ヒンジキャップ付容器
【課題】内容物の取出し操作が視覚的に容易であるヒンジキャップ付容器を提供する。
【解決手段】容器本体1の口部2に装着されるヒンジキャップ3のキャップ本体4と、該キャップ本体に回転自在に取付られる蓋体基部5と、該蓋体基部と引張帯付ヒンジを介して連結され、引張帯付ヒンジを支点としてキャップ本体の開口部を開閉する蓋体6とから成り、(a)前記キャップ本体は、容器本体の口部に螺合又は嵌合される内筒10と、係合溝を有する外筒11と、前記内筒から上に伸びるノズル部14とから成り、(b)前記蓋体基部は、キャップ本体のノズル部外周に、回転自在に係合される円形係合部17を有し、(c)前記蓋体は、その中心に針体18を有することを特徴とするヒンジキャップ付容器。
【解決手段】容器本体1の口部2に装着されるヒンジキャップ3のキャップ本体4と、該キャップ本体に回転自在に取付られる蓋体基部5と、該蓋体基部と引張帯付ヒンジを介して連結され、引張帯付ヒンジを支点としてキャップ本体の開口部を開閉する蓋体6とから成り、(a)前記キャップ本体は、容器本体の口部に螺合又は嵌合される内筒10と、係合溝を有する外筒11と、前記内筒から上に伸びるノズル部14とから成り、(b)前記蓋体基部は、キャップ本体のノズル部外周に、回転自在に係合される円形係合部17を有し、(c)前記蓋体は、その中心に針体18を有することを特徴とするヒンジキャップ付容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ容器又はボトル容器(以下「容器本体」という)の口部に装着されるヒンジキャップ付容器に関し、さらに詳しくは、蓋体が大きく開いて蓋体基部又は容器本体の側部に係合感をもって固定され、かつ容器本体と蓋体の位置決めが容易にできる、ヒンジキャップ付容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器本体の口部には、ヒンジキャプが螺合、嵌合等の方法で装着されており、片手の指でワンタッチ操作で、蓋体の開閉自在が可能であり、かつ開けた蓋体を固定できる機能を有する容器がある。従来のヒンジキャップ付容器としては、例えば図10〜図13に示すヒンジキャップ付容器がある。ヒンジキャップ50は、容器本体51の口部52に螺合され、口部52には、ヒンジキャップ50の天面に形成されたフランジ部を有する注出口58が嵌合されている。このフランジ部を有する注出口58は、蓋体54の係合筒53により、内容物が抽出自在に開閉される。このヒンジキャップ50は、本体と蓋体54とから構成され、図10に示すように、ヒンジキャップ50本体と蓋体54は、ヒンジ55で一体に連結されている。そして、図12及び図13に示すように、ヒンジ55の下方であって、ヒンジキャップ50本体の側面壁には、外方に突出した本体係止部56が形成され、又蓋体54の左右のヒンジ55の間隙には、上方に突出した蓋係止部57が形成されており、蓋体54を開けると、ヒンジ55を中心に蓋体54は回転し、本体係止部56と蓋係止部57が係合する。そして、蓋体54は本体係止部56に係合し固定される(特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3387035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このような従来のヒンジキャップ付容器は、以下に示すような問題点がある。
(1)図13に示すように、蓋体54には、左右のヒンジ55の間に、上方に突出した蓋係止部57が形成され、又ヒンジ55の下方のヒンジキャップ50本体の側面壁には、本体係止部56が形成されているため、このようなヒンジキャップ50においては、蓋係止部57と本体係止部56を形成する製造金型の関係上、ヒンジキャップ50本体と蓋体54の連結部に、引張帯付ヒンジを形成することが不可能であり、ヒンジ55も、その中央部を開けて、両側に分離して設けなければならないとう欠点がある。
(2)ヒンジキャップ50本体と、蓋体54を連結しているのは、中央部を開けて両側に分離されたヒンジ55であり、引張帯が設けられていないため、図11に示すように、最初に指で蓋体54を上方に持ち上げて開いた場合に、蓋体54はわずか80〜90°程度(図11の角度α)に開くが、自動的に大きく開かないないため、蓋体54が邪魔になり内容物の取出し操作が視覚的に見えないという欠点がある。
(3)一般消費者が、手で容器本体を持ったときに、開けやすい方向に蓋体を回動することができないため、容器本体と蓋体の位置合わせができず、使い勝手が悪いという欠点があった。
本発明は、このような課題に着目してなされたものであり、蓋体と蓋体基部の連結部に、引張帯付ヒンンジを一体的に設けることにより、ヒンジキャップの蓋体が、大きく開くことにより、邪魔にならず、内容物の取出し操作が容易に見えると共に、蓋体が蓋体基部又は容器本体の側部に係合感をもって固定され、かつ開けやすい方向に蓋体を回転して、容器本体との位置合わせが容易にできる、ヒンジキャップ付容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するため、請求項1記載の発明の解決手段は、容器本体の口部に装着されるヒンジキャップのキャップ本体と、このキャップ本体に回転自在に取付られる蓋体基部と、この蓋体基部と引張帯付ヒンンジを介して連結され、引張帯付ヒンジを支点としてキャップ本体の開口部を開閉する蓋体とから成り、(a)キャップ本体は、容器本体の口部に螺合又は嵌合される内筒と、係合溝を有する外筒と、内筒から上に伸びるノズル部とから成り、(b)蓋体基部は、キャップ本体のノズル部外周に、回転自在に係合される円形係合部を有し、(c)蓋体は、その中心に針体を有することを特徴とするヒンジキャップ付容器である。
【0005】
請求項2記載の発明の解決手段は、蓋体は、引張帯付ヒンジを中心として、180°以上の大きな角度で開くと共に、キャップ本体の係合溝を乗越える際に、係合感を付与する係合突起を有することを特徴とするヒンジキャップ付容器である。
【0006】
請求項3記載の発明の解決手段は、引張帯付ヒンジに代えて、通常のヒンジを用いたことを特徴とするヒンジキャップ付容器である。
【0007】
請求項4記載の発明の解決手段は、蓋体が、針体を有しないことを特徴とするヒンジキャップ付容器である。
【0008】
請求項5記載の発明の解決手段は、容器本体が、口部に閉鎖膜を有することを特徴とするヒンジキャップ付容器である。
【0009】
請求項6記載の発明の解決手段は、キャップ本体と容器本体が一体成形で形成されることを特徴とするヒンジキャップ付容器である。
【0010】
請求項7記載の発明の解決手段は、容器本体が、ラミネートチューブ容器、アルミチューブ容器、樹脂チューブ容器又はボトル容器から1つ選ばれる容器であることを特徴とするヒンジキャップ付容器である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、蓋体と蓋体基部の連結部に、引張帯付ヒンジを一体的に設けることが可能であり、引張帯付ヒンジを中心に、大きな角度で開くことができると共に蓋体を固定できるので、内容物の取出し操作が頗る見えやすいという効果を有する。さらに、開けやすい方向に蓋体を回転して、容器本体との位置合わせが容易であるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施例の一例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0013】
図1及び図2は、本発明の実施例1を示す図面である。図1及び図2において、1はチューブ容器又はボトル容器である容器本体であり、圧搾可能な胴部から肩部を介して、口部2が形成され、口部2の外周には雄ねじが形成されている。3はヒンジキャップである。このヒンジキャップ3は、キャップ本体4、蓋体基部5、及び蓋体6から構成されている。容器本体1の口部2には、キャップ本体4の内筒10が、螺合又はアンダーカット形式で嵌合することにより、ヒンジキャップ3は容器本体1の口部2に確実に固定されている。図5及び図6に示すように、蓋体基部5と蓋体6は、蓋体6の外周縁に形成された外壁8と、蓋体基部5の外周縁に形成された外筒9が、引張帯付ヒンンジ7によって連結されている。そして、引張帯付ヒンジ7を中心に回動し、キャップ本体4のノズル部14の開口部を開閉する。なお、蓋体基部5と蓋体6は、一つの金型で一体成形で製造される。
【0014】
キャップ本体4には、容器本体1の口部2外周の雄ねじと螺合する、雌ねじが形成された内筒10と、その外側に外筒11が形成されている。そして、外筒11の天面部上面には、係合溝12がリング状に形成されている。この係合溝12には、図7(a)(b)に示すように、蓋体6に形成された係合突起13が、キャップ本体4の係合溝12の壁12aを乗り越えて係合した時に、係合感を発生させる。図7(a)は係合突起13が、乗り越える前を示す拡大断面図であり、図7(b)は係合突起13が、乗り越えた後を示す拡大断面図である。そして、係合突起13が、係合溝12の壁12aを乗り越えると同時に、蓋体6はキャップ本体4の外筒11の側部に固定される。
【0015】
又キャップ本体4には、内筒10から上方に伸びるノズル部14が形成され、ノズル部14の開口部は、蓋体6のフランジ状の嵌合筒15が嵌合されることにより、ノズル部14の開口部が閉鎖される。そして、蓋体6を手で開くことにより、ノズル部14の開口部が開放される。蓋体6のフランジ状の嵌合筒15の天面反対側には、針体18が形成されている。なお、図3の実施例2に示すように、針体が形成されない態様であってもよい。
さらに、ノズル部14の外周に形成される口部突部16には、蓋体基部5の円形係合部17が回動自在に係合されており、片方の手で容器本体1及びキャップ本体4を保持し、反対の手で、蓋体6と蓋体基部5を所望の位置に自由に回動することができる。この際、蓋体基部5は、キャップ本体4の天面上を円周方向に、スライドしながら回動する。
【0016】
本発明は、図5に示すように、蓋体6を手で少し持ち上げるようにして開くと、蓋体6は引張帯付ヒンンジ7を中心に、角度βに近い角度だけ自動的に開く。そして、蓋体6を指でキャップ本体4の外筒11に押しつける。すると、蓋体6に形成された係合突起13が、キャップ本体4の係合溝12の壁12aを乗り越えるように係合した時に、係合感を発生させ、この係合感と同時に、蓋体6は角度βだけ大きく開いて固定される。
【0017】
このように、実施例1は、金型の設計上、蓋体基部5と蓋体6の連結において、従来のように連結部近傍に相互の係合突起を形成しないで、引張帯付ヒンンジ7を一体的に設けたので、蓋体6を指で少し持ち上げるだけで、引張体の作用により、蓋体6は自動的に大きく開く。すなわち、最初に蓋体6を指で少し持ち上げると5〜45°開き、次に引張体10の蓋体6を上方向に強く引っ張る作用により、120〜155°開き、最終的に手で蓋体6をβ=180〜270°に大きく開いて固定でき、かつ蓋体6がキャップ本体4の外筒11に確実に固定される。したがって、内容物の取り出し作業を、視覚的に容易に把握することができる。
【実施例2】
【0018】
図6は、本発明の実施例2を示す図面である。実施例1と異なるのは、ヒンジキャップの蓋体に、針体が形成されていない実施例である。蓋体26を手で少し持ち上げるようにして開いた場合、図6に示すように、蓋体26は引張帯付ヒンンジを中心に、針体のない分だけ、実施例1の角度βより若干大きい角度だけ大きく開いて固定される。蓋体26は、図6に示すように、実施例1と同様に、最初に蓋体26を指で少し持ち上げると5〜45°開き、次に引張体の蓋体26を上方向に強く引っ張る作用により、120〜155°開き、最終的に手で蓋体26をγ=180〜270°に大きく開いて固定でき、かつ蓋体26は容器本体21の胴部に確実に固定される。したがって、内容物の取り出し作業を、視覚的に容易に把握することができる。
【実施例3】
【0019】
図4は、本発明の実施例3を示す図面であり、この実施例の特徴は、キャップ本体4と、容器本体1が一体成形で形成される場合の実施例である。この実施例3においては、針体38を有する実施態様と、針体38を有しない実施態様(図示せず)が考えられる。蓋体及び蓋体基部の構成は、実施例1と同様である。
【0020】
容器本体は、ラミネートチューブ容器、アルミチューブ容器、樹脂チューブ容器又はボトル容器のいずれであってもよく、又内容物が薬剤等の使用であって、保存性が必要とされる場合は、容器本体の口部に閉鎖膜が形成された実施態様であってもよく、内容物が保存性を要求されない場合は、閉鎖膜のない通常の口部を有する実施態様であってもよい。
なお、閉鎖膜を有する容器本体においては、ヒンジキャップを容器本体から外し、針体を逆さにして、使用時に封緘蓋を上から穿孔することにより、内容物を抽出することができる。
【0021】
図9は、本発明にかかわる引張帯付ヒンジ7を示す斜視図であり、本発明にかかる蓋体6と蓋体基部5の連結は、図8に示す引張帯付ヒンンジ7の他、図9(a)及び(b)に示す通常のヒンジ37、47であってもよい。図8に示す引張帯付ヒンジ7は、ヒンジ7aと、その両側に引張帯7bが形成され、又引張帯付ヒンジに代えた図10に示す通常のヒンジとしては、図9(a)に示すヒンジ37と、図9(b)に示す2個のヒンジ47が設けられてもよい。これらのヒンジには引張帯が設けられていない。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明に係るヒンジキャップ付容器は、広く化粧品、食品、医薬品等を充填できるチューブ又はボトル容器として、広く多岐にわたって利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例1を示す斜視図。
【図2】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例1を示す正面断面図。
【図3】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例2を示す正面断面図。
【図4】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例3を示す正面断面図。
【図5】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例1において、蓋体を開いて固定した状態を示す正面断面図。
【図6】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例2において、蓋体を開いて固定した状態を示す正面断面図。
【図7】本発明に係るヒンジキャップ付容器の係合溝と係合突起が係合する状態を示す拡大断面図(a)(b)。
【図8】本発明に係るヒンジキャップ付容器において、引張帯付ヒンジを示す斜視図。
【図9】本発明に係るヒンジキャップ付容器において、通常のヒンジを示す斜視図(a)(b)。
【図10】従来のヒンジキャップ付容器を示す右側面断面図。
【図11】従来のヒンジキャップ付容器の蓋体を開いた状態を示す右側面断面図。
【図12】従来のヒンジキャップ付容器のヒンジの部位を示す背面図。
【図13】従来のヒンジキャップ付容器において、ヒンジの部位を示す拡大斜視図。
【符号の説明】
【0024】
1、21、31 容器本体
2、22 口部
3、23、33 ヒンジキャップ
4、24 キャップ本体
5、27、35 蓋体基部
6、26、36 蓋体
7 引張帯付ヒンンジ
10 内筒
11 外筒
12 係合溝
13 係合突起
14 ノズル部
17 円形係合部
18 針体
19 閉鎖膜
37、47 ヒンジ
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ容器又はボトル容器(以下「容器本体」という)の口部に装着されるヒンジキャップ付容器に関し、さらに詳しくは、蓋体が大きく開いて蓋体基部又は容器本体の側部に係合感をもって固定され、かつ容器本体と蓋体の位置決めが容易にできる、ヒンジキャップ付容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器本体の口部には、ヒンジキャプが螺合、嵌合等の方法で装着されており、片手の指でワンタッチ操作で、蓋体の開閉自在が可能であり、かつ開けた蓋体を固定できる機能を有する容器がある。従来のヒンジキャップ付容器としては、例えば図10〜図13に示すヒンジキャップ付容器がある。ヒンジキャップ50は、容器本体51の口部52に螺合され、口部52には、ヒンジキャップ50の天面に形成されたフランジ部を有する注出口58が嵌合されている。このフランジ部を有する注出口58は、蓋体54の係合筒53により、内容物が抽出自在に開閉される。このヒンジキャップ50は、本体と蓋体54とから構成され、図10に示すように、ヒンジキャップ50本体と蓋体54は、ヒンジ55で一体に連結されている。そして、図12及び図13に示すように、ヒンジ55の下方であって、ヒンジキャップ50本体の側面壁には、外方に突出した本体係止部56が形成され、又蓋体54の左右のヒンジ55の間隙には、上方に突出した蓋係止部57が形成されており、蓋体54を開けると、ヒンジ55を中心に蓋体54は回転し、本体係止部56と蓋係止部57が係合する。そして、蓋体54は本体係止部56に係合し固定される(特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3387035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このような従来のヒンジキャップ付容器は、以下に示すような問題点がある。
(1)図13に示すように、蓋体54には、左右のヒンジ55の間に、上方に突出した蓋係止部57が形成され、又ヒンジ55の下方のヒンジキャップ50本体の側面壁には、本体係止部56が形成されているため、このようなヒンジキャップ50においては、蓋係止部57と本体係止部56を形成する製造金型の関係上、ヒンジキャップ50本体と蓋体54の連結部に、引張帯付ヒンジを形成することが不可能であり、ヒンジ55も、その中央部を開けて、両側に分離して設けなければならないとう欠点がある。
(2)ヒンジキャップ50本体と、蓋体54を連結しているのは、中央部を開けて両側に分離されたヒンジ55であり、引張帯が設けられていないため、図11に示すように、最初に指で蓋体54を上方に持ち上げて開いた場合に、蓋体54はわずか80〜90°程度(図11の角度α)に開くが、自動的に大きく開かないないため、蓋体54が邪魔になり内容物の取出し操作が視覚的に見えないという欠点がある。
(3)一般消費者が、手で容器本体を持ったときに、開けやすい方向に蓋体を回動することができないため、容器本体と蓋体の位置合わせができず、使い勝手が悪いという欠点があった。
本発明は、このような課題に着目してなされたものであり、蓋体と蓋体基部の連結部に、引張帯付ヒンンジを一体的に設けることにより、ヒンジキャップの蓋体が、大きく開くことにより、邪魔にならず、内容物の取出し操作が容易に見えると共に、蓋体が蓋体基部又は容器本体の側部に係合感をもって固定され、かつ開けやすい方向に蓋体を回転して、容器本体との位置合わせが容易にできる、ヒンジキャップ付容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するため、請求項1記載の発明の解決手段は、容器本体の口部に装着されるヒンジキャップのキャップ本体と、このキャップ本体に回転自在に取付られる蓋体基部と、この蓋体基部と引張帯付ヒンンジを介して連結され、引張帯付ヒンジを支点としてキャップ本体の開口部を開閉する蓋体とから成り、(a)キャップ本体は、容器本体の口部に螺合又は嵌合される内筒と、係合溝を有する外筒と、内筒から上に伸びるノズル部とから成り、(b)蓋体基部は、キャップ本体のノズル部外周に、回転自在に係合される円形係合部を有し、(c)蓋体は、その中心に針体を有することを特徴とするヒンジキャップ付容器である。
【0005】
請求項2記載の発明の解決手段は、蓋体は、引張帯付ヒンジを中心として、180°以上の大きな角度で開くと共に、キャップ本体の係合溝を乗越える際に、係合感を付与する係合突起を有することを特徴とするヒンジキャップ付容器である。
【0006】
請求項3記載の発明の解決手段は、引張帯付ヒンジに代えて、通常のヒンジを用いたことを特徴とするヒンジキャップ付容器である。
【0007】
請求項4記載の発明の解決手段は、蓋体が、針体を有しないことを特徴とするヒンジキャップ付容器である。
【0008】
請求項5記載の発明の解決手段は、容器本体が、口部に閉鎖膜を有することを特徴とするヒンジキャップ付容器である。
【0009】
請求項6記載の発明の解決手段は、キャップ本体と容器本体が一体成形で形成されることを特徴とするヒンジキャップ付容器である。
【0010】
請求項7記載の発明の解決手段は、容器本体が、ラミネートチューブ容器、アルミチューブ容器、樹脂チューブ容器又はボトル容器から1つ選ばれる容器であることを特徴とするヒンジキャップ付容器である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、蓋体と蓋体基部の連結部に、引張帯付ヒンジを一体的に設けることが可能であり、引張帯付ヒンジを中心に、大きな角度で開くことができると共に蓋体を固定できるので、内容物の取出し操作が頗る見えやすいという効果を有する。さらに、開けやすい方向に蓋体を回転して、容器本体との位置合わせが容易であるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施例の一例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0013】
図1及び図2は、本発明の実施例1を示す図面である。図1及び図2において、1はチューブ容器又はボトル容器である容器本体であり、圧搾可能な胴部から肩部を介して、口部2が形成され、口部2の外周には雄ねじが形成されている。3はヒンジキャップである。このヒンジキャップ3は、キャップ本体4、蓋体基部5、及び蓋体6から構成されている。容器本体1の口部2には、キャップ本体4の内筒10が、螺合又はアンダーカット形式で嵌合することにより、ヒンジキャップ3は容器本体1の口部2に確実に固定されている。図5及び図6に示すように、蓋体基部5と蓋体6は、蓋体6の外周縁に形成された外壁8と、蓋体基部5の外周縁に形成された外筒9が、引張帯付ヒンンジ7によって連結されている。そして、引張帯付ヒンジ7を中心に回動し、キャップ本体4のノズル部14の開口部を開閉する。なお、蓋体基部5と蓋体6は、一つの金型で一体成形で製造される。
【0014】
キャップ本体4には、容器本体1の口部2外周の雄ねじと螺合する、雌ねじが形成された内筒10と、その外側に外筒11が形成されている。そして、外筒11の天面部上面には、係合溝12がリング状に形成されている。この係合溝12には、図7(a)(b)に示すように、蓋体6に形成された係合突起13が、キャップ本体4の係合溝12の壁12aを乗り越えて係合した時に、係合感を発生させる。図7(a)は係合突起13が、乗り越える前を示す拡大断面図であり、図7(b)は係合突起13が、乗り越えた後を示す拡大断面図である。そして、係合突起13が、係合溝12の壁12aを乗り越えると同時に、蓋体6はキャップ本体4の外筒11の側部に固定される。
【0015】
又キャップ本体4には、内筒10から上方に伸びるノズル部14が形成され、ノズル部14の開口部は、蓋体6のフランジ状の嵌合筒15が嵌合されることにより、ノズル部14の開口部が閉鎖される。そして、蓋体6を手で開くことにより、ノズル部14の開口部が開放される。蓋体6のフランジ状の嵌合筒15の天面反対側には、針体18が形成されている。なお、図3の実施例2に示すように、針体が形成されない態様であってもよい。
さらに、ノズル部14の外周に形成される口部突部16には、蓋体基部5の円形係合部17が回動自在に係合されており、片方の手で容器本体1及びキャップ本体4を保持し、反対の手で、蓋体6と蓋体基部5を所望の位置に自由に回動することができる。この際、蓋体基部5は、キャップ本体4の天面上を円周方向に、スライドしながら回動する。
【0016】
本発明は、図5に示すように、蓋体6を手で少し持ち上げるようにして開くと、蓋体6は引張帯付ヒンンジ7を中心に、角度βに近い角度だけ自動的に開く。そして、蓋体6を指でキャップ本体4の外筒11に押しつける。すると、蓋体6に形成された係合突起13が、キャップ本体4の係合溝12の壁12aを乗り越えるように係合した時に、係合感を発生させ、この係合感と同時に、蓋体6は角度βだけ大きく開いて固定される。
【0017】
このように、実施例1は、金型の設計上、蓋体基部5と蓋体6の連結において、従来のように連結部近傍に相互の係合突起を形成しないで、引張帯付ヒンンジ7を一体的に設けたので、蓋体6を指で少し持ち上げるだけで、引張体の作用により、蓋体6は自動的に大きく開く。すなわち、最初に蓋体6を指で少し持ち上げると5〜45°開き、次に引張体10の蓋体6を上方向に強く引っ張る作用により、120〜155°開き、最終的に手で蓋体6をβ=180〜270°に大きく開いて固定でき、かつ蓋体6がキャップ本体4の外筒11に確実に固定される。したがって、内容物の取り出し作業を、視覚的に容易に把握することができる。
【実施例2】
【0018】
図6は、本発明の実施例2を示す図面である。実施例1と異なるのは、ヒンジキャップの蓋体に、針体が形成されていない実施例である。蓋体26を手で少し持ち上げるようにして開いた場合、図6に示すように、蓋体26は引張帯付ヒンンジを中心に、針体のない分だけ、実施例1の角度βより若干大きい角度だけ大きく開いて固定される。蓋体26は、図6に示すように、実施例1と同様に、最初に蓋体26を指で少し持ち上げると5〜45°開き、次に引張体の蓋体26を上方向に強く引っ張る作用により、120〜155°開き、最終的に手で蓋体26をγ=180〜270°に大きく開いて固定でき、かつ蓋体26は容器本体21の胴部に確実に固定される。したがって、内容物の取り出し作業を、視覚的に容易に把握することができる。
【実施例3】
【0019】
図4は、本発明の実施例3を示す図面であり、この実施例の特徴は、キャップ本体4と、容器本体1が一体成形で形成される場合の実施例である。この実施例3においては、針体38を有する実施態様と、針体38を有しない実施態様(図示せず)が考えられる。蓋体及び蓋体基部の構成は、実施例1と同様である。
【0020】
容器本体は、ラミネートチューブ容器、アルミチューブ容器、樹脂チューブ容器又はボトル容器のいずれであってもよく、又内容物が薬剤等の使用であって、保存性が必要とされる場合は、容器本体の口部に閉鎖膜が形成された実施態様であってもよく、内容物が保存性を要求されない場合は、閉鎖膜のない通常の口部を有する実施態様であってもよい。
なお、閉鎖膜を有する容器本体においては、ヒンジキャップを容器本体から外し、針体を逆さにして、使用時に封緘蓋を上から穿孔することにより、内容物を抽出することができる。
【0021】
図9は、本発明にかかわる引張帯付ヒンジ7を示す斜視図であり、本発明にかかる蓋体6と蓋体基部5の連結は、図8に示す引張帯付ヒンンジ7の他、図9(a)及び(b)に示す通常のヒンジ37、47であってもよい。図8に示す引張帯付ヒンジ7は、ヒンジ7aと、その両側に引張帯7bが形成され、又引張帯付ヒンジに代えた図10に示す通常のヒンジとしては、図9(a)に示すヒンジ37と、図9(b)に示す2個のヒンジ47が設けられてもよい。これらのヒンジには引張帯が設けられていない。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明に係るヒンジキャップ付容器は、広く化粧品、食品、医薬品等を充填できるチューブ又はボトル容器として、広く多岐にわたって利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例1を示す斜視図。
【図2】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例1を示す正面断面図。
【図3】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例2を示す正面断面図。
【図4】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例3を示す正面断面図。
【図5】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例1において、蓋体を開いて固定した状態を示す正面断面図。
【図6】本発明に係るヒンジキャップ付容器の実施例2において、蓋体を開いて固定した状態を示す正面断面図。
【図7】本発明に係るヒンジキャップ付容器の係合溝と係合突起が係合する状態を示す拡大断面図(a)(b)。
【図8】本発明に係るヒンジキャップ付容器において、引張帯付ヒンジを示す斜視図。
【図9】本発明に係るヒンジキャップ付容器において、通常のヒンジを示す斜視図(a)(b)。
【図10】従来のヒンジキャップ付容器を示す右側面断面図。
【図11】従来のヒンジキャップ付容器の蓋体を開いた状態を示す右側面断面図。
【図12】従来のヒンジキャップ付容器のヒンジの部位を示す背面図。
【図13】従来のヒンジキャップ付容器において、ヒンジの部位を示す拡大斜視図。
【符号の説明】
【0024】
1、21、31 容器本体
2、22 口部
3、23、33 ヒンジキャップ
4、24 キャップ本体
5、27、35 蓋体基部
6、26、36 蓋体
7 引張帯付ヒンンジ
10 内筒
11 外筒
12 係合溝
13 係合突起
14 ノズル部
17 円形係合部
18 針体
19 閉鎖膜
37、47 ヒンジ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口部に装着されるヒンジキャップのキャップ本体と、該キャップ本体に回転自在に取付られる蓋体基部と、該蓋体基部と引張帯付ヒンンジを介して連結され、引張帯付ヒンジを支点としてキャップ本体の開口部を開閉する蓋体とから成り、
(a)前記キャップ本体は、容器本体の口部に螺合又は嵌合される内筒と、係合溝を有する外筒と、前記内筒から上に伸びるノズル部とから成り、
(b)前記蓋体基部は、キャップ本体のノズル部外周に、回転自在に係合される円形係合部を有し、
(c)前記蓋体は、その中心に針体を有することを特徴とするヒンジキャップ付容器。
【請求項2】
前記蓋体は、引張帯付ヒンジを中心として、180°以上の大きな角度で開くと共に、キャップ本体の係合溝を乗越える際に、係合感を付与する係合突起を有することを特徴とする請求項1記載のヒンジキャップ付容器。
【請求項3】
前記引張帯付ヒンジに代えて、通常のヒンジを用いたことを特徴とする請求項1又は2記載のヒンジキャップ付容器。
【請求項4】
前記蓋体が、針体を有しないことを特徴とする請求項1乃至3記載のヒンジキャップ付容器。
【請求項5】
前記容器本体が、口部に閉鎖膜を有することを特徴とする請求項1乃至4記載のヒンジキャップ付容器。
【請求項6】
前記キャップ本体と、容器本体が一体成形で形成されることを特徴とする請求項1乃至5記載のヒンジキャップ付容器。
【請求項7】
前記容器本体が、ラミネートチューブ容器、アルミチューブ容器、樹脂チューブ容器
又はボトル容器から1つ選ばれる容器であることを特徴とする請求項1乃至6記載の
ヒンジキャップ付容器。
【請求項1】
容器本体の口部に装着されるヒンジキャップのキャップ本体と、該キャップ本体に回転自在に取付られる蓋体基部と、該蓋体基部と引張帯付ヒンンジを介して連結され、引張帯付ヒンジを支点としてキャップ本体の開口部を開閉する蓋体とから成り、
(a)前記キャップ本体は、容器本体の口部に螺合又は嵌合される内筒と、係合溝を有する外筒と、前記内筒から上に伸びるノズル部とから成り、
(b)前記蓋体基部は、キャップ本体のノズル部外周に、回転自在に係合される円形係合部を有し、
(c)前記蓋体は、その中心に針体を有することを特徴とするヒンジキャップ付容器。
【請求項2】
前記蓋体は、引張帯付ヒンジを中心として、180°以上の大きな角度で開くと共に、キャップ本体の係合溝を乗越える際に、係合感を付与する係合突起を有することを特徴とする請求項1記載のヒンジキャップ付容器。
【請求項3】
前記引張帯付ヒンジに代えて、通常のヒンジを用いたことを特徴とする請求項1又は2記載のヒンジキャップ付容器。
【請求項4】
前記蓋体が、針体を有しないことを特徴とする請求項1乃至3記載のヒンジキャップ付容器。
【請求項5】
前記容器本体が、口部に閉鎖膜を有することを特徴とする請求項1乃至4記載のヒンジキャップ付容器。
【請求項6】
前記キャップ本体と、容器本体が一体成形で形成されることを特徴とする請求項1乃至5記載のヒンジキャップ付容器。
【請求項7】
前記容器本体が、ラミネートチューブ容器、アルミチューブ容器、樹脂チューブ容器
又はボトル容器から1つ選ばれる容器であることを特徴とする請求項1乃至6記載の
ヒンジキャップ付容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−184709(P2009−184709A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−27344(P2008−27344)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(000238614)武内プレス工業株式会社 (72)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(000238614)武内プレス工業株式会社 (72)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]