はその周囲に湿潤空気を送達することができる湿潤空気供給源40を更に含んでもよい。
【0044】
底壁26は、受入区画30内のヒドロキシルポリマー含有組成物34の動きを促進及び/又は補助するチャネル及び/又は溝(図示せず)を含んでもよい。
【0045】
回転紡糸システム22は湿潤空気Aを導くエアディフレクタ42を含んでもよい。1つの例では、エアディフレクタ42は回転紡糸ダイ24に取り付けられる。別の例では、エアディフレクタ42は回転紡糸ダイ24から離れて別個である。更に別の例では、エアディフレクタ42は、上部カバー42’及び下部カバー42”を含み、上部カバー42’及び下部カバー42”の1つは回転紡糸ダイ24に取り付けられ、他方は回転紡糸ダイ24から離れて別個である。
【0046】
エアディフレクタ42は、外側環状壁28の穴36を出ている繊維44に湿潤空気Aが接触するように湿潤空気Aを導くことができる。
【0047】
湿潤空気Aは、ヒドロキシルポリマー含有組成物34及び/又はヒドロキシルポリマー含有繊維44を湿潤させることができる。湿潤空気Aは、50%を超える及び/又は60%を超える及び/又は70%を超える相対湿度を示してもよい。1つの例では、湿潤空気Aは、回転紡糸ダイ24の外側環状壁28に隣接する面積に供給される。別の例では、湿潤空気Aは、穴36に隣接する外側環状壁28にある開口部(図示せず)を通して供給される。そのような開口部の非限定的な例には、回転紡糸ダイ24を出ている1以上の繊維44に隣接して湿潤空気を提供することができる孔又は溝穴が挙げられる。
【0048】
湿潤空気Aを導くこと以外に、エアディフレクタ42は、回転紡糸ダイ24及び/又は繊維44に接触する非湿潤空気の量を最小化することができる。
【0049】
ダイ内部に湿潤空気を加えることにより、ヒドロキシルポリマー含有組成物34が回転紡糸ダイ24の穴36を通って容易に流れない程度まで時期尚早に乾燥する傾向を低減することができる。湿潤空気Aは、ヒドロキシルポリマー含有組成物34が回転紡糸ダイ24の穴36を通って支障なく流れるように、ヒドロキシルポリマー含有組成物34を流体の状態に維持することができる。
【0050】
回転紡糸システム22は、回転紡糸ダイ24を取外し可能に受け入れる及び/又は取外しができない方法で受け入れることができる取付けシステム46を更に含んでもよい。取付けシステム46は、作業中に取付けシステム46、従って回転紡糸ダイ24を軸Rの周りで半径方向に回転させることができる駆動モーター又はその他の装置と結合していてもよい。
【0051】
回転紡糸システム22の作業中、回転紡糸ダイ24は軸Rの周りを回転しながら、受入区画30に存在し回転紡糸ダイ24の壁と接触しているヒドロキシルポリマー含有組成物34に慣性を付与する。ヒドロキシルポリマー含有組成物34は外側環状壁28と接触し、外側環状壁28の少なくとも1つの穴36を通って回転紡糸ダイ24を出る前に、一時的に蓄積する。ヒドロキシルポリマー含有組成物28に付与された慣性の結果として、また少なくとも1つの穴36を通って回転紡糸ダイ24を出ているヒドロキシルポリマー含有組成物34の結果として、ヒドロキシルポリマー含有組成物34は1以上の繊維44に細長化される。ヒドロキシルポリマー含有組成物34に付与された慣性の結果として、ヒドロキシルポリマー含有組成物34を繊維44に細長化するために、細長化流体流が必要である。しかしながら、別の例では、ヒドロキシルポリマー含有組成物34のヒドロキシルポリマー含有繊維44への細長化を更に補助するために、細長化流体流はまたヒドロキシルポリマー含有組成物34に適用されてもよい。
【0052】
ヒドロキシルポリマー含有組成物34の回転紡糸ダイ24への供給(feeding)/供給(supplying)は、バッチ及び/又は連続プロセスであることができる。1つの例では、ヒドロキシルポリマー含有組成物34は、連続又は半連続プロセスにより回転紡糸ダイ24に供給される。回転紡糸ダイ24は、ヒドロキシルポリマー含有組成物34が回転紡糸ダイ24に供給されている時点で回転していてもよいし、そうでなくてもよい。
【0053】
ヒドロキシルポリマー含有繊維44は、ウェブを形成するために、集合装置(図示せず)に集められてもよい。1つの例では、集合装置上への繊維44の収集を促進するために真空を使用することができる。更に、繊維44は、一定の方法で集合装置上に集められ得る。
【0054】
回転紡糸ダイ24の直径は、作業中にその外側環状壁の外面48が約1m/s〜約300m/s及び/又は約10m/s〜約200m/s及び/又は約10m/s〜約100m/sの先端速度(tip velocity)を示すようであってもよい。
【0055】
外側環状壁28の少なくとも1つの穴36は、約0.1〜約10グラム/穴/分(「ghm」)及び/又は約0.2〜約10ghm及び/又は約0.3〜約8ghmのヒドロキシルポリマー含有組成物34の処理量を提供するように構成されてもよい。グラム/穴/分は、ヒドロキシルポリマー含有組成物がそこから回転紡糸ダイを出る穴のある外側環状壁を有さない円板などの回転紡糸ダイの例では、グラム/流れを発生させる繊維/分として考えることができ、その例を以下に記述する。
【0056】
回転紡糸ダイは、繊維の形態で円板を出る前に、ヒドロキシルポリマー含有組成物がそこで接触することができる表面を有する円板であってもよい。円板は比較的平坦であってもよく、又はヒドロキシルポリマー含有組成物が円板を出るように動く際にその動きの経路を制御するための溝及び/若しくはくぼみを含むように設計及び/若しくは修正されてもよい。
【0057】
更に別の例では、回転紡糸ダイは、繊維の形態でドラム又はバレルを出る前に、ヒドロキシルポリマー含有組成物がそこで接触することができる表面を有するドラム又はバレルであってもよい。円板と同様に、ドラム若しくはバレルは、比較的平坦であってもよく、又はヒドロキシルポリマー含有組成物がドラム若しくはバレルを出るように動く際にその動きの経路を制御するための溝及び/若しくはくぼみを含むように設計及び/若しくは修正されてもよい。
【0058】
一般に、回転紡糸ダイは、ヒドロキシルポリマー含有組成物が表面に接触し、続いてその表面を出る時に、ヒドロキシルポリマー含有繊維が形成されるように、回転など動くことができるいかなる表面であることもできる。
【0059】
図2A及び図2Bは、その周りで回転紡糸ダイ24が回転する軸Rに関して垂直になる方法でヒドロキシルポリマー含有繊維44を生産する回転紡糸ダイ24を有する回転紡糸システム22の一例を表すが、ヒドロキシルポリマー含有繊維44は、軸Rに関して平行になる方法及び/又は軸Rに関して他の任意の方向になる方法で回転紡糸ダイ24から生産されることができる。
【0060】
別の例では、ヒドロキシルポリマー含有繊維44を乾燥させるために、約50%未満及び/又は約40%未満及び/又は約30%未満及び/又は約20%未満の相対湿度において約100℃を超える乾燥空気温度で乾燥空気を提供することが可能であり得る乾燥空気システム(図示せず)を、回転紡糸ダイ24と共に使用することができる。乾燥空気温度は、外側環状壁の外面48から少なくとも約5mm及び/又は少なくとも約7mm及び/又は少なくとも約10mm半径方向にヒドロキシルポリマー含有繊維44に接触してもよい。乾燥空気は、溝穴、孔又は他の配向手段を介して、回転紡糸ダイ24の周囲で導かれることができる。乾燥空気は、外側環状壁の外面48から制御された半径の距離で繊維細長化中及び/又はその後に、乾燥空気がヒドロキシルポリマー含有繊維と混合されるように、回転紡糸ダイに関して配置されることができる。乾燥空気の配置を適切に選択することにより、外側環状壁の外面48の近くに低乾燥区域を維持することができる一方、高乾燥区域は外側環状壁の外面48からより大きな半径の距離で維持することができる。乾燥空気システムは、必要に応じて、ヒドロキシルポリマー含有繊維44の細長化を補助することができる。
【0061】
乾燥空気は、使用される時、乾燥空気の相対湿度に応じて、約100℃未満の温度であってもよい。
【0062】
更に、ヒドロキシルポリマー含有組成物36を加熱するために、加熱システム(図示せず)を回転紡糸ダイ24と共に使用することができる。ヒドロキシルポリマー含有組成物36は、約23度以上から約100℃以下の温度を示してもよい。
【0063】
別の例では、ヒドロキシルポリマー含有繊維44が回転紡糸ダイ24の底壁26の中心に近づくのを最小化するために、逆円錐50を回転紡糸ダイ24の底壁26に取り付けることができる。
【0064】
別の例では、電界紡糸で使用されるものなどの充電システム(図示せず)を回転紡糸ダイ24と共に使用することができる。
【0065】
別の例では、回転紡糸ダイは、2以上の異なる種類の原料及び/又は組成物を同時に加工するように設計されることができ、その場合、少なくとも1つの原料又は組成物はヒドロキシルポリマー又はヒドロキシルポリマー含有組成物である。複数の原料が互いに接触するようにして、複合繊維を生じてもよいし、又は別個の繊維として保持されてもよい。原料が互いに接触するなら、その接触は場合により構造範囲に及ぶ繊維を生じてもよい。1つの原料は、繊維の長さに沿って別の原料を完全に囲んでもよく、これはよくシース/コア繊維と呼ばれる。あるいは、原料は更に単純に互いに隣接して、並列繊維を生じてもよい。このような並列繊維はすべての原料の流れにおいて連続的でなくてもよく、これは不連続性多成分繊維を生じる。
【0066】
更に別の例では、細長化流体流を介してヒドロキシルポリマー含有繊維44の細長化を補助するために、細長化空気システム(図示せず)を回転紡糸ダイ24と共に使用してもよい。
【0067】
1つの例では、回転紡糸加工は1を超える及び/又は4を超える毛管数で行われてもよい。毛管数は、より詳細に以下に記述される。
【0068】
1つの例では、本発明のヒドロキシルポリマー含有繊維は、約70℃〜約200℃及び/又は約110℃〜約195℃及び/又は約130℃〜約185℃の硬化温度で、約0.01及び/若しくは1及び/若しくは5及び/若しくは15秒〜約60分、並びに/又は約20秒〜約45分並びに/又は約30秒〜約30分の時間、硬化されてもよい。あるいは、硬化方法は、紫外線、電子ビーム、赤外線、対流加熱、及びその他の温度上昇法並びにこれらの組み合わせなどの、放射線法を含んでもよい。
【0069】
更に、繊維はまた、上記の室温で硬化した後で又は上記の室温で硬化する代わりに、室温で数日間硬化されてもよい。
【0070】
別の例では、本発明の繊維は、多成分繊維などの多構成繊維を含んでもよい。多成分繊維とは、本明細書で使用する時、互いの空間的関係において1つより多くの別個の部分を有する繊維を意味する。多成分繊維は、互いの空間的関係において2つの別個の部分を有する繊維として定義される2成分繊維を包含する。多成分繊維の異なる構成成分は、繊維の断面にわたって実質的に区別可能な区域に配置され、繊維の長さに沿って連続して伸長することができる。多成分繊維の異なる構成成分は、第1の加工デンプンと第2の異なって加工されたデンプンのように、組成において類似することができる。あるいは、異なる構成成分は、例えば、ヒドロキシルポリマー含有と熱可塑性原料及び/又は疎水性原料と親水性原料のように、異なる特性を示してもよい。
【0071】
多成分繊維は、コア/シースの配向、並列の配向及び/又は第1の構成成分内に分散した異なる構成成分の不連続区域を有する第1の構成成分の連続性繊維のように、異なる配向で形成されてもよい。
【0072】
このような多成分繊維、具体的には2成分繊維の非限定例は、本発明のヒドロキシルポリマーが繊維のコアに相当し、他のポリマーがシースに相当し、このシースが繊維のコアを取り囲んでいるか実質的に取り囲んでいる、2成分繊維である。このような繊維が誘導されるヒドロキシルポリマー含有組成物には、ヒドロキシルポリマー及びその他のポリマーの両方が包含されてよい。
【0073】
別の多成分繊維、特に2成分繊維の例では、シースがヒドロキシルポリマーと架橋剤を有する架橋系とを含み、コアがヒドロキシルポリマーと架橋剤を有する架橋系とを含んでいてもよい。シース及びコアに関して、ヒドロキシルポリマーは同じであっても異なっていてもよく、架橋剤は同じであっても異なっていてもよい。更に、ヒドロキシルポリマーの濃度は、同じであっても異なっていてもよく、架橋剤の濃度は同じであっても異なっていてもよい。
【0074】
本発明の1以上の繊維は、繊維性構造及び/又はウェブに組み込まれてもよい。このような繊維性構造は、1プライ又は多プライの衛生ティッシュ製品、例えば化粧紙、トイレットペーパー、ペーパータオル及び/又はペーパーワイプ、女性用ケア製品、おむつ、筆記用紙、ティッシュの芯などの芯、並びにその他の種類の紙製品などの商品に最終的に組み込まれてもよい。
【0075】
(ヒドロキシルポリマー)
本発明によるヒドロキシルポリマーは、 本発明の繊維に組み込まれることができるいかなるヒドロキシル含有ポリマーをも含む。1つの例では、ヒドロキシル含有ポリマーは、加工されていない非置換セルロースポリマーを含まない(例えば、リオセル)。
【0076】
1つの例では、本発明のヒドロキシルポリマーは10重量%よりも多い、及び/若しくは20重量%よりも多い、及び/若しくは25重量%よりも多いヒドロキシル部分を包含する。
【0077】
本発明に従うヒドロキシルポリマーの非限定例としては、デンプン及びデンプン誘導体などのポリオール類、セルロースエーテル及びエステル誘導体などのセルロース誘導体、キトサン及びキトサン誘導体、ポリビニルアルコール類及び種々の他の多糖類(ガム類、アラビナン類及びガラクタン類など)、並びにタンパク質類が挙げられる。
【0078】
ヒドロキシルポリマーは好ましくは、約10,000g/モルよりも大きい、及び/若しくは約40,000g/モルよりも大きい、及び/若しくは約10,000〜約80,000,000g/モル、及び/若しくは約10,000〜約40,000,000g/モル、及び/若しくは約10,000〜約10,000,000g/モルの重量平均分子量を有する。更に高い及び更に低い分子量のヒドロキシルポリマー類を、好ましい重量平均分子量を有するヒドロキシルポリマー類と組み合わせて使用してもよい。「重量平均分子量」とは、本明細書で使用する時、「コロイド及び界面A、物理化学及び工学の観点(Colloids and Surfaces A.Physico Chemical & Engineering Aspects)」、162巻、2000、107〜121頁に見出されるプロトコルにしたがって、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定される重量平均分子量を意味する。
【0079】
天然デンプンは、当該技術分野において周知のように、化学的又は酵素的に変性され得る。例えば、天然デンプンは酸希釈(acid-thinned)、ヒドロキシエチル化、又はヒドロキシプロピル化、若しくは酸化することができる。
【0080】
本明細書では「多糖類」とは、天然多糖類及び多糖類誘導体又は変性多糖類を意味する。好適な多糖類としては、ゴム類、アラビナン類、ガラクタン類、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
本発明のヒドロキシルポルマー(単独又は組み合わせ)として用いるのに好適なポリビニルアルコール類は次の一般式によって特徴付けることができ、
【0082】
【化1】

各Rは、C1〜C4アルキル;C1〜C4アシルからなる群から選択され;及びx/x+y+z=0.5〜1.0である。
【0083】
(架橋系)
本発明の架橋系は、架橋剤に加えて、架橋促進剤を含んでいてもよい。
【0084】
「架橋促進剤」とは、本明細書で使用する時、架橋剤を活性化することができるいかなる原料をも意味し、従ってヒドロキシルポリマーが架橋剤を介して架橋されるように架橋剤を不活性状態から活性状態に変える。
【0085】
好適な架橋促進剤の非限定例としては、2〜6のpKaを有する酸類又はそれらの塩類が挙げられる。架橋促進剤はブレンステッド酸類及び/又はそれらの塩類、好ましくはそれらのアンモニウム塩類であってもよい。
【0086】
加えて、マグネシウム及び亜鉛塩などの金属塩類を単独で、又はブレンステッド酸類及び/若しくはそれらの塩類と組み合わせて、架橋促進剤として使用することができる。
【0087】
好適な架橋促進剤の非限定例としては、酢酸、安息香酸、クエン酸、ギ酸、グリコール酸、乳酸、マレイン酸、フタル酸、リン酸、コハク酸、及びこれらの混合物、並びに/又はそれらの塩類、好ましくはグリコール酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム及び硫酸アンモニウムなどのそれらのアンモニウム塩が挙げられる。
【0088】
好適な架橋剤の非限定例には、グリオキサールと、尿素類(構造V、X=O)、チオ尿素類(構造V、X=S)、グアニジン類(構造V、X=NH、N−アルキル)、メチレンジアミド類(構造VI)、及びメチレンジカルバメート類(構造VII)並びにこれらの誘導体とのアルキル置換又は非置換環状付加物に由来して生ずる化合物;並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0089】
1つの例では、架橋剤は次の構造を有し、
【0090】
【化2】

式中、X、はO、又はS、若しくはNH、若しくはN−アルキルであり、R1及びR2は独立して、
【0091】
【化3】

式中、R3及びR8は独立して、H、直鎖又は分枝鎖C1〜C4アルキル、CH2OH、及びこれらの混合物からなる群から選択され、R4は独立して、H、直鎖又は分枝鎖C1〜C4アルキル、及びこれらの混合物からなる群から選択され;xは0〜100であり;及びqは0〜10であり、RHは独立してH、直鎖又は分枝鎖C1〜C4アルキル、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0092】
1つの例では、R3、R8、及びR4のすべてが1つのユニット内でC1〜C4アルキルであることはない。
【0093】
別の例では、R3、R8、及びR4のうちの1つだけが1つのユニット内でC1〜C4アルキルである。
【0094】
別の例では、架橋剤は次の構造を有し、
【0095】
【化4】

式中、R2は独立して、
【0096】
【化5】

であり、式中、R3及びR8は独立して、H、直鎖又は分枝鎖C1〜C4アルキル、CH2OH、及びこれらの混合物からなる群から選択され、R4は独立して、H、直鎖又は分枝鎖C1〜C4アルキル、及びこれらの混合物からなる群から選択され;xは0〜100であり;及びqは0〜10であり、RHは独立してH、直鎖又は分枝鎖C1〜C4アルキル、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0097】
1つの例では、R3、R8及びR4のすべてが1つのユニット内でC1〜C4アルキルであることはない。
【0098】
別の例では、R3、R8及びR4のうちの1つだけが1つのユニット内でC1〜C4アルキルである。
【0099】
更に別の例では、架橋剤は次の構造を有し、
【0100】
【化6】

式中、R2は独立して、
【0101】
【化7】

であり、式中、R3及びR8は独立して、H、直鎖又は分枝鎖C1〜C4アルキル、CH2OH、及びこれらの混合物からなる群から選択され、R4は独立して、H、直鎖又は分枝鎖C1〜C4アルキル、及びこれらの混合物からなる群から選択され;xは0〜100であり;及びqは0〜10であり、RHは独立してH、直鎖又は分枝鎖C1〜C4アルキル、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0102】
1つの例では、R3、R8、及びR4のすべてが1つのユニット内でC1〜C4アルキルであることはない。
【0103】
別の例では、R3、R8、及びR4のうちの1つだけが1つのユニット内でC1〜C4アルキルである。
【0104】
更に他の例では、架橋剤は、次の構造(構造VIII、IX、及びX)のうちの1つを有し、
【0105】
【化8】

式中、X、はO、又はS、若しくはNH、若しくはN−アルキルであり、R1及びR2は独立して、
【0106】
【化9】

であり、式中、R3及びR8は独立して、H、直鎖又は分枝鎖C1〜C4アルキル、CH2OH及びこれらの混合物からなる群から選択され、R4は独立して、H、直鎖又は分枝鎖C1〜C4アルキル及びこれらの混合物からなる群から選択され、xは0〜100であり、qは0〜10であり、RHは独立して、 H、直鎖又は分枝鎖C1〜C4アルキル及びこれらの混合物からなる群から選択され、xは0〜100であり、yは1〜50であり、R5は独立して、−(CH2n−(式中、nは1〜12である)、−(CH2CH(OH)CH2)−から選択され、
【0107】
【化10】

式中、R6及びR7は独立して、H、直鎖又は分枝鎖C1〜C4アルキル、及びこれらの混合物からなる群から選択され、式中、R6及びR7は単一のユニット内で両方ともC1〜C4アルキルであることはできず;zは1〜100である。
【0108】
1つの例では、R3、R8及びR4のすべてが1つのユニット内でC1〜C4アルキルであることはない。
【0109】
更に別の例では、R3、R8及びR4のうち1つだけが、1単位内でC1〜C4アルキルである。
【0110】
架橋剤は次の構造を有していてもよく:
【0111】
【化11】

式中、R1及びR2は独立して、
【0112】
【化12】

であり、式中、R3及びR8は独立して、H、直鎖又は分枝鎖C1〜C4アルキル、CH2OH及びこれらの混合物からなる群から選択され、R4は独立して、H、直鎖又は分枝鎖C1〜C4アルキル及びこれらの混合物からなる群から選択され、xは0〜100であり、qは0〜10であり、RHは独立して、H、直鎖又は分枝鎖C1〜C4アルキル、及びこれらの混合物からなる群から選択され、xは1〜100であり、yは1〜50であり、R5は独立して、−(CH2n−であり、式中、nは1〜12である。
【0113】
1つの例では、R3、R8及びR4のすべてが1つのユニット内でC1〜C4アルキルであることはない。
【0114】
別の例では、R3、R8及びR4のうちの1つだけが1つのユニット内でC1〜C4アルキルである。
【0115】
更に別の例では、架橋剤は次の構造を有し、
【0116】
【化13】

式中、R1及びR2は独立して、
【0117】
【化14】

であり、式中、R3及びR8は独立して、H、直鎖又は分枝鎖C1〜C4アルキル、CH2OH及びこれらの混合物からなる群から選択され、R4は独立して、H、直鎖又は分枝鎖C1〜C4アルキル及びこれらの混合物からなる群から選択され、xは0〜100であり、qは0〜10であり、RHは独立して、H、直鎖又は分枝鎖C1〜C4アルキル及びこれらの混合物からなる群から選択され、xは1〜100であり、yは1〜50であり、R5は独立して、−(CH2n−(式中、nは1〜12である)、−(CH2CH(OH)CH2)−からなる群から選択され、
【0118】
【化15】

式中、R6及びR7は独立して、H、直鎖又は分枝鎖C1〜C4アルキル、及びこれらの混合物からなる群から選択され、式中、R6及びR7は単一のユニット内で両方ともC1〜C4アルキルであることはできず;zは1〜100である。
【0119】
1つの例では、R3、R8、及びR4のすべてが1つのユニット内でC1〜C4アルキルであることはない。
【0120】
別の例では、R3、R8、及びR4のうちの1つだけが1つのユニット内でC1〜C4アルキルである。
【0121】
1つの例では、架橋剤はイミダゾリジノン(構造V、X=O)(式中、R2=H、Me、Et、Pr、Bu、(CH2CH2O)pH、(CH2CH(CH3)O)pH、(CH(CH3)CH2O)pH(式中、pは0〜100であり、R1はメチルである))を含む。上述の市販の架橋剤、すなわち、バスフ(BASF)からのフィクサプレット(Fixapret)NFはR1=メチル、R2=Hを有している。
【0122】
別の例では、架橋剤は、イミダゾリジノン(構造V、X=O)(式中、R2=H、Me、Et、Pr、Buであり、R1=Hである)を含む。ジヒドロキシエチレン尿素(DHEU)はイミダゾリジノン(構造V、X=O)(式中、R1及びR2の両方がHである)を含む。DHEUはEP特許0294007A1における手順に従って合成できる。
【0123】
上記のすべての式において、OR2部分が結合されている炭素はHにも結合されているが、これは簡潔化の理由で構造式には示されていないということが、当業者には理解される。
【0124】
上記の架橋剤に加えて、本発明のヒドロキシルポリマー含有組成物での使用に好適な更なる非限定的架橋剤には、エピクロロヒドリン、ポリアクリルアミド、並びにその他の永久的及び/又は一時的湿潤強度樹脂が挙げられる。
【0125】
(高重合体)
「高重合体」とは、本明細書で使用する時、ヒドロキシルポリマーと実質的に適合性があり、ヒドロキシルポリマー含有組成物に組み込まれることができる高重量平均分子量のポリマーを意味する。好適なポリマーの分子量は、ヒドロキシルポリマーとの交絡及び/又は結合を達成させるのに十分高くあるべきである。高重合体は、好ましくは、実質的に直鎖構造を有するが、(C1〜C3)の短枝を有する直鎖又は1〜3の長枝を有する分枝鎖も本明細書に用いるのに好適である。本明細書で使用する時、用語「実質的に適合性がある」とは、組成物の軟化温度及び/又は融解温度を超える温度まで加熱された時、高重合体がヒドロキシルポリマーと実質的に均質な混合物(すなわち、組成物は裸眼で透明又は半透明に見える)を形成することができることを意味する。
【0126】
ヒドロキシルポリマーと高重合体との適合性を測定するために、ヒルデブランド溶解度パラメータ(δ)を使用することができる。一般に、2つの原料の溶解度パラメータが類似する時に、それらの間の実質的な適合性が予想され得る。恐らく水の強い水素結合能力のために、水が、一般の溶媒の中では最高である48.0MPa1/2のδ水値を有することが知られている。デンプンは典型的に、セルロースのもの(約34MPa1/2)に似ているδテ゛ンフ゜ン値を有する。
【0127】
理論に束縛されないが、本明細書に用いるのに好適であるポリマーは、実質的に適合性のある混合物を形成するために、分子レベルでヒドロキシルポリマーと相互作用するのが好ましいと考えられている。相互作用は、高重合体とヒドロキシルポリマーとの間の水素結合のような強い化学的なタイプの相互作用から、それらの間の単なる物理的交絡にまで及ぶ。本明細書で有用な高重合体は、実質的に直鎖分子の高重量平均分子量であるのが好ましい。アミロペクチン分子の極めて分枝状の構造は、単一分子内の分枝の近接性のために、分枝が分枝内で相互作用するのを好む。それ故に、他のヒドロキシルポリマー、特にデンプン分子とのアミロペクチン分子の交絡/相互作用が弱い、又は無効であると考えられている。ヒドロキシルポリマーとの適合性は、アミロペクチン分子がポリマーを介して互いに結合するように、好適な高重合体が分枝状アミロペクチン分子と密接に混合及び化学的に相互作用及び/又は物理的に交絡するのを可能にする。高分子量のポリマーは、それが幾つかのヒドロキシルポリマーと同時に相互作用/交絡するのを可能にする。すなわち、高重合体は、ヒドロキシルポリマーの分子連鎖として機能する。高重合体の連結機能は、アミロペクチン含有量の多いデンプンに特に重要である。ヒドロキシルポリマーと高重合体との交絡及び/又は結合は、ヒドロキシルポリマー含有組成物が伸張加工に適するように、組成物の溶融伸張性を高める。
【0128】
1つの例では、組成物が1軸で非常に高い延伸倍率(1000を超える)に溶融細長化されることができることがわかった。
【0129】
ヒドロキシルポリマーとの交絡及び/又は結合を有効に形成するために、本明細書に用いるのに好適な高重合体は少なくとも500,000g/モルの重量平均分子量を有するべきである。通常、ポリマーの重量平均分子量は、約500,000〜約25,000,000、好ましくは約800,000〜約22,000,000、より好ましくは約1,000,000〜約20,000,000、最も好ましくは約2,000,000〜約15,000,000の範囲である。幾つかのデンプン分子と同時に相互作用して、伸張融解粘度を増大させ融解破砕を減少させる能力のために、高分子量のポリマーが好ましい。
【0130】
好適な高重合体は、δテ゛ンフ゜ンとδホ゜リマーとの差が約10MPa1/2未満、好ましくは約5MPa1/2未満、より好ましくは約3MPa1/2未満のδホ゜リマーを有する。好適な高重合体の非限定的な例には、ポリアクリルアミド及びカルボキシル変性ポリアクリルアミドなどの誘導体;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びそれらの部分エステルを含むアクリルポリマー及びコポリマー;ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンビニルアセテート及びポリエチレンイミンなどを含むビニルポリマー;ポリアミド;ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンプロピレンオキシド及びこれらの混合物などのポリアルキレンオキシドが挙げられる。前述のポリマーのうち任意のものから選択されるモノマーの混合物から作られるコポリマーも、本明細書で好適である。その他の代表的な高重合体には、アルギネート、カラギーナン、ペクチン及び誘導体並びにキチン及び誘導体などの水溶性多糖類;グアーガム、キサンタムガム、寒天、アラビアゴム、カラヤゴム、トラガカントゴム、イナゴマメゴム及び同様のゴムなどのゴム類;アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース及びカルボキシアルキルセルロースなどのセルロースの水溶性誘導体;並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0131】
幾つかのポリマー(例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸)は、一般に高分子量範囲(即ち、500,000以上)では入手できない。少量の架橋剤を添加し、本発明で有用な好適な高分子量の分枝状ポリマーを生産してもよい。
【0132】
高重合体は、比較的一貫した直径を有する繊維が紡がれることができるように、紡糸加工中に繊維の融解破砕及び毛管破断を目に見えて低減させるのに有効な量で、本発明のヒドロキシルポリマー含有組成物に添加されてもよい。これらの高重合体は、通常、ヒドロキシルポリマー含有組成物の約0.001〜約10重量%、好ましくは約0.005〜約5重量%、より好ましくは約0.01〜約1重量%、最も好ましくは約0.05〜約0.5重量%の範囲で存在する。比較的低い濃度でこれらのポリマーがヒドロキシルポリマー含有組成物の溶融伸張性を大きく改善することがわかったことは驚くべきことである。
【0133】
(親水性/親油性系)
本発明の親水性/親油性系は親水性構成成分及び親油性構成成分を含む。この親水性/親油性系は、約40°未満及び/若しくは約25°未満〜約−30℃及び/若しくは約−15℃のTgを示す。
【0134】
親水性/親油性系の非限定例は、ラテックスグラフト化デンプン類、スチレン/ブタジエンラテックス類、ビニル/アクリル系ラテックス類、アクリル系ラテックス類、アクリレート変性ラテックス類、水分散性フルオロポリマー類、水分散性シリコーン類、及びこれらの混合物からなる群から選択される成分を含む。
【0135】
1つの例では、親水性/親油性系は、(ホリバ・インターナショナル(Horiba International)、カリフォルニア州アービング(Irving)から市販されているLB500によって測定した場合)約10nmから及び/若しくは約75nmから及び/若しくは約100nmから約6μmまで及び/若しくは約3μmまで及び/若しくは約1.5μmまでの平均粒径を示す。1つの例では、親水性/親油性系は約10nm〜約6μmの平均粒径を示す。
【0136】
1つの例では、親水性構成成分と親油性構成成分とは互いに共有結合されている。
【0137】
別の例では、親水性構成成分と親油性構成成分とは互いに共有結合されていない。
【0138】
1つの例では、親水性構成成分及び親油性構成成分はこの親水性/親油性系において、親水性構成成分の重量パーセントの親油性構成成分に対する重量パーセントが約30:70〜約1:99、及び/又は約20:80〜約5:95で存在する。
【0139】
更に別の例では、親水性/親油性系は本発明のポリマー溶融組成物中において、デンプンの約0.5重量%から及び/又は約1重量%から約3重量%まで及び/又は約10重量%までの濃度で存在する。
【0140】
1つの例では、親水性/親油性系はヒドロキシルポリマー内で不連続な相を含む。換言すれば、ヒドロキシルポリマーは連続相中に存在してもよく、及び親水性/親油性系はこのヒドロキシルポリマーの連続相内の不連続な相中に存在してもよい。
【0141】
(a.親水性構成成分)
好適な親水性構成成分の非限定例は、アルキルアリールスルホネート類、エトキシル化アルコール類、エトキシル化アルキルフェノール類、エトキシル化アミン類、エトキシル化脂肪酸類、エトキシル化脂肪酸エステル類及び油類、グリセロールエステル類、プロポキシル化及びエトキシル化脂肪酸類、プロポキシル化及びエトキシル化脂肪族アルコール類、プロポキシル化及びエトキシル化アルキルフェノール類、四級界面活性剤類、ソルビタン誘導体、アルコールスルフェート類、エトキシル化アルコールスルフェート類、スルホスクシネート類及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0142】
(b.親油性構成成分)
好適な親油性構成成分の非限定例は、飽和及び不飽和の動物油及び植物油類、鉱物油、ペトロラタム、天然及び合成ワックス類、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0143】
(c.界面活性剤構成成分)
本発明の親水性/親油性系は、界面活性剤構成成分を含んでもよい。好適な界面活性剤構成成分の非限定例としては、シロキサン系界面活性剤、及びオルガノスルホスクシネート界面活性剤が挙げられる。
【0144】
好適な界面活性剤構成成分物質の1つの部類として、シロキサン系界面活性剤(シロキサン系物質)を挙げることができる。この用途におけるシロキサン系界面活性剤は、他の用途向けのシロキサンポリマーであってもよい。シロキサン系界面活性剤の重量平均分子量は、典型的には、500〜20,000g/モルである。ポリ(ジメチルシロキサン)から誘導されるこのような物質は、当該技術分野において周知である。
【0145】
好適なシロキサン系界面活性剤の非限定的な市販例は、TSF4446並びにNu Wet550及び625、並びにXS69−B5476(ゼネラル・エレクトリック・シリコーンズ(General Electric Silicones)から市販);ジェナミン(Jenamine)(登録商標)HSX(デルコン(DelCon)から市販)、シルウェット(Silwet)L7087、L7200、L8620、L77及びY12147(オーシースペシャリティーズ(OSi Specialties)から市販)である。
【0146】
好適な界面活性剤構成成分物質の第2の好ましい部類は、有機物の性質をもつ。好ましい物質は、炭素原子数約6〜約20個の炭素鎖を有するオルガノスルホスクシネート界面活性剤類である。それぞれ炭素数約6〜約20個の炭素鎖を有する、ジアルキル鎖を含有するオルガノスルホスクシネート類が最も好ましい。また、アリール又はアルキルアリール、置換又は非置換、分枝鎖又は直鎖、飽和又は不飽和の基を含有する鎖も好ましい。
【0147】
好適なオルガノスルホスクシネート界面活性剤類の市販の非限定例は、エアゾール(Aerosol)OT及びエアゾール(Aerosol)TR−70(サイテック(Cytec)製)の商品名で入手可能である。
【0148】
1つの例では、界面活性剤は存在する時、デンプンの約0.01重量%〜約0.5重量%及び/又は約0.025重量%〜約0.4重量%及び/又は約0.05重量%〜約0.30重量%の濃度で本発明のポリマー溶融組成物に存在してもよい。
【0149】
(その他の成分)
本発明のヒドロキシルポリマー含有組成物及び/又はヒドロキシルポリマー含有繊維は、可塑剤、希釈剤、酸化剤、乳化剤、結合抑制剤、潤滑剤、加工助剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、難燃剤、染料、顔料、充填剤、他のタンパク質及びそれらの塩、他のポリマー(熱可塑性ポリマー、粘着性付与樹脂、増量剤、湿潤強度向上樹脂、及びそれらの混合物など)からなる群から選択される添加剤を更に含んでいてもよい。
【0150】
(試験方法)
(方法A.繊維直径試験方法)
適当な坪量(およそ5〜20g/平方メートル)の繊維を含むウェブを、およそ20mm×35mmの方形に裁断する。次に繊維を比較的不透明にするために、SEMスパッターコーター(米国ペンシルベニア州、EMS社(EMS Inc))を用いて、試料を金でコーティングする。典型的なコーティングの厚さは50〜250nmである。次いで試料を2枚の標準顕微鏡スライドの間に載せて、小さなバインダークリップを用いて圧縮する。試料をオリンパス(Olympus)BHS顕微鏡で10X対物レンズを用い顕微鏡光コリメータレンズ(light-collimating lens)をできるだけ対物レンズから遠ざけるように動かして画像化する。画像をニコン(Nikon)D1デジタルカメラを用いて撮影する。画像の空間距離を較正するためにガラス顕微鏡ミクロメーターを使用する。画像のおよその解像度は1μm/ピクセルである。画像は典型的には、繊維及び背景に対応する強度ヒストグラムにおけるはっきりした二峰性分布を示す。許容可能な二峰性分布を達成するために、カメラ調節又は異なる坪量が用いられる。典型的には試料1つ当たり10枚の画像が撮られ、画像分析結果が平均される。
【0151】
画像は、B.ポアデイヒミ(Pourdeyhimi)、R.及びR.デント(Dent)によって「不織布の繊維直径分布測定(Measuring fiber diameter distribution in nonwovens)」(織物研究誌(Textile Res.J.)69(4)233〜236、1999年)に記載されているものと同様の方法で分析される。MATLAB(バージョン6.3)及びMATLABイメージプロセッシングツールボックス(MATLAB Image Processing Tool Box)(バージョン3)を使用するコンピューターによって、デジタル画像が分析される。画像はまずグレースケールに変換される。次いで画像を、閾値化された白黒ピクセルの種類内の相違を最小限にする閾値を用いて白黒ピクセルへと二値化する。画像は二値化されると、各繊維の中心が画像中に位置決めされるように骨格化される。二値化された画像の距離の変換もまた計算される。骨格化された画像と距離地図のスカラ積が、ピクセル強度がゼロかその位置での繊維の半径かのどちらかである画像を提供する。2つの重なり合う繊維間の接合部の1つの半径内でのピクセルは、それらが示す距離がその接合部の半径よりも小さい場合はカウントされない。次いで残りのピクセルを用いて、画像中に収容された繊維直径の長さ加重ヒストグラム(length-weighted histogram)を計算する。
【0152】
(方法B.ヒドロキシルポリマー含有組成物の剪断粘度)
ヒドロキシルポリマー含有組成物の剪断粘度は、キャピラリー・レオメーター、ゲットファート・レオグラフ(Goettfert Rheograph)6000(米国、サウスカロライナ州ロックヒル(Rock Hill)のゲットファート(Goettfert)USAにより製造)を用いて測定される。測定は、1.0mmの直径D及び30mmの長さL(すなわちL/D=30)を有するキャピラリーダイを用いて行われる。ダイはレオメーターの20mmバレルの低い方の末端に取り付けられ、これは約75℃のダイ試験温度に保持される。ダイ試験温度に予め加熱されたポリマー溶融組成物の試料60gをレオメーターのバレル部分内に装填する。試料からすべての混入空気を取り除く。一連の選択された速度、1,000〜10,000sec-1で、バレルからキャピラリーダイを通して試料を押す。見かけ剪断粘度は、試料がバレルからキャピラリーダイを通って進むときに試料に生じる圧力低下及びキャピラリーダイを通る試料の流量から、レオメーターのソフトウェアを用いて計算することができる。log(見かけ剪断粘度)をlog(剪断断速度)に対してプロットすることができ、プロットは以下の式に従って指数法則により適合されることができ、
η=Kγn-1
式中、Kは原料の粘度定数であり、nは原料の減粘指数(thinning index)であり、γは剪断速度である。本明細書の組成物の報告される見かけ剪断粘度は、剪断速度3,000sec-1に対する補間により指数法則関係を用いて計算される。
【0153】
(C.毛管数試験方法)
流体流がダイ開口部から出てくる時、流体と空気(又は気体)との間の表面力(表面張力)は、流体が液滴に破断するのを助長する。蛇口又はホースから出てくる水は、1つの流れを維持するのではなく、液滴に破断する傾向がある。この液滴の傾向は、流体の流体速度(すなわち流速)を上げること、流体の粘度を増大させること、又は流体の表面張力を下げることにより低減する。より速い流体速度では、流体はより長い距離、凝集性の噴流のままである。より高い粘度では、水ではなく蜂蜜を注ぐように、流体は更に安定している。
【0154】
毛管数は、この液滴の破断の可能性を特徴付けるのに用いられる無次元数である。大きい毛管数は、ダイを出る際の流体安定性がより大きいことを表す。毛管数は以下のように定義される。
【0155】
【数1】

Vはダイ出口での流体速度(時間当たりの長さの単位)であり、
ηはダイの状態における流体粘度(長さ×時間当たりの質量の単位)であり、
σは流体の表面張力(時間2当たりの質量の単位)である。速度、粘度及び表面張力が一連の一貫した単位で表される時、結果として得られる毛管数はそれ自身の単位を持たず、個々の単位は無効になる。
【0156】
毛管数はダイの出口での状態に対して規定される。流体速度は、ダイ開口部を通る流体の平均速度である。平均速度は以下のように定義される。
【0157】
【数2】

Vol’は体積流量(時間当たりの長さ3の単位)であり、
面積はダイ出口の断面積(長さ2の単位)である。
【0158】
ダイ開口部が円形の穴である場合、流体速度は以下のように定義されることができる。
【0159】
【数3】

Rは円形の穴の半径(長さの単位)である。
【0160】
流体粘度は温度に依存し、また剪断速度に依存する可能性がある。ずり減粘流体の定義は、剪断速度への依存を含む。表面張力は、流体の構成及び流体の温度に依存する。
【0161】
繊維紡糸加工では、ダイを出る時にフィラメントは初期安定性を有する必要がある。毛管数は、この初期安定性基準を特徴付けるのに用いられる。ダイの状態において、毛管数は1を超える、好ましくは4を超えるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】ヒドロキシルポリマー含有繊維を製造するための非回転紡糸加工の略図。
【図2A】本発明に従ってヒドロキシルポリマー含有繊維を製造するための回転紡糸加工の1つの例の略図。
【図2B】本発明に従ってヒドロキシルポリマー含有繊維を製造するための、図2Aの一部である回転紡糸ダイの1つの例の略図。
【図3A】本発明のヒドロキシルポリマー含有組成物の調製に使用するのに好適な二軸スクリュー押出成形機のバレルの概略的側面図。
【図3B】図1Aのバレルでの使用に好適なスクリュー及び混合要素の配置の概略的側面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のヒドロキシルポリマー含有繊維の製造方法であって、前記1以上のヒドロキシルポリマー含有繊維が生産されるようにヒドロキシルポリマー含有組成物を回転紡糸加工に付す工程を特徴とする、製造方法。
【請求項2】
前記ヒドロキシルポリマー含有組成物を前記回転紡糸加工に付す工程が、
a.ヒドロキシルポリマーを含む前記ヒドロキシルポリマー含有組成物を準備する工程と、
b.前記ヒドロキシルポリマー含有組成物を回転紡糸ダイに供給する工程と、
c.前記ヒドロキシルポリマー含有組成物が前記1以上のヒドロキシルポリマー含有繊維として前記回転紡糸ダイを出るように、前記回転紡糸ダイを操作する工程と、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
d.工程aの前記ヒドロキシルポリマー含有組成物とは異なる第2の組成物を準備する工程と、
e.前記両組成物を回転紡糸ダイに供給する工程と、
f.前記両組成物が1以上の多成分繊維として前記回転紡糸ダイを出るように前記回転紡糸ダイを操作する工程と、好ましくは前記1以上の多成分繊維の少なくとも1つが、シース/コア、並列、又は1つの原料の不連続区域が別の原料内に分散している状態からなる群から選択される形態であり、
を含むことを特徴とする、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ヒドロキシルポリマー含有組成物が、5%〜100%のヒドロキシルポリマーを含み、好ましくは、前記ヒドロキシルポリマーが、ポリビニルアルコール、デンプン、デンプン誘導体、キトサン、キトサン誘導体、セルロース誘導体、ゴム、アラビナン、ガラクタン、タンパク質及びこれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、前記ヒドロキシルポリマーが、デンプン及び/又はデンプン誘導体及び/又はポリビニルアルコールを含み、更により好ましくは、前記ヒドロキシルポリマーが、10,000〜80,000,000g/モルの重量平均分子量を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ヒドロキシルポリマー含有組成物が、ジメチルスルホキシド、N−メチルモルホリン−N−オキシド、臭化リチウム、水及びこれらの混合物からなる群から選択される溶媒を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記ヒドロキシルポリマー含有組成物が、架橋系を含み、好ましくは、前記架橋系が、ポリカルボン酸、イミダゾリジノン、エピクロロヒドリン、ポリアクリルアミド及びこれらの混合物からなる群から選択される架橋剤を含み、より好ましくは、前記架橋系が、架橋促進剤を更に含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記ヒドロキシルポリマー含有組成物が、親水性/親油性系を含み、好ましくは、前記親水性/親油性系が、オルガノスルホサクシネート界面活性剤を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記ヒドロキシルポリマー含有組成物が、少なくとも500,000の重量平均分子量を有する高重合体を含み、好ましくは、前記高重合体が、ポリアクリルアミド及びポリアクリルアミドの誘導体、ポリアクリル酸及びポリアクリル酸の誘導体、ポリメタクリル酸及びポリメタクリル酸の誘導体、ポリエチレンイミン、これらのコポリマー並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記ヒドロキシルポリマー含有組成物が、可塑剤、希釈剤、酸化剤、乳化剤、結合抑制剤、潤滑剤、加工助剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、難燃剤、染料、顔料、充填剤、タンパク質及びタンパク質の塩、粘着性付与樹脂、増量剤、湿潤強度向上樹脂並びにこれらの混合物からなる群から選択される添加物を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記ヒドロキシルポリマー含有繊維が、50μm未満の繊維直径を示す、請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
好ましくは前記ヒドロキシルポリマー含有繊維を含むウェブが形成されるように、前記製造方法が、前記ヒドロキシルポリマー含有繊維を集合装置に集める工程を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項12】
好ましくは前記ヒドロキシルポリマー含有組成物及び/又は前記ヒドロキシルポリマー含有繊維が、50%を超える相対湿度にさらされるように、前記製造方法が、前記ヒドロキシルポリマー含有組成物及び/又は前記1以上のヒドロキシルポリマー含有繊維を湿らせる工程を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項13】
好ましくは前記1以上のヒドロキシルポリマー含有繊維が、100℃を超える温度及び20%未満の相対湿度にさらされるように、前記製造方法が、前記1以上のヒドロキシルポリマー含有繊維を乾燥させる工程を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項14】
前記製造方法が、1を超える毛管数で操作される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の製造方法によって形成されるヒドロキシルポリマー含有繊維であって、好ましくは、前記ヒドロキシルポリマー含有繊維を含むウェブが、請求項1〜14のいずれか一項によって生産される、ヒドロキシルポリマー含有繊維。


【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2007−516360(P2007−516360A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544146(P2006−544146)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/043279
【国際公開番号】WO2005/061763
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】