説明

ヒンジ式蓋部を備えた電装用部品

【課題】蓋部の操作性を確保しつつ、蓋部の不意の開放のおそれとヒンジ部の損傷のおそれを軽減することの出来る、新規な構造のヒンジ式蓋部を備えた電装用部品を提供すること。
【解決手段】電線82を挿通する挿通部34におけるヒンジ部44側の側壁36と、蓋部40において前記側壁36と対向される対向部54の何れか一方に係止突部58を形成すると共に他方に係止凹部56を形成して、前記蓋部40の閉状態において、前記係止突部58を前記係止凹部56に入り込ませることにより、前記挿通部34の開口方向で相互に係止されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等に搭載される電気接続箱やハーネスプロテクタ等の電装用部品に係り、特に電線等を挿通する挿通部を備えており、該挿通部の開口部がヒンジ部を介して蓋部で覆蓋されるようになっている電装用部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等においては、ヘッドランプや各種モータ、リレー等の各種電気部品等を電気的に接続するために、多くの電線が配索されている。これらの電線は、自動車の走行等に支障を及ぼさないように所定箇所に位置決め保持される。
【0003】
その際、例えば、特開2007−300756号公報(特許文献1)の図2〜図4に記載されているように、電気接続箱やハーネスプロテクタ等の電装用部品を利用して、その一部に電線の保持機能を持たせることが提案されている。このような電装用部品は、部品本体の外側に開口する挿通部に電線を挿通状態で収容して、該挿通部の開口部を蓋部で覆蓋することにより、電線を保持するようになっている。蓋部は、部品本体に一体形成されたヒンジ部を介して開閉可能に設けられている。
【0004】
ところで、挿通部に挿通される電線が太いものであったり、車両走行時の振動等により挿通部内で電線が振動する場合などには、挿通部を覆蓋する蓋部に電線が接触して、蓋部に対して部品本体の外側に向かう外力が及ぼされる可能性がある。そして、この外力に起因して、蓋部が不意に開放されたり、ヒンジ部に外力が及ぼされてヒンジ部を破断するおそれがあった。ヒンジ部が破断した場合、蓋部が部品本体から脱落してしまい、異物となって他の部品を損傷したり、他の部品の作動を阻害してしまうおそれがあった。
【0005】
蓋部の不意の開放を阻止するためには、蓋部を部品本体に係止させて閉状態に保持するロック部を、より大きく形成することも考えられる。しかし、ロック部を大型化すると、ロックとその解除に過度に大きな力が必要となって、蓋部の操作性を損なうという問題がある。
【0006】
そこで、本出願人は、特開2006−81276号公報(特許文献2)において、ロック部に加えて、蓋部を係止する係止部をロアカバーに設けた電気接続箱を提案した。このような構造によれば、蓋部を係止部で係止して不意の開放を阻止出来ると共に、ヒンジ部に作用する外力を係止部に分散させることが出来る。
【0007】
しかし、特許文献2に記載の構造は、蓋部に及ぼされる外力を、ヒンジ部を含むロック部と係止部の3箇所で分担支持するものであった。それ故、ヒンジ部にも幾らかの外力が及ぼされることが前提とされており、ヒンジ部に及ぼされる外力を軽減するという観点からは、未だ改善の余地を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−300756号公報
【特許文献2】特開2006−81276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、蓋部の操作性を確保しつつ、蓋部の不意の開放のおそれとヒンジ部の損傷のおそれを軽減することの出来る、新規な構造のヒンジ式蓋部を備えた電装用部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一の態様は、電線が装着される合成樹脂製の部品本体の外側に開口して前記電線を挿通する挿通部が形成されていると共に、該挿通部における前記部品本体の外側への開口部を覆蓋する蓋部が、前記部品本体に一体形成されたヒンジ部を介して開閉可能とされているヒンジ式蓋部を備えた電装用部品において、前記挿通部における前記ヒンジ部側の側壁と、前記蓋部において閉状態で前記側壁と対向される対向部との何れか一方に係止突部が形成されると共に、他方に係止凹部が形成されており、前記蓋部の閉状態において、前記係止突部が前記係止凹部に入り込まされることにより、該係止突部と該係止凹部が前記挿通部の開口方向で相互に係止されるようにしたことを、特徴とする。
【0011】
本発明によれば、挿通部に挿通された電線によって、蓋部に対して挿通部の開口方向の外力が及ぼされた場合には、係止突部と係止凹部が相互に係止されることによって、蓋部への外力を受けることが出来る。これにより、蓋部の予期せぬ開放を阻止することが出来る。それと共に、ヒンジ部に対して外力が及ぼされることを回避して、ヒンジ部を保護することが出来る。その結果、ヒンジ部の破断のおそれも軽減することが出来る。即ち、本発明によれば、蓋部に及ぼされる外力をヒンジ部を含む複数箇所で分担支持するのではなく、係止突部と係止凹部との係合によって蓋部の変位を阻止して、蓋部に及ぼされる外力がヒンジ部に伝達されないようにすることが可能となるのであり、ヒンジ部をより効果的に保護することが可能となる。
【0012】
さらに、係止突部と係止凹部は、挿通部におけるヒンジ側の側壁と、閉状態とされた際に該側壁に対向位置される蓋部の対向部に形成されている。即ち、これら係止突部と係止凹部は蓋部の開閉動における回転軌跡上に位置されており、係止突部と係止凹部の係止力は、蓋部が開閉動方向ではなく、挿通部の開口方向に変位した場合に発揮されるようになっている。その結果、蓋部の開閉操作時には、係止突部と係止凹部の係止作用が影響を与えることの無いようにされており、蓋部の操作性を確保しつつ、ヒンジ部を保護することが可能とされている。
【0013】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記係止突部が前記挿通部の前記側壁に形成されている一方、前記蓋部における前記対向部には切欠が形成されており、該切欠が前記係止凹部とされているものである。即ち、本発明における係止凹部としては、例えば係止突部の全体を収容するような窪み部等でも良いが、本態様によれば、係止凹部を容易に形成することが出来る。
【0014】
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に記載のものにおいて、前記係止突部には、前記蓋部の閉状態で前記対向部の下方に位置される落下防止突部が形成されているものである。
【0015】
本態様によれば、万一ヒンジ部が破断した場合でも、蓋部の対向部が落下防止突部に係止されることによって、蓋部の脱落を防止することが出来る。これにより、蓋部が異物となって他の部品を損傷したり、他の部品の作動を阻害するおそれを軽減することが出来る。
【0016】
本発明の第四の態様は、前記第一〜第三の何れか1つの態様に記載のものにおいて、前記係止突部が前記挿通部の前記側壁に形成されており、前記係止突部には、該係止突部の中央部分に行くに連れて前記側壁からの突出寸法が次第に大きくなる傾斜面が形成されているものである。
【0017】
本態様によれば、係止突部における挿通部の側壁からの突出面が傾斜面とされることによって、挿通部に収容される電線が係止突部に引っ掛かるおそれを軽減することが出来る。これにより、電線の挿通部への収容や取出しをより容易に行なうことが出来る。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、挿通部におけるヒンジ側の側壁と、蓋部において閉状態で該側壁と対向する対向部に、係止突部と係止凹部を設け、外力が及ぼされて蓋部が挿通部の開口方向に変位された場合には、係止突部と係止凹部の係合作用によって蓋部の変位を規制するようにした。これにより、蓋部の予期せぬ開放を阻止することが出来ると共に、ヒンジ部への外力の伝達を阻止して、ヒンジ部を保護することが出来る。更に、係止突部と係止凹部が、挿通部の開口方向で相互に係止されるようにしたことによって、蓋部の開閉操作時にはこれら係止突部と係止凹部の係合作用が影響を与えることの無いようにされており、蓋部の操作性も確保することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態としてのヒンジ式蓋部を備えた電装用部品の側面図。
【図2】図1に示した電装用部品を構成するロアカバーの平面図。
【図3】図2に示したロアカバーの要部拡大図。
【図4】図3におけるA矢視図の要部拡大図。
【図5】図1に示した電装用部品において図3に示した要部を斜め下方から見た要部拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
先ず、図1に、本発明の一実施形態に係るヒンジ式蓋部を備えた電装用部品としての電気接続箱10の側面を示す。電気接続箱10は、箱本体12と、箱本体12の下方(図1中、下方)に組み付けられるロアカバー14を含んで構成されており、これら箱本体12とロアカバー14で部品本体が構成されている。
【0022】
箱本体12は、非導電性の合成樹脂からなる一体成形品とされている。箱本体12には、図示しないヒューズ装着部やリレー装着部等の部品収容部20が設けられていると共に、部品収容部20の外周が外周壁22で囲まれた形状とされている。外周壁22におけるロアカバー14側の端部には、ロック爪24が適宜の位置に突設されている。また、外周壁22には、図示しない車両への取付部が適宜の位置に突設されている。
【0023】
一方、ロアカバー14は、図2にも示すように、非導電性の合成樹脂からなる一体成形品とされている。ロアカバー14は、底板28の外周端部から突出する外周壁30が形成された、上方(図1中、上方)に開口する略箱体形状とされている。ロアカバー14の外周壁30において、箱本体12のロック爪24と対応する位置には、箱本体12に向けて突出するロック枠32が突設されている。また、ロアカバー14には、車両への取付部26が適宜の位置に形成されている。
【0024】
ロアカバー14には、底板28および外周壁30を貫通して、ロアカバー14の上下方向(図1中、上下方向)と外側(図2中、下側)に開口する挿通部34が形成されている。挿通部34は、外周壁30が周方向で分断されることによって形成された外側開口部35によってロアカバー14の外側に開口されていると共に、底板28に貫設された下側開口部37で下方に開口されている。挿通部34の一方(図2中、左方)の側面には、底板28から突出する側壁36が形成されている。本実施形態においては、挿通部34の一方(図2中、左方)の側面における開口部側において、底板28が部分的に下方(図1中、下方)に突出された下方突出部38が形成されており、下方突出部38の突出端部から取付部26が更に下方に突出して形成されている。そして、下方突出部38から上方(図1中、上方)に延びる壁部によって、挿通部34の側壁36が形成されている。
【0025】
さらに、側壁36側に位置する外周壁30には、蓋部40が一体形成されている。図3に、ロアカバー14における蓋部40の形成部分を示す。なお、図3(a)は蓋部40の開状態、図3(b)は蓋部40の閉状態である。蓋部40には、閉状態で挿通部34の外側開口部35の略全体を覆う略矩形板形状とされた蓋本体42が形成されている。蓋本体42の一方の端縁部と外周壁30の間には、蓋本体42よりも薄肉で屈曲可能に形成されたヒンジ部44が一体形成されており、蓋部40はヒンジ部44によって外周壁30と連結されて、ロアカバー14に一体形成されている。そして、ヒンジ部44が屈曲されることによって、挿通部34の外側開口部35が蓋本体42で覆蓋されるようになっている。
【0026】
蓋本体42においてヒンジ部44と反対側の端縁部には、係止爪46が形成されている。係止爪46は蓋部40の閉状態でロアカバー14の内方に向けて突出されており、その突出端縁部は、蓋部40の外側に向けて突出する鉤形状とされている。
【0027】
さらに、蓋本体42における下端縁部48(図1参照)には、補強板部50が形成されている。補強板部50は、蓋本体42の略全長に亘る略長手矩形板形状とされており、蓋部40の閉状態で蓋本体42からロアカバー14の内方に向けて突出形成されている。これにより、蓋部40は、蓋本体42と補強板部50によって側面視略L字形状断面を有している。なお、蓋部40の内面には、蓋本体42の内面と補強板部50の内面を接続する複数の補強リブ52が形成されており、蓋部40の強度が確保されている。
【0028】
図3(b)に示すように、ロアカバー14の上面視において、補強板部50は蓋部40の閉状態で部分的に挿通部34内に入り込まされる。これにより、補強板部50の長手方向(図3(b)中、左右方向)でヒンジ部44側の端部が、蓋部40の閉状態で挿通部34の側壁36と対向位置される対向部54とされている。更に、補強板部50における側壁36との対向部54には、係止凹部56が形成されている。係止凹部56は、対向部54において、補強板部50の長手方向外方(図3(a)中、上方)に開口する矩形の切欠とされている。
【0029】
一方、図4に示すように、挿通部34の側壁36において、蓋部40の閉状態で係止凹部56が重ね合わされる位置には、係止突部58が形成されている。係止突部58は、側壁36から挿通部34の内方に突出して形成されている。係止突部58において挿通部34の内方側には、側壁36から略垂直に突出する係止面60が形成されている。また、係止面60と係止突部58の側壁36からの突出端面62との接続部分には、係止突部58の外周側に凹となる湾曲面64が形成されている。なお、係止突部58の側面36からの突出基端部分には、全周に亘って、係止突部58の外側に広がる基端湾曲面65が形成されている。
【0030】
さらに、係止突部58の下端部(図4中、下方)には、係止突部58の両外側に突出する一対の落下防止突部66,66が形成されている。落下防止突部66,66の上端面68,68は、側壁36から略垂直に立ち上がり、水平方向(図4中、左右方向)に延びる平面とされている。なお、落下防止突部66,66の係止突部58からの突出寸法は、係止突部58の下端縁部に行くに連れて次第に小さくされている。これにより、係止突部58は、全体として先細の矢印形状とされている。
【0031】
さらに、係止突部58の下端面70は傾斜面とされており、係止突部58の中央部分に行くに連れて側壁36からの突出高さ寸法が次第に大きくされている。また、落下防止突部66,66における突出端面72は、側壁36からの突出方向に突となる湾曲面とされている。
【0032】
一方、図3に示したように、挿通部34におけるヒンジ部44と反対側には、係止用凹所74が形成されている。係止用凹所74は、外周壁30と、外周壁30の内側に位置する内方壁部76によって画成されて、外周壁30に貫設されたスリット状の挿入孔78(図1参照)を通じてロアカバー14の外周側に開口された凹所とされている。そして、係止用凹所74内には、外周壁30の内面から係止用凹所74の内方に向けて突出する係止突起80が形成されている。係止突起80は、係止用凹所74において挿通部34に対して遠位の外周壁30の内面から、挿通部34側に向けて突出されている。
【0033】
これら箱本体12とロアカバー14は、図1に示したように、箱本体12の下方にロアカバー14が重ね合わされて、箱本体12のロック爪24とロアカバー14のロック枠32が係合することによって、箱本体12にロアカバー14が組み付けられる。これにより、箱本体12の下面がロアカバー14で覆われると共に、ロアカバー14における挿通部34の上側が箱本体12で覆われる。
【0034】
そして、箱本体12の部品収容部20のそれぞれに接続されて、箱本体12から延び出された複数の通電ワイヤが束ねられてなる電線82が、挿通部34内に挿通されて、挿通部34における下側開口部37から電気接続箱10の外部に取り出される。本実施形態においては、係止突部58が全体として先細の矢印形状とされると共に、下端面70が傾斜面とされていることから、電線82の挿通部34への収容や取り出しに際する係止突部58との引っ掛かりのおそれが軽減されている。
【0035】
さらに、挿通部34に電線82を挿通した状態で、蓋部40がヒンジ部44を屈曲させて閉操作されることにより、蓋部40の係止爪46が外周壁30に貫設された挿入孔78を通じて係止用凹所74に入り込まされて、係止突起80を乗り越えて係止突起80に係止される。これにより、蓋部40が閉状態に保持されて、挿通部34の外側開口部35が蓋部40の蓋本体42で覆蓋される。これにより、電線82が挿通部34内に保持された状態で、箱本体12に装着される。
【0036】
このような電気接続箱10は、図3(b)および図5に示すように、蓋部40が閉操作されるに際して、補強板部50の対向部54が挿通部34の側壁36に重ね合わされて対向される。これにより、蓋部40の閉状態において、側壁36から突出された係止突部58が、対向部54の係止凹部56内に入り込まされて、係止突部58の係止面60と係止凹部56の開口縁部が、挿通部34の開口方向(図3(b)中、下方)で対向位置される。
【0037】
本実施形態における電気接続箱10によれば、電線82が大径であったり、車両の振動等によって、電線82から蓋部40に対して挿通部34の開口方向(図3(b)中、下方)の外力が及ぼされて、蓋部40が挿通部34の開口方向:D1に変位しようとした場合には、係止凹部56の開口縁部が係止突部58の係止面60で係止されることによって、蓋部40の開口方向:D1への変位が抑えられる。その結果、蓋部40に及ぼされる挿通部34の開口方向の外力を係止凹部56と係止突部58との係合作用で受けることが出来て、蓋部40の予期せぬ開放を阻止することが出来る。
【0038】
さらに、蓋部40の変位が抑えられることから、電線82から蓋部40に及ぼされる外力が、ヒンジ部44に伝達されることを回避することが出来る。これにより、ヒンジ部44を保護することが出来て、ヒンジ部44の破断のおそれを軽減することが出来る。
【0039】
また、係止突部58と係止凹部56が、挿通部34におけるヒンジ部44側の側壁36と、蓋部40において側壁36と対向する対向部54に形成されている。これにより、係止突部58と係止凹部56は、蓋部40の開閉動における回転軌跡上に位置されている。そして、係止突部58の係止面60と係止凹部56の縁部は、挿通部34の開口方向:D1で対向されており、係止突部58と係止凹部56との係止力が発揮される方向:D1が、蓋部40の開閉作動におけるヒンジ部44を中心とする回転方向:D2と異ならされている。これにより、蓋部40を開閉操作するに際して、係止突部58と係止凹部56の係止力が影響を与えることが回避されており、良好な操作性を得ることが出来る。特に本実施形態においては、係止突部58の突出端面62において、ヒンジ部44に対して遠位の角部が湾曲面64とされて角が落とされていることから、蓋部40の開閉に伴う係止突部58と補強板部50との引っ掛かりのおそれがより軽減されている。
【0040】
更にまた、図5に示したように、蓋部40の閉状態で、補強板部50における対向部54の下方には、落下防止突部66,66が位置されるようになっている。これにより、万一ヒンジ部44が破断した場合でも、補強板部50を落下防止突部66,66で係止することによって、ヒンジ部44と反対側の係止爪46および係止突起80との係合作用と協働して、蓋部40の脱落を阻止することが出来る。
【0041】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、挿通部の側壁に係止凹部を形成して、蓋部における対向部に係止突部を形成することも可能である。また、係止突部と係止凹部の個数や具体的形状が前記実施形態のものに限定されないことは言うまでも無いのであって、前記実施形態における落下防止突部66,66は必ずしも必要ではない。図示は省略するが、例えば、蓋部における対向部として、挿通部の側壁に所定面積をもって重なる板部を蓋部に形成すると共に、この板部に係止突部の形状に対応する貫通孔を形成して、蓋部の閉状態で貫通孔内に係止突部を挿入して貫通孔の開口縁部と係止突部を係止させることによって、該貫通孔で係止凹部を形成するなどしても良い。このようにすれば、貫通孔に挿通された係止突部の全周を対向部で囲むことが出来て、万一ヒンジ部が破断した場合の蓋部の更なる落下防止効果も得ることが出来る。
【0042】
さらに、本発明は、従来公知の蓋部の落下防止構造などと組み合わせて採用することも可能である。例えば、本発明と共に、特開2006−81276号公報に記載の落下防止構造を採用して、前記実施形態における蓋本体42の外面に突起を設けると共に、該突起をロアカバー14側に設けた係止枠で係止することによって、これら突起と係止枠の係合作用で蓋部40を保持する等しても良い。
【0043】
また、本発明における電装用部品とは、リレーボックスやジャンクションボックス、ヒューズボックス等の電気接続箱に限定されるものではなく、ワイヤハーネスのプロテクタ等も含む。
【符号の説明】
【0044】
10:電気接続箱(ヒンジ式蓋部を備えた電装用部品)、12:箱本体(部品本体)、14:ロアカバー(部品本体)、34:挿通部、35:外側開口部(部品本体の外側への開口部)、36:側壁、40:蓋部、44:ヒンジ部、50:補強板部、54:対向部、56:係止凹部、58:係止突部、60:係止面、66:落下防止突部、70:下端面(傾斜面)、82:電線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線が装着される合成樹脂製の部品本体の外側に開口して前記電線を挿通する挿通部が形成されていると共に、該挿通部における前記部品本体の外側への開口部を覆蓋する蓋部が、前記部品本体に一体形成されたヒンジ部を介して開閉可能とされているヒンジ式蓋部を備えた電装用部品において、
前記挿通部における前記ヒンジ部側の側壁と、前記蓋部において閉状態で前記側壁と対向される対向部との何れか一方に係止突部が形成されると共に、他方に係止凹部が形成されており、前記蓋部の閉状態において、前記係止突部が前記係止凹部に入り込まされることにより、該係止突部と該係止凹部が前記挿通部の開口方向で相互に係止されるようにしたことを特徴とするヒンジ式蓋部を備えた電装用部品。
【請求項2】
前記係止突部が前記挿通部の前記側壁に形成されている一方、前記蓋部における前記対向部には切欠が形成されており、該切欠が前記係止凹部とされている請求項1に記載のヒンジ式蓋部を備えた電装用部品。
【請求項3】
前記係止突部には、前記蓋部の閉状態で前記対向部の下方に位置される落下防止突部が形成されている請求項1又は2に記載のヒンジ式蓋部を備えた電装用部品。
【請求項4】
前記係止突部が前記挿通部の前記側壁に形成されており、前記係止突部には、該係止突部の中央部分に行くに連れて前記側壁からの突出寸法が次第に大きくなる傾斜面が形成されている請求項1〜3の何れか1項に記載のヒンジ式蓋部を備えた電装用部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−160627(P2011−160627A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22387(P2010−22387)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】